説明

共役脂質誘導体

本発明は,一般式(I):
【化134】


[式中,
およびRは,同一または異なり,水素原子,アルキル基,ハロゲン原子,およびアルコキシ基からなる置換基の群より選択され;
XはCORまたはCHORであり,ここで,
は,水素,ヒドロキシ,アルコキシ,およびアミノからなる群より選択され,
ここで,Rがヒドロキシであるとき,Xはさらにカルボン酸誘導体を含み;および
は,水素,アルキルまたはアシルからなる群より選択され,
Yは1またはそれ以上の二重結合をEまたはZコンフィギュレーションで有するC−C21アルケンである]
の脂質化合物またはその薬学的に許容しうる複合体,溶媒和物またはプロドラッグに関する。本発明はまた,そのような脂質化合物を含む医薬組成物,および医薬品としてまたは診断目的に使用するためのそのような脂質化合物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,不飽和脂肪酸の新規なα,β−不飽和脂肪酸誘導体,そのような化合物を製造する方法,そのような化合物を含む医薬組成物および脂質組成物,およびそのような化合物および組成物を医薬品において使用することに関する。
【背景技術】
【0002】
食物のポリ不飽和脂肪酸(PUFA)は,通常の健康状態および慢性病に影響を与える多様な生理学的プロセス,例えば血漿脂質レベルの調節,心臓血管および免疫機能,インスリンの作用,および神経の発達および視覚機能に対して影響を有する。PUFAを摂取(通常はエステルの形で,例えばグリセリドまたはリン脂質中で)すると,これらは体内の事実上すべての細胞に分布して,膜組成および機能,エイコサノイド合成,細胞シグナリングおよび遺伝子発現の調節に影響を及ぼすこととなる。細胞特異的脂質代謝に加えて,異なる脂肪酸/脂質の異なる組織への分布の変動,ならびに脂肪酸により制御される転写因子の発現は,PUFA組成物の変化に対して細胞がどのように応答するかを決定するうえで重要な役割を果たしているようである(Benatti,P.et al,J.Am.Coll.Nutr.2004,23,281)。
【0003】
PUFAまたはそれらの代謝産物は,いくつかの核レセプターと相互作用することにより,遺伝子の転写を調節することが見いだされている。これらは,ペルオキシソーム増殖剤活性化レセプター(PPARs),肝細胞核レセプター(HNF−4),肝臓Xレセプター(LXR),および9−シスレチノイン酸レセプター(レチノインXレセプター,RXR)である。PUFAを用い処理はまた,核内の多くの転写因子,例えば,SREBP,NFκB,c/EBPβ,およびHIF−1γの量を調節することができる。これらの効果は,脂肪酸の転写因子への直接結合のためではなく,転写因子の核内含有量に影響を及ぼすメカニズムが関与している。
【0004】
PUFAによる遺伝子転写の制御は,細胞および組織代謝に対して著しい影響を与え,肥満,糖尿病,心臓血管疾患,免疫炎症疾患および癌等の疾病の発症および予防または軽減における栄養と遺伝子との相互作用の関与について,信頼しうる説明を提供する(Wahle,J.,et al,Proceedings of the Nutrition Society,2003,349)。
【0005】
ω−3ポリ不飽和脂肪酸であるエイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)が豊富な魚油は,部分的には,血中トリグリセリド濃度を低下させることにより心臓血管疾患のリスクを低下させることが示されている。この望ましい効果は,主として,PEBP−1の低下による脂質生成の阻害と肝臓におけるPPAR−αの活性化による脂肪酸の酸化の促進との組み合わせの効果によるものである。
【0006】
【化13】

【0007】
魚油中のω−3ポリ不飽和脂肪酸は,白血球蓄積および白血球媒介性組織傷害により特徴づけられるいくつかの慢性炎症性疾患,例えば,アテローム性動脈硬化症,IgAネフロパシー,炎症性腸疾患,関節リウマチ,乾癬等の予後を改善することが報告されている(Mishra,A.,Arterioscler.Thromb.Vasc.Biol.,2004,1621)。
【0008】
DHAは,ほとんどの組織において最も大量に存在するω−3PUFAであり,神経細胞膜に非常に豊富に存在しており,大脳皮質の灰白質および網膜の光受容細胞のリン脂質の約30−40%を構成する。DHAは,出生後の哺乳動物CNSにおいて高レベルで蓄積し,このことは,DHAはCNSの成熟に関与していることを示す。いくつかの異なる種において,脳および網膜におけるDHAのレベルの低下は,神経および視覚機能の機能障害と関連している。DHAの補充は,抑うつ,統合失調症,多動,多発性硬化症,アルツハイマー病,変性性網膜疾患,およびペルオキシソーム疾患の治療に有益であるかもしれない(Horrocks and Farooqui,Prostaglandins,Leukotrienes and Essential Fatty acids,2004,70,361)。食物DHAはまた,アテローム性動脈硬化症,炎症および癌の治療において有益であるかもしれない(Horrocks et al,Pharmacol Res 1999,40:211;Rose,et al,1999,83,217)。
【0009】
ω−3PUFAは多くの好ましい生物学的効果を有するが,その治療上の価値は限定されており,ω−3PUFAが最も有望な治療分野は心臓血管分野におけるトリグリセリド低下剤としてのものであった。しかし,高用量のポリ不飽和脂肪酸は低リポタンパク血症を引き起こすのに必要である。この1つの理由は肝臓における酸化によるポリ不飽和脂肪酸の分解である。
【0010】
核レセプター(NR)は,発生,代謝および生殖等の多様な生物学的プロセスを制御するリガンド活性化転写因子の大きくかつ高度に保存されたファミリーを構成する。これらのレセプターのリガンドは,アテローム性動脈硬化症,糖尿病,肥満,および炎症性疾患等の一般的な疾病の治療において用いることができるであろうと認識されている。したがって,NRは重要な薬剤標的となり,新規なNRリガンドの同定には多大な興味がもたれている。多くの核レセプターの活性は,ホルモン,代謝産物,例えば脂肪酸,胆汁酸,オキシステロールおよび外因性物質(xenobiotics)および内因性物質(endobiotics)等の小さな親油性のリガンドの結合により制御されている。核レセプターは,モノマー,ホモダイマー,またはRXRヘテロダイマーとしてDNAに結合することができる。3種類のヘテロダイマー複合体が存在する:非占有ヘテロダイマー,パートナーリガンドによってのみ活性化されることができ,RXRリガンド単独では活性化されない非許容性(nonpermissive)ヘテロダイマー,およびRXRまたはそのパートナーのレセプターのいずれかのリガンドにより活性化されることができ,両方のリガンドの存在下で相乗的に活性化される許容性(permissive)ヘテロダイマー(Aranda and Pascual,Physiological Reviews,2001,81,1269)。多くの核レセプター(ビタミンDレセプター(VDR),甲状腺ホルモンレセプター(TR),全トランスレチノイン酸レセプター(RAR),ペルオキシソーム増殖因子活性化レセプター(PPAR),肝臓−Xレセプター(LXR)その他を含む)の偏性ヘテロダイマーパートナーとして,RXRは多数の核レセプター経路の優れた調整剤の役割を果たしている。
【0011】
RXRヘテロダイマーのパートナーを制御するリガンドは,おおまかに2つのサブセットに分けることができる。一方のサブセットは高親和性の高特異性ステロイド/ホルモンリガンド(VDRおよびTR)を含み,内分泌調節剤として作用する。もう一方のサブセットは,大量に存在する低親和性脂質リガンド(PPAR,LXR)に結合し,部分的には脂質バイオセンサーとして作用するようである。RXRヘテロダイマーにより制御される遺伝子には,広範な種類の細胞プロセス,例えば,細胞サイクル制御および分化に関与するものが含まれる。これらはまた,脂質輸送,生合成,および代謝に関与する遺伝子を制御する(Goldstein,J.T.et al,Arch.Biochem and Biophys.,2003,420,185)。
【0012】
RXRの同族リガンドは9−cis−レチノイン酸であり,これは非常に類似した親和性および効力をもってRARにも結合しトランス活性化する分子である。一方,RARの同族リガンドであるall−trans−レチノイン酸はRXRレセプターには結合しない。
【化14】

9−cis−レチノイン酸
【0013】
RXRリガンドがインスリン抵抗性改善薬として機能することができ,ob/obおよびdb/dbマウスにおいて高血糖症,高インスリン血症および高トリグリセリド血症を低減させることができるという証拠がある(Mukherjee et al,Nature,1997,386,407)。また,RXRアゴニストをZucker fa/faラットに長期投与すると,食物の取り込みおよび体重増加が低下し,血漿インスリン濃度が低下し,一方正常血糖値は維持されることが公表されている(Liu,et al,Int.J.Obesity,2000,997;Ogilvie,K.et al,Endocrinology,2004,145,565)。
【0014】
2000年には,細胞系アッセイにおいて,マウス脳から単離されたDHAがRXRを選択的に活性化したことが発表された(Urquiza et al,Science 2000,290,2140,WO01/73439)。この研究では,DHAはRARを活性化しなかった。それ以来,いくつかの不飽和脂肪酸,例えば,DHA,アラキドン酸,およびオレイン酸が,RXRγのLBD(リガンド結合ドメイン)に特異的に結合してこれを活性化し,このことによりこのレセプターのインビボのリガンドとして作用する能力を有することが公表されている(Lengquist J.,et.al.Molecular&Cellular Proteomics 3,2004,692)。Fanらにより公表された研究においては,DHAは結腸細胞においてn−6PUFAと関連するRXRα活性化の特異的リガンドとして働くことが示されている(Carcinogenesis,2003,24,1541)。
【0015】
RXRアゴニストは知られており,これらの化合物は種々の生物系において試験されているが,従来技術は改変したPUFAをRXRの強力なリガンドとして使用することを記載していない。
【0016】
転写因子NF−κBはrelファミリーの誘導可能な真核生物転写因子である。これは,炎症性サイトカイン,接着分子,熱ショック蛋白質,シクロオキシゲナーゼ,リポオキシゲナーゼ,および酸化還元酵素の発現に関与する初期応答遺伝子の活性化を制御するストレスカスケードの主要な成分である。Zhao,Gら(Biochemical and Biophysical Research Comm.,2005,909)は,ヒト単球THP−1細胞におけるPUFAの抗炎症効果は,部分的には,PPAR−γ活性化によるNF−κBの活性化の阻害により媒介されていることを示唆する。他の研究者は,PUFAの抗炎症効果はNF−κB活性化のPPAR−α依存性阻害により媒介されていることを示唆した。
【0017】
天然のNRリガンドは結合特異性がないため全身的副作用および毒性を示し,このためNRに基づく薬剤のリードの探索においては,レセプター−選択的リガンドが最優先される。
【0018】
9−cisレチノイン酸は,RXRおよびRARの両方への結合を伴うメカニズムにより,広範な種類の生物学的機能を制御している。これらのレセプターは,多様な機能に関与している。これらの広範囲な生物学的効果のため,RAR−またはRXR−選択的リガンドを探索するよう動機づけられてきた。非選択的レチノイドリガンドは,薬剤として用いたときに,催奇形性および皮膚粘膜毒性などの副作用を有しており,これは,特異的RXRアゴニストを用いると顕著に低下する。さらに,RXR−選択的アゴニストにより腫瘍特異的アポトーシスが推進されうることが示されている。選択的RXRアゴニストは,代謝性疾患の治療の代替方法を提供するかもしれない。したがって,非選択的リガンドによる副作用を伴わずに上述の有益性を与えることができる,容易に入手可能なRXR選択的リガンドが求められている。
【0019】
核レセプターの多くは種々の組織に異なるように分布しているため,標的レセプターに結合してこれを活性化するためには,インビボで特定の細胞を標的とすることができるリガンドを作成することが重要である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0020】
発明の概要
本発明の1つの目的は,薬学的活性を有する脂質化合物を提供することである。この目的は,式(I):
【化15】

[式中,
およびRは,同一または異なり,水素原子,アルキル基,ハロゲン原子,およびアルコキシ基からなる置換基の群より選択され;
XはCORまたはCHORであり,ここで,
は,水素,ヒドロキシ,アルコキシ,およびアミノからなる群より選択され,
がヒドロキシであるとき,Xはさらにカルボン酸誘導体を含み;および
は,水素,アルキルまたはアシルからなる群より選択され,
Yは,1またはそれ以上の二重結合をE−またはZ−コンフィギュレーションで有するC−C21アルケンである]
にしたがう脂質化合物またはその薬学的に許容しうる複合体,溶媒和物またはプロドラッグにより達成される。
【0021】
特に,本発明は,式(II):
【化16】

にしたがう,E−コンフィギュレーションを有する脂質化合物に関する。
【0022】
Xが式CORで表され,Rがヒドロキシである場合,本発明はまた,カルボン酸の誘導体に関する。例えば,そのようなカルボン酸誘導体は,リン脂質,またはモノ−,ジ−またはトリグリセリドからなる群より選択される。
【0023】
本発明の脂質化合物においては,式(I)中のRおよびRは,同一または異なり,水素原子,C−Cアルキル基,C−Cアルコキシ基,およびハロゲン原子からなる置換基の群より選択される。
【0024】
好ましくは,RおよびRは,同一または異なり,水素原子,C−Cアルキル基,C−Cアルコキシ基,およびハロゲン原子からなる置換基の群より選択される。より好ましくは,RおよびRは,同一または異なり,メチル基,エチル基,および水素原子から選択される。
【0025】
および/またはRがハロゲン原子であるとき,これは好ましくはフッ素原子である。本発明の脂質化合物において,Xは,式CORにより表すことができる。このような場合,Rは,C−C−アルコキシ基であることができ,または特にC−C−アルコキシ基であることができる。あるいは,Rはヒドロキシ基である。
【0026】
別の態様においては,Xは式CHORにより表される。そのような態様においては,RはC−C−アルキル基であることができ,または特にC−C−アルキル基であることができる。あるいは,RはC−Cアシル基,特にC−Cアシル基である。
【0027】
本発明にしたがう脂質化合物においては,炭素原子2と3との間の二重結合は好ましくはE−コンフィギュレーションである。
【0028】
およびRが異なり,一方はC−Cアルコキシであり,他方は水素である本発明の態様においては,炭素原子2と3との間の二重結合はZ−コンフィギュレーションであることができる。
【0029】
一般式(I)において特定されるように,Yは,1またはそれ以上の二重結合をEまたはZコンフィギュレーションで有するC−C21アルケンであることができる。特に,Yは2−6個の二重結合を有するC14−C19アルケンである。ある態様においては,Yは,2−6個のメチレン中断二重結合をZコンフィギュレーションで有するC14−C19アルケンである。あるいは,Yは未置換である。本発明の好ましい態様においては,脂質化合物は,Yのω−3位に炭素−炭素二重結合を含む。
【0030】
本発明の脂質化合物は,式(I)または(II)の括弧の整数nにより表される共役系の数にしたがって分類することができる。特定されるように,nは0と2の間であることができる。
【0031】
n=0であるとき,本発明の脂質化合物は式(III):
【化17】

に関連する。
【0032】
さらに,式(III)により表される本発明の脂質化合物は,以下の好ましい群に副分類することができる:
【0033】
IIIa:X=COR
X=COR,ここで,Rはヒドロキシ基またはC−Cアルコキシ基であり;
およびRは,同一または異なり,水素原子,C−Cアルキル基,C−Cアルコキシ基,およびハロゲン原子から選択され;および
Yは2−6個の二重結合を有するC13−C19アルケンである。
【0034】
IIIb:X=COR,R≠R
X=COR,ここで,Rはヒドロキシ基またはC−Cアルコキシ基であり;
およびRは異なり,一方は水素原子を表し,他方はC−Cアルキル基またはC−Cアルコキシ基を表し;および
Yは,3−5個の二重結合を有するC17−C19アルケンである。
【0035】
式(III),およびサブグループIIIaまたはIIIbの好ましい化合物は以下の脂質化合物1−4,6−8,および26:
【化18】

である。
【0036】
IIIc:X=CHOR
X=CHOR,ここで,Rは水素またはC−Cアシル基であり;
およびRは,同一または異なり,水素原子,C−Cアルキル基,C−Cアルコキシ基,およびハロゲン原子から選択され;および
Yは,2−6個の二重結合を有するC13−C19アルケンである。
【0037】
IIId:X=CHOR,R≠R
X=CHOR,ここで,Rは水素であり;および
およびRは異なり,一方は水素原子を表し,他方はC−Cアルキル基またはC−Cアルコキシ基を表し;
Yは,3−5個の二重結合を有するC17−C19アルケンである。
【0038】
式(III),およびサブグループIIIcおよびIIIdの好ましい化合物は,以下の脂質化合物5,9,および27:
【化19】

