説明

内燃機関制御装置

【課題】内燃機関の冷却水を従来より高温化してもドライバーに違和感を生じさせないようにし更なる燃費向上を実現させる。
【解決手段】ドライバーの指示によるクルーズコントロール実行時であれば(S100でyes)、通常より緩慢な加速を実行する内燃機関制御あるいは通常発揮できる動力性能よりも抑制された動力性能となる内燃機関制御がなされていることがドライバーに識別できる状況下となっている。この状況にてドライバーが加速操作を行った場合、ノッキング防止のために点火遅角制御が実行されて一時的に加速にもたつきを生じるが、ドライバーは、上記内燃機関制御が実行されていることを、自己の指示であることから認識しているので違和感を抱くことはない。このようにして冷却水を従来より高温化してもドライバーに違和感を生じさせないようにすることができ、更なる燃費向上を実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の冷却水温を調節する冷却水温調節機構を備えた車両用内燃機関の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関燃費向上のために、フリクション損失や冷却損失を小さくするために低負荷側において電動サーモスタット等を用いて冷却水流を調節して冷却水温を高温化する高水温制御が知られている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−204740号公報(第6−8頁、図1−5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
急加速を行うためにドライバーがアクセルペダルを踏み込んだ場合には、低負荷運転状態から高負荷運転状態になることにより高水温制御を停止することになる。このように高水温制御を停止したとしても、ラジエータにて放熱された冷却水がシリンダボア周りに達して吸熱により低温化するまでには時間を要する。このように低負荷運転から高負荷運転への変化は迅速に行われるが冷却水温については極めて低応答性でしか対応できない。
【0004】
このため過渡的に高負荷高水温状態が生じてノッキングの発生頻度が上昇し、このノッキングを防止するために点火時期遅角処理が実行される。この点火遅角が実行されることにより、アクセル開度の上昇の割には通常発揮できる動力性能よりも抑制された動力性能となる現象、すなわち内燃機関の動力性能の低下が生じる。
【0005】
このような高水温化制御はドライバーは意識していないので、内燃機関の動力性能の低下による加速時のもたつきのみが認識され、ドライバーにおいて違和感を生じることになる。
【0006】
このような急加速があることを考慮すると、低負荷時にては可能であるレベルまでの高水温化はできず、かなり低めの高水温化に止まっている。すなわちドライバーの違和感を考慮して十分な省燃費処理ができない状態となっている。
【0007】
本発明は、冷却水を、従来より高温化してもドライバーに違和感を生じさせないようにし、このことにより更なる燃費向上を実現させることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の内燃機関制御装置は、内燃機関の冷却水温を調節する冷却水温調節機構を備え、ノッキング防止のための点火遅角制御が実行されている車両用内燃機関の制御装置であって、前記車両用内燃機関がドライバーの出力操作に対して通常発揮できる動力性能よりも抑制された動力性能となる内燃機関制御がなされていることがドライバーに識別できる状況下において、前記冷却水温調節機構により冷却水温を高水温側に調節することを特徴とする。
【0009】
このように通常発揮できる動力性能よりも抑制された動力性能となる内燃機関制御がなされていることがドライバーに識別できる状況下にて冷却水温を高水温側に調節している。この高水温化の状態にてドライバーが加速操作を行って高負荷化することによりノッキング頻度が高まる状態となると、ノッキング防止のために点火遅角制御が実行される。
【0010】
この点火遅角制御により動力性能が低下するので一時的に加速にもたつきを生じるが、この時、ドライバーは、出力操作に対して通常発揮できる動力性能よりも抑制された動力性能となる内燃機関制御がなされていることを認識している。この認識と加速のもたつきとは対応していることから、違和感を抱くことはない。したがって低負荷で最大限可能な高水温やその近くに冷却水温を設定して、その後の加速のもたつきが生じたとしてもドライバーに違和感を与えることはない。
【0011】
このようにして冷却水を、従来より高温化してもドライバーに違和感を生じさせないようにすることができるので更なる燃費向上を実現させることができる。
請求項2に記載の内燃機関制御装置は、内燃機関の冷却水温を調節する冷却水温調節機構を備え、ノッキング防止のための点火遅角制御が実行されている車両用内燃機関の制御装置であって、ドライバーの出力操作に対して通常発揮できる動力性能よりも抑制された動力性能となる内燃機関制御を、ドライバーの指示に基づいて実行する運転制御手段と、前記運転制御手段により前記内燃機関制御が実行されている場合には、前記冷却水温調節機構により冷却水温を高水温側に調節する高水温化手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
