説明

内燃機関

【課題】燃焼室におけるEGRガスの濃度が高い吸気とEGRガスの濃度が低い吸気との混合を低減し、成層化を促進する内燃機関を提供する。
【解決手段】切替弁23は、燃焼室26に接続する第二通路部22の接続先を、機関本体11の運転条件に応じて低EGR吸気通路部16または高EGR吸気通路部17に切り替える。第一通路部21から燃焼室26へ流入する吸気と第二通路部22から燃焼室26へ流入する吸気は、燃焼室26において性質の異なる流れを形成し、互いの混合が低減される。第二通路部22の接続先を切替弁23で切り替えることにより、機関本体11の吸気行程の後半にEGRガスの濃度の高い吸気が燃焼室26へ吸入される。そのため、第一通路部21から流入するEGRガスの濃度の低い吸気と第二通路部22から流入するEGRガスの濃度の高い吸気との混合は低減される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気再循環(EGR:Exhaust Gas Recirculation)を行う内燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば内燃機関の排気や窒素など、燃料の燃焼に寄与しない不活性ガスを内燃機関の燃焼室へ供給することにより、燃焼温度を低下させ、NOxの生成を抑制することが知られている。このような内燃機関として、特許文献1は、燃焼室に二つのポートを接続している。特許文献1の場合、このポートの一方から燃焼室へ排気を含まない新鮮な新気を供給するとともに、ポートの他方から燃焼室へ新気とともに排気を供給している。これにより、特許文献1では、燃焼室において新気の領域と排気を含む吸気の領域とを形成している。
【0003】
しかしながら、特許文献1の場合、燃焼室には、新気と排気を含む吸気とが同時に流入する。そのため、流入した新気と排気を含む吸気とは、燃焼室において混合し、燃焼室の全体で均質化するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−30511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の目的は、燃焼室におけるEGRガスの濃度が高い吸気とEGRガスの濃度が低い吸気との混合を低減し、成層化を促進する内燃機関を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明では、切替手段は、燃焼室に接続する第二通路部の接続先を低EGR吸気通路部または高EGR吸気通路部に切り替える。ここで、低EGR吸気通路部は、排気還流部を経由して戻されるEGRガスの濃度が低い吸気が流れる。また、高EGR吸気通路は、排気還流部を経由して戻されるEGRガスの濃度が低EGR吸気通路部よりも高い吸気が流れる。さらに、第一通路部から燃焼室に流入した吸気は、燃焼室を形成する機関本体の壁面に沿った流れを形成する。一方、第二通路部から燃焼室に流入した吸気は、燃焼室の中心軸に沿った流れを形成する。この構成において、機関本体の運転条件に応じて切替手段で第二通路部の接続先を低EGR吸気通路部または高EGR吸気通路部に切り替えることにより、第一通路部から燃焼室へ流入した吸気と第二通路部から燃焼室へ流入した吸気との混合は低減される。すなわち、第一通路部および第二通路部から流入した吸気は、互いに燃焼室において性質の異なる流れを形成し、互いの混合が低減される。また、第二通路部の接続先を切替手段で切り替えることにより、EGRガスの濃度の高い吸気は第二通路部から燃焼室へ流入する時期が制御される。そのため、燃焼室における吸気の流れに応じてEGRガスの濃度の高い吸気が燃焼室へ吸入され、第一通路部から流入するEGRガスの濃度の低い吸気と第二通路部から流入するEGRガスの濃度の高い吸気との混合が低減される。したがって、燃焼室へ戻すEGRガスの量が増大しても、燃焼室におけるEGRガスの濃度の低い吸気とEGRガスの濃度の高い吸気との成層化を促進することができる。
【0007】
請求項2記載の発明では、切替手段は、第二通路部の接続先を切り替えることにより、EGRガスの濃度の高い吸気に先立ってEGRガスの濃度の低い吸気を燃焼室へ供給する。これにより、燃焼室には、まずEGRガスの濃度の低い吸気が吸入される。そのため、燃焼室の第二通路部から遠い位置には、EGRガスの濃度の低い吸気の領域が形成される。これに引き続き第二通路部から燃焼室へEGRガスの濃度の高い吸気を供給することにより、第二通路部から供給されたEGRガスの濃度の高い吸気は、第一通路部から吸入されたEGRガスの濃度の低い吸気および第二通路部から予め供給されたEGRガスの濃度の低い吸気の領域に包まれた状態となる。特に、EGRガスの濃度の高い吸気をEGRガスの濃度の低い吸気に引き続き供給することにより、EGRガスの濃度の高い吸気は機関本体の吸気行程の遅い時期に燃焼室へ供給される。その結果、EGRガスの濃度の高い吸気は、EGRガスの濃度の低い吸気との接触時間が短縮されるだけでなく、その接触面積も減少する。したがって、燃焼室におけるEGRガスの濃度の低い吸気とEGRガスの濃度の高い吸気との混合が低減され、成層化を促進することができる。
【0008】
請求項3記載の発明では、高EGR吸気通路部と低EGR吸気通路部とを接続する接続通路部を備えている。高EGR吸気通路部を流れるEGRガスは、機関本体から排出された排気を多く含むため、低EGR吸気通路部の圧力よりも高い。そのため、接続通路部を設けることにより、EGRガスの濃度の高い吸気は接続通路部を経由して高EGR吸気通路部から低EGR吸気通路部へ流れる。これにより、第二通路部を経由して燃焼室へ吸入する吸気ではEGRガスが不足するとき、第一通路部から燃焼室へEGRガスの濃度の高い吸気が供給される。したがって、燃焼室において第一通路部または第二通路部から供給される吸気に含まれるEGRガスの濃度を調整することができ、成層化を促進することができる。また、接続通路部で高EGR吸気通路部と低EGR吸気通路部とを接続することにより、第一通路部および第二通路部を流れる吸気の圧力を均一化することができる。
【0009】
請求項4記載の発明では、排気還流制御手段は、実濃度が目標濃度よりも大きいとき、排気還流部を経由して低EGR吸気通路部へ戻すEGRガスの量を減らす。機関本体から排出された排気は、低EGR吸気通路部および高EGR吸気通路部へそれぞれ戻されている。そこで、実濃度検出手段で検出した実濃度が目標とする目標濃度よりも大きいとき、排気還流制御手段は、排気還流部を経由して低EGR吸気通路部へ戻されるEGRガスの量を減らしている。これにより、第一通路部から燃焼室へ吸入される吸気に含まれるEGRガスが減少する。すなわち、機関本体に吸入される新鮮な空気の割合が増加し、機関本体を循環するEGRガスの濃度は全体的に減少する。したがって、燃焼室に吸入される吸気に含まれるEGRガスの濃度を高精度に制御することができる。
【0010】
請求項5記載の発明では、切替制御手段は、排気還流部を経由して低EGR吸気通路部へ戻すEGRガスの量を減らしても実濃度が目標濃度よりも大きいとき、第二通路部の接続先を低EGR吸気通路部へ切り替える。これにより、燃焼室には、低EGR吸気通路部からEGRガスの濃度の低い吸気が流入する。その結果、燃焼室におけるEGRガスの濃度の最大値が低下する。したがって、燃焼室に吸入される吸気に含まれるEGRガスの濃度を高精度に制御することができる。
