公称寸法上円形の表面の軌道、公称寸法上円形の表面からの偏差の少なくとも一方を示す装置、方法、コンピュータプログラム製品、およびキャリヤ
【課題】 機械的な物体(7)の公称寸法上円形の表面の軌道、および、公称寸法上円形の表面からの偏差の少なくとも一つを示す装置、方法を提供する。
【解決手段】 公称寸法上円形の表面をカバーする距離データセットに基づいて偏差プロファイル(21)を生成し、各距離データセットは、回転方向で測定された、表面までの、かつ、角度に関係付けられた少なくとも3つの距離を含み、該少なくとも3つの距離は、距離測定角度で測定されたものであり、かつ、距離測定角度に関係付けられた重みを含んでいる。本発明は、表面/機械的な物体の品質を示すのに、あるいは、製造機器の状態を示すのに使用できる。本発明はまた、方法を含むコンピュータプログラム製品、コンピュータプログラム製品を含むキャリヤ、距離データを含む記憶手段、および装置への入力として使用される距離データセットを測定するための装置に関する。
【解決手段】 公称寸法上円形の表面をカバーする距離データセットに基づいて偏差プロファイル(21)を生成し、各距離データセットは、回転方向で測定された、表面までの、かつ、角度に関係付けられた少なくとも3つの距離を含み、該少なくとも3つの距離は、距離測定角度で測定されたものであり、かつ、距離測定角度に関係付けられた重みを含んでいる。本発明は、表面/機械的な物体の品質を示すのに、あるいは、製造機器の状態を示すのに使用できる。本発明はまた、方法を含むコンピュータプログラム製品、コンピュータプログラム製品を含むキャリヤ、距離データを含む記憶手段、および装置への入力として使用される距離データセットを測定するための装置に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数のアスペクトを取り扱うものであり、以下それらを示す。
【0002】
本発明の第1のアスペクトによれば、本発明は、機械的な物体の公称寸法上円形の表面の軌道、および、公称寸法上円形の表面からの偏差の少なくとも一つを指示する装置に関する。
【0003】
本発明の第2のアスペクトによれば、本発明は、公称寸法上円形の表面の品質を示す装置に関する。
【0004】
本発明の第3のアスペクトによれば、本発明は、機械的な物体の公称寸法上円形の表面の軌道、および、公称寸法上円形の表面からの偏差の少なくとも一つを示す方法に関する。
【0005】
本発明の第4のアスペクトによれば、本発明は、公称寸法上円形の表面の品質を示す方法に関する。
【0006】
本発明の第5のアスペクトによれば、本発明は、第3のアスペクトによる方法を含むコンピュータプログラム製品に関する。
【0007】
本発明の第6のアスペクトによれば、本発明は、第4のアスペクトによるコンピュータプログラム製品を含むキャリヤに関する。
【0008】
本発明の第7のアスペクトによれば、本発明は、第1のアスペクトによる装置に使用可能な距離データを含む記憶手段に関する。
【0009】
本発明の第8のアスペクトによれば、本発明は、第1のアスペクトによる装置への入力として使用される距離データセットを測定する装置に関する。
【背景技術】
【0010】
特許文献1には、物体の表面の真円度を測定する装置が開示されている。該装置は、バネ付きのアームに回動可能に取り付けられた二又状のヘッドを含んでいる。該ヘッドは、回転物体の周囲と接線接触させることができる2つのエッジプレートを有している。ヘッドを直径の異なる物体に接触させた場合、エッジプレートとの接点は、生じた場合、頂点と交差する、場所の軌跡線に沿って進む。ヘッドに取り付けられた変位変換器は、物体の周囲に接触し、かつ、物体の周囲の不正確さを検出するプローブを有するバネ付きのプランジャを有している。特許文献1に開示されている該装置は、表面真円度の測定に限定されている。
【0011】
特許文献2には、表面測定装置が開示されている。該装置は、被検構成要素の表面に接触あるいは隣接した経路に沿ってセンサが移動する種類の装置である。該センサは、3つまたはそれ以上の変換器を有しており、該変換器は、上記の形態において、被検表面に物理的に接触し、かつ、被検構成要素の表面上の同じ経路に沿って移動するにつれて、個々の信号を生ずる。変換器によって生ずる信号は、増幅され、かつ、生じた複合信号が、被検構成要素の表面に沿って装置が移動するにつれて、変換器の本体の位置のいかなる変動にも依存しないようなやり方で、組み合わされ、それにより、平らなベッドまたは正確な主軸などの正確に予め成形された基準決定マウント上に取り付けられていないセンサの使用を可能にする。特許文献2に開示されている該装置は、表面の測定に限定されている。
【0012】
特許文献3には、材料の表面平面度を測定する方法および装置が開示されている。そこでは、3つ一組の非接触ギャップ検出器が、材料に対して平行に、かつ、材料の表面平面度の測定の方向に、予め決められた一定の間隔で配置されており、材料と各検出器との間の間隙が連続的に測定され、かつ、計算されて、材料の表面平面度が、材料の全体的な曲線によって影響されることなしに、連続的に測定され、かつ、示され、また、材料の平面度における欠陥の発生の周期が測定され、かつ、計算される。特許文献3に開示されている該装置は、表面平面度の測定に限定されている。
【0013】
特許文献4には、ローラを回転させる手段と、ローラの円周の周りの直径の変動を測定し、かつ、ローラの直径の変動を前記直径の変動の関数である電気信号に変換するための機械‐電気変換器手段と、電気信号変換システムと、重み付け回路と、を含むローラゲージが開示されている。特許文献4に開示されている該装置は、ローラの表面の直径の変動の測定に限定されている。
【0014】
特許文献5には、回転物体の真円度をチェックする装置が開示されている。物体の真円度をチェックする該装置は、横軸の周りでチェックされるべき物体を回転させるための電動機付きの主軸を支持する基底部と、該基底部に固定された柱と、当該横軸の周りで回転させるため柱に回動可能に結合された操作レバーおよび支持要素と、該レバーおよび支持要素に結合された測定装置と、処理装置と、を含んでいる。測定装置は、レバーに垂直に懸垂され、かつ、支持要素に回動可能に結合された部材と、該部材に固定され、かつ、物体上に配列されるように設計されたV形装置と、物体の正反対の点に接触するように設計された可動フィーラを有する2つの測定ヘッドと、を含んでいる。処理装置は、物体の真円度のわるさおよび物体の直径の測定を行なうための測定ヘッドに接続されている。特許文献5に開示されている該装置は、表面真円度の測定に限定されている。
【0015】
特許文献6には、楕円率測定工具が開示されている。該楕円率測定工具は、周囲が変形可能な円筒要素の楕円率を測定するものであり、円筒要素支持体と、円筒要素の円周を移動する検知要素であって、円筒要素に対して半径方向に可動な検知要素と、該検知要素が円筒要素の円周を移動するにつれて該検知要素の移動量を読み取るための読取装置と、を有している。特許文献6に開示されている該装置は、表面楕円率の測定に限定されている。
【0016】
特許文献7には、工作物の真円度を分析する、制御ユニットを有する機械制御ゲージシステムが開示されている。該制御ユニットは、測定ヘッドによって測定されたデータにより、工作物を所望のサイズに加工するようなやり方で、研削盤制御装置を制御する。該制御ユニットは、測定ヘッドによって測定されたデータにより、工作物の真円度を分析し、かつ、タッチパネル上に真円度を表示する。特許文献7に開示されている該発明は、工作物の真円度を示すことのみに限定されている。
【特許文献1】US 5,077,908
【特許文献2】US 4,084,324
【特許文献3】US 4,048,849
【特許文献4】US 5,022,267
【特許文献5】US 4,625,429
【特許文献6】US 6,272,762
【特許文献7】EP 1 043 562 A2
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、下記の事項を示すという課題を取り扱う。すなわち、
・ 機械的な物体の公称寸法上円形の表面の軌道
・ 機械的な物体の公称寸法上円形の表面からの偏差
・ 機械的な物体の公称寸法上円形の表面の軌道と公称寸法上円形の表面からの偏差との組合せ
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、使用が容易、迅速、頑丈で、上記の課題を解くためのフレキシブルな機会を提供するものである。本発明は、測定されるべき表面が部分的にブロックされているため、あるいは、物体が大きすぎるため、アクセスが困難な表面を含む状況で、有利に使用することができる。また、本発明は、たとえ機械的な物体が軌道移動を行なう場合でも、機械的な物体の真円度を測定する機会を提供するものであり、これは、該発明が、軌道の移動と表面真円度を分離できることによって達成される。軌道の移動をx成分とy成分に分割することさえ可能である。別の利点は、必要な測定がただ一回の測定で達成されることである。測定後に、次のうちの何を示すべきか、すなわち、機械的な物体の軌道、公称寸法上円形の表面からの偏差、あるいはその両方の組合せのうちの何を示すべきか、を決定することが可能である。これが可能なのは、一度データが得られると、該データを一回または多数回使用して、機械的な物体の軌道、公称寸法上円形の表面からの偏差、あるいはその両方の組合せを示すことが可能だからである。さらに、その作業は労働集約的ではない。別の利点は、その構成要素のコストが合理的に低いため、安価なことである。別の利点は、機械的な物体の公称寸法上円形の表面からの偏差は、製品の品質を示すのに使用してよいことである。
【0019】
角度の安定性の点で、本発明は、表面を測定する場合、意図された測定角度からの小さな偏差に影響を受けない。
【0020】
表面の軌道は、ここでは、機械的な物体の表面の並進運動および中心移動と考える。
【0021】
本発明は、例えば、ISO(例えば、ISO 1132-1:2000およびISO 10816-1)およびANSI/ASME(ANSI/ASME B89.3.4M - 1985)によって定義されているように、振れを含む真円度を分析する場合に使用してよい。
【0022】
本発明の第1のアスペクトによれば、機械的な物体の公称寸法上円形の表面の軌道、および、公称寸法上円形の表面からの偏差の少なくとも一つを示す装置が開示されている。機械的な物体は、一般に円形である必要はなく、分析されるべき表面のみが円形であればよい。公称寸法上円形とは、ここでは、円形であるよう意図されてはいるが、実際にはそうでないことを意味する。該装置は、プロセッサおよび出力手段を含んでおり、該プロセッサは、偏差プロファイルを生成するよう構成されており、該偏差プロファイルは、表面の円形形状からの偏差を表す。偏差プロファイルは、公称寸法上円形の表面を等距離にカバーする距離データセットに基づいている。距離データセットは、共に論理的に結合された多数の距離である。各距離データセットは、少なくとも3つの距離ゲージから公称寸法上円形の表面までの、好ましくは、同時に測定され、かつ、一つの回転方向で測定された、少なくとも3つの距離を含んでおり、かつ、角度に関係付けられている。ゲージの例は、接触および非接触に基づいている。本発明の主要な特徴の一つは、一度公称寸法上円形の表面が測定されると、機械的な物体の公称寸法上円形の表面の軌道、および、公称寸法上円形の表面からの偏差の少なくとも一つを示すのに情報を利用できることである。これは、ただ一回の測定で、真円度および軌道の少なくとも一つ、あるいはその両方を示す機会に至ることを意味している。さらに、本発明によれば、機械的な物体の軌道または真円度が生成されるべきかどうかを選択することが可能である。
【0023】
偏差プロファイルは、ここでは、真円度および軌道の一方、あるいはその組合せとして識別される。
【0024】
少なくとも3つの距離は、距離測定角度で測定され、かつ、一つの回転方向で測定されたものである。また、距離は、一つの回転方向で測定される。距離測定角度は、少なくとも3つの距離が、好ましくは、同時に、しかし、必ずしも同時でなく、測定された角度を示す。距離測定角度は、プリセットされ、距離測定中は一定である。
【0025】
プロセッサは、さらに、例えば、該プロセッサが、コンピュータファイルを書いたり、あるいは、記憶あるいは以降の処理または遠隔指示のために、通信機能の使用によって、別の場所に偏差プロファイルを伝送したりすることによって、直接的に、あるいは、間接的に、ユーザに、出力手段により偏差プロファイルを示すよう構成されている。別法として、偏差プロファイルは、可動メディアに伝送され、かつ、可動メディアに記憶されてよい。偏差プロファイルの生成は、現場で生成される必要はなく、あるいは、測定時に生成される必要さえないことを指摘すべきである。例えば、偏差プロファイルの生成は、別の場所で後ほど行ってよい。
【0026】
表面は、円形の形体を与えるよう意図されたいかなる技術的表面によって構成されていてもよい。本発明による技術的表面の非限定例には、円、および円筒螺旋が含まれている。本発明に適用されてよい種類の表面を与える機械的な物体の非限定例には、転がり軸受、回転軸、およびねじの軌道が含まれている。
【0027】
好適な形態においては、プロセッサは、さらに、距離データセットおよび距離測定角度を含む連立方程式の系を解くことによって偏差プロファイルを生成するよう構成されている。
【0028】
好適な形態においては、プロセッサは、さらに、偏差プロファイルをフーリエ変換するよう構成されている。これは、周波数特性を使用して偏差を示すことができるという利点を提供する。しかしながら、フーリエ変換を使用することによって、より把握しやすい結果に至るであろう。
【0029】
好適な形態においては、プロセッサは、さらに、距離測定角度の品質を示すよう構成されている。以下、これについて、さらに論じよう。
【0030】
好適な形態においては、距離データセットが3つより多いの距離を含んでいる場合、プロセッサは、例えば、最小2乗平均(LMS)、あるいは、何らか他の適当な規準に基づいて測定誤差限界を推定するよう構成されている。
【0031】
本発明の第2のアスペクトによれば、本発明は、公称寸法上円形の表面の品質を示す装置に関する。したがって、該装置は、上に示したように、公称寸法上円形の表面の品質、したがって、機械的な物体全体の品質を示すのに使用してよい。
【0032】
好適な形態においては、該装置は、さらに、少なくとも3つの距離を測定するための少なくとも3つの距離ゲージを含む距離測定装置を含んでいる。この装置は、少なくとも、該少なくとも3つの距離の測定時には、現場に設置される。装置は、ポータブルであってもよく、あるいは、定置であってもよい。
【0033】
好適な形態においては、距離測定装置は、支持フレームによって構成されており、少なくとも3つの距離ゲージは、距離測定角度に対して、該支持フレームに配置されている。これは、表面と距離測定装置との間の相対運動が容易に得られるため、測定が簡単化されるという利点を提供する。好適な実施形態においては、距離測定装置は、機械的な物体の周りを一回転、回転させられる。別の好適な実施形態においては、距離測定装置は、定置位置に維持され、表面が、該距離測定装置に対して移動させられる。好適な実施形態においては、距離ゲージの距離測定角度は、測定間で変更可能である。一回の測定は一般に、少なくとも全一な相対回転である。
【0034】
好適な形態においては、距離測定装置は、それぞれが少なくとも一つの距離ゲージを有している、独立した支持要素によって構成されている。これは、距離測定装置が、測定前のセットアップおよび測定後の除去を迅速かつ容易に行えるという利点を提供する。それは、困難な角度による測定についても、利点を提供する。例えば、サイズ、あるいは、測定されるべき表面の周りの作業環境のために、従来の実施形態による距離測定装置を配置することが可能でない場合がある。この実施形態は、角度選択の変通性による使用の変通性を提供する。
【0035】
好適な形態においては、距離測定装置は、さらに、少なくとも3つの距離ゲージによって測定された距離を変換するための少なくとも一つのA/Dコンバータを含んでいる。
【0036】
好適な形態においては、距離測定装置は、さらに、エンコーダを含んでいる。エンコーダは、距離データセットとの関連で角度を生成するためのものである。
【0037】
好適な形態においては、相対的な概念を用いた距離測定角度は、3PI/4、0(ゼロ)、および7PI/6である。
【0038】
好適な形態においては、プロセッサは、さらに、偏差プロファイルのフーリエ変換と少なくとも一つの機能偏差を示す周波数との間の対応に基づいて、表面を加工した製造機器の一つまたはそれ以上の細部の機能偏差を、出力手段により示すよう構成されている。用語「細部」の非限定例には、回転軸、駆動電動機およびベルトなど、製造機器内の機器を回転させるための倍音を含む、周波数と共に動作する細部が含まれている。例えば、摩耗したベルトは、本発明では、機能偏差が生じたことが示される結果となるであろう。ただしこれは、製造機器によって製造される製品に何らかの影響が生ずることになる場合である。ここで関連する特徴の一つは、一つの細部の回転数とこれら回転数の製造機器内の他の細部に対する影響との間の関係である。これは、製造機器の診断情報を容易に得る機会を提供する。したがって、本発明は、製造機器の状態を示すのに使用してもよい。
