説明

入力装置及び車両機器

【課題】簡単な構造で、操作の感触を感じさせることにより確実な操作を可能にする入力装置及び車両機器を提供する。
【解決手段】透明の樹脂シート2を液晶ディスプレイ1の液晶パネル1a上に設ける。表面が押圧される表面より液晶ディスプレイ1側を通過し、表面と平行な方向の光を発光部3から発し、その発せられた光を受光部4により受ける。樹脂シート2は、押圧されたときに、撓んだ部分が、発光部3から発せられた光が通過する光路と交差するように、可撓性を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の処理を実行させるための入力装置及びそれを備えた車両機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車載機器が増加する傾向にあり、それに伴い車室内の操作設備が複雑化している。操作スイッチが増加することで操作性が悪化し、また操作スイッチ等の設置スペースを必要とする。このため、タッチパネルを用いて車載機器を操作する車両が増加している。例えば特許文献1には、空調機器の作動状態を表示する表示領域に、各作動状態を操作するタッチパネルが重ね合わされた表示装置が開示されている。この特許文献1により、空調機器の操作装置の設置スペースの軽減が可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−291883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のタッチパネルでは、ユーザーに操作時の感触を与えることができず、ユーザーは、表示されたボタンを押した際に、確実にボタンの押圧操作ができたか否かの判断が難しい。また、タッチパネルは、ガラス又は樹脂の基板を複数に重ねる構造としてあるため、構造が複雑化すると共にコストが増大するといった問題もあった。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡単な構造で、操作の感触を感じさせることにより確実な操作を可能にする入力装置及び車両機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る入力装置は、表示装置の表示画面上に設けられた可撓性の透光板への押圧を検知して、所定の信号を出力する入力装置において、前記透光板の押圧される側の表面より前記表示画面側を通過し、板状面と平行な方向の光を発する発光手段と、該発光手段から発せられた光を受ける受光手段とを備えていることを特徴とする。
【0007】
本発明では、透光板より表示画面側を通過し、板状面と平行な方向の光を発することで、可撓性を有する透光板が表示画面側に押圧された場合、透光板の撓んだ部分と光とが交差するようになる。このため、発光手段が発した光は、撓んだ部分により散乱するため、受光手段が受ける光の受光量は、透光板が押圧されていない場合との対比において小さくなる。従って、受光量の大小を検知することで、透光板への押圧を検知することができる。このように、可撓性のある透光板と、一般的な光学式の検知手段とを用いた簡単な入力装置を実現することができる。また、透光板が可撓性を有することで、ユーザーに透光板の押圧感を与えることができるため、入力操作を行ったことをユーザーに確実に把握させることができる。その結果、同じ入力操作を複数回行うことによる操作ミスを防ぐことができる。
【0008】
本発明に係る入力装置は、前記発光手段及び受光手段は、前記発光手段から前記受光手段に発せられた光が通過する光路を、前記透光板の内部に設定してあることを特徴とする。
【0009】
本発明では、透光板の内部に、光が通過する光路を設定するため、透光板と、発光手段及び受光手段とを略同じ一列に配置することができる。これにより、入力装置が、表示画面方向の厚みが大きくなることを抑制することができる。
【0010】
本発明に係る入力装置は、前記透光板は、前記表示画面との間に空隙を設けられており、前記発光手段及び受光手段は、前記発光手段から前記受光手段に発された光が通過する光路を、前記空隙に設定してあることを特徴とする。
【0011】
本発明では、光が通過する光路を透光板の外側に設定することで、透光板を薄くすることができる。これにより、透光板のコストを抑制することができ、また、入力装置が、表示画面方向の厚みが大きくなることを抑制することができる。
【0012】
本発明に係る入力装置は、前記発光手段は、一方向に光を発する複数の第1発光手段と、前記一方向に直交する方向に光を発する複数の第2発光手段とを有しており、前記受光手段は、複数の前記第1発光手段が発した光それぞれを受ける複数の第1受光手段と、複数の前記第2発光手段が発した光それぞれを受ける複数の第2受光手段とを有していることを特徴とする。