である。
【0039】
n=1であるとき,本発明の脂質化合物は式(IV):
【化20】

に関する。
【0040】
さらに,式(IV)により表される本発明の脂質化合物は,以下の好ましい群に副分類することができる:
【0041】
IVa:X=COR
X=COR,ここで,Rはヒドロキシ基またはC−Cアルコキシ基であり;
およびRは,同一または異なり,水素原子,C−Cアルキル基,およびハロゲン原子から選択され;および
Yは2−6個の二重結合を有するC11−C17アルケンである。
【0042】
IVb:X=COR,R≠R
X=COR,ここで,Rはヒドロキシ基またはC−Cアルコキシ基であり;および
およびRは異なり,一方は水素原子を表し,他方はC−Cアルキル基を表し;
Yは3−5個の二重結合を有するC15−C17アルケンである。
【0043】
式(IV),およびサブグループIVaおよびIVbの好ましい化合物は,以下の脂質化合物10−11,17−18,20,および22:
【化21】

である。
【0044】
IVc:X=COR,R=R
X=COR,ここで,Rはヒドロキシ基またはC−Cアルコキシ基であり;
およびRは水素であり;および
Yは2−6個の二重結合を有するC11−C17アルケンである。
【0045】
IVd:X=COR,R=R
X=COR,ここで,Rはヒドロキシ基またはC−Cアルコキシ基であり;
およびRは水素であり;および
Yは4−5個の二重結合を有するC15−C17アルケンである。
【0046】
式(IV),およびサブグループIVcおよびIVdの好ましい化合物は以下の脂質化合物12−15:
【化22】

である。
【0047】
IVe:X=CHOR
X=CHOR,ここで,Rは水素原子またはC−Cアシル基であり;
およびRは,同一または異なり,水素原子,C−Cアルキル基,およびハロゲン原子から選択され;および
Yは2−6個の二重結合を有するC11−C17アルケンである。
【0048】
IVf:X=CHOR,R≠R
X=CHOR,ここで,Rは水素であり;
およびRは異なり,一方は水素原子を表し,他方はC−Cアルキル基を表し;および
Yは3−5個の二重結合を有するC15−C17アルケンである。
【0049】
式(IV),およびサブグループIVeおよびIVfの好ましい化合物は,以下の脂質化合物19,21,および23:
【化23】

である。
【0050】
IVg:X=CHOR,R=R
X=CHOR,ここで,Rは水素であり;
およびRは同じであって,水素原子を表し;および
Yは2−6個の二重結合を有するC11−C17アルケンである。
【0051】
IVh:X=CHOR,R=R
X=CHOR,ここで,Rは水素であり;
およびRは同じであって水素原子を表し;および
Yは5個の二重結合を有するC17アルケンである。
【0052】
式(IV),およびサブグループIVgおよびIVhの好ましい化合物は,以下の脂質化合物16である:
【化24】

【0053】
n=2であるとき,本発明の脂質化合物は式(V):
【化25】

に関連する。
【0054】
さらに,式(V)により表される本発明の脂質化合物は,以下の好ましい群に副分類することができる:
【0055】
Va:X=COR
X=COR,ここで,Rはヒドロキシ基またはC−Cアルコキシ基であり;
およびRは,同一または異なり,水素原子,C−Cアルキル基,およびハロゲン原子から選択され;および
Yは,1−4個の二重結合を有するC−C16アルケンである。
【0056】
Vb:X=COR,R≠R
X=COR,ここで,Rはヒドロキシ基またはC−Cアルコキシ基であり;
およびRは異なり,一方は水素原子を表し,他方はC−Cアルキル基を表し;および
Yは4個の二重結合を有するC15アルケンである。
【0057】
式(V),およびサブグループVaおよびVbの好ましい化合物は,以下の脂質化合物24および25:
【化26】

である。
【0058】
本発明はまた,式(I)−(V)のいずれかにしたがう本発明の脂質化合物を製造する方法に関する。
【0059】
さらに,本発明は,医薬品として,または診断目的で,例えばポジトロン放出断層撮影(PET)に用いるための,式(I)−(V)のいずれかにしたがう脂質化合物に関する。
【0060】
本発明はまた,一般式(I)−(V)のいずれかにしたがう脂質化合物を含む医薬組成物に関する。医薬組成物は,薬学的に許容しうる担体,賦形剤または希釈剤,またはこれらの任意の組み合わせを含むことができ,経口投与用に適宜製剤される。式(I)−(V)のいずれかにしたがう脂質化合物の適当な1日投与量は,5mg−10gの前記脂質化合物;50mg−1gの前記脂質化合物,または50mg−200mgの前記脂質化合物である。
【0061】
本発明はまた,式(I)−(V)のいずれかにしたがう脂質化合物を含む脂質組成物に関する。適切には,脂質組成物の少なくとも80重量%,または少なくとも90重量%,または少なくとも95重量%は前記脂質化合物から構成される。脂質組成物はさらに薬学的に許容しうる抗酸化剤,例えばトコフェロールを含んでいてもよい。
【0062】
さらに,本発明は,式(I)−(V)のいずれかにしたがう脂質化合物の,下記のための医薬品の製造における使用に関する:
ヒトペルオキシソーム増殖因子活性化レセプター(PPAR)アイソフォームα,γおよび/またはδの少なくとも1つの活性化または調節;
RXRの活性化または調節;
NF−κBの阻害または制御;
炎症性疾患または状態の治療および/または予防;
血漿インスリン,血糖および/または血清トリグリセリドの低下;
トリグリセリドレベル,LDLコレステロールレベル,および/またはVLDLコレステロールレベルの上昇の予防および/または治療;
脂質異常症状態,例えば高トリグリセリド血症(HTG)の予防および/または治療;
肥満または体重超過状態の治療および/または予防;
末梢インスリン抵抗性および/または糖尿病状態の治療および/または予防;
体重の減少および/または体重増加の予防;
脂肪肝疾患,例えば非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の治療および/または予防;
インスリン抵抗性,脂質異常症および/または肥満または体重超過状態の治療;および
2型糖尿病の治療および/または予防。
【0063】
本発明はまた,上述の状態の治療および/または予防のための式(I)−(V)のいずれかにしたがう脂質化合物に関する。
【0064】
さらに,本発明は,治療を必要とする哺乳動物に薬学的に活性な量の式(I)−(V)のいずれかにしたがう脂質化合物を投与することを含む,上述の状態の治療および/または予防の方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0065】
発明の詳細な説明
驚くべきことに,一般式(I)−(V)で表される新規ポリ不飽和誘導体がPPARファミリーの核レセプターに対してDHAおよびEPAと比較してより高い親和性を有することが見いだされた。誘導体は,DHAより強力なRXRアゴニストを提供する。
【0066】
RXR/PPARは両方のリガンドの存在下で相乗的に活性化される許容的(permissive)ヘテロダイマーである。本発明の新規化合物はPPARsおよびRXRの両方のリガンドであるため,二重作用性アゴニストとして作用することができる。異なるPUFAは異なる組織において異なるように蓄積するため,これらの改変型PUFAは核レセプターの組織特異的リガンドである可能性がある。
【0067】
本発明の誘導体は,PPARレセプターおよびRXRに対するより優れたリガンドであることに加えて,αまたはβ位における置換基のため,天然のPUFAほど容易にはα−およびβ−酸化経路により分解されない。
【0068】
新規化合物は,治療において,単独でまたは他の高親和性PPARリガンドと組み合わせて使用することができる。この場合,PUFA誘導体はRXRリガンドとして作用して,遺伝子転写に及ぼすPPARリガンドの効果を相乗的に増強する。
【0069】
さらに,レチノイド:レチノールおよびレチナールの機能に適合した新規化合物が提供される。これらの化合物はインビボで酸化経路により活性化されるプロドラッグである。
【0070】
命名法および術語
本発明の脂質化合物は,式(I)−(V)においてXで表される官能基から数えて炭素2および/または3において置換されている。そのような置換は,“アルファ置換”または“ベータ置換”と称することができる。本発明の脂質化合物においては,炭素2と3との間に二重結合が存在し,好ましくはこれはE−コンフィギュレーションである。
【0071】
本明細書において用いる場合,“ω−3位”との用語は,最初の二重結合が炭素鎖の末端CH(ω)から3番目の炭素−炭素結合に存在することを意味する。
【化27】

【0072】
化学においては,炭素原子の番号付けはα末端からである。脂肪酸は,カルボキシル基(COOH)を一方の末端(α)に有し,(通常は)メチル基を他方の(ω)末端に有する直鎖状の炭化水素である。
【0073】
本明細書において用いる場合,“メチレン中断二重結合”との表現は,脂質化合物の炭素鎖の2つの別々の二重結合の間にメチレン基が存在する場合に関連する。本発明にしたがう化合物においては,前記アルキル基は,メチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル,n−ブチル,イソブチル,sec−ブチル,およびn−ヘキシルからなる群より選択されることができ;前記ハロゲン原子はフッ素であることができ;前記アルコキシ基は,メトキシ,エトキシ,プロポキシ,イソプロポキシ,sec−ブトキシ,OCHCF,およびOCHCHOCHからなる群より選択される。
【0074】
本明細書においては,前記アシル基は,式:
【化28】

[式中,AはC−Cアルキルである]
の化合物である。
【0075】
本発明の基本的概念は,式(I):
【化29】

[式中,
およびRは,同一または異なり,水素原子,アルキル基,ハロゲン原子,およびアルコキシ基からなる置換基の群より選択され;
XはCORまたはCHORであり,ここで,
は,水素,ヒドロキシ,アルコキシ,およびアミノからなる群より選択され,RがヒドロキシであるときXはさらにカルボン酸誘導体を含み;および
は,水素,アルキルまたはアシルからなる群より選択され,
Yは,1またはそれ以上の二重結合をEまたはZコンフィギュレーションで有するC−C21アルケンである]
の脂質化合物またはその薬学的に許容しうる複合体,溶媒和物またはプロドラッグである。
【0076】
好ましくは,本発明の脂質化合物はE−異性体であり,式(II):
【化30】

により表される。
【0077】
n=0であるとき,本発明の脂質化合物は式(III):
【化31】

により表される。
【0078】
n=1であるとき,本発明の脂質化合物は式(IV):
【化32】

により表される。
【0079】
n=2であるとき,本発明の脂質化合物は式(V):
【化33】

により表される。
【0080】
上述の化合物は,XがCORまたはCHORであるか,置換基RおよびRが何であるか,およびRおよびRが異なるかまたは同一であるか,ならびにY鎖の二重結合の長さおよび数に基づいて,副分類することができる。特に好ましい化合物は,上述の化合物(1)−(27)である。
【0081】
本発明にしたがう好ましい脂質化合物はまた,以下のカテゴリーA−1,A−2,B−1およびB−2に分類することができる。
【0082】
カテゴリーA Z−および/またはE−異性体
【化34】

一般式(I)
一般式(I)により記述される化合物のZ−およびE−異性体は,種々の分離技術により混合物から分離することができる。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル)は慣用の分離技術である。上述の一般式により記述される化合物のZ−およびE−異性体は,フラッシュクロマトグラフィーにより,カルボン酸エステルの形で,他方をカルボン酸としてまたはアルコールとして,分離することができる。カルボン酸は,一級アルコールおよび酸性触媒(HSO,HCl,BF)を使用して再びエステル化することができる。アルコールを酸化してカルボン酸を得ることができる。
【0083】
カテゴリーA−1,Z−および/またはE−異性体,n=0,X=COR
【化35】

このカテゴリー中のすべての例,(30),(32)および(33)について:
n=0
X=エチルカルボキシレート
エチル(2Z/E,11E,14E,17E)−2−エチル−エイコサ−2,11,14,17−テトラエノアート(30)
【化36】

エチル(2Z/E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)2−エトキシ−ドコサ−2,7,10,13,16,19−ヘキサエン酸(32)
【化37】

エチル(2Z,,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)2−エトキシ−ドコサ−2,7,10,13,16,19−ヘキサエン酸(33)
【化38】

【0084】
カテゴリーA−2,Z−および/またはE−異性体,n=0,X=CHOR
【化39】

このカテゴリー中のすべての例,(29),(31)および(34)について:
n=0
=H
(all−Z)−2−エチル−エイコサ−2,11,14,17−テトラエン−1−オール(31)
【化40】

(all−Z)−3−メチル−ドコサ−2,7,10,13,16,19−ヘキサエン−1−オール(29)
【化41】

(all−Z)−2−エトキシ−ドコサ−2,7,10,13,16,19−ヘキサエン−1−オール(34)
【化42】

【0085】
カテゴリーA−1,n=1,X=CORおよびX=CHOR
【化43】

このカテゴリー中のすべての例,(35),(36),(37),(38),(39)および(40)について:
n=1
エチル(2Z,4E,8Z,11Z,14Z,17Z)−2−エチル−エイコサ−2,4,8,11,14,17−ヘキサノアート(35)
【化44】

(2Z,4E,8Z,11Z,14Z,17Z)−2−エチル−エイコサ−2,4,8,11,14,17−ヘキサエン−1−オール(36)
【化45】

エチル(2E/Z,4E,13Z,16Z,19Z)−3−メチル−ドコサ−2,4,13,16,19−ペンタエノアート(37)
【化46】

(2Z,4E,13Z,16Z,19Z)−3−メチル−ドコサ−2,4,13,16,19−ペンタエン−1−オール(38)
【化47】

(2Z,4E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−2−エチル−ドコサ−2,4,7,10,13,16,19−ヘプタエン−1−オール(39)
【化48】

エチル(2Z/2E,4E,13Z,16Z,19Z)−2−エチル−ドコサ−2,4,13,16,19−ヘプタエノアート(40)
【化49】

【0086】
カテゴリーB:E−異性体
【化50】

一般式(II),式中,好ましくはYは,E−またはZ−コンフィギュレーションの1またはそれ以上の二重結合を有するC−C21アルケンであり,Xは,ヒドロキシメチル(−CHOH),カルボアルデヒド(−C(O)H),またはカルボン酸またはそれらの誘導体,カルボキシレート,無水カルボン酸またはカルボキサミドである。RおよびRは,同一であっても異なっていてもよく,それぞれ,水素原子,フッ素原子,アルコキシ基,またはアルキル基を表す。
【0087】
カテゴリーB−1;E−異性体,n=0−2およびX=COR
【化51】

【0088】
カテゴリーB−2;E−異性体,n=0−2およびX=CHOR
【化52】

【0089】
カテゴリーB−1;n=0,X=CORおよびR=OCHCH
このカテゴリー中のすべての例,(1),(3),(6)および(8)について:
n=0
X=エチルカルボキシレート
エチル(2E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−2−メチル−ドコサ−2,7,10,13,16,19−ヘキサエノアート(1)
【化53】

エチル(2E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−3−メチル−ドコサ−2,7,10,13,16,19−ヘキサエノアート(3)
【化54】

エチル(2E,11Z,14Z,17Z)−2−メチル−エイコサ−2,11,14,17−テトラエノアート(6)
【化55】

エチル(2E,5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−2−メチル−イコサ−2,5,8,11,14,17−ヘキサエノアート(8)
【化56】

【0090】
カテゴリーB−1;n=0,X=CORおよびR=OH
このカテゴリー中のすべての例,(2),(4),(7)および(26)について:
n=0
=ヒドロキシ(OH)
(2E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−2−メチル−ドコサ−2,7,10,13,16,19−ヘキサエン酸(2)
【化57】

(2E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−3−メチル−ドコサ−2,7,10,13,16,19−ヘキサエン酸(4)
【化58】

(2E,11E,14E,17E)−2−メチル−エイコサ−2,11,14,17−テトラエン酸(7)
【化59】

(2Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)2−エトキシ−ドコサ−2,7,10,13,16,19−ヘキサエン酸(26)
【化60】

【0091】
カテゴリーB−2,n=0,X=CHORおよびR=H
【化61】

このカテゴリー中のすべての例;(5),(9)および(27)について:
n=0
置換基はアルキルまたはエトキシである。
(2E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−3−メチル−ドコサ−2,7,10,13,16,19−ヘキサエン−1−オール(5)
【化62】

(2E,11Z,14Z,17Z)−2−エチル−エイコサ−2,11,14,17−テトラエン−1−オール(9)
【化63】

2E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−2−エトキシ−ドコサ−2,7,10,13,16,19−ヘキサエン−1−オール(27)
【化64】

【0092】
カテゴリーB−1,E−異性体,n=1
【化65】

式(IV)
n=1
【0093】
カテゴリーB−1,n=1およびX=CORおよびR=OCHCH
【化66】

このカテゴリー中のすべての例,(10),(12),(14),(17)および(22)について:
n=1
X=COR
=OCHCH
エチル(2E,4E,8Z,11Z,14Z,17Z)−2−メチル−イコサ−2,4,8,11,14,17−ヘキサエノアート(10)
【化67】

