全フェノールに富む組成物を製造するための効果的方法
本発明は、粗製植物抽出物から全フェノールに富む組成物を製造する方法を与える。この方法は、臭素化ポリスチレン樹脂を用いた新規なカラム精製を含む。本発明は、全フェノールに富む組成物も含む。富化した組成物は、単量体、オリゴマー、及び重合体フェノールを含み、図10〜13に記載したのと実質的に同じHPLCクロマトグラムを有することを特徴とする。本発明は、呼吸器合胞体ウィルスのようなParamyxovaridae、インフルエンザA、B、及びC、パラインフルエンザのようなOrthomyoxovaridae、HSV−1及びHSV−2のようなヘルペスウィルス、及び西ナイルウィルスのようなFlavivirusesに感染した人間を含めた温血動物を処置し、関節炎、ストレス、及び消化器疾患により起こされるような炎症を処置するための全フェノールに富む組成物を用いる方法を包含する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2002年11月22日に出願された「全フェノールに富む組成物を製造するための効果的方法」と題する米国特許出願Serial No.10/302,264の優先権を主張するものであり、その出願は、2001年8月30日に出願した「アントシアニンに富む組成物を製造するための効果的方法」と題する米国特許出願Serial No.09/943,158、及び2000年8月31日に出願した「アントシアニンに富む組成物を製造するための効果的方法」と題する米国特許仮出願No.60/229,205に関する主題を含んでいる。それらは全て、この言及により全体的にここに入れてある。
【0002】
本発明は、植物材料からフラボノイド化合物を抽出及び精製することに関し、特に全フェノールに富む組成物の製造に関する。
【背景技術】
【0003】
フラボノイド化合物は、あらゆる植物領域部分に存在し、皮、樹皮、及び種子の中に高濃度で見出されている。そのような化合物は、お茶、ココア、及びワインのような植物起源の数多くの飲み物の中にも見出されている。フラボノイドは、ポリフェノールと呼ばれている大きな系列の化合物の中の一つである。即ち、これらの化合物は、一つ以上の芳香族環に二つ以上のヒドロキシル基(OH)を含んでいる。ポリフェノール、特にフラボノイドの物理的及び化学的性質、分析、及び生物学的活性は、長年に亙って研究されてきた。
【0004】
アントシアニンは、多くの果実、野菜、粒状穀物、及び花の赤色、紫色、及び青色の原因になっている天然産のフラボノイド化合物の特別な種類のものである。例えば、ブルーベリー、ビルベリー、ストロベリー、ラズベリー、ボイゼンベリー、マリオンベリー、クランベリー、エルダーベリー等のような果物の色は、多くの異なったアントシアニンによるものである。自然界には構造的に300を越える異なったアントシアニンが判別されている。アントシアニンは天然産なので、それらは食物及び飲料の着色剤として使用するため大きな関心を集めている。
【0005】
最近、食物の酸化防止剤として健康に有益な可能性を持つため、アントシアニン色素に対する関心が高まってきた。例えば、ビルベリー(Vaccinium myrtillus)のアントシアニン色素は、以前から見た目の鮮やかさを改良し、循環器障害を処置するために用いられてきている。或るアントシアニン及び他のフラボノイドが抗炎症性を有することが実験的に証明されている。更に、糖尿病及び潰瘍を処置するのにアントシアニンの経口投与が有益であり、抗フィルス及び抗菌活性を有するであろうと言う報告もある。フラボノイドのこれらの望ましい性質についての化学的根拠は、それらの酸化防止能力に関係していると考えられる。従って、イチゴ類及び他の果物及び野菜に伴われる酸化防止特性は、それらに含まれるアントシアニンに起因するものとされてきている。
【0006】
「オリゴマー系プロアントシアニジン」、「OPC」、又は「プロシアニジン」としても知られているプロアントシアニジンは、果物、野菜、ナッツ、種子、花、及び樹皮で広く入手することができる別の種類の天然産フラボノイド化合物である。プロアントシアニジンは、縮合タンニンとして知られている範疇に属する。それらは、果物及び野菜の中に見出される最も一般的な種類のタンニンであり、種子及び皮に多量に存在する。自然界では、異なったプロアントシアニジンの混合物が、個々の単位から、多くの結合単位の複雑な分子(オリゴマー又はポリマー)までの範囲で、一般に一緒に見出されている。重合体プロアントシアニジンの一般的化学構造は、共通のC(4)−C(6)及び/又はC(4)−C(8)結合によって一緒に結合されたフラボノイド3−オール単位の直鎖を含む。重合体プロアントシアニジンの構造を判定するのに13C NMRが使用されてきており、最近の研究は、二、三、及び四量体プロアントシアニジンの化学を解明してきている。フラボノイド3−オール単位の一層長いオリゴマーは、殆どの植物に広く行き渡っており、2,000ダルトンより大きな平均分子量を持ち、6以上の単量体単位を有することが見出されている〔ニューマン(Newman)、その他、Mag.Res.Chem.,25:118(1987)〕。
【0007】
かなりの最近の研究で、プロアントシアニジンの酸化防止活性によって主に知られているその治療用途が開発されてきた。しかし、これらの化合物は、抗菌性、抗ウィルス性、抗癌性、抗炎症性、抗アレルギー性、及び血管拡張性作用を示すことも報告されている。更に、それらは脂質過酸化、血小板凝集、毛細管透過性、及び脆弱性を阻止し、ホスホリパーゼA2、シクロオキシゲナーゼ、及びリポキシゲナーゼを含む酵素系に影響を与えることが見出されている。例えば、プロアントシアニジン単量体(即ち、アントシアニン)及び二量体は、増大した毛細管脆弱性に伴われる疾病の処置に用いられており、動物の抗炎症効果を有することも示されている〔ベラジ(Beladi)その他、Ann.N.Y.Acad.Sci.,284:358(1977)〕。これらの報告された発見に基づき、オリゴマープロアントシアニジン(OPC)は、数多くの症状を処置するための有用な成分になるであろう〔Altern.Med.Rev.5(2):144−151(2000)〕。
【0008】
プロアントシアニジンは、ウィルスからも保護することができる。イン・ビトロ研究では、マンサク(witch hazel)からのプロアントシアニジンは、単純ヘルペス1(HSV−1)ウィルスを殺した〔C.A.チナルト(Cinalt)、J.,Plant Med.June:62(3):241−5(1996);デブルーイン(DeBruyne)T.、ピーターズ(Pieters)L.、J.Nat.Prod.Jul:62(7):954−8(1999)〕。種々のタンニンの抗ウィルス活性の構造・活性度関係を決定するために別の研究が行われた。化学構造を縮合する程、抗ウィルス効果は大きくなることが見出された〔タケチ(Takechi)M.、その他、Phytochemisry,24:2245−50(1985)〕。別の研究では、プロアントシアニジンが抗単純ヘルペス活性を有することが示されており、その場合単純ヘルペスプラーク(plaque)形成を減少させるのに必要な50%効果量は、50%細胞毒量よりも2〜3桁小さかった〔フクチ(Fukuchi)K.、その他、Antiviral Res.,11:285−298(1989)〕。
【0009】
植物生成物の抗炎症効果を測定するため、シクロオキシゲナーゼ(COX−1、COX−2)、又はプロスタグランジン・エンドペルオキシドHシンターゼ(PGHS−1、PGHS−2)酸素が広く用いられている〔バイヤー(Bayer)T.、その他、Phytochemisry,28:2373−2378(1989);及びゴーダ(Goda)Y.、その他、Chem.Pharm.Bull.,40:2452−2457(1992)〕。COX酵素は、非ステロイド系抗炎症剤のための薬理学的標的個所である〔フメス(Humes)J.L.、その他、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,78:2053−2056(1981);及びローメ(Rome)L.H.、その他、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,72:4863−4865(1975)〕。プロスタグランジン合成で含まれるシクロオキシゲナーゼの二つのアイソザイムは、シクロオキシゲナーゼ−1(COX−1)及びシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)である〔ヘムラー(Hemler)M.、その他、J.Biol.Chem.,25:251,5575−5579(1976)〕。選択的COX−2抑制剤は主に抗炎症活性の原因になることが仮定されている〔マスフェラー(Masferrer)J.L.、その他、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,91:3228−3232(1994)〕。フラボノイドは、現在抗炎症性物質としてのみならず、シクロオキシゲナーゼ(COX)抑制活性に対するそれらの構造的特徴のために研究されつつある。
【0010】
アントシアニン及びプロアントシアニジンの上記特性及び利点により、果物、野菜、及び他の植物源からそれらの化合物を抽出することに多くの努力が払われてきた。プロアントシアニジン及びアントシアニンの外に、植物、果物、及び野菜は、ミネラル塩、クエン酸又は酒石酸のような一般的有機酸、炭水化物、フラボノイドグルコシド、及びカテキンのような他の化合物も含んでいる。アントシアニン及びプロアントシアニジンを、他の天然産化合物から分離することが屡々望ましい。アントシアニンは、種々の方法により植物及び果物から抽出されてきた。アントシアニンを抽出する一つの方法は、両性イオン性物質を形成するために硫酸水素塩の添加を用いている。抽出物を、イオン交換カラムに通し、それにより両性イオン性アントシアニン付加物を吸収し、その吸収されたアントシアニンをアセトン、アルカリ、又はジメチルホルムアミド(DMF)により樹脂から溶離する。この方法の欠点には、硫酸水素塩が存在することが含まれ、それがアントシアニンの吸着を妨害し、それにより多数のカラム吸着を必要とすることである。アルカリによる溶離はアントシアニンをかなり劣化するが、DMFは認められた食品添加物ではなく、従って、アントシアニンを食物製品に添加する前に完全に除去しなければならない。
【0011】
これらのフラボノイド化合物を捕捉するためには、よく規定された正確な処理及び分離技術が必要である。ナフィシ・モバガール(Nafisi−Movaghar)、その他による米国特許第5,912,363号明細書には、植物材料からプロアントシアニジンを抽出し、精製する方法で、植物材料の水性混合物を加熱し、その水溶液を限外濾過膜に通して濾過し、大きな分子量の重合体及び粒子を除去し、抽出されたプロアントシアニジンを含む透過液を生成させ、その透過液を、プロアントシアニジンを保持し、放出することができる吸着材料と接触させ、その保持されたプロアントシアニジンを極性溶媒で溶離することにより液体からプロアントシアニジンを分離することを含む方法を記載している。しかし、この方法は、非常に高い抽出温度を用いており、それがプロアントシアニジンの劣化を起こすことがある。更に限外濾過は、最終生成物から低分子量ポリフェノール物質を幾らか除去する。
【0012】
種々の植物材料からプロアントシアニジン及び/又はアントシアニンを抽出及び分離する当分野で知られている多くの方法は、毒性及び/又は環境に有害な物質を用いている。従って、プロアントシアニジンを分離し、精製するために入手できる現在の方法は、その方法の全体的実行で種々の化学物質及び溶媒の廃棄についての考慮が重要な役割を果たす効率的な商業的方法まで規模を拡大することは容易なことではない。更に、プロアントシアニジン及びアントシアニンは、それらの劣化し易い自然的傾向を最少にするやり方で分離しなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、栄養剤及び医薬で用いるためにプロアントシアニジンのようなフェノール化合物を含む組成物を分離し、精製する効率的な方法で、コスト的に効果的で、規模を大きくすることができ、経済的に健全であり、毒性溶媒又は薬品を用いる必要はなく、植物材料からフェノール化合物を、それらの劣化し易い傾向を最少にするやり方で分離する方法が依然として要求されている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、全フェノールに富む組成物の抽出、分離、精製のための簡単で経済的な方法を与える。特に本発明の一つの態様は、(a)フェノール化合物を含有する一種類以上の植物材料の粗製抽出物で、プロアントシアニジン、アントシアニン、他の少量のフェノール及び非フェノール化合物を含む抽出物を与え;(b)前記粗製抽出物を濾過し;(c)前記粗製抽出物を、前記フェノールを放出可能に吸着するが、非フェノール化合物は実質的に保持しない臭素化ポリスチレン樹脂と接触させ;(d)前記樹脂を洗浄溶離剤で洗浄し、前記非フェノール化合物を溶離し;(e)前記樹脂を第一溶離剤で溶離し、フェノールを含む第一フラクションを収集し;(f)前記樹脂を第二溶離剤で溶離し、フェノールを含む第二フラクションを収集し;そして(g)前記工程(e)又は工程(f)からのフラクションを分離するか、又は工程(e)及び(f)からの前記フラクションを一緒にし、全フェノールに富み、前記非フェノール化合物が殆ど無くなった組成物を得る;ことを含む全フェノールに富む組成物を製造する方法を与える。本発明は、更に、本発明の方法により分離された全フェノールに富む組成物を与える。
【0015】
本発明は、更に、全フェノールに富む組成物を精留し、非極性プロアントシアニジンから極性プロアントシアニジンを分離する方法を与える。本発明は、更に極性プロアントシアニジンに富む組成物、及び非極性プロアントシアニジンに富む組成物を与える。極性プロアントシアニジンは、非極性プロアントシアニジンとは異なった生物学的活性を有することが判明した。
【0016】
本発明の全フェノールに富む組成物を、C−18親油性カラムで逆相HPLCにより分析すると、280nm及び510nmで吸収を示す化合物の複数の組の特性溶離ピークが観察される。特に、本発明の全フェノールに富む組成物は、ここに記載したようにHPLC分析を行なった時、図10〜13に例示したのと実質的同じHPLCトレースで60〜75分の間の領域で一組の特性溶離ピークを有することを特徴とする。
【0017】
本発明の全フェノールに富む組成物をIR分光測定により分析した場合、図33〜40に示したのと実質的に同じような化合物の特性吸収ピークが観察される。本発明の組成物は、栄養剤及び医薬として有用である。例えば、本発明の組成物は、抗感染(例えば、抗ウィルス、抗UTI、及び抗菌)剤及び抗炎症剤として有用である。
【0018】
本発明の前記及び他の特徴、有用性及び利点は、本発明の好ましい態様についての次の一層特別な記述から、図面に例示したように、また特に特許請求の範囲で指摘するように、明らかになるであろう。
【0019】
ここに組込み、明細書の一部を形成する図面は、本発明の態様を例示するが、本発明を限定するものではなく、その記述と共に、本発明の原理を説明するのに役立つものである。
【0020】
本発明の詳細な記述
本発明は、アントシアニン及びプロアントシアニジンのような天然にフェノール化合物を含有する植物材料から全フェノールに富む組成物を製造する方法を与える。本発明の方法は、更に全フェノールに富む組成物を与える。
【0021】
ここで用いる用語「抽出」とは、全植物から、又は果実、葉、茎、根、樹皮等のような植物の種々の部分から、調製された抽出物を含めた、天然にフェノール化合物を含む植物源から誘導された物質を指す。従って、本発明の方法は、抽出物を調製するのに用いられる植物の特定の部分に限定されるものではない。本発明の方法は、アントシアニン及びプロアントシアニジンのどのような原料でも用いることができ、最も典型的には、種子、果実、皮、野菜、ナッツ、樹皮、及びフェノール化合物を含む他の植物材料のような、植物から誘導される植物材料からの原料を用いることができる。殆どの色のついた果実、イチゴ類、及び野菜は、フェノール化合物を含むことが知られている。フェノール化合物を含む植物、果実、イチゴ類、及び野菜の例には、ブルーベリー、ビルベリー、エルダーベリー、プラム、ブラックベリー、ストロベリー、レッドカーラント、ブラックカーラント、クランベリー、チェリー、ラズベリー、グレープ、カーラント、ハイビスカスの花、シシトウガラシ、豆、エンドウ豆、赤キャベツ、パープルコーン、紫サツマイモが含まれるが、それらに限定されるものではない。植物原材料は、そのまま(湿潤状態で)用いてもよく、又は抽出する前に乾燥してもよい。場合により植物原材料は、抽出前に、アントシアニン及びプロアントシアニジン含有量の低い成分を分離及び除去することにより分類してもよい。
【0022】
一つの態様として、本発明のフェノールに富む組成物は、ブルーベリー、ビルベリー、エルダーベリー、プラム、ブラックベリー、ストロベリー、レッドカーラント、ブラックカーラント、クランベリー、チェリー、ラズベリー、及びグレープ(それらに限定されるものではない)を含めた、フェノール化合物を含む一種類以上のイチゴ類及び/又は果実を抽出し精製することにより得られる。
【0023】
ここで用いられる用語「フェノール」及び「フェノール化合物」は交換することができるものとして用いられており、一つ以上のフェノール基を有する単量体、オリゴマー、及び重合体化合物が含まれ、アントシアニン、プロアントシアニジン、及びフラボノイドが含まれるが、それらに限定されるものではない。
【0024】
ここで用いられる用語「全フェノールに富む組成物」(“total phenol−enriched composition”)とは、一種類以上のフェノール化合物に富み、植物、果実、イチゴ類、及び野菜の粗製抽出物中に存在する非フェノール化合物が実質的になくなったレベルになっている組成物を指す。そのような非フェノール化合物の例には、砂糖、セルロース、ペクチン、アミノ酸、タンパク質、核酸、植物ステロール、脂肪酸、及びトリグリセリドが含まれるが、それらに限定されるものではない。
【0025】
本発明の方法は、慣用的ポリスチレン樹脂又は他の当分野で用いられている樹脂によるよりも、臭素化ポリスチレン樹脂でフェノール含有抽出物を精製すると、下で詳細に論ずるように、一層大きな純度を有する全フェノールに富む組成物を与えると言う発見に基づいている。
【0026】
図1は、全フェノールに富む組成物を製造することができる本発明の方法の一つの態様の工程を示す製造工程図である。本発明の方法は、幾つかの処理工程を除き、その処理で必要な薬剤の量を減少し、それにより製造コスト及び廃棄物を捨てる問題を少なくすることにより、経済的及び効率的に全フェノールに富む組成物を得る方法を与える。
【0027】
本発明の方法の一つの態様として、図1の工程10〜70に例示したように、フェノール化合物(例えば、プロアントシアニジン及びアントシアニン)及び非フェノール化合物を、新しい又は乾燥した触媒材料から抽出する(工程10)。当業者は、バット(vat)抽出、浸出、向流抽出等のような種々の抽出法が文献で得られることを認めるであろう。特別な抽出方法を用いることは本発明の方法に本質的なことではない。抽出処理の前に植物材料を或る程度粉砕することは、接触させる抽出溶媒に対し充分な粒子表面積を与える筈である。
【0028】
図1に示した方法の一つの態様として、抽出工程(工程10)は、適当な量の抽出溶媒中に新しい又は乾燥した植物材料を入れることにより達成される。一つの態様として、抽出溶媒は、水の中に約0〜95%のエタノールを入れ、約0〜3%、一層好ましくは約0.006〜0.012重量%の量の適当な酸を含む酸性化アルコール溶液を含む。別の態様として、抽出溶媒は、水の中に約0〜100%のメタノール、及び約0〜3重量%の適当な酸を含む酸性化アルコール溶液を含む。抽出工程で用いることができる適当な酸には、硫酸(H2SO4)、酢酸(HOAc)、又は塩酸(HCl)が含まれるが、それらに限定されるものではない。抽出溶液に酸を添加することは、プロアントシアニジン及びアントシアニンの劣化を防ぐ。従って、一つの態様として、図1に例示したような本発明の方法の工程の殆どに亙って、酸性状態を維持する。植物材料を抽出溶液と適当な長さの時間、ほぼ室温から75℃、好ましくは40℃の温度で接触させ、粗製抽出物を形成する。抽出処理で用いられる抽出溶媒に対する植物材料の量は、g/mlの基準で、約2:1〜約1:20の範囲にある。一つの態様として、植物材料対抽出溶媒の比は、約1:4〜1:8である。
【0029】
粗製抽出物は、プロアントシアニジン、アントシアニン、及び他のフェノールのようなフェノール化合物のみならず、砂糖、ペクチン、植物ステロール、脂肪酸、トリグリセリド、及び他の化合物のような望ましくない非フェノール物質も含む。粗製抽出物中に含まれている固体残留物を液体部分から分離し、それら固体を上に記載したように再抽出するか、又は廃棄する。
【0030】
工程10(図1)の一つの態様として、抽出処理の前又はその間に、植物材料又は抽出溶媒にペクチナーゼを添加する。別法として、抽出処理が完了した後の粗製抽出物にペクチナーゼを添加してもよい。ペクチナーゼは、抽出処理中、又はその後のいずれかの点で抽出物がゲル化するのを防ぐ働きをし、その結果抽出物はカラム精製中流動性を維持するであろう。ペクチナーゼの添加量は、勿論抽出物を製造するのに用いられる植物材料の量に依存するであろう。典型的には、ペクチナーゼは、植物材料の約0〜0.12重量%の量で添加する。
【0031】
続けて図1を参照して、工程10で粗製抽出物を製造するためにエタノール性又はメタノール性抽出溶媒を用いた場合、粗製抽出物が含むエタノール又はメタノールが6%より少なくなるまで粗製抽出物を濃縮し、好ましくは濃縮中40℃以下の温度を維持しながら濃縮する(工程20)。濃縮粗製抽出物を希釈するため水を添加し、その希釈した粗製抽出物を工程30前に濃縮し、水で再び希釈するか、又は第二希釈を行わずに工程30へ直接送る。勿論、粗製抽出物を製造する際に抽出溶液として水を用いたならば、工程20は不必要であり、この場合、工程10からの粗製抽出物を、図1の点線矢印で示したように、工程30へ直接導入する。
【0032】
図1で示した方法の工程30は、工程10又は20からの粗製抽出物を濾過して、粗製抽出物から沈殿していることがある固体を除去することを含む。本発明者は、工程10について記述したように、抽出条件を調節することにより、工程30で濾過することにより粗製抽出物から沈殿した望ましくない非フェノール化合物の量が増大することを発見した。本発明の方法の濾過工程30では、種々の濾過方法を用いることができる。工程30で用いることができる一つの濾過方法は、測定した量の、珪藻土又はセルロースのような濾過助剤を粗製抽出物へ添加することを含む。粗製抽出物と濾過助剤との混合物は、均質になるまで振盪又は撹拌し、フィルター助剤の床に通して濾過するのが好ましい。その床は酸性水溶液、好ましくは約0.006%の硫酸水溶液で洗浄する。
【0033】
図1の工程30に用いることができる他の濾過方法には、砂の床、又は好ましくはガラスウールで覆った30μのポリプロピレンフィルターを通して粗製抽出物を濾過することが含まれる。更に別の濾過方法は、袋フィルター(ポリエチレン又はポリプロピレンから構成された袋型の布フィルター)を用いることが含まれ、それは、下に記載する工程40の精製カラムとインライン状態に配置するのが有利であろう。上に記載したフィルターは、沈澱した固体を除去するために用いられ、粒径分離フィルターではない。
【0034】
図1に示した方法に従いフェノール化合物を分離するためには、工程30で分離した濾過抽出物を、プロアントシアニジン及びアントシアニンのようなフェノール化合物を放出可能に吸着することができる臭素化ポリスチレン吸着材料と接触させるが、それは、濾過抽出物中に存在していた望ましくない非フェノール材料は余り保持しない。本発明者は、全フェノールに富む高純度組成物は、工程30で分離した濾過抽出物を、ミツビシ・ケミカル・アメリカにより製造されているSP−207〔スペルコ(Supelco);ペンシルバニア州ベラフォンテ〕のような臭素化ポリスチレン樹脂で精製することにより得ることができると言うことを発見した。SP−207樹脂は、逆相クロマトグラフィー用として設計されたマクロポーラスな臭素化スチレン重合体ビーズ型の樹脂であり、約250〜600μの粒径分布、及び約100〜300Åの気孔孔径範囲を有する。芳香族環の臭素化は、ポリスチレン樹脂に増大した疎水性を与え、従来のスチレン・ジビニルベンゼン重合体逆相支持体に比較して疎水性分子に対する選択性が増大した樹脂を与えるように設計されている。臭素化ポリスチレン樹脂は、強い結合性のため、典型的には天然の生成物の精製には用いられてはいない。
【0035】
このように、慣用的ポリスチレン樹脂は、プロアントシアニジン及びアントシアニンのようなフェノール化合物を余りにも強く結合する傾向を持つため、ポリスチレン樹脂からそのような化合物を溶離することは非常に困難であることが知られており、そのため、臭素化ポリスチレン樹脂はフェノール化合物を更に一層強く結合するであろうと予想されていた。従って、臭素化ポリスチレン樹脂がフェノール化合物の精製に適していると言うことは予想されていなかったことである。しかし、本発明者は臭素化ポリスチレン樹脂が、プロアントシアニジン及びアントシアニンのようなフェノール化合物と結合する強さは、非臭素化ポリスチレン樹脂よりも弱く、然も、依然としてフェノール化合物を、望ましくない非フェノール化合物から分離することができると言うことを驚いたことに予想外に発見した。
【0036】
図1に示した方法の一つの態様として、工程30で分離した濾過抽出物を、約250〜600μの粒径分布及び約100〜300Åの気孔孔径範囲を有する臭素化ポリスチレン樹脂を充填したカラムにロード(load)する(工程40)。しかし、工程40はここではカラムに充填した樹脂と抽出物とを接触させると言う表現でここでは記述しているが、そのような記述は単に説明をし易くするためのものである。例えば、樹脂は本発明の方法を遂行するためにカラムの中へ充填する必要はない。カラムにロードする濾過抽出物の量は、粗製抽出物を調製するために用いられる植物材料に依存する。例えば、粗製抽出物をビルベリーから調製する場合には、全フェノールの約16〜30gを1リットル当たりの樹脂にロードすればよい。別の例として、粗製抽出物をブルーベリーから調製する場合、全フェノールの約15〜45gを1リットル当たりの樹脂にロードすればよい。粗製抽出物をエルダーベリーから調製する場合、全フェノールの約15〜40gを1リットル当たりの樹脂にロードすればよい。濾過抽出物は、濃厚な粗製抽出物中の固体濃度が200g/lを越えるならば、ローディング(loading)する前に水で希釈してもよい。工程40(図1)でカラムにローディングしている間に溶離してくるフラクションは、「フラクション1」として収集する。
【0037】
濾過粗製抽出物を樹脂にローディングした後、吸着剤に殆ど又は全く親和力を持たない望ましくない非フェノール物質(例えば、砂糖、塩、有機酸等)を、硫酸水溶液、酢酸水溶液、又は塩酸水溶液のような少なくとも0.003%の酸を含む水性洗浄溶媒で樹脂から溶離する(図1、工程50)、例えば、約3カラム体積の0.006%の硫酸水溶液又は0.1%の酢酸水溶液を用いて余計な物質を溶離することができる。その溶離物を「フラクション2」として収集する。
【0038】
続けて図1を参照し、カラムを次に約50〜70%のエタノール/水又は約50〜90%のメタノール/水のような極性有機溶媒を含む第一溶離剤で溶離する(工程60)。工程60では、約2〜12カラム体積の溶離用溶媒を用いるのが典型的である。一つの態様として、第一溶離剤は、硫酸、塩酸、又は酢酸のような酸を約0.003%含有する。溶離工程60中に収集されたフラクション(単数又は複数)は、「フラクション3」として収集する。「フラクション3」は、粗製抽出物中に含まれていたフェノール化合物の一部分を含有し、特にアントシアニンに富み、プロアントシアニジンを含む。
【0039】
UV−VIS分光分析により決定して、アントシアニンの大部分がカラムから溶離された後、アントシアニンを溶離するために用いた溶媒(工程60)よりも一層大きな%のエタノール又はメタノールを含有する極性有機溶媒を含む第二溶離剤でカラムを溶離する(工程70、図1)。例えば、第二溶離剤は、約50〜90%のエタノール/水、又は約75〜100%のメタノール/水を含む。溶離工程70中で収集されたフラクション(単数又は複数)は、「フラクション4」として収集する。「フラクション4」には、粗製抽出物中に最初に含まれていたフェノール化合物の次の部分が含まれており、典型的には、プロアントシアニジンに富んでいる。「フラクション4」は、溶離工程60で分離されなかったアントシアニンも含んでいることがある。
