説明

内容物の汚染を引き起こさない起泡ポンプ

起泡ポンプは、出口ポート(112)を有するボタン(110)、ハウジング(120)、ハウジングを容器に取り付ける閉口部(130)、上下運動を行うステム(170)、ボタンの下部に取り付けられた軸(150)、泡状物を生成する起泡ネット(158)、ハウジングの空気域と液剤空間を互いに隔離するハウジング蓋(140)、空気ピストン(126)、ステムの外部に取り付けられた液剤ピストン(180)、ピストン通気孔を開閉する空気弁(128)、軸と液剤ピストンの間に配置された第一圧縮バネ(160)、軸とハウジング蓋の支持溝との間に配置された第二圧縮バネ(165)、及び、ポンプの作動時にハウジングの下端入口ポートを開閉する開閉部材(200)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、泡状の液化内容物を放出する起泡ポンプに関し、起泡ポンプは次の構成部材を含む。即ち、出口ポートが画成されたボタン、ポンプの外観を形成するハウジング、ハウジングを所定の容器に取り付ける閉口部、上下運動を行う軸の下部に取り付けられたステム、内容物が通過する中空のチャンネル構造に構成され、かつ、ボタンの下部に取り付けられた軸、内容物を空気と混合して泡状物(foam)を生成する起泡ネット、ハウジングの空気域と液剤空間を互いに隔離するハウジング蓋、多段構造に構成された空気ピストン、ステムの外側に取り付けられた液剤ピストン、ピストン通気孔を開閉する空気弁、軸の下端部と液剤ピストンの間に配置された第一圧縮バネ、軸の側部突起とハウジング蓋の支持溝の間に配置された第二圧縮バネ、及び、ポンプの作動時にハウジングの下端入口ポートを開閉する開閉部材を含む。
【背景技術】
【0002】
一般に、起泡ポンプは、シェービング・クリーム、ヘア・ムース、洗顔クリーム、液状石鹸、ボディ・シャンプー、産業用多目的洗剤、洗顔クレンザーなどに幅広く使用されている。また、起泡ポンプは、一般に、液化内容物を適当な量のガスと混合して、これにより泡状物を生成した混合物を押し出す構造に構成されている。
【0003】
しかし、従来の起泡ポンプには、起泡ポンプが傾いていると、起泡ポンプが追加の圧縮ガスで満たされ、内容物が起泡ポンプから放出されず、圧縮ガスのみが起泡ポンプから放出される、という問題がある。また、圧縮ガスの使用は環境関連の問題を引き起こす。更に、圧縮ガスは引火又は爆発の可能性がある。このため、起泡ポンプが圧縮ガスで満たされる構造物は、耐久性及び複雑な構成部材を必要とし、起泡ポンプの製造コストを上昇させる。
【0004】
そのため、起泡ポンプに導入された外気と内容物を適切に混合して泡状物を生成できる起泡ポンプについての研究が行われ、起泡ポンプに関連した技術が絶えず開発されてきた。
【0005】
起泡ポンプは次の構成部材を含む。即ち、ポンプの外観を形成するハウジング、外気及び内容物を別々に貯えるように構成されたハウジング、ハウジングを容器に取り付けるように構成された閉口部、内容物を空気と混合する混合ユニット、蓋の出口ポートに連通すると共にハウジングに沿って上下運動するように構成されたステム、ステムの上下運動を案内すると共にステムを蓋に接続する軸、ハウジングの内壁に沿って上下運動を行うステムに取り付けられたピストン、ハウジングの下部内側に取り付けられた圧縮バネ、及び、ハウジングの下端部に形成された入口ポートを開閉するボールを含む。
【0006】
しかしながら、従来の起泡ポンプには幾つかの問題がある。
【0007】
第一に、圧縮バネが内容物の流路に位置しており、その結果圧縮バネが内容物と接触する。このため、圧縮バネは劣化することがあり、劣化した圧縮バネは内容物の汚染を引き起こす。
【0008】
第二に、ハウジングの下端部に形成された入口ポートを開閉するのに役立つボールが、ハウジング内の圧力変化及び重力に基づいて入口ポートを開閉する動作を行い、その結果、ボールがポンプ作用に迅速に応答せず、ボールは高い封止力を与えることが困難である。このため、幾らかの内容物が、ポンプ作動中に容器から漏れることがある。更に、ボールは、迅速な開閉動作を行わず、ポンプ力を低下させる。