エチル(2E,4E,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−2,4,6,11,14,17−ヘキサエノアート(12)
【化68】

エチル(2E,4E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−2,4,7,10,13,16,19−ヘプタエノアート(14)
【化69】

エチル−(2E,4E,8Z,11Z,14Z,17Z)−2−エチル−エイコサ−2,4,8,11,14,17−ヘキサノアート(17)
【化70】

エチル(2E,4E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−2−エチル−ドコサ−2,4,7,10,13,16,19−ヘプタエノアート(22)
【化71】

【0094】
カテゴリーB−1,E−異性体,n=1およびX=CORおよびR=OH
【化72】

このカテゴリー中のすべての例,(11),(13),(15),(18)および(20)について:
n=1
X=COOH
(2E,4E,8Z,11Z,14Z,17Z)−2−メチル−イコサ−2,4,8,11,14,17−ヘキサエン酸(11)
【化73】

(2E,4E,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−2,4,8,11,14,17−ヘキサエン酸(13)
【化74】

(2E,4E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−2,4,7,10,13,16,19−ヘプタエン酸(15)
【化75】

(2E,4E,8Z,11Z,14Z,17Z)−2−エチル−イコサ−2,4,8,11,14,17−ヘキサエン酸(18)
【化76】

(2E,4E,13Z,16Z,19Z)−3−メチル−ドコサ−2,4,13,16,19−ペンタエン酸(20)
【化77】

【0095】
カテゴリーB−2,E−異性体,n=1,X=CHORおよびR=H
【化78】

このカテゴリー中のすべての例,(16),(19),(21)および(23)について:
n=1
X=CHOR
=水素(H)
(2E,4E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−2,4,7,10,13,16,19−ヘプタエン−1−オール(16)
【化79】

(2E,4E,8Z,11Z,14Z,17Z)−2−エチル−イコサ−2,4,11,14,17−ヘキサエン−1−オール(19)
【化80】

(2E,4E,13Z,16Z,19Z)−3−メチル−ドコサ−2,4,13,16,19−ペンタエン−1−オール(21)
【化81】

(2E,4E,13Z,16Z,19Z)−2−エチル−ドコサ−2,4,13,16,19−ヘプタエン−1−オール(23)
【化82】

【0096】
カテゴリーB,トランス異性体,n=2
【化83】

式(V)
n=2
【0097】
カテゴリーB−1,n=2,X=CORおよびR=OCHCH
【化84】

このカテゴリー中の例(24)について;
n=2
X=COR
=OCHCH
エチル(2E,4E,6E,10Z,13Z,16Z,19Z)−3−メチル−ドコサ−2,4,6,10,13,16,19−ヘプタエノアート(24)
【化85】

【0098】
カテゴリーB−1,n=2,X=CORおよびR=OH
【化86】

このカテゴリー中の例(25)について;
n=2
X=COR
=ヒドロキシル(OH)
エチル(2E,4E,6E,10Z,13Z,16Z,19Z)−3−メチル−ドコサ−2,4,6,10,13,16,19−ヘプタエノアート(25)
【化87】

【0099】
本発明は,式(I)−(V)の脂質化合物の任意の可能な薬学的に許容しうる複合体,溶媒和物またはプロドラッグを包含することが理解されるべきである。
【0100】
“プロドラッグ”とは,それ自体薬理学的活性を有していても有していなくてもよいが,投与することができ(例えば経口的にまたは非経口的に),その後体内で生物学的活性化(例えば代謝)が生じて,薬学的に活性な本発明の薬剤を形成する物質である。
【0101】
Xがカルボン酸である場合,本発明はカルボン酸の誘導体も含む。例えば,そのようなカルボン酸誘導体は,リン脂質,またはモノ−,ジ−またはトリ−グリセリドからなる群より選択することができる。
【0102】
さらに,カルボン酸の塩も本発明に含まれる。カルボキシ基の適当な薬学的に許容しうる塩としては,金属塩,例えば,アルミニウム,アルカリ金属塩,例えばリチウム,ナトリウムまたはカリウム,アルカリ土類金属塩,例えば,カルシウムまたはマグネシウム,およびアンモニウムまたは置換アンモニウム塩が挙げられる。
【0103】
"薬学的に活性な量"は,所望の薬学的効果および/または治療効果につながる量,すなわち,その意図される目的を達成するのに有効な脂質化合物の量に関連する。個々の患者の必要性は様々でありうるが,有効量の脂質化合物の最適な範囲の決定は当業者の能力の範囲内である。一般に,本発明の化合物および/または組成物を用いて病気を治療するための投与計画は,種々の因子,例えば,患者のタイプ,年齢,体重,性別,食事,および医学的状態にしたがって選択される。
【0104】
“医薬品”とは,医療目的に使用するのに適した任意の形態,例えば,医薬品,医薬製剤または製品,飼料,食料品または食品添加物の形の,式(I)−(V)のいずれかにしたがう脂質化合物を意味する。
【0105】
“治療”は,ヒトまたは非ヒト哺乳動物に有益でありうるすべての治療用途を含む。ヒトおよび脊椎動物の治療は本発明の範囲内である。治療は,現存する状態に対するものであってもよく,予防的なものであってもよい。
【0106】
式(I)−(V)の脂質化合物は,それ自体で使用することができるが,一般には式(I)−(V)の化合物(活性成分)が薬学的に許容しうる担体,賦形剤または希釈剤(これらの組み合わせを含む)と一緒になっている医薬組成物の形で投与される。
【0107】
治療用に許容しうる担体,賦形剤および希釈剤は薬剤の技術分野ではよく知られており,意図される投与の経路および標準的な医薬実務に応じて選択することができる。例としては,結合剤,潤滑剤,懸濁剤,コーティング剤,可溶化剤,保存剤,湿潤剤,乳化剤,甘味料,着色料,香味料,臭気物質,緩衝液,懸濁剤,安定化剤,および/または塩が挙げられる。
【0108】
本発明にしたがう医薬組成物は,好ましくは,ヒトまたは動物に経口投与するよう製剤する。医薬組成物はまた,活性成分が有効に吸収され利用されることができる他の任意の経路で,例えば,静脈内,皮下,筋肉内,鼻腔内,直腸内,膣内または局所に投与するよう製剤してもよい。
【0109】
本発明の特定の態様においては,医薬組成物は,カプセルの形状であり,これは,粉体またはサシェ剤を生成するマイクロカプセルであってもよい。カプセルは香味付けしてもよい。この態様はまた,カプセルとカプセルに封入された本発明の組成物との両方が香味付けされているカプセルを含む。カプセルに香味付けすることにより,これはユーザにとってより魅力的となる。上述の治療用途のためには,投与量は,もちろん,用いる化合物,投与のモード,所望の治療および示される疾患により様々である。
【0110】
医薬組成物は,例えば,5mgから10g;50mgから1g;または50mgから200gの脂質化合物の1日投与量を与えるように製剤することができる。1日投与量とは,24時間あたりの投与量を意味する。
【0111】
投与量は,もちろん,用いる化合物,投与のモード,望まれる治療および示される疾患により様々であろう。典型的には,個々の被験者に最も適した実際の投与量は医師により決定されるであろう。任意の特定の患者についての特定の投与量のレベルおよび投与の頻度は様々であり,種々の因子,例えば,用いる特定の化合物の活性,その化合物の代謝安定性および作用の長さ,年齢,体重,一般的健康状態,性別,食餌,投与のモードおよび時間,排出速度,薬剤の組み合わせ,特定の状態の重篤度,および個々の進行中の治療によって異なるであろう。本発明の脂質化合物および/または医薬組成物は,1日に1−10回,例えば,1日に1回または2回の投与計画にしたがって投与することができる。ヒト患者に対する経口および非経口投与のためには,薬剤の1日投与量のレベルは1回投与でもよく分割投与でもよい。
【0112】
本発明の別の観点は,式(I)−(V)のいずれかの脂質化合物を含む脂質組成物に関連する。脂質組成物は,80−100重量%の範囲で式(I)−(V)の脂質化合物を含むことができ,ここで,すべての重量%は脂質組成物の総重量に基づく。脂質組成物は,例えば,少なくとも80重量%,少なくとも90重量%,または少なくとも95重量%の式(I)−(V)のいずれかの脂質化合物を含む。
【0113】
本発明の特定の態様においては,脂質組成物は,医薬組成物,栄養補助組成物または食品組成物である。
【0114】
脂質組成物はさらに,有効量の薬学的に許容しうる抗酸化剤,例えば,トコフェロールまたはトコフェロールの混合物を,脂質組成物の総重量に対して4mg/gまでの量で,例えば,0.05−0.4mg/gのトコフェロールを含んでいてもよい。
【0115】
本発明にしたがう脂質化合物および組成物は,広範な種類の疾病および状態を治療するのに有用であり,これは以下により詳細に説明する。
【0116】
適切には,式(I)−(V)のいずれかにしたがう脂質化合物は,核レセプターPPAR(ペルオキシソーム増殖因子活性化レセプター)アイソフォームαおよび/またはγおよび/またはδ,ならびにRXRを活性化することができる。
【0117】
さらに,本発明にしたがう脂質化合物は,NFκB(核因子カッパB)活性を制御または阻害することができる。
【0118】
NFκBを阻害および/または制御するのに特に好ましい化合物は,式(IV)および(V)の化合物,すなわち,n=1またはn=2により表される脂質化合物である。好ましくは,Rは水素原子を表す。
【0119】
本発明はまた,式(I)−(V)のいずれかにしたがう脂質化合物の,炎症性疾患または状態の治療および/または予防用の医薬品の製造における使用も提供する。
【0120】
炎症性疾患または状態の治療および/または予防に特に好ましい化合物は,式(IV)および(V)の化合物,すなわち,n=1またはn=2で表される脂質化合物である。好ましくは,Rは水素原子を表す。
【0121】
さらに別の観点においては,本発明は,血漿インスリン,血糖および/または血清トリグリセリドを低下させるための医薬品の製造における,式(I)−(V)のいずれかにしたがう脂質化合物の使用に関する。
【0122】
別の観点においては,本発明は,式(I)−(V)のいずれかにしたがう脂質化合物の,トリグリセリドレベル,LDLコレステロールレベル,および/またはVLDLコレステロールレベルの上昇,脂質異常症,例えば,高トリグリセリド血症(HTG),肥満または体重超過状態,体重増加,脂肪酸肝臓疾患,特に非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD),インスリン抵抗性,脂質異常症,末梢インスリン抵抗性および/または糖尿病性状態,特に2型糖尿病の予防および/または治療用の医薬品の製造における使用に関する。
【0123】
本発明はまた,式(I)−(V)のいずれかにしたがう脂質化合物の,上述の状態の治療および/または予防における使用に関する。
【0124】
さらに,本発明は,上述の状態を治療および/または予防する方法に関し,この方法は,治療を必要とする哺乳動物に,薬学的に活性な量の式(I)−(V)のいずれかにしたがう脂質化合物を投与することを含む。
【0125】
さらに,式(I)−(V)のいずれかにしたがう脂質化合物は,アテローム性動脈硬化症,炎症および癌および乾癬,慢性関節リウマチ等の慢性炎症性疾患,および脳疾患(MS,アルツハイマー)から選択される疾病の治療に用いることができる。
【0126】
医薬用途に加えて,式(I)−(V)のいずれかにしたがう脂質化合物は,栄養補助食品として使用することができる。したがって,さらに別の観点においては,本発明は,式(I)−(V)のいずれかにしたがう脂質化合物を含む食品,食品添加物,食品サプリメントまたは栄養食品製剤を提供する。
【0127】
式(I)−(V)のいずれかの脂質化合物を含む化粧品処方または製品は本発明の別の観点を形成する。
【0128】
さらに別の観点においては,本発明は,放射性標識した式(1)にしたがう化合物の類似体を提供する。このような放射性標識類似体は,診断方法,例えば,PETイメージングにおいて用いるのに特に有用である。
【0129】
本発明の脂質化合物の製造の間に形成される中間体の多くは,それ自体新規であり,有用な化合物であり,これらは本発明のさらに別の観点を形成する。そのような中間体の特定の例は,下記の反応スキームに見いだすことができる。
【実施例】
【0130】
以下に非限定的実施例により本発明をさらに説明する。
実施例1−一般的合成
一般式(I)の脂質化合物は,Wittigタイプの反応等のカルボニルオレフィン化反応,Peterson反応またはJulia反応の組み合わせにより製造することができる。より詳細には以下のようにして行う。RおよびRが水素であり,Xがカルボキシレートである一般式(I)の脂質化合物は,以下の方法により製造する。
【化88】

【0131】
アルデヒド(i)をホスホリルで安定化したカルボアニオン[(RO)P(O)CHCOR](ii)と反応させることにより,主として(E)−α,β−不飽和エステル(iii)が主要生成物として得られる。ホスホリルで安定化したカルボアニオンは,トリエチルホスホノアセテートまたはトリメチルホスホノアセテートを,DME(ジメトキシエタン),テトラヒドロフラン,ベンゼン,トルエン等の溶媒中で,塩基,例えば,水素化ナトリウム等のアルキル金属水素化物,ナトリウムメトキシド等の金属アルコキシド,ブチルリチウム等の有機金属化合物,リチウムジイソプロピルアミド等の金属アミド,または他の塩基で処理することにより生成することができる。反応は,−78℃から室温の反応温度で行うことができる。エステル(iii)は,エタノールまたはメタノール等の溶媒中で,水中の水酸化リチウム/ナトリウム/カリウム等の塩基を加えて,10−90℃の温度で加水分解して,カルボン酸の形にすることができる。所望の場合には,次にこれをエステル化またはアミド化することができる。エステル(iii)を還元して,アルコールまたはアルデヒドとすることができる。
【0132】
がアルキル基,フッ素またはアルコキシ基であり,Rが水素であり,Xがカルボキシレートである一般式(I)の脂質化合物は,以下の方法により製造する。
【化89】

【0133】
このプロセスは工程1と類似するが,ただし,ホスホネートは2位において,アルキル基,フッ素またはアルコキシ基で置換されている。
【0134】
がアルキル基であり,Rが水素であり,Xがカルボキシレートである一般式(I)の脂質化合物は,以下の方法により製造することができる。
方法1:Horner-Wadsworth-Emmons 反応
【化90】

方法2:Peterson 反応:
【化91】

【0135】
工程3は工程1および2と類似するが,ただし,反応温度は0から80℃に上昇させなければならない。
【0136】
工程4においては,α−トリメチルシリルアセテートのエノレートを用いてケトン(vi)からα,β−不飽和エステル(vii)を合成する。
【0137】
がアルキル基であり,Rが水素であり,Xがカルボキシレートである一般式(I)の脂質化合物はまた,以下の方法により製造することができる。
【化92】

【0138】
不飽和アルデヒド,Y−C(O)Hは,天然に生ずる不飽和脂肪酸;アルファリノレイン酸,オレイン酸,共役リノレイン酸,リノレイン酸,エイコサペンタエン酸等のカルボン酸エステルから,直接,ジイソブチル水素化アルミニウムを用いて−78℃で還元することにより,または還元してアルコールとし,次に酸化してアルデヒドとする2工程法により,製造することができる。アルデヒドは,Holmeideら(J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1,2000,2271)により記載されているように,ポリ不飽和脂肪酸EPAおよびDHAを分解することによっても製造することができる。この場合,精製したEPAまたはDHAから出発してもよいが,EPAおよびDHAを混合物中に含む魚油から出発することも可能である。これは,ヨードラクトン化反応において,DHAはEPAより速く反応して,ヨードδ−ラクトンを形成するためである(Corey et al,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1983,3581,Wright et al,J.Org.Chem.,1987,4399),Kuklev et al,Phytochemistry,1992,2401)。アルデヒドはまた,本発明の範囲内であるα,β−不飽和エステルから,ジイソブチル水素化アルミニウムを用いて−78℃で還元することにより,または還元してアルコールとし,次に酸化してアルデヒドとする2工程法によっても製造することができる。
【0139】
ケトンは,天然に生ずる不飽和酸から,ジエチルエーテル等の溶媒中で2当量のアルキルリチウムを用いて−78℃で反応させることにより製造することができる。これらはまた,上述したもの等のδアルデヒドから,ジエチル(2−オキソ−プロピル)ホスホネート等のβ−ケトホスホネートのアニオンとの反応により製造してもよい。
【0140】
Xがカルボン酸であり,リン脂質の形である一般式(I)の脂質化合物は,以下の方法により製造することができる。
【化93】

