内燃機関のガス流量計測装置
【課題】乱流やノイズによる流量計測値の変動に影響を受けることなく、ガスの流量計測精度を向上することができ、排気ガス性能、燃費性能を向上することができる内燃機関のガス流量計測装置を得ること。
【解決手段】発熱抵抗体30の放熱量に基づいてガスの流量を検出するガス流量センサ13を備えた内燃機関のガス流量計測装置は、ガス流量センサ13により検出したガスの流量検出値を微分して流量微分値DQを算出し、その流量微分値DQに応じた補正量で流量検出値を補正した流量補正値Qecを算出する。これにより、乱流やノイズによる一時的な流量変動の影響を軽減させることができる。したがって、流量検出値Qesの変動があった場合でも補正の誤動作がなく、逆流量に応じた適切な補正を行うことができ、流量計測精度を向上させることができる。
【解決手段】発熱抵抗体30の放熱量に基づいてガスの流量を検出するガス流量センサ13を備えた内燃機関のガス流量計測装置は、ガス流量センサ13により検出したガスの流量検出値を微分して流量微分値DQを算出し、その流量微分値DQに応じた補正量で流量検出値を補正した流量補正値Qecを算出する。これにより、乱流やノイズによる一時的な流量変動の影響を軽減させることができる。したがって、流量検出値Qesの変動があった場合でも補正の誤動作がなく、逆流量に応じた適切な補正を行うことができ、流量計測精度を向上させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排気ガスの流量、および吸入空気、その他ガスの流量を計測するガス流量計測装置に関し、特に、ガス流量の脈動により逆流が発生したときの流量計測誤差を低減する補正手段を有するガス流量計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジン等の内燃機関では、排気ガス中のNOx等の低減のため一般に排気ガスの再循環(EGR)を実施している。近年では排気ガス中のNOxやPM(煤)を十分に低減するためにEGRガスの流量、および吸入空気の流量を高精度に制御することが要求されている。
【0003】
また、近年ではガソリンエンジンの燃費向上のためEGRを採用しており、燃費性能と燃焼安定性の両立の要求からEGR流量の制御精度の向上が必要となっている。
【0004】
このような背景からEGR通路にEGRガスの流量を直接計測するセンサ(排気流量センサ)を配置し、EGRガスの流量を検出して、排気ガスの低減に適した流量となるようEGR弁を制御するEGR制御装置が特許文献1等で提案されている。
【0005】
ここで、EGR通路は排気通路と吸気通路とを接続したガス流路であり、当該EGR通路の排気ガスは、排気圧力とインテークマニホールド内圧力(吸気圧力)との差圧に応じて排気側から吸気側へ流れるので、実際にEGR通路を流れる排気ガスの流量(EGR流量)は、排気圧力変動と吸気圧力変動の影響を受けて変動(脈動)する。
【0006】
このため、排気圧力変動と吸気圧力変動が大きくなる運転状態では、脈動により吸気圧力が排気圧力より高くなりEGRガスが排気側に逆流する場合がある。
【0007】
上記文献等にあるような排気流量センサは、発熱抵抗体(熱線)で構成され、ガス流れによる発熱抵抗体の放熱量を検出することにより、ガスの流量を計測している。
【0008】
熱線式の流量センサは、一般にガスの流れ方向を判別できないため、脈動により排気ガスの逆流が生じると、これを順流として検出するので排気ガスの流量を実際の流量に対し多く検出してしまい流量検出精度が著しく低下する。
【0009】
空気流量を計測する流量センサでは、シリコン等の薄膜で形成される発熱抵抗体とその上下流に近接して配置される感温抵抗体を有する構成等により発熱抵抗体周囲の温度分布を高応答に検出して空気の流れ方向を判別するものも実用化されているが、排気ガスの流量を計測する場合には耐熱性の課題から薄膜式センサを適用することが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−214275号公報
【特許文献2】特開2008−2833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述のように、排気ガスの流量計測には、特許文献1等で熱線式の流量センサを適用するものが提案されているが、脈動による逆流に対しては、応答性が不足し、ガスの流れ方向を検知することができない。したがって、前述のように排気ガスの逆流が生じたときは流量の計測誤差が発生して排気性能が低下してしまうという問題があった。
【0012】
これに対し、熱線式流量センサの逆流を信号処理により検知して補正する方式が特許文献2に開示されている。本文献では、逆流発生時に流量計測値の2階微分値がピークを生じることから、流量計測値の2階微分値が上昇してから、再度2階微分値が上昇するまでの期間を逆流期間として判別し、該逆流期間の流量計測値の極性を反転して計測流量を補正するようにしている。
【0013】
しかしながら、上記特許文献2の技術では、熱線式流量センサの発熱抵抗体周囲の乱流やノイズにより流量計測値が変動すると、流量計測値の2階微分値が変動して逆流期間を誤判定する場合があった。逆流期間を誤判定した場合は、その間の流量計測値の極性を反転するので流量計測誤差が大きくなる。
【0014】
本発明のガス流量計測装置は、内燃機関の排気ガスの流量、および吸入空気、その他ガスの流量を計測するガス流量計測装置に関し、発熱抵抗体で構成される流量センサを備えたガス流量計測装置において、発熱抵抗体周囲の乱流やノイズによる流量計測値の変動があっても、脈動時の逆流による流量計測誤差を低減可能として流量計測精度を向上すること、これによりエンジンの排気ガス性能、燃費性能を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決する本発明の内燃機関のガス流量計測装置は、発熱抵抗体の放熱量に基づいてガスの流量を検出するガス流量センサを備えた内燃機関のガス流量計測装置において、ガス流量センサにより検出したガスの流量検出値を微分して流量微分値を算出し、流量微分値に応じた補正量で流量検出値を補正することを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明の内燃機関のガス流量計測装置によれば、ガス流量センサにより検出したガスの流量検出値を微分して流量微分値を算出し、流量微分値に応じた補正量で流量検出値を補正するので、乱流やノイズによる一時的な流量変動の影響を軽減させることができる。したがって、流量検出値の変動があった場合でも補正の誤動作がなく、逆流量に応じた適切な補正を行うことができ、流量計測精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明のガス流量計測装置が適用されるエンジンの構成を示す全体図。
【図2】本発明のガス流量計測装置のガス流量センサの構成例1と装着状態を示す図。
【図3】従来技術と課題の説明図。
【図4】本発明のガス流量計測装置の構成図。
【図5】本発明のガス流量計測装置の流量補正方式のブロック図。
【図6】本発明のガス流量計測装置の流量補正方式の処理手順を示す図。
【図7】本発明の流量補正方式の逆流時の動作を示す図。
【図8】本発明の流量補正方式の順流時の動作を示す図。
【図9】本発明の流量補正方式による流量計測誤差を示す図。
