説明

免疫抑制サイトカイン

EBI3-p35サイトカインが、サプレッサーT細胞に対する効果により、T細胞により媒介されるかまたは制御される免疫応答を阻害することができることが初めて示される。これは、EBI3-p35が関節炎、アテローム性動脈硬化症、移植片拒絶、および喘息などのアレルギーを含む様々な炎症状態および自己免疫状態において治療上有効であることを示唆している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイトカイン、および特にEBI3-p35サイトカインならびにT細胞により媒介または制御される免疫応答の抑制におけるその役割に関する。
【背景技術】
【0002】
IL-12は、ジスルフィド結合により連結された、2個のポリペプチドサブユニットであるp35およびp40から構成されるヘテロ二量体サイトカインである。IL-12は、NK細胞、T細胞、樹状細胞およびマクロファージからのインターフェロン-γ産生を誘導し、ならびにこれもインターフェロン-γを産生する1型ヘルパーT細胞(Th1細胞)へのナイーブなCD4+ T細胞の分化を促進する(総論については、Watfordら、Cytokine and Growth Factor Reviews 14 (2003) 361-368を参照)。
【0003】
IL-12の2個の構成ポリペプチド鎖は異なる発現パターンを有し、それぞれがIL-12におけるそのパートナー以外のポリペプチドとヘテロ二量体を形成することが示されている。例えば、p40はp19として知られるポリペプチドと結合して、IL-23と呼ばれるサイトカインを形成し、またin vitroでは、IL-12自身に対するアンタゴニストとして作用するホモ二量体を形成することができることが示されている。
【0004】
一方、p35サブユニットは、IL-12のp40に対し相同性を有するエプスタイン・バー・ウイルス誘導性タンパク質3(EBI3)と結合することが示されている。EBI3はまた、別のp35様タンパク質(p28と呼ばれる)と結合して、サイトカインIL-27を形成することも知られている。IL-27は骨髄細胞、特に、リポポリサッカリド活性化単球および単球由来樹状細胞において発現され、ナイーブT細胞の増殖を促進する。免疫応答をTh1型に向けて偏向させることが示唆されている。
【0005】
かくして、免疫系の細胞に対する多面的効果を有する、IL-12様サイトカインのファミリーが存在する。しかしながら、現在まで、EBI3-p35へテロ二量体が有する機能は認められていない。
【0006】
EBI3-p35が胎盤合胞体栄養細胞層中で発現されていることの実証は、そのへテロ二量体のIL-12との類似性と組み合わされることにより、このヘテロ二量体が何らかの形で免疫抑制的でありうるという示唆に繋がる(Devergneら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94 (1997) 12041-12046; WO 97/13859)。これらの著者らは、そのような活性はIL-12シグナル伝達に対するアンタゴニスト作用に起因するものと思われると提唱したが、この見解を支持する機能的データは提供しなかった。かくして、今までのところ、EBI3-p35分子の機能は依然として不明である。
【発明の開示】
【0007】
発明の概要
本発明者らは、EBI3-p35がin vitroで調節性T細胞(TRまたはTreg細胞)の増殖を促進することができることを見出した。調節性T細胞はin vivoでの自己反応性T細胞の抑制において重要な役割を果たし、同種移植拒絶を抑制することもできることが知られている。Treg細胞のこの公知の機能と一致するように、本発明者らはさらに、EBI3-p35が関節リウマチのマウスモデルにおいて実質的な治療効果を有することを示した。かくして、本発明はEBI3-p35サイトカインに関する生理学的機能の初めての証拠を提供する。
【0008】
従って、第1の態様において、本発明は調節性T細胞を、EBI3-p35と接触させることを含む、該細胞の増殖を刺激する方法を提供する。
【0009】
EBI3-p35は少なくとも2個のEBI3成分および/または少なくとも2個のp35成分を含みうる。特に好ましい実施形態は、各成分を2個ずつ有するヘテロ四量体である。
【0010】
好ましい実施形態においては、少なくとも1個のEBI3成分および少なくとも1個のp35成分が互いに共有結合している。好ましくは、少なくとも1個のEBI3成分と少なくとも1個のp35成分が融合タンパク質を形成している。
【0011】
好ましくは、各EBI3またはp35成分が、少なくとも1個の他のEBI3またはp35成分と共有結合している。EBI3-p35は、それぞれが少なくとも2個ずつのEBI3およびp35成分を含む、1個、2個またはそれ以上の融合タンパク質を含んでもよい。この融合タンパク質はそれ自身、非ペプチド性化学リンカー、ジスルフィド結合などの任意の適当な手段により共有結合されていてもよい。好ましい実施形態においては、全てのEBI3およびp35成分が互いに共有結合している。
【0012】
EBI3-p35はさらに、1個以上のEBI3またはp35成分に共有結合した、1個以上の異種成分、好ましくは異種ポリペプチドを含んでもよい。この異種ポリペプチドは1個以上のEBI3またはp35成分との融合タンパク質の一部であってもよい。
【0013】
異種成分は互いに結合することができ、従って種々のEBI3およびp35成分の間の結合を援助することができるのが好ましい。そのような場合、EBI3-p35は、2個以上のそのような異種成分を含み、その異種成分は同じであっても異なっていてもよい。
【0014】
この異種成分はさらに、またはあるいは、さらなる生物学的エフェクター機能を提供しうる。特に好ましい異種成分は、in vivoでEBI3-p35の半減期を延長するのに用いることができる、抗体Fc配列を含むポリペプチドである。好ましくは、抗体のヒンジ配列も含まれ、従ってこれらはFc鎖間でジスルフィド架橋を形成することができるシステイン残基を含む。
【0015】
前記方法は典型的には、調節性T細胞を、細胞のT細胞受容体複合体を介するシグナル伝達を刺激することができる物質と接触させることを含む。そのような物質の例としては、抗CD3抗体、およびMHC分子と関連してT細胞受容体により認識される抗原を提示する細胞、例えば、樹状細胞、マクロファージなどのプロフェッショナル抗原提示細胞(APC)が挙げられる。APC自身を、例えば、固定化(例えば、ホルムアルデヒドを用いる)、照射(例えば、X線もしくはγ線)または化学処理(例えば、マイトマイシンCを用いる)により、増殖しないようにすることができる。さらに、またはあるいは、抗CD28抗体などの共刺激シグナルを用いることができる。
【0016】
前記方法をin vitroまたはex vivoで行う場合(例えば、細胞培養物中で)、通常、TCR刺激をEBI3-p35とともにTreg細胞に提供する。しかしながら、被験体における調節性T細胞の数を増加させる方法として、その被験体にEBI3-p35を投与することにより、本発明の方法をin vivoで実施することもできる。そのような環境においては、体内のTreg細胞は通常、in vivoでのそれらの環境から十分なTCR刺激を受け、EBI3-p35の投与に際して単独で増殖するであろう。
【0017】