【0013】
本発明では、透光板に沿って格子状に光を発することで、透光板への押圧位置を検知することができる。これにより、押圧された位置に応じて実行させる処理を割り当てることができ、入力装置により操作する機器が増加しても、操作スイッチ等の数の増加を抑制することができる。
【0014】
本発明に係る入力装置は、前記受光手段は、一次元イメージセンサであることを特徴とする。
【0015】
本発明では、一般的な一次元イメージセンサを用いることで、光の強弱を検知することができるため、より確実に透光板への押圧を検知することができる。
【0016】
本発明に係る入力装置は、前記発光手段は、発光素子と、前記発光素子が発した光を導光する光ファイバとを有しており、該光ファイバにより導光された光を発するようにしてあることを特徴とする。
【0017】
本発明では、光ファイバを用いることで、発光素子を表示装置と離れた位置に設けることが可能となるため、設計の自由度を向上させることができる。
【0018】
本発明に係る入力装置は、前記受光手段は、受光素子と、前記発光手段から発せられた光を前記受光素子に導光する光ファイバとを有していることを特徴とする。
【0019】
本発明では、光ファイバを用いることで、受光素子を表示装置と離れた位置に設けることが可能となるため、設計の自由度を向上させることができる。
【0020】
本発明に係る入力装置は、車両に搭載されており、さらに、前記受光手段による受光に基づいて、前記車両に搭載された機器の動作を制御する制御手段を備えることを特徴とする。
【0021】
本発明では、車両に搭載された機器を確実に操作することができるため、機器操作に伴う事故を防ぐことができる。
【0022】
本発明に係る車両機器は、本発明に係る入力装置を備えた車両機器であって、前記表示手段の表示内容を切り替える表示制御手段と、前記表示手段の表示内容に応じて、前記入力装置による前記機器の動作の制御を停止させる停止手段とを備えることを特徴とする。
【0023】
本発明では、必要に応じて表示手段の表示内容を切り替えることで、入力装置の使用及び未使用を切り替えることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、透光板より表示画面側を通過し、板状面と平行な光を発することで、可撓性を有する透光板が表示画面側に押圧された場合、透光板の撓んだ部分と光とが交差するようになる。このため、発光手段が発した光は、撓んだ部分により散乱するため、受光手段が受ける光の受光量は、透光板が押圧されていない場合との対比において小さくなる。従って、受光量の大小を検知することで、透光板への押圧を検知することができる。このように、可撓性のある透光板と、一般的な光学式の検知手段とを用いた簡単な入力装置を実現することができる。また、透光板が可撓性を有することで、ユーザーに透光板の押圧感を与えることができるため、入力操作を行ったことをユーザーに確実に把握させることができる。その結果、同じ入力操作を複数回行うことによる操作ミスを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る入力装置を備えた車両機器の概略図である。
【図2】(a)は、車両機器の一部を模式的に示す正面図であり、(b)はI−I線における断面図である。
【図3】樹脂シートへの押圧を検知する方法を説明するための図である。
【図4】樹脂シートの押圧位置の検知方法を説明するための図である。
【図5】車両機器の電気的構成を模式的に示すブロック図である。
【図6】車両機器が行う処理を示すフローチャートである。
【図7】実施形態2に係る車両機器の一部を模式的に示す図である。
【図8】樹脂シートへの押圧を検知する方法を説明するための図である。
【図9】樹脂シートへの押圧を検知する別の方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(実施形態1)
以下、本発明に係る入力装置及びそれを備えた車両機器の実施形態1について図面を参照して説明する。
【0027】
図1は、本発明に係る入力装置を備えた車両機器の概略図である。本実施形態に係る車両機器は、車両内の空調を調節する空調機器(図示せず)と接続されており、車両機器から空調機器を操作できるようになっている。
【0028】
車両機器は、車両インパネ中央部付近に設置された液晶ディスプレイ1と、液晶ディスプレイ1の前面に重合された透明の樹脂シート2とを備えている。液晶ディスプレイ1には、図1(a)に示すように、空調機器の操作画面が表示される。操作画面は、温度及び風向など、空調に関する情報、及び複数のボタン画像11を含んでいる。樹脂シート2は、透明であるため、ユーザーは、樹脂シート2を介して、液晶ディスプレイ1に表示された操作画面を視認可能となっている。後に詳述するが、ボタン画像11に重合する部分の樹脂シート2が押圧されることで、ボタン画像11に対応する処理、例えば温度又は風量の調節が行われる。
