説明

内視鏡ライトガイド検査システム、内視鏡プロセッサ、および内視鏡ユニット

【課題】ライトガイドの分光劣化を検知する。
【解決手段】内視鏡プロセッサ20はメモリ23、システムコントローラ24、および色差演算回路27を有する。ライトガイド初期設定を実行すると、色差演算回路27は初期画像信号から初期色座標成分を生成する。メモリ23は初期色座標成分を格納する。ライトガイド検査機能を実行すると、色差演算回路27は検査画像信号から検査色座標成分を生成する。色差演算回路27は初期色座標成分と検査色座標成分から色差を算出する。システムコントローラ24は色差と第1、第2の閾値を比較して、ライトガイド31に分光劣化が生じているか否かを判別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡に設けられるライトガイドの分光劣化を検査する内視鏡ライトガイド検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
体内や構造物内部を観察するために用いる電子内視鏡が知られている。電子内視鏡では、挿入管を所望の部位に挿入し、挿入管の先端に設けられる撮像素子により被写体像を撮像することにより所望の部位の観察が可能である。
【0003】
通常、体内や構造物内部には外光が照射されていない。それゆえ、被写体像の撮像のために、外部光源から出射した照明光を挿入管内部に設けられたライトガイドによって伝達し、体内などに照明光が照射される。
【0004】
外部光源には高出力なランプが用いられるため、ライトガイドが劣化することがある。ライトガイドの劣化により、伝達の途中で照明光が減衰し、被写体に十分な光量の照明光を照射することが出来ない。そこで、ライトガイドにより伝達された光の輝度を測定することによりライトガイドの劣化状況を認識することが提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
しかし、ライトガイド全体の透過率に劣化が進んでいない場合であっても、一部の帯域の透過率が低下することがある。それゆえ、特許文献1によるライトガイドの検査方法では、ライトガイドの分光劣化、すなわち一部の帯域の光の透過率の劣化を検査することは出来なかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−44062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明では、ライトガイドの分光劣化を検査する内視鏡ライトガイド検査システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の内視鏡ライトガイド検査システムは、光源から出射される照明光を電子内視鏡の挿入管先端に伝達するライトガイドの伝達特性を検査する内視鏡ライトガイド検査システムであって、挿入管の先端に設けられる撮像素子が照明光を照射された被写体を撮像することにより生成するカラー画像信号を受信する受信部と、カラー画像信号から色座標成分を取得する色座標成分取得部と、色座標成分を格納する初期値メモリと、色座標成分の初期化を実行するときに受信部にカラー画像信号を初期カラー画像信号として受信させ色座標成分取得部に初期カラー画像信号から色座標成分を初期色座標成分として取得させ初期値メモリに初期色座標成分を格納させる第1制御部と、ライトガイドの検査を実行させるスイッチと、スイッチがONになるときに受信部にカラー画像信号を検査カラー画像信号として受信させ色座標成分取得部に検査カラー画像信号から色座標成分を検査色座標成分として取得させ初期色座標成分を初期値メモリから読出す第2制御部と、初期色座標成分と検査色座標成分との変化に応じて変わる判別値を算出する算出部と、判別値が閾値を超える場合にライトガイドに異常があると判別する判別部とを備えることを特徴としている。
【0009】
また、判別値は初期色座標成分と検査色座標成分との座標空間上における距離であることが好ましい。
【0010】
また、第1、第2色信号成分は均等色空間上の座標成分に相当することが好ましい。
【0011】
