説明

内燃機関のガスケット及び内燃機関

【課題】燃焼促進のメカニズムを容易に実現でき、内燃機関の設計工数の最小化及び既存の内燃機関との部品の共通化を実現できるガスケット及び内燃機関を提供する。
【解決手段】中間層730に設けられ、外端が外周縁から露出して第1接続部761となり、内端が開口710の内周縁から露出して電極762となり、第1接続部同士の間などに印加された電圧により電極間などで放電する放電線路760と、少なくとも一部が開口の内周縁における中間層に設けられ、燃焼室400へ電磁波を放射するアンテナ770と、中間層に設けられ、外端が外周縁から露出して第2接続部781となり、内端がアンテナに接続され、電磁波をアンテナに導く電磁波伝送路780とを備え、放電線路、アンテナ及び電磁波伝送路と、両端面との間を電気的に絶縁するように構成した内燃機関のガスケット700である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の技術分野に属し、シリンダブロックと、このシリンダブロックの反クランクケース側に組み付けられたシリンダヘッドとの間に装着されるガスケットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、シリンダ及びピストンから構成され、反応性ガスと酸化ガスとの混合気が供給されこの混合気の燃焼・反応、または、プラズマ反応が行われる燃焼・反応室と、反応性ガスと酸化ガスとの混合気を高圧で噴射することで反応性ガスと酸化ガスとの混合気を圧縮して温度を上昇させ、自着火させる手段と、上記燃焼・反応領域内にマイクロ波を放射するマイクロ波放射手段と、上記自着火させる手段及び上記マイクロ波放射手段を制御する制御手段とを備え、上記マイクロ波放射手段及び上記着火手段は、上記制御手段によって制御されることにより、上記マイクロ波放射手段が上記燃焼・反応領域内にマイクロ波を放射してこの燃焼・反応領域における混合気中の水分から多量のヒドロキシル(OH)ラジカル、オゾン(O3)を発生させた後に、化学的に酸化、反応させ、上記自着火させる手段が上記混合気に対し着火し、多量のOHラジカル、オゾンによってこの燃焼・反応領域における混合気の燃焼を促進させるというサイクルを繰り返すことを特徴とする内燃機関を開示している。
【0003】
特許文献2ないし4は、燃焼室に電界を形成するようにした内燃機関を開示している。このうち特許文献2は、シリンダウォールを有するシリンダブロックと、上記シリンダブロック上に配置されるシリンダヘッドと、上記シリンダブロック内に配置されるピストンと、上記シリンダウォール、シリンダヘッド及びピストンから形成される燃焼室と、エンジン燃焼中に燃焼室に電界を印加する電界印加手段とを備えた内燃機関を開示している。この内燃機関では、火炎に電界が印加されると、イオンが火炎内に移動して互いに衝突して火炎伝播速度が増加すると共に、既に燃焼したガスの中のイオンが燃焼しなかったガスに移動して燃焼しなかったガスの化学反応を変化させる。これによって、火炎の温度が一定に維持されエンジンのノッキングが抑制される。
【0004】
【特許文献1】特開2007−113570号公報
【特許文献2】特開2000−179412号公報
【特許文献3】特開2002−295259号公報
【特許文献4】特開2002−295264号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、特許文献1に開示された内燃機関における燃焼促進のメカニズムを推定し、それについて一定の知見を得た。それは、まず放電により小規模のプラズマが形成され、これに一定時間マイクロ波を照射すると、このマイクロ波パルスにより上記プラズマが拡大成長し、これによって混合気中の水分から大量のOHラジカルやオゾンが短時間で生成され、これらによって空気と燃料との混合気の燃焼反応が促進されるというものである。このプラズマによるOHラジカル及びオゾンの大量生成から引き起こされる燃焼促進のメカニズムは、特許文献2ないし4が開示するところのイオンによる火炎伝播速度の増加という燃焼促進メカニズムとは全く異なる。
【0006】
特許文献2の技術では、上記電界印加手段は燃焼室に電界を印加するように配置された伝導体部材を備えている。この伝導体部材は、好ましくは約1.0mmの直径を有するニクロム線であり、これをシリンダブロックのシリンダウォール内に挿入される環状絶縁体に設けられた環状溝内に形成している。このように特許文献2ないし4の技術は、従来の内燃機関において主要な構造部材であるシリンダブロックなどに大幅に手を加えなければならない。そのため、これらの内燃機関は設計に要する工数が大きくなり、また既存の内燃機関との間で多くの部品の共通化を図ることができない。
【0007】
本発明は、このような点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、既存の内燃機関を利用して上記したプラズマによるOHラジカル及びオゾンの大量生成から引き起こされる燃焼促進のメカニズムを容易に実現し、これによって当該内燃機関の設計工数の最小化及び既存の内燃機関との部品の共通化を実現することができる内燃機関のガスケット及びこれを用いた内燃機関を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ピストンが往復自在に嵌まるシリンダが貫通して設けられたシリンダブロックと、このシリンダブロックの反クランクケース側に組み付けられてピストン及びシリンダと共に燃焼室を形成するシリンダヘッドとの間に装着され、シリンダに対応した開口が設けられた内燃機関のガスケットである。この内燃機関のガスケットは、
