説明

入力装置

【課題】 第1画面および第1画面の一部を拡大した第2画面を表示し、この画面上における選択箇所を選択するにあたり、操作手段に与える反力を有効に利用して画面表示を行うことができる入力装置を提供する。
【解決手段】 横長ディスプレイ3には、大画面M1および大画面M1の一部を拡大し大画面M1より面積が小さくされた小画面M2が重畳的に表示されている。横長ディスプレイ3には、ポインタPが表示されており、ポインタPの表示位置は、スイッチ2Bを操作することによって移動する。さらに、小画面M2は、大画面M1の表示範囲内で移動可能とされている。小画面M2の移動速度は、スイッチ2Bに付与される反力が大きいほど早くされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両のナビゲーション装置などの入力に用いられる入力装置として、ハプティック機構を用いられた表示操作システムがある(たとえば、特許文献1参照)。この表示操作システムは、たとえばドライバの人差し指と中指の動きで操作を行うことができるジョイスティックからなる入力手段を備えている。ここで、ドライバは、手首を半固定した状態で人指し指と中指を動かし、ジョイスティックの操作を行うことにより、たとえば画面に表示されたポインタの表示位置を動かし、選択することができるというものである。また、一般的な入力手段として、ジョイスティックの代わりに、トラックボール形状のものを用いるものも知られている。
【0003】
この表示操作システムでは、ジョイスティックの動きをそのまま入力対象、たとえば画面上におけるポインタ等の動きに伝えることができる。このため、ドライバは、ジョイスティックを動かすことにより、ポインタ等を動かすことができるので、ポインタを動かす感覚を確認しやすく、操作を容易かつ確実に行うことができるというものである。また、この表示操作システムでは、画面の表示に合わせてジョイスティックに反力を与える反力発生装置を備えている。ここで、画面の表示に合わせた位置にポインタを誘導するように、ジョイスティックに反力を与えるものである。このため、ドライバは、誘導に従うだけで、たとえばボタン表示位置などのポインタを移動させて合わせることが多い位置にポインタを誘導し、合わせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−135324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載された表示操作システムでは、たとえば画面に地図を表示して道路の案内を行う場合、画面中のランドマークなどに設定されるPOI(ポイントオブインタレスト)にポインタが移動しやすいように反力を設定することがある。ところが、地図を表示する際のスケールを広域に設定すると、POIが狭い範囲に密集してしまう。このため、POIにポインタが移動しやすいように反力を設定したとしても、POIの位置にポインタを誘導することが困難となり、反力を設定した意味が実質的になくなってしまうものであった。また、反力を設定した場合には、ワンタッチストロークを行う際の妨げとなってポインタが引き込まれ過ぎてしまい不自由となってしまうなど、操作性が低くなるという問題があった。
【0006】
このとき、たとえば画面を2分割して一方を拡大表示することにより、POIの密集を分散させて、操作性を向上させることが考えられる。しかし、画面を2分割すると、広域表示できる領域が半減してしまうことから、情報表示を有効に行うことができないという問題があった。
【0007】
そこで、本発明の課題は、広域表示を行う際に、画面を有効に活用することができるとともに、操作性を向上させることによってPOIなどへの誘導を容易に行うことができる入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決した本発明に係る入力装置は、第1画面と第1画面よりも面積が小さくされた第2画面とを重畳的に表示する表示手段と、表示手段に表示する表示情報を決定するにあたって、所定の操作幅内における操作領域で操作可能とされ、操作に応じた操作情報を出力する操作手段と、操作手段から出力される操作情報を取得する操作情報取得手段と、操作情報取得手段で取得した操作情報に応じて、第1画面または第2画面における選択位置を設定し、選択位置に対して選択位置表示を行う選択位置制御手段と、操作手段の操作方向に対して反力を付与する反力付与手段と、表示手段に表示される表示情報および選択位置に基づいて反力付与手段が操作手段に付与する反力を設定し、反力付与手段が操作手段に付与する反力を制御する反力制御手段と、を備え、第2画面は、第1画面の一部を拡大表示可能とされており、操作手段は、第2画面における第1画面に対する拡大率に応じて、操作領域を調整することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る入力装置においては、第一画面と第一画面よりも面積が小さくされた第二画面とを重畳的に表示している。