免振パレット装置
【課題】簡素な構造により、小型から大型の免振パレット装置のエアクッション部材に自動的かつ均一に空気を補充可能にし、メンテナンスフリーにする。
【解決手段】免振パレット装置1は、ベースプレート2と、アッパープレート3と、これらのプレート2,3間に挟装され、内部に空気が充填されるエアクッション部材4と、エアクッション部材4と共にプレート2,3間に挟装されるエアポンプ5(空気供給部材)とを備える。可撓性材料で形成されたエアポンプ5は、その下部と上部とがそれぞれベースプレート2とアッパープレート3とに連結され、内部にポンピング室17が形成され、ベースプレート2に対するアッパープレート3の変位によりポンピング作用を奏してエアクッション部材4に空気を補充する。エアクッション部材4は、その内部空気圧が所定値を越えた場合に空気を外部に放出するチェック弁44を備えている。
【解決手段】免振パレット装置1は、ベースプレート2と、アッパープレート3と、これらのプレート2,3間に挟装され、内部に空気が充填されるエアクッション部材4と、エアクッション部材4と共にプレート2,3間に挟装されるエアポンプ5(空気供給部材)とを備える。可撓性材料で形成されたエアポンプ5は、その下部と上部とがそれぞれベースプレート2とアッパープレート3とに連結され、内部にポンピング室17が形成され、ベースプレート2に対するアッパープレート3の変位によりポンピング作用を奏してエアクッション部材4に空気を補充する。エアクッション部材4は、その内部空気圧が所定値を越えた場合に空気を外部に放出するチェック弁44を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨物を輸送するコンテナやトラック等の床に載置され、走行振動や加減速による振動を積荷に対して免振する免振パレット装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンテナやトラック等により貨物を輸送する場合、走行振動や加減速により積荷に悪影響が及ばないように、例えば特許文献1に記載されているように、上下二枚のプレートの間にエアクッション部材を挟装し、このエアクッション部材の免振作用及び緩衝作用により積荷を保護できるようにした免振パレット装置がある。
【0003】
エアクッション部材はリング形状やボール形状に形成されているが、その内部に充填された空気は、長期間の使用により徐々に外部に漏洩してしまうため、各エアクッション部材には、それぞれ空気を補充できるようにエアー注入用弁が設けられ、常に各エアクッション部材の空気圧を最適値に保てるようになっている。
【特許文献1】特開2002-128185号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような免振パレット装置は多数配備されるため、全部の免振パレット装置に定期的に空気を補充するメンテナンス作業に多大な手間が掛かる。また、空気を補充する作業者によっては免振パレット装置の個体毎に空気圧が不均一になるという懸念がある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するべくなされたものであり、簡素な構造により、小型から大型の免振パレット装置のエアクッション部材に自動的かつ均一に空気を補充可能にし、メンテナンスフリーにすることのできる免振パレット装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するために、本発明の請求項1に係る発明は、ベースプレートと、アッパープレートと、前記ベースプレートと前記アッパープレートとの間に挟装され、内部に空気が充填されるエアクッション部材と、前記エアクッション部材と共に前記ベースプレートと前記アッパープレートとの間に挟装され、前記ベースプレートに対する前記アッパープレートの相対変位によりポンピング作用を奏して前記エアクッション部材に空気を補充する空気供給部材とを備えてなる免振パレット装置としたことを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項2に係る発明は、請求項1の構成に加え、前記空気供給部材は可撓性材料で形成されて内部にポンピング室を備えたエアポンプであり、前記ポンピング室は前記エアクッション部材に連通し、前記エアポンプの下部と上部とが、それぞれ前記ベースプレートと前記アッパープレートとに連結された免振パレット装置としたことを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項3に係る発明は、請求項1又は2の構成に加え、前記エアクッション部材が、それ自身の内部空気圧が所定値を越えた場合に、内部の空気を外部に放出するチェック弁を備えた免振パレット装置としたことを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の構成に加え、前記エアクッション部材が、前記空気供給部材から補充された空気の逆流を防ぐ逆止弁を備えた免振パレット装置としたことを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の構成に加え、前記エアクッション部材を前記ベースプレートと前記アッパープレートとの間における少なくとも外周部位に複数配置し、これら複数のエアクッション部材の内側となる部位に前記空気供給部材を配置し、前記エアクッション部材と前記空気供給部材との間を空気供給通路で接続した免振パレット装置としたことを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項6に係る発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の構成に加え、前記エアクッション部材をリング形状とし、該エアクッション部材のリング形状の内側に前記空気供給部材を配置した免振パレット装置としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明に係る免振パレット装置によれば、ベースプレートに対するアッパープレートの相対変位により空気供給部材がポンピング作用を奏してに空気を補充するため、簡素な構造により、免振パレット装置のエアクッション部材に自動的かつ均一に空気を補充し、メンテナンスフリーにすることができる。
【0013】
請求項2の発明に係る免振パレット装置によれば、ベースプレートに対してアッパープレートが上下方向に変位した場合と、面方向に変位した場合のどちらでも空気供給部材がポンピング作用を奏することができるため、効率良くエアクッション部材に空気を補充することができる。
【0014】