【図10】本発明のガス流量計測装置のガス流量センサの構成例2を示す斜視図。
【図11】ガス流量センサの構成例2による流量検出特性を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[実施例1]
本発明のガス流量計測装置が適用されるディーゼルエンジンの例を図1に示す。ここで本発明のEGR制御装置が適用されるエンジンは、ディーゼルエンジンに限定されるものではなく、EGRを導入するガソリンエンジンにも適用可能である。
【0019】
エンジン1が吸入する空気は、エアクリーナ(図示省略)より取り込まれ、ターボチャージャ4のコンプレッサ4Aによって過給される。エンジン1の吸入空気量は、吸気管2に設けられる吸入空気量センサ3によって計測される。
【0020】
インタークーラ5は、ターボチャージャ4のコンプレッサ4Aによって過給された空気を冷却する。インタークーラ5によって冷却された空気は、インテークマニホールド8によって各気筒毎に分配され、燃焼室19内に吸入される。吸入空気量はスロットル弁6により制御される。また、必要に応じて吸気管に吸気管圧力センサ7が設けられる。
【0021】
エンジン1には燃焼室19内に燃料を噴射する燃料噴射弁9が取り付けられている。燃料噴射弁9により燃焼室19に噴射された燃料は吸入空気との混合気を生成し、燃焼室19内で燃焼する。
【0022】
燃焼室19より排出する既燃焼ガス(排気ガス)は排気管10へ排出され、ターボチャージャ4のタービン4Bを駆動する。
【0023】
排気管10の途中には、EGR取入口15が形成されている。排気管10を流れる排気ガスの一部(EGRガス)は、EGR取入口15よりEGR管11を通ってEGRクーラ14、EGR制御弁(EGR弁)12へ流れ、EGR取出口16を経てインテークマニホールド8内に還流する。
【0024】
EGR弁12は、EGRガス流量を調節する。EGR管11内には、EGRガス流量を計測するための排気流量センサ13(ガス流量センサ)が取り付けられている。排気流量センサ13の流量検出信号(電圧)は、流量計測ユニット17に入力される。流量計測ユニット17は、該流量検出信号に対して所定の信号処理を実施することで、排気ガスの質量流量に変換し、エンジンコントロールユニット(ECU)18に出力する。
【0025】
図2に排気流量センサ13の構成例と取り付け状態を示す。排気流量センサ13は、図2の断面図に示すように、EGR通路11内に配置される発熱抵抗体30の放熱量を検出することによりガス流量を計測する。図2に示す符号31は、ガス温度による流量計測値への影響を補正するための測温抵抗体であり、符号32は、抵抗体の支持部である。
【0026】
EGR通路11は、排気通路と吸気通路とを接続したガス流路であり、当該EGR通路11内の排気ガスは、排気圧力とインテークマニホールド内圧力(吸気圧力)との差圧に応じて排気側から吸気側へ流れるので、実際にEGR通路11を流れる排気ガスの流量(EGR流量)は、排気圧力変動と吸気圧力変動の影響を受けて変動(脈動)する。したがって、排気圧力変動と吸気圧力変動が大きくなる運転状態では、脈動により吸気圧力が排気圧力より高くなり、排気(EGR)ガスが排気側に逆流する場合がある。
【0027】
ここで、図2に示す側面図において、排気流量センサ13に対し、排気ガスの排気側から吸気側への流れを順流とし、吸気側から排気側への流れを逆流とする。排気流量センサ13は、ガス流れによる発熱抵抗体(熱線)30の放熱量を検出することにより、ガスの流量を計測している。
【0028】
熱線式流量センサは、一般にガスの流れ方向を判別できないため、脈動により排気ガスの逆流が生じると、これを順流として検出してしまい排気ガスの流量を実際の流量に対し多く検出する。これにより、逆流発生時は流量計測誤差が大きくなる。
【0029】
このような問題に対して、熱線式流量センサの逆流を信号処理により判定して逆流による流量検出値を補正する方式が特許文献2等で開示されている。以下、従来技術における流量センサの補正方式とその課題について、図3により説明する。
【0030】
熱線式流量センサでは、排気ガスの脈動により、逆流が生じると図3(a)に示すように逆流が発生する逆流期間で、一点鎖線で示される逆流を、順流として検出する。排気ガスの流れが順流から逆流に転じたとき、および逆流から順流に転じたときは、図3(b)の実線に示すように、流量検出値の微分値が急変し、このとき、図3(c)の実線に示すように、流量検出値の2階微分値のピークを生じる。
【0031】
したがって、特許文献2では、流量検出値の2階微分値が所定の閾値を超えてから、再度2階微分値が閾値を超えるまでの期間Trを逆流期間と判定して、図3(d)に示すように該逆流期間の流量検出値の極性を反転して流量検出値を補正するようにしている。
【0032】
ここで、実際の熱線式流量センサでは、一般に発熱抵抗体周囲の乱流や電気的ノイズにより、順流時においても、図3(a)の破線で示されるように、流量検出値が変動する。このとき、図3(b)の破線で示される流量検出値の微分値が変動し、図3(c)の破線で示す流量検出値の2階微分値が大きく変動する。したがって、2階微分値が閾値を超え、順流時においても逆流期間と誤判定する場合があった。
【0033】
順流時において逆流期間を誤判定した場合は、流量計測値の極性を反転して補正するので流量計測誤差が非常に大きくなる。乱流やノイズによる流量検出値の変動が生じたときに、逆流期間を厳密に判定することは困難である。
【0034】
本発明のガス流量計測装置は、発熱抵抗体で構成される流量センサを備えたガス流量計測装置において、乱流やノイズにより流量検出値が変動した場合でも、逆流による計測誤差を低減可能とし、排気ガス性能を向上するものである。
【0035】
以下、本発明のガス流量計測装置について説明する。 図4は、本発明のガス流量計測装置の構成を示す図である。本発明のガス流量計測装置は、前述した排気流量センサ13、および流量計測ユニット17より構成される。流量計測ユニット17は、流量センサ信号(電圧)を取り込む入力回路21、演算器であるCPU22、CPU22のプログラム処理内容が記憶されるROM(読み出し用メモリ)23、演算されたデータを格納するRAM(書き込み用メモリ)24、および演算された流量補正値を出力する出力回路25を有している。流量計測ユニット17には、測温抵抗体31の信号も入力されるが、温度による流量の補正については、その説明を省略する。
【0036】
図5は、流量計測ユニット17のプログラム処理(信号処理)のブロック図である。流量計測ユニット17は、排気流量センサの流量検出信号(電圧)をCPU22に取り込むためのA/D変喚器40と、流量補正値の計算を実施する条件であるかを判定する補正値計算実施判定部41と、流量検出信号のA/D変換値を微分演算する微分器42と、低域通過フィルタ43と、積分器44で構成される。
【0037】
流量計測ユニット17のプログラム処理の詳細について図6により説明する。ステップS100で、排気流量センサ13の信号(流量検出値Qes)を所定周期tsごとに取り込む。所定周期tsは、サンプリング定理よりセンサ信号の最高周波数の2倍以上のサンプリング周波数fsに対応して、(ts <1/fs)の関係となるように設定される。
【0038】
排気流量センサ13は、流量の検出に一定の応答遅れがあるため、流量検出値Qesに対し、進みフィルタによりセンサの応答遅れを補正した値について、以後の演算処理を実施するようにしても良い。