【0040】
「フラクション3」及び「フラクション4」中のフェノール化合物の回収は、蒸発、蒸留、冷凍乾燥等のようなどのような慣用的やり方で達成してもよく、本発明の全フェノールに富む組成物を与えることができる。
【0041】
上で述べた方法は、エルダーベリー、プラム、ブルーベリー、ビルベリー、ブラックベリー、ストロベリー、レッドカーラント、ブラックカーラント、クランベリー、チェリー、ラズベリー、グレープ、ハイビスカスの花、シシトウガラシ、豆、エンドウ豆、赤キャベツ、パープルコーン、紫サツマイモを(それらに限定されるものではない)を含めたフェノール化合物を含む種々の植物材料から栄養剤として用いるための全フェノールに充分富む組成物を製造するのに適している。一つの態様として、本発明の富化組成物は、少なくとも10〜80%の全フェノールを含有する。別の態様として、それら組成物は、少なくとも12%の全フェノールを含有する。更に別の態様として、それら組成物は、少なくとも25%の全フェノールを含有する。
【0042】
特に果物及びイチゴ類から製造された、全フェノールに富む組成物、特に「フラクション3」、「フラクション4」、又はそれらの組合せから分離された組成物は、果物及びイチゴ類とは別の植物材料から製造された組成物のHPLCクロマトグラムには含まれていない、図12及び13に示されているもののような特性ピークを有する同様なHPLCクロマトグラムを生ずることが発見された。例えば、図1に例示した方法に従って、果実及びイチゴ類から製造され、「フラクション4」から分離された全フェノールに富む全ての組成物のHPLCクロマトグラムは、エルダーベリーから分離された「フラクション4」組成物について図12及び13で示したクロマトグラム中のピークと同様に、60〜75分の間の特性ピークを含むことが判明した。「フラクション3」「フラクション4」、又はそれらの組合せのいずれかから分離され、特に果物及びイチゴ類から製造された本発明の全フェノールに富む組成物は、下で詳細に記述するように、抗感染(例えば、抗ウィルス)及び抗炎症活性を有する。
【0043】
本発明の全フェノールに富む組成物をIR分光測定により分析すると、フェノール化合物からの特性ピークも観察される。特に、本発明の全フェノールに富む組成物は、図33〜40に例示したのと実質的に同じIR吸収ピークを有することを特徴とする。
【0044】
全フェノールに富む組成物(例えば、「フラクション3」、「フラクション4」、又はそれらの組合せ)は、例11に詳細に記述し、図15に示したように、C−18のような逆相親油性カラムによる低圧真空液体クロマトグラフィー(VLC)を用いて更に「極性」プロアントシアニジンに富むフラクションと、「非極性」プロアントシアニジンに富むフラクションへ分配することができることも発見された。例えば、エルダーベリー抽出物から分離された「フラクション3」組成物を水に溶解し、C−18カラムにロードする。そのカラムを100%の水で洗浄し、C−18媒体により強くは保持されていなかった物質を収集した。流通洗浄フラクションを「フラクション5」として一緒にし、一層極性のプロアントシアニジンを含んでいた。従って、「フラクション5」を、ここでは「極性」プロアントシアニジンに富む留分として言及する(図15)。エルダーベリーからの極性プロアントシアニジンに富む「フラクション5」は、幾らか紫色を有するのが典型的であり、このフラクション中の重合体がオリゴマープロアントシアニジン鎖中に一つ以上の陽イオン性アントシアニジン・サブユニットを含んでいることを示唆している。次にVLCカラムを、30〜100%のメタノールで溶離し、低圧カラムで用いたC−18媒体により一層強く保持されていたプロアントシアニジンを収集した。メタノールフラクションを「フラクション6」として一緒にし、「フラクション5」に収集されたものよりも極性の低いプロアントシアニジンを含んでいた。従って、「フラクション6」は、ここでは「非極性」プロアントシアニジンに富むフラクションとして言及する(図15)。非極性プロアントシアニジンに富む「フラクション6」は、色があったとしても極めて僅かであり、このフラクション中のオリゴマープロアントシアニジン鎖は、陽イオン性アントシアニジン・サブユニットを含まないことを示唆している。
【0045】
従って、本発明は、「フラクション3」、「フラクション4」、又はそれらの組合せの中に含まれている非極性プロアントシアニジンから極性プロアントシアニジンを分離する便利な方法を与える。極性プロアントシアニジンに富む「フラクション5」及び非極性プロアントシアニジンに富む「フラクション6」は、濾過した粗製水性抽出物(図1、工程30)をC−18VLCカラムに直接ローディングすることにより分離することができることも判明した。分離したプロアントシアニジンに富むフラクション5及び6を記載するのに用いた場合の用語「極性」及び「非極性」は、夫々、フラクション5及び6中のプロアントシアニジンの極性が互いに対し相対的なものであること、即ち、C−18VLCカラムでの特定のフラクションがどのように挙動するかに言及したものであることを理解すべきである。本発明の極性プロアントシアニジンに富む組成物(フラクション5)及び非極性プロアントシアニジンに富む組成物(フラクション6)は、実施例で論ずるように、アントシアニンのレベルが実質的に減少している。
【0046】
極性及び非極性プロアントシアニジンに富むフラクション(夫々、「フラクション5」及び「フラクション6」)は、異なった生物学的活性を有することが判明しており、非極性フラクションは、例17に記載するような或る検定では極性フラクションよりも大きな抗ウィルス活性を有することが判明している。
【0047】
極性及び非極性プロアントシアニジンに富むフラクション5及び6の各々は、夫々、図15に示し、例12〜14に記載するように、更に精製することができる。例えば、VLC分離中に分離された極性プロアントシアニジンに富む「フラクション5」は、準分取(semi−preparative)C−18HPLCカラムにロードし、それにより極性プロアントシアニジンを放出可能に保持することができる。次にそのカラムを、アセトニトリル、メタノール、又はエタノールをそれらの%が増大していくようにして含む濃度勾配を持つ溶媒で洗浄し、アントシアニン及び他の極性化合物の殆どを溶離し、次に少なくとも60%のアセトニトリル、メタノール、又はエタノールで洗浄し、精製された極性プロアントシアニジンを含む「フラクション7」を溶離する(図15)。更に、VLC分離中に分離された非極性プロアントシアニジンに富む「フラクション6」を、更にゲル濾過、又は逆相準分取HPLCにより精製することができる。ゲル濾過は、サイズ排除又はゲル浸透クロマトグラフィーとも呼ばれており、分子をそれらの大きさに従い分離する液体クロマトグラフィー技術である。この種の媒体は、小さな化合物を保持するが、大きな非極性プロアントシアニジンに富む「フラクション8」(図15)は、流通する溶離剤によって溶離する。本発明の精製された極性及び非極性プロアントシアニジンに富むフラクション7及び8は、夫々アントシアニン及びフラボノイドのレベルが実質的に減少しており、非フェノール化合物のレベルも実質的に減少している。精製された極性及び非極性プロアントシアニジンに富む「フラクション7」及び「フラクション8」は、夫々、異なった生物学的活性を有することが更に観察された。
【0048】
本発明の全フェノールに富む組成物(「フラクション3」、「フラクション4」、又はそれらの組合せ)、極性プロアントシアニジンに富む組成物(フラクション5及び7)、及び非極性プロアントシアニジンに富む組成物(フラクション6及び8)は、或る範囲の生物学的活性を有する。例えば、本発明の組成物は、例15及び16に記載するように、抗ウィルス活性を有することが見出された。本発明の組成物は、それらを単独で用いるか、又は他の抗ウィルス剤と組合せて用い、インフルエンザA、B、及びC、パラインフルエンザウィルス、アデノウィルス型1、Punta ToroウィルスA、単純ヘルペスウィルスI及びII、ライノウィルス、西ナイルウィルス、水痘帯状疱疹ウィルス、麻疹ウィルス(それらに限定されるものではない)を含めたウィルスによるウィルス感染により引き起こされた又はそれらと合併した病気を予防及び/又は処置するのに用いることができる。従って、本発明の全フェノールに富む組成物、極性プロアントシアニジンに富む組成物、及び非極性プロアントシアニジンに富む組成物は、そのようなウィルスにより引き起こされた病気に対し、本発明の組成物を治療として有効な量投与することにより予防及び治療用途で有利に用いることができる。
【0049】
プロアントシアニジンは、それらがシクロオキシゲナーゼ(COX)活性を阻害することによる抗炎症物質として研究されてきている。抗炎症性物質は、COX−1阻害よりもむしろCOX−2阻害に対し選択性であることが望ましいことが示されてきている。従って、本発明の別の態様は、治療に有効な量の本発明の全フェノールに富む組成物、極性プロアントシアニジンに富む組成物、又は非極性プロアントシアニジンに富む組成物を投与することを含む哺乳類の炎症性疾患を処置する方法を含む。例えば、ブルーベリー抽出物の精製中、フラクション3及び4として分離された全フェノールに富む組成物は、大きなCOX−2/COX−1阻害選択性及び108μg/mlのIC50を有することが判明した(例17)。本発明の組成物は、単独で用いるか、又は他の抗炎症剤と組合せて用い、炎症反応を防止又は阻止することができる。そのような反応は、骨関節症、アレルギー性鼻炎、心臓血管系疾病、上気道疾病、創傷感染、神経炎、及び肝炎(それらに限定されるものではない)を含めた症状又は疾病により起こされることがある。
【0050】
クランベリー及びブルーベリーから分離されたプロアントシアニジンは、バクテリアが膀胱壁に付着するのを防ぎ、それにより尿路感染のような疾患の可能性を減少することが知られている〔ホウエル(Howell)、その他、New England J.Medicine,339:1085−1086(1998)〕。プロアントシアニジンはバクテリアの付着を防ぐことによりそれらの効果を及ぼすものと仮定されている。従って、本発明の別の態様は、本発明の全フェノールに富む組成物、極性プロアントシアニジンに富む組成物、又は非極性プロアントシアニジンに富む組成物をそのような感染に伴われる症状を予防、減少、又は排除するのに充分な量の効果的な量で投与することを含む哺乳類の泌尿生殖器感染を予防又は処置する方法を含む。本発明の組成物は単独で用いるか、又は他の抗菌剤と組合せて用いることができる。
【0051】
プロアントシアニジンは、強力な酸化防止剤であることも知られている。例えば、プロアントシアニジンの酸化防止剤としての効果は、心臓血管系及び免疫系に対するそれらの薬効の多くの原因になっていると推定されている。従って、本発明の全フェノールに富む組成物、極性プロアントシアニジンに富む組成物、及び非極性プロアントシアニジンに富む組成物は、人間及び哺乳類の食事の補充剤(例えば、食事の抗酸化剤)として、及び疾患の処置のために用いることができる。例えば、本発明の組成物は、目に見える激しさを改善し、循環系疾患、糖尿病、及び潰瘍を処置するために用いることができる。
【0052】
本発明の全フェノールに富む組成物、極性プロアントシアニジンに富む組成物、及び非極性プロアントシアニジンに富む組成物は、アラビノガラクタン、エキナセア種、ビタミン類、ミネラル類、多糖類、及び距骨(それらに限定されるものではない)を含む、免疫活性剤と組合せることもできる。
【0053】
本発明の全フェノールに富む組成物、極性プロアントシアニジンに富む組成物、及び非極性プロアントシアニジンに富む組成物は、緑茶抽出物、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、ガロカテキン、及びフラボノイド(それらに限定されるものではない)を含めた抗突然変異剤と組合せることもできる。
【0054】
本発明の全フェノールに富む組成物、極性プロアントシアニジンに富む組成物、及び非極性プロアントシアニジンに富む組成物は、丸薬、カプセル、液体、チンキ剤として配合してもよい。本発明による組成物を配合する場合、広い範囲の賦形剤を用いることができ、勿論、それらの性質は、組成物の目的とする用途方式に依存するであろう。賦形剤の例には、防腐剤、キャリヤー、緩衝剤、濃化剤、懸濁剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、着色剤、及び芳香剤、特にカルボキシビニル重合体、プロピレングリコール、エチルアルコール、水、セチルアルコール、飽和植物トリグリセリド、脂肪酸エステル又はプロピレングリコール、トリエタノールアミン、グリセロール、澱粉、ソルビトール、カルボキシメチルセルロース、硫酸ラウリル、燐酸二カルシウム、レシチン等が含まれる。
【0055】
上の記載は、本発明の原理を単に例示するに過ぎないものと考えられる。更に、多くの修正及び変化が容易に当業者には思いつくであろうから、上に記載し、示した構成及び方法に正確に本発明を限定することは望ましくない。従って、全ての適当な修正及び同等なものは、後の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲内に入るものと見做すことができる。
【0056】
本明細書及び後の特許請求の範囲で用いられる言葉「含む(comprise)」、「含んでいる(comprising)」、「含む(include)」、「含んでいる(including)」、及び「含む(includes)」は、記述した特徴、整数、成分、又は工程の存在を特定化することを意図したものであるが、それらは一つ以上の他の特徴、整数、成分、工程、又はそれらのグループの存在又は追加を排除するものではない。
【実施例】
【0057】
例1
水抽出を用いたビルベリーの精製
乾燥ビルベリー原料1kgについて3回の抽出を行なった。最初の抽出は6リットルの水を用い、他の2回の抽出は4リットルの水を用いた。全ての抽出は、濃硫酸で5g/lの酸濃度まで酸性化した。粗製抽出物には約88%のアントシアニンが回収された。粗製抽出物の正確に2.3リットルを、フィルターの上にガラスウールの層を用いた30μポリプロピレンフィルターに通して濾過した。ガラスウールを1回交換し、フィルターを脱イオン水で濯いだ。濾液の最終的体積は2.43リットルであり、濾液の中には90.9%のアントシアニンが回収された。
【0058】
臭素化ポリスチレン樹脂SP−207〔スペルコ(Supelco);ペンシルバニア州ベレフォンテ〕をカラムに充填し、0.1%の酢酸で平衡にした。カラムに、29.8g/lの固体濃度を持つ2.24リットルの濾液を、2.2ml/分の流量を用いてロードさせた。ローディング漏洩は、導入したアントシアニンの0.9%より少なく、全損失は、ローディング及び最初の2回のカラム洗浄でアントシアニンの4.07%であった。溶離工程ではアントシアニンの88.4%が回収され、アントシアニンの物質収支は92.5%であった。回転蒸発器で数百mlの溶離生成物を蒸発乾固し、次に凍結乾燥した。乾燥した生成物の最終的分析は、塩化デルフィニジン標準(1.0cmで102吸光度単位/g/l)に対し535nmでの吸光度を標準分光光度計により決定した。富化組成物は、合計43重量%のアントシアニンを含んでいた。
【0059】
例2
70%のエタノール抽出を用いたビルベリーの精製
2.0%のアントシアニンとして分析された乾燥ビルベリー原料(667g)を、体積で3%の硫酸を含む70%エタノール/水を用いてパーコレーションにより抽出した。粗製抽出物中の固体は、3.9重量%の全アントシアニンを含んでいた。第一抽出体積1リットルを、100mlの脱イオン水と混合し、約460mlまで真空蒸発してアルコールを除去した。脱イオン水(300ml)を混合物に添加し、更に170mlの液体を蒸発した。脱イオン水(210ml)を添加し、最終体積を800mlにした。その水性混合物に150gのセライト512(固体1g当たり0.5〜0.9g/lのセライト)を添加した。混合物を均質になるまで振盪した。セライト/抽出物混合物を、真空中で30gの湿ったセライト512床上に注いだ。濾過が完了した後、床を200mlずつの中に1%の硫酸水溶液1.20リットルを入れたもので洗浄した。濾液体積は1855mlであった。その濾液に、145mlの脱イオン水を添加し、最終的体積を2.0リットルにした。
【0060】
濾液の一部分(695ml)を、170mlの臭素化ポリスチレン樹脂(SP−207)を充填したカラムに2.2ml/分(1.3ml/分/cm2)でロードした。これによりカラム媒体1リットル当たり17gのアントシアニンの負荷値を与えた。カラムを1カラム体積の0.1%酢酸水溶液で洗浄し、次に2.5カラム体積の0.1%HOAc/10%エタノール/90%水で洗浄した。次にカラムを10カラム体積の70%エタノール/水で溶離し、70%のエタノールフラクションを一緒にし、60℃及び50ミリバールで真空濃縮し、暗く輝いた乾燥無定形固体(「フラクション3」)を与えた。その乾燥生成物の最終分析は、塩化デルフィニジン標準(1.0cmで102吸光度単位/g/l)に対し535nmでの吸光度を標準分光光度計により決定した。富化組成物は、合計32重量%のアントシアニンを含んでいた。
【0061】
図2及び3は、本発明の方法に従ってビルベリーから製造された全フェノールに富む組成物(「フラクション3」)の、夫々510nm及び280nmでのHPLCクロマトグラムである。
【0062】
表1には、典型的なアントシアニンに富む組成物(「フラクション3」)中の各アントシアニン%が要約してある。
【0063】
【表1】
【0064】
例3
ブルーベリーからの全フェノールに富む組成物
10リットルの丸底フラスコ中で、乾燥粉砕ブルーベリー〔イリノイ州、モーメンスのファン・ドルネン・フューチャー・シューティカルズ(Van Drunen Future Ceuticals)〕940gに、4.0リットルの抽出溶媒(70%のエタノール中に1.0%w/vの硫酸を入れたもの)を添加した。フラスコを40℃に維持した一定温度の水浴中で2時間回転した。混合物をかき回し、150gのセライト512床に真空中で通し、濾過した。ブルーベリー・バイオマス濾滓を、500mlの抽出溶媒で洗浄した。濾滓をセライト床から注意して掻き取り、丸底フラスコ中に注入し、上記手順に従って再び抽出した。次に、三回目の抽出を行なった。三つの粗製抽出物を一緒にした。
【0065】
一緒にした抽出物の一部分(2.00リットル)を、40℃の水浴温度で175mlまで真空濃縮した。蒸発した抽出物を脱イオン水で希釈し、675mlの粗製ブルーベリー抽出物を与えた。その粗製抽出物を、濾過せずに、170mlの臭素化ポリスチレン樹脂(SP−207)を充填した、予め調整した(即ち、アセトンで洗浄した)平衡カラムにロードした。カラムを0.1%酢酸及び0.1%HOAc/10%エタノールで洗浄した。アントシアニンを70%エタノールで溶離した。生成物プールを60℃及び50ミリバールで真空蒸発した。最終生成物分析は、塩化デルフィニジン標準(1.0cmで102吸光度単位/g/l)に対し535nmでの吸光度を標準分光光度計により決定した。精製ブルーベリー組成物は、合計18重量%のアントシアニンを含み、アントシアニンの全回収率は95%であった。
【0066】
図4及び5は、本発明の方法に従ってブルーベリーから製造された全フェノールに富む組成物(「フラクション3」)の、夫々510nm及び280nmでのHPLCクロマトグラムである。
【0067】
例4
ブルーベリーからの全フェノールに富む高純度組成物
この例では、例3に記載したようにして製造された、ブルーベリーから製造され、18重量%の全アントシアニンを有する全フェノールに富む組成物の一部分を、強又は弱陰イオン交換樹脂に通して残留酸を除去し、富化組成物の純度を増大した。
【0068】
約1.0gの全フェノールに富むブルーベリー組成物を、50mlの水に溶解し、強陰イオン交換樹脂〔スーパー(Super)Q−650M;トーソーハース(TosoHaas);ペンシルバニア州モントゴメリー〕、又は弱陰イオン交換樹脂〔DEM−63;ワットマン(Whatman)〕の入った9mlのカラムに通した。カラムを30〜35mlの水で洗浄した。強陰イオン交換樹脂カラムの場合には、樹脂を更に25mlの20%エタノールで洗浄し、次に40%のエタノールで洗浄した。強陰イオン交換カラムから分離した組成物は、28.3重量%の全アントシアニンを含み、回収率は88%であった。弱陰イオン交換カラムから分離された組成物は30.6重量%の全アントシアニンを含み、回収率は88%であった。
【0069】
例5
ペクチナーゼ処理を用いてビルベリーからの全フェノールに富む組成物
1024gの冷凍ビルベリーに暖かい水(548g)を添加した。混合物を混合機中でピューレにし、次に40℃に加熱した。次に150μlのペクチナーゼ〔クエスト・スーパー(Quest Super)7x;クエスト・インターナショナル(Quest International)、ニューヨーク州ノルウィッチ〕を撹拌しながら添加し、40℃で30分間処理した。そのスラリーに約4mlの濃硫酸を添加し、0.5%(w/w)の酸濃度を達成した。次に混合物を45℃に加熱し、非常にゆっくり撹拌しながら15分間抽出した。ジカライト(Dicalite)(164g)をその抽出混合物に添加し、それを次に26gのジカライト床で濾過した。得られた濾滓を400mlの暖かい0.1%硫酸水溶液で3回洗浄した。この抽出物を25μm加圧フィルターに通して濾過した。全ての濾過抽出物(2.4リットル)を、170mlのSP−207カラムにロードした。ローディング後、カラムを0.1%酢酸水溶液で洗浄し、70%エタノール水溶液で溶離し、「フラクション3」を与えた。「フラクション3」を蒸発乾固し、次に48時間凍結乾燥器に入れた。最終生成物を、535nmでの吸光度を標準分光光度計で決定することにより全アントシアニンについて分析した。全フェノールに富む組成物は、40重量%の全アントシアニンを含んでいた。アントシアニンの全回収率は約79%であった。
【0070】
例6
エルダーベリー・バイオマス粉末からの富化組成物
分析によりアントシアニンが1.88%、全フェノールが5.31%の乾燥エルダーベリー・バイオマス粉末〔BIニュートラシューテカルズ(Nutraceuticals)、カリフォルニア州ロングビーチ〕約190gを1000gの暖かい水に添加した。溶液を完全に混合し、45℃の熱い水浴へ移した。その溶液に190μlのペクチナーゼ(スーパー7X、クエスト)を添加し、次に混合物を30分間放置した。2.5mlの濃H2SO4を用いて混合物を2.5のpHまで酸性化し、10分間穏やかに混合した。この酸性化混合物に、164gのセライトを添加し、次にその酸性化混合物を26gのセライト床で濾過した。濾滓を400mlの酸性化温水で3回、合計1200mlで洗浄した。次に濾液を25μm加圧フィルターに通して濾過し、エルダーベリー抽出物を与えた。
【0071】
エルダーベリー抽出物を170mlのSP−207(三菱化学)臭素化ポリスチレンカラムに2.3ml/分(1.3ml/分/cm2)の速度でロードした。ローディング中にカラムから収集した溶離物は、「フラクション1」として収集した。ローディング後、カラムを3カラム体積(3×170ml)の0.006%の硫酸水溶液で洗浄した。この洗浄による溶離物を「フラクション2」として収集した。次にカラムを8〜10カラム体積の70%エタノール水溶液で溶離し、それを「フラクション3」として収集した。次にカラムを3カラム体積の90%エタノール水溶液で洗浄し、それを「フラクション4」として収集した。カラムを、8カラム体積の0.006%の硫酸水溶液で再び平衡にした。フラクション3及び4を蒸発乾固し、次に乾燥するまで冷凍乾燥した。臭素化ポリスチレン樹脂からの溶離中に分離したフラクションの幾つかを、例7及び8に記載したようにしてアントシアニン及び全フェノールについて分析した。表2にカラムデーターを要約する。
【0072】
【表2】
【0073】
図6〜13は、濾過したエルダーベリー抽出物及びカラム精製中に分離した或るフラクションのHPLCクロマトグラムを示している。用いたHPLC条件は、例9に記載した通りである。
【0074】
図6及び7は、濾過したエルダーベリー抽出物の、夫々280nm及び510nmでのHPLCクロマトグラムを示している。
【0075】
図8及び9は、濾過エルダーベリー抽出物を臭素化ポリスチレン樹脂にカラム・ローディングしている間に収集された「フラクション1」の、夫々280nm及び510nmでのHPLCクロマトグラムを示している。
【0076】
図10及び11は、臭素化ポリスチレン樹脂から70%のエタノールを用いて、濾過エルダーベリー抽出物をカラム溶離している間に収集された「フラクション3」の、夫々280nm及び510nmでのHPLCクロマトグラムを示している。
【0077】
図12及び13は、臭素化ポリスチレン樹脂から90%のエタノールを用いて、濾過エルダーベリー抽出物をカラム溶離している間に収集された「フラクション4」の、夫々280nm及び510nmでのHPLCクロマトグラムを示している。
【0078】
本発明の全フェノールに富む組成物は、図10〜13に示したのと実質的に同様な標準HPLCクロマトグラムでの60〜75分の間の領域中でピークを示す化合物を含んでいる。
【0079】
例7
アントシアニンの定量的決定
この方法を用いて、種々のバイオマス試料及び全フェノールに富む乾燥精製組成物中の全アントシアニンを、外部標準を用いたUV−VIS分光光度計により決定する。試験した各試料(例えば、全フェノールに富む濃縮組成物、乾燥バイオマス、又は新鮮/冷凍バイオマス)は、下に記載するように、異なった製造手順を必要とする。
【0080】
全フェノールに富む組成物−100mlのメスフラスコ中に全フェノールに富む精製組成物を正確に秤量して75〜100mg入れ、2%HCl/MeOHでその体積まで希釈する。この試料の0.40〜1.6mlを2%HCl/MeOHで10.0mlまで希釈し、よく混合する。
【0081】
乾燥バイオマス−コーヒー粉砕機の刃を覆うのに充分な量の乾燥バイオマスをその粉砕機中へ入れる。約1分間、又は細かく粉砕されるまで粉砕する。別法として、原料を細かく粉砕するために乳鉢及び乳棒を用いる。100mlのメスフラスコ中に細かく粉砕したバイオマスを正確に秤量して約50〜100mg入れ、2%HCl/MeOHを約80ml添加し、蓋をする。フラスコを50℃の油浴又は強制空気炉中へ30〜60分間入れ、30秒間穏やかに振盪し、5分間超音波にかける。溶液を室温まで冷却する。線の所まで2%HCl/MeOHを添加し、混合する。試料の一部分を0.45μmPTFE注射器フィルターに通して濾過し、ガラス瓶に入れる。1.0mlの濾液を2%HCl/MeOHで10.0mlまで希釈する。希釈率は10ml/1ml、即ち、10になるであろう。
【0082】
冷凍/新鮮バイオマス−1000mlポリプロピレンビーカー中へ400.0gの冷凍/新鮮バイオマスを秤量して入れる。400gの沸騰に近い水をビーカー中へ添加する。機械混合器(ワーリング又は他のもの)を用いてピューレにする。広い穴のポリエチレン滴下器を用いて、0.5〜1.5gの代表的試料を取り出し、風袋を計った100mlのメスフラスコ中へ移した。80mlの2%HCl/MeOHを添加し、蓋をする。そのフラスコを50℃の油浴又は強制空気炉中へ60〜120分間入れ、30秒間穏やかに振盪し、次に5分間超音波にかける。溶液を室温まで冷却する。線の所まで2%HCl/MeOHを添加し、混合する。一部分を0.45μmPTFE注射器フィルターに通して濾過し、ガラス瓶に入れる。希釈率は、バイオマス及び水の全重量をバイオマスの重量で割ったもの[例えば、(400g+400g)/400g=2]になるであろう。
【0083】
乾燥減量−上記試料中の全アントシアニン含有量を得るための計算は、材料の水分含有量、又はLOD%(乾燥減量)を決定する必要がある。LOD%を決定するためには、正確に秤量したアルミニウム秤量皿に0.5〜3.0gの試料を移して均一に分布させ、その重量を0.1mgの精度で記録する。試料を105℃±3℃の炉中に2時間入れる(2時間15分を越えないようにする)。試料を室温へ冷却した後(デシケーターを用いてもよい)、試料を秤量し、その重量を0.1mgの精度で記録する。LOD%は、式1を用いて0.1%の精度で決定する:
LOD%=[1−(WD−WP)/(WSP−WP)]×100 式1
式中、LOD%=乾燥減量%;WD=皿及び試料の乾燥重量(g);WP=皿の重量(g);及びWSP=皿及び試料の初期重量(g)。
【0084】
分析手順−UV/VIS分光光度計を、可視ランプを点灯して光度測定モードで読取るように設定する。その機器を、行路長さ1cmのガラス、石英、又は使い捨てポリスチレン・セル中に入れた2%HCl/MeOHを用いて535nmで、0点に合わせる。調製した試料の吸光度を、同じ又は整合した1cmセル中で535nmで測定する。
【0085】
計算−全アントシアニンの濃度を、式2で示したように計算する:
CANTHOS=(ABSSAMP×DF)/ES 式2
式中、CANTHOS=試料中の全アントシアニンの濃度(mg/ml);ABSSAMP=試料の535nmでの吸光度;DF=下に記載する、希釈率;及びES=適当な外部標準、塩化シアニジン(チェリー、クランベリー、エルダーベリー、及びプラムについては101.1)、又は塩化デルフィニジン(ビルベリー及びブルーベリーについては102.0)の吸光係数(1cmのセルを用いて2%HCl/MeOH中での535nmでの1mg/ml溶液の吸光度)。乾燥バイオマスについての希釈率(DF)は1であり、新鮮/冷凍バイオマスについての希釈率は、バイオマスと水との合計重量を、バイオマスの重量で割ったものである〔例えば、(400g+400g)/400g〕。精製した抽出物についての希釈率は、最終希釈体積を抽出溶液の体積で割ったものである(例えば、10ml/0.40ml)。
【0086】
全アントシアニンの%は、式3に示したようにして計算する:
アントシアニン%=(CANTHOS×体積×100)/(WS×SLOD) 式3
式中、アントシアニン%=試料中の全アントシアニンの%;CANTHOS=全アントシアニンの濃度(mg/ml);体積=調製試料の初期体積(通常100ml);WS=調製で用いたバイオマス又は全フェノールに富む組成物の重量(通常乾燥バイオマスの場合50〜100mg、新鮮/冷凍バイオマスの場合500〜1500mg、又は精製抽出物の場合75〜100mg);及びSLOD=乾燥又は新鮮バイオマス、又は精製抽出物の場合、[(100−LOD%)/100](新鮮又は冷凍バイオマスの場合、この因子は適用しない)。
【0087】
例8
全ポリフェノールの定量的決定
この方法を用いて、種々のバイオマス試料及び富化乾燥精製組成物中の全ポリフェノールを、外部標準として没食子酸を用いたUV−VIS分光光度計により定量的に決定する。
【0088】
この方法は、20%のNa2CO3溶液及び2%HCl/MeOHを必要とする。Na2CO3溶液を調製するためには、約350mlの脱イオン水の入った500mlのメスフラスコ中へ、約100gのNa2CO3を秤量して入れる。10分間超音波にかけ、振盪して混合する。脱イオン水を用いてその体積まで希釈し、均質になるまで撹拌する。2%HCl/MeOHを調製するためには、500mlメスフラスコ中へ約350mlのメタノールを入れる。フラスコ中へ10.0mlのHClをピペットで入れる。メタノールを用いてその体積まで希釈し、均質になるまで混合する。
【0089】
没食子酸標準ストックを調製するためには、100mlメスフラスコ中へ100mgの没食子酸〔ミズーリ州セントルイスのシグマー(Sigma)〕を正確に秤量して入れる。70mlの脱イオン水を添加し、溶解するまで5分間超音波にかける。脱イオン水を用いてその体積まで希釈し、蓋をし、均質になるまで混合する。
【0090】
試験した各試料(例えば、全フェノールに富む組成物、乾燥バイオマス、又は新鮮/冷凍バイオマス)は、異なった調製方法を必要とし、例7に記載したようにして調製した。
【0091】
乾燥減量−上記試料中の全ポリフェノール含有量を得るための計算は、材料の水分含有量、又はLOD%を決定する必要がある。LOD%を決定するためには、正確に秤量したアルミニウム秤量皿に0.5〜3.0gの試料を移して均一に分布させ、その重量を0.1mgの精度で記録する。試料を105℃±3℃の炉中に2時間入れる(2時間15分を越えないようにする)。試料を室温へ冷却した後(デシケーターを用いてもよい)、試料を秤量し、その重量を0.1mgの精度で記録する。LOD%は、上記式1を用いて0.1%の精度で決定する。
【0092】
比色展開法−きれいな100mlメスフラスコを、未使用試薬として使用するため別に設定する。二つの100mlメスフラスコに、「高濃度」標準及び「低濃度」標準のラベルを付ける。没食子酸ストック溶液を用いて、「高濃度」標準フラスコには800μlを、「低濃度」標準フラスコには200μlをピペットで入れる。乾燥バイオマス試料の場合、20mlの濾過溶液をピペットで100mlメスフラスコ中へ入れる。新鮮/冷凍バイオマス試料の場合、10mlの濾過溶液をピペットで100mlメスフラスコ中へ入れる。精製試料の場合、0.80〜2.0mlをピペットで100mlメスフラスコ中へ入れる。上で調製したメスフラスコ(未処理試薬を含む)の各々に次のものを添加する:
1.全体積を約65mlにする充分な脱イオン水を各フラスコへ添加する。
2.各フラスコへ5.0mlのFCフェノール試薬(シグマー)をピペットで入れ、穏やかに撹拌する。
3.各フラスコに15±2mlの20%Na2CO3溶液をピペットで入れる。
4.各フラスコ中の溶液を穏やかにかき回しながら混合し、脱イオン水でその体積まで希釈し、蓋をし、逆さにする。
5.それら溶液を少なくとも3時間であるが、4時間以内展開する。
6.0.45μmPVDF注射器フィルターに通す濾過を必要とする、試料の10ml部分を、適当な容器中へ濾過して入れる。
【0093】
分析手順−UV/VIS分光光度計を、可視ランプを点灯して光度測定モードで読取るように設定する。分析は、行路長さ1cmのガラス、石英、又は使い捨てポリスチレン・セル中で行う。その機器を、未使用試薬を用いて760nmの所で0点に合わせる。各溶液の吸光度を、同じ又は整合した1cmセル中で760nmで測定する。
【0094】
計算−全ポリフェノールの濃度を計算するためには、没食子酸の吸光係数を先ず決定しなければならない。この値は、式4に記載したようにして得られる:
ER=(AR×DR)/[CR×(1−ELOD)] 式4
式中、ER=吸光度単位/g/lで760nmでの参照標準(没食子酸)の吸光係数;AR=参照標準溶液の吸光度;CR=ストック標準溶液中の没食子酸の濃度;DR=没食子酸標準のための希釈率(「高濃度」標準の場合125、或は「低濃度」標準の場合500);及びELOD=没食子酸固体の乾燥減量(%)。
【0095】
「高濃度」及び「低濃度」標準についての吸光係数を、下の式5で用いるため平均する。色展開試料調製で全ポリフェノールの濃度は、式5に示すようにして計算する:
CP=(AR×DFC)/ER 式5
式中、CP=FC調製試料の全ポリフェノールの濃度(mg/ml);AS=FC調製試料の吸光度;DFC=試料希釈率、この場合DFは、乾燥バイオマスの場合5、新鮮/冷凍バイオマスの場合10、富化精製組成物の場合50〜125であるのが典型的である;及びER=没食子酸標準の平均吸光係数。
【0096】
全ポリフェノール%は、式6に示したように計算する:
P%=(CP×VS×DS×100)/(WS×SLOD) 式6
式中、P%=試料中の全ポリフェノールの%;CP=全ポリフェノールの濃度(mg/ml);VS=元の試料調製体積(通常100ml);WS=元の試料調製で用いたバイオマス又は精製組成物の重量(通常、乾燥バイオマスの場合、50〜100mg、新鮮/冷凍バイオマスの場合、500〜1500mg、精製抽出物の場合、75〜100mg);DS=元の試料希釈係数、この場合、DSは、乾燥バイオマスの場合1、新鮮/冷凍バイオマスの場合2、又は精製抽出物の場合1である;及びSLOD=バイオマス又は精製抽出物の場合、[(100−LOD%)/100]。新鮮又は冷凍バイオマスの場合、この因子は適用しない。
【0097】
例9
HPLC定性分析
この方法を用いて、種々のバイオマス及び富化精製組成物中の化合物を、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)により品質を定める。各種類の試料は、下に記載するように異なった調製手順を必要とする。
【0098】
乾燥バイオマス:乾燥バイオマスは、もし未だ粉末にされていない場合には、ウィリー(Wiley)ミルを用いて粉砕し、1mm篩に通す。適当な大きさの抽出シンブル(thimble)及びソックスレー抽出装置を用いて、約12gの粉末バイオマスを秤量してそのシンブル中に入れ、200mlのメタノールを用いて抽出する。少なくとも20サイクル、又は抽出溶媒がきれいになるまで抽出を続ける。抽出物を定量的に250mlメスフラスコへメタノールを用いて移し、その体積まで希釈し、混合する。抽出物を0.45μmPTFE注射器フィルターを通して濾過し、HPLCガラス瓶中へ入れる。
【0099】
冷凍/新鮮バイオマス:1000mlポリプロピレンビーカー中へ400gの冷凍/新鮮バイオマスを秤量して入れる。400gの沸騰に近い水をビーカー中へ添加する。機械混合機(ワーリング又は他のもの)を用いてピューレにする。広い穴のポリエチレン滴下器を用いて、0.5〜1.5gの代表的試料を取り出し、風袋を計った100mlのメスフラスコ中へ移す。80mlのMeOHを添加し、蓋をし、50℃に30分間加熱する。溶液を室温まで冷却させ、メタノールでその体積まで調節し、次に均質になるまで超音波にかける。一部分を0.45μmPTFE注射器フィルターに通して濾過し、HPLCガラス瓶に入れる。
【0100】
富化精製組成物:富化組成物を50〜100mg正確に秤量し、ガラスシンチレーション瓶中に入れ、10.0mlの50%MeOH/H2Oを添加する。5分間超音波にかける。0.45μmPTFE注射器フィルターに通して濾過し、HPLCガラス瓶中に入れる。
【0101】
必要に応じ、HPLCを設定する。本発明の一つの態様として、5mlのトリフルオロ酢酸(TFA)を1000mlの高純度、型1水の中に混合することにより移動水性相を調製した。20μlの試料を周囲温度で注入した。検出のため280nmの波長を用い、流量は1.0ml/分、操作時間は105分であった。150×4.6mm内径のカラム中、ゾルバックス(Zorbax)カラムに5μmSBC−18を充填した。この態様では、移動相は次のように設定した:チャンネルA:100%アセトニトリル;チャンネルB:H2O中に入れた0.5%TFA;及びチャンネルC:100%メタノール。表3に、本発明のこの態様についてのHPLC勾配を要約する。
【0102】
もし入手できるならば、試料中に存在させることが知られている標準調製化合物を、約1mg/mlの濃度で調製してもよい。これらの標準調製物を用いて、大略の保持時間を決定し、それにより試料クロマトグラム中のこれらの化合物を同定することができる。この方法は、定性的目的にのみ用いられるので、計算は不必要である。
【0103】
【表3】
【0104】
例10
プロアントシアニジン%決定のための定量的HPLC法
このHPLC法を用いて、種々のフラクション及び富化組成物中のプロアントシアニジンの量を決定する。各種類の試料は異なった調製法を必要とし、例9に記載したようにして調製する。この方法は、150×4.6mmのカラム中、ステイブルボンド(Stablebond)SBC−18を充填した5μmゾルバックスカラムを用いる。流量は1.5ml/分、検出器は280nmに設定し、注入体積は10μlで、操作時間は24分であった。移動相は次の通りであった:チャンネルA=100%アセトニトリル;チャンネルB=水に入れた0.1%トリフルオロ酢酸;チャンネルC=100%メタノール。表4に、用いた勾配を与える。プロアントシアニジンは、11〜22分の溶離時間でHPLCクロマトグラム中の一群の広いピークとして溶離されるのが典型的である。
【0105】
【表4】
【0106】
プロアントシアニジンの量を決定するため、前に屋内で調製した90%より大きな純度を有するプロアントシアニジン標準を用いる。この試料は70%のエタノール中に5.5mg/mlにして調製し、この例に記載するHPLC法を用いて分析する。この標準のためのクロマトグラムは、11〜22分の保持時間範囲内に大きな広いピークを含み(図14に見られるように)、それはプロアントシアニジンによるものである。11〜22分のピーク全体を手動で積分する。次に、式7に示したように、11〜22分全ピーク面積を、標準物の濃度とその純度との積で割ることにより、その標準物についてのピーク面積応答係数(peak area response factor)を決定する:
RF=PA/(Cstd×Pstd) 式7
式中、RF=標準物についてのピーク面積応答係数(面積単位/mg/ml);PA=標準物中のプロアントシアニジンのピーク面積;Cstd=標準溶液の濃度(mg/ml);及びPstd=標準物純度(%)(通常0.90)。
【0107】
試料中のプロアントシアニジン%は、上に記載した試料調製及びHPLC分析法を用いて決定することができる。問題の試料について、11〜22分の保持時間範囲中の全ピーク面積を決定する。しかし、プロアントシアニジン保持時間範囲中の非プロアントシアニジン化合物のピーク面積を、全ピーク面積から差し引かなければならない。非プロアントシアニジン化合物は、広いプロアントシアニジンピークと共に、又はその上に同時に溶離して鋭いピークとして屡々現れ、ダイオード配列によるそれらのUVスペクトルは、屡々プロアントシアニジンピークの主要部とは異なっている。非プロアントシアニジンピークのピーク面積を決定するため、これらのピーク、それらのピーク面積の全てを手動で積分し、この面積を、11〜22分の全ピーク面積から差し引く。試料中のプロアントシアニジンピークの真の面積が決定されたならば、この値を、屋内標準物についてのピーク面積応答係数で割り、式8に示したように、試料中のプロアントシアニジンの濃度を得る:
Cproanthos=(PAsamp×DF)/RF 式8
式中、Cproanthos=試料中の全プロアントシアニジンの濃度(mg/ml);PAsamp=試料についての補正した全ピーク面積;DF=希釈率(乾燥バイオマスについては1、新鮮/冷凍バイオマスについては2、富化組成物については1);及びRF=式7を用いて計算したピーク面積応答係数。
【0108】
全プロアントシアニジン%は、式9に示したようにして計算する:
プロアントシアニジン%=(Cproanthos×V×100)/Ws 式9
式中、プロアントシアニジン%=試料中の全プロアントシアニジンの%;Cproanthos=全プロアントシアニジンの濃度(mg/ml);V=調製試料の体積(通常乾燥バイオマスについては250ml、新鮮/冷凍バイオマスについては100ml、富化組成物については10ml);及びWs=試料調製で用いられたバイオマス又は富化組成物の重量(通常乾燥バイオマスについては12,000mg、新鮮/冷凍バイオマスについては500〜1500mg、又は富化組成物については50〜100mg)。
【0109】
例11
濾過エルダーベリー抽出物から極性及び非極性プロアントシアニジンの直接分配
この例では、濾過エルダーベリー抽出物を調製し、臭素化ポリスチレン樹脂で精製するのではなく、その代わり真空液体クロマトグラフィー(VLC)カラムに直接ロードし、図15に例示した方法に従い、濾過抽出物から極性プロアントシアニジン及び非極性プロアントシアニジンを直接分配した。
【0110】
メタノール中に入れたベイカーボンド(Bakerbond)40μmフラッシュ・クロマトグラフィーC−18媒体のスラリー50mlを、60mlのフリット化ガラスフィルターに通して濾過することにより50mlのC−18VLCカラムを調製した。カラムをメタノールで洗浄し、次に水で洗浄することにより調整した。12.0gの固体、74mgのアントシアニン、及び約780mgのプロアントシアニジンを含む濾過エルダーベリー抽出物の300ml部分をカラムにロードした。例10に記載したHPLC法を用いた濾過抽出物のHPLCクロマトグラムを、図16に示す。流通溶離物(約300ml)及び100mlの洗浄物〔0.1%のトリフルオロ酢酸(TFA)〕を一緒にし、極性プロアントシアニジン「フラクション5」を与えた。「フラクション5」の280nmでのHPLCクロマトグラムを図17に示す。次にカラムを0.1%のTFAを含む30、40、50、60、70、及び100%のメタノール、夫々100mlで溶離した。60%メタノール溶離剤中に分離された非極性プロアントシアニジン「フラクション6」の280nmでのHPLCクロマトグラムを図18に示す。例7及び10に記載した方法により、それらのフラクションをアントシアニン及びプロアントシアニジンについて分析した。この実験結果を表5に要約する。
【0111】
【表5】
【0112】
結果は、濾過抽出物中のプロアントシアニジンの71%(558mg)がローディング及び洗浄中に収集されたことを示している。これらのプロアントシアニジンは、一層極性のプロアントシアニジンであった。非極性プロアントシアニジンは、メタノール濃度を少なくとも40%に増大した時に溶離した。50〜70%メタノール・フラクション中に溶離したプロアントシアニジンの純度は、濾過エルダーベリー抽出物中に含まれていた固体の大部分がローディング溶離、水洗浄、及び30%メタノール洗浄で溶離したことにより高かった。
【0113】
例12
VLC及びそれに続くゲル浸透クロマトグラフィー又は準分取HPLCによる精製によるエルダーベリー・プロアントシアニジンの分配
エルダーベリー乾燥バイオマス〔マーチン・バオエル(Martin Bauer);ドイツ〕から、例6に記載した手順を用いた臭素化ポリスチレン樹脂からの溶離中に70%エタノール・フラクション(「フラクション3」)を収集することにより、全フェノールに富む組成物を製造した。この全フェノールに富む組成物の一部分(2.00g)を50mlの水中に溶解し、ベイカーボンド40μmC−18媒体を用いて調製した15mlのC−18VLCカラムにロードした。流通溶離物及び25ml水洗浄物を一緒にし、冷凍乾燥し、733mgの極性プロアントシアニジンフラクション(「フラクション5」)を生じた。次にカラムを25mlの50%メタノールで洗浄した。非極性プロアントシアニジン(「フラクション6」)を、25mlの70%メタノールで溶離した。このフラクション中のメタノールを除去し、得られた水懸濁物を冷凍乾燥し、192mgの非極性プロアントシアニジン・フラクション(「フラクション6」)を与え、それはHPLC分析により100%プロアントシアニジンであった。このフラクションは、色があったとしても極めて少なく、このフラクション中のオリゴマープロアントシアニジン鎖は陽イオン性アントシアニン単位を含まないことを示唆していた。
【0114】
極性プロアントシアニジン・フラクション(「フラクション5」)を、準分取HPLCにより更に精製し、残留アントシアニン及び他の一層極性の不純物を除去した。これらの固体の準分取HPLC精製のための条件を下に記載する。
【0115】
準分取HPLC法は、6μm、60Å、ノバ・パック(Nova−Pak)HR C−18媒体〔ウォーターズ(Waters);マサチューセッツ州ミルフォード〕を充填した2.5×10cmのウォーターズ・プレプパック(PrepPak)カートリッジを用いた。移動相は次の通りであった:チャンネルA=100%アセトニトリル;チャンネルB=0.1%トリフルオロ酢酸;チャンネルC=100%メタノール。この態様で用いた勾配は、表6に示す通りであった。流量は30ml/分であり、検出器は280nmに設定し、注入体積は、50〜125mgの固体を含む溶液3〜5mlであるのが典型的であった。操作時間は30分間であった。プロアントシアニジンは、13〜20分で溶離した広いピーク中に収集された。
【0116】
【表6】
【0117】
約600mgの極性プロアントシアニジン・フラクション(「フラクション5」)を、25mlの水に溶解した。8つの実験の各々で約3ml(75mg)を注入した。各実験で12〜18分の間に溶離したプロアントシアニジンピークを収集し、プールし、回転蒸発器で蒸発し、残留水溶液を冷凍乾燥した。VLC分離の後、600mgの極性プロアントシアニジン固体(「フラクション5」)から、約100mgの精製極性エルダーベリー・プロアントシアニジン(「フラクション7」)が得られた。準分取HPLC精製後のVLC分離極性プロアントシアニジンについての280nmでのHPLCクロマトグラムを、図19に示す。砂糖、アミノ酸、アントシアニン、有機酸、及び少量のフラボノイド化合物を含む極性フロント(front)は、図19にはこれらのピークが無いことにより証明されるように、準分取HPLC精製により除去された。精製極性プロアントシアニジン(「フラクション7」)の13C NMRスペクトルを図20に示す。
【0118】
非極性プロアントシアニジン・フラクション(「フラクション6」)を、更にゲル濾過クロマトグラフィーにより精製した。VLC分離中に分離された非極性プロアントシアニジン・フラクション(「フラクション6」)の一部分(48mg)を20mlの温水に溶解し、前以て水で平衡にしておいた14mlセファデックス(Sephadex)LH−20カラムにロードした。ローディング溶離物を収集し、40mlのカラム水洗浄物と一緒にした。比較的小さなフラボノイド不純物の殆どが保持されている間のこの時点で、カラムから殆どの非極性プロアントシアニジンが溶離された。ローディング及び洗浄溶離物を一緒にし、冷凍乾燥して32mgの精製非極性プロアントシアニジン「フラクション8」を与えた。これらの固体は、強い抗ウィルス活性を持っていた。図21及び23は、セファデックスLH−20カラム精製前の非極性プロアントシアニジン(「フラクション6」)の、夫々280nm及び368nmでのHPLCクロマトグラムを示している。図22及び24は、精製非極性プロアントシアニジン(「フラクション8」)の、夫々280nm及び368nmでのHPLCクロマトグラムを示している。星印をつけた図21中のピークは、UVスペクトルに基づく非プロアントシアニジン・フラボノイド化合物である。これらの化合物は、図22の280nmでのHPLCクロマトグラムで示されているように、セファデックスLH−20カラム後に分離された精製非極性生成物(「フラクション8」)では減少している。ゲル精製の効果は、精製前の非極性プロアントシアニジンの368nmでのHPLCクロマトグラムを比較することにより一層よく知ることができる(図23)。非プロアントシアニジン不純物は、図23中で4〜6分及び15〜17分の所に現れている。5.8分の所で溶離した少量のフラボノイド化合物を別として、図24に示したように、精製試料中にはフラボノイド化合物の痕跡はない。精製非極性プロアントシアニジン「フラクション8」の13C NMRスペクトルを図25に示す。図33は、フラクション7のIRスペクトルを示し、図34は「フラクション8」のIRスペクトルを示している。
【0119】
例13
ブルーベリー極性及び非極性プロアントシアニジンの、VLC及びそれに続く準分取HPLCによる精製
この例の出発材料は、ブルーベリーから調製され、臭素化ポリスチレン樹脂から70%エタノール溶離中に分離された全フェノールに富む「フラクション3」であった。「フラクション3」の一部分(6.00g)を80mlの水中に溶解し、前に記載したように、30mのlC−18VLCカラムにロードした。ローディング溶離物を収集し、0.1%TFA洗浄溶離物(「フラクション5」)の100mlと一緒にした。次にカラムを80mlの40%メタノールで洗浄し、残留極性化合物(「フラクション5」)を除去し、次に80mlの70%メタノールで洗浄し、非極性プロアントシアニジン・フラクション(「フラクション6」)を与えた。表7に、この実験の結果を要約する。
【0120】
【表7】
【0121】
極性プロアントシアニジン「フラクション5」(ローディング溶離+洗浄)及び非極性プロアントシアニジン・フラクション6(70%メタノール溶離)を、夫々更に例12に記載した方法により準分取HPLCにより精製し、夫々「フラクション7」及び「フラクション8」を与えた。準分取精製前及び後のブルーベリー極性プロアントシアニジン・フラクション(即ち、「フラクション5」及び「フラクション7」)の280nmでのHPLCクロマトグラムを、夫々図26及び27に示す。準分取精製前及び後のブルーベリー非極性プロアントシアニジン・フラクション(即ち、「フラクション6」及び「フラクション8」)の280nmでのHPLCクロマトグラムを、夫々図28及び29に示す。図27及び29の約0〜8分の間にピークが無いことにより証明されるように、極性及び非極性両方のフラクションの準分取精製により、プロアントシアニジンから望ましくないアントシアニン及び極性フラボノイド化合物が除去された。図37は、「フラクション7」のIRスペクトルを示し、図38は、「フラクション8」のIRスペクトルを示している。
【0122】
例14
プラム極性及び非極性プロアントシアニジンの、VLC及びそれに続く準分取HPLCによる精製
この例の出発材料は、プラムから分離され、約17%の全プロアントシアニジンを含み、その内の61%が極性で、39%が非極性として判定された「フラクション3」及び「フラクション4」を一緒にしたものであった。この組成物の一部分(8.00g)を0.5%のTFAを含む100mlの水中に溶解し、前に記載したように45mlのC−18VLCカラムにロードした。ローディング溶離物を収集し、カラムを50mlの0.1%TFAで洗浄した。ローディング溶離物及び洗浄フラクションを一緒にし、極性プロアントシアニジン・フラクション(「フラクション5」)を与えた。極性プロアントシアニジン「フラクション5」のHPLCを図30に示す。カラムを、0.5%のTFAを含む40%のメタノール100mlで溶離し、次に0.5%のTFAを含む70%メタノール100mlで溶離した。全てのメタノールフラクションを一緒にし、非極性プロアントシアニジン・フラクション(「フラクション6」)を与えた。表8にこの実験の結果を要約する。
【0123】
【表8】
【0124】
極性プロアントシアニジン「フラクション5」(ローディング溶離物及び洗浄溶離物を一緒にしたもの)を、例12に記載した方法により準分取HPLCにより更に精製し、「フラクション7」を与えた。アントシアニン及び他の一層極性の不純物を除去することにより、試料のプロアントシアニジン純度が15%から100%へ増大した。精製極性プロアントシアニジン「フラクション7」の280nmでのHPLCクロマトグラムを図31に示す。非極性「フラクション6」(40%及び70%のメタノール洗浄物を一緒にしたもの)は、更に精製することはしなかった。非極性プロアントシアニジン「フラクション6」の280nmでのHPLCクロマトグラムを、図32に示す。図39は「フラクション7」のIRスペクトルであり、図40は「フラクション6」のIRスペクトルである。
【0125】
例15
エルダーベリーVLCフラクションからのプロアントシアニジン・フラクションの精製
アンバークロム(Amberchrom)CG−71cd樹脂(80〜160μmの粒径、トーソーハース;ペンシルバニア州フィラデルフィア)を用いてVLCカラムを調製した。エルダーベリーの水抽出物を調製し、この抽出物の一部分をVLCカラムにロードした。次にカラムを水で洗浄し、30%、40%、50%、60%、70%、及び100%メタノールを用いて溶離した。メタノールで溶離した全てのフラクションを別々に保持した。50%メタノールで溶離したVLCフラクションを回転蒸発器で蒸発し、メタノールを除去し、次に冷凍乾燥し、水を除去した。乾燥した材料を、乳鉢及び乳棒を用いて粉砕し、粉末にした。乾燥試料を例10に記載した方法を用いてHPLCにより分析した。この分析結果を用いて分析HPLC法から準分取HPLC法を誘導し、プロアントシアニジンを分離した。移動相は次の通りであった:チャンネルA=100%アセトニトリル;チャンネルB=水中に入れた0.5%トリフルオロ酢酸;チャンネルC=100%メタノール。流量は30ml/分に設定した。用いた勾配を、表9に示す。
【0126】
【表9】
【0127】
約500mgの乾燥材料を水中に溶解し、約50mg/mlの固体濃度にした。非常に僅かな量を注入し、関係するピークの保持時間を決定した。この最初の注入に基づき、二つのピークを収集した:14〜22分の間で溶離したピークA、及び26〜28分の間で溶離したピークB。5回の濃厚溶液の注入を行い、各ピークの適当な収集物を各注入からプールした。ピークAの収集により得られた試料は、プロアントシアニジンを含むことが決定され、蒸発して有機溶媒及び水の一部分を除去した。濃縮試料を、例10に記載したHPLC法を用いて分析した。試料のクロマトグラフィー純度は、93.9%であることが決定された。次に試料を凍結乾燥し、乾燥材料を得た。乾燥したならば、試料の僅かな部分を70%エタノール中に入れ、1.918mg/mlの濃度にし、同じHPLC法により再び分析した。この分析結果及び前に得られたクロマトグラフィー純度を用いて、ピーク面積応答係数を決定した。この情報を用いて、他の精製フラクション中のプロアントシアニジン濃度を決定した。プロアントシアニジン「標準」の280nmでのHPLCクロマトグラムを図14に示す。