厚さ方向の中間層に設けられ、外端が外周縁から露出して第1接続部となり、内端が開口の内周縁から露出して電極となり、第1接続部同士の間又は第1接続部と接地部材との間に印加された電圧により電極間又は電極と周囲の接地部材との間で放電する放電線路と、
少なくとも一部が開口の内周縁における厚さ方向の中間層に設けられ、燃焼室へ電磁波を放射するアンテナと、
厚さ方向の中間層に設けられ、外端が外周縁から露出して第2接続部となり、内端が上記アンテナに接続され、電磁波をアンテナに導く電磁波伝送路とを備え、
上記放電線路、アンテナ及び電磁波伝送路と、厚さ方向の両端面との間を電気的に絶縁するように構成されている。
【0009】
このガスケットを、その開口がシリンダに対応するようにシリンダブロックとシリンダヘッドとの間に装着し、シリンダにピストンを往復自在に嵌め、通常に作動するガソリン機関、ディーゼル機関などの内燃機関を組む。放電線路の第1接続部同士の間又は第1接続部と接地部材との間に電圧を印加できるようにしておく。電磁波伝送路の第2接続部と接地部材との間に電磁波を一定時間供給できるようにしておく。そして、内燃機関の作動時における圧縮行程において、放電線路の第1接続部などへの電圧印加と、電磁波伝送路の第2接続部などへの電磁波の供給とを行う。そうすると、電極の近傍に放電によりプラズマが形成され、このプラズマはアンテナから一定時間供給された電磁波、つまり電磁波パルスからエネルギの供給を受け、プラズマによるOHラジカル及びオゾンの大量生成から燃焼が促進される。すなわち、電極近傍の電子が加速され、上記プラズマの領域外へ飛び出す。この飛び出した電子は、上記プラズマの周辺領域にある空気、燃料及び空気の混合気などのガスに衝突する。この衝突により周辺領域のガスが電離しプラズマになる。新たにプラズマになった領域内にも電子が存在する。この電子もまた電磁波パルスにより加速され、周辺のガスと衝突する。このようなプラズマ内の電子の加速、電子とガスとの衝突の連鎖により、周辺領域では雪崩式にガスが電離し、浮遊電子が生じる。この現象が放電プラズマの周辺領域に順次波及し、周辺領域がプラズマ化される。以上の動作により、プラズマの体積が増大する。この後、電磁波パルスの放射が終了すると、その時点でプラズマの存在する領域では、電離より再結合が優位になる。その結果、電子密度が低下する。それに伴いプラズマの体積は減少に転じる。そして、電子の再結合が完了すると、プラズマが消滅する。この間に大量に形成されたプラズマにより混合気中の水分などから大量に生成されたOHラジカル、オゾンにより混合気の燃焼が促進される。
【0010】
その場合、既存の内燃機関に較べると主要な構造部材であるシリンダブロック、シリンダヘッドなどをそのまま利用し、これらに放電線路への電圧の印加、電磁波伝送路への電磁波の供給さえ段取りすればよい。そのため、当該内燃機関の設計工数の最小化及び既存の内燃機関との部品の共通化が実現される。
【0011】
本発明の内燃機関のガスケットは、上記中間層が誘電体又は絶縁体により形成され、この中間層に対して厚さ方向の少なくとも一方側にある表面層が電気伝導体で形成されていてもよい。
【0012】
このようにすれば、表面層が放電線路の電極と対になる接地電極として機能し、電極と表面層との間で放電が行われる。また、表面層が電磁波伝送路と対になる接地導体として機能し、電磁波伝送路と表面層との間で電磁波が伝送される。また、表面層を金属などで形成すればガスケットの剛性が向上する。
【0013】
本発明の内燃機関のガスケットは、上記アンテナが棒形に形成され、その基端が厚さ方向の中間層に設けられ、この基端から出て先端に至る部分が開口の内周縁に沿って開口の周方向に延びていてもよい。
【0014】
このようにすれば、アンテナから放射された電磁波の電界強度が燃焼室の外縁付近で他の領域よりも強くなるので、OHラジカル、オゾンが燃焼室の外縁付近で他の領域よりも多く分布する。そのため、燃焼室の外縁付近の燃焼が他の領域の燃焼よりも促進される。また、燃焼室の外縁付近で発生するスキッシュ流、タンブル、又はスワールを利用してOHラジカル又はオゾンと混合気などとの混合が促進される。
【0015】
本発明の内燃機関のガスケットは、上記アンテナに電磁波を供給したときにアンテナに生じる電磁波の電界強度が大になる部位の近傍に電極が位置づけられていてもよい。
【0016】
このようにすれば、アンテナの上記部位から放射される電磁波の電界強度が周囲の電磁波の電界強度よりも強くなるので、電極での放電により形成されたプラズマに、近傍の上記部位からの電磁波パルスによりエネルギが集中的に供給されてOHラジカル、オゾンが効率よく大量に生成され、電極を中心にした領域の燃焼が一層促進される。また、アンテナの複数箇所に電磁波の電界強度が大になる部位ができるときは、各部位に対応して電極を位置づければ、燃焼室の複数の領域で燃焼が一層促進される。
【0017】
本発明の内燃機関のガスケットは、上記中間層にはシールドケーブルが設けられ、このシールドケーブルの内部電線の芯線が放電線路又は電磁波伝送路を構成していてもよい。
【0018】
このようにすれば、シールドケーブルを用いて比較的簡単にガスケットが構成される。
【0019】
本発明の内燃機関のガスケットは、上記放電線路が一対設けられ、これらの放電線路の電極が近接して配置されていてもよい。