【0039】
ステップS110で、流量補正値の計算を実施する条件であるかを判定する(補正値計算実施判定部41)。逆流による流量検出値の誤差は、脈動の低流量側で発生することから、流量検出値Qesが所定の閾値SL1より小さくなったときから、流量検出値Qesが所定の閾値SL2より大きくなるまでの期間などを補正値の計算期間とする。
【0040】
閾値SL1、SL2は、流量が平均流量に対して相対的に小さい期間を判定するため、流量検出値Qesの加重平均値に所定の係数(SL1=0.8, SL2=0.9など)をかけた値などとする。
【0041】
ステップS110で流量補正値の計算を実施する条件でないと判定されたときは(No)、ステップS120〜ステップS140の補正量の計算を実施せず、ステップS150に移行し、ステップS150で補正なし(流量補正値Qec= Qes)とする。これにより、順流を誤って補正することを防止する。
【0042】
ステップS110で流量補正値の計算を実施する条件と判定されたときは(Yes)、ステップS120に移行して、流量検出値Qesの微分値を計算する処理を行う。ここで、一次元での流速微分値dU/dt(∝流量の微分値)と通路流速U(∝流量)の関係は、下記の式(1)で示される。
【0043】
【数1】
【0044】
式(1)で、Uはガス流速、ΔPは通路差圧(単位長あたり)、Lは通路長さ、ρはガス密度、Cmは、管摩擦係数(単位長あたり)を示す。式(1)の右辺第1項は、通路差圧に比例する項であり、第2項は、通路の圧損に対応する項である。
【0045】
逆流時における流量検出値Qesの微分値の変化について、図7により説明する。ここでは流量センサの応答遅れを考慮しないものとする。図7(b)に示すように、順流から逆流に転ずる直前(t1直前)の流量検出値Qesの微分値DQ1について、式(1)で流速U=0とおくことができるので、微分値DQ1は通路の差圧ΔPに比例する。このときの通路差圧ΔP1は負値であり、逆流方向への差圧となる。次に、順流から逆流に反転した直後(t1直後)の流量検出値Qesの微分値DQ2は、流量センサが逆流を順流として検出するので、微分値DQ1と絶対値が等しく極性が逆となる(DQ2=-DQ1)。したがって、流量センサの応答遅れを無視すると、順流から逆流に転じたときは流量検出値Qesの微分値が不連続に変化し、このときの流量検出値Qesの変化量(DQ2-DQ1)は逆流方向への差圧ΔP1に比例する。
【0046】
実際の流量センサは応答遅れがあるため、流量センサの応答を一次遅れで近似すると、順流から逆流に転じた直後の流量検出値Qesの微分値の立ち上り速度(矢印の傾き)は、変化量(DQ2-DQ1)に比例する。よって、流量検出値Qesの微分値の立ち上り速度は、逆流方向への差圧ΔP1に比例する。
【0047】
発明者らの鋭意研究の結果、脈動により順流から逆流に転じたときの逆流方向への通路差圧は、逆流量と高い相関を持つことがわかった。また、前述のように逆流方向への通路差圧は流量検出値Qesの微分値の立ち上り速度に比例することから、流量検出値Qesの微分値の立ち上り速度と逆流量とは相関を持つと考えられる。このことから、本発明のガス流量計測装置では、流量検出値Qesの微分値の立ち上り速度と相関のあるパラメータにより流量検出値Qesを補正するように構成した。
【0048】
ここで、流量検出値Qesの微分値の立ち上り速度は、前述した特許文献2における流量検出値の2階微分とほぼ同様の物理的意味を持つが、前述したように特許文献2では、流量検出値の2階微分値を所定の閾値と比較することにより逆流期間を判定しているので、乱流やノイズによる流量検出値の変動があった場合に、2階微分値が変動し、逆流期間を正しく判定することが困難であった。そして、逆流期間を誤判定したときは、順流を逆流として補正してしまうので、流量補正値に大きな誤差を生じてしまう。
【0049】
これに対し、本発明のガス流量計測装置では、流量の微分値の単発的な変化により逆流期間を判定して補正するのではなく、流量の微分値により連続的に補正量の算出を行なうので(流量微分値に応じた補正量で流量検出値を補正するので)、乱流やノイズによる一時的な流量変動の影響が軽減されること、および流量の変動分の影響を軽減する処理により流量検出値の変動があっても逆流による誤差を低減できる。
【0050】
以下、本発明のガス流量計測装置における流量補正方式について詳細に説明する。
図6のステップS130では、流量検出値Qesの微分値(流量微分値)に低域通過フィルタをかけてなまし値を算出する。低域通過フィルタは、流量検出値Qesのサンプリング周期ごとに、以下の式(2)に示す加重平均等を用いて流量微分値のなまし値を算出する。
【0051】
DQF[n]=KLP×(DQ[n]−DQF[n−1])+DQF[n−1] …(2)
上記の式(2)で、DQ[n]は流量微分値、DQF[n]は今回のフィルタ計算値、DQF[n−1]は前回のフィルタ計算値、KLPはフィルタ係数を示す。
【0052】
次に、ステップS140では、流量検出値Qesのサンプリング周期ごとに、低域通過フィルタ後の流量微分値である、流量微分値のなまし値DQFを積分して、流量補正値Qecを算出する。ここで、流量微分値のなまし値DQFの積分は、ステップS110で流量補正値Qecの計算を実施する条件となる直前の流量検出値Qesを初期値とし、流量補正値Qecの計算を実施する条件となってから流量補正値Qecの計算を実施する条件が不成立となるまで、下記の式(3)により、流量微分値のなまし値DQFの積分を実施する。
【0053】
Qec[n]= Qec[n−1]+DQF[n] …(3)
上記の式(3)で、DQF[n]はフィルタ計算値、Qec[n]は流量補正値、Qec[n−1]は前回の流量補正値である。
【0054】
そして、ステップS160では、流量補正値Qecを電圧信号等に変換して出力する。
【0055】
図7(c)に低域通過フィルタ後の流量微分値(なまし値)を示す。図7(c)の点線は、フィルタ処理を行なう前の流量微分値である。低域通過フィルタは、その周波数特性から流量微分値の立ち上り速度に応じて流量微分値の立ち上り速度を補正することができる。すなわち、流量微分値の立ち上り速度が大きくなるにしたがって、流量微分値の減少方向への補正量が大きくなる。これにより、図7(d)に示すように、低域通過フィルタ後の流量微分値を積分して得られる流量補正値Qecは、流量微分値の立ち上り速度が大きくなるにしたがって流量減少方向に補正される。
【0056】
本流量補正方式は、乱流やノイズによる流量検出値の変動の影響を軽減し、順流時に流量検出値を誤って補正することを防止できることが特長である。
【0057】
図8に順流時における本流量補正方式の動作を示す。流量検出値Qesが図8(a)の破線のように変動する場合、流量微分値が図8(b)の破線のように変動する。ここで、乱流やノイズによる流量検出値の変動は一般に高周波であるので、図8(c)の破線で示す流量微分値に低域通過フィルタ処理を行なったものでは、フィルタにより流量微分値の変動が低減される。加えて、図8(d)に示すように、流量補正値Qecは、フィルタ後の流量微分値を積分して算出することから、積分処理により流量微分値の変動の影響がさらに低減される。
【0058】
