説明

共役高分子化合物およびそれを用いた高分子発光素子

【課題】発光材料や電荷輸送材料として有用で、電子注入性に優れた高分子化合物を提供する。
【解決手段】下記式(a)で示される構造を部分構造として含む共役高分子化合物。


〔式中、A環およびB環は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族環または置換基を有していてもよい非芳香族環を表し、A環およびB環の少なくとも一方は芳香族環である。また、C環は置換基を有していてもよい芳香族環を表す。Z1は炭素原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、珪素原子、硼素原子、燐原子、セレン原子から選ばれる原子または該原子を含む基を表し、Z2〜Z6はそれぞれ独立に炭素原子、珪素原子、窒素原子および硼素原子から選ばれる原子または該原子を含む基を表す。また、B環及びC環が置換基を有する場合これらが結合して環を形成してもよい。〕

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共役高分子化合物およびそれを用いた高分子発光素子(高分子LED)に関する。
【背景技術】
【0002】
溶媒に可溶な高分子量の発光材料や電荷輸送材料は塗布法により発光素子における有機層を形成できることから種々検討されており、その例として、繰り返し単位として、シクロペンタジエン環に、2個のベンゼン環が縮合した下の構造を有する高分子化合物が知られている(例えば、非特許文献1、特許文献1)。

【0003】
【非特許文献1】Advanced Materials 1997年9巻10号 798頁
【特許文献1】国際公開第99/54385号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記の共役高分子化合物は、その電子注入性等が必ずしも十分でないという問題があった。本発明の目的は、発光材料や電荷輸送材料として有用で、電子注入性に優れた高分子化合物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
即ち本発明は、下記式(a)で示される構造を部分構造として含む共役高分子化合物を提供するものである。

〔式中、A環およびB環は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族環または置換基を有していてもよい非芳香族環を表し、A環およびB環の少なくとも一方は芳香族環である。また、C環は置換基を有していてもよい芳香族環を表す。Z1は炭素原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、珪素原子、硼素原子、燐原子、セレン原子から選ばれる原子または該原子を含む基を表し、Z2〜Z6はそれぞれ独立に炭素原子、珪素原子、窒素原子および硼素原子から選ばれる原子または該原子を含む基を表す。また、B環及びC環が置換基を有する場合これらが結合して環を形成してもよい。〕


【発明の効果】
【0006】
本発明の共役高分子化合物は、発光材料や電荷輸送材料として有用で、電子注入性に優れる。したがって、本発明の共役高分子化合物を含む高分子LEDは、液晶ディスプレイのバックライトまたは照明用としての曲面状や平面状の光源、セグメントタイプの表示素子、ドットマトリックスのフラットパネルディスプレイなどに使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
下記式(1)は、前記式(a)において、Z4〜Z6が炭素原子の場合の構造を示す。

〔式中、A環、B環、C環、Z1、Z2およびZ3の定義は前記と同じである。〕
【0008】
前記式(1)において、Z1が−C(Rw)(Rx)−、>C=C(Rw)(Rx)、−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)(=O)−、−N(Rw)−、−Si(Rw)(Rx)−、−P(=O)(Rw)−、−P(Rw)−、−B(Rw)−、−C(Rw)(Rx)−O−、−C(=O)−O−、−C(Rw)=N−、または−Se−であることが好ましく、−C(Rw)(Rx)−、>C=C(Rw)(Rx)、−Si(Rw)(Rx)−であることが好ましい。
ここにRwおよびRxは、それぞれ独立に水素原子、またはアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、ニトロ基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基もしくはシアノ基などの置換基を表す。
【0009】
前記式(1)のRw、Rxはアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、ニトロ基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基から選ばれることが好ましく、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基から選ばれることがさらに好ましい。
【0010】
溶解性の観点からRw、Rxはアルキル基、アリールアルキル基から選ばれることがさらに好ましい。
【0011】
前記式(1)において、耐熱性、発光特性の観点から、Z1は1つ以上の置換基を持つことが好ましく、2つの置換基を持つことがより好ましい。
【0012】
前記式(1)において、Z2、Z3はそれぞれ独立に炭素原子、珪素原子、窒素原子、硼素原子から選ばれる原子または該原子を含む基を表す。その例として>CH−、>CR’−、>C=、>SiH−、>SiR’−または窒素(>N-)であることが好ましく、耐熱性、発光特性の観点から全てが>CH−、>CR’−、>C=から選ばれることがより好ましい。
ここにR’は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、ニトロ基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基などを表す。
【0013】
前記式(1)における置換基を有していてもよい芳香族環としては、芳香族炭化水素環、および芳香族複素環があげられる。芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環単独または2個以上のベンゼン環が縮合したものが好ましく、その例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、ピレン環、フェナントレン環等の芳香族炭化水素環が挙げられ、好ましくはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環が挙げられる。芳香族複素環としては、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、フェナントロリン環、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、インドール環、チアゾール環、オキサゾール環等があげられる。
【0014】
置換基を有していてもよい非芳香族環としては、脂肪族炭化水素環、非芳香族複素環があげられる。脂肪族炭化水素環としては、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロペプタン環、シクロノナン環等が挙げられる。非芳香族複素環としては、テトラヒドロフラン環、テトラヒドロチオフラン環、ピロリジン環、ホスホロラン環、シロラン環、ボロラン環、テトラヒドロピラン環、テトラヒドロチオピラン環、ピペリジン環、ホスフィナン環、ボリナン環、シリナン環等があげられる。
【0015】
前記式(1)で示される構造においてA環、B環、C環を構成する元素が全て炭素であることが好ましい。
発光特性の観点からA環、B環およびC環はすべて芳香族炭化水素環であることが好ましく、それぞれ独立に置換基を有していてもよいベンゼン環、置換基を有していてもよいナフタレン環、置換基を有していてもよいアントラセン環から選ばれることが好ましい。
A環、B環およびC環がそれぞれ独立にベンゼン環またはナフタレン環であることをがより好ましく、A環、B環およびC環が全てベンゼン環であることがさらに好ましい。
【0016】
前記式(1)で示される構造は、共役高分子化合物中の主鎖中に1分子含む場合、繰り返し単位として含む場合、側鎖中に含む場合がある。耐熱性や溶解性、発光特性、輝度半減寿命等の素子特性の観点からは、共役高分子化合物中に繰り返し単位として含まれることが好ましい。
【0017】
本発明の共役高分子化合物としては、前記式(1)で示される構造が繰り返し単位として含まれものが挙げられる。
【0018】
その例として下記式(2)で示される構造が挙げられる。


〔式中、B’環およびC’環はそれぞれ独立に置換基を有していてもよい芳香族環を表し、A’環は置換基を有していてもよい芳香族環または置換基を有していてもよい非芳香族環を表す。2つの結合手はそれぞれB’環およびC’環上に存在する。Z1〜Z3はそれぞれ前記と同じ意味を表す。〕
【0019】
他の例として、下記式(3)で示される構造があげられる。


〔式中、A''環およびC''環はそれぞれ独立に置換基を有していてもよい芳香族環を表し、B''環は置換基を有していてもよい芳香族環または置換基を有していてもよい非芳香族環を表す。2つの結合手はそれぞれA''環およびC''環上に存在する。Z1〜Z3はそれぞれ前記と同じ意味を表す。〕
式(2)、(3)における置換基を有していてもよい芳香族環、置換基を有していてもよい非芳香族環の定義、具体例等は、上記式(1)におけるそれらについての定義、具体例と同様である。
【0020】
本発明の共役高分子化合物が前記式(2)および/または(3)で示される構造を繰り返し単位として含む場合、本発明の共役高分子化合物が有するこれらの繰り返し単位の量は全繰り返し単位の合計の通常1モル%以上100モル%以下であり、20モル%以上であることが好ましく、50モル%以上100モル%以下であることがさらに好ましい。
【0021】
前記式(2)、(3)で示される構造においてZ2、Z3が炭素以外である時の具体例としては、以下の式(1V−1)〜(1V−9)、およびこれらが置換基を有するものが挙げられる。なお、以下において、芳香族炭化水素環におけるそれぞれの結合手は任意の位置をとり得ることを表す。

【0022】
前記式(2)、(3)で示される構造においてZ1が炭素である具体例としては、以下の式(1A−1)〜(1J−12)、およびこれらが置換基を有するものが挙げられる。なお、以下において、芳香族炭化水素環におけるそれぞれの結合手は任意の位置をとり得ることを表す。
【0023】

【0024】

【0025】

【0026】

【0027】

【0028】

【0029】

【0030】





【0031】

【0032】


【0033】
前記式(2)、(3)で示される構造においてB環の置換基とC環の置換基が互いに結合し、環を形成する時の具体例としては、以下のもの(1K−1)〜(1K−3)、(1L−1)〜(1L−3)、以下のものに置換基を有するものが挙げられる。なお、以下において、芳香族炭化水素環におけるそれぞれの結合手は任意の位置をとり得ることを表す。
【0034】

〔式中、RwおよびRxの定義は前記と同じ。Rw’およびRx’はRw、Rxと同様の置換基を表す。〕
【0035】

〔式中、Rw、Rx、Rw’およびRx’の定義は前記と同じ。Rw’’およびRx’’はRw、Rxと同様の置換基を表す。〕
【0036】
前記式(2)、(3)で示される構造においてZ1が珪素のものとしては、以下の式(1M−1)〜(1M−5)、およびこれらが置換基を有するものが挙げられる。なお、以下において、芳香族炭化水素環におけるそれぞれの結合手は任意の位置をとり得ることを表す。

【0037】
前記式(2)、(3)で示される構造においてZ1が窒素のものとしては、以下の式(1N−1)〜(1N−5)、およびこれらが置換基を有するものが挙げられる。なお、以下において、芳香族炭化水素環におけるそれぞれの結合手は任意の位置をとり得ることを表す。

【0038】
前記式(2)、(3)で示される構造においてZ1が酸素のものとしては、以下の式(1O−1)〜(1O−5)、およびこれらが置換基を有するものが挙げられる。なお、以下において、芳香族炭化水素環におけるそれぞれの結合手は任意の位置をとり得ることを表す。


【0039】
前記式(2)、(3)で示される構造においてZ1がホウ素のものとしては、以下の式(1P−1)〜(1P−5)、およびこれらが置換基を有するものが挙げられる。なお、以下において、芳香族炭化水素環におけるそれぞれの結合手は任意の位置をとり得ることを表す。

【0040】
前記式(2)、(3)で示される構造においてZ1が炭素のものとしては、以下の式(1Q−1)〜(1Q−5)、およびこれらが置換基を有するものが挙げられる。なお、以下において、芳香族炭化水素環におけるそれぞれの結合手は任意の位置をとり得ることを表す。



【0041】
前記式(2)、(3)で示される構造においてZ1が炭素でありB’環、B’’環が5員環のものとしては、以下の式(1R−1)〜(1R−8)、およびこれらが置換基を有するものが挙げられる。なお、以下において、芳香族炭化水素環におけるそれぞれの結合手は任意の位置をとり得ることを表す。


【0042】
前記式(2)、(3)で示される構造においてZ1が炭素でありB’環、B’’環がチオフェン環のものとしては、以下の式(1S−1)〜(1S−3)、およびこれらが置換基を有するものが挙げられる。なお、以下において、芳香族炭化水素環におけるそれぞれの結合手は任意の位置をとり得ることを表す。


【0043】
前記式(2)、(3)で示される構造においてZ1が炭素でありB’環、B’’環がフラン環のものとしては、以下の式(1T−1)〜(1T−3)、およびこれらが置換基を有するものが挙げられる。なお、以下において、芳香族炭化水素環におけるそれぞれの結合手は任意の位置をとり得ることを表す。


【0044】
その他、前記式(2)、(3)で示される構造においてZ1が炭素のものとしては、以下の式(1U−1)〜(1U−3)、およびこれらが置換基を有するものが挙げられる。なお、以下において、芳香族炭化水素環におけるそれぞれの結合手は任意の位置をとり得ることを表す。



【0045】
化合物の安定性の観点から、前記式(1)、(2)、(3)で示される構造においてZ1〜Z3は全て炭素原子であることが好ましい。
【0046】
上記式(1)で示される構造において、耐熱性、蛍光強度等の観点から、A環、B環およびC環はすべて芳香族炭化水素環であることが好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環およびアントラセン環から選ばれることがより好ましく、A環、B環およびC環が全てベンゼン環であることがさらに最も好ましい。
【0047】
上記式(2)、(3)で示される構造において、より好ましくは、A’環、B'環、C'環、A''環、B''環、C''環がともにベンゼン環からなる共役高分子化合物であり、さらに好ましくは、電子注入性の観点から2つの結合手がそれぞれB環およびC環上に一つずつ存在するものあるいはA環およびC環上に一つずつ存在するものが好ましい。
【0048】
中でも、下記式(6)、(7)で示される繰り返し単位を含む共役高分子化合物が好ましい。


(6) (7)

〔式中、Rp1、Rq1、Rp2、Rq2、Rw1、Rx1、Rw2およびRx2はそれぞれ独立に置換基を表す。aおよびcは0〜5の整数を表し、bおよびdは0〜3の整数を表す。Rp1とRq1、Rp2とRq2、Rw1とRx1およびRw2とRx2はそれぞれ互いに結合して環を形成していてもよい。〕
式(6)、(7)の中で、Rw1とRx1の少なくとも1つ、およびRw2とRx2の少なくとも1つの炭素数が2以上であるものが好ましい。
【0049】
上記式(6)、(7)において、Rp1、Rq1、Rp2、Rq2、Rw1、Rx1、Rw2およびRx2としてはアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、ニトロ基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基およびシアノ基が好ましく、アリール基およびアリールアルキル基がさらに好ましい。アリール基として、より具体的には、フェニル基、C1〜C12アルコキシフェニル基(C1〜C12は、炭素数1〜12であることを示す。以下も同様である。)、C1〜C12アルキルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、ペンタフルオロフェニル基等の炭素数が通常6〜60程度のアリール基等が例示される。
アリールアルキル基としては、より具体的には、フェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル基、1−ナフチル−C1〜C12アルキル基、2−ナフチル−C1〜C12アルキル基など炭素数が通常7〜60程度であり、好ましくは炭素数が7〜48程度のアリールアルキル基が例示される。
【0050】
合成の簡便さから上記式(6)で示される繰り返し単位を含む共役高分子化合物が好ましい。
【0051】
式(1)における芳香族環、非芳香族環、あるいはZ1が置換基を有する場合、有機溶媒への溶解性、素子特性、合成の行いやすさ等の観点からは、置換基が、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、ニトロ基およびシアノ基から選ばれるものであることが好ましい。これらの置換基に含まれる水素原子は、フッ素原子に置き換わっていてもよい。
【0052】
アルキル基は、直鎖、分岐または環状のいずれでもよく、炭素数が通常1〜20程度、好ましくは炭素数3〜20であり、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ラウリル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基などが挙げられ、有機溶媒への溶解性、素子特性、合成の行いやすさ等の観点と耐熱性とのバランスからは、ペンチル基、イソアミル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基が好ましい。
【0053】
アルコキシ基は、直鎖、分岐または環状のいずれでもよく、炭素数が通常1〜20程度、好ましくは炭素数3〜20であり、その具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、ブトキシ基、i−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、パーフルオロブトキシ基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、メトキシメチルオキシ基、2−メトキシエチルオキシ基などが挙げられ、有機溶媒への溶解性、素子特性、合成の行いやすさ等の観点と耐熱性とのバランスからは、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基が好ましい。
【0054】
アルキルチオ基は、直鎖、分岐または環状のいずれでもよく、炭素数が通常1〜20程度、好ましくは炭素数3〜20であり、その具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、i−プロピルチオ基、ブチルチオ基、i−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基、ラウリルチオ基、トリフルオロメチルチオ基などが挙げられ、有機溶媒への溶解性、素子特性、合成の行いやすさ等の観点と耐熱性とのバランスからは、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、デシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基が好ましい。
【0055】
アリール基は、芳香族炭化水素から、水素原子1個を除いた原子団であり、縮合環をもつもの、独立したベンゼン環または縮合環2個以上が直接またはビニレン等の基を介して結合したものも含まれる。アリール基は、炭素数が通常6〜60程度、好ましくは7〜48であり、その具体例としては、フェニル基、C1〜C12アルコキシフェニル基(C1〜C12は、炭素数1〜12であることを示す。以下も同様である。)、C1〜C12アルキルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、ペンタフルオロフェニル基などが例示され、有機溶媒への溶解性、素子特性、合成の行いやすさ等の観点からは、C1〜C12アルコキシフェニル基、C1〜C12アルキルフェニル基が好ましい。C1〜C12アルコキシとして具体的には、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、i−プロピルオキシ、ブトキシ、i−ブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、3,7−ジメチルオクチルオキシ、ラウリルオキシなどが例示される。
1〜C12アルキルフェニル基として具体的にはメチルフェニル基、エチルフェニル基、ジメチルフェニル基、プロピルフェニル基、メシチル基、メチルエチルフェニル基、i−プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、i−ブチルフェニル基、t−ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、イソアミルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ドデシルフェニル基などが例示される。
【0056】
アリールオキシ基は、炭素数が通常6〜60程度、好ましくは7〜48であり、その具体例としては、フェノキシ基、C1〜C12アルコキシフェノキシ基、C1〜C12アルキルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、ペンタフルオロフェニルオキシ基などが例示され、有機溶媒への溶解性、素子特性、合成の行いやすさ等の観点からは、C1〜C12アルコキシフェノキシ基、C1〜C12アルキルフェノキシ基が好ましい。
1〜C12アルコキシとして具体的には、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、i−プロピルオキシ、ブトキシ、i−ブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、3,7−ジメチルオクチルオキシ、ラウリルオキシなどが例示される。
1〜C12アルキルフェノキシ基として具体的にはメチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、プロピルフェノキシ基、1,3,5−トリメチルフェノキシ基、メチルエチルフェノキシ基、i−プロピルフェノキシ基、ブチルフェノキシ基、i−ブチルフェノキシ基、t−ブチルフェノキシ基、ペンチルフェノキシ基、イソアミルフェノキシ基、ヘキシルフェノキシ基、ヘプチルフェノキシ基、オクチルフェノキシ基、ノニルフェノキシ基、デシルフェノキシ基、ドデシルフェノキシ基などが例示される。
【0057】
アリールチオ基は、炭素数が通常6〜60程度であり、その具体例としては、フェニルチオ基、C1〜C12アルコキシフェニルチオ基、C1〜C12アルキルフェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基、ペンタフルオロフェニルチオ基などが例示され、有機溶媒への溶解性、素子特性、合成の行いやすさ等の観点からは、C1〜C12アルコキシフェニルチオ基、C1〜C12アルキルフェニルチオ基が好ましい。
【0058】
アリールアルキル基は、炭素数が通常7〜60程度、好ましくは7〜48であり、その具体例としては、フェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル基、1−ナフチル−C1〜C12アルキル基、2−ナフチル−C1〜C12アルキル基などが例示され、有機溶媒への溶解性、素子特性、合成の行いやすさ等の観点からは、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル基が好ましい。
【0059】
アリールアルコキシ基は、炭素数が通常7〜60程度、好ましくは炭素数7〜48であり、その具体例としては、フェニルメトキシ基、フェニルエトキシ基、フェニルブトキシ基、フェニルペンチロキシ基、フェニルヘキシロキシ基、フェニルヘプチロキシ基、フェニルオクチロキシ基などのフェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルコキシ基、1−ナフチル−C1〜C12アルコキシ基、2−ナフチル−C1〜C12アルコキシ基などが例示され、有機溶媒への溶解性、素子特性、合成の行いやすさ等の観点からは、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルコキシ基が好ましい。
【0060】
アリールアルキルチオ基は、炭素数が通常7〜60程度、好ましくは炭素数7〜48であり、その具体的としては、フェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルチオ基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルチオ基などが例示され、有機溶媒への溶解性、素子特性、合成の行いやすさ等の観点からは、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルチオ基が好ましい。
【0061】
アリールアルケニル基は、炭素数が通常8〜60程度であり、その具体的としては、フェニル−C2〜C12アルケニル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルケニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルケニル基、1−ナフチル−C2〜C12アルケニル基、2−ナフチル−C2〜C12アルケニル基などが例示され、有機溶媒への溶解性、素子特性、合成の行いやすさ等の観点からは、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルケニル基、C2〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルケニル基が好ましい。
【0062】
アリールアルキニル基は、炭素数が通常8〜60程度であり、その具体的としては、フェニル−C2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルキニル基、1−ナフチル−C2〜C12アルキニル基、2−ナフチル−C2〜C12アルキニル基などが例示され、有機溶媒への溶解性、素子特性、合成の行いやすさ等の観点からは、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルキニル基が好ましい。
【0063】
置換アミノ基としては、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基または1価の複素環基から選ばれる1または2個の基で置換されたアミノ基があげられ、該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基または1価の複素環基は置換基を有していてもよい。置換アミノ基の炭素数は該置換基の炭素数を含めないで通常1〜60程度、好ましくは炭素数2〜48である。
具体的には、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、i−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、i−ブチルアミノ基、t−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、3,7−ジメチルオクチルアミノ基、ラウリルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、ジシクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ピロリジル基、ピペリジル基、ジトリフルオロメチルアミノ基フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、C1〜C12アルコキシフェニルアミノ基、ジ(C1〜C12アルコキシフェニル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル)アミノ基、1−ナフチルアミノ基、2−ナフチルアミノ基、ペンタフルオロフェニルアミノ基、ピリジルアミノ基、ピリダジニルアミノ基、ピリミジルアミノ基、ピラジルアミノ基、トリアジルアミノ基フェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、ジ(C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基などが例示される。
【0064】
置換シリル基としては、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基または1価の複素環基から選ばれる1、2または3個の基で置換されたシリル基があげられる。置換シリル基の炭素数は通常1〜60程度、好ましくは炭素数3〜48である。なお該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基または1価の複素環基は置換基を有していてもよい。
具体的には、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリ−i−プロピルシリル基、ジメチル−i−プロピリシリル基、ジエチル−i−プロピルシリル基、t−ブチルシリルジメチルシリル基、ペンチルジメチルシリル基、ヘキシルジメチルシリル基、ヘプチルジメチルシリル基、オクチルジメチルシリル基、2−エチルヘキシル−ジメチルシリル基、ノニルジメチルシリル基、デシルジメチルシリル基、3,7−ジメチルオクチル−ジメチルシリル基、ラウリルジメチルシリル基、フェニル−C1〜C12アルキルシリル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルシリル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルシリル基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルシリル基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルシリル基、フェニル−C1〜C12アルキルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリ−p−キシリルシリル基、トリベンジルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基などが例示される。
【0065】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示される。
【0066】
アシル基は、炭素数が通常2〜20程度、好ましくは炭素数2〜18であり、その具体例としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、トリフルオロアセチル基、ペンタフルオロベンゾイル基などが例示される。
【0067】
アシルオキシ基は、炭素数が通常2〜20程度、好ましくは炭素数2〜18であり、その具体例としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基、ペンタフルオロベンゾイルオキシ基などが例示される。
【0068】
イミン残基としては、イミン化合物(分子内に、−N=C-を持つ有機化合物のことをいう。その例として、アルジミン、ケチミン及びこれらのN上の水素原子が、アルキル基等で置換された化合物があげられる)から水素原子1個を除いた残基があげられ、通常炭素数2〜20程度であり、好ましくは炭素数2〜18である。具体的には、以下の構造式で示される基などが例示される。