【0141】
sn−グリセロ−3−ホスホコリン(GPC)を活性化脂肪酸,例えば,脂肪酸イミダゾリドでアシル化することは,ホスファチジルコリン合成の標準的な方法である。これは通常,DMSOアニオンの存在下で,DMSOを溶媒として用いて実施する(Hermetter;Chemistry and Physicsoflipids,1981,28,111)。また,カドミウム(II)付加物としてのSn−グリセロ−3−ホスホコリンをDBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン]の存在下でイミダゾリド活性化脂肪酸と反応させて,それぞれの脂肪酸のホスファチジルコリンを製造してもよい(国際出願PCT/GB2003/002582)。酵素的ホスファチジル基転移は,ホスファチジルコリンをホスファチジルエタノールアミンに変換することにより行うことができる(Wang et al,J.Am.Chem.Soc.,1993,115,10487)。
【0142】
リン脂質を含有するポリ不飽和脂肪酸は,種々の方法により,主として,上述のようにリン脂質を化学合成することにより,リン脂質の酵素的エステル化およびエステル交換またはリン脂質の酵素的ホスファチジル基交換により製造することができる(Hosokawa,J.Am.Oil Chem.Soc.1995,1287,Lilja−Hallberg,Biocatalysis,1994,195)。そのような酵素的応用のためには,本発明の好ましい態様は,一般式I(式中,RおよびRは水素である)にしたがう脂質化合物である。
【0143】
Xがカルボン酸であり,トリリセリドの形である一般式(I)の脂質化合物は,下記の方法により製造することができる。過剰の新規脂肪酸をジメチルアミノピリジン(DMAP)および2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)を用いてグリセロールとカップリングさせることができる。
【0144】
Xがカルボン酸であり,ジグリセリドの形である一般式(I)の脂質化合物は,脂肪酸(2当量)を1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)および4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)の存在下でグリセロール(1当量)と反応させることにより製造することができる。
【0145】
Xがカルボン酸であり,モノグリセリドの形の一般式(I)の脂質化合物は次の方法により製造することができる。1,2−O−イソプロピリデン−sn−グリセロールをクロロホルム中でDCCおよびDMAPを用いて脂肪酸でアシル化してモノジエノイルグリセロールを得る。イソプロピリデン基の脱保護は,保護されたグリセロールを酸性(HCl,酢酸等)で処理することにより行うことができる(O’Brian,J.Org.Chem.,1996,5914)。
【化94】

【0146】
2位に脂肪酸を有するモノグリセリドを製造する慣用の合成法がいくつかある。1つの方法は,脂肪酸を1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドエン酸塩(EDC)および4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)の存在下でグリシドールでエステル化することを利用して,グリシジル誘導体を得ることを含む。グリシジル誘導体を無水トリフルオロ酢酸(TFAA)で処理した後にエステル交換することにより,モノグリセリドを得る(Parkkari et al,Bioorg.Med.Chem.Lett.2006,2437)。
【化95】

【0147】
脂肪酸誘導体のモノ−,ジ−およびトリ−グリセリドを製造するさらに別の慣用法は国際出願PCT/FR02/02831に記載されている。
【0148】
また,脂肪酸のモノ−,ジ−,トリ−グリセリドへの変換のために,酵素プロセス(リパーゼ反応)を用いることも可能である。真菌Mucormieheiからの1,3−位置特異的リパーゼを用いて,ポリ不飽和脂肪酸およびグリセロールからトリグリセリドまたはジグリセリドを製造することができる。別のリパーゼである,Candida antarticaからの非位置特異的酵母リパーゼは,ポリ不飽和脂肪酸からトリグリセリドを生成するのに非常に有効である(Haraldsson,Pharmazie,2000,3)。この酵素的用途のためには,本発明の好ましい態様は,RおよびRが水素である,一般式Iにしたがう脂質化合物である。
【0149】
本発明にしたがう脂質化合物の合成/製造
以下の実施例により本発明をさらに詳細に説明するが,これは本発明を限定するものと解釈してはならない。
【0150】
さらに,下記の実施例においては,構造はNMRにより確認した。NMRスペクトルはCDClでBruker Avance DPX200またはBruker Avance DPX300装置を用いて記録した。J値はHzで表される。質量分析はLC/MS Agilent1100シリーズを用い,G1956A質量分析機(エレクトロスプレイ,3000V)で記録した。不活性雰囲気下で進行するすべての反応は窒素雰囲気下で行った。
【0151】
略号
THF テトラヒドロフラン
EtOAc 酢酸エチル
DBU 1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン
LAH 水素化リチウムアルミニウム
BuLi ブチルリチウム
NaH 水素化ナトリウム
t 三重項
s 一重項
d 二重項
q 四重項
m 多重項
bs ブロードな一重項
【0152】
実施例1−エチル(2E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−2−メチル−ドコサ−2,7,10,13,16,19−ヘキサエノアート(1)
【化96】

トリエチル2−ホスホノプロピオナート(414μl,1.9mmol)を,乾燥THF(5ml)中の水素化ナトリウム(81mg,ミネラルオイル中60%分散液,2.0mmol)の懸濁液に0℃で加えた。室温で30分後,混合物を0℃に冷却し,THF(1ml)中の(all−Z)−イコサ−5,8,11,14,17−ペンタエナール(500mg,1.7mmol)を加えた。混合物を0℃で40分間撹拌した。飽和水性NHCl溶液を加え,相を分離した。水性相をヘキサン:EtOAc(8:2)の混合物で抽出した。合わせた有機相をブライン,水で洗浄し,乾燥した(MgSO)。溶媒を減圧下で蒸発させ,シリカゲル(9:1ヘキサン−EtOAc)でフラッシュクロマトグラフィーを行って,エステル1(550mg,85%),(2E:2Z=7:1(GC))を得た。
δ(300MHz):0.95(t,J7.5,3H,CH),1.25(t,J7.1,3H),1.51(m,2H),1.84(d,J1,CH3,3H),1.9−2.2(m,6H),2.7−2.9(m,8H),4.20(q,J7.1,2H),5.2−5.5(m,10H),6.88(td,J7.5,J1,1H)
【0153】
実施例2−(2E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−2−メチル−ドコサ−2,7,10,13,16,19−ヘキサエン酸(2)
【化97】

エチル(2E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−2−メチル−ドコサ−2,7,10,13,16,19,ヘキサエノアート(1)を加水分解し,シリカゲル(8:2ヘキサン−EtOAc)のフラッシュクロマトグラフィーにより立体異性体を分離した。
化合物2:E−異性体;δ(300MHz):0.96(t,J7.5,3H,CH),1.53(m,2H),1.82(d,J1,CH3,3H),1.9−2.2(m,6H),2.7−2.9(m,8H),5.2−5.5(m,10H),6.91(td,J7.5,J1,1H);δ(75MHz)11.93,14.23,20.51,25.50,25.60,26.82,28.29,28.39,126.97,127.26,127.83,128.04,128.06,128.20,128.27,128.51,129.29,131.97,144.87,173.80;
化合物28:Z−異性体:δ(300MHz):0.95(t,J7.5,3H,CH),1.48(m,2H),1.90(brd,J1.4,3H,CH),2.1−2.3(m,4H,),2.53(m,2H,),2.7−2.9(m,8H),5.2−5.5(m,10H),6.08(td,J7.4,J1.4,1H);δ(75MHz)14.25,20.48,20.54,25.53,25.62,26.92,29.35,29.45,126.83,127.02,127.89,128.01,128.14,128.17,128.20,128.38,128.54,129.69,132.02,146.45,173.21
【0154】
実施例3−エチル(2E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−3−メチル−ドコサ−2,7,10,13,16,19−ヘキサエノアート(3)の製造
【化98】

トリエチルホスホノアセテート(288μl,1.4mmol)を,室温で乾燥ベンゼン(8ml)中の水素化ナトリウム(58mg,ミネラルオイル中60%分散液,1.4mmol)の懸濁液に加えた。30分後,ベンゼン(4ml)中の(all−Z)−ヘンイコサ−6,9,12,15,18−ペンタエン−2−オン(400mg,1.3mmol)の溶液を加えた。混合物を室温で48時間撹拌した。水を加え,混合物をヘキサンで抽出した。抽出物を水で洗浄し,乾燥した(MgSO)。溶媒を減圧下で蒸発させ,次にシリカゲル(95:5ヘキサン−EtOAc)でフラッシュクロマトグラフィーを行って,エステル3(270mg,53%)を油状物として得た。H−NMR(200MHz,CDCl):δ0.94(t,3H),1.23(t,3H),1.49−1.57(m,2H),1.99−2.12(m,6H),2.12(s,3H),2.76−2.83(m,8H),4.10(q,2H),5.30−5.37(m,10H),5.63(s,1H);13C−NMR(50MHz,CDCl):δ14.18,14.25,18.61,20.48,25.46,25.56,25.59,26.63,27.26,28.06.40.33,59.33,126.93,127.78,128.00(2つのシグナル),128.16,128.17,128.42,128.47(2つのシグナル),129.29,131.92,159.64,166.68;
【0155】
実施例4−(2E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−3−メチル−ドコサ−2,7,10,13,16,19−ヘキサエン酸(4)の製造
【化99】

エチル(2E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−3−メチル−ドコサ−2,7,10,13,16,19−ヘキサエノアート(3)をメタノール(9ml)に溶解し,水(3ml)中のLiOH(220mg,4.89mmol)を加え,混合物を50℃で2時間加熱した。混合物を冷却し,希塩酸を加えてpH2とした。ジエチルエーテルで抽出し,乾燥し(MgSO),溶媒を減圧下で蒸発させて,酸4を得た。この酸をシリカゲル(8:2ヘキサン−EtOAc)でフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。δ(300MHz)0.95(t,J7.5,3H,CH),1.55(m,2H),2.0−2.2(m,6H),2.15(d,J1.3,3H,CH),2.7−2.9(m,8H),5.2−5.5(m,10H),5.68(brs,1H);δ(75MHz)14.24,19.04,20.53,25.51,25.60,25.62,25.64,26.67,27.28,40.67,115.24,126.99,127.84,128.05,128.11,128.19,128.22,128.53,128.57,129.23,132.00,163.05,172.31
【0156】
実施例5−(2E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−3−メチル−ドコサ−2,7,10,13,16,19−ヘキサエン−1−オール(5)
【化100】

エチル(2E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−3−メチル−ドコサ−2,7,10,13,16,19−ヘキサエノアート(2E:2Z=9:1),(0.40g,1.08mmol)を乾燥THF(5mL)に溶解し,乾燥THF(10mL)中のLAH(0.045g,1.19mmol)の冷却懸濁液に滴加した。混合物を不活性雰囲気下で0℃で30分間,次に周囲温度で18時間撹拌した。10%NHCl(20mL)を加えることにより反応をクエンチし,混合物をヘプタン(30mL)で2回抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(20mL)で洗浄し,乾燥した(NaSO)。フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン:EtOAc4:1)により精製して,0.16g(45%)の3−メチル−(2E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−2,7,10,13,16,19−ヘキサエン−1−オールを無色油状物として得た。
【0157】
化合物3,E−異性体:H−NMR(200MHz,CDCl):δ0.95(t,3H),1.32−1.50(m,2H),1.64(s,3H),1.97−2.09(m,6H),2.76−2.85(m,8H),4.11(d,J6.8,2H),5.27−5.42(m,11H);13C−NMR(50MHz,CDCl):δ14.21,16.12,20.50,25.48(2つのシグナル),25.58(3つのシグナル),26.79,27.59,39.04,59.28,123.42,126.96,127.83,127.94,127.98,128.08,128.16,128,37,128.50,130,23,131.98;MS(エレクトロスプレイ):351.2[M+Na]
化合物29,Z−異性体:
さらに溶出して,0.01g(28%)の(all−Z)−3−メチル−ドコサ−2,7,10,13,16,19−ヘキサエン−1−オール(29)を無色油状物として得た。H−NMR(200MHz,CDCl):δ0.95(t,3H),1.30−1.50(m,2H),1.71(s,3H),2.02−2.09(m,6H),2.76−2.85(m,8H),4.09(d,J7.1,2H),5.28(s,1H),5.31−5.41(m,10H);MS(エレクトロスプレイ):351.2[M+Na]
【化101】

【0158】
実施例6−エチル(2E,11Z,14Z,17Z)−2−メチル−エイコサ−2,11,14,17−テトラエノアート(6)
【化102】

トリエチルホスホノプロピオナート(386μl,1.8mmol)を,乾燥THF(5ml)中の水素化ナトリウム(72mg,ミネラルオイル中60%分散液,1.8mmol)の懸濁液に0℃で加えた。30分後,(all−Z)−オクタデカ−9,12,15−トリエナール(300mg,1.15mmol)のTHF(2ml)中の溶液を加えた。混合物を0℃で1時間撹拌した。NHClの水性溶液を加え,混合物をEtOAcで抽出した。抽出物を水で洗浄し,乾燥した(MgSO)。溶媒を減圧下で蒸発させ,次にシリカゲル(95:5ヘキサン−EtOAc)でフラッシュクロマトグラフィーを行って,エステル6(180mg,45%)を得た。δ(300MHz)0.95(t,J7.5,3H,CH),1.2−1.5(m,13H),1.80(s,CH3,3H),2.0−2.2(m,),2.78(t,J5.8,4H),4,16(q,J7.1,2H,CH),5.2−5.4(m,6H),6.73(dt,J7.5,J1.3,1H,);δ(75MHz)12.31,14,25,20,53,25,51,25.60,27.20,28,56,28.66,29.178,29.34,29.60,60.33,127.10,127.70,128.26,130.27,131.94,142.37,168.30
【0159】
実施例7−(2E,11E,14E,17E)−2−メチル−エイコサ−2,11,14,17−テトラエン酸(7)
【化103】

エチル(2E,11Z,14Z,17Z)−2−メチル−エイコサ−2,11,14,17−テトラエノアート(6)(160mg,0,46mmol)をメタノール(3ml)に溶解し,水(3ml)中のLiOH(193mg,4,6mmol)を加え,混合物を50℃で2時間加熱した。混合物を冷却し,希塩酸を加えてpH2とした。ジエチルエーテルで抽出し,乾燥し(MgSO),溶媒を減圧下で蒸発させて,酸7を得た。酸をシリカゲル(8:2ヘキサン−EtOAc)のフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。δ(300MHz)0.95(t,J7.5,3H,CH),1.2−1.5(m,10H),1.81(s,3H,CH),2.0−2.2(m,6H),2.79(t,J5.8,4H),5.2−5.4(m,6H),6.90(dt,J7.5,J1.3,1H);δ(75MHz)11.93,14.25,20.53,25.51,25.60,27.19,28.40,28.87,29.16,29.31,29.58,126.94,127.10,127.71,128.24,128.25,130.25,131.93,145.41,173.76
【0160】
実施例8−エチル(2Z/E,11E,14E,17E)−2−エチル−エイコサ−2,11,14,17−テトラエノアート(30)
【化104】

NaH(ミネラルオイル中60%,0.080g,2.00mmol)を不活性雰囲気下で乾燥THF(10mL)中に懸濁した。懸濁液を0℃に冷却し,トリエチル2−ホスホノブチラート(0.47mL,2.00mmol)を滴加し,0℃で20分間撹拌した。この混合物に,乾燥THF(5mL)中の(allZ)−オクタデカ−9,12,15−トリエナール(PRB−73,0.35g,1.33mmol)の溶液を加え,得られた混合物を周囲温度で30分間撹拌した。混合物をジエチルエーテル(25mL)で希釈し,水(20mL)で洗浄し,乾燥した(NaSO)。フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン:EtOAc98:2)により精製して,0.47g(99%)の表題化合物30(2E:2Z=1:1混合物)を得た。
H−NMR(200MHz,CDCl):
E−異性体:δ0.91−1.04(m,6H),1.23−1.41(m,13H),2.01−2.26(m,8H),2.76−2.81(m,4H),4.17(q,2H),5.28−5.41(m,6H),6.86(t,J7.53,1H)
Z−異性体:δ0.91−1.04(m,6H),1.23−1.41(m,13H),2.01−2.26(m,8H),2.76−2.81(m,4H),4.17(q,2H),5.28−5.41(m,6H),5.80(t,J7.39,1H)
13C−NMR(50MHz,CDCl):
Z−およびE−異性体:δ13.65,13.94,14.26(2つのシグナル),20.01,20.54,25.51,25.60,27.23(2つのシグナル),27.54,28.33,28.87,29.18,29.23,29.30,29.38,29.51,29.63,59.63,60.22,127.10,127.65,127.70,128.25(2つのシグナル),130.27,130.33,131.93,133.63,133.93,140.30,142.01,168.35(2つのシグナル)
MS(エレクトロスプレイ):383.8[M+Na]
【0161】
実施例9−(2E,11Z,14Z,17Z)−2−エチル−エイコサ−2,11,14,17−テトラエン−1−オール(9)
【化105】