in vitroまたはex vivoで行う場合、前記方法はさらに、被験体への投与のためにそのように取得された調節性T細胞の集団を製剤化する工程を含む。好ましくは、レシピエントはT細胞と同系であるか、または組織適合性である。レシピエントは前記細胞の元々の起源であってもよい。
【0018】
かくして、本発明は、被験体から取得したサプレッサーT細胞を提供し、その細胞をin vitroでEBI3-p35と接触させて、調節性T細胞の集団を作製し、そして該被験体への投与のための調節性T細胞の集団を製剤化する方法を提供する。この方法はさらに、前記被験体から前記細胞を取得する工程および/または該被験体に該細胞を投与する工程を含んでもよい。
【0019】
さらなる態様においては、本発明は、被験体において調節性T細胞活性を増加させるための薬剤の製造における、EBI3-p35、EBI3-p35をコードする核酸、またはEBI3-p35を発現し、分泌する細胞の使用を提供する。これは被験体中に存在する調節性T細胞数の増加およびエフェクターT細胞活性を制御する被験体の能力の増加を意味する。
【0020】
本発明はさらに、医学的治療方法における使用のための、EBI3-p35、EBI3-p35をコードする核酸、またはEBI-p35を発現し、分泌する細胞を提供する。
【0021】
本発明はさらに、被験体に、EBI3-p35、EBI3-p35をコードする核酸、またはEBI3-p35を発現し、分泌する細胞を投与することを含む、該被験体における調節性T細胞活性を増強する方法を提供する。
【0022】
そのような調製物および方法を、炎症性疾患または自己免疫疾患などの、不適当な、または望ましくないT細胞活性化を特徴とする状態の治療において用いることができる。これらを、同種移植拒絶の防止または同種移植生存の延長に用いることもできる。
【0023】
本発明の方法および組成物により治療することができる具体的な状態としては、アレルギー(例えば、喘息)、関節炎(例えば、関節リウマチ)、胃炎、悪性貧血、甲状腺炎、膵島炎、糖尿病、唾液腺炎、副腎炎、自己免疫性精巣炎/卵巣炎、糸球体腎炎、実験的自己免疫性脳炎、多発性硬化症、炎症性腸疾患、アテローム性動脈硬化症および慢性閉塞性肺疾患が挙げられる。
【0024】
そのような組成物および方法における使用にとって好ましいEBI3-p35の特徴を、本発明の第1の態様と関連して、および本明細書中の他の箇所で上記のように説明する。
【0025】
さらなる態様においては、本発明はEBI3成分、p35成分、および異種成分を含むEBI3-p35分子であって、ここで、2個以上のそのようなEBI3-p35分子が複合体を形成するように2個以上の異種成分が互いに結合することができる前記分子を提供する。
【0026】
好ましくは、EBI3-p35分子は、EBI3、p35および異種成分を含む融合タンパク質である。好ましい実施形態においては、前記異種成分はジスルフィド結合の形成により互いに結合することができる。そのような異種成分の特に好ましい例は、ヒンジ配列を含む抗体Fc配列である。
【0027】
本発明はさらに、2個のEBI3成分および2個のp35成分を含むEBI3-p35を提供する。前記成分の各々は、複合体の少なくとも1個の他の成分に共有結合しているのが好ましい。この複合体は1個以上の融合タンパク質を含んでよく、その各々が少なくとも2個の前記成分、好ましくは、少なくとも1個のEBI3成分および少なくとも1個のp35成分を含みうる。そのような融合タンパク質はさらに、上記の1個以上の異種成分を含んでもよい。
【0028】
本発明はさらに、上記の本発明の態様のいずれかに記載された融合タンパク質をコードする核酸を提供する。また、本発明の核酸を含む発現ベクターおよび本発明の発現ベクターを含む宿主細胞も提供する。
【0029】
発明の詳細な説明
EBI3およびp35
ヒトEBI3(エプスタイン・バー・ウイルス誘導性遺伝子3)遺伝子は、ヒトIL-12のp40サブユニットに対して約27%のアミノ酸配列同一性を有する約33 kDaのタンパク質をコードする。ヒトEBI3の核酸配列およびアミノ酸配列の例は、WO97/13859の配列番号1および2としてそれぞれ提供されている。マウスおよびヒトのEBI3の配列の例も、GenBankにそれぞれアクセッション番号NM015766およびBC046112として提供されている。
【0030】
EBI3-p35のEBI3成分に関する言及は、これらの配列を有するポリペプチド、またはそれらの核酸配列によりコードされる配列(シグナルペプチドを含むか、もしくは含まない)、ならびに他の種に由来するオーソロガスな遺伝子によりコードされる野生型EBI3ポリペプチド、および、これらのポリペプチドに対して十分な配列同一性を有し、好適なp35成分とのヘテロ四量体として提供された場合には同じ種に由来する調節性T細胞の増殖を刺激する能力を保持するポリペプチド、を含むと理解すべきである。
【0031】
かくして、好ましいEBI3ポリペプチド配列は、上記で言及された野生型配列(例えば、WO97/13859もしくはGenBankからのもの、または他の種に由来するオーソロガスな遺伝子によりコードされる野生型ポリペプチド)に対して、少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも85%の配列同一性、より好ましくは少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有する。EBI3ポリペプチドをコードする核酸に対する言及もしかるべく解釈すべきである。
【0032】
p35は元々、サイトカインIL-12の成分として同定されたものである。ヒトp35の核酸およびアミノ酸配列の例を、WO97/13859の配列番号3および4としてそれぞれ提供する。ヒトおよびマウスp35の配列の例は、それぞれGenBankアクセッション番号NM 000882およびM86672にも見出される。EBI3-p35のp35成分に対する言及は、これらの配列を有するポリペプチド、またはそれらの核酸配列によりコードされる配列(シグナルペプチドを含むか、もしくは含まない)、ならびに他の種に由来するオーソロガスな遺伝子によりコードされる野生型p35ポリペプチド、および、これらのポリペプチドと十分な配列同一性を有し、好適なEBI3成分とのヘテロ四量体として提供された場合には同じ種に由来する調節性T細胞の増殖を刺激する能力を保持するポリペプチドを含むと理解すべきである。
【0033】
かくして、好ましいp35ポリペプチド配列は、上記で言及された配列(例えば、WO97/13859もしくはGenBankからのもの、または他の種に由来するオーソロガスな遺伝子によりコードされる野生型ポリペプチド)に対して、少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも85%の配列同一性、より好ましくは少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有する。p35ポリペプチドをコードする核酸に対する言及もしかるべく解釈すべきである。
【0034】
特に、EBI3またはp35における保存的置換(参照配列と比較した場合)は、EBI3-p35の機能に実質的に影響を及ぼすことなく、特に良好に許容されうる。
【0035】
保存的置換を、アミノ酸クラス内の置換および/またはBLOSUM62マトリックスにおいて正のスコアを与える置換として定義することができる。
【0036】