【0020】
このようにすれば、放電線路の第1接続部同士の間に電圧を印加すると、電極間で放電が行われる。これらの放電線路の電極を近接して配置したときには、低い印加電圧で放電を行うことができる。そうすれば、OHラジカル及びオゾンの発生が促進され、この発生したOHラジカル及びオゾンの持続時間が長くなり、消費電力が低減され、しかも放電の行われる領域の温度上昇が抑制されることから内燃機関における窒素酸化物(NOx)の発生量が低減する。
【0021】
本発明の内燃機関は、
ピストンが往復可能に嵌まるシリンダが貫通して設けられたシリンダブロックと、
このシリンダブロックの反クランクケース側に組み付けられてピストン及びシリンダと共に燃焼室を形成するシリンダヘッドと、
上記シリンダブロックとシリンダヘッドとの間に装着された本発明の内燃機関のガスケットとを備えている。
【発明の効果】
【0022】
本発明の内燃機関のガスケットを用いれば、既存の内燃機関を利用して上記したプラズマによるOHラジカル及びオゾンの大量生成から引き起こされる燃焼促進のメカニズムを容易に実現することができ、これによって当該内燃機関の設計工数の最小化及び既存の内燃機関との部品の共通化を実現することができる。
【0023】
上記中間層が誘電体又は絶縁体により形成され、この中間層に対して厚さ方向の少なくとも一方側にある表面層が電気伝導体で形成したときは、表面層を、放電線路の電極と対になる接地電極として又は電磁波伝送路と対になる接地導体として用いることができるので、ガスケットの構造の簡単化、薄型化などを実現することができる。また表面層を金属などで形成すればガスケットの剛性を向上させることができる。
【0024】
上記アンテナを棒形にしてガスケットの開口の内周縁に沿って当該開口の周方向に延ばしたときは、燃焼室の外縁付近の燃焼を他の領域の燃焼よりも促進することができ、スキッシュ流、タンブル、又はスワールを利用して燃焼促進を実現することができる。
【0025】
上記アンテナに電磁波を供給したときにアンテナに生じる電磁波の電界強度が大になる部位の近傍に電極を位置づけたときは、電極を中心にした領域で燃焼を一層促進することができる。また、アンテナの複数箇所に電磁波の電界強度が大になる部位ができるときは、各部位に対応して電極を位置づければ、燃焼室の複数の領域で燃焼を一層促進することができる。
【0026】
厚さ方向の中間層にシールドケーブルを設け、このシールドケーブルの内部電線の芯線により放電線路又は電磁波伝送路を構成したときは、シールドケーブルを用いて比較的簡単にガスケットを構成することができる。
【0027】
放電線路を一対設け、これらの放電線路の電極を近接して配置したときは、これらの放電線路の電極を近接して配置すれば低い印加電圧で放電を行うことができ、OHラジカル及びオゾンの発生を促進でき、これらの持続時間を長くすることができ、消費電力を低減することができ、しかも内燃機関における窒素酸化物の発生量を低減することができる。
【0028】
本発明の内燃機関は、既存の内燃機関を利用して上記したプラズマによるOHラジカル及びオゾンの大量生成から引き起こされる燃焼促進のメカニズムを容易に実現することができ、当該内燃機関の設計工数の最小化及び既存の内燃機関との部品の共通化を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明のガスケットが装着された内燃機関Eの実施形態を示す。本発明が対象とする内燃機関は往復動機関であるが、この実施形態の内燃機関Eは、4サイクルのガソリン機関である。100はシリンダブロックであって、このシリンダブロック100には横断面がほぼ円形のシリンダ110が貫通して設けられ、このシリンダ110には、横断面がシリンダ110に対応したほぼ円形の形状をしたピストン200が往復自在に嵌っている。このシリンダブロック100の反クランクケース側には、シリンダヘッド300が組み付けられており、このシリンダヘッド300と、ピストン200と、シリンダ110とにより、燃焼室400を形成している。910は一端がピストン200に連結され、他端が出力軸であるクランクシャフト920に連結されたコネクティングロッドである。シリンダヘッド300には、一端が上記燃焼室400に接続し且つ他端がシリンダヘッド300の外壁に開口して吸気通路の一部を構成する吸気ポート310と、一端が上記燃焼室400に接続し且つ他端がシリンダヘッド300の外壁に開口して排気通路の一部を構成する排気ポート320が設けられている。シリンダヘッド300には、吸気ポート310からシリンダヘッド300の外壁まで貫通するガイド孔330が設けられ、このガイド孔330に吸気バルブ510のバルブステム511が往復自在に嵌まっており、カムなどを有する動弁機構(図示省略)によりバルブステム511の先端に設けられたバルブヘッド512によって吸気ポート310の燃焼室側の開口311を所定タイミングでもって開閉するように構成している。また、シリンダヘッド300には、排気ポート320からシリンダヘッド300の外壁まで貫通するガイド孔340が設けられ、このガイド孔340に排気バルブ520のバルブステム521が往復自在に嵌まっており、カムなどを有する動弁機構(図示省略)によりバルブステム521の先端に設けられたバルブヘッド522によって排気ポート320の燃焼室側の開口321を所定タイミングでもって開閉するように構成している。