【0128】
例16
クランベリープロアントシアニジンの、VLC及びそれに続く準分取HPLCによる精製
この例の出発材料は、14%の全プロアントシアニジンを含む精製クランベリー抽出物(「フラクション3」+「フラクション4」)の8.00gであった。この材料を、1mlのトリフルオロ酢酸を含む水100ml中に溶解し、前に記載したように、50mlのC−18VLCカラムにロードした。ローディング溶離物(100ml)を収集し、50mlの0.1%TFA洗浄溶離物と一緒にし、「フラクション5」を得た。次に、カラムを100mlの40%メタノールで洗浄し、残留極性化合物を除去し、100mlの70%メタノールで溶離し、非極性プロアントシアニジン「フラクション6」を与えた。表10に、この実験の結果を要約する。
【0129】
【表10】
【0130】
極性プロアントシアニジン・フラクション(ローディング溶離+洗浄)を、例12に記載した方法により準分取HPLCにより更に精製し、「フラクション7」を得た。図41は、準分取精製前の極性プロアントシアニジン・フラクションのHPLCクロマトグラムであり、図42は、精製後の極性プロアントシアニジン・フラクションのHPLCクロマトグラムである。図43は、非極性プロアントシアニジン・フラクションのHPLCクロマトグラムである。プロアントシアニジン前に溶離したアントシアニンのような極性非プロアントシアニジン化合物は、この方法で除去された。
【0131】
例17
エルダーベリーフラクションの単純ヘルペスウィルス2検定
エルダーベリー粗製抽出物及び例6に記載したようにして分離したフラクション1、3、及び4の抗ウィルス活性を、ウィルス細胞変性効果(CPE)検定を用いて決定した。この検定は、既に報告されている〔ワイド(Wyde)その他、Drug Develp.Res.28:467−472(1993)〕。全ての抗ウィルス活性は、50%効果量(ED50)として報告されている。
表11に、試験した四つの組成物についてのCPE抑制についてのED50を要約する。
【0132】
【表11】
【0133】
例18
ウィルス検定
果実及びイチゴ類から製造した本発明の全フェノールに富む組成物は、種々のDNA及びRNAウィルスに対し広い活性を示し、人間及び動物の炎症を処置するのに有用な活性成分として適切である。細胞培養で、富化組成物は呼吸器合胞体ウィルス(RSV)、インフルエンザA及びBウィルス、パラインフルエンザウィルス(PIV)のみならず、他の呼吸器及び単純ヘルペスウィルスの隔離及び実験室的株に対し強力な活性を示す。全フェノールに富む組成物は、人間及び動物の広い範囲のウィルス感染を処置するのに有用な活性成分として適切である。
【0134】
各ウィルスに対する活性度を測定するのに用いられる検定は当業者によく知られている。細断した特定の標的組織を、希望のウィルスに曝し、試験材料を入れた場合と入れない場合についてウィルスの増殖速度を測定した。種々の果実及びイチゴ類から製造した精製プロアントシアニジンに富む組成物の抗ウィルス活性度を決定した。
【0135】
細胞系:ウィルス検定は、相対的ED50(50%効果量)又は50%抑制終点を決定するために次の細胞/細胞系を用いた:RSV(呼吸器合胞体ウィルス)及びPIV(パラインフルエンザウィルス)検定は、アフリカ・ミドリザル腎臓から得られたMA−104細胞を用いた;インフルエンザA及びB検定では、犬の腎臓から得られたMDCK細胞を用いた;ライノウィルス検定では、HeLa及びKB細胞を用いた;単純ヘルペスウィルス1及び2では、人の包皮線維芽細胞から取られたHHF細胞を用いた;西ナイルウィルス検定では、アフリカ・ミドリザル腎臓から取ったVero細胞を用いた;アデノウィルス型1検定では、人の肺癌から得られたA549細胞を用いた;Punta ToroA検定では、アカゲザル腎臓から得られたLLC−MK2細胞を用いた。
【0136】
それらの検定では、陽性対照として既知の医薬標準〔リビバリン(ribivarin)又はアシクロビール(acyclovir)〕を用いた。この例で用いた検定で、リビバリンについてのED50は次の通りである:RSV(呼吸器合胞体ウィルス)検定ED50=20μg/ml;PIV(パラインフルエンザウィルス)検定ED50=20μg/ml;インフルエンザA及びB検定ED50=2〜3μg/ml;ライノウィルス検定ED50<1μg/ml;西ナイルウィルス検定ED50=20μg/ml;アデノウィルス型1検定ED50=10μg/ml;及びPunta ToroA検定ED50=20μg/ml。単純ヘルペス1及び2検定では、陽性対照としてアシクロビールを用い、それはHSV1及びHSV2検定で1〜2μg/mlのED50を持っていた。
【0137】
本発明の或る組成物についてウィルス検定で得られたデーターを、表12に与える。細胞培養で、それら組成物は、インフルエンザAウィルス(株H1N1及びH3N3)、インフルエンザBウィルス、アデノウィルス型1、Punta ToroAウィルス、及びライノウィルス型2の隔離及び実験室的株に対し強力な活性を示した。抗ウィルス・スクリーニングでアシクロビール及びリビバリンに対する表12中の生物活性データーの比較は、本発明の組成物がこれらの検定で生物学的に活性であり、これらのウィルス疾患を処置するのに用いられているよく確立された医薬と競合して好ましいことを明らかに示している。
【0138】
【表12】
【0139】
例19
全フェノールに富む組成物のCOX−2活性の評価
シクロオキシゲナーゼ酵素(COX−1及びCOX−2)は、アラキドン酸及び他の必須脂肪酸の種々のプロスタグラジンへの転化に対し触媒作用を及ぼす。プロスタグラジンは、哺乳類の炎症の原因になにるホルモン状物質である。COX−2酵素の抑制は、最小限の副作用で組織の炎症を減少することができる。一方、COX−1の抑制は、胃潰瘍及び他の体に望ましくない副作用を起こす。COX−1酵素の完全な抑制は望ましくない。COX−2酵素を選択的に抑制する化合物は、一層よい抗炎症剤である。果実及びイチゴ類から製造された本発明の全フェノールに富む組成物は、COX−2酵素を抑制することが示されており、人間及び動物の炎症を処置するのに有用な活性成分として適切である。
【0140】
この検定では、検定すべき材料を、希望の酵素を含むことが知られている細断した特定のマウス又はうし器官組織と混合した。アラキドン酸をこの混合物に添加した。酸素取り込み速度を特定し、既知のCOX抑制剤で観察されている取り込み速度と比較する。COX−2検定は、人間の組み替えCOX−2陽性細胞を用いたアラキドン酸からのPGE2の定量的生成に基づいている。
【0141】
幾つかの組成物についての結果を表13に示す。表13に示した組成物についてのデーターを、既知の医薬標準(アスピリン及びインドメタシン)の決定されたCOX−2生物活性度と比較すると、本発明のプロアントシアニジンに富む精製組成物は、COX−2検定で生物学的に活性であることを明確に示している。アスピリンは、660μg/mlでCOX−2に対し活性であり、240μg/mlでCOX−1に対し活性である。インドメタシンは10μg/mlでCOX−2に対し活性である。従って、表13の組成物は、炎症に対し最も一般に用いられている処置(例えば、アスピリン)よりも、COX−2検定で効力に2.5〜6倍の増大を示しており、哺乳類の炎症を処置するのに本発明のプロアントシアニジンに富む精製組成物の有用性を示している。
【0142】
【表13】
【0143】
前記記述は、本発明の原理を単に例示しているに過ぎないものと考えられる。更に、当業者には多くの修正及び変化が容易に想到されるので、本発明を上に記載し、示したのと正確に同じ構成及び方法に限定することは望ましくない。従って、全ての適当な修正及び同等なものは、特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲内入るものと見做すことができる。
【0144】
本明細書及び後の特許請求の範囲で用いられている言葉「含む(comprise)」、「含んでいる(comprising)」、「含む(include)」、「含んでいる(including)」、及び「含む(includes)」は、記述した特徴、整数、成分、又は工程の存在を特定化することを意図したものであるが、それらは一つ以上の他の特徴、整数、成分、工程、又はそれらのグループの存在又は追加を排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】図1は、本発明による全フェノールに富む組成物を製造するための方法の工程図である。
【図2】図2は、ビルベリーから製造された全フェノールに富む組成物(「フラクション3」)の510nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図3】図3は、ビルベリーから製造された全フェノールに富む組成物(「フラクション3」)の280nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図4】図4は、ブルーベリーから製造された全フェノールに富む組成物(「フラクション3」)の510nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図5】図5は、ブルーベリーから製造された全フェノールに富む組成物(「フラクション3」)の280nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図6】図6は、濾過したエルダーベリー抽出物の280nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図7】図7は、濾過したエルダーベリー抽出物の510nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図8】図8は、濾過したエルダーベリー抽出物のカラムローディング中に溶離された第一フラクションの280nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図9】図9は、濾過したエルダーベリー抽出物のカラムローディング中に溶離された第一フラクションの510nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図10】図10は、臭素化ポリスチレン樹脂でエルダーベリー抽出物をカラム精製している間に、70%エタノールで溶離された第三フラクションの280nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図11】図11は、臭素化ポリスチレン樹脂でエルダーベリー抽出物をカラム精製している間に、70%エタノールで溶離された第三フラクションの510nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図12】図12は、臭素化ポリスチレン樹脂でエルダーベリー抽出物をカラム精製している間に、90%エタノールで溶離された第四フラクションの280nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図13】図13は、臭素化ポリスチレン樹脂でエルダーベリー抽出物をカラム精製している間に、90%エタノールで溶離された第四フラクションの510nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図14】図14は、例10に記載したように製造されたプロアントシアニジン標準の別のHPLC法を用いたHPLCクロマトグラムである。
【図15】図15は、非極性プロアントシアニジンから極性プロアントシアニジンを分離する方法の工程図である。
【図16】図16は、濾過したエルダーベリー抽出物の280nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図17】図17は、VLC C−18カラムからの一緒にした流通及び洗浄フラクションから分離されたエルダーベリー極性プロアントシアニジン組成物(「フラクション5」)の280nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図18】図18は、VLC C−18カラムからの60%メタノール溶離剤中に分離されたエルダーベリー極性プロアントシアニジン組成物(「フラクション6」)の280nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図19】図19は、準分取HPLC精製後に分離されたエルダーベリー極性プロアントシアニジン組成物(「フラクション7」)の280nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図20】図20は、準分取HPLCによる精製後のエルダーベリー極性プロアントシアニジン組成物(「フラクション7」)の13C NMRスペクトルである。
【図21】図21は、非プロアントシアニジン・ピークに星印を付けた、セファデックスLH−20カラムで精製する前の、C−18媒体によるVLCクロマトグラフィー中に分離されたエルダーベリー非極性プロアントシアニジン組成物(「フラクション6」)の280nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図22】図22は、セファデックスLH−20カラムで精製した後の、エルダーベリー非極性プロアントシアニジン組成物(「フラクション8」)の280nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図23】図23は、セファデックスLH−20カラムで精製する前の、C−18媒体によるVLCクロマトグラフィー中に分離されたエルダーベリー非極性プロアントシアニジン組成物(「フラクション6」)の368nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図24】図24は、セファデックスLH−20カラムで精製した後の、エルダーベリー非極性プロアントシアニジン組成物(「フラクション8」)の368nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図25】図25は、セファデックスLH−20カラムで精製した後の、エルダーベリー非極性プロアントシアニジン組成物(「フラクション8」)の13C NMRスペクトルである。
【図26】図26は、準分取HPLC精製前の、C−18媒体によるVLCクロマトグラフィー中に分離されたブルーベリー極性プロアントシアニジン組成物(「フラクション5」)の280nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図27】図27は、準分取HPLC精製後の、ブルーベリー極性プロアントシアニジン組成物(「フラクション7」)の280nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図28】図28は、準分取HPLC精製前の、C−18媒体によるVLCクロマトグラフィー中に分離されたブルーベリー非極性プロアントシアニジン組成物(「フラクション6」)の280nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図29】図29は、準分取HPLCによる精製後の、ブルーベリー非極性プロアントシアニジン組成物(「フラクション8」)の280nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図30】図30は、準分取HPLC精製前の、C−18媒体によるVLCクロマトグラフィー中に分離されたプラム極性プロアントシアニジン組成物(「フラクション5」)の280nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図31】図31は、準分取HPLCによる精製後の、プラム極性プロアントシアニジン組成物(「フラクション7」)の280nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図32】図32は、VLC C−18カラムから40%及び70%メタノール溶離中に分離されたプラム非極性プロアントシアニジン組成物(「フラクション6」)の280nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図33】図33は、精製エルダーベリー極性プロアントシアニジン組成物(「フラクション7」)のIRスペクトルである。
【図34】図34は、精製エルダーベリー非極性プロアントシアニジン組成物(「フラクション8」)のIRスペクトルである。
【図35】図35は、精製クランベリー非極性プロアントシアニジン組成物(「フラクション8」)のIRスペクトルである。
【図36】図36は、精製クランベリー極性プロアントシアニジン組成物(「フラクション7」)のIRスペクトルである。
【図37】図37は、精製ブルーベリー極性プロアントシアニジン組成物(「フラクション7」)のIRスペクトルである。
【図38】図38は、精製ブルーベリー非極性プロアントシアニジン組成物(「フラクション8」)のIRスペクトルである。
【図39】図39は、精製プラム極性プロアントシアニジン組成物(「フラクション7」)のIRスペクトルである。
【図40】図40は、精製プラム非極性プロアントシアニジン組成物(「フラクション6」)のIRスペクトルである。
【図41】図41は、準分取HPLC精製前の、クランベリー極性プロアントシアニジン組成物(「フラクション5」)の280nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図42】図42は、準分取HPLC精製後の、クランベリー極性プロアントシアニジン組成物(「フラクション7」)の280nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図43】図43は、クランベリー非極性プロアントシアニジン組成物(「フラクション6」)の280nmでのHPLCクロマトグラムである。
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2002年11月22日に出願された「全フェノールに富む組成物を製造するための効果的方法」と題する米国特許出願Serial No.10/302,264の優先権を主張するものであり、その出願は、2001年8月30日に出願した「アントシアニンに富む組成物を製造するための効果的方法」と題する米国特許出願Serial No.09/943,158、及び2000年8月31日に出願した「アントシアニンに富む組成物を製造するための効果的方法」と題する米国特許仮出願No.60/229,205に関する主題を含んでいる。それらは全て、この言及により全体的にここに入れてある。
【0002】
本発明は、植物材料からフラボノイド化合物を抽出及び精製することに関し、特に全フェノールに富む組成物の製造に関する。
【背景技術】
【0003】
フラボノイド化合物は、あらゆる植物領域部分に存在し、皮、樹皮、及び種子の中に高濃度で見出されている。そのような化合物は、お茶、ココア、及びワインのような植物起源の数多くの飲み物の中にも見出されている。フラボノイドは、ポリフェノールと呼ばれている大きな系列の化合物の中の一つである。即ち、これらの化合物は、一つ以上の芳香族環に二つ以上のヒドロキシル基(OH)を含んでいる。ポリフェノール、特にフラボノイドの物理的及び化学的性質、分析、及び生物学的活性は、長年に亙って研究されてきた。
【0004】
アントシアニンは、多くの果実、野菜、粒状穀物、及び花の赤色、紫色、及び青色の原因になっている天然産のフラボノイド化合物の特別な種類のものである。例えば、ブルーベリー、ビルベリー、ストロベリー、ラズベリー、ボイゼンベリー、マリオンベリー、クランベリー、エルダーベリー等のような果物の色は、多くの異なったアントシアニンによるものである。自然界には構造的に300を越える異なったアントシアニンが判別されている。アントシアニンは天然産なので、それらは食物及び飲料の着色剤として使用するため大きな関心を集めている。
【0005】
最近、食物の酸化防止剤として健康に有益な可能性を持つため、アントシアニン色素に対する関心が高まってきた。例えば、ビルベリー(Vaccinium myrtillus)のアントシアニン色素は、以前から見た目の鮮やかさを改良し、循環器障害を処置するために用いられてきている。或るアントシアニン及び他のフラボノイドが抗炎症性を有することが実験的に証明されている。更に、糖尿病及び潰瘍を処置するのにアントシアニンの経口投与が有益であり、抗フィルス及び抗菌活性を有するであろうと言う報告もある。フラボノイドのこれらの望ましい性質についての化学的根拠は、それらの酸化防止能力に関係していると考えられる。従って、イチゴ類及び他の果物及び野菜に伴われる酸化防止特性は、それらに含まれるアントシアニンに起因するものとされてきている。
【0006】
「オリゴマー系プロアントシアニジン」、「OPC」、又は「プロシアニジン」としても知られているプロアントシアニジンは、果物、野菜、ナッツ、種子、花、及び樹皮で広く入手することができる別の種類の天然産フラボノイド化合物である。プロアントシアニジンは、縮合タンニンとして知られている範疇に属する。それらは、果物及び野菜の中に見出される最も一般的な種類のタンニンであり、種子及び皮に多量に存在する。自然界では、異なったプロアントシアニジンの混合物が、個々の単位から、多くの結合単位の複雑な分子(オリゴマー又はポリマー)までの範囲で、一般に一緒に見出されている。重合体プロアントシアニジンの一般的化学構造は、共通のC(4)−C(6)及び/又はC(4)−C(8)結合によって一緒に結合されたフラボノイド3−オール単位の直鎖を含む。重合体プロアントシアニジンの構造を判定するのに13C NMRが使用されてきており、最近の研究は、二、三、及び四量体プロアントシアニジンの化学を解明してきている。フラボノイド3−オール単位の一層長いオリゴマーは、殆どの植物に広く行き渡っており、2,000ダルトンより大きな平均分子量を持ち、6以上の単量体単位を有することが見出されている〔ニューマン(Newman)、その他、Mag.Res.Chem.,25:118(1987)〕。
【0007】
かなりの最近の研究で、プロアントシアニジンの酸化防止活性によって主に知られているその治療用途が開発されてきた。しかし、これらの化合物は、抗菌性、抗ウィルス性、抗癌性、抗炎症性、抗アレルギー性、及び血管拡張性作用を示すことも報告されている。更に、それらは脂質過酸化、血小板凝集、毛細管透過性、及び脆弱性を阻止し、ホスホリパーゼA2、シクロオキシゲナーゼ、及びリポキシゲナーゼを含む酵素系に影響を与えることが見出されている。例えば、プロアントシアニジン単量体(即ち、アントシアニン)及び二量体は、増大した毛細管脆弱性に伴われる疾病の処置に用いられており、動物の抗炎症効果を有することも示されている〔ベラジ(Beladi)その他、Ann.N.Y.Acad.Sci.,284:358(1977)〕。これらの報告された発見に基づき、オリゴマープロアントシアニジン(OPC)は、数多くの症状を処置するための有用な成分になるであろう〔Altern.Med.Rev.5(2):144−151(2000)〕。
【0008】
プロアントシアニジンは、ウィルスからも保護することができる。イン・ビトロ研究では、マンサク(witch hazel)からのプロアントシアニジンは、単純ヘルペス1(HSV−1)ウィルスを殺した〔C.A.チナルト(Cinalt)、J.,Plant Med.June:62(3):241−5(1996);デブルーイン(DeBruyne)T.、ピーターズ(Pieters)L.、J.Nat.Prod.Jul:62(7):954−8(1999)〕。種々のタンニンの抗ウィルス活性の構造・活性度関係を決定するために別の研究が行われた。化学構造を縮合する程、抗ウィルス効果は大きくなることが見出された〔タケチ(Takechi)M.、その他、Phytochemisry,24:2245−50(1985)〕。別の研究では、プロアントシアニジンが抗単純ヘルペス活性を有することが示されており、その場合単純ヘルペスプラーク(plaque)形成を減少させるのに必要な50%効果量は、50%細胞毒量よりも2〜3桁小さかった〔フクチ(Fukuchi)K.、その他、Antiviral Res.,11:285−298(1989)〕。
【0009】
植物生成物の抗炎症効果を測定するため、シクロオキシゲナーゼ(COX−1、COX−2)、又はプロスタグランジン・エンドペルオキシドHシンターゼ(PGHS−1、PGHS−2)酸素が広く用いられている〔バイヤー(Bayer)T.、その他、Phytochemisry,28:2373−2378(1989);及びゴーダ(Goda)Y.、その他、Chem.Pharm.Bull.,40:2452−2457(1992)〕。COX酵素は、非ステロイド系抗炎症剤のための薬理学的標的個所である〔フメス(Humes)J.L.、その他、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,78:2053−2056(1981);及びローメ(Rome)L.H.、その他、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,72:4863−4865(1975)〕。プロスタグランジン合成で含まれるシクロオキシゲナーゼの二つのアイソザイムは、シクロオキシゲナーゼ−1(COX−1)及びシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)である〔ヘムラー(Hemler)M.、その他、J.Biol.Chem.,25:251,5575−5579(1976)〕。選択的COX−2抑制剤は主に抗炎症活性の原因になることが仮定されている〔マスフェラー(Masferrer)J.L.、その他、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,91:3228−3232(1994)〕。フラボノイドは、現在抗炎症性物質としてのみならず、シクロオキシゲナーゼ(COX)抑制活性に対するそれらの構造的特徴のために研究されつつある。
【0010】
アントシアニン及びプロアントシアニジンの上記特性及び利点により、果物、野菜、及び他の植物源からそれらの化合物を抽出することに多くの努力が払われてきた。プロアントシアニジン及びアントシアニンの外に、植物、果物、及び野菜は、ミネラル塩、クエン酸又は酒石酸のような一般的有機酸、炭水化物、フラボノイドグルコシド、及びカテキンのような他の化合物も含んでいる。アントシアニン及びプロアントシアニジンを、他の天然産化合物から分離することが屡々望ましい。アントシアニンは、種々の方法により植物及び果物から抽出されてきた。アントシアニンを抽出する一つの方法は、両性イオン性物質を形成するために硫酸水素塩の添加を用いている。抽出物を、イオン交換カラムに通し、それにより両性イオン性アントシアニン付加物を吸収し、その吸収されたアントシアニンをアセトン、アルカリ、又はジメチルホルムアミド(DMF)により樹脂から溶離する。この方法の欠点には、硫酸水素塩が存在することが含まれ、それがアントシアニンの吸着を妨害し、それにより多数のカラム吸着を必要とすることである。アルカリによる溶離はアントシアニンをかなり劣化するが、DMFは認められた食品添加物ではなく、従って、アントシアニンを食物製品に添加する前に完全に除去しなければならない。
【0011】
これらのフラボノイド化合物を捕捉するためには、よく規定された正確な処理及び分離技術が必要である。ナフィシ・モバガール(Nafisi−Movaghar)、その他による米国特許第5,912,363号明細書には、植物材料からプロアントシアニジンを抽出し、精製する方法で、植物材料の水性混合物を加熱し、その水溶液を限外濾過膜に通して濾過し、大きな分子量の重合体及び粒子を除去し、抽出されたプロアントシアニジンを含む透過液を生成させ、その透過液を、プロアントシアニジンを保持し、放出することができる吸着材料と接触させ、その保持されたプロアントシアニジンを極性溶媒で溶離することにより液体からプロアントシアニジンを分離することを含む方法を記載している。しかし、この方法は、非常に高い抽出温度を用いており、それがプロアントシアニジンの劣化を起こすことがある。更に限外濾過は、最終生成物から低分子量ポリフェノール物質を幾らか除去する。