【0009】
第三に、内容物を送り込む構造の他に、外気を導入して貯える構造と、ポンプ作動時に内容物を空気と混合する混合ユニットにハウジングから空気を導入する構造とが、一般的な手動式噴霧ポンプと異なって更に必要である。その結果、起泡ポンプの構成部品点数が増加し、そのため、起泡ポンプの構造が複雑になり、これにより、起泡ポンプは使用中にしばしば故障することがある。
【0010】
上述の問題を解決する様々な構造体が開発されてきたが、それらのうち満足すべき結果をもたらしたものは僅かである。従って、上述の問題を基本的に解決できる技術に対する5高い必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明は、上述の問題点及びこれまでに解消されていないその他の技術的課題を解決するためになされたものである。
【0012】
具体的には、本発明の目的は、内容物と外気の混合を効率的かつ安定的に実現でき、組立てが容易であり、故障の可能性が低く、しかも、内容物の汚染を引き起こすようなことのない、起泡ポンプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、液化内容物を泡状にして放出する起泡ポンプを提供することによって、上述及びその他の目的を達成することができ、起泡ポンプは、下記のボタン、ハウジング、閉口部、ステム、軸、起泡ネット、ハウジング蓋、空気ピストン、液剤ピストン、空気弁、第一圧縮バネ、第二圧縮バネ、及び開閉部材を含む。即ち、
上記ボタンは、該ボタンに出口ポートが画成されると共に、軸の上端部に取り付けられる。
上記ハウジングは、ポンプの外観を形成し、かつ、該ハウジング内に画成された空気域及び液剤空間を有し、空気域には外気が導入され、液剤空間には内容物が導入される。
上記閉口部は、ハウジングの上部外側に連結されて、ハウジングを所定の容器に取り付ける。
上記ステムは、該ステムに画成された水平チャンネル及び垂直チャンネルを有し、かつ、軸の下部に取り付けられて上下運動を行い、水平チャンネルはハウジングの液剤空間に連通すると共に、垂直チャンネルは水平チャンネルに連通する。
上記軸は、内容物が通過する中空のチャンネル構造に構成され、空気域からの空気が該軸の上部に導入されかつ形成された通気孔(軸通気孔)を有し、かつ、ボタンの下部に取り付けられ、そして、軸の下部がステムの外側に結合された状態でハウジング蓋の内側に沿って上下運動を行う。
上記起泡ネットは、開口した中空の軸の上部に取り付けられ、内容物を空気と混合して泡状物を生成する。
上記ハウジング蓋は、軸の上下運動を案内すると共に、ハウジングの空気域と液剤空間を互いに隔離する。
上記空気ピストンは、多段構造に構成され、ボタンの下部に取り付けられた状態でハウジングの空気域内側に沿って上下運動を行い、かつ、該空気ピストンの中間部に形成された通気孔(ピストン通気孔)を有し、空気ピストンと軸の間の接触部位(S)がポンプの作動中に開閉される。
上記液剤ピストンは、ステムの外側に取り付けられてステムの水平チャンネルを開閉し、かつ、ハウジングの液剤空間の内側に沿って上下運動を行う。
上記空気弁は、垂直断面が多段構造の空気ピストンに連結されたL字構造に構成され、ポンプの作動中にピストン通気孔を開閉する。
上記第一圧縮バネは、軸の下端部と液剤ピストンの間に配置されて、ポンプの作動中にステムの水平チャンネルに対して液剤ピストンの弾性開閉力を与える。
上記第二圧縮バネは、軸の側部突出部とハウジング蓋の支持溝との間に配置されて、ポンプの作動中に軸及び空気ピストンに復元力を与える。
上記開閉部材は、液剤空間の下端部に配置されて、ポンプの作動時にハウジングの下端入口ポートを開閉する。
【0014】
本発明の起泡ポンプにおいて、ボタンを押釦して泡状の内容物を放出すると(以下、加圧モードという)、ボタンに連結された軸が下方に移動し、その結果、液剤空間内の内容物がステムの水平チャンネル及び垂直チャンネルを通って軸の上部に流れ、空気域に貯えられた空気が、軸の上部に位置する軸通気孔を通過した後、起泡ネットの下部で液化内容物と混合する。液化内容物と空気の混合物は、軸の上部に位置する起泡ネットを通過する際に泡状物に変化する。泡状物はボタンの出口ポートを通って外部に放出される。