運転制御手段によりなされる内燃機関制御は、ドライバー自身が指示したものであることから、ドライバーは動力性能が通常よりも抑制されていることを認識している。したがって低負荷で最大限可能な高水温やその近くに冷却水温を設定して、その後の加速に一時的なもたつきが生じたとしてもドライバーに違和感を与えることはない。
【0013】
このようにして冷却水を、従来より高温化してもドライバーに違和感を生じさせないようにすることができるので更なる燃費向上を実現させることができる。
請求項3に記載の内燃機関制御装置では、請求項2において、前記運転制御手段が実行する内燃機関制御とは、省燃費モードを実行する制御であることを特徴とする。
【0014】
内燃機関の動力性能が抑制される制御としては、省燃費モードを挙げることができ、この制御時にはアクセルの踏み込みによる出力操作の割には、内燃機関は通常発揮できる動力性能よりも抑制された動力性能となる。この制御時に、高水温化手段が冷却水温調節機構により冷却水温を高水温側に調節する。したがって以後の加速操作時に一時的なもたつきが生じても、ドライバーが上述のごとく認識しているので前述したごとく違和感を抱くことはない。このようにして高水温化手段が冷却水を、従来より高温化してもドライバーに違和感を生じさせないようにすることができるので更なる燃費向上を実現させることができる。
【0015】
請求項4に記載の内燃機関制御装置は、内燃機関の冷却水温を調節する冷却水温調節機構を備え、ノッキング防止のための点火遅角制御が実行されている車両用内燃機関の制御装置であって、前記車両用内燃機関に対して通常より緩慢な加速を実行する内燃機関制御がなされていることがドライバーに識別できる状況下において、前記冷却水温調節機構により冷却水温を高水温側に調節することを特徴とする。
【0016】
このように通常より緩慢な加速を実行する内燃機関制御がなされていることがドライバーに識別できる状況下にて冷却水温を高水温側に調節している。この高水温化の状態にて、ドライバーが加速操作を行って高水温状態で高負荷化することによりノッキング頻度が高まる状態となると、ノッキング防止のために点火遅角制御が実行される。
【0017】
この点火遅角制御により動力性能が低下するので加速にもたつきを生じるが、この時、ドライバーは、今まで通常より緩慢な加速を実行する内燃機関制御がなされていたことを認識している。したがってこのような内燃機関制御直後において一時的なもたつきがあったとしても違和感を抱くことはない。したがって低負荷で最大限可能な高水温やその近くに冷却水温を設定して、その後の加速のもたつきが生じたとしてもドライバーに違和感を与えることはない。
【0018】
このようにして冷却水を、従来より高温化してもドライバーに違和感を生じさせないようにすることができるので更なる燃費向上を実現させることができる。
請求項5に記載の内燃機関制御装置は、内燃機関の冷却水温を調節する冷却水温調節機構を備え、ノッキング防止のための点火遅角制御が実行されている車両用内燃機関の制御装置であって、前記車両用内燃機関に対して通常より緩慢な加速を実行する内燃機関制御を、ドライバーの指示に基づいて実行する運転制御手段と、前記運転制御手段により前記内燃機関制御が実行されている場合には、前記冷却水温調節機構により冷却水温を高水温側に調節する高水温化手段とを備えたことを特徴とする。
【0019】
運転制御手段によりなされる内燃機関制御は、ドライバー自身が指示したものであることから、ドライバーは通常より緩慢な加速が実行されていることを認識している。このため低負荷で最大限可能な高水温やその近くに冷却水温を設定して、その後の加速に一時的なもたつきが生じたとしてもドライバーに違和感を与えることはない。
【0020】
このようにして冷却水を、従来より高温化してもドライバーに違和感を生じさせないようにすることができるので更なる燃費向上を実現させることができる。
請求項6に記載の内燃機関制御装置では、請求項5において、前記運転制御手段が実行する内燃機関制御とは、クルーズコントロールであることを特徴とする。
【0021】
車両用内燃機関に対して通常より緩慢な加速を実行する内燃機関制御としては、クルーズコントロールを挙げることができる。この制御時に、高水温化手段が冷却水温調節機構により冷却水温を高水温側に調節する。したがって以後の加速操作時に一時的なもたつきが生じても、ドライバーが認識しているので前述したごとく違和感を抱くことはない。このようにして高水温化手段が冷却水を、従来より高温化してもドライバーに違和感を生じさせないようにすることができるので更なる燃費向上を実現させることができる。
【0022】
請求項7に記載の内燃機関制御装置は、内燃機関の冷却水温を調節する冷却水温調節機構を備え、ノッキング防止のための点火遅角制御が実行されている車両用内燃機関の制御装置であって、ドライバーの指示によりなされる省燃費モードとして、前記冷却水温調節機構により冷却水温を高水温側に調節する処理を実行することを特徴とする。
【0023】
このようにドライバーの指示によりなされる省燃費モードとして、冷却水温調節機構により冷却水温を高水温側に調節する処理を実行しているので、ドライバーに省燃費モードであると識別された状況下にて冷却水温を高水温側に調節していることになる。この高水温化の状態にて、ドライバーが加速操作を行って高水温状態で高負荷化することによりノッキング頻度が高まる状態となるとノッキング防止のために点火遅角制御が実行される。