1つの分類に従えば、このアミノ酸クラスは酸性、塩基性、非荷電の極性および非極性であり、ここで酸性アミノ酸はAspおよびGluであり、塩基性アミノ酸はArg、LysおよびHisであり、非荷電極性アミノ酸はAsn、Gln、Ser、ThrおよびTyrであり、ならびに非極性アミノ酸はAla、Gly、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、TrpおよびCysである。
【0037】
別の分類に従えば、このアミノ酸クラスは小さい親水性、酸/酸アミド/親水性、塩基性、小さい疎水性および芳香族であり、ここで小さい親水性アミノ酸はSer、Thr、Pro、AlaおよびGlyであり、酸/酸アミド/親水性アミノ酸はAsn、Asp、GluおよびGlnであり、塩基性アミノ酸はHis、ArgおよびLysであり、小さい疎水性アミノ酸はMet、Ile、LeuおよびValであり、ならびに芳香族アミノ酸はPhe、TyrおよびTrpである。
【0038】
BLOSUM62マトリックスにおいて正のスコアを与える置換は以下の通りである。
【0039】

【0040】
参照配列に対するアミノ酸配列同一性%は、候補配列と参照配列を最大の配列同一性%を達成するようにアラインメントし、必要であればギャップを導入した後の参照配列中のアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基の割合として定義する(いかなる保存的置換も配列同一性の一部とはしない)。同一性%の値を、WU-BLAST-2(Altschulら、Methods in Enzymology, 266:460-480 (1996))により決定することができる。WU-BLAST-2はいくつかの検索パラメーターを用いるが、その多くをデフォルト値に設定する。調整可能なパラメーターを、以下の値:重複スパン=1、重複画分=0.125、ワード閾値(T)=11に設定する。アミノ酸配列同一性%の値は、WU-BLAST-2により決定された、一致する同一残基の数を、参照配列の合計残基数(アラインメントスコアを最大化するためにWU-BLAST-2により参照配列に導入されたギャップは無視する)で割り、100を掛けることにより決定する。
【0041】
アミノ酸類似性%を、BLOSUM62マトリックスにおいて正の値をスコアとして与える残基をカウントする以外は、同一性と同じ方法で定義する。すなわち、非同一であるが、類似する特性(例えば、保存的置換の結果として)を有する残基もカウントする。
【0042】
同様にして、参照核酸に対する核酸配列同一性%を、参照核酸配列中のヌクレオチド残基と同一である候補配列中のヌクレオチド残基の割合として定義する。ここで用いられる同一性の値は、重複スパンおよび重複画分をそれぞれ1および0.125に設定するデフォルトパラメーターとして設定されたWU-BLAST-2のBLASTNモジュールにより生成することができる。
【0043】
本明細書中に提供される全てのアクセッション番号は2004年2月15日にGenBankのリリース番号140.0で取得したものである。
【0044】
EBI3-p35
本明細書で用いる用語EBI3-p35は、上記の少なくとも1個のEBI3ポリペプチド成分および少なくとも1個のp35ポリペプチド成分を含む任意の分子内複合体または単一の分子を意味する。EBI3およびp35はin vivoで互いに結合することが知られており、Devergneら(上記を参照)によると、この相互作用は非共有結合性であり、ジスルフィド結合を有しない。
【0045】
本発明で用いる場合、EBI3およびp35成分が、共有結合または非共有結合で、互いに結合していてもよい。共有結合が望ましく、それは、かくして形成されたEBI3-p35分子が安定性およびおそらくは活性の点でも、非共有結合した複合体よりも利点がありうるからである。
【0046】
好ましい実施形態においては、EBI3およびp35成分を融合タンパク質として同時発現させる。融合タンパク質を作製するために、その2個の成分が同じポリペプチド鎖の一部として翻訳されうることができるように、1個の連続するオープンリーディングフレーム中に各成分のコード配列を含む核酸発現ベクターを構築する。
【0047】
典型的には、可撓性ペプチドリンカーを2個の成分の間に組み入れて、この2個の成分が立体障害なしに互いに自由に相互作用できるようにする。当業者であれば、好適なリンカーを設計することは完全に可能である。そのようなリンカーは、12〜20個の長さのアミノ酸であり、かつ親水性のアミノ酸残基(例えば、グリシンおよびセリン)を高割合で有することにより、分子の水溶性を低下させることなく必要な可撓性を提供することが好都合である。
【0048】
あるいは、EBI3成分およびp35成分の一方または両方を遺伝子操作して、互いに対するその親和性を増加させることができる。これは様々な方法で達成することができる。例えば、システイン残基を一方または両方の成分中に導入して、2個の成分が互いにジスルフィド結合を形成できるようにしてもよい。
【0049】
さらなる代替法として、EBI3成分およびp35成分の間の相互作用を、各成分を異種成分に連結することにより促進することができる。ここでその2個の異種成分は互いに相互作用することができるものである。この異種成分がポリペプチドである場合、これらをEBI3およびp35成分との融合タンパク質として発現させることができる。
【0050】
好ましい異種成分は、抗体Fc配列を含むポリペプチドであり、好ましくは、1個以上の抗体Fcドメイン(例えば、IgG、IgMなどのCH2、CH3および/またはCH4ドメイン(適切であれば))である。好ましくは、通常CH1ドメインおよびCH2ドメインの間に位置するヒンジ配列も含まれる。ヒンジ領域は、無傷の天然抗体の重鎖間でジスルフィド結合を形成するシステイン残基を含む。かくして、ヒンジ領域が本明細書に記載のEBI3-p35分子中に存在する場合、同様の結合を形成させて、鎖間の相互作用を安定化させることができる。
【0051】
当業者であれば、EBI3成分およびp35成分の間の相互作用を増加させるか、または安定化させるのに用いることができる代替的な異種成分を知っているであろう。これらのものは疎水性相互作用を介して二量体化する、ロイシンジッパーポリペプチドを含む。
【0052】
組換え法が好ましいが、EBI3およびp35成分を化学的手段により共有結合させることもできる。ポリペプチド分子を互いにコンジュゲートさせるか、または架橋するのに好適な二官能性および多官能性化学リンカー分子は当業者には周知である。
【0053】
本発明の方法および組成物中で用いられるEBI3-p35複合体および分子は、2個以上のEBI3成分および/または2個以上のp35成分を含んでもよい。特に好ましい実施形態においては、EBI3-p35は2個のEBI3成分および2個のp35成分を含む。すなわち、それはヘテロ四量体である。
【0054】
好ましくは、各EBI3およびp35成分を、少なくとも1個の他のEBI3またはp35成分に共有結合させる。より好ましくは、EBI3-p35分子中の全てのEBI3およびp35成分を互いに共有結合させる。そのような共有結合は直接的(すなわち、EBI3およびp35成分の原子間)なものであっても、間接的(例えば、化学リンカーを介する、融合タンパク質中のペプチドリンカーを介する、または1個以上のEBI3もしくはp35成分にそれ自身、共有結合された異種成分間のジスルフィド結合を介する)なものであってもよい。
【0055】
