説明

内燃機関の制御装置

【課題】内燃機関の冷間始動時におけるテールパイプエミッションを低減できる内燃機関の制御装置を提供すること。
【解決手段】エンジン3の吸気系40を介してエンジン3の燃焼室35に吸入される吸気の流量QGを制御するスロットル弁47と、エンジン3に燃料を供給するポート燃料噴射弁45と、吸気系40にオゾンを供給するオゾン供給部48と、を備えたエンジン3の制御装置1において、吸気系40を介してエンジン3の燃焼室35に導入されるオゾン量を検出または推定するオゾン導入量取得部と、前記検出または推定されたオゾン導入量QO3に基づいて吸気量QG及び燃料噴射量QINJを制御することにより、燃焼室35内の混合気の空燃比AFSTを制御する空燃比制御部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の制御装置に関する。詳しくは、内燃機関の吸気系にオゾンを供給するオゾン供給手段を備えた内燃機関の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の内燃機関の排気浄化システムでは、排気浄化触媒の浄化効率の向上によって、排気浄化触媒の暖機後におけるテールパイプエミッションは極めて少ないと言われている。ところが、内燃機関の冷間始動時におけるテールパイプエミッションが問題視されており、その低減が望まれている。ここで、テールパイプエミッションを低減するためには、燃焼室内の燃焼状態を改善して有害物質の発生を抑制するとともに、発生した有害物質を排気浄化触媒により効率良く浄化することが重要である。
【0003】
しかしながら、冷間始動時には、内燃機関の回転数が変動して安定した燃焼状態を確保するのが困難であるため、通常、燃焼室内の空燃比のリッチ化が行われている。このため、空燃比のリッチ化によって有害物質が多量に発生する結果、テールパイプエミッションを低減するのが困難であった。
【0004】
また、冷間始動時には、不安定な燃焼によって燃焼室内の温度が低いため、排気系に設けられた排気浄化触媒の温度が活性化温度まで到達しない。このため、排気浄化触媒が活性化されずに十分な浄化効果が得られない結果、テールパイプエミッションを低減するのが困難であった。
【0005】
テールパイプエミッションの低減に関して、排気浄化触媒の温度に応じて、点火時期の遅角量を制御するとともに、吸気中に供給するオゾン量を制御する技術が開示されている(特許文献1参照)。また、内燃機関の運転状態に応じて、放電装置により活性化される燃焼室内の混合気の量及び分布を制御する技術が開示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−2332号公報
【特許文献2】特開2007−309160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の技術は、点火時期の遅角と吸気中へのオゾンの供給によって、混合気の燃焼を継続させて排気浄化触媒を早期に活性化する技術であり、冷間始動時の燃焼状態を改善するものではない。従って、冷間始動時において、有害物質の発生を十分に抑制できてはおらず、テールパイプエミッションを十分に低減できているとは言えない。
【0008】
また、特許文献2の技術では、活性化される混合気の量及び分布を内燃機関の運転状態に応じて瞬時に制御するとされているが、実際にはこれは困難である。放電装置により発生する活性物質の量は、混合気の状態(温度や湿度等)により変化してしまうからである。また、特許文献2の技術では、燃焼室内への直接放電方式を採用していることから、十分な放電時間が得られないため、内燃機関の運転状態及び混合気の状態に応じて十分な活性物質を添加するのは困難である。従って、冷間始動時において、テールパイプエミッションを十分に低減できているとは言えない。さらには、特許文献2の技術の適用対象は圧縮自己着火式の内燃機関に限定されており、火花点火式内燃機関への適用は困難である。
【0009】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、その目的は、内燃機関の冷間始動時におけるテールパイプエミッションを低減できる内燃機関の制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため本発明は、内燃機関(例えば、後述のエンジン3)の吸気系(例えば、後述の吸気系40)を介して当該機関の燃焼室(例えば、後述の燃焼室35)に吸入される吸気の流量(例えば、後述の吸気量QG)を制御する吸気量制御手段(例えば、後述のスロットル弁47)と、前記機関に燃料を供給する燃料供給手段(例えば、後述のポート燃料噴射弁45)と、前記吸気系にオゾンを供給するオゾン供給手段(例えば、後述のオゾン供給部48)と、を備えた内燃機関の制御装置(例えば、後述の制御装置1)を提供する。