説明

入退構管理装置及び方法

【課題】警備員の負担を増やすことなく、入退構車両の乗車者に対して、事業所の入退構を迅速かつ精度よく行うことである。
【解決手段】入構証読取用HT12は、入退構車両11に乗車する際に乗車者の所持する入構証ICカードのID番号を読み取り読み取った入構証ICカードの枚数を表示出力する。そして、事業所の入退構の際に入退構車両11が停止位置18に一時停止したとき、送受信装置14は入構証読取用HT12に記憶された乗車者のID番号を演算制御装置16に送信する。演算制御装置16は、送受信装置14で受信した入構証読取用HT12に記憶された乗車者のID番号と照合用IDデータベース15に記憶された照合用ID番号とを照合し、適合した適合IDの総数を表示器17に表示出力するとともに不適合のID番号を送受信装置14を介して入構証読取用HT12に送信し表示出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、事業所へ入退構するための入退構専用道路に使用される入退構管理装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、工場や発電所などの大規模な事業所においては、機密保持や安全確保等の観点から許可された者のみを構内に入場させる入構管理が行われている。また、自家用車等の車両を使って通勤する者に対しては、車両専用ゲートが設けられ入構管理が行われている。
【0003】
一般に、事業所への入構管理は、車両専用ゲートに配置された警備員が入構車両を停止させ、乗車者の所持する入構許可証を目視にて確認し、入構許可された者であるか否かを判断している。入構許可証は、所定の審査の上、氏名、所属部署、有効期限等が記載され、顔写真を印刷して発行される。
【0004】
このような警備員による許可証の目視確認では、顔写真と入構許可証を所持する者とが同一人物であるか否かの確認は即時にできるものの、入構許可証自体の有効性確認は困難である。そこで、入退場管理装置が開発されている。
【0005】
入退場管理装置として、車両に無線IDタグを搭載し、無線IDタグと無線で情報の授受を行う入場用リーダ装置及び処理部を備え、入場用リーダ装置から無線IDタグに記録された車両IDを入力して、処理部は、車両IDを入力した時刻が車両IDをもつ車両が正規退場後、所定の第1の回避時間が経過した後の時刻であるか、あるいは、車両IDをもつ車両が未入場であれば、車両IDをもつ車両は正規の入場であると判断し、退場用リーダ装置から車両IDを入力すると、車両IDを入力した時刻が車両IDをもつ車両が正規入場後、所定の第2の回避時間が経過した後の時刻であれば、車両IDをもつ車両は正規の退場であると判断し、車両入退場の誤認識を防止し信頼性を高めたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、固定側にコントローラを配置し、人や車両等の移動体側に固有IDを有する特定のタグを配置し、コントローラとタグとの間の送受信を光信号や電波にて行うことで固有IDを認証用データベースより判定して位置ID及びタグIDの認証を行うとともに、その認証判定と予め個人情報として記録した生体認証用データベースとに基づいた判定結果により防犯管理を行うようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
さらに、携帯電話及び携帯端末やPC(personal computer)とインターネットを介して通信可能なETC管理サーバを設け、ETC管理サーバは、携帯電話を携帯した乗車者が居る車両の道路への通行を許可するための通行許可情報を生成し、ゲート開閉制御装置は、ETC管理サーバから携帯電話へインターネットを介して通知された有料道路の通行許可情報に基づいて、有料道路への車両の入退場を制御するようにしたものがある(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2007−257407号公報
【特許文献2】特開2006−119775号公報