請求項3の発明に係る免振パレット装置によれば、エアクッション部材の内部空気圧が所定値を越えた場合に、チェック弁から内部の空気が外部に放出されるため、エアクッション部材に均一に空気を補充することができる。
【0015】
請求項4の発明に係る免振パレット装置によれば、エアクッション部材に補充された空気が逆止弁により逆流を防止されるため、エアクッション部材に効率良く、且つ均一に空気を補充することができる。
【0016】
請求項5の発明に係る免振パレット装置によれば、各エアクッション部材に且つ均一に空気を補充することができる。
【0017】
請求項6の発明に係る免振パレット装置によれば、エアクッション部材が単一であっても空気供給部材を配置できるので、小型の免振パレット装置であっても、そのエアクッション部材に自動的に空気を補充することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
[発明の実施の形態1]
【0019】
図1は、本発明の実施の形態1に係る免振パレット装置の平面図であり、図2は図1のII-II線に沿う縦断面図である。なお、図1は図2のI-I矢視によるものである。
【0020】
この免振パレット装置1は、コンテナやトラック等により貨物を輸送する場合に、積荷の下に敷設するものであり、平板状のベースプレート2及びアッパープレート3と、これら上下のプレート2,3の間に挟装された、例えば4つのエアクッション部材4と、1基のエアポンプ5とを備えて構成されている。
【0021】
ベースプレート2とアッパープレート3は、形状と大きさが等しい平板状の部材であり、金属、樹脂、木、紙、或いはこれらの材料を組み合わせた複合材料等により、曲げや撓みに耐え得る剛性を備えた板状に形成される。
【0022】
一方、エアクッション部材4は、ゴムや軟質樹脂等で形成されて内部に空気が充填される中空緩衝部材である。ここでは例えばタイヤチューブを利用したリング形状のものとなっている。しかし、リング形状に限らず、球形状、ドーム形状、円柱形状、その他多彩な形状のものが考えられる。
【0023】
各エアクッション部材4は、ベースプレート2とアッパープレート3との間の空間の、少なくとも外周部位、例えばここでは四隅付近に均等な間隔で配置され、各々のエアクッション部材4が、ベースプレート2の下面とアッパープレート3の上面とに、接着等の接合手段、若しくはベルト止めのような着脱可能な固定手段により固定されている。
【0024】
一方、エアポンプ5は、4つのエアクッション部材4に空気を補充する空気供給部材として機能する部材であり、各エアクッション部材4の内側となる部位、即ちベースプレート2とアッパープレート3との間の空間の中央部付近に配置されている。
【0025】
図3、図4、図5にも示すように、エアポンプ5は、ゴムや軟質樹脂等の可撓性材料により例えばドーム形(吸盤形)に形成されている。エアポンプ5の開放側、つまり外径の大きな側が上方を向き、その上面が上部接合面7とされてアッパープレート3の下面中央部に気密的に接合される。
【0026】
また、エアポンプ5の下部には外径の小さな押圧ボス8が形成され、その下面が下部接合面9とされてベースプレート2の上面中央部に接合されている。これにより、エアポンプ5は各エアクッション部材4と共にベースプレート2とアッパープレート3との間に挟装される。そして、各エアクッション部材4とエアポンプ5との間が、2本の空気供給通路11と、1本の空気供給通路12及び空気供給通路13で接続されている。
【0027】
空気供給通路11,12,13はホース状またはパイプ状であり、空気供給通路11は向かい合う2つのエアクッション部材4の間を接続し、空気供給通路12は2本の空気供給通路11の間を接続し、空気供給通路13は空気供給通路12とエアポンプ5との間を接続している。このため、平面視で空気供給通路11と12が略H字状に配設されている。また、空気供給通路12を延長する形で外部側に延びる空気供給通路14が接続されている。なお、これらの空気供給通路11〜14は、内部気圧による拡張が起こりにくいものであることが望ましい。
【0028】
エアポンプ5の内部空間はポンピング室17となっており、エアポンプ5には、ポンピング室17に外部から連通するインレット弁18とアウトレット弁19とが付設されている。インレット弁18は外部からポンピング室17内部への空気の流れのみを許す一方向弁であり、アウトレット弁19はポンピング室17内部から外部への空気の流れのみを許す一方向弁である。アウトレット弁19には空気供給通路13の上流端が接続される。
【0029】
また、各エアクッション部材4には、それぞれ逆止弁21とチェック弁22とが設けられている。逆止弁21は、各エアクッション部材4に空気供給通路11が接続される部位に設けられており、エアポンプ5から補充された空気の逆流を防ぐ弁である。一方、チェック弁22は、各エアクッション部材4の、例えば逆止弁21の反対側の部位に設けられ、各エアクッション部材4の各々の内部空気圧が所定値を越えた場合に、内部の空気を外部に放出して圧力を一定に保つ弁である。
【0030】
さらに、空気供給通路14の外端部に空気注入弁23が設けられている。この空気注入弁23は外部から容易にアクセスできるように、ベースプレート2又はアッパープレート3の外周縁部付近に設置される。空気注入弁23と共に内部気圧を確認できる気圧計を併設してもよい。
【0031】
なお、図2に示すように、ベースプレート2とアッパープレート3の四辺には、ゴム等の可撓性材料により形成された結束バンド26が設けられ、この結束バンド26によってベースプレート2に対するアッパープレート3の上下方向及び水平方向への最大変位量が規制される。
【0032】
以上のように構成された免振パレット装置1において、エアポンプ5は、ベースプレート2に対するアッパープレート3の相対変位によりポンピング作用を奏して各エアクッション部材4に自動的に空気を補充する。
【0033】
即ち、図2、図3、図4に示すように、ベースプレート2がアッパープレート3側に変位しておらず、各エアクッション部材4及びエアポンプ5が圧縮されていない時には、エアポンプ5のポンピング室17の容積が最大になる反面、図6、図7に示すようにアッパープレート3に荷重が加わる等して、アッパープレート3がベースプレート2に近付く方向に変位すると、各エアクッション部材4と共にエアポンプ5も圧縮されてポンピング室17の容積が小さくなる。
【0034】
ポンピング室17の容積が小さくなると、ポンピング室17の内部の空気がアウトレット弁19から排出され、空気供給通路13→12→11の順に流れて各エアクッション部材4に補充される。一旦ポンピング室17から排出された空気は、アウトレット弁19が一方向弁であるためにポンピング室17に逆流できない。また、各エアクッション部材4に補充された空気は逆止弁21により逆流を阻止されるため抜けることはない。