600は、電極が燃焼室400に露出するようにシリンダヘッド300に設けられた点火プラグであって、ピストン200が上死点付近にあるときに電極で放電するように構成されている。よって、ピストン200が上死点と下死点との間を2往復する間に、燃焼室400において混合気の吸入、圧縮、爆発、及び排気ガスの排気の4つの行程を行うようにしている。しかし、この実施形態によって本発明が対象とする内燃機関が限定解釈されることはない。本発明は2サイクルの内燃機関、ディーゼル機関も対象にしている。対象とするガソリン機関には、燃焼室に吸入した空気に燃焼室で燃料を噴射して混合気を形成する直噴式ガソリン機関も含まれる。また対象とするディーゼル機関には、燃焼室に燃料を噴射する直噴式ディーゼル機関も、副室に燃料を噴射するようにした副室式ディーゼル機関も含まれる。また、この実施形態の内燃機関Eは4気筒であるが、これによって本発明が対象とする内燃機関の気筒数が限定解釈されることはない。また、この実施形態の内燃機関は2本の吸気バルブ510と2本の排気バルブ520を設けているが、これによって本発明が対象とする内燃機関の吸気バルブ又は排気バルブの本数が限定解釈されることはない。
【0030】
そして、このシリンダブロック100とシリンダヘッド300との間には、図2に示すような本発明の第1実施形態のガスケット700が装着されている。上記ガスケット700は、ほぼ一定厚さの薄い板形をしている。このガスケット700には、シリンダ110に対応して開口710が設けられている。このガスケット700には、さらにウォータージャケット、ボルト孔などに対応して孔が開いているが、これらによって本発明が対象とするガスケットの形状が限定解釈されることはない。
【0031】
図3及び図4に示すように、上記ガスケット700の厚さ方向の中間層730には放電線路760が設けられている。厚さ方向の中間層730とは、厚さ方向の中間部に形成されている層である。この中間層730はセラミックスで形成されている。中間層は、他にも合成ゴム、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、メタ系アラミド繊維シートなどの合成樹脂、耐熱紙などを用いることができる。このように中間層を誘電体により形成してもよいが、絶縁体により形成してもよい。上記放電線路760は銅線により形成されているが、電気伝導体により形成されておればよい。放電線路760は、ガスケット700における外周縁720と開口710との間に埋まっている。そして、放電線路760の外側の端部である外端は、ガスケット700の外周縁720から露出して第1接続部761を形成している。また、放電線路760の内側の端部である内端は、ガスケット700の外周縁から開口710の中心に向かって露出して電極762になっている。上記中間層730に対して厚さ方向の両側にある表面層740が電気伝導体で形成されており、ガスケット700をシリンダブロック100とシリンダヘッド300との間に装着すると、一方の表面層740がシリンダブロック100の端面に接触し、他方の表面層740がシリンダヘッド300の端面に接触するようにしている。この表面層740は金属により形成されているが他の素材であってもよい。この実施形態では、厚さ方向の両側にある表面層740を電気伝導体で形成したが、本発明は、中間層に対して厚さ方向の少なくとも一方側にある表面層を電気伝導体で形成したガスケットの実施形態を含んでいる。よって、シリンダブロック100、シリンダヘッド300又は表面層740を接地し、第1接続部761と接地部材であるシリンダブロック100、シリンダヘッド300又は表面層740との間の電圧を印加すると、第1接続部761と接地部材との間で放電するようになっている。この実施形態では放電線路760の電極以外の部分と電極762とを同じ材料により一体的に設けたが、放電線路の電極以外の部分と電極とを別に形成して接続してもよく、放電線路の電極以外の部分と電極とを別異の材料により形成してもよい。
【0032】
図3及び図5に示すように、ガスケット700にはアンテナ770が設けられている。このアンテナ770は金属により形成されている。このアンテナは電気伝導体、誘電体、絶縁体などのいずれで形成してもよいが、アンテナと接地部材との間に電磁波を供給したときにアンテナから燃焼室へ電磁波が良好に放射されなければならない。上記アンテナ770は、開口710の内周縁における厚さ方向の中間層730に設けられ、燃焼室400へ電磁波を放射するようになっている。このアンテナ770は、棒形に形成され、その基端が厚さ方向の中間層730に設けられている。そして、このアンテナ770は、上記基端から先端に至る部分がほぼ円弧形に湾曲しており、開口710の内周縁に沿って開口710の周方向に延びている。例えば、この円弧形の部分の長さを電磁波の4分の1波長に設定すると、アンテナ770に定在波が生じるので、アンテナ770の先端付近で電磁波の電界強度が大になる。また、例えば、この円弧形の部分の長さを電磁波の4分の1波長の倍数に設定すると、アンテナ770に定在波が生じるため、アンテナ770の複数箇所で定在波の腹が生じて電磁波の電界強度が大になる。ここではアンテナ770は全長にわたって中間層730のなかにほぼ埋まっている。図5に示すように、アンテナ770の断面は全長にわたってほぼ中実の円形に形成され、全長にわたって断面の周上の一点で中間層730のおける開口710の内周縁を形成する面に内側から接するように配置している。よって、アンテナ770は断面上ではこの部分において開口710の内周縁において燃焼室400に露出することになる。