【特許文献3】特開2005−316737号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、特許文献1のものでは車両入退場の誤認識を防止できるが、車両の乗車者の入退構の認識をすることができない。また、特許文献2のものでは、固有IDの認証だけでなく生体認証も行ってセキュリティを高めているので、入構のための認証に時間がかかる。例えば、大型乗合自動車であるバスに大勢の乗車者が乗車している場合に、乗車者全員の入退構の可否を判定するには時間がかかる。また、特許文献3のものは車両の乗車者ごとに入退場を制御できるが、特許文献2の場合と同様に、大型乗合自動車に大勢の乗車者が乗車しているような場合に、乗車者全員の入退構の可否を判定するには時間がかかり、適用が困難となる。
【0009】
前述したように、現状においては、事業所での入退構は、警備員による入構証の目視確認が行われているが、有効期限切れ入構証や偽造入構証などの不正入構証を判別することは難しい。また、朝の通勤時間帯には事業所への入構が集中し、特に最寄り駅から事業所までの入退構乗合車両(通勤専用バス)の乗車者について、事業所への入構を滞らせることなく不正入構証を短時間で判別することは事実上不可能である。
【0010】
本発明の目的は、警備員の負担を増やすことなく、入退構乗合車両の乗車者に対して、事業所の入退構を迅速かつ精度よく行うことができる入退構管理装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明に係わる入退構管理装置は、事業所へ入退構するための入退構専用道路に使用される入退構管理装置において、入退構乗合車両に乗車する際に乗車者の所持する入構証ICカードのID番号を読み取り記憶するとともに読み取った入構証ICカードの枚数を表示出力する入構証読取用HTと、前記事業所への入構を許可された者のID番号を予め登録した照合用IDデータベースと、前記事業所の入退構の際に前記入退構乗合車両が一時停止する停止位置に設置され前記入構証読取用HTに記憶された乗車者のID番号を受信する送受信装置と、前記送受信装置で受信した前記入構証読取用HTに記憶された乗車者のID番号と前記照合用IDデータベースに記憶された照合用ID番号とをが適合した適合IDの総数を表示出力する表示装置と、不適合のID番号を前記送受信装置を介して前記入構証読取用HT及び警備員が携帯する携帯HTに送信し表示出力する演算制御装置とを備えたことを特徴とする入退構管理装置。
【0012】
請求項2の発明に係わる入退構管理方法は、請求項1の入退構管理装置を用いて事業所への乗合車両の入退構を管理する入退構管理方法において、入退構乗合車両の運転手は前記入退構乗合車両の乗車時に入構証ICカード不携帯者及び前記入構証読取用HTでの入構証ICカード読取失敗者を確認するとともに前記入構証読取用HTで読み取った入構証ICカードの枚数を確認し、前記入退構乗合車両が前記事業所に到着したときは前記運転手は前記入構証読取用HTで読み取った入構証ICカードの枚数を警備員に報告し、前記警備員は入退構乗合車両の乗車者人数が前記入構証読取用HTで読み取った入構証ICカードの枚数及び前記表示装置が表示出力した適合IDの総数と一致するか否かを確認することを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明に係わる入退構管理方法は、請求項2の入退構管理方法において、前記入退構乗合車両の運転手は、前記事業所に到着したときは前記運転手は前記入構証読取用HTで読み取った入構証ICカードの枚数を警備員に報告し、前記警備員は入退構乗合車両の乗車者人数が前記入構証読取用HTで読み取った入構証ICカードの枚数及び前記表示装置が表示出力した適合IDの総数と一致するか否かを確認し、これらが一致するときは前記入退構乗合車両の入退構を許可することを特徴とする。
【0014】
請求項4の発明に係わる入退構管理方法は、請求項3の入退構管理方法において、入退構乗合車両の乗車者人数と、前記入構証読取用HTで読み取った入構証ICカードの枚数と、前記表示装置が表示出力した適合IDの総数とが一致しないときは、警備員は入退構乗合車両に乗車し、不適合の入構証ICカードの乗車者に降車するように促し、不適合の入構証ICカードの乗車者の降車後の乗車者人数が前記表示装置が表示出力した適合IDの総数と一致するときは前記入退構乗合車両の入退構を許可することを特徴とする。
【0015】