【0035】
そして、再びアッパープレート3がベースプレート2から離れる方向に変位すると、エアポンプ5がその弾力により形状を復元してポンピング室17の容積が拡張し、インレットバルブ18からポンピング室17内に外気が充填される。
【0036】
また、上述のようにアッパープレート3がベースプレート2に対して上下方向に変位した時のみならず、水平方向(面方向)に変位した場合にも、エアポンプ5から各エアクッション部材4に空気が補充される。
【0037】
つまり、図8に示すように、アッパープレート3がベースプレート2に対して水平方向に変位すると、エアポンプ5の上部接合面7と下部接合面9(押圧ボス8)との間が水平方向に位置ずれを起こす。このため、ポンピング室17の形状が撓んでその容積が図3、図4に示す最大容量時よりも小さくなり、これによりポンピング室17の空気がアウトレット弁19から排出されて各エアクッション部材4に補充される。
【0038】
このように、ベースプレート2に対するアッパープレート3の相対変位によってエアポンプ5から各エアクッション部材4に自動的に空気が補充されるため、この免振パレット装置1をコンテナの床やトラックの荷台等と積荷との間に介装した場合には、走行振動や加減速等により常にアッパープレート3がベースプレート2に対して上下方向及び水平方向に変位し、これにより各エアクッション部材4に空気が自動的に補充され続ける。
【0039】
各エアクッション部材4の内部空気圧が所定値を越えた場合には、チェック弁22が開弁して内部の空気が外部に放出され、これによりエアクッション部材4の内部圧力が常に一定に保たれる。
【0040】
このように、この免振パレット装置1は、その使用時に各エアクッション部材4に常に自動的かつ均一に空気が補充され続けるため、従来のように定期的に空気を補充するメンテナンス作業が不要となり、メンテナンスフリーにすることができる。
【0041】
なお、長期の不使用等により各エアクッション部材4の空気圧が多大に低下した場合には、人為的に空気注入弁23から適宜空気を補充して直ちに使用可能な状態に戻すことができる。
【0042】
この免振パレット装置1は、ベースプレート2とアッパープレート3との間に、エアクッション部材4と共に圧縮式のエアポンプ5を挟装し、このエアポンプ5とエアクッション部材4との間を空気供給通路11〜13で接続した簡素な構造であるため、極めてローコストにて製造することができ、故障や破損に対する信頼性も高い。
【0043】
エアポンプ5は、その下部と上部とが、それぞれベースプレート2とアッパープレート3に連結されているため、ベースプレート2に対してアッパープレート3が上下方向に変位した時と、面方向に変位した時のどちらの場合でもポンピング作用を奏する。このため、効率良くエアクッション部材4に空気を補充することができる。
【0044】
また、エアクッション部材4は、それ自身の内部空気圧が所定値を越えた場合に、内部の空気を外部に放出するチェック弁22を備えているため、エアクッション部材4に過剰に空気が補充されることはなく、全てのエアクッション部材4に均一に空気を補充することができる。
【0045】
さらに、エアクッション部材4は、エアポンプ5から補充された空気の逆流を防ぐ逆止弁21を備えているため、エアクッション部材4に補充された空気が逆止弁21により逆流を防止され、これによっても各エアクッション部材4に効率良く、且つ均一に空気を補充することができる。
【0046】
また、各エアクッション部材4をベースプレート2とアッパープレート3との間における外周部位に複数配置し、これら複数のエアクッション部材4の内側となる部位にエアポンプ5を配置し、エアクッション部材4とエアポンプ5との間を空気供給通路11〜13で接続したため、エアポンプ5から複数のエアクッション部材4までの距離が均等になり、これによって各エアクッション部材4に且つ均一に空気を補充することができる。
[発明の実施の形態2]
【0047】
図9は、本発明の実施の形態2に係る免振パレット装置の平面図である。この免振パレット装置31は、平板状のベースプレート32及びアッパープレート(非図示)と、これら上下のプレートの間に挟装された複数のエアクッション部材34と、空気供給部材となる1基のエアポンプ35とを備えて構成されている。
【0048】
実施の形態1の免振パレット装置1ではエアクッション部材4が4個設けられていたが、この実施の形態2の免振パレット装置31ではエアクッション部材34をより多く、例えば縦3列×横3列で合計9個設けている。各エアクッション部材34の形状及び構造は実施の形態1と同様である。
【0049】
エアポンプ35は、例えば最も中心に配置されたエアクッション部材34のリング形状の内側に配置されている。このエアポンプ35の構成及び作用は実施の形態1のエアポンプ5と同様である。各エアクッション部材34とエアポンプ35との間は複数の空気供給通路37,38,39,40により接続されている。
【0050】
さらに、各エアクッション部材34に、逆止弁43とチェック弁44とが設けられている。また、2本の空気供給通路39の末端部に空気注入弁45が設けられている。これらの部材の構成の構成及び作用は実施の形態1の場合と同様である。
【0051】
このように、より多数のエアクッション部材34を配置することによって、大型なコンテナやトラックにも使用可能な大荷重対応の免振パレット装置31を提供することができる。また、エアクッション部材34のリング形状の内側にエアポンプ35を配置したことにより、エアポンプ35の配置自由度(レイアウト性)を向上させることができる。なお、エアポンプ35を複数基設けてエアクッション部材34への空気充填効率を向上させてもよい。
[発明の実施の形態3]
【0052】
図10は、本発明の実施の形態3に係る免振パレット装置の平面図である。この免振パレット装置51は、平板状のベースプレート52及びアッパープレート(非図示)と、これら上下のプレートの間に挟装された1つのリング形状のエアクッション部材54と、1基のエアポンプ55とを備えて構成されている。
【0053】
エアクッション部材54及びエアポンプ55の構造は、実施の形態1及び2に示したものと同様である。エアポンプ55はエアクッション部材54のリング形状の内側に配置されている。エアポンプ55とエアクッション部材54との間は空気供給通路57で接続されており、エアクッション部材54には逆止弁59とチェック弁60が設けられている。さらに、エアポンプ55のインレット弁に繋がる空気供給通路62の末端部に空気注入弁63が設けられている。
【0054】
このように、エアクッション部材54をリング形状に形成し、そのリング形状の内側にエアポンプ55を配置することにより、エアクッション部材54が単一であってもエアポンプ55をバランス良く配置することができる。このため、このような小型の免振パレット装置51であっても、エアクッション部材54に効率良く自動的に空気を補充することができる。