本発明に係る内燃機関の制御装置は、前記吸気系を介して前記機関の燃焼室に導入されるオゾン量を検出または推定するオゾン導入量取得手段(例えば、後述のECU2を構成するオゾン導入量取得部)と、前記検出または推定されたオゾン導入量(例えば、後述のオゾン導入量QO3)に基づいて前記吸気量及び燃料供給量(例えば、後述の燃料噴射量QINJ)を制御することにより、前記燃焼室内の混合気の空燃比(例えば、後述の空燃比AFST)を制御する空燃比制御手段(例えば、後述のECU2を構成する空燃比制御部)と、を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明では、吸気系にオゾンを供給するオゾン供給手段を備える内燃機関の制御装置において、吸気系を介して燃焼室に導入されるオゾン量を検出または推定し、当該検出または推定されたオゾン導入量に基づいて吸気量及び燃料供給量を制御することにより、燃焼室内の混合気の空燃比を制御する。
オゾンは強力な酸化力を有するため、吸気系を介してオゾンを燃焼室内に導入すると、オゾンと燃料との予反応が生じて燃料が活性化される。このため、燃料の着火性が向上し、安定した燃焼状態を確保できるようになる。そこで本発明では、例えば燃焼状態が不安定な冷間始動時にオゾンを供給するとともに、燃焼室に導入されるオゾン導入量に基づいて混合気の空燃比を制御することで、当該空燃比をリーンに制御でき、有害物質、特にHC及びCOの発生を抑制できる。また、安定した燃焼状態の確保によって燃焼室内の温度を早期に昇温できるため、排気系に設けられた排気浄化触媒を早期に活性化でき、始動直後から有害物質を効率良く浄化できる。従って、本発明によれば、冷間始動時におけるテールパイプエミッションを低減できる。さらには、本発明を火花点火式内燃機関に適用した場合には、排気浄化触媒の早期活性化のために通常行われている点火時期の遅角量を低減できるため、テールパイプエミッションを低減しつつ、燃費を改善できる。
【0012】
この場合、前記オゾン供給手段は、空気を導入してオゾンを発生させるオゾン発生器(例えば、後述のオゾン発生器481)と、交流電圧を印加して前記オゾン発生器を駆動させる駆動装置(例えば、後述の駆動装置483)と、を備え、前記オゾン導入量取得手段は、前記オゾン発生器に導入された空気の流量及び温度、前記交流電圧のデューティー比並びに電圧印加時間に基づいて、前記オゾン発生器で発生したオゾン発生量を算出し、当該算出されたオゾン発生量と、前記オゾン発生器から前記燃焼室までのオゾン導入経路(例えば、後述の吸気管4,吸気マニホールド,吸気ポート41)における温度、湿度及び経路長のうち少なくとも1つに基づいて、前記オゾン導入量を推定することが好ましい。
【0013】
この発明では、オゾン供給手段を構成するオゾン発生器に導入された空気の流量及び温度、オゾン発生器に印加する交流電圧のデューティー比並びに電圧印加時間に基づいて、オゾン発生量を算出する。
オゾン発生器における単位時間あたりのオゾン発生量は、オゾン発生器に導入される空気の流量及び温度と、オゾン発生器に印加する交流電圧のデューティー比とによって一義的に決定される。従って、この発明によれば、オゾン発生器に導入される空気の流量及び温度と、オゾン発生器に印加する交流電圧のデューティー比とに基づいて、単位時間あたりのオゾン発生量を正確に算出できる。また、算出された単位時間あたりのオゾン発生量に、電圧印加時間を乗じることにより、オゾン発生器で発生したオゾン発生量を正確に算出できる。
【0014】
また、この発明では、算出されたオゾン発生量と、オゾン発生器から燃焼室までの導入経路における温度、湿度及び経路長のうち少なくとも1つに基づいて、オゾン導入量を推定する。
オゾンは不安定な分子であり、高温多湿であるほど酸素に変化し易い特性がある。即ち、オゾン発生器で発生し、吸気系に供給されたオゾンは、燃焼室に導入されるまでの間に、オゾン発生器から燃焼室までの導入経路における温度、湿度及び経路長に応じて減少する。そこでこの発明によれば、上記で算出されたオゾン発生量と、オゾン発生器から燃焼室までの導入経路における温度、湿度及び経路長のうち少なくとも1つに基づいてオゾン導入量を推定することにより、燃焼室に導入されるオゾン導入量を精度良く推定できる。従って、この発明によれば、オゾン濃度計を設けることなく、上記発明の効果が奏される。
【0015】