【0069】
アミド基は、炭素数が通常2〜20程度、好ましくは炭素数2〜18であり、その具体例としては、ホルムアミド基、アセトアミド基、プロピオアミド基、ブチロアミド基、ベンズアミド基、トリフルオロアセトアミド基、ペンタフルオロベンズアミド基、ジホルムアミド基、ジアセトアミド基、ジプロピオアミド基、ジブチロアミド基、ジベンズアミド基、ジトリフルオロアセトアミド基、ジペンタフルオロベンズアミド基、などが例示される。
【0070】
酸イミド基としては、酸イミドからその窒素原子に結合した水素原子を除いて得られる残基が挙げられ、炭素数が4〜20程度であり、具体的には以下に示す基などが例示される。

【0071】
1価の複素環基とは、複素環化合物から水素原子1個を除いた残りの原子団をいい、炭素数は通常4〜60程度、好ましくは4〜20である。なお、複素環基の炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。ここに複素環化合物とは、環式構造をもつ有機化合物のうち、環を構成する元素が炭素原子だけでなく、酸素、硫黄、窒素、燐、硼素、珪素などのヘテロ原子を環内に含むものをいう。具体的には、チエニル基、C1〜C12アルキルチエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、C1〜C12アルキルピリジル基、ピペリジル基、キノリル基、イソキノリル基などが例示され、チエニル基、C1〜C12アルキルチエニル基、ピリジル基、C1〜C12アルキルピリジル基が好ましい。
【0072】
置換カルボキシル基としては、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基または1価の複素環基で置換されたカルボキシル基があげられ、炭素数が通常2〜60程度、好ましくは炭素数2〜48であり、その具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、i−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシロキシカルボニル基、シクロヘキシロキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシロキシカルボニル基、ノニルオキシカルボニル基、デシロキシカルボニル基、3,7−ジメチルオクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基、トリフルオロメトキシカルボニル基、ペンタフルオロエトキシカルボニル基、パーフルオロブトキシカルボニル基、パーフルオロヘキシルオキシカルボニル基、パーフルオロオクチルオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、ナフトキシカルボニル基、ピリジルオキシカルボニル基、などが挙げられる。なお該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基または1価の複素環基は置換基を有していてもよい。置換カルボキシル基の炭素数には該置換基の炭素数は含まれない。
【0073】
本発明の共役高分子化合物は電子注入性の観点から、Rw、Rx、Rw1、Rx1、Rw2、Rx2ががそれぞれ独立にアリール基またはアリールアルキル基である場合が好ましく、RwとRxが同一のアリール基である場合、Rw1とRx1が同一のアリール基である場合、Rw2とRx2が同一のアリール基である場合がより好ましい。
ここでアリール基およびアリールアルキル基の定義および具体例は、前述と同様である。
アリール基としては電子の注入性、溶解性、素子特性等の観点から、フェニル基、2-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、2-エチルフェニル基、3-エチルフェニル基、4-エチルフェニル基、2,6-ジエチルフェニル基、3,5-ジエチルフェニル基、2-プロピルフェニル基、3-プロピルフェニル基、4-プロピルフェニル基、2,6-ジプロピルフェニル基、3,5-ジプロピルフェニル基、2,4,6−トリプロピルフェニル基、2-イソプロピルフェニル基、3-イソプロピルフェニル基、4-イソプロピルフェニル基、2,6-ジイソプロピルフェニル基、3,5-ジイソプロピルフェニル基、2,4,6−トリイソプロピルフェニル基、2-ブチルフェニル基、3-ブチルフェニル基、4-ブチルフェニル基、2,6-ブチルフェニル基、3,5-ブチルフェニル基、2,4,6−ブチルフェニル基、2-t-ブチルフェニル基、3-t-ブチルフェニル基、4-t-ブチルフェニル基、2,6-ジ-t-ブチルフェニル基、3,5-ジ-t-ブチルフェニル基、2,4,6−トリ-t-ブチルフェニル基などがあげられ、好ましくは炭素数が6〜20程度であり、フェニル基がさらに好ましい。
【0074】
化合物の溶解性の観点から、上記式(2)で示される繰り返し単位の具体的な構造としては下記式(2A−1)〜(2A−3)が例示される。


(2A−1) (2A−2) (2A−3)
【0075】
化合物の溶解性の観点から、上記式(3)で示される繰り返し単位の具体的な構造としては下記式(3A−1)〜(3A−3)が例示される。


(3A−1) (3A−2) (3A−3)
【0076】
電子注入性に優れる上記式(6)で示される繰り返し単位の具体的な構造として、Rw1、Rx1がそれぞれ同一のアリール基を有するものが挙げられ、下記式(2B−1)〜(2B−4)が例示される



(2B−1) (2B−2) (2B−3) (2B−4)

【0077】
電子注入性に優れる上記式(7)で示される繰り返し単位の具体的な構造として、Rw1、Rx1がそれぞれ同一のアリール基を有するものが挙げられ、下記式(3B−1)〜(3B−4)が例示される。


(3B−1) (3B−2) (3B−3) (3B−4)
【0078】
上記式(2)で示される繰り返し単位の具体例として、RwとRxとが互いに結合して環を形成しているものとしては、下記式(2C−1)〜(2C−4)が例示される。


(2C−1) (2C−2) (2C−3) (2C−4)
【0079】
上記式(3)で示される繰り返し単位の具体例として、RwとRxとが互いに結合して環を形成しているものとしては、下記式(3C−1)〜(3C−4)が例示される。


(3C−1) (3C−2) (3C−3) (3C−4)
【0080】
上記式(2)で示される繰り返し単位として、B'環とC'環の置換基が互いに結合し、環を形成している場合の具体例として、下記式(2D−1)〜(2D−4)で示される構造が例示される。


(2D−1) (2D−2) (2D−3) (2D−4)

【0081】
上記式(3)で示される繰り返し単位として、B''環とC''環の置換基が互いに結合し、環を形成している場合の具体例として、下記式(3D−1)〜(3D−4)で示される構造が例示される。

(3D−1) (3D−2) (3D−3) (3D−3)
【0082】
上記式(6)で示される繰り返し単位のうち、Rw1、R1xが、脂肪族炭化水素環、非芳香族複素環等の非芳香族環である場合の具体例としては以下のものがあげられる。

【0083】
上記式(7)で示される繰り返し単位のうち、Rw1、R1xが、脂肪族炭化水素環、非芳香族複素環等の非芳香族環である場合の具体例としては以下のものがあげられる。

【0084】
化合物の耐熱性の観点から、Rw1とRx1の少なくとも1つ、あるいはRw2とRx2の少なくとも1つが、炭素数が2以上の置換基である事が好ましく、4〜12であることがより好ましい。
【0085】
前記式(1)の他の好ましい構造として、下記式(4)で示される構造があげられる。


〔式中、A'''環およびB'''環は、置換基を有していてもよい芳香族環または置換基を有していてもよい非芳香族環を表し、A'''環およびB'''環の少なくとも一方は置換基を有していてもよい芳香族環である。また、C'''環は置換基を有していてもよい芳香族環を表す。結合手はA'''環、B'''環またはC'''環上に存在する。Z1〜Z3はそれぞれ前記と同じ意味を表す。〕
式(4)における置換基を有していてもよい芳香族環、置換基を有していてもよい非芳香族環の定義、具体例等は、上記式(1)におけるそれらについての定義、具体例と同様である。
【0086】
上記式(4)で示される構造は、共役高分子化合物の側鎖または末端に存在する。これらの場合、共役高分子化合物の繰り返し単位に前記式(2)または(3)で示される構造を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
【0087】
前記式(4)で示される構造の具体例としては、前述の構造(1A−1)〜(1U−3)および前述の構造に置換基を有する構造から結合手を1個削除した構造が挙げられる。
【0088】
他の前記式(1)の好ましい構造として、下記式(5)で示される構造があげられる。


〔式中、A''''環およびB''''環は、それぞれ独立に置換基を有していてもよい芳香族環または置換基を有していてもよい非芳香族環を表し、A環およびB環の少なくとも一方は置換基を有していてもよい芳香族環である。また、C''''環は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環を表す。3つの結合手はそれぞれA''''環、B''''環またはC''''環上のいずれかに存在し、Z1〜Z3は前記と同じ意味を表す。〕
またA''''環、B''''環またはC''''環のいずれか一つの環が結合手を複数個有していても良い。
式(5)における置換基を有していてもよい芳香族環、置換基を有していてもよい非芳香族環の定義、具体例等は、上記式(1)におけるそれらについての定義、具体例と同様である。
【0089】
前記式(5)で示される構造を含む場合、共役高分子化合物は通常は分岐構造をとる。前記式(5)を繰り返し単位として含む場合、溶解性等の観点から、前記式(5)で示される繰り返し単位が全繰り返し単位の10モル%以下であることが好ましく、1モル%以下であることがより好ましい。
【0090】
前記式(5)で示される構造の具体例としては、前述の構造(1A−1)〜(1U−3)のA環またはB環もしくはC環のいずれかに結合手を1個加えた構造が挙げられる。
【0091】
本発明の共役高分子化合物は、発光特性の観点から、上記式(1)以外の構造を少なくとも1つ含むことが好ましい。
【0092】
さらに(1)以外の構造を有する繰り返し単位を1種類以上含むことが好ましい。
上記式(1)以外の構造を有する繰り返し単位としては、下記式(8)〜(11)で示される繰り返し単位が挙げられる。

〔式中、Ar1、Ar2、Ar3およびAr4はそれぞれ独立にアリーレン基、2価の複素環基または金属錯体構造を有する2価の基を示す。X1、X2およびX3はそれぞれ独立に−CR9=CR10−、−C≡C−、−N(R11)−、または−(SiR1213m−を示す。R9およびR10は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を示す。R11、R12およびR13は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、アリールアルキル基または置換アミノ基を含む基を示す。ffは1または2を示す。mは1〜12の整数を示す。R9、R10、R11、R12およびR13がそれぞれ複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。〕
【0093】
ここでアリーレン基とは、芳香族炭化水素から、水素原子2個を除いた原子団であり、縮合環をもつもの、独立したベンゼン環または縮合環2個以上が直接またはビニレン等の基を介して結合したものも含まれる。アリーレン基は置換基を有していてもよい。
置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、シアノ基が挙げられる。
アリーレン基における置換基を除いた部分の炭素数は通常6〜60程度であり、好ましくは6〜20である。また、アリーレン基の置換基を含めた全炭素数は、通常6〜100程度である。
アリーレン基としては、フェニレン基(例えば、下式1〜3)、ナフタレンジイル基(下式4〜13)、アントラセン−ジイル基(下式14〜19)、ビフェニル−ジイル基(下式20〜25)、フルオレン−ジイル基(下式36〜38)、ターフェニル−ジイル基(下式26〜28)、縮合環化合物基(下式29〜35)、スチルベン−ジイル(下式A〜D), ジスチルベン−ジイル (下式E,F)などが例示される。中でもフェニレン基、ビフェニレン基、フルオレン−ジイル基、スチルベン−ジイル基が好ましい。
【0094】







【0095】


【0096】


【0097】

【0098】

【0099】
また、Ar1、Ar2、Ar3およびAr4における2価の複素環基とは、複素環化合物から水素原子2個を除いた残りの原子団をいい、該基は置換基を有していてもよい。
ここに複素環化合物とは、環式構造をもつ有機化合物のうち、環を構成する元素が炭素原子だけでなく、酸素、硫黄、窒素、リン、ホウ素、ヒ素などのヘテロ原子を環内に含むものをいう。2価の複素環基の中では、芳香族複素環基が好ましい。
置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、シアノ基が挙げられる。
2価の複素環基における置換基を除いた部分の炭素数は通常3〜60程度である。また、2価の複素環基の置換基を含めた全炭素数は、通常3〜100程度である。
【0100】
2価の複素環基としては、例えば以下のものが挙げられる。
ヘテロ原子として、窒素を含む2価の複素環基;ピリジンージイル基(下式39〜44)、ジアザフェニレン基(下式45〜48)、キノリンジイル基(下式49〜63)、キノキサリンジイル基(下式64〜68)、アクリジンジイル基(下式69〜72)、ビピリジルジイル基(下式73〜75)、フェナントロリンジイル基(下式76〜78)、など。
ヘテロ原子として酸素、けい素、窒素、セレンなどを含みフルオレン構造を有する基(下式79〜93)。
ヘテロ原子として酸素、けい素、窒素、硫黄、セレンなどを含む5員環複素環基:(下式94〜98)が挙げられる。
ヘテロ原子として酸素、けい素、窒素、セレンなどを含む5員環縮合複素基:(下式99〜110)が挙げられる。
ヘテロ原子として酸素、けい素、窒素、硫黄、セレンなどを含む5員環複素環基でそのヘテロ原子のα位で結合し2量体やオリゴマーになっている基:(下式111〜112)が挙げられる。
ヘテロ原子として酸素、けい素、窒素、硫黄、セレンなどを含む5員環複素環基でそのヘテロ原子のα位でフェニル基に結合している基:(下式113〜119)が挙げられる。
ヘテロ原子として酸素、窒素、硫黄、などを含む5員環縮合複素環基にフェニル基やフリル基、チエニル基が置換した基:(下式120〜125)が挙げられる。
【0101】





【0102】


【0103】






【0104】

【0105】

【0106】

【0107】




【0108】

【0109】



【0110】
また、Ar1、Ar2、Ar3およびAr4における金属錯体構造を有する2価の基とは、有機配位子を有する金属錯体の有機配位子から水素原子を2個除いた残りの2価の基である。
該有機配位子の炭素数は、通常4〜60程度であり、その例としては、8−キノリノールおよびその誘導体、ベンゾキノリノールおよびその誘導体、2−フェニル−ピリジンおよびその誘導体、2−フェニル−ベンゾチアゾールおよびその誘導体、2−フェニル−ベンゾキサゾールおよびその誘導体、ポルフィリンおよびその誘導体などが挙げられる。
また、該錯体の中心金属としては、例えば、アルミニウム、亜鉛、ベリリウム、イリジウム、白金、金、ユーロピウム、テルビウムなどが挙げられる。
有機配位子を有する金属錯体としては、低分子の蛍光材料、燐光材料として公知の金属錯体、三重項発光錯体などが挙げられる。
金属錯体構造を有する2価の基としては、具体的には、以下の(126〜132)が例示される。
【0111】













