説明

内燃機関および内燃機関用動弁機構

【課題】 内燃機関および内燃機関用動弁機構を提供する。
【解決手段】 1つのシリンダグループの複数のシリンダのガス交換弁を操作するために、回転可能に軸承された少なくとも1本のカム軸(1)が設けられ、各シリンダのために1個のスライドカムがカム軸上に軸方向に摺動可能に配置され、各カム軸(1)上に軸方向に摺動可能に軸承されたスライドカム(2a、2b、2c)の軸方向摺動を生じるために、スライドカム(2a、2b、2c)にとって共通の1個のアクチュエータ(7)が設けられている、複数のシリンダを備えた内燃機関。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は請求項1の前提部分に記載した内燃機関に関する。本発明はさらに、請求項9の前提部分に記載した内燃機関用動弁機構に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の場合、燃焼室内の充填物運動を最適化するために、可変の動弁機構が使用される。内燃機関のガス交換弁の場合には、この動弁機構によって、異なる弁リフトに調節することができる。特許文献1から、複数の異なるリフトカーブを有するガス交換弁の操作を可能にする動弁機構が知られている。そのために、複数のカム面を有するスライドカムがカム軸上に相対回転しないようにかつ軸方向に摺動可能に軸承されている。このカム面はリフト輪郭を有する。ピンの形をしたアクチュエータがスライドカムを軸方向に摺動させるためにリフト輪郭に係合する。それぞれのガス交換弁において、スライドカムを軸方向に摺動させることによって、異なる弁リフトが生じる。カム軸と相対的にスライドカムを軸方向に摺動した後で、スライドカムはカム軸上のその軸方向相対位置に係止可能である。これは、軸方向相対位置に依存して、カム軸内に収容および支承し、ばねで付勢した少なくとも1個の係止球が、スライドカムの半径方向内側にある面に形成された少なくとも1つの係止溝に係合することによって行われる。この従来技術では、カム軸上でのスライドカムの軸方向相対位置をロックするためのロック装置は、スライドカムの係止凹部と、このスライドカムの係止凹部と協働する少なくとも1個の係止球とによって形成されている。
【0003】
特許文献2から、動弁機構を備えた内燃機関が知られている。この動弁機構のロック装置は2つの係止要素、すなわち多数の係止凹部を有する第1係止要素と、ばねで付勢された係止球である少なくとも1個の第2係止要素とによって形成されている。第1係止要素はスライドカムの構成部分であり、スライドカムと共にカム軸と相対的に軸方向に移動可能である。特許文献2では、ばねで付勢された第2係止要素または各第2係止要素はカム軸に支持されないで、各カム軸のトンネル軸受のトンネル区間に支持されている。
【0004】
従来技術によって知られている内燃機関または内燃機関の動弁機構には、軸方向に摺動可能な各スライドカムのために別個のアクチュエータが設けられている点が共通している。これによって、一方では比較的に高い構造的コストが生じ、他方ではこのような解決策は比較的に大きな構造スペースを必要とし、重量が比較的に重くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許第19611641C1号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102007027979A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、構造的コストが低減され、必要な構造スペースが縮小されるように、請求項1の前提部分に記載した内燃機関と、請求項9の前提部分に記載した動弁機構を改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は請求項1の特徴を有する内燃機関と、請求項9の特徴を有する動弁機構によって解決される。本発明では、各カム軸上に軸方向に摺動可能に軸承されたスライドカムを軸方向に摺動させるために、スライドカムにとって共通の1個のアクチュエータが設けられている。
【0008】
本発明によって、1つのシリンダグループの複数のシリンダを操作する働きをするカム軸のスライドカムを、共通のアクチュエータによって操作することが提案される。これにより、従来技術と比べて、必要なアクチュエータの数が低減される。これにより、内燃機関または動弁機構の構造的コストが少なくなり、重量が軽減され、そして構造スペースが縮小する。
【0009】