【0024】
この点火遅角制御により動力性能が低下するので一時的に加速にもたつきを生じるが、この時、ドライバーは、省燃費モードが実行されていることを認識している。この認識と加速のもたつきとは対応していることから、低負荷で最大限可能な高水温やその近くに冷却水温を設定して、その後、一時的に加速のもたつきが生じたとしてもドライバーに違和感を与えることはない。
【0025】
このようにして冷却水を、従来より高温化してもドライバーに違和感を生じさせないようにすることができるので更なる燃費向上を実現させることができる。
請求項8に記載の内燃機関制御装置は、内燃機関の冷却水温を調節する冷却水温調節機構を備え、ノッキング防止のための点火遅角制御が実行されている車両用内燃機関の制御装置であって、ドライバーの指示に基づいて、省燃費モードを設定する省燃費モード設定手段と、前記省燃費モード設定手段により省燃費モードが設定された場合には、前記冷却水温調節機構により冷却水温を高水温側に調節する高水温化手段とを備えたことを特徴とする。
【0026】
省燃費モード設定手段にてドライバー自身が省燃費モードを指示していることから、ドライバーは省燃費モードを認識している。したがって低負荷で最大限可能な高水温やその近くに冷却水温を設定して、その後に一時的に加速のもたつきが生じたとしてもドライバーに違和感を与えることはない。
【0027】
このようにして冷却水を、従来より高温化してもドライバーに違和感を生じさせないようにすることができるので更なる燃費向上を実現させることができる。
請求項9に記載の内燃機関制御装置では、請求項2、3、5、6又は8において、前記冷却水温調節機構により冷却水温を、内燃機関の負荷の低下の程度に応じて高水温側に調節する負荷対応水温調節手段を備え、前記高水温化手段は、前記負荷対応水温調節手段による高水温化よりも、より高温側への冷却水高温化を実行することを特徴とする。
【0028】
負荷対応水温調節手段が内燃機関の負荷の低下の程度に応じて調節する高水温の程度は、前記課題にて述べたごとく通常時での加速のもたつきを防止する必要性から、低負荷で最大限可能な高水温やその近くに調節することはできず、或程度低い冷却水温を上限としている。しかし、高水温化手段による調節では、負荷対応水温調節手段での上限水温よりも高温化しても、一時的な加速時のもたつきはドライバーに違和感を生じさせない。したがって、このように高水温化手段が負荷対応水温調節手段による高水温化よりも、より高温側への冷却水高温化を実行することにより、ドライバーに違和感を生じさせずに更なる燃費向上を実現させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
[実施の形態1]
図1は、上述した発明が適用された車両用の内燃機関制御装置及び冷却水温調節機構の概略構成を表すブロック図である。この内燃機関制御装置は、内燃機関の運転制御と共に、冷却水温調節機構により、車両用内燃機関2のシリンダブロックやシリンダヘッドに形成されたウォータジャケットを含む冷却水通路に流通させる冷却水の温度を調節することで、内燃機関2の温度制御を実行する。
【0030】
図1に示したごとく、内燃機関2から流出する冷却水は、出口通路4を介して冷却通路6、バイパス通路(メインバイパス通路8、サブバイパス通路10)に流出する。ここで冷却通路6には、冷却水を冷却するラジエータ12が設けられている。
【0031】
ラジエータ12を通過した冷却通路6内の冷却水と、ラジエータ12を通過しないバイパス通路8,10内の冷却水とは、電子制御式の電子サーモスタット14に流入する。この電子サーモスタット14から流出する冷却水は入口通路16を介して内燃機関2に供給される。入口通路16には、冷却水を強制的に流動させるウォータポンプ18が備えられている。このウォータポンプ18は内燃機関2の動力によって駆動される。
【0032】
電子サーモスタット14は、ラジエータ12を通過して流入する冷却通路6内の冷却水とメインバイパス通路8内の冷却水とが入口通路16へ流出する流量割合を制御するものである。この電子サーモスタット14は、内蔵する感温部によりサブバイパス通路10からの冷却水の温度に応じた弁体の機械的な開閉制御を行う。更に内蔵する感温部内部には電気的に発熱するPTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータ14aを備えている。このPTCヒータ14aへの通電制御によって、上記機械的な開閉制御とは別に、弁体の開閉を電子制御できる。
【0033】
内燃機関2や電子サーモスタット14を制御する電子制御ユニット(以下、ECUと略す)20においては、各種センサの検出結果が取り込まれ、所定の演算が施された後、制御信号が出力される。本実施の形態では、内燃機関2の回転数を検出する回転数センサ22、内燃機関2の吸入空気量を検出するエアフロメータ24、ノックセンサ25、出口通路4の冷却水温THWを検出する水温センサ26、及びその他のセンサ・スイッチ類27(クルーズコントロール設定スイッチを含む)を備えている。エアフロメータ24と回転数センサ22との検出値から、吸入空気量(負荷)Qと内燃機関回転数NEとを求め、負荷Qと内燃機関回転数NEとに基づいて図2に示すごとくに形成されたマップから目標冷却水温THWtを算出する。そして水温センサ26にて検出される冷却水温THWがこの目標冷却水温THWtとなるように電子サーモスタット14のPTCヒータ14aに対する通電制御を行う。