【0112】
上記の式1〜132において、Rはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、ニトロ基またはシアノ基を示す。また、式1〜132の基が有する炭素原子は、窒素原子、酸素原子または硫黄原子と置き換えられていてもよく、水素原子はフッ素原子に置換されていてもよい。
ここに、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換アミノ基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、置換カルボキシル基の定義、具体例、好ましい例は、前記芳香族炭化水素環が置換基を有する場合におけるそれらと同様である。
【0113】
溶解性、素子特性等の観点から、前記式(8)としては、下記式(12)で示される繰り返し単位が好ましい。


〔式中、E1環およびF1環はそれぞれ独立にベンゼン環またはナフタレン環であることがより好ましく、E1環およびF1環が全てベンゼン環であることがさらに好ましい。2つの結合手はそれぞれE1環またはF1環上に存在する。Z4は−C(Ra)(Rb)−、>C=C(Ra)(Rb)、−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)(=O)−、−N(Ra)−、−Si(Ra)(Rb)−、−P(=O)(Ra)−、−P(Ra)−、−B(Ra)−、−C(Ra)(Rb)−O−、−C(=O)−O−、−C(Ra)=N−または−Se−を表す。また、(Ra)、(Rb)はそれぞれ独立に置換基を表す。〕
【0114】
前記式(12)で示される繰り返し単位においてZ4が炭素である具体的な構造としては、下記構造(12−1〜12−73)および下記構造に置換基を有する構造が例示される。E1環およびF1環が有する置換基の種類としては、前述のA環〜C環が有する置換基と同様の基が例示される。
【0115】

【0116】

【0117】

【0118】

【0119】




【0120】


【0121】

【0122】


【0123】
上記式中Ra、Rb、およびR6〜R7はそれぞれ独立に置換基を表す。置換基としてはアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、ニトロ基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基などがあげられる。
【0124】
前記式(12)で示される繰り返し単位においてZ4が炭素以外の原子である具体的な構造としては、下記構造(12−74〜12−85)および下記構造に置換基を有する構造が例示される。置換基の種類としては、前述のE環およびF環が有する置換基と同様の基が例示される。
【0125】

〔上記式中Rw3、Rx3はそれぞれ独立に置換基を表す。置換基としてはアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、ニトロ基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基などがあげられる〕
【0126】
前記式(8)で示される繰り返し単位としては、下記式(13)〜(19)で示される繰り返し単位が好ましい。


〔式中、R14は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を示す。nは0〜4の整数を示す。R14が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。〕

〔式中、R15およびR16は、それぞれ独立にアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を示す。oおよびpはそれぞれ独立に0〜3の整数を示す。R15およびR16がそれぞれ複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。〕


〔式中、R17およびR20は、それぞれ独立にアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を示す。qおよびrはそれぞれ独立に0〜4の整数を示す。R18およびR19は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を示す。R17およびR20が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。〕


〔式中、R21は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を示す。sは0〜2の整数を示す。Ar13およびAr14はそれぞれ独立にアリーレン基、2価の複素環基または金属錯体構造を有する2価の基を示す。ssおよびttはそれぞれ独立に0または1を示す。
4は、O、S、SO、SO2、Se,またはTeを示す。R21が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。〕


〔式中、R34は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を表す。hは0〜4の整数を表す。R34が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。〕


〔式中、R22およびR25は、それぞれ独立にアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を示す。tおよびuはそれぞれ独立に0〜4の整数を示す。X5は、O、S、SO2、Se,Te、N−R24、またはSiR2526を示す。X6およびX7は、それぞれ独立にNまたはC−R27を示す。R24、R25、26およびR27はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基または1価の複素環基を示す。R22、R23およびR27が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。〕
式(18)で示される繰り返し単位の中央の5員環の例としては、チアジアゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、チオフェン、フラン、シロールなどが挙げられる。
【0127】



〔式中、R28およびR33は、それぞれ独立にアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を示す。vおよびwはそれぞれ独立に0〜4の整数を示す。R29、R30、R31およびR36は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を示す。Ar5はアリーレン基、2価の複素環基または金属錯体構造を有する2価の基を示す。R28およびR33が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。〕
【0128】
また、上記式(9)で示される繰り返し単位の中で、下記式(20)で示される繰り返し単位が、発光波長を変化させる観点、発光効率を高める観点、耐熱性を向上させる観点からも好ましい。


〔式中、Ar6、Ar7、Ar8およびAr9はそれぞれ独立にアリーレン基または2価の複素環基を示す。Ar10、Ar11およびAr12はそれぞれ独立にアリール基、または1価の複素環基を示す。Ar6、Ar7、Ar8、Ar9、Ar10、Ar11およびAr12は置換基を有していてもよい。xおよびyはそれぞれ独立に0または正の整数を示す。〕
【0129】
発光素子の安定性の観点や合成の行いやすさから、前記式(20)で示される繰り返し単位を1種類以上3種類以下含むことが好ましく、1種類または2種類含むことがより好ましい。さらに好ましくは、式(20)で示される繰り返し単位を1種類含む場合である。
【0130】
本発明の共役高分子化合物の中で、繰り返し単位として前記式(20)で示される繰り返し単位を2種類有する場合、発光波長を調節する観点、素子特性等の観点から、x=y=0で示される繰り返し単位とx=1かつy=0で示される繰り返し単位の組み合わせ、あるいはx=1かつy=0で示される繰り返し単位2種の組み合わせから選ばれる場合が好ましい。
【0131】
本発明において前記式(2)または(3)で示される繰り返し単位と前記式(9)で示される繰り返し単位を含む場合、そのモル比は98:2〜60:40であることが好ましい。
蛍光強度、素子特性等の観点からは、前記式(9)で示される繰り返し単位が前記式(2)または(3)で示される繰り返し単位と前記式(20)で示される繰り返し単位の合計に対して30モル%以下であることがより好ましい。本発明の共役高分子化合物を1種類のみ用いてEL用素子を作製する場合、素子特性等の観点から、前記式(2)または(3)で示される繰り返し単位と前記式(20)で示される繰り返し単位の比率は、好ましくは95:5〜70:30である。
【0132】
本発明において前記式(2)または(3)で示される繰り返し単位と前記式(8)、(10)、(11)で示される繰り返し単位を含む場合、そのモル比は90:10〜10:90であることが好ましい。
本発明において前記式(2)または(3)で示される繰り返し単位と前記式(8)〜(11)(ただし、前記式(8)が前記式(8)、(10)、(11)である場合および前記式(9)が前記式(20)である場合は除く)で示される繰り返し単位を含む場合、そのモル比は99:1〜60:40であることが好ましく、99:1〜70:30であることがより好ましい。
【0133】
上記式(9)で示される繰り返し単位の具体例としては、以下の(式133〜140)で示されるものが挙げられる。






【0134】

【0135】


【0136】
上記式においてRは、前記式1〜132のそれと同じである。有機溶媒への溶解性を高めるためには、水素原子以外を1つ以上有していることが好ましく、また置換基を含めた繰り返し単位の形状の対称性が少ないことが好ましい。
【0137】
上記式においてRがアルキルを含む置換基においては、共役高分子化合物の有機溶媒への溶解性を高めるために、1つ以上に環状または分岐のあるアルキルが含まれることが好ましい。さらに、上記式においてRがアリール基や複素環基をその一部に含む場合は、それらがさらに1つ以上の置換基を有していてもよい。上記式133〜140で示される構造のうち、発光波長を調節する観点から、上記式134および上記式137で示される構造が好ましい。
【0138】
上記式(20)で示される繰り返し単位において、発光波長を調節する観点、素子特性等の観点から、Ar6、Ar7、Ar8およびAr9がそれぞれ独立にアリーレン基であり、Ar10、Ar11およびAr12がそれぞれ独立にアリール基を示すものが好ましい。
【0139】
Ar6、Ar7、Ar8としては、それぞれ独立に、無置換のフェニレン基、無置換のビフェニル基、無置換のナフチレン基、無置換のアントラセンジイル基である場合が好ましい。
【0140】
Ar10、Ar11およびAr12としては有機溶媒への溶解性、素子特性等の観点から、それぞれ独立に、3つ以上の置換基を有するアリール基であるものが好ましく、Ar10、Ar11およびAr12が置換基を3つ以上有するフェニル基、3つ以上の置換基を有するナフチル基または3つ以上の置換基を有するアントラニル基であるものがより好ましく、Ar10、Ar11およびAr12が置換基を3つ以上有するフェニル基であるものがさらに好ましい。
【0141】
中でも、Ar10、Ar11およびAr12が、それぞれ独立に下記式(35)であり、かつx+y≦3であるものが好ましく、x+y=1であるものがより好ましく、さらに好ましくはx=1、y=0の場合である。


〔式中、Re、RfおよびRgは、それぞれ独立にアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、1価の複素環基またはハロゲン原子を表す。Re、RfおよびRgに含まれる水素原子はフッ素原子に置換されていてもよい。〕
【0142】
より好ましくは上記式(35)において、ReおよびRfがそれぞれ独立に、炭素数3以下のアルキル基、炭素数3以下のアルコキシ基、炭素数3以下のアルキルチオ基であり、かつRgが炭素数3〜20のアルキル基、炭素数3〜20のアルコキシ基、炭素数3〜20のアルキルチオ基であるものが挙げられる。
【0143】
前記式(20)で示される繰り返し単位において、Ar7が下記式(36−1)または(36−2)であることが好ましい。



〔ここで、(36−1)、(36−2)で示される構造に含まれるベンゼン環は、それぞれ独立に1個以上4個以下の置換基を有していてもよい。それら置換基は、互いに同一であっても、異なっていても良い。また、複数の置換基が連結して環を形成していても良い。さらに、該ベンゼン環に隣接して他の芳香族炭化水素環または複素環が結合していても良い。〕
【0144】
前記式(20)で示される繰り返し単位として、特に好ましい具体例としては、以下の(式141〜142)で示されるものが挙げられる。


【0145】
前記式(2)または(3)で示される繰り返し単位以外の繰り返し単位を含む共役高分子化合物としては、蛍光特性や素子特性等の観点から、前記式(6)、(7)で示される繰り返し単位から選ばれる1種以上の繰り返し単位と前記式(12)、(14)〜(20)で示される繰り返し単位の1種以上とからなるものが好ましく、式133、134および137、138で示される繰り返し単位のいずれか1種類と式(6)または(7)で示される繰り返し単位とからなるものがより好ましく、式134および式137で示される繰り返し単位のいずれか1種類と式(6)または(7)で示される繰り返し単位とからなるものがさらに好ましい。
【0146】
本発明の共役高分子化合物の中では、その主鎖を構成する芳香環同士の間の全ての結合が、実質的に、直接結合しているかまたは、-O-、-N(R)-(Rは置換基を表す)、-S-、-CR=CR-もしくは-C≡C-を介して結合しているものが好ましい。
【0147】
本発明の共役高分子化合物は、蛍光特性や素子特性等の観点から、前記式(6)、(7)で示される繰り返し単位から選ばれる1種以上の繰り返し単位と前記式(12)、(14)〜(20)で示される繰り返し単位の1種以上とからなるものが好ましく、式133、134、137および138で示される繰り返し単位のいずれか1種類と式(6)または(7)で示される繰り返し単位とからなるものがより好ましく、式134および式137で示される繰り返し単位のいずれか1種類と式(6)または(7)で示される繰り返し単位とからなるものがさらに好ましい。
【0148】
次に本発明の共役高分子化合物の製造方法について説明する。
本発明の共役高分子化合物の中で、式(2)〜(3)で示される構造を繰り返し単位を有する共役高分子化合物は、例えば、式(27)で示される化合物を原料の一つとして用いて重合させることにより製造することができる。


〔式中A環、B環、C環およびZ1〜Z3については前述のとおり。YtおよびYuはそれぞれ独立に縮合重合に関与する置換基を表す。e、fは0以上の整数値を示し、e+f≧1かつe≦2、f≦1である。〕
【0149】
前記式(27)で示される化合物の中では、重合度のあがりやすさおよび重合の制御の行いやすさの観点から、下記式(38)、(39)で示される化合物を用いて重合することが好ましい。

(38) (39)
〔式中、A環、B環およびC環は前述と同様である。Yt、YUはそれぞれ独立に置換基を表し、YtはA環またはB環と、YuはC環と結合している。〕
【0150】
式(6)、(7)で示される繰り返し単位を有する共役高分子化合物の原料としては、下記式(28)、(29)で示される化合物があげられる。

(28) (29)
〔式中、Rw1、Rx1、Rw2、Rx2はそれぞれ独立にアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、ニトロ基またはシアノ基を表し、aおよびcは0〜5の整数を表し、bおよびdは0〜3の整数を表し、Rp1、Rq1、Rp2、Rq2がそれぞれ複数個存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。Yt1、Yu1、Yt2、Yu2はそれぞれ独立に縮合重合に関与する置換基を表す。〕で示される化合物を原料の一つとして用いて重合させることにより製造することができる。
【0151】
合成の簡便さから上記式(29)で示される繰り返し単位を含む共役高分子化合物が好ましい。
【0152】
w1、Rx1、Rw2、Rx2およびRp1、Rq1、Rp2、Rq2におけるアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基および置換カルボキシル基の定義、具体例は、前記(1)式のA環およびB環が置換基を有する場合の置換基におけるそれらの定義、具体例と同様である。
【0153】
t、Yu、Yt1、Yu1、Yt2およびYu2において重合に関与しうる置換基がそれぞれ独立にハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基およびアリールアルキルスルホネート基から選ばれる場合、合成が容易な点や種々の重合反応の原料として用いることができる点から好ましい。
【0154】
また(28)においてYt1、Yu1が臭素原子である場合、合成が容易な点、官能基変換が容易な点および種々の重合反応の原料として用いることができる点から好ましい。
【0155】
また(29)においてYt2、Yu2が臭素原子である場合、合成が容易な点、官能基変換が容易な点および種々の重合反応の原料として用いることができる点から好ましい。
【0156】
また(28)において耐熱性を向上させる観点から、a=b=0であることが好ましい。
【0157】
また(29)において耐熱性を向上させる観点から、c=d=0であることが好ましい。

【0158】
また、主鎖に枝分かれがあり、末端部が3つ以上ある共役高分子化合物やデンドリマーを製造する場合は、下記式(40)で示される化合物を原料の一つとして用いて重合させることにより製造することができる。




(40)

〔式中、Yt、Yu、Yvはそれぞれ縮合重合に関与する置換基を表す。e、fは0又は正の整数を表す。〕で示される化合物を原料の一つとして用いて重合させることにより製造することができる。
【0159】
式(40)で示される原料としては、好ましくは、下記式(41)、(42)で示される




(41)
化合物が挙げられる。
〔式中、Rw1、Rx1、Rp1、Rq1、Yt1、Yu1、Yv1はそれぞれ置換基を表し、a’は0〜4の整数を表し、b’は0〜3の整数を表しす。Rp1、Rq1がそれぞれ複数個存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。〕
【0160】
式(40)で示される原料としては、好ましくは、下記式(42)で示される



(42)

化合物が挙げられる。
〔式中、Rw2、Rx2、Rp2、Rq2、Yt2、Yu2、およびYv2はそれぞれ置換基を表し、c’は0〜4の整数を表し、d’は0〜3の整数を表しす。Rp2、Rq2がそれぞれ複数個存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。〕
【0161】
また(41)において耐熱性を向上させる観点から、a’=b’=0であることが好ましい。
【0162】
また(42)において耐熱性を向上させる観点から、c’=d’=0であることが好ましい。
【0163】
本発明の共役高分子化合物の製造において、原料であるモノマー中に前記式(40)あるいは(41)、(42)で示される化合物が含まれた場合のほうが高い分子量の共役高分子化合物が得られる。この場合の前記式(40)あるいは(41)、(42)で示される化合物は、前記式(28)で示される化合物を100モル%とした場合、好ましくは10モル%以下の範囲で原料であるモノマー中に含み、さらに好ましくは1モル%以下の範囲で含む。
【0164】
また、本発明の共役高分子化合物が、式(2)または(3)以外の繰り返し単位を有する場合には、式(41)または(42)以外の繰り返し単位となる、2個の重合に関与する置換基を有する化合物を共存させて重合させればよい。
【0165】
上記式(2)または(3)で示される繰り返し単位以外の繰り返し単位となる、2個の重合しうる置換基を有する化合物としては、下記式(31)〜(34)の化合物が例示される。
上記式(40)で示される化合物に加えて、下記式(31)〜(34)のいずれかで示される化合物を重合させることにより、上記式(2)または(3)で示される単位に加えて、順に(8)〜(11)の単位を1つ以上有する共役高分子化合物を製造することができる。


〔式中、Ar1、Ar2、Ar3、Ar4、ff、X1、X2およびX3は前記と同じである。Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10、Y11、およびY12はそれぞれ独立に重合に関与する置換基を表す。〕
【0166】
末端を封止した共役高分子化合物は、上記式(38)、(39)、(28)、(29)、(40)、(41)、(42)、上記式(31)〜(34)に加えて下記式(43)、(44)示される化合物を原料として用いて重合することにより製造することができる。

1−Y15 (43)
2−Y16 (44)

(E1、E2は1価の複素環、置換基を有するアリール基、1価の芳香族アミン基、複素環配位金属錯体から誘導される1価の基を表し、Y15、Y16はそれぞれ独立に重合に関与しうる置換基を表す。)
【0167】
また、上記式(2)または(3)で示される繰り返し単位以外の繰り返し単位となる、上記式(20)に対応する2個の縮合に関与する置換基を有する化合物としては、下記式(45)で示される化合物があげられる。

〔式中、Ar6、Ar7、Ar8、Ar9、Ar10、Ar11、Ar12、xおよびyの定義および好ましい例については前記と同じ。Y13およびY14はそれぞれ独立に重合に関与しうる置換基を示す。〕
【0168】
特に上記式(38)または(39)で表される化合物と、上記式(45)で表される化合物とを用いて共重合することにより下記式(46)で示される連鎖を有する共役高分子を得ることができる。

【0169】
本発明の製造方法において、重合に関与しうる置換基のなかで、重合に関与しうる置換基としては、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基、アリールアルキルスルホネート基、ホウ酸エステル基、スルホニウムメチル基、ホスホニウムメチル基、ホスホネートメチル基、モノハロゲン化メチル基、−B(OH)2、ホルミル基、シアノ基、ビニル基等があげられる。
【0170】
ここに、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子があげられる。
【0171】
アルキルスルホネート基としては、メタンスルホネート基、エタンスルホネート基、トリフルオロメタンスルホネート基などが例示され、アリールスルホネート基としては、ベンゼンスルホネート基、p−トルエンスルホネート基などが例示され、アリールスルホネート基としては、ベンジルスルホネート基などが例示される。
【0172】