このため、第一画面の一部分を第二画面に拡大表示することにより、POIの密集を防止することができ、操作性の向上を図ることができる。また、第2画面は、第1画面の一部を拡大表示可能とされている。このため、第1画面に広域表示を行う際に、画面を有効活用することができる。さらに、操作手段は、第2画面における第1画面に対する拡大率に応じて、操作領域を調整している。このため、操作手段の操作性を向上させることができ、POIなどへの誘導を容易に行うことができる。
【0010】
ここで、反力制御手段は、第2画面における第1画面に対する拡大率に応じて、反力付与手段が付与する反力を設定する態様とすることができる。
【0011】
このように、反力制御手段は、第2画面における第1画面に対する拡大率に応じて、反力付与手段が付与する反力を設定することにより、第2画面における選択位置に対する誘導を容易に行うことができる。
【0012】
また、第2画面は、表示手段における表示位置を移動して変更可能とされており、反力制御手段によって設定される反力に基づいて、第2画面の移動速度を制御する態様とすることができる。
【0013】
このように、第2画面の表示態様の変更としては、第2画面の移動がある。また、反力制御手段によって設定される反力に基づいて、第2画面の移動速度を制御することにより、操作手段に付与される反力に応じて第2画面の移動速度が変化するので、操作手段に与える反力を有効に利用して画面表示を行うことができる。
【0014】
さらに、第2画面の移動速度は、反力制御手段によって設定される反力が大きいほど早くなるようにされている態様とすることができる。
【0015】
このように、第2画面の移動速度は、反力制御手段によって設定される反力が大きいほど早くなるようにされていることにより、操作手段の操作者に与える違和感を小さくすることができる。
【0016】
また、反力制御手段は、第1画面と第2画面との間で選択位置が移行した際、移行直後の所定時間内に、反力付与手段が付与する反力を変化させる態様とすることができる。
【0017】
このように、反力制御手段は、第1画面と第2画面との間で選択位置が移行した際、移行直後の所定時間内に、反力付与手段が付与する反力を変化させることにより、選択位置の画面間での移行を操作手段の操作者に確実に知らせることができる。
【0018】
さらに、反力付与手段が付与する反力の変化が、時間の経過に伴って小さくなる変化である態様とすることができる。
【0019】
このように、反力付与手段が付与する反力の変化が、時間の経過に伴って小さくなる変化であることにより、選択位置が画面間で移行した後、徐々に通常の反力に戻していくことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る入力装置によれば、広域表示を行う際に、画面を有効に活用することができるとともに、操作性を向上させることによってPOIなどへの誘導を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る入力装置のブロック構成図である。
【図2】(a)は、スイッチ装置の平面図、(b)は、横長ディスプレイの表示画面を示す説明図である。
【図3】(a)は、縦軸座標とスイッチに付与する反力との関係を示すグラフ、(b)は、横軸座標とスイッチに付与する反力との関係を示すグラフである。
【図4】大画面描画部における処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】小画面描画部における処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】(a)は、大画面の画像の一例を示す図、(b)は、(a)における小画面に表示位置が移動した大画面の画像を示す図である。
【図7】第2の実施形態に係る入力装置における横長ディスプレイの表示画面に表示される大画面の画像の一例を示す図である。
【図8】第2の実施形態における小画面描画部の処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】大画面および小画面の間の壁とポインタとの位置関係を説明する説明図である。
【図10】壁越えが生じた際に、スイッチを固定している際に、スイッチに付与する反力の時間経過に伴う変化を説明するグラフである。