請求項5の発明に係わる入退構管理方法は、請求項4の入退構管理方法において、不適合の入構証ICカードの乗車者の降車後の乗車者人数が前記表示装置が表示出力した適合IDの総数と一致しないときは、警備員は不適合の入構証ICカードの乗車者の降車後の乗車者全員に対して入構証ICカードを警備員が携帯する前記携帯HTで読み取らせ、未だ降車していない不適合の入構証ICカードの乗車者を特定して降車させ、その不適合の入構証ICカードの乗車者の降車後の乗車者人数が前記表示装置が表示出力した適合IDの総数と一致するときは前記入退構乗合車両の入退構を許可することを特徴とする。
【0016】
請求項6の発明に係わる入退構管理方法は、請求項2の入退構管理方法において、前記入退構乗合車両の運転手は、前記入退構乗合車両の乗車時に入構証ICカード不携帯者及び前記入構証読取用HTでの入構証ICカード読取失敗者が存在するときは、前記入構証ICカード不携帯者及び前記入構証ICカード読取失敗者が前記事業所で降車することを条件に乗車を許可し、前記事業所に到着したときは前記運転手は前記入構証読取用HTで読み取った入構証ICカードの枚数を警備員に報告するとともに、前記入構証ICカード不携帯者及び前記入構証ICカード読取失敗者に降車するように促し、前記警備員は前記入構証ICカード不携帯者及び前記入構証ICカード読取失敗者の降車後の乗車者人数が前記表示装置が表示出力した適合IDの総数と一致するときは前記入退構乗合車両の入退構を許可することを特徴とする。
【0017】
請求項7の発明に係わる入退構管理方法は、前記請求項6の発明において、前記入構証ICカード不携帯者及び前記入構証ICカード読取失敗者の降車後の乗車者人数が前記表示装置が表示出力した適合IDの総数と一致しないときは、警備員は入退構乗合車両に乗車し、不適合の入構証ICカードの乗車者に降車するように促し、不適合の入構証ICカードの乗車者の降車後の乗車者人数が前記表示装置が表示出力した適合IDの総数と一致するときは前記入退構乗合車両の入退構を許可することを特徴とする。
【0018】
請求項8の発明に係わる入退構管理方法は、請求項7の入退構管理方法において、不適合のID番号の乗車者の降車後の乗車者人数が前記表示装置が表示出力した適合IDの総数と一致しないときは、警備員は不適合の入構証ICカードの乗車者の降車後の乗車者全員に対して入構証ICカードを警備員が携帯する携帯HTで読み取らせ、未だ降車していない不適合の入構証ICカードの乗車者を特定して降車させ、その不適合の入構証ICカードの乗車者の降車後の乗車者人数が前記表示装置が表示出力した適合IDの総数と一致するときは前記入退構乗合車両の入退構を許可することを特徴とする。
【0019】
請求項9の発明に係わる入退構管理方法は、請求項3乃至8のいずれか1項記載の入退構管理方法において、前記入退構乗合車両の入退構を許可する際に、警備員は乗車者による入構証ICカードの提示にて乗車者の確認を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、入退構乗合車両に入構証読取用HTを搭載し、入退構乗合車両に乗車する際に乗車者の所持する入構証ICカードのID番号を入構証読取用HTで読み取り、入構証読取用HTに記憶された乗車者のID番号と、予め照合用IDデータベースに登録された照合用ID番号とを照合し、適合した適合IDの総数及び不適合のID番号を表示出力するので、警備員はこれらの情報に基づき入退構乗合車両の乗車者の入退構管理を行える。従って、警備員の負担を増やすことなく、入退構乗合車両の乗車者に対して、事業所の入退構を迅速かつ精度よく行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1は本発明の実施の形態に係わる入構管理装置の構成図である。入退構乗合車両11は、例えば、事業所に勤務する従業員や取引業者等を乗車させて事業所構内に出入りするバスである。入退構乗合車両11には、従業員や取引業者等の入構が許可された者に交付された入構証ICカードを読み取るための入構証読取用HT(Handy Terminal)12が設置されている。バスの乗車者は入構証読取用HT12に入構証ICカードを読み取らせてから乗車する関係から、入構証読取用HT12はバスの乗車口に配置される。
【0022】
入構証読取用HT12は、読み取った入構証ICカードのID番号を照合するサーバ13と送受信装置14を介して無線LANによる通信機能を有する。また、読み取った入構証ICカードのID番号を記憶する機能、入構証ICカードの読取成功音(乗車/降車)を発生させる機能、入構証ICカードの読取枚数を表示する機能、照合後のエラーカード番号を表示する機能等を有する。すなわち、入構証読取用HT12は、記憶装置、音発生器、表示器を有し、記憶装置に読み取った入構証ICカードを記憶し、音発生器に入構証ICカードの読取成功音を出力し、表示器に入構証ICカードの読取枚数や照合後のエラーカード番号の表示等を行う。