しかし、本発明のガスケットのアンテナは、断面形が中実の円形に限定されないし、中間層のなかに完全に埋まっていてもよい。さらに、上記アンテナ770に電磁波を供給したときにアンテナ770に生じる電磁波の電界強度が大になる部位の近傍に上記電極762が位置づけられている。ここではアンテナ770の先端と電極762とが開口710の内周縁に沿って所定間隔をあけて接近するように配置され、ストリップライン線路を形成している。よって、第1接続部761と上記した接地部材との間に電磁波を供給すると、アンテナ770から燃焼室400へ電磁波を放射するようになっている。なお、接地部材がストリップライン線路の接地側を兼ねてもよい。この実施形態の場合、上記アンテナ770は棒形のモノポールアンテナであり、そのなかでも屈曲したものであるが、本発明のガスケットのアンテナは、これに限定されない。したがって、本発明のガスケットのアンテナは、例えば、ダイポールアンテナ、八木・宇田アンテナ、単線給電アンテナ、ループアンテナ、位相差給電アンテナ、接地アンテナ、非接地型垂直アンテナ、ビームアンテナ、コーナーアンテナ、くし形アンテナ、若しくはその他の線形アンテナ、マイクロストリップアンテナ、板形逆Fアンテナ、若しくはその他の平面アンテナ、スロットアンテナ、ホーンアンテナ、若しくはその他の立体アンテナ、ビバレージアンテナ、若しくはその他の進行波アンテナ、スター型EHアンテナ、ブリッジ型EHアンテナ、若しくはその他のEHアンテナ、バーアンテナ、微小ループアンテナ、若しくはその他の磁界アンテナ、又は誘電体アンテナであってもよい。
【0033】
図3及び図5に示すように、上記ガスケット700の厚さ方向の中間層730には電磁波伝送路780が設けられている。この電磁波伝送路780は銅線により形成されている。電磁波伝送路780は電気伝導体、誘電体、絶縁体などのいずれで形成してもよいが、接地部材との間に電磁波を供給したときにアンテナへ電磁波が良好に伝送されなければならない。電磁波伝送路の変形例の一つとして、電気伝導体又は誘電体により形成された導波管よりなる電磁波伝送路がある。上記電磁波伝送路780は、ガスケット700における外周縁720と開口710との間に埋まっている。そして、電磁波伝送路780の外側の端部である外端は、ガスケット700の外周縁720から露出して第2接続部781を形成している。また、電磁波伝送路780の内側の端部である内端は、中間層730のなかで上記アンテナに接続されている。よって、第2接続部781と上記した接地部材との間に電磁波を供給すると、電磁波をアンテナ770に導くようになっている。
【0034】
そして、このガスケット700は、上記放電線路760、アンテナ770及び電磁波伝送路780と、ガスケット700の厚さ方向の両端面との間を電気的に絶縁するように構成している。シリンダブロック100、シリンダヘッド300又は表面層740は接地されており、第1接続部761には放電用電圧発生装置950の陽極が接続され、第2接続部781には電磁波発生装置840の陽極が接続されている。これら放電用電圧発生装置950及び電磁波発生装置840の接地端子は接地されている。そして、放電用電圧発生装置950及び電磁波発生装置840の作動は制御装置880により制御される。制御装置880はCPU、メモリ、記憶装置などを備えており、入力信号を演算処理して制御用信号を出力する。この制御装置880にはクランクシャフト920のクランク角を検出するクランク角検出装置890の信号線が接続され、このクランク角検出装置890から制御装置880へクランクシャフト920のクランク角の検出信号が送られてくる。よって、制御装置880はクランク角検出装置890からの信号を受け、放電装置810及び電磁波発生装置840の作動を制御する。この実施形態の放電用電圧発生装置950は12Vの直流電源であるが、例えば圧電素子又はその他の装置であってもよい。電磁波発生装置840は電磁波を発生するが、この実施形態の電磁波発生装置840は、2.45GHz帯のマイクロ波を発生するマグネトロンである。しかし、これによって本発明のガスケットの制御装置の制御方法及び信号入出力の構成は限定解釈されない。
【0035】
従って、第1実施形態のガスケット700を、その開口710がシリンダ110に対応するようにシリンダブロック100とシリンダヘッド300との間に装着し、シリンダ110にピストン200を往復自在に嵌め、通常に作動する内燃機関Eとしての4サイクルのガソリン機関を組む。放電線路760の第1接続部761と接地部材との間に電圧を印加できるようにしておく。電磁波伝送路780の第2接続部781と接地部材との間に電磁波を一定時間供給できるようにしておく。そして、内燃機関Eの作動時における圧縮行程において、放電線路760の第1接続部761と接地部材への電圧印加と、電磁波伝送路の第2接続部781と接地部材への電磁波の供給とを行う。そうすると、電極762の近傍に放電によりプラズマが形成され、このプラズマはアンテナ770から一定時間供給された電磁波、つまり電磁波パルスからエネルギの供給を受け、プラズマによるOHラジカル及びオゾンの大量生成から燃焼が促進される。すなわち、電極762の近傍の電子が加速され、上記プラズマの領域外へ飛び出す。この飛び出した電子は、上記プラズマの周辺領域にある空気、燃料及び空気の混合気などのガスに衝突する。この衝突により周辺領域のガスが電離しプラズマになる。新たにプラズマになった領域内にも電子が存在する。この電子もまた電磁波パルスにより加速され、周辺のガスと衝突する。このようなプラズマ内の電子の加速、電子とガスとの衝突の連鎖により、周辺領域では雪崩式にガスが電離し、浮遊電子が生じる。この現象が放電プラズマの周辺領域に順次波及し、周辺領域がプラズマ化される。以上の動作により、プラズマの体積が増大する。この後、電磁波パルスの放射が終了すると、その時点でプラズマの存在する領域では、電離より再結合が優位になる。その結果、電子密度が低下する。それに伴いプラズマの体積は減少に転じる。そして、電子の再結合が完了すると、プラズマが消滅する。この間に大量に形成されたプラズマにより混合気中の水分などから大量に生成されたOHラジカル、オゾンにより混合気の燃焼が促進される。