【図11】第3の実施形態における入力装置における処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図示の便宜上、図面の寸法比率は説明のものと必ずしも一致しない。
【0023】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る入力装置のブロック構成図である。図1に示すように、本実施形態に係る入力装置1は、スイッチ装置2、横長ディスプレイ3、反力付与モータ4、およびECU[Electronic Control Unit]5を備えている。スイッチ装置2は、たとえば車室内における運転席の側方に設けられている。また、スイッチ装置2は、図2(a)に示すように、スイッチ筐体2Aを備えている。スイッチ筐体2Aの表面には、本発明の操作手段となる、たとえばジョイスティックからなるスイッチ2Bが設けられている。さらに、スイッチ筐体2Aの側面には、決定スイッチ2Cおよび小画面表示スイッチ2Dが設けられている。
【0024】
スイッチ2Bは、図2(a)に示す横方向の操作可能範囲Xおよび横方向に直交する縦方向の操作可能範囲Yの範囲で幅方向に移動可能とされている。スイッチ装置2には、ECU5における大画面描画部10および小画面描画部20が接続されている。さらに、大画面描画部10および小画面描画部20には、横長ディスプレイ3および反力付与モータ4が接続されている。スイッチ装置2は、スイッチ2Bが操作されることにより、ジョイスティックの操作方向に応じた操作情報を大画面描画部10および小画面描画部20に送信する。また、決定スイッチ2Cが押されることにより、決定情報を大画面描画部10および小画面描画部20に送信する。
【0025】
横長ディスプレイ3は、車室内におけるドライバから目視できる位置に設置されている。また、図2(b)に示すように、横長ディスプレイ3には、表示領域の全体に第1画面である大画面M1が表示される。また、大画面M1の一部を拡大する大画面M1よりも面積が小さくされた第2画面である小画面M2が大画面M1と重畳的に表示される。小画面M2は、表示されている状態と表示されていない状態とにすることができる。また、横長ディスプレイ3には、本発明の選択位置表示を行うポインタPが表示されている。ポインタPは、原則的に大画面M1または小画面M2のいずれかに表示される。
【0026】
スイッチ2Bを操作すると、ポインタPがスイッチ2Bの操作に対応して移動する。また、ポインタPが大画面M1に表示されている場合には、操作可能範囲Xにおいてスイッチ2Bを操作する際にポインタPが移動表示される。同様に、ポインタPが小画面M2に表示されている場合にも、操作可能範囲Xにおいてスイッチ2Bを操作する際にポインタPが移動表示される。
【0027】
また、反力付与モータ4は、スイッチ筐体2Aの内部に設けられており、スイッチ2Bにおける操作可能方向に対して所定の反力を付与する。反力付与モータ4は、大画面描画部10および小画面描画部20によって設定された方向および大きさの反力をスイッチ2Bに付与する。スイッチ2Bに付与する反力は、たとえば図3に示すように設定されている。
【0028】
図3(a)に示すように、縦方向となるY軸方向では、スイッチ2Bの操作可能範囲における移動点の中心点を50%、もっとも下方に移動させた際の移動量を0%、もっとも上方に移動させた際の移動量を100%として、25%〜75%の範囲では反力を0に設定する。また、25%を下回る場合や75%を上回る場合には50%から離れるほど反力が大きくなるように設定する。
【0029】
また、図3(b)に示すように、横方向となるX方向では、スイッチ2Bの操作可能範囲における移動点の中心点を50%、もっとも左方に移動させた際の移動量を0%、もっとも右方に移動させた際の移動量を100%として、25%〜75%の範囲では反力を0に設定する。また、25%を下回る場合や75%を上回る場合には50%から離れるほど反力が大きくなるように設定する。
【0030】
ECU5は、いずれもCPU[Central Processing Unit]、ROM[ReadOnly Memory]、RAM[Random Access Memory]などからなり、横長ディスプレイ3に表示する表示内容および反力付与モータ4によって付与する反力を統括制御する電子制御ユニットである。また、ECU5における大画面描画部10は、大画面操作情報取得部11、大画面変換マップ記憶部12、地図記憶部13、大画面表示制御部14、および大画面反力設定部15を備えている。さらに、ECU5における小画面描画部20は、小画面操作情報取得部21、小画面変換マップ記憶部22、小画面表示制御部23、および小画面反力設定部24を備えている。