【0039】
好適な形態においては、距離データは、機械的な物体の表面線の中に在り、該線は、つぎのもの、すなわち、製造機器の加工方向、および、製造機器の加工方向における少なくとも一つの成分を示す方向のうちの一つの中に在る。
【0040】
好適な形態においては、製造機器は、研削、熱間圧延、冷間圧延、旋削、フライス削り、印字、研磨、およびホーニング用の機器のうちの少なくとも一つによって構成されている。
【0041】
好適な形態においては、プロセッサは、さらに、一組の機能偏差を示す周波数を含む周波数マップを構成するよう構成されている。したがって、これは、製造機器が保守あるいは設置される場合に、周波数マップが変更またはセットアップされることを容易にする。
【0042】
ここで、連立方程式の系の一形態を誘導しよう。公式の誘導が、機械的な物体に対して3つの距離ゲージを用いて行なわれるという事実は、その理解を増大するために誘導を簡単化しようとの企てとして理解できる。
【0043】
図1では、3つの距離ゲージ1、3、5を有する機械的な物体が示されている。矢印は、機械的な物体と距離ゲージのセットアップとの間の相対回転を得る方向を示している。その動作が少なくとも半径方向における距離成分を与える3つの距離ゲージ1、3、5を使用して、下記の式を形成することが可能である。
【0044】
【数1】
【0045】
ここで、φ は回転角度を、γ は真円度偏差を、x および y は、軌道の x および y 成分を表す。
【0046】
測定された信号のフーリエ変換を用いて、下記の式に至る。
【0047】
【数2】
【0048】
【数3】
【0049】
および
【0050】
【数4】
【0051】
を得るためには、下記の式を解く必要がある。
【0052】
【数5】
【0053】
ここで、h1、h2、および h3 は、いかなる変数
【0054】
【数6】
【0055】
および
【0056】
【数7】
【0057】
を望むかにより、0または1の値を与える。
例えば、
(h1,h2,h3)=(1,0,0)
では、
【0058】
【数8】
【0059】
となるように、a、b、および c に値が与えられる。
【0060】
同様に、
(h1,h2,h3)=(0,1,0)
では、
【0061】
【数9】
【0062】
が与えられるように、a、b、および c に値が与えられる。
【0063】
同様に、
(h1,h2,h3)=(0,0,1)
では、
【0064】
【数10】
【0065】
が与えられるように、a、b、および c に値が与えられる。
【0066】
以下に上記の式に対する解を示す。
【0067】
【数11】
【0068】
ここで、
【0069】
【数12】
【0070】
解が N(ω) <> 0 となるかどうかを調べるため、下記の式を解く。
【0071】
【数13】
【0072】
解またはゼロは、下記の場合に与えられる。
【0073】
【数14】
【0074】
これは、下記の場合に生ずる。
【0075】
【数15】
【0076】
ここで、k および l は整数である。
【0077】
これは、欠落する第1の周波数は、整数 ω0 が、出来るだけ小さな k および l に対して、下記を満たす場合の周波数 ω0 +/- 1 であることを意味する。
【0078】
【数16】
【0079】
これは、下記の関係式を与える。
【0080】
【数17】
【0081】
γ1 = 135° および γ2 = 210° の場合、これは、(例えば)、k = 14 および l = 9 で、ω0 = 24 となる。したがって、周波数23および25は、欠落する。また、ω0 の整数倍では、同じ式を解き、-23、-25、47、49、-47、-49、71、73などが欠落することが示される。欠落する周波数の数を減らすには、k および l を高くする。
【0082】
γ1 および γ2 が整数の場合、共通の主要なファクターが出来るだけ少なくなるようにそれらを選択することが有利である。ω0 は、下記の公式を用いて直接的に計算してよい。
ω0 = 360/lcd (γ1, γ2, 360)
ここで、lcd は最大の共通除数を意味する。ここでは、(全一円周が360度で構成される)度の表記法が用いられることを指摘すべきである。しかしながら、代わりにラジアンを用いてもよい。
【0083】
本発明の範囲内で角度の取扱いを一般化する場合。一つの円周を角度 g1および g2によって定義された3つの扇形に分割する場合、かつ、A、B、およびCの間に整数関係がある場合(ここで、A、B、およびCには全て、共通の除数(>1)がない)、ω0 = A + B + C である。
【0084】
また、ω0 = 0 が、角度から独立した解を表し、第1のオーダーの限定された真円度が第1のオーダーの並進運動からは識別できないため、周波数 +1 および周波数 -1 が、常に欠落する理由を説明していることに気付くことができよう。γ1 およびγ2 が整数の場合、ω0 = 360 もまた、周波数 +/- 359 および周波数 +/- 361 もまた欠落するに至る解となる。
【0085】
欠落する周波数を取り扱う方法の一つは、ある角度セットアップで欠落する周波数が別のセットアップには存在するよう選択された4つの距離ゲージを用いることである。上記に基づいて、ノイズを低減し、かつ、角度における測定誤差の影響を低減するためには、出来るだけ高い N(ω) のモジュラスを有していることが重要である。複数の角度を有する場合は、全ての周波数に対して最大の N(ω) のモジュラスを有する角度セットアップを選択することが好適である。角度を選択する場合は、全ての角度セットアップを含むセットに、全ての周波数が存在することを保証することが重要である。下記の関係式は、これをチェックするのに役立つ。
【0086】
ω0 = 360/lcd (γ1, γ2, 360)
ここで、lcd は最大の共通除数を意味する。
【0087】
好適な形態においては、プロセッサは、さらに、距離測定角度の品質を示すよう構成されている。距離測定角度の品質は、伝達関数の限界を示す。上記の伝達関数は、欠落する周波数に対応してゼロを与えるため、指示に対するそれらの限定的な影響を知るには、何処にこれらのゼロが存在するかを見出すことが重要であろう。ゼロは、上述のように生ずる。上に示したように角度を選択することによって、ゼロを制御することが可能である。例えば、特にある角度に焦点を当てたり、あるいは、無視したい場合、該角度は、適宜選択してよい。現場で測定する場合、測定条件によっては、ある角度を用いることが、不可能となる場合がある。これは、例えば、ブロックゲージにより、その角度を物理的に測定することができない場合があるからである。用語「現場で」は、ここでは、機械的な物体が、例えば、可能的な作業荷重の下にあるかどうかに関わらず、機械的な物体がその動作環境内に取り付けられている場合に測定が行われることを意味する。これらの場合は、他の角度を用いることが好適であろう。しかしながら、これらの角度は、制御されないやり方で、一つまたはそれ以上のk についてゼロが生ずる結果になり得るというリスクがあり得る。したがって、角度変更の可能性は、本発明の性能を増大する。別法として、表面は、ゼロの影響を制御するために、2つまたはそれ以上の角度セットアップを用いて測定してよい。これは、距離測定角度を変更して、同じ表面で、異なる距離測定角度を用いて、多重測定を行なう機会を提供する。
【0088】
好適な形態においては、プロセッサは、さらに、伝達関数のゼロを考慮して、少なくとも一つの適切な距離測定角度を提案するよう構成されている。したがって、略完全な角度セットアップおよび移動することが好まれるゼロが与えられると、該プロセッサは、距離測定角度の一つまたはそれ以上の代案を生成する。
【0089】
ここで、連立方程式の系の第2の実施形態を誘導しよう。公式の誘導が、機械的な物体に対して3つの距離ゲージを用いて行なわれるという事実は、その理解を増大するために誘導を簡単化しようとの企てとして理解できる。この好適な実施形態においては、プロセッサは、下記の式に基づいて偏差プロファイル R を生成するよう構成されている。
【0090】
AR = G
ここで、
A は、距離測定角度に基づいたマトリックスであり、
R は、偏差プロファイルを含むベクトルであり、
G は、距離データセットを含むマトリックスである。
【0091】
ベクトル R は、機械的な物体の公称寸法上円形の表面からの偏差および2次元の軌道に関する蓄積されたデータを含んでいる。マトリックスの形態のRの別の表示があり、それを以下に用いる。
【0092】
転動体軸受のリングまたはローラなど、いくつかの小さな形状欠陥を有する公称寸法上円形の物体を考える。この例は、外面に関するものであるが、該発明は、内面に適用してよい。円形形状の偏差は、例えば、LSQの意味でのベストフィットサークルからの局部偏差を用いて記述できる。この状況は、図1に記述されている。真円度からの偏差を記述する実用的な方法の一つは、構成要素の周りの等間隔の角度増分での偏差に注目することである。これが N個の等間隔の角度位置で行われた場合、非限定かつ実用的な表記法の一つは、N個の要素を有する縦ベクトルにおける順序で、全ての局部偏差を収集することである。そのような構成要素の真円度偏差を測定することが要求された場合、恐らくは、何らかの並進運動が重畳された状態で、構成要素と測定装置との間の相対回転が達成可能なように、構成要素は機械的に配置される。構成要素表面の位置は、ある種の角度で位置決めされたk個のゲージを用いて測定される。ゲージ番号 i は、角度位置 γ1 を有している。
【0093】
相対回転が達成されるにつれて、k個のゲージ全てが等しい角度増分で読み取られる。一回転は、N個の等しい角度増分に分割される。指示値は、要素Gmn がゲージ番号 nの指示値番号 mを表すマトリックス G に記憶される。指示値は、真円度偏差ばかりでなく、有り得る重畳された並進運動、すなわち、軌道にも依存することになる。構成要素の並進運動は、真円度偏差ベクトルに類似した2つのベクトルを用いて記述できる。第1のベクトルは、構成要素の測定された部分に対する、ベストフィットサークルの中心のサンプリングの順序における x 方向の位置からなる。第2のベクトルは、同じやり方で y 方向を表す。
【0094】
真円度偏差と x および y 方向における並進運動、すなわち、軌道との組み合わされたデータは、機械的な物体の公称寸法上円形の表面からの偏差および2次元の軌道についての蓄積されたデータを含む結果ベクトルRである。 Rpq は、角度増分番号 p に属するデータを表す。q = 0 は、真円度偏差を表し、q = 1 は、並進運動のx成分を表し、q = 2 は、並進運動の y 成分を表す。
【0095】
ここで、測定から構成要素の真円度偏差および並進運動の両方を決定することが、どのように可能であるかについて記述する。これは、上記のマトリックス G の中のゲージデータから、上記のマトリックスRを決定することと同じである。測定セットアップの形状(線形近似を可能にする円形形状からの小さな偏差を仮定する)から、測定誤差の不在下では、下記が真であることは明らかである。
【0096】
Gm,n= Rmod (m+an, N),0 + Rm,1cosαn + Rm,2sinαn (I)
ここで、an は、an を表す。角度 αは、下記の式の中の an が整数であるよう選択されるべきである。
【0097】
2πan = Nαn
上記の式 (I) を標準形で書き直すと、下記のようになる。
【0098】
Ax = b (II)
ここで、A は、マトリックスであり、x および b は、共に縦ベクトルである。マトリックス R は x でマップされており、我々のマトリックス G は、b でマップされている。マトリックスA は、低密度であろう。1行当たり3つの要素のみが非ゼロであろう。A の行インデクスが t である場合、我々は、A の非ゼロ要素を下記の式で定義する。
【0099】
At, mod(mod(t,N)+afloor(t/N), N) = 1
At,N+mod(t, N) = cos αfloor(t/N)
At,2N+mod(t, N) = sin αfloor(t/N)
ここで、afloor (t/N) は、afloor(t/N)を表す。
【0100】
mod(x,y) とは、x を y で除した場合の剰余を意味し、floor(x) とは、x より小さいか、あるいは x に等しい最大の整数を意味する。
【0101】
マトリックス A は、次数 kN x 3N のものとなろう。k > 3 の場合、この系は、明らかに過決定となり、自然な方法は、それを最小2乗の意味で解くことである。そのような場合に冗長度を有する利点は、誤差推定値を定義できることである。マトリックス A は、数値上の観点から、ケースバイケースで、不安定となり、マトリックス A を解く際の数値上の問題となる場合があることを指摘しておかねばならない。
【0102】
ここで、機械的な物体の公称寸法上円形の表面の軌道、および、公称寸法上円形の表面からの偏差の少なくとも一方を示す第3の実施形態を誘導しよう。公式の誘導が、機械的な物体に対する3つの距離ゲージを用いて行なわれるという事実は、その理解を増大するために誘導を簡単化しようとの企てとして理解できる。好適な実施形態においては、プロセッサは、距離データセットが3つの距離を含んでいる場合、下記の式に基づいて偏差プロファイル Rを生成するよう構成されている。
【0103】
kr = R
ここで、r は、距離ゲージ i (i=1...3) によって読み取られる距離である ri を含むベクトルであり、k は、重み ki (i=1...3) を含むベクトルである。
【0104】
ここで、図1を再び参照すると、3つの距離ゲージ1、3、5を有する機械的な物体が示されている。その動作が少なくとも半径方向における距離成分を与える3つの距離ゲージ1、3、5を用いて、下記の線形組合せの不変量を形成することが可能である。
【0105】
I = kr= (k1, k2, k3)(r1, r2, r3)= k1r1 + k2r2 + k3r3 (F1)
ここで、ri は、該距離ゲージ番号 i (i=1...3) によって測定され、かつ、指示された距離であり、ki (i=1...3) は、対応する重みファクターである。
【0106】
ここで、上記の線形組合せは、機械的な物体7のいかなる剛体運動の下でも不変の公式を形成するよう設計されてよいことを示す。該開示の理解を増大するために、用語「不変」は、剛体移動の下で不変である、と解釈されるべきである。
【0107】
図2では、公称寸法上の円形形状からの拡大された偏差を有する機械的な物体7のプロットが示されている。機械的な物体が x 方向には ξ、および y 方向には η 変位すると仮定すると、3つの距離ゲージ1、3、5は、それぞれ、下記の変化を示すであろう。
【0108】
・ 距離ゲージ1: ξ+η (F2)
・ 距離ゲージ3: ξsin(γ1)+ηcos(γ1) (F3)
・ 距離ゲージ5: ξsin(γ2)+ηcos(γ2) (F4)
これは、上に示した不変量に対して下記の影響を及ぼすことになる。
【0109】
I = (k1, k2,k3)(ξ+η,ξsin(γ1)+ηcos(γ1),ξsin(γ2)+ηcos(γ2)) (F5)
ξおよび η に関わらず、上記の式が等しくゼロであるよう (k1,k2,k3) が選択された場合、上記の式は不変である。これは、上記の F5 から容易に誘導される下記の式に至る。
【0110】
k2sin(γ1) + k3sin(γ2) = 0
k2cos(γ1) + k3cos(γ2) = -k1
一般性を失うことなく、重みの一つ、例えば k1 を、1に設定することが可能である。
【0111】
これは、不変量を維持するための k2 および k3 の下記の必要条件に至る。
【0112】
k1 = 1、
k2 = sin(β)/sin(γ1-γ2)、かつ
k3 = -sin(γ1)/sin(γ1-γ2)
ここで、γ1 が 3PI/4 に設定され、γ2 が 7PI/6に設定されるよう角度を選択すると、下記の重みファクター ki (i=1...3) のセットに至る。
【0113】
k1 = 1、
k2 =√2/(1+√3)、かつ
k3 = 2/(1+√3)
他の角度でも一つの結果が得られることは、指摘すべきである。しかしながら、これらの角度は、スペクトルのゼロを制御する良好な機会に至る。
【0114】
ここで位相および振幅コレクタを使用すると、一般性を失うことなく、機械的な物体7の形状(真円度)は、次のように書いてよい。
【0115】
∞
r(φ) = Σ rkcos[k(φ+γk)]
k=0
さらに、一般性を失うことなく、前述の不変量の存在のおかげで、これは、第1の距離ゲージ1の位置における有り得る指示値であってもよい。第2および第3の距離ゲージ3、5に対しては、下記の指示値が適用される。
【0116】
∞
r(φ+γ1)=Σ rkcos[k(φ+γk+γ1)]、かつ
k=0
∞
r(φ+γ2) = Σ rkcos[k(φ+γk+β)]