【0036】
その場合、既存の内燃機関に較べると主要な構造部材であるシリンダブロック100、シリンダヘッド300などをそのまま利用し、これらに放電線路760への電圧の印加、電磁波伝送路780への電磁波の供給さえ段取りすればよい。そのため、当該内燃機関Eの設計工数の最小化及び既存の内燃機関との部品の共通化が実現される。
【0037】
本発明の内燃機関のガスケットは、中間層に対して厚さ方向の両側にある表面層の材質を限定しない。したがって、表面層は誘電体又は絶縁体であってもよい。そのような種々の実施形態のなかで、第1実施形態のガスケット700は、上記中間層730を誘電体により形成し、上記中間層730に対して厚さ方向の両側にある表面層740を電気伝導体で形成した。このようにすれば、表面層740が放電線路760の電極762と対になる接地電極として機能し、電極762と表面層740との間で放電が行われる。また、表面層740が電磁波伝送路780と対になる接地導体として機能し、電磁波伝送路780と表面層740との間で電磁波が伝送される。中間層を絶縁体により形成し、中間層に対して厚さ方向の両側にある表面層を電気伝導体で形成したときも同様の作用及び固化が得られる。また、上記中間層を誘電体又は絶縁体により形成し、この中間層に対して厚さ方向の少なくとも一方側にある表面層が電気伝導体で形成されているときも同様の作用及び効果が得られる。また、表面層740を金属で形成したのでガスケット700の剛性が向上する。
【0038】
本発明の内燃機関のガスケットは、アンテナの構造、形状を限定しない。そのような種々の実施形態のなかで、第1実施形態のガスケット700は、上記アンテナ770を棒形に形成し、その基端を厚さ方向の中間層730に設け、この基端から出て先端に至る部分を開口710の内周縁に沿って開口710の周方向に延ばした。このようにすれば、アンテナ770から放射された電磁波の電界強度が燃焼室400の外縁付近で他の領域よりも強くなるので、OHラジカル、オゾンが燃焼室400の外縁付近で他の領域よりも多く分布する。そのため、燃焼室400の外縁付近の燃焼が他の領域の燃焼よりも促進される。また、燃焼室400の外縁付近で発生するスキッシュ流、タンブル、又はスワールを利用してOHラジカル又はオゾンと混合気などとの混合が促進される。
【0039】
本発明の内燃機関のガスケットは、アンテナと電極との位置関係を限定しない。そのような種々の実施形態のなかで、第1実施形態のガスケット700は、上記アンテナ770に電磁波を供給したときにアンテナ770に生じる電磁波の電界強度が大になる部位の近傍に電極762を位置づけた。このようにすれば、アンテナ770の上記部位から放射される電磁波の電界強度が周囲の電磁波の電界強度よりも強くなるので、電極762での放電により形成されたプラズマに、近傍の上記部位から電磁波パルスによるエネルギが集中的に供給されてOHラジカル、オゾンが効率よく大量に生成され、電極762を中心にした領域の燃焼が一層促進される。また、アンテナ770の複数箇所に電磁波の電界強度が大になる部位ができるときは、各部位に対応して電極762を位置づければ、燃焼室400の複数の領域で燃焼が一層促進される。
【0040】
次に、本発明のガスケットの他の実施形態を説明する。これらの他の実施形態のガスケットの説明では、第1実施形態のガスケット700と同一の機能を発揮する部材、部分には第1実施形態のガスケット700で用いた符号と同一の符号を付して、その説明を省略する。そして、これらの他の実施形態のガスケットにおいて、第1実施形態のガスケット700と構成の異なる点を説明する。したがって、記載のない構成は第1実施形態のガスケット700の構成と同一である。
【0041】
図6は第2実施形態のガスケット700を示す。第1実施形態のガスケット700では、アンテナ770が全長にわたって中間層730のなかにほぼ埋まっていた。これに対し、第2実施形態のガスケット700では、アンテナ770の基端は厚さ方向の中間層730に設けられているが、この基端から延びて先端に至る部分が中間層730から外へ出ている。すなわち、アンテナ770の基端から延びる部分は、基端から開口710の中心に向かって延びてからほぼL字方に曲がり、その先はほぼ円弧形に湾曲しており、開口710の内周縁に沿って開口710の周方向に延びている。第1実施形態のガスケット700のアンテナ770は全長にわたって中間層730のなかにほぼ埋まっているので、アンテナ770が燃焼室400から受ける熱負荷およびアンテナ770が受ける機械的振動による疲労が軽減される。これに対し、第2実施形態のガスケット700のアンテナ770は、燃焼室400に露出するので、アンテナ770から放射される電磁波の電界強度が大になる。その他の作用及び効果は第1実施形態のガスケット700の場合と同様である。
