説明

入力装置

【課題】 希望する操作機能を容易に選択操作できるようにする。
【解決手段】 複数のアイコンを表示する表示装置10と、表示装置10に表示されたアイコンの選択操作を検出する複数のタッチ操作部を有する操作ノブ21と、を備え、操作ノブ21の操作面には、複数のタッチ操作部を経由する溝21aが形成されており、表示装置10には、複数のタッチ操作部の配置と同様の位置関係で複数のアイコンが表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の操作機能を表示する表示部と、この表示部に表示された操作機能の入力操作を行うための操作部を備えた入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両において、エアコン、オーディオ、ナビゲーション装置等の各種装置の操作機能を表示画面に表示するとともに、この表示画面とは別に設けられた操作部から表示画面に表示した操作機能の入力操作を行う入力装置が搭載されるようになった。
【0003】
このような入力装置では、各操作機能を複数のアイコン等を用いて表示画面に表示するとともに、例えば、タッチパットの背面側に配置された抵抗膜式センサや静電容量センサを用いてタッチパットの操作面へのタッチ操作を検出することによって表示画面に表示したアイコンの選択等の入力操作が行われる。しかし、このようなタッチパットの操作面は平面となっているため、操作位置が分かりにくい。
【0004】
そこで、タッチ操作を入力するための入力パッドに円弧状の指ガイド溝を縦横に交差するように形成し、または、入力パッドに面変化、溝などを設け、触手によって操作位置を認識できるようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−194502号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載した装置に設けられた指ガイド溝は、ユーザがタッチパネルの操作位置を触手によって判別できるように設けられたものであり、この指ガイド溝に従って操作しても、希望するアイコン(操作機能)を選択できるとは限らない。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みたもので、希望する操作機能を容易に選択操作できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1〜3に記載の発明では、複数の操作機能を表示する表示部と、表示部に表示された操作機能の選択操作を検出する複数のタッチ操作部を有する操作部と、を備え、操作部の操作面には、複数のタッチ操作部を経由する溝が形成されており、表示部には、複数のタッチ操作部の配置と同様の位置関係で複数の操作機能が表示されることを特徴としている。
【0008】
このように、操作部の操作面には、複数のタッチ操作部を経由する溝が形成されているので、ユーザは、この溝上をなぞることによって希望するタッチ操作部の位置を把握することができ、希望する操作機能を容易に選択操作することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の一実施形態に係る入力装置の外観図を図1に示す。本実施形態における入力装置は、車両のインストルメントパネルの中央部等に設置され、エアコン、オーディオ、ナビゲーション装置等の操作対象装置の各種機能の入力操作を行うものであり、表示部としての表示装置10および操作部としての操作ノブ21が設けられた本体20を備えている。
【0010】
表示装置10は、エアコン、オーディオ等の操作状況や、ナビゲーション装置の地図表示画面等を表示するものであり、本体20に設けられたCPU(後述する)から入力される信号に応じた画像を表示画面11に表示する。なお、図1の表示画面11の表示は、複数のアイコン12が円周状に配置されたメニュー画面の表示例を示したものである。
【0011】
本体20の上面には、タッチ操作による入力操作を行うための円形状の操作ノブ21が設けられている。この操作ノブ21の背面側には、タッチ操作を検出するために複数の静電容量センサが設けられており、これらの静電容量センサによって操作ノブ21の操作面へのタッチ操作が検出される。
【0012】
図2(a)に、図1の操作ノブ21を上側から透視した図を示し、図2(b)に、(a)のA−A断面図を示す。
【0013】
図2(a)、(b)に示すように、操作ノブ21の背面側には、操作ノブ21の中央部に格子状に配置された静電容量センサ22と、操作ノブ21の外周に沿って配置された8個の静電容量センサ22が設けられている。これらの静電容量センサ22のそれぞれによって操作ノブ21の操作面に複数のタッチ操作部が構成される。
【0014】