【0011】
請求項6記載の発明では、排気還流制御手段は、排気還流部を経由して低EGR吸気通路部へ戻すEGRガスの量を減らしても実濃度が目標濃度よりも高いとき、排気還流部を経由して高EGR吸気通路部へ戻すEGRガスの量を減らす。これにより、高EGR吸気通路部の圧力は低下するため、低EGR吸気通路部におけるEGRガスの濃度の低い吸気は接続通路部を経由して高EGR吸気通路部へ流入する。つまり、低EGR吸気通路部を流れるEGRガスの濃度の低い吸気は、接続通路部を経由して高EGR吸気通路部へ導入される。その結果、低EGR吸気通路部だけでなく高EGR吸気通路部を経由して燃焼室へ吸入される吸気も、含まれるEGRガスの濃度が減少する。したがって、燃焼室に吸入される吸気に含まれるEGRガスの濃度を高精度に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施形態による内燃機関の機械的な構成を示す模式図
【図2】第1実施形態による内燃機関の切替弁の近傍を拡大した模式図
【図3】第1実施形態による内燃機関の電気的な構成を示すブロック図
【図4】第1実施形態による内燃機関における吸気の流れを示す模式図
【図5】第1実施形態による内燃機関において、吸気バルブの開度および切替弁の位置の時間的な変化を説明するための概略図
【図6】第1実施形態による内燃機関において、吸気バルブの開度および切替弁の位置の時間的な変化を説明するための概略図
【図7】全吸気量に占める高EGRガスの割合と成層度との関係を示す模式図
【図8】第1実施形態による内燃機関の制御の流れを示す概略図
【図9】第2実施形態による内燃機関の制御の流れを示す概略図
【図10】第3実施形態による内燃機関の制御の流れを示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、内燃機関の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、複数の実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
(第1実施形態)
第1実施形態による内燃機関としてのディーゼルエンジンを図1に示す。ディーゼルエンジン10は、機関本体11、排気系12、吸気系13、ターボチャージャ14、排気還流部15、低EGR吸気通路部16、高EGR吸気通路部17、第一通路部21、第二通路部22、切替手段としての切替弁23および接続通路部24を備えている。機関本体11は、図示しないシリンダブロック、シリンダヘッドおよびピストンなどを有しており、複数のシリンダ25を有している。機関本体11は、この複数のシリンダ25に対応して複数の燃焼室26を形成している。燃焼室26は、図示しないシリンダブロック、シリンダヘッドおよびピストンの間に形成されている。
【0014】
排気系12は、排気マニホールド31および排気通路部32を有している。排気マニホールド31および排気通路部32は、排気通路33を形成している。排気通路部32から分岐する排気マニホールド31は、機関本体11の各燃焼室26に接続している。機関本体11の燃焼室26から排出された排気は、排気マニホールド31および排気通路部32が形成する排気通路33を経由して大気中へ放出される。排気系12は、排気浄化部34を有している。排気浄化部34は、例えば酸化触媒、還元触媒およびDPF(Diesel Particulate Filter)などを有している。排気浄化部34は、排気に含まれるNOxやPM(Particulate Matter)などを、酸化若しくは還元などの化学反応または吸着などの物理的な作用によって浄化する。
【0015】
吸気系13は、吸気通路部41、スロットルバルブ42およびインタークーラ43を有している。吸気通路部41は、吸気通路44を形成している。吸気通路44は、一方の端部が大気に開放している。機関本体11に吸入される新鮮な吸気は、大気に開放している吸気通路44の端部から吸入される。スロットルバルブ42は、吸気通路44を開閉し、吸気通路44を流れる吸気の流量を制御する。
【0016】
ターボチャージャ14は、タービン47およびコンプレッサ48を有している。タービン47は、排気通路33に設けられており、排気通路33を流れる排気によって回転する。コンプレッサ48は、吸気通路44に設けられている。コンプレッサ48は、図示しないシャフトによってタービン47に接続されている。これにより、コンプレッサ48は、タービン47の回転がシャフトを経由して伝達される。そのため、排気の流れによってタービン47が回転すると、コンプレッサ48も回転する。その結果、吸気通路44を流れる吸気は、コンプレッサ48の回転によって圧縮される。圧縮されることにより温度が上昇した吸気は、インタークーラ43で冷却された後、機関本体11側へ供給される。
【0017】
排気還流部15は、低圧側還流部51および高圧側還流部52を有している。低圧側還流部51は、排気系12における排気の流れ方向において排気浄化部34よりも下流側から分岐している。すなわち、低圧側還流部51は、ターボチャージャ14のタービン47および排気浄化部34を通過した排気が流れる。排気は、ターボチャージャ14のタービン47および排気浄化部34を通過することにより、運動エネルギーが減少する。そのため、低圧側還流部51へ流入する排気は、圧力が低下している。低圧側還流部51は、吸気通路部41に接続している。これにより、排気通路33を流れる排気の一部は、低圧側還流部51が形成する低圧側還流通路53を経由して吸気通路部41が形成する吸気通路44へEGRガスとして戻される。低圧側還流部51は、低圧側開閉弁54を有している。低圧側開閉弁54は、低圧側還流通路53を開閉する。低圧側還流通路53を経由して排気通路33から吸気通路44へ戻されるEGRガスの流量は、低圧側開閉弁54によって制御される。
【0018】
高圧側還流部52は、排気系12における排気の流れ方向においてターボチャージャ14のタービン47よりも上流側から分岐している。すなわち、高圧側還流部52は、ターボチャージャ14のタービン47を通過する前の運動エネルギーを保持した排気が流れる。そのため、高圧側還流部52へ流入する排気は、低圧側還流部51を経由する排気に比較して圧力が高い。高圧側還流部52は、高圧側還流通路56を形成している。高圧側還流部52は、高圧側開閉弁57を有している。高圧側還流通路56を経由して排気通路33から機関本体11側へ戻されるEGRガスの流量は、高圧側開閉弁57によって制御される。
【0019】
低EGR吸気通路部16は、低EGR吸気通路61を形成している。低EGR吸気通路部16は、吸気通路部41に接続している。これにより、低EGR吸気通路61は、吸気通路部41が形成する吸気通路44のうち、大気に開放されている側と反対側の端部に接続している。低EGR吸気通路61を流れる吸気は、吸気通路44を経由して吸入された新鮮な空気と、低圧側還流部51を経由して戻された排気すなわちEGRガスとが混合されている。すなわち、低EGR吸気通路部16が形成する低EGR吸気通路61を流れる吸気は、新鮮な空気とEGRガスとが混合され、EGRガスの濃度が低くなっている。
【0020】