すなわち、本流量補正方式では、流量の微分値より連続的に補正量の算出を行なうことによって乱流やノイズによる一時的な流量変動の影響が軽減されることに加えて、流量微分値の低域フィルタ処理および積分処理を実施するので、流量変動の影響をさらに低減できる。これにより、乱流やノイズによる補正の誤動作がなく、逆流量に応じた適切な補正を行なうことができる。
【0059】
本流量補正方式により補正を実施したときの流量計測誤差の特性を図9に示す。ここで、平均流量は一定の条件で脈動の振幅を変化させたときの誤差特性を示す。脈動の大きさ(脈動振幅比)は、図9(a)に示すように、実際の流量の最大値と最小値の差Qppと、実際の流量の平均値Qaveとの比率で定義しており(Qpp/Qave)、図9(b)に示すように、脈動振幅比が200%を超えると逆流を生じる。
【0060】
図9(b)に点線で示すように、逆流に対する補正を実施しないときの流量計測誤差特性は、逆流域(脈動振幅比200%以上)で流量増加方向に大きな誤差を生じている。これに対して、図9(b)に実線で示すように、補正を実施したときの流量計測誤差特性は、逆流域での誤差を大幅に低減することができる。
【0061】
本流量補正方式は、発熱抵抗体の保護および、脈動、逆流による計測誤差の低減のために、図10に示すような発熱抵抗体30、および測温用抵抗体31をバイパス通路51内に配置するタイプの流量センサにも適用することができる。EGRガスの流量を計測する場合、バイパス通路の入り口52が排気管側に向くように配置される。ここで、バイパス通路の出口53は、EGRガスの流れ方向に対し鉛直方向に開口する。これは、順流をバイパス通路に導入し、逆流をバイパス通路に侵入しにくくして、逆流による計測誤差を低減するためである。
【0062】
このような構成では、図11に示すように逆流の発生する期間で、バイパス通路51に流入する逆流が少なくなる(減衰する)ため、バイパス通路51内で計測される流量検出値(極性は逆)が、メイン通路(EGR通路)の流量に対し減少する。これにより、特許文献2で開示されるような逆流と判定した期間の流量検出値を反転して補正する方式では、逆流量を算出することが困難となる。
【0063】
順流時のバイパス通路の流速微分値dU/dt(∝流量の微分値)と通路流速U(∝流量)の関係は下記の式(4)で示される。
【0064】
【数2】
【0065】
前述した発熱抵抗体30がEGR通路11に配置されるタイプの流量センサと同様に、順流から逆流に転ずる直前(U≒0)の流量微分値DQ1は、逆流方向への通路の差圧に比例する。バイパス通路51を有する流量センサにおいても同様に逆流量は逆流方向へのバイパス通路の差圧と相関がある。
【0066】
ここで、順流から逆流に転じる前後では、逆流方向への通路差圧はほぼ等しいとみなすことができ、上記バイパスにより順流から逆流に転じた直後の流量検出値が減衰しても、順流から逆流に転ずる直前の通路差圧を流量微分値の立ち上り速度で検出することができるので、本発明のガス流量計測装置の補正方式を適用することが可能である。
【0067】
流量補正値Qecを算出する手順は、前述した発熱抵抗体30がEGR通路11に配置されるタイプの流量センサでの処理と同様である。
【0068】
本発明の内燃機関のガス流量計測装置によれば、ガス流量センサにより検出したガスの流量検出値を微分して流量微分値を算出し、その流量微分値に応じた補正量で流量検出値を補正するので、乱流やノイズによる一時的な流量変動の影響を軽減させることができる。したがって、流量検出値の変動があった場合でも補正の誤動作がなく、逆流量に応じた適切な補正を行うことができ、流量計測精度を向上させることができる。
【0069】
本発明の内燃機関のガス流量計測装置によれば、流量微分値に対してフィルタ処理を行い、流量微分値のなまし値を算出し、その流量微分値のなまし値に応じた補正量で流量検出値を補正するので、流量変動の影響をさらに低減できる。
【0070】
本発明の内燃機関のガス流量計測装置によれば、流量微分値のなまし値を積分することによって、前記流量検出値を補正した流量補正値を算出するので、流量変動の影響をさらに低減できる。したがって、乱流やノイズによる流量計測値の変動があっても、逆流の影響を適切に補正可能として流量計測精度を向上できる。したがって、ガス流量を高精度に計測でき、内燃機関の排気ガス性能、燃費性能を向上することができる。
【0071】
なお、本発明は、上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上述の実施例では、EGRガスの流量を計測する流量センサについて記載したが、EGR通路以外の排気管を流れる排気ガスの流量を計測する流量センサにも適用可能である。また、吸入空気量を計測するエアフローセンサに適用しても良い。
【0072】
また、上述の実施例では、流量微分値のなまし値を積分して流量補正値を算出する場合を例に説明したが、流量微分値をそのまま積分して流量補正値を算出してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明のガス流量計測装置は、各種の内燃機関に適用でき、自動車だけでなく船舶用エンジンや建設機用エンジン、半固定発電機用エンジンにも適用可能である。
【符号の説明】
【0074】
11 EGR通路
13 排気流量センサ(ガス流量センサ)
17 流量計測ユニット
18 エンジンコントロールユニット
30 発熱抵抗体
42 微分器
43 低域通過フィルタ
44 積分器
51 バイパス通路
Qes 流量検出値
Qec 流量補正値
DQ 流量微分値
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排気ガスの流量、および吸入空気、その他ガスの流量を計測するガス流量計測装置に関し、特に、ガス流量の脈動により逆流が発生したときの流量計測誤差を低減する補正手段を有するガス流量計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジン等の内燃機関では、排気ガス中のNOx等の低減のため一般に排気ガスの再循環(EGR)を実施している。近年では排気ガス中のNOxやPM(煤)を十分に低減するためにEGRガスの流量、および吸入空気の流量を高精度に制御することが要求されている。
【0003】
また、近年ではガソリンエンジンの燃費向上のためEGRを採用しており、燃費性能と燃焼安定性の両立の要求からEGR流量の制御精度の向上が必要となっている。
【0004】
このような背景からEGR通路にEGRガスの流量を直接計測するセンサ(排気流量センサ)を配置し、EGRガスの流量を検出して、排気ガスの低減に適した流量となるようEGR弁を制御するEGR制御装置が特許文献1等で提案されている。
【0005】
ここで、EGR通路は排気通路と吸気通路とを接続したガス流路であり、当該EGR通路の排気ガスは、排気圧力とインテークマニホールド内圧力(吸気圧力)との差圧に応じて排気側から吸気側へ流れるので、実際にEGR通路を流れる排気ガスの流量(EGR流量)は、排気圧力変動と吸気圧力変動の影響を受けて変動(脈動)する。
【0006】
このため、排気圧力変動と吸気圧力変動が大きくなる運転状態では、脈動により吸気圧力が排気圧力より高くなりEGRガスが排気側に逆流する場合がある。
【0007】
上記文献等にあるような排気流量センサは、発熱抵抗体(熱線)で構成され、ガス流れによる発熱抵抗体の放熱量を検出することにより、ガスの流量を計測している。
【0008】