当業者であれば、EBI-p35分子の多くの可能な配置を思いつくことができるであろう。例えば、EBI3-p35分子は(少なくとも)2個のEBI3および2個のp35成分を含む単一のポリペプチド鎖であってもよい。あるいは、それは、それぞれp35およびEBI3成分(それらは、例えば、融合タンパク質の異種成分を介して、共有結合または非共有結合で一つに連結されていてもよい)を含む(少なくとも)2個の融合タンパク質を含んでもよい。実施例に記載の構築物は2個のポリペプチドを含み、そのそれぞれがp35成分、EBI3成分および抗体ヒンジ/Fc配列から構成される。この2個の鎖は抗体ヒンジ領域間で形成されるジスルフィド結合を介して共有結合で連結されている。
【0056】
異種成分を用いて、EBI3-p35に追加的な特性または改良された特性を付与することもできる。例えば、抗体Fcおよびヒンジ領域(一般的には免疫接着因子と呼ぶ)を含む融合タンパク質は、典型的にはin vivoでそのタンパク質単独よりも長い半減期を有する。かくして、実施例に記載の構築物はFc領域を欠くEBI3-p35へテロ四量体と比較して改良されたin vivoでの半減期を有しうる。そのような免疫接着因子タイプの構築物は患者に対して他のタンパク質よりも少ない投与頻度しか必要としないであろう。Fcおよびヒンジ領域はIgG分子から得られたものであるのが好ましい。
【0057】
調節性T細胞
調節性T細胞(TRまたはTreg細胞;Sakaguchi Sら、J. Immunol. 155:1151, 1995)は、主要な機能が自己反応性エフェクターT細胞の増殖および活性を下方調節することのように思われるT細胞のサブセットである。総論については、Shevach EM, Ann. Rev. Immunol. 18:423, 2000; Maloy KおよびF Powrie. Nat. Immunol. 2:816, 2001; Sakaguchi Sら、Immunol. Rev. 182:18, 2001を参照されたい。
【0058】
TR細胞は典型的にはCD4+CD25+であるが、転写因子FOXP3(Brunkow, M.E.ら(2001). Nat. Genet. 27:68-73)はCD25と比べて、コミットされたTR細胞に対するより信頼性のあるマーカーであり得る(Horiら(2003) Science. 299:1057-1061; Walkerら(2003) J. Clin. Invest. 112: 1437-1443)。かくして、用語「調節性T細胞」は、少なくともCD4およびFOXP3、および必要に応じてCD25をも発現するT細胞を意味すると解されうる。
【0059】
FOXP3中に突然変異を有し、そのためTR細胞に欠陥を有するヒトは、I型糖尿病、炎症性腸疾患および重篤なアレルギーなどの自己免疫疾患を伴うIPEX(免疫調節不全、多発性内分泌障害、腸疾患、X連鎖症候群)に罹患する。EBI3-p35の単純な投与がIPEX自体を治療するとは考えられないが、随伴病状がTreg細胞の不適当な活性または機能不全により引き起こされうることは明らかである。従って、EBI3-p35は機能的なTR細胞を産生することができる被験体における同様の症状(例えば、I型糖尿病、炎症性腸疾患および喘息などのアレルギー)の治療にとって有用であるはずである。
【0060】
TR細胞の枯渇またはTR細胞機能の障害はマウスモデルにおいて自己免疫疾患をもたらすことが示されている。試験動物において引き起こされる疾患としては、関節炎(例えば、関節リウマチ)、炎症性腸疾患、胃炎、悪性貧血、甲状腺炎、膵島炎、糖尿病、唾液腺炎、副腎炎、自己免疫性精巣炎/卵巣炎、糸球体腎炎、慢性閉塞性肺疾患および実験的自己免疫性脳炎ならびに多発性硬化症が挙げられる。
【0061】
調節性T細胞の1型応答の誘導が、マウスモデルにおいてアテローム性動脈硬化症の発症を減少させることも示されている(Mallat Z.ら、Circulation 108:1232-7, 2003)。
【0062】
TR活性は同種移植片が拒絶される早さにおいて顕著であることも示されている。TR細胞の枯渇または機能の障害は拒絶の速度を加速し、一方、TR細胞において富化された同系のリンパ球を試験動物に注入することにより移植片の生存が延長されることが示された。かくして、EBI3-p35を用いて、移植片の拒絶を治療するか、または移植片の生存を延長することもできる。
【0063】
EBI3-p35を用いる治療
上記の点で、EBI3-p35は、例えば、移植のレシピエントにおいて、罹患した被験体中の調節性T細胞数を増加させ、それによりエフェクターT細胞(例えば、ヘルパーおよび細胞傷害性T細胞)の活性を下方調節するその能力を増加させることにより、上記の病的状態の治療および移植片の生存の延長のための現実的な治療剤を提供することが分かるであろう。
【0064】
EBI3-p35タンパク質を、医薬組成物として被験体に直接的に投与することができる。
【0065】
あるいは、EBI3-p35構築物をコードする核酸を、EBI3-p35が被験体自身の細胞から発現されるように被験体に投与してもよい。典型的には、この核酸は1個以上の発現ベクターの一部であるが、裸の核酸として、またはウイルスベクターなどの送達運搬体中に入れて投与することができる。
【0066】
あるいは、天然にEBI3-p35を発現し、分泌することができるか、またはそうするように遺伝子操作された細胞を、被験体に投与してもよい。この細胞は被験体と同系であるか、または組織適合性であるのが好ましい。例えば、細胞を被験体から取り出し、1個以上の好適なベクターを用いてトランスフェクトし、および該被験体に再投与することができる。
【0067】
当業者であれば、治療的使用(ならびに本明細書に記載の他の使用)のための好適な核酸発現ベクターを設計することができるであろう。このベクターは、典型的には、投与しようとするEBI3-p35の特定の形態に応じて、プロモーター配列、ターミネーター断片、エンハンサー配列、マーカー遺伝子および他の配列などの好適な調節配列を含むであろう(上記を参照)。ベクターは宿主細胞の染色体中に組込むことが意図されていてもよいし、またはエピソームとして宿主の染色体とは独立に存在および複製してもよい。
【0068】
発現させようとするEBI3-p35が2個の別個の(すなわち、独立に転写および翻訳される)ポリペプチド鎖からなる場合、これらのポリペプチドは通常、別個の遺伝子または発現カセットによりコードされるであろう。これらの遺伝子または発現カセットは同じベクター上に、すなわち、単一の核酸分子の一部として位置していてもよいし、または別のベクター上に位置していてもよい。
【0069】
EBI3-p35をin vivoで用いて、被験体における調節性T細胞数を増加させることができる。しかしながら、EBI3-p35をin vitroまたはex vivo(例えば、細胞培養中)で用いて、調節性T細胞の集団を増殖させることもできる。
【0070】
調節性T細胞を、サンプル(例えば、血液または末梢血単核細胞のサンプル)から単離した後、EBI3-p35で処理するか(例えば、CD4+CD25+リンパ球の選択により、磁気セルソーティングもしくは他の好適な方法により)、またはリンパ球の不均一集団をEBI3-p35で処理してもよい。その後、調節性T細胞の増殖された集団を必要に応じてさらに精製することができる。
【0071】
かくして、リンパ球の集団を、調節性T細胞中で富化するか、または純度がより高いかまたはより低い調節性細胞の集団を実験室中で作製することができる。そのように得られた細胞は研究目的にとって、または被験体への投与にとって有用である。
【0072】