【0015】
他方、ボタンに加えられた力を取り去ると(以下、緩和モードという)、第一圧縮バネ及び第二圧縮バネの復元力により軸が上方に移動し、そのため、液剤空間の内圧が低下する。その結果、容器内の内容物がハウジングの液剤空間に導入される。空気域の内圧も低下し、その結果、ピストン通気孔を通って外気が空気域に導入される。
【0016】
このため、軸と空気ピストンの間の接触部位(S)を介して、空気域内の空気を中空軸の上部に供給することが可能である。ここで、接触部位は、追加の空気弁を用いることなく、軸の内部に連通するチャンネルである。また、軸と空気ピストンは所定の間隔で互いに接しており、そのため、所定量の空気のみを軸に供給できるように、接触部位を容易に設計することが可能である。
【0017】
また、軸の側部突出部とハウジング蓋の支持溝との間に、第二圧縮バネが更に配置されているので、第二圧縮バネは、緩和モードで第一圧縮バネと一緒に軸の上方運動を容易に実現できると共に、ポンプの作動時にステムの水平チャンネルに対して液剤ピストンの開閉力を弾性的に増大させることが可能である。
【0018】
更に、圧縮バネは内容物が流れる流路以外の領域に位置している。このため、圧縮バネは、ポンプの作動中に、内容物の流れが妨げられることなく、液剤ピストン、軸、及び空気ピストンに復元力を与え、これによりポンプ作用が容易に達成される。また、圧縮バネの劣化に起因する内容物の汚染が基本的に防止される。
【0019】
場合によっては、軸とステムの間の結合をより確実に達成するために、ステムの上端部をアンカー形状に形成してもよく、また、軸の対応する内側に微細な突起を形成してもよい。なお、実施例の構造では、ステムが軸の円筒構造の底面から挿入・結合され、これにより軸とステムの間の結合を容易に達成することが可能である。
【0020】
通常、空気域からの空気を軸に供給するように設けられた通気孔を介して、軸の中空チャンネル内の内容物を空気域に導入することができる。それ故に、好ましくは、軸通気孔は軸の外側に形成された外側開口と軸の内側に形成された内側開口とを含み、外側開口は、ポンプ作動中の溢流現象の発生を防止するために、内側開口よりも高い位置にある。例えば、外側開口と内側開口の高低差を10〜20mmとすることができる。
【0021】
好ましくは、空気弁は、ピストン通気孔と接触する領域に形成された薄膜を含み、ポンプ作動時の加圧モードでピストン通気孔をより効果的に閉成し、そして、緩和モードでピストン通気孔をより効果的に開成する。
【0022】
即ち、空気弁は、空気域の圧力状態に基づいて、ピストン通気孔を開閉することができる。具体的には、空気弁は加圧モードでハウジングの空気域の内側に沿って下方に移動し、その結果、空気域の内圧が空気域の外部圧力よりも高くなる。この時点で、空気弁の薄膜はピストン通気孔に密接し、その結果、外部への高圧空気の放出が阻止される。他方、空気弁は緩和モードで上方に移動し、その結果、空気域の内圧が空気域の外部圧力よりも低くなる。この時点で、空気弁の薄膜はピストン通気孔を通過する空気により開成され、その結果圧力差が解消される。
【0023】
好ましい実施の形態において、ボタンに環状突出部が形成され、空気ピストンの最上端が環状突出部に摺動様式で接触して配置され、ボタンの環状突出部及び空気ピストンの最上端は、空気ピストンと軸の間の接触部位(S)がポンプの作動中に加圧モードで開成されると共に、接触部位(S)が緩和モードで閉成される摺動距離を与えるように、構成される。
【0024】
摺動接続構造はボタンが上方に離れるのを防止するので、ボタンの環状突出部と空気ピストンの最上端との間の摺動接続構造が好ましく、これは空気ピストンと軸の間の接触部位(S)の開成又は閉成を容易にもたらす。例えば、ボタンの環状突出部と空気ピストンの最上端との摺動距離を0.3〜0.6mmとすることができる。勿論、中空軸の上部に導入される所望の空気量に応じて、摺動距離を調整することができる。
【0025】