また、操作ノブ21の操作面には、操作ノブ21の外周に沿って設けられた静電容量センサ22によって構成される各タッチ操作部を経由するように複数の溝21aが円周状に形成されている。これらの溝21aによって、操作ノブ21の操作面には、外周に沿って凹凸が形成される。
【0015】
図3に、入力装置1のブロック構成を示す。入力装置1は、複数の静電容量センサ22、表示装置10およびCPU24を備えている。また、CPU24には、図示しない押しボタンスイッチからユーザの操作に応じた信号が入力されるようになっている。また、CPU24は、エアコンECU、オーディオおよびナビゲーション装置とそれぞれケーブルを用いて接続され、これらのケーブルを介して双方向の通信を行うようになっている。
【0016】
静電容量センサ22は、対をなす電極(図示せず)を有し、操作ノブ21の操作面への指の接触によって引き起こされる電極間の静電容量の変化に基づいて操作ノブ21へのタッチ操作を検出し、検出信号をフレキシブル基板23に形成された配線パターン(図示せず)を介してCPU24へ出力する。
【0017】
表示装置10は、上述したようにCPU24から入力される信号に応じた画像を表示画面11に表示する。
【0018】
CPU24は、ROM、RAM、I/O、通信コントローラ等を備え、ROMに記憶されたプログラムに従って各種処理を行う。
【0019】
CPU24は、エアコン、オーディオ等の操作状況や、ナビゲーション装置の地図表示画面等を表示装置10の表示画面11に表示させるとともに、この表示に従って静電容量センサ22から入力されるタッチ操作の検出信号に基づく信号をエアコンECU、オーディオ、ナビゲーション装置等の操作対象装置へ出力する。また、CPU24は、エアコンECU、オーディオ、ナビゲーション装置等の操作対象装置から入力される各種信号の表示装置20への切り替え処理等も行う。
【0020】
次に、このCPU24の概略作動について説明する。CPU24は、電源が投入されると、操作ノブ21の外周に沿って設けられた8箇所のタッチ操作部と同様の位置関係で、複数の操作機能を表示装置10の表示画面にアイコン表示させる。
【0021】
図4に、表示装置10の表示画面に、「エアコン」、「オーディオ」、「ナビゲーション装置」の3つのアイコン12が円形状に表示させた場合の表示例を示す。なお、表示装置10の表示画面11に表示させるアイコンの数は操作ノブ21の外周に沿って設けられたタッチ操作部の数と同じ8個まで表示することができるが、必ずしも8個全てを表示する必要はなく、この場合のように3個でも良い。
【0022】
ここで、ユーザが、操作ノブ21における表示画面11の「エアコン」と同様の位置関係にあるタッチ操作部をタッチ操作すると、このタッチ操作部に設けられた静電容量センサ22からタッチ操作を検出したことを示す検出信号がCPU24に入力される。CPU24はこの検出信号に基づいて「エアコン」を示すアイコンを色反転させる。
【0023】
次に、ユーザが、操作ノブ21の操作面に形成された円形状の溝21a上をなぞり、操作ノブ21における表示画面11の「オーディオ」と同様の位置関係にあるタッチ操作部をタッチ操作すると、このタッチ操作部に設けられた静電容量センサ22からタッチ操作を検出したことを示す検出信号がCPU24に入力される。CPU24はこの検出信号に基づいて「エアコン」を示すアイコンを元の色に戻し、「オーディオ」を示すアイコンを色反転させる。
【0024】
更に、ユーザが、操作ノブ21の操作面に形成された円形状の溝21a上をなぞり、操作ノブ21における表示画面11の「ナビゲーション装置」と同様の位置関係にあるタッチ操作部をタッチ操作すると、このタッチ操作部に設けられた静電容量センサ22からタッチ操作を検出したことを示す検出信号がCPU24に入力され、CPU24はこの検出信号に基づいて「オーディオ」を示すアイコンを元の色に戻し、「ナビゲーション装置」を示すアイコンを色反転させる。
【0025】
このように、操作ノブ21のあるタッチ操作部から他のタッチ操作部を選択操作する場合、操作ノブ21の操作面に複数のタッチ操作部を経由する溝21aが形成されているので、ユーザはこの溝21a上をなぞることによって、希望するタッチ操作部の位置を容易に把握することができる。
【0026】
更に、「ナビゲーション装置」を示すアイコンを色反転させた状態で、ユーザの操作に応じて図示しない押しボタンスイッチから「決定」を示す信号が入力されると、CPU24は、この信号に基づいて、「ナビゲーション装置」のメニュー画面を表示画面11に表示させる。このメニュー画面には、操作ノブ21の外周に沿って設けられる8箇所のタッチ操作部と同様の位置関係で、「ナビゲーション装置」の操作機能を示す複数のアイコン12を表示装置10の表示画面に表示させる。「ナビゲーション装置」の操作機能としては、図5に示すように、例えば、「地図表示」、「目的地設定」などがある。
【0027】