ホウ酸エステル基としては、下記式で示される基が例示される。

式中、Meはメチル基を、Etはエチル基を示す。
【0173】
スルホニウムメチル基としては、下記式で示される基が例示される。
−CH2+Me2-、−CH2+Ph2-
(Xはハロゲン原子を示し、Phはフェニル基を示す。)
【0174】
ホスホニウムメチル基としては、下記式で示される基が例示される。
−CH2+Ph3- (Xはハロゲン原子を示す。)
【0175】
ホスホネートメチル基としては、下記式で示される基が例示される。
−CH2PO(OR’)2 (Xはハロゲン原子を示し、R’はアルキル基、アリール基、アリールアルキル基を示す。)
【0176】
モノハロゲン化メチル基としては、フッ化メチル基、塩化メチル基、臭化メチル基、ヨウ化メチル基が例示される。
【0177】
縮合重合に関与する置換基として好ましい置換基は重合反応の種類によって異なるが、例えばYamamotoカップリング反応など0価ニッケル錯体を用いる場合には、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基またはアリールアルキルスルホネート基が挙げられる。またSuzukiカップリング反応などニッケル触媒あるいはパラジウム触媒を用いる場合には、アルキルスルホネート基、ハロゲン原子、ホウ酸エステル基、-B(OH)2などが挙げられる。
【0178】
本発明の製造方法は、具体的には、モノマーとなる、重合に関与する置換基を複数有する化合物を、必要に応じ、有機溶媒に溶解し、例えばアルカリや適当な触媒を用い、有機溶媒の融点以上沸点以下で行うことができる。例えば、“オルガニック リアクションズ(Organic Reactions)’’,第14巻,270−490頁,ジョンワイリー アンド サンズ(John Wiley&Sons,Inc.),1965年、 “オルガニック シンセシス(Organic Syntheses)’’,コレクティブ第6巻(Collective Volume VI),407−411頁,ジョンワイリー アンド サンズ(John Wiley&Sons,Inc.),1988年、ケミカル レビュー(Chem.Rev.),第95巻,2457頁(1995年)、ジャーナル オブ オルガノメタリック ケミストリー(J.Organomet.Chem.),第576巻,147頁(1999年)、マクロモレキュラー ケミストリー マクロモレキュラー シンポジウム(Makromol.Chem.,Macromol.Symp.),第12巻,229頁(1987年)などに記載の公知の方法を用いることができる。
【0179】
本発明の共役高分子化合物の製造方法において、縮合重合させる方法としては、原料化合物の縮合重合に関与する置換基に応じて、既知の縮合反応を用いることにより製造できる。
本発明の共役高分子化合物が縮合重合において、二重結合を生成する場合は、例えば特開平5−202355号公報に記載の方法が挙げられる。すなわち、ホルミル基を有する化合物とホスホニウムメチル基を有する化合物との、もしくはホルミル基とホスホニウムメチル基とを有する化合物のWittig反応による重合、ビニル基を有する化合物とハロゲン原子を有する化合物とのHeck反応による重合、モノハロゲン化メチル基を2つあるいは2つ以上有する化合物の脱ハロゲン化水素法による重縮合、スルホニウムメチル基を2つあるいは2つ以上有する化合物のスルホニウム塩分解法による重縮合、ホルミル基を有する化合物とシアノ基を有する化合物とのKnoevenagel反応による重合などの方法、ホルミル基を2つあるいは2つ以上有する化合物のMcMurry反応による重合などの方法が例示される。
本発明の共役高分子化合物が縮合重合によって主鎖に三重結合を生成する場合には、例えば、Heck反応、Sonogashira反応が利用できる。
【0180】
また、二重結合や三重結合を生成しない場合には、例えば該当するモノマーからSuzukiカップリング反応により重合する方法、Grignard反応により重合する方法、Ni(0)錯体により重合する方法、FeCl3等の酸化剤により重合する方法、電気化学的に酸化重合する方法、あるいは適当な脱離基を有する中間体高分子の分解による方法などが例示される。
【0181】
これらのうち、Wittig反応による重合、Heck反応による重合、Knoevenagel反応による重合、およびSuzukiカップリング反応により重合する方法、Grignard反応により重合する方法、ニッケルゼロ価錯体により重合する方法が、構造制御がしやすいので好ましい。中でも、分子量制御のしやすさの観点、高分子LEDの寿命、発光開始電圧、電流密度、駆動時の電圧上昇等の素子特性および耐熱性の観点からからニッケルゼロ化錯体により重合する方法が好ましい。
【0182】
本発明の共役高分子化合物はその繰り返し単位において、式(2)または(3)に示されるように、非対称な骨格を有しているため、共役高分子化合物に繰り返し単位の向きが存在する。これらの繰り返し単位の向きを制御する場合には、例えば、該当するモノマーの縮合重合に関与する置換基および用いる重合反応の組合せを選択して、繰り返し単位の向きを制御して重合する方法などが例示される。
【0183】
本発明の共役高分子化合物において、2種類以上の繰り返し単位のシーケンスを制御する場合には、目的とするシーケンスの中での繰り返し単位の一部または全部を有するオリゴマーを合成してから重合する方法、用いるそれぞれのモノマーの、縮合重合に関与する置換基および用いる重合反応を選択して、繰り返し単位のシーケンスを制御して重合する方法などが例示される。
【0184】
本発明の製造方法の中で、縮合重合に関与する置換基がハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基またはアリールアルキルスルホネート基から選ばれ、ニッケルゼロ価錯体存在下で縮合重合する製造方法が好ましい。
原料化合物としては、ジハロゲン化化合物、ビス(アルキルスルホネート)化合物、ビス(アリールスルホネート)化合物、ビス(アリールアルキルスルホネート)化合物あるいはハロゲン−アルキルスルホネート化合物、ハロゲン−アリールスルホネート化合物、ハロゲン−アリールアルキルスルホネート化合物、アルキルスルホネート−アリールスルホネート化合物、アルキルスルホネート−アリールアルキルスルホネート化合物、アリールスルホネート−アリールアルキルスルホネート化合物が挙げられる。
【0185】
この場合、例えば原料化合物としてハロゲン−アルキルスルホネート化合物、ハロゲン−アリールスルホネート化合物、ハロゲン−アリールアルキルスルホネート化合物、アルキルスルホネート−アリールスルホネート化合物、アルキルスルホネート−アリールアルキルスルホネート化合物、アリールスルホネート−アリールアルキルスルホネート化合物を用いることにより、繰り返し単位の向きやシーケンスを制御した共役高分子化合物を製造する方法が挙げられる。
【0186】
また、本発明の製造方法の中で、縮合重合に関与する置換基がハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基、アリールアルキルスルホネート基、ホウ酸基、またはホウ酸エステル基から選ばれ、全原料化合物が有する、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基およびアリールアルキルスルホネート基のモル数の合計(J)と、ホウ酸基(−B(OH)2)およびホウ酸エステル基のモル数の合計(K)の比が実質的に1(通常 K/J は0.7〜1.2の範囲)であり、ニッケル触媒またはパラジウム触媒を用いて縮合重合する製造方法が好ましい。
具体的な原料化合物の組み合わせとしては、ジハロゲン化化合物、ビス(アルキルスルホネート)化合物、ビス(アリールスルホネート)化合物またはビス(アリールアルキルスルホネート)化合物とジホウ酸化合物またはジホウ酸エステル化合物との組み合わせが挙げられる。
また、ハロゲン−ホウ酸化合物、ハロゲン−ホウ酸エステル化合物、アルキルスルホネート−ホウ酸化合物、アルキルスルホネート−ホウ酸エステル化合物、アリールスルホネート−ホウ酸化合物、アリールスルホネート−ホウ酸エステル化合物、アリールアルキルスルホネート−ホウ酸化合物、アリールアルキルスルホネート−ホウ酸化合物、アリールアルキルスルホネート−ホウ酸エステル化合物挙げられる。
【0187】
この場合、例えば原料化合物としてハロゲン−ホウ酸化合物、ハロゲン−ホウ酸エステル化合物、アルキルスルホネート−ホウ酸化合物、アルキルスルホネート−ホウ酸エステル化合物、アリールスルホネート−ホウ酸化合物、アリールスルホネート−ホウ酸エステル化合物、アリールアルキルスルホネート−ホウ酸化合物、アリールアルキルスルホネート−ホウ酸化合物、アリールアルキルスルホネート−ホウ酸エステル化合物を用いることにより、繰り返し単位の向きやシーケンスを制御した共役高分子化合物を製造する方法が挙げられる。
【0188】
有機溶媒としては、用いる化合物や反応によっても異なるが、一般に副反応を抑制するために、用いる溶媒は十分に脱酸素処理を施し、不活性雰囲気化で反応を進行させることが好ましい。また、同様に脱水処理を行うことが好ましい。但し、Suzukiカップリング反応のような水との2相系での反応の場合にはその限りではない。
【0189】
溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンなどの飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレンなどの不飽和炭化水素、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、クロロブタン、ブロモブタン、クロロペンタン、ブロモペンタン、クロロヘキサン、ブロモヘキサン、クロロシクロヘキサン、ブロモシクロヘキサンなどのハロゲン化飽和炭化水素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼンなどのハロゲン化不飽和炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t−ブチルアルコールなどのアルコール類、蟻酸、酢酸、プロピオン酸などのカルボン酸類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサンなどのエーテル類、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N, N‘,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ピリジンなどのアミン類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルモルホリンオキシドなどのアミド類などが例示され、単一溶媒、またはこれらの混合溶媒を用いてもよい。これらの中で、エーテル類が好ましく、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルがさらに好ましい。
【0190】
反応させるために適宜アルカリや適当な触媒を添加する。これらは用いる反応に応じて選択すればよい。該アルカリまたは触媒は、反応に用いる溶媒に十分に溶解するものが好ましい。アルカリまたは触媒を混合する方法としては、反応液をアルゴンや窒素などの不活性雰囲気下で攪拌しながらゆっくりとアルカリまたは触媒の溶液を添加するか、逆にアルカリまたは触媒の溶液に反応液をゆっくりと添加する方法が例示される。
【0191】
また、本発明の共役高分子化合物は、ランダム、ブロックまたはグラフト共重合体であってもよいし、それらの中間的な構造を有する高分子、例えばブロック性を帯びたランダム共重合体であってもよい。蛍光またはりん光の量子収率の高い高分子発光体を得る観点からは完全なランダム共重合体よりブロック性を帯びたランダム共重合体やブロックまたはグラフト共重合体が好ましい。主鎖に枝分かれがあり、末端部が3つ以上ある場合やデンドリマーも含まれる。
【0192】
前記式(2)で示される構造において、2つの式(2)が隣接する場合の構造は、下記式(21)、(22)、(23)のいずれかで示される構造になる。電子の注入性や輸送性の観点から、共役高分子化合物中に(21)〜(23)のうちの少なくとも1種類を含むことが好ましい。

【0193】
前記式(3)で示される構造において、2つの式(3)が隣接する場合の構造は、下記式(24)、(25)、(26)のいずれかで示される構造になる。電子の注入性や輸送性の観点から、共役高分子化合物中に(24)〜(26)のうちの少なくとも1種類を含むことが好ましい。

【0194】
発光素子等を作成するための様々なプロセスに耐えうる為には、共役高分子化合物のガラス転移温度は100℃程度以上であることが好ましく、130℃以上であることがより好ましく、150℃以上であることがさらに好ましい。
【0195】
本発明の共役高分子化合物のポリスチレン換算の数平均分子量は通常103〜108程度であり、好ましくは104〜106である。また、ポリスチレン換算の重量平均分子量は通常103〜108程度であり、成膜性の観点および素子にした場合の効率の観点から、好ましくは5×104以上であり、105以上がさらに好ましい。また、溶解性の観点からは、105〜5×106であることが好ましい。好ましい範囲の共役高分子化合物は、単独で素子に用いた場合でも2種類以上を混合して素子に用いた場合でも高効率になる。また、同じく共役高分子化合物の成膜性を向上させる観点から、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が1.5以上であることが好ましい。
【0196】
また本発明の共役高分子化合物は、主鎖に分岐構造を有していてもよいが、分岐構造としては、前記式(5)で示される構造を含む場合があげられるが、結合手がB環に1個以上含まれかつC環に1個以上含まれる場合が好ましい。
【0197】
分岐構造として、下記式(37)である場合がさらに好ましい。

〔式中、Rp1、Rq1、Rw1およびRx1は前記と同様の意味を表す。aは0〜4の整数値を表し、bは0〜3の整数値を表す。〕
【0198】
また、本発明の共役高分子化合物の末端基は、重合活性基がそのまま残っていると、素子にしたときの発光特性や寿命が低下する可能性があるので、安定な基で保護されていることが好ましい。主鎖の共役構造と連続した共役結合を有しているものが好ましく、例えば、炭素―炭素結合を介してアリール基または複素環基と結合している構造が例示される。具体的には、特開平9−45478号公報の化10に記載の置換基等が例示される。
【0199】
本発明の共役高分子化合物においてはその分子鎖末端の少なくとも一方が、1価の複素環基、1価の芳香族アミン基、複素環配位金属錯体から誘導される1価の基または式量90以上のアリール基から選ばれる芳香族末端基を有することが好ましい。この芳香族末端基は1種類でも2種類以上であってもよい。芳香族末端基以外の末端基は、蛍光特性や素子特性の観点から、全末端の30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましく、10%以下であることがさらに好ましく、実質的に存在しないことがより好ましい。ここで、分子鎖末端とは、本発明の製造方法により共役高分子化合物の末端に存在する芳香族末端基、重合に用いた単量体の脱離基であって重合時に脱離しないで共役高分子化合物の末端に存在する脱離基、共役高分子化合物の末端に存在する単量体において重合体の脱離基が外れたものの芳香族末端基が結合しないでかわりに結合したプロトンを言う。これらの分子鎖末端のうち、重合に用いた単量体の脱離基であって重合時に脱離しないで共役高分子化合物の末端に存在する脱離基、例えば、原料としてハロゲン原子を有する単量体を用いて本発明の共役高分子化合物を製造する場合等には、ハロゲンが共役高分子化合物末端に残っていると蛍光特性等が低下する傾向があるため、末端には単量体の脱離基が実質的に残っていないことが好ましい。
【0200】
本発明の共役高分子化合物においてはその分子鎖末端の少なくとも一方を、1価の複素環基、1価の芳香族アミン基、複素環配位金属錯体から誘導される1価の基または式量90以上のアリール基から選ばれる芳香族末端基で封止することにより、共役高分子化合物にさまざまな特性を付加することが期待される。具体的には、素子の輝度低下に要する時間を長くする効果、電荷注入性、電荷輸送性、発光特性等を高める効果、共重合体間の相溶性や相互作用を高める効果、アンカー的な効果等などがあげられる。
【0201】
1価の複素環基としては、前記載の基があげられるが、具体的には下記構造が例示される。

【0202】

【0203】

【0204】

【0205】

【0206】

【0207】

【0208】

【0209】
1価の芳香族アミン基としては、前記式(20)の構造において2個有する結合手のうちの1つをRで封止した構造が例示される。
【0210】
複素環配位金属錯体から誘導される1価の基としては、前述の金属錯体構造を有する2価の基において2個有する結合手のうちの1つをRで封止した構造が例示される。
【0211】
末端基のなかで、式量90以上のアリール基としては、炭素数は通常6〜60程度である。ここにアリール基の式量とは、アリール基を化学式で表したときに、該化学式中の各元素について、それぞれの元素の原子数に原子量を乗じたものの和をいう。
【0212】
アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フルオレン構造を有する基、縮合環化合物基などあげられる。
【0213】
末端を封止するフェニル基としては、例えば


があげられる。
【0214】
末端を封止するナフチル基としては、例えば、

があげられる。
【0215】
アントラセニル基としては、例えば、

があげられる。
【0216】
フルオレン構造を含む基としては、例えば、

があげられる。
【0217】
縮合環化合物基としては、例えば、


があげられる。
【0218】
電荷注入性、電荷輸送性を高める末端基としては、1価の複素環基、1価の芳香族アミン基、縮合環化合物基が好ましく、1価の複素環基、縮合環化合物基がより好ましい。
【0219】
発光特性を高める末端基としては、ナフチル基、アントラセニル基、縮合環化合物基、複素環配位金属錯体から誘導される1価の基が好ましい。
【0220】
素子の輝度低下に要する時間を長くする効果がある末端基としては、置換基を有するアリール基が好ましく、アルキル基を1〜3個有するフェニル基が好ましい。
【0221】

共役高分子化合物間の相溶性や相互作用を高める効果がある末端基としては、置換基を有するアリール基が好ましい。また、炭素数6以上のアルキル基が置換したフェニル基を用いることによりアンカー的な効果を奏することができる。アンカー効果とは末端基がポリマーの凝集体に対してアンカー的な役割をし、相互作用を高める効果をいう。
【0222】
素子特性を高める基としては、下記構造が好ましい。





〔式中のRは前述のRが例示されるが、水素、シアノ基、炭素数1〜20のアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、炭素数6〜18のアリール基、アリールオキシ基、炭素数4〜14の複素環基が好ましい。〕
【0223】
素子特性を高める基としては、下記構造がより好ましい。