起泡ネットは、それが泡状物を容易に生成する構造に構成されている限り、特に制限されるものではない。例えば、泡状物を効果的に生成するネット構造又はメッシュ構造に起泡ネットを構成することができる。参考までに、ネットは網目構造に構成された部材を意味し、メッシュは網目状繊維の網目部材を意味する。
【0026】
好ましくは、開閉部材は、その上部が開口した中空構造に構成され、放射状の突起が外方に伸びるように、開閉部材の外側に形成された放射状の突起を有し、これにより、開閉部材は、ステムの上下運動に迅速に応答して高い封止力を与えることが可能である。また、ステムはその下端部に垂直延長部が形成されており、垂直延長部が中空状開閉部材の内側に沿って移動して開閉部材に密接する。
【0027】
本発明の起泡ポンプを構成する各構成部材の材料は、特に制限されるものではない。成形の容易さ及びコストを考慮に入れると、好ましくは、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン(HDPE)又は線状低密度ポリエチレン(LLDPE)等のポリエチレン、ポリオキシメチレン(POM)などの合成樹脂を使用することができる。
【0028】
また、第一圧縮バネ及び第二圧縮バネは通常ステンレス鋼から製作される。しかし、場合によっては、第一圧縮バネ及び第二圧縮バネは、高弾性のプラスチックから製作されてもよい。
【発明の効果】
【0029】
以上の説明から明らかなように、本発明の起泡ポンプは、内容物と外気の混合を効率的かつ安定的に実現でき、組立が容易であり、圧縮バネに起因する内容物の汚染を防止し、しかも、故障の可能性が低い、という効果を奏する。
【0030】
好ましい実施の形態において、軸通気孔の外側開口が軸通気孔の内側開口よりも高い位置にある。このため、本発明の起泡ポンプは、ポンプ作動中に、中空チャンネル内の内容物が軸通気孔に溢流するのを防止する、効果がある。
【0031】
別の好ましい実施の形態において、ボタンの環状突出部と空気ピストンの最上端が、摺動様式で互いに接触する。このため、本発明の起泡ポンプは、空気がボタンから放出されるのを防止する効果がある。また、摺動距離の調整を通じて、中空軸の上部に供給される空気量を容易に調整することが可能であり、それ故に、所望の条件に従って起泡ポンプを容易に設計することが可能である。
【0032】
更に別の好ましい実施の形態において、従来の開閉用ボールの位置で特異的な構造をなす開閉部材が使用される。開閉部材は、ポンプ作動時にステムの上下運動に迅速に応答することが可能である。このため、本発明の起泡ポンプは高いシール適正を発現する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本発明の前述及びその他の目的、特徴、並びにその他の利点は、添付の図面を併せてみると、以下の発明の詳細な説明からより明確に理解されるであろう。
【図1】本発明の好ましい実施例の起泡ポンプを示す垂直断面図である。
【図2】図1の起泡ポンプを示す正面図である。
【図3】加圧モードにおける起泡ポンプを示す垂直断面図である。
【図4】図1の起泡ポンプを示す垂直断面図であり、ポンプに取り付けられた上蓋を含む。
【図5】図1に図示された軸の上部Aを示す部分拡大垂直断面図である。
【図6】図1に図示された軸の上部Aを示す水平断面図である。
【図7】空気弁の薄膜が図1に図示された部分Bで開成した状態を示す典型的な部分図である。
【図8】図1に図示されたボタンを示す平面図であり、ボタンの正面図及び側面図を含む。
【図9】図1に図示されたステムを示す垂直断面図であり、ステムの平面図及び底面図を含む。
【図10】図1に図示された液剤ピストンを示す垂直断面図であり、液剤ピストンの平面図及び底面図を含む。
【図11】図1に図示された開閉部材を示す垂直断面図であり、開閉部材の平面図を含む。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に、添付の図面を参照しながら、本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。しかし、注目すべきは、本発明の範囲が例示された実施例に限定されないことである。