【0023】
また、警備員26が携帯する携帯HT28も入構証読取用HT12と同様の機能を有し、携帯HT28は警備員26が必要に応じて入構証ICカードの読み取りを行うものであり、後述するように、不適合の入構証ICカードを携帯したまま入退構乗合車両11に乗車している者を特定する際に使用される。
【0024】
サーバ13は、事業所への入構を許可された者のID番号を予め登録した照合用IDデータベース15と、入構証読取用HTで読み取られた乗車者のID番号と照合用IDデータベースに登録された照合用ID番号とを照合する演算制御装置16とを有する。
【0025】
送受信装置14は事業所の入退構の際に入退構乗合車両11が一時停止する停止位置(停止線)18の近傍に設置される。入退構乗合車両11の運転手は事業所の停止線18で入退構乗合車両11を停止させ、その後に、入構証読取用HT12の送信スイッチを操作して、入構証読取用HT12に記憶された乗車者のID番号を送受信装置14に送信する。送受信装置14は、入構証読取用HT12や携帯HT28に記憶された乗車者のID番号を受信し演算制御装置16に入力する。
【0026】
演算制御装置16は、入構証読取用HT12や携帯HT28に記憶された乗車者のID番号と照合用IDデータベース15に登録された照合用ID番号とを照合する。照合用IDデータベース15には、照合用ID番号に対応付けられて、個人情報、有効期限などが記憶されているので、演算制御装置16は、入構証読取用HT12や携帯HT28で読み取られた乗車者のID番号に対応する照合用ID番号の有無や有効期限の有効性を照合する。そして、適合するID番号を計数し適合IDの総数を表示装置17に表示出力する。また、演算制御装置16は不適合のID番号を送受信装置14を介して入構証読取用HT12や携帯HT28に送信する。入構証読取用HT12や携帯HT28はその表示器に不適合のID番号を表示出力する。
【0027】
図2は本発明の実施の形態に係わる入構管理装置を事業所に適用した場合の構成図である。事業所が面する一般道路19には、入構専用道路20及び退構専用道路21が設けられており、事業所の構外と構内との境界にはゲート22が設置されている。入構乗合車両23は構外の一般道路19から入構専用道路20に入り、ゲート22を通過して構内に入り、入構レーン24を進み停止線18で一旦停止する。
【0028】
前述したように、入構乗合車両23に搭乗する乗車者は、入構乗合車両23に乗車する際に、予め入構乗合車両23に搭載された入構証読取用HT12に乗車者の所持する入構証ICカードのID番号を読み取らせておく。そして、入構乗合車両23の運転手は、入構乗合車両23に搭乗する乗車者の、入構証ICカードの不携帯及び入構証読取用HT12での入構証ICカード読取の失敗を確認し、また、入構証読取用HT12の表示器により、入構証読取用HT12で読み取った入構証ICカードの枚数を確認しておく。
【0029】
入構乗合車両23の運転手は、入構乗合車両23を停止線18で一旦停止させると、警備員26に入構証読取用HT12で読み取った入構証ICカードの枚数を報告する。また、停止線18の近傍には送受信装置14が設けられている。入構乗合車両23の運転手は、入構証読取用HT12の送信スイッチをオンして、入構証読取用HT12で読み取った入構証ICカードのID番号を送受信装置14を介してサーバ13に送信する。サーバ13は入構証読取用HT12で読み取った入構証ICカードの適合IDの総数を表示装置17に表示する。また、サーバ13は不適合のID番号があるときは、その不適合のID番号を送受信装置14を介して入構証読取用HT12に送信し、入構証読取用HT12の表示器に不適合のID番号を表示出力する。
【0030】
警備員26は、入構乗合車両23の乗車者人数(入構証所持人数)が入構証読取用HT12で読み取った入構証ICカードの枚数と一致し、サーバ13が表示装置17に表示出力した適合IDの総数と一致する場合には、入構乗合車両23の入構を許可する。一方、入構乗合車両23の入構証所持人数が入構証読取用HT12で読み取った入構証ICカードの枚数と一致しない場合には、警備員26は入構乗合車両23に乗車し、未だ降車していない入構証ICカード読取失敗者の降車を促し、降車してもらう。