【0012】
種々の植物材料からプロアントシアニジン及び/又はアントシアニンを抽出及び分離する当分野で知られている多くの方法は、毒性及び/又は環境に有害な物質を用いている。従って、プロアントシアニジンを分離し、精製するために入手できる現在の方法は、その方法の全体的実行で種々の化学物質及び溶媒の廃棄についての考慮が重要な役割を果たす効率的な商業的方法まで規模を拡大することは容易なことではない。更に、プロアントシアニジン及びアントシアニンは、それらの劣化し易い自然的傾向を最少にするやり方で分離しなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、栄養剤及び医薬で用いるためにプロアントシアニジンのようなフェノール化合物を含む組成物を分離し、精製する効率的な方法で、コスト的に効果的で、規模を大きくすることができ、経済的に健全であり、毒性溶媒又は薬品を用いる必要はなく、植物材料からフェノール化合物を、それらの劣化し易い傾向を最少にするやり方で分離する方法が依然として要求されている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、全フェノールに富む組成物の抽出、分離、精製のための簡単で経済的な方法を与える。特に本発明の一つの態様は、(a)フェノール化合物を含有する一種類以上の植物材料の粗製抽出物で、プロアントシアニジン、アントシアニン、他の少量のフェノール及び非フェノール化合物を含む抽出物を与え;(b)前記粗製抽出物を濾過し;(c)前記粗製抽出物を、前記フェノールを放出可能に吸着するが、非フェノール化合物は実質的に保持しない臭素化ポリスチレン樹脂と接触させ;(d)前記樹脂を洗浄溶離剤で洗浄し、前記非フェノール化合物を溶離し;(e)前記樹脂を第一溶離剤で溶離し、フェノールを含む第一フラクションを収集し;(f)前記樹脂を第二溶離剤で溶離し、フェノールを含む第二フラクションを収集し;そして(g)前記工程(e)又は工程(f)からのフラクションを分離するか、又は工程(e)及び(f)からの前記フラクションを一緒にし、全フェノールに富み、前記非フェノール化合物が殆ど無くなった組成物を得る;ことを含む全フェノールに富む組成物を製造する方法を与える。本発明は、更に、本発明の方法により分離された全フェノールに富む組成物を与える。
【0015】
本発明は、更に、全フェノールに富む組成物を精留し、非極性プロアントシアニジンから極性プロアントシアニジンを分離する方法を与える。本発明は、更に極性プロアントシアニジンに富む組成物、及び非極性プロアントシアニジンに富む組成物を与える。極性プロアントシアニジンは、非極性プロアントシアニジンとは異なった生物学的活性を有することが判明した。
【0016】
本発明の全フェノールに富む組成物を、C−18親油性カラムで逆相HPLCにより分析すると、280nm及び510nmで吸収を示す化合物の複数の組の特性溶離ピークが観察される。特に、本発明の全フェノールに富む組成物は、ここに記載したようにHPLC分析を行なった時、図10〜13に例示したのと実質的同じHPLCトレースで60〜75分の間の領域で一組の特性溶離ピークを有することを特徴とする。
【0017】
本発明の全フェノールに富む組成物をIR分光測定により分析した場合、図33〜40に示したのと実質的に同じような化合物の特性吸収ピークが観察される。本発明の組成物は、栄養剤及び医薬として有用である。例えば、本発明の組成物は、抗感染(例えば、抗ウィルス、抗UTI、及び抗菌)剤及び抗炎症剤として有用である。
【0018】
本発明の前記及び他の特徴、有用性及び利点は、本発明の好ましい態様についての次の一層特別な記述から、図面に例示したように、また特に特許請求の範囲で指摘するように、明らかになるであろう。
【0019】
ここに組込み、明細書の一部を形成する図面は、本発明の態様を例示するが、本発明を限定するものではなく、その記述と共に、本発明の原理を説明するのに役立つものである。
【0020】
本発明の詳細な記述
本発明は、アントシアニン及びプロアントシアニジンのような天然にフェノール化合物を含有する植物材料から全フェノールに富む組成物を製造する方法を与える。本発明の方法は、更に全フェノールに富む組成物を与える。
【0021】
ここで用いる用語「抽出」とは、全植物から、又は果実、葉、茎、根、樹皮等のような植物の種々の部分から、調製された抽出物を含めた、天然にフェノール化合物を含む植物源から誘導された物質を指す。従って、本発明の方法は、抽出物を調製するのに用いられる植物の特定の部分に限定されるものではない。本発明の方法は、アントシアニン及びプロアントシアニジンのどのような原料でも用いることができ、最も典型的には、種子、果実、皮、野菜、ナッツ、樹皮、及びフェノール化合物を含む他の植物材料のような、植物から誘導される植物材料からの原料を用いることができる。殆どの色のついた果実、イチゴ類、及び野菜は、フェノール化合物を含むことが知られている。フェノール化合物を含む植物、果実、イチゴ類、及び野菜の例には、ブルーベリー、ビルベリー、エルダーベリー、プラム、ブラックベリー、ストロベリー、レッドカーラント、ブラックカーラント、クランベリー、チェリー、ラズベリー、グレープ、カーラント、ハイビスカスの花、シシトウガラシ、豆、エンドウ豆、赤キャベツ、パープルコーン、紫サツマイモが含まれるが、それらに限定されるものではない。植物原材料は、そのまま(湿潤状態で)用いてもよく、又は抽出する前に乾燥してもよい。場合により植物原材料は、抽出前に、アントシアニン及びプロアントシアニジン含有量の低い成分を分離及び除去することにより分類してもよい。
【0022】
一つの態様として、本発明のフェノールに富む組成物は、ブルーベリー、ビルベリー、エルダーベリー、プラム、ブラックベリー、ストロベリー、レッドカーラント、ブラックカーラント、クランベリー、チェリー、ラズベリー、及びグレープ(それらに限定されるものではない)を含めた、フェノール化合物を含む一種類以上のイチゴ類及び/又は果実を抽出し精製することにより得られる。
【0023】
ここで用いられる用語「フェノール」及び「フェノール化合物」は交換することができるものとして用いられており、一つ以上のフェノール基を有する単量体、オリゴマー、及び重合体化合物が含まれ、アントシアニン、プロアントシアニジン、及びフラボノイドが含まれるが、それらに限定されるものではない。
【0024】
ここで用いられる用語「全フェノールに富む組成物」(“total phenol−enriched composition”)とは、一種類以上のフェノール化合物に富み、植物、果実、イチゴ類、及び野菜の粗製抽出物中に存在する非フェノール化合物が実質的になくなったレベルになっている組成物を指す。そのような非フェノール化合物の例には、砂糖、セルロース、ペクチン、アミノ酸、タンパク質、核酸、植物ステロール、脂肪酸、及びトリグリセリドが含まれるが、それらに限定されるものではない。
【0025】
本発明の方法は、慣用的ポリスチレン樹脂又は他の当分野で用いられている樹脂によるよりも、臭素化ポリスチレン樹脂でフェノール含有抽出物を精製すると、下で詳細に論ずるように、一層大きな純度を有する全フェノールに富む組成物を与えると言う発見に基づいている。
【0026】
図1は、全フェノールに富む組成物を製造することができる本発明の方法の一つの態様の工程を示す製造工程図である。本発明の方法は、幾つかの処理工程を除き、その処理で必要な薬剤の量を減少し、それにより製造コスト及び廃棄物を捨てる問題を少なくすることにより、経済的及び効率的に全フェノールに富む組成物を得る方法を与える。
【0027】
本発明の方法の一つの態様として、図1の工程10〜70に例示したように、フェノール化合物(例えば、プロアントシアニジン及びアントシアニン)及び非フェノール化合物を、新しい又は乾燥した触媒材料から抽出する(工程10)。当業者は、バット(vat)抽出、浸出、向流抽出等のような種々の抽出法が文献で得られることを認めるであろう。特別な抽出方法を用いることは本発明の方法に本質的なことではない。抽出処理の前に植物材料を或る程度粉砕することは、接触させる抽出溶媒に対し充分な粒子表面積を与える筈である。
【0028】
図1に示した方法の一つの態様として、抽出工程(工程10)は、適当な量の抽出溶媒中に新しい又は乾燥した植物材料を入れることにより達成される。一つの態様として、抽出溶媒は、水の中に約0〜95%のエタノールを入れ、約0〜3%、一層好ましくは約0.006〜0.012重量%の量の適当な酸を含む酸性化アルコール溶液を含む。別の態様として、抽出溶媒は、水の中に約0〜100%のメタノール、及び約0〜3重量%の適当な酸を含む酸性化アルコール溶液を含む。抽出工程で用いることができる適当な酸には、硫酸(H2SO4)、酢酸(HOAc)、又は塩酸(HCl)が含まれるが、それらに限定されるものではない。抽出溶液に酸を添加することは、プロアントシアニジン及びアントシアニンの劣化を防ぐ。従って、一つの態様として、図1に例示したような本発明の方法の工程の殆どに亙って、酸性状態を維持する。植物材料を抽出溶液と適当な長さの時間、ほぼ室温から75℃、好ましくは40℃の温度で接触させ、粗製抽出物を形成する。抽出処理で用いられる抽出溶媒に対する植物材料の量は、g/mlの基準で、約2:1〜約1:20の範囲にある。一つの態様として、植物材料対抽出溶媒の比は、約1:4〜1:8である。
【0029】
粗製抽出物は、プロアントシアニジン、アントシアニン、及び他のフェノールのようなフェノール化合物のみならず、砂糖、ペクチン、植物ステロール、脂肪酸、トリグリセリド、及び他の化合物のような望ましくない非フェノール物質も含む。粗製抽出物中に含まれている固体残留物を液体部分から分離し、それら固体を上に記載したように再抽出するか、又は廃棄する。
【0030】
工程10(図1)の一つの態様として、抽出処理の前又はその間に、植物材料又は抽出溶媒にペクチナーゼを添加する。別法として、抽出処理が完了した後の粗製抽出物にペクチナーゼを添加してもよい。ペクチナーゼは、抽出処理中、又はその後のいずれかの点で抽出物がゲル化するのを防ぐ働きをし、その結果抽出物はカラム精製中流動性を維持するであろう。ペクチナーゼの添加量は、勿論抽出物を製造するのに用いられる植物材料の量に依存するであろう。典型的には、ペクチナーゼは、植物材料の約0〜0.12重量%の量で添加する。
【0031】
続けて図1を参照して、工程10で粗製抽出物を製造するためにエタノール性又はメタノール性抽出溶媒を用いた場合、粗製抽出物が含むエタノール又はメタノールが6%より少なくなるまで粗製抽出物を濃縮し、好ましくは濃縮中40℃以下の温度を維持しながら濃縮する(工程20)。濃縮粗製抽出物を希釈するため水を添加し、その希釈した粗製抽出物を工程30前に濃縮し、水で再び希釈するか、又は第二希釈を行わずに工程30へ直接送る。勿論、粗製抽出物を製造する際に抽出溶液として水を用いたならば、工程20は不必要であり、この場合、工程10からの粗製抽出物を、図1の点線矢印で示したように、工程30へ直接導入する。
【0032】
図1で示した方法の工程30は、工程10又は20からの粗製抽出物を濾過して、粗製抽出物から沈殿していることがある固体を除去することを含む。本発明者は、工程10について記述したように、抽出条件を調節することにより、工程30で濾過することにより粗製抽出物から沈殿した望ましくない非フェノール化合物の量が増大することを発見した。本発明の方法の濾過工程30では、種々の濾過方法を用いることができる。工程30で用いることができる一つの濾過方法は、測定した量の、珪藻土又はセルロースのような濾過助剤を粗製抽出物へ添加することを含む。粗製抽出物と濾過助剤との混合物は、均質になるまで振盪又は撹拌し、フィルター助剤の床に通して濾過するのが好ましい。その床は酸性水溶液、好ましくは約0.006%の硫酸水溶液で洗浄する。
【0033】
図1の工程30に用いることができる他の濾過方法には、砂の床、又は好ましくはガラスウールで覆った30μのポリプロピレンフィルターを通して粗製抽出物を濾過することが含まれる。更に別の濾過方法は、袋フィルター(ポリエチレン又はポリプロピレンから構成された袋型の布フィルター)を用いることが含まれ、それは、下に記載する工程40の精製カラムとインライン状態に配置するのが有利であろう。上に記載したフィルターは、沈澱した固体を除去するために用いられ、粒径分離フィルターではない。
【0034】
図1に示した方法に従いフェノール化合物を分離するためには、工程30で分離した濾過抽出物を、プロアントシアニジン及びアントシアニンのようなフェノール化合物を放出可能に吸着することができる臭素化ポリスチレン吸着材料と接触させるが、それは、濾過抽出物中に存在していた望ましくない非フェノール材料は余り保持しない。本発明者は、全フェノールに富む高純度組成物は、工程30で分離した濾過抽出物を、ミツビシ・ケミカル・アメリカにより製造されているSP−207〔スペルコ(Supelco);ペンシルバニア州ベラフォンテ〕のような臭素化ポリスチレン樹脂で精製することにより得ることができると言うことを発見した。SP−207樹脂は、逆相クロマトグラフィー用として設計されたマクロポーラスな臭素化スチレン重合体ビーズ型の樹脂であり、約250〜600μの粒径分布、及び約100〜300Åの気孔孔径範囲を有する。芳香族環の臭素化は、ポリスチレン樹脂に増大した疎水性を与え、従来のスチレン・ジビニルベンゼン重合体逆相支持体に比較して疎水性分子に対する選択性が増大した樹脂を与えるように設計されている。臭素化ポリスチレン樹脂は、強い結合性のため、典型的には天然の生成物の精製には用いられてはいない。
【0035】
このように、慣用的ポリスチレン樹脂は、プロアントシアニジン及びアントシアニンのようなフェノール化合物を余りにも強く結合する傾向を持つため、ポリスチレン樹脂からそのような化合物を溶離することは非常に困難であることが知られており、そのため、臭素化ポリスチレン樹脂はフェノール化合物を更に一層強く結合するであろうと予想されていた。従って、臭素化ポリスチレン樹脂がフェノール化合物の精製に適していると言うことは予想されていなかったことである。しかし、本発明者は臭素化ポリスチレン樹脂が、プロアントシアニジン及びアントシアニンのようなフェノール化合物と結合する強さは、非臭素化ポリスチレン樹脂よりも弱く、然も、依然としてフェノール化合物を、望ましくない非フェノール化合物から分離することができると言うことを驚いたことに予想外に発見した。
【0036】
図1に示した方法の一つの態様として、工程30で分離した濾過抽出物を、約250〜600μの粒径分布及び約100〜300Åの気孔孔径範囲を有する臭素化ポリスチレン樹脂を充填したカラムにロード(load)する(工程40)。しかし、工程40はここではカラムに充填した樹脂と抽出物とを接触させると言う表現でここでは記述しているが、そのような記述は単に説明をし易くするためのものである。例えば、樹脂は本発明の方法を遂行するためにカラムの中へ充填する必要はない。カラムにロードする濾過抽出物の量は、粗製抽出物を調製するために用いられる植物材料に依存する。例えば、粗製抽出物をビルベリーから調製する場合には、全フェノールの約16〜30gを1リットル当たりの樹脂にロードすればよい。別の例として、粗製抽出物をブルーベリーから調製する場合、全フェノールの約15〜45gを1リットル当たりの樹脂にロードすればよい。粗製抽出物をエルダーベリーから調製する場合、全フェノールの約15〜40gを1リットル当たりの樹脂にロードすればよい。濾過抽出物は、濃厚な粗製抽出物中の固体濃度が200g/lを越えるならば、ローディング(loading)する前に水で希釈してもよい。工程40(図1)でカラムにローディングしている間に溶離してくるフラクションは、「フラクション1」として収集する。
【0037】
濾過粗製抽出物を樹脂にローディングした後、吸着剤に殆ど又は全く親和力を持たない望ましくない非フェノール物質(例えば、砂糖、塩、有機酸等)を、硫酸水溶液、酢酸水溶液、又は塩酸水溶液のような少なくとも0.003%の酸を含む水性洗浄溶媒で樹脂から溶離する(図1、工程50)、例えば、約3カラム体積の0.006%の硫酸水溶液又は0.1%の酢酸水溶液を用いて余計な物質を溶離することができる。その溶離物を「フラクション2」として収集する。
【0038】
続けて図1を参照し、カラムを次に約50〜70%のエタノール/水又は約50〜90%のメタノール/水のような極性有機溶媒を含む第一溶離剤で溶離する(工程60)。工程60では、約2〜12カラム体積の溶離用溶媒を用いるのが典型的である。一つの態様として、第一溶離剤は、硫酸、塩酸、又は酢酸のような酸を約0.003%含有する。溶離工程60中に収集されたフラクション(単数又は複数)は、「フラクション3」として収集する。「フラクション3」は、粗製抽出物中に含まれていたフェノール化合物の一部分を含有し、特にアントシアニンに富み、プロアントシアニジンを含む。
【0039】
UV−VIS分光分析により決定して、アントシアニンの大部分がカラムから溶離された後、アントシアニンを溶離するために用いた溶媒(工程60)よりも一層大きな%のエタノール又はメタノールを含有する極性有機溶媒を含む第二溶離剤でカラムを溶離する(工程70、図1)。例えば、第二溶離剤は、約50〜90%のエタノール/水、又は約75〜100%のメタノール/水を含む。溶離工程70中で収集されたフラクション(単数又は複数)は、「フラクション4」として収集する。「フラクション4」には、粗製抽出物中に最初に含まれていたフェノール化合物の次の部分が含まれており、典型的には、プロアントシアニジンに富んでいる。「フラクション4」は、溶離工程60で分離されなかったアントシアニンも含んでいることがある。
【0040】
「フラクション3」及び「フラクション4」中のフェノール化合物の回収は、蒸発、蒸留、冷凍乾燥等のようなどのような慣用的やり方で達成してもよく、本発明の全フェノールに富む組成物を与えることができる。
【0041】
上で述べた方法は、エルダーベリー、プラム、ブルーベリー、ビルベリー、ブラックベリー、ストロベリー、レッドカーラント、ブラックカーラント、クランベリー、チェリー、ラズベリー、グレープ、ハイビスカスの花、シシトウガラシ、豆、エンドウ豆、赤キャベツ、パープルコーン、紫サツマイモを(それらに限定されるものではない)を含めたフェノール化合物を含む種々の植物材料から栄養剤として用いるための全フェノールに充分富む組成物を製造するのに適している。一つの態様として、本発明の富化組成物は、少なくとも10〜80%の全フェノールを含有する。別の態様として、それら組成物は、少なくとも12%の全フェノールを含有する。更に別の態様として、それら組成物は、少なくとも25%の全フェノールを含有する。
【0042】
特に果物及びイチゴ類から製造された、全フェノールに富む組成物、特に「フラクション3」、「フラクション4」、又はそれらの組合せから分離された組成物は、果物及びイチゴ類とは別の植物材料から製造された組成物のHPLCクロマトグラムには含まれていない、図12及び13に示されているもののような特性ピークを有する同様なHPLCクロマトグラムを生ずることが発見された。例えば、図1に例示した方法に従って、果実及びイチゴ類から製造され、「フラクション4」から分離された全フェノールに富む全ての組成物のHPLCクロマトグラムは、エルダーベリーから分離された「フラクション4」組成物について図12及び13で示したクロマトグラム中のピークと同様に、60〜75分の間の特性ピークを含むことが判明した。「フラクション3」「フラクション4」、又はそれらの組合せのいずれかから分離され、特に果物及びイチゴ類から製造された本発明の全フェノールに富む組成物は、下で詳細に記述するように、抗感染(例えば、抗ウィルス)及び抗炎症活性を有する。
【0043】
本発明の全フェノールに富む組成物をIR分光測定により分析すると、フェノール化合物からの特性ピークも観察される。特に、本発明の全フェノールに富む組成物は、図33〜40に例示したのと実質的に同じIR吸収ピークを有することを特徴とする。
【0044】
全フェノールに富む組成物(例えば、「フラクション3」、「フラクション4」、又はそれらの組合せ)は、例11に詳細に記述し、図15に示したように、C−18のような逆相親油性カラムによる低圧真空液体クロマトグラフィー(VLC)を用いて更に「極性」プロアントシアニジンに富むフラクションと、「非極性」プロアントシアニジンに富むフラクションへ分配することができることも発見された。例えば、エルダーベリー抽出物から分離された「フラクション3」組成物を水に溶解し、C−18カラムにロードする。そのカラムを100%の水で洗浄し、C−18媒体により強くは保持されていなかった物質を収集した。流通洗浄フラクションを「フラクション5」として一緒にし、一層極性のプロアントシアニジンを含んでいた。従って、「フラクション5」を、ここでは「極性」プロアントシアニジンに富む留分として言及する(図15)。エルダーベリーからの極性プロアントシアニジンに富む「フラクション5」は、幾らか紫色を有するのが典型的であり、このフラクション中の重合体がオリゴマープロアントシアニジン鎖中に一つ以上の陽イオン性アントシアニジン・サブユニットを含んでいることを示唆している。次にVLCカラムを、30〜100%のメタノールで溶離し、低圧カラムで用いたC−18媒体により一層強く保持されていたプロアントシアニジンを収集した。メタノールフラクションを「フラクション6」として一緒にし、「フラクション5」に収集されたものよりも極性の低いプロアントシアニジンを含んでいた。従って、「フラクション6」は、ここでは「非極性」プロアントシアニジンに富むフラクションとして言及する(図15)。非極性プロアントシアニジンに富む「フラクション6」は、色があったとしても極めて僅かであり、このフラクション中のオリゴマープロアントシアニジン鎖は、陽イオン性アントシアニジン・サブユニットを含まないことを示唆している。
【0045】
従って、本発明は、「フラクション3」、「フラクション4」、又はそれらの組合せの中に含まれている非極性プロアントシアニジンから極性プロアントシアニジンを分離する便利な方法を与える。極性プロアントシアニジンに富む「フラクション5」及び非極性プロアントシアニジンに富む「フラクション6」は、濾過した粗製水性抽出物(図1、工程30)をC−18VLCカラムに直接ローディングすることにより分離することができることも判明した。分離したプロアントシアニジンに富むフラクション5及び6を記載するのに用いた場合の用語「極性」及び「非極性」は、夫々、フラクション5及び6中のプロアントシアニジンの極性が互いに対し相対的なものであること、即ち、C−18VLCカラムでの特定のフラクションがどのように挙動するかに言及したものであることを理解すべきである。本発明の極性プロアントシアニジンに富む組成物(フラクション5)及び非極性プロアントシアニジンに富む組成物(フラクション6)は、実施例で論ずるように、アントシアニンのレベルが実質的に減少している。
【0046】
極性及び非極性プロアントシアニジンに富むフラクション(夫々、「フラクション5」及び「フラクション6」)は、異なった生物学的活性を有することが判明しており、非極性フラクションは、例17に記載するような或る検定では極性フラクションよりも大きな抗ウィルス活性を有することが判明している。
【0047】
極性及び非極性プロアントシアニジンに富むフラクション5及び6の各々は、夫々、図15に示し、例12〜14に記載するように、更に精製することができる。例えば、VLC分離中に分離された極性プロアントシアニジンに富む「フラクション5」は、準分取(semi−preparative)C−18HPLCカラムにロードし、それにより極性プロアントシアニジンを放出可能に保持することができる。次にそのカラムを、アセトニトリル、メタノール、又はエタノールをそれらの%が増大していくようにして含む濃度勾配を持つ溶媒で洗浄し、アントシアニン及び他の極性化合物の殆どを溶離し、次に少なくとも60%のアセトニトリル、メタノール、又はエタノールで洗浄し、精製された極性プロアントシアニジンを含む「フラクション7」を溶離する(図15)。更に、VLC分離中に分離された非極性プロアントシアニジンに富む「フラクション6」を、更にゲル濾過、又は逆相準分取HPLCにより精製することができる。ゲル濾過は、サイズ排除又はゲル浸透クロマトグラフィーとも呼ばれており、分子をそれらの大きさに従い分離する液体クロマトグラフィー技術である。この種の媒体は、小さな化合物を保持するが、大きな非極性プロアントシアニジンに富む「フラクション8」(図15)は、流通する溶離剤によって溶離する。本発明の精製された極性及び非極性プロアントシアニジンに富むフラクション7及び8は、夫々アントシアニン及びフラボノイドのレベルが実質的に減少しており、非フェノール化合物のレベルも実質的に減少している。精製された極性及び非極性プロアントシアニジンに富む「フラクション7」及び「フラクション8」は、夫々、異なった生物学的活性を有することが更に観察された。
【0048】
本発明の全フェノールに富む組成物(「フラクション3」、「フラクション4」、又はそれらの組合せ)、極性プロアントシアニジンに富む組成物(フラクション5及び7)、及び非極性プロアントシアニジンに富む組成物(フラクション6及び8)は、或る範囲の生物学的活性を有する。例えば、本発明の組成物は、例15及び16に記載するように、抗ウィルス活性を有することが見出された。本発明の組成物は、それらを単独で用いるか、又は他の抗ウィルス剤と組合せて用い、インフルエンザA、B、及びC、パラインフルエンザウィルス、アデノウィルス型1、Punta ToroウィルスA、単純ヘルペスウィルスI及びII、ライノウィルス、西ナイルウィルス、水痘帯状疱疹ウィルス、麻疹ウィルス(それらに限定されるものではない)を含めたウィルスによるウィルス感染により引き起こされた又はそれらと合併した病気を予防及び/又は処置するのに用いることができる。従って、本発明の全フェノールに富む組成物、極性プロアントシアニジンに富む組成物、及び非極性プロアントシアニジンに富む組成物は、そのようなウィルスにより引き起こされた病気に対し、本発明の組成物を治療として有効な量投与することにより予防及び治療用途で有利に用いることができる。
【0049】
プロアントシアニジンは、それらがシクロオキシゲナーゼ(COX)活性を阻害することによる抗炎症物質として研究されてきている。抗炎症性物質は、COX−1阻害よりもむしろCOX−2阻害に対し選択性であることが望ましいことが示されてきている。従って、本発明の別の態様は、治療に有効な量の本発明の全フェノールに富む組成物、極性プロアントシアニジンに富む組成物、又は非極性プロアントシアニジンに富む組成物を投与することを含む哺乳類の炎症性疾患を処置する方法を含む。例えば、ブルーベリー抽出物の精製中、フラクション3及び4として分離された全フェノールに富む組成物は、大きなCOX−2/COX−1阻害選択性及び108μg/mlのIC50を有することが判明した(例17)。本発明の組成物は、単独で用いるか、又は他の抗炎症剤と組合せて用い、炎症反応を防止又は阻止することができる。そのような反応は、骨関節症、アレルギー性鼻炎、心臓血管系疾病、上気道疾病、創傷感染、神経炎、及び肝炎(それらに限定されるものではない)を含めた症状又は疾病により起こされることがある。
【0050】
クランベリー及びブルーベリーから分離されたプロアントシアニジンは、バクテリアが膀胱壁に付着するのを防ぎ、それにより尿路感染のような疾患の可能性を減少することが知られている〔ホウエル(Howell)、その他、New England J.Medicine,339:1085−1086(1998)〕。プロアントシアニジンはバクテリアの付着を防ぐことによりそれらの効果を及ぼすものと仮定されている。従って、本発明の別の態様は、本発明の全フェノールに富む組成物、極性プロアントシアニジンに富む組成物、又は非極性プロアントシアニジンに富む組成物をそのような感染に伴われる症状を予防、減少、又は排除するのに充分な量の効果的な量で投与することを含む哺乳類の泌尿生殖器感染を予防又は処置する方法を含む。本発明の組成物は単独で用いるか、又は他の抗菌剤と組合せて用いることができる。
【0051】