【0035】
図1は本発明の好ましい実施例の起泡ポンプを典型的に示す垂直断面図であり、図2は図1の起泡ポンプを典型的に示す正面図である。
【0036】
これらの図面を参照すると、起泡ポンプ100は、出口ポート112を画成すると共に、軸150の上端部に取り付けられたボタン110、空気域122及び液剤空間124を画成するハウジング120、ハウジング120を容器(図示せず)に取り付ける閉口部130、軸150の下部に取り付けられて上下運動を行うステム170、ハウジング蓋140の内側に沿って上下運動を行う軸150、液化内容物を空気と混合して泡状物を生成する起泡ネット158、軸150の上下運動を案内するハウジング蓋140、空気域122の内側に沿って上下運動を行う空気ピストン126、液剤空間124の内側に沿って上下運動を行う液剤ピストン180、ピストン通気孔127を開閉する空気弁128、軸150の上端部に形成された軸通気孔156、軸150の下端部と液剤ピストン180の間に配置された第一圧縮バネ160、ポンプ作動時に軸150及び空気ピストン126に復元力を与える第二圧縮バネ165、並びに、ポンプの作動時にハウジング120の下端入口ポート190を開閉する開閉部材200、を含む。
図4は、図1の起泡ポンプを典型的に示す垂直断面図であり、ポンプに取り付けられた上蓋を含む。
上蓋300が図1に示す起泡ポンプ100における閉口部130の上部外側に取り付けられている以外は、図4の構造は図1のものと同一であり、従って、その詳細な説明を行わないことにする。
【0037】
図5は図1に図示された軸の上部Aを典型的に示す部分拡大垂直断面図である。
図5を参照すると、軸通気孔156は、軸150の外側に形成された外側開口1562と軸150の内側に形成された内側開口1564とを含む。外側開口1562と内側開口1564の高低差は約14mmであり、これにより、ポンプ作動中に、軸150の中空チャンネル内の内容物が軸通気孔156に溢流するのを防止する。
【0038】
ボタン110には環状突出部1104が形成されている。空気ピストン126の最上端1262が、摺動様式で環状突出部1104に接触する。このため、ボタン110の環状突出部1104と空気ピストン126の最上端1262が、0.5mmの摺動距離dの範囲内で上下に移動して、空気ピストン126と軸150の間の接触部位Sが、加圧モードで開成され、緩和モードで閉成される。
【0039】
図6は図1に図示された軸の上部Aを典型的に示す水平断面図である。
図1と併せて図6を参照すると、起泡ネット158が開口した中空軸150の上部に形成されている。起泡ネット158を除く軸150の残りの部分は閉塞されている。このため、軸通気孔156を通過した空気、及びハウジング120の液剤空間124から軸150の上部に移動した液化内容物は、起泡ネット158を通過する際に泡状物に変化する。
【0040】
図7は、空気弁の薄膜が図1に図示された部分Bで開成した状態を示す典型的な部分図である。
図1と併せて図7を参照すると、比較的高い圧力状態にある外気が、緩和モードでピストン通気孔127を通過すると、前述の通り、ピストン通気孔127の下端に密接する空気弁128の薄膜129を空気が通過する。次いで、空気は低圧状態にある空気域122に導入される。加圧モードでは、空気弁128の薄膜129はピストン通気孔127を閉成し、上述のプロセスとは逆のプロセスが実施される。
【0041】
図8は、図1に図示されたボタンを典型的に示す平面図であり、ボタンの正面図及び側面図を含む。
図8を参照すると、ボタン110の前面上端部に出口ポート112が楕円形状に形成され、ボタン110の前面下部に半楕円状凹部116が下方テーパー状に形成されている。
【0042】
図9は、図1に図示されたステムを示す垂直断面図であり、ステムの平面図及び底面図を含む。
図1と併せて図9を参照すると、ステム170は、ハウジング120の液剤空間124に連通する水平チャンネル172と、垂直に伸びて、ボタン110の出口ポート112及び水平チャンネル172に連通する垂直チャンネル174と、水平チャンネル172の下方に形成された放射状の突起178と、開閉部材200に係合する下端延長部176とを含む。