熱線式の流量センサは、一般にガスの流れ方向を判別できないため、脈動により排気ガスの逆流が生じると、これを順流として検出するので排気ガスの流量を実際の流量に対し多く検出してしまい流量検出精度が著しく低下する。
【0009】
空気流量を計測する流量センサでは、シリコン等の薄膜で形成される発熱抵抗体とその上下流に近接して配置される感温抵抗体を有する構成等により発熱抵抗体周囲の温度分布を高応答に検出して空気の流れ方向を判別するものも実用化されているが、排気ガスの流量を計測する場合には耐熱性の課題から薄膜式センサを適用することが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−214275号公報
【特許文献2】特開2008−2833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述のように、排気ガスの流量計測には、特許文献1等で熱線式の流量センサを適用するものが提案されているが、脈動による逆流に対しては、応答性が不足し、ガスの流れ方向を検知することができない。したがって、前述のように排気ガスの逆流が生じたときは流量の計測誤差が発生して排気性能が低下してしまうという問題があった。
【0012】
これに対し、熱線式流量センサの逆流を信号処理により検知して補正する方式が特許文献2に開示されている。本文献では、逆流発生時に流量計測値の2階微分値がピークを生じることから、流量計測値の2階微分値が上昇してから、再度2階微分値が上昇するまでの期間を逆流期間として判別し、該逆流期間の流量計測値の極性を反転して計測流量を補正するようにしている。
【0013】
しかしながら、上記特許文献2の技術では、熱線式流量センサの発熱抵抗体周囲の乱流やノイズにより流量計測値が変動すると、流量計測値の2階微分値が変動して逆流期間を誤判定する場合があった。逆流期間を誤判定した場合は、その間の流量計測値の極性を反転するので流量計測誤差が大きくなる。
【0014】
本発明のガス流量計測装置は、内燃機関の排気ガスの流量、および吸入空気、その他ガスの流量を計測するガス流量計測装置に関し、発熱抵抗体で構成される流量センサを備えたガス流量計測装置において、発熱抵抗体周囲の乱流やノイズによる流量計測値の変動があっても、脈動時の逆流による流量計測誤差を低減可能として流量計測精度を向上すること、これによりエンジンの排気ガス性能、燃費性能を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決する本発明の内燃機関のガス流量計測装置は、発熱抵抗体の放熱量に基づいてガスの流量を検出するガス流量センサを備えた内燃機関のガス流量計測装置において、ガス流量センサにより検出したガスの流量検出値を微分して流量微分値を算出し、流量微分値に応じた補正量で流量検出値を補正することを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明の内燃機関のガス流量計測装置によれば、ガス流量センサにより検出したガスの流量検出値を微分して流量微分値を算出し、流量微分値に応じた補正量で流量検出値を補正するので、乱流やノイズによる一時的な流量変動の影響を軽減させることができる。したがって、流量検出値の変動があった場合でも補正の誤動作がなく、逆流量に応じた適切な補正を行うことができ、流量計測精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明のガス流量計測装置が適用されるエンジンの構成を示す全体図。
【図2】本発明のガス流量計測装置のガス流量センサの構成例1と装着状態を示す図。
【図3】従来技術と課題の説明図。
【図4】本発明のガス流量計測装置の構成図。
【図5】本発明のガス流量計測装置の流量補正方式のブロック図。
【図6】本発明のガス流量計測装置の流量補正方式の処理手順を示す図。
【図7】本発明の流量補正方式の逆流時の動作を示す図。
【図8】本発明の流量補正方式の順流時の動作を示す図。
【図9】本発明の流量補正方式による流量計測誤差を示す図。
【図10】本発明のガス流量計測装置のガス流量センサの構成例2を示す斜視図。
【図11】ガス流量センサの構成例2による流量検出特性を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[実施例1]
本発明のガス流量計測装置が適用されるディーゼルエンジンの例を図1に示す。ここで本発明のEGR制御装置が適用されるエンジンは、ディーゼルエンジンに限定されるものではなく、EGRを導入するガソリンエンジンにも適用可能である。
【0019】
エンジン1が吸入する空気は、エアクリーナ(図示省略)より取り込まれ、ターボチャージャ4のコンプレッサ4Aによって過給される。エンジン1の吸入空気量は、吸気管2に設けられる吸入空気量センサ3によって計測される。
【0020】
インタークーラ5は、ターボチャージャ4のコンプレッサ4Aによって過給された空気を冷却する。インタークーラ5によって冷却された空気は、インテークマニホールド8によって各気筒毎に分配され、燃焼室19内に吸入される。吸入空気量はスロットル弁6により制御される。また、必要に応じて吸気管に吸気管圧力センサ7が設けられる。
【0021】
エンジン1には燃焼室19内に燃料を噴射する燃料噴射弁9が取り付けられている。燃料噴射弁9により燃焼室19に噴射された燃料は吸入空気との混合気を生成し、燃焼室19内で燃焼する。
【0022】
燃焼室19より排出する既燃焼ガス(排気ガス)は排気管10へ排出され、ターボチャージャ4のタービン4Bを駆動する。
【0023】
排気管10の途中には、EGR取入口15が形成されている。排気管10を流れる排気ガスの一部(EGRガス)は、EGR取入口15よりEGR管11を通ってEGRクーラ14、EGR制御弁(EGR弁)12へ流れ、EGR取出口16を経てインテークマニホールド8内に還流する。
【0024】
EGR弁12は、EGRガス流量を調節する。EGR管11内には、EGRガス流量を計測するための排気流量センサ13(ガス流量センサ)が取り付けられている。排気流量センサ13の流量検出信号(電圧)は、流量計測ユニット17に入力される。流量計測ユニット17は、該流量検出信号に対して所定の信号処理を実施することで、排気ガスの質量流量に変換し、エンジンコントロールユニット(ECU)18に出力する。
【0025】
図2に排気流量センサ13の構成例と取り付け状態を示す。排気流量センサ13は、図2の断面図に示すように、EGR通路11内に配置される発熱抵抗体30の放熱量を検出することによりガス流量を計測する。図2に示す符号31は、ガス温度による流量計測値への影響を補正するための測温抵抗体であり、符号32は、抵抗体の支持部である。
【0026】
EGR通路11は、排気通路と吸気通路とを接続したガス流路であり、当該EGR通路11内の排気ガスは、排気圧力とインテークマニホールド内圧力(吸気圧力)との差圧に応じて排気側から吸気側へ流れるので、実際にEGR通路11を流れる排気ガスの流量(EGR流量)は、排気圧力変動と吸気圧力変動の影響を受けて変動(脈動)する。したがって、排気圧力変動と吸気圧力変動が大きくなる運転状態では、脈動により吸気圧力が排気圧力より高くなり、排気(EGR)ガスが排気側に逆流する場合がある。
【0027】
ここで、図2に示す側面図において、排気流量センサ13に対し、排気ガスの排気側から吸気側への流れを順流とし、吸気側から排気側への流れを逆流とする。排気流量センサ13は、ガス流れによる発熱抵抗体(熱線)30の放熱量を検出することにより、ガスの流量を計測している。