【0031】
大画面描画部10における大画面操作情報取得部11は、スイッチ装置2から送信された操作情報に基づいて、ジョイスティックの操作結果に基づく座標(以下「ハプティック座標」という)を取得する。大画面操作情報取得部11は、取得したハプティック座標に対応する操作変換情報を生成し、大画面表示制御部14および大画面反力設定部15に出力する。
【0032】
大画面変換マップ記憶部12は、大画面操作情報取得部11から出力された操作変換情報を横長ディスプレイ3に選択箇所を示すポインタとして表示する際のポインタ表示位置(表示座標)に変換するための変換マップを複数備えている。大画面変換マップ記憶部12は、複数の変換マップに中から、大画面表示制御部14からの出力指令に応じた変換マップを選択し、大画面表示制御部14に出力する。
【0033】
地図記憶部13は、車両が走行する領域、たとえば日本全国の地図情報を記憶している。また、地図記憶部13が記憶する地図情報としては、種々の位置における地図情報があり、さらには、同一領域についても広域、拡大領域など複数の地図情報がある。地図記憶部13は、大画面表示制御部14からの読み出しに応じた地図情報を大画面表示制御部14に出力する。
【0034】
大画面表示制御部14は、地図記憶部13から読み出した地図情報に基づく地図を横長ディスプレイ3の大画面M1に表示させる。また、大画面表示制御部14は、大画面操作情報取得部11から出力された操作変換情報を大画面変換マップ記憶部12から読み出した変換マップに参照してポインタPの表示位置を決定し、横長ディスプレイ3に表示させる。
【0035】
さらに、大画面表示制御部14は、取得した地図情報およびポインタの表示位置に関するポインタ表示位置情報を大画面反力設定部15に出力する。また、大画面表示制御部14は、小画面表示スイッチ2Dから小画面表示信号が送信された場合には、小画面描画信号を小画面描画部20に出力する。このとき、大画面描画部10は、小画面描画信号とともに、横長ディスプレイ3に表示されている地図に拡大図に関する地図情報を小画面描画部20に送信する。
【0036】
大画面表示制御部14は、小画面表示スイッチ2Dから小画面表示信号が送信された場合には、大画面M1における小画面M2を表示する所定の位置、たとえば縦方向および横方向ともに中央となる位置にポインタ表示位置が含まれているか否かを確認する。ここで、小画面M2を表示位置にポインタ表示位置が含まれていない場合には、小画面M2をポインタPに近づける方向に移動させる。
【0037】
大画面反力設定部15は、大画面表示制御部14から出力される地図情報およびポインタ表示位置情報に基づいて、スイッチ装置2におけるスイッチ2Bに付与する反力を設定する。たとえば、地図上にランドマークがある場合には、このランドマークに対応する位置にポインタが位置しやすくなるようにスイッチ2Bに付与する反力を算出し、反力付与モータ4に反力信号を送信する。また、大画面M1の外縁部近傍にポインタが位置する場合には、大画面M1の内側を向く方向に対して反力を付与する。
【0038】
小画面描画部20における小画面操作情報取得部21および小画面変換マップ記憶部22については、それぞれ大画面操作情報取得部11および大画面変換マップ記憶部12と同様の機能を備えている。また、小画面反力設定部24についても、大画面反力設定部15と同様の機能を備えている。
【0039】
小画面表示制御部23は、大画面描画部10から小画面描画信号が出力された場合に、大画面描画部10から送信された地図情報に基づく地図(拡大図)を横長ディスプレイ3の小画面M2に表示させる。また、ポインタPが小画面M2内に表示されているときには、小画面表示制御部23は、小画面操作情報取得部21から出力された操作変換情報を小画面変換マップ記憶部22から読み出した変換マップに参照してポインタPの表示位置を決定し、横長ディスプレイ3に表示させる。
【0040】
さらに、小画面表示制御部23は、表示情報に基づく表示内容情報およびポインタの表示位置に関するポインタ表示位置情報を小画面反力設定部24に出力する。また、小画面表示制御部23は、ポインタ表示位置が小画面M2を外れた位置に移動すると判断した場合には、小画面消去信号を大画面描画部10に出力する。ここで、小画面反力設定部24では、スイッチ2Bにおける小画面M2の端部に相当する位置に壁反力を設定する。壁反力としては、図3(a)(b)に示す25%以下および75%以上の位置に設定されている。この壁反力を越える力でスイッチ2Bが操作されることにより、ポインタPが小画面M2から外れた位置に移動する。
