説明

共焦点顕微鏡

【課題】装置構成を小型化できる共焦点顕微鏡を提供する。
【解決手段】試料を励起する励起光を射出する光源と、試料に前記励起光を集光させることにより試料から発生した蛍光を撮像装置に導く共焦点光学系と、を備えた共焦点顕微鏡に関する。共焦点光学系は、励起光の振幅又は位相を変調するとともに励起光を試料に対して選択的に透過させる空間光変調装置を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共焦点顕微鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、生体や細胞などの観察や、半導体の表面観察などに共焦点顕微鏡システムが用いられている。このような共焦点顕微鏡システムは、レーザ光を細胞に照射するとともに細胞上の集光点を走査し、細胞からの戻り光を検出して蛍光画像を取得し、このようにして試料から得られた蛍光画像に対して必要な画像処理を施して解析することにより、試料の観察を行うことができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−210889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の共焦点顕微鏡システムは、回転式のピンホールアレイディスクを用いる、所謂ニポウ方式構造を採用しているため、装置構成上、ピンホールアレイディスクを回転させるための可動部が必要となり、顕微鏡システムが大型化してしまうといった問題があった。
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、装置構成を小型化できる共焦点顕微鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に従えば、試料を励起する励起光を射出する光源と、前記試料に前記励起光を集光させることにより当該試料から発生した蛍光を撮像装置に導く共焦点光学系と、を備えた共焦点顕微鏡において、前記共焦点光学系は、前記励起光の振幅又は位相を変調するとともに該励起光を前記試料に対して選択的に透過させる空間光変調装置を含む共焦点顕微鏡が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、装置構成を小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第一実施形態に係る共焦点顕微鏡の概略構成を示す図。
【図2】第1空間光変調器の構成を示す図。
【図3】第1空間光変調器の動作を説明するための図。
【図4】共焦点顕微鏡の動作を説明するための図。
【図5】共焦点顕微鏡における共焦点光学系の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の共焦点顕微鏡の一実施形態に係る構成について説明する。なお、本実施形態は、発明の要旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各要請要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0010】
(第一実施形態)
図1は本実施形態に係る共焦点顕微鏡の構成を示す図である。図1に示すように、共焦点顕微鏡1は、試料10を載置する試料台2と、光源3と、試料10の表面に励起光を集光させることで得た蛍光画像を撮像装置4に入力する共焦点光学系5と、制御装置70と、を備えている。
【0011】
光源3は試料10に向けて励起光を射出するためのものである。光源3は、励起光として所定の波長を有するレーザー光を照射する。試料10は、その光学的な特性により反射、吸収、蛍光、散乱などが励起光の照射領域において生じる。生物組織を蛍光観察する場合には、試料10の組織を複数の蛍光試薬で染色して観察する。試料10に励起光が照射されると、蛍光試薬で染色された各組織から試薬に応じた蛍光が発せられる。
【0012】
撮像装置4は、蛍光画像を撮像するCCDカメラから構成されており、撮像装置4は蛍光画像を電気信号に変換し、制御装置70に入力するようになっている。制御装置70は、例えば各機能の動作を制御する演算制御部(CPU)、各種情報を格納する記憶部、外部機器とデータ通信する通信部から構成されるものである。制御装置70の演算制御部は、主に各機能を統合的に制御し、記憶部に格納されているOSなどを起動して、このOS上で格納されたプログラムを読み出して実行することにより、制御装置70全体を制御し、制御装置70固有の動作を行う。例えば記憶部のRAMは、その動作の際に作業領域として使用される。
【0013】