プロアントシアニジンは、強力な酸化防止剤であることも知られている。例えば、プロアントシアニジンの酸化防止剤としての効果は、心臓血管系及び免疫系に対するそれらの薬効の多くの原因になっていると推定されている。従って、本発明の全フェノールに富む組成物、極性プロアントシアニジンに富む組成物、及び非極性プロアントシアニジンに富む組成物は、人間及び哺乳類の食事の補充剤(例えば、食事の抗酸化剤)として、及び疾患の処置のために用いることができる。例えば、本発明の組成物は、目に見える激しさを改善し、循環系疾患、糖尿病、及び潰瘍を処置するために用いることができる。
【0052】
本発明の全フェノールに富む組成物、極性プロアントシアニジンに富む組成物、及び非極性プロアントシアニジンに富む組成物は、アラビノガラクタン、エキナセア種、ビタミン類、ミネラル類、多糖類、及び距骨(それらに限定されるものではない)を含む、免疫活性剤と組合せることもできる。
【0053】
本発明の全フェノールに富む組成物、極性プロアントシアニジンに富む組成物、及び非極性プロアントシアニジンに富む組成物は、緑茶抽出物、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、ガロカテキン、及びフラボノイド(それらに限定されるものではない)を含めた抗突然変異剤と組合せることもできる。
【0054】
本発明の全フェノールに富む組成物、極性プロアントシアニジンに富む組成物、及び非極性プロアントシアニジンに富む組成物は、丸薬、カプセル、液体、チンキ剤として配合してもよい。本発明による組成物を配合する場合、広い範囲の賦形剤を用いることができ、勿論、それらの性質は、組成物の目的とする用途方式に依存するであろう。賦形剤の例には、防腐剤、キャリヤー、緩衝剤、濃化剤、懸濁剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、着色剤、及び芳香剤、特にカルボキシビニル重合体、プロピレングリコール、エチルアルコール、水、セチルアルコール、飽和植物トリグリセリド、脂肪酸エステル又はプロピレングリコール、トリエタノールアミン、グリセロール、澱粉、ソルビトール、カルボキシメチルセルロース、硫酸ラウリル、燐酸二カルシウム、レシチン等が含まれる。
【0055】
上の記載は、本発明の原理を単に例示するに過ぎないものと考えられる。更に、多くの修正及び変化が容易に当業者には思いつくであろうから、上に記載し、示した構成及び方法に正確に本発明を限定することは望ましくない。従って、全ての適当な修正及び同等なものは、後の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲内に入るものと見做すことができる。
【0056】
本明細書及び後の特許請求の範囲で用いられる言葉「含む(comprise)」、「含んでいる(comprising)」、「含む(include)」、「含んでいる(including)」、及び「含む(includes)」は、記述した特徴、整数、成分、又は工程の存在を特定化することを意図したものであるが、それらは一つ以上の他の特徴、整数、成分、工程、又はそれらのグループの存在又は追加を排除するものではない。
【実施例】
【0057】
例1
水抽出を用いたビルベリーの精製
乾燥ビルベリー原料1kgについて3回の抽出を行なった。最初の抽出は6リットルの水を用い、他の2回の抽出は4リットルの水を用いた。全ての抽出は、濃硫酸で5g/lの酸濃度まで酸性化した。粗製抽出物には約88%のアントシアニンが回収された。粗製抽出物の正確に2.3リットルを、フィルターの上にガラスウールの層を用いた30μポリプロピレンフィルターに通して濾過した。ガラスウールを1回交換し、フィルターを脱イオン水で濯いだ。濾液の最終的体積は2.43リットルであり、濾液の中には90.9%のアントシアニンが回収された。
【0058】
臭素化ポリスチレン樹脂SP−207〔スペルコ(Supelco);ペンシルバニア州ベレフォンテ〕をカラムに充填し、0.1%の酢酸で平衡にした。カラムに、29.8g/lの固体濃度を持つ2.24リットルの濾液を、2.2ml/分の流量を用いてロードさせた。ローディング漏洩は、導入したアントシアニンの0.9%より少なく、全損失は、ローディング及び最初の2回のカラム洗浄でアントシアニンの4.07%であった。溶離工程ではアントシアニンの88.4%が回収され、アントシアニンの物質収支は92.5%であった。回転蒸発器で数百mlの溶離生成物を蒸発乾固し、次に凍結乾燥した。乾燥した生成物の最終的分析は、塩化デルフィニジン標準(1.0cmで102吸光度単位/g/l)に対し535nmでの吸光度を標準分光光度計により決定した。富化組成物は、合計43重量%のアントシアニンを含んでいた。
【0059】
例2
70%のエタノール抽出を用いたビルベリーの精製
2.0%のアントシアニンとして分析された乾燥ビルベリー原料(667g)を、体積で3%の硫酸を含む70%エタノール/水を用いてパーコレーションにより抽出した。粗製抽出物中の固体は、3.9重量%の全アントシアニンを含んでいた。第一抽出体積1リットルを、100mlの脱イオン水と混合し、約460mlまで真空蒸発してアルコールを除去した。脱イオン水(300ml)を混合物に添加し、更に170mlの液体を蒸発した。脱イオン水(210ml)を添加し、最終体積を800mlにした。その水性混合物に150gのセライト512(固体1g当たり0.5〜0.9g/lのセライト)を添加した。混合物を均質になるまで振盪した。セライト/抽出物混合物を、真空中で30gの湿ったセライト512床上に注いだ。濾過が完了した後、床を200mlずつの中に1%の硫酸水溶液1.20リットルを入れたもので洗浄した。濾液体積は1855mlであった。その濾液に、145mlの脱イオン水を添加し、最終的体積を2.0リットルにした。
【0060】
濾液の一部分(695ml)を、170mlの臭素化ポリスチレン樹脂(SP−207)を充填したカラムに2.2ml/分(1.3ml/分/cm2)でロードした。これによりカラム媒体1リットル当たり17gのアントシアニンの負荷値を与えた。カラムを1カラム体積の0.1%酢酸水溶液で洗浄し、次に2.5カラム体積の0.1%HOAc/10%エタノール/90%水で洗浄した。次にカラムを10カラム体積の70%エタノール/水で溶離し、70%のエタノールフラクションを一緒にし、60℃及び50ミリバールで真空濃縮し、暗く輝いた乾燥無定形固体(「フラクション3」)を与えた。その乾燥生成物の最終分析は、塩化デルフィニジン標準(1.0cmで102吸光度単位/g/l)に対し535nmでの吸光度を標準分光光度計により決定した。富化組成物は、合計32重量%のアントシアニンを含んでいた。
【0061】
図2及び3は、本発明の方法に従ってビルベリーから製造された全フェノールに富む組成物(「フラクション3」)の、夫々510nm及び280nmでのHPLCクロマトグラムである。
【0062】
表1には、典型的なアントシアニンに富む組成物(「フラクション3」)中の各アントシアニン%が要約してある。
【0063】
【表1】
【0064】
例3
ブルーベリーからの全フェノールに富む組成物
10リットルの丸底フラスコ中で、乾燥粉砕ブルーベリー〔イリノイ州、モーメンスのファン・ドルネン・フューチャー・シューティカルズ(Van Drunen Future Ceuticals)〕940gに、4.0リットルの抽出溶媒(70%のエタノール中に1.0%w/vの硫酸を入れたもの)を添加した。フラスコを40℃に維持した一定温度の水浴中で2時間回転した。混合物をかき回し、150gのセライト512床に真空中で通し、濾過した。ブルーベリー・バイオマス濾滓を、500mlの抽出溶媒で洗浄した。濾滓をセライト床から注意して掻き取り、丸底フラスコ中に注入し、上記手順に従って再び抽出した。次に、三回目の抽出を行なった。三つの粗製抽出物を一緒にした。
【0065】
一緒にした抽出物の一部分(2.00リットル)を、40℃の水浴温度で175mlまで真空濃縮した。蒸発した抽出物を脱イオン水で希釈し、675mlの粗製ブルーベリー抽出物を与えた。その粗製抽出物を、濾過せずに、170mlの臭素化ポリスチレン樹脂(SP−207)を充填した、予め調整した(即ち、アセトンで洗浄した)平衡カラムにロードした。カラムを0.1%酢酸及び0.1%HOAc/10%エタノールで洗浄した。アントシアニンを70%エタノールで溶離した。生成物プールを60℃及び50ミリバールで真空蒸発した。最終生成物分析は、塩化デルフィニジン標準(1.0cmで102吸光度単位/g/l)に対し535nmでの吸光度を標準分光光度計により決定した。精製ブルーベリー組成物は、合計18重量%のアントシアニンを含み、アントシアニンの全回収率は95%であった。
【0066】
図4及び5は、本発明の方法に従ってブルーベリーから製造された全フェノールに富む組成物(「フラクション3」)の、夫々510nm及び280nmでのHPLCクロマトグラムである。
【0067】
例4
ブルーベリーからの全フェノールに富む高純度組成物
この例では、例3に記載したようにして製造された、ブルーベリーから製造され、18重量%の全アントシアニンを有する全フェノールに富む組成物の一部分を、強又は弱陰イオン交換樹脂に通して残留酸を除去し、富化組成物の純度を増大した。
【0068】
約1.0gの全フェノールに富むブルーベリー組成物を、50mlの水に溶解し、強陰イオン交換樹脂〔スーパー(Super)Q−650M;トーソーハース(TosoHaas);ペンシルバニア州モントゴメリー〕、又は弱陰イオン交換樹脂〔DEM−63;ワットマン(Whatman)〕の入った9mlのカラムに通した。カラムを30〜35mlの水で洗浄した。強陰イオン交換樹脂カラムの場合には、樹脂を更に25mlの20%エタノールで洗浄し、次に40%のエタノールで洗浄した。強陰イオン交換カラムから分離した組成物は、28.3重量%の全アントシアニンを含み、回収率は88%であった。弱陰イオン交換カラムから分離された組成物は30.6重量%の全アントシアニンを含み、回収率は88%であった。
【0069】
例5
ペクチナーゼ処理を用いてビルベリーからの全フェノールに富む組成物
1024gの冷凍ビルベリーに暖かい水(548g)を添加した。混合物を混合機中でピューレにし、次に40℃に加熱した。次に150μlのペクチナーゼ〔クエスト・スーパー(Quest Super)7x;クエスト・インターナショナル(Quest International)、ニューヨーク州ノルウィッチ〕を撹拌しながら添加し、40℃で30分間処理した。そのスラリーに約4mlの濃硫酸を添加し、0.5%(w/w)の酸濃度を達成した。次に混合物を45℃に加熱し、非常にゆっくり撹拌しながら15分間抽出した。ジカライト(Dicalite)(164g)をその抽出混合物に添加し、それを次に26gのジカライト床で濾過した。得られた濾滓を400mlの暖かい0.1%硫酸水溶液で3回洗浄した。この抽出物を25μm加圧フィルターに通して濾過した。全ての濾過抽出物(2.4リットル)を、170mlのSP−207カラムにロードした。ローディング後、カラムを0.1%酢酸水溶液で洗浄し、70%エタノール水溶液で溶離し、「フラクション3」を与えた。「フラクション3」を蒸発乾固し、次に48時間凍結乾燥器に入れた。最終生成物を、535nmでの吸光度を標準分光光度計で決定することにより全アントシアニンについて分析した。全フェノールに富む組成物は、40重量%の全アントシアニンを含んでいた。アントシアニンの全回収率は約79%であった。
【0070】
例6
エルダーベリー・バイオマス粉末からの富化組成物
分析によりアントシアニンが1.88%、全フェノールが5.31%の乾燥エルダーベリー・バイオマス粉末〔BIニュートラシューテカルズ(Nutraceuticals)、カリフォルニア州ロングビーチ〕約190gを1000gの暖かい水に添加した。溶液を完全に混合し、45℃の熱い水浴へ移した。その溶液に190μlのペクチナーゼ(スーパー7X、クエスト)を添加し、次に混合物を30分間放置した。2.5mlの濃H2SO4を用いて混合物を2.5のpHまで酸性化し、10分間穏やかに混合した。この酸性化混合物に、164gのセライトを添加し、次にその酸性化混合物を26gのセライト床で濾過した。濾滓を400mlの酸性化温水で3回、合計1200mlで洗浄した。次に濾液を25μm加圧フィルターに通して濾過し、エルダーベリー抽出物を与えた。
【0071】
エルダーベリー抽出物を170mlのSP−207(三菱化学)臭素化ポリスチレンカラムに2.3ml/分(1.3ml/分/cm2)の速度でロードした。ローディング中にカラムから収集した溶離物は、「フラクション1」として収集した。ローディング後、カラムを3カラム体積(3×170ml)の0.006%の硫酸水溶液で洗浄した。この洗浄による溶離物を「フラクション2」として収集した。次にカラムを8〜10カラム体積の70%エタノール水溶液で溶離し、それを「フラクション3」として収集した。次にカラムを3カラム体積の90%エタノール水溶液で洗浄し、それを「フラクション4」として収集した。カラムを、8カラム体積の0.006%の硫酸水溶液で再び平衡にした。フラクション3及び4を蒸発乾固し、次に乾燥するまで冷凍乾燥した。臭素化ポリスチレン樹脂からの溶離中に分離したフラクションの幾つかを、例7及び8に記載したようにしてアントシアニン及び全フェノールについて分析した。表2にカラムデーターを要約する。
【0072】
【表2】
【0073】
図6〜13は、濾過したエルダーベリー抽出物及びカラム精製中に分離した或るフラクションのHPLCクロマトグラムを示している。用いたHPLC条件は、例9に記載した通りである。
【0074】
図6及び7は、濾過したエルダーベリー抽出物の、夫々280nm及び510nmでのHPLCクロマトグラムを示している。
【0075】
図8及び9は、濾過エルダーベリー抽出物を臭素化ポリスチレン樹脂にカラム・ローディングしている間に収集された「フラクション1」の、夫々280nm及び510nmでのHPLCクロマトグラムを示している。
【0076】
図10及び11は、臭素化ポリスチレン樹脂から70%のエタノールを用いて、濾過エルダーベリー抽出物をカラム溶離している間に収集された「フラクション3」の、夫々280nm及び510nmでのHPLCクロマトグラムを示している。
【0077】
図12及び13は、臭素化ポリスチレン樹脂から90%のエタノールを用いて、濾過エルダーベリー抽出物をカラム溶離している間に収集された「フラクション4」の、夫々280nm及び510nmでのHPLCクロマトグラムを示している。
【0078】
本発明の全フェノールに富む組成物は、図10〜13に示したのと実質的に同様な標準HPLCクロマトグラムでの60〜75分の間の領域中でピークを示す化合物を含んでいる。
【0079】
例7
アントシアニンの定量的決定
この方法を用いて、種々のバイオマス試料及び全フェノールに富む乾燥精製組成物中の全アントシアニンを、外部標準を用いたUV−VIS分光光度計により決定する。試験した各試料(例えば、全フェノールに富む濃縮組成物、乾燥バイオマス、又は新鮮/冷凍バイオマス)は、下に記載するように、異なった製造手順を必要とする。
【0080】
全フェノールに富む組成物−100mlのメスフラスコ中に全フェノールに富む精製組成物を正確に秤量して75〜100mg入れ、2%HCl/MeOHでその体積まで希釈する。この試料の0.40〜1.6mlを2%HCl/MeOHで10.0mlまで希釈し、よく混合する。
【0081】
乾燥バイオマス−コーヒー粉砕機の刃を覆うのに充分な量の乾燥バイオマスをその粉砕機中へ入れる。約1分間、又は細かく粉砕されるまで粉砕する。別法として、原料を細かく粉砕するために乳鉢及び乳棒を用いる。100mlのメスフラスコ中に細かく粉砕したバイオマスを正確に秤量して約50〜100mg入れ、2%HCl/MeOHを約80ml添加し、蓋をする。フラスコを50℃の油浴又は強制空気炉中へ30〜60分間入れ、30秒間穏やかに振盪し、5分間超音波にかける。溶液を室温まで冷却する。線の所まで2%HCl/MeOHを添加し、混合する。試料の一部分を0.45μmPTFE注射器フィルターに通して濾過し、ガラス瓶に入れる。1.0mlの濾液を2%HCl/MeOHで10.0mlまで希釈する。希釈率は10ml/1ml、即ち、10になるであろう。
【0082】
冷凍/新鮮バイオマス−1000mlポリプロピレンビーカー中へ400.0gの冷凍/新鮮バイオマスを秤量して入れる。400gの沸騰に近い水をビーカー中へ添加する。機械混合器(ワーリング又は他のもの)を用いてピューレにする。広い穴のポリエチレン滴下器を用いて、0.5〜1.5gの代表的試料を取り出し、風袋を計った100mlのメスフラスコ中へ移した。80mlの2%HCl/MeOHを添加し、蓋をする。そのフラスコを50℃の油浴又は強制空気炉中へ60〜120分間入れ、30秒間穏やかに振盪し、次に5分間超音波にかける。溶液を室温まで冷却する。線の所まで2%HCl/MeOHを添加し、混合する。一部分を0.45μmPTFE注射器フィルターに通して濾過し、ガラス瓶に入れる。希釈率は、バイオマス及び水の全重量をバイオマスの重量で割ったもの[例えば、(400g+400g)/400g=2]になるであろう。
【0083】
乾燥減量−上記試料中の全アントシアニン含有量を得るための計算は、材料の水分含有量、又はLOD%(乾燥減量)を決定する必要がある。LOD%を決定するためには、正確に秤量したアルミニウム秤量皿に0.5〜3.0gの試料を移して均一に分布させ、その重量を0.1mgの精度で記録する。試料を105℃±3℃の炉中に2時間入れる(2時間15分を越えないようにする)。試料を室温へ冷却した後(デシケーターを用いてもよい)、試料を秤量し、その重量を0.1mgの精度で記録する。LOD%は、式1を用いて0.1%の精度で決定する:
LOD%=[1−(WD−WP)/(WSP−WP)]×100 式1
式中、LOD%=乾燥減量%;WD=皿及び試料の乾燥重量(g);WP=皿の重量(g);及びWSP=皿及び試料の初期重量(g)。
【0084】
分析手順−UV/VIS分光光度計を、可視ランプを点灯して光度測定モードで読取るように設定する。その機器を、行路長さ1cmのガラス、石英、又は使い捨てポリスチレン・セル中に入れた2%HCl/MeOHを用いて535nmで、0点に合わせる。調製した試料の吸光度を、同じ又は整合した1cmセル中で535nmで測定する。
【0085】
計算−全アントシアニンの濃度を、式2で示したように計算する:
CANTHOS=(ABSSAMP×DF)/ES 式2
式中、CANTHOS=試料中の全アントシアニンの濃度(mg/ml);ABSSAMP=試料の535nmでの吸光度;DF=下に記載する、希釈率;及びES=適当な外部標準、塩化シアニジン(チェリー、クランベリー、エルダーベリー、及びプラムについては101.1)、又は塩化デルフィニジン(ビルベリー及びブルーベリーについては102.0)の吸光係数(1cmのセルを用いて2%HCl/MeOH中での535nmでの1mg/ml溶液の吸光度)。乾燥バイオマスについての希釈率(DF)は1であり、新鮮/冷凍バイオマスについての希釈率は、バイオマスと水との合計重量を、バイオマスの重量で割ったものである〔例えば、(400g+400g)/400g〕。精製した抽出物についての希釈率は、最終希釈体積を抽出溶液の体積で割ったものである(例えば、10ml/0.40ml)。
【0086】
全アントシアニンの%は、式3に示したようにして計算する:
アントシアニン%=(CANTHOS×体積×100)/(WS×SLOD) 式3
式中、アントシアニン%=試料中の全アントシアニンの%;CANTHOS=全アントシアニンの濃度(mg/ml);体積=調製試料の初期体積(通常100ml);WS=調製で用いたバイオマス又は全フェノールに富む組成物の重量(通常乾燥バイオマスの場合50〜100mg、新鮮/冷凍バイオマスの場合500〜1500mg、又は精製抽出物の場合75〜100mg);及びSLOD=乾燥又は新鮮バイオマス、又は精製抽出物の場合、[(100−LOD%)/100](新鮮又は冷凍バイオマスの場合、この因子は適用しない)。
【0087】
例8
全ポリフェノールの定量的決定
この方法を用いて、種々のバイオマス試料及び富化乾燥精製組成物中の全ポリフェノールを、外部標準として没食子酸を用いたUV−VIS分光光度計により定量的に決定する。
【0088】
この方法は、20%のNa2CO3溶液及び2%HCl/MeOHを必要とする。Na2CO3溶液を調製するためには、約350mlの脱イオン水の入った500mlのメスフラスコ中へ、約100gのNa2CO3を秤量して入れる。10分間超音波にかけ、振盪して混合する。脱イオン水を用いてその体積まで希釈し、均質になるまで撹拌する。2%HCl/MeOHを調製するためには、500mlメスフラスコ中へ約350mlのメタノールを入れる。フラスコ中へ10.0mlのHClをピペットで入れる。メタノールを用いてその体積まで希釈し、均質になるまで混合する。
【0089】
没食子酸標準ストックを調製するためには、100mlメスフラスコ中へ100mgの没食子酸〔ミズーリ州セントルイスのシグマー(Sigma)〕を正確に秤量して入れる。70mlの脱イオン水を添加し、溶解するまで5分間超音波にかける。脱イオン水を用いてその体積まで希釈し、蓋をし、均質になるまで混合する。
【0090】
試験した各試料(例えば、全フェノールに富む組成物、乾燥バイオマス、又は新鮮/冷凍バイオマス)は、異なった調製方法を必要とし、例7に記載したようにして調製した。
【0091】
乾燥減量−上記試料中の全ポリフェノール含有量を得るための計算は、材料の水分含有量、又はLOD%を決定する必要がある。LOD%を決定するためには、正確に秤量したアルミニウム秤量皿に0.5〜3.0gの試料を移して均一に分布させ、その重量を0.1mgの精度で記録する。試料を105℃±3℃の炉中に2時間入れる(2時間15分を越えないようにする)。試料を室温へ冷却した後(デシケーターを用いてもよい)、試料を秤量し、その重量を0.1mgの精度で記録する。LOD%は、上記式1を用いて0.1%の精度で決定する。
【0092】
比色展開法−きれいな100mlメスフラスコを、未使用試薬として使用するため別に設定する。二つの100mlメスフラスコに、「高濃度」標準及び「低濃度」標準のラベルを付ける。没食子酸ストック溶液を用いて、「高濃度」標準フラスコには800μlを、「低濃度」標準フラスコには200μlをピペットで入れる。乾燥バイオマス試料の場合、20mlの濾過溶液をピペットで100mlメスフラスコ中へ入れる。新鮮/冷凍バイオマス試料の場合、10mlの濾過溶液をピペットで100mlメスフラスコ中へ入れる。精製試料の場合、0.80〜2.0mlをピペットで100mlメスフラスコ中へ入れる。上で調製したメスフラスコ(未処理試薬を含む)の各々に次のものを添加する:
1.全体積を約65mlにする充分な脱イオン水を各フラスコへ添加する。
2.各フラスコへ5.0mlのFCフェノール試薬(シグマー)をピペットで入れ、穏やかに撹拌する。
3.各フラスコに15±2mlの20%Na2CO3溶液をピペットで入れる。
4.各フラスコ中の溶液を穏やかにかき回しながら混合し、脱イオン水でその体積まで希釈し、蓋をし、逆さにする。
5.それら溶液を少なくとも3時間であるが、4時間以内展開する。
6.0.45μmPVDF注射器フィルターに通す濾過を必要とする、試料の10ml部分を、適当な容器中へ濾過して入れる。
【0093】
分析手順−UV/VIS分光光度計を、可視ランプを点灯して光度測定モードで読取るように設定する。分析は、行路長さ1cmのガラス、石英、又は使い捨てポリスチレン・セル中で行う。その機器を、未使用試薬を用いて760nmの所で0点に合わせる。各溶液の吸光度を、同じ又は整合した1cmセル中で760nmで測定する。
【0094】
計算−全ポリフェノールの濃度を計算するためには、没食子酸の吸光係数を先ず決定しなければならない。この値は、式4に記載したようにして得られる:
ER=(AR×DR)/[CR×(1−ELOD)] 式4
式中、ER=吸光度単位/g/lで760nmでの参照標準(没食子酸)の吸光係数;AR=参照標準溶液の吸光度;CR=ストック標準溶液中の没食子酸の濃度;DR=没食子酸標準のための希釈率(「高濃度」標準の場合125、或は「低濃度」標準の場合500);及びELOD=没食子酸固体の乾燥減量(%)。
【0095】
「高濃度」及び「低濃度」標準についての吸光係数を、下の式5で用いるため平均する。色展開試料調製で全ポリフェノールの濃度は、式5に示すようにして計算する:
CP=(AR×DFC)/ER 式5
式中、CP=FC調製試料の全ポリフェノールの濃度(mg/ml);AS=FC調製試料の吸光度;DFC=試料希釈率、この場合DFは、乾燥バイオマスの場合5、新鮮/冷凍バイオマスの場合10、富化精製組成物の場合50〜125であるのが典型的である;及びER=没食子酸標準の平均吸光係数。
【0096】
全ポリフェノール%は、式6に示したように計算する:
P%=(CP×VS×DS×100)/(WS×SLOD) 式6
式中、P%=試料中の全ポリフェノールの%;CP=全ポリフェノールの濃度(mg/ml);VS=元の試料調製体積(通常100ml);WS=元の試料調製で用いたバイオマス又は精製組成物の重量(通常、乾燥バイオマスの場合、50〜100mg、新鮮/冷凍バイオマスの場合、500〜1500mg、精製抽出物の場合、75〜100mg);DS=元の試料希釈係数、この場合、DSは、乾燥バイオマスの場合1、新鮮/冷凍バイオマスの場合2、又は精製抽出物の場合1である;及びSLOD=バイオマス又は精製抽出物の場合、[(100−LOD%)/100]。新鮮又は冷凍バイオマスの場合、この因子は適用しない。
【0097】
例9
HPLC定性分析
この方法を用いて、種々のバイオマス及び富化精製組成物中の化合物を、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)により品質を定める。各種類の試料は、下に記載するように異なった調製手順を必要とする。
【0098】
乾燥バイオマス:乾燥バイオマスは、もし未だ粉末にされていない場合には、ウィリー(Wiley)ミルを用いて粉砕し、1mm篩に通す。適当な大きさの抽出シンブル(thimble)及びソックスレー抽出装置を用いて、約12gの粉末バイオマスを秤量してそのシンブル中に入れ、200mlのメタノールを用いて抽出する。少なくとも20サイクル、又は抽出溶媒がきれいになるまで抽出を続ける。抽出物を定量的に250mlメスフラスコへメタノールを用いて移し、その体積まで希釈し、混合する。抽出物を0.45μmPTFE注射器フィルターを通して濾過し、HPLCガラス瓶中へ入れる。
【0099】
冷凍/新鮮バイオマス:1000mlポリプロピレンビーカー中へ400gの冷凍/新鮮バイオマスを秤量して入れる。400gの沸騰に近い水をビーカー中へ添加する。機械混合機(ワーリング又は他のもの)を用いてピューレにする。広い穴のポリエチレン滴下器を用いて、0.5〜1.5gの代表的試料を取り出し、風袋を計った100mlのメスフラスコ中へ移す。80mlのMeOHを添加し、蓋をし、50℃に30分間加熱する。溶液を室温まで冷却させ、メタノールでその体積まで調節し、次に均質になるまで超音波にかける。一部分を0.45μmPTFE注射器フィルターに通して濾過し、HPLCガラス瓶に入れる。
【0100】
富化精製組成物:富化組成物を50〜100mg正確に秤量し、ガラスシンチレーション瓶中に入れ、10.0mlの50%MeOH/H2Oを添加する。5分間超音波にかける。0.45μmPTFE注射器フィルターに通して濾過し、HPLCガラス瓶中に入れる。
【0101】
必要に応じ、HPLCを設定する。本発明の一つの態様として、5mlのトリフルオロ酢酸(TFA)を1000mlの高純度、型1水の中に混合することにより移動水性相を調製した。20μlの試料を周囲温度で注入した。検出のため280nmの波長を用い、流量は1.0ml/分、操作時間は105分であった。150×4.6mm内径のカラム中、ゾルバックス(Zorbax)カラムに5μmSBC−18を充填した。この態様では、移動相は次のように設定した:チャンネルA:100%アセトニトリル;チャンネルB:H2O中に入れた0.5%TFA;及びチャンネルC:100%メタノール。表3に、本発明のこの態様についてのHPLC勾配を要約する。
【0102】
もし入手できるならば、試料中に存在させることが知られている標準調製化合物を、約1mg/mlの濃度で調製してもよい。これらの標準調製物を用いて、大略の保持時間を決定し、それにより試料クロマトグラム中のこれらの化合物を同定することができる。この方法は、定性的目的にのみ用いられるので、計算は不必要である。