この場合、運転者の始動意志の有無を判定する始動意志判定手段(例えば、後述のECU2を構成する始動意志判定部)と、運転者の始動意志が有ると判定されたことに応じて前記オゾン供給手段によりオゾンの供給を開始するオゾン供給制御手段(例えば、後述のECU2を構成するオゾン供給制御部)と、前記機関の回転数が所定値に達したときに前記機関が始動したと判定する始動判定手段(例えば、後述のECU2を構成する始動判定部)と、前記機関が始動したと判定されたことに応じて前記オゾン導入量取得手段により検出または推定されたオゾン導入量に基づいて、始動時における前記混合気の目標空燃比を設定する始動時目標空燃比設定手段(例えば、後述のECU2を構成する始動時目標空燃比設定部)と、をさらに備え、前記空燃比制御手段は、始動時における前記混合気の空燃比を前記設定された始動時目標空燃比(例えば、後述の始動時目標空燃比AFCMDST)と一致するように制御することが好ましい。
【0016】
この発明では、運転者の始動意志が有るときにオゾンの供給を開始する。そして、内燃機関の回転数が所定値に達し、内燃機関が始動したと判定されたときに検出または推定されたオゾン導入量に基づいて、始動時における混合気の目標空燃比を設定する。また、設定された始動時目標空燃比と一致するように、混合気の空燃比を制御する。
従来、内燃機関の冷間始動時には、有害物質が多量に発生しており、また発生した有害物質を効率良く浄化できていなかった。そこでこの発明によれば、冷間始動時に上記発明のオゾン導入量に基づいた空燃比制御が可能となるため、燃焼室内の燃焼状態を改善して有害物質の発生を抑制できるとともに、発生した有害物質を排気浄化触媒により効率良く浄化できる。
【0017】
この場合、前記始動時目標空燃比設定手段は、前記始動時目標空燃比を理論空燃比よりもリーン側に設定することが好ましい。
【0018】
この発明では、始動時目標空燃比を理論空燃比よりもリーン側に設定する。これにより、内燃機関の冷間始動時において、例えば燃料供給量を低減し、混合気の空燃比をリーン側に設定された始動時目標空燃比に一致させることで、混合気の空燃比をリーンに制御できる。従って、この発明によれば、上記発明の効果がより確実に奏される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、内燃機関の冷間始動時におけるテールパイプエミッションを低減できる内燃機関の制御装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る内燃機関の制御装置を適用した内燃機関の構成を示す図である。
【図2】上記実施形態に係る始動時目標空燃比の設定を行う処理のフローチャートである。
【図3】空気流量に応じた印加交流波のデューティー比と単位時間あたりのオゾン発生量との関係を示す図である。
【図4】外気温と単位時間あたりのオゾン発生量との関係を示す図である。
【図5】上記実施形態のテールパイプエミッション低減効果を説明するための図であり、(A)は、上記実施形態に係る制御装置を適用したエンジンと、従来のエンジンの始動時におけるテールパイプHC濃度を示す図であり、(B)は、それらの始動時におけるテールパイプCO濃度を示す図である。
【図6】上記実施形態に係る制御装置を適用したエンジンと、従来のエンジンの始動時におけるテールパイプHC濃度の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して詳しく説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る内燃機関の制御装置1を適用した内燃機関3の構成を示す図である。内燃機関(以下、「エンジン」という)3は、図示しない車両に搭載されたポート噴射型の火花点火式エンジンであり、例えば直列4気筒4サイクルエンジンである。
【0022】
エンジン3の各気筒30(1つのみ図示)のピストン31とシリンダヘッド33との間には、燃焼室35が形成されている。燃焼室35には、吸気管4及び排気管5が接続されている。吸気管4の吸気ポート41には、一対の吸気弁43,43(1つのみ図示)が設けられている。排気管5の排気ポート51には、一対の排気弁53,53(1つのみ図示)が設けられている。また、シリンダヘッド33には、点火プラグ37が燃焼室35に臨むように設けられている。
【0023】
吸気管4の吸気マニホールドには、ポート燃料噴射弁45が、気筒30毎に吸気ポート41に臨むように設けられている。ポート燃料噴射弁45は、図示しない燃料ポンプで昇圧された燃料を、吸気ポート41に噴射する。ポート燃料噴射弁45は、後述する電子制御ユニット(以下、「ECU」という)2に電気的に接続されており、その開弁時期及び開弁時間がECU2により制御される。
【0024】
吸気管4には、吸気系40(吸気管4、吸気マニホールド及び吸気ポート41)を介して燃焼室35に吸入される吸気の流量QGを制御するスロットル弁47が設けられている。ここで、スロットル弁47により流量制御される吸気には、酸素の少なくとも一部がオゾンに変換された空気が含まれる。スロットル弁47は、図示しないアクチュエータを介してECU2に電気的に接続されており、スロットル弁47はECU2によりその開度が制御される。