また制御装置70の記憶部は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスクなどであって、主にOSや制御装置として動作するためのプログラムや、対物レンズの焦点位置などの位置情報、試料10などのサンプル情報、画像データ、画像解析結果情報などの各種情報を格納するものでよい。
【0014】
さらに制御装置70の通信部は、主にケーブルや通信ネットワークなどを介して外部機器とデータ通信するインターフェースであって、撮像装置4などから撮像データなどの各種データを受信し、焦点を調整するための制御信号やその他制御信号などを送信する処理を行うものでよい。
【0015】
共焦点光学系5は、試料10に対向配置される対物レンズユニット6と、空間光変調装置7と、ダイクロイックプリズム11と、を含んでいる。対物レンズユニット6は、倍率の異なる複数の対物レンズ6a,6bを有する。なお、対物レンズ6aの倍率は、対物レンズ6bの倍率よりも高くなっている。
対物レンズユニット6は、光源3と試料10との光路上に配置する対物レンズ6a,6bを例えばリボルバー機構により入れ替え可能となっている。これにより、本実施形態に係る共焦点顕微鏡1は、対物レンズにおける倍率を用途に応じて選択可能となっている。
【0016】
空間光変調装置7は、光源3から射出された励起光L1の振幅又は位相を変調するとともに該励起光L1を試料10に対して選択的に透過させるためのものである。空間光変調装置7は、光源3からの励起光L1を変調する第1空間光変調器8と、励起光L1により試料10から発生した蛍光L2を撮像装置4に導く第2空間光変調器9と、を有する。本実施形態では、第1空間光変調器8及び第2空間光変調器9が液晶ライトバルブにより構成されている。なお、光源3と第1空間光変調器8との光路上には、光源3からの励起光L1を平行光に変換する不図示のコリメータレンズが設けられている。
【0017】
ところで、上記撮像装置4は、その受光面と、第1空間光変調器8及び第2空間光変調器9の画素25が形成された表面及び試料10の被観察面とが互いに光学的に共役関係になるように配置されている。そのため、撮像装置4には試料10の光学的断面像が結像されることとなる。従って、制御装置70は、撮像装置4からの撮像データに対して所定の画像処理を行うことで共焦点画像を得ることができる。
【0018】
第1空間光変調器8及び第2空間光変調器9は、それぞれ同じ構成を有している。そのため、以下の説明では第1空間光変調器8を例に挙げて、その構成及び動作について説明する。図2は第1空間光変調器8の構成を示す図であり、図2(a)は断面図、図2(b)は平面図である。また、図3は第1空間光変調器8の動作を説明するための図である。
【0019】
第1空間光変調器8は、図2(a),(b)に示すように、一対のガラス基板20,21間に液晶22を挟持することで構成されており、マトリクス状に配置された複数の画素25を有している。ガラス基板20の内面側には、各画素25に対応して画素電極23がそれぞれ設けられており、ガラス基板21の内面側には、全画素25に亘って共通電極24が設けられている。第1空間光変調器8は不図示の偏光板を有しており、上記電極23,24間に電圧を印加することで液晶22を画素25毎に選択的に駆動させ、各々の画素25について光(励起光L1及び蛍光L2)を透過或いは遮光可能となっている。
【0020】
また、第1空間光変調器8は、画素25毎にマイクロレンズMが設けられている。具体的には、マイクロレンズMは、各画素25に対応するガラス基板21の外面に貼着されている。すなわち、マイクロレンズMは画素25に一体に設けられており、これにより第1空間光変調器8は各画素25に光を集光させて取り込むことが可能となっている。
【0021】
第1空間光変調器8は、図3に示すように、所定の画素25により光透過領域A1を構成し、その他の画素25により遮光領域A2を構成することで光透過領域A1の画素25をピンホールと同様に機能させることが可能である。なお、図3においては図を見やすくするため、マイクロレンズMの図示を省略している。
【0022】
すなわち、第1空間光変調器8は、上述のように液晶22を駆動させる画素25を選択的に切り替えることで、ピンホール(光透過領域A1)の位置を様々に変化させることができる。第1空間光変調器8と試料10との間における励起光L1の光路の途中には、ダイクロイックプリズム11が配置されている。ダイクロイックプリズム11は、第1空間光変調器8における光透過領域の画素25を透過した各励起光L1を通過させつつ、該励起光L1を試料10に向かう励起光L1の光路上に配置された対物レンズユニット6に入射させるためのものである。また、ダイクロイックプリズム11は、励起光L1により励起された試料10から出力されて対物レンズユニット6を透過した蛍光L2を反射させ、撮像装置4に入力するためのものである。第2空間光変調器9に入射した蛍光L2は、不図示のリレーレンズを介して撮像装置4に入射されるようになっている。