本発明の有利な第1発展形態では、各カム軸のスライドカムの1つが溝付き滑りガイド区間(Kulissenabschnitt)の外周面に形成された少なくとも1つの溝を有する溝付き滑りガイド区間を備えている。スライドカムを軸方向に摺動させるために、アクチュエータがこの溝と協働する。この場合、各カム軸の他のスライドカムは連結装置を介して、アクチュエータと協働する溝付き滑りガイド区間を有するスライドカムに連結されている。本発明のこの有利な発展形態では、カム軸のスライドカムの1つが共通のアクチュエータによって直接操作されて摺動させられる。この場合、他のスライドカムの操作また摺動は連結装置を介して間接的に行われる。この解決策は簡単で信頼性がある。
【0010】
本発明の有利な第2発展形態では、各カム軸のスライドカムが連結装置を介して連結され、アクチュエータが連結装置を操作し、そして連結装置を介してスライドカムを操作する。本発明の有利な第2発展形態では、アクチュエータは連結装置を直接操作し、連結装置を介してスライドカムを間接的に操作する。この発展形態も構造的に簡単で信頼性がある。
【0011】
他の特徴および特徴組み合わせは次の記載から明らかになる。本発明の具体的な実施形態が図に簡略化して示してある。次に、この実施形態について詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】内燃機関の動弁機構の第1の実施形態の斜視図である。
【図2】図1の動弁機構の分解図である。
【図3】図1の動弁機構の詳細を示す。
【図4】図1〜3の動弁機構の第1状態を示す。
【図5】図1〜3の動弁機構の第2状態を示す。
【図6】図1〜3の動弁機構の第3状態を示す。
【図7】図1〜3の動弁機構の第4状態を示す。
【図8】図1〜3の動弁機構の第5状態を示す。
【図9】内燃機関の動弁機構の第2の実施形態の斜視図である。
【図10】図9の動弁機構の詳細を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1〜8は、本発明の第1の実施形態に係る内燃機関の動弁機構の異なる見方の図および詳細図である。
【0014】
図1〜8の動弁機構はカム軸1を備えている。このカム軸は図示していないカム軸軸受を介して内燃機関の図示していないシリンダヘッドに軸受されている。このようなシリンダヘッドはシリンダヘッド下側部分とカム軸ハウジングとから構成することができる。この場合、シリンダヘッド下側部分とカム軸ハウジングは一体に形成してもよい。
【0015】
図1〜8に示したカム軸1は好ましくは吸気側カム軸であり、この吸気側カム軸は図示していないローラ型ロッカーアームを備えた同様に図示していない内燃機関の吸気弁を開閉制御する働きをする。図示していない内燃機関の排気弁を開閉制御するために、図示していない排気側カム軸が設けられている。内燃機関の吸気弁と排気弁は内燃機関のいわゆるガス交換弁である。
【0016】
内燃機関のシリンダ当たり、好ましくは2個の吸気弁と2個の排気弁が設けられている。吸気弁は吸気側カム軸によって公知のごとく制御されて操作される。排気弁は排気側カム軸によって公知のごとく制御されて操作される。
【0017】
吸気側カム軸として形成されている図1に示したカム軸1は、複数のスライドカム2a、2b、2cを支持している。このスライドカム2a、2b、2cは回転不能にかつ軸方向に摺動可能にカム軸1上に支持されている。
【0018】
図示した実施形態では、各スライドカム2a、2b、2cは2個のカム区間3を備えている。各カム区間3は3つのカム面4を有する。このカム面を介して異なる弁リフトが生じ得る。従って、各スライドカム2a、2b、2cはそれによって操作すべきガス交換弁のために、複数のカム面4を有する1つのカム区間3を備えている。
【0019】
図1〜8に図示した実施形態では、スライドカムの1つ、すなわち図示した実施形態におけるスライドカム2bは、カム区間3に加えて、カム区間3の間に配置された溝付き滑りガイド区間5を備えている。溝付き滑りガイド区間5の外周面には、少なくとも1つの溝6が形成されている。この溝はこのスライドカム2bをカム軸1に沿って軸方向に摺動させるために、アクチュエータ7と協働する。このアクチュエータ7は詳しく示していないアクチュエータピンを備えている。このアクチュエータピンはスライドカム2bの溝付き滑りガイド区間5の溝6に挿入可能であり、そして挿入された状態で、スライドカム2bが動かぬアクチュエータ7と相対的に回転する結果として、カム軸1上でスライドカム2bを軸方向に摺動させる。
【0020】
このように、アクチュエータ7のアクチュエータピンとスライドカムの溝付き滑りガイド区間5の溝6とが協働する。
【0021】
図1〜8に示したカム軸1上に配置されたスライドカム2a、2b、2cを軸方向に摺動させるために、共通のアクチュエータ7がこのスライドカムに付設されており、従って各スライドカム2a〜2cに独立したアクチュエータは付設されていない。図示したアクチュエータ7はカム軸1上に配置されたすべてのスライドカム2a〜2cを軸方向に摺動させる働きをする。
