説明

入浴剤

【課題】肌がべたつかず、肌のすべすべ感が得られ、さらに入浴後に肌にしっとり感を与える入浴剤の提供。
【解決手段】以下の一般式(1):
Gly−[O−(PO)(EO)(BO)−H] (1)(式中、Glyはグリセリン残基であり;POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基、およびBOは炭素数4のオキシアルキレン基であり;質量比PO/EOは1/5〜5/1であり、POとEOとはランダム状に結合していてもブロック状に結合していてもよく;m、n、およびpは平均付加モル数であり、m+nは1〜50であり、pは1〜5である)で表される化合物(a)、25℃で液状の油性成分(b)、非イオン性界面活性剤(c)、および水(d)からなり、(a)と(b)との合計量が25〜65質量%であり、質量比(a)/(b)が1/20〜1/1であり、そして質量比(b)/(c)が、2/1〜20/1である、入浴剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入浴剤に関する。より詳細には、入浴中および入浴後に肌がべたつかず、十分な肌のすべすべ感が得られ、さらに入浴後に肌にしっとり感を与える、入浴剤に関する。
【背景技術】
【0002】
入浴は、身体を清潔にし、手足のみならず身体を芯まで温め、精神的にリラックスさせるなどの種々の効果があり、日常生活上欠くことのできない行為である。しかし、その一方で入浴による肌からの油分の喪失、特に冬季における入浴後の肌のかさつきを訴える人が多い。そこで、この入浴後の肌のかさつきを抑制するために、入浴後にローションやクリームなどを塗布することが行われている。しかし、ローションやクリームは、塗布に手間を要し、十分に体の隅々まで塗ることは困難である。
【0003】
上記のような問題を解決するために、油性成分や保湿剤を配合した入浴剤が用いられている。入浴剤は、入浴中にスキンケアすることができるため、ローションやクリームなどに比べて、塗布する手間が省け、全身の隅々までケアできるという利点がある。
【0004】
ところで、入浴剤には、入浴後の肌のかさつきを抑制する観点から、通常、油性成分が含有される。このような入浴剤として、例えば、バスオイルなどが知られている。バスオイルには、肌のかさつきの抑制効果を発揮する油性成分が有効成分として含有されている。しかし、この油性成分は、浴槽中では油層を形成するため、結局、上記効果を発揮するのは油層部分のみに限られる。そのため、十分なしっとり感が得られない。十分なしっとり感を得るためには大量のバスオイルが必要であり、その結果、入浴中に油性成分が必要以上に肌に付着し、べたつきを感じるという問題が生じる。さらに、浴槽を汚す、油性成分が浴槽に浮くために使用上見た目が悪いなどの問題もある。
【0005】
そこで、上述の問題を改善するために、乳化型白濁入浴剤が提案されている。例えば、特許文献1では、油性成分を10〜40重量%、平均HLBが8〜14の非イオン性界面活性剤を2〜40重量%、および色素を0.0001〜0.01重量%含む、粘度が300cps以下の乳化型入浴剤組成物が開示されている。この入浴剤組成物を浴湯に加えて分散させると、その色が少しの間浴湯に残存し、次いで乳白色となる。さらにこの組成物は、保存安定性や湯への分散性に優れることが記載されている。また、特許文献2では、O/Wエマルションからなり、メディアン径が0.1〜0.6μmであり、該エマルションの体積基準での粒子径分布において、0.5μm以上の粒子の含有率が60%以下であり、1.0μm以上の粒子の含有率が30%以下である、エタノールおよび/または食塩含有入浴剤用の白濁剤が開示されている。この白濁剤は、高温安定性に優れ、かつ浴湯に加えたときに白濁度の持続性に優れることが記載されている。しかし、これらの入浴剤は、入浴後のしっとり感はある程度得られるものの、入浴中および入浴後の肌のすべすべ感が不十分である。
【0006】
特許文献3では、ポリオキシエチレンを主鎖として、側鎖に両性の官能基を有する親水性ポリエーテル重合体を含有する入浴剤を提案している。この入浴剤はしっとり感や肌のすべすべ感はある程度得られるものの、高分子化合物であるため入浴中および入浴後にべたつくという問題がある。
【0007】
特許文献4ではポリオキシアルキレンジカルボン酸エステルを含有する浴用剤が提案され、特許文献5では25℃の水に1〜15重量%溶解し、かつトリ2−エチルヘキサン酸グリセリルに5重量%以上溶解する25℃で液状の油分を含有する入浴剤を提案されている。しかし、これらの入浴剤は入浴中および入浴後にべたつかず、入浴後のしっとり感もある程度得られるが、すべすべ感が得られないという問題がある。