従って、そのような方法により実験室で得られた調節性T細胞を、好ましくはこれらの細胞と同系であるか、または組織適合性である被験体への投与のために、好適に製剤化(例えば、医薬組成物として)することができる。
【0073】
レシピエントは細胞の元の起源であったのが好ましい。従って、調節性T細胞を含む血液サンプルを被験体から取得した後、EBI3-p35で処理することにより所望の程度まで調節性T細胞を増殖させ、増殖した細胞を該被験体に再投与することができる。これは、何らかの理由で被験体に直接的にEBI3-p35タンパク質を投与することが適さない場合に有用である。
【0074】
本発明の方法による治療にとって好ましい被験体は哺乳動物である。好ましい被験体は霊長類(ヒトなど)、げっ歯類(マウスおよびラットなど)、ならびに他の一般的な実験動物、家畜および農業用動物であり、限定されるものではないが、ウサギ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギなどが挙げられる。
【0075】
医薬製剤
本発明の複合体、ポリペプチド、核酸および細胞を、医薬組成物中に製剤化することができる。これらの組成物は、上記物質の1つに加えて、製薬上許容し得る賦形剤、担体、バッファー、安定剤または当業者には周知の他の物質を含んでもよい。そのような物質は非毒性的なものであるべきであり、活性成分の効力を妨げないべきである。担体または他の物質の正確な性質は投与経路、例えば、経口、静脈内、皮膚内または皮下、鼻内、筋肉内および腹腔内経路に依存しうる。
【0076】
経口投与のための医薬組成物は錠剤、カプセル剤、粉末剤または液剤の形態であってよい。錠剤はゼラチンなどの固体担体またはアジュバントを含んでもよい。液体医薬組成物は一般的には水、石油、動物油または野菜油、鉱物油または合成油などの液体担体を含む。生理食塩水溶液、デキストロースもしくは他の糖類溶液、またはエチレングリコール、プロピレングリコールもしくはポリエチレングリコールなどのグリコールを含有させることもできる。
【0077】
静脈内、皮膚内もしくは皮下注入、または罹患部位での注入のためには、前記活性成分は、発熱物質を含まず、好適なpH、等張性および安定性を有する非経口的に許容される水性溶液の形態であってよい。当該分野の当業者であれば、例えば、塩化ナトリウム注入液、リンゲル注入液、乳酸加リンゲル注入液などの等張性ビヒクルを用いて好適な溶液を調製することが十分にできる。保存剤、安定剤、バッファー、酸化防止剤および/または他の添加剤を、必要に応じて含有させてもよい。
【0078】
個体に与えようとしている活性薬剤(例えば、本発明に係る細胞、ポリペプチド、核酸分子、他の製薬上有用な薬剤)の性質がどんなものであれ、投与は「予防上有効量」または「治療上有効量」(場合によっては、予防は治療とみなされうる)であるのが好ましく、それらは該個体に対する利益を示すのに十分な量である。投与される実際の量、ならびに投与の速度および時間経過は、治療しようとする病状の性質および重篤度に依存するであろう。治療の指示、例えば、投与上の決定などは、一般開業医および他の医師の職務の範囲内であり、典型的には治療しようとする障害、個々の患者の状態、送達部位、投与方法および医師には公知の他の因子を考慮する。上記の技術およびプロトコルの例を、Remington's Pharmaceutical Sciences、第20版、2000、Lippincott, Williams & Wilkins(発行)中に見出すことができる。
【0079】
あるいは、標的化治療を用いて、抗体または細胞特異的リガンドなどの標的化システムの使用により、特定の細胞型に対してより特異的に活性薬剤を送達することができる。標的化は様々な理由で望ましい。例えば、薬剤が許容できないほど毒性的である場合、またはさもなければ高すぎる用量が必要である場合、またはさもなければそれが標的細胞に進入することができない場合である。
【0080】
これらの薬剤を直接的に投与する代わりに、細胞中に導入されたコード遺伝子、例えば、ウイルスベクター(例えば、レトロウイルス、レンチウイルスまたはアデノウイルスベクター)中のものからの発現により、標的細胞中でこれらを産生させることができる。このベクターを、治療しようとする特定の細胞に対して標的化することができ、またはそれは標的細胞により多かれ少なかれ選択的にスイッチが入る調節エレメントを含んでもよい。
【0081】
組成物を、治療しようとする状態に応じて、単独で、または同時的もしくは連続的に他の治療と組合わせて、投与することができる。
【実施例】
【0082】
1. pSec-リンカーベクターの構築
2種の相補的オリゴを設計し、5'末端リン酸化を用いて合成した。センス: 5’-GATCC GGT GGT GGT GGT TCT GGT GGT GGT GGT TCT GGT GGT GGT GGT TCT G; アンチセンス: 5’-AATTC AGA ACC ACC ACC ACC AGA ACC ACC ACC ACC AGA ACC ACC ACC ACC G。制限酵素部位BamHIおよびEcoRIを、それぞれ5'および3'末端に導入した。オリゴをTEバッファーを用いて溶解し、120 pmol/μlに調整した。各々100μlずつを混合し、ヒートブロック中、98℃にて10分間インキュベートした後、自然に室温まで冷まして、2種のオリゴをアニーリングさせた。このdsDNA断片は以下に示される読み枠でリンカー配列をコードする。
【0083】

ベクターpSecTag2A(Invitrogen)を、BamHIおよびEcoRIで消化した後、ゲル抽出キット(QIAGEN)を用いてアガロースゲルから精製した。リンカー断片を、消化したベクターpSecTag2Aと連結した後、5μlの連結反応物を用いてDH5αコンピテント細胞を形質転換した。個々のクローンに由来する2つのプラスミドをDNA配列決定した。これらは両方とも正しい向きで1コピーのリンカー配列を含んでいた。
【0084】
2. pSec-リンカー-hIgG1Fcベクターの構築
ヒトPBMC由来のPCR増幅されたhIgG-Fc/ヒンジ断片をcDNAに逆転写した。以下のプライマー:センス: 5’-GAG CCT CGA GCC GAG CCC AAA TCT TGT GA; アンチセンス: 5’- AGA AGT CGA CTT ATT TAC CCG GGG ACA GGを用いた。精製されたPCR産物をXhoIおよびSalIで消化し、アガロースゲル中でさらに精製した。同時に、pSec-リンカーベクターを、XhoIを用いる消化により調製し、Shrimp APで脱リン酸化した後、上記のようにゲルから精製した。連結は、ヒトIgG Fc PCR断片およびpSec-リンカーベクターを用いて、15℃にて一晩にわたって為された。pSec-リンカー-hIgG1Fcベクターを形質転換されたDH5αから精製した。
【0085】
3. EBI3-p35-Fc発現プラスミドの構築
EBI3およびIL-12p35のオープンリーディングフレームの断片を、それぞれ、LPSおよびIFNγを用いて一晩刺激した後、マウス骨髄マクロファージの全RNAから、RT-PCRにより増幅した。PCR断片を、DNA配列決定のためにTAベクター(Invitrogen)中に挿入した。配列決定の結果はマウスEBI3およびIL-12p35のGenebank配列と正確に一致した。
【0086】
以下のPCRプライマーを設計して、EBI3-IL-12p35-hFcの発現ベクターを構築した:
EBI3センス: 5’-CCCCGGATCCCACTGAAACAGCTCTCGTGGCTCT
EBI3アンチセンス:5’-CGGGATCCCTTATGGGGTGCACTTTCTACTTGCC
IL-12p35センス: 5’-GGCCGAATTCATTCCAGTCTCTGGACCTGCCA
IL-12p35アンチセンス: 5’-GGCGGCGGCCGCATAGCCCATCACCCTGTTGA。
【0087】
EBI3およびIL-12p35タンパク質をコードするPCR断片を、EBI3およびp35のcDNAのTAベクタークローンから、上記のプライマーおよびpfu DNAポリメラーゼを用いて増幅した。EBI3 PCR断片をBamHIで消化し、以下に示されるpSec-リンカー-hIgG1FcベクターのBamHI部位に挿入した。
【0088】

【0089】
挿入物の向きを、EcoRV消化により確認した。このベクターをpEBI3-L-Fcと命名した。pEBI3-L-FcをEcoRIおよびNotIを用いて開裂した後、ゲル精製した。mIL-12p35 PCR断片もEcoRIおよびNotIで消化し、pEBI3-L-Fcベクター中に挿入してpEBI3-L-p35-Fc(下記)を作製した。
【0090】

【0091】
EBI3-p35-Fc融合タンパク質の完全長アミノ酸配列を図7に示す。
【0092】
4. 哺乳動物細胞におけるEBI3-p35-Fcの発現
Cos-7細胞に発現ベクターEBI3-p35-Fcをトランスフェクトし、産生されたタンパク質を48時間後にhIgG ELISAにより検出した。発現されたタンパク質をプロテインAアガロースビーズを用いて沈降させた後、抗ヒトIgG1抗体を用いてウェスタンブロッティングを行った。予想される分子量(78 kDa)のタンパク質のバンドを図1に示す。図1には融合タンパク質の模式図をも示す。
【0093】
CHO細胞にベクターEBI3-p25-Fcをトランスフェクトし、ゼオシン耐性細胞を2週間後に選択した。20個のクローンを増殖のために拾った。組換えタンパク質の発現レベルが最も高い3個のクローンをさらなる使用のために保持した。
【0094】
5. アフィニティーカラムによるEBI3-p35-Fcの精製
発現の高いその細胞系のうちの一方をを、10%超低IgGウシ胎児血清(GIBCO) DMEM培地を用いて増殖させた。9日後に1リットルの培地を収集た。培養上清を5000 rpmで30分間遠心分離して細胞破片を除去した後、4℃にて一晩、タンパク質アガロースカラム上に負荷した。流速を1 ml/分未満に維持して、融合タンパク質をプロテインAビーズに結合させた。カラム中のビーズを、流出液のOD280が0.01以下になるまで室温でPBSを用いて洗浄した。結合したタンパク質を溶出バッファー(0.1Mグリシン、pH3.0)を用いて溶出させた。15 x 1 mlの画分を回収し、すぐに50μlの2M Tris-HCl、pH8.0を用いて中和した。各画分のタンパク質濃度をクマシータンパク質アッセイを用いて測定した。より高い濃度のタンパク質を含むこれらの画分をプールした。タンパク質の純度をSDS-PAGEを用いて調べた(図2)。
【0095】
6. in vitroにおけるEBI3-p35-Fcの機能的分析
本発明者らはまず、EBI3-p35-Fcがin vitroでT細胞の増殖を誘導する能力を調べた。
【0096】
T細胞を、磁気付着セルソーティング(MACS)により正常なBALB/cマウスの脾臓およびリンパ節から精製した。次いで、これらをさらにCD4+、CD8+、CD4+CD25-およびCD4+CD25+サブセットに選別した。細胞の純度は、フローサイトメトリーにより通常95%を超えることが示された(データは示さない)。全CD4+ T細胞およびCD4+CD25- T細胞を、段階的濃度のEBI3-p35-Fcの存在下、培養培地中、プレートに結合させた抗CD3抗体(1μg/ml)と共に72時間培養した。T細胞の両方のサブセットはEBI3-p35-Fcの添加なしに増殖したが、EBI3-p35-Fcは用量依存的な様式でこれらの細胞のさらなる増殖を誘導した(例えば、図3を参照)。CD4+CD25+ T細胞は調節性T(Treg)細胞として知られている(Sakaguchi Sら、J. Immunol. 155: 1151, 1995)。これらの主要な機能はCD4+CD25- T細胞、およびCD8+ T細胞などのエフェクター細胞の増殖を下方調節することであり、その過剰な活性化は様々な自己免疫疾患をもたらし得る(Shevach EM Ann. Rev. Immunol. 18:423, 2000; Maloy KおよびF. Powrie F. Nat. Immunol. 2:816, 2001)。CD4+CD25+ T細胞は天然のものであり、in vitroで増殖させるのは困難であることは周知である。図4は、CD4+CD25+ T細胞が用量依存的な様式で、EBI3-p35-Fcの存在下で増殖したことを示している。これらのTreg細胞は、1:10の比でCD4+CD25+ Tエフェクター細胞の増殖を抑制することができる強力な調節因子である。従って、本発明者らは、in vivoでのEBI3-p35-Fcの機能がTreg細胞の増殖であって、従ってCD4+CD25- T細胞などのエフェクターT細胞の過剰増殖を防止するのかどうかに興味を抱いた。
【0097】
CD4+CD25+およびCD4+CD25- T細胞を上記のようにBALB/cマウスから精製した後、EBI3-p35-Fcの存在下、プレートに結合させた抗CD3抗体と共に3日間培養した。細胞を収集し、洗浄し、そして可溶性抗CD3および抗原提示細胞と共に培養して、CD4+CD25+ Treg細胞の抑制活性を試験した。増殖したT細胞の2つのサブセットを単独で、または組合わせて(1:1の比で)培養した。図5はCD4+CD25- T細胞単独でこれらの条件下で有意に増殖したが、CD4+CD25+ T細胞は増殖しなかったことを示している。興味深いことに、増殖したCD4+CD25+ Treg細胞はCD4+CD25-エフェクター細胞の増殖を抑制した。サイトカイン(IL-2およびIFNγ)産生の同様の抑制も観察された(データは示さない)。これらのデータは、EBI3-p35-Fcが、in vivoでCD4+CD25+ Treg細胞を増殖させることにより、自己免疫疾患の治療における治療的潜在能力を有することを示唆している。
【0098】
7. in vivoでのEBI3-p35-Fcの効果
本発明者らは、確立されたプロトコル(Leung BPら、J. Immunol. 170:1524, 2003)を用いて、マウスにおいてコラーゲン誘導性関節炎(CIA)モデルにおけるEBI3-p35-Fcの効果を試験した。CIAは世界中のヒト集団の最大1%が苦しんでいる疾患である関節リウマチの代替物として一般的に認められている。このモデルでは、DBA/lマウスを、フロイント完全アジュバント中のウシII型コラーゲン(CII)(200μg)を用いて皮下的に免疫し、そしてリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中のCII(200μg)を用いて21日目に腹腔内へと追加免疫した。マウスに、関節炎の症状が始まった24日から、毎日PBSまたはEBI3-p35-Fc(2μg/マウス)を腹腔内に注入した。マウスを関節炎の兆候について毎日モニターし、それに対する重篤度のスコアを以下の通りに導いた:0=正常、1=紅斑、2=紅斑+腫れ、3=進展/機能の喪失、および総スコア=四肢の合計。足の厚みをダイアル式ノギス(Kroeplin、Munich、Germany)で測定した。図6は、PBSで処理した対照マウスは予想される疾患(付随スコアおよび臨床スコア)を発症したが、EBI3-p35-Fcで処理したマウスは最小限の疾患症状しか示さなかったことを示している。対照マウスは無気力になり、有意な体重の減少を示したが、処理したマウスは健康なままであり、正常な体重の増加を示す。従って、これらの結果は炎症性疾患および/または自己免疫疾患におけるEBI3-p35-Fcの治療的潜在能力を明確に示している。