【0022】
図1〜8の実施形態では、図示したアクチュエータ7は、その図示していないアクチュエータピンがスライドカム2bの溝付き滑りガイド区間5に形成した溝6と協働することにより、スライドカム2bを直接軸方向に摺動させる働きをする。他のスライドカム2a、2cを間接的に軸方向に摺動させるために、連結装置8が設けられている。この連結装置はアクチュエータ7によって生じた、スライドカム2bの直接的な摺動を、他のスライドカム2a、2cに伝達する。従って、スライドカム2a、2cは連結装置8を介してスライドカム2bに連結されている。この場合、連結装置8は連結ロッド9を備えている。この連結ロッド9はシフトフォーク10を介して、アクチュエータ7によってカム軸1上で軸方向に直接摺動させることができるスライドカム2bに固定連結されている。それによって、スライドカム2bの軸方向摺動は連結装置8の連結ロッド9の軸方向摺動を生じる。
【0023】
スライドカム2bと連結ロッド9の軸方向摺動をスライドカム2a、2cに伝達するために、それぞれ1個の溝付き滑りガイド11が、間接的に摺動すべきスライドカム2a、2cのための連結装置8の連結ロッド9に連結されている。この溝付き滑りガイドはその都度他のスライドカム2a、2cに付設された突起12と協働する。連結装置8の溝付き滑りガイド11は輪郭13を有する。スライドカム2aまたは2cを介して突起12が回転するときに、各スライドカム2aまたは2cの各突起12は、連結装置8の軸方向移動に依存して上記輪郭に沿って滑動し、カム軸1上での各スライドカム2aまたは2cの軸方向摺動を生じる。
【0024】
スライドカム2a、2cの突起12は、スライドカム2a、2cの位相をずらした軸方向摺動を保証するために、周方向に見て互いにずれている。スライドカム2a、2cの軸方向摺動は、互いに位相がずれているだけでなく、アクチュエータ7を介して直接軸方向に摺動させることができるスライドカム2bに対しても位相がずれている。
【0025】
スライドカム2a、2cの軸方向摺動は、アクチュエータ7によるスライドカム2bの直接的な軸方向摺動から出発して、連結装置8を介して間接的に行われ、その際スライドカム2a、2cのカム区間3のいわゆるカムヒール部分の間で、スライドカム2a、2cの摺動が行われる。カム区間3のカムヒール部分は、異なるカムのためのカム面4が延在しているカム区間3の領域の外に延在している。
【0026】
図4〜8は図1〜3の動弁機構の作用を示している。この場合、図4には、アクチュエータ7が作動していない動弁機構の出発位置が示してある。この出発位置では、スライドカム2a、2b、2cはカム軸1上で所定の相対位置を占める。この相対位置では、スライドカム2a〜2cのカム区間3のカム面4の1つを介して、操作すべきガス交換弁に所定の弁リフトが生じる。
【0027】
この弁リフトを変更すべきであるときには、アクチュエータ7が作動させられ、それによって図示していないアクチュエータピンがスライドカム2bの溝付き滑りガイド区間5の溝6に入り、カム軸1の回転、ひいてはカム軸1と相対回転不能に配置されたスライドカム2bの回転がカム軸1上でのスライドカム2bの軸方向移動を生じる。カム軸1上でのスライドカム2bのこの軸方向摺動は、図5において矢印14によって示してある。アクチュエータ7によるスライドカム2bのこの軸方向摺動は、スライドカム2bと連結装置8の連結ロッド9の固定連結によって、同様に連結ロッド9の軸方向摺動を生じる。連結ロッド9の軸方向摺動は図5において矢印15によって示してある。この場合、連結ロッド9に固定連結された連結装置8の溝付き滑りガイド11も軸方向に摺動させられる。
【0028】
この軸方向摺動の後で、スライドカム2bの軸方向摺動が位相をずらしてスライドカム2a、2cに伝達される。すなわち、先ず最初にスライドカム2aに伝達され、続いてスライドカム2cに伝達される。
【0029】
図6に示すように、矢印16によって示したカム軸1の回転と、スライドカム2aに付設された連結装置8の溝付き滑りガイド11の軸方向摺動とにより、スライドカム2aの突起12は溝付き滑りガイド11の輪郭13に接触し、輪郭に沿って移動する。それによって、図7において矢印17によって示したスライドカム2bの軸方向摺動が生じる。
【0030】
カム軸1をさらに回転すると、図8の矢印18のように、スライドカム2cがカム軸1上で軸方向に摺動する。すなわち、一方ではスライドカム2aに対して位相をずらされて、他方ではスライドカム2bに対して位相をずらされて、スライドカム2cが摺動する。すなわち、スライドカム2cの突起12がスライドカム2cに付設された溝付き滑りガイド11の輪郭13と協働することによって、スライドカム2cが摺動する。
【0031】