【0031】
同様に、入構乗合車両23の入構証所持人数が表示装置17に表示出力した適合IDの総数と一致しない場合には、警備員26は入構乗合車両23に乗車し、入構証読取用HT12の表示器に表示された不適合のID番号の入構証ICカードを携帯している未だ降車していない乗車者の降車を促し、降車してもらう。
【0032】
入構証ICカード読取失敗者及び不適合の入構証ICカード携帯者の降車後においても、入構証所持人数が入構証読取用HT12の読取枚数及び適合IDの総数と一致しない場合には、入構証ICカード読取失敗者及び不適合の入構証ICカード携帯者が未だ入構乗合車両23に乗車していることになるので、その者を特定するために、警備員26は、自己が携帯する携帯HT28に乗車者全員の入構証ICカードを読み取らせて入構証ICカード読取失敗者及び不適合の入構証ICカード携帯者を特定する。警備員26は、特定した入構証ICカード読取失敗者及び不適合の入構証ICカード携帯者を、入構乗合車両23から降車させる。その後に、入構乗合車両23の入構を許可する。
【0033】
一方、事業所から退構する場合にも同様に、退構乗合車両27は停止線18で一旦停止し、退構乗合車両27の運転手は、入構証読取用HT12の送信スイッチをオンして、入構証読取用HT12で読み取った入構証ICカードのID番号を送受信装置14を介してサーバ13に送信する。サーバ13は入構証読取用HT12で読み取った入構証ICカードの適合IDの総数を表示装置17に表示する。また、サーバ13は不適合のID番号があるときは、その不適合のID番号を送受信装置14を介して入構証読取用HT12に送信し、入構証読取用HT12の表示器に不適合のID番号を表示出力する。
【0034】
図3は本発明の実施の形態に係わる入構管理方法の工程を示すフローチャートである。図3では事業所に入構する場合の工程を示している。入構乗合車両23に搭乗する乗車者は、入構乗合車両23に乗車する際に、予め入構乗合車両23に搭載された入構証読取用HT12に乗車者の所持する入構証ICカードのID番号を読み取らせる(S1)。そして、入構乗合車両23の運転手は、入構乗合車両23の乗車時に、読み取り未実施者及び失敗者がいるかどうか、つまり、入構証ICカード不携帯者及び入構証読取用HT12での入構証ICカード読取失敗者がいるか否かを確認する(S2)。入構証ICカード不携帯者は入構証読取用HT12での読み取りを行わないことで確認でき、入構証ICカード読取失敗者は入構証読取用HT12の読取成功音の有無で確認できる。運転手は、入構証ICカード不携帯者やICカード読取失敗者がいるときは事業所の出入口で降車することを条件に乗車を許可する(S3)。入構証読取用HT12で読み取った入構証ICカードの枚数は、入構証読取用HT12の表示器に表示される(S4)。運転手は、入構証読取用HT12の表示器で入構証ICカードの枚数を確認して入構乗合車両23を出発させる(S5)。
【0035】
入構乗合車両23の運転手は、入構乗合車両23が事業所に到着すると入構乗合車両23を停止線18で一旦停止させ、警備員26に入構証読取用HT12で読み取った入構証ICカードの枚数を報告する(S6)。入構乗合車両23の運転手は、入構証ICカード不携帯者及び入構証ICカード読取失敗者の降車を促す(S7)。
【0036】
また、入構乗合車両23の運転手は、入構証読取用HT12の送信スイッチをオンして、入構証読取用HT12で読み取った入構証ICカードのID番号を送受信装置14を介してサーバ13に送信し、サーバ13により入構証読取用HT12で読み取った入構証ICカードの照合を行わせる(S8)。その照合結果である適合IDの総数はサーバ13の表示装置17に表示される(S9)。また、サーバ13は不適合のID番号があるときは、その不適合のID番号を送受信装置14を介して入構証読取用HT12に送信し、入構証読取用HT12の表示器に不適合のID番号を表示する(S10)。
【0037】
警備員26は、入構乗合車両23の乗車者に対して入構証ICカードの提示を指示し、乗車者の入構証ICカードの目視確認及び人数確認を行う。つまり、カードの顔写真が所持者と同一人物であることを確認するとともに、入構証ICカードの所持人数を計数する(S11)。
【0038】