【0043】
下端延長部176は、開閉部材200の中空部内側に沿って上下に移動可能である。中空部における圧力変化を防止するために、下端延長部176が開閉部材200に結合されている時でも、中空部の内部がハウジング120の液剤空間124に連通するように、下端延長部176に微小な溝179が垂直に形成されている。
【0044】
図10は、図1に図示された液剤ピストンを典型的に示す垂直断面図であり、液剤ピストンの平面図及び底面図を含む。
図1と併せて図10を参照すると、液剤ピストン180は、ハウジング120の内側に接する外周部182、及びステム170の外側に接する内周部184を含む。外周部182は外径Rがハウジング120の内径よりも幾分大きい。外周部182はその上端部及び下端部が外方に湾曲している。
【0045】
このため、液剤ピストン180をハウジング120に挿入すると、外周部182の上端部及び下端部が、内方に湾曲して、ハウジング120の内径に対応する。その結果、ハウジング120の内側に対する外周部182の摩擦力が、ステム170の内側に対する内周部184の摩擦力よりも大きくなる。二重の摩擦力によって、ステム170の水平チャンネル172が、前述の通り、ポンプ作動中に液剤ピストン180の内周部184により開閉される。
【0046】
図11は、図1に図示された開閉部材を典型的に示す垂直断面図であり、開閉部材の平面図を含む。
【0047】
図1と併せて図11を参照すると、開閉部材200は、その上部が開口した中空構造に構成されている。開閉部材200の下端部はその側面208が丸味を帯びており、開閉部材200と下端入口ポート190との密接面積が、ボタン110を押釦する加圧モードで増大する。ステム170の下端延長部176は、開閉部材200の中空部202に係合する。下端延長部176に対する開閉部材200の摩擦力を増大させるために、微小な突起204が開閉部材200の内側に形成されている。このため、開閉部材200は、ステム170の上下運動に迅速に応答することが可能である。
【0048】
ステム170の上下運動に連動する開閉部材200の上下運動は、開閉部材200の外側に形成された放射状の突起206が、ハウジング120の内側に形成された側部突起125に達するまで、停止しない。開閉部材200の上下運動が停止した後でも、ステム170は上方に移動し続ける。この時、放射状の突起206とハウジング120の内側に形成された側部突起125との間に画成される隙間を介して、容器(図示せず)に貯えられた内容物がハウジング120の液剤空間124に導入される。
【0049】
例示を目的として本発明の好ましい実施例を開示したが、当業者であれば、添付の特許請求の範囲に開示された本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、様々な修正、追加、及び置換が可能であることを理解できるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0050】
以上の説明から明らかなように、本発明の起泡ポンプは、シェービング・クリーム、ヘア・ムース、洗顔クリーム、液状石鹸、ボディ・シャンプー、産業用多目的洗剤、洗顔クレンザーなどを製造する各種分野に、幅広く適用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記のボタン、ハウジング、閉口部、ステム、軸、起泡ネット、ハウジング蓋、空気ピストン、液剤ピストン、空気弁、第一圧縮バネ、第二圧縮バネ、及び開閉部材を含む、液化内容物を泡状にして放出する起泡ポンプであって、
上記ボタンは、該ボタンに出口ポートが画成されると共に、軸の上端部に取り付けられ;
上記ハウジングは、ポンプの外観を形成し、かつ、該ハウジング内に画成された空気域及び液剤空間を有し、空気域には外気が導入され、液剤空間には内容物が導入され;
上記閉口部は、ハウジングの上部外側に連結されて、ハウジングを所定の容器に取り付け;