k=0
重みファクター ki (i=1..3)、例えば、k1 = 1、k2 =√2/(1+√3)、および k3 = 2/(1+√3) を用いて、下に示すように、上記の式(F1)の不変量を形成することが可能である。これは、異なる位相角度および振幅を有するコサインの和でもある。各 k に対して、各項は、下記の形態で書いてよい。
【0117】
Acos[k(φ+γk)] - Bsin[k(φ+γk)] = Ccos[k(φ+γk)+δk]
ここで、
A = 1 +k2cos(iγ1) + k3cos(iγ2)、
B = k2sin(iγ1) + k3sin(iγ2)、かつ
C = √(A2 + B2)
これらの公式は、実際、機械的な物体7の真の真円度を反映するよう不変量を補正する方法を定義する。これは、不変量およびその前提条件の誘導を結論付ける。
【0118】
好適な形態においては、プロセッサは、さらに、距離測定角度の品質を示すよう構成されている。距離測定角度の品質は、伝達関数の限界を示す。上記の伝達関数はゼロを与えるため、指示に対するそれらの限定的な影響を知るために、何処にこれらのゼロが存在するかを見出すことが重要であろう。上に定義した C がゼロの場合、ゼロが生ずる。 C がゼロに等しい場合、下記の式によって支配される。
【0119】
0 = (1+ k2cos(iγ1) + k3cos(iγ2))2 + (k2sin(iγ1) + k3sin(iγ2))2
γ1、γ2、または ki を選択することによって、ゼロを制御することが可能である。例えば、特にある角度に焦点を当てたり、あるいは、無視したい場合、角度 γ1、 γ2、および ki は、適宜選択してよい。現場で測定する場合、測定条件によっては、γ1 およびγ2 に対してある角度を用いることが、不可能となる場合がある。これは、例えば、ブロックゲージにより、その角度を物理的に測定することができない場合があるからである。これらの場合は、他の角度を用いることが好適であろう。しかしながら、これらの角度は、制御されないやり方で、一つまたはそれ以上の k についてゼロが生ずる結果になり得るというリスクがあり得る。したがって、角度変更の可能性は、本発明の性能を増大する。別法として、表面は、ゼロの影響を制御するために、2つまたはそれ以上の角度セットアップを用いて測定してよい。これは、距離測定角度を変更して、同じ表面で、異なる距離測定角度を用いて、多重測定を行なう機会を提供する。上に示した非限定例では、k が1の場合、および k が23の場合、ゼロが生ずる。
【0120】
ここで、機械部品の軌道に戻ると、それは、距離ゲージデータと真円度の逆フーリエ変換との間の差、あるいは、より形式的に書くと、下記の式を計算することによって、推論することができる。
【0121】
機械部品の軌道 ÷ 距離ゲージデータ - 逆フーリエ変換(機械部品の真円度)
この形態は、厳しい環境に適しているが、それらに限定されない、装置を提供する。また、該装置は、リアルタイムに、軌道および真円度の少なくとも一方を示す装置として実施できる。該装置は、アナログ電子装置を用いて実施されてもよい。これは、より低い製造コスト、および、可能的に、偏差プロファイルを生成するためのより低い時間に至ることにもなる。
【0122】
好適な形態においては、プロセッサは、さらに、上に示したように、距離データセットと距離測定角度に関連付けられた重みとの線形組合せを形成する工程を含めて、偏差プロファイルを生成するよう構成されている。
【0123】
本発明の第3のアスペクトによれば、機械的な物体の公称寸法上円形の表面の軌道、および、公称寸法上円形の表面からの偏差の少なくとも一方を示す方法が提供され、該方法は、下記の工程を含んでいる。すなわち、
- 公称寸法上円形の表面をカバーする距離データセットに基づいて偏差プロファイルを生成する工程であって、各距離データセットは、回転方向で測定された公称寸法上円形の表面までの少なくとも3つの距離を含み、かつ、角度に関連付けられており、該少なくとも3つの距離は、距離測定角度で測定されたものである工程、および
- 偏差プロファイルを示す工程。
【0124】
このアスペクトの特徴は、第1のアスペクトの特徴との類似性を有する。したがって、上記に対する参照が行われる。
【0125】
好適な形態においては、該方法は、さらに、距離データセットおよび距離測定角度を含む連立方程式の系を解くことによって偏差プロファイルを生成する工程を含んでいる。
【0126】
好適な実施形態においては、該方法は、さらに、偏差プロファイルをフーリエ変換する工程を含んでいる。
【0127】
好適な形態においては、公称寸法上円形の表面は、技術的表面である。
【0128】
第4のアスペクトによれば、公称寸法上円形の表面の品質を示す方法が開示されている。公称寸法上円形の表面を有する製品の非限定例には、主軸、軸受表面、およびギヤボックスを含む、工作機械の主軸が含まれている。工程の非限定例には、研削(例えば、ボールまたはローラの研削)、熱間圧延、冷間圧延、旋削、フライス削り、印字、研磨、およびホーニングが含まれている。このアスペクトの特徴は、第2のアスペクトの特徴との類似性を有する。したがって、上記に対する参照が行われる。
【0129】
好適な実施形態においては、該方法は、さらに、偏差プロファイルのフーリエ変換と少なくとも一つの機能偏差を示す周波数との間の対応に基づいて、表面を加工した製造機器の一つまたはそれ以上の細部の機能偏差を示す工程を含んでいる。この実施形態の特徴は、上記の一形態の特徴との類似性を有する。したがって、上記に対する参照が行われる。
【0130】
好適な形態においては、製造機器は、研削、熱間圧延、冷間圧延、旋削、フライス削り、印字、研磨、およびホーニング用の機器のうちの少なくとも一つによって構成されている。
【0131】
好適な形態においては、距離データは、機械的な物体の表面線の中に在り、該線は、次のもの、すなわち、製造機器の加工方向、および、製造機器の加工方向における少なくとも一つの成分を示す方向のうちの一つの中に在る。
【0132】
好適な形態においては、該方法は、さらに、一組の機能偏差を示す周波数を含む周波数マップを構成する工程を含んでいる。
【0133】
好適な形態においては、該方法は、さらに、距離測定角度の品質を指示する工程を含んでいる。この形態の特徴は、上記の一形態の特徴との類似性を有する。したがって、上記に対する参照が行われる。
【0134】
好適な形態においては、該方法は、さらに、上記に従って、距離測定角度に関連付けられた重みを計算する工程を含んでいる。
【0135】
好適な形態においては、距離測定角度は、
3PI/4、0(すなわち、ゼロ)、および 7PI/6 であり、重みは、それぞれ、k1 = √2/(1+√3)、k2 = 1、および k3= 2/(1+√3) である。
【0136】
好適な形態においては、該方法は、さらに、上に示したように、距離データセットが3つより多い距離を含んでいる場合、測定誤差限界を推定する工程を含んでいる。
【0137】
本発明の第5のアスペクトによれば、コンピュータの内部メモリにロードできるコンピュータプログラム製品が開示されている。該コンピュータプログラム製品は、コンピュータ上で実行された場合、好適な方法の形態の少なくとも一つを行なうためのソフトウェアコード部分を含んでいる。
【0138】
本発明の第6のアスペクトによれば、上記のコンピュータプログラム製品を含むキャリヤが開示されている。
【0139】
本発明の第7のアスペクトによれば、上記の第1のアスペクトによる装置に使用可能な、上に定義したような、距離データを含む記憶手段が開示されている。該記憶手段は、回転方向で測定され、角度に関連付けられ、かつ、距離測定角度で測定された、公称寸法上円形の表面までの少なくとも3つの距離のセットを含んでいる。これは、距離の測定はある場所で行ってよく、かつ、それによって得られたデータの処理は別の場所でその後に実行してよい、という利点を提供する。好適な形態においては、記憶手段は、さらに、上述のように、距離測定角度に関連付けられた重みを含んでいてよい。
【0140】
第8のアスペクトによれば、機械的な物体の公称寸法上円形の表面の軌道、および、公称寸法上円形の表面からの偏差の少なくとも一方を示す装置への入力として使用される距離データセットを測定する装置が提供され、該装置は、エンコーダおよび回転方向において少なくとも3つの距離を測定するための少なくとも3つの距離ゲージを含む距離測定装置を含み、各距離データセットは、該公称寸法上円形の表面までの、かつ、角度に関連付けられた少なくとも3つの距離を含み、該少なくとも3つの距離は、距離測定角度で測定されたものである。
【0141】
好適な形態においては、距離測定装置は、支持フレームによって構成されており、該少なくとも3つの距離ゲージは、距離測定角度に対して、該支持フレームに配置されている。
【0142】
好適な形態においては、距離測定装置は、それぞれが少なくとも一つの距離ゲージを有している、独立した支持要素によって構成されている。
【0143】
好適な形態においては、距離測定装置は、さらに、少なくとも3つの距離ゲージによって測定された距離を変換するための少なくとも一つのA/Dコンバータを含んでいる。
【0144】
好適な形態においては、該装置は、さらに、距離データセットを記憶するための記憶手段を含んでいる。
【0145】
好適な形態においては、該装置は、さらに、ポータブルメディア上に距離データセットを記憶するための手段を含んでいる。
【0146】
好適な形態においては、該装置は、さらに、第1のアスペクトによる装置に距離データセットを通信するための通信機能を含んでいる。
【0147】
好適な形態においては、該装置は、さらに、距離測定角度に関連付けられた重みを含んでいる。
【0148】
本発明の非限定的な用途には、うねり測定装置、工作機械の主軸、製紙工場内のロール、および製鋼工場内のロールの調査が含まれている。
【発明の効果】
【0149】
本発明は、使用が容易、迅速、頑丈で、上記の課題を解くためのフレキシブルな機会を提供するものである。本発明は、測定されるべき表面が部分的にブロックされているため、あるいは、物体が大きすぎるため、アクセスが困難な表面を含む状況で、有利に使用することができる。また、本発明は、たとえ機械的な物体が軌道移動を行なう場合でも、機械的な物体の真円度を測定する機会を提供するものであり、これは、該発明が、軌道の移動と表面真円度を分離できることによって達成される。軌道の移動をx成分とy成分に分割することさえ可能である。別の利点は、必要な測定がただ一回の測定で達成されることである。測定後に、次のうちの何を示すべきか、すなわち、機械的な物体の軌道、公称寸法上円形の表面からの偏差、あるいはその両方の組合せのうちの何を示すべきか、を決定することが可能である。これが可能なのは、一度データが得られると、該データを一回または多数回使用して、機械的な物体の軌道、公称寸法上円形の表面からの偏差、あるいはその両方の組合せを示すことが可能だからである。さらに、その作業は労働集約的ではない。別の利点は、その構成要素のコストが合理的に低いため、安価なことである。別の利点は、機械的な物体の公称寸法上円形の表面からの偏差は、製品の品質を示すのに使用してよいことである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0150】
図3では、機械的な物体の公称寸法上円形の表面の軌道、および、公称寸法上円形の表面からの偏差の少なくとも一方を含む偏差プロファイルを示す装置の概略図が示されている。該装置は、プロセッサおよび出力手段を含んでいる。該装置は、プロセッサ9、メモリ11、および出力手段13を含んでいる。一実施形態では、該装置は、ハードウェアの観点から、汎用コンピュータによって構成されている。該装置は、距離データを受信するため、バス17またはインターネット19に、通信機能15を使用して接続されてよい。通信機能15は、偏差プロファイル21を遠隔的に示すのに使用されてよい。別法として、該装置は、距離データを取り扱うための、かつ(あるいは)、偏差プロファイル21の指示を取り扱うための、可動メディア受信手段を備えている。
【0151】
表1では、距離データの一例、およびその測定角度 φ との関係が示されている。測定角度 φは、機械的な物体7の周りの全一回転に亘る。
【0152】
【数18】
【0153】
<表1>角度φに対して3つの距離ゲージによって測定された距離データの概略的な表示。
【0154】
プロセッサ9は、公称寸法上円形の表面をカバーする距離データセットに基づいて偏差プロファイル21を生成するよう構成されており、各距離データセットは、公称寸法上円形の表面までの、かつ、角度に関連付けられた少なくとも3つの距離を含み、該少なくとも3つの距離は、距離測定角度で測定され、かつ、回転方向で測定されたものであり、また、出力手段を用いて偏差プロファイル21を示すよう構成されている。これは、図4に概略的に示されている。図4のボックスは、「重みを指示すること」が上記の一実施形態で行なわれるため、点線で示されている。
【0155】
好適な実施形態においては、該装置は、公称寸法上円形の表面の品質を示すのに使用される。図5では、そこから公称寸法上円形の表面の品質についての情報を得ることが可能な、偏差プロファイル21の周波数表示の一例が示されている。周波数表示のピークは、例えば、低品質を示す場合がある。別法として、偏差プロファイルは、そのようなものとして、すなわち、フーリエ変換なしに、公称寸法上円形の表面の品質を示すための十分な情報を提供できる。
【0156】
好適な実施形態においては、該装置は、少なくとも3つの距離を測定するための少なくとも3つの距離ゲージを含む距離測定装置23を含んでいる。距離測定装置23は、例えば、有線、赤外線、または無線によって、該装置に関連付けられている。図6Aでは、距離を測定するための概略的なセットアップが示されている。この実施形態においては、真円度および(または)軌道移動の点で調査されるべき、リングまたはパイプなどの機械的な物体7の内側に対して概略的に指向された3つの距離ゲージ1、3、5がある。3つの距離ゲージ1、3、5の角度アラインメントは、選択された距離測定角度に従って行なわれる。図6Bでは、真円度および(または)軌道移動の点で調査されるべき機械的な物体7(すなわち、この実施形態では軸)の外側に対して概略的に指向された3つの距離ゲージ1、3、5が有る、一実施形態が示されている。
【0157】
図7では、距離測定装置23の好適な実施形態が示されている。それらは、支持フレーム25によって構成されており、少なくとも3つの距離ゲージ1、3、5は、距離測定角度に対して、該支持フレームに配置されている。機械的な物体7は、測定工程において全一回転、回転してよい。好適な実施形態においては、距離ゲージ1、3、5は、現場で測定する際の変通性を増大するために、支持フレーム25上のそれらの場所を変更できるような手段を有している。これら実施形態の一つにおいては、距離ゲージ1、3、5が取り付けられている支持フレーム25は、機械的な物体7の周りを回転させられる。これら実施形態の一つにおいては、距離測定装置23は、それぞれが少なくとも一つの距離ゲージを有している、独立した支持要素27によって構成されている。
【0158】
好適な実施形態においては、該装置は、図7に示すように、一つまたはそれ以上の距離測定装置23、25を含んでよい。
【0159】
好適な実施形態においては、距離測定装置23は、さらに、少なくとも3つの距離ゲージ1、3、5によって測定された距離を変換するための少なくとも一つのA/Dコンバータ31を含んでいる。
【0160】
好適な実施形態においては、距離測定装置23は、さらに、エンコーダ33を含んでいる。
【0161】
好適な実施形態においては、プロセッサ9は、さらに、機械的な物体7の表面を加工する際に含まれた、製造機器の一つまたはそれ以上の細部の機能偏差を、出力手段13を用いて示すよう構成されている。指示は、偏差プロファイル21のフーリエ変換と少なくとも一つの機能偏差を示す周波数との間の対応に基づいている。機械的な物体7の表面は、製造機器の加工方向において、あるいは、製造機器の加工方向における少なくとも一成分を示す方向において測定される。図8では、製造機器の一つまたはそれ以上の細部の機能偏差の一例が示されている。
【0162】
図8に示された情報から、ユーザは、製造機器内に、言い換えれば、ベルトA 35内に生じた、機械的な物体7に影響している機能偏差の存在があるという結論を導き出すことができる。したがって、ベルトA 35は、保守が必要である。ベルトB 37は、より頻繁に監視されるべきであり、ベルトC 39は、良いように見える。
【0163】
好適な実施形態においては、プロセッサ9は、さらに、一組の機能偏差を示す周波数を含む周波数マップを構成するよう、すなわち、周波数マップに含まれている一組の機能偏差周波数を修正するよう構成されている。
【0164】
図9Aでは、距離測定角度の品質を構成し、かつ、示す処理の一実施形態が示されている。第1の処理は、下記のステップを含んでいる。
【0165】
1. 角度を入力する
2. 重みの一つを入力する
3. 残りの重みを計算する
4. 伝達関数のゼロを見出す
5. ゼロの場所はOK?
