説明

内・外装材

【課題】複数の単位板体を繋ぎ合わせて形成した連続した広い板状体が、経年変化(伸縮)によってさね加工による重なり部分でずれが生じ、単位板体相互間(雄ざねと雌ざねとの重なり部分)に隙間が生じるのを防止する。
【解決手段】基体となる互いに平行な底面1及び表面2を有する細長い矩形の単位板体A一側面に雄型を、他の側面に雌型を夫々形成し、該複数の単位板体A,A‘の雄型と雌型とを順次組合わせて広い板状体を形成するようにした内・外装材の互いに嵌合する雄型と雌型の嵌合面に、雄型又は雌型の何れか一方に凸部を、他方にこの凸部と契合する凹部設けたことにより、実質的に隣接する単位板体A,A‘を一体化した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基体となる互いに平行な底面と表面を有する例えば、間伐材等の木材を利用して造られる細長い矩形の単位板体の一側面に雄型を、他の一側面に雌型を夫々形成し、複数の単位板体の雄型と雌型とを順次組合わせて広い板状体を形成するようにした内・外装材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、特開昭61−16801号公報に記載されている如き、複数の板体を繋ぎ合わせて連続した広い板体を形成するに際し、板体の相対する側面に雄ざねと雌ざねを夫々設け、これを互いに嵌合させて一枚一枚繋ぎ合させることにより一体感を高めると共に現場での施工も容易にしたものは既に知られており実際に多数実施もされている。
しかしながら、この従来の方法は、現場施工が基本で、現場で多数の板体を一枚一枚組み合わせて貼り合せる必要があり、現場作業に手間がかかると言う不具合を免れないと共に、現場に多数の板体をバラバラの状態で持ち込まなければならず部品点数も多くならざるを得ず現場での部品管理も面倒で作業能率が悪かった。
【0003】
前記の不具合を解決する手段も既に種々思考されており、本出願人も、工場生産が可能で、現場での作業能率も格段に向上させることが可能な、細長い矩形の単位板体の一側面に雄型を、他の一側面に雌型を夫々形成し、この雄型と雌型とを順次組合わせた状態で、該板状体の一面に可撓性材を貼付し、実質的に一体化した広い板状体とした内・外装材を提案しているところである。(特開平2−239904号,実開平2−20613号)
【特許文献1】 特開昭61−16801号
【特許文献2】 特開平2−239904号
【特許文献3】 実開平2−20613号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の複数の板体を繋ぎ合わせて連続した広い板状体(板張り)を形成する方法では、板体を現場で一枚一枚組み合わせるものにおいても、予め工場で広い板状体を生産する場合においても、何れも、板体の一側面に雄型(ざね)を、他の一側面に雌型(ざね)を夫々形成し、複数の板体の雄型(ざね)と雌型(ざね)とを順次組合わせるものである。
従って、ざね加工を施していない単純な平板を突き合わせて張り合わせる場合に比較すると隣接する板同士の隙間もなくきれいな施工が可能である。
しかし、木材は生き物であり、施工後も吸排湿を繰り返しており、これに伴い微妙に伸縮している。これは我国のように四季があり、夏季の高温多湿期と冬季の乾燥期とではその差が大きく、施工時には緊密に施工されていても経年変化(伸縮)によってさね加工による重なり部分があっても、ここでずれが生じ、はなはだしい場合には雄ざねと雌ざねとの重なり以上にずれてしまい隙間が生じる可能性がないとはいえない。
このため、機密性、外観の綺麗さが要望されるような施工場所等では折角さね加工しているにも拘らず板材に前記のようなずれが生じないように一枚一枚を基体に釘などで強固に固定しておく等の手段が講じられており、必ずしも作業効率の向上にはつながらない場合があった。
【課題を解決しようとするための手段】
【0005】