【0224】
本発明の共役高分子化合物に対する良溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、デカリン、n−ブチルベンゼンなどが例示される。共役高分子化合物の構造や分子量にもよるが、通常はこれらの溶媒に0.1重量%以上溶解させることができる。
【0225】
本発明の共役高分子化合物は、蛍光強度や素子特性等の観点から、蛍光量子収率が30%以上であることが好ましく、50%以上がより好ましく、60%以上がさらに好ましい。
高分子LED用の共役高分子化合物に望まれる特性の1つに、電子の注入性がある。電子の注入性は一般的に共役高分子化合物の最低空分子軌道(LUMO)の値に依存しており、LUMOの絶対値の値が大きい程、電子の注入性がよい。LUMOの絶対値が2.5eV以上であることが好ましく、2.7eV以上であることがより好ましく、2.8eV以上であることがさらに好ましい。
【0226】
本発明の共役高分子化合物を高分子LED等に用いる場合、その純度が発光特性等の素子の性能に影響を与えるため、重合前のモノマーを蒸留、昇華精製、再結晶等の方法で精製したのちに重合することが好ましい。また重合後、再沈精製、クロマトグラフィーによる分別等の純化処理をすることが好ましい。本発明の共役高分子化合物の中では、ニッケルゼロ価錯体により重合する方法により製造されたものが、高分子LEDの寿命、発光開始電圧、電流密度、駆動時の電圧上昇等の素子特性、または耐熱性等の観点から好ましい。
【0227】
本発明の共役高分子化合物の原料における縮合重合に関与する置換基がハロゲンのものは、例えばカップリング反応、閉環反応等を用いて(38)、(39)、(28)、(29)、(40)、(41)、(42)、(31)、(32)、(33)、(34)、(43)、(44)、(45)のYr1、Ys1、r2、Ys2、t、Yu、Yv、Yt1、Yu1、v1、t2、Yu2、Yv2、を水素原子に置き換えた構造の化合物を合成した後に、例えば、塩素、臭素、ヨウ素、N−クロロスクシンイミド、N−ブロモスクシンイミド、ベンジルトリメチルアンモニウムトリブロミド等の種々のハロゲン化試剤によりハロゲン化することによって得られる。
【0228】
本発明の共役高分子化合物の原料における縮合重合に関与する置換基としては、ハロゲンが好ましく、高分子量化の観点や反応終了後の精製の行いやすさの観点から、ハロゲンが臭素であることが好ましい。
【0229】
また、本発明の共役高分子化合物の原料における縮合重合に関与する置換基がアルキルスルホネート基、アリールスルホネート基、またはアリールアルキルスルホネート基であるものは、例えば、それぞれ、アルコキシ基等の水酸基へ誘導可能な官能基をもつ化合物をカップリング反応、閉環反応等に供して、(38)、(39)、(28)、(29)、(40)、(41)、(42)、(31)、(32)、(33)、(34)、(43)、(44)、(45)の中で、Yr1、Ys1、r2、Ys2、t、Yu、Yv、Yt1、Yu1、v1、t2、Yu2、Yv2、をアルコキシ基等の水酸基へ誘導可能な官能基に置き換えた化合物を合成した後に、例えば三臭化ホウ素等により脱アルキル化試剤用いるなどの種々の反応により、Yr1、Ys1、r2、Ys2、t、Yu、Yv、Yt1、Yu1、v1、t2、Yu2、Yv2、を水酸基に置き換えた化合物を合成し、ついで、例えば、種々のスルホニルクロライド、スルホン酸無水物等により水酸基をスルホニル化することにより得られる。
【0230】
また、本発明の共役高分子化合物の原料における縮合重合に関与する置換基がホウ酸基、またはホウ酸エステル基であるものは、前記の方法等により、(38)、(39)、(28)、(29)、(40)、(41)、(42)、(31)、(32)、(33)、(34)、(43)、(44)、(45)の中で、Yr1、Ys1、r2、Ys2、t、Yu、Yv、Yt1、Yu1、v1、t2、Yu2、Yv2、をハロゲン原子に置き換えた化合物を合成した後に、アルキルリチウム、金属マグネシウム等を作用させ、さらにホウ酸トリメチルによりホウ酸化することにより、ハロゲン原子をホウ酸基に変換すること、および、ホウ酸化した後に、アルコールを作用させてホウ酸エステル化することにより得られる。また、前記の方法等により、(38)、(39)、(28)、(29)、(40)、(41)、(42)、(31)、(32)、(33)、(34)、(43)、(44)、(45)の中で、Yr1、Ys1、r2、Ys2、t、Yu、Yv、Yt1、Yu1、v1、t2、Yu2、Yv2、をハロゲン、トリフルオロメタンスルホネート基等に置き換えた化合物を合成し、ついで、非特許文献[Journal of Organic Chemistry, 11995,60,7508−7510、Tetrahedoron Letters,1997,28(19),3447−3450]等に記載の方法により、ホウ酸エステル化することにより得られる。本発明の共役高分子化合物の中では、ニッケルゼロ価錯体により重合する方法により製造されたものが、寿命特性の観点から好ましい。
【0231】
次に本発明の共役高分子化合物の用途について説明する。
本発明の共役高分子化合物は、通常は、固体状態で蛍光または燐光を発し、高分子発光体(高分子量の発光材料)として用いることができる。
また、該共役高分子化合物は優れた電荷輸送能を有しており、高分子LED用材料や電荷輸送材料として好適に用いることができる。該高分子発光体を用いた高分子LEDは低電圧、高効率で駆動できる高性能の高分子LEDである。従って、該高分子LEDは液晶ディスプレイのバックライト、または照明用としての曲面状や平面状の光源、セグメントタイプの表示素子、ドットマトリックスのフラットパネルディスプレイ等の装置に好ましく使用できる。
また、本発明の共役高分子化合物はレーザー用色素、有機太陽電池用材料、有機トランジスタ用の有機半導体、導電性薄膜、有機半導体薄膜などの伝導性薄膜用材料としても用いることができる。
さらに、蛍光や燐光を発する発光性薄膜材料としても用いることができる。
【0232】
次に、本発明の高分子LEDについて説明する。
本発明の高分子LEDは、陽極および陰極からなる電極間に、有機層を有し、該有機層が本発明の共役高分子化合物を含むことを特徴とする。
有機層(有機物を含む層)は、発光層、正孔輸送層、電子輸送層等のいずれであってもよいが、有機層が発光層であることが好ましい。
【0233】
ここに、発光層とは、発光する機能を有する層をいい、正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する層をいい、電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する層をいう。なお、電子輸送層と正孔輸送層を総称して電荷輸送層と呼ぶ。発光層、正孔輸送層、電子輸送層は、それぞれ独立に2層以上用いてもよい。
【0234】
有機層が発光層である場合、有機層である発光層がさらに正孔輸送性材料、電子輸送性材料または発光性材料を含んでいてもよい。ここで、発光性材料とは、蛍光および/または燐光を示す材料のことをさす。
本発明の共役高分子化合物と正孔輸送性材料と混合する場合には、その混合物全体
に対して、正孔輸送性材料の混合割合は1wt%〜80wt%であり、好ましくは5wt%〜60wt%である。本発明の高分子材料と電子輸送性材料を混合する場合には、その混合物全体に対して電子輸送性材料の混合割合は1wt%〜80wt%であり、好ましくは5wt%〜60wt%である。さらに、本発明の共役高分子化合物と発光性材料を混合する場合にはその混合物全体に対して発光性材料の混合割合は1wt%〜80wt%であり、好ましくは5wt%〜60wt%である。本発明の共役高分子化合物と発光性材料、正孔輸送性材料および/または電子輸送性材料を混合する場合にはその混合物全体に対して発光性材料の混合割合は1wt%〜50wt%であり、好ましくは5wt%〜40wt%であり、正孔輸送性材料と電子輸送性材料はそれらの合計で1wt%〜50wt%であり、好ましくは5wt%〜40wt%であり、本発明の共役高分子化合物の含有量は99wt%〜20wt%である。
【0235】
混合する正孔輸送性材料、電子輸送性材料、発光性材料は公知の低分子化合物、三重項発光錯体、または共役高分子化合物が使用できるが、共役高分子化合物を用いることが好ましい。 共役高分子化合物の正孔輸送性材料、電子輸送性材料および発光性材料としては、WO99/13692、WO99/48160、GB2340304A、WO00/53656、WO01/19834、WO00/55927、GB2348316、WO00/46321、WO00/06665、WO99/54943、WO99/54385、US5777070、WO98/06773、WO97/05184、WO00/35987、WO00/53655、WO01/34722、WO99/24526、WO00/22027、WO00/22026、WO98/27136、US573636、WO98/21262、US5741921、WO97/09394、WO96/29356、WO96/10617、EP0707020、WO95/07955、特開平2001−181618、特開平2001−123156、特開平2001−3045、特開平2000−351967、特開平2000−303066、特開平2000−299189、特開平2000−252065、特開平2000−136379、特開平2000−104057、特開平2000−80167、特開平10−324870、特開平10−114891、特開平9−111233、特開平9−45478等に開示されているポリフルオレン、その誘導体および共重合体、ポリアリーレン、その誘導体および共重合体、ポリアリーレンビニレン、その誘導体および共重合体、芳香族アミンおよびその誘導体の(共)重合体が例示される。
低分子化合物の蛍光性材料としでは、例えば、ナフタレン誘導体、アントラセンもしくはその誘導体、ペリレンもしくはその誘導体、ポリメチン系、キサンテン系、クマリン系、シアニン系などの色素類、8−ヒドロキシキノリンもしくはその誘導体の金属錯体、芳香族アミン、テトラフェニルシクロペンタジエンもしくはその誘導体、またはテトラフェニルブタジエンもしくはその誘導体などを用いることができる。
具体的には、例えば特開昭57−51781号、同59−194393号公報に記載されているもの等、公知のものが使用可能である。
【0236】
三重項発光錯体としては、例えば、イリジウムを中心金属とするIr(ppy)3、Btp2Ir(acac)、白金を中心金属とするPtOEP、ユーロピウムを中心金属とするEu(TTA)3phen等が挙げられる。
【0237】