【0028】
熱線式流量センサは、一般にガスの流れ方向を判別できないため、脈動により排気ガスの逆流が生じると、これを順流として検出してしまい排気ガスの流量を実際の流量に対し多く検出する。これにより、逆流発生時は流量計測誤差が大きくなる。
【0029】
このような問題に対して、熱線式流量センサの逆流を信号処理により判定して逆流による流量検出値を補正する方式が特許文献2等で開示されている。以下、従来技術における流量センサの補正方式とその課題について、図3により説明する。
【0030】
熱線式流量センサでは、排気ガスの脈動により、逆流が生じると図3(a)に示すように逆流が発生する逆流期間で、一点鎖線で示される逆流を、順流として検出する。排気ガスの流れが順流から逆流に転じたとき、および逆流から順流に転じたときは、図3(b)の実線に示すように、流量検出値の微分値が急変し、このとき、図3(c)の実線に示すように、流量検出値の2階微分値のピークを生じる。
【0031】
したがって、特許文献2では、流量検出値の2階微分値が所定の閾値を超えてから、再度2階微分値が閾値を超えるまでの期間Trを逆流期間と判定して、図3(d)に示すように該逆流期間の流量検出値の極性を反転して流量検出値を補正するようにしている。
【0032】
ここで、実際の熱線式流量センサでは、一般に発熱抵抗体周囲の乱流や電気的ノイズにより、順流時においても、図3(a)の破線で示されるように、流量検出値が変動する。このとき、図3(b)の破線で示される流量検出値の微分値が変動し、図3(c)の破線で示す流量検出値の2階微分値が大きく変動する。したがって、2階微分値が閾値を超え、順流時においても逆流期間と誤判定する場合があった。
【0033】
順流時において逆流期間を誤判定した場合は、流量計測値の極性を反転して補正するので流量計測誤差が非常に大きくなる。乱流やノイズによる流量検出値の変動が生じたときに、逆流期間を厳密に判定することは困難である。
【0034】
本発明のガス流量計測装置は、発熱抵抗体で構成される流量センサを備えたガス流量計測装置において、乱流やノイズにより流量検出値が変動した場合でも、逆流による計測誤差を低減可能とし、排気ガス性能を向上するものである。
【0035】
以下、本発明のガス流量計測装置について説明する。 図4は、本発明のガス流量計測装置の構成を示す図である。本発明のガス流量計測装置は、前述した排気流量センサ13、および流量計測ユニット17より構成される。流量計測ユニット17は、流量センサ信号(電圧)を取り込む入力回路21、演算器であるCPU22、CPU22のプログラム処理内容が記憶されるROM(読み出し用メモリ)23、演算されたデータを格納するRAM(書き込み用メモリ)24、および演算された流量補正値を出力する出力回路25を有している。流量計測ユニット17には、測温抵抗体31の信号も入力されるが、温度による流量の補正については、その説明を省略する。
【0036】
図5は、流量計測ユニット17のプログラム処理(信号処理)のブロック図である。流量計測ユニット17は、排気流量センサの流量検出信号(電圧)をCPU22に取り込むためのA/D変喚器40と、流量補正値の計算を実施する条件であるかを判定する補正値計算実施判定部41と、流量検出信号のA/D変換値を微分演算する微分器42と、低域通過フィルタ43と、積分器44で構成される。
【0037】
流量計測ユニット17のプログラム処理の詳細について図6により説明する。ステップS100で、排気流量センサ13の信号(流量検出値Qes)を所定周期tsごとに取り込む。所定周期tsは、サンプリング定理よりセンサ信号の最高周波数の2倍以上のサンプリング周波数fsに対応して、(ts <1/fs)の関係となるように設定される。
【0038】
排気流量センサ13は、流量の検出に一定の応答遅れがあるため、流量検出値Qesに対し、進みフィルタによりセンサの応答遅れを補正した値について、以後の演算処理を実施するようにしても良い。
【0039】
ステップS110で、流量補正値の計算を実施する条件であるかを判定する(補正値計算実施判定部41)。逆流による流量検出値の誤差は、脈動の低流量側で発生することから、流量検出値Qesが所定の閾値SL1より小さくなったときから、流量検出値Qesが所定の閾値SL2より大きくなるまでの期間などを補正値の計算期間とする。
【0040】
閾値SL1、SL2は、流量が平均流量に対して相対的に小さい期間を判定するため、流量検出値Qesの加重平均値に所定の係数(SL1=0.8, SL2=0.9など)をかけた値などとする。
【0041】
ステップS110で流量補正値の計算を実施する条件でないと判定されたときは(No)、ステップS120〜ステップS140の補正量の計算を実施せず、ステップS150に移行し、ステップS150で補正なし(流量補正値Qec= Qes)とする。これにより、順流を誤って補正することを防止する。
【0042】
ステップS110で流量補正値の計算を実施する条件と判定されたときは(Yes)、ステップS120に移行して、流量検出値Qesの微分値を計算する処理を行う。ここで、一次元での流速微分値dU/dt(∝流量の微分値)と通路流速U(∝流量)の関係は、下記の式(1)で示される。
【0043】
【数1】
【0044】
式(1)で、Uはガス流速、ΔPは通路差圧(単位長あたり)、Lは通路長さ、ρはガス密度、Cmは、管摩擦係数(単位長あたり)を示す。式(1)の右辺第1項は、通路差圧に比例する項であり、第2項は、通路の圧損に対応する項である。
【0045】
逆流時における流量検出値Qesの微分値の変化について、図7により説明する。ここでは流量センサの応答遅れを考慮しないものとする。図7(b)に示すように、順流から逆流に転ずる直前(t1直前)の流量検出値Qesの微分値DQ1について、式(1)で流速U=0とおくことができるので、微分値DQ1は通路の差圧ΔPに比例する。このときの通路差圧ΔP1は負値であり、逆流方向への差圧となる。次に、順流から逆流に反転した直後(t1直後)の流量検出値Qesの微分値DQ2は、流量センサが逆流を順流として検出するので、微分値DQ1と絶対値が等しく極性が逆となる(DQ2=-DQ1)。したがって、流量センサの応答遅れを無視すると、順流から逆流に転じたときは流量検出値Qesの微分値が不連続に変化し、このときの流量検出値Qesの変化量(DQ2-DQ1)は逆流方向への差圧ΔP1に比例する。
【0046】
実際の流量センサは応答遅れがあるため、流量センサの応答を一次遅れで近似すると、順流から逆流に転じた直後の流量検出値Qesの微分値の立ち上り速度(矢印の傾き)は、変化量(DQ2-DQ1)に比例する。よって、流量検出値Qesの微分値の立ち上り速度は、逆流方向への差圧ΔP1に比例する。
【0047】
発明者らの鋭意研究の結果、脈動により順流から逆流に転じたときの逆流方向への通路差圧は、逆流量と高い相関を持つことがわかった。また、前述のように逆流方向への通路差圧は流量検出値Qesの微分値の立ち上り速度に比例することから、流量検出値Qesの微分値の立ち上り速度と逆流量とは相関を持つと考えられる。このことから、本発明のガス流量計測装置では、流量検出値Qesの微分値の立ち上り速度と相関のあるパラメータにより流量検出値Qesを補正するように構成した。
【0048】