【0034】
本実施の形態の制御では負荷Qが高い側においては低水温領域を設定し、この低水温領域では、ECU20は電子サーモスタット14を大きく開放して冷却通路6からの冷却水を多量に入口通路16に循環させる。このことによりラジエータ12にて放熱された冷却水が内燃機関2のウォータジャケットに大量に循環するようになるので、内燃機関2は十分に冷却される。この低水温領域では例えば目標冷却水温THWt=90℃に設定されている。
【0035】
負荷Qが低い側においては高水温領域を設定している。この高水温領域では、ECU20は負荷Qの低下に応じて目標冷却水温THWtを高くする。すなわち負荷Qの低下に応じて電子サーモスタット14の開度を小さくする。このため負荷Qが低下するにしたがって冷却通路6からの冷却水が入口通路16に循環されにくくなり、それだけ多くの冷却水がメインバイパス通路8を介して入口通路16に循環されるようになる。このことによりラジエータ12にて放熱されない冷却水が大量に内燃機関2のウォータジャケットに循環するようになるので内燃機関2は高温化する。
【0036】
尚、ECU20は内燃機関2に対する運転制御としてノックコントロール、すなわちノッキング防止のために点火遅角制御を実行している。
このようなノックコントロールを実行している内燃機関2においては、低負荷側にて最大限可能な高水温やその近くに高温化していると、低負荷運転状態からの加速操作時には内燃機関2に流れ込む冷却水は直ちに低温化しないため、ノッキングの発生頻度が高まる。このためECU20によるノックコントロールが機能して点火時期遅角を招き、この点火時期遅角処理により内燃機関2の動力性能が一時的に低下してドライバーに違和感(具体的には、加速時のもたつき感)を与えるおそれがある。したがって図2に示した内燃機関運転状態(主として負荷Q)に応じた高温化の程度は、低負荷で最大限可能な高水温やその近くに調節することはできないので、ドライバーに違和感が生じない程度の冷却水温THWを冷却水高温化の限界としている。ここでは例えば目標冷却水温THWt=95℃を上限として設定している。具体的には低水温制御領域では目標冷却水温THWt=90℃、高水温制御領域では目標冷却水温THWt=90℃〜95℃とされている。
【0037】
ただし、ECU20は、次に述べるごとく図2による内燃機関運転状態に応じた冷却水温制御とは別にクルーズコントロール時には目標冷却水温THWt=100℃とする高温化処理を実行している。尚、ECU20は、クルーズコントロールのために、車間センサを備えた車間制御ECUやブレーキアクチュエータを制御するブレーキ制御ECUとの間でデータ通信を実行している。
【0038】
ECU20により実行される冷却水温制御処理を図3のフローチャートに示す。本処理は一定時間毎に繰り返し実行される処理である。本処理が開始されると、まず現在クルーズコントロールが実行されているか否かが判定される(S100)。実行されていなければ(S100でno)、内燃機関運転状態に応じた冷却水温調節が実行される(S104)。すなわち電子サーモスタット14の調節により、冷却水温THWが図2に示したごとくとなるように制御される。尚、この温度範囲において目標冷却水温THWtの上限は前述したごとく、加速時のもたつき感をドライバーに与えるのを防止するために95℃とされている。
【0039】
クルーズコントロールはクルーズコントロール設定スイッチからのドライバーの指示により開始されるが、このクルーズコントロールが実行されている場合には(S100でyes)、冷却水温THWを高温化する処理が実行される(S102)。ここでは前述したごとく目標冷却水温THWt=100℃に設定する処理が実行される。このことにより内燃機関運転状態に応じた冷却水温調節(S104)を実行している場合よりも、更にフリクション損失や冷却損失を低減させることができる。
【0040】
この冷却水温高温化処理中にドライバーが加速操作することにより、高負荷状態となり、このことにより直ちにクルーズコントロールが解除されて(S100でno)、内燃機関運転状態に応じた冷却水温調節(S104)が実行されるようになる。しかし熱伝達や熱伝導などの熱移動による内燃機関2の温度変化には時間を要することから、実際の冷却水温THWが図2に示したごとくの目標冷却水温THWtとなるまでにはノッキングの発生しやすい状態となる。したがってECU20にてノックコントロールが機能して点火時期が遅角される。このため内燃機関2の動力性能が低くなり、アクセル操作の割に出力上昇が通常より緩慢となり、一時的に加速にもたつきを生じることがある。
【0041】
しかしクルーズコントロール自体は、制御上、急加速は行われず通常より緩慢な加速が行われる内燃機関制御である。しかも、このクルーズコントロールの設定はドライバー自身がクルーズコントロール設定スイッチを操作して行ったものである。このため、一時的な加速のもたつきは、クルーズコントロールが実行されている時に生じたものであり、クルーズコントロールの影響であるとしてドライバーは認識し、違和感としては感じない。