【0041】
次に、本実施形態に係る入力装置1における動作について説明する。本実施形態に係る入力装置1においては、ドライバなどの利用者がスイッチ装置2におけるスイッチ2Bを操作することにより、横長ディスプレイ3に表示されるポインタPの位置が移動する。このときの大画面描画部10における処理手順を説明する。図4は、大画面描画部における処理の手順を示すフローチャート、図5は、小画面描画部における処理の手順を示すフローチャートである。
【0042】
図4に示すように、大画面描画部10においては、横長ディスプレイ3に小画面M2が表示さているか否かを判断する(S1)。その結果、横長ディスプレイ3に小画面M2が表示されていないと判断した場合には、スイッチ装置2から送信される小画面表示信号を受信したか否かを判断する(S2)。ここで、小画面表示信号を受信したと判断した場合には、小画面描画信号を小画面描画部20に出力し(S3)、大画面描画部10における処理を終了する。
【0043】
一方、小画面表示信号を受信していないと判断した場合には、大画面内対象ボタン処理を行う(S4)。大画面内対象ボタン処理では、スイッチ2Bから送信される操作情報や決定スイッチ2Cから送信される決定情報に基づいて、ポインタPの表示位置の変更を行ったり決定情報に応じた処理を行ったりする。こうして、大画面描画部10における処理を終了する。
【0044】
また、ステップS1において横長ディスプレイ3に小画面M2が表示されていると判断した場合には、大画面スクロール信号を受信したか否かを判断する(S5)。
【0045】
ここで、大画面スクロール信号を受信している場合には、大画面スクロール信号に応じて大画面M1に表示される地図をスクロールさせる大画面スクロール処理を行う(S6)。大画面スクロール処理を行った後、または大画面スクロール信号を受信していない場合には、小画面消去信号を受信したか否かを判断する(S7)。その結果、小画面消去信号を受信していないと判断した場合には、ステップS2に戻る。一方、小画面消去信号を受信したと判断した場合には、大画面内対象ボタン処理を行い(S4)、大画面描画部10における処理を終了する。
【0046】
次に、小画面描画部20における処理について説明する。図5に示すように、小画面描画部20においては、まず、横長ディスプレイ3に小画面M2が表示されているか否かを判断する(S11)。小画面M2が表示されているか否かは、小画面描画信号を受信し、小画面消去信号を送信していないか否かによって判断する。その結果、横長ディスプレイ3に小画面M2が表示されていないと判断した場合には、小画面描画信号を受信するまでステップS11の処理を繰り返す。
【0047】
一方、横長ディスプレイ3に小画面M2が表示されていると判断した場合には、スイッチ装置2から送信される操作情報を受信し、ハプティック座標を取得したか否か判断する(S12)。その結果、ハプティック座標を取得していないと判断した場合には、ステップS12を繰り返し、ハプティック座標を取得するまで、スイッチ装置2から送信される操作情報の受信を待ちながら、ハプティック座標の取得待ちを行う。
【0048】
また、ハプティック座標を取得したと判断した場合には、ポインタPの表示位置となる座標点が小画面M2内にあるか否かを判断する(S13)。ここで、ポインタPの座標点が小画面M2内にあると判断した場合には、小画面内対象ボタン処理を行う(S14)。小画面内対象ボタン処理では、大画面内対象ボタン処理と同様、スイッチ2Bから送信される操作情報や決定スイッチ2Cから送信される決定情報に基づいて、ポインタPの表示位置の変更を行ったり決定情報に応じた処理を行ったりする。こうして、小画面描画部20における処理を終了する。
【0049】
また、ポインタPの表示位置となる座標点が小画面M2内にないと判断した場合には、ポインタPは、大画面M1内であって小画面M2の外側に表示されていることとなる。この場合には、ポインタPの表示位置の座標点が大画面M1の端部に位置しているか否かを判断する(S15)。その結果、座標点が大画面M1の端部に位置していないと判断した場合には、ポインタPが表示されている位置に小画面M2を移動させる。
【0050】
このとき、本実施形態では、小画面M2を移動させるにあたり、小画面M2の移動速度を設定する(S16)。小画面M2の移動速度は、スイッチ2Bに付与されている反力に応じて設定する。具体的には、スイッチ2Bに付与されている反力が大きいほど、小画面M2の移動速度を早くする。その後、ポインタの表示方向に小画面を移動させて(S17)、小画面描画部20における処理を終了する。
【0051】