乾燥THF(7mL)中のLAH(0.027g,0.70mmol)の懸濁液を不活性雰囲気下で0℃に冷却し,エチル(2E/Z,11Z,14Z,17Z)2−エチル−エイコサ−2,11,14,17−テトラエノアート(30)(2E:2Z=1:1),(0.23g,0.68mmol)の溶液を滴加した。混合物を0℃で30分間,次に周囲温度で30分間撹拌した。飽和NHCl(15mL)を加え,混合物をヘプタン(20mL)で2回抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(20mL)で洗浄し,乾燥した(NaSO)。フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン:EtOAc8:1)により精製して,0.050g(23%)の(2E,11Z,14Z,17Z)2−エチル−エイコサ−2,11,14,17−テトラエン−1−オール(9)を無色油状物として得た。H−NMR(200MHz,CDCl):δ0.82−1.04(2xt,6H),1.20−1.40(m,10H),1.99−2.17(m,8H),2.78(m,4H),4.12(s,2H),5.24−5.44(m,7H);13C−NMR(50MHz,CDCl):δ12.87,14.24,20.52,25.49,25.58,27.19,27.48,27.78,29.22(2つのシグナル),29.39,29.61,30.08,60.30,127.09,127.59,127.64,128.23(2つのシグナル)130.29,131.91,139.84;MS(エレクトロスプレイ):341.3[M+Na]
【0162】
さらに溶出(ヘプタン:EtOAc6:1)して,0.020g(18%)の(all−Z)2−エチル−エイコサ−2,11,14,17−テトラエン−1−オール(31)を淡黄色油状物として得た。H−NMR(200MHz,CDCl):δ0.82−0.99(2xt,6H),1.15−1.40(m,10H),1.95−2.15(m,8H),2.79(m,4H),4.02(s,2H),5.23−5.44(m,7H);13C−NMR(50MHz,CDCl);MS(エレクトロスプレイ):341.3[M+Na]
【0163】
実施例10−エチル(2E,5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−2−メチル−イコサ−2,5,8,11,14,17−ヘキサエノアート(8)
【化106】

トリエチル2−ホスホノプロピオナート(366μl,1.7mmol)を,0℃で乾燥THF(5ml)中の水素化ナトリウム(70mg,ミネラルオイル中60%分散液,1.75mmol)の懸濁液に加えた。0℃で50分後,混合物を−25℃に冷却し,THF(1ml)中の(all−Z)−オクタデカ−3,6,9,12,15−ペンタエナール(400mg,1.55mmol)を加えた。混合物を−25℃で50分間撹拌した。飽和水性NHCl溶液を加え,相を分離した。水性相をヘキサンで抽出した。合わせた有機相をブライン,水で洗浄し,乾燥した(MgSO)。溶媒を減圧下で蒸発させ,次にシリカゲル(95:5ヘキサン−EtOAc)フラッシュクロマトグラフィーを行って,エステル8を得た。δ(300MHz):0.95(t,J7.5,3H,CH),1.26(t,J7.1,3H),1.84(d,J1.3,3H,CH),2.05(m,2H),2.7−2.9(m,8H),2.92(t,J6.9,2H),4.16(q,J7.1,2H),5.2−5.5(m,11H);δ(75MHz)12.36,14.22,20.52,25.50,25.59,25.61,25.68,26.95,60.42,125.86,126.95,127.72,127.78,127.92,128.09,128.30,128.41,128.56,129.48,131.99,139.69,168.03;
【0164】
実施例11−エチル(2E/Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−エトキシ−ドコサ−2,7,10,13,16,19−ヘキサエノアート(32)
【化107】

NaH(ミネラルオイル中60%,0.28g,7.07mmol)を不活性雰囲気下で乾燥THF(10mL)に懸濁し,0℃にした。乾燥THF(10mL)中のトリエチル−2−エトキシ−2−ホスホノアセテート(3.79g,14.1mmol)の溶液を滴加し,得られた淡黄色溶液を0℃で20分間撹拌した。次に乾燥THF(10mL)中のオクタデカ−2E,6Z,9Z,12Z,15Z−ペンタエナール(1.35g,4.71mmol)を加え,混合物を周囲温度で2.5時間撹拌し,ジエチルエーテル(100mL)で希釈した。有機層を水(50mL)で洗浄し,乾燥した(NaSO)。フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン:EtOAc98:2)により精製して,1.36g(72%)の表題化合物32の2E−および2Z−異性体の1:1混合物を無色油状物として得た。H−NMR(200MHz,CDCl):δ0.95(t,3H),1.23−1.34(m,6H),1.35−1.52(m,2H),1.95−2.10(m,4H),2.20−2.50(2xm,2H),2.70−2.90(m,8H),3.60−3.90(2xq,2H),4.10−4.30(2xq,2H)5.21−5.45(m,10.5H),6.23(t,0.5H);MS(エレクトロスプレイ):423.3[M+Na]
【0165】
実施例12−エチル(2Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−エトキシ−ドコサ−2,7,10,13,16,19−ヘキサエノアート(33)
50mgの表題化合物の異性体の1:1混合物をそのまま,触媒量のチオフェノール(1滴)の存在下で不活性雰囲気下で100℃で3時間加熱した。混合物を冷却し,フラッシュクロマトグラフィーにより精製して,20mg(40%)の純粋なエチル(2Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)2−エトキシ−ドコサ−2,7,10,13,16,19−ヘキサエノアートを淡黄色油状物として得た。H−NMR(200MHz,CDCl):δ0.95(t,J7.50,3H),1.23−1.34(m,6H),1.40−1.54(m,2H),1.95−2.10(m,4H),2.22(q,J7.60,2H),2.70−2.90(m,8H),3.82(q,J7.05,2H),4.15−4.26(q,J7.11,2H)5.21−5.45(m,11H),6.23(t,J7.60,1H);MS(エレクトロスプレイ):423.3[M+Na]
【0166】
実施例13−2−エトキシ−ドコサ−2E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z−ヘキサエン酸(26)
【化108】

エタノール(8mL)中のエチル(2E/Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−2−エトキシ−ドコサ−2,7,10,13,16,19−ヘキサエノアート(32)(E:Z=1:1,0.40g,1.00mmol)の混合物に,不活性雰囲気下で水(3mL)中のLiOH・H0(0.33g,8.00mmol)の溶液を加えた。得られた不透明な混合物を30分間70℃にし,次に周囲温度で18時間撹拌した。1MHClをpH=1となるまで加え,混合物をヘプタン(15mL)で2回抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥し(NaSO),フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン:EtOAc9:1,次に4:1)により精製した。これにより,0.18g(48%)の表題化合物26を無色油状物として得た(2E:2Z=1:3)。
Z−異性体:δ0.91−0.99(t,J7.5,3H),1.28(t,J7.0,3H),1.48(quint,J7.4,2H),1.98−2.09(m,4H),2.24(q,J7.5,2H),2.70−2.90(m,8H),3.85(q,J7.0,2H),5.25−5.40(m,10H),6.42(t,J7.6,1H),10.74(s,broad,1H)
E−異性体:δ0.86(t,3H),1.34(t,J7.0,3H),1.42(m,2H),1.98−2.09(m,4H),2.54(q,J7.6,2H),2.70−2.90(m,8H),3.75(q,J6.9,2H),5.20−5.40(m,11H),10.74(s,broad,1H),(マイナー異性体);
E−およびZ−異性体:13C−NMR(75MHz,CDCl):δ14.23,15.33,20.53,25.52(2つのシグナル),25.61(3つのシグナル),26.94,28.45,28.55,30.05,30.34,68.30,98.01,126.99,127.85,128.05,128.07(2つのシグナル),128.18,128.22,128.25,128.46,128.53,129.33,131.72,132.00,174.90,(両方の異性体);MS(エレクトロスプレイ):371.2[M−H]
【0167】
実施例14−(2E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−2−エトキシ−ドコサ−2,7,10,13,16,19−ヘキサエン−1−オール(27)および(all−Z)2−エトキシ−ドコサ−2,7,10,13,16,19−ヘキサエン−1−オール(34):
【化109】

LAH(0.021g,0.55mmol)を乾燥THF(8mL)に懸濁し,不活性雰囲気下で0℃に保持した。この懸濁液に,乾燥THF(2mL)中のエチル−(2E/Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−2−エトキシ−ドコサ−2,7,10,13,16,19−ヘキサエノアート(32)(1:1,0.20g,0.50mmol)の溶液を滴加した。得られた混合物を0℃で10分間,次に周囲温度で50分間撹拌した。飽和NHCl(15mL)を加え,混合物をヘプタン(20mL)で2回抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(15mL)で洗浄し,乾燥した(NaSO)。フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン:EtOAc9:1)により精製して,0.033g(18%)の2−エトキシ−ドコサ−2E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z−ヘキサエン−1−オール(27)を無色油状物として得た。H−NMR(200MHz,CDCl):δ0.95(t,J=7.49Hz,3H),1.28(t,J=6.96Hz,3H),1.30−1.44(quint,J=7.62HZ,2H),1.95−2.09(m,6H),2.70−2.90(m,8H),3.68(q,J=6.97Hz,2H),4.12(d,J=5.31Hz,2H),4.46(t,J=7.58Hz,1H),5.26−5.38(m,10H);13C−NMR(50MHz,CDCl):δ14.24,14.56,20.53,25.51,25.60,25.74,26.62,30.91,59.43,62.20,99.42,126.99,127.86,127.98,128.05,128.11,128.20,128.39,128.54,129.85,132.01,153.48(2つのシグナルが隠れている);MS(エレクトロスプレイ):381.3[M+Na]
0.11g(61%)の(all−Z)2−エトキシ−ドコサ−2,7,10,13,16,19−ヘキサエン−1−オール(34)も無色油状物として単離した。H−NMR(200MHz,CDCl):δ0.94(t,J=7.51Hz,3H),1.25(t,J=7.02Hz,3H),1.30−1.50(quint,J=7.82Hz,2H),1.98−2.15(m,6H),2.70−2.85(m,8H),3.84(q,J=7.02Hz,2H),4.05(s,broad,1H),4.78(t,J=7.21Hz,1H),5.20−5.45(m,10H);13C−NMR(50MHz,CDCl):δ14.24,15.53,20.52,24.45,25.51,25.60,26.94,29.61,62.45,64.77,112.63,126.99,127.86,127.92,128.12,128.18,128.45,128.53,129.99,131.99,152.87(3つのシグナルが隠れている);MS(エレクトロスプレイ):381.3[M+Na]
【0168】
実施例15−エチル(2E,4E,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−2,4,6,11,14,17−ヘキサエノアート(12)
【化110】

水(286μl)中の炭酸カリウム(395mg,2.9mmol)を,(2E,6Z,9Z,12Z,15Z)−オクタデカ−2,6,9,12,15−ペンタエナール(370mg,1.4mmol)およびトリエチルホスホノアセテート(344ml,1.72mmol)の激しく撹拌した混合物に室温で加えた。混合物を室温で48時間撹拌し,水を加え,相を分離した。水性相をヘキサンで抽出した。合わせた有機相を水で洗浄し,乾燥した(MgSO)。溶媒を減圧下で蒸発させ,シリカゲル(95:5ヘキサン−EtOAc)でフラッシュクロマトグラフィーを行って,エステル(180mg,39%)を得,アルデヒドを回収した(80mg)。δ(300MHz):0.95(t,J7.5,3H,CH),1.26(t,J7.1,3H),2.04(m,2H),2.1−2.3(m,4H),2.7−2.9(m,6H),4.17(q,J7.1,2H),5.2−5.5(m,8H),5.77(d,J15.4,1H),6.1−6.2(m,2H),7.22(dd,J15.4,J9.9,1H);δ(75MHz)14.23,14.28,20.53,25.51,25.60,25.65,26.41,32.88,60.14,119.56,126.97,127.81,128.02,128.20,128.53,128.64,128.75,132.00,143.45,144.77,167.18;
【0169】
実施例16−(2E,4E,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−2,4,8,11,14,17−ヘキサエン酸(13)
【化111】

エチル(2E,4E,8Z,11Z,14Z,17Z)−イコサ−2,4,6,11,14,17−ヘキサエノアート(340mg,1.04mmol)をイソプロパノール(13ml)に溶解し,水(5ml)中のLiOH(87mg,2.1mmol)を加え,混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を水に注加し,pHをHClでpH2−3に調節した。溶液を酢酸エチル/ヘキサンで抽出し,乾燥し(MgSO),溶媒を減圧下で蒸発させて,酸13を得た。酸をシリカゲル(8:2ヘキサン−EtOAc)でフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。0.96(t,J7.5,3H,CH),2.04(m,2H),2.1−2.3(m,4H),2.7−2.9(m,6H),5.2−5.5(m,8H),5.77(d,J15.3,1H),6.1−6.2(m,2H),7.31(dd,J15.4,J10.1,1H);δ(75MHz)14.25,20.55,25.54,25.63,25.67,26.33,32.96,118.49,126.99,127.82,128.00,128.26,128.58,128.64,128.88,132.05,145.05,147.26,172.08
【0170】
実施例17−エチル(2E,4E,7Z,10Z,13Z−16Z−19Z)−ドコサ−2,4,7,13,16,19−ヘプタエノアート(14)
【化112】

工程1:
【化113】

エチル(all−Z)−2−メタンスルファニル−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサエノアート(2.00g,4.97mmol)をCHCl(50mL)に溶解し,不活性雰囲気下で−20℃に冷却した。
【0171】
CHCl(20mL)中の3−クロロ過安息香酸(mCPBA,1.01g,4.97mol)の溶液をこの混合物に5分間かけて滴加し,得られた混合物を−20℃で1時間撹拌した。冷却混合物を飽和NaSO(100mL)とジエチルエーテル(100mL)との間に分配した。有機層を飽和NaHCO(100mL)で2回洗浄し,乾燥した(NaSO)。フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン:EtOAC4:1,次に1:1,次にヘプタン:EtOAc)により精製して,0.73g(35%)のエチル(all−Z)−2−メタンスルフィニル−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサエノアートを無色油状物として得た。H−NMR(200MHz,CDCl):δ0.95(t,3H),1.28(t,3H),2.05(m,2H),2.64(s,3H),2.71−2.86(m,12H),3.48(m,1H),4.21(q,2H),5.27−5.49(m,12H);MS(エレクトロスプレイ):441.2[M+Na]
【0172】
工程2
【化114】

エチル(all−Z)−2−メタンスルフィニル−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサエノアート(PRB−66,0.68g,1.62mmol)を乾燥トルエン(40mL)に溶解し,CaCO(0.16g,1.62mmol)を加えた。この混合物を105℃で不活性雰囲気下で3時間撹拌し,冷却し,ヘプタン(50mL)で希釈し,1MHCl(50mL)およびブライン(50mL)で洗浄した。有機層を乾燥し(NaSO),フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン:EtOAc97:3)により精製して,0.38g(66%)の表題化合物14を淡黄色油状物として得た。H−NMR(200MHz,CDCl3.):δ0.95(t,J7.51,3H),1.25(t,J7.13,3H),2.05(quint,J7.35,2H),2.76−2.88(m,8H),3.06(t,J7.25,2H),4.19(q,J7.13,2H),5.28−5.44(m,10H),5.70−5.79(m,1H),5.87(d,J15.22,1H),6.12(dt,J11.53,0.71,1H),7.53−7.67(ddd,J15.24,J11.61,J1.02,1H);13C−NMR(75MHz,CDCl):δ14.20,14.24,20.49,25.48,25.57,25.59,25.62,26.50,60.23,121.80,126.45,126.58,126.96,127.68,127.79,127.92,128.26,128.43,128.50,129.40,131.94,138.53,138.86,167.01;MS(エレクトロスプレイ):377.2[M+Na]
【0173】
実施例18−(2E,4E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−2,4,7,10,13,16,19−ヘプタエン酸(15)
【化115】

エチル(2E,4E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−2,4,7,13,16,19−ヘプタエノアート(14),(0.26g,0.73mmol)をEtOH(10mL)に溶解し,水(2.5mL)中のLiOH(0.25g,5.9mmol)の混合物を加えた。混合物を周囲温度で不活性雰囲気下で17時間撹拌し,水(20mL)を加え,1MHClをpH=1となるまで加えた。この混合物をヘプタン(20mL)で2回抽出し,有機層を乾燥した(NaSO)。フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン:EtOAc2:1,次に1:1)により精製して,0.050g(21%)の表題化合物15を無色油状物として得た。H−NMR(200MHz,CDCl3.):δ0.95(t,J7.54,3H),2.05(quint,J7.51,2H),2.76−2.88(m,9H),3.06(t,2H),5.31−5.43(m,10H),5.84−5.91(m,1H),5.88(d,J15.17,1H),6.16(dt,J11.36,0.70,1H),7.63−7.77(ddd,J15.21,11.66,0.90,1H);MS(エレクトロスプレイ):325.1[M−H]
【0174】
実施例−19−(2E,4E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−2,4,7,10,13,16,19−ヘプタエン−1−オール(16)
【化116】