【0029】
液晶ディスプレイ1の近傍(図中では下方)には、空調機器を操作するためのプッシュスイッチ51,52及びダイヤルスイッチ53などが設けられている。ユーザーは、これらスイッチ51,52,53によっても、空調機器の温度又は風量などを調節できるようになっている。
【0030】
液晶ディスプレイ1には空調機器の操作画面以外の画像も表示される。本実施形態では、空調機器は、図示しない車載カメラが接続されており、液晶ディスプレイ1には、図1(b)に示すように、車載カメラにより撮像された車両の周辺画像(例えば、車両後方の画像)が表示される。操作画面と周辺画像との表示の切り替えは、手動で行ってもよいし、自動で行ってもよい。自動で切り替える場合、例えば車両機器は、ギアレンジの位置を取得し、ギアがRレンジ以外のときに操作画面を表示し、Rレンジとなったときに操作画面から周辺画像へと切り替えるようにすることができる。
【0031】
図2(a)は、車両機器の一部を模式的に示す正面図であり、(b)はI−I線における断面図である。車両機器は、液晶ディスプレイ1、樹脂シート2、発光部3及び受光部4などを備えている。
【0032】
液晶ディスプレイ1は、上述したように空調機器を操作する操作画面などを表示する。液晶ディスプレイ1は、長方形状の液晶パネル1a、及び液晶パネル1aの背面側に配置されたバックライト1bなどを備えている。液晶パネル1aは、バックライト1b等の光源により発せられた光を遮断又は透過させることにより画像を表示する。
【0033】
樹脂シート2は、液晶パネル1aと略同形状であって、液晶パネル1aの前方に設けられている。樹脂シート2は、可撓性を有しており、外部から押圧された場合に押圧された部分が液晶パネル1a側に凹み(撓み)、押圧力がなくなったときに元に戻るようになっている。このように、樹脂シート2が可撓性を有することで、ユーザーが樹脂シート2を押圧して空調機器の操作を行った際に、ユーザーに押圧感を与えることができる。
【0034】
発光部3は、樹脂シート2の一側面から対向する側面に向かって、樹脂シート2の表面と平行な光を発光する赤外発光ダイオードである。発光部3は、樹脂シート2の一の長辺に沿って等間隔に4つ配置されており、また、一の短辺に沿って等間隔に3つ配置されている。
【0035】
受光部4は、発光部3が発した光を受ける赤外受光素子である。受光部4は、発光部3と対向するように設けられている。具体的には、発光部3が配置された樹脂シート2の一の長辺と対向する他の長辺に沿って、4つの受光部4が配置されている。また、発光部3が配置された樹脂シート2の一の短辺と対向する他の短辺に沿って、3つの受光部4が配置されている。
【0036】
発光部3及び受光部4は、光が通過する光路を樹脂シート2の内部に設定するように樹脂シート2に対して設置してある。また、樹脂シート2は、少なくとも押圧された部分が、光路と交差することができるよう生成されている。これによって、発光部3及び受光部4は、樹脂シート2が押圧されたことを検知する検知手段として機能する。なお、樹脂シート2への押圧力と、押圧力に対する撓み量との関係は、特に限定されることはなく、適宜変更可能である。
【0037】
以下、樹脂シート2への押圧を検知する方法について説明する。
【0038】
図3は、樹脂シート2への押圧を検知する方法を説明するための図であり、(a)は樹脂シート2を押圧していない場合、(b)は押圧した場合の光の状態を示している。
【0039】
図3(a)に示すように、樹脂シート2が押圧されていない場合、受光部4は、発光部3から発せられた光をそのまま受けることができる。一方、樹脂シート2が押圧された場合、図3(b)に示すように、押圧された部分が凹み、光路と交差するため、発光部3から発光された光は、樹脂シート2の凹んだ部分により散乱する。この結果、受光部4の受光量は、樹脂シート2が押圧されていない場合との対比において小さくなる。従って、受光部4により検知した受光量が閾値以上である場合は、押圧を検知し、閾値未満である場合は、押圧を検知しない。閾値は、樹脂シート2の透過率などにより決定される。
【0040】
次に、押圧された樹脂シート2の位置を検知する方法について説明する。
【0041】
図4は、樹脂シート2の押圧位置の検知方法を説明するための図であり、(a)は樹脂シート2に配された光路を表示した図であり、(b)は受光量の検知結果をテーブル化した図である。
【0042】