[発明の実施の形態4]
【0055】
図11は、本発明の実施の形態4に係る免振パレット装置の縦断面図である。
【0056】
この免振パレット装置71は、平板状のベースプレート72及びアッパープレート73と、これら上下のプレート72,73の間に挟装された図示しないエアクッション部材と、1基のエアポンプ75と、ポンピング作用倍増機構77とを備えて構成されている。
【0057】
エアポンプ75は、実施の形態1〜3のものと同じ構造であるが、その下端部(押圧ボス78)がベースプレート72に接合されずに離間している。そして、エアポンプ75に隣接してポンピング作用倍増機構77が配置されている。
【0058】
ポンピング作用倍増機構77は、ベースプレート72の上面に固定されたロアーピボット部材79と、アッパープレート73の下面に固定されたアッパーピボット部材80と、バーチカルリンク81と、ラテラルリンク82とを備えて構成されている。
【0059】
ロアーピボット部材79にはラテラルリンク82の中間部が回動自在に軸支され、このラテラルリンク82の一端がエアポンプ75の下端部(押圧ボス78)に、他端がバーチカルリンク81の下端部に、それぞれ回動自在に軸支されている。また、バーチカルリンク81の上端部がアッパーピボット部材80に軸支されている。
【0060】
このポンピング作用倍増機構77を備えた場合には、アッパープレート73に荷重が加わってアッパープレート73がベースプレート72に近付く方向に変位した場合、エアポンプ75の圧縮量はアッパープレート73の変位量の倍となる。
【0061】
即ち、図12に示すように、アッパープレート73がベースプレート72側に例えば寸法Xだけ変位(降下)すると、アッパーピボット部材80もベースプレート72側にXだけ下がり、その動きがバーチカルリンク81を介してラテラルリンク82の端部を下方にXだけ押し下げ、逆にラテラルリンク82の反対側の端部がXだけ上昇してエアポンプ75の下端を上方に押圧する。
【0062】
この時には、エアポンプ75もアッパープレート73と共にXだけ降下しているため、結果的にラテラルリンク82の端部によりエアポンプ75が押圧される全量はベースプレート72の変位量Xの倍の2Xとなる。なお、ロアーピボット部材79がラテラルリンク82を軸支する位置を変更することにより、ラテラルリンク82のレバー比を変え、アッパープレート73の変位量とエアポンプ75の押圧量との比率を任意に変更することができる。
【0063】
このようなポンピング作用倍増機構77を設けることにより、アッパープレート73の変位量が増幅されてエアポンプ75を大きく圧縮するため、エアポンプ75から吐出される空気量を増大させ、より効率的にエアクッション部材に空気を補充することができる。
【0064】
なお、ここではポンピング作用倍増機構77の最も基本的且つ概念的な構成を示したに過ぎず、ポンピング作用倍増機構77の構成は上記構成のみに限定されない。要するに、アッパープレート73の変位量を増幅させてエアポンプ75を圧縮することができれば、他の構成でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施の形態1に係る免振パレット装置の平面図である。
【図2】同実施の形態に1係る図1のII-II線に沿う縦断面図である。
【図3】同実施の形態1に係る図2のIII部を拡大した縦断面図である。
【図4】同実施の形態1に係る免振パレット装置のエアポンプ付近を示す拡大縦断面図である。
【図5】同実施の形態1に係る免振パレット装置のエアポンプを示す斜視図である。
【図6】同実施の形態1に係る免振パレット装置において、アッパープレートがベースプレートに近付く方向に変位し、エアクッション部材とエアポンプとが圧縮された状態を示す縦断面図である。
【図7】エアポンプが圧縮された状態を示す縦断面図である。
【図8】アッパープレートがベースプレートに対して水平方向に変位した状態を示す縦断面図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係る免振パレット装置の平面図である。
【図10】本発明の実施の形態3に係る免振パレット装置の平面図である。
【図11】本発明の実施の形態4に係る免振パレット装置の縦断面図であり、エアポンプが圧縮されていない状態を示す縦断面図である。
【図12】同実施の形態4に係る免振パレット装置において、エアポンプが圧縮された状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0066】
1 免振パレット装置
2 ベースプレート
3 アッパープレート
4 エアクッション部材
5 空気供給部材として機能するエアポンプ
7 エアポンプの上部接合面
9 エアポンプの下部接合面
11,12,13,14 空気供給通路
17 ポンピング室
21 逆止弁
22 チェック弁
23 空気注入弁
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨物を輸送するコンテナやトラック等の床に載置され、走行振動や加減速による振動を積荷に対して免振する免振パレット装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンテナやトラック等により貨物を輸送する場合、走行振動や加減速により積荷に悪影響が及ばないように、例えば特許文献1に記載されているように、上下二枚のプレートの間にエアクッション部材を挟装し、このエアクッション部材の免振作用及び緩衝作用により積荷を保護できるようにした免振パレット装置がある。
【0003】
エアクッション部材はリング形状やボール形状に形成されているが、その内部に充填された空気は、長期間の使用により徐々に外部に漏洩してしまうため、各エアクッション部材には、それぞれ空気を補充できるようにエアー注入用弁が設けられ、常に各エアクッション部材の空気圧を最適値に保てるようになっている。