さらに、ステップS15において座標点が大画面M1の端部に位置していると判断した場合には、ポインタPが表示されている方向に大画面をスクロールさせる大画面スクロール信号を大画面描画部10に出力する。大画面描画部10では、ポインタPが表示されている方向に大画面をスクロールさせる処理を行う(S18)。このとき、小画面描画部20では、大画面スクロールと同時に小画面を同じ方向にスクロールさせる(S19)。こうして、小画面描画部20における処理を終了する。
【0052】
以上の構成を有する本実施形態に係る入力装置1においては、スイッチ装置2を操作することにより、ポインタPの位置を移動させることができる。さらには、小画面表示スイッチ2Dを操作することによって大画面M1の一部を拡大した小画面M2を表示することができる。
【0053】
また、図6(a)に示すように、ポインタPが小画面M2の外側に表示されている場合には、図6(b)に示すように、小画面M2は、ポインタPが表示されている方向に向けて移動する。このときの小画面M2の移動速度は、スイッチ2Bに付与されている反力に応じて設定する。具体的には、スイッチ2Bに付与されている反力が大きいほど、小画面M2の移動速度を早くしている。このように、スイッチ2Bに付与される反力に応じて小画面M2の移動速度が変化するので、スイッチ2Bを操作するドライバなどの利用者の感覚に近い感覚で小画面M2を移動させることができる。
【0054】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態に係る入力装置は、装置構成は上記第1の実施形態と同様であるが、本実施形態では、上記の入力装置と比較して、大画面描画部10が地図記憶部に代えて50音表記憶部を備えている点において主に異なっている。
【0055】
本実施形態に係る入力装置では、図7に示すように、横長ディスプレイ3には50音表が表示されている。また、小画面M2には、大画面M1の一部拡大図が表示されているのは上記第1の実施形態と同様である。本実施形態においても、小画面M2は、大画面M1の表示範囲内で移動可能とされている。
【0056】
続いて、本実施形態に係る入力装置における処理について説明する。大画面描画部10の処理手順については、上記第1の実施形態と同様であるため、ここでは、小画面描画部20における処理について説明する。図8は、小画面描画部の処理の手順を示すフローチャートである。
【0057】
図8に示すように、小画面描画部20においては、まず、横長ディスプレイ3に小画面M2が表示されているか否かを判断し(S21)、横長ディスプレイ3に小画面M2が表示されていないと判断した場合には、小画面描画信号を受信するまでステップS21の処理を繰り返す。また、横長ディスプレイ3に小画面M2が表示されていると判断した場合には、ハプティック座標を取得したか否か判断し(S22)、ハプティック座標を取得していないと判断した場合には、ステップS22を繰り返し、ハプティック座標の取得待ちを行う。
【0058】
また、ハプティック座標を取得したと判断した場合には、ポインタPの表示位置となる座標点が小画面M2内にあるか否かを判断し(S23)、ポインタPの座標点が小画面M2内にあると判断した場合には、小画面内対象ボタン処理を行う(S24)。また、ポインタPの表示位置となる座標点が小画面M2内にないと判断した場合には、ポインタPの表示位置の座標点が大画面M1の端部に位置しているか否かを判断する(S25)。
【0059】
その結果、座標点が大画面M1の端部に位置していないと判断した場合には、小画面M2の移動速度を設定し(S26)、ポインタの表示方向に小画面を移動させて(S27)、小画面描画部20における処理を終了する。ここまでは、上記第1の実施形態における処理の手順と同様である。
【0060】
さらに、ステップS25において座標点が大画面M1の端部に位置していると判断した場合には、小画面M2の移動を禁止する(S28)。50音表では、大画面M1に表意されているよりも大きい範囲での画像が用意されていないことから、小画面M2を移動させると、小画面M2における描画ができなくなってしまう。このため、大画面M1の端部に位置している場合には、小画面M2の移動を禁止する。こうして、小画面描画部20における処理を終了する。
【0061】
このように、大画面に表示する情報としては、地図情報のほか、50音表などとすることもできる。また、50音表など、大画面M1にすべての情報が収まる場合には、大画面の表示を固定し、大画面がスクロールすることのないように表示する態様とすることもできる。
【0062】