図に示すように、樹脂シート2の長辺に沿って配置された受光部4を、X1,X2,X3,X4とし、短辺に沿って配置された受光部4を、Y1,Y2,Y3とする。また、受光部4により検知した受光量が、閾値以上である場合、受光量は「Hi」とし、閾値未満である場合、受光量は「Lo」とする。このとき、例えば受光部X2及び受光部Y3が受ける光が通過する光路が交差する部分(図中斜線部)が押圧された場合、受光部X2及び受光部Y3が検知した受光量は「Lo」となり、他の受光部が検知した受光量は「Hi」となる。これにより、前記部分が押圧されたことを検知することができる。
【0043】
なお、上述した図1のボタン画像11は、2つの光路が交差する部分に重合するように表示される。これにより、樹脂シート2の押圧を検知することで、押圧された位置と重合するボタン画像11が押圧されたと判定することができる。
【0044】
図5は、車両機器の電気的構成を模式的に示すブロック図である。車両機器20は、液晶ディスプレイ1、発光部3、受光部4、操作部5、表示制御部6、発光制御部7、操作入力部8、通信部9及び制御部10などを備えている。
【0045】
操作部5は、図1で説明した、スイッチ51,52,53である。表示制御部6は、液晶ディスプレイ1の表示制御を行う。発光制御部7は、発光部3の発光制御を行う。操作入力部8は、受光部4が受けた光、及び操作部5から入力された信号を受け付ける。
【0046】
通信部9は、車載LAN(Local Area Network)などを介して、空調機器21、車載カメラ22及び他のECU(Electronic Control Unit)23などとのデータ通信を可能にする。車両機器20は、空調機器21から風量、温度及び風向等の情報を取得する。車載カメラ22は、例えば車両後方に設置され、車両機器20は、車載カメラ22が撮像した車両後方の画像を取得する。ECU23は、車内の至る所に配置されたボディー系ECUであり、車両機器20は、ECU23から、例えばギアレンジなどの車両情報を取得する。
【0047】
制御部10は、例えばCPU(Central Processing Unit)又はECUなどである。制御部10は、空調機器21などとデータの入出力を行い、空調機器21などから取得したデータ及び操作入力部8が受け付けた信号に基づいて、車両機器20の全体の動作制御を行う。
【0048】
次に、上述のように構成された車両機器20の動作について説明する。
【0049】
図6は、車両機器20が行う処理を示すフローチャートである。制御部10は、例えばイグニッションスイッチがオンとなった場合に動作を開始し、まず初期化を行う(S1)。初期化では、RAM(Random Access Memory)などに記憶されたデータの消去、液晶ディスプレイ1に初期画面を表示する処理などが行われる。次に、制御部10は、ECU23から取得したギアレンジの位置がRレンジであるか否かを判定する(S2)。Rレンジである場合(S2:YES)、制御部10は、S11以降の処理を実行する。Rレンジでない場合(S2:NO)、制御部10は、図1(a)に示すように空調機器21の操作画面を表示する(S3)。そして、制御部10は、発光部3からの発光を開始する(S4)。
【0050】
制御部10は、受光部4により検出した受光量が変化したか否かを判定する(S5)。受光量が変化していない場合(S5:NO)、制御部10は、樹脂シート2への押圧はないものと判定し、S8以降の処理を実行する。受光量が変化した場合(S5:YES)、制御部10は、押圧位置を検出する(S6)。具体的には、樹脂シート2が押圧された場合、発光部3から発せられた光が、押圧された部分により散乱するため、受光部4により検知した受光量は小さくなる。そして、図4で説明したように、制御部10は、受光量が小さくなった2つの受光部4を検出し、検出した受光部4に対応する光路の交差部分を、押圧位置と判定する。
【0051】
次に、制御部10は、検出した押圧位置に対応する処理を実行し(S7)、処理を終了するか否かを判定する(S8)。処理を終了する条件は、例えばイグニッションスイッチがオフとなった場合などである。処理を終了する場合(S8:YES)、制御部10は、本処理を終了する。処理を終了しない場合(S8:NO)、制御部10は、再びギアレンジの位置がRレンジであるか否かを判定する(S9)。Rレンジでない場合(S9:NO)、制御部10は、S5以降の処理を実行する。Rレンジである場合(S9:YES)、制御部10は、発光部3の発光を停止する(S10)。これにより、樹脂シート2を押圧して、空調機器21の操作の受け付けを停止することができる。なお、制御部10は、カメラ画像を表示する場合、発光部3の発光を停止せずに、樹脂シート2の押圧を検知しても、処理を無効とするようにして、空調機器21の操作を受け付けないようにしてもよい。その後、制御部10は、S11以降の処理を実行する。
【0052】