エチル(2E,4E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−2,4,7,10,13,16,19−ヘプタエノアート(14)(0.12g,0.34mmol)を乾燥THF(3mL)に溶解し,乾燥THF(7mL)中のLAH(0.013g,0.35mmol)の撹拌懸濁液に0℃で滴加した。混合物を0℃で45分間撹拌し,飽和NHCl(5mL)を加え,セライトの短いパッドを通して濾過した。セライトを水(10mL)およびヘプタン(10mL)で洗浄し,合わせた水性層をヘプタン(10mL)で抽出した。合わせた有機層を乾燥し(MgSO),フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン:EtOAc7:1)により精製した。これにより,0.070g(66%)の表題化合物16を無色油状物として得た。
H−NMR(200MHz,CDCl):δ0.95(t,J7.52,3H),2.05(quint,J7.34,2H),2.76−2.91(m,8H),2.96(m,2H),4.20(d,J5.67,2H),5.28−5.46(m,11H),5.78−5.87(dt,J15.12,5.80,1H),6.00(t,J10.81,1H),6.52(dd,J15.12,11.05,1H);13C−NMR(50MHz,CDCl):δ14.26,20.55,22.68,25.53,25.65,26.08,31.87,63.49,126.37,127.00,127.60,127.86,127.91,128.02(2つのシグナル),128.30(2つのシグナル),128.59,130.40,132.05,132.32(1つのシグナルが隠れている);MS(エレクトロスプレイ):335.2[M+Na]
【0175】
実施例20−エチル(2E,4E,8Z,11Z,14Z,17Z)−2−メチル−イコサ−2,4,8,11,14,17−ヘキサエノアート(10)
【化117】

トリエチル2−ホスホノプロピオナート(458μl,2.13mmol)を,0℃で乾燥THF(6ml)中の水素化ナトリウム(88mg,ミネラルオイル中60%分散液,2.2mmol)の懸濁液に加えた。0℃で50分後,混合物を−40℃に冷却し,THF(1ml)中の(2E,6Z,9Z,12Z,15Z)−オクタデカ−2,6,9,12,15−ペンタエナール(500mg,1.94mmol)を加えた。混合物をforat−40℃から−20℃で60分間撹拌した。飽和水性NHCl溶液を加え,相を分離した。水性相をジエチルエーテルで抽出した。合わせた有機相をブライン,水で洗浄し,乾燥した(MgSO)。溶媒を減圧下で蒸発させて,エステル10を得た。
【0176】
実施例21−(2E,4E,8Z,11Z,14Z,17Z)−2−メチル−イコサ−2,4,8,11,14,17−ヘキサエン酸(11)
【化118】

メタノール中のエチル(2E,4E,8Z,11Z,14Z,17Z)−2−メチル−イコサ−2,4,8,11,14,17−ヘキサエノアート(10)の溶液に,KOH(8当量)の水性溶液を加え,混合物を60−70℃で2時間加熱した。溶液を冷却し,水を加え,混合物を酸性にした。次に混合物を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相を水で洗浄し,乾燥した(MgSO)。溶媒を減圧下で蒸発させ,次にシリカゲル(8:2ヘキサン−EtOAc)でフラッシュクロマトグラフィーを行って,酸11を得た。δ(300MHz):0.96(t,J7.5,3H,CH),1.91(d,J0.75,3H,CH),2.08(m,2H),2.2−2.4(m,4H),2.7−2.9(m,6H),5.2−5.5(m,8H),6.11(dt,J15.0,J6.5,1H,),6.37(dd,J15.0,J11.3,1H),7.26(brd,J11.3,1H);δ(75MHz)12.16,14.24,20.53,25.52,25.61,25.67,26.57,33.24,124.44,126.34,126.97,127.82,128.04,128.21,128.54,128.70,128.74,132.01,140.79,143.47,174.28
【0177】
実施例22−エチル(2E,4E,8Z,11Z,14Z,17Z)−2−エチル−イコサ−2,4,8,11,14,17−ヘキサエノアート17
【化119】

乾燥THF(15mL)中のNaH(ミネラルオイル中60%,0.11g,2.79mmol)の懸濁液を不活性雰囲気下で0℃とし,トリエチル2−ホスホノブチラート(0.66mL,2.79mmol)を滴加した。混合物を0℃で10分間撹拌し,乾燥THF(5mL)中の(2E,6Z,9Z,12Z,15Z)−オクタデカ−2,6,9,12,15−ペンタエナール(0.48g,1.86mmol)の溶液を加え,0℃でさらに30分間撹拌した。混合物をジエチルエーテル(30mL)で希釈し,水(30mL)で洗浄し,乾燥した(NaSO)。フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン:EtOAc98:2)により精製して,0.39g(59%)のエステル17(2E:2Z=9:1)を無色油状物として得た。生成した混合物を2回目に精製した。今回はフラッシュ装置を用いるフラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン:EtOAc99:1)により行った。これにより,0.095g(14%)の純粋なエチル−(2E,4E,8Z,11Z,14Z,17Z)−2−エチル−エイコサ−2,4,8,11,14,17−ヘキサノアート(17)を無色油状物として得た。H−NMR(200MHz,CDCl):δ0.95(t,J7.53,3H),1.01(t,J7.44,3H),1.28(t,J7.12,3H),1.98−2.15(m,2H),2.15−2.29(m,4H),2.38(q,J7.44,2H),2.70−2.90(m,6H),4.18(q,J7.11,2H),5.22−5.44(m,8H),5.98−6.12(m,1H),6.28−6.41(dd,J11.20,J11.20,1H),7.09(d,J11.17,1H);13C−NMR(50MHz,CDCl):δ14.22,14.30,20.24,20.54,25.52,25.61,25.67,26.65,33.18,60.30,126.05,126.98,127.84,128.09,128.17,128.54,128.64,128.82,131.86,132.01,137.93,142.14,173.05,(1つのシグナルが隠れている);MS(エレクトロスプレイ):379.2[M+Na]
【0178】
少量(20mg,3%)のエチル(2Z,4E,8Z,11Z,14Z,17Z)−2−エチル−エイコサ−2,4,8,11,14,17−ヘキサノアート(35)も無色油状物として単離した。H−NMR(200MHz,CDCl):δ0.95(t,J7.52,3H),1.04(t,J7.36,3H),1.29(t,J7.14,3H),1.95−2.12(m,2H),2.15−2.25(m,6H),2.27(q,J7.36,2H),2.75−2.90(m,6H),4.18(q,J7.14,2H),5.22−5.44(m,8H),5.77−5.95(m,1H),6.29−6.34(dd,J0.82,11.09,1H),6.97−7.11(dd,J11.10,11.08,1H)
【0179】
実施例23−(2E,4E,8Z,11Z,14Z,17Z)−2−エチル−イコサ−2,4,8,11,14,17−ヘキサエン酸(18)
【化120】

エチル−(2E,4E,8Z,11Z,14Z,17Z)−2−エチル−エイコサ−2,4,8,11,14,17−ヘキサノアート(17)(0.040g,0.112mmol)をエタノール(4mL)に溶解し,水(1mL)中のLiOH・HO(0.038g,0.898mmol)の溶液を加えた。混合物を周囲温度で15時間,次に70℃で5時間撹拌した。混合物を冷却し,1MHClをpH=1となるまで加え,水(2mL)で希釈した。混合物をヘプタン(10mL)で2回抽出し,合わせた有機抽出物を乾燥した(NaSO)。フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン:EtOAc95:5,次に4:1)により精製して,0.028g(76%)の表題化合物を淡黄色油状物として得た。H−NMR(200MHz,CDCl):δ0.90−1.07(2xt,6H),2.00−2.10(m,2H),2.20−2.30(m,4H),2.35−2.50(q,2H),2.75−2.90(m,6H),5.27−5.44(m,8H),6.05−6.20(m,1H),6.30−6.43(m,1H),7.50−7.70(m,1H);MS(エレクトロスプレイ):327.2[M−H]
【0180】
実施例24−(2E,4E,8Z,11Z,14Z,17Z)−2−エチル−イコサ−2,4,11,14,17−ヘキサエン−1−オール(19)
【化121】

乾燥THF(2mL)中のLAH(0.007g,0.168mmol)の懸濁液を不活性雰囲気下で0℃に冷却した。この懸濁液に,エチル−(2E,4E,8Z,11Z,14Z,17Z)−2−エチル−エイコサ−2,4,8,11,14,17−ヘキサノアート(17)(E:Z=9:1,0.060g,0.168mmol)の溶液を滴加した。混合物を0℃で2時間撹拌し,次に周囲温度で17時間撹拌し,飽和NHCl(5mL)を加えた。混合物をヘプタン(10mL)で2回抽出し,合わせた有機抽出物をブライン(10mL)で洗浄し,乾燥した。(NaSO)。
【0181】
フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン:EtOAc6:1)により精製して,0.030g(57%)の(2E,4E,8Z,11Z,14Z,17Z)−2−エチル−エイコサ−2,4,8,11,14,17−ヘキサエン−1−オール(19)を無色油状物として得た。H−NMR(200MHz,CDCl):δ0.95(t,J7.5,3H),1.02(t,J7.5,3H),1.98−2.09(m,2H),2.12−2.26(m,6H),2.77−2.89(m,6H),4.07(s,2H),5.27−5.41(m,8H),5.61−5.75(m,1H),5.96(d,J10.9,1H),6.20−6.34(dd,J10.9,14.9,1H);13C−NMR(50MHz,CDCl):δ13.46,14.24,20.53,21.52,25.51,25.59,25.67,27.11,32.89,66.63,124.91,125.95,127.00,127.90,128.07,128.25(2つのシグナル),128.51,129.28,132.01,134.33,141.07;MS(エレクトロスプレイ):337.2[M+Na]
【0182】
少量の(2Z,4E,8Z,11Z,14Z,17Z)−2−エチル−エイコサ−2,4,8,11,14,17−ヘキサエン−1−オール(36,0.004g,7%)も無色油状物として単離した。H−NMR(200MHz,CDCl):δ0.95(t,J7.5,3H),1.05(t,J7.5,3H),1.95−2.09(m,2H),2.14−2.24(m,6H),2.76−2.84(m,6H),4.23(s,2H),5.23−5.45(m,8H),5.59−5.74(m,1H),5.89(d,J10.9,1H),6.29−6.42(dd,J10.9,16.8,1H)
【化122】

【0183】
実施例25−エチル(2E/Z,4E,13Z,16Z,19Z)−3−メチル−ドコサ−2,4,13,16,19−ペンタエノアート(37)
【化123】

トリエチル−3−メチル−4−ホスホノ−2−ブテノアート(0.32mL,1.09mmol)を乾燥THF(12mL)および乾燥DMPU(3mL)に溶解し,不活性雰囲気下で0℃にした。n−BuLi(0.68ml,1.09mmol)を滴加し,混合物を0℃で20分間撹拌し,次に−78℃にした。混合物を−78℃で5分間撹拌し,乾燥THF(3mL)中の(all−Z)−オクタデカ−9,12,15−トリエナール(0.22g,0.84mmol)を滴加し,混合物を80分間かけてゆっくり−10℃にした。飽和NHCl(20mL)を加え,混合物をヘプタン(30mL)で2回抽出した。有機層を乾燥し(NaSO),フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン:EtOAc98:2)により精製した。これにより,0.31g(95%)の表題化合物のE−およびZ−異性体の1:1混合物を無色油状物として得た。H−NMR(200MHz,CDCl):δ0.95(t,6H),1.20−1.50(m,26H),1.95(s,3H),1.98−2.35(m,12H),2.40(s,3H),2.78(m,8H),4.13(q,4H),5.25−5.40(m,12H),5.57(s,1H),5.66(s,1H),6.04−6.16(m,2H),7.54(d,1H);MS(エレクトロスプレイ):395.3[M+Na]
【0184】
実施例26−(2E,4E,13Z,16Z,19Z)−3−メチル−ドコサ−2,4,13,16,19−ペンタエン酸(20)
【化124】

エチル(2E/Z,4E,13Z,16Z,19Z)−3−メチル−ドコサ−2,4,13,16,19−ペンタエノアート(37)(2E:2Z=1:1,0.30g,0.81mmol)をEtOH(10mL)に溶解し,水(2.5mL)中のLiOH・HO(0.27g,6.44mmol)を加えた。混合物を70℃で不活性雰囲気下で2時間撹拌し,冷却し,1MHClをpH=1となるまで加えた。混合物をヘプタン(30mL)で2回抽出し,合わせた有機層を乾燥した(NaSO)。フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン:EtOAc4:1)により精製して,0.090g(32%)の表題化合物を無色油状物として得た。H−NMR(200MHz,CDCl):δ0.95(t,3H),1.25−1.50(m,10H),1.98−2.15(m,7H),2.20−2.30(m,2H),2.79(m,4H),5.27−5.42(m,6H),5.61(s,1H),6.11−6.21(dt,J15.8,J7.0,1H),7.53(d,J15.8,1H),11.70(brs,1H).13C−NMR(75MHz,CDCl):δ14.25,20.53,21.33,25.51,25.60,27.21,29.06,29.20,29.26,29.36,29.61,33.41,115.01,127.11,127.59,127.66,128.24,128.26,130.32,131.92,140.31,153.89,171.81;
MS(エレクトロスプレイ):345.3[M+H],367.3[M+Na]
【0185】
実施例27−(2E,4E,13Z,16Z,19Z)−3−メチル−ドコサ−2,4,13,16,19−ペンタエン酸(21)
【化125】

乾燥THF(8mL)中のLAH(0.011g,0.282mmol)の懸濁液を不活性雰囲気下で0℃とし,乾燥THF(2mL)中のエチル(2E/Z,4E,13Z,16Z,19Z)−3−メチル−ドコサ−2,4,13,16,19−ペンタエノアート(2E:2Z=1:1,0.10g,0.268mmol)の溶液を滴加した。混合物を0セ氏で1時間,次に周囲温度で30分間撹拌し,次に10%NHCl(10mL)を加えた。s混合物をヘプタン(20mL)で2回抽出し,合わせた有機抽出物をブライン(20mL)で洗浄し,乾燥した(NaSO)。フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン:EtOAc9:1)により精製して,0.030g(34%)の(2E,4E,13Z,16Z,19Z)−3−メチル−ドコサ−2,4,13,16,19−ペンタエン−1−オール(21)を無色油状物として得た。H−NMR(200MHz,CDCl):δ0.96(t,J7.5,3H),1.20−1.40(m,10H),1.76(s,3H),1.99−2.13(m,6H),2.76−2.82(m,4H),4.24(d,J6.93,2H),5.26−5.41(m,6H),5.54(t,J6.9,1H),5.60−5.75(dt,J15.6,6.9,1H),6.05(d,J15.6,1H);13C−NMR(50MHz,CDCl):δ12.59,14.26,20.54,25.51,25.61,27.22,29.18,29.23,29.38,29.48,29.62,32.83,59.35,127.11,127.66(2つのシグナル),128.26(2つのシグナル),130.34,130.66,131.94,133.88,136.62;MS(エレクトロスプレイ):353.3[M+Na]
【0186】
(2Z,4E,13Z,16Z,19Z)−3−メチル−ドコサ−2,4,13,16,19−ペンタエン−1−オール(38)を無色油状物として単離した(0.04g,45%)。
【化126】

H−NMR(200MHz,CDCl):δ0.96(t,J7.5,3H),1.20−1.45(m,10H),1.83(s,3H),1.98−2.15(m,6H),2.76−2.82(m,4H),4.25(d,J7.19,2H),5.26−5.49(m,7H),5.68−5.83(dt,J15.50,6.95,1H),6.39(d,J15.5,1H);13C−NMR(50MHz,CDCl):δ14.07,20.59,22.68,25.51,25.60,27.22,29.01,29.22,29.39,29.63,31.87,33.24,58.38,126.06,126.21,127.11,127.67,128.25(2つのシグナル),130.32,131.93,133.16,135.76;MS(エレクトロスプレイ):353.3[M+Na]
【0187】
実施例28−エチル(2Z/2E,4E,13Z,16Z,19Z)−2−エチル−ドコサ−2,4,13,16,19−ヘプタエノアート(22)
【化127】