【0238】

【0239】

【0240】


三重項発光錯体として具体的には、例えばNature,(1998),395,151、Appl.Phys.Lett.(1999),75(1),4、Proc.SPIE−Int.Soc.Opt.Eng.(2001),4105(Organic Light−Emitting Materials and Devices IV),119、J.Am.Chem.Soc.,(2001),123,4304、Appl.Phys.Lett.,(1997),71(18),2596、Syn.Met.,(1998),94(1),103、Syn.Met.,(1999),99(2),1361、Adv.Mater.,(1999),11(10),852、Jpn.J.Appl.Phys.,34,1883(1995)などに記載されている。
【0241】
本発明の共役高分子化合物は、式(1)の構造を有することにより、耐熱性に優れ得る。
本発明の共役高分子化合物の中で、ガラス転移温度が130℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましく、160℃以上であることがさらに好ましい。
【0242】
本発明の高分子組成物は、正孔輸送材料、電子輸送材料および発光材料から選ばれる少なくとも1種類の材料と本発明の共役高分子化合物を含有し、発光材料や電荷輸送材料として用いることができる。
その正孔輸送材料、電子輸送材料、発光材料から選ばれる少なくとも1種類の材料と本発明の共役高分子化合物の含有比率は、用途に応じて決めればよいが、発光材料の用途の場合は、上記の発光層におけると同じ含有比率が好ましい。
【0243】
本発明の別の実施態様としては、本発明の共役高分子化合物を2種類以上含む高分子組成物が例示される。
具体的には、前記式(2)または(3)で示される繰り返し単位を含む共役高分子化合物を2種類以上含み、該共役高分子化合物の合計量が全体の50重量%以上である高分子組成物が、高分子LEDの発光材料として用いた場合に、発光効率、寿命特性などの点で優れており、好ましい。より好ましくは、該共役高分子化合物の合計量は全体の70重量%以上である。
本発明の高分子組成物は、共役高分子化合物を単独で高分子LEDに用いる場合よりも、寿命等の素子特性を高めることができる。
【0244】
本発明の共役高分子化合物を高分子組成物として用いる場合、有機溶媒への溶解性の観点や発光効率や寿命特性等の素子特性の観点から、前記式(2)または(3)で示される繰り返し単位は、前記式(6)で示される繰り返し単位または式(7)で示される繰り返し単位から選ばれることが好ましく、式(6)で示される繰り返し単位である場合がより好ましく、式(6)においてaおよびbが0の場合がさらに好ましい。また、前記式(20)で示される繰り返し単位は、前記式134で示される繰り返し単位もしくは前記式137で示される繰り返し単位であることがさらに好ましい。
【0245】
本発明の高分子組成物のポリスチレン換算の数平均分子量は通常103〜108程度であり、好ましくは104〜106である。また、ポリスチレン換算の重量平均分子量は通常103〜108程度であり、成膜性の観点および素子にした場合の効率の観点から、好ましくは5×104〜5×106であり、105〜5×106がさらに好ましい。ここで、高分子組成物の平均分子量とは、2種類以上の共役高分子化合物を混合して得られた組成物をGPCで分析して求めた値をいう。
【0246】
本発明の高分子LEDが有する発光層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、例えば1nmから1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは2nm〜200nmである。
【0247】
発光層の形成方法としては、例えば、溶液からの成膜による方法が例示される。溶液からの成膜方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。パターン形成や多色の塗分けが容易であるという点で、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の印刷法が好ましい。
【0248】
印刷法等で用いる溶液(インク組成物)としては、少なくとも1種類の本発明の共役高分子化合物が含有されていればよく、また本発明の共役高分子化合物以外に正孔輸送材料、電子輸送材料、発光材料、溶媒、安定剤などの添加剤を含んでいてもよい。
該インク組成物中における本発明の共役高分子化合物の割合は、溶媒を除いた組成物の全重量に対して通常は20wt%〜100wt%であり、好ましくは40wt%〜100wt%である。
またインク組成物中に溶媒が含まれる場合の溶媒の割合は、組成物の全重量に対して1wt%〜99.9wt%である。
インク組成物の粘度は印刷法によって異なるが、インクジェットプリント法などインク組成物中が吐出装置を経由するもの場合には、吐出時の目づまりや飛行曲がりを防止するために粘度が25℃において1〜20mPa・sの範囲であることが好ましく、5〜20mPa・sの範囲であることがより好ましい。
【0249】
本発明の溶液は、発明の共役高分子化合物の他に、粘度および/または表面張力を調節するための添加剤を含有していても良い。該添加剤としては、粘度を高めるための高分子量の共役高分子化合物(増粘剤)や貧溶媒、粘度を下げるための低分子量の化合物、表面張力を下げるための界面活性剤などを適宜組み合わせて使用すれば良い。
【0250】
前記の高分子量の共役高分子化合物としては、本発明の共役高分子化合物と同じ溶媒に可溶性で、発光や電荷輸送を阻害しないものであれば良い。例えば、高分子量のポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、あるいは本発明の共役高分子化合物のうち分子量が大きいものなどを用いることができる。重量平均分子量が50万以上が好ましく、100万以上がより好ましい。
貧溶媒を増粘剤として用いることもできる。すなわち、溶液中の固形分に対する貧溶媒を少量添加することで、粘度を高めることができる。この目的で貧溶媒を添加する場合、溶液中の固形分が析出しない範囲で、溶媒の種類と添加量を選択すれば良い。保存時の安定性も考慮すると、貧溶媒の量は、溶液全体に対して50wt%以下であることが好ましい。
【0251】
また、本発明の溶液は、保存安定性を改善するために、本発明の共役高分子化合物の他に、酸化防止剤を含有していても良い。酸化防止剤としては、本発明の共役高分子化合物と同じ溶媒に可溶性で、発光や電荷輸送を阻害しないものであれば良く、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤などが例示される。
【0252】
溶液からの成膜に用いる溶媒としては、本発明の共役高分子化合物を溶解または均一に分散できるものが好ましい。該溶媒としてクロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−へプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等の脂肪族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、1,2−ヘキサンジオール等の多価アルコールおよびその誘導体、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が例示される。また、これらの有機溶媒は、単独で、または複数組み合わせて用いることができる。上記溶媒のうち、ベンゼン環を少なくとも1個以上含む構造を有し、かつ融点が0℃以下、沸点が100℃以上である有機溶媒を1種類以上含むことが好ましい。
【0253】
溶媒の種類としては、有機溶媒への溶解性、成膜時の均一性、粘度特性等の観点から、芳香族炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒が好ましく、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、i−プロピルベンゼン、n−ブチルベンゼン、i−ブチルベンゼン、s−ブチルベンゼン、アニソール、エトキシベンゼン、1−メチルナフタレン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、シクロヘキシルベンゼン、ビシクロヘキシル、シクロヘキセニルシクロヘキサノン、n−ヘプチルシクロヘキサン、n−ヘキシルシクロヘキサン、2−プロピルシクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−オクタノン、2−ノナノン、2−デカノン、テトラリン、ジシクロヘキシルケトン、シクロヘキサノン、フェニルヘキサン、デカリンが好ましく、キシレン、アニソール、シクロヘキシルベンゼン、ビシクロヘキシル、シクロヘキサノン、フェニルヘキサン、デカリンのうち少なくとも1種類を含むことがより好ましい。
【0254】
溶液中の溶媒の種類は、成膜性の観点や素子特性等の観点から、2種類以上であることが好ましく、2〜3種類であることがより好ましく、2種類であることがさらに好ましい。
【0255】
溶液中に2種類の溶媒が含まれる場合、そのうちの1種類の溶媒は25℃において固体状態でもよい。成膜性の観点から、1種類の溶媒は沸点が180℃以上の溶媒であり、他の1種類の溶媒は沸点が180℃以下の溶媒であることが好ましく、1種類の溶媒は沸点が200℃以上の溶媒であり、他の1種類の溶媒は沸点が180℃以下の溶媒であることがより好ましい。また、粘度の観点から、2種類の溶媒ともに、60℃において1wt%以上の共役高分子化合物が溶解することが好ましく、2種類の溶媒のうちの1種類の溶媒には、25℃において1wt%以上の共役高分子化合物が溶解することが好ましい。
【0256】
溶液中に3種類の溶媒が含まれる場合、そのうちの1〜2種類の溶媒は25℃において固体状態でもよい。成膜性の観点から、3種類の溶媒のうちの少なくとも1種類の溶媒は沸点が180℃以上の溶媒であり、少なくとも1種類の溶媒は沸点が180℃以下の溶媒であることが好ましく、3種類の溶媒のうちの少なくとも1種類の溶媒は沸点が200℃以上300℃以下の溶媒であり、少なくとも1種類の溶媒は沸点が180℃以下の溶媒であることがより好ましい。また、粘度の観点から、3種類の溶媒のうちの2種類の溶媒には、60℃において1wt%以上の共役高分子化合物が溶解することが好ましく、3種類の溶媒のうちの1種類の溶媒には、25℃において1wt%以上の共役高分子化合物が溶解することが好ましい。
【0257】
溶液中に2種類以上の溶媒が含まれる場合、粘度および成膜性の観点から、最も沸点が高い溶媒が、溶液中の全溶媒の重量の40〜90wt%であることが好ましく、50〜90wt%であることがより好ましい。
【0258】
本発明の溶液としては、粘度および成膜性の観点から、例えばアニソールおよびビシクロヘキシルからなる溶液、アニソールおよびシクロヘキシルベンゼンからなる溶液、キシレンおよびビシクロヘキシルからなる溶液、キシレンおよびシクロヘキシルベンゼン等が挙げられる。
【0259】
共役高分子化合物の溶媒への溶解性の観点から、溶媒の溶解度パラメータと、共役高分子化合物の溶解度パラメータとの差が10以下であることをが好ましく、7以下であることがより好ましい。
【0260】
溶媒の溶解度パラメーターと共役高分子化合物の溶解度パラメーターは、「溶剤ハンドブック(講談社刊、1976年)」に記載の方法で求めることができる。
【0261】
溶液中に含まれる本発明の共役高分子化合物は、1種類でも2種類以上でもよく、素子特性等を損なわない範囲で本発明の共役高分子化合物以外の共役高分子化合物を含んでいてもよい。
【0262】
本発明の溶液には、水、金属およびその塩を1〜1000ppmの範囲で含んでいてもよい。金属としては、具体的にはリチウム、ナトリウム、カルシウム、カリウム、鉄、銅、ニッケル、アルミニウム、亜鉛、クロム、マンガン、コバルト、白金、イリジウム等があげられる。また、珪素、リン、フッ素、塩素、臭素を1〜1000ppmの範囲で含んでいてもよい。
【0263】
本発明の溶液を用いて、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等により薄膜を作製することができる。中でも、本発明の溶液をスクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法により成膜する用途に用いることが好ましく、インクジェット法で成膜する用途に用いることがより好ましい。
【0264】
本発明の溶液を用いて薄膜を作製する場合、溶液に含まれる共役高分子化合物のガラス転移温度が高いため、100℃以上の温度でベークすることが可能であり、130℃の温度でベークしても素子特性の低下が非常に小さい。また、共役高分子化合物の種類によっては、160℃以上の温度でベークすることも可能である。
【0265】
本発明の溶液を用いて作製できる薄膜としては、発光性薄膜、導電性薄膜、有機半導体薄膜が例示される。
【0266】
本発明の発光性薄膜は、素子の輝度や発光電圧等の観点から、発光の量子収率が50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましい。
【0267】
本発明の導電性薄膜は、表面抵抗が1KΩ/□以下であることが好ましい。薄膜に、ルイス酸、イオン性化合物などをドープすることにより、電気伝導度を高めることができる。表面抵抗が100Ω/□以下であることがより好ましく、10Ω/□であることがさらに好ましい。
【0268】
本発明の有機半導体薄膜は、電子移動度または正孔移動度のいずれか大きいほうが、10-5cm2/V/秒以上であることが好ましい。より好ましくは、10-3cm2/V/秒以上であり、さらに好ましくは、10-1cm2/V/秒以上である。
SiO2などの絶縁膜とゲート電極とを形成したSi基板上に該有機半導体薄膜を形成し、Auなどでソース電極とドレイン電極を形成することにより、有機トランジスタとすることができる。
【0269】
本発明の高分子発光素子は、素子の輝度等の観点から陽極と陰極との間に3.5V以上の電圧を印加したときの最大外部量子収率が1%以上であることが好ましく、1.5%以上がより好ましい。
【0270】
また、本発明の高分子発光素子(以下、高分子LED)としては、陰極と発光層との間に、電子輸送層を設けた高分子LED、陽極と発光層との間に、正孔輸送層を設けた高分子LED、陰極と発光層との間に、電子輸送層を設け、かつ陽極と発光層との間に、正孔輸送層を設けた高分子LED等が挙げられる。
【0271】
例えば、具体的には、以下のa)〜d)の構造が例示される。
a)陽極/発光層/陰極
b)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
c)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
d)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(ここで、/は各層が隣接して積層されていることを示す。以下同じ。)
【0272】
本発明の高分子LEDとしては、本発明の共役高分子化合物が正孔輸送層および/または電子輸送層に含まれているものも含む。
本発明の共役高分子化合物が正孔輸送層に用いられる場合には、本発明の共役高分子化合物が正孔輸送性基を含む共役高分子化合物であることが好ましく、その具体例としては、芳香族アミンとの共重合体、スチルベンとの共重合体などが例示される。
また、本発明の共役高分子化合物が電子輸送層に用いられる場合には、本発明の共役高分子化合物が電子輸送性基を含む共役高分子化合物であることが好ましく、その具体例としては、オキサジアゾールとの共重合体、トリアゾールとの共重合体、キノリンとの共重合体、キノキサリンとの共重合体、ベンゾチアジアゾールとの共重合体などが例示される。
【0273】
本発明の高分子LEDが正孔輸送層を有する場合、使用される正孔輸送性材料としては、ポリビニルカルバゾールもしくはその誘導体、ポリシランもしくはその誘導体、側鎖もしくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体、ポリピロールもしくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)もしくはその誘導体、またはポリ(2,5−チエニレンビニレン)もしくはその誘導体などが例示される。
【0274】
具体的には、該正孔輸送性材料として、特開昭63−70257号公報、同63−175860号公報、特開平2−135359号公報、同2−135361号公報、同2−209988号公報、同3−37992号公報、同3−152184号公報に記載されているもの等が例示される。
【0275】
これらの中で、正孔輸送層に用いる正孔輸送性材料として、ポリビニルカルバゾールもしくはその誘導体、ポリシランもしくはその誘導体、側鎖もしくは主鎖に芳香族アミン化合物基を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)もしくはその誘導体、またはポリ(2,5−チエニレンビニレン)もしくはその誘導体等の高分子正孔輸送性材料が好ましく、さらに好ましくはポリビニルカルバゾールもしくはその誘導体、ポリシランもしくはその誘導体、側鎖もしくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体である。
【0276】
また、低分子化合物の正孔輸送性材料としてはピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体が例示される。低分子の正孔輸送性材料の場合には、高分子バインダーに分散させて用いることが好ましい。
【0277】
混合する高分子バインダーとしては、電荷輸送を極度に阻害しないものが好ましく、また可視光に対する吸収が強くないものが好適に用いられる。該高分子バインダーとして、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)もしくはその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)もしくはその誘導体、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサン等が例示される。
【0278】
ポリビニルカルバゾールもしくはその誘導体は、例えばビニルモノマーからカチオン重合またはラジカル重合によって得られる。
【0279】
ポリシランもしくはその誘導体としては、ケミカル・レビュー(Chem.Rev.)第89巻、1359頁(1989年)、英国特許GB2300196号公開明細書に記載の化合物等が例示される。合成方法もこれらに記載の方法を用いることができるが、特にキッピング法が好適に用いられる。
【0280】
ポリシロキサンもしくはその誘導体は、シロキサン骨格構造には正孔輸送性がほとんどないので、側鎖または主鎖に上記低分子正孔輸送性材料の構造を有するものが好適に用いられる。特に正孔輸送性の芳香族アミンを側鎖または主鎖に有するものが例示される。
【0281】
正孔輸送層の成膜の方法に制限はないが、低分子正孔輸送性材料では、高分子バインダーとの混合溶液からの成膜による方法が例示される。また、高分子正孔輸送性材料では、溶液からの成膜による方法が例示される。
【0282】
溶液からの成膜に用いる溶媒としては、正孔輸送性材料を溶解または均一に分散できるものが好ましい。該溶媒としてクロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−へプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等の脂肪族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、1,2−ヘキサンジオール等の多価アルコールおよびその誘導体、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が例示される。また、これらの有機溶媒は、単独で、または複数組み合わせて用いることができる。
【0283】
溶液からの成膜方法としては、溶液からのスピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。
【0284】
正孔輸送層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。従って、該正孔輸送層の膜厚としては、例えば1nmから1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
【0285】
本発明の高分子LEDが電子輸送層を有する場合、使用される電子輸送性材料としては公知のものが使用でき、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタンもしくはその誘導体、ベンゾキノンもしくはその誘導体、ナフトキノンもしくはその誘導体、アントラキノンもしくはその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタンもしくはその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレンもしくはその誘導体、ジフェノキノン誘導体、または8−ヒドロキシキノリンもしくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリンもしくはその誘導体、ポリキノキサリンもしくはその誘導体、ポリフルオレンもしくはその誘導体等が例示される。
【0286】
具体的には、特開昭63−70257号公報、同63−175860号公報、特開平2−135359号公報、同2−135361号公報、同2−209988号公報、同3−37992号公報、同3−152184号公報に記載されているもの等が例示される。
【0287】
これらのうち、オキサジアゾール誘導体、ベンゾキノンもしくはその誘導体、アントラキノンもしくはその誘導体、または8−ヒドロキシキノリンもしくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリンもしくはその誘導体、ポリキノキサリンもしくはその誘導体、ポリフルオレンもしくはその誘導体が好ましく、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、ポリキノリンがさらに好ましい。
【0288】
電子輸送層の成膜法としては特に制限はないが、低分子電子輸送性材料では、粉末からの真空蒸着法、または溶液もしくは溶融状態からの成膜による方法が、高分子電子輸送材料では溶液または溶融状態からの成膜による方法がそれぞれ例示される。溶液または溶融状態からの成膜時には、上記の高分子バインダーを併用してもよい。
【0289】
溶液からの成膜に用いる溶媒としては、電子輸送材料および/または高分子バインダーを溶解または均一に分散できるものが好ましい。該溶媒としてクロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−へプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等の脂肪族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、1,2−ヘキサンジオール等の多価アルコールおよびその誘導体、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が例示される。また、これらの有機溶媒は、単独で、または複数組み合わせて用いることができる。
【0290】
溶液または溶融状態からの成膜方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。
【0291】
本発明の共役高分子化合物は、高分子電界効果トランジスタとしても用いることができる。高分子電界効果トランジスタの構造としては、通常は、ソース電極およびドレイン電極が高分子からなる活性層に接して設けられており、さらに活性層に接した絶縁層を挟んでゲート電極が設けられていればよい。
【0292】
高分子電界効果トランジスタは、通常は支持基板上に形成される。支持基板の材質としては電界効果トランジスタとしての特性を阻害しなければ特に制限されないが、ガラス基板やフレキシブルなフィルム基板やプラスチック基板も用いることができる。
【0293】
電界効果トランジスタは、公知の方法、例えば特開平5−110069号公報記載の方法により製造することができる。
【0294】
活性層を形成する際に、有機溶媒可溶性の高分子を用いることが製造上非常に有利であり好ましい。高分子を有機溶剤に溶解した溶液からの成膜方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法等の塗布法を用いることができる。
【0295】
高分子電界効果トランジスタを作成後、封止してなる封止高分子電界効果トランジスタが好ましい。これにより、高分子電界効果トランジスタが、大気から遮断され、高分子電界トランジスタの特性の低下を抑えることができる。
封止する方法としては、UV硬化樹脂、熱硬化樹脂や無機のSiONx膜などでカバーする方法、ガラス板やフィルムをUV硬化樹脂、熱硬化樹脂などで張り合わせる方法などがあげられる。大気との遮断を効果的に行うため高分子電界効果トランジスタを作成後封止するまでの工程を大気に曝すことなく(例えば、乾燥した窒素雰囲気中、真空中など)行うことが好ましい。
【0296】
電子輸送層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。従って、該電子輸送層の膜厚としては、例えば1nmから1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
【0297】
また、電極に隣接して設けた電荷輸送層のうち、電極からの電荷注入効率を改善する機能を有し、素子の駆動電圧を下げる効果を有するものは、特に電荷注入層(正孔注入層、電子注入層)と一般に呼ばれることがある。
【0298】
さらに電極との密着性向上や電極からの電荷注入の改善のために、電極に隣接して前記の電荷注入層又は膜厚2nm以下の絶縁層を設けてもよく、また、界面の密着性向上や混合の防止等のために電荷輸送層や発光層の界面に薄いバッファー層を挿入してもよい。
積層する層の順番や数、および各層の厚さについては、発光効率や素子寿命を勘案して適宜用いることができる。
【0299】
本発明において、電荷注入層(電子注入層、正孔注入層)を設けた高分子LEDとしては、陰極に隣接して電荷注入層を設けた高分子LED、陽極に隣接して電荷注入層を設けた高分子LEDが挙げられる。
例えば、具体的には、以下のe)〜p)の構造が挙げられる。
e)陽極/正孔注入層/発光層/陰極
f)陽極/発光層/電子注入層/陰極
g)陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極
h)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
i)陽極/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極
j)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極
k)陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/陰極
l)陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
m)陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
n)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
o)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
p)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
【0300】
本発明の高分子LEDとしては、前述のとおり、本発明の共役高分子化合物が正孔輸送層および/または電子輸送層に含まれているものも含む。
また、本発明の高分子LEDとしては、本発明の共役高分子化合物が正孔注入層および/または電子注入層に含まれているものも含む。本発明の共役高分子化合物が正孔注入層に用いられる場合には、電子受容性化合物と同時に用いられることが好ましい。また、本発明の共役高分子化合物が電子輸送層に用いられる場合には、電子供与性化合物と同時に用いられることが好ましい。ここで、同時に用いるためには、混合、共重合、側鎖としての導入などの方法がある。
【0301】
電荷注入層の具体的な例としては、導電性高分子を含む層、陽極と正孔輸送層との間に設けられ、陽極材料と正孔輸送層に含まれる正孔輸送性材料との中間の値のイオン化ポテンシャルを有する材料を含む層、陰極と電子輸送層との間に設けられ、陰極材料と電子輸送層に含まれる電子輸送性材料との中間の値の電子親和力を有する材料を含む層などが例示される。
【0302】
上記電荷注入層が導電性高分子を含む層の場合、該導電性高分子の電気伝導度は、10-5S/cm以上103以下であることが好ましく、発光画素間のリーク電流を小さくするためには、10-5S/cm以上102以下がより好ましく、10-5S/cm以上101以下がさらに好ましい。
【0303】
上記電荷注入層が導電性高分子を含む層の場合、該導電性高分子の電気伝導度は、10-5S/cm以上103S/cm以下であることが好ましく、発光画素間のリーク電流を小さくするためには、10-5S/cm以上102S/cm以下がより好ましく、10-5S/cm以上101S/cm以下がさらに好ましい。
通常は該導電性高分子の電気伝導度を10-5S/cm以上103以下とするために、該導電性高分子に適量のイオンをドープする。
【0304】
ドープするイオンの種類は、正孔注入層であればアニオン、電子注入層であればカチオンである。アニオンの例としては、ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、樟脳スルホン酸イオンなどが例示され、カチオンの例としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンなどが例示される。
電荷注入層の膜厚としては、例えば1nm〜100nmであり、2nm〜50nmが好ましい。
【0305】
電荷注入層に用いる材料は、電極や隣接する層の材料との関係で適宜選択すればよく、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリピロールおよびその誘導体、ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリチエニレンビニレンおよびその誘導体、ポリキノリンおよびその誘導体、ポリキノキサリンおよびその誘導体、芳香族アミン構造を主鎖または側鎖に含む重合体などの導電性高分子、金属フタロシアニン(銅フタロシアニンなど)、カーボンなどが例示される。
【0306】
膜厚2nm以下の絶縁層は電荷注入を容易にする機能を有するものである。上記絶縁層の材料としては、金属フッ化物、金属酸化物、有機絶縁材料等が挙げられる。膜厚2nm以下の絶縁層を設けた高分子LEDとしては、陰極に隣接して膜厚2nm以下の絶縁層を設けた高分子LED、陽極に隣接して膜厚2nm以下の絶縁層を設けた高分子LEDが挙げられる。
【0307】
具体的には、例えば、以下のq)〜ab)の構造が挙げられる。
q)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/陰極
r)陽極/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
s)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
t)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/陰極
u)陽極/正孔輸送層/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
v)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
w)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/電子輸送層/陰極
x)陽極/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
y)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
z)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
aa)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
ab)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
本発明の高分子LEDは、上記a)〜ab)に例示した素子構造において、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層のうちのいずれかに、本発明の高分子
化合物を含むものがあげられる。
【0308】
本発明の高分子LEDを形成する基板は、電極を形成し、有機物の層を形成する際に変化しないものであればよく、例えばガラス、プラスチック、高分子フィルム、シリコン基板などが例示される。不透明な基板の場合には、反対の電極が透明または半透明であることが好ましい。
【0309】
通常本発明の高分子LEDが有する陽極および陰極の少なくとも一方が透明または半透明である。陽極側が透明または半透明であることが好ましい。
該陽極の材料としては、導電性の金属酸化物膜、半透明の金属薄膜等が用いられる。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、およびそれらの複合体であるインジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等からなる導電性ガラスを用いて作成された膜(NESAなど)や、金、白金、銀、銅等が用いられ、ITO、インジウム・亜鉛・オキサイド、酸化スズが好ましい。作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等が挙げられる。また、該陽極として、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体などの有機の透明導電膜を用いてもよい。
陽極の膜厚は、光の透過性と電気伝導度とを考慮して、適宜選択することができるが、例えば10nmから10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
また、陽極上に、電荷注入を容易にするために、フタロシアニン誘導体、導電性高分子、カーボンなどからなる層、あるいは金属酸化物や金属フッ化物、有機絶縁材料等からなる平均膜厚2nm以下の層を設けてもよい。
【0310】
本発明の高分子LEDで用いる陰極の材料としては、仕事関数の小さい材料が好ましい。例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウムなどの金属、およびそれらのうち2つ以上の合金、あるいはそれらのうち1つ以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうち1つ以上との合金、グラファイトまたはグラファイト層間化合物等が用いられる。合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金などが挙げられる。陰極を2層以上の積層構造としてもよい。
陰極の膜厚は、電気伝導度や耐久性を考慮して、適宜選択することができるが、例えば10nmから10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
【0311】
陰極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、また金属薄膜を熱圧着するラミネート法等が用いられる。また、陰極と有機物層との間に、導電性高分子からなる層、あるいは金属酸化物や金属フッ化物、有機絶縁材料等からなる平均膜厚2nm以下の層を設けてもよく、陰極作製後、該高分子LEDを保護する保護層を装着していてもよい。該高分子LEDを長期安定的に用いるためには、素子を外部から保護するために、保護層および/または保護カバーを装着することが好ましい。
【0312】
該保護層としては、共役高分子化合物、金属酸化物、金属フッ化物、金属ホウ化物などを用いることができる。また、保護カバーとしては、ガラス板、表面に低透水率処理を施したプラスチック板などを用いることができ、該カバーを熱効果樹脂や光硬化樹脂で素子基板と貼り合わせて密閉する方法が好適に用いられる。スペーサーを用いて空間を維持すれば、素子がキズつくのを防ぐことが容易である。該空間に窒素やアルゴンのような不活性なガスを封入すれば、陰極の酸化を防止することができ、さらに酸化バリウム等の乾燥剤を該空間内に設置することにより製造工程で吸着した水分が素子にダメージを与えるのを抑制することが容易となる。これらのうち、いずれか1つ以上の方策をとることが好ましい。
【0313】
本発明の高分子LEDは面状光源、セグメント表示装置、ドットマトリックス表示装置、液晶表示装置のバックライトとして用いることができる。
本発明の高分子LEDを用いて面状の発光を得るためには、面状の陽極と陰極が重なり合うように配置すればよい。また、パターン状の発光を得るためには、前記面状の発光素子の表面にパターン状の窓を設けたマスクを設置する方法、非発光部の有機物層を極端に厚く形成し実質的に非発光とする方法、陽極または陰極のいずれか一方、または両方の電極をパターン状に形成する方法がある。これらのいずれかの方法でパターンを形成し、いくつかの電極を独立にON/OFFできるように配置することにより、数字や文字、簡単な記号などを表示できるセグメントタイプの表示素子が得られる。更に、ドットマトリックス素子とするためには、陽極と陰極をともにストライプ状に形成して直交するように配置すればよい。複数の種類の発光色の異なる高分子蛍光体を塗り分ける方法や、カラーフィルターまたは蛍光変換フィルターを用いる方法により、部分カラー表示、マルチカラー表示が可能となる。ドットマトリックス素子は、パッシブ駆動も可能であるし、TFTなどと組み合わせてアクティブ駆動してもよい。これらの表示素子は、コンピュータ、テレビ、携帯端末、携帯電話、カーナビゲーション、ビデオカメラのビューファインダーなどの表示装置として用いることができる。
【0314】
さらに、前記面状の発光素子は、自発光薄型であり、液晶表示装置のバックライト用の面状光源、あるいは面状の照明用光源として好適に用いることができる。また、フレキシブルな基板を用いれば、曲面状の光源や表示装置としても使用できる。
【実施例】
【0315】
以下、本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(数平均分子量および重量平均分子量)
ここで、数平均分子量および重量平均分子量については、GPC(島津製作所製:LC−10Avp)によりポリスチレン換算の数平均分子量および重量平均分子量を求めた。測定する重合体は、約0.5wt%の濃度になるようテトラヒドロフランに溶解させ、GPCに50μL注入した。GPCの移動相はテトラヒドロフランを用い、0.6mL/minの流速で流した。カラムは、TSKgel SuperHM−H(東ソー製)2本とTSKgel SuperH2000(東ソー製)1本を直列に繋げた。検出器には示差屈折率検出器(島津製作所製:RID−10A)を用いた。
【0316】
(蛍光スペクトル)
蛍光スペクトルの測定は以下の方法で行った。重合体の0.8wt%トルエンまたはクロロホルム溶液を石英上にスピンコートして重合体の薄膜を作製した。この薄膜を350nmの波長で励起し、蛍光分光光度計(堀場製作所製Fluorolog)を用いて蛍光スペクトルを測定した。薄膜での相対的な蛍光強度を得るために、水のラマン線の強度を標準に、波数プロットした蛍光スペクトルをスペクトル測定範囲で積分して、分光光度計(Varian社製 Cary5E)を用いて測定した、励起波長での吸光度で割り付けた値を求めた。
【0317】
(ガラス転移温度)
ガラス転移温度はDSC(DSC2920、TA Instruments製)により求めた。
【0318】
(LUMOの測定)
共役共役高分子化合物のLUMOの測定にはサイクリックボルタンメトリー(ビー・エー・エス製:ALS600)を用い、0.1wt%テトラブチルアンモニウム−テトラフルオロボレートを含むアセトニトリル溶媒中で測定を行なった。共役共役高分子化合物をクロロホルムに約0.2wt%となるように溶解させた後、作用極上に共役共役高分子化合物のクロロホルム溶液を1mL塗布し、クロロホルムを気化させて共役共役高分子化合物の薄膜を形成した。測定は、参照電極に銀/銀イオン電極、作用極にグラッシーカーボン電極、対極に白金電極を用い、窒素で置換したグローブボックス中で行なった。また、電位の掃引速度は共に50mV/sで測定した。サイクリックボルタンメトリーから求めた還元電位からLUMOを計算した
【0319】
合成例1
(化合物1の合成)