【特許文献1】特開2002-128185号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような免振パレット装置は多数配備されるため、全部の免振パレット装置に定期的に空気を補充するメンテナンス作業に多大な手間が掛かる。また、空気を補充する作業者によっては免振パレット装置の個体毎に空気圧が不均一になるという懸念がある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するべくなされたものであり、簡素な構造により、小型から大型の免振パレット装置のエアクッション部材に自動的かつ均一に空気を補充可能にし、メンテナンスフリーにすることのできる免振パレット装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するために、本発明の請求項1に係る発明は、ベースプレートと、アッパープレートと、前記ベースプレートと前記アッパープレートとの間に挟装され、内部に空気が充填されるエアクッション部材と、前記エアクッション部材と共に前記ベースプレートと前記アッパープレートとの間に挟装され、前記ベースプレートに対する前記アッパープレートの相対変位によりポンピング作用を奏して前記エアクッション部材に空気を補充する空気供給部材とを備えてなる免振パレット装置としたことを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項2に係る発明は、請求項1の構成に加え、前記空気供給部材は可撓性材料で形成されて内部にポンピング室を備えたエアポンプであり、前記ポンピング室は前記エアクッション部材に連通し、前記エアポンプの下部と上部とが、それぞれ前記ベースプレートと前記アッパープレートとに連結された免振パレット装置としたことを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項3に係る発明は、請求項1又は2の構成に加え、前記エアクッション部材が、それ自身の内部空気圧が所定値を越えた場合に、内部の空気を外部に放出するチェック弁を備えた免振パレット装置としたことを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の構成に加え、前記エアクッション部材が、前記空気供給部材から補充された空気の逆流を防ぐ逆止弁を備えた免振パレット装置としたことを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の構成に加え、前記エアクッション部材を前記ベースプレートと前記アッパープレートとの間における少なくとも外周部位に複数配置し、これら複数のエアクッション部材の内側となる部位に前記空気供給部材を配置し、前記エアクッション部材と前記空気供給部材との間を空気供給通路で接続した免振パレット装置としたことを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項6に係る発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の構成に加え、前記エアクッション部材をリング形状とし、該エアクッション部材のリング形状の内側に前記空気供給部材を配置した免振パレット装置としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明に係る免振パレット装置によれば、ベースプレートに対するアッパープレートの相対変位により空気供給部材がポンピング作用を奏してに空気を補充するため、簡素な構造により、免振パレット装置のエアクッション部材に自動的かつ均一に空気を補充し、メンテナンスフリーにすることができる。
【0013】
請求項2の発明に係る免振パレット装置によれば、ベースプレートに対してアッパープレートが上下方向に変位した場合と、面方向に変位した場合のどちらでも空気供給部材がポンピング作用を奏することができるため、効率良くエアクッション部材に空気を補充することができる。
【0014】
請求項3の発明に係る免振パレット装置によれば、エアクッション部材の内部空気圧が所定値を越えた場合に、チェック弁から内部の空気が外部に放出されるため、エアクッション部材に均一に空気を補充することができる。
【0015】
請求項4の発明に係る免振パレット装置によれば、エアクッション部材に補充された空気が逆止弁により逆流を防止されるため、エアクッション部材に効率良く、且つ均一に空気を補充することができる。
【0016】
請求項5の発明に係る免振パレット装置によれば、各エアクッション部材に且つ均一に空気を補充することができる。
【0017】
請求項6の発明に係る免振パレット装置によれば、エアクッション部材が単一であっても空気供給部材を配置できるので、小型の免振パレット装置であっても、そのエアクッション部材に自動的に空気を補充することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
[発明の実施の形態1]
【0019】
図1は、本発明の実施の形態1に係る免振パレット装置の平面図であり、図2は図1のII-II線に沿う縦断面図である。なお、図1は図2のI-I矢視によるものである。
【0020】
この免振パレット装置1は、コンテナやトラック等により貨物を輸送する場合に、積荷の下に敷設するものであり、平板状のベースプレート2及びアッパープレート3と、これら上下のプレート2,3の間に挟装された、例えば4つのエアクッション部材4と、1基のエアポンプ5とを備えて構成されている。
【0021】
ベースプレート2とアッパープレート3は、形状と大きさが等しい平板状の部材であり、金属、樹脂、木、紙、或いはこれらの材料を組み合わせた複合材料等により、曲げや撓みに耐え得る剛性を備えた板状に形成される。
【0022】
一方、エアクッション部材4は、ゴムや軟質樹脂等で形成されて内部に空気が充填される中空緩衝部材である。ここでは例えばタイヤチューブを利用したリング形状のものとなっている。しかし、リング形状に限らず、球形状、ドーム形状、円柱形状、その他多彩な形状のものが考えられる。
【0023】
各エアクッション部材4は、ベースプレート2とアッパープレート3との間の空間の、少なくとも外周部位、例えばここでは四隅付近に均等な間隔で配置され、各々のエアクッション部材4が、ベースプレート2の下面とアッパープレート3の上面とに、接着等の接合手段、若しくはベルト止めのような着脱可能な固定手段により固定されている。
【0024】
一方、エアポンプ5は、4つのエアクッション部材4に空気を補充する空気供給部材として機能する部材であり、各エアクッション部材4の内側となる部位、即ちベースプレート2とアッパープレート3との間の空間の中央部付近に配置されている。
【0025】
図3、図4、図5にも示すように、エアポンプ5は、ゴムや軟質樹脂等の可撓性材料により例えばドーム形(吸盤形)に形成されている。エアポンプ5の開放側、つまり外径の大きな側が上方を向き、その上面が上部接合面7とされてアッパープレート3の下面中央部に気密的に接合される。
【0026】
また、エアポンプ5の下部には外径の小さな押圧ボス8が形成され、その下面が下部接合面9とされてベースプレート2の上面中央部に接合されている。これにより、エアポンプ5は各エアクッション部材4と共にベースプレート2とアッパープレート3との間に挟装される。そして、各エアクッション部材4とエアポンプ5との間が、2本の空気供給通路11と、1本の空気供給通路12及び空気供給通路13で接続されている。