基体となる互いに平行な底面(1)及び表面(2)を有する細長い矩形の単位板体(A)一側面に雄型を、他の側面に雌型を夫々形成し、該複数の単位板体(A,A‘)の雄型(M)と雌型(W)とを順次組合わせて広い板状体を形成するようにした内・外装材において、互いに嵌合する雄型(M)と雌型(W)の嵌合面に、雄型又は雌型の何れか一方にV字状、或いは台形状等の凸部(3)を、他方にこの凸部と契合するV字状、或いは台形状等の凹部(4)設け、この凸部(3)と凹部(4)を契合させることにより、実質的に隣接する単位板体(A,A‘)を一体化した。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、単位板体の一側面に雄型を、他の一側面に雌型を夫々形成した複数の単位板体の雄型と雌型とを順次組合わせてなる内・外装材の雄型と雌型との嵌合面に互いに契合する凹部と凸部を設け、この凸部(3)と凹部(4)を契合させることにより、雄型と雌型との契合位置が正確に位置決めできると共に、一旦この凸部(3)と凹部(4)を契合させて固定すれば雄型と雌型が嵌合面でずれることがない。
即ち、隣接する単位板体は雄型と雌型との嵌合によって上下方向の移動は拘束され、凹部と凸部の契合によって左右方向(板幅方向)の移動も拘束され実質的に一体化される。
【0007】
従がって、単位板体が、変形や伸縮などによって雄型と雌型とを互いにずれようとする力が作用しても隣接する単位板体同士は相互に実質的に一体感を保持するので隣接する単位板体同士がずれて、その相互間に隙間が生じるようなことはない。また、隣接する単位板体同士は実質的に一体であるから基体への固定も通常の固定方法、例えば、数枚置きに釘止めするなどの簡単に取り付け方法で単位板体同士は相互にずれが生じることはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面に示した実施例に沿って説明する。
図1乃至図4は本発明の一実施例を示すもので、図1は部分斜視図、図2は一部を折り曲げた側面図、図3は隣接する単位板体の雄型と雌型を組み合わせた状態を示す部分斜視図、図4は同雄型と雌型の組み合わせ過程(折り曲げ状態)を示す部分斜視図で、図3の反対面(背面)から見た図である。
【0009】
本発明の板状体Aは、杉、檜、ヒバ等の木材により形成されており、特に、経済性の面から活用の途が少なく、伐採されないか、されても伐採後林野に放置されている間伐材のような小径木でも十分利用可能であるから、近年の自然保護の流れ、地球温暖化の防止の観点から間伐材を活用すれば、間伐材の有効活用と合わせて自然保護、地球温暖化の防止の一助となる。
【0010】
この単位板体Aは、例えば、幅が10cm、長さか1.8m、厚さか10mmの矩形状の平板で、略平行な底面1と表面2を有している。なお、底面1と表面2の表現は説明の都合上便宜的に使用するもので、表裏を逆にすれば底面1と表面2は逆になる。また、前記板状体Aの幅、長さ、及び厚さはあくまでも一例で、使用用途、原材料(例えば原木)などから適宜最適な寸法を選択できるものであることは言うまでもない。
【0011】
次に、この単位板体Aの側面には形成する雄型Mと雌型Wについて図3,4を参照して説明する。
雄型Mは単位板体Aの一側面に形成されている。
雄型Mを形成する単位板体Aの一側面には、該単位板体Aの端面から略板厚と同程度の長さだけ、底面1側を板厚の略1/2板幅方向に切り落とされている。そして、切り落とした底面1側其端oと、切り残された底面1側先端aとを結ぶ線o−aを回転半径として前記其端oを回転中心として描かれる円弧に沿って前記切り残された表面2側端部を切り落としている。従って、雄型Mは大略側面視V字状の突起に形成されている。
一方、雌型Wは、雄型Mを形成する単位板体Aの他の一側面に形成されている。
雌型を形成する単位板体Aの一側面は端面から略板厚と同程度の長さだけ、雄型Mとは逆に表面2側を板厚の略1/2板幅方向に切り落としている。そして、切り残した底面1側の側端o‘を回転中心として、前記雄型Mの先端部の切り落とし回転半径(o−a)と等しい回転半径(o’−a‘)で切り取られた表面2側の側端部を表面側から板厚方向に、底面1側の側端o‘を回転中心として描かれる円弧に沿って切り込む。従って、雌型Wは大略側面視V字状の凹部に形成されている。
よって、図3に示しているように互いに隣接する単位板体A,A‘の側端部に形成した雄型Mと雌型Wを組み合わせた状態では組み合わせ部の板厚も単位板体の元の板厚と等しくなる。
【0012】
そして、前記雄型Mの底面1側に側面から視てV字状の凸部3を、また、雌型Wの表面2側の前記雄型Mに設けたV字状の凸部3対向する位置に、該凸部3と契合するV字状の凹部4設けている。従って、隣接する単位板体A,A‘は図4に示すようにo(o’)を支点として相対的に回転させれば契合、離脱が可能であるが、一旦図4に示すように契合させてしまった状態では、上下方向及び左右方向(板幅方向)何れの力が作用しても、上下方向の力に対しては雄型Mと雌型Wの嵌合によって移動が拘束され、左右方向の力に対しては雄型Mに設けたV字状の凸部3と雌型Wに設けたV字状の凹部4の契合によって移動が拘束されるので、雄型Mと雌型Wが嵌合で移動する(ずれる)ことはない。