ここで、流量検出値Qesの微分値の立ち上り速度は、前述した特許文献2における流量検出値の2階微分とほぼ同様の物理的意味を持つが、前述したように特許文献2では、流量検出値の2階微分値を所定の閾値と比較することにより逆流期間を判定しているので、乱流やノイズによる流量検出値の変動があった場合に、2階微分値が変動し、逆流期間を正しく判定することが困難であった。そして、逆流期間を誤判定したときは、順流を逆流として補正してしまうので、流量補正値に大きな誤差を生じてしまう。
【0049】
これに対し、本発明のガス流量計測装置では、流量の微分値の単発的な変化により逆流期間を判定して補正するのではなく、流量の微分値により連続的に補正量の算出を行なうので(流量微分値に応じた補正量で流量検出値を補正するので)、乱流やノイズによる一時的な流量変動の影響が軽減されること、および流量の変動分の影響を軽減する処理により流量検出値の変動があっても逆流による誤差を低減できる。
【0050】
以下、本発明のガス流量計測装置における流量補正方式について詳細に説明する。
図6のステップS130では、流量検出値Qesの微分値(流量微分値)に低域通過フィルタをかけてなまし値を算出する。低域通過フィルタは、流量検出値Qesのサンプリング周期ごとに、以下の式(2)に示す加重平均等を用いて流量微分値のなまし値を算出する。
【0051】
DQF[n]=KLP×(DQ[n]−DQF[n−1])+DQF[n−1] …(2)
上記の式(2)で、DQ[n]は流量微分値、DQF[n]は今回のフィルタ計算値、DQF[n−1]は前回のフィルタ計算値、KLPはフィルタ係数を示す。
【0052】
次に、ステップS140では、流量検出値Qesのサンプリング周期ごとに、低域通過フィルタ後の流量微分値である、流量微分値のなまし値DQFを積分して、流量補正値Qecを算出する。ここで、流量微分値のなまし値DQFの積分は、ステップS110で流量補正値Qecの計算を実施する条件となる直前の流量検出値Qesを初期値とし、流量補正値Qecの計算を実施する条件となってから流量補正値Qecの計算を実施する条件が不成立となるまで、下記の式(3)により、流量微分値のなまし値DQFの積分を実施する。
【0053】
Qec[n]= Qec[n−1]+DQF[n] …(3)
上記の式(3)で、DQF[n]はフィルタ計算値、Qec[n]は流量補正値、Qec[n−1]は前回の流量補正値である。
【0054】
そして、ステップS160では、流量補正値Qecを電圧信号等に変換して出力する。
【0055】
図7(c)に低域通過フィルタ後の流量微分値(なまし値)を示す。図7(c)の点線は、フィルタ処理を行なう前の流量微分値である。低域通過フィルタは、その周波数特性から流量微分値の立ち上り速度に応じて流量微分値の立ち上り速度を補正することができる。すなわち、流量微分値の立ち上り速度が大きくなるにしたがって、流量微分値の減少方向への補正量が大きくなる。これにより、図7(d)に示すように、低域通過フィルタ後の流量微分値を積分して得られる流量補正値Qecは、流量微分値の立ち上り速度が大きくなるにしたがって流量減少方向に補正される。
【0056】
本流量補正方式は、乱流やノイズによる流量検出値の変動の影響を軽減し、順流時に流量検出値を誤って補正することを防止できることが特長である。
【0057】
図8に順流時における本流量補正方式の動作を示す。流量検出値Qesが図8(a)の破線のように変動する場合、流量微分値が図8(b)の破線のように変動する。ここで、乱流やノイズによる流量検出値の変動は一般に高周波であるので、図8(c)の破線で示す流量微分値に低域通過フィルタ処理を行なったものでは、フィルタにより流量微分値の変動が低減される。加えて、図8(d)に示すように、流量補正値Qecは、フィルタ後の流量微分値を積分して算出することから、積分処理により流量微分値の変動の影響がさらに低減される。
【0058】
すなわち、本流量補正方式では、流量の微分値より連続的に補正量の算出を行なうことによって乱流やノイズによる一時的な流量変動の影響が軽減されることに加えて、流量微分値の低域フィルタ処理および積分処理を実施するので、流量変動の影響をさらに低減できる。これにより、乱流やノイズによる補正の誤動作がなく、逆流量に応じた適切な補正を行なうことができる。
【0059】
本流量補正方式により補正を実施したときの流量計測誤差の特性を図9に示す。ここで、平均流量は一定の条件で脈動の振幅を変化させたときの誤差特性を示す。脈動の大きさ(脈動振幅比)は、図9(a)に示すように、実際の流量の最大値と最小値の差Qppと、実際の流量の平均値Qaveとの比率で定義しており(Qpp/Qave)、図9(b)に示すように、脈動振幅比が200%を超えると逆流を生じる。
【0060】
図9(b)に点線で示すように、逆流に対する補正を実施しないときの流量計測誤差特性は、逆流域(脈動振幅比200%以上)で流量増加方向に大きな誤差を生じている。これに対して、図9(b)に実線で示すように、補正を実施したときの流量計測誤差特性は、逆流域での誤差を大幅に低減することができる。
【0061】
本流量補正方式は、発熱抵抗体の保護および、脈動、逆流による計測誤差の低減のために、図10に示すような発熱抵抗体30、および測温用抵抗体31をバイパス通路51内に配置するタイプの流量センサにも適用することができる。EGRガスの流量を計測する場合、バイパス通路の入り口52が排気管側に向くように配置される。ここで、バイパス通路の出口53は、EGRガスの流れ方向に対し鉛直方向に開口する。これは、順流をバイパス通路に導入し、逆流をバイパス通路に侵入しにくくして、逆流による計測誤差を低減するためである。
【0062】
このような構成では、図11に示すように逆流の発生する期間で、バイパス通路51に流入する逆流が少なくなる(減衰する)ため、バイパス通路51内で計測される流量検出値(極性は逆)が、メイン通路(EGR通路)の流量に対し減少する。これにより、特許文献2で開示されるような逆流と判定した期間の流量検出値を反転して補正する方式では、逆流量を算出することが困難となる。
【0063】
順流時のバイパス通路の流速微分値dU/dt(∝流量の微分値)と通路流速U(∝流量)の関係は下記の式(4)で示される。
【0064】
【数2】
【0065】
前述した発熱抵抗体30がEGR通路11に配置されるタイプの流量センサと同様に、順流から逆流に転ずる直前(U≒0)の流量微分値DQ1は、逆流方向への通路の差圧に比例する。バイパス通路51を有する流量センサにおいても同様に逆流量は逆流方向へのバイパス通路の差圧と相関がある。
【0066】
ここで、順流から逆流に転じる前後では、逆流方向への通路差圧はほぼ等しいとみなすことができ、上記バイパスにより順流から逆流に転じた直後の流量検出値が減衰しても、順流から逆流に転ずる直前の通路差圧を流量微分値の立ち上り速度で検出することができるので、本発明のガス流量計測装置の補正方式を適用することが可能である。
【0067】
流量補正値Qecを算出する手順は、前述した発熱抵抗体30がEGR通路11に配置されるタイプの流量センサでの処理と同様である。
【0068】
本発明の内燃機関のガス流量計測装置によれば、ガス流量センサにより検出したガスの流量検出値を微分して流量微分値を算出し、その流量微分値に応じた補正量で流量検出値を補正するので、乱流やノイズによる一時的な流量変動の影響を軽減させることができる。したがって、流量検出値の変動があった場合でも補正の誤動作がなく、逆流量に応じた適切な補正を行うことができ、流量計測精度を向上させることができる。