高EGR吸気通路部17は、高EGR吸気通路62を形成している。高EGR吸気通路部17は、高圧側還流部52に接続している。これにより、高EGR吸気通路62は、高圧側還流部52が形成する高圧側還流通路56に接続している。そのため、排気通路33を流れる排気の一部は、高圧側還流部52が形成する高圧側還流通路56を経由して高EGR吸気通路部17が形成する高EGR吸気通路62へEGRガスとして戻される。高EGR吸気通路62を流れる吸気は、高圧側還流部52を経由して戻されたEGRガスが主である。そのため、高EGR吸気通路部17が形成する高EGR吸気通路62を流れる吸気は、低EGR吸気通路部16が形成する低EGR吸気通路61を流れる吸気よりもEGRガスの濃度が高い。換言すると、高EGR吸気通路62を流れる吸気に含まれる酸素の濃度は、低EGR吸気通路61を流れる吸気に含まれる酸素の濃度よりも低い。
【0021】
第一通路部21は、図1および図2に示すように低EGR吸気通路部16に接続している。第一通路部21の低EGR吸気通路部16と反対側の端部は、機関本体11が形成する複数の燃焼室26にそれぞれ接続している。これにより、第一通路部21が形成する第一通路71は、一方の端部が低EGR吸気通路61に接続し、他方の端部が燃焼室26に接続している。第一通路71から燃焼室26へ流入した吸気は、燃焼室26を形成する機関本体11の壁面に沿った流れ、いわゆるスワール流を形成する。すなわち、第一通路71から燃焼室26へ流入した吸気は、自身の運動エネルギーにより、燃焼室26の中心を軸として回転する旋回流を形成する。
【0022】
第二通路部22は、低EGR吸気通路部16および高EGR吸気通路部17に接続している。第二通路部22の低EGR吸気通路部16および高EGR吸気通路部17と反対側の端部は、機関本体11が形成する複数の燃焼室26にそれぞれ接続している。これにより、第二通路部22が形成する第二通路72は、一方の端部が低EGR吸気通路61および高EGR吸気通路62に接続し、他方の端部が燃焼室26に接続している。第二通路72から燃焼室26へ流入した吸気は、燃焼室26の中心軸に沿った流れ、いわゆるタンブル流を形成する。すなわち、第二通路72から燃焼室26へ流入した吸気は、自身の運動エネルギーにより、燃焼室26の中心軸の延長上に縦方向の旋回流を形成する。
【0023】
切替弁23は、第二通路部22と低EGR吸気通路部16および高EGR吸気通路部17との間に設けられている。切替弁23は、第二通路部22が形成する第二通路72の接続先を、低EGR吸気通路部16が形成する低EGR吸気通路61、または高EGR吸気通路部17が形成する高EGR吸気通路62に切り替える。このとき、切替弁23は、第二通路72の接続先を低EGR吸気通路61または高EGR吸気通路62のいずれか一方に選択的に切り替えるだけでなく、任意の割合で低EGR吸気通路61および高EGR吸気通路62の双方に接続する構成でもよい。
【0024】
接続通路部24は、図1に示すように低EGR吸気通路部16と高EGR吸気通路部17とを接続している。接続通路部24は、接続通路75を形成している。これにより、接続通路部24が形成する接続通路75は、低EGR吸気通路部16が形成する低EGR吸気通路61と、高EGR吸気通路部17が形成する高EGR吸気通路62とを接続している。ディーゼルエンジン10は、この接続通路部24に通路開閉弁76を備えている。通路開閉弁76は、接続通路部24が形成する接続通路75を開閉する。
【0025】
ディーゼルエンジン10は、図3に示すように制御手段としてのECU(Engine Control Unit)80を備えている。ECU80は、図示しないCPU、ROMおよびRAMを有するマイクロコンピュータで構成されている。ECU80は、切替弁23、スロットルバルブ42、低圧側開閉弁54、高圧側開閉弁57および通路開閉弁76と接続している。ECU80は、駆動信号を出力することにより、切替弁23、スロットルバルブ42、低圧側開閉弁54、高圧側開閉弁57および通路開閉弁76を電気的に駆動する。ECU80は、さらに濃度センサ81、回転数センサ82およびアクセル開度センサ83と接続している。濃度センサ81は、燃焼室26に吸入される吸気に含まれる酸素の濃度を検出する。濃度センサ81は、検出した酸素の濃度を、電気信号としてECU80へ出力する。濃度センサ81は、複数の燃焼室26にそれぞれ設け、燃焼室26における酸素の濃度を検出してもよく、低EGR吸気通路61および高EGR吸気通路62にそれぞれ設け、吸気に戻されるEGRガスの酸素の濃度を検出してもよい。回転数センサ82は、機関本体11の回転数を検出する。回転数センサ82は、検出した機関本体11の回転数を電気信号としてECU80へ出力する。アクセル開度センサ83は、図示しないアクセルペダルの踏み込み量を検出する。アクセル開度センサ83は、検出したアクセルペダルの踏み込み量を電気信号としてECU80へ出力する。
【0026】
ECU80は、ROMに記憶されたコンピュータソフトウェアを実行することにより、運転条件判断部85、切替制御部86、目標濃度算出部87、実濃度検出部88および排気還流制御部89をソフトウェア的に実現している。なお、運転条件判断部85、切替制御部86、目標濃度算出部87、実濃度検出部88および排気還流制御部89は、ハードウェア的に実現してもよい。運転条件判断部85は、回転数センサ82およびアクセル開度センサ83から出力された電気信号に基づいて、機関本体11の運転条件を判断する。すなわち、運転条件判断部85は、回転数センサ82で取得した機関本体11の回転数、およびアクセル開度センサ83で取得したアクセルペダルの踏み込み量などに基づいて、機関本体11の負荷状態など機関本体11が運転されている条件を判断する。切替制御部86は、運転条件判断部85で判断された機関本体11の運転条件に基づいて、切替弁23を駆動する。すなわち、切替制御部86は、切替弁23に駆動信号を出力することにより、切替弁23を駆動して、第二通路72の接続先を低EGR吸気通路61または高EGR吸気通路62に切り替える。
【0027】
目標濃度算出部87は、運転条件判断部85で判断された機関本体11の運転条件に基づいて、機関本体11で要求されるEGRガスの目標濃度を算出する。機関本体11で要求されるEGRガスの濃度は、機関本体11の運転条件に応じたマップや関数としてECU80のROMに記憶されている。これにより、目標濃度算出部87は、運転条件判断部85で判断された運転条件に合致するEGRガスの濃度を算出する。実濃度検出部88は、濃度センサ81で取得した酸素の濃度に基づいて吸気に含まれるEGRガスの濃度を検出する。EGRガスを含む吸気は、EGRガスによって通常の空気に比較して酸素の濃度が低下している。この酸素の濃度は、吸気に含まれるEGRガスすなわち排気の濃度に相関する。そこで、実濃度検出部88は、濃度センサ81で取得した酸素の濃度に基づいて、機関本体11に供給される吸気におけるEGRガスの濃度を検出する。このように、濃度センサ81および実濃度検出部88は、特許請求の範囲における実濃度検出手段に相当する。
【0028】