警備員26は、乗車人数と読み取った入構ICカード数と適合ID総数とが一致するかどうか、すなわち、入構乗合車両23の入構証所持人数と、運転手より報告を受けた入構証ICカードの枚数(入構証読取用HT12で読み取った入構証ICカードの枚数)と、サーバ13の表示装置17に表示された適合IDの総数とが一致するか否かを判断する(S12)。一致するときは、入構乗合車両23の入構を許可する(S13)。一方、一致しないときは、警備員26は入構乗合車両23に乗車し、入構証ICカード読取失敗者及び不適合の入構証ICカード携帯者の降車を促し降車させる(S14)。
【0039】
警備員26は、この状態で入構乗合車両23の入構証所持人数と入構証読取用HT12の読取枚数と適合IDの総数とが一致するか否かを判断する(S15)。一致するときは、入構乗合車両23の入構を許可する(S13)。一方、一致しないときは、入構乗合車両23の乗車者全員の入構証ICカードを警備員が携帯する携帯HT28で読み取らせる(S16)。そして、未だ降車していない不適合のID番号の入構証ICカードを携帯する乗車者を特定し降車させる(S17)。その後に、入構乗合車両23の入構を許可する(S13)。図3では事業所に入構する場合の工程について説明したが、事業所から退構する場合の工程についても同様に行われる。
【0040】
次に、警備員26が計数した入構証ICカードの所持人数(入構証所持人数)、入構証読取用HT12でID番号を読み取った入構証ICカードの読取枚数(HT読取人数)、サーバ13により照合した適合IDの総数(データ照合人数)が一致する場合及び不一致の場合について場合分けして入構管理を説明する。
【0041】
(1)入構証所持人数=HT読取人数=データ照合人数の場合
この場合には、入構乗合車両に乗車している乗車者全員が正規の入構証を所持している。従って、入構乗合車両23は入構を許可される。
【0042】
(2)入構証所持人数=HT読取人数>データ照合人数の場合
この場合は、入構証所持人数=HT読取人数であることから、乗車者全員の乗車時の入構証読取用HTによる入構証ICカードの読み取りが成功している。また、入構証所持人数>データ照合人数であることから、未だ乗車者の中に有効期限切れ等の入構証ICカードを所持している人がおり、照合の際にエラーとなり人数が少なくなったと判断できる。
【0043】
照合エラー内容及びそのID番号が入構証読取用HT12の表示器に表示されるので、警備員26は、入構乗合車両23に乗車し、入構証読取用HT12の表示器に表示された不適合のID番号を確認する。そして、警備員26は、表示されたID番号により不適合の入構証ICカードを携帯している乗車者を呼び出し降車させる。その後に、警備員は入構乗合車両23の入構を許可する。
【0044】
(3)入構証所持人数>HT読取人数=データ照合人数
この場合は、入構証所持人数>HT読取人数であることから、入構証ICカードは所持しているが、入構証ICカードの破損、不良などにより入構証読取用HT12で読み取りができなかった人が、未だ入構乗合車両23に乗車したままである。また、HT読取人数=データ照合人数であることから、乗車時に入構証ICカードの読取に成功した人は全員が正規の入構証ICカードを所持していると断定できる。
【0045】
入構証ICカード読取失敗者は入構証読取用HT12で読み取れていないことから、入構証読取用HT12の表示器にはエラー内容が表示されない。そこで、警備員26は、入退乗合車両23に乗車し、入構証ICカード読取失敗者に入退乗合車両23から降車するように促し降車させる。そして、警備員26は、降車後の乗車人数が表示装置17のデータ照合人数と一致するかを確認し、一致した場合は入構を許可する。一方、不一致の場合は、警備員26は携帯HT28により入構乗合車両23の乗車者全員の入構証ICカードを読み取り、未だ降車していない入構証ICカード読取失敗者を特定し、降車するように促し降車させる。その後に、警備員26は入構車両23の入構を許可する。
【0046】
(4)入構証所持人数>HT読取人数>データ照合人数
この場合は、入構証所持人数とHT読取人数とデータ照合人数との全てが一致しないことから、乗車時に入構証読取用HT12による入構証ICカードの読み取りが失敗している人、及び有効期限切れ等の入構証ICカードを所持している人が、未だ入構乗合車両23に乗車していると断定できる。
【0047】