【0027】
空気供給通路11,12,13はホース状またはパイプ状であり、空気供給通路11は向かい合う2つのエアクッション部材4の間を接続し、空気供給通路12は2本の空気供給通路11の間を接続し、空気供給通路13は空気供給通路12とエアポンプ5との間を接続している。このため、平面視で空気供給通路11と12が略H字状に配設されている。また、空気供給通路12を延長する形で外部側に延びる空気供給通路14が接続されている。なお、これらの空気供給通路11〜14は、内部気圧による拡張が起こりにくいものであることが望ましい。
【0028】
エアポンプ5の内部空間はポンピング室17となっており、エアポンプ5には、ポンピング室17に外部から連通するインレット弁18とアウトレット弁19とが付設されている。インレット弁18は外部からポンピング室17内部への空気の流れのみを許す一方向弁であり、アウトレット弁19はポンピング室17内部から外部への空気の流れのみを許す一方向弁である。アウトレット弁19には空気供給通路13の上流端が接続される。
【0029】
また、各エアクッション部材4には、それぞれ逆止弁21とチェック弁22とが設けられている。逆止弁21は、各エアクッション部材4に空気供給通路11が接続される部位に設けられており、エアポンプ5から補充された空気の逆流を防ぐ弁である。一方、チェック弁22は、各エアクッション部材4の、例えば逆止弁21の反対側の部位に設けられ、各エアクッション部材4の各々の内部空気圧が所定値を越えた場合に、内部の空気を外部に放出して圧力を一定に保つ弁である。
【0030】
さらに、空気供給通路14の外端部に空気注入弁23が設けられている。この空気注入弁23は外部から容易にアクセスできるように、ベースプレート2又はアッパープレート3の外周縁部付近に設置される。空気注入弁23と共に内部気圧を確認できる気圧計を併設してもよい。
【0031】
なお、図2に示すように、ベースプレート2とアッパープレート3の四辺には、ゴム等の可撓性材料により形成された結束バンド26が設けられ、この結束バンド26によってベースプレート2に対するアッパープレート3の上下方向及び水平方向への最大変位量が規制される。
【0032】
以上のように構成された免振パレット装置1において、エアポンプ5は、ベースプレート2に対するアッパープレート3の相対変位によりポンピング作用を奏して各エアクッション部材4に自動的に空気を補充する。
【0033】
即ち、図2、図3、図4に示すように、ベースプレート2がアッパープレート3側に変位しておらず、各エアクッション部材4及びエアポンプ5が圧縮されていない時には、エアポンプ5のポンピング室17の容積が最大になる反面、図6、図7に示すようにアッパープレート3に荷重が加わる等して、アッパープレート3がベースプレート2に近付く方向に変位すると、各エアクッション部材4と共にエアポンプ5も圧縮されてポンピング室17の容積が小さくなる。
【0034】
ポンピング室17の容積が小さくなると、ポンピング室17の内部の空気がアウトレット弁19から排出され、空気供給通路13→12→11の順に流れて各エアクッション部材4に補充される。一旦ポンピング室17から排出された空気は、アウトレット弁19が一方向弁であるためにポンピング室17に逆流できない。また、各エアクッション部材4に補充された空気は逆止弁21により逆流を阻止されるため抜けることはない。
【0035】
そして、再びアッパープレート3がベースプレート2から離れる方向に変位すると、エアポンプ5がその弾力により形状を復元してポンピング室17の容積が拡張し、インレットバルブ18からポンピング室17内に外気が充填される。
【0036】
また、上述のようにアッパープレート3がベースプレート2に対して上下方向に変位した時のみならず、水平方向(面方向)に変位した場合にも、エアポンプ5から各エアクッション部材4に空気が補充される。
【0037】
つまり、図8に示すように、アッパープレート3がベースプレート2に対して水平方向に変位すると、エアポンプ5の上部接合面7と下部接合面9(押圧ボス8)との間が水平方向に位置ずれを起こす。このため、ポンピング室17の形状が撓んでその容積が図3、図4に示す最大容量時よりも小さくなり、これによりポンピング室17の空気がアウトレット弁19から排出されて各エアクッション部材4に補充される。
【0038】
このように、ベースプレート2に対するアッパープレート3の相対変位によってエアポンプ5から各エアクッション部材4に自動的に空気が補充されるため、この免振パレット装置1をコンテナの床やトラックの荷台等と積荷との間に介装した場合には、走行振動や加減速等により常にアッパープレート3がベースプレート2に対して上下方向及び水平方向に変位し、これにより各エアクッション部材4に空気が自動的に補充され続ける。
【0039】
各エアクッション部材4の内部空気圧が所定値を越えた場合には、チェック弁22が開弁して内部の空気が外部に放出され、これによりエアクッション部材4の内部圧力が常に一定に保たれる。
【0040】
このように、この免振パレット装置1は、その使用時に各エアクッション部材4に常に自動的かつ均一に空気が補充され続けるため、従来のように定期的に空気を補充するメンテナンス作業が不要となり、メンテナンスフリーにすることができる。
【0041】
なお、長期の不使用等により各エアクッション部材4の空気圧が多大に低下した場合には、人為的に空気注入弁23から適宜空気を補充して直ちに使用可能な状態に戻すことができる。
【0042】
この免振パレット装置1は、ベースプレート2とアッパープレート3との間に、エアクッション部材4と共に圧縮式のエアポンプ5を挟装し、このエアポンプ5とエアクッション部材4との間を空気供給通路11〜13で接続した簡素な構造であるため、極めてローコストにて製造することができ、故障や破損に対する信頼性も高い。
【0043】
エアポンプ5は、その下部と上部とが、それぞれベースプレート2とアッパープレート3に連結されているため、ベースプレート2に対してアッパープレート3が上下方向に変位した時と、面方向に変位した時のどちらの場合でもポンピング作用を奏する。このため、効率良くエアクッション部材4に空気を補充することができる。
【0044】
また、エアクッション部材4は、それ自身の内部空気圧が所定値を越えた場合に、内部の空気を外部に放出するチェック弁22を備えているため、エアクッション部材4に過剰に空気が補充されることはなく、全てのエアクッション部材4に均一に空気を補充することができる。
【0045】
さらに、エアクッション部材4は、エアポンプ5から補充された空気の逆流を防ぐ逆止弁21を備えているため、エアクッション部材4に補充された空気が逆止弁21により逆流を防止され、これによっても各エアクッション部材4に効率良く、且つ均一に空気を補充することができる。