化合物1
アルゴンガスで置換した10Lセパラブルフラスコにブロモ安息香酸メチル619g、炭酸カリウム904g、1-ナフチルボロン酸450gを加え、トルエン3600mlおよび水4000mlを加えて攪拌する。テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)30gを加えてから加熱還流し、そのまま3時間攪拌した。室温まで冷却後分液し、水2000mlで洗浄した。溶媒を留去したのち、トルエンを用いてシリカゲルカラム精製を行った。得られたクルドを濃縮しヘキサン774mlで2回洗浄し、乾燥することにより化合物1を596.9g白色固体として得た。
【0320】
(化合物2の合成)

化合物2
3Lの3口フラスコに4-t-ブチルフェニルブロミド 113g、テトラヒドロフラン1500mlを加え窒素雰囲気下で−78℃まで冷却する。n-ブチルリチウムを滴下漏斗に600mlとり系内の温度が変化しないようにゆっくりと滴下する。滴下後室温で2時間攪拌したのち、−78℃に冷却し化合物134.6gをテトラヒドロフラン500mlに溶解した溶液を60分かけて滴下した。さらに−78℃で2時間攪拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を500ml用いて反応を停止し、トルエン1000mlで抽出した。水で洗浄後、シリカゲルショートカラムを通して不純物を取り除き、化合物2を61.5g得た。
【0321】
(化合物3の合成)

化合物3
三フッ化ホウ素エーテル錯体325mLを入れた2000mlの三口フラスコに、ジクロロメタンを1500ml加え、氷浴で十分に冷却した。化合物2を132gをジクロロメタン溶液とし、等圧でない滴下漏斗を用いて1時間かけて滴下した。氷浴をはずし、室温で2時間攪拌した後、水を加えて反応を停止した。クロロホルムを用いて抽出し、有機層を濃縮後、橙色の油状物を得た。トルエン240ml、2-プロパノール50mlを用いて再結晶することにより目的とする化合物3を36.2g得た。
【0322】
実施例1
(化合物4の合成)


化合物4
窒素雰囲気下、1000ml3口フラスコに閉環体3を20g(純度99.6%)を仕込み、ジクロロメタン100mlを加えて溶解し、酢酸を259ml加えて油浴中50℃に加熱した。加熱しながら塩化亜鉛11.2gを加えて攪拌し、ベンジルトリメチルアンモニウムトリブロミド35.4gをジクロロメタン150mlに溶かした溶液を加熱還流しながら60分かけて加えた。さらに1時間50℃で攪拌し、室温まで冷却した後、水200mlを加えて反応を停止した。分液し、水層はクロロホルム300mlで抽出し、有機層を合一した。有機層は飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液300mlで洗浄後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液500ml、水200mlで洗浄した。得られた有機層はプレコートしたシリカゲルを通してろ過した。溶媒を留去し、得られた混合物をヘキサンより再結晶し、目的化合物4を白色の固体として17.2g得た。
<分析>
1H-NMR(300MHz/CDCl3):δ1.27 (s, 18H), 6.79(dd, 2H), 7.15-7.23 (m, 3H), 7.48 (ddd, 1H), 7.54 (td, 1H), 7.81 (dd, 1H), 7.86 (d, 1H), 7.88 (d, 1H), 8.16 (dt, 1H).
LC/MS(APPI(pos)): m/z calcd for [C37H34Br2]+・, 638.47; found, 638.0.
【0323】
合成例2
(1−ブロモ−4−t−ブチル−2,6−ジメチルベンゼンの合成)

化合物5
不活性雰囲気下で、500mlの3つ口フラスコに酢酸225gを入れ、5−t−ブチル−m−キシレン24.3gを加えた。続いて臭素31.2gを加えた後、15〜20℃で3時間反応させた。
反応液を水500mlに加え析出した沈殿をろ過した。水250mlで2回洗浄し、化合物5を白色の固体34.2gを得た。
【0324】
(化合物6の合成)



化合物6
不活性雰囲気下で、300mlの3つ口フラスコに脱気した脱水トルエン1660mlを入れ、N,N’−ジフェニルベンジジン275.0g、4−t−ブチル−2,6−ジメチルブロモベンゼン449.0gを加えた。続いてトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム7.48g、t−ブトキシナトリウム196.4g、を加えた後、トリ(t−ブチル)ホスフィン5.0gを加えた。その後、105℃で7時間反応させた。
反応液にトルエン2000mlを加え、セライト濾過し、濾液を水1000mlで3回洗浄した後、700mlまで濃縮した。これにトルエン/メタノール(1:1)溶液1600mlを加え、析出した結晶を濾過し、メタノールで洗浄した。白色の固体479.4gを得た。
【0325】
(化合物7の合成)



化合物7
不活性雰囲気下で、クロロホルム4730gに、上記N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−t‐ブチル−2,6−ジメチルフェニル)−ベンジジン472.8gを溶解した後、遮光および氷浴下でN−ブロモスクシンイミド281.8gを12分割で1時間かけて仕込み、3時間反応させた。
クロロホルム1439mlを反応液に加え、濾過し、濾液のクロロホルム溶液を5%チオ硫酸ナトリウム2159mlで洗浄し、トルエンを溶媒留去して白色結晶を得た。得られた白色結晶をトルエン/エタノールで再結晶し、白色結晶678.7gを得た。
MS(APCI(+)):(M+H)+ 815.2
【0326】
実施例2 <高分子化合物1の合成>
化合物4(1.92g)および2,2’−ビピリジル(1.27g)を脱水したテトラヒドロフラン216mLに溶解した後、窒素でバブリングして系内を窒素置換した。窒素雰囲気下において、この溶液を60℃まで昇温し、ビス(1、5−シクロオクタジエン)ニッケル(0){Ni(COD)2}(2.23g)加え、60℃で攪拌しながら3時間反応させた。この反応液を室温(約25℃)まで冷却し、25%アンモニア水11mL/メタノール216mL/イオン交換水216mL混合溶液中に滴下して1時間攪拌した後、析出した沈殿をろ過して2時間減圧乾燥し、その後、トルエン約100mLに溶解させてからろ過を行い、ろ液をアルミナカラムを通して精製し、5.2%塩酸水約200mlを加えて、3時間攪拌した後に水層を除去した。、次に4%アンモニア水約200mLを加え、2時間攪拌した後に水層を除去した。さらに有機層にイオン交換水約200mLを加え1時間攪拌した後、水層を除去した。有機層をメタノール約600mLに滴下して1時間攪拌し、析出した沈殿をろ過して2時間減圧乾燥した。得られた共重合体(以後、高分子化合物1と呼ぶ)の収量は0.080gであった。ポリスチレン換算の数平均分子量および重量平均分子量は、それぞれMn=6.5x104、Mw=3.0x105であった。
【0327】
実施例3 <高分子化合物2の合成>
化合物4(0.89g)、N,N’−ビス(4−ブロモフェニル)−N,N’−ビス(4−t‐ブチル−2,6−ジメチルフェニル)−ベンジジン(0.49g)(化合物7)および2,2’−ビピリジル(0.84g)を脱水したテトラヒドロフラン144mLに溶解した後、窒素でバブリングして系内を窒素置換した。窒素雰囲気下において、この溶液を60℃まで昇温し、ビス(1、5−シクロオクタジエン)ニッケル(0){Ni(COD)2}(1.49g)加え、60℃で攪拌しながら3時間反応させた。この反応液を室温(約25℃)まで冷却し、25%アンモニア水7mL/メタノール144mL/イオン交換水144mL混合溶液中に滴下して1時間攪拌した後、析出した沈殿をろ過して2時間減圧乾燥し、その後、トルエン約60mLに溶解させてからろ過を行い、ろ液をアルミナカラムを通して精製し、5.2%塩酸水約120mlを加えて、3時間攪拌した後に水層を除去した。、次に4%アンモニア水約120mLを加え、2時間攪拌した後に水層を除去した。さらに有機層にイオン交換水約120mLを加え1時間攪拌した後、水層を除去した。有機層をメタノール約400mLに滴下して1時間攪拌し、析出した沈殿をろ過して2時間減圧乾燥した。得られた共重合体(以後、高分子化合物2と呼ぶ)の収量は0.420gであった。ポリスチレン換算の数平均分子量および重量平均分子量は、それぞれMn=2.0x104、Mw=1.5x105であった。
【0328】
合成例4 (高分子化合物3の合成)
不活性雰囲気下にて2,7−ジブロモ−9,9−ジオクチルフルオレン(287mg、0.523mmol)、2,7−(9,9−ジオクチル)フルオレンジボロン酸エチレングリコール環状エステル (305mg、0.575mmol)、アリコート336(15mg)をトルエン(4.3g)に溶解させ、これに炭酸カリウム(231mg、1.67mmol)を約1gの水溶液とし加えた。さらにテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.39mg、0.00034mmol)を加え、20時間加熱還流した。続いてブロモベンゼン (11.5mg)を加え、更に5時間加熱還流した。加熱完了後、反応マスをメタノール(40ml)と1N塩酸水(2.2ml)の混合液に滴下し、析出した沈殿を濾別した。得られた沈殿は、メタノールと水で洗浄し、減圧乾燥を行い、固形物を得た。つづいて固形物をトルエン50mlに溶解させ、シリカカラムで通液後、20mlまで濃縮した。濃縮液をメタノールに滴下、析出した沈殿を濾別し、減圧乾燥を行い高分子化合物3を得た。収量340mg。
得られた高分子化合物3のポリスチレン換算の分子量は、Mn=1.2×103、Mw=3.2×103であった。
【0329】
実施例4(蛍光スペクトルの測定)
高分子化合物1を前述の方法で蛍光スペクトルを測定したところ、470nmにピークを有する蛍光スペクトルが得られた。
【0330】
実施例5(蛍光スペクトルの測定)
高分子化合物2を前述の方法で蛍光スペクトルを測定したところ、478nmにピークを有する蛍光スペクトルが得られた。
【0331】
実施例6 (電子注入性評価)
前述の条件により高分子化合物1のLUMO値を測定したところ、2.93eVであった。
【0332】
実施例7 (電子注入性評価)
前述の条件により高分子化合物2のLUMO値を測定したところ、2.92eVであった。
【0333】
比較例1
前述の条件により高分子化合物3のLUMO値を測定したところ、2.44eVであった
【0334】
高分子化合物1、2、4、5は共に優れた電子注入性を示すことが分かる。
【表1】


【0335】
合成例5
(化合物7−2の合成)


化合物7−2
三口の丸底フラスコ(500ml)に2−ブロモヨードベンゼン25.1g、ナフタレンボロン酸20.0g、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)0.427gおよび炭酸カリウム25.5gを加えた後、トルエン92ml、水91mlを加え加熱還流した。24時間攪拌した後、室温まで冷却した。反応溶液をシリカゲルを通してろ過し、溶媒を留去し組成生物25gを得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した後、ヘキサンを用いて再結晶を行い、化合物7−2を白色固体として12.2g得た。
【0336】
(化合物8の合成)

化合物8
窒素雰囲気下、3口フラスコ(200ml)に化合物7−2(7.3g)を仕込み、テトラヒドロフラン73mlを加えて溶解した。−78℃に冷却した後、n-ブチルリチウム18.14mlを加えた。30分攪拌後、プロピルシクロヘキサノンを6.38mLのTHFに溶かして加えた。室温まで昇温した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を50ml加えて反応を停止し、THF100mlで抽出した。得られた有機層をプレコートしたシリカゲルを通し、濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、化合物8を7.5g得た。
<分析>
1H-NMR(300MHz/CDCl3
δ0.86-0.94 (m, 3H), 1.28-1.90 (m, 17H), 1.95-2.10 (m, 1H), 2.15-2.35 (m, 1H), 7.10 (d, 1H), 7.26-7.51 (m, 7H), 7.61 (dd, 1H), 7.86 (t, 1H), 7.86 (t, 1H).
LC-MS(APPI-posi):m/z calcd. for [C28H34O], 386.57, found for [C28H34O]+・, 387.2
【0337】
(化合物9の合成)

化合物9
窒素雰囲気下、100ml2口フラスコにBF3Et2Oを12.5g、ジクロロメタン40mlを仕込み、水浴で冷却した。化合物8をジクロロメタン15mlにとかして滴下し、30分撹拌した。水50mLを加えて反応を停止し、クロロホルム50mLで二回抽出した。得られた溶液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、化合物9を2g得た。
<分析>
1H-NMR(300MHz/CDCl3
δ0.80 (t, 3H), 1.09-1.26 (m, 10H), 1.31-1.45 (m, 4H), 1.63-1.78 (m, 1H), 1.84 (q, 1H), 2.05 (m, 1H), 2.54 (m, 1H), 2.84 (t, 1H), 7.23-7.35 (m, 3H), 7.42-7.53 (m, 2H), 7.56 (d, 1H), 7.77 (d, 1H), 7.85 (t, 1H, 7.91 (d, 1H), 8.54-8.57 (m, 1H).
【0338】
実施例8

(化合物10の合成)
化合物10
窒素雰囲気下、100ml3口フラスコに化合物9を仕込み、ジクロロメタン33m、酢酸33mlを加えて50℃に加熱した。加熱下、塩化亜鉛を仕込み、ベンジルトリメチルアンモニウムトリブロミド4.45gをジクロロメタン33mlに溶かして溶液とし、加熱還流しながら滴下した。30分攪拌後、室温まで放冷し、水を加えて反応を停止し、クロロホルムを用いて抽出した。得られた有機層は飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液50mlで2回洗浄し、さらに飽和炭酸水素ナトリウム水溶液100ml、水50mlで洗浄した。有機溶媒を濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した後、再結晶を行い、化合物10を1g得た。
<分析>
1H-NMR(300MHz/CDCl3
δ0.83 (t, 3H), 1.0-1.24 (m, 11H), 1.3-1.53 (m, 3H), 1.6-1.77 (m, 1H), 1.8-1.94 (m, 1H), 2.0-2.12 (m, 1H), 2.4-2.54 (dd, 1H), 2.56-2.85 (t, 1H), 7.43-7.47 (m, 1H), 7.50 (s, 1H), 7.50-7.61 (m, 2H), 7.70 (d, 1H), 7.83 (s, 1H), 8.29 (d, 1H), 8.43 (d, 1H).再測定中
LC-MS(APPI-posi):m/z calcd for [C28H30Br2], 526.35; found for [C28H30Br2]+・, 524.
【0339】
実施例9 (高分子化合物4の合成)
反応容器(200mL)に化合物10を0.316g、2,2’-ビピリジル(0.159g)を窒素雰囲気下で仕込んだ後、テトラヒドロフラン(43mL)を加えて溶液とし、ビス(1,5-シクロオクタジエン)ニッケル(0){Ni(COD)2}0.281gを仕込んだ。撹拌しながら60℃まで昇温し、3時間撹拌した。この反応液を室温(約25℃)まで冷却し、25%アンモニア水2mL/メタノール43mL/イオン交換水43mL混合溶液中に滴下して1時間攪拌した後、析出した沈殿をろ過して2時間減圧乾燥し、その後、トルエン約20mLに溶解させてからラジオライトでプレコートしたグラスフィルターを用いてろ過を行い、ろ液はアルミナカラムを通して精製し、5.2%塩酸水約35mlを加えて、3時間攪拌した後に水層を除去した。次に4%アンモニア水約35mLを加え、2時間攪拌した後に水層を除去した。さらに有機層にイオン交換水約35mLを加え1時間攪拌した後、水層を除去した。有機層をメタノール約120mLに滴下して1時間攪拌し、析出した沈殿をろ過して2時間減圧乾燥した。得られた高分子化合物4の収量は0.140gであった。ポリスチレン換算の数平均分子量、重量平均分子量およびz平均分子量は、それぞれMn=1.56×105、Mw=7.19×105、Mz=1.66×106であった。
【0340】
実施例10 (高分子化合物5の合成)
反応容器(200mL)に化合物10を0.184g、N,N’−ビス(4−ブロモフェニル)−N,N’−ビス(4−t‐ブチル−2,6−ジメチルフェニル)−ベンジジン(0.49g)(化合物7)(0.111g)、2,2’-ビピリジル(0.133g)を仕込んだ後、窒素雰囲気下で予めアルゴンガスをバブリング(10分)した脱水テトラヒドロフラン(54mL)を加えて溶液とし、ビス(1,5-シクロオクタジエン)ニッケル(0){Ni(COD)2}(0.234g)を仕込んだ。撹拌しながら60℃まで昇温し、3時間撹拌した。この反応液を室温(約25℃)まで冷却し、25%アンモニア水2mL/メタノール54mL/イオン交換水54mL混合溶液中に滴下して1時間攪拌した後、析出した沈殿をろ過して2時間減圧乾燥し、その後、トルエン約20mLに溶解させてからラジオライトでプレコートしたグラスフィルターを用いてろ過を行い、ろ液はアルミナカラムを通して精製し、5.2%塩酸水約30mlを加えて、3時間攪拌した後に水層を除去した。次に4%アンモニア水約30mLを加え、2時間攪拌した後に水層を除去した。さらに有機層にイオン交換水約30mLを加え1時間攪拌した後、水層を除去した。有機層をメタノール約50mLに滴下して1時間攪拌し、析出した沈殿をろ過して減圧乾燥した。得られた高分子化合物5の収量は0.150g(収率70%)であった。ポリスチレン換算の数平均分子量、重量平均分子量およびz平均分子量は、それぞれMn=2.1×104、Mw=8.2×104、Mz=1.7×105であった。
【0341】
合成例6 (高分子化合物6の合成)
小スケール用6連反応装置の容器(200mL)に化合物10を(53mg)、2,7−ジブロモ−9,9−ジオクチルフルオレン(332mg)、2,2’-ビピリジル(266mg)を仕込んだ後、窒素雰囲気下で予めアルゴンガスをバブリング(10分)した脱水テトラヒドロフラン(47mL)を加えて溶液とし、ビス(1,5-シクロオクタジエン)ニッケル(0){Ni(COD)2}(468mg)を仕込んだ。撹拌しながら60℃まで昇温し、3時間撹拌した。この反応液を室温(約25℃)まで冷却し、25%アンモニア水4mL/メタノール72mL/イオン交換水72mL混合溶液中に滴下して1時間攪拌した後、析出した沈殿をろ過して2時間減圧乾燥し、その後、トルエン約30mLに溶解させてからラジオライト120mgを加えて攪拌し、ラジオライト(2mm)でプレコートしたキリヤマ漏斗を用いてろ過を行い、ろ液はアルミナカラムを通して精製し、5.2%塩酸水約59mlを加えて、3時間攪拌した後に水層を除去した。次に4%アンモニア水約59mLを加え、2時間攪拌した後に水層を除去した。さらに有機層にイオン交換水約59mLを加え1時間攪拌した後、水層を除去した。有機層をメタノール約94mLに滴下して1時間攪拌し、析出した沈殿をろ過して2時間減圧乾燥した。得られた高分子化合物6の収量は0.186gであった。ポリスチレン換算の数平均分子量、重量平均分子量およびz平均分子量は、それぞれMn=1.28×105、Mw=3.15×105、Mz=5.27×105であった。