6. OKなら、表面の測定に着手する
別法として、重みを入力する必要性は、プロセッサが重みの一つを自動的に設定することによって排除してよい、すなわち、上記の第2のステップは、不要にしてよい。すなわち、重みの一つは、プリセットするか、あるいは、ランダムに設定してよいことになる。
【0166】
図9Bでは、複数の重みが生成されることになる方法の一実施形態が示されている。この方法は、下記のステップを含んでいる。
【0167】
1. 角度を入力する
2. 複数の重みセットを生成する
3. 重みセットを含む伝達関数のゼロを見出す
4. ゼロのOKの場所を示す伝達関数のユーザー選択を促す
5. 必要ならステップ1またはステップ2に行く
5. 表面の測定に着手する
図10では、伝達関数のゼロの場所の一例が示されている。この例では、k が23または25の場合、ゼロが生ずる。
【0168】
好適な実施形態においては、リングまたは軸などの機械的な物体7の公称寸法上円形の表面の軌道、および、公称寸法上円形の表面からの偏差の少なくとも一方が指示され、かつ、方法のパラメータ(角度および重みが必要な場合には重み)が設定された場合、表面測定工程は、距離ゲージ1、3、5と機械的な物体7との間の相対回転によって開始される。距離測定は、3つの信号(各距離ゲージから一つ)となる。
【0169】
図11では、距離測定工程からの、3つのノイズの無い信号(距離ゲージの数が3である場合、各距離ゲージから一つ)の例が示されている。この距離データは、機械的な物体の真円度および機械的な物体7の軌道の少なくとも一方を計算する異なる方法を示す場合に使用する。図12A、図12B、図12Cでは、図11の3つのノイズの無い信号の例の真円度プロファイルの例が示されている。図13A、図13B、図13Cでは、図11の3つのノイズの無い信号の例の軌道の例が示されている。
【0170】
図12Aおよび図13Aでは、偏差プロファイル23(この場合、真円度および軌道)の生成は、下記の式(3つの距離を含む距離データセット)を基にした。
【0171】
【数19】
【0172】
図12Bおよび図13Bでは、偏差プロファイル23(この場合、真円度および軌道)の生成は、下記の式(3つの距離を含む距離データセット)を基にした。
【0173】
kr = R
ここで、r は、距離ゲージi (i=1...3) によって読み取られる距離である ri を含むベクトルであり、k は、重みki (i=1...3) を含むベクトルである。
【0174】
図12Cおよび図13Cでは、偏差プロファイル23(この場合、真円度および軌道)の生成は、下記の式(3つの距離を含む距離データセット)を基にした。
【0175】
AR = G
図14では、距離測定工程からの、3つのノイズを有する信号(距離ゲージの数が3である場合、各距離ゲージから一つ)の例が示されている。図15A、図15B、図15Cでは、図14の3つのノイズを有する信号の例の真円度プロファイルの例が示されている。図16A、図16B、図16Cでは、図14の3つのノイズの無い信号の対応する例の軌道の例が示されている。
【0176】
図15Aおよび図16Aでは、偏差プロファイル23(この場合、真円度および軌道)の生成は、下記の式(3つの距離を含む距離データセット)を基にした。
【0177】
【数20】
【0178】
図15Bおよび図16Bでは、偏差プロファイル23(この場合、真円度および軌道)の生成は、下記の式(3つの距離を含む距離データセット)を基にした。
【0179】
kr = R
ここで、rは、距離ゲージi (i=1...3) によって読み取られる距離である ri を含むベクトルであり、k は、重み ki (i=1...3) を含むベクトルである。
【0180】
図15Cおよび図16Cでは、偏差プロファイル23(この場合、真円度および軌道)の生成は、下記の式(3つの距離を含む距離データセット)を基にした。
【0181】
AR = G
好適な実施形態においては、距離測定の結果として生成される距離データまたは距離データセットが、4つ以上の距離を含んでいる場合、プロセッサ9は、測定誤差限界を推定するよう構成されている。
【0182】
機械的な物体7の公称寸法上円形の表面の軌道、および、公称寸法上円形の表面からの偏差の少なくとも一つを示す装置への入力として使用される距離データセットを測定する装置の好適な実施形態において、該装置は、プロセッサ9および出力手段11を含み、かつ、プロセッサ9は、公称寸法上円形の表面をカバーする距離データセットに基づいて偏差プロファイル23を生成するよう構成されており、各距離データセットは、公称寸法上円形の表面までの、かつ、角度に関係付けられた少なくとも3つの距離を含み、該少なくとも3つの距離は、距離測定角度において測定されたものであり、かつ、該距離測定角度に関係付けられた重みを含み、かつ、該出力手段を用いて偏差プロファイル23を示す装置の好適な実施形態を以下に示す。距離データセットを測定する装置は、エンコーダ33、および、少なくとも3つの距離を測定するための少なくとも3つの距離ゲージ1,3,5を含む距離測定装置23、を含んでおり、各距離データセットは、公称寸法上円形の表面までの、かつ、角度に関係付けられた該少なくとも3つの距離を含んでおり、かつ、該少なくとも3つの距離は、距離測定角度で測定されたものである。
【0183】
図17には、3つの距離ゲージ1,3,5を含む距離測定装置23が示されており、該距離ゲージは、ただ一つの支持フレーム25に取り付けられている。測定中、機械的な物体7は、回転させられる。支持フレーム25の物体は、伸縮自在の機能を与えるなど、伸張/収縮手段を有していてよく、これは、図17において、矢印で示してある。また、支持フレーム25には、好適な角度位置に継手手段41を固定することを可能にする距離ゲージを設けてよい。
【0184】
また、支持フレーム25には、図18に示すように、支持フレームに対して、自由に設置可能なサブシステム距離測定装置23を設けてよく、これは、厳しい測定環境を与える場所で現場測定する場合に好適であるかもしれない。別の実施形態では、支持フレーム25は、図19に示すように、測定される表面の形状に似ていてよく、同図には、機械的な物体7の測定経路を少なくとも部分的に包含する装置によって構成された支持フレーム25の実施形態が、示されている。一実施形態では、それは、例えば、機械に固定されるなど、定置であってよい。
【0185】
図20には、測定される機械的な物体7が、回転され、かつ、測定装置が、定置位置に保持される支持フレーム25の実施形態が、示されている。距離測定装置23は、距離測定装置23に固定された多数の距離ゲージ1,3,5を有している。支持フレーム25は、距離測定装置23の回転を可能にする手段43を含んでいる。
【0186】
一実施形態では、距離ゲージ1,3,5は、距離測定装置23に対して、例えば、距離測定角度による角度の点で、着脱可能に固定できる。
【0187】
一実施形態では、装置は、少なくとも3つの距離ゲージ1,3,5により測定された距離を変換するための少なくとも一つのA/Dコンバータ31を含んでいる。
【0188】
一実施形態では、装置は、距離データセット、または距離データを記憶するための記憶手段を含んでいる。
【0189】
一実施形態では、装置は、距離データセット、または距離データをポータブルなメディア上に記憶するための手段を含んでいる。
【0190】
一実施形態では、装置は、機械的な物体の公称寸法上円形の表面の軌道、および、公称寸法上円形の表面からの偏差 の少なくとも一つを示す装置に距離データセットを通信するための通信機能を含んでいる。一実施形態では、装置は、距離測定角度に関係付けられた重みを含んでいる。
【0191】
一実施形態では、装置は、機械的な物体7が、ねじ部45、例えば、ねじを有する物体である場合に、偏差プロファイルを生成するため使用されてよい。図21に、この実施形態の奥にある原理を概略的に示す。図21において、矢印は、距離測定方向を示す。3つの距離ゲージ1,3,5が、ネジ部45に沿って、適当な距離測定角度で、配置され、ネジ部45の表面までの距離が読み取られる。そして、その後、距離データが、上述のように処理されて、偏差プロファイル21に至る。
【0192】
図22には、機械的な物体7が、ねじ部45、例えば、ねじを有する物体である場合の、ハードウェア志向の実施形態が示されている。図22には、距離ゲージ1,3,5が、配置されたフレーム25を保持する保持手段47が示されている。保持手段47は、ネジ部45に対して、フレームをスライド可能にするスライド49に配置されている。フレーム25とネジ部45との間の相対運動を成し遂げるためには、ネジ部45とフレーム25の少なくとも一方を回転させる。これは、矢印で示されている。
【0193】
図23に示した一実施形態においては、ネジ部45を有する機械的な物体7が、フレーム25の移動を制御するのに使用される、すなわち、ネジ部45は、スライド49の代わりを為してよい。フレーム25を回転させることによって、距離ゲージ1,3,5は、後で偏差プロファイル21を生成するための距離を読み取る。
【図面の簡単な説明】
【0194】
【図1】3つの距離ゲージを有する機械的な物体が示されている。
【図2】公称寸法上の円形形状からの拡大された偏差を有する機械的な物体のプロットが示されている。
【図3】コンテクスチュアルなハードウェア構成の多数の実施形態が概略的に示されている。
【図4】本発明の方法を示すフローチャートの一実施形態が示されている。
【図5】偏差プロファイルの周波数表示の一例が示されている。
【図6A】機械的な物体の内側に対して距離を測定するための概略的なセットアップの一実施形態が示されている。
【図6B】機械的な物体の外側に対して距離を測定するための概略的なセットアップの一実施形態が示されている。
【図7】距離測定装置の好適な実施形態が示されている。
【図8】製造機器の一つまたはそれ以上の細部の機能偏差の概略的な例が示されている。
【図9A】重みを使用する場合に、距離測定角度の品質を構成し、かつ、示すためのアルゴリズムの一実施形態が示されている。
【図9B】重みを使用しない場合に、距離測定角度の品質を構成し、かつ、示すためのアルゴリズムの一実施形態が示されている。
【図10】伝達関数のゼロの場所の一例が示されている。
【図11】距離測定工程からの、3つのノイズの無い信号(距離ゲージの数が3である場合、各距離ゲージから一つ)の例が示されている。
【図12A】図11の3つのノイズの無い信号の例の真円度プロファイルの例が示されている。
【図12B】図11の3つのノイズの無い信号の例の真円度プロファイルの例が示されている。
【図12C】図11の3つのノイズの無い信号の例の真円度プロファイルの例が示されている。
【図13A】図11の3つのノイズの無い信号の例の軌道の例が示されている。
【図13B】図11の3つのノイズの無い信号の例の軌道の例が示されている。
【図13C】図11の3つのノイズの無い信号の例の軌道の例が示されている。
【図14】距離測定工程からの、3つのノイズを有する信号(距離ゲージの数が3である場合、各距離ゲージから一つ)の例が示されている。
【図15A】図14の3つのノイズを有する信号の例の真円度プロファイルの例が示されている。
【図15B】図14の3つのノイズを有する信号の例の真円度プロファイルの例が示されている。
【図15C】図14の3つのノイズを有する信号の例の真円度プロファイルの例が示されている。
【図16A】図14の3つのノイズの無い信号の例の軌道の例が示されている。
【図16B】図14の3つのノイズの無い信号の例の軌道の例が示されている。
【図16C】図14の3つのノイズの無い信号の例の軌道の例が示されている。
【図17】では、距離ゲージが、ただ一つの支持フレームに取り付けられている、3つの距離ゲージを含む距離測定装置の一実施形態が示されている。
【図18】では、支持フレームの一実施形態は、より小さく、かつ、機械的な物体に接続されて適当に配置された、多数のサブ支持フレームによって構成されている。
【図19】では、支持フレームの一実施形態は、機械的な物体の測定経路を少なくとも部分的に包含する装置によって構成されている。
【図20】では、支持フレームが、測定されるべき機械的な物体の表面の周りに回動可能である距離測定装置を有している、一実施形態が示されている。
【図21】では、機械的な物体が、ねじ部を有する物体(例えば、ねじ)である、一実施形態が、概略的に示されている。
【図22】では、機械的な物体が、ねじ部を有する物体(例えば、ねじ)である場合の、ハードウェア志向の実施形態が示されている。
【図23】では、一実施形態では、ねじ自体が、フレームの移動を制御するのに使用される。
【符号の説明】
【0195】
1 距離ゲージ
3 距離ゲージ
5 距離ゲージ
7 物体
9 プロセッサ
11 出力手段
13 出力手段
21 偏差プロファイル
23 距離測定装置
25 支持フレーム
27 支持要素
31 A/Dコンバータ
33 エンコーダ
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数のアスペクトを取り扱うものであり、以下それらを示す。
【0002】
本発明の第1のアスペクトによれば、本発明は、機械的な物体の公称寸法上円形の表面の軌道、および、公称寸法上円形の表面からの偏差の少なくとも一つを指示する装置に関する。
【0003】
本発明の第2のアスペクトによれば、本発明は、公称寸法上円形の表面の品質を示す装置に関する。
【0004】
本発明の第3のアスペクトによれば、本発明は、機械的な物体の公称寸法上円形の表面の軌道、および、公称寸法上円形の表面からの偏差の少なくとも一つを示す方法に関する。
【0005】
本発明の第4のアスペクトによれば、本発明は、公称寸法上円形の表面の品質を示す方法に関する。
【0006】
本発明の第5のアスペクトによれば、本発明は、第3のアスペクトによる方法を含むコンピュータプログラム製品に関する。
【0007】
本発明の第6のアスペクトによれば、本発明は、第4のアスペクトによるコンピュータプログラム製品を含むキャリヤに関する。
【0008】
本発明の第7のアスペクトによれば、本発明は、第1のアスペクトによる装置に使用可能な距離データを含む記憶手段に関する。
【0009】
本発明の第8のアスペクトによれば、本発明は、第1のアスペクトによる装置への入力として使用される距離データセットを測定する装置に関する。
【背景技術】
【0010】
特許文献1には、物体の表面の真円度を測定する装置が開示されている。該装置は、バネ付きのアームに回動可能に取り付けられた二又状のヘッドを含んでいる。該ヘッドは、回転物体の周囲と接線接触させることができる2つのエッジプレートを有している。ヘッドを直径の異なる物体に接触させた場合、エッジプレートとの接点は、生じた場合、頂点と交差する、場所の軌跡線に沿って進む。ヘッドに取り付けられた変位変換器は、物体の周囲に接触し、かつ、物体の周囲の不正確さを検出するプローブを有するバネ付きのプランジャを有している。特許文献1に開示されている該装置は、表面真円度の測定に限定されている。
【0011】
特許文献2には、表面測定装置が開示されている。該装置は、被検構成要素の表面に接触あるいは隣接した経路に沿ってセンサが移動する種類の装置である。該センサは、3つまたはそれ以上の変換器を有しており、該変換器は、上記の形態において、被検表面に物理的に接触し、かつ、被検構成要素の表面上の同じ経路に沿って移動するにつれて、個々の信号を生ずる。変換器によって生ずる信号は、増幅され、かつ、生じた複合信号が、被検構成要素の表面に沿って装置が移動するにつれて、変換器の本体の位置のいかなる変動にも依存しないようなやり方で、組み合わされ、それにより、平らなベッドまたは正確な主軸などの正確に予め成形された基準決定マウント上に取り付けられていないセンサの使用を可能にする。特許文献2に開示されている該装置は、表面の測定に限定されている。
【0012】
特許文献3には、材料の表面平面度を測定する方法および装置が開示されている。そこでは、3つ一組の非接触ギャップ検出器が、材料に対して平行に、かつ、材料の表面平面度の測定の方向に、予め決められた一定の間隔で配置されており、材料と各検出器との間の間隙が連続的に測定され、かつ、計算されて、材料の表面平面度が、材料の全体的な曲線によって影響されることなしに、連続的に測定され、かつ、示され、また、材料の平面度における欠陥の発生の周期が測定され、かつ、計算される。特許文献3に開示されている該装置は、表面平面度の測定に限定されている。
【0013】
特許文献4には、ローラを回転させる手段と、ローラの円周の周りの直径の変動を測定し、かつ、ローラの直径の変動を前記直径の変動の関数である電気信号に変換するための機械‐電気変換器手段と、電気信号変換システムと、重み付け回路と、を含むローラゲージが開示されている。特許文献4に開示されている該装置は、ローラの表面の直径の変動の測定に限定されている。
【0014】
特許文献5には、回転物体の真円度をチェックする装置が開示されている。物体の真円度をチェックする該装置は、横軸の周りでチェックされるべき物体を回転させるための電動機付きの主軸を支持する基底部と、該基底部に固定された柱と、当該横軸の周りで回転させるため柱に回動可能に結合された操作レバーおよび支持要素と、該レバーおよび支持要素に結合された測定装置と、処理装置と、を含んでいる。測定装置は、レバーに垂直に懸垂され、かつ、支持要素に回動可能に結合された部材と、該部材に固定され、かつ、物体上に配列されるように設計されたV形装置と、物体の正反対の点に接触するように設計された可動フィーラを有する2つの測定ヘッドと、を含んでいる。処理装置は、物体の真円度のわるさおよび物体の直径の測定を行なうための測定ヘッドに接続されている。特許文献5に開示されている該装置は、表面真円度の測定に限定されている。
【0015】
特許文献6には、楕円率測定工具が開示されている。該楕円率測定工具は、周囲が変形可能な円筒要素の楕円率を測定するものであり、円筒要素支持体と、円筒要素の円周を移動する検知要素であって、円筒要素に対して半径方向に可動な検知要素と、該検知要素が円筒要素の円周を移動するにつれて該検知要素の移動量を読み取るための読取装置と、を有している。特許文献6に開示されている該装置は、表面楕円率の測定に限定されている。
【0016】
特許文献7には、工作物の真円度を分析する、制御ユニットを有する機械制御ゲージシステムが開示されている。該制御ユニットは、測定ヘッドによって測定されたデータにより、工作物を所望のサイズに加工するようなやり方で、研削盤制御装置を制御する。該制御ユニットは、測定ヘッドによって測定されたデータにより、工作物の真円度を分析し、かつ、タッチパネル上に真円度を表示する。特許文献7に開示されている該発明は、工作物の真円度を示すことのみに限定されている。
【特許文献1】US 5,077,908
【特許文献2】US 4,084,324
【特許文献3】US 4,048,849
【特許文献4】US 5,022,267
【特許文献5】US 4,625,429
【特許文献6】US 6,272,762
【特許文献7】EP 1 043 562 A2