【0025】
また、吸気管4には、スロットル弁47の上流側に、オゾン発生器481が設けられている。オゾン発生器481は、外気から吸気管4内に吸入された空気を導入し、空気中の酸素を原料としてオゾンを発生させる。オゾン発生器481は、オゾン発生器481を駆動させる駆動装置483を介して、ECU2と電気的に接続されている。オゾン発生器481は、駆動装置483を介して、ECU2により駆動制御される。
【0026】
オゾン発生器481は、無声放電式のオゾン発生器であり、図示しない一対の電極を含んで構成される。吸気管4に吸入された空気は、オゾン発生器481の上流側に設けられたエアクリーナ49を通過した後、オゾン発生器481の電極間に導入される。このとき、電極間には、駆動装置483から交流電圧が印加される。これにより、電極間にコロナ放電が生じ、高エネルギ状態の電子が空気中の酸素に作用することで、下記式(1)に示すように酸素活性成分であるオゾンが発生する。より詳しくは、酸素分子に電子が衝突して酸素原子が生じ、この酸素原子が酸素分子と結合することで、オゾンが発生する。
[化1]

3O→2O ・・・(1)

【0027】
また、吸気管4には、スロットル弁47とオゾン発生器481との間に、エアフローメータ91が設けられている。エアフローメータ91は、吸気系40を介して燃焼室35に吸入される吸気の流量QGを検出する。エアフローメータ91は、後述するECU2に電気的に接続されており、その検出信号はECU2に送信される。
【0028】
排気管5の下流側には、三元触媒(以下、「TWC」という)53が設けられている。TWC53は、排気中に含まれるCO及びHCを酸化して浄化するとともに、排気中に含まれるNOxを還元して浄化する。TWC53としては、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、セリア及びゼオライトからなる群より選択される少なくとも1種の酸化物からなる担体に、PtやRh等の貴金属を担持させたものが好ましく用いられる。TWC53の調製方法については特に限定されず、従来公知のスラリー法等により調製される。具体的には、上記の酸化物や貴金属等を含むスラリーを調製後、調製したスラリーをコージェライト製ハニカム支持体にコートして焼成することにより調製される。
【0029】
ECU2は、各種センサからの入力信号波形を整形し、電圧レベルを所定のレベルに修正し、アナログ信号値をデジタル信号値に変換する等の機能を有する入力回路と、中央演算処理ユニット(以下「CPU」という)とを備える。この他、ECU2は、CPUで実行される各種演算プログラム及び演算結果等を記憶する記憶回路と、ポート燃料噴射弁45、スロットル弁47、駆動装置483等に制御信号を出力する出力回路と、を備える。
【0030】
また、ECU2には、イグニッションスイッチ93と、スタータスイッチ95と、クランク角度位置センサ97が電気的に接続されている。イグニッションスイッチ93は、運転者のエンジン3の始動意志を示すON/OFF信号をECU2に送信する。スタータスイッチ95は、エンジン3のスタータの作動状態を示すON/OFF信号をECU2に送信する。クランク角度位置センサ97は、エンジン3のクランク軸の回転角度を検出するとともに、クランク角1度毎にパルスを発生し、そのパルス信号をECU2に送信する。エンジン3の回転数NEは、このパルス信号に基づいてECU2により算出される。
【0031】
以上のようなハードウェア構成からなるECU2には、オゾン導入量取得部、空燃比制御部、始動意志判定部、オゾン供給制御部、エンジン始動判定部及び目標空燃比設定部の各モジュールが構成されている。これらのモジュールにより、始動時目標空燃比AFCMDSTの設定処理が実行され、設定された始動時目標空燃比AFCMDSTに応じた空燃比制御が実行される。
なお、本実施形態において、始動時にオゾンを供給したときの混合気の空燃比は、酸素の少なくとも一部がオゾンに変換された空気の質量(即ち、オゾンを含めた空気の質量)を燃料の質量で除した値を意味する。
【0032】
以下、ECUにより実行される始動時目標空燃比AFCMDSTの設定処理ついて説明する。
図2は、ECUにより実行される始動時目標空燃比AFCMDSTの設定を行う処理のフローチャートである。この設定処理では、エンジン3の冷間始動時に燃焼室に導入されるオゾン導入量QO3に基づいて、始動時目標空燃比AFCMDSTを設定する。
【0033】
ステップS1では、運転者の始動意志の有無を判別する。具体的には、運転者がイグニッションスイッチをONにしたときに始動意志有りと判別する。この判別がYESの場合には、ステップS2に移って、駆動装置によりオゾン発生器を起動させる。一方、この判別がNOの場合には、本処理を終了する。
【0034】