【0099】
本発明者らは次に、確立された関節炎を軽減するEBI3-p35-Fcの能力を試験し、この効果と、臨床的(組換えTNF-Rα(Enbrel))および実験的(sIL-15Rα)関節炎に対して有益であることが知られている試薬の効果とを比較した。DBA/lマウスを上記のようにFCA中のII型コラーゲンを用いて初回免疫および追加免疫した。次いで、マウスを、27-36日目から、EBI3-p35-Fc、Enbrel、この2つの試薬の組合せ、またはsIL-15Rを2μg用いてipで処理した。図8に示されるように、EBI3-p35-Fcは、疾患が既に確立されている実験の27日目に腹腔内注入した場合、進行中のCIAを軽減するのに有効である。さらに、EBI3-p35-FcはCIAの治療においてsIL-15RαまたはEnbrelと同じぐらい有効である。
【0100】
8. 他の疾患におけるEBI3-p35-Fcの潜在的な治療的役割
CD4+CD25+ Treg細胞は広範囲の抑制活性を有する。実験的マウスモデルにおいては、これらのTreg細胞はCIA、喘息、胃炎、炎症性腸疾患および同種移植拒絶を抑制することが示された(Sakaguchi Sら、Immunol. Rev.182:18, 2001; Shevach EM Ann. Rev. Immunol. 18:423, 2000)。EBI3-p35-Fcがin vitroでCD4+CD25+ Treg細胞を強力に増殖させるという本発明者らの発見およびそれらのCIAにおいて立証された治療効果に基づけば、この融合分子および他のEBI3-p35複合体および本明細書に記載の構築物はこれらの病的状態の全てに対して治療的役割を有すると考えられる。
【0101】
これを確認するために、本発明者らは喘息のマウスモデルにおいてEBI3-p35-Fcを試験した。BALB/cマウスに、0および14日目に、明礬懸濁液中の100μgのニワトリオボアルブミン(OVA)を腹腔内注入した。14日目に、マウスをアベルチンで麻酔し、100μgのOVAを含む40μlのPBSを気管内(i.t.)投与した。マウスを再度麻酔した後、10μgのOVAを含む40μlのPBSを、25、26、および27日目にそれぞれi.t.でチャレンジした。EBI3-p35処理のために、マウスに3回(25、26および27日目)、2μgのEBI3-p35-Fcを腹腔内注入し、1時間後にOVAでチャレンジした。陰性対照マウスには、感作段階およびチャレンジ段階の両方においてOVAの代わりにPBSを与えた。マウスを、致死量のアベルチンの投与により29日目に犠牲にした。アベルチンの投与の直後、血液サンプルを心臓穿刺により回収した。次いで、気管支肺胞洗浄(BAL)を収集し、血球計測器を用いて計数した。総細胞数を図9(A)に示す。サイトスピン調製物を作製し、迅速なRomanowsky染色法においてDiff-Quickを用いて染色した。標準的な形態学的基準を用いて差時的細胞計測を行って、好酸球のレベルを決定した。BAL上清中のオボアルブミン特異的IgEおよびIL-4の濃度を、特異的ELISAにより決定した。
【0102】
図9は、EBI3-p35-Fcで処理したマウスが、総BAL細胞浸潤物の顕著な減少、ならびに好酸球(データは示さない)、血清OVA特異的IgE、および総IL-4のBAL液における重大かつ大幅な減少をもたらしたことを示す。これらは全て、気道過敏の特徴である。これらの結果は、EBI3-p35が、確立された喘息を軽減するのに有効であることを証明している。
【0103】
9. ヒトEBI3-p35の産生および特性評価
またヒトEBI3-p35は、今や、Fcとの融合タンパク質としてクローニングされた。in vitroにおけるその活性を、ヒト末梢血T細胞を用いて試験した。ヒトEBI3-p35-Fcタンパク質は、上記の第6章に記載され図2〜5に示されたマウスEBI3-p35-Fcの全ての特性と重なる(データは示さない)。
【0104】
本発明を上記の例示的な実施形態と関連して説明してきたが、多くの等価な改変および変更が、本開示を与えられた場合、当業者には明らかであろう。従って、記載された本発明の例示的な実施形態は例示的なものであり、限定的なものではないと考えられる。記載の実施形態に対する様々な変更を、本発明の精神および範囲を逸脱することなく行うことができる。本明細書に引用される全ての参考文献は明白に参照により本明細書に組み入れられるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】(A)抗ヒトFc抗体を用いるEBI3-p35-Fcのウェスタンブロット分析を示す。明確なバンドがMW 78 kDaに検出された。(B)融合タンパク質EBI3-p35-Fcの模式図を示す。このタンパク質はFc/ヒンジ領域でジスルフィド結合を介してホモ二量体を形成するようである。
【図2】精製されたEBI-p35-Fcのクマシーブルー染色を示す。78 kDaでの1個のバンドが全てのレーンに示されている(1μg/レーンで開始するタンパク質の2倍希釈)。
【図3】in vitroでのCD4+およびCD4+CD25+ T細胞の増殖に対するEBI3-p35-Fcの効果を示す。細胞をBALC/cマウスから精製し、プレートに結合させた抗CD3抗体および段階的濃度の融合タンパク質と共に培養した。細胞増殖を、72時間での3H-チミジン取込みにより決定し、1分あたりの計数として表した。
【図4】CD4+CD25+ Treg細胞の増殖に対するEBI3-p35-Fcの効果を示す。CD4+CD25+ T細胞をBALB/cマウスから精製し、IL-2の存在下で、プレートに結合させた抗CD28および抗CD3と共に培養した。EBI3-p35-Fcを変化する濃度で添加し、増殖を3H-チミジン取込みにより測定した。
【図5】EBI3-p35-Fcにより増殖されたCD4+CD25+ Treg細胞がCD4+CD25- T細胞に対する抑制機能を保持することを示す。細胞をBALC/cのリンパ節から精製し、プレートに結合させた抗CD3抗体と共に3日間培養した。細胞を洗浄した後、可溶性抗CD3抗体およびマイトマイシンC処理した抗原提示細胞の存在下、さらに3日間、単独で、または1:1の比で培養した。細胞増殖を、3H-チミジン取込みにより決定し、cpm、n=6として表した。
【図6】マウスのコラーゲン誘導性関節炎におけるEBI3-p35-Fcの治療効果を示す。10匹のオスDBA/lマウス(6〜8週齢)の群を、フロイント完全アジュバント中の200μgのウシII型コラーゲン(CII)を用いて皮下的に免疫し、21日後に200μgのCIIを含むPBSを用いて腹腔内(i.p.)へと追加免疫した。そのマウスを、24日目〜30日目から2μgのEBI3-p35-FcまたはPBSを用いて毎日、i.p.により処理した。マウスを疾患症状について毎日モニターした。垂直のバーは平均±SEMを表す。
【図7】実施例に記載のEBI3-p35-Fc融合タンパク質の完全アミノ酸配列(シグナルペプチドを含む)を示す。