排気還流制御部89は、低圧側開閉弁54および高圧側開閉弁57を駆動して、機関本体11に吸入される吸気に含まれるEGRガスの濃度を制御する。具体的には、排気還流制御部89は、実濃度検出部88で検出したEGRガスの実濃度と、運転条件に応じて目標濃度算出部87で算出した目標濃度とを比較する。排気還流制御部89は、この比較によって実濃度が目標濃度よりも大きいと判断すると、排気還流部15を経由して排気通路33から機関本体11へ戻すEGRガスの量を減らす。一方、排気還流制御部89は、実濃度が目標濃度よりも小さいと判断すると、排気還流部15を経由して排気通路33から機関本体11へ戻すEGRガスの量を増やす。具体的には、排気還流制御部89は、実濃度が目標濃度よりも大きいとき、低圧側開閉弁54で低圧側還流通路53の開度を縮小し、高圧側開閉弁57で高圧側還流通路56の開度を縮小する。これにより、低圧側還流通路53または高圧側還流通路56を経由して低EGR吸気通路61または高EGR吸気通路62へ戻されるEGRガスの量を減少させる。その結果、燃焼室26へ吸入される吸気は、EGRガスの濃度が低下する。一方、排気還流制御部89は、実濃度が目標濃度よりも小さいとき、低圧側開閉弁54で低圧側還流通路53の開度を拡大し、高圧側開閉弁57で高圧側還流通路56の開度を拡大する。これにより、低圧側還流通路53または高圧側還流通路56を経由して低EGR吸気通路61または高EGR吸気通路62へ戻されるEGRガスの量を増加させる。その結果、燃焼室26へ吸入される吸気は、EGRガスの濃度が上昇する。
【0029】
ここで、機関本体11の運転条件によっては、例えば低圧側還流通路53を経由して低EGR吸気通路61へ戻すEGRガスの量を減少させても、実濃度が目標濃度よりも大きいことも生じる。この場合、切替制御部86は、切替弁23を駆動し、第二通路72の接続先を、低EGR吸気通路61へ切り替える。これにより、第二通路72には、低EGR吸気通路61からEGRガスの濃度が低い吸気が流入する。その結果、第二通路72を経由して燃焼室26へ吸入される吸気は、EGRガスの濃度が低下する。
【0030】
次に、上記の構成によるディーゼルエンジン10の具体的な作用について説明する。
まず、切替弁23を含む機関本体11の詳細な構成および切替弁23の作動の時期について説明する。
機関本体11の燃焼室26は、図4に示すように第一通路部21および第二通路部22が接続している。この第一通路部21が形成する第一通路71と燃焼室26との間は、吸気バルブ91によって開閉される。同様に、第二通路部22が形成する第二通路72と燃焼室26との間は、吸気バルブ92によって開閉される。切替制御部86は、機関本体11が吸気行程、すなわちピストン93がシリンダ25の内側を上死点から下死点へ下降するとき、切替弁23を駆動する。これにより、切替制御部86は、機関本体11が吸気行程にあるとき、第二通路部22の接続先を低EGR吸気通路部16または高EGR吸気通路部17に切り替える。
【0031】
具体的には、機関本体11が吸気行程に移行する前、図4(A)に示すように機関本体11の吸気バルブ91および吸気バルブ92は閉弁している。そのため、第一通路71および第二通路72と燃焼室26との間は遮断されている。このとき、ピストン93は、上死点に位置している。機関本体11が吸気行程に移行すると、図4(B)に示すように機関本体11の吸気バルブ91および吸気バルブ92が開弁する。このとき、ピストン93は、上死点から下死点へ下降する。第一通路部21は、低EGR吸気通路部16に常に接続している。そのため、第一通路部21が形成する第一通路71は、低EGR吸気通路部16が形成する低EGR吸気通路61からEGRガスの濃度の低い低EGRガスが流入する。第一通路71から燃焼室26へ流入した低EGRガスは、燃焼室26を形成する機関本体11の壁面に沿って旋回するスワール流を形成する。
【0032】
一方、切替制御部86は、吸気行程の初期において、切替弁23による第二通路部22の接続先を、低EGR吸気通路部16に切り替えている。そのため、第二通路部22が形成する第二通路72は、低EGR吸気通路部16が形成する低EGR吸気通路61からEGRガスの濃度の低い低EGRガスが流入する。第二通路72から燃焼室26へ流入した低EGRガスは、燃焼室26を形成する機関本体11の中心軸に沿ってピストン93の移動方向へ旋回するタンブル流を形成する。これらの結果、低EGRガスは、燃焼室26の径方向外側およびピストン93に近い側に低EGRガスの領域を形成する。このとき、切替弁23は、高EGR吸気通路部17と第二通路部22との間を遮断している。そのため、高EGR吸気通路部17が形成する高EGR吸気通路62は、第二通路部22が形成する第二通路72と接続していない。その結果、EGRガスの濃度の高い高EGRガスは、切替弁23によって高EGR吸気通路62に留められている。なお、説明を簡単にするために、図4は、高EGRガスを網掛け模様で示し、低EGRガスを無地模様で示している。
【0033】
切替制御部86は、機関本体11が吸気行程に移行して予め設定した期間が経過すると、図4(B)に示すように第二通路部22の接続先を高EGR吸気通路部17へ切り替える。そのため、第二通路部22が形成する第二通路72は、高EGR吸気通路部17が形成する高EGR吸気通路62から高EGRガスが流入する。これにより、燃焼室26には、第二通路部22が形成する第二通路72に残留する低EGRガスに続いて、高EGRガスが流入する。第二通路72から燃焼室26へ流入した高EGRガスは、燃焼室26を形成する機関本体11の中心軸に沿ってピストン93の移動方向へ旋回するタンブル流を形成する。切替制御部86は、予め設定した期間が経過すると、図4(C)に示すように再び第二通路部22の接続先を低EGR吸気通路部16へ切り替える。そのため、第二通路部22が形成する第二通路72は、低EGR吸気通路部16が形成する低EGR吸気通路61から低EGRガスが流入する。
【0034】
ピストン93が下死点に到達し、機関本体11が吸気行程から圧縮行程に移行すると、図4(D)に示すように吸気バルブ91および吸気バルブ92は閉弁する。吸気バルブ92が閉弁する時期は、高EGR吸気通路62から第二通路72に流入した高EGRガスがほぼすべて燃焼室26へ流入した時期にあわせられている。そのため、第二通路72に流入した高EGRガスは、吸気バルブ92が閉弁するまでの間に燃焼室26へ流入する。一方、第二通路部22が形成する第二通路72には、切替弁23の切替によって低EGR吸気通路61から第二通路72へ流入した低EGRガスが満たされている。この第二通路72に満たされた低EGRガスは、機関本体11が次回の吸気行程に移行したとき、高EGRガスに先立って燃焼室26へ吸入される。
【0035】
このように、本実施形態では、切替制御部86は、切替弁23による第二通路72の接続先を切り替える時期を制御している。これにより、機関本体11が吸気行程にあるとき、第一通路71から燃焼室26には継続的に低EGRガスが吸入され、第二通路72から燃焼室26には低EGRガスに引き続いて高EGRガスが吸入される。そのため、燃焼室26の内部には、図4(D)に示すように径方向の周辺部分に低EGRガスの領域が形成され、これに包まれるように中心付近の上部つまり図示しないシリンダヘッド側にEGRガスの濃度が高い高EGRガスの領域が形成される。本実施形態では、低EGRガスを導入する第一通路71と高EGRガスを導入する第二通路72とを分け、かつ第二通路72から高EGRガスを導入する時期を機関本体11の吸気行程の途中に設定している。そのため、燃焼室26に形成される低EGRガスの領域と高EGRガスの領域とは、図4(D)に示すように成層化すなわち領域が区画された状態で維持される。すなわち、燃焼室26において異なる吸気の流れを形成する第一通路71および第二通路72からEGRガスを燃焼室26へ導入することにより、低EGRガスと高EGRガスとの混合は抑えられる。その結果、低EGRガスと高EGRガスとの間では、EGRガスの濃度差が維持される。この形成された二つの領域は、機関本体11が圧縮行程に移行しても、領域を維持したまま、つまり成層化したまま圧縮される。