次に、ユーザが操作ノブ21の操作面に形成された円形状の溝21a上をなぞって、操作ノブ21における表示画面11の「地図表示」と同様の位置関係にあるタッチ操作部をタッチ操作すると、このタッチ操作部に設けられた静電容量センサ22からタッチ操作を検出したことを示す検出信号がCPU24に入力され、CPU24はこの検出信号に基づいて「地図表示」を示すアイコンを色反転させる。
【0028】
次に、「地図表示」を示すアイコンを色反転させた状態で、ユーザの操作に応じて図示しない押しボタンスイッチから「決定」を示す信号が入力されると、CPU24は、表示画面11の表示をナビゲーション装置から入力される信号に基づく地図表示画面の表示に切り替える。このように、CPU24は、ユーザのタッチ操作に応じて、階層的に表示画面11に表示する画面を切り替える。
【0029】
なお、このような地図表示画面を表示させたような状態では、操作ノブ21の中央部に格子状に設けられた各静電容量センサ22から入力されるタッチ操作の検出信号に基づいて指の移動方向を検出し、検出した方向へ地図表示をスクロールさせる等の処理を行う。
【0030】
上述したように、上記した構成によれば、操作ノブ21の操作面には、複数のタッチ操作部を経由する溝21aが形成されているので、ユーザは、この溝21a上をなぞることによって希望するタッチ操作部の位置を把握することができ、希望する操作機能を容易に選択操作することができる。
【0031】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々なる形態で実施することができる。
【0032】
例えば、上記実施形態における入力装置は、車両に搭載され、カーエアコン、カーオーディオ、カーナビゲーション装置等の各種入力操作を行うものとして用いられる例を示したが、このような用途に限定されるものではなく、各種入力操作を行う装置として利用することができる。
【0033】
また、上記実施形態では、静電容量センサを用いてユーザの操作を検出する例を示したが、静電容量センサに限定されるものではなく、例えば、抵抗薄膜式センサ、荷重センサ等を用いてユーザの操作を検出してもよい。
【0034】
また、図2(b)に示したように、上記実施形態では、複数の溝21aの形成によって操作ノブ21の操作面に凹凸形状が形成された例を示したが、1つの溝21aの形成によって操作ノブ21の操作面に対して凹形状または凸形状を形成してもよい。この場合、溝の幅を広くしたり、溝の深さを深くすることで、タッチ操作の操作性を向上することができる。なお、ここでいう溝は、操作ノブ21の操作面に対して凹形状のものだけでなく、操作ノブ21の操作面に対して凸形状のものも含むものとする。
【0035】
また、上記実施形態では、操作ノブ21の操作面に設けられた複数のタッチ操作部の配置と表示装置10の表示画面に表示する操作機能(アイコン)をそれぞれ円周状とした例を示したが、円周状に限定されるものではなく、例えば、多角形としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態に係る入力装置の外観図である。
【図2】(a)は、図1の操作ノブを上側から透視した図、(b)は、(a)のA−A断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る入力装置のブロック構成を示す図である。
【図4】表示装置の表示画面の表示例を示す図である。
【図5】表示装置の表示画面の表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0037】
10…表示装置、11…表示画面、12…アイコン、20…本体、
21…操作ノブ、21a…溝、22…静電容量センサ、
23…フレキシブル基板、24…CPU。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の操作機能を表示する表示部と、前記表示部に表示された前記操作機能の選択操作を検出する複数のタッチ操作部を有する操作部と、を備え、
前記操作部の操作面には、前記複数のタッチ操作部を経由する溝が形成されており、
前記表示部には、前記複数のタッチ操作部の配置と同様の位置関係で前記複数の操作機能が表示されることを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記操作部に設けられた前記複数のタッチ操作部は円周状に配置されており、
前記溝は、前記複数のタッチ操作部上を経由するように円周状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−244041(P2006−244041A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−57564(P2005−57564)
【出願日】平成17年3月2日(2005.3.2)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】