【特許文献1】特開平6−92839号公報
【特許文献2】特開平11−189526号公報
【特許文献3】特開平11−116986号公報
【特許文献4】特開2001−206838号公報
【特許文献5】特開2001−335465号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、入浴中および入浴後に肌がべたつかず、十分な肌のすべすべ感が得られ、さらに入浴後に肌にしっとり感を与える、入浴剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねたところ、オキシアルキレン基を分子中に有する特定の化合物(a)、25℃で液状の油性成分(b)、非イオン性界面活性剤(c)、および水(d)からなる入浴剤を用いることによって、入浴中および入浴後に肌がべたつかず、十分な肌のすべすべ感が得られ、さらに入浴後に肌にしっとり感が得られることを見出して本発明を完成するに至った。
【0010】
本発明の入浴剤は、以下の一般式(1):
Gly−[O−(PO)(EO)(BO)−H] (1)
(式中、Glyはグリセリン残基であり;POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基、およびBOは炭素数4のオキシアルキレン基であり;POとEOとの質量比PO/EOは1/5〜5/1であり、POとEOとはランダム状に結合していてもブロック状に結合していてもよく;そしてm、n、およびpは平均付加モル数であり、m+nは1〜50であり、pは1〜5である)で表される化合物(a)、25℃で液状の油性成分(b)、非イオン性界面活性剤(c)、および水(d)からなり、該入浴剤中の該化合物(a)と該25℃で液状の油性成分(b)との合計量が、25〜65質量%であり、該化合物(a)と該25℃で液状の油性成分(b)との質量比(a)/(b)が、1/20〜1/1であり、そして該25℃で液状の油性成分(b)と該非イオン性界面活性剤(c)との質量比(b)/(c)が、2/1〜20/1である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の入浴剤は、入浴中および入浴後に肌がべたつかず、十分な肌のすべすべ感が得られ、さらに入浴後に肌にしっとり感を与える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の入浴剤は、化合物(a)、25℃で液状の油性成分(b)、非イオン性界面活性剤(c)、および水(d)からなる。以下、各成分およびそれを構成成分とする入浴剤について順次説明する。
【0013】
(化合物(a))
本発明の入浴剤に用いられる化合物(a)は、以下の一般式(1):
Gly−[O−(PO)(EO)(BO)−H] (1)
(式中、Glyはグリセリン残基であり;POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基、およびBOは炭素数4のオキシアルキレン基であり;POとEOとの質量比PO/EOは1/5〜5/1であり、POとEOとはランダム状に結合していてもブロック状に結合していてもよく;そしてm、n、およびpは平均付加モル数であり、m+nは1〜50であり、pは1〜5である)で表される。
【0014】
上記一般式(1)において、Glyは、上述のように、グリセリン残基であり、これは、グリセリンから3個の水酸基を除いた形状の基(グリセリル基)を指していう。
【0015】
上記一般式(1)において、オキシプロピレン基とオキシエチレン基との質量比PO/EOは、1/5〜5/1である。PO/EOが1/5未満の場合、得られる入浴剤では、入浴中および入浴後の肌のすべすべ感が不十分である。5/1を超える場合、入浴後の肌のしっとり感が不十分である。
【0016】
上記一般式(1)において、オキシプロピレン基の平均付加モル数であるmと、オキシエチレン基の平均付加モル数であるnとの合計量m+nは、1〜50、好ましくは2〜45である。すなわち1分子内のPOおよびEOの付加モル数の合計は、3〜150モル、好ましくは6〜135モルである。m+nが1未満の場合(すなわちPOおよびEOの付加モル数の合計が3モル未満の場合)、得られる入浴剤では入浴中および入浴後の肌のすべすべ感が不十分である。m+nが50を超える場合(すなわちPOおよびEOの付加モル数の合計が150モルを超える場合)、入浴中および入浴後に肌にべたつきを感じ、入浴後の肌のしっとり感が不十分である。