【0036】
機関本体11は、ピストンが上死点まで上昇した圧縮行程の末期に図示しない燃料噴射弁から燃料を噴射する。これにより、燃料噴射弁から噴射された燃料は、圧縮によって温度が上昇した燃焼室26において燃焼する。このとき、燃料噴射弁から燃料が噴射される燃焼室26のシリンダヘッド側の端部近傍において中心軸上には、上述の通りEGRガスの濃度の高い高EGRガスの領域が形成されている。そのため、燃料噴射弁から噴射された燃料は、高EGRガスに含まれる濃度の低い酸素によって緩やかに燃焼する。その結果、燃料の着火遅れが確保され、急激な燃焼にともなう騒音の増大および燃焼温度の急激な上昇が抑えられ、燃焼室26における温度の上昇にともなうNOxの生成も低減される。
【0037】
本実施形態の場合、図5に示すように吸気バルブ91および吸気バルブ92の開弁または閉弁時期と、切替弁23による通路の切り替え時期とは関連づけられている。具体的には、切替弁23は、図6(A)に示すように吸気バルブ92が開弁した後、図6(B)に示すように所定の期間が経過するまで、第二通路部22の接続先を低EGR吸気通路部16に切り替えている。そして、切替弁23は、吸気バルブ92が開弁してから所定の期間が経過すると、第二通路部22の接続先を高EGR吸気通路部17に切り替える。さらに、切替弁23は、一定の期間、第二通路部22の接続先を高EGR吸気通路部17に維持した後、吸気バルブ92が閉弁する前に、第二通路部22の接続先を低EGR吸気通路部16に再び切り替える。
【0038】
この場合、切替弁23による第二通路部22と低EGR吸気通路部16または高EGR吸気通路部17との接続の切り替え時期は、切替弁23から燃焼室26までの第二通路72の全長に応じて決定される。すなわち、切替弁23から燃焼室26までの第二通路72の全長が短くなるほど、第二通路72に残存する低EGRガスまたは高EGRガスは減少する。つまり、切替弁23による接続先の切り替えから燃焼室26への低EGRガスまたは高EGRガスの流入に要する期間は短縮される。そのため、例えば基準となる第二通路72の全長における切替弁23の切り替え時期を図6(B)に示すように設定したとき、第二通路72の全長が長くなるほど、図6(C)に示すように切替弁23の切り替え時期は吸気行程の前半側へ変位する。一方、第二通路72の全長が短くなるほど、図6(D)に示すように切替弁23の切り替え時期は吸気行程の後半側へ変位する。また、切替制御部86は、第二通路72から燃焼室26へ流入する高EGRガスが第一通路71から燃焼室26へ流入する低EGRガスの20%〜40%になるように切替弁23の切り替え時期を制御している。これは、燃焼室26へ流入する吸気量の全体に占める高EGRガスの濃度と、低EGRガスと高EGRガスとの成層度との間には、図7に示すような実験的な相関があるからである。
【0039】
次に、上記構成のディーゼルエンジン10における作動について図8に基づいて説明する。
ディーゼルエンジン10の運転が開始すると、運転条件判断部85は機関本体11の運転条件を判断する(S101)。具体的には、運転条件判断部85は、回転数センサ82で取得した機関本体11の回転数、およびアクセル開度センサ83で取得したアクセルペダルの踏み込み量などに基づいて機関本体11の運転条件を判断する。運転条件判断部85は、例えば図示しない水温センサで検出した機関本体11の冷却水の温度や図示しない温度センサで取得した吸気の温度なども加味してS101で判断した運転条件を補正してもよい。また、ECU80は、運転条件判断部85で判断した機関本体11の運転条件に基づいて、図示しない燃料噴射弁から燃焼室26へ噴射する燃料の量を設定する。
【0040】
目標濃度算出部87は、S101で判断された機関本体11の運転条件に基づいて、機関本体11で要求されるEGRガスの濃度を目標濃度として算出する(S102)。目標濃度算出部87は、上述のように予め記憶されているマップや関数に基づいて機関本体11の運転条件に応じた目標濃度を算出する。また、実濃度検出部88は、機関本体11に供給されるEGRガスの濃度を実濃度として検出する(S103)。すなわち、実濃度検出部88は、濃度センサ81で取得した機関本体11に供給される吸気に含まれる酸素の濃度に基づいて、吸気に含まれるEGRガスの濃度を算出する。
【0041】
S102で目標濃度を算出するとともに、S103で実濃度を検出すると、排気還流制御部89は目標濃度が実濃度よりも大きいか否かを判断する(S104)。排気還流制御部89は、目標濃度が実濃度よりも大きいと判断すると(S104:Yes)、低圧側開閉弁54または高圧側開閉弁57のいずれか一方または両方の開度を拡大する(S105)。目標濃度が実濃度よりも大きいと判断されたとき、機関本体11に吸入される吸気に含まれているEGRガスは不足していることになる。そのため、排気還流制御部89は、吸気に含まれるEGRガスを増加させるために、低圧側開閉弁54または高圧側開閉弁57のいずれか一方または両方の開度を拡大する。これにより、低圧側還流通路53を経由して低EGR吸気通路61へ戻されるEGRガスの量、または高圧側還流通路56を経由して高EGR吸気通路62へ戻されるEGRガスの量は、いずれか一方または両方が増加する。このとき、切替制御部86は、切替弁23の切り替え時期について変更しない。
【0042】
一方、排気還流制御部89は、目標濃度が実濃度よりも大きくないと判断すると(S104:No)、実濃度が目標濃度よりも大きいか否かを判断する(S106)。排気還流制御部89は、実濃度が目標濃度よりも大きいと判断すると(S106:Yes)、低圧側開閉弁54または高圧側開閉弁57のいずれか一方または両方の開度を縮小する(S107)。実濃度が目標濃度よりも大きいと判断されたとき、機関本体11に吸入される吸気に含まれているEGRガスは過剰であることになる。そのため、排気還流制御部89は、吸気に含まれるEGRガスを減少させるために、低圧側開閉弁54または高圧側開閉弁57のいずれか一方または両方の開度を縮小する。これにより、低圧側還流通路53を経由して低EGR吸気通路61へ戻されるEGRガスの量、または高圧側還流通路56を経由して高EGR吸気通路62へ戻されるEGRガスの量は、いずれか一方または両方が減少する。このとき、切替制御部86は、切替弁23の切り替え時期について変更しない。
【0043】
排気還流制御部89は、実濃度が目標濃度よりも大きくないと判断したとき(S106:No)、再びS101以降の処理を繰り返す。また、S104において目標濃度が実濃度よりも大きくないと判断され、かつS106において実濃度が目標濃度よりも大きくないと判断されたとき、実濃度は目標濃度に一致していることになる。そのため、排気還流制御部89は、低圧側開閉弁54および高圧側開閉弁57の開度を変更することなく、S101以降の処理を繰り返す。また、排気還流制御部89は、S105において低圧側開閉弁54若しくは高圧側開閉弁57の開度を拡大、またはS107において低圧側開閉弁54若しくは高圧側開閉弁57の開度を縮小すると、S101へリターンし、S101以降の処理を繰り返す。