上記ステムは、該ステムに画成された水平チャンネル及び垂直チャンネルを有し、かつ、軸の下部に取り付けられて上下運動を行い、水平チャンネルはハウジングの液剤空間に連通すると共に、垂直チャンネルは水平チャンネルに連通し;
上記軸は、内容物が通過する中空のチャンネル構造に構成され、空気域からの空気が該軸の上部に導入されかつ形成された通気孔(軸通気孔)を有し、かつ、ボタンの下部に取り付けられ、そして、軸の下部がステムの外側に結合された状態でハウジング蓋の内側に沿って上下運動を行い;
上記起泡ネットは、開口した中空の軸の上部に取り付けられ、内容物を空気と混合して泡状物を生成し;
上記ハウジング蓋は、軸の上下運動を案内すると共に、ハウジングの空気域と液剤空間を互いに隔離し;
上記空気ピストンは、多段構造に構成され、ボタンの下部に取り付けられた状態でハウジングの空気域内側に沿って上下運動を行い、かつ、該空気ピストンの中間部に形成された通気孔(ピストン通気孔)を有し、空気ピストンと軸の間の接触部位(S)がポンプの作動中に開閉され;
上記液剤ピストンは、ステムの外側に取り付けられてステムの水平チャンネルを開閉し、かつ、ハウジングの液剤空間の内側に沿って上下運動を行い;
上記空気弁は、垂直断面が多段構造の空気ピストンに連結されたL字構造に構成され、ポンプの作動中にピストン通気孔を開閉し;
上記第一圧縮バネは、軸の下端部と液剤ピストンの間に配置されて、ポンプの作動中にステムの水平チャンネルに対して液剤ピストンの弾性開閉力を与え;
上記第二圧縮バネは、軸の側部突出部とハウジング蓋の支持溝との間に配置されて、ポンプの作動中に軸及び空気ピストンに復元力を与え;
上記開閉部材は、液剤空間の下端部に配置されて、ポンプの作動時にハウジングの下端入口ポートを開閉する
ことを特徴とする起泡ポンプ。
【請求項2】
前記軸通気孔が、軸の外側に形成された外側開口及び軸の内側に形成された内側開口を含み、中空チャンネル内の内容物が軸通気孔に溢流するのを防止するように、外側開口が内側開口よりも高い位置にあることを特徴とする請求項1に記載の起泡ポンプ。
【請求項3】
前記空気弁が、ピストン通気孔と接触する領域に形成された薄膜を含み、ポンプ作動時の加圧モードでピストン通気孔を閉成し、緩和モードでピストン通気孔を開成することを特徴とする請求項1に記載の起泡ポンプ。
【請求項4】
前記ボタンに環状突出部が形成され、
空気ピストンの最上端が環状突出部に摺動様式で接触して配置され、
空気ピストンと軸の間の接触部位(S)がポンプの作動中に加圧モードで開成されると共に、接触部位(S)が緩和モードで閉成される摺動距離を与えるように、ボタンの環状突出部及び空気ピストンの最上端が構成される
ことを特徴とする請求項1に記載の起泡ポンプ。
【請求項5】
前記ボタンの環状突出部と空気ピストンの最上端との摺動距離が0.3〜0.6mmであることを特徴とする請求項4に記載の起泡ポンプ。
【請求項6】
前記起泡ネットがネット構造又はメッシュ構造に構成されることを特徴とする請求項1に記載の起泡ポンプ。
【請求項7】
前記ステムがその下端部に形成された垂直延長部を有し、
上部が開口した中空構造に前記開閉部材が構成され、開閉部材の側面に外側に伸びる放射状の突起が形成され、
垂直延長部が中空状開閉部材の内側に沿って移動して開閉部材に密接する
ことを特徴とする請求項1に記載の起泡ポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2011−502891(P2011−502891A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−531958(P2010−531958)
【出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【国際出願番号】PCT/KR2008/006327
【国際公開番号】WO2009/057919
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(508335679)チョン ウー カンパニー リミテッド (4)
【Fターム(参考)】