【0103】
【表3】
【0104】
例10
プロアントシアニジン%決定のための定量的HPLC法
このHPLC法を用いて、種々のフラクション及び富化組成物中のプロアントシアニジンの量を決定する。各種類の試料は異なった調製法を必要とし、例9に記載したようにして調製する。この方法は、150×4.6mmのカラム中、ステイブルボンド(Stablebond)SBC−18を充填した5μmゾルバックスカラムを用いる。流量は1.5ml/分、検出器は280nmに設定し、注入体積は10μlで、操作時間は24分であった。移動相は次の通りであった:チャンネルA=100%アセトニトリル;チャンネルB=水に入れた0.1%トリフルオロ酢酸;チャンネルC=100%メタノール。表4に、用いた勾配を与える。プロアントシアニジンは、11〜22分の溶離時間でHPLCクロマトグラム中の一群の広いピークとして溶離されるのが典型的である。
【0105】
【表4】
【0106】
プロアントシアニジンの量を決定するため、前に屋内で調製した90%より大きな純度を有するプロアントシアニジン標準を用いる。この試料は70%のエタノール中に5.5mg/mlにして調製し、この例に記載するHPLC法を用いて分析する。この標準のためのクロマトグラムは、11〜22分の保持時間範囲内に大きな広いピークを含み(図14に見られるように)、それはプロアントシアニジンによるものである。11〜22分のピーク全体を手動で積分する。次に、式7に示したように、11〜22分全ピーク面積を、標準物の濃度とその純度との積で割ることにより、その標準物についてのピーク面積応答係数(peak area response factor)を決定する:
RF=PA/(Cstd×Pstd) 式7
式中、RF=標準物についてのピーク面積応答係数(面積単位/mg/ml);PA=標準物中のプロアントシアニジンのピーク面積;Cstd=標準溶液の濃度(mg/ml);及びPstd=標準物純度(%)(通常0.90)。
【0107】
試料中のプロアントシアニジン%は、上に記載した試料調製及びHPLC分析法を用いて決定することができる。問題の試料について、11〜22分の保持時間範囲中の全ピーク面積を決定する。しかし、プロアントシアニジン保持時間範囲中の非プロアントシアニジン化合物のピーク面積を、全ピーク面積から差し引かなければならない。非プロアントシアニジン化合物は、広いプロアントシアニジンピークと共に、又はその上に同時に溶離して鋭いピークとして屡々現れ、ダイオード配列によるそれらのUVスペクトルは、屡々プロアントシアニジンピークの主要部とは異なっている。非プロアントシアニジンピークのピーク面積を決定するため、これらのピーク、それらのピーク面積の全てを手動で積分し、この面積を、11〜22分の全ピーク面積から差し引く。試料中のプロアントシアニジンピークの真の面積が決定されたならば、この値を、屋内標準物についてのピーク面積応答係数で割り、式8に示したように、試料中のプロアントシアニジンの濃度を得る:
Cproanthos=(PAsamp×DF)/RF 式8
式中、Cproanthos=試料中の全プロアントシアニジンの濃度(mg/ml);PAsamp=試料についての補正した全ピーク面積;DF=希釈率(乾燥バイオマスについては1、新鮮/冷凍バイオマスについては2、富化組成物については1);及びRF=式7を用いて計算したピーク面積応答係数。
【0108】
全プロアントシアニジン%は、式9に示したようにして計算する:
プロアントシアニジン%=(Cproanthos×V×100)/Ws 式9
式中、プロアントシアニジン%=試料中の全プロアントシアニジンの%;Cproanthos=全プロアントシアニジンの濃度(mg/ml);V=調製試料の体積(通常乾燥バイオマスについては250ml、新鮮/冷凍バイオマスについては100ml、富化組成物については10ml);及びWs=試料調製で用いられたバイオマス又は富化組成物の重量(通常乾燥バイオマスについては12,000mg、新鮮/冷凍バイオマスについては500〜1500mg、又は富化組成物については50〜100mg)。
【0109】
例11
濾過エルダーベリー抽出物から極性及び非極性プロアントシアニジンの直接分配
この例では、濾過エルダーベリー抽出物を調製し、臭素化ポリスチレン樹脂で精製するのではなく、その代わり真空液体クロマトグラフィー(VLC)カラムに直接ロードし、図15に例示した方法に従い、濾過抽出物から極性プロアントシアニジン及び非極性プロアントシアニジンを直接分配した。
【0110】
メタノール中に入れたベイカーボンド(Bakerbond)40μmフラッシュ・クロマトグラフィーC−18媒体のスラリー50mlを、60mlのフリット化ガラスフィルターに通して濾過することにより50mlのC−18VLCカラムを調製した。カラムをメタノールで洗浄し、次に水で洗浄することにより調整した。12.0gの固体、74mgのアントシアニン、及び約780mgのプロアントシアニジンを含む濾過エルダーベリー抽出物の300ml部分をカラムにロードした。例10に記載したHPLC法を用いた濾過抽出物のHPLCクロマトグラムを、図16に示す。流通溶離物(約300ml)及び100mlの洗浄物〔0.1%のトリフルオロ酢酸(TFA)〕を一緒にし、極性プロアントシアニジン「フラクション5」を与えた。「フラクション5」の280nmでのHPLCクロマトグラムを図17に示す。次にカラムを0.1%のTFAを含む30、40、50、60、70、及び100%のメタノール、夫々100mlで溶離した。60%メタノール溶離剤中に分離された非極性プロアントシアニジン「フラクション6」の280nmでのHPLCクロマトグラムを図18に示す。例7及び10に記載した方法により、それらのフラクションをアントシアニン及びプロアントシアニジンについて分析した。この実験結果を表5に要約する。
【0111】
【表5】
【0112】
結果は、濾過抽出物中のプロアントシアニジンの71%(558mg)がローディング及び洗浄中に収集されたことを示している。これらのプロアントシアニジンは、一層極性のプロアントシアニジンであった。非極性プロアントシアニジンは、メタノール濃度を少なくとも40%に増大した時に溶離した。50〜70%メタノール・フラクション中に溶離したプロアントシアニジンの純度は、濾過エルダーベリー抽出物中に含まれていた固体の大部分がローディング溶離、水洗浄、及び30%メタノール洗浄で溶離したことにより高かった。
【0113】
例12
VLC及びそれに続くゲル浸透クロマトグラフィー又は準分取HPLCによる精製によるエルダーベリー・プロアントシアニジンの分配
エルダーベリー乾燥バイオマス〔マーチン・バオエル(Martin Bauer);ドイツ〕から、例6に記載した手順を用いた臭素化ポリスチレン樹脂からの溶離中に70%エタノール・フラクション(「フラクション3」)を収集することにより、全フェノールに富む組成物を製造した。この全フェノールに富む組成物の一部分(2.00g)を50mlの水中に溶解し、ベイカーボンド40μmC−18媒体を用いて調製した15mlのC−18VLCカラムにロードした。流通溶離物及び25ml水洗浄物を一緒にし、冷凍乾燥し、733mgの極性プロアントシアニジンフラクション(「フラクション5」)を生じた。次にカラムを25mlの50%メタノールで洗浄した。非極性プロアントシアニジン(「フラクション6」)を、25mlの70%メタノールで溶離した。このフラクション中のメタノールを除去し、得られた水懸濁物を冷凍乾燥し、192mgの非極性プロアントシアニジン・フラクション(「フラクション6」)を与え、それはHPLC分析により100%プロアントシアニジンであった。このフラクションは、色があったとしても極めて少なく、このフラクション中のオリゴマープロアントシアニジン鎖は陽イオン性アントシアニン単位を含まないことを示唆していた。
【0114】
極性プロアントシアニジン・フラクション(「フラクション5」)を、準分取HPLCにより更に精製し、残留アントシアニン及び他の一層極性の不純物を除去した。これらの固体の準分取HPLC精製のための条件を下に記載する。
【0115】
準分取HPLC法は、6μm、60Å、ノバ・パック(Nova−Pak)HR C−18媒体〔ウォーターズ(Waters);マサチューセッツ州ミルフォード〕を充填した2.5×10cmのウォーターズ・プレプパック(PrepPak)カートリッジを用いた。移動相は次の通りであった:チャンネルA=100%アセトニトリル;チャンネルB=0.1%トリフルオロ酢酸;チャンネルC=100%メタノール。この態様で用いた勾配は、表6に示す通りであった。流量は30ml/分であり、検出器は280nmに設定し、注入体積は、50〜125mgの固体を含む溶液3〜5mlであるのが典型的であった。操作時間は30分間であった。プロアントシアニジンは、13〜20分で溶離した広いピーク中に収集された。
【0116】
【表6】
【0117】
約600mgの極性プロアントシアニジン・フラクション(「フラクション5」)を、25mlの水に溶解した。8つの実験の各々で約3ml(75mg)を注入した。各実験で12〜18分の間に溶離したプロアントシアニジンピークを収集し、プールし、回転蒸発器で蒸発し、残留水溶液を冷凍乾燥した。VLC分離の後、600mgの極性プロアントシアニジン固体(「フラクション5」)から、約100mgの精製極性エルダーベリー・プロアントシアニジン(「フラクション7」)が得られた。準分取HPLC精製後のVLC分離極性プロアントシアニジンについての280nmでのHPLCクロマトグラムを、図19に示す。砂糖、アミノ酸、アントシアニン、有機酸、及び少量のフラボノイド化合物を含む極性フロント(front)は、図19にはこれらのピークが無いことにより証明されるように、準分取HPLC精製により除去された。精製極性プロアントシアニジン(「フラクション7」)の13C NMRスペクトルを図20に示す。
【0118】
非極性プロアントシアニジン・フラクション(「フラクション6」)を、更にゲル濾過クロマトグラフィーにより精製した。VLC分離中に分離された非極性プロアントシアニジン・フラクション(「フラクション6」)の一部分(48mg)を20mlの温水に溶解し、前以て水で平衡にしておいた14mlセファデックス(Sephadex)LH−20カラムにロードした。ローディング溶離物を収集し、40mlのカラム水洗浄物と一緒にした。比較的小さなフラボノイド不純物の殆どが保持されている間のこの時点で、カラムから殆どの非極性プロアントシアニジンが溶離された。ローディング及び洗浄溶離物を一緒にし、冷凍乾燥して32mgの精製非極性プロアントシアニジン「フラクション8」を与えた。これらの固体は、強い抗ウィルス活性を持っていた。図21及び23は、セファデックスLH−20カラム精製前の非極性プロアントシアニジン(「フラクション6」)の、夫々280nm及び368nmでのHPLCクロマトグラムを示している。図22及び24は、精製非極性プロアントシアニジン(「フラクション8」)の、夫々280nm及び368nmでのHPLCクロマトグラムを示している。星印をつけた図21中のピークは、UVスペクトルに基づく非プロアントシアニジン・フラボノイド化合物である。これらの化合物は、図22の280nmでのHPLCクロマトグラムで示されているように、セファデックスLH−20カラム後に分離された精製非極性生成物(「フラクション8」)では減少している。ゲル精製の効果は、精製前の非極性プロアントシアニジンの368nmでのHPLCクロマトグラムを比較することにより一層よく知ることができる(図23)。非プロアントシアニジン不純物は、図23中で4〜6分及び15〜17分の所に現れている。5.8分の所で溶離した少量のフラボノイド化合物を別として、図24に示したように、精製試料中にはフラボノイド化合物の痕跡はない。精製非極性プロアントシアニジン「フラクション8」の13C NMRスペクトルを図25に示す。図33は、フラクション7のIRスペクトルを示し、図34は「フラクション8」のIRスペクトルを示している。
【0119】
例13
ブルーベリー極性及び非極性プロアントシアニジンの、VLC及びそれに続く準分取HPLCによる精製
この例の出発材料は、ブルーベリーから調製され、臭素化ポリスチレン樹脂から70%エタノール溶離中に分離された全フェノールに富む「フラクション3」であった。「フラクション3」の一部分(6.00g)を80mlの水中に溶解し、前に記載したように、30mのlC−18VLCカラムにロードした。ローディング溶離物を収集し、0.1%TFA洗浄溶離物(「フラクション5」)の100mlと一緒にした。次にカラムを80mlの40%メタノールで洗浄し、残留極性化合物(「フラクション5」)を除去し、次に80mlの70%メタノールで洗浄し、非極性プロアントシアニジン・フラクション(「フラクション6」)を与えた。表7に、この実験の結果を要約する。
【0120】
【表7】
【0121】
極性プロアントシアニジン「フラクション5」(ローディング溶離+洗浄)及び非極性プロアントシアニジン・フラクション6(70%メタノール溶離)を、夫々更に例12に記載した方法により準分取HPLCにより精製し、夫々「フラクション7」及び「フラクション8」を与えた。準分取精製前及び後のブルーベリー極性プロアントシアニジン・フラクション(即ち、「フラクション5」及び「フラクション7」)の280nmでのHPLCクロマトグラムを、夫々図26及び27に示す。準分取精製前及び後のブルーベリー非極性プロアントシアニジン・フラクション(即ち、「フラクション6」及び「フラクション8」)の280nmでのHPLCクロマトグラムを、夫々図28及び29に示す。図27及び29の約0〜8分の間にピークが無いことにより証明されるように、極性及び非極性両方のフラクションの準分取精製により、プロアントシアニジンから望ましくないアントシアニン及び極性フラボノイド化合物が除去された。図37は、「フラクション7」のIRスペクトルを示し、図38は、「フラクション8」のIRスペクトルを示している。
【0122】
例14
プラム極性及び非極性プロアントシアニジンの、VLC及びそれに続く準分取HPLCによる精製
この例の出発材料は、プラムから分離され、約17%の全プロアントシアニジンを含み、その内の61%が極性で、39%が非極性として判定された「フラクション3」及び「フラクション4」を一緒にしたものであった。この組成物の一部分(8.00g)を0.5%のTFAを含む100mlの水中に溶解し、前に記載したように45mlのC−18VLCカラムにロードした。ローディング溶離物を収集し、カラムを50mlの0.1%TFAで洗浄した。ローディング溶離物及び洗浄フラクションを一緒にし、極性プロアントシアニジン・フラクション(「フラクション5」)を与えた。極性プロアントシアニジン「フラクション5」のHPLCを図30に示す。カラムを、0.5%のTFAを含む40%のメタノール100mlで溶離し、次に0.5%のTFAを含む70%メタノール100mlで溶離した。全てのメタノールフラクションを一緒にし、非極性プロアントシアニジン・フラクション(「フラクション6」)を与えた。表8にこの実験の結果を要約する。
【0123】
【表8】
【0124】
極性プロアントシアニジン「フラクション5」(ローディング溶離物及び洗浄溶離物を一緒にしたもの)を、例12に記載した方法により準分取HPLCにより更に精製し、「フラクション7」を与えた。アントシアニン及び他の一層極性の不純物を除去することにより、試料のプロアントシアニジン純度が15%から100%へ増大した。精製極性プロアントシアニジン「フラクション7」の280nmでのHPLCクロマトグラムを図31に示す。非極性「フラクション6」(40%及び70%のメタノール洗浄物を一緒にしたもの)は、更に精製することはしなかった。非極性プロアントシアニジン「フラクション6」の280nmでのHPLCクロマトグラムを、図32に示す。図39は「フラクション7」のIRスペクトルであり、図40は「フラクション6」のIRスペクトルである。
【0125】
例15
エルダーベリーVLCフラクションからのプロアントシアニジン・フラクションの精製
アンバークロム(Amberchrom)CG−71cd樹脂(80〜160μmの粒径、トーソーハース;ペンシルバニア州フィラデルフィア)を用いてVLCカラムを調製した。エルダーベリーの水抽出物を調製し、この抽出物の一部分をVLCカラムにロードした。次にカラムを水で洗浄し、30%、40%、50%、60%、70%、及び100%メタノールを用いて溶離した。メタノールで溶離した全てのフラクションを別々に保持した。50%メタノールで溶離したVLCフラクションを回転蒸発器で蒸発し、メタノールを除去し、次に冷凍乾燥し、水を除去した。乾燥した材料を、乳鉢及び乳棒を用いて粉砕し、粉末にした。乾燥試料を例10に記載した方法を用いてHPLCにより分析した。この分析結果を用いて分析HPLC法から準分取HPLC法を誘導し、プロアントシアニジンを分離した。移動相は次の通りであった:チャンネルA=100%アセトニトリル;チャンネルB=水中に入れた0.5%トリフルオロ酢酸;チャンネルC=100%メタノール。流量は30ml/分に設定した。用いた勾配を、表9に示す。
【0126】
【表9】
【0127】
約500mgの乾燥材料を水中に溶解し、約50mg/mlの固体濃度にした。非常に僅かな量を注入し、関係するピークの保持時間を決定した。この最初の注入に基づき、二つのピークを収集した:14〜22分の間で溶離したピークA、及び26〜28分の間で溶離したピークB。5回の濃厚溶液の注入を行い、各ピークの適当な収集物を各注入からプールした。ピークAの収集により得られた試料は、プロアントシアニジンを含むことが決定され、蒸発して有機溶媒及び水の一部分を除去した。濃縮試料を、例10に記載したHPLC法を用いて分析した。試料のクロマトグラフィー純度は、93.9%であることが決定された。次に試料を凍結乾燥し、乾燥材料を得た。乾燥したならば、試料の僅かな部分を70%エタノール中に入れ、1.918mg/mlの濃度にし、同じHPLC法により再び分析した。この分析結果及び前に得られたクロマトグラフィー純度を用いて、ピーク面積応答係数を決定した。この情報を用いて、他の精製フラクション中のプロアントシアニジン濃度を決定した。プロアントシアニジン「標準」の280nmでのHPLCクロマトグラムを図14に示す。
【0128】
例16
クランベリープロアントシアニジンの、VLC及びそれに続く準分取HPLCによる精製
この例の出発材料は、14%の全プロアントシアニジンを含む精製クランベリー抽出物(「フラクション3」+「フラクション4」)の8.00gであった。この材料を、1mlのトリフルオロ酢酸を含む水100ml中に溶解し、前に記載したように、50mlのC−18VLCカラムにロードした。ローディング溶離物(100ml)を収集し、50mlの0.1%TFA洗浄溶離物と一緒にし、「フラクション5」を得た。次に、カラムを100mlの40%メタノールで洗浄し、残留極性化合物を除去し、100mlの70%メタノールで溶離し、非極性プロアントシアニジン「フラクション6」を与えた。表10に、この実験の結果を要約する。
【0129】
【表10】
【0130】
極性プロアントシアニジン・フラクション(ローディング溶離+洗浄)を、例12に記載した方法により準分取HPLCにより更に精製し、「フラクション7」を得た。図41は、準分取精製前の極性プロアントシアニジン・フラクションのHPLCクロマトグラムであり、図42は、精製後の極性プロアントシアニジン・フラクションのHPLCクロマトグラムである。図43は、非極性プロアントシアニジン・フラクションのHPLCクロマトグラムである。プロアントシアニジン前に溶離したアントシアニンのような極性非プロアントシアニジン化合物は、この方法で除去された。
【0131】
例17
エルダーベリーフラクションの単純ヘルペスウィルス2検定
エルダーベリー粗製抽出物及び例6に記載したようにして分離したフラクション1、3、及び4の抗ウィルス活性を、ウィルス細胞変性効果(CPE)検定を用いて決定した。この検定は、既に報告されている〔ワイド(Wyde)その他、Drug Develp.Res.28:467−472(1993)〕。全ての抗ウィルス活性は、50%効果量(ED50)として報告されている。
表11に、試験した四つの組成物についてのCPE抑制についてのED50を要約する。
【0132】
【表11】
【0133】
例18
ウィルス検定
果実及びイチゴ類から製造した本発明の全フェノールに富む組成物は、種々のDNA及びRNAウィルスに対し広い活性を示し、人間及び動物の炎症を処置するのに有用な活性成分として適切である。細胞培養で、富化組成物は呼吸器合胞体ウィルス(RSV)、インフルエンザA及びBウィルス、パラインフルエンザウィルス(PIV)のみならず、他の呼吸器及び単純ヘルペスウィルスの隔離及び実験室的株に対し強力な活性を示す。全フェノールに富む組成物は、人間及び動物の広い範囲のウィルス感染を処置するのに有用な活性成分として適切である。
【0134】
各ウィルスに対する活性度を測定するのに用いられる検定は当業者によく知られている。細断した特定の標的組織を、希望のウィルスに曝し、試験材料を入れた場合と入れない場合についてウィルスの増殖速度を測定した。種々の果実及びイチゴ類から製造した精製プロアントシアニジンに富む組成物の抗ウィルス活性度を決定した。
【0135】
細胞系:ウィルス検定は、相対的ED50(50%効果量)又は50%抑制終点を決定するために次の細胞/細胞系を用いた:RSV(呼吸器合胞体ウィルス)及びPIV(パラインフルエンザウィルス)検定は、アフリカ・ミドリザル腎臓から得られたMA−104細胞を用いた;インフルエンザA及びB検定では、犬の腎臓から得られたMDCK細胞を用いた;ライノウィルス検定では、HeLa及びKB細胞を用いた;単純ヘルペスウィルス1及び2では、人の包皮線維芽細胞から取られたHHF細胞を用いた;西ナイルウィルス検定では、アフリカ・ミドリザル腎臓から取ったVero細胞を用いた;アデノウィルス型1検定では、人の肺癌から得られたA549細胞を用いた;Punta ToroA検定では、アカゲザル腎臓から得られたLLC−MK2細胞を用いた。
【0136】
それらの検定では、陽性対照として既知の医薬標準〔リビバリン(ribivarin)又はアシクロビール(acyclovir)〕を用いた。この例で用いた検定で、リビバリンについてのED50は次の通りである:RSV(呼吸器合胞体ウィルス)検定ED50=20μg/ml;PIV(パラインフルエンザウィルス)検定ED50=20μg/ml;インフルエンザA及びB検定ED50=2〜3μg/ml;ライノウィルス検定ED50<1μg/ml;西ナイルウィルス検定ED50=20μg/ml;アデノウィルス型1検定ED50=10μg/ml;及びPunta ToroA検定ED50=20μg/ml。単純ヘルペス1及び2検定では、陽性対照としてアシクロビールを用い、それはHSV1及びHSV2検定で1〜2μg/mlのED50を持っていた。
【0137】
本発明の或る組成物についてウィルス検定で得られたデーターを、表12に与える。細胞培養で、それら組成物は、インフルエンザAウィルス(株H1N1及びH3N3)、インフルエンザBウィルス、アデノウィルス型1、Punta ToroAウィルス、及びライノウィルス型2の隔離及び実験室的株に対し強力な活性を示した。抗ウィルス・スクリーニングでアシクロビール及びリビバリンに対する表12中の生物活性データーの比較は、本発明の組成物がこれらの検定で生物学的に活性であり、これらのウィルス疾患を処置するのに用いられているよく確立された医薬と競合して好ましいことを明らかに示している。
【0138】
【表12】
【0139】
例19
全フェノールに富む組成物のCOX−2活性の評価
シクロオキシゲナーゼ酵素(COX−1及びCOX−2)は、アラキドン酸及び他の必須脂肪酸の種々のプロスタグラジンへの転化に対し触媒作用を及ぼす。プロスタグラジンは、哺乳類の炎症の原因になにるホルモン状物質である。COX−2酵素の抑制は、最小限の副作用で組織の炎症を減少することができる。一方、COX−1の抑制は、胃潰瘍及び他の体に望ましくない副作用を起こす。COX−1酵素の完全な抑制は望ましくない。COX−2酵素を選択的に抑制する化合物は、一層よい抗炎症剤である。果実及びイチゴ類から製造された本発明の全フェノールに富む組成物は、COX−2酵素を抑制することが示されており、人間及び動物の炎症を処置するのに有用な活性成分として適切である。
【0140】
この検定では、検定すべき材料を、希望の酵素を含むことが知られている細断した特定のマウス又はうし器官組織と混合した。アラキドン酸をこの混合物に添加した。酸素取り込み速度を特定し、既知のCOX抑制剤で観察されている取り込み速度と比較する。COX−2検定は、人間の組み替えCOX−2陽性細胞を用いたアラキドン酸からのPGE2の定量的生成に基づいている。
【0141】
幾つかの組成物についての結果を表13に示す。表13に示した組成物についてのデーターを、既知の医薬標準(アスピリン及びインドメタシン)の決定されたCOX−2生物活性度と比較すると、本発明のプロアントシアニジンに富む精製組成物は、COX−2検定で生物学的に活性であることを明確に示している。アスピリンは、660μg/mlでCOX−2に対し活性であり、240μg/mlでCOX−1に対し活性である。インドメタシンは10μg/mlでCOX−2に対し活性である。従って、表13の組成物は、炎症に対し最も一般に用いられている処置(例えば、アスピリン)よりも、COX−2検定で効力に2.5〜6倍の増大を示しており、哺乳類の炎症を処置するのに本発明のプロアントシアニジンに富む精製組成物の有用性を示している。
【0142】
【表13】
【0143】
前記記述は、本発明の原理を単に例示しているに過ぎないものと考えられる。更に、当業者には多くの修正及び変化が容易に想到されるので、本発明を上に記載し、示したのと正確に同じ構成及び方法に限定することは望ましくない。従って、全ての適当な修正及び同等なものは、特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲内入るものと見做すことができる。
【0144】
本明細書及び後の特許請求の範囲で用いられている言葉「含む(comprise)」、「含んでいる(comprising)」、「含む(include)」、「含んでいる(including)」、及び「含む(includes)」は、記述した特徴、整数、成分、又は工程の存在を特定化することを意図したものであるが、それらは一つ以上の他の特徴、整数、成分、工程、又はそれらのグループの存在又は追加を排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】図1は、本発明による全フェノールに富む組成物を製造するための方法の工程図である。
【図2】図2は、ビルベリーから製造された全フェノールに富む組成物(「フラクション3」)の510nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図3】図3は、ビルベリーから製造された全フェノールに富む組成物(「フラクション3」)の280nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図4】図4は、ブルーベリーから製造された全フェノールに富む組成物(「フラクション3」)の510nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図5】図5は、ブルーベリーから製造された全フェノールに富む組成物(「フラクション3」)の280nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図6】図6は、濾過したエルダーベリー抽出物の280nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図7】図7は、濾過したエルダーベリー抽出物の510nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図8】図8は、濾過したエルダーベリー抽出物のカラムローディング中に溶離された第一フラクションの280nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図9】図9は、濾過したエルダーベリー抽出物のカラムローディング中に溶離された第一フラクションの510nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図10】図10は、臭素化ポリスチレン樹脂でエルダーベリー抽出物をカラム精製している間に、70%エタノールで溶離された第三フラクションの280nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図11】図11は、臭素化ポリスチレン樹脂でエルダーベリー抽出物をカラム精製している間に、70%エタノールで溶離された第三フラクションの510nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図12】図12は、臭素化ポリスチレン樹脂でエルダーベリー抽出物をカラム精製している間に、90%エタノールで溶離された第四フラクションの280nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図13】図13は、臭素化ポリスチレン樹脂でエルダーベリー抽出物をカラム精製している間に、90%エタノールで溶離された第四フラクションの510nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図14】図14は、例10に記載したように製造されたプロアントシアニジン標準の別のHPLC法を用いたHPLCクロマトグラムである。