【0017】
上記一般式(1)において、オキシプロピレン基(PO)とオキシエチレン基(EO)とは、ランダム状に結合していてもブロック状に結合していてもよい。得られる入浴剤の入浴中および入浴後の肌のすべすべ感が優れる点、および入浴後の肌のしっとり感が優れる点から、ランダム状に結合していることが好ましい。
【0018】
上記一般式(1)において、炭素数が4のオキシアルキレン基(BO)の原料としては、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、テトラメチレンオキシド(テトラヒドロフラン)などが挙げられる。
【0019】
上記一般式(1)において、炭素数が4のオキシアルキレン基の平均付加モル数であるpは、1〜5である。すなわち1分子内のBOの付加モル数の合計は、3〜15モルである。pが1未満の場合(すなわちBOの付加モル数の合計が3モル未満の場合)、得られる入浴剤では、入浴中および入浴後に肌にべたつきを感じる。pが5を超える場合(すなわちBOの付加モル数の合計が15モルを超える場合)、入浴後の肌のしっとり感が不十分である。
【0020】
上記化合物(a)は、グリセリンにプロピレンオキシドおよびエチレンオキシドを付加した後、さらに炭素数4のアルキレンオキシドを付加することによって得られる。具体的には、まず、グリセリン1モルに対して、プロピレンオキシドとエチレンオキシドとを合計で3〜150モル当量添加して付加反応を行う。プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドの添加順序は、どちらが先でもよく、あるいは同時であってもよい。その後、得られた付加物に、さらにグリセリン1モルに対して、炭素数が4のアルキレンオキシドを1.5〜15モル当量添加して付加反応を行う。
【0021】
(油性成分(b))
本発明の入浴剤に用いられる油性成分(b)は、25℃において液状である。このような油性成分(b)としては、例えば、炭化水素、液状油脂、エステルなどが挙げられる。
【0022】
炭化水素は、直鎖、分岐鎖、および環状のいずれの構造であってもよく、飽和結合および不飽和結合のいずれを有していてもよい。このような炭化水素としては、例えば、実質的に直鎖の飽和炭化水素化合物である流動パラフィン、分岐鎖を有する飽和炭化水素化合物である流動イソパラフィン、スクワラン、およびスクワレンが挙げられる。入浴後の肌のしっとり感が十分得られる点で流動パラフィンまたはスクワランが好ましく用いられる。
【0023】
液状油脂には、例えば、動物由来のミンク油、植物由来のアボガド油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、オリーブ油、ひまわり油、コメヌカ油、およびコメ胚芽油が挙げられる。入浴後の肌のしっとり感が十分得られる点からコメヌカ油またはオリーブ油が好ましく用いられる。
【0024】
エステルは、カルボン酸と1〜3価のアルコールとの脱水反応などによって得られる合成カルボン酸エステル化合物である。例えば、パルミチン酸2−エチルヘキシル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、2−エチルヘキサン酸セチル、セバシン酸ジエチル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸エチル、ジデカン酸ネオペンチルグリコール、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリルなどが挙げられる。
【0025】
(非イオン性界面活性剤(c))
本発明の入浴剤に用いられる非イオン性界面活性剤(c)としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、ポリグリセリン脂肪酸エステルなどが挙げられる。
【0026】
(入浴剤)
本発明の入浴剤は、上述のように、化合物(a)、25℃で液状の油性成分(b)、非イオン性界面活性剤(c)、および水(d)からなる。
【0027】
本発明の入浴剤中の上記化合物(a)と、上記25℃で液状の油性成分(b)との合計量は、25〜65質量%、好ましくは27〜63質量%、より好ましくは30〜60質量%である。化合物(a)と25℃で液状の油性成分(b)との合計量が25質量%未満となる場合、得られる入浴剤では、入浴中および入浴後の肌のすべすべ感が不十分であり、入浴後の肌のしっとり感が不十分である。上記合計量が65質量%を超える場合、入浴中および入浴後に肌にべたつきを感じる。