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、下記の事項を示すという課題を取り扱う。すなわち、
・ 機械的な物体の公称寸法上円形の表面の軌道
・ 機械的な物体の公称寸法上円形の表面からの偏差
・ 機械的な物体の公称寸法上円形の表面の軌道と公称寸法上円形の表面からの偏差との組合せ
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、使用が容易、迅速、頑丈で、上記の課題を解くためのフレキシブルな機会を提供するものである。本発明は、測定されるべき表面が部分的にブロックされているため、あるいは、物体が大きすぎるため、アクセスが困難な表面を含む状況で、有利に使用することができる。また、本発明は、たとえ機械的な物体が軌道移動を行なう場合でも、機械的な物体の真円度を測定する機会を提供するものであり、これは、該発明が、軌道の移動と表面真円度を分離できることによって達成される。軌道の移動をx成分とy成分に分割することさえ可能である。別の利点は、必要な測定がただ一回の測定で達成されることである。測定後に、次のうちの何を示すべきか、すなわち、機械的な物体の軌道、公称寸法上円形の表面からの偏差、あるいはその両方の組合せのうちの何を示すべきか、を決定することが可能である。これが可能なのは、一度データが得られると、該データを一回または多数回使用して、機械的な物体の軌道、公称寸法上円形の表面からの偏差、あるいはその両方の組合せを示すことが可能だからである。さらに、その作業は労働集約的ではない。別の利点は、その構成要素のコストが合理的に低いため、安価なことである。別の利点は、機械的な物体の公称寸法上円形の表面からの偏差は、製品の品質を示すのに使用してよいことである。
【0019】
角度の安定性の点で、本発明は、表面を測定する場合、意図された測定角度からの小さな偏差に影響を受けない。
【0020】
表面の軌道は、ここでは、機械的な物体の表面の並進運動および中心移動と考える。
【0021】
本発明は、例えば、ISO(例えば、ISO 1132-1:2000およびISO 10816-1)およびANSI/ASME(ANSI/ASME B89.3.4M - 1985)によって定義されているように、振れを含む真円度を分析する場合に使用してよい。
【0022】
本発明の第1のアスペクトによれば、機械的な物体の公称寸法上円形の表面の軌道、および、公称寸法上円形の表面からの偏差の少なくとも一つを示す装置が開示されている。機械的な物体は、一般に円形である必要はなく、分析されるべき表面のみが円形であればよい。公称寸法上円形とは、ここでは、円形であるよう意図されてはいるが、実際にはそうでないことを意味する。該装置は、プロセッサおよび出力手段を含んでおり、該プロセッサは、偏差プロファイルを生成するよう構成されており、該偏差プロファイルは、表面の円形形状からの偏差を表す。偏差プロファイルは、公称寸法上円形の表面を等距離にカバーする距離データセットに基づいている。距離データセットは、共に論理的に結合された多数の距離である。各距離データセットは、少なくとも3つの距離ゲージから公称寸法上円形の表面までの、好ましくは、同時に測定され、かつ、一つの回転方向で測定された、少なくとも3つの距離を含んでおり、かつ、角度に関係付けられている。ゲージの例は、接触および非接触に基づいている。本発明の主要な特徴の一つは、一度公称寸法上円形の表面が測定されると、機械的な物体の公称寸法上円形の表面の軌道、および、公称寸法上円形の表面からの偏差の少なくとも一つを示すのに情報を利用できることである。これは、ただ一回の測定で、真円度および軌道の少なくとも一つ、あるいはその両方を示す機会に至ることを意味している。さらに、本発明によれば、機械的な物体の軌道または真円度が生成されるべきかどうかを選択することが可能である。
【0023】
偏差プロファイルは、ここでは、真円度および軌道の一方、あるいはその組合せとして識別される。
【0024】
少なくとも3つの距離は、距離測定角度で測定され、かつ、一つの回転方向で測定されたものである。また、距離は、一つの回転方向で測定される。距離測定角度は、少なくとも3つの距離が、好ましくは、同時に、しかし、必ずしも同時でなく、測定された角度を示す。距離測定角度は、プリセットされ、距離測定中は一定である。
【0025】
プロセッサは、さらに、例えば、該プロセッサが、コンピュータファイルを書いたり、あるいは、記憶あるいは以降の処理または遠隔指示のために、通信機能の使用によって、別の場所に偏差プロファイルを伝送したりすることによって、直接的に、あるいは、間接的に、ユーザに、出力手段により偏差プロファイルを示すよう構成されている。別法として、偏差プロファイルは、可動メディアに伝送され、かつ、可動メディアに記憶されてよい。偏差プロファイルの生成は、現場で生成される必要はなく、あるいは、測定時に生成される必要さえないことを指摘すべきである。例えば、偏差プロファイルの生成は、別の場所で後ほど行ってよい。
【0026】
表面は、円形の形体を与えるよう意図されたいかなる技術的表面によって構成されていてもよい。本発明による技術的表面の非限定例には、円、および円筒螺旋が含まれている。本発明に適用されてよい種類の表面を与える機械的な物体の非限定例には、転がり軸受、回転軸、およびねじの軌道が含まれている。
【0027】
好適な形態においては、プロセッサは、さらに、距離データセットおよび距離測定角度を含む連立方程式の系を解くことによって偏差プロファイルを生成するよう構成されている。
【0028】
好適な形態においては、プロセッサは、さらに、偏差プロファイルをフーリエ変換するよう構成されている。これは、周波数特性を使用して偏差を示すことができるという利点を提供する。しかしながら、フーリエ変換を使用することによって、より把握しやすい結果に至るであろう。
【0029】
好適な形態においては、プロセッサは、さらに、距離測定角度の品質を示すよう構成されている。以下、これについて、さらに論じよう。
【0030】
好適な形態においては、距離データセットが3つより多いの距離を含んでいる場合、プロセッサは、例えば、最小2乗平均(LMS)、あるいは、何らか他の適当な規準に基づいて測定誤差限界を推定するよう構成されている。
【0031】
本発明の第2のアスペクトによれば、本発明は、公称寸法上円形の表面の品質を示す装置に関する。したがって、該装置は、上に示したように、公称寸法上円形の表面の品質、したがって、機械的な物体全体の品質を示すのに使用してよい。
【0032】
好適な形態においては、該装置は、さらに、少なくとも3つの距離を測定するための少なくとも3つの距離ゲージを含む距離測定装置を含んでいる。この装置は、少なくとも、該少なくとも3つの距離の測定時には、現場に設置される。装置は、ポータブルであってもよく、あるいは、定置であってもよい。
【0033】
好適な形態においては、距離測定装置は、支持フレームによって構成されており、少なくとも3つの距離ゲージは、距離測定角度に対して、該支持フレームに配置されている。これは、表面と距離測定装置との間の相対運動が容易に得られるため、測定が簡単化されるという利点を提供する。好適な実施形態においては、距離測定装置は、機械的な物体の周りを一回転、回転させられる。別の好適な実施形態においては、距離測定装置は、定置位置に維持され、表面が、該距離測定装置に対して移動させられる。好適な実施形態においては、距離ゲージの距離測定角度は、測定間で変更可能である。一回の測定は一般に、少なくとも全一な相対回転である。
【0034】
好適な形態においては、距離測定装置は、それぞれが少なくとも一つの距離ゲージを有している、独立した支持要素によって構成されている。これは、距離測定装置が、測定前のセットアップおよび測定後の除去を迅速かつ容易に行えるという利点を提供する。それは、困難な角度による測定についても、利点を提供する。例えば、サイズ、あるいは、測定されるべき表面の周りの作業環境のために、従来の実施形態による距離測定装置を配置することが可能でない場合がある。この実施形態は、角度選択の変通性による使用の変通性を提供する。
【0035】
好適な形態においては、距離測定装置は、さらに、少なくとも3つの距離ゲージによって測定された距離を変換するための少なくとも一つのA/Dコンバータを含んでいる。
【0036】
好適な形態においては、距離測定装置は、さらに、エンコーダを含んでいる。エンコーダは、距離データセットとの関連で角度を生成するためのものである。
【0037】
好適な形態においては、相対的な概念を用いた距離測定角度は、3PI/4、0(ゼロ)、および7PI/6である。
【0038】
好適な形態においては、プロセッサは、さらに、偏差プロファイルのフーリエ変換と少なくとも一つの機能偏差を示す周波数との間の対応に基づいて、表面を加工した製造機器の一つまたはそれ以上の細部の機能偏差を、出力手段により示すよう構成されている。用語「細部」の非限定例には、回転軸、駆動電動機およびベルトなど、製造機器内の機器を回転させるための倍音を含む、周波数と共に動作する細部が含まれている。例えば、摩耗したベルトは、本発明では、機能偏差が生じたことが示される結果となるであろう。ただしこれは、製造機器によって製造される製品に何らかの影響が生ずることになる場合である。ここで関連する特徴の一つは、一つの細部の回転数とこれら回転数の製造機器内の他の細部に対する影響との間の関係である。これは、製造機器の診断情報を容易に得る機会を提供する。したがって、本発明は、製造機器の状態を示すのに使用してもよい。
【0039】
好適な形態においては、距離データは、機械的な物体の表面線の中に在り、該線は、つぎのもの、すなわち、製造機器の加工方向、および、製造機器の加工方向における少なくとも一つの成分を示す方向のうちの一つの中に在る。
【0040】
好適な形態においては、製造機器は、研削、熱間圧延、冷間圧延、旋削、フライス削り、印字、研磨、およびホーニング用の機器のうちの少なくとも一つによって構成されている。
【0041】
好適な形態においては、プロセッサは、さらに、一組の機能偏差を示す周波数を含む周波数マップを構成するよう構成されている。したがって、これは、製造機器が保守あるいは設置される場合に、周波数マップが変更またはセットアップされることを容易にする。
【0042】
ここで、連立方程式の系の一形態を誘導しよう。公式の誘導が、機械的な物体に対して3つの距離ゲージを用いて行なわれるという事実は、その理解を増大するために誘導を簡単化しようとの企てとして理解できる。
【0043】
図1では、3つの距離ゲージ1、3、5を有する機械的な物体が示されている。矢印は、機械的な物体と距離ゲージのセットアップとの間の相対回転を得る方向を示している。その動作が少なくとも半径方向における距離成分を与える3つの距離ゲージ1、3、5を使用して、下記の式を形成することが可能である。
【0044】
【数1】
【0045】
ここで、φ は回転角度を、γ は真円度偏差を、x および y は、軌道の x および y 成分を表す。
【0046】
測定された信号のフーリエ変換を用いて、下記の式に至る。
【0047】
【数2】
【0048】
【数3】
【0049】
および
【0050】
【数4】
【0051】
を得るためには、下記の式を解く必要がある。
【0052】
【数5】
【0053】
ここで、h1、h2、および h3 は、いかなる変数
【0054】
【数6】
【0055】
および
【0056】
【数7】
【0057】
を望むかにより、0または1の値を与える。
例えば、
(h1,h2,h3)=(1,0,0)
では、
【0058】
【数8】
【0059】
となるように、a、b、および c に値が与えられる。
【0060】
同様に、
(h1,h2,h3)=(0,1,0)
では、
【0061】
【数9】
【0062】
が与えられるように、a、b、および c に値が与えられる。
【0063】
同様に、
(h1,h2,h3)=(0,0,1)
では、
【0064】
【数10】
【0065】
が与えられるように、a、b、および c に値が与えられる。
【0066】
以下に上記の式に対する解を示す。
【0067】
【数11】
【0068】
ここで、
【0069】
【数12】
【0070】
解が N(ω) <> 0 となるかどうかを調べるため、下記の式を解く。
【0071】
【数13】
【0072】
解またはゼロは、下記の場合に与えられる。
【0073】
【数14】
【0074】
これは、下記の場合に生ずる。
【0075】
【数15】
【0076】
ここで、k および l は整数である。
【0077】
これは、欠落する第1の周波数は、整数 ω0 が、出来るだけ小さな k および l に対して、下記を満たす場合の周波数 ω0 +/- 1 であることを意味する。
【0078】
【数16】
【0079】
これは、下記の関係式を与える。
【0080】
【数17】
【0081】
γ1 = 135° および γ2 = 210° の場合、これは、(例えば)、k = 14 および l = 9 で、ω0 = 24 となる。したがって、周波数23および25は、欠落する。また、ω0 の整数倍では、同じ式を解き、-23、-25、47、49、-47、-49、71、73などが欠落することが示される。欠落する周波数の数を減らすには、k および l を高くする。
【0082】
γ1 および γ2 が整数の場合、共通の主要なファクターが出来るだけ少なくなるようにそれらを選択することが有利である。ω0 は、下記の公式を用いて直接的に計算してよい。
ω0 = 360/lcd (γ1, γ2, 360)
ここで、lcd は最大の共通除数を意味する。ここでは、(全一円周が360度で構成される)度の表記法が用いられることを指摘すべきである。しかしながら、代わりにラジアンを用いてもよい。
【0083】
本発明の範囲内で角度の取扱いを一般化する場合。一つの円周を角度 g1および g2によって定義された3つの扇形に分割する場合、かつ、A、B、およびCの間に整数関係がある場合(ここで、A、B、およびCには全て、共通の除数(>1)がない)、ω0 = A + B + C である。
【0084】
また、ω0 = 0 が、角度から独立した解を表し、第1のオーダーの限定された真円度が第1のオーダーの並進運動からは識別できないため、周波数 +1 および周波数 -1 が、常に欠落する理由を説明していることに気付くことができよう。γ1 およびγ2 が整数の場合、ω0 = 360 もまた、周波数 +/- 359 および周波数 +/- 361 もまた欠落するに至る解となる。
【0085】
欠落する周波数を取り扱う方法の一つは、ある角度セットアップで欠落する周波数が別のセットアップには存在するよう選択された4つの距離ゲージを用いることである。上記に基づいて、ノイズを低減し、かつ、角度における測定誤差の影響を低減するためには、出来るだけ高い N(ω) のモジュラスを有していることが重要である。複数の角度を有する場合は、全ての周波数に対して最大の N(ω) のモジュラスを有する角度セットアップを選択することが好適である。角度を選択する場合は、全ての角度セットアップを含むセットに、全ての周波数が存在することを保証することが重要である。下記の関係式は、これをチェックするのに役立つ。
【0086】
ω0 = 360/lcd (γ1, γ2, 360)
ここで、lcd は最大の共通除数を意味する。
【0087】
好適な形態においては、プロセッサは、さらに、距離測定角度の品質を示すよう構成されている。距離測定角度の品質は、伝達関数の限界を示す。上記の伝達関数は、欠落する周波数に対応してゼロを与えるため、指示に対するそれらの限定的な影響を知るには、何処にこれらのゼロが存在するかを見出すことが重要であろう。ゼロは、上述のように生ずる。上に示したように角度を選択することによって、ゼロを制御することが可能である。例えば、特にある角度に焦点を当てたり、あるいは、無視したい場合、該角度は、適宜選択してよい。現場で測定する場合、測定条件によっては、ある角度を用いることが、不可能となる場合がある。これは、例えば、ブロックゲージにより、その角度を物理的に測定することができない場合があるからである。用語「現場で」は、ここでは、機械的な物体が、例えば、可能的な作業荷重の下にあるかどうかに関わらず、機械的な物体がその動作環境内に取り付けられている場合に測定が行われることを意味する。これらの場合は、他の角度を用いることが好適であろう。しかしながら、これらの角度は、制御されないやり方で、一つまたはそれ以上のk についてゼロが生ずる結果になり得るというリスクがあり得る。したがって、角度変更の可能性は、本発明の性能を増大する。別法として、表面は、ゼロの影響を制御するために、2つまたはそれ以上の角度セットアップを用いて測定してよい。これは、距離測定角度を変更して、同じ表面で、異なる距離測定角度を用いて、多重測定を行なう機会を提供する。
【0088】
好適な形態においては、プロセッサは、さらに、伝達関数のゼロを考慮して、少なくとも一つの適切な距離測定角度を提案するよう構成されている。したがって、略完全な角度セットアップおよび移動することが好まれるゼロが与えられると、該プロセッサは、距離測定角度の一つまたはそれ以上の代案を生成する。
【0089】
ここで、連立方程式の系の第2の実施形態を誘導しよう。公式の誘導が、機械的な物体に対して3つの距離ゲージを用いて行なわれるという事実は、その理解を増大するために誘導を簡単化しようとの企てとして理解できる。この好適な実施形態においては、プロセッサは、下記の式に基づいて偏差プロファイル R を生成するよう構成されている。
【0090】
AR = G
ここで、
A は、距離測定角度に基づいたマトリックスであり、
R は、偏差プロファイルを含むベクトルであり、
G は、距離データセットを含むマトリックスである。
【0091】
ベクトル R は、機械的な物体の公称寸法上円形の表面からの偏差および2次元の軌道に関する蓄積されたデータを含んでいる。マトリックスの形態のRの別の表示があり、それを以下に用いる。
【0092】
転動体軸受のリングまたはローラなど、いくつかの小さな形状欠陥を有する公称寸法上円形の物体を考える。この例は、外面に関するものであるが、該発明は、内面に適用してよい。円形形状の偏差は、例えば、LSQの意味でのベストフィットサークルからの局部偏差を用いて記述できる。この状況は、図1に記述されている。真円度からの偏差を記述する実用的な方法の一つは、構成要素の周りの等間隔の角度増分での偏差に注目することである。これが N個の等間隔の角度位置で行われた場合、非限定かつ実用的な表記法の一つは、N個の要素を有する縦ベクトルにおける順序で、全ての局部偏差を収集することである。そのような構成要素の真円度偏差を測定することが要求された場合、恐らくは、何らかの並進運動が重畳された状態で、構成要素と測定装置との間の相対回転が達成可能なように、構成要素は機械的に配置される。構成要素表面の位置は、ある種の角度で位置決めされたk個のゲージを用いて測定される。ゲージ番号 i は、角度位置 γ1 を有している。
【0093】