有効期限切れ等の入構証ICカードを所持している人は入構証読取用HT12の表示器に照合エラー内容及びそのID番号が表示されるが、入構証ICカード読取失敗者は表示されない。そこで、警備員26は、入退乗合車両23に乗車し、まず入構証ICカード読取失敗者に入構乗合車両23から降車するように促し降車させる。つぎに、警備員26は、入構証読取用HT12の表示器に表示された不適合のID番号を確認する。そして、警備員26は、表示されたID番号により不適合の入構証ICカードを携帯している乗車者に降車を促し降車させる。
【0048】
そして、警備員26は、降車後の乗車人数が表示装置17のデータ照合人数と一致するかを確認し、一致した場合は入構を許可する。一方、不一致の場合は、警備員26は携帯HT28により入構乗合車両23の乗車者全員の入構証ICカードを読み取り、未だ降車していない有効期限切れ等の入構証ICカード所持者及び入構証ICカード読取失敗者を特定し、降車するように促し降車させる。その後に、警備員26は入構乗合車両23の入構を許可する。
【0049】
本発明の実施の形態によれば、例えば、大勢の通勤者が乗車する入退構乗合車両に入構証読取用HTを搭載し、入退構乗合車両に乗車する際に乗車者の所持する入構証ICカードのID番号を入構証読取用HTで読み取るので、大勢の通勤者に対しても入構証ICカードの読み取りが容易に行える。そして、入構証読取用HTに記憶された乗車者のID番号と、予め照合用IDデータベースに登録された照合用ID番号とを照合し、適合した適合IDの総数及び不適合のID番号を表示出力するので、警備員はこれらの情報に基づき入退構乗合車両の乗車者の入退構管理を行える。
【0050】
また、適合した適合IDの総数と乗車者人数とが不一致のときは、警備員は携帯HTにより不適合の入構証ICカードの携帯者を特定できるので、警備員の負担を増やすことなく、入退構乗合車両の乗車者に対して、事業所の入退構を迅速かつ精度よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施の形態に係わる入構管理装置の構成図。
【図2】本発明の実施の形態に係わる入構管理装置を事業所に適用した場合の構成図。
【図3】本発明の実施の形態に係わる入構管理方法の工程を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0052】
11…入退構乗合車両、12…入構証読取用HT、13…サーバ、14…送受信装置、15…照合用IDデータベース、16…演算制御装置、17…表示装置、18…停止線、19…一般道路、20…入構専用道路、21…退構専用道路、22…ゲート、23…入構乗合車両、24…入構レーン、25…受付、26…警備員、27…退構乗合車両、28…携帯HT

【特許請求の範囲】
【請求項1】
事業所へ入退構するための入退構専用道路に使用される入退構管理装置において、入退構乗合車両に乗車する際に乗車者の所持する入構証ICカードのID番号を読み取り記憶するとともに読み取った入構証ICカードの枚数を表示出力する入構証読取用HTと、前記事業所への入構を許可された者のID番号を予め登録した照合用IDデータベースと、前記事業所の入退構の際に前記入退構乗合車両が一時停止する停止位置に設置され前記入構証読取用HTに記憶された乗車者のID番号を受信する送受信装置と、前記送受信装置で受信した前記入構証読取用HTに記憶された乗車者のID番号と前記照合用IDデータベースに記憶された照合用ID番号とが適合した適合IDの総数を表示出力する表示装置と、不適合のID番号を前記送受信装置を介して前記入構証読取用HT及び警備員が携帯する携帯HTに送信し表示出力する演算制御装置とを備えたことを特徴とする入退構管理装置。
【請求項2】
請求項1の入退構管理装置を用いて事業所への車両の入退構を管理する入退構管理方法において、入退構乗合車両の運転手は前記入退構乗合車両の乗車時に入構証ICカード不携帯者及び前記入構証読取用HTでの入構証ICカード読取失敗者を確認するとともに前記入構証読取用HTで読み取った入構証ICカードの枚数を確認し、前記入退構乗合車両が前記事業所に到着したときは前記運転手は前記入構証読取用HTで読み取った入構証ICカードの枚数を警備員に報告し、前記警備員は入退構乗合車両の乗車者人数が前記入構証読取用HTで読み取った入構証ICカードの枚数及び前記表示装置が表示出力した適合IDの総数と一致するか否かを確認することを特徴とする入退構管理方法。