【0028】
本発明の入浴剤において、化合物(a)と25℃で液状の油性成分(b)との質量比a/bは、1/20〜1/1、好ましくは1/18〜1/2、より好ましくは1/16〜1/3である。a/bが1/20未満の場合、入浴中および入浴後の肌のすべすべ感が不十分である。1/1を超える場合は、入浴中および入浴後に肌にべたつきを感じる。
【0029】
本発明の入浴剤において、25℃で液状の油性成分(b)と非イオン性界面活性剤(c)との質量比b/cは、2/1〜20/1、好ましくは3/1〜18/1、より好ましくは4/1〜16/1である。b/cが2/1未満の場合、入浴中および入浴後に肌にべたつきを感じる。20/1を超える場合は、入浴後の肌のしっとり感が不十分である。
【実施例】
【0030】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記実施例に制限されない。なお、本実施例および比較例においては、流動パラフィンとしてモレスコホワイトP−70(株式会社松村石油化学研究所)、パルミチン酸2−エチルヘキシルとしてサラコスP−8(日清オイリオグループ株式会社)、コメヌカ油としてこめサラダ油(築野食品工業株式会社)、ポリオキシエチレン(15モル)ステアリルエーテルとしてエマルゲン320P(花王株式会社)、ポリオキシエチレン(7モル)ヤシ油脂肪酸グリセリルとしてユニグリMK−207G(日本油脂株式会社)、ポリオキシエチレン(8モル)ステアリルエーテルとしてEMALEX608(日本エマルション株式会社)、モノオレイン酸ソルビタンとしてNOFABLE SO−851S(日本油脂株式会社)、そしてモノステアリン酸ソルビタンとしてノニオンSP−60RPペレット(日本油脂株式会社)を用いた。
【0031】
(実施例1)
a成分として、ポリオキシブチレン(BO)(3モル)ポリオキシエチレン(EO)(9モル)ポリオキシプロピレン(PO)(6モル)グリセリルエーテル(式(1)において、mが2、nが3、およびpが1であり、質量比PO/EOは1/1.1であり、そしてPOおよびEOはランダム付加である)を用いた。これを化合物a−1とする。この化合物a−1と表1に記載のb〜d成分とを表1に記載の割合で混合して入浴剤を調製した。得られた入浴剤を用いて、入浴中および入浴後の肌のべたつき感、および肌のすべすべ感、ならびに入浴後の肌のしっとり感について、以下の(1)〜(3)の方法により評価した。結果を表1に示す。
【0032】
(1)入浴中および入浴後の肌のべたつき感
12名の男性(27〜45歳)および8名の女性(23〜58歳)の合計20名をパネラーとし、180Lの湯(約40℃)が入った浴槽中に、上記調製した入浴剤を50mL入れ、10分間入浴させる。入浴中および入浴後の肌のべたつき感について以下の基準で採点する。
【0033】
(評価基準)
2点:入浴中および入浴後において、肌のべたつきがない。
1点:入浴中および入浴後において、肌にべたつきを感じるが許容範囲である。
0点:入浴中および入浴後において、肌に非常にべたつきを感じる。
【0034】
得られた点数の合計が30点以上であり、かつ各パネラーの評価において0点が1つもない場合は、入浴中および入浴後の肌のべたつき感がない(○)として評価する。他方、30点未満である、あるいは30点以上であるが、パネラーの評価において0点がある場合は、入浴中および入浴後の肌のべたつき感がある(×)として評価する。
【0035】
(2)入浴中および入浴後の肌のすべすべ感
12名の男性(27〜45歳)および8名の女性(23〜58歳)の合計20名をパネラーとし、180Lの湯(約40℃)が入った浴槽中に、上記調製した入浴剤50mLを入れ、10分間入浴させる。入浴中および入浴後の肌のすべすべ感について以下の基準で採点する。
【0036】
(評価基準)
2点:入浴中および入浴後において、十分な肌のすべすべ感が得られる。
1点:入浴中および入浴後において、許容範囲の肌のすべすべ感を感じる。
0点:入浴中および入浴後において、肌にすべすべ感がないまたは不十分である。
【0037】
得られた点数の合計が30点以上であり、かつ各パネラーの評価において0点が1つもない場合は、入浴中および入浴後の肌のすべすべ感が十分である(○)として評価する。他方、30点未満である、あるいは30点以上であるが、パネラーの評価において0点がある場合は、入浴中および入浴後の肌のすべすべ感が不十分である(×)として評価する。