【0042】
図4のタイミングチャートに本実施の形態における制御の一例を示す。タイミングt1前はクルーズコントロールが実行されていないので、前記図2に示したごとく内燃機関2の運転状態に応じて90℃から95℃までの間に設定される目標冷却水温THWtにより電子サーモスタット14が調節される。したがってタイミングt0にてドライバーによる加速操作が有っても、冷却水温は95℃以下であることから、ノックコントロールによる点火遅角はなされない。このためドライバーにとってはこの加速時にはもたつき感はない。
【0043】
タイミングt1でドライバーの指示によりクルーズコントロールが開始されると、目標冷却水温THWt=100℃とされる。したがってその後、タイミングt2にて冷却水温は95℃を越え、更にクルーズコントロールが継続することにより、タイミングt3において冷却水温は100℃に達する。尚、図4において冷却水温THWが通常時では調節されない95℃より高い範囲をハッチングにて示す。
【0044】
以後、100℃で冷却水温が継続した後、タイミングt4にてドライバーが加速操作を実行して、クルーズコントロールが解除されると、内燃機関2は一時的に高温状態での高負荷となる。このためノッキングの頻度が高まるので、ノックコントロールにより点火時期が遅角される。したがって内燃機関2の動力性能低下により一時的に加速にもたつきが生じる。ただしこの加速操作のタイミングは、クルーズコントロールを実行中であるので、前述したごとくの理由によりドライバーには違和感とはならない。
【0045】
上述した構成において、請求項との関係は、図1に示したごとく電子サーモスタット14を用いた冷却水温THWの調節機構が冷却水温調節機構に相当する。ECUが運転制御手段、高水温化手段、及び負荷対応水温調節手段に相当する。このECUが実行する処理の内で、クルーズコントロールが運転制御手段としての処理に、冷却水温高温化処理(S102)が高水温化手段としての処理に、内燃機関運転状態に応じた冷却水温調節(S104)が負荷対応水温調節手段としての処理に相当する。
【0046】
以上説明した本実施の形態1によれば、以下の効果が得られる。
(イ).ドライバーの指示にてなされるクルーズコントロール実行時であることにより、内燃機関2に対して通常より緩慢な加速を実行する内燃機関制御がなされていることがドライバーに識別できる状況下となっている。この状況にて、ドライバーが加速操作を行った場合、上述したごとくノッキング防止のために点火遅角制御が実行されて一時的に加速にもたつきを生じるが、ドライバーは、上記内燃機関制御(クルーズコントロール)が実行されていることを、自己の指示であることから認識しているので違和感を抱くことはない。このようにして冷却水を、従来より高温化してもドライバーに違和感を生じさせないようにすることができるので更なる燃費向上を実現させることができる。
【0047】
(ロ).クルーズコントロールをしていない通常運転時においても、図2に示したごとく低負荷時に高水温化によって省燃費が実行されている。しかしクルーズコントロール時には、図2に示した高水温化よりも、より高温側への冷却水高温化を、ドライバーに違和感を生じさせずに実行することができる。したがって更なる燃費向上を実現できる。
【0048】
[実施の形態2]
本実施の形態では、クルーズコントロールに連動して省燃費モードが実行される。省燃費モードとして具体的には、車両用内燃機関2の燃焼制御としてリーンバーン(希薄燃焼)制御(この代わりに層状燃焼でも良い)が行われる。この他の省燃費モードとして、内燃機関2のスロットル開度増加量を低く制限するスロットル開度増加抑制制御や内燃機関回転数NEの上限を通常より低く制限する機関回転数抑制制御が挙げられる。上記燃焼制御も含めて、これらの制御のいずれか1つあるいは2つ以上の組み合わせが、省燃費モードとして実行されるものでも良い。他の構成は前記実施の形態1(図1〜3を参照)と同じである。
【0049】
したがってクルーズコントロール時には、内燃機関2がドライバーの出力操作に対して通常発揮できる動力性能よりも抑制された動力性能となる内燃機関制御がなされていることがドライバーに識別できる。
【0050】
以上説明した本実施の形態2によれば、以下の効果が得られる。
(イ).本実施の形態においては、ドライバーの指示にてなされるクルーズコントロール実行時は、内燃機関2に対してドライバーの出力操作に対して通常発揮できる動力性能よりも抑制された動力性能となる内燃機関制御がなされていることがドライバーに識別できる状況下となっている。この状況にて、ドライバーが加速操作を行った場合、上述したごとくノッキング防止のために点火遅角制御が実行されて一時的に加速にもたつきを生じる。しかし、この時、ドライバーは、上記内燃機関制御が実行されていることを、自己の指示であることにより認識しているので、低負荷では最大限可能な高水温(ここでは100℃)やその近くに冷却水温を設定してその後に一時的に加速のもたつきが生じたとしてもドライバーに違和感を与えることはない。このようにして冷却水を従来よりも高温化してもドライバーに違和感を生じさせないようにすることができるので更なる燃費向上を実現させることができる。