【0069】
本発明の内燃機関のガス流量計測装置によれば、流量微分値に対してフィルタ処理を行い、流量微分値のなまし値を算出し、その流量微分値のなまし値に応じた補正量で流量検出値を補正するので、流量変動の影響をさらに低減できる。
【0070】
本発明の内燃機関のガス流量計測装置によれば、流量微分値のなまし値を積分することによって、前記流量検出値を補正した流量補正値を算出するので、流量変動の影響をさらに低減できる。したがって、乱流やノイズによる流量計測値の変動があっても、逆流の影響を適切に補正可能として流量計測精度を向上できる。したがって、ガス流量を高精度に計測でき、内燃機関の排気ガス性能、燃費性能を向上することができる。
【0071】
なお、本発明は、上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上述の実施例では、EGRガスの流量を計測する流量センサについて記載したが、EGR通路以外の排気管を流れる排気ガスの流量を計測する流量センサにも適用可能である。また、吸入空気量を計測するエアフローセンサに適用しても良い。
【0072】
また、上述の実施例では、流量微分値のなまし値を積分して流量補正値を算出する場合を例に説明したが、流量微分値をそのまま積分して流量補正値を算出してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明のガス流量計測装置は、各種の内燃機関に適用でき、自動車だけでなく船舶用エンジンや建設機用エンジン、半固定発電機用エンジンにも適用可能である。
【符号の説明】
【0074】
11 EGR通路
13 排気流量センサ(ガス流量センサ)
17 流量計測ユニット
18 エンジンコントロールユニット
30 発熱抵抗体
42 微分器
43 低域通過フィルタ
44 積分器
51 バイパス通路
Qes 流量検出値
Qec 流量補正値
DQ 流量微分値
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱抵抗体の放熱量に基づいてガスの流量を検出するガス流量センサを備えた内燃機関のガス流量計測装置において、
前記ガス流量センサにより検出したガスの流量検出値を微分して流量微分値を算出し、該流量微分値に応じた補正量で前記流量検出値を補正する流量算出手段を有することを特徴とする内燃機関のガス流量計測装置。
【請求項2】
前記流量算出手段は、前記ガスの順流から逆流への反転による前記流量微分値の立ち上り時に、前記流量微分値に応じた補正量で前記流量検出値を減少方向に補正することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のガス流量計測装置。
【請求項3】
前記流量算出手段は、前記流量微分値の立ち上り速度が大きいほど、前記流量検出値を減少方向に補正する補正量を大きくすることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関のガス流量計測装置。
【請求項4】
前記流量算出手段は、前記流量微分値に対してフィルタ処理を行い、流量微分値のなまし値を算出し、該流量微分値のなまし値に応じた補正量で前記流量検出値を補正することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のガス流量計測装置。
【請求項5】
前記流量算出手段は、前記流量微分値のなまし値を積分することによって、前記流量検出値を補正した流量補正値を算出することを特徴とする請求項4に記載の内燃機関のガス流量計測装置。
【請求項6】
前記流量算出手段は、前記流量検出値が該流量検出値の平均値に対して小さいときに、前記流量検出値を補正することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の内燃機関のガス流量計測装置。
【請求項7】
前記ガス流量センサは、前記発熱抵抗体を配置するバイパス通路を有することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の内燃機関のガス流量計測装置。
【請求項8】
前記ガス流量センサは、内燃機関のEGRガス、排気ガス、吸入空気の少なくとも一つのガスの流量を検出することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の内燃機関のガス流量計測装置。
【請求項1】
発熱抵抗体の放熱量に基づいてガスの流量を検出するガス流量センサを備えた内燃機関のガス流量計測装置において、
前記ガス流量センサにより検出したガスの流量検出値を微分して流量微分値を算出し、該流量微分値に応じた補正量で前記流量検出値を補正する流量算出手段を有することを特徴とする内燃機関のガス流量計測装置。
【請求項2】
前記流量算出手段は、前記ガスの順流から逆流への反転による前記流量微分値の立ち上り時に、前記流量微分値に応じた補正量で前記流量検出値を減少方向に補正することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のガス流量計測装置。
【請求項3】
前記流量算出手段は、前記流量微分値の立ち上り速度が大きいほど、前記流量検出値を減少方向に補正する補正量を大きくすることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関のガス流量計測装置。
【請求項4】
前記流量算出手段は、前記流量微分値に対してフィルタ処理を行い、流量微分値のなまし値を算出し、該流量微分値のなまし値に応じた補正量で前記流量検出値を補正することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のガス流量計測装置。
【請求項5】
前記流量算出手段は、前記流量微分値のなまし値を積分することによって、前記流量検出値を補正した流量補正値を算出することを特徴とする請求項4に記載の内燃機関のガス流量計測装置。
【請求項6】
前記流量算出手段は、前記流量検出値が該流量検出値の平均値に対して小さいときに、前記流量検出値を補正することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の内燃機関のガス流量計測装置。
【請求項7】
前記ガス流量センサは、前記発熱抵抗体を配置するバイパス通路を有することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の内燃機関のガス流量計測装置。
【請求項8】
前記ガス流量センサは、内燃機関のEGRガス、排気ガス、吸入空気の少なくとも一つのガスの流量を検出することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の内燃機関のガス流量計測装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−106925(P2011−106925A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−261163(P2009−261163)
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】
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