【請求項3】
請求項2の入退構管理方法において、前記入退構乗合車両の運転手は、前記事業所に到着したときは前記運転手は前記入構証読取用HTで読み取った入構証ICカードの枚数を警備員に報告し、前記警備員は入退構車両の乗車者人数が前記入構証読取用HTで読み取った入構証ICカードの枚数及び前記表示装置が表示出力した適合IDの総数と一致するか否かを確認し、これらが一致するときは前記入退構乗合車両の入退構を許可することを特徴とする入退構管理方法。
【請求項4】
請求項3の入退構管理方法において、入退構乗合車両の乗車者人数と、前記入構証読取用HTで読み取った入構証ICカードの枚数と、前記表示装置が表示出力した適合IDの総数とが一致しないときは、警備員は入退構乗合車両に乗車し、不適合の入構証ICカードの乗車者に降車するように促し、不適合の入構証ICカードの乗車者の降車後の乗車者人数が前記表示装置が表示出力した適合IDの総数と一致するときは前記入退構乗合車両の入退構を許可することを特徴とする入退構管理方法。
【請求項5】
請求項4の入退構管理方法において、不適合の入構証ICカードの乗車者の降車後の乗車者人数が前記表示装置が表示出力した適合IDの総数と一致しないときは、警備員は不適合の入構証ICカードの乗車者の降車後の乗車者全員に対して入構証ICカードを警備員が携帯する前記携帯HTで読み取らせ、未だ降車していない不適合の入構証ICカードの乗車者を特定して降車させ、その不適合の入構証ICカードの乗車者の降車後の乗車者人数が前記表示装置が表示出力した適合IDの総数と一致するときは前記入退構乗合車両の入退構を許可することを特徴とする入退構管理方法。
【請求項6】
請求項2の入退構管理方法において、前記入退構乗合車両の運転手は、前記入退構乗合車両の乗車時に入構証ICカード不携帯者及び前記入構証読取用HTでの入構証ICカード読取失敗者が存在するときは、前記入構証ICカード不携帯者及び前記入構証ICカード読取失敗者が前記事業所で降車することを条件に乗車を許可し、前記事業所に到着したときは前記運転手は前記入構証読取用HTで読み取った入構証ICカードの枚数を警備員に報告するとともに、前記入構証ICカード不携帯者及び前記入構証ICカード読取失敗者に降車するように促し、前記警備員は前記入構証ICカード不携帯者及び前記入構証ICカード読取失敗者の降車後の乗車者人数が前記表示装置が表示出力した適合IDの総数と一致するときは前記入退構乗合車両の入退構を許可することを特徴とする入退構管理方法。
【請求項7】
前記請求項6の発明において、前記入構証ICカード不携帯者及び前記入構証ICカード読取失敗者の降車後の乗車者人数が前記表示装置が表示出力した適合IDの総数と一致しないときは、警備員は入退構乗合車両に乗車し、不適合の入構証ICカードの乗車者に降車するように促し、不適合の入構証ICカードの乗車者の降車後の乗車者人数が前記表示装置が表示出力した適合IDの総数と一致するときは前記入退構乗合車両の入退構を許可することを特徴とする入退構管理方法。
【請求項8】
請求項7の入退構管理方法において、不適合の入構証ICカードの乗車者の降車後の乗車者人数が前記表示装置が表示出力した適合IDの総数と一致しないときは、警備員は不適合の入構証ICカードの乗車者の降車後の乗車者全員に対して入構証ICカードを警備員が携帯する前記携帯HTで読み取らせ、未だ降車していない不適合の入構証ICカードの乗車者を特定して降車させ、その不適合の入構証ICカードの乗車者の降車後の乗車者人数が前記表示装置が表示出力した適合IDの総数と一致するときは前記入退構乗合車両の入退構を許可することを特徴とする入退構管理方法。
【請求項9】
請求項3乃至8のいずれか1項記載の入退構管理方法において、前記入退構乗合車両の入退構を許可する際に、警備員は乗車者による入構証ICカードの提示にて乗車者の確認を行うことを特徴とする入退構管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−128924(P2009−128924A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−299594(P2007−299594)
【出願日】平成19年11月19日(2007.11.19)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【Fターム(参考)】