相対回転が達成されるにつれて、k個のゲージ全てが等しい角度増分で読み取られる。一回転は、N個の等しい角度増分に分割される。指示値は、要素Gmn がゲージ番号 nの指示値番号 mを表すマトリックス G に記憶される。指示値は、真円度偏差ばかりでなく、有り得る重畳された並進運動、すなわち、軌道にも依存することになる。構成要素の並進運動は、真円度偏差ベクトルに類似した2つのベクトルを用いて記述できる。第1のベクトルは、構成要素の測定された部分に対する、ベストフィットサークルの中心のサンプリングの順序における x 方向の位置からなる。第2のベクトルは、同じやり方で y 方向を表す。
【0094】
真円度偏差と x および y 方向における並進運動、すなわち、軌道との組み合わされたデータは、機械的な物体の公称寸法上円形の表面からの偏差および2次元の軌道についての蓄積されたデータを含む結果ベクトルRである。 Rpq は、角度増分番号 p に属するデータを表す。q = 0 は、真円度偏差を表し、q = 1 は、並進運動のx成分を表し、q = 2 は、並進運動の y 成分を表す。
【0095】
ここで、測定から構成要素の真円度偏差および並進運動の両方を決定することが、どのように可能であるかについて記述する。これは、上記のマトリックス G の中のゲージデータから、上記のマトリックスRを決定することと同じである。測定セットアップの形状(線形近似を可能にする円形形状からの小さな偏差を仮定する)から、測定誤差の不在下では、下記が真であることは明らかである。
【0096】
Gm,n= Rmod (m+an, N),0 + Rm,1cosαn + Rm,2sinαn (I)
ここで、an は、an を表す。角度 αは、下記の式の中の an が整数であるよう選択されるべきである。
【0097】
2πan = Nαn
上記の式 (I) を標準形で書き直すと、下記のようになる。
【0098】
Ax = b (II)
ここで、A は、マトリックスであり、x および b は、共に縦ベクトルである。マトリックス R は x でマップされており、我々のマトリックス G は、b でマップされている。マトリックスA は、低密度であろう。1行当たり3つの要素のみが非ゼロであろう。A の行インデクスが t である場合、我々は、A の非ゼロ要素を下記の式で定義する。
【0099】
At, mod(mod(t,N)+afloor(t/N), N) = 1
At,N+mod(t, N) = cos αfloor(t/N)
At,2N+mod(t, N) = sin αfloor(t/N)
ここで、afloor (t/N) は、afloor(t/N)を表す。
【0100】
mod(x,y) とは、x を y で除した場合の剰余を意味し、floor(x) とは、x より小さいか、あるいは x に等しい最大の整数を意味する。
【0101】
マトリックス A は、次数 kN x 3N のものとなろう。k > 3 の場合、この系は、明らかに過決定となり、自然な方法は、それを最小2乗の意味で解くことである。そのような場合に冗長度を有する利点は、誤差推定値を定義できることである。マトリックス A は、数値上の観点から、ケースバイケースで、不安定となり、マトリックス A を解く際の数値上の問題となる場合があることを指摘しておかねばならない。
【0102】
ここで、機械的な物体の公称寸法上円形の表面の軌道、および、公称寸法上円形の表面からの偏差の少なくとも一方を示す第3の実施形態を誘導しよう。公式の誘導が、機械的な物体に対する3つの距離ゲージを用いて行なわれるという事実は、その理解を増大するために誘導を簡単化しようとの企てとして理解できる。好適な実施形態においては、プロセッサは、距離データセットが3つの距離を含んでいる場合、下記の式に基づいて偏差プロファイル Rを生成するよう構成されている。
【0103】
kr = R
ここで、r は、距離ゲージ i (i=1...3) によって読み取られる距離である ri を含むベクトルであり、k は、重み ki (i=1...3) を含むベクトルである。
【0104】
ここで、図1を再び参照すると、3つの距離ゲージ1、3、5を有する機械的な物体が示されている。その動作が少なくとも半径方向における距離成分を与える3つの距離ゲージ1、3、5を用いて、下記の線形組合せの不変量を形成することが可能である。
【0105】
I = kr= (k1, k2, k3)(r1, r2, r3)= k1r1 + k2r2 + k3r3 (F1)
ここで、ri は、該距離ゲージ番号 i (i=1...3) によって測定され、かつ、指示された距離であり、ki (i=1...3) は、対応する重みファクターである。
【0106】
ここで、上記の線形組合せは、機械的な物体7のいかなる剛体運動の下でも不変の公式を形成するよう設計されてよいことを示す。該開示の理解を増大するために、用語「不変」は、剛体移動の下で不変である、と解釈されるべきである。
【0107】
図2では、公称寸法上の円形形状からの拡大された偏差を有する機械的な物体7のプロットが示されている。機械的な物体が x 方向には ξ、および y 方向には η 変位すると仮定すると、3つの距離ゲージ1、3、5は、それぞれ、下記の変化を示すであろう。
【0108】
・ 距離ゲージ1: ξ+η (F2)
・ 距離ゲージ3: ξsin(γ1)+ηcos(γ1) (F3)
・ 距離ゲージ5: ξsin(γ2)+ηcos(γ2) (F4)
これは、上に示した不変量に対して下記の影響を及ぼすことになる。
【0109】
I = (k1, k2,k3)(ξ+η,ξsin(γ1)+ηcos(γ1),ξsin(γ2)+ηcos(γ2)) (F5)
ξおよび η に関わらず、上記の式が等しくゼロであるよう (k1,k2,k3) が選択された場合、上記の式は不変である。これは、上記の F5 から容易に誘導される下記の式に至る。
【0110】
k2sin(γ1) + k3sin(γ2) = 0
k2cos(γ1) + k3cos(γ2) = -k1
一般性を失うことなく、重みの一つ、例えば k1 を、1に設定することが可能である。
【0111】
これは、不変量を維持するための k2 および k3 の下記の必要条件に至る。
【0112】
k1 = 1、
k2 = sin(β)/sin(γ1-γ2)、かつ
k3 = -sin(γ1)/sin(γ1-γ2)
ここで、γ1 が 3PI/4 に設定され、γ2 が 7PI/6に設定されるよう角度を選択すると、下記の重みファクター ki (i=1...3) のセットに至る。
【0113】
k1 = 1、
k2 =√2/(1+√3)、かつ
k3 = 2/(1+√3)
他の角度でも一つの結果が得られることは、指摘すべきである。しかしながら、これらの角度は、スペクトルのゼロを制御する良好な機会に至る。
【0114】
ここで位相および振幅コレクタを使用すると、一般性を失うことなく、機械的な物体7の形状(真円度)は、次のように書いてよい。
【0115】
∞
r(φ) = Σ rkcos[k(φ+γk)]
k=0
さらに、一般性を失うことなく、前述の不変量の存在のおかげで、これは、第1の距離ゲージ1の位置における有り得る指示値であってもよい。第2および第3の距離ゲージ3、5に対しては、下記の指示値が適用される。
【0116】
∞
r(φ+γ1)=Σ rkcos[k(φ+γk+γ1)]、かつ
k=0
∞
r(φ+γ2) = Σ rkcos[k(φ+γk+β)]
k=0
重みファクター ki (i=1..3)、例えば、k1 = 1、k2 =√2/(1+√3)、および k3 = 2/(1+√3) を用いて、下に示すように、上記の式(F1)の不変量を形成することが可能である。これは、異なる位相角度および振幅を有するコサインの和でもある。各 k に対して、各項は、下記の形態で書いてよい。
【0117】
Acos[k(φ+γk)] - Bsin[k(φ+γk)] = Ccos[k(φ+γk)+δk]
ここで、
A = 1 +k2cos(iγ1) + k3cos(iγ2)、
B = k2sin(iγ1) + k3sin(iγ2)、かつ
C = √(A2 + B2)
これらの公式は、実際、機械的な物体7の真の真円度を反映するよう不変量を補正する方法を定義する。これは、不変量およびその前提条件の誘導を結論付ける。
【0118】
好適な形態においては、プロセッサは、さらに、距離測定角度の品質を示すよう構成されている。距離測定角度の品質は、伝達関数の限界を示す。上記の伝達関数はゼロを与えるため、指示に対するそれらの限定的な影響を知るために、何処にこれらのゼロが存在するかを見出すことが重要であろう。上に定義した C がゼロの場合、ゼロが生ずる。 C がゼロに等しい場合、下記の式によって支配される。
【0119】
0 = (1+ k2cos(iγ1) + k3cos(iγ2))2 + (k2sin(iγ1) + k3sin(iγ2))2
γ1、γ2、または ki を選択することによって、ゼロを制御することが可能である。例えば、特にある角度に焦点を当てたり、あるいは、無視したい場合、角度 γ1、 γ2、および ki は、適宜選択してよい。現場で測定する場合、測定条件によっては、γ1 およびγ2 に対してある角度を用いることが、不可能となる場合がある。これは、例えば、ブロックゲージにより、その角度を物理的に測定することができない場合があるからである。これらの場合は、他の角度を用いることが好適であろう。しかしながら、これらの角度は、制御されないやり方で、一つまたはそれ以上の k についてゼロが生ずる結果になり得るというリスクがあり得る。したがって、角度変更の可能性は、本発明の性能を増大する。別法として、表面は、ゼロの影響を制御するために、2つまたはそれ以上の角度セットアップを用いて測定してよい。これは、距離測定角度を変更して、同じ表面で、異なる距離測定角度を用いて、多重測定を行なう機会を提供する。上に示した非限定例では、k が1の場合、および k が23の場合、ゼロが生ずる。
【0120】
ここで、機械部品の軌道に戻ると、それは、距離ゲージデータと真円度の逆フーリエ変換との間の差、あるいは、より形式的に書くと、下記の式を計算することによって、推論することができる。
【0121】
機械部品の軌道 ÷ 距離ゲージデータ - 逆フーリエ変換(機械部品の真円度)
この形態は、厳しい環境に適しているが、それらに限定されない、装置を提供する。また、該装置は、リアルタイムに、軌道および真円度の少なくとも一方を示す装置として実施できる。該装置は、アナログ電子装置を用いて実施されてもよい。これは、より低い製造コスト、および、可能的に、偏差プロファイルを生成するためのより低い時間に至ることにもなる。
【0122】
好適な形態においては、プロセッサは、さらに、上に示したように、距離データセットと距離測定角度に関連付けられた重みとの線形組合せを形成する工程を含めて、偏差プロファイルを生成するよう構成されている。
【0123】
本発明の第3のアスペクトによれば、機械的な物体の公称寸法上円形の表面の軌道、および、公称寸法上円形の表面からの偏差の少なくとも一方を示す方法が提供され、該方法は、下記の工程を含んでいる。すなわち、
- 公称寸法上円形の表面をカバーする距離データセットに基づいて偏差プロファイルを生成する工程であって、各距離データセットは、回転方向で測定された公称寸法上円形の表面までの少なくとも3つの距離を含み、かつ、角度に関連付けられており、該少なくとも3つの距離は、距離測定角度で測定されたものである工程、および
- 偏差プロファイルを示す工程。
【0124】
このアスペクトの特徴は、第1のアスペクトの特徴との類似性を有する。したがって、上記に対する参照が行われる。
【0125】
好適な形態においては、該方法は、さらに、距離データセットおよび距離測定角度を含む連立方程式の系を解くことによって偏差プロファイルを生成する工程を含んでいる。
【0126】
好適な実施形態においては、該方法は、さらに、偏差プロファイルをフーリエ変換する工程を含んでいる。
【0127】
好適な形態においては、公称寸法上円形の表面は、技術的表面である。
【0128】
第4のアスペクトによれば、公称寸法上円形の表面の品質を示す方法が開示されている。公称寸法上円形の表面を有する製品の非限定例には、主軸、軸受表面、およびギヤボックスを含む、工作機械の主軸が含まれている。工程の非限定例には、研削(例えば、ボールまたはローラの研削)、熱間圧延、冷間圧延、旋削、フライス削り、印字、研磨、およびホーニングが含まれている。このアスペクトの特徴は、第2のアスペクトの特徴との類似性を有する。したがって、上記に対する参照が行われる。
【0129】
好適な実施形態においては、該方法は、さらに、偏差プロファイルのフーリエ変換と少なくとも一つの機能偏差を示す周波数との間の対応に基づいて、表面を加工した製造機器の一つまたはそれ以上の細部の機能偏差を示す工程を含んでいる。この実施形態の特徴は、上記の一形態の特徴との類似性を有する。したがって、上記に対する参照が行われる。
【0130】
好適な形態においては、製造機器は、研削、熱間圧延、冷間圧延、旋削、フライス削り、印字、研磨、およびホーニング用の機器のうちの少なくとも一つによって構成されている。
【0131】
好適な形態においては、距離データは、機械的な物体の表面線の中に在り、該線は、次のもの、すなわち、製造機器の加工方向、および、製造機器の加工方向における少なくとも一つの成分を示す方向のうちの一つの中に在る。
【0132】
好適な形態においては、該方法は、さらに、一組の機能偏差を示す周波数を含む周波数マップを構成する工程を含んでいる。
【0133】
好適な形態においては、該方法は、さらに、距離測定角度の品質を指示する工程を含んでいる。この形態の特徴は、上記の一形態の特徴との類似性を有する。したがって、上記に対する参照が行われる。
【0134】
好適な形態においては、該方法は、さらに、上記に従って、距離測定角度に関連付けられた重みを計算する工程を含んでいる。
【0135】
好適な形態においては、距離測定角度は、
3PI/4、0(すなわち、ゼロ)、および 7PI/6 であり、重みは、それぞれ、k1 = √2/(1+√3)、k2 = 1、および k3= 2/(1+√3) である。
【0136】
好適な形態においては、該方法は、さらに、上に示したように、距離データセットが3つより多い距離を含んでいる場合、測定誤差限界を推定する工程を含んでいる。
【0137】
本発明の第5のアスペクトによれば、コンピュータの内部メモリにロードできるコンピュータプログラム製品が開示されている。該コンピュータプログラム製品は、コンピュータ上で実行された場合、好適な方法の形態の少なくとも一つを行なうためのソフトウェアコード部分を含んでいる。
【0138】
本発明の第6のアスペクトによれば、上記のコンピュータプログラム製品を含むキャリヤが開示されている。
【0139】
本発明の第7のアスペクトによれば、上記の第1のアスペクトによる装置に使用可能な、上に定義したような、距離データを含む記憶手段が開示されている。該記憶手段は、回転方向で測定され、角度に関連付けられ、かつ、距離測定角度で測定された、公称寸法上円形の表面までの少なくとも3つの距離のセットを含んでいる。これは、距離の測定はある場所で行ってよく、かつ、それによって得られたデータの処理は別の場所でその後に実行してよい、という利点を提供する。好適な形態においては、記憶手段は、さらに、上述のように、距離測定角度に関連付けられた重みを含んでいてよい。
【0140】
第8のアスペクトによれば、機械的な物体の公称寸法上円形の表面の軌道、および、公称寸法上円形の表面からの偏差の少なくとも一方を示す装置への入力として使用される距離データセットを測定する装置が提供され、該装置は、エンコーダおよび回転方向において少なくとも3つの距離を測定するための少なくとも3つの距離ゲージを含む距離測定装置を含み、各距離データセットは、該公称寸法上円形の表面までの、かつ、角度に関連付けられた少なくとも3つの距離を含み、該少なくとも3つの距離は、距離測定角度で測定されたものである。
【0141】
好適な形態においては、距離測定装置は、支持フレームによって構成されており、該少なくとも3つの距離ゲージは、距離測定角度に対して、該支持フレームに配置されている。
【0142】
好適な形態においては、距離測定装置は、それぞれが少なくとも一つの距離ゲージを有している、独立した支持要素によって構成されている。
【0143】
好適な形態においては、距離測定装置は、さらに、少なくとも3つの距離ゲージによって測定された距離を変換するための少なくとも一つのA/Dコンバータを含んでいる。
【0144】
好適な形態においては、該装置は、さらに、距離データセットを記憶するための記憶手段を含んでいる。
【0145】
好適な形態においては、該装置は、さらに、ポータブルメディア上に距離データセットを記憶するための手段を含んでいる。
【0146】
好適な形態においては、該装置は、さらに、第1のアスペクトによる装置に距離データセットを通信するための通信機能を含んでいる。
【0147】
好適な形態においては、該装置は、さらに、距離測定角度に関連付けられた重みを含んでいる。
【0148】
本発明の非限定的な用途には、うねり測定装置、工作機械の主軸、製紙工場内のロール、および製鋼工場内のロールの調査が含まれている。
【発明の効果】
【0149】
本発明は、使用が容易、迅速、頑丈で、上記の課題を解くためのフレキシブルな機会を提供するものである。本発明は、測定されるべき表面が部分的にブロックされているため、あるいは、物体が大きすぎるため、アクセスが困難な表面を含む状況で、有利に使用することができる。また、本発明は、たとえ機械的な物体が軌道移動を行なう場合でも、機械的な物体の真円度を測定する機会を提供するものであり、これは、該発明が、軌道の移動と表面真円度を分離できることによって達成される。軌道の移動をx成分とy成分に分割することさえ可能である。別の利点は、必要な測定がただ一回の測定で達成されることである。測定後に、次のうちの何を示すべきか、すなわち、機械的な物体の軌道、公称寸法上円形の表面からの偏差、あるいはその両方の組合せのうちの何を示すべきか、を決定することが可能である。これが可能なのは、一度データが得られると、該データを一回または多数回使用して、機械的な物体の軌道、公称寸法上円形の表面からの偏差、あるいはその両方の組合せを示すことが可能だからである。さらに、その作業は労働集約的ではない。別の利点は、その構成要素のコストが合理的に低いため、安価なことである。別の利点は、機械的な物体の公称寸法上円形の表面からの偏差は、製品の品質を示すのに使用してよいことである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0150】