工程1:
【化128】

ジイソプロピルアミン(0.84mL,5.98mmol)を乾燥THF(20mL)に溶解し,不活性雰囲気下で0℃に冷却した。n−BuLi(ヘキサン中1.6M,3.58mL,5.72mmol)を滴加した。混合物を0℃で10分間撹拌し,次に−78℃に冷却した。乾燥THF(20mL)中のエチル(allZ)−2−エチル−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサエノアート(2.00g,5.20mmol)の混合物を20分間かけて滴加し,得られた暗緑色溶液を−78℃で10分間撹拌し,次に乾燥THF(10mL)中のI(1.98g,7.80mmol)の溶液を加えた。次に混合物を80分間かけて周囲温度とし,飽和NaSO(40mL)とヘプタン(40mL)との間に分配した。水性層をヘプタン(40mL)で抽出し,合わせた有機抽出物を1MHCl(40mL)で洗浄し,乾燥した(NaSO)。フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン:EtOAc98:2)により精製して,1.70g(64%)のエチル(all−Z)−2−エチル,2−ヨード−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサエノアートを得た。(H−NMR(200MHz,CDCl):δ0.88−0.99(m,6H),1.19−1.31(m,4H),1.98−2.19(m,4H),2.75−2.95(m,12H),5.28−5.45(m,12H);MS(エレクトロスプレイ):533.2[M+Na]
【0188】
工程2:
【化129】

エチル(all−Z)−2−エチル−2−ヨード−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサエノアート(1.55g,3.04mmol)を不活性雰囲気下で乾燥ジエチルエーテル(50mL)に溶解し,DBU(0.45mL,3.04mmol)を加えた。混合物を周囲温度で23時間撹拌し,ヘプタン(50mL)で希釈し,有機層を飽和NHCl(50mL)で洗浄した。水性層をヘプタン(40mL)で抽出し,合わせた有機抽出物を0.1MHCl(40mL)で洗浄し,乾燥した(NaSO)。フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン:EtOAc98:2)により精製して,1.16g(quant)の表題化合物22(E/Z=4:1)を無色油状物として得た。
H−NMR(200MHz,CDCl):
E−異性体:δ0.84−0.99(2xt,6H),1.19−1.28(t,3H),2.01−2.09(m,4H),2.76−2.95(m,10H),4.11(q,2H),5.20−5.45(m,10H),5.55−5.75(m,1H),6.00−6.20(m,2H)
Z−異性体:δ0.84−0.99(2xt,6H),1.19−1.28(t,3H),1.70−1.90(m,2H),2.01−2.09(m,2H),2.76−2.95(m,10H),4.23(q,2H),5.20−5.45(m,11H),5.55−5.75(m,1H),6.10−6.20(m,1H)
MS(エレクトロスプレイ):405.3[M+Na]
【0189】
実施例29−(2E,4E,13Z,16Z,19Z)−2−エチル−ドコサ−2,4,13,16,19−ヘプタエン−1−オール(23)
【化130】

乾燥THF(10mL)中のLAH(0.044g,1.15mmol)の懸濁液を不活性雰囲気下で0℃にし,乾燥THF(5mL)中のエチル(2E/Z,4E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−2−エチル−ドコサ−2,4,7,10,13,16,19−ヘプタエノアート(2E:2Z=1:1,0.40g,1.05mmol)の混合物を滴加した。混合物を0℃で1時間,次に周囲温度で1時間撹拌し,飽和NHCl(10mL)を加えることによりクエンチした。混合物をヘプタン(20mL)で2回抽出し,合わせた有機抽出物をブライン(20mL)で洗浄し,乾燥した(NaSO)。フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン:EtOAc9:1)により精製して,0.110(31%)の(2E,4E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−2−エチル−ドコサ−2,4,7,10,13,16,19−ヘプタエン−1−オール(23)を無色油状物として得た。H−NMR(200MHz,CDCl):δ0.84−0.99(2xt,6H),2.01−2.20(m,4H),2.77−2.90(m,8H),2.92−2.98(m,2H),3.50(m,2H),5.28−5.41(m,10H),6.00−6.45(m,3H);13C−NMR(50MHz,CDCl):δ11.64,14.25,20.54,24.00,25.52,25.62,25.63,26.16,47.80,65.78,126.80,126.99,127.70,127.83,127.97,128.30,128.50,128.56,128.71,130.03,132.02,132.68,133.09,135.51;MS(エレクトロスプレイ):363.2[M+Na]
【0190】
0.040g(11%)の(2Z,4E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−2−エチル−ドコサ−2,4,7,10,13,16,19−ヘプタエン−1−オール(39)も無色油状物として単離した。H−NMR(200MHz,CDCl):δ0.86−0.99(2xt,6H),2.02−2.19(m,4H),2.76−2.90(m,10H),3.53(m,2H),5.23−5.44(m,13H);13C−NMR(50MHz,CDCl):δ11.38,14.25,20.54,23.41,25.52,25.63(2つのシグナル),28.51,42.58,65.23,126.99,127.86,128.10,128.12,128.14,128.16,128.26(2つのシグナル),128.56,129.09,132.03,(3つのシグナルが隠れている)。
【化131】

【0191】
実施例30−エチル(2E,4E,6E,10Z,13Z,16Z,19Z)−3−メチル−ドコサ−2,4,6,10,13,16,19−ヘプタエノアート(24)
【化132】

無水THF−DMPU(20ml)の5:1混合物中のトリエチル3−メチル−4−ホスホノ−2−ブテノアート(485μl,1.96mmol)の溶液を0℃に冷却し,n−BuLi(ヘキサン中2.5M,760μl,1.90mmol)を加えた。混合物を0℃で20分間撹拌し,次に−78℃に冷却した。THF(2ml)中の(2E,6Z,9Z,12Z,15Z)−オクタデカ−2,4,6,10,13,16,19−ペンタエナールの溶液を加え,反応混合物を−78℃で1時間撹拌した。次に混合物を1時間かけて0℃まで暖めた。次に,飽和水性NHCl溶液を加え,相を分離した。水性相を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相を水で洗浄し,乾燥した(MgSO)。溶媒を減圧下で蒸発させ,次にシリカゲルでフラッシュクロマトグラフィー(95:5ヘキサン−EtOAc)を行って,エステルを得た(120mg)。
【0192】
実施例31−エチル(2E,4E,6E,10Z,13Z,16Z,19Z)−3−メチル−ドコサ−2,4,6,10,13,16,19−ヘプタエノアート(25)
【化133】

メタノール中のエステルの溶液に,KOH(8当量)の水性溶液を加え,混合物を60−70℃で2時間加熱した。溶液を冷却し,水を加え,混合物を酸性にした。次に混合物を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相を水で洗浄し,乾燥した(MgSO)。溶媒を減圧下で蒸発させて,酸を得た。δ(300MHz):0.95(t,J7.5,3H,CH),2.05(2H,m),2.15−2.25(4H,m),2.28(d,J0.93,3H),2.7−2.9(m,6H),5.2−5.5(m,8H),5.75(bs,1H),5.85−5.95(m,1H),6.10−6.25(2H,m),6.60(dd,J15.3,J10.4,1H);δ(75MHz)13.91,14.27,20.55,25.54,25.63,25.69,26.76,32.92,117.70,126.99,127.86,128.13,128.17,128.56,128.60,128.92,130.48,132.05,133.54,135.78,139.02,155.21,172.15
【0193】
生物学的活性
試験例1:活性化およびヒトPPARα,γ,δおよびRXRαのリガンド結合ドメインへの結合
新規化合物の,ヒト(h)の核レセプターPPARα,PPARγ,PPARδまたはRXRαのリガンド結合ドメイン(LBD)に対する活性化および結合を測定した。
【0194】
この実験には過渡的トランスフェクション遺伝子/細胞系を用いた。キメラコンストラクトは,ヒトLBDから作成した。PPARα,PPARγ,PPARδまたはRXRαのDBDをGAL4DBDで置き換えた。以下のプラスミドコンストラクトを作成した:pSG5−GAL4−hPPARα,pSG5−GAL4−hPPARγ,pSG5−GAL4−hPPARδおよびpSG5−GAL4−hRXRα。プラスミド,キメラおよびレポーターLUCをCOS−1細胞にトランスフェクションし,方法の項に記載されるようにして,ルシフェラーゼ蛋白質を分析した。
【0195】
PPARαリガンド(Wy14.643),RXRαリガンド(9−cis−レチノイン酸)およびPPARγリガンド:ロシグリタゾンおよびPPARδリガンド:ベザフィブレートを陽性対照として用いた。
【0196】
方法:
脂肪酸/リガンド
Wy−14.643,9−cis−レチノイン酸(9−cis−RA)またはロシグリタゾンおよび新規化合物(ストック溶液)を0.1Mの最終濃度でDMSO中に溶解した。次に,DMSO中で溶解して10mMとし,アルゴンでフラッシングした1.5mlチューブ(homoplymer,プラスチックチューブ)中で−20℃で保存した。
【0197】
細胞培養
COS−1細胞(ATCC番号CRL1650)を,L−グルタミン(2MM),ペニシリン(50U/ml),ストレプトマイシン(50μG/mL),ファンギゾン(fungizone)(2.5μg/mL),および10%不活性化FBSを補充したDMEM中で培養した。細胞を5%COおよび95%空気の湿潤雰囲気中で37℃でインキュベーションし,過渡的トランスフェクションに用いた。3日ごとに各フラスコの細胞を新鮮な培地を含む新たなフラスコに分けて入れた。
【0198】
トランスフェクション
トランスフェクションの1日前に,細胞(1.5X1mil)を30mm組織培養皿(6ウエルプレート)に播種した。リポフェクタミン2000による過渡的トランスフェクションは先に記載されているようにして実施した(Invitrogen,Carlsbad,CA)。各ウエルに,990ngのプラスミド,320ngのレポーター((UAS)5−tk−LUC(UASは上流活性化配列であり,LUCはルシフェラーゼである),640ngのpGL3basic(空ベクター)および30ngの発現プラスミド(pSG5−GAL4−hPPARα,pSG5−GAL4−hPPARγ,pSG5−GAL4−hPPARδまたはpSG5−GAL4−hRXRα,これらはヒト(h)PPARα,PPARγ,PPARδおよびRXRαのリガンド結合ドメイン(LBD)を含むキメラ発現コンストラクトである)を加えた。LPGs,Wy14.643,9cisRAまたはBRL(10μM)およびDMSO(対照)をトランスフェクションの5時間後に培地に加えた。トランスフェクションした細胞は24時間維持した後,レポーター溶解バッファにより溶解した。LPGsまたはリガンドがPPARのLBDに結合すると,GAL4のUASへの結合が活性化され,次にこれはtkプロモーターを刺激してルシフェラーゼを発現させる。ルシフェラーゼ活性はルミノメータ(TD−20/20 luminometer;Turner Designs,Sunnycvale,CA)を用いて測定し,蛋白質含有量に対して標準化した。
【0199】
結果:
表1に示す結果は本発明に含まれるいくつかの新規化合物が選択的PPARα調節剤/活性化剤である可能性を有することを示す(化合物4,11および13)。この結果はまた,いくつかの化合物はRXRαリガンドであることに加えてPPARパン調節剤/活性化剤であることを示す(化合物25)。
【0200】
【表1】

表1:新規化合物が10μM濃度でヒトPPARα,γおよびδならびにヒトRXRαのリガンド結合ドメインに結合したリガンド結合の結果としてのルシフェラーゼ活性化(活性化の倍率)
【0201】
試験例2:ヒト単球細胞株におけるNF−κBの阻害
方法
物質
新規化合物およびDHAをDMSO中に12.5μMで溶解し,アルゴンでフラッシングし,−20℃で保存した。DMSO中10μMのデキサメタゾンを陽性対照として用いた。
【0202】
細胞培養
U937−3xkB−LUC細胞(Carlsen,J.Immun,2002)をL−グルタミン(2nM),ペニシリン(50U/ml),ストレプトマイシン(50mg/ml),ハイグロマイシン(75ug/ml),10%ウシ胎児血清を加えたRPMI−1640培地で37C,5%COで培養した。細胞を1%ウシ胎児血清を培地に加えた24ウエルプレートに播種した。リポ多糖(LPS)(1ug/ml)またはヒトTNF−α(10ng/ml)によりNF−κB活性を誘導した。細胞の生存率はトリパンブルー染色により測定した。
【0203】
ルシフェラーゼ活性アッセイ
ルシフェラーゼ活性は,IVIS Imaging System,Xenogen Corp.,USAを用いるイメージングにより測定した。発光は,細胞培養物に1mlあたり0.2mgのd−ルシフェリンを加えた1分および5分後に測定した。Living Image Software(Xenogen Corp.,USA)を用いて,各ウエルあたりの1秒あたりの光子の数を計算した。
【0204】
結果
本発明に含まれるいくつかの化合物は,NF−κB経路の強力な阻害剤である(化合物13および25)。デキサメタゾンと同様の阻害効力を有する化合物が2つあった。図1を参照(U937 3xkB−LUC細胞を12.5μMの物質またはベヒクル対照とともに18時間プレインキュベートした後,LPSとTNFαを用いてNF−kBを誘導した。NF−kB活性化の6時間後に発光を測定した)。
【図面の簡単な説明】
【0205】
【図1】図1は本発明の化合物によるNF−kBの阻害を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

[式中,
n=0−2であり;
およびRは,同一または異なり,水素原子,アルキル基,ハロゲン原子,およびアルコキシ基からなる置換基の群より選択され;
XはCORまたはCHORであり,ここで,
は,水素,ヒドロキシ,アルコキシ,およびアミノからなる群より選択され,
ここで,RがヒドロキシであるときXはさらにカルボン酸誘導体を含み;および
は,水素,アルキルまたはアシルからなる群より選択され,
Yは,EまたはZコンフィギュレーションの1またはそれ以上の二重結合を有するC−C21のアルケンである]
の脂質化合物またはその薬学的に許容しうる複合体,溶媒和物またはプロドラッグ。
【請求項2】
次式:
【化2】

で表される,請求項1記載の脂質化合物。
【請求項3】
前記カルボン酸誘導体は,リン脂質,またはモノ−,ジ−またはトリグリセリドからなる群より選択される,請求項1または2に記載の脂質化合物。
【請求項4】
およびRは,同一または異なり,水素原子,C−Cアルキル基,C−Cアルコキシ基およびハロゲン原子からなる置換基の群より選択される,請求項1−3のいずれかに記載の脂質化合物。
【請求項5】
およびRは,同一または異なり,水素原子,C−Cアルキル基,C−Cアルコキシ基,およびハロゲン原子からなる置換基の群より選択される,請求項1−3のいずれかに記載の脂質化合物。
【請求項6】
はC−C−アルコキシ基である,請求項1−5のいずれかに記載の脂質化合物。
【請求項7】
はC−C−アルコキシ基である,請求項6記載の脂質化合物。
【請求項8】
はヒドロキシ基である,請求項1−5のいずれかに記載の脂質化合物。
【請求項9】
はC−C−アルキル基である,請求項1−5のいずれかに記載の脂質化合物。
【請求項10】
はC−C−アルキル基である,請求項1−5のいずれかまたは請求項9に記載の脂質化合物。
【請求項11】
はC−Cアシル基である,請求項1−5のいずれかに記載の脂質化合物。
【請求項12】
はC−Cアシル基である,請求項11記載の脂質化合物。
【請求項13】
炭素原子2と3の間の二重結合はE−コンフィギュレーションである,請求項1−12のいずれかに記載の脂質化合物。
【請求項14】
Yのω−3位に炭素−炭素二重結合を含む,請求項1−13のいずれかに記載の脂質化合物。
【請求項15】
Y鎖が未置換である,請求項1−14のいずれかに記載の脂質化合物。
【請求項16】
およびRは同一または異なり,メチル基,エチル基,および水素原子から選択される,請求項1−5のいずれかに記載の脂質化合物。
【請求項17】
およびRは異なり,一方はC−Cアルコキシであり,他方は水素である,請求項1−5のいずれかに記載の脂質化合物。
【請求項18】
炭素原子2と3との間の二重結合がZ−コンフィギュレーションである,請求項17記載の脂質化合物。
【請求項19】
前記ハロゲン原子がフッ素である,請求項1−5のいずれかに記載の脂質化合物。
【請求項20】
Yは2−6個の二重結合を有するC14−C19アルケンである,請求項1−19のいずれかに記載の脂質化合物。
【請求項21】
Yは2−6個のメチレン中断二重結合をZコンフィギュレーションで有するC14−C19アルケンである,請求項20記載の脂質化合物。
【請求項22】
nは0であり,次式:
【化3】

で表される,請求項1−15のいずれかに記載の脂質化合物。
【請求項23】
XはCORであり,ここで,Rはヒドロキシ基またはC−Cアルコキシ基であり;
およびRは,同一または異なり,水素原子,C−Cアルキル基,C−Cアルコキシ基,およびハロゲン原子から選択され;および
Yは2−6個の二重結合を有するC13−C19アルケンである,
請求項22記載の脂質化合物。
【請求項24】
XはCORであり,ここで,Rはヒドロキシ基またはC−Cアルコキシ基であり;
およびRは異なり,一方は水素原子を表し,他方はC−Cアルキル基またはC−Cアルコキシ基を表し;および
Yは3−5個の二重結合を有するC17−C19アルケンである,
請求項22または23に記載の脂質化合物。
【請求項25】
以下の脂質化合物1−4および6−8,および26:
【化4】