以上の手順によって、排気還流制御部89は、低圧側開閉弁54または高圧側開閉弁57の一方または両方の開度を制御し、機関本体11に吸入される吸気に含まれているEGRガスの量を調整する。
【0044】
以上説明したように、第1実施形態では、切替弁23は、燃焼室26に接続する第二通路部22の接続先を低EGR吸気通路部16または高EGR吸気通路部17に切り替える。機関本体11の運転条件に応じて切替弁23で第二通路部22の接続先を低EGR吸気通路部16または高EGR吸気通路部17に切り替えることにより、第一通路部21から燃焼室26へ流入した吸気と第二通路部22から燃焼室26へ流入した吸気との混合は低減される。すなわち、第一通路部21および第二通路部22から流入した吸気は、互いに燃焼室26において性質の異なる流れを形成し、互いの混合が低減される。また、第二通路部22の接続先を切替弁23で切り替えることにより、EGRガスの濃度の高い吸気は第二通路部22から燃焼室26へ流入する時期が制御される。そのため、機関本体11の吸気行程の後半にEGRガスの濃度の高い吸気が燃焼室26へ吸入され、第一通路部21から流入するEGRガスの濃度の低い吸気と第二通路部22から流入するEGRガスの濃度の高い吸気との混合は低減される。したがって、燃焼室26におけるEGRガスの濃度の低い吸気とEGRガスの濃度の高い吸気との成層化を促進することができる。特に、燃焼室26へ吸入するEGRガスの濃度が高くなっても、第一通路部21から吸入する比較的EGRガスの濃度の低い吸気と第二通路部22から吸入する比較的EGRガスの濃度の高い吸気とは、燃焼室26で異なる流れを形成し、混合が回避される。したがって、循環するEGRガスの濃度に関わらず、燃焼室26における成層化を促進することができる。
【0045】
第1実施形態では、切替弁23は、第二通路部22の接続先を切り替えることにより、EGRガスの濃度の高い吸気に先立ってEGRガスの濃度の低い吸気を第二通路部22から燃焼室26へ供給する。これにより、第二通路部22が形成する第二通路72から燃焼室26には、まずEGRガスの濃度の低い吸気が吸入される。そのため、燃焼室26の第二通路72から遠い位置、すなわちピストン93に近い位置には、EGRガスの濃度の低い吸気の領域が形成される。これに引き続き第二通路72から燃焼室26へEGRガスの濃度の高い吸気を供給することにより、第二通路72から供給されたEGRガスの濃度の高い吸気は、第一通路71から吸入されたEGRガスの濃度の低い吸気および第二通路72から予め供給されたEGRガスの濃度の低い吸気に包まれた状態となる。特に、EGRガスの濃度の高い吸気をEGRガスの濃度の低い吸気に引き続き供給することにより、EGRガスの濃度の高い吸気は機関本体11の吸気行程の遅い時期に燃焼室26へ供給される。その結果、EGRガスの濃度の高い吸気は、EGRガスの濃度の低い吸気との接触時間が短縮されるだけでなく、その接触面積も減少する。したがって、燃焼室26におけるEGRガスの濃度の低い吸気とEGRガスの濃度の高い吸気との混合が低減され、成層化を促進することができる。
【0046】
第1実施形態では、低EGR吸気通路部16と高EGR吸気通路部17とを接続する接続通路部24を備えている。高EGR吸気通路部17を流れるEGRガスは、機関本体11から排出された排気を多く含むため、低EGR吸気通路部16の圧力よりも高い。そのため、接続通路部24を設けることにより、EGRガスの濃度の高い吸気は接続通路部24を経由して高EGR吸気通路部17から低EGR吸気通路部16へ流れる。これにより、第二通路部22を経由して燃焼室26へ吸入する吸気ではEGRガスが不足するとき、第一通路部21から燃焼室26へEGRガスの濃度の高い吸気が供給される。したがって、燃焼室26において第一通路部21または第二通路部22から供給される吸気に含まれるEGRガスの濃度を調整することができ、成層化を促進することができる。また、接続通路部24で低EGR吸気通路部16と高EGR吸気通路部17とを接続することにより、第一通路部21および第二通路部22を流れる吸気の圧力を均一化することができる。さらに、接続通路部24が形成する接続通路75は、通路開閉弁76で開閉する構成としてもよい。これにより、接続通路部24を経由して低EGR吸気通路部16と高EGR吸気通路部17との間を流れる吸気は、通路開閉弁76によってその流量が調整される。したがって、低EGR吸気通路部16を流れる吸気に含まれるEGRガスの濃度および高EGR吸気通路部17を流れる吸気に含まれるEGRガスの濃度を高精度に調整することができる。
【0047】
第1実施形態では、排気還流制御部89は、実濃度が目標濃度よりも大きいとき、排気還流部15を経由して低EGR吸気通路部16へ戻すEGRガスの量を減らす。これにより、第一通路部21から燃焼室26へ吸入される吸気に含まれるEGRガスが減少するとともに、機関本体11から排出され高EGR吸気通路部17を経由して戻されるEGRガスの量も減少する。すなわち、機関本体11に吸入される新鮮な空気の割合が増加し、機関本体11を循環するEGRガスの濃度は全体的に減少する。その結果、燃焼室26に吸入される吸気に含まれるEGRガスの濃度は、低EGR吸気通路部16を経由して戻されるEGRガスの量に基づいて、全体的に変更される。したがって、燃焼室26に吸入される吸気に含まれるEGRガスの濃度を制御することができる。
【0048】
なお、排気還流制御部89は、低圧側開閉弁54と高圧側開閉弁57とを独立して制御してもよい。低圧側開閉弁54の開度を制御することにより、低EGR吸気通路部16および高EGR吸気通路部17の双方においてEGRガスの濃度が変化する。すなわち、低圧側開閉弁54の開度を制御することにより、新鮮な空気に加えるEGRガスの量が変更される。そのため、低圧側開閉弁54によるEGRガスの量の制御は、機関本体11を循環するEGRガスの全体的かつ基礎的な濃度に影響する。一方、高圧側開閉弁57を制御することにより、高EGR吸気通路部17においてEGRガスの濃度が選択的に変化する。そのため、高圧側開閉弁57によるEGRガスの量の制御は、機関本体11を循環するEGRガスの濃度の最大値に影響する。したがって、低圧側開閉弁54および高圧側開閉弁57の開度を個別に制御することにより、機関本体11を循環するEGRガスの基礎的な濃度だけでなく、EGRガスの濃度の最大値を任意に調整することができる。
【0049】
(第2実施形態)
第2実施形態によるディーゼルエンジン10について説明する。
第2実施形態によるディーゼルエンジン10は、構成が第1実施形態と共通し、切替弁の切り替え時期が第1実施形態と相違している。したがって、図9に基づいて第2実施形態によるディーゼルエンジン10の制御について説明する。なお、第1実施形態と共通する制御については、説明を省略する。
ディーゼルエンジン10の運転が開始すると、運転条件判断部85は機関本体11の運転条件を判断する(S201)。目標濃度算出部87は、S201で判断された機関本体11の運転条件に基づいて、機関本体11で要求されるEGRガスの濃度を目標濃度として算出する(S202)。また、実濃度検出部88は、機関本体11に供給されるEGRガスの濃度を実濃度として検出する(S203)。