【0051】
(ロ).前記実施の形態1の(ロ)の効果を生じる。
[実施の形態3]
本実施の形態では、ECU20が前記図3の代わりに図5に示す冷却水温制御処理を実行する点が異なる。更に車両のダッシュボードにはクルーズコントロール設定スイッチの代わりに、省燃費モード設定スイッチが存在し、省燃費モードとしてOFFとONの設定が可能になっている。本実施の形態での省燃費モードとしては、前記実施の形態2にて述べたごとく、スロットル開度増加抑制制御、機関回転数抑制制御、及びリーンバーン制御や層状燃焼などの燃焼制御のいずれか1つあるいは2つ以上の組み合わせで実行される。尚、ドライバーによる加速がなされると省燃費モードは解除される。他の構成は前記実施の形態1(図1,2を参照)と同じである。
【0052】
冷却水温制御処理(図5)は一定時間毎に繰り返し実行される処理である。本処理が開始されると、まず現在、省燃費モードが実行されているか否かが判定される(S150)。実行されていなければ(S150でno)、内燃機関運転状態に応じた冷却水温調節が実行される(S154)。この処理は前記図3のステップS104と同じ処理であり、電子サーモスタット14の調節により、前記図2に示したごとく、上限を95℃として冷却水温THWが制御される。
【0053】
省燃費モードは、省燃費モード設定スイッチに対するドライバーの指示操作により開始されるが、この省燃費モードが実行されている場合には(S150でyes)、冷却水温THWを高温化する処理が実行される(S152)。ここでは前記図3のステップS102で述べたごとく冷却水温THWを100℃に調節する処理が実行される。このことにより更にフリクション損失や冷却損失を低減させる。
【0054】
このステップS152の冷却水温高温化処理中にドライバーが加速操作することにより高負荷状態となると、直ちに省燃費モードが解除されて(S150でno)、内燃機関運転状態に応じた冷却水温調節(S154)が実行されるようになる。この時、前記実施の形態1にて述べたごとく一時的にノッキングの発生しやすい状態となる。したがってECUにてノックコントロールが機能して点火時期が遅角され、内燃機関2の動力性能が低くなり、アクセル操作の割に出力上昇が通常より緩慢となり、一時的に加速にもたつきを生じることがある。しかしこの加速のもたつき発生時は、省燃費モードが実行されている時に生じているとドライバーには認識されていることから、ドライバーにとっては省燃費モード直後の一時的な加速のもたつきは違和感としては感じない。
【0055】
上述した構成において、請求項との関係は、ECUが運転制御手段、高水温化手段、及び負荷対応水温調節手段に相当する。このECUが実行する処理の内で、省燃費モードを実行する処理が運転制御手段としての処理に、冷却水温高温化処理(S152)が高水温化手段としての処理に、内燃機関運転状態に応じた冷却水温調節(S154)が負荷対応水温調節手段としての処理に相当する。
【0056】
以上説明した本実施の形態3によれば、以下の効果が得られる。
(イ).ドライバーの指示にてなされる省燃費モード実行時は、内燃機関2に対してドライバーの出力操作に対して通常発揮できる動力性能よりも抑制された動力性能となる内燃機関制御がなされていることがドライバーに識別できる状況下となっている。したがって、この状況にて、ドライバーが加速操作を行った場合、上述したごとくノッキング防止のために点火遅角制御が実行されて一時的に加速にもたつきを生じるが、この時、ドライバーは、上記内燃機関制御が実行されていることを、自己の指示であることから認識しているので、違和感を抱くことはない。このため低負荷では最大限可能な高水温(ここでは100℃)やその近くに冷却水温を設定してその後に一時的に加速のもたつきが生じたとしてもドライバーに違和感を与えることはない。このようにして冷却水をより高温化してもドライバーに違和感を生じさせないようにすることができるので更なる燃費向上を実現させることができる。
【0057】
(ロ).前記実施の形態1の(ロ)の効果を生じる。
[実施の形態4]
本実施の形態では、ECU20が前記図3の代わりに図6に示すごとく省燃費モードとして冷却水温制御処理を実行する点が異なる。更に車両のダッシュボードにはクルーズコントロール設定スイッチの代わりに、省燃費モード設定ダイヤルスイッチが存在し、省燃費モードとしてOFFとON(3段階)の設定が可能になっている。尚、ドライバーによる加速時では省燃費モードは解除される。他の構成は前記実施の形態1(図1,2を参照)と同じである。
【0058】
冷却水温制御処理(図6)は一定時間周期で繰り返し実行される。本処理が開始されると、まず省燃費モード設定ダイヤルスイッチの状態から省燃費モードONか否かが判定される(S200)。省燃費モード設定ダイヤルスイッチがOFFであれば(S200でno)、内燃機関運転状態に応じた冷却水温調節が実行される(S202)。この処理は前記図3のステップS104と同じであり、前記図2のマップに応じて設定される。
【0059】
省燃費モード設定ダイヤルスイッチがONであれば(S200でyes)、次に省燃費モードのレベルが判定される(S204)。図7に示すごとくレベル1の場合には目標冷却水温THWtは95℃に設定され(S206)、レベル2の場合には目標冷却水温THWtは97.5℃に設定され(S208)、レベル3の場合には目標冷却水温THWtは100℃に設定される(S210)。