【図8】EBI3-p35-Fcが、確立された関節炎を軽減することができることを示す。DBA/lマウスを、上記の図6に関して記載されたようにFCA中のII型コラーゲンを用いて初回免疫および追加免疫した。次いで、マウスを、27〜36日目から、2μgのEBI3-p35-Fc、Enbrel、EBI3-p35-Fc+EnbrelまたはsIL-15Rを用いて毎日腹腔内処理した。対照マウスにはPBSのみを与えた。
【図9】喘息のマウスモデルに対するEBI3-p35-Fcの効果を示す。BALB/cマウスに、0日目および14日目に明礬懸濁液中の100μgのニワトリオボアルブミン(OVA)を腹腔内注入した。14日目に、マウスをアベルチンで麻酔し、100μgのOVAを含む40μlのPBSを気管内(i.t.)投与した。マウスを再び麻酔した後、10μgのOVAを含む40μlのPBSを用いて、25、26、および27日目にそれぞれi.t.によりチャレンジした。EBI3-p35処理のために、マウスに、OVAチャレンジの1時間前に、3回(25、26および27日目)、2μgのEBI3-p35を腹腔内注入した。陰性対照マウスには、感作段階およびチャレンジ段階の両方でOVAの代わりにPBSを与えた。マウスを致死量のアベルチンの投与により29日目に犠牲にした。アベルチンの投与直後、血液サンプルを心臓穿刺により回収した。次いで、気管支肺胞洗浄(BAL)を収集し、血球計測器を用いて計数した。総細胞数をパネル(A)に示す。特異的ELISAアッセイを用いて、BAL上清中のオボアルブミン特異的IgE(パネル(B))およびIL-4(パネル(C))の濃度を決定した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
調節性T細胞を、EBI3-p35と接触させることを含む、該細胞の増殖を刺激する方法。
【請求項2】
EBI3-p35が少なくとも2個のEBI3成分および2個のp35成分を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
EBI3-p35が各成分2個ずつからなるヘテロ四量体である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1個のEBI3成分および少なくとも1個のp35成分が互いに共有結合している、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1個のEBI3成分および少なくとも1個のp35成分が融合タンパク質を形成している、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
各EBI3またはp35成分が少なくとも1個の他のそのれら成分に共有結合している、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
EBI3-p35が、1個以上のEBI3成分またはp35成分に共有結合した1個以上の異種ポリペプチドをさらに含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
2個以上の前記異種ポリペプチドが互いに結合して、EBI3成分とp35成分の間の結合を助ける、に記載の方法。
【請求項9】
異種ポリペプチドがジスルフィド結合を介して互いに結合する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
異種ポリペプチドがヒンジ領域を含む抗体Fc領域である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
調節性T細胞を、細胞のT細胞受容体を介したシグナル伝達を刺激することができる物質と接触させることをさらに含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
被験体にEBI3-p35を投与することを含む、該被験体における調節性T細胞活性を増強する方法。
【請求項13】
医学的治療方法における使用のためのEBI3-p35。
【請求項14】
被験体における調節性T細胞活性を増強するための薬剤の製造におけるEBI3-p35の使用。
【請求項15】
前記薬剤が不適当な、または望ましくないT細胞活性化を特徴とする状態の治療のためのものである、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
前記状態が炎症性疾患または自己免疫疾患である、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
前記状態が関節炎(例えば、関節リウマチ)、胃炎、悪性貧血、甲状腺炎、膵島炎、糖尿病、唾液腺炎、副腎炎、精巣炎/卵巣炎、糸球体腎炎、実験的自己免疫性脳炎、多発性硬化症、慢性閉塞性肺疾患、アテローム性動脈硬化症または炎症性腸疾患である、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
前記薬剤が同種移植拒絶の防止または軽減のためのものである、請求項15に記載の使用。
【請求項19】
前記状態がアレルギーである、請求項15に記載の使用。
【請求項20】
前記状態が喘息である、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
EBI3成分、p35成分、および異種成分を含むEBI3-p35分子であって、2個以上のそのEBI3-p35分子が複合体を形成するように、2個以上のその異種成分が互いに結合することができる、前記分子。
【請求項22】
EBI3、p35および異種成分が融合タンパク質を形成する、請求項21に記載の分子。
【請求項23】
異種成分がジスルフィド結合の形成により互いに結合することができる、請求項21または22に記載の分子。
【請求項24】
異種成分がヒンジ領域を含む抗体Fcドメインである、請求項21〜23のいずれか1項に記載の分子。
【請求項25】
2個のEBI3成分および2個のp35成分を含む、EBI3-p35。
【請求項26】
EBI3およびp35成分の各々が、少なくとも1個の他のそれら成分に共有結合している、請求項25に記載のEBI3-p35。
【請求項27】
1個以上の異種成分をさらに含む、請求項25または26に記載のEBI3-p35。
【請求項28】
それぞれ少なくとも1個のEBI3、p35および異種成分が融合タンパク質を形成する、請求項27に記載のEBI3-p35。
【請求項29】
請求項22または28に記載の融合タンパク質をコードする核酸。
【請求項30】
請求項29に記載の核酸を含む発現ベクター。
【請求項31】
請求項30に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2008−500812(P2008−500812A)
【公表日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−503416(P2007−503416)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【国際出願番号】PCT/GB2005/001037
【国際公開番号】WO2005/090400
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(500214624)ザ ユニバーシティー コート オブ ザ ユニバーシティー オブ グラスゴウ (2)
【Fターム(参考)】