続いて、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態に係る入力装置においては、ポインタPの表示位置が小画面M2から大画面M1に移行した際に、スイッチ2Bに付与する反力の大きさを調整する。具体的には、大画面M1に移行した後にスイッチ2Bの位置を固定している状態が長いほど、スイッチ2Bに付与する反力を小さくするようにスイッチ2Bに付与する反力を調整する。
【0063】
いま、小画面M2にポインタPが表示された状態でスイッチ2Bに壁反力の最大値よりも大きな力が加えられ、ポインタPが大画面M1に移動する(以下「壁越え」という)場合について説明する。ここで、図9に模式的に示すように、ポインタPの表示位置が小画面M2における大画面M1との間の壁Wを越えて壁越えし、小画面M2から大画面M1に移行するとする。この場合に、図10に示すように、小画面M2から壁越えをした直後においては、スイッチ2Bに付与する反力を大きくしておく。この状態から、図10に示すように、時間が経過するごとに、スイッチ2Bに付与する反力を徐々に小さくしていく。
【0064】
また、壁越えが生じた後に時間が経過し、スイッチ2Bの反力が小さくなるにつれて、スイッチ2Bを戻した際にポインタPが戻る位置についても、図9に示すように、壁Wから遠い位置となるようにする。このようにポインタPの位置を調整することにより、ポインタPの移動位置が限界点となったとしても、さらに先に移動させることができるようになる。なお、このとき、スイッチ2Bを戻した際にポインタPが戻る位置を画面の中央付近とすることもできる。
【0065】
以下、本発明の実施形態に係る入力装置における処理について説明する。図11は、本実施形態に係る入力における処理の手順を示すフローチャートである。図11に示すように、入力装置1においては、まず、大画面描画部10において、スイッチ装置2から送信される操作情報を受信し、ハプティック座標を取得したか否か判断する(S31)。その結果、ハプティック座標を取得していないと判断した場合には、ステップS31を繰り返し、ハプティック座標を取得するまで、スイッチ装置2から送信される操作情報の受信を待ちながら、ハプティック座標の取得待ちを行う。
【0066】
その後、ハプティック座標を取得した場合には、壁越えが生じているか否かを判断する(S32)。壁越えが生じているか否かの判断は、スイッチ2Bに壁反力よりも大きな力が加わっているか否かにより判断する。ここで、壁越えが生じていないと判断した場合には、大画面内対象ボタン処理を行って(S33)、大画面描画部10における処理を終了する。
【0067】
一方、壁越えが生じていると判断した場合には、小画面描画部20において、小画面M2に対応するスイッチ2Bの壁反力を設定する(S34)。続いて、スイッチ装置2から送信される操作情報を受信し、ハプティック座標を取得したか否か判断する(S35)。その結果、ハプティック座標を取得していないと判断した場合には、ステップS35を繰り返し、ハプティック座標を取得するまで、スイッチ装置2から送信される操作情報の受信を待ちながら、ハプティック座標の取得待ちを行う。
【0068】
その後、ハプティック座標を取得した場合には、スイッチ2Bにおける座標点が最大値となっているか否かを判断する(S36)。その結果スイッチ2Bの座標点が最大値となっていると判断した場合には、スイッチ2Bに反力を付与する座標を更新する(S37)。具体的には、図10に破線で示すグラフの右側に順次移行するように座標を更新する。
【0069】
それから、ポインタPが端点に到達しているか否かを判断する(S38)。ここで、ポインタPが画面の端点に到達していないと判断した場合には、ステップS35に戻り、ハプティック座標を取得するまで、スイッチ装置2から送信される操作情報の受信を待ちながら、ハプティック座標の取得待ちを行う。
【0070】
また、ポインタPが画面の端点に到達していると判断した場合には、通常の反力設定を行って(S39)、小画面描画部20における処理を終了する。
【0071】
このように、本実施形態に係る入力装置においては、壁越えが生じた後、スイッチ2Bを固定させている時間に応じてスイッチ2Bに付与する反力を調整し、スイッチ2Bにかかる力を緩めたときに、ポインタPが戻る位置を調整している。具体的に、壁越えをした後にスイッチ2Bを保持する時間が長いほど、ポインタPにかかる反力を小さくして、ポインタPが戻る位置が壁Wから遠ざかるようにしている。このため、スイッチ2Bにかかる力を緩めた時点での反力でポインタPが示す位置までスイッチ2Bが戻ることとなるので、スイッチ2Bの操作範囲を広く使うことができる。さらには、緩める位置が手前であるほど手前のスイッチを選択することができる。