S11において、制御部10は、車載カメラ22から取得したカメラ画像を液晶ディスプレイ1に表示する。次に、処理を終了するか否かを判定する(S12)。処理を終了する場合(S12:YES)、制御部10は、本処理を終了する。処理を終了しない場合(S12:NO)、制御部10は、再びギアレンジの位置がRレンジであるか否かを判定する(S13)。Rレンジでない場合(S13:NO)、制御部10は、S3以降の処理を実行する。Rレンジである場合(S13:YES)、制御部10は、S11以降の処理を実行する。
【0053】
以上説明したように、本実施形態では、樹脂シート2の内部に光が通過する光路を設定しており、樹脂シート2が押圧された場合、樹脂シート2の撓んだ部分と光路とが交差するようになる。このため、発光部3が発した光は、撓んだ部分により散乱するため、受光部4により検知する受光量は、樹脂シート2が押圧されていない場合との対比において小さくなる。従って、受光量の大小を検知することで、樹脂シート2への押圧を検知することができる。このように、樹脂シート2と、一般的な光学式の発光部3及び受光部4とを用いた簡単な入力装置を実現でき、車両機器20に搭載することができる。また、樹脂シート2が可撓性を有することで、ユーザーに樹脂シート2の押圧感を与えることができるため、車両機器20の入力操作を行ったことをユーザーに確実に把握させることができる。その結果、同じ入力操作を複数回行うことによる操作ミスを防ぐことができると共に、運転中の入力操作による事故を防ぐことができる。
【0054】
(実施形態2)
次に、本発明に係る入力装置及びそれを備えた車両機器の実施形態2について図面を参照して説明する。実施形態1では、押圧を検知するための光が通過する光路を樹脂シート2の内部に設定しているが、実施形態2では、樹脂シート2の外側に設定している。また、実施形態2では、光を発する発光素子及び受光する受光素子を樹脂シート2と離れた位置に設けている。以下、相違点についてのみ説明し、実施形態1と同様の部材について同じ符号を付し、説明は省略する。
【0055】
図7は、本実施形態に係る車両機器の一部を模式的に示す図である。
【0056】
本実施形態に係る車両機器は、実施形態1と同様に、液晶ディスプレイ1及び樹脂シート2を備えている。また、車両機器は、液晶ディスプレイ1などとは離れた位置にある検出基板14に設けられた発光部12及び受光部13を備えている。発光部12は、赤外発光ダイオードである。受光部13は、一次元イメージセンサである。発光部12には、コネクタ12aが接続されており、コネクタ12aにはさらに複数の光ファイバ15が接続されている。光ファイバ15により導光された光は、樹脂シート2に平行に、液晶ディスプレイ1及び樹脂シート2の間に照射される。同様に、受光部13には、コネクタ13aを介して複数の光ファイバ16が接続されている。光ファイバ16は、光ファイバ15からの光を受け、その光を受光部13に導光する。
【0057】
このように構成されることで、発光部12が発した光は、光ファイバ16を介して光ファイバ15により導光され、樹脂シート2の押圧を検知するために発光される。また、受光部13は、光ファイバ16により導光された光を受け、受光量を検知する。光ファイバ15,16を用いることで、発光部12及び受光部13を照射位置から離れた位置に設けることができる。このため、回路上に素子を設置する際の制約などを緩和させることができる。また、複数の光ファイバ15により、発光部12の光を分岐させることにより、複数の発光源を必要としないため、コストダウンが可能となる。
【0058】
図8は、樹脂シートへの押圧を検知する方法を説明するための図であり、(a)は樹脂シート2を押圧していない場合、(b)は押圧した場合の光の状態を示している。図8に示すように、樹脂シート2は、液晶ディスプレイ1との間に空間を設けて、液晶ディスプレイ1と対向配置されている。発光部12及び受光部13、具体的にはそれぞれに接続されている光ファイバ15,16は、液晶ディスプレイ1と樹脂シート2との間に設けられた空間に光路を設定するよう設けられている。
【0059】
図8(a)に示すように、樹脂シート2が押圧されていない場合、受光部13は、発光部12から照射された光をそのまま受けることができる。一方、樹脂シート2が押圧された場合、図8(b)に示すように、押圧された部分が凹み、光路と交差するため、発光部12から照射された光は、樹脂シート2の凹んだ部分により散乱する。この結果、受光部13の受光量は、樹脂シート2が押圧されていない場合との対比において小さくなる。従って、受光部13により検知した受光量が閾値以上である場合は、押圧を検知し、閾値未満である場合は、押圧を検知しない。このように、光が通過する光路を樹脂シート2の外部に設定することで、樹脂シート2を薄くすることができる。これにより、樹脂シート2のコストを抑制することができる。