【0038】
(3)入浴後の肌のしっとり感
12名の男性(27〜45歳)および8名の女性(23〜58歳)の合計20名をパネラーとし、180Lの湯(約40℃)が入った浴槽中に、上記調製した入浴剤50mLを入れ、10分間入浴させる。タオルドライしてから120分後における肌の潤いについて以下の基準で採点する。
【0039】
(評価基準)
2点:入浴直後と同様、肌が十分潤っていると感じる。
1点:入浴直後に比べて、肌の潤いがやや減っていると感じる。
0点:入浴直後に比べて、肌の潤いが明らかに減っていると感じる。
【0040】
得られた点数の合計が30点以上であり、かつ各パネラーの評価において0点が1つもない場合は、入浴後の肌のしっとり感が十分である(○)として評価する。他方、30点未満である、あるいは30点以上であるが、パネラーの評価において0点がある場合は、入浴後の肌のしっとり感が不十分である(×)として評価する。
【0041】
(実施例2)
a成分として、ポリオキシブチレン(BO)(6モル)ポリオキシエチレン(EO)(54モル)ポリオキシプロピレン(PO)(81モル)グリセリルエーテル(式(1)において、mが27、nが18、およびpが2であり、質量比PO/EOは2/1であり、そしてPOおよびEOはランダム付加である)を用いた。これを化合物a−2とする。この化合物a−2と表1に記載のb〜d成分とを表1に記載の割合で混合して入浴剤を調製した。得られた入浴剤を用いて、入浴中および入浴後の肌のべたつき感、および肌のすべすべ感、ならびに入浴後の肌のしっとり感について、実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
【0042】
(実施例3)
a成分として、ポリオキシブチレン(BO)(3モル)ポリオキシエチレン(EO)(45モル)ポリオキシプロピレン(PO)(9モル)グリセリルエーテル(式(1)において、mが3、nが15、およびpが1であり、質量比PO/EOは1/3.7であり、そしてPOおよびEOはランダム付加である)を用いた。これを化合物a−3とする。この化合物a−3と表1に記載のb〜d成分とを表1に記載の割合で混合して入浴剤を調製した。得られた入浴剤を用いて、入浴中および入浴後の肌のべたつき感、および肌のすべすべ感、ならびに入浴後の肌のしっとり感について、実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
【0043】
(実施例4)
a成分として、ポリオキシブチレン(BO)(2.1モル)ポリオキシエチレン(EO)(21モル)ポリオキシプロピレン(PO)(75モル)グリセリルエーテル(式(1)において、mが25、nが7、およびpが0.7であり、質量比PO/EOは4.8/1であり、そしてPOおよびEOはランダム付加である)を用いた。これを化合物a−4とする。この化合物a−4と表1に記載のb〜d成分とを表1に記載の割合で混合して入浴剤を調製した。得られた入浴剤を用いて、入浴中および入浴後の肌のべたつき感、および肌のすべすべ感、ならびに入浴後の肌のしっとり感について、実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
【0044】
(実施例5)
c成分として、ポリオキシエチレン(8モル)ステアリルエーテルを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、入浴剤を調製した。得られた入浴剤を用いて、入浴中および入浴後の肌のべたつき感、および肌のすべすべ感、ならびに入浴後の肌のしっとり感について、実施例1と同様の方法により評価した。結果を表1に示す。
【0045】
(比較例1)
a’成分として、ポリオキシブチレン(BO)(3モル)ポリオキシエチレン(EO)(90モル)ポリオキシプロピレン(PO)(75モル)グリセリルエーテル(式(1)において、mが25、nが30、およびpが1であり、質量比PO/EOは1.1/1であり、そしてPOおよびEOはランダム付加である)を用いた。これを化合物a’−1とする。この化合物a’−1と表1に記載のb〜d成分とを表1に記載の割合で混合して入浴剤を調製した。得られた入浴剤を用いて、入浴中および入浴後の肌のべたつき感、および肌のすべすべ感、ならびに入浴後の肌のしっとり感について、実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