【0046】
また、各エアクッション部材4をベースプレート2とアッパープレート3との間における外周部位に複数配置し、これら複数のエアクッション部材4の内側となる部位にエアポンプ5を配置し、エアクッション部材4とエアポンプ5との間を空気供給通路11〜13で接続したため、エアポンプ5から複数のエアクッション部材4までの距離が均等になり、これによって各エアクッション部材4に且つ均一に空気を補充することができる。
[発明の実施の形態2]
【0047】
図9は、本発明の実施の形態2に係る免振パレット装置の平面図である。この免振パレット装置31は、平板状のベースプレート32及びアッパープレート(非図示)と、これら上下のプレートの間に挟装された複数のエアクッション部材34と、空気供給部材となる1基のエアポンプ35とを備えて構成されている。
【0048】
実施の形態1の免振パレット装置1ではエアクッション部材4が4個設けられていたが、この実施の形態2の免振パレット装置31ではエアクッション部材34をより多く、例えば縦3列×横3列で合計9個設けている。各エアクッション部材34の形状及び構造は実施の形態1と同様である。
【0049】
エアポンプ35は、例えば最も中心に配置されたエアクッション部材34のリング形状の内側に配置されている。このエアポンプ35の構成及び作用は実施の形態1のエアポンプ5と同様である。各エアクッション部材34とエアポンプ35との間は複数の空気供給通路37,38,39,40により接続されている。
【0050】
さらに、各エアクッション部材34に、逆止弁43とチェック弁44とが設けられている。また、2本の空気供給通路39の末端部に空気注入弁45が設けられている。これらの部材の構成の構成及び作用は実施の形態1の場合と同様である。
【0051】
このように、より多数のエアクッション部材34を配置することによって、大型なコンテナやトラックにも使用可能な大荷重対応の免振パレット装置31を提供することができる。また、エアクッション部材34のリング形状の内側にエアポンプ35を配置したことにより、エアポンプ35の配置自由度(レイアウト性)を向上させることができる。なお、エアポンプ35を複数基設けてエアクッション部材34への空気充填効率を向上させてもよい。
[発明の実施の形態3]
【0052】
図10は、本発明の実施の形態3に係る免振パレット装置の平面図である。この免振パレット装置51は、平板状のベースプレート52及びアッパープレート(非図示)と、これら上下のプレートの間に挟装された1つのリング形状のエアクッション部材54と、1基のエアポンプ55とを備えて構成されている。
【0053】
エアクッション部材54及びエアポンプ55の構造は、実施の形態1及び2に示したものと同様である。エアポンプ55はエアクッション部材54のリング形状の内側に配置されている。エアポンプ55とエアクッション部材54との間は空気供給通路57で接続されており、エアクッション部材54には逆止弁59とチェック弁60が設けられている。さらに、エアポンプ55のインレット弁に繋がる空気供給通路62の末端部に空気注入弁63が設けられている。
【0054】
このように、エアクッション部材54をリング形状に形成し、そのリング形状の内側にエアポンプ55を配置することにより、エアクッション部材54が単一であってもエアポンプ55をバランス良く配置することができる。このため、このような小型の免振パレット装置51であっても、エアクッション部材54に効率良く自動的に空気を補充することができる。
[発明の実施の形態4]
【0055】
図11は、本発明の実施の形態4に係る免振パレット装置の縦断面図である。
【0056】
この免振パレット装置71は、平板状のベースプレート72及びアッパープレート73と、これら上下のプレート72,73の間に挟装された図示しないエアクッション部材と、1基のエアポンプ75と、ポンピング作用倍増機構77とを備えて構成されている。
【0057】
エアポンプ75は、実施の形態1〜3のものと同じ構造であるが、その下端部(押圧ボス78)がベースプレート72に接合されずに離間している。そして、エアポンプ75に隣接してポンピング作用倍増機構77が配置されている。
【0058】
ポンピング作用倍増機構77は、ベースプレート72の上面に固定されたロアーピボット部材79と、アッパープレート73の下面に固定されたアッパーピボット部材80と、バーチカルリンク81と、ラテラルリンク82とを備えて構成されている。
【0059】
ロアーピボット部材79にはラテラルリンク82の中間部が回動自在に軸支され、このラテラルリンク82の一端がエアポンプ75の下端部(押圧ボス78)に、他端がバーチカルリンク81の下端部に、それぞれ回動自在に軸支されている。また、バーチカルリンク81の上端部がアッパーピボット部材80に軸支されている。
【0060】
このポンピング作用倍増機構77を備えた場合には、アッパープレート73に荷重が加わってアッパープレート73がベースプレート72に近付く方向に変位した場合、エアポンプ75の圧縮量はアッパープレート73の変位量の倍となる。
【0061】
即ち、図12に示すように、アッパープレート73がベースプレート72側に例えば寸法Xだけ変位(降下)すると、アッパーピボット部材80もベースプレート72側にXだけ下がり、その動きがバーチカルリンク81を介してラテラルリンク82の端部を下方にXだけ押し下げ、逆にラテラルリンク82の反対側の端部がXだけ上昇してエアポンプ75の下端を上方に押圧する。
【0062】
この時には、エアポンプ75もアッパープレート73と共にXだけ降下しているため、結果的にラテラルリンク82の端部によりエアポンプ75が押圧される全量はベースプレート72の変位量Xの倍の2Xとなる。なお、ロアーピボット部材79がラテラルリンク82を軸支する位置を変更することにより、ラテラルリンク82のレバー比を変え、アッパープレート73の変位量とエアポンプ75の押圧量との比率を任意に変更することができる。
【0063】
このようなポンピング作用倍増機構77を設けることにより、アッパープレート73の変位量が増幅されてエアポンプ75を大きく圧縮するため、エアポンプ75から吐出される空気量を増大させ、より効率的にエアクッション部材に空気を補充することができる。
【0064】
なお、ここではポンピング作用倍増機構77の最も基本的且つ概念的な構成を示したに過ぎず、ポンピング作用倍増機構77の構成は上記構成のみに限定されない。要するに、アッパープレート73の変位量を増幅させてエアポンプ75を圧縮することができれば、他の構成でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施の形態1に係る免振パレット装置の平面図である。