図3では、機械的な物体の公称寸法上円形の表面の軌道、および、公称寸法上円形の表面からの偏差の少なくとも一方を含む偏差プロファイルを示す装置の概略図が示されている。該装置は、プロセッサおよび出力手段を含んでいる。該装置は、プロセッサ9、メモリ11、および出力手段13を含んでいる。一実施形態では、該装置は、ハードウェアの観点から、汎用コンピュータによって構成されている。該装置は、距離データを受信するため、バス17またはインターネット19に、通信機能15を使用して接続されてよい。通信機能15は、偏差プロファイル21を遠隔的に示すのに使用されてよい。別法として、該装置は、距離データを取り扱うための、かつ(あるいは)、偏差プロファイル21の指示を取り扱うための、可動メディア受信手段を備えている。
【0151】
表1では、距離データの一例、およびその測定角度 φ との関係が示されている。測定角度 φは、機械的な物体7の周りの全一回転に亘る。
【0152】
【数18】
【0153】
<表1>角度φに対して3つの距離ゲージによって測定された距離データの概略的な表示。
【0154】
プロセッサ9は、公称寸法上円形の表面をカバーする距離データセットに基づいて偏差プロファイル21を生成するよう構成されており、各距離データセットは、公称寸法上円形の表面までの、かつ、角度に関連付けられた少なくとも3つの距離を含み、該少なくとも3つの距離は、距離測定角度で測定され、かつ、回転方向で測定されたものであり、また、出力手段を用いて偏差プロファイル21を示すよう構成されている。これは、図4に概略的に示されている。図4のボックスは、「重みを指示すること」が上記の一実施形態で行なわれるため、点線で示されている。
【0155】
好適な実施形態においては、該装置は、公称寸法上円形の表面の品質を示すのに使用される。図5では、そこから公称寸法上円形の表面の品質についての情報を得ることが可能な、偏差プロファイル21の周波数表示の一例が示されている。周波数表示のピークは、例えば、低品質を示す場合がある。別法として、偏差プロファイルは、そのようなものとして、すなわち、フーリエ変換なしに、公称寸法上円形の表面の品質を示すための十分な情報を提供できる。
【0156】
好適な実施形態においては、該装置は、少なくとも3つの距離を測定するための少なくとも3つの距離ゲージを含む距離測定装置23を含んでいる。距離測定装置23は、例えば、有線、赤外線、または無線によって、該装置に関連付けられている。図6Aでは、距離を測定するための概略的なセットアップが示されている。この実施形態においては、真円度および(または)軌道移動の点で調査されるべき、リングまたはパイプなどの機械的な物体7の内側に対して概略的に指向された3つの距離ゲージ1、3、5がある。3つの距離ゲージ1、3、5の角度アラインメントは、選択された距離測定角度に従って行なわれる。図6Bでは、真円度および(または)軌道移動の点で調査されるべき機械的な物体7(すなわち、この実施形態では軸)の外側に対して概略的に指向された3つの距離ゲージ1、3、5が有る、一実施形態が示されている。
【0157】
図7では、距離測定装置23の好適な実施形態が示されている。それらは、支持フレーム25によって構成されており、少なくとも3つの距離ゲージ1、3、5は、距離測定角度に対して、該支持フレームに配置されている。機械的な物体7は、測定工程において全一回転、回転してよい。好適な実施形態においては、距離ゲージ1、3、5は、現場で測定する際の変通性を増大するために、支持フレーム25上のそれらの場所を変更できるような手段を有している。これら実施形態の一つにおいては、距離ゲージ1、3、5が取り付けられている支持フレーム25は、機械的な物体7の周りを回転させられる。これら実施形態の一つにおいては、距離測定装置23は、それぞれが少なくとも一つの距離ゲージを有している、独立した支持要素27によって構成されている。
【0158】
好適な実施形態においては、該装置は、図7に示すように、一つまたはそれ以上の距離測定装置23、25を含んでよい。
【0159】
好適な実施形態においては、距離測定装置23は、さらに、少なくとも3つの距離ゲージ1、3、5によって測定された距離を変換するための少なくとも一つのA/Dコンバータ31を含んでいる。
【0160】
好適な実施形態においては、距離測定装置23は、さらに、エンコーダ33を含んでいる。
【0161】
好適な実施形態においては、プロセッサ9は、さらに、機械的な物体7の表面を加工する際に含まれた、製造機器の一つまたはそれ以上の細部の機能偏差を、出力手段13を用いて示すよう構成されている。指示は、偏差プロファイル21のフーリエ変換と少なくとも一つの機能偏差を示す周波数との間の対応に基づいている。機械的な物体7の表面は、製造機器の加工方向において、あるいは、製造機器の加工方向における少なくとも一成分を示す方向において測定される。図8では、製造機器の一つまたはそれ以上の細部の機能偏差の一例が示されている。
【0162】
図8に示された情報から、ユーザは、製造機器内に、言い換えれば、ベルトA 35内に生じた、機械的な物体7に影響している機能偏差の存在があるという結論を導き出すことができる。したがって、ベルトA 35は、保守が必要である。ベルトB 37は、より頻繁に監視されるべきであり、ベルトC 39は、良いように見える。
【0163】
好適な実施形態においては、プロセッサ9は、さらに、一組の機能偏差を示す周波数を含む周波数マップを構成するよう、すなわち、周波数マップに含まれている一組の機能偏差周波数を修正するよう構成されている。
【0164】
図9Aでは、距離測定角度の品質を構成し、かつ、示す処理の一実施形態が示されている。第1の処理は、下記のステップを含んでいる。
【0165】
1. 角度を入力する
2. 重みの一つを入力する
3. 残りの重みを計算する
4. 伝達関数のゼロを見出す
5. ゼロの場所はOK?
6. OKなら、表面の測定に着手する
別法として、重みを入力する必要性は、プロセッサが重みの一つを自動的に設定することによって排除してよい、すなわち、上記の第2のステップは、不要にしてよい。すなわち、重みの一つは、プリセットするか、あるいは、ランダムに設定してよいことになる。
【0166】
図9Bでは、複数の重みが生成されることになる方法の一実施形態が示されている。この方法は、下記のステップを含んでいる。
【0167】
1. 角度を入力する
2. 複数の重みセットを生成する
3. 重みセットを含む伝達関数のゼロを見出す
4. ゼロのOKの場所を示す伝達関数のユーザー選択を促す
5. 必要ならステップ1またはステップ2に行く
5. 表面の測定に着手する
図10では、伝達関数のゼロの場所の一例が示されている。この例では、k が23または25の場合、ゼロが生ずる。
【0168】
好適な実施形態においては、リングまたは軸などの機械的な物体7の公称寸法上円形の表面の軌道、および、公称寸法上円形の表面からの偏差の少なくとも一方が指示され、かつ、方法のパラメータ(角度および重みが必要な場合には重み)が設定された場合、表面測定工程は、距離ゲージ1、3、5と機械的な物体7との間の相対回転によって開始される。距離測定は、3つの信号(各距離ゲージから一つ)となる。
【0169】
図11では、距離測定工程からの、3つのノイズの無い信号(距離ゲージの数が3である場合、各距離ゲージから一つ)の例が示されている。この距離データは、機械的な物体の真円度および機械的な物体7の軌道の少なくとも一方を計算する異なる方法を示す場合に使用する。図12A、図12B、図12Cでは、図11の3つのノイズの無い信号の例の真円度プロファイルの例が示されている。図13A、図13B、図13Cでは、図11の3つのノイズの無い信号の例の軌道の例が示されている。
【0170】
図12Aおよび図13Aでは、偏差プロファイル23(この場合、真円度および軌道)の生成は、下記の式(3つの距離を含む距離データセット)を基にした。
【0171】
【数19】
【0172】
図12Bおよび図13Bでは、偏差プロファイル23(この場合、真円度および軌道)の生成は、下記の式(3つの距離を含む距離データセット)を基にした。
【0173】
kr = R
ここで、r は、距離ゲージi (i=1...3) によって読み取られる距離である ri を含むベクトルであり、k は、重みki (i=1...3) を含むベクトルである。
【0174】
図12Cおよび図13Cでは、偏差プロファイル23(この場合、真円度および軌道)の生成は、下記の式(3つの距離を含む距離データセット)を基にした。
【0175】
AR = G
図14では、距離測定工程からの、3つのノイズを有する信号(距離ゲージの数が3である場合、各距離ゲージから一つ)の例が示されている。図15A、図15B、図15Cでは、図14の3つのノイズを有する信号の例の真円度プロファイルの例が示されている。図16A、図16B、図16Cでは、図14の3つのノイズの無い信号の対応する例の軌道の例が示されている。
【0176】
図15Aおよび図16Aでは、偏差プロファイル23(この場合、真円度および軌道)の生成は、下記の式(3つの距離を含む距離データセット)を基にした。
【0177】
【数20】
【0178】
図15Bおよび図16Bでは、偏差プロファイル23(この場合、真円度および軌道)の生成は、下記の式(3つの距離を含む距離データセット)を基にした。
【0179】
kr = R
ここで、rは、距離ゲージi (i=1...3) によって読み取られる距離である ri を含むベクトルであり、k は、重み ki (i=1...3) を含むベクトルである。
【0180】
図15Cおよび図16Cでは、偏差プロファイル23(この場合、真円度および軌道)の生成は、下記の式(3つの距離を含む距離データセット)を基にした。
【0181】
AR = G
好適な実施形態においては、距離測定の結果として生成される距離データまたは距離データセットが、4つ以上の距離を含んでいる場合、プロセッサ9は、測定誤差限界を推定するよう構成されている。
【0182】
機械的な物体7の公称寸法上円形の表面の軌道、および、公称寸法上円形の表面からの偏差の少なくとも一つを示す装置への入力として使用される距離データセットを測定する装置の好適な実施形態において、該装置は、プロセッサ9および出力手段11を含み、かつ、プロセッサ9は、公称寸法上円形の表面をカバーする距離データセットに基づいて偏差プロファイル23を生成するよう構成されており、各距離データセットは、公称寸法上円形の表面までの、かつ、角度に関係付けられた少なくとも3つの距離を含み、該少なくとも3つの距離は、距離測定角度において測定されたものであり、かつ、該距離測定角度に関係付けられた重みを含み、かつ、該出力手段を用いて偏差プロファイル23を示す装置の好適な実施形態を以下に示す。距離データセットを測定する装置は、エンコーダ33、および、少なくとも3つの距離を測定するための少なくとも3つの距離ゲージ1,3,5を含む距離測定装置23、を含んでおり、各距離データセットは、公称寸法上円形の表面までの、かつ、角度に関係付けられた該少なくとも3つの距離を含んでおり、かつ、該少なくとも3つの距離は、距離測定角度で測定されたものである。
【0183】
図17には、3つの距離ゲージ1,3,5を含む距離測定装置23が示されており、該距離ゲージは、ただ一つの支持フレーム25に取り付けられている。測定中、機械的な物体7は、回転させられる。支持フレーム25の物体は、伸縮自在の機能を与えるなど、伸張/収縮手段を有していてよく、これは、図17において、矢印で示してある。また、支持フレーム25には、好適な角度位置に継手手段41を固定することを可能にする距離ゲージを設けてよい。
【0184】
また、支持フレーム25には、図18に示すように、支持フレームに対して、自由に設置可能なサブシステム距離測定装置23を設けてよく、これは、厳しい測定環境を与える場所で現場測定する場合に好適であるかもしれない。別の実施形態では、支持フレーム25は、図19に示すように、測定される表面の形状に似ていてよく、同図には、機械的な物体7の測定経路を少なくとも部分的に包含する装置によって構成された支持フレーム25の実施形態が、示されている。一実施形態では、それは、例えば、機械に固定されるなど、定置であってよい。
【0185】
図20には、測定される機械的な物体7が、回転され、かつ、測定装置が、定置位置に保持される支持フレーム25の実施形態が、示されている。距離測定装置23は、距離測定装置23に固定された多数の距離ゲージ1,3,5を有している。支持フレーム25は、距離測定装置23の回転を可能にする手段43を含んでいる。
【0186】
一実施形態では、距離ゲージ1,3,5は、距離測定装置23に対して、例えば、距離測定角度による角度の点で、着脱可能に固定できる。
【0187】
一実施形態では、装置は、少なくとも3つの距離ゲージ1,3,5により測定された距離を変換するための少なくとも一つのA/Dコンバータ31を含んでいる。
【0188】
一実施形態では、装置は、距離データセット、または距離データを記憶するための記憶手段を含んでいる。
【0189】
一実施形態では、装置は、距離データセット、または距離データをポータブルなメディア上に記憶するための手段を含んでいる。
【0190】
一実施形態では、装置は、機械的な物体の公称寸法上円形の表面の軌道、および、公称寸法上円形の表面からの偏差 の少なくとも一つを示す装置に距離データセットを通信するための通信機能を含んでいる。一実施形態では、装置は、距離測定角度に関係付けられた重みを含んでいる。
【0191】
一実施形態では、装置は、機械的な物体7が、ねじ部45、例えば、ねじを有する物体である場合に、偏差プロファイルを生成するため使用されてよい。図21に、この実施形態の奥にある原理を概略的に示す。図21において、矢印は、距離測定方向を示す。3つの距離ゲージ1,3,5が、ネジ部45に沿って、適当な距離測定角度で、配置され、ネジ部45の表面までの距離が読み取られる。そして、その後、距離データが、上述のように処理されて、偏差プロファイル21に至る。
【0192】
図22には、機械的な物体7が、ねじ部45、例えば、ねじを有する物体である場合の、ハードウェア志向の実施形態が示されている。図22には、距離ゲージ1,3,5が、配置されたフレーム25を保持する保持手段47が示されている。保持手段47は、ネジ部45に対して、フレームをスライド可能にするスライド49に配置されている。フレーム25とネジ部45との間の相対運動を成し遂げるためには、ネジ部45とフレーム25の少なくとも一方を回転させる。これは、矢印で示されている。
【0193】
図23に示した一実施形態においては、ネジ部45を有する機械的な物体7が、フレーム25の移動を制御するのに使用される、すなわち、ネジ部45は、スライド49の代わりを為してよい。フレーム25を回転させることによって、距離ゲージ1,3,5は、後で偏差プロファイル21を生成するための距離を読み取る。
【図面の簡単な説明】
【0194】
【図1】3つの距離ゲージを有する機械的な物体が示されている。
【図2】公称寸法上の円形形状からの拡大された偏差を有する機械的な物体のプロットが示されている。
【図3】コンテクスチュアルなハードウェア構成の多数の実施形態が概略的に示されている。
【図4】本発明の方法を示すフローチャートの一実施形態が示されている。
【図5】偏差プロファイルの周波数表示の一例が示されている。
【図6A】機械的な物体の内側に対して距離を測定するための概略的なセットアップの一実施形態が示されている。
【図6B】機械的な物体の外側に対して距離を測定するための概略的なセットアップの一実施形態が示されている。
【図7】距離測定装置の好適な実施形態が示されている。
【図8】製造機器の一つまたはそれ以上の細部の機能偏差の概略的な例が示されている。
【図9A】重みを使用する場合に、距離測定角度の品質を構成し、かつ、示すためのアルゴリズムの一実施形態が示されている。
【図9B】重みを使用しない場合に、距離測定角度の品質を構成し、かつ、示すためのアルゴリズムの一実施形態が示されている。
【図10】伝達関数のゼロの場所の一例が示されている。
【図11】距離測定工程からの、3つのノイズの無い信号(距離ゲージの数が3である場合、各距離ゲージから一つ)の例が示されている。
【図12A】図11の3つのノイズの無い信号の例の真円度プロファイルの例が示されている。
【図12B】図11の3つのノイズの無い信号の例の真円度プロファイルの例が示されている。
【図12C】図11の3つのノイズの無い信号の例の真円度プロファイルの例が示されている。
【図13A】図11の3つのノイズの無い信号の例の軌道の例が示されている。
【図13B】図11の3つのノイズの無い信号の例の軌道の例が示されている。
【図13C】図11の3つのノイズの無い信号の例の軌道の例が示されている。
【図14】距離測定工程からの、3つのノイズを有する信号(距離ゲージの数が3である場合、各距離ゲージから一つ)の例が示されている。
【図15A】図14の3つのノイズを有する信号の例の真円度プロファイルの例が示されている。
【図15B】図14の3つのノイズを有する信号の例の真円度プロファイルの例が示されている。
【図15C】図14の3つのノイズを有する信号の例の真円度プロファイルの例が示されている。
【図16A】図14の3つのノイズの無い信号の例の軌道の例が示されている。
【図16B】図14の3つのノイズの無い信号の例の軌道の例が示されている。
【図16C】図14の3つのノイズの無い信号の例の軌道の例が示されている。
【図17】では、距離ゲージが、ただ一つの支持フレームに取り付けられている、3つの距離ゲージを含む距離測定装置の一実施形態が示されている。
【図18】では、支持フレームの一実施形態は、より小さく、かつ、機械的な物体に接続されて適当に配置された、多数のサブ支持フレームによって構成されている。
【図19】では、支持フレームの一実施形態は、機械的な物体の測定経路を少なくとも部分的に包含する装置によって構成されている。
【図20】では、支持フレームが、測定されるべき機械的な物体の表面の周りに回動可能である距離測定装置を有している、一実施形態が示されている。
【図21】では、機械的な物体が、ねじ部を有する物体(例えば、ねじ)である、一実施形態が、概略的に示されている。
【図22】では、機械的な物体が、ねじ部を有する物体(例えば、ねじ)である場合の、ハードウェア志向の実施形態が示されている。
【図23】では、一実施形態では、ねじ自体が、フレームの移動を制御するのに使用される。
【符号の説明】
【0195】
1 距離ゲージ
3 距離ゲージ
5 距離ゲージ
7 物体
9 プロセッサ
11 出力手段
13 出力手段
21 偏差プロファイル
23 距離測定装置
25 支持フレーム
27 支持要素
31 A/Dコンバータ
33 エンコーダ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械的な物体(7)の公称寸法上円形の表面の軌道、および、公称寸法上円形の表面からの偏差の少なくとも一つを示す装置であって、該装置が、プロセッサ(9)と出力手段(11)とを含む装置において、
該プロセッサは、
- 該公称寸法上円形の表面をカバーする距離データセットに基づいて偏差プロファイル(21)を生成し、各距離データセットは、回転方向で測定された、該公称寸法上円形の表面までの、かつ、角度に関係付けられた少なくとも3つの距離を含み、該少なくとも3つの距離は、距離測定角度で測定されたものであり、