【0060】
したがって省燃費モードのレベル1が設定された場合には、前記図2に示した内燃機関運転状態に応じた冷却水温調節においては上限である冷却水温(95℃)となるように冷却水温THWが調節される。
【0061】
更に、レベル2の場合には更に高い97.5℃が目標冷却水温THWtとされ、レベル3の場合には更に高い100℃が目標冷却水温THWtとされる。
図8のタイミングチャートに本実施の形態の制御の一例を示す。タイミングt10前は省燃費モードはOFFであることから(S200でno)、内燃機関運転状態に応じた冷却水温調節が実行される(S202)。しかしタイミングt10にてドライバーが省燃費モード設定ダイヤルスイッチを操作してレベル1に設定したため(S200でyes)、目標冷却水温THWtは95℃に設定される(S206)。更にタイミングt11ではドライバーがレベル2に設定したため、目標冷却水温THWtは97.5℃に設定される(S208)。更にタイミングt12ではドライバーがレベル3に設定したため、目標冷却水温THWtは100℃に設定される(S210)。このことにより図8にてハッチングで示す分、通常時よりも冷却水温THWが上昇する。
【0062】
レベル3に設定している期間のタイミングt13にてドライバーが加速操作を実行することにより、省燃費モードが自動的に解除(OFF)され(S200でno)、前記図2に示した内燃機関運転状態に応じた冷却水温調節に戻る(S202)。しかし、加速操作直後は内燃機関2は一時的に高温状態での高負荷となる。このためノックコントロールにより点火時期が遅角される。したがって内燃機関2の動力性能低下により加速のもたつきが生じる。ただしこの加速操作のタイミングは、省燃費モード実行中での加速操作であるとドライバーに認識されるので、ドライバーには違和感は生じない。
【0063】
上述した構成において、請求項との関係は、省燃費モード設定ダイヤルスイッチが省燃費モード設定手段に相当し、ECUが高水温化手段及び負荷対応水温調節手段に相当する。このECUが実行する処理の内で、ステップS200,S204〜S210が高水温化手段としての処理に、内燃機関運転状態に応じた冷却水温調節(S202)が負荷対応水温調節手段としての処理に相当する。
【0064】
以上説明した本実施の形態4によれば、以下の効果が得られる。
(イ).このように省燃費モード設定ダイヤルスイッチに対するドライバーの指示によりなされる省燃費モードとして冷却水温THWを高水温側に調節する処理を実行している(S206〜S210)。このためドライバーに省燃費モードであると識別された状況下にて冷却水温を高水温側に調節していることになる。この高水温化の状態にて、ドライバーが加速操作を行うと、高水温状態で高負荷化することによりノッキング頻度が高まり、ノッキング防止のために点火遅角制御が実行される。
【0065】
この点火遅角制御により動力性能が低下するので一時的に加速にもたつきを生じるが、この時、ドライバーは、省燃費モード設定ダイヤルスイッチに対する操作により省燃費モードが実行されていることを認識している。この認識と加速のもたつきとは対応していることから違和感を抱くことはない。
【0066】
このようにして冷却水を従来より高温化してもドライバーに違和感を生じさせないようにすることができるので更なる燃費向上を実現させることができる。
(ロ).前記実施の形態1の(ロ)の効果を生じる。
【0067】
[その他の実施の形態]
(a).前記各実施の形態において、クルーズコントロールや省燃費モードを実行していない時には、前記図2に示したごとく内燃機関運転状態に応じた冷却水温調節を行っているが、このような通常時における冷却水温調節は特に実行しなくても良い。前記図2に示した制御を実行しない内燃機関においても、クルーズコントロールや省燃費モードを実行している時に冷却水温THWを高水温側に調節することにより、あるいは省燃費モードとして冷却水温THWを高水温側に調節する処理を実行することにより、前記各実施の形態にて(イ)に述べた効果を生じる。
【0068】
(b).前記各実施の形態では、クルーズコントロールや省燃費モードを実行している時には、目標冷却水温THWtを高温側の特定温度に固定したが、これ以外に、前記図2から算出される目標冷却水温THWtを上昇補正する処理を、クルーズコントロールや省燃費モードを実行している時に実行しても良い。
【0069】
例えば、前記実施の形態1〜3においては、内燃機関運転状態に基づいて得られる目標冷却水温THWtに対して、一律、5℃上昇の補正を行っても良い。あるいは5%の上昇補正を行っても良い。
【0070】
前記実施の形態4については、レベル1では2℃あるいは2%、レベル2では4℃あるいは4%、レベル3では6℃あるいは6%上昇する補正を行っても良い。
(c).前記図1にて説明した構成では電子サーモスタットを用いた冷却水温調節機構であったが、電子サーモスタットの代わりに電磁バルブを用いて、ラジエータにて放熱される冷却水とメインバイパス通路を流れる冷却水との割合を調節するようにしても良い。
【0071】
(d).前記各実施の形態にて示した目標冷却水温THWtの値は一例であり、内燃機関の種類によって適切な目標冷却水温THWtの値を適宜調整する。