ステップS2では、駆動装置によりオゾン発生器を起動させて、吸気管へのオゾンの供給を開始する。このとき、オゾン発生器に印加する交流電圧(印加交流波)のデューティー比は、図3に示す空気流量[L/分]に応じた印加交流波のデューティー比[%]と単位時間あたりのオゾン発生量[g/時]との関係に基づいて設定される。図3に示すように、単位時間あたりのオゾン発生量は、オゾン発生器に導入する原料の空気の流量を大きくすると、それに比例して増加する一方で、印加交流波のデューティー比を大きくすると、単調増加ではなくあるピークをもって減少に転じる特性がある。また、このとき見られるピークの位置は、空気の温度を変化させても変動しない。従って本ステップでは、図3に示す関係を利用し、導入される空気流量に応じて、オゾン発生器に印加する交流電圧のデューティー比を単位時間あたりのオゾン発生量が最大となるように設定する。なお、本実施形態のオゾン発生器は吸気管内に設けられていることから、オゾン発生器に導入される空気の流量は、エアフローメータの検出信号に基づいてECUにより算出される。
【0035】
ステップS3では、単位時間あたりのオゾン発生量の積算を開始する。具体的には、先ず、ステップS2で設定したオゾン発生器に印加する交流電圧のデューティー比と、エアフローメータの検出信号に基づいて算出された空気流量[L/分]に基づいて、図3に示す関係から単位時間あたりのオゾン発生量基準値[g/時]を算出する。ここで、図3はある基準温度下でのものであり、単位時間あたりのオゾン発生量は、オゾン発生器に導入される空気の温度、即ち外気温が低いほど、増加する特性がある。図4は、外気温[℃]と単位時間あたりのオゾン発生量[g/時]との関係を示す図である。図4に示すように、単位時間あたりのオゾン発生量は、外気温が低いほど増加することが分かる。従って、この特性に基づいて、外気温に応じて単位時間あたりのオゾン発生量補正係数を算出し、算出された補正係数を、上記で算出された単位時間あたりのオゾン発生量基準値に乗じることで、単位時間あたりのオゾン発生量を算出する。本ステップでは、このようにして逐次算出される単位時間あたりのオゾン発生量の積算を開始する。積算は、オゾン発生器を停止するまで継続する。
【0036】
図2に戻って、ステップS4では、ステップS1で運転者の始動意志が有ると判別されたときから、所定時間が経過したか否かを判別する。この判別がNOの場合には、ステップS5に移って、エンジンが始動されたか否かを判別する。具体的には、スタータスイッチがONにされ、スタータによるクランキングによってエンジンの回転数が所定の回転数に達したか否かを判別する。この判別がYESの場合には、エンジンが始動したと判断し、ステップS6に移る。一方、この判別がNOの場合には、エンジンがまだ始動していないと判断し、ステップS4に戻る。また、ステップS4の判別がYESの場合には、運転者の始動意志が有ると判断されてから所定時間が経過したにもかかわらずエンジンが始動されていない状態であるため、オゾンの発生を停止させるべきと判断し、ステップS9に移ってオゾン発生器を停止させ、本処理を終了する。
【0037】
ステップS6では、燃焼室に導入されるオゾン導入量QO3を推定して取得する。以下、オゾン導入量QO3の推定について、詳しく説明する。
先ず、ステップS3で積算を開始し、本ステップに至るまでの単位時間あたりのオゾン発生量の積算値を取得する。取得した積算値は、吸気系内に供給されたオゾンの総量に相当する。なお、吸気系に供給されたオゾンは、吸気系内を素早く拡散し、吸気系内で略均一に存在する。
【0038】
ところで、オゾンは不安定な物質であり、時間の経過とともに下記式(2)で示すように酸素に変化する。
[化2]

2O→3O ・・・(2)

上記式(2)の反応は、温度が高くなるほど促進されるとともに、圧力が高くなるほど促進される。即ち、オゾンは、高温多湿な環境下にあるほど、酸素に変化し易い特性がある。
【0039】
上記の特性から、オゾン発生器から吸気系に供給されたオゾンは、燃焼室に導入されるまでの導入経路(吸気管、吸気マニホールド、吸気ポート)で、少なくともその一部が酸素に変化することが分かる。このため、燃焼室内に導入されるオゾン量を推定する際には、酸素への変化によるオゾンの減少分を考慮する必要がある。そこで、オゾン発生器から燃焼室までの導入経路における温度、湿度及び経路長のうち少なくとも1つのパラメータに基づいて、酸素に変化して減少するオゾンの減少量を推定する。そして、推定されたオゾン減少量を、上記で取得した積算値から減算することにより、吸気系内に実際に存在するオゾンの総量を推定する。
【0040】
次いで、エンジンの始動による燃料噴射の開始に伴って、吸気弁が開弁されて燃焼室に導入されるオゾン導入量QO3を推定する。具体的には、上記で推定された吸気系内に実際に存在するオゾンの総量に、吸気系容積に対する気筒容積の比を乗じる。これにより、燃焼室に導入されるオゾン導入量QO3を推定する。