【0072】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。たとえば、上記実施形態では、小画面表示スイッチ2Dを操作することによって小画面M2が表示されているようにしているが、他の条件によって小画面M2が表示される態様とすることもできる。たとえば、ポインタPが大画面M1における所定の箇所を選択したときに小画面M2を表示することもできるし、所定の時間となったときや入力装置を始動させたときに小画面M2を表示する態様とすることもできる。
【0073】
また、上記実施形態では、小画面M2は大画面M1に一部を表示するものであるが、大画面M1と小画面M2とは特に関連のない画面である態様とすることもできる。さらには、小画面M2は大画面M1の一部を拡大表示するものではないが、大画面M1と何らかの関係を有するものである態様とすることもできる。さらに、上記実施形態においては、大画面M1には地図や50音表が表示されているが、その他の画像が表示される態様とすることもできる。たとえば、オーディオ、エアコン、ブロアなどの操作スイッチ画面情報を表示し、エアコン温度、フロア風量、オーディオ音量などを調整できる態様とすることもできる。
【符号の説明】
【0074】
1…入力装置、2…スイッチ装置、2A…スイッチ筐体、2B…スイッチ、2C…決定スイッチ、2D…小画面表示スイッチ、3…横長ディスプレイ、4…反力付与モータ、10…大画面描画部、11…大画面操作情報取得部、12…大画面変換マップ記憶部、13…地図記憶部、14…大画面表示制御部、15…大画面反力設定部、20…小画面描画部、21…小画面操作情報取得部、22…小画面変換マップ記憶部、23…小画面表示制御部、24…小画面反力設定部、M1…大画面、M2…小画面、P…ポインタ、W…壁、X…操作可能範囲、Y…操作可能範囲。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1画面と前記第1画面よりも面積が小さくされた第2画面とを重畳的に表示する表示手段と、
前記表示手段に表示する表示情報を決定するにあたって、所定の操作幅内における操作領域で操作可能とされ、前記操作に応じた操作情報を出力する操作手段と、
前記操作手段から出力される操作情報を取得する操作情報取得手段と、
前記操作情報取得手段で取得した操作情報に応じて、前記第1画面または前記第2画面における選択位置を設定し、前記選択位置に対して選択位置表示を行う選択位置制御手段と、
前記操作手段の操作方向に対して反力を付与する反力付与手段と、
前記表示手段に表示される表示情報および前記選択位置に基づいて前記反力付与手段が前記操作手段に付与する反力を設定し、前記反力付与手段が前記操作手段に付与する反力を制御する反力制御手段と、を備え、
前記第2画面は、前記第1画面の一部を拡大表示可能とされており、
前記操作手段は、前記第2画面における前記第1画面に対する拡大率に応じて、前記操作領域を調整することを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記反力制御手段は、前記第2画面における前記第1画面に対する拡大率に応じて、前記反力付与手段が付与する反力を設定する請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記第2画面は、前記表示手段における表示位置を移動して変更可能とされており、
前記反力制御手段によって設定される反力に基づいて、前記第2画面の移動速度を制御する請求項1または請求項2に記載の入力装置。
【請求項4】
前記第2画面の移動速度は、前記反力制御手段によって設定される反力が大きいほど早くなるようにされている請求項3に記載の入力装置。
【請求項5】
前記反力制御手段は、前記第1画面と前記第2画面との間で前記選択位置が移行した際、移行直後の所定時間内に、前記反力付与手段が付与する反力を変化させる請求項1〜請求項3のうちのいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項6】
前記反力付与手段が付与する反力の変化が、時間の経過に伴って小さくなる変化である請求項5に記載の入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−165070(P2011−165070A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−29261(P2010−29261)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】