【0060】
以上説明したように、実施形態2は、実施形態1と同様の効果に加え、樹脂シート2の薄型化によるコストダウンを実現することができるという効果を奏する。また、光ファイバ15,16を用いることで、発光部12及び受光部13の数を減少でき、装置の簡素化、並びに部品配置の自由度を向上させることができる。
【0061】
なお、上述の実施形態では、車両機器20は、空調機器を操作するものとして説明したが、カーナビゲーション、オーディオ機器など、他の車載機器を操作するものであってもよいし、複数の車載機器を操作するものであってもよい。また、受光部及び発光部の数は、検出する樹脂シート2の押圧位置の範囲(精度)に応じて適宜変更可能である。
【0062】
また、実施形態1において発光部3及び受光部4を樹脂シート2を挟んで配置しているが、それぞれを同じ側に配置していてもよい。図9は、樹脂シートへの押圧を検知する別の方法を説明するための図である。図9に示すように、受光部4は、発光部3から発せられ、樹脂シート2が押圧され、凹んだ部分により散乱した光を受ける。この場合、受光部4は、受光量ではなく、散乱光を受けることで、押圧を検知する。この場合、素子の配置の自由度を向上させることができる場合がある。
【0063】
以上、本発明の好適な実施形態について、具体的に説明したが、各構成及び動作等は適宜変更可能であって、上述の実施形態に限定されることはない。
【符号の説明】
【0064】
1 液晶ディスプレイ(表示装置)
2 樹脂シート(透光板)
3 発光部(発光手段)
4 受光部(受光手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置の表示画面上に設けられた可撓性の透光板への押圧を検知して、所定の信号を出力する入力装置において、
前記透光板の押圧される側の表面より前記表示画面側を通過し、板状面と平行な方向の光を発する発光手段と、
該発光手段から発せられた光を受ける受光手段と
を備えていることを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記発光手段及び受光手段は、
前記発光手段から前記受光手段に発せられた光が通過する光路を、前記透光板の内部に設定してある
ことを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記透光板は、
前記表示画面との間に空隙を設けられており、
前記発光手段及び受光手段は、
前記発光手段から前記受光手段に発された光が通過する光路を、前記空隙に設定してある
ことを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項4】
前記発光手段は、
一方向に光を発する複数の第1発光手段と、
前記一方向に直交する方向に光を発する複数の第2発光手段と
を有しており、
前記受光手段は、
複数の前記第1発光手段が発した光それぞれを受ける複数の第1受光手段と、
複数の前記第2発光手段が発した光それぞれを受ける複数の第2受光手段と
を有していることを特徴とする請求項1から3の何れか一つに記載の入力装置。
【請求項5】
前記受光手段は、
一次元イメージセンサである
ことを特徴とする請求項1から4の何れか一つに記載の入力装置。
【請求項6】
前記発光手段は、
発光素子と、
前記発光素子が発した光を導光する光ファイバと
を有しており、
該光ファイバにより導光された光を発するようにしてある
ことを特徴とする請求項1から5の何れか一つに記載の入力装置。
【請求項7】
前記受光手段は、
受光素子と、
前記発光手段から発せられた光を前記受光素子に導光する光ファイバと
を有していることを特徴とする請求項1から6の何れか一つに記載の入力装置。
【請求項8】
車両に搭載されており、
さらに、
前記受光手段による受光に基づいて、前記車両に搭載された機器の動作を制御する制御手段を備えることを特徴とする請求項1から7の何れか一つに記載の入力装置。
【請求項9】
請求項8に記載の入力装置を備えた車両機器であって、
前記表示手段の表示内容を切り替える表示制御手段と、
前記表示手段の表示内容に応じて、前記入力装置による前記機器の動作の制御を停止させる停止手段と
を備えることを特徴とする車両機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−211612(P2010−211612A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−58197(P2009−58197)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】