【0041】
なお、ステップS5で実行されるクランキングの際に吸気弁が開弁される場合には、吸気系内に蓄積されていたオゾンが燃焼室に導入されて排気されてしまうため、その減少分を考慮する必要がある。ここで、吸気系の容積は気筒の容積に比して十分に大きいことから、燃料噴射及び点火より前のクランキングによって、吸気系内のオゾンの一部が燃焼室に導入されて排気されることとなる。クランキングによるオゾンの減少量は、クランキングによって燃焼室に吸入された吸気量QGをエアフローメータで検出し、当該検出された吸気量QGに基づいて推定する。推定されたクランキングによるオゾン減少量に応じて、上記で推定されたオゾン導入量を補正することで、正確なオゾン導入量QO3が推定される。
【0042】
ステップS7では、混合気の始動時目標空燃比AFCMDSTを設定する。具体的には、ステップS6で推定されたオゾン導入量QO3に基づいて、混合気の始動時目標空燃比AFCMDSTを設定する。ここで、混合気中の燃料は、オゾンの導入によって活性化されているため、着火性に優れ、安定した燃焼状態を確保できるようになっている。従って、本ステップでは、始動時目標空燃比AFCMDSTを、理論空燃比よりもリーン側に設定する。
【0043】
ここで、図示しない本実施形態に係る空燃比制御処理によって、本ステップで設定された始動時目標空燃比AFCMDSTと一致するように、始動時における混合気の空燃比AFSTが制御される。具体的には、吸気系を介して燃焼室内に吸入される吸気量QGをエアフローメータで検出し、当該検出された吸気量QGと、上記で設定された始動時目標空燃比AFCMDSTに基づいて、始動時の燃料噴射量QINJを算出する。次いで、算出された燃料噴射量QINJに応じた燃料噴射を実行する。これにより、始動時における混合気の空燃比AFSTがリーンに制御される。
【0044】
ステップS8では、燃焼室内の混合気が安定して燃焼しているか否かを判別する。具体的には、例えばステップS5でエンジンが始動したと判別されてから、所定時間が経過したか否かを判別する。この判別がYESの場合には、安定した燃焼状態が確保できているためこれ以上のオゾンの供給は不要であると判断し、ステップS9に移ってオゾン発生器を停止し、本処理を終了する。一方、ステップS8の判別がNOの場合には、ステップS6に戻って、再度、燃焼室に導入されるオゾン導入量QO3に基づいた空燃比制御を実行する。このときのオゾン導入量QO3は、このときまでに積算された単位時間あたりのオゾン発生量の積算値と、前回サイクルまでのオゾン導入量QO3とを用いて、上述した推定手順に従って推定する。
【0045】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。
本実施形態では、吸気系にオゾンを供給するオゾン供給部48を備えるエンジン3の制御装置1において、吸気系を介して燃焼室35に導入されるオゾン量を検出または推定し、当該検出または推定されたオゾン導入量QO3に基づいて吸気量QG及び燃料噴射量QINJを制御することにより、燃焼室35内の混合気の空燃比AFSTを制御する。
オゾンは強力な酸化力を有するため、吸気系を介してオゾンを燃焼室35内に導入すると、オゾンと燃料との予反応が生じて燃料が活性化される。このため、燃料の着火性が向上し、安定した燃焼状態を確保できるようになる。そこで本実施形態では、例えば燃焼状態が不安定な冷間始動時にオゾンを供給するとともに、燃焼室35に導入されるオゾン導入量QO3に基づいて混合気の空燃比AFSTを制御することで、当該空燃比AFSTをリーンに制御でき、有害物質、特にHC及びCOの発生を抑制できる。また、安定した燃焼状態の確保によって燃焼室35内の温度を早期に昇温できるため、排気管5に設けられたTWC53を早期に活性化でき、始動直後から有害物質を効率良く浄化できる。従って、本実施形態によれば、冷間始動時におけるテールパイプエミッションを低減できる。さらには、火花点火式のエンジン3において、TWC53の早期活性化のために通常行われている点火時期の遅角量を低減できるため、テールパイプエミッションを低減しつつ、燃費を改善できる。
【0046】
また、本実施形態では、オゾン供給部48を構成するオゾン発生器481に導入された空気の流量及び温度、オゾン発生器481に印加する交流電圧のデューティー比並びに電圧印加時間に基づいて、オゾン発生量を算出する。
オゾン発生器481における単位時間あたりのオゾン発生量は、オゾン発生器481に導入される空気の流量及び温度と、オゾン発生器481に印加する交流電圧のデューティー比とによって一義的に決定される。従って、本実施形態によれば、オゾン発生器481に導入される空気の流量及び温度と、オゾン発生器481に印加する交流電圧のデューティー比とに基づいて、単位時間あたりのオゾン発生量を正確に算出できる。また、算出された単位時間あたりのオゾン発生量に、電圧印加時間を乗じることにより、オゾン発生器481で発生したオゾン発生量を正確に算出できる。