【図15】図15は、非極性プロアントシアニジンから極性プロアントシアニジンを分離する方法の工程図である。
【図16】図16は、濾過したエルダーベリー抽出物の280nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図17】図17は、VLC C−18カラムからの一緒にした流通及び洗浄フラクションから分離されたエルダーベリー極性プロアントシアニジン組成物(「フラクション5」)の280nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図18】図18は、VLC C−18カラムからの60%メタノール溶離剤中に分離されたエルダーベリー極性プロアントシアニジン組成物(「フラクション6」)の280nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図19】図19は、準分取HPLC精製後に分離されたエルダーベリー極性プロアントシアニジン組成物(「フラクション7」)の280nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図20】図20は、準分取HPLCによる精製後のエルダーベリー極性プロアントシアニジン組成物(「フラクション7」)の13C NMRスペクトルである。
【図21】図21は、非プロアントシアニジン・ピークに星印を付けた、セファデックスLH−20カラムで精製する前の、C−18媒体によるVLCクロマトグラフィー中に分離されたエルダーベリー非極性プロアントシアニジン組成物(「フラクション6」)の280nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図22】図22は、セファデックスLH−20カラムで精製した後の、エルダーベリー非極性プロアントシアニジン組成物(「フラクション8」)の280nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図23】図23は、セファデックスLH−20カラムで精製する前の、C−18媒体によるVLCクロマトグラフィー中に分離されたエルダーベリー非極性プロアントシアニジン組成物(「フラクション6」)の368nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図24】図24は、セファデックスLH−20カラムで精製した後の、エルダーベリー非極性プロアントシアニジン組成物(「フラクション8」)の368nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図25】図25は、セファデックスLH−20カラムで精製した後の、エルダーベリー非極性プロアントシアニジン組成物(「フラクション8」)の13C NMRスペクトルである。
【図26】図26は、準分取HPLC精製前の、C−18媒体によるVLCクロマトグラフィー中に分離されたブルーベリー極性プロアントシアニジン組成物(「フラクション5」)の280nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図27】図27は、準分取HPLC精製後の、ブルーベリー極性プロアントシアニジン組成物(「フラクション7」)の280nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図28】図28は、準分取HPLC精製前の、C−18媒体によるVLCクロマトグラフィー中に分離されたブルーベリー非極性プロアントシアニジン組成物(「フラクション6」)の280nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図29】図29は、準分取HPLCによる精製後の、ブルーベリー非極性プロアントシアニジン組成物(「フラクション8」)の280nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図30】図30は、準分取HPLC精製前の、C−18媒体によるVLCクロマトグラフィー中に分離されたプラム極性プロアントシアニジン組成物(「フラクション5」)の280nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図31】図31は、準分取HPLCによる精製後の、プラム極性プロアントシアニジン組成物(「フラクション7」)の280nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図32】図32は、VLC C−18カラムから40%及び70%メタノール溶離中に分離されたプラム非極性プロアントシアニジン組成物(「フラクション6」)の280nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図33】図33は、精製エルダーベリー極性プロアントシアニジン組成物(「フラクション7」)のIRスペクトルである。
【図34】図34は、精製エルダーベリー非極性プロアントシアニジン組成物(「フラクション8」)のIRスペクトルである。
【図35】図35は、精製クランベリー非極性プロアントシアニジン組成物(「フラクション8」)のIRスペクトルである。
【図36】図36は、精製クランベリー極性プロアントシアニジン組成物(「フラクション7」)のIRスペクトルである。
【図37】図37は、精製ブルーベリー極性プロアントシアニジン組成物(「フラクション7」)のIRスペクトルである。
【図38】図38は、精製ブルーベリー非極性プロアントシアニジン組成物(「フラクション8」)のIRスペクトルである。
【図39】図39は、精製プラム極性プロアントシアニジン組成物(「フラクション7」)のIRスペクトルである。
【図40】図40は、精製プラム非極性プロアントシアニジン組成物(「フラクション6」)のIRスペクトルである。
【図41】図41は、準分取HPLC精製前の、クランベリー極性プロアントシアニジン組成物(「フラクション5」)の280nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図42】図42は、準分取HPLC精製後の、クランベリー極性プロアントシアニジン組成物(「フラクション7」)の280nmでのHPLCクロマトグラムである。
【図43】図43は、クランベリー非極性プロアントシアニジン組成物(「フラクション6」)の280nmでのHPLCクロマトグラムである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)フェノール化合物を含む一種類以上の植物材料の粗製抽出物で、プロアントシアニジン、アントシアニン、及び非フェノール化合物を含む抽出物を与えること;
b)前記粗製抽出物を濾過すること;
c)前記濾過した粗製抽出物を、前記フェノールを放出可能に吸着するが、前記非フェノール化合物は保持しない臭素化ポリスチレン樹脂と接触させること;
d)前記樹脂を洗浄溶離剤で洗浄し、前記非フェノール化合物を溶離すること;
e)前記樹脂を第一溶離剤で溶離し、フェノールを含む第一フラクションを収集すること;
f)前記樹脂を第二溶離剤で溶離し、フェノールを含む第二フラクションを収集すること;そして
g)前記工程(e)又は工程(f)からのフラクションを分離するか、又は工程(e)及び(f)からの前記フラクションを一緒にし、全フェノールに富み、前記非フェノール化合物が実質的に無くなった組成物を得ること;
を含む、全フェノールに富む組成物の製造方法。
【請求項2】
粗製抽出物を、乾燥又は新鮮な植物材料(単数又は複数)を酸性化抽出溶媒で抽出することにより製造する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
酸性化抽出溶媒が、約0〜95%のエタノール及び約0〜3%の酸を含む水溶液を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
酸が、硫酸、酢酸、又は塩酸である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
酸性化抽出溶媒が、約0〜100%のメタノール及び約0〜3%の酸を含む水溶液を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
酸が、硫酸、酢酸、又は塩酸である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
洗浄溶離剤が少なくとも0.003%の酸を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
酸が、酢酸、塩酸、又は硫酸である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
第一溶離剤が、水中に約50〜70%のエタノール及び約0.003%の酸を入れたものを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
酸が、酢酸、塩酸、又は硫酸である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
第二溶離剤が、水中に約70〜90%のエタノールを入れたものを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
組成物が、約10〜80%の全フェノールを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
組成物が、少なくとも12%の全フェノールを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
組成物が、少なくとも25%の全フェノールを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
組成物が、図12及び13に例示したのと実質的に同じ、HPLCトレースで60〜75分の間の領域でピークを生ずる、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
植物材料が、果実及び(又は)イチゴ類である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
果実及び/又はイチゴ類が、エルダーベリー、ブルーベリー、ビルベリー、ブラックベリー、ストロベリー、クランベリー、ラズベリー、プラム、レッドカーラント、ブラックカーラント、チェリー、及びグレープからなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
工程(a)が、更に、粗製抽出物にペクチナーゼを添加することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
ペクチナーゼが、植物材料の約0〜0.12重量%の量で存在する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
更に、組成物に賦形剤を添加することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
賦形剤が、防腐剤、キャリヤー、緩衝剤、濃化剤、懸濁剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、着色剤、及び芳香剤からなる群から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
更に、
h)工程e)からの組成物、工程f)からの組成物、又は工程g)からの組成物を、逆相親油性樹脂を充填した低圧真空液体クロマトグラフィーカラムにローディングし、そのローディング中に溶離したフラクションを収集すること;
i)前記樹脂を水で溶離すること;
j)工程h)及びi)からのフラクションを一緒にして、極性プロアントシアニジンに富む第一組成物を得ること;
k)前記樹脂を極性有機溶媒で、その量を増大させながら溶離し、非極性プロアントシアニジンに富む第二組成物を得ること;
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
更に、逆相分取HPLCにより第一組成物を精製し、アントシアニンを実質的に含まない一層極性のプロアントシアニジンを得ることを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
更に、ゲル濾過、又は分取HPLCにより第二組成物を精製し、アントシアニンを実質的に含まない極性の低いプロアントシアニジンを得ることを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
請求項1に記載の方法により製造された、全フェノールに富む組成物。
【請求項26】
請求項22に記載の方法により製造された、極性プロアントシアニジンに富む組成物。
【請求項27】
植物材料が、果実及び(又は)イチゴ類である、請求項25に記載の組成物。
【請求項28】
果実及び(又は)イチゴ類が、エルダーベリー、ブルーベリー、ビルベリー、ブラックベリー、ストロベリー、クランベリー、ラズベリー、プラム、レッドカーラント、ブラックカーラント、チェリー、及びグレープからなる群から選択されている、請求項26に記載の組成物。
【請求項29】
組成物が、12.5%より大きい全フェノール濃度を有する、請求項27に記載の組成物。
【請求項30】
請求項23に記載の方法により製造された、極性プロアントシアニジンに富む組成物。
【請求項31】
請求項22に記載の方法により製造された、非極性プロアントシアニジンに富む組成物。
【請求項32】
請求項24に記載の方法により製造された、非極性プロアントシアニジンに富む組成物。
【請求項33】
図12及び13に例示したのと実質的に同じ、60〜75分の間の領域でピークを有するHPLCクロマトグラムを特徴とする、全フェノールに富む組成物。
【請求項34】
更に、A型インフルエンザウィルス、B型インフルエンザウィルス、2型ライノウィルス、単純ヘルペスウィルス1、単純ヘルペスウィルス2、パラインフルエンザウィルス、西ナイルウィルス、水痘帯状疱疹ウィルス、2型ライノウィルス、1型アデノウィルス、及びPunta ToroAウィルス、からなる群から選択されたウィルスに対する抗ウィルス活性についてイン・ビトロ検定で実証される抗ウィルス活性を示すことができる、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
更に、抗炎症活性についてのイン・ビトロ検定で実証される抗炎症効果を示すことができる、請求項33に記載の組成物。
【請求項36】
更に、抗菌活性についてのイン・ビトロ検定で実証される抗菌効果を示すことができる、請求項33に記載の組成物。
【請求項37】
更に、一種類以上の免疫活性剤を含む、請求項33に記載の組成物。
【請求項38】
免疫活性剤が、アラビノガラクタン、エキナセア種、ビタミン、ミネラル、多糖類、及び距骨からなる群から選択されている、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
更に、一種類以上の抗突然変異剤を含む、請求項33に記載の組成物。
【請求項40】
抗突然変異剤が、緑茶抽出物、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、ガロカテキン、及びフラボノイドからなる群から選択されている、請求項39に記載の組成物。
【請求項41】
請求項1に記載の方法により分離された組成物を、効果的な量投与することを含む、感染性有機体又は病因により起こされた哺乳類の症状を処置する方法。
【請求項42】
有機体が、A型インフルエンザウィルス、B型インフルエンザウィルス、2型ライノウィルス、単純ヘルペスウィルス1、単純ヘルペスウィルス2、パラインフルエンザウィルス、西ナイルウィルス、水痘帯状疱疹ウィルス、2型ライノウィルス、1型アデノウィルス、及びPunta ToroAウィルス、からなる群から選択されたウィルスである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
請求項1に記載の方法により分離された組成物を、効果的な量投与することを含む、非ウィルス細菌感染により起こされた哺乳類の症状を処置する方法。
【請求項1】
a)フェノール化合物を含む一種類以上の植物材料の粗製抽出物で、プロアントシアニジン、アントシアニン、及び非フェノール化合物を含む抽出物を与えること;
b)前記粗製抽出物を濾過すること;
c)前記濾過した粗製抽出物を、前記フェノールを放出可能に吸着するが、前記非フェノール化合物は保持しない臭素化ポリスチレン樹脂と接触させること;
d)前記樹脂を洗浄溶離剤で洗浄し、前記非フェノール化合物を溶離すること;
e)前記樹脂を第一溶離剤で溶離し、フェノールを含む第一フラクションを収集すること;
f)前記樹脂を第二溶離剤で溶離し、フェノールを含む第二フラクションを収集すること;そして
g)前記工程(e)又は工程(f)からのフラクションを分離するか、又は工程(e)及び(f)からの前記フラクションを一緒にし、全フェノールに富み、前記非フェノール化合物が実質的に無くなった組成物を得ること;
を含む、全フェノールに富む組成物の製造方法。
【請求項2】
粗製抽出物を、乾燥又は新鮮な植物材料(単数又は複数)を酸性化抽出溶媒で抽出することにより製造する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
酸性化抽出溶媒が、約0〜95%のエタノール及び約0〜3%の酸を含む水溶液を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
酸が、硫酸、酢酸、又は塩酸である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
酸性化抽出溶媒が、約0〜100%のメタノール及び約0〜3%の酸を含む水溶液を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
酸が、硫酸、酢酸、又は塩酸である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
洗浄溶離剤が少なくとも0.003%の酸を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
酸が、酢酸、塩酸、又は硫酸である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
第一溶離剤が、水中に約50〜70%のエタノール及び約0.003%の酸を入れたものを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
酸が、酢酸、塩酸、又は硫酸である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
第二溶離剤が、水中に約70〜90%のエタノールを入れたものを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
組成物が、約10〜80%の全フェノールを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
組成物が、少なくとも12%の全フェノールを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
組成物が、少なくとも25%の全フェノールを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
組成物が、図12及び13に例示したのと実質的に同じ、HPLCトレースで60〜75分の間の領域でピークを生ずる、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
植物材料が、果実及び(又は)イチゴ類である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
果実及び/又はイチゴ類が、エルダーベリー、ブルーベリー、ビルベリー、ブラックベリー、ストロベリー、クランベリー、ラズベリー、プラム、レッドカーラント、ブラックカーラント、チェリー、及びグレープからなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
工程(a)が、更に、粗製抽出物にペクチナーゼを添加することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
ペクチナーゼが、植物材料の約0〜0.12重量%の量で存在する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
更に、組成物に賦形剤を添加することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
賦形剤が、防腐剤、キャリヤー、緩衝剤、濃化剤、懸濁剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、着色剤、及び芳香剤からなる群から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
更に、
h)工程e)からの組成物、工程f)からの組成物、又は工程g)からの組成物を、逆相親油性樹脂を充填した低圧真空液体クロマトグラフィーカラムにローディングし、そのローディング中に溶離したフラクションを収集すること;
i)前記樹脂を水で溶離すること;
j)工程h)及びi)からのフラクションを一緒にして、極性プロアントシアニジンに富む第一組成物を得ること;
k)前記樹脂を極性有機溶媒で、その量を増大させながら溶離し、非極性プロアントシアニジンに富む第二組成物を得ること;
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
更に、逆相分取HPLCにより第一組成物を精製し、アントシアニンを実質的に含まない一層極性のプロアントシアニジンを得ることを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
更に、ゲル濾過、又は分取HPLCにより第二組成物を精製し、アントシアニンを実質的に含まない極性の低いプロアントシアニジンを得ることを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
請求項1に記載の方法により製造された、全フェノールに富む組成物。
【請求項26】
請求項22に記載の方法により製造された、極性プロアントシアニジンに富む組成物。
【請求項27】
植物材料が、果実及び(又は)イチゴ類である、請求項25に記載の組成物。
【請求項28】
果実及び(又は)イチゴ類が、エルダーベリー、ブルーベリー、ビルベリー、ブラックベリー、ストロベリー、クランベリー、ラズベリー、プラム、レッドカーラント、ブラックカーラント、チェリー、及びグレープからなる群から選択されている、請求項26に記載の組成物。
【請求項29】
組成物が、12.5%より大きい全フェノール濃度を有する、請求項27に記載の組成物。
【請求項30】
請求項23に記載の方法により製造された、極性プロアントシアニジンに富む組成物。
【請求項31】
請求項22に記載の方法により製造された、非極性プロアントシアニジンに富む組成物。
【請求項32】
請求項24に記載の方法により製造された、非極性プロアントシアニジンに富む組成物。
【請求項33】
図12及び13に例示したのと実質的に同じ、60〜75分の間の領域でピークを有するHPLCクロマトグラムを特徴とする、全フェノールに富む組成物。
【請求項34】
更に、A型インフルエンザウィルス、B型インフルエンザウィルス、2型ライノウィルス、単純ヘルペスウィルス1、単純ヘルペスウィルス2、パラインフルエンザウィルス、西ナイルウィルス、水痘帯状疱疹ウィルス、2型ライノウィルス、1型アデノウィルス、及びPunta ToroAウィルス、からなる群から選択されたウィルスに対する抗ウィルス活性についてイン・ビトロ検定で実証される抗ウィルス活性を示すことができる、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
更に、抗炎症活性についてのイン・ビトロ検定で実証される抗炎症効果を示すことができる、請求項33に記載の組成物。
【請求項36】
更に、抗菌活性についてのイン・ビトロ検定で実証される抗菌効果を示すことができる、請求項33に記載の組成物。
【請求項37】
更に、一種類以上の免疫活性剤を含む、請求項33に記載の組成物。
【請求項38】
免疫活性剤が、アラビノガラクタン、エキナセア種、ビタミン、ミネラル、多糖類、及び距骨からなる群から選択されている、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
更に、一種類以上の抗突然変異剤を含む、請求項33に記載の組成物。
【請求項40】
抗突然変異剤が、緑茶抽出物、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、ガロカテキン、及びフラボノイドからなる群から選択されている、請求項39に記載の組成物。
【請求項41】
請求項1に記載の方法により分離された組成物を、効果的な量投与することを含む、感染性有機体又は病因により起こされた哺乳類の症状を処置する方法。
【請求項42】
有機体が、A型インフルエンザウィルス、B型インフルエンザウィルス、2型ライノウィルス、単純ヘルペスウィルス1、単純ヘルペスウィルス2、パラインフルエンザウィルス、西ナイルウィルス、水痘帯状疱疹ウィルス、2型ライノウィルス、1型アデノウィルス、及びPunta ToroAウィルス、からなる群から選択されたウィルスである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
請求項1に記載の方法により分離された組成物を、効果的な量投与することを含む、非ウィルス細菌感染により起こされた哺乳類の症状を処置する方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【公表番号】特表2006−511509(P2006−511509A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−555650(P2004−555650)
【出願日】平成15年11月21日(2003.11.21)
【国際出願番号】PCT/US2003/037491
【国際公開番号】WO2004/047847
【国際公開日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【出願人】(505187482)フェノーリックス、エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年11月21日(2003.11.21)
【国際出願番号】PCT/US2003/037491
【国際公開番号】WO2004/047847
【国際公開日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【出願人】(505187482)フェノーリックス、エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】
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