【0023】
なお、第1空間光変調器8は、光透過領域A1を構成する画素25の数を種々に変更可能となっている。すなわち、後述するように光透過領域A1を構成する画素25の数を選択された対物レンズ6a,6bの倍率に応じて光透過領域A1の大きさを変更することが可能となっている。また、第2空間光変調器9は、後述のように制御装置70により第1空間光変調器8に同期して駆動されるようになっている。
【0024】
続いて、共焦点顕微鏡1の動作について説明する。
はじめに、試料台2上に適量の試料10を載置する。制御装置70は、対物レンズユニット6のうち、選択された対物レンズ6a,6bの倍率に応じて第1空間光変調器8及び第2空間光変調器9の光透過領域A1を構成する画素25の数を設定する。
【0025】
例えば、倍率の低い対物レンズ6aを使用する場合には、制御装置70は第1空間光変調器8及び第2空間光変調器9に対し、光透過領域A1を隣接する4つの画素25で構成するように制御する。一方、倍率の高い対物レンズ6bを使用する場合には、制御装置70は第1空間光変調器8及び第2空間光変調器9に対し、光透過領域A1を1つの画素25で構成するように制御する。以下の説明では、対物レンズ6bを選択した場合について説明する。
【0026】
光源3から出射された励起光L1は、不図示のコリメータレンズを介して平行光に変換された後、第1空間光変調器8に入射する。このとき、励起光L1は第1空間光変調器8の光透過領域A1の画素25のみ透過し、ダイクロイックプリズム11に入射する。
【0027】
ダイクロイックプリズム11は、第1空間光変調器8における光透過領域A1の画素25を透過した各励起光L1を通過させ、光路上に設置された対物レンズ6bに入射させる。対物レンズ6bは試料台2上に載置された試料10に集光されて微小の光スポットを形成し、試料10を励起する。
【0028】
励起光L1により励起された試料10から発生した蛍光L2は、対物レンズ6bを透過した後、ダイクロイックプリズム11により第2空間光変調器9に向けて反射される。蛍光L2は第2空間光変調器9の光透過領域A1の画素25に入射する。
【0029】
第2空間光変調器9は、制御装置70により第1空間光変調器8に同期して駆動される。具体的に、制御装置70は、第1空間光変調器8による光透過領域A1と第2空間光変調器9の光透過領域A1とを一致させるように駆動する。これにより、第1空間光変調器8の光透過領域A1を透過して試料10の表面で生じた蛍光L2は、対応する第2空間光変調器9の各画素25に設けられたマイクロレンズMにより集光されて光透過領域A1に集光される。第2空間光変調器9の光透過領域A1の画素25を透過した蛍光L2は不図示のリレーレンズを介して撮像装置4に入射される。撮像装置4は、入射された蛍光共焦点画像を電気信号に変換して出力する。制御装置70は、撮像装置4から入力される電気信号を画像データに変換処理して記憶する。
【0030】
制御装置70は、第1空間光変調器8及び第2空間光変調器9の光透過領域A1を図4(a)〜(i)に示すように順次切り替え、各光透過領域A1からの光スポットで試料10の観察領域全体をスキャンする。これにより、試料10からの蛍光L2を高感度で受光でき、コントラストの高い明瞭な共焦点画像を取得することができる。
【0031】
以上のように、本実施形態に係る共焦点顕微鏡1によれば、共焦点光学系5に設けられた空間光変調装置7により共焦点画像を得ることができるので、従来のニポウ方式のように複数のピンホールが形成されたニポウディスクを回転させる機構が不要となる。よって、顕微鏡を小型化することができる。また、空間光変調装置7(第1空間光変調器8及び第2空間光変調器9)は、使用する対物レンズ6a,6bの倍率に応じて光透過領域A1(ピンホール)の大きさを最適化できるので、所望の倍率に応じた共焦点画像を得ることができる。
【0032】
(第二実施形態)
次に、本発明の共焦点顕微鏡の第二実施形態について説明する。なお、本実施形態に係る構成と第一実施形態に係る構成とは、空間光変調装置を構成する液晶ライトバルブの数が異なっている。そのため、以下の説明では空間光変調装置の構成を主に説明し、第一実施形態と同じ構成及び部材については同一の符号を付し、その詳細な説明については省略若しくは簡略化するものとする。
【0033】