【0046】
(比較例2)
a’成分として、ポリオキシブチレン(BO)(27モル)ポリオキシエチレン(EO)(3モル)ポリオキシプロピレン(PO)(24モル)グリセリルエーテル(式(1)において、mが8、nが1、およびpが9であり、質量比PO/EOは10.6/1であり、そしてPOおよびEOはランダム付加である)を用いた。これを化合物a’−2とする。この化合物a’−2と表1に記載のb〜d成分とを表1に記載の割合で混合して入浴剤を調製した。得られた入浴剤を用いて、入浴中および入浴後の肌のべたつき感、および肌のすべすべ感、ならびに入浴後の肌のしっとり感について、実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
【0047】
(比較例3〜6)
表1に記載のa成分〜d成分を表1に示す割合で混合して入浴剤を調製した。得られた入浴剤を用いて、入浴中および入浴後の肌のべたつき感、および肌のすべすべ感、ならびに入浴後の肌のしっとり感について、実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
【0048】
【表1】

【0049】
表1の結果から、実施例1〜5の入浴剤は、いずれも入浴中および入浴後に肌にべたつき感がなく、十分な肌のすべすべ感が得られ、そして入浴後にも十分な肌のしっとり感が得られた。
【0050】
一方、比較例1〜6の入浴剤は、本発明の範囲を満たさず、入浴剤としての十分な性能が得られていないことがわかる。すなわち、比較例1では、a成分の代わりに、オキシプロピレン基(PO)とオキシエチレン基(EO)との平均付加モル数の合計m+nが50を超える化合物が用いられているため、入浴中および入浴後に肌にべたつき感があり、入浴後の肌のしっとり感も不十分であった。比較例2では、a成分の代わりに、POとEOとの質量比が5/1を超え(質量比PO/EO=10.6/1)、さらに炭素数が4のオキシブチレン基(BO)の平均付加モル数が5を超える化合物が用いられているため、入浴後の肌のしっとり感が不十分であった。比較例3では、a成分が含まれていないため、入浴中および入浴後の肌のすべすべ感が不十分であり、入浴後の肌のしっとり感が不十分であった。比較例4では、a/bが大きく、b/cが小さいため、入浴中および入浴後に肌にべたつき感があった。比較例5では、b成分が含まれていない、あるいはc成分が含まれていないため、入浴中および入浴後の肌のすべすべ感が不十分であり、入浴後の肌のしっとり感が不十分であった。比較例6では、a/bが小さいため、入浴中および入浴後に肌のすべすべ感が不十分であった。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明によれば、入浴中および入浴後に肌がべたつかず、十分な肌のすべすべ感が得られ、さらに入浴後に肌にしっとり感を与える入浴剤が提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の一般式(1):
Gly−[O−(PO)(EO)(BO)−H] (1)
(式中、Glyはグリセリン残基であり;POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基、およびBOは炭素数4のオキシアルキレン基であり;POとEOとの質量比PO/EOは1/5〜5/1であり、POとEOとはランダム状に結合していてもブロック状に結合していてもよく;そしてm、n、およびpは平均付加モル数であり、m+nは1〜50であり、pは1〜5である)
で表される化合物(a)、25℃で液状の油性成分(b)、非イオン性界面活性剤(c)、および水(d)からなる入浴剤であって、
該入浴剤中の該化合物(a)と該25℃で液状の油性成分(b)との合計量が、25〜65質量%であり、
該化合物(a)と該25℃で液状の油性成分(b)との質量比(a)/(b)が、1/20〜1/1であり、そして
該25℃で液状の油性成分(b)と該非イオン性界面活性剤(c)との質量比(b)/(c)が、2/1〜20/1である、
入浴剤。

【公開番号】特開2007−217392(P2007−217392A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−43043(P2006−43043)
【出願日】平成18年2月20日(2006.2.20)
【出願人】(000004341)日本油脂株式会社 (896)
【Fターム(参考)】