従って、図1〜8の実施形態では、カム軸1のスライドカムの1つ、図示した実施形態では中央のスライドカム2bが、アクチュエータ7と直接協働して、アクチュエータ7によって軸方向に摺動させられる。スライドカム2bのこの軸方向摺動は連結装置8を介して連続して位相をずらして他のスライドカム2a、2cに伝達可能である。すなわち、先ず最初にスライドカム2aに、続いてスライドカム2cに伝達可能である。
【0032】
スライドカム2bの軸方向摺動はアクチュエータ7によって直接的に行われ、スライドカム2a、2cの軸方向摺動はアクチュエータ7から出発して連結装置8を介して間接的に行われる。
【0033】
図9と10は本発明の第2の実施形態による内燃機関の動弁機構を示している。この場合、次に、不要な繰り返しを避けるために、図1〜8の実施形態と異なる図9と10の実施形態の細部についてのみ言及する。
【0034】
図9と10の実施形態では、アクチュエータ7は、連結装置8の連結ロッド9をカム軸1と相対的に軸方向に移動させるために、連結ロッドを直接操作する。スライドカム2a、2b、2cはすべて、アクチュエータ7によって間接的にカム軸1上を軸方向に摺動させられる。すなわち、連結装置8を介して摺動させられる。この連結装置はその軸方向移動をスライドカム2a、2b、2cに伝達する。
【0035】
スライドカムの1つ、図9では中央のスライドカム2bは連結装置8のシフトフォーク10を介して連結装置8に固定連結されている。それによって、連結ロッド9の軸方向移動は先ず最初にスライドカム2bに伝達される。これに対して位相をずらして、連結ロッド9の軸方向摺動がスライドカム2a、2cにも伝達される。すなわち、さらに連結装置8の溝付き滑りガイド11を介して伝達される。この場合、外側の両スライドカム2a、2cにはそれぞれ、このような溝付き滑りガイド11が付設されている。
【0036】
図9と10の実施形態では、スライドカム2a、2b、2cは図1〜8の実施形態の溝6を有する溝付き滑りガイド区間5を備えていない。スライドカム2a〜2cは専らカム面4を有するカム区間3を備えている。
【0037】
いわゆるカムヒール部分でのスライドカムの軸方向摺動を保証するために、図10では、摺動防止ロッド19がカム軸1と相対回転不能にカム軸1内に配置されている。摺動防止ロッド19は溝付き滑りガイド区間20を備えている。この溝付き滑りガイド区間は摺動防止ロッド19と共にカム軸1内に配置されている。すなわち、カム軸1内に同心的に配置されている。既に説明したように、摺動防止ロッド19はカム軸1と一緒に回転する。
【0038】
スライドカム2bには穴21が付設されている。ピン22が半径方向外側からこの穴を通って延在している。すなわち、ピン22がスライドカム2bの穴21を通過し、カム軸1の長穴23内に挿入されている。その際、ピン22は摺動防止ロッド19の溝付き滑りガイド区間20の異なる案内輪郭と協働し、しかも摺動防止ロッド19がカム軸1内でどの軸方向位置を占めているかに依存して、異なる案内輪郭と協働する。
【0039】
摺動防止ロッド19カム軸1内に相対回転しないように配置されているが、連結装置8の連結ロッド9と共にカム軸1内で軸方向に移動可能である。そのために、摺動防止装置19が連結装置8の連結ロッド9に連結されているので、連結ロッド9と摺動防止ロッド19がアクチュエータ7を介して同時に軸方向に摺動可能である。
【0040】
摺動防止ロッド19の溝付き滑りガイド区間20はいわゆるカムヒール部分の間においてのみカム軸1上でスライドカム2bの摺動を許容する。
【0041】
カム軸1のスライドカムを軸方向に摺動させるために、共通の1個のアクチュエータ7が設けられている点が、図1〜8と図9、10の両実施形態に共通している。それによって、必要なアクチュエータの数を減らすことができる。これは内燃機関または内燃機関用動弁機構の構造的コストの低減、軽量化、構造スペース縮小およびコスト低減を生じる。
【符号の説明】
【0042】
1 カム軸
2a スライドカム
2b スライドカム
2c スライドカム
3 カム区間
4 カム面
5 溝付き滑りガイド区間
6 溝
7 アクチュエータ
8 連結装置
9 連結ロッド
10 シフトフォーク
11 溝付き滑りガイド
12 ピン
13 輪郭
14 軸方向摺動
15 軸方向摺動
16 回転
17 軸方向摺動
18 軸方向摺動
19 摺動防止ロッド
20 溝付き滑りガイド区間
21 穴
22 ピン
23 長穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つのシリンダグループの複数のシリンダのガス交換弁を操作するために、回転可能に軸承された少なくとも1本のカム軸(1)が設けられ、前記各シリンダのために1個のスライドカム(2a、2b、2c)が前記カム軸上に軸方向に摺動可能に配置されている、前記複数のシリンダを備えた内燃機関において、