(e).前記実施の形態4において、省燃費モード時の目標冷却水温THWtは段階的に設定したが、無段階に設定するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】実施の形態1の車両用内燃機関制御装置及び冷却水温調節機構の概略構成を表すブロック図。
【図2】内燃機関運転状態に基づいて設定される目標冷却水温THWtの状態説明図。
【図3】実施の形態1,2にてECUが実行する冷却水温制御処理のフローチャート。
【図4】実施の形態1の制御の一例を示すタイミングチャート。
【図5】実施の形態3にてECUが実行する冷却水温制御処理のフローチャート。
【図6】実施の形態4にてECUが実行する冷却水温制御処理のフローチャート。
【図7】実施の形態4にて省燃費モードレベル毎の目標冷却水温THWtを示すグラフ。
【図8】実施の形態4の制御の一例を示すタイミングチャート。
【符号の説明】
【0073】
2…車両用内燃機関、4…出口通路、6…冷却通路、8,10…バイパス通路、12…ラジエータ、14…電子サーモスタット、14a…PTCヒータ、16…入口通路、18…ウォータポンプ、20…ECU、22…回転数センサ、24…エアフロメータ、25…ノックセンサ、26…水温センサ、27…他のセンサ・スイッチ類。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の冷却水温を調節する冷却水温調節機構を備え、ノッキング防止のための点火遅角制御が実行されている車両用内燃機関の制御装置であって、
前記車両用内燃機関がドライバーの出力操作に対して通常発揮できる動力性能よりも抑制された動力性能となる内燃機関制御がなされていることがドライバーに識別できる状況下において、前記冷却水温調節機構により冷却水温を高水温側に調節することを特徴とする内燃機関制御装置。
【請求項2】
内燃機関の冷却水温を調節する冷却水温調節機構を備え、ノッキング防止のための点火遅角制御が実行されている車両用内燃機関の制御装置であって、
ドライバーの出力操作に対して通常発揮できる動力性能よりも抑制された動力性能となる内燃機関制御を、ドライバーの指示に基づいて実行する運転制御手段と、
前記運転制御手段により前記内燃機関制御が実行されている場合には、前記冷却水温調節機構により冷却水温を高水温側に調節する高水温化手段と、
を備えたことを特徴とする内燃機関制御装置。
【請求項3】
請求項2において、前記運転制御手段が実行する内燃機関制御とは、省燃費モードを実行する制御であることを特徴とする内燃機関制御装置。
【請求項4】
内燃機関の冷却水温を調節する冷却水温調節機構を備え、ノッキング防止のための点火遅角制御が実行されている車両用内燃機関の制御装置であって、
前記車両用内燃機関に対して通常より緩慢な加速を実行する内燃機関制御がなされていることがドライバーに識別できる状況下において、前記冷却水温調節機構により冷却水温を高水温側に調節することを特徴とする内燃機関制御装置。
【請求項5】
内燃機関の冷却水温を調節する冷却水温調節機構を備え、ノッキング防止のための点火遅角制御が実行されている車両用内燃機関の制御装置であって、
前記車両用内燃機関に対して通常より緩慢な加速を実行する内燃機関制御を、ドライバーの指示に基づいて実行する運転制御手段と、
前記運転制御手段により前記内燃機関制御が実行されている場合には、前記冷却水温調節機構により冷却水温を高水温側に調節する高水温化手段と、
を備えたことを特徴とする内燃機関制御装置。
【請求項6】
請求項5において、前記運転制御手段が実行する内燃機関制御とは、クルーズコントロールであることを特徴とする内燃機関制御装置。
【請求項7】
内燃機関の冷却水温を調節する冷却水温調節機構を備え、ノッキング防止のための点火遅角制御が実行されている車両用内燃機関の制御装置であって、
ドライバーの指示によりなされる省燃費モードとして、前記冷却水温調節機構により冷却水温を高水温側に調節する処理を実行することを特徴とする内燃機関制御装置。
【請求項8】
内燃機関の冷却水温を調節する冷却水温調節機構を備え、ノッキング防止のための点火遅角制御が実行されている車両用内燃機関の制御装置であって、
ドライバーの指示に基づいて、省燃費モードを設定する省燃費モード設定手段と、
前記省燃費モード設定手段により省燃費モードが設定された場合には、前記冷却水温調節機構により冷却水温を高水温側に調節する高水温化手段と、
を備えたことを特徴とする内燃機関制御装置。
【請求項9】
請求項2、3、5、6又は8において、前記冷却水温調節機構により冷却水温を、内燃機関の負荷の低下の程度に応じて高水温側に調節する負荷対応水温調節手段を備え、
前記高水温化手段は、前記負荷対応水温調節手段による高水温化よりも、より高温側への冷却水高温化を実行することを特徴とする内燃機関制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−68745(P2008−68745A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−249391(P2006−249391)
【出願日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】