【0050】
排気還流制御部89は、S202で算出した目標濃度がS203で検出した実濃度よりも大きいか否かを判断する(S204)。排気還流制御部89は、目標濃度が実濃度よりも大きいと判断すると(S204:Yes)、低圧側開閉弁54または高圧側開閉弁57のいずれか一方または両方の開度を拡大する(S205)。一方、排気還流制御部89は、目標濃度が実濃度よりも大きくないと判断すると(S204:No)、実濃度が目標濃度よりも大きいか否かを判断する(S206)。排気還流制御部89は、実濃度が目標濃度よりも大きいと判断すると(S206:Yes)、低圧側開閉弁54または高圧側開閉弁57のいずれか一方または両方の開度を縮小する(S207)。
【0051】
ここで、排気還流制御部89は、S207において低圧側開閉弁54または高圧側開閉弁57のいずれか一方または両方の開度を縮小した後、実濃度が目標濃度よりも大きいか否かを判断する(S208)。すなわち、排気還流制御部89は、S207において低圧側開閉弁54または高圧側開閉弁57のいずれか一方または両方の開度を縮小した後、機関本体11に吸入される吸気に含まれているEGRガスが目標濃度まで減少したか否かを判断する。S208において実濃度が目標濃度よりも大きいと判断されると(S208:Yes)、切替制御部86は、切替弁23の切り替え時期を変更する(S209)。すなわち、排気還流制御部89は、S207においてEGRガスの戻し量を減少させた後、S208において実濃度が目標濃度よりも大きいか否かを判断する。S208において実濃度が目標濃度よりも大きいと判断されたとき、低圧側開閉弁54または高圧側開閉弁57の開度の縮小では吸気に含まれるEGRガスの削減が不十分であることを意味している。つまり、低圧側開閉弁54または高圧側開閉弁57の開度を縮小して排気系12から吸気系13へ戻すEGRガスの量を減らしても、実濃度が十分に低下しない状態である。そこで、切替制御部86は、第二通路部22の接続先を高EGR吸気通路部17から低EGR吸気通路部16へ切り替えるために切替弁23を駆動する時期を変更する。具体的には、切替制御部86は、第二通路部22の接続先を、低EGR吸気通路部16から高EGR吸気通路部17へ切り替える時期を遅らせる。これにより、高EGR吸気通路部17から第二通路部22へ高EGRガスが流入する時期が遅くなり、燃焼室26へ吸入される高EGRガスの量は減少する。その結果、燃焼室26におけるEGRガスの実濃度は低下する。また、この場合、切替制御部86は、第二通路部22の接続先を、高EGR吸気通路部17から低EGR吸気通路部16へ切り替える時期を早めてもよい。
【0052】
一方、S208において実濃度が目標濃度よりも大きくないと判断されると(S208:No)、排気還流制御部89は、低圧側開閉弁54または高圧側開閉弁57の開度の縮小によるEGRガスの削減が十分であると判断してS201へリターンし、S201以降の処理を繰り返す。また、排気還流制御部89は、S205において低圧側開閉弁54若しくは高圧側開閉弁57の開度を拡大したとき、S206において実濃度が目標濃度よりも大きくないと判断したとき(S206:No)、またはS209で切替制御部86において切替弁23の切り替え時期を変更すると、S201へリターンし、S201以降の処理を繰り返す。
【0053】
第2実施形態では、切替制御部86は、排気還流部15を経由して低EGR吸気通路部16へ戻すEGRガスの量を減らしても実濃度が目標濃度よりも大きいとき、第二通路部22の接続先を高EGR吸気通路部17に接続する時期であっても、低EGR吸気通路部16へ切り替える。これにより、燃焼室26には、低EGR吸気通路部16からEGRガスの濃度の低い吸気が流入する。その結果、燃焼室26におけるEGRガスの濃度の最大値が低下する。したがって、燃焼室26に吸入される吸気に含まれるEGRガスの濃度を高精度に制御することができる。
【0054】
(第3実施形態)
第3実施形態によるディーゼルエンジン10について説明する。
第3実施形態によるディーゼルエンジン10も、構成が第1実施形態と共通するのに対し、高圧側開閉弁57の開閉時期が第1実施形態と相違している。したがって、図10に基づいて第3実施形態によるディーゼルエンジン10の制御について説明する。なお、第1実施形態または第2実施形態と共通する制御については、説明を省略する。
ディーゼルエンジン10の運転が開始すると、運転条件判断部85は機関本体11の運転条件を判断する(S301)。目標濃度算出部87は、S301で判断された機関本体11の運転条件に基づいて、機関本体11で要求されるEGRガスの濃度を目標濃度として算出する(S302)。また、実濃度検出部88は、機関本体11に供給されるEGRガスの濃度を実濃度として検出する(S303)。
【0055】
排気還流制御部89は、S302で算出した目標濃度がS203で検出した実濃度よりも大きいか否かを判断する(S304)。排気還流制御部89は、目標濃度が実濃度よりも大きいと判断すると(S304:Yes)、低圧側開閉弁54または高圧側開閉弁57のいずれか一方または両方の開度を拡大する(S305)。一方、排気還流制御部89は、目標濃度が実濃度よりも大きくないと判断すると(S304:No)、実濃度が目標濃度よりも大きいか否かを判断する(S306)。排気還流制御部89は、実濃度が目標濃度よりも大きいと判断すると(S306:Yes)、低圧側開閉弁54弁または高圧側開閉弁57のいずれか一方または両方の開度を縮小する(S307)。
【0056】
ここで、排気還流制御部89は、S307において低圧側開閉弁54または高圧側開閉弁57のいずれか一方または両方の開度を縮小した後、実濃度が目標濃度よりも大きいか否かを判断する(S308)。すなわち、排気還流制御部89は、S307において低圧側開閉弁54または高圧側開閉弁57のいずれか一方または両方の開度を縮小した後、機関本体に吸入される吸気に含まれているEGRガスが目標濃度まで減少したか否かを判断する。S308において実濃度が目標濃度よりも大きいと判断されると(S308:Yes)、排気還流制御部89は、高圧側開閉弁57の開度をさらに縮小する(S309)。すなわち、排気還流制御部89は、S307においてEGRガスの戻し量を減少させた後、S308において実濃度が目標濃度よりも大きいか否かを判断する。S308において実濃度が目標濃度よりも大きいと判断されたとき、上述のように低圧側開閉弁54または高圧側開閉弁57の開度の縮小では吸気に含まれるEGRガスの削減が不十分であることを意味している。そこで、排気還流制御部89は、高圧側開閉弁57の開度をさらに縮小する。これにより、高圧側還流部52を経由して高EGR吸気通路部17側へ戻されるEGRガスは減少する。高EGR吸気通路部17側へ戻されるEGRガスが減少すると、高EGR吸気通路部17における吸気の圧力は低下する。そのため、低EGR吸気通路部16を流れる低EGRガスは、接続通路部24を経由して高EGR吸気通路部17側へ流入する。その結果、高EGR吸気通路部17から第二通路部22を経由して燃焼室26へ流入する吸気は、EGRガスの濃度が低下する。
【0057】