【0342】
実施例11(蛍光スペクトルの測定)
高分子化合物4を前述の方法で蛍光スペクトルを測定したところ、454nmにピークを有する蛍光スペクトルが得られた。
【0343】
実施例12(蛍光スペクトルの測定)
高分子化合物5を前述の方法で蛍光スペクトルを測定したところ、478nmにピークを有する蛍光スペクトルが得られた。
【0344】
実施例13 (電子注入性評価)
前述の条件により高分子化合物4のLUMO値を測定したところ、2.83eVであった。
【0345】
実施例14 (電子注入性評価)
前述の条件により高分子化合物5のLUMO値を測定したところ、2.75eVであった。
【0346】
実施例15 (耐熱性評価)
前述の条件により高分子化合物4のガラス転移点を測定したところ、267℃であった。
【0347】
実施例16 (耐熱性評価)
前述の条件により高分子化合物5のガラス転移点を測定したところ、295℃であった。
【0348】
比較例2 (耐熱性評価)
前述の条件により高分子化合物3のガラス転移点を測定したところ、73℃であった。
【0349】
高分子化合物4,5は共に優れた耐熱性を示すことが分かる。
【表2】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(a)で示される構造を部分構造として含むことを特徴とする共役高分子化合物。


〔式中、A環およびB環は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族環または置換基を有していてもよい非芳香族環を表し、A環およびB環の少なくとも一方は芳香族環である。また、C環は置換基を有していてもよい芳香族環を表す。Z1は炭素原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、珪素原子、硼素原子、燐原子、セレン原子から選ばれる原子または該原子を含む基を表し、Z2〜Z6はそれぞれ独立に炭素原子、珪素原子、窒素原子および硼素原子から選ばれる原子または該原子を含む基を表す。また、B環及びC環が置換基を有する場合これらが結合して環を形成してもよい。〕
【請求項2】
上記式(a)中、Z4〜Z6が炭素原子である下記式(1)で示される構造を部分構造として含むことを特徴とする請求項1記載の共役高分子化合物。


【請求項3】
下記式(2)で示される構造を繰り返し単位として含むことを特徴とする請求項1または2記載の共役高分子化合物。


〔式中、B'環およびC'環はそれぞれ独立に置換基を有していてもよい芳香族環を表し、A'環は置換基を有していてもよい芳香族環または置換基を有していてもよい非芳香族環を表す。2つの結合手はそれぞれB'環およびC'環上に存在する。Z1〜Z3はそれぞれ前記と同じ意味を表す。〕
【請求項4】
下記式(3)で示される構造を繰り返し単位として含むことを特徴とする請求項1または2記載の共役高分子化合物。


〔式中、A''環およびC''環はそれぞれ独立に置換基を有していてもよい芳香族環を表し、B''環は置換基を有していてもよい芳香族環または置換基を有していてもよい非芳香族環を表す。2つの結合手はそれぞれA''環およびC''環上に存在する。Z1〜Z3はそれぞれ前記と同じ意味を表す。〕
【請求項5】

下記式(4)で示される構造を含むことを特徴とする請求項1または2記載の共役高分子化合物。
〔式中、A'''環およびB'''環は、置換基を有していてもよい芳香族環または置換基を有していてもよい非芳香族環を表し、A'''環およびB'''環の少なくとも一方は置換基を有していてもよい芳香族環である。また、C'''環は置換基を有していてもよい芳香族環を表す。結合手はA'''環、B'''環またはC'''環上に存在する。Z1〜Z3はそれぞれ前記と同じ意味を表す。〕
【請求項6】
下記式(5)で示される構造を含むことを特徴とする請求項1または2記載の共役高分子化合物。

〔式中、A''''環およびB''''環は、それぞれ独立に置換基を有していてもよい芳香族環または置換基を有していてもよい非芳香族環を表し、A環およびB環の少なくとも一方は置換基を有していてもよい芳香族環である。また、C''''環は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環を表す。3つの結合手はそれぞれA''''環、B''''環またはC''''環上のいずれかに存在し、Z1〜Z3は前記と同じ意味を表す。〕
【請求項7】
2およびZ3がそれぞれ独立に、>CH−、>CR'−、>C=、>SiH−、>SiR'−または>N−、=N−、>B−であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の共役高分子化合物(式中、R’はそれぞれ独立にアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、ニトロ基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を表す)。
【請求項8】
1が−C(Rw)(Rx)−、>C=C(Rw)(Rx)、−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)(=O)−、−N(Rw)−、−Si(Rw)(Rx)−、−P(=O)(Rw)−、−P(Rw)−、−B(Rw)−、−C(Rw)(Rx)−O−、−C(=O)−O−、−C(Rw)=N−、または−Se− (式中、RwおよびRxは、それぞれ独立に置換基を表す。)であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の共役高分子化合物。
【請求項9】
1〜Z3が全て炭素原子であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の共役高分子化合物。
【請求項10】
A環、B環およびC環を構成する元素が全て炭素であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の共役高分子化合物。
【請求項11】
A環、B環およびC環がそれぞれ独立にベンゼン環またはナフタレン環であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の共役高分子化合物。
【請求項12】
A環、B環およびC環が全てベンゼン環であることを特徴とする請求項11記載の共役高分子化合物。
【請求項13】
下記式(6)または(7)で示される繰り返し単位を含むことを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の共役高分子化合物。


(6) (7)
〔式中、Rp1、Rq1、Rp2、Rq2、Rw1、Rx1、Rw2およびRx2はそれぞれ独立に置換基を表し、aおよびcはそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、bおよびdはそれぞれ独立に0〜3の整数を表す。Rp1とRq1、Rp2とRq2、Rw1とRx1およびRw2とRx2はそれぞれ互いに結合して環を形成していてもよい。〕
【請求項14】
w1とRx1の少なくとも1つ、およびRw2とRx2の少なくとも1つの炭素数が2以上であることを特徴とする請求項13記載の共役高分子化合物。
【請求項15】
さらに上記式(2)、(3)以外の繰り返し単位を少なくとも1つ含むことを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の高分子化合物。
【請求項16】
上記式(2)、(3)以外の繰り返し単位が下記式(8)〜(11)で示される繰り返し単位から選ばれることを特徴とする請求項15記載の共役高分子化合物。


〔式中、Ar1、Ar2、Ar3およびAr4はそれぞれ独立にアリーレン基、2価の複素環基または金属錯体構造を有する2価の基を表す。X1、X2およびX3はそれぞれ独立に−CR1=CR2−、−C≡C−、−N(R3)−、または−(SiR45n−を表す。R1およびR2は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を表す。R3、R4およびR5は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、アリールアルキル基または置換アミノ基を示す。eは0〜2の整数を表す。nは1〜12の整数を表す。R1、R2、R3、R4およびR5がそれぞれ複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。〕
【請求項17】
前記式(8)で示される繰り返し単位が、下記式(12)で示される繰り返し単位であることを特徴とする請求項16記載の共役高分子化合物。


〔式中、E環およびF環は芳香族環を表し、2つの結合手はそれぞれE環またはF環上に存在し、Z4は−C(Rw)(Rx)−、>C=C(Rw)(Rx)、−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)(=O)−、−N(Rw)−、−Si(Rw)(Rx)−、−P(=O)(Rw)−、−P(Rw)−、−B(Rw)−、−C(Rw)(Rx)−O−、−C(=O)−O−、−C(Rw)=N−または−Se−を表す。Rw、Rxはそれぞれ独立に置換基を表す。〕
【請求項18】
上記式(8)で示される繰り返し単位が、下記式(13)〜(20)のいずれかで示される繰り返し単位であることを特徴とする請求項16記載の共役高分子化合物。

〔式中、R14は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を表す。nは0〜4の整数を表す。R14が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。〕

〔式中、R15およびR16は、それぞれ独立にアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を表す。oおよびpはそれぞれ独立に0〜3の整数を表す。R15およびR16がそれぞれ複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。〕

〔式中、R17およびR20は、それぞれ独立にアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を表す。qおよびrはそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。R18およびR19は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を表す。R17およびR20が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。〕

〔式中、R21は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を表す。gは0〜2の整数を表す。Ar13およびAr14はそれぞれ独立にアリーレン基、2価の複素環基または金属錯体構造を有する2価の基を表す。eおよびfはそれぞれ独立に0または1を表す。X4は、O、S、SO、SO2、Se,またはTeを表す。R21が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。〕


〔式中、R34は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を表す。hは0〜4の整数を表す。R34が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。〕

〔式中、R22およびR23は、それぞれ独立にアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を表す。iおよびjはそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。X5は、O、S、SO2、Se,Te、N−R24、またはSiR2526を表す。X6およびX7は、それぞれ独立にNまたはC−R27を表す。R24、R25、26およびR27はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基または1価の複素環基を表す。R25、R26およびR27が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。〕

〔式中、R28およびR33は、それぞれ独立にアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を表す。kおよびlはそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。R29、R30、R31およびR32は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を表す。Ar5はアリーレン基、2価の複素環基または金属錯体構造を有する2価の基を表す。R28およびR33が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。〕
【請求項19】
上記式(9)で示される繰り返し単位が、下記式(20)で示される繰り返し単位であることを特徴とする請求項16記載の共役高分子化合物。


〔式中、Ar6、Ar7、Ar8およびAr9はそれぞれ独立にアリーレン基または2価の複素環基を表す。Ar10、Ar11およびAr12はそれぞれ独立にアリール基、または1価の複素環基を表す。Ar6、Ar7、Ar8、Ar9、およびAr10は置換基を有していてもよい。xおよびyはそれぞれ独立に0または1を表し、0≦x+y≦1である。〕
【請求項20】
繰り返し単位として上記式(2)または(3)で示される構造と、上記式(20)で示される構造を含むことを特徴とする請求項1〜15記載の共役高分子化合物。
【請求項21】
ポリスチレン換算の数平均分子量が103〜108であることを特徴とする1〜20のいずれかに記載の共役高分子化合物。
【請求項22】
下記式(27)で示される化合物。

〔式中A環、B環、C環、Z1〜Z3は前述のとおり。YtおよびYuはそれぞれ独立に置換基を表す。eおよびfはそれぞれ独立に0以上の整数を示し、e+f≧1かつe≦2、f≦1である。〕
【請求項23】
下記式(28)または(29)で示される請求項22記載の化合物。

(28) (29)
〔式中、Rp1、Rq1、Rp2およびRq2はそれぞれ独立にアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を表し、aおよびcはそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、bおよびdはそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、Rp1、Rq1、Rp2およびRq2がそれぞれ複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。Rw1、Rx1、Rw2、Rx2はそれぞれ独立に炭素数3以上のアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を表し、Rp1とRq1、Rp2とRq2、Rw1とRx1およびRw2とRx2はそれぞれ互いに結合して環を形成していてもよい。Yt1、Yu1、Yt2およびYu2はそれぞれ独立にハロゲン原子、チオール基、アルコキシ基、フェノキシ基、アルキルフノキシ基、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基、アリールアルキルスルホネート基、ホウ酸エステル基、スルホニウムメチル基、ホスホニウムメチル基、ホスホネートメチル基、モノハロゲン化メチル基、ホウ酸基、ホルミル基、シアノ基、ビニル基またはトリアゼン基を表す。〕
【請求項24】
t1、Yu1、Yt2およびYu2がそれぞれ独立にハロゲン原子、アルキルスルホネート基、ホウ酸エステル基、ホウ酸基、トリアゼン基であることを特徴とする請求項22または23記載の化合物。
【請求項25】
上記式(27)〜(29)で示されるいずれかの化合物を原料の一つとしてもちいて重合させることを特徴とする請求項2〜20のいずれかに記載の共役高分子化合物の製造方法。
【請求項26】
上記式(28)および/または(29)で示される化合物に加えて、下記式(30)〜(33)のいずれかで示される化合物と重合させることを特徴とする請求項25記載の製造方法。

〔式中、Ar1、Ar2、Ar3、Ar4、ff、X1、X2およびX3は前記と同じ意味を表す。Y7、Y8、Y9、Y10、Y11、Y12、Y13およびY14はそれぞれ独立に重合に関与する置換基を表す。〕
【請求項27】
重合に関与する置換基がそれぞれ独立にハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基およびアリールアルキルスルホネート基から選ばれ、ニッケルゼロ価錯体存在下で重合することを特徴とする請求項26または27に記載の製造方法。
【請求項28】
重合に関与する置換基がそれぞれ独立にハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基、アリールアルキルスルホネート基、ホウ酸基、またはホウ酸エステル基から選ばれ、全原料化合物が有するハロゲン原子、アルキルスルホネート基アリールスルホネート基およびアリールアルキルスルホネート基のモル数の合計と、ホウ酸基およびホウ酸エステル基のモル数の合計の比が実質的に1であり、ニッケルまたはパラジウム触媒を用いて重合することを特徴とする請求項24〜26のいずれかに記載の製造方法。
【請求項29】
正孔輸送材料、電子輸送材料および発光材料から選ばれる少なくとも1種類の材料と請求項1〜21のいずれかに記載の共役高分子化合物とを含有することを特徴とする高分子組成物。
【請求項30】
請求項1〜21のいずれかに記載の共役高分子化合物を2種類以上含有することを特徴とする高分子組成物。
【請求項31】
請求項1〜21のいずれかに記載の共役高分子化合物または請求項31もしくは32に記載の高分子組成物を含有することを特徴とする溶液。
【請求項32】
粘度が25℃において1〜20mPa・sであることを特徴とする請求項31に記載の記載の溶液。
【請求項33】
請求項1〜21のいずれかに記載の共役高分子化合物または請求項29もしくは30に記載の高分子組成物を含有する発光性薄膜。
【請求項34】
請求項1〜21のいずれかに記載の共役高分子化合物または請求項29もしくは30に記載の高分子組成物を含有する導電性薄膜。
【請求項35】
請求項1〜21のいずれかに記載の共役高分子化合物または請求項29もしくは30に記載の高分子組成物を含有する有機半導体薄膜。
【請求項36】
請求項35記載の有機半導体薄膜を有することを特徴とする有機トランジスタ。
【請求項37】
陽極および陰極からなる電極間に、有機層を有し、該有機層が請求項1〜21のいずれかに記載の共役高分子化合物または請求項29もしくは30に記載の高分子組成物を含むことを特徴とする高分子発光素子。
【請求項38】
有機層が発光層であることを特徴とする請求項37記載の高分子発光素子。
【請求項39】
発光層がさらに正孔輸送材料、電子輸送材料または発光材料を含むことを特徴とする請求項38記載の高分子発光素子。
【請求項40】
陽極および陰極からなる電極間に、発光層と電荷輸送層とを有し、該電荷輸送層が請求項1〜21のいずれかに記載の共役高分子化合物または請求項29もしくは30記載の高分子組成物を含むことを特徴とする請求項39記載の高分子発光素子。
【請求項41】
陽極および陰極からなる電極間に、発光層と電荷輸送層とを有し、該電荷輸送層と電極との間に電荷注入層を有し、該電荷注入層が請求項1〜21のいずれかに記載の共役高分子化合物または請求項29もしくは30に記載の高分子組成物を含むことを特徴とする請求項40記載の高分子発光素子。
【請求項42】
請求項37〜41のいずれかに記載の高分子発光素子を用いたことを特徴とする面状光源。
【請求項43】
請求項37〜41のいずれかに記載の高分子発光素子を用いたことを特徴とするセグメント表示装置。
【請求項44】
請求項37〜41のいずれかに記載の高分子発光素子を用いたことを特徴とするドットマトリックス表示装置。
【請求項45】
請求項37〜41のいずれかに記載の高分子発光素子をバックライトとすることを特徴とする液晶表示装置。


【公開番号】特開2007−154174(P2007−154174A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−305067(P2006−305067)
【出願日】平成18年11月10日(2006.11.10)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】