【図2】同実施の形態に1係る図1のII-II線に沿う縦断面図である。
【図3】同実施の形態1に係る図2のIII部を拡大した縦断面図である。
【図4】同実施の形態1に係る免振パレット装置のエアポンプ付近を示す拡大縦断面図である。
【図5】同実施の形態1に係る免振パレット装置のエアポンプを示す斜視図である。
【図6】同実施の形態1に係る免振パレット装置において、アッパープレートがベースプレートに近付く方向に変位し、エアクッション部材とエアポンプとが圧縮された状態を示す縦断面図である。
【図7】エアポンプが圧縮された状態を示す縦断面図である。
【図8】アッパープレートがベースプレートに対して水平方向に変位した状態を示す縦断面図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係る免振パレット装置の平面図である。
【図10】本発明の実施の形態3に係る免振パレット装置の平面図である。
【図11】本発明の実施の形態4に係る免振パレット装置の縦断面図であり、エアポンプが圧縮されていない状態を示す縦断面図である。
【図12】同実施の形態4に係る免振パレット装置において、エアポンプが圧縮された状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0066】
1 免振パレット装置
2 ベースプレート
3 アッパープレート
4 エアクッション部材
5 空気供給部材として機能するエアポンプ
7 エアポンプの上部接合面
9 エアポンプの下部接合面
11,12,13,14 空気供給通路
17 ポンピング室
21 逆止弁
22 チェック弁
23 空気注入弁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースプレートと、
アッパープレートと、
前記ベースプレートと前記アッパープレートとの間に挟装され、内部に空気が充填されるエアクッション部材と、
前記エアクッション部材と共に前記ベースプレートと前記アッパープレートとの間に挟装され、前記ベースプレートに対する前記アッパープレートの相対変位によりポンピング作用を奏して前記エアクッション部材に空気を補充する空気供給部材と、を備えてなることを特徴とする免振パレット装置。
【請求項2】
前記空気供給部材は可撓性材料で形成されて内部にポンピング室を備えたエアポンプであり、前記ポンピング室は前記エアクッション部材に連通し、前記エアポンプの下部と上部とが、それぞれ前記ベースプレートと前記アッパープレートとに連結されたことを特徴とする請求項1に記載の免振パレット装置。
【請求項3】
前記エアクッション部材は、それ自身の内部空気圧が所定値を越えた場合に、内部の空気を外部に放出するチェック弁を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の免振パレット装置。
【請求項4】
前記エアクッション部材は、前記空気供給部材から補充された空気の逆流を防ぐ逆止弁を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の免振パレット装置。
【請求項5】
前記エアクッション部材を前記ベースプレートと前記アッパープレートとの間における少なくとも外周部位に複数配置し、これら複数のエアクッション部材の内側となる部位に前記空気供給部材を配置し、前記エアクッション部材と前記空気供給部材との間を空気供給通路で接続したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の免振パレット装置。
【請求項6】
前記エアクッション部材をリング形状とし、該エアクッション部材のリング形状の内側に前記空気供給部材を配置したことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の免振パレット装置。
【請求項1】
ベースプレートと、
アッパープレートと、
前記ベースプレートと前記アッパープレートとの間に挟装され、内部に空気が充填されるエアクッション部材と、
前記エアクッション部材と共に前記ベースプレートと前記アッパープレートとの間に挟装され、前記ベースプレートに対する前記アッパープレートの相対変位によりポンピング作用を奏して前記エアクッション部材に空気を補充する空気供給部材と、を備えてなることを特徴とする免振パレット装置。
【請求項2】
前記空気供給部材は可撓性材料で形成されて内部にポンピング室を備えたエアポンプであり、前記ポンピング室は前記エアクッション部材に連通し、前記エアポンプの下部と上部とが、それぞれ前記ベースプレートと前記アッパープレートとに連結されたことを特徴とする請求項1に記載の免振パレット装置。
【請求項3】
前記エアクッション部材は、それ自身の内部空気圧が所定値を越えた場合に、内部の空気を外部に放出するチェック弁を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の免振パレット装置。
【請求項4】
前記エアクッション部材は、前記空気供給部材から補充された空気の逆流を防ぐ逆止弁を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の免振パレット装置。
【請求項5】
前記エアクッション部材を前記ベースプレートと前記アッパープレートとの間における少なくとも外周部位に複数配置し、これら複数のエアクッション部材の内側となる部位に前記空気供給部材を配置し、前記エアクッション部材と前記空気供給部材との間を空気供給通路で接続したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の免振パレット装置。
【請求項6】
前記エアクッション部材をリング形状とし、該エアクッション部材のリング形状の内側に前記空気供給部材を配置したことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の免振パレット装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−105726(P2010−105726A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−282122(P2008−282122)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(591017065)株式会社松田技術研究所 (11)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(591017065)株式会社松田技術研究所 (11)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]