図5は本実施形態に係る共焦点顕微鏡100における共焦点光学系105の構成を示す図である。共焦点光学系105は、対物レンズユニット6と、空間光変調装置107と、偏光ビームスプリッター108と、を含んでいる。
【0034】
本実施形態に係る空間光変調装置107は、液晶ライトバルブから構成される空間光変調器110と、励起光L1に対して1/2の位相差を付与する波長板111と、偏光板112と、を含んでいる。波長板111は、偏光ビームスプリッター108を透過した励起光L1の偏光方向を45°だけ回転可能となるように光学軸が位置合わせされている。また、空間光変調器110は、波長板111を透過した励起光L1が光透過領域A1を通過することで偏光方向を90°回転させるように設定されている。また、偏光板112は、空間光変調器110の光透過領域A1を通過した偏光方向を有する励起光L1を通過させるように光学軸が位置合わせされている。
【0035】
このように本実施形態に係る空間光変調装置107は、第一実施形態とは異なり、1個の空間光変調器110のみを含んでいる。偏光ビームスプリッター108は、光源3と空間光変調装置107との間における励起光L1の光路上に配置されており、光源3から射出された所定の偏光成分からなる励起光L1を透過させることができる。また、偏光ビームスプリッター108は、試料10で発生した蛍光L2を分離して撮像装置4に導くようになっている。
【0036】
続いて、本実施形態に係る共焦点顕微鏡100の動作について説明する。なお、第一実施形態と同一の動作については説明を省略するものとする。図5には光源3から出射された励起光L1及び蛍光L2が共焦点光学系105の各光学部材(偏光ビームスプリッター108、空間光変調器110、波長板111、及び偏光板112)を通過することにより偏光状態が変化する様子を示している。
【0037】
偏光ビームスプリッター108は、に示すように光源3から出射された両矢印D1で示される偏光方向の励起光L1(例えば、P偏光)を透過させ、波長板111に入射させる。この励起光L1は、波長板111を透過することで偏光方向が45°だけ回転し、両矢印D2で示された偏光方向となる。また、波長板111を透過した励起光L1は、空間光変調器110の光透過領域A1のみを透過することで偏光方向が90°だけ回転し、両矢印D3で示された偏光方向となる。なお、偏光板112の光透過軸は両矢印D3に一致している。光透過領域A1を透過した励起光L1は、偏光板112を透過して対物レンズ6bに入射する。対物レンズ6bは試料台2上に載置された試料10に集光されて微小の光スポットを形成し、試料10を励起する。
【0038】
励起光L1により励起された試料10から発生した蛍光L2は、対物レンズ6bを透過した後、偏光板112に入射する。なお、蛍光L2は種々の偏光成分を含んでいる。蛍光L2は、偏光板112を透過すると、再度、両矢印D3で示された偏光方向となる。すなわち、蛍光L2は偏光板112を透過すると、励起光L1が空間光変調器110を通過した後の偏光方向と同一となる。偏光板112を透過した蛍光L2は、空間光変調器110の光透過領域A1のみを透過することで、再度、両矢印D2で示された偏光方向となる。空間光変調器110を透過した蛍光L2は、さらに波長板111を通過することで偏光方向が45°だけ回転し、両矢印D4で示された偏光方向となる。
【0039】
両矢印D4で示された偏光方向は、両矢印D1で示された偏光方向と直交している。すなわち、蛍光L2はS偏光となっており、偏光ビームスプリッター108を通過することなく、反射されて不図示のリレーレンズを介して撮像装置4に入射される。撮像装置4は、入射された蛍光共焦点画像を電気信号に変換して出力する。制御装置70は、撮像装置4から入力される電気信号を画像データに変換処理して記憶する。
【0040】
制御装置70は、第一実施形態と同様、空間光変調器110の光透過領域A1を順次切り替え、各光透過領域A1からの光スポットで試料10の観察領域全体をスキャンする。これにより、試料10からの蛍光L2を高感度で受光でき、コントラストの高い明瞭な共焦点画像を取得することができる。
【0041】
以上のように、本実施形態に係る共焦点顕微鏡100によれば、空間光変調装置107により共焦点画像を得ることができるので、第一実施形態と同様、従来のニポウ方式のように複数のピンホールが形成されたニポウディスクを回転させる機構が不要となり、顕微鏡を小型化できる。また、空間光変調装置107が空間光変調器110を1個のみ備えているので、第一実施形態に比べて、共焦点光学系105及びこれを備えた共焦点顕微鏡100のさらなる小型化を実現できる。
【0042】