【0047】
また、本実施形態では、算出されたオゾン発生量と、オゾン発生器481から燃焼室35までの導入経路(即ち、吸気管4、吸気マニホールド及び吸気ポート41)における温度、湿度及び経路長のうち少なくとも1つに基づいて、オゾン導入量QO3を推定する。
オゾンは不安定な分子であり、高温多湿であるほど酸素に変化し易い特性がある。即ち、オゾン発生器481で発生し、吸気系に供給されたオゾンは、燃焼室35に導入されるまでの間に、オゾン発生器481から燃焼室35までの導入経路における温度、湿度及び経路長に応じて減少する。そこで本実施形態によれば、算出されたオゾン発生量と、オゾン発生器481から燃焼室35までの導入経路における温度、湿度及び経路長のうち少なくとも1つに基づいてオゾン導入量QO3を推定することにより、燃焼室35に導入されるオゾン導入量QO3を精度良く推定できる。従って、本実施形態によれば、オゾン濃度計を設けることなく、上記の効果が奏される。
【0048】
また、本実施形態では、運転者の始動意志が有るときにオゾンの供給を開始する。そして、エンジン3の回転数が所定値に達し、エンジン3が始動したと判定されたときに検出または推定されたオゾン導入量QO3に基づいて、始動時における混合気の目標空燃比を設定する。また、設定された始動時目標空燃比AFCMDSTと一致するように、混合気の空燃比AFSTを制御する。
従来、エンジンの冷間始動時には、有害物質が多量に発生しており、また発生した有害物質を効率良く浄化できていなかった。そこで本実施形態によれば、冷間始動時に上記のオゾン導入量QO3に基づいた空燃比制御が可能となるため、燃焼室35内の燃焼状態を改善して有害物質の発生を抑制できるとともに、発生した有害物質をTWC53により効率良く浄化できる。
【0049】
本実施形態では、始動時目標空燃比AFCMDSTを理論空燃比よりもリーン側に設定する。これにより、エンジン3の冷間始動時において、例えば燃料噴射量QINJを低減し、混合気の空燃比AFSTをリーン側に設定された始動時目標空燃比AFCMDSTに一致させることで、混合気の空燃比AFSTをリーンに制御できる。従って、本実施形態によれば、上記の効果が確実に奏される。
【0050】
ここで、上記実施形態のテールパイプエミッション低減効果の検証結果について説明する。
図5は、上記実施形態のテールパイプエミッション低減効果を説明するための図であり、(A)は、上記実施形態に係る制御装置1を適用したエンジン3と、従来のエンジンの始動時におけるテールパイプHC濃度を示す図であり、(B)は、それらの始動時におけるテールパイプCO濃度を示す図である。より詳しくは、上記実施形態で説明した手順に従って、冷間始動時に所定量のオゾンを吸気系に供給し、燃焼室に導入されるオゾン導入量QO3に基づいた空燃比制御(即ち、リーン化)を実行した場合と、冷間始動時にオゾンを供給せずに従来の空燃比制御(即ち、リッチ化)を実行した場合について、始動時のテールパイプHC平均濃度及びテールパイプCO平均濃度の比較を行ったものである。これらの図から、テールパイプHC及びテールパイプCOいずれも、上記実施形態に係る制御装置1を適用したエンジン3の方が従来のエンジンよりも有意に少ないことが分かる。
【0051】
また、図6は、上記実施形態に係る制御装置1を適用したエンジン3と、従来のエンジンの始動時におけるテールパイプHC濃度の変化を示す図である。より詳しくは、図5の(A)と同様に、上記実施形態で説明した手順に従って、冷間始動時に所定量のオゾンを吸気系に供給し、燃焼室に導入されるオゾン導入量QO3に基づいた空燃比制御(即ち、リーン化)を実行した場合と、冷間始動時にオゾンを供給せずに従来の空燃比制御(即ち、リッチ化)を実行した場合について、テールパイプHC濃度の時間変化の比較を行ったものである。この図6から、いずれのエンジンにおいても始動直後のテールパイプHC濃度が高く、時間の経過に伴ってテールパイプHC濃度が低下することが分かる。また、始動直後におけるテールパイプHC濃度は、上記実施形態に係る制御装置1を適用したエンジン3の方が従来のエンジンよりテールパイプHCが有意に少ないことが分かる。
以上の結果から、上記実施形態のテールパイプエミッション低減効果が検証されたと言える。
【0052】
本実施形態では、図2のステップS1の実行に係る手段が始動意志判定手段に相当し、ステップS2の実行に係る手段がオゾン供給制御手段に相当し、ステップS3及びS6の実行に係る手段がオゾン導入量取得手段に相当し、ステップ5の実行に係る手段が始動判定手段に相当し、ステップS7の実行に係る手段が始動時目標空燃比設定手段に相当する。