から選択される,請求項22−24のいずれかに記載の脂質化合物。
【請求項26】
XはCHORであり,ここで,Rは水素またはC−Cアシル基であり;
およびRは,同一または異なり,水素原子,C−Cアルキル基,C−Cアルコキシ基,およびハロゲン原子から選択され;および
Yは2−6個の二重結合を有するC14−C20アルケンである,
請求項22記載の脂質化合物。
【請求項27】
XはCHORであり,ここでRは水素であり;および
およびRは異なり,一方は水素原子を表し,他方はC−Cアルキル基またはC−Cアルコキシ基を表し;
Yは3−5個の二重結合を有するC17−C19アルケンである,
請求項22または26に記載の脂質化合物。
【請求項28】
以下の脂質化合物5,9,および27:
【化5】

から選択される,請求項22または26−27に記載の脂質化合物。
【請求項29】
nは1であり,次式:
【化6】

で表される,請求項1−15のいずれかに記載の脂質化合物。
【請求項30】
XはCORであり,ここで,Rはヒドロキシ基またはC−Cアルコキシ基であり;
およびRは,同一または異なり,水素原子,C−Cアルキル基,およびハロゲン原子から選択され;および
Yは2−6個の二重結合を有するC11−C17アルケンである,
請求項29記載の脂質化合物。
【請求項31】
XはCORであり,ここで,Rはヒドロキシ基またはC−Cアルコキシ基であり;および
およびRは異なり,一方は水素原子であり,他方はC−Cアルキル基であり;
Yは3−5個の二重結合を有するC15−C17アルケンである,
請求項29または30に記載の脂質化合物。
【請求項32】
以下の脂質化合物10−11,17−18,20,および22:
【化7】

から選択される,請求項29−31のいずれかに記載の脂質化合物。
【請求項33】
XはCORであり,ここで,Rはヒドロキシ基またはC−Cアルコキシ基であり;
およびRは水素であり;および
Yは2−6個の二重結合を有するC11−C17アルケンである,
請求項29または30に記載の脂質化合物。
【請求項34】
XはCORであり,ここで,Rはヒドロキシ基またはC−Cアルコキシ基であり;
およびRは水素であり;および
Yは4−5個の二重結合を有するC15−C17アルケンである,
請求項29−30または33のいずれかに記載の脂質化合物。
【請求項35】
以下の脂質化合物12−15:
【化8】

から選択される,請求項29−30または33−34のいずれかに記載の脂質化合物。
【請求項36】
XはCHORであり,ここで,Rは水素原子またはC−Cアシル基であり;
およびRは,同一または異なり,水素原子,C−Cアルキル基,およびハロゲン原子から選択され;および
Yは2−6個の二重結合を有するC11−C17アルケンである,請求項29記載の脂質化合物。
【請求項37】
XはCHORであり,ここでRは水素であり;
およびRは異なり,一方は水素原子を表し,他方はC−Cアルキル基を表し;および
Yは3−5個の二重結合を有するC15−C17アルケンである,
請求項29または36に記載の脂質化合物。
【請求項38】
以下の脂質化合物19,21,および23:
【化9】

から選択される,請求項29または36−37に記載の脂質化合物。
【請求項39】
XはCHORであり,ここでRは水素であり;
およびRは同一であって,水素原子を表し;および
Yは2−6個の二重結合を有するC11−C17アルケンである,
請求項29または36に記載の脂質化合物。
【請求項40】
XはCHORであり,ここでRは水素であり;
およびRは同一であって,水素原子を表し;および
Yは5個の二重結合を有するC17アルケンである,
請求項29または39に記載の脂質化合物。
【請求項41】
以下の脂質化合物16:
【化10】

である,請求項29または39−40に記載の脂質化合物。
【請求項42】
nは2であり,次式:
【化11】

で表される,請求項1−15のいずれかに記載の脂質化合物。
【請求項43】
XはCORであり,ここで,Rはヒドロキシ基またはC−Cアルコキシ基であり;
およびRは,同一または異なり,水素原子,C−Cアルキル基,およびハロゲン原子から選択され;および
Yは1−4個の二重結合を有するC−C16アルケンである,
請求項42記載の脂質化合物。
【請求項44】
XはCORであり,ここで,Rはヒドロキシ基またはC−Cアルコキシ基であり;
およびRは異なり,一方は水素原子を表し,他方はC−Cアルキル基を表し;および
Yは4個の二重結合を有するC15アルケンである,
請求項42または43に記載の脂質化合物。
【請求項45】
以下の脂質化合物24−25:
【化12】

から選択される,請求項42−44のいずれかに記載の脂質化合物。
【請求項46】
請求項1−45のいずれかに記載の脂質化合物を製造する方法。
【請求項47】
医薬品または診断目的(PET)で使用するための,請求項1−45のいずれかに記載の脂質化合物。
【請求項48】
請求項1−45のいずれかに記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項49】
さらに,薬学的に許容しうる担体,賦形剤または希釈剤,またはこれらの任意の組み合わせを含む,請求項48記載の医薬組成物。
【請求項50】
経口投与用に製剤されている,請求項48または49に記載の医薬組成物。
【請求項51】
5mg−10gの前記化合物の1日投与量を与えるよう製剤されている,請求項48−50のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項52】
50mg−1gの前記化合物の1日投与量を与えるよう製剤されている,請求項51記載の医薬組成物。
【請求項53】
50mg−200mgの前記化合物の1日投与量を与えるよう製剤されている,請求項51記載の医薬組成物。
【請求項54】
請求項1−45のいずれかに記載の脂質化合物を含む脂質組成物。
【請求項55】
脂質組成物の少なくとも80重量%が前記化合物から構成される,請求項54記載の脂質組成物。
【請求項56】
脂質組成物の少なくとも90重量%が前記化合物から構成される,請求項55記載の脂質組成物。
【請求項57】
脂質組成物の少なくとも95重量%が前記化合物から構成される,請求項56記載の脂質組成物。
【請求項58】
さらに薬学的に許容しうる抗酸化剤を含む,請求項54−57のいずれかに記載の脂質組成物。
【請求項59】
前記抗酸化剤はトコフェロールである,請求項58記載の脂質組成物。
【請求項60】
ヒトペルオキシソーム増殖因子活性化レセプター(PPAR)アイソフォームα,γまたはδの少なくとも1つの活性化または調節に関連する医薬品を製造するための,請求項1−45のいずれかに記載の脂質化合物の使用。
【請求項61】
前記化合物はパンアゴニスト調節剤である,請求項60記載の使用。
【請求項62】
前記ペルオキシソーム増殖因子活性化レセプター(PPAR)はPPARαである,請求項60記載の使用。
【請求項63】
前記ペルオキシソーム増殖因子活性化レセプター(PPAR)はペルオキシソーム増殖因子活性化レセプター(PPAR)αおよび/またはγである,請求項60記載の使用。
【請求項64】
前記ペルオキシソーム増殖因子活性化レセプター(PPAR)はペルオキシソーム増殖因子活性化レセプター(PPAR)δである,請求項57記載の使用。
【請求項65】
RXRの活性化または調節に関連する医薬品を製造するための,請求項1−45のいずれかに記載の脂質化合物の使用。
【請求項66】
NFkBの阻害または制御に関連する医薬品を製造するための,請求項1−45のいずれかに記載の脂質化合物の使用。
【請求項67】
NFkBの阻害または制御に関連する医薬品を製造するための,請求項29−45のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項68】
は水素である,請求項67記載の使用。
【請求項69】
炎症性疾患または状態の治療および/または予防用の医薬品を製造するための,請求項1−45のいずれかに記載の脂質化合物の使用。
【請求項70】
炎症性疾患または状態の治療および/または予防用の医薬品を製造するための,請求項29−45のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項71】
は水素である,請求項70記載の使用。
【請求項72】
血漿インスリン,血糖および/または血清トリグリセリドを低下させるための医薬品を製造するための,請求項1−45のいずれかに記載の脂質化合物の使用。
【請求項73】
トリグリセリドレベル,LDLコレステロールレベル,および/またはVLDLコレステロールレベルの上昇の予防および/または治療用の医薬品を製造するための,請求項1−45のいずれかに記載の脂質化合物の使用。
【請求項74】
脂質異常症状態の予防および/または治療用の医薬品を製造するための,請求項1−45のいずれかに記載の脂質化合物の使用。
【請求項75】
前記脂質異常症状態が高トリグリセリド血症(HTG)である,請求項74記載の使用。
【請求項76】
肥満または体重超過状態の治療および/または予防用の医薬品を製造するための,請求項1−45のいずれかに記載の脂質化合物の使用。
【請求項77】
体重を減少させ,および/または体重増加を防止するための医薬品を製造するための,請求項1−45のいずれかに記載の脂質化合物の使用。
【請求項78】
脂肪肝疾患の治療および/または予防用の医薬品を製造するための,請求項1−45のいずれかに記載の脂質化合物の使用。
【請求項79】
前記脂肪肝疾患は非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)である,請求項78記載の使用。
【請求項80】
インスリン抵抗性,脂質異常症および/または肥満または体重超過状態の治療用の医薬品を製造するための,請求項1−45のいずれかに記載の脂質化合物の使用。
【請求項81】
末梢インスリン抵抗性および/または糖尿病状態の治療および/または予防用の医薬品を製造するための,請求項1−45のいずれかに記載の脂質化合物の使用。
【請求項82】
2型糖尿病の治療および/または予防用の医薬品を製造するための,請求項1−45のいずれかに記載の脂質化合物の使用。
【請求項83】
化粧品製剤または製品における,請求項1−45のいずれかに記載の脂質化合物の使用。
【請求項84】
ヒトペルオキシソーム増殖因子活性化レセプター(PPAR)アイソフォームα,γまたはδの少なくとも1つの機能の上昇に関連する状態を治療および/または予防するための,請求項1−45のいずれかに記載の脂質化合物。
【請求項85】
前記ペルオキシソーム増殖因子活性化レセプター(PPAR)はペルオキシソーム増殖因子活性化レセプターαである,請求項84記載の脂質化合物。
【請求項86】
前記ペルオキシソーム増殖因子活性化レセプター(PPAR)はペルオキシソーム増殖因子活性化レセプターαおよび/またはγである,請求項84記載の脂質化合物。
【請求項87】
前記ペルオキシソーム増殖因子活性化レセプター(PPAR)はペルオキシソーム増殖因子活性化レセプターδである,請求項84記載の脂質化合物。
【請求項88】
RXRの機能の上昇に関連する状態を治療および/または予防するための,請求項1−45のいずれかに記載の脂質化合物。
【請求項89】
NFkBの機能の上昇に関連する状態を治療および/または予防するための,請求項1−45のいずれかに記載の脂質化合物。
【請求項90】
NFkBの機能の上昇に関連する状態を治療および/または予防するための,請求項29−45のいずれかに記載の脂質化合物。
【請求項91】
は水素である,請求項90記載の脂質化合物。
【請求項92】
炎症性疾患または状態の治療および/または予防のための,請求項1−45のいずれかに記載の脂質化合物。
【請求項93】
炎症性疾患または状態の治療および/または予防のための,請求項29−45のいずれかに記載の脂質化合物。
【請求項94】
は水素である,請求項93記載の脂質化合物。
【請求項95】
血漿インスリン,血糖および/または血清トリグリセリドを低下させるための,請求項1−45のいずれかに記載の脂質化合物。
【請求項96】
トリグリセリドレベル,LDLコレステロールレベル,および/またはVLDLコレステロールレベルの上昇を予防および/または治療するための,請求項1−45のいずれかに記載の脂質化合物。
【請求項97】
脂質異常症状態を予防および/または治療するための,請求項1−45のいずれかに記載の脂質化合物。
【請求項98】
前記脂質異常症状態は高トリグリセリド血症(HTG)である,請求項97記載の脂質化合物。
【請求項99】
肥満または体重超過状態を予防するための,請求項1−45のいずれかに記載の脂質化合物。
【請求項100】
体重を減少させ,および/または体重増加を予防するための,請求項1−45のいずれかに記載の脂質化合物。
【請求項101】
脂肪肝疾患の治療および/または予防のための,請求項1−45のいずれかに記載の脂質化合物。
【請求項102】
前記脂肪肝疾患は非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)である,請求項101記載の脂質化合物。
【請求項103】
インスリン抵抗性,脂質異常症および/または肥満または体重超過状態を治療するための,請求項1−45のいずれかに記載の脂質化合物。
【請求項104】
末梢インスリン抵抗性および/または糖尿病状態を治療および/または予防するための,請求項1−45のいずれかに記載の脂質化合物。
【請求項105】
2型糖尿病を治療および/または予防するための,請求項1−45のいずれかに記載の脂質化合物。
【請求項106】
ヒトペルオキシソーム増殖因子活性化レセプター(PPAR)アイソフォームα,γまたはδの少なくとも1つの機能の増加に関連する状態を治療および/または予防する方法であって,治療を必要とする哺乳動物に薬学的に活性な量の請求項1−45のいずれかに記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項107】
前記ペルオキシソーム増殖因子活性化レセプター(PPAR)はペルオキシソーム増殖因子活性化レセプターαである,請求項106記載の方法。
【請求項108】
前記ペルオキシソーム増殖因子活性化レセプター(PPAR)はペルオキシソーム増殖因子活性化レセプターαおよび/またはγである,請求項106記載の方法。
【請求項109】
前記ペルオキシソーム増殖因子活性化レセプター(PPAR)はペルオキシソーム増殖因子活性化レセプターδである,請求項106記載の方法。
【請求項110】
RXRの機能の上昇に関連する状態を治療および/または予防する方法であって,治療を必要とする哺乳動物に薬学的に活性な量の請求項1−45のいずれかに記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項111】
NFκBの機能の上昇に関連する状態を治療および/または予防する方法であって,治療を必要とする哺乳動物に薬学的に活性な量の請求項1−45のいずれかに記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項112】
NFkBの機能の上昇に関連する状態を治療および/または予防する方法であって,治療を必要とする哺乳動物に薬学的に活性な量の請求項29−45のいずれかに記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項113】
は水素である,請求項112記載の方法。
【請求項114】
炎症性疾患または状態を治療および/または予防する方法であって,治療を必要とする哺乳動物に薬学的に活性な量の請求項1−45のいずれかに記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項115】
炎症性疾患または状態を治療および/または予防する方法であって,治療を必要とする哺乳動物に薬学的に活性な量の請求項29−45のいずれかに記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項116】
は水素である,請求項115記載の方法。
【請求項117】
血漿インスリン,血糖および/または血清トリグリセリドを低下させる方法であって,低下を必要とする哺乳動物に薬学的に活性な量の請求項1−45のいずれかに記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項118】
トリリセリドレベル,LDLコレステロールレベル,および/またはVLDLコレステロールレベルの上昇を治療および/または予防する方法であって,治療を必要とする哺乳動物に薬学的に活性な量の請求項1−45のいずれかに記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項119】
脂質異常症状態を治療および/または予防する方法であって,治療を必要とする哺乳動物に薬学的に活性な量の請求項1−45のいずれかに記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項120】
前記脂質異常症状態が高トリグリセリド血症(HTG)である,請求項119記載の方法。
【請求項121】
肥満または体重超過状態を治療および/または予防する方法であって,治療を必要とする哺乳動物に薬学的に活性な量の請求項1−45のいずれかに記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項122】
体重を減少させるか,および/または体重増加を予防する方法であって,これを必要とする哺乳動物に薬学的に活性な量の請求項1−45のいずれかに記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項123】
脂肪肝疾患を治療および/または予防する方法であって,治療を必要とする哺乳動物に薬学的に活性な量の請求項1−45のいずれかに記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項124】
前記脂肪肝疾患が非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)である,請求項123記載の方法。
【請求項125】
インスリン抵抗性,脂質異常症および/または肥満または体重超過状態を治療および/または予防する方法であって,治療を必要とする哺乳動物に薬学的に活性な量の請求項1−45のいずれかに記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項126】
末梢インスリン抵抗性および/または糖尿病状態を治療および/または予防する方法であって,治療を必要とする哺乳動物に薬学的に活性な量の請求項1−45のいずれかに記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項127】
2型糖尿病を治療および/または予防する方法であって,治療を必要とする哺乳動物に薬学的に活性な量の請求項1−45のいずれかに記載の化合物を投与することを含む方法。


【図1】
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【公表番号】特表2009−530366(P2009−530366A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−500957(P2009−500957)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【国際出願番号】PCT/IB2007/000731
【国際公開番号】WO2007/107869
【国際公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(504453362)プロノヴァ・バイオファーマ・ノルゲ・アーエス (10)
【氏名又は名称原語表記】Pronova BioPharma Norge AS
【住所又は居所原語表記】P.O.Box 420, 1327 Lysaker, Norway
【Fターム(参考)】