【0042】
図7は第3実施形態のガスケット700を示す。このガスケット700は、第2実施形態のガスケット700に類似しているが、それよりもアンテナ770の長さが長くなっている。すなわち、アンテナ770の基端から延びる部分は、基端から開口710の中心に向かって延びてからほぼL字方に曲がり、その先はほぼ円弧形に湾曲しており、開口710の内周縁に沿って開口710の周方向に開口710のほぼ1周にわたって延びている。このようにすれば、アンテナ770の長さが稼げるので、アンテナ770から放射される電磁波の電界強度が大になる。その他の作用及び効果は第1実施形態のガスケット700の場合と同様である。このようにアンテナ770が長くなると、アンテナ770に定在波が生じるため、同じ周波数の電磁波であれば、それよりも短いアンテナを備えたガスケットよりもアンテナの複数の箇所で電磁波の電界強度が大になる部位ができる。図8に示した第4実施形態のガスケット700では、第2実施形態のガスケット700では一つしかなかった電極762を開口710の内周縁に沿ってほぼ等間隔でもって複数設けた。各電極762はアンテナ770に生じる電磁波の電界強度が大になる部位の近傍に位置づけている。このようにすれば、アンテナ770の上記各部位から放射される電磁波の電界強度が周囲の電磁波の電界強度よりも強くなるので、各電極762での放電により形成されたプラズマに、対応する近傍の上記部位から電磁波パルスによるエネルギが集中的に供給されてOHラジカル、オゾンが効率よく大量に生成され、電極762を中心にした領域の燃焼が一層促進される。したがって、燃焼室400の複数の領域で燃焼が一層促進される。
【0043】
図9は第5実施形態のガスケット700を示す。第1実施形態のガスケット700では放電線路760も電磁波伝送路780も銅線により形成した。これに対し、第5実施形態のガスケット700では、上記中間層730にシールドケーブルSを設け、このシールドケーブルSの内部電線の芯線により電磁波伝送路を構成している。ここで、シールドケーブルSは、銅線などの電気伝導体よりなる芯線と、この芯線を覆う絶縁体よりなる内部被覆とを有する内部電線と、この内部電線を覆う電気伝導体よりなる外部導体と、この外部導体を覆う絶縁体よりなる外部被覆とを備えている。このようにすれば、シールドケーブルSを用いて比較的簡単にガスケット700を製造することができる。その他の作用及び効果は第1実施形態のガスケット700の場合と同様である。同様にして上記中間層にシールドケーブルを設け、このシールドケーブルの内部電線の芯線により放電線路を構成してもよい。
【0044】
図10は第6実施形態のガスケット700を示す。第1実施形態のガスケット700ではガスケット700の厚さ方向の中間層730に放電線路760を設け、この放電線路760の第1接続部761に放電用電圧発生装置950の陽極を接続し、接地部材であるシリンダブロック100、シリンダヘッド300又は表面層740を接地し、第1接続部761と上記接地部材との間の電圧して、第1接続部761と接地部材との間で放電するようにした。これに対し、第6実施形態のガスケット700では、ガスケット700の厚さ方向の中間層730に、放電線路760を一対設けている。各放電線路760の外側の端部である外端は、ガスケット700の外周縁720から露出してそれぞれ第1接続部761を形成している。また、各放電線路760の内側の端部である内端は、ガスケット700の外周縁から開口710の中心に向かって露出してそれぞれ電極762になっている。これらの放電線路760の電極は近接して配置されている。このようにすれば、放電線路760の第1接続部同士の間に電圧を印加すると、電極間で放電が行われる。これらの放電線路760の電極762を近接して配置したときには、低い印加電圧で放電を行うことができる。そうすれば、OHラジカル及びオゾンの発生が促進され、この発生したOHラジカル及びオゾンの持続時間が長くなり、消費電力が低減され、しかも放電の行われる領域の温度上昇が抑制されることから内燃機関における窒素酸化物の発生量が低減する。その他の作用及び効果は第1実施形態のガスケット700の場合と同様である。
【0045】
本発明のガスケットでは、電極又はこれと対をなす接地部材は、誘電体により被覆されていてもよい。この場合、電極間又は電極と設置部材の間に印加された電圧によって、誘電体バリア放電が行われる。誘電体バリア放電では、電極又は接地部材を覆う誘電体表面に電荷が蓄積され放電が制限されるため、放電はごく短時間に且つごく小規模に行われる。放電が短期間で終了するため周辺部の熱化が起こらない。すなわち電極間での放電によるガスの温度上昇が低減する。ガスの温度上昇の低減は、内燃機関でのNOXの発生量低減に資する。
【0046】
ここまで記載した実施形態の内燃機関E及び実施形態のガスケット700の説明により、本発明の内燃機関も充分に説明された。すなわち、本発明の内燃機関は、ピストン200が往復可能に嵌まるシリンダ110が貫通して設けられたシリンダブロック100と、このシリンダブロック100の反クランクケース側に組み付けられてピストン200及びシリンダ110と共に燃焼室400を形成するシリンダヘッド300と、上記シリンダブロック100とシリンダヘッド300との間に装着された本発明の内燃機関のガスケット700とを備えた内燃機関Eである。
【0047】