前記各カム軸(1)上に軸方向に摺動可能に軸承された前記スライドカム(2a、2b、2c)の軸方向摺動を生じるために、前記スライドカム(2a、2b、2c)にとって共通の1個のアクチュエータ(7)が設けられていることを特徴とする内燃機関。
【請求項2】
前記各カム軸(1)の前記スライドカムの1個(2b)が、溝付き滑りガイド区間(5)を備え、この溝付き滑りガイド区間(5)がその外周面に形成された少なくとも1つの溝(6)を有し、このスライドカム(2b)の軸方向摺動を生じるために、前記アクチュエータ(7)が前記溝と協働することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関。
【請求項3】
前記各カム軸(1)の他のスライドカム(2a、2c)が連結装置(8)を介して前記スライドカム(2b)に連結され、前記アクチュエータ(7)がこのスライドカム(2b)の溝付き滑りガイド区間(5)と協働することを特徴とする請求項2に記載の内燃機関。
【請求項4】
前記連結装置(8)が連結ロッド(9)を備え、この連結ロッドが前記アクチュエータ(7)によって直接摺動可能な前記スライドカム(2b)にシフトフォーク(10)を介して固定連結され、連結装置(8)が他の前記スライドカム(2a、2c)の各々のために、前記連結ロッド(9)に固定連結された溝付き滑りガイド(11)を備え、この溝付き滑りガイドが前記他の各スライドカム(2a、2c)を間接的に軸方向に摺動させるために、前記他の各スライドカム(2a、2c)に付設された突起(12)と協働することを特徴とする請求項3に記載の内燃機関。
【請求項5】
前記他のスライドカム(2a、2c)の前記突起(12)が周方向に見て互いにずれていることを特徴とする請求項4に記載の内燃機関。
【請求項6】
前記各カム軸(1)の前記スライドカム(2a、2b、2c)が連結装置(8)を介して連結されていることと、前記アクチュエータ(7)が前記連結装置(8)を操作し、かつ前記連結装置(8)を介して前記スライドカム(2a、2b、2c)を操作することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関。
【請求項7】
前記連結装置(8)が連結ロッド(9)を備え、この連結ロッドが前記アクチュエータ(7)によって直接軸方向に摺動可能であり、前記連結ロッドが、前記アクチュエータ(7)と前記連結装置(8)を介して各カム軸の前記スライドカムの1個(2b)を間接的に摺動させるために、シフトフォーク(10)を介してこのスライドカム(2b)に固定連結され、前記他の各スライドカム(2a、2c)のための前記連結装置(8)が前記連結ロッド(9)に固定連結された溝付き滑りガイド(11)を備え、この溝付き滑りガイドが、前記アクチュエータ(7)と前記連結装置(8)を介して前記他の各スライドカム(2a、2c)を同様に間接的に軸方向に摺動させるために、前記他の各スライドカムに付設された突起(12)と協働することを特徴とする請求項6に記載の内燃機関。
【請求項8】
前記カム軸(1)と相対的に回転不能にかつ前記連結ロッド(9)と共に前記カム軸と相対的に軸方向に摺動可能に、摺動防止ロッド(19)が前記カム軸(1)内に配置されていることを特徴とする請求項6または7に記載の内燃機関。
【請求項9】
1つのシリンダグループの複数のシリンダのガス交換弁を操作するために、回転可能に軸承された少なくとも1本のカム軸(1)を備え、前記各シリンダのために1個のスライドカム(2a、2b、2c)が前記カム軸上に軸方向に摺動可能に配置されている、内燃機関のための動弁機構において、
前記各カム軸(1)上に軸方向に摺動可能に軸承された前記スライドカム(2a、2b、2c)の軸方向摺動を生じるために、前記スライドカム(2a、2b、2c)にとって共通の1個のアクチュエータ(7)が設けられていることを特徴とする動弁機構。
【請求項10】
請求項2〜8のいずれか一項に記載の特徴を有することを特徴とする請求項9記載の動弁機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−83255(P2013−83255A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−222730(P2012−222730)
【出願日】平成24年10月5日(2012.10.5)
【出願人】(510238096)ドクター エンジニール ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト (63)
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Porscheplatz 1, D−70435 Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】