なお、上述の実施形態においては、対物レンズユニット6が倍率の異なる対物レンズ6a,6bを2種類含む場合について説明したが、本発明は対物レンズユニット6が倍率の異なる対物レンズを3種類以上含む場合にも適応可能である。この場合、上述のように第1空間光変調器8及び第2空間光変調器9又は空間光変調器110における光透過領域A1の大きさを対物レンズに応じて最適な大きさに設定できるので、対物レンズの種類分だけピンホールが形成されたピンホールディスク又はピンホール数分のディスクを用意する必要が無い。
【0043】
また、上述の実施形態においては、空間光変調器として液晶ライトバルブを用いた場合について説明したが、励起光の振幅又は位相を変調可能な装置であれば、例えば複数のピンホール状の開口を有し、開口の各々が開閉可能なシャッター機構を用いて試料10に励起光L1を集光させるとともに試料10から発生した蛍光L2を撮像装置4に導く構成であっても構わない。また空間光変調器として、電気刺激の印加によって透過率等の特定の光学特性が変化する電気活性材料が封入され、TFT等の電極が形成された複数の空間を有する光学素子を用いても良い。この光学素子は密封封止されアレイ状に形成されたセルを有しており、各セルには電気活性材料が封入されている。各セルには電極が形成されてセルごとに独立に電圧をかけることができるようになっており、セルにかかる電圧を制御することによりセルを光が透過する状態及び光を透過しない状態を可逆的に変化させることができる。この光学素子では、どのセルに電圧をかけるかを制御することによりピンホール(光透過領域A1)の位置を様々に変化させることができる。この光学素子の構造や動作の詳細は、例えば特表2010−507119に開示されている。
【符号の説明】
【0044】
L1…励起光、L2…蛍光、M…マイクロレンズ、1,100…共焦点顕微鏡、3…光源、4…撮像装置、5,105…共焦点光学系、6a,6b…対物レンズ、7,107…空間光変調装置、8…第1空間光変調器、9…第2空間光変調器、10…試料、11…ダイクロイックプリズム、25…画素、108…偏光ビームスプリッター、110…空間光変調器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を励起する励起光を射出する光源と、前記試料に前記励起光を集光させることにより当該試料から発生した蛍光を撮像装置に導く共焦点光学系と、を備えた共焦点顕微鏡において、
前記共焦点光学系は、前記励起光の振幅又は位相を変調するとともに該励起光を前記試料に対して選択的に透過させる空間光変調装置を含むことを特徴とする共焦点顕微鏡。
【請求項2】
前記空間光変調装置は複数の画素を有し、
前記共焦点光学系は、前記複数の画素の各々に対応する複数のマイクロレンズを含むことを特徴とする請求項1に記載の共焦点顕微鏡。
【請求項3】
前記マイクロレンズは、前記画素に一体に設けられることを特徴とする請求項2に記載の共焦点顕微鏡。
【請求項4】
前記空間光変調装置が、液晶ライトバルブであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の共焦点顕微鏡。
【請求項5】
前記空間光変調装置は、前記光源からの前記励起光を変調する第1空間光変調器と、前記試料による蛍光を第1空間光変調器に同期して変調することで前記撮像装置に入力する第2空間光変調器と、を有し、
前記第1空間変調器と前記試料との間における前記励起光の光路の途中に、前記第1空間光変調器による変調後の前記励起光を透過させるとともに前記試料から生じた蛍光を前記第2空間光変調器に向けて反射させるダイクロイックプリズムが設けられることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の共焦点顕微鏡。
【請求項6】
前記共焦点光学系は、前記光源と前記空間光変調装置との間における前記励起光の光路の途中に設けられ、前記光源からの前記励起光を透過させるとともに前記試料から生じた蛍光を反射させることで前記撮像装置に入力させる偏光ビームスプリッターを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の共焦点顕微鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−78652(P2012−78652A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224971(P2010−224971)
【出願日】平成22年10月4日(2010.10.4)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】