【0013】
なお、図1乃至図4において、5,6は面取り部で、隣接する単位板体A,A‘の表面2側の接合部にメジ7を形成している。また、8は裏すきで板の歪を吸収するために適宜設けるのが望ましい。(図3乃至図4では記載を割愛している)
更に、図示を割愛しているが、雄型Mと雌型Wを嵌合させた状態で底面2に布等を裏張りすればその状態で一体化され所望の広さの内・外装材を得ることができるし、裏張り材を可撓性材料とすれば折畳むことも可能である。
更に又、雄型Mと雌型Wの嵌合面に幅方向に数箇所接着剤を塗布して雄型Mと雌型Wを嵌合させれば、前記の裏張りしたのと同様に所望の広さの内・外装材を得ることができる。そして、接着剤の強度を適当に選定しておけば、折り曲げることにより分離できるので切断工具を用いることなく施工広さに合わせて調整することが可能である。
【0014】
次に、図5,図6を参照して他の実施例について説明する。
本実施例も基本的には前記の図1乃至図4に示した実施例と同様であるから相違点についてのみ説明する。
図5,図6に示した実施例では、前記実施例では雄型Mの底面1側に側面しV字状の凸部3を、また、雌型Wの表面2側の前記雄型Mに設けたV字状の凸部3対向する位置に、該凸部3と契合するV字状の凹部4設けているのに対し、V字状の凸部3,凹部4を台形状の凸部3‘、凹部4’とすると共に、雄型M側に凹部4’を設け、雌型Wに凸部3‘を設けている点で相違していると共に、単位板体A,A‘の表面2側の接合部にメジ7を形成していない点で相違しているが、基本的な作用・効果は同じである。
【0015】
前記した2つの実施例では、雄型又は雌型の何れか一方に設けた凸部3をV字状、或いは台形状とし、他方にこの凸部3と契合するV字状、或いは台形状の凹部4を設けた例について説明したが、これはV字状、或いは台形状に限定されるものではなく、契合状態で左右(幅)方向にすれを生じさせない形状であれば良い。
また、雄型M、雌型Wの形状について、雄型Mは円弧状に切落とし、雌型Wは円弧状に切込んだ例について説明したが、これも円弧に限定されるものではなく、円弧近似の直線(接線)等であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施例を示す部分斜視図
【図2】同一部を折り曲げた側面図
【図3】同雄型と雌型の組み合わせ状態を示す部分斜視図
【図4】同雄型と雌型の組み合わせ過程(折り曲げ状態)を示す部分斜視図
【図5】本発明の他の実施例を示す雄型と雌型の組み合わせ状態を示す部分斜視図
【図6】同雄型と雌型の組み合わせ過程(折り曲げ状態)を示す部分斜視図
【符号の説明】
【0017】
A,A‘、単位板体 M、雄型 W、雌型 1、底面 2、表面
3,3’、凸部 4,4‘、凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体となる互いに平行な底面(1)及び表面(2)を有する細長い矩形の単位板体(A)一側面に雄型を、他の一側面に雌型を夫々形成し、該複数の単位板体(A,A‘)の雄型(M)と雌型(W)とを順次組合わせて広い板状体を形成するようにした内・外装材において、互いに嵌合する雄型(M)と雌型(W)の嵌合面に、雄型又は雌型の何れか一方に凸部(3)を、他方にこの凸部と契合する凹部(4)設けたことを特徴とする内・外装材。
【請求項2】
雄型(M)又は雌型(W)の何れか一方に設けた凸部(3)はV字状の突起であり、他方に設けたこの凸部と契合する凹部(4)はV字状の凹部であることを特徴とする請求項1記載の内・外装材。
【請求項3】
雄型(M)又は雌型(W)の何れか一方に設けた凸部(3)は台形状の突起であり、他方に設けたこの凸部と契合する凹部(4)は台形状の凹部であることを特徴とする請求項1記載の内・外装材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−197568(P2009−197568A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−74561(P2008−74561)
【出願日】平成20年2月23日(2008.2.23)
【出願人】(508086531)
【出願人】(000156385)
【Fターム(参考)】