- 該出力手段(13)を用いて該偏差プロファイルを示す、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
プロセッサ(9)は、さらに、
- 距離データセットおよび距離測定角度を含む連立方程式の系を解くことによって、偏差プロファイル(21)を生成する、
こととする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
プロセッサ(9)は、さらに、
- 距離データセットと距離測定角度に関係付けられた重みとの線形組合せを含む偏差プロファイル(21)を生成する、
こととする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
プロセッサ(9)は、さらに、
- 偏差プロファイルをフーリエ変換する、
こととする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
プロセッサ(9)は、さらに,該距離測定角度の品質を示すように構成されていることとする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
距離データセットが、3つより多いの距離を含んでいる場合、プロセッサ(9)は、測定誤差限界を推定するように構成されていることとする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
公称寸法上円形の表面の品質を示すこととする請求項1ないし請求項3のうちのいずれか一つに記載の装置。
【請求項8】
少なくとも3つの距離を測定するための少なくとも3つの距離ゲージ(1,3,5)を含む距離測定装置をさらに含むこととする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
距離測定装置(23)は、支持フレーム(25)により構成されており、かつ、少なくとも3つの距離ゲージ(1,3,5)は、距離測定角度に対して、それに配置されていることとする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
距離測定装置(23)は、独立した支持要素(27)により構成されており、該独立した支持要素(27)のそれぞれは、少なくとも一つの距離ゲージを有していることとする請求項8に記載の装置。
【請求項11】
距離測定装置は、少なくとも3つの距離ゲージによって測定された距離を変換するための少なくとも一つのA/Dコンバータ(31)をさらに含むこととする請求項8に記載の装置。
【請求項12】
距離測定装置(23)は、さらにエンコーダ(33)を含むこととする請求項8に記載の装置。
【請求項13】
距離測定角度は、3PI/4、0(ゼロ)、および 7PI/6 であることとする請求項8に記載の装置。
【請求項14】
プロセッサ(9)は、さらに、
- 偏差プロファイルのフーリエ変換と少なくとも一つの機能偏差指示周波数との間の対応に基づいて、表面を処理した製造機器の一つまたはそれ以上の細部の機能偏差を、出力手段(13)を用いて示す、
こととする請求項3に記載の装置
【請求項15】
距離データは、機械的な物体の表面の線に対応し、該線は、
- 製造機器の加工方向、および
- 製造機器の該加工方向における少なくとも一成分、
のうちの一つであることとする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
製造機器は、研削、熱間圧延、冷間圧延、旋削、フライス削り、印字、研磨、およびホーニング用の機器のうちの少なくとも一つによって構成されていることとする請求項14に記載の装置。
【請求項17】
プロセッサ(9)は、さらに、
- 一組の機能偏差指示周波数を含む周波数マップを構成する、
こととする請求項14に記載の装置
【請求項18】
機械的な物体の公称寸法上円形の表面の軌道、および、公称寸法上円形の表面からの偏差の少なくとも一つを示す方法において、
- 該公称寸法上円形の表面をカバーする距離データセットに基づいて偏差プロファイル(21)を生成する工程であって、各距離データセットは、回転方向で測定された、該公称寸法上円形の表面までの、かつ、角度に関係付けられた少なくとも3つの距離を含み、該少なくとも3つの距離は、距離測定角度において測定されたものである工程、および
- 偏差プロファイル(21)を示す工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項19】
さらに、
- 距離データセットと距離測定角度とを含む連立方程式の系を解くことによって偏差プロファイル(21)を生成する工程、
を含むこととする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
さらに、
- 偏差プロファイルをフーリエ変換する工程、
を含むこととする請求項18に記載の方法。
【請求項21】
さらに、
- 距離測定角度の品質を示す工程、
を含むこととする請求項18に記載の方法。
【請求項22】
距離測定角度は、3PI/4、0(ゼロ)、および 7PI/6 であることとする請求項18に記載の方法。
【請求項23】
距離データセットが、3つより多いの距離を含んでいる場合に、さらに測定誤差限界を推定する工程を含むこととする請求項18に記載の方法。
【請求項24】
請求項18ないし請求項20のいずれか一つに記載の公称寸法上円形の表面の品質を示す方法。
【請求項25】
さらに、
- 偏差プロファイル(21)のフーリエ変換と少なくとも一つの機能偏差指示周波数との 間の対応に基づいて、表面を処理した製造機器の一つまたはそれ以上の細部の機能偏 差を示す工程、
を含むこととする請求項20に記載の方法。
【請求項26】
距離データは、機械的な物体の表面の線に対応し、該線は、
- 製造機器の加工方向、および
- 該製造機器の該加工方向における少なくとも一成分、
のうちの一つであることとする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
製造機器は、研削、熱間圧延、冷間圧延、旋削、フライス削り、印字、研磨、およびホーニング用の機器のうちの少なくとも一つによって構成されていることとする請求項25に記載の方法。
【請求項28】
さらに、
- 一組の機能偏差指示周波数を含む周波数マップを構成する工程、
を含むこととする請求項25に記載の方法。
【請求項29】
コンピュータの内部メモリにロードできるコンピュータプログラム製品において、コンピュータで実行される場合、請求項18ないし請求項28の方法のうちの少なくとも一つを行なうためのソフトウェアコード部分を含むことを特徴とするコンピュータプログラム製品。
【請求項30】
キャリヤにおいて、請求項29における該コンピュータプログラム製品を含むことを特徴とするキャリヤ。
【請求項31】
記憶手段において、請求項1ないし請求項4のうちのいずれか一つに記載の装置に使用可能な距離データを含み、該記憶手段は、角度に関係付けられ、かつ、距離測定角度で測定された公称寸法上円形の表面までの少なくとも3つの距離のセットを含むことを特徴とする記憶手段。
【請求項32】
距離データセットを請求項1ないし請求項3のうちのいずれか一つに記載の装置への入力として測定するための装置において、エンコーダ(33)および少なくとも3つの距離を測定するための少なくとも3つの距離ゲージ(1,3,5)を含む距離測定装置(23)を含み、
- 各距離データセットは、該公称寸法上円形の表面までの、かつ、角度に関係付けられた該少なくとも3つの距離を含み、かつ、
- 該少なくとも3つの距離は、距離測定角度で測定されたものである
ことを特徴とする装置。
【請求項33】
距離測定装置は、支持フレームにより構成されており、かつ、少なくとも3つの距離ゲージは、距離測定角度に対して、それに配置されていることとする請求項32に記載の装置。
【請求項34】
距離測定装置は、独立した支持要素(27)により構成されており、該独立した支持要素(27)のそれぞれは、少なくとも一つの距離ゲージを有していることとする請求項32に記載の装置。
【請求項35】
距離測定装置(23)は、少なくとも3つの距離ゲージ(1、3、5)によって測定された距離を変換するための少なくとも一つのA/Dコンバータ(31)をさらに含むこととする請求項32に記載の装置。
【請求項36】
距離データセットを記憶するための記憶手段をさらに含むこととする請求項32に記載の装置。
【請求項37】
距離データセットをポータブルなメディア上に記憶するための手段をさらに含むこととする請求項32に記載の装置。
【請求項38】
距離データセットを請求項1ないし請求項3のうちのいずれか一つに記載の装置に通信するための通信機能をさらに含むこととする請求項32に記載の装置。
【請求項1】
機械的な物体(7)の公称寸法上円形の表面の軌道、および、公称寸法上円形の表面からの偏差の少なくとも一つを示す装置であって、該装置が、プロセッサ(9)と出力手段(11)とを含む装置において、
該プロセッサは、
- 該公称寸法上円形の表面をカバーする距離データセットに基づいて偏差プロファイル(21)を生成し、各距離データセットは、回転方向で測定された、該公称寸法上円形の表面までの、かつ、角度に関係付けられた少なくとも3つの距離を含み、該少なくとも3つの距離は、距離測定角度で測定されたものであり、
- 該出力手段(13)を用いて該偏差プロファイルを示す、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
プロセッサ(9)は、さらに、
- 距離データセットおよび距離測定角度を含む連立方程式の系を解くことによって、偏差プロファイル(21)を生成する、
こととする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
プロセッサ(9)は、さらに、
- 距離データセットと距離測定角度に関係付けられた重みとの線形組合せを含む偏差プロファイル(21)を生成する、
こととする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
プロセッサ(9)は、さらに、
- 偏差プロファイルをフーリエ変換する、
こととする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
プロセッサ(9)は、さらに,該距離測定角度の品質を示すように構成されていることとする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
距離データセットが、3つより多いの距離を含んでいる場合、プロセッサ(9)は、測定誤差限界を推定するように構成されていることとする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
公称寸法上円形の表面の品質を示すこととする請求項1ないし請求項3のうちのいずれか一つに記載の装置。
【請求項8】
少なくとも3つの距離を測定するための少なくとも3つの距離ゲージ(1,3,5)を含む距離測定装置をさらに含むこととする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
距離測定装置(23)は、支持フレーム(25)により構成されており、かつ、少なくとも3つの距離ゲージ(1,3,5)は、距離測定角度に対して、それに配置されていることとする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
距離測定装置(23)は、独立した支持要素(27)により構成されており、該独立した支持要素(27)のそれぞれは、少なくとも一つの距離ゲージを有していることとする請求項8に記載の装置。
【請求項11】
距離測定装置は、少なくとも3つの距離ゲージによって測定された距離を変換するための少なくとも一つのA/Dコンバータ(31)をさらに含むこととする請求項8に記載の装置。
【請求項12】
距離測定装置(23)は、さらにエンコーダ(33)を含むこととする請求項8に記載の装置。
【請求項13】
距離測定角度は、3PI/4、0(ゼロ)、および 7PI/6 であることとする請求項8に記載の装置。
【請求項14】
プロセッサ(9)は、さらに、
- 偏差プロファイルのフーリエ変換と少なくとも一つの機能偏差指示周波数との間の対応に基づいて、表面を処理した製造機器の一つまたはそれ以上の細部の機能偏差を、出力手段(13)を用いて示す、
こととする請求項3に記載の装置
【請求項15】
距離データは、機械的な物体の表面の線に対応し、該線は、
- 製造機器の加工方向、および
- 製造機器の該加工方向における少なくとも一成分、
のうちの一つであることとする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
製造機器は、研削、熱間圧延、冷間圧延、旋削、フライス削り、印字、研磨、およびホーニング用の機器のうちの少なくとも一つによって構成されていることとする請求項14に記載の装置。
【請求項17】
プロセッサ(9)は、さらに、
- 一組の機能偏差指示周波数を含む周波数マップを構成する、
こととする請求項14に記載の装置
【請求項18】
機械的な物体の公称寸法上円形の表面の軌道、および、公称寸法上円形の表面からの偏差の少なくとも一つを示す方法において、
- 該公称寸法上円形の表面をカバーする距離データセットに基づいて偏差プロファイル(21)を生成する工程であって、各距離データセットは、回転方向で測定された、該公称寸法上円形の表面までの、かつ、角度に関係付けられた少なくとも3つの距離を含み、該少なくとも3つの距離は、距離測定角度において測定されたものである工程、および
- 偏差プロファイル(21)を示す工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項19】
さらに、
- 距離データセットと距離測定角度とを含む連立方程式の系を解くことによって偏差プロファイル(21)を生成する工程、
を含むこととする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
さらに、
- 偏差プロファイルをフーリエ変換する工程、
を含むこととする請求項18に記載の方法。
【請求項21】
さらに、
- 距離測定角度の品質を示す工程、
を含むこととする請求項18に記載の方法。
【請求項22】
距離測定角度は、3PI/4、0(ゼロ)、および 7PI/6 であることとする請求項18に記載の方法。
【請求項23】
距離データセットが、3つより多いの距離を含んでいる場合に、さらに測定誤差限界を推定する工程を含むこととする請求項18に記載の方法。
【請求項24】
請求項18ないし請求項20のいずれか一つに記載の公称寸法上円形の表面の品質を示す方法。
【請求項25】
さらに、
- 偏差プロファイル(21)のフーリエ変換と少なくとも一つの機能偏差指示周波数との 間の対応に基づいて、表面を処理した製造機器の一つまたはそれ以上の細部の機能偏 差を示す工程、
を含むこととする請求項20に記載の方法。
【請求項26】
距離データは、機械的な物体の表面の線に対応し、該線は、
- 製造機器の加工方向、および
- 該製造機器の該加工方向における少なくとも一成分、
のうちの一つであることとする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
製造機器は、研削、熱間圧延、冷間圧延、旋削、フライス削り、印字、研磨、およびホーニング用の機器のうちの少なくとも一つによって構成されていることとする請求項25に記載の方法。
【請求項28】
さらに、
- 一組の機能偏差指示周波数を含む周波数マップを構成する工程、
を含むこととする請求項25に記載の方法。
【請求項29】
コンピュータの内部メモリにロードできるコンピュータプログラム製品において、コンピュータで実行される場合、請求項18ないし請求項28の方法のうちの少なくとも一つを行なうためのソフトウェアコード部分を含むことを特徴とするコンピュータプログラム製品。
【請求項30】
キャリヤにおいて、請求項29における該コンピュータプログラム製品を含むことを特徴とするキャリヤ。
【請求項31】
記憶手段において、請求項1ないし請求項4のうちのいずれか一つに記載の装置に使用可能な距離データを含み、該記憶手段は、角度に関係付けられ、かつ、距離測定角度で測定された公称寸法上円形の表面までの少なくとも3つの距離のセットを含むことを特徴とする記憶手段。
【請求項32】
距離データセットを請求項1ないし請求項3のうちのいずれか一つに記載の装置への入力として測定するための装置において、エンコーダ(33)および少なくとも3つの距離を測定するための少なくとも3つの距離ゲージ(1,3,5)を含む距離測定装置(23)を含み、
- 各距離データセットは、該公称寸法上円形の表面までの、かつ、角度に関係付けられた該少なくとも3つの距離を含み、かつ、
- 該少なくとも3つの距離は、距離測定角度で測定されたものである
ことを特徴とする装置。
【請求項33】
距離測定装置は、支持フレームにより構成されており、かつ、少なくとも3つの距離ゲージは、距離測定角度に対して、それに配置されていることとする請求項32に記載の装置。
【請求項34】
距離測定装置は、独立した支持要素(27)により構成されており、該独立した支持要素(27)のそれぞれは、少なくとも一つの距離ゲージを有していることとする請求項32に記載の装置。
【請求項35】
距離測定装置(23)は、少なくとも3つの距離ゲージ(1、3、5)によって測定された距離を変換するための少なくとも一つのA/Dコンバータ(31)をさらに含むこととする請求項32に記載の装置。
【請求項36】
距離データセットを記憶するための記憶手段をさらに含むこととする請求項32に記載の装置。
【請求項37】
距離データセットをポータブルなメディア上に記憶するための手段をさらに含むこととする請求項32に記載の装置。
【請求項38】
距離データセットを請求項1ないし請求項3のうちのいずれか一つに記載の装置に通信するための通信機能をさらに含むこととする請求項32に記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2006−242950(P2006−242950A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−50376(P2006−50376)
【出願日】平成18年2月27日(2006.2.27)
【出願人】(391031465)アクチボラゲット エス ケイ エフ (12)
【氏名又は名称原語表記】AKTIE BOLAGET SKF
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月27日(2006.2.27)
【出願人】(391031465)アクチボラゲット エス ケイ エフ (12)
【氏名又は名称原語表記】AKTIE BOLAGET SKF
【Fターム(参考)】
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