一方、S308において実濃度が目標濃度よりも大きくないと判断されると(S308:No)、排気還流制御部89は、低圧側開閉弁54または高圧側開閉弁57の開度の縮小によるEGRガスの削減が十分であると判断してS301へリターンし、S301以降の処理を繰り返す。また、排気還流制御部89は、S305において低圧側開閉弁54若しくは高圧側開閉弁57の開度を拡大、S306において実濃度が目標濃度よりも大きくないと判断したとき(S306:No)、またはS309で高圧側開閉弁57の開度をさらに縮小すると、S301へリターンし、S301以降の処理を繰り返す。
【0058】
第3実施形態では、排気還流制御部89は、排気還流部15を経由して低EGR吸気通路部16へ戻すEGRガスの量を減らしても実濃度が目標濃度よりも高いとき、排気還流部15を経由して高EGR吸気通路部17へ戻すEGRガスの量を減らす。これにより、高EGR吸気通路部17の圧力は低下するため、低EGR吸気通路部16におけるEGRガスの濃度の低い吸気は接続通路部24を経由して高EGR吸気通路部17へ流入する。つまり、低EGR吸気通路部16を流れるEGRガスの濃度の低い吸気は、接続通路部24を経由して高EGR吸気通路部17へ導入される。その結果、低EGR吸気通路部16だけでなく高EGR吸気通路部17を経由して燃焼室26へ吸入される吸気も、含まれるEGRガスの濃度が減少する。したがって、燃焼室26に吸入される吸気に含まれるEGRガスの濃度を高精度に制御することができる。
【0059】
なお、第3実施形態の場合、低EGR吸気通路部16から高EGR吸気通路部17へEGRガスの濃度の低い吸気を導入するとき、通路開閉弁76で接続通路75を開閉してもよい。これにより、低EGR吸気通路部16が形成する低EGR吸気通路61と高EGR吸気通路部17が形成する高EGR吸気通路62との間の吸気の流量は高精度に制御される。したがって、燃焼室26に吸入される吸気に含まれるEGRガスの濃度をより高精度に制御することができる。
【0060】
(その他の実施形態)
本発明は、以上で説明した上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。
例えば上記の複数の実施形態では、ディーゼルエンジン10を例に説明した。しかし、ディーゼルエンジン10に限らずガソリンエンジンに適用してもよい。また、複数の実施形態では、切替手段として、旋回式の切替弁23を例に説明した。しかし、切替手段は、旋回式の切替弁23に限らず、スプール式の開閉弁であってもよく、切替弁23に代えて機械的に流路を切り替えるフラップなどであってもよい。すなわち、複数の実施形態による切替弁23は、切替手段の一例であり、各実施形態と同様の作用を生じるものであれば任意に採用することができる。さらに、複数の実施形態では、切替弁23は、ECU80からの電気的な指令によって駆動される例について説明した。しかし、切替弁23は、例えば機関本体11の図示しないクランクシャフトと直接または間接に機械的に接続し、機関本体11の駆動力によって機関本体11の回転に同期して作動する構成としてもよい。さらに、切替弁23は、電気に限らず、例えば油圧などを利用して駆動する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0061】
図面中、10はディーゼルエンジン(内燃機関)、1は機関本体、15は排気還流部、16は低EGR吸気通路部、17は高EGR吸気通路部、21は第一通路部、22は第二通路部、23は切替弁(切替手段)、24は接続通路部、26は燃焼室、81は濃度センサ(実濃度検出手段)、86は切替制御部(切替制御手段)、87は目標濃度算出部(目標濃度算出手段)、88は実濃度検出部(実濃度検出手段)、89は排気還流制御部(排気還流制御手段)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の燃焼室を形成する機関本体と、
前記燃焼室から排出された排気の少なくとも一部をEGRガスとして前記燃焼室へ吸入される吸気へ戻す排気還流部と、
前記排気還流部を経由して戻されるEGRガスの濃度が低い吸気が流れる低EGR吸気通路部と、
前記低EGR吸気通路部を流れる吸気に比較して、戻されるEGRガスの濃度が高い吸気が流れる高EGR吸気通路部と、
一方の端部が前記低EGR吸気通路部に接続し、他方の端部が複数の前記燃焼室にそれぞれ接続し、前記燃焼室へ流出した吸気が前記燃焼室を形成する前記機関本体の壁面に沿って流れる第一通路部と、
一方の端部が前記低EGR吸気通路部および前記高EGR吸気通路部に接続し、他方の端部が複数の前記燃焼室にそれぞれ接続し、前記燃焼室へ流出した吸気が前記燃焼室の中心軸に沿った流れを形成する第二通路部と、
前記第二通路部の接続先を前記低EGR吸気通路部または前記高EGR吸気通路部に切り替える切替手段と、
前記機関本体の運転条件に応じて前記切替手段の駆動を制御する切替制御手段と、
を備える内燃機関。
【請求項2】
前記切替制御手段は、前記切替手段を駆動して、前記高EGR吸気通路を流れるEGRガスの濃度が高い吸気に先立って、前記低EGR吸気通路部を流れるEGRガスの濃度が低い吸気を前記第二通路部から前記燃焼室へ供給する請求項1記載の内燃機関。
【請求項3】
前記高EGR吸気通路と前記低EGR吸気通路部とを接続する接続通路部をさらに備える請求項1または2記載の内燃機関。
【請求項4】
前記機関本体の運転条件に応じて前記燃焼室へ吸入される吸気に含まれるEGRガスの濃度を目標EGRガスの濃度として算出する目標濃度算出手段と、
前記燃焼室に吸入される吸気に含まれるEGRガスの濃度を実濃度として検出する実濃度検出手段と、
前記排気還流部を経由して前記低EGR吸気通路部または前記高EGR吸気通路部へ戻すEGRガスの量を制御する排気還流制御手段と、をさらに備え、
前記排気還流制御手段は、前記実濃度検出手段で検出した前記実濃度が前記目標濃度算出手段で算出した前記目標濃度よりも大きいとき、前記排気還流部を経由して前記低EGR吸気通路部へ戻すEGRガスの量を減らす請求項3記載の内燃機関。
【請求項5】
前記排気還流制御手段で前記排気還流部を経由して前記低EGR吸気通路部へ戻すEGRガスの量を減らしても前記実濃度が前記目標濃度よりも大きいとき、
前記切替制御手段は、前記切替手段を駆動して、前記第二通路部の接続先を前記低EGR吸気通路部へ切り替える請求項4記載の内燃機関。
【請求項6】
前記排気還流制御手段で前記排気還流部を経由して前記低EGR吸気通路部へ戻すEGRガスの量を減らしても前記実濃度が前記目標濃度よりも大きいとき、
前記排気還流制御手段は、前記排気還流部を経由して前記高EGR吸気通路部へ戻すEGRガスの量を減らすとともに、前記低EGR吸気通路部から前記接続通路部を経由して前記高EGR吸気通路部へEGRガスの濃度が低い吸気を導入する請求項4記載の内燃機関。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−104331(P2013−104331A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247509(P2011−247509)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【Fターム(参考)】