本発明は、以上の実施形態の特徴を組み合わせた実施形態を含んでいる。また、以上の実施形態は本発明の内燃機関のガスケット及び内燃機関のいくつかの例を示したに過ぎない。したがって、これらの実施形態の記載によって本発明の内燃機関のガスケット及び内燃機関が限定解釈されることはない。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第1実施形態のガスケットを備えた実施形態の内燃機関の燃焼室付近における縦断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態のガスケットの斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態のガスケットの一つの開口付近を、ガスケットの厚さ方向に向いた面で断面してみせた横断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態のガスケットを放電線路に沿った面で断面し、拡大してみせた拡大縦断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態のガスケットを電磁波伝送路に沿った面で断面し、拡大してみせた拡大縦断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態のガスケットの一つの開口付近を、ガスケットの厚さ方向に向いた面で断面してみせた横断面図である。
【図7】本発明の第3実施形態のガスケットの一つの開口付近を、ガスケットの厚さ方向に向いた面で断面してみせた横断面図である。
【図8】本発明の第4実施形態のガスケットの一つの開口付近を、ガスケットの厚さ方向に向いた面で断面してみせた横断面図である。
【図9】本発明の第5実施形態のガスケットを電磁波伝送路に沿った面で断面し、拡大してみせた拡大縦断面図である。
【図10】本発明の第6実施形態のガスケットの一つの開口付近を、ガスケットの厚さ方向に向いた面で断面してみせた横断面図である。
【符号の説明】
【0049】
E 内燃機関
100 シリンダブロック
110 シリンダ
200 ピストン
300 シリンダヘッド
400 燃焼室
700 ガスケット
710 開口
720 外周縁
730 中間層
740 表面層
760 放電線路
761 第1接続部
762 電極
770 アンテナ
780 電磁波伝送路
781 第2接続部
S シールドケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピストンが往復自在に嵌まるシリンダが貫通して設けられたシリンダブロックと、このシリンダブロックの反クランクケース側に組み付けられてピストン及びシリンダと共に燃焼室を形成するシリンダヘッドとの間に装着され、シリンダに対応した開口が設けられた内燃機関のガスケットであって、
厚さ方向の中間層に設けられ、外端が外周縁から露出して第1接続部となり、内端が開口の内周縁から露出して電極となり、第1接続部同士の間又は第1接続部と接地部材との間に印加された電圧により電極間又は電極と周囲の接地部材との間で放電する放電線路と、
少なくとも一部が開口の内周縁における厚さ方向の中間層に設けられ、燃焼室へ電磁波を放射するアンテナと、
厚さ方向の中間層に設けられ、外端が外周縁から露出して第2接続部となり、内端が上記アンテナに接続され、電磁波をアンテナに導く電磁波伝送路とを備え、
上記放電線路、アンテナ及び電磁波伝送路と、厚さ方向の両端面との間を電気的に絶縁するように構成されている内燃機関のガスケット。
【請求項2】
上記中間層が誘電体又は絶縁体により形成され、この中間層に対して厚さ方向の少なくとも一方側にある表面層が電気伝導体で形成されている請求項1の内燃機関のガスケット。
【請求項3】
上記アンテナが棒形に形成され、その基端が厚さ方向の中間層に設けられ、この基端から出て先端に至る部分が開口の内周縁に沿って開口の周方向に延びている請求項1又は請求項2の内燃機関のガスケット。
【請求項4】
上記アンテナに電磁波を供給したときにアンテナに生じる電磁波の電界強度が大になる部位の近傍に電極が位置づけられている請求項1ないし請求項3のうちいずれか1項の内燃機関のガスケット。
【請求項5】
上記中間層にはシールドケーブルが設けられ、このシールドケーブルの内部電線の芯線が放電線路又は電磁波伝送路を構成している請求項1ないし請求項4のうちいずれか1項の内燃機関のガスケット。
【請求項6】
上記放電線路が一対設けられ、これらの放電線路の電極が近接して配置されている請求項1ないし請求項5のうちいずれか1項の内燃機関のガスケット。
【請求項7】
ピストンが往復可能に嵌まるシリンダが貫通して設けられたシリンダブロックと、
このシリンダブロックの反クランクケース側に組み付けられてピストン及びシリンダと共に燃焼室を形成するシリンダヘッドと、
上記シリンダブロックとシリンダヘッドとの間に装着された請求項1ないし請求項6のうちいずれか1項の内燃機関のガスケットとを備えた内燃機関。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−221943(P2009−221943A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−66885(P2008−66885)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(504293528)イマジニアリング株式会社 (51)
【Fターム(参考)】