【0053】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良は本発明に含まれる。
【0054】
上記実施形態では、ポート噴射型の火花点火式エンジンに本発明を適用したが、これに限定されない。例えば、筒内噴射型の火花点火式エンジンに本発明を適用してもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、燃焼室35に導入されるオゾン量を推定して取得したが、気筒30に近い吸気ポート41付近にオゾン濃度計を配置し、このオゾン濃度計により検出されるオゾン濃度とエアフローメータで検出される吸気量QGに基づいて、オゾン導入量QO3を算出してもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、オゾン発生器481として無声放電式のものを用いたがこれに限定されない。例えば、電気分解式や紫外線式のものを用いてもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、オゾン発生器481を吸気管4内に設けたが、これに限定されない。例えば、吸気管4とは別にオゾン発生器を設け、このオゾン発生器から吸気管4内にオゾンを供給してもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…制御装置
2…ECU(オゾン導入量取得手段、空燃比制御手段、始動意志判定手段、オゾン供給制御手段、始動判定手段、始動時目標空燃比設定手段)
3…エンジン(内燃機関)
4…吸気管(吸気系)
35…燃焼室
40…吸気系
41…吸気ポート(吸気系)
45…ポート燃料噴射弁(燃料供給手段)
47…スロットル弁(吸気量制御手段)
48…オゾン供給部(オゾン供給手段)
53…TWC
91…エアフローメータ
93…イグニッションスイッチ
95…スタータスイッチ
97…クランク角度位置センサ
481…オゾン発生器(オゾン供給手段)
483…駆動装置(オゾン供給手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の吸気系を介して当該機関の燃焼室に吸入される吸気の流量を制御する吸気量制御手段と、前記機関に燃料を供給する燃料供給手段と、前記吸気系にオゾンを供給するオゾン供給手段と、を備えた内燃機関の制御装置において、
前記吸気系を介して前記機関の燃焼室に導入されるオゾン量を検出または推定するオゾン導入量取得手段と、
前記検出または推定されたオゾン導入量に基づいて前記吸気量及び燃料供給量を制御することにより、前記燃焼室内の混合気の空燃比を制御する空燃比制御手段と、を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項2】
前記オゾン供給手段は、空気を導入してオゾンを発生させるオゾン発生器と、交流電圧を印加して前記オゾン発生器を駆動させる駆動装置と、を備え、
前記オゾン導入量取得手段は、前記オゾン発生器に導入された空気の流量及び温度、前記交流電圧のデューティー比並びに電圧印加時間に基づいて、前記オゾン発生器で発生したオゾン発生量を算出し、当該算出されたオゾン発生量と、前記オゾン発生器から前記燃焼室までのオゾン導入経路における温度、湿度及び経路長のうち少なくとも1つに基づいて、前記オゾン導入量を推定することを特徴とする請求項1記載の内燃機関の制御装置。
【請求項3】
運転者の始動意志の有無を判定する始動意志判定手段と、
運転者の始動意志が有ると判定されたことに応じて前記オゾン供給手段によりオゾンの供給を開始するオゾン供給制御手段と、
前記機関の回転数が所定値に達したときに前記機関が始動したと判定する始動判定手段と、
前記機関が始動したと判定されたことに応じて前記オゾン導入量取得手段により検出または推定されたオゾン導入量に基づいて、始動時における前記混合気の目標空燃比を設定する始動時目標空燃比設定手段と、をさらに備え、
前記空燃比制御手段は、始動時における前記混合気の空燃比を前記設定された始動時目標空燃比と一致するように制御することを特徴とする請求項1または2記載の内燃機関の制御装置。
【請求項4】
前記始動時目標空燃比設定手段は、前記始動時目標空燃比を理論空燃比よりもリーン側に設定することを特徴とする請求項3記載の内燃機関の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−72739(P2012−72739A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−219578(P2010−219578)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】