また、初期値メモリは色座標成分を撮像した前記被写体の色別に格納可能であり、第1制御部は第1指標色に色付けられた被写体の前記初期カラー画像信号から取得される初期色座標成分を第1指標色の初期色座標成分として初期値メモリに格納させ第1指標色と異なる第2指標色に色付けられた被写体の前記初期カラー画像信号から取得される初期色座標成分を第2指標色の初期色座標成分として前記初期値メモリに格納させ、第2制御部は第1指標色に色付けられた被写体の検査カラー画像信号から検査色座標成分を第1指標色の検査色座標成分として色座標成分取得部に取得させ第2指標色に色付けられた被写体の検査カラー画像信号から検査色座標成分を第2指標色の検査色座標成分として色座標成分取得部に取得させ第1、第2指標色の初期色座標成分を初期値メモリから読出し、算出部は第1、第2指標色に対して判別値を第1、第2指標色の判別値として算出し、判別部は第1、第2指標色判別値の少なくとも一つが閾値を超える場合にライトガイドに異常があると判別することが好ましい。
【0012】
また、カラー画像信号に相当する被写体の色が第1、第2の指標色を含む複数の指標色のいずれであるかを指定する指標色指定入力部を備えることが好ましい。
【0013】
また、第1、第2の指標色に色付けられた第1、第2の領域を有するカラーチャートにおける第1、第2の領域の位置である第1、第2の領域位置を記憶する領域メモリと、カラーチャートを被写体として撮像したときにカラー画像信号に相当する画像の第1、第2の領域位置の色をそれぞれ第1、第2の指標色として認識する色認識部とを備えることが好ましい。
【0014】
また、電子内視鏡に付与される固有の識別情報を電子内視鏡から受信する情報受信部と、情報受信部が受信した識別情報に基づいて電子内視鏡が新規に接続された電子内視鏡であるか否かを判別する新規性判別部とを備え、電子内視鏡が新規に接続された電子内視鏡である場合に色座標成分の初期化が実行されることが好ましい。
【0015】
あるいは、色座標成分の初期化を実行させる初期化スイッチを備えることが好ましい。
【0016】
また、本発明の内視鏡プロセッサは、電子内視鏡の挿入管の先端に設けられる撮像素子が光源から前記挿入管先端までライトガイドによって伝達された照明光を照射された被写体を撮像することにより生成するカラー画像信号を受信する受信部と、カラー画像信号から色座標成分を取得する色座標成分取得部と、色座標成分を格納する初期値メモリと、色座標成分の初期化を実行するときに受信部にカラー画像信号を初期カラー画像信号として受信させ色座標成分取得部に初期カラー画像信号から色座標成分を初期色座標成分として取得させ初期値メモリに初期色座標成分を格納させる第1制御部と、ライトガイドの検査を実行させるスイッチと、スイッチがONになるときに受信部に前記カラー画像信号を検査カラー画像信号として受信させ色座標成分取得部に検査カラー画像信号から色座標成分を検査色座標成分として取得させ初期色座標成分を初期値メモリから読出す第2制御部と、初期色座標成分と検査色座標成分との変化に応じて変わる判別値を算出する算出部と、判別値が閾値を超える場合にライトガイドに異常があると判別する判別部とを備えることを特徴としている。
【0017】
また、本発明の内視鏡ユニットは、互いに着脱自在な電子内視鏡と内視鏡プロセッサによって構成される内視鏡ユニットであって、電子内視鏡に設けられ光源から出射される照明光を電子内視鏡の挿入管の先端に伝達するライトガイドと、挿入管の先端に設けられ照明光を照射された被写体を撮像することによりカラー画像信号を生成する撮像素子と、内視鏡プロセッサに設けられカラー画像信号から色座標成分を取得する色座標成分取得部と、色座標成分を格納する初期値メモリと、内視鏡プロセッサに設けられ色座標成分の初期化を実行するときに受信部にカラー画像信号を初期カラー画像信号として受信させ色座標成分取得部に初期カラー画像信号から色座標成分を初期色座標成分として取得させ初期値メモリに初期色座標成分を格納させる第1制御部と、電子内視鏡および内視鏡プロセッサの少なくとも一方に設けられライトガイドの検査を実行させるスイッチと、内視鏡プロセッサに設けられスイッチがONになるときに受信部に前記カラー画像信号を検査カラー画像信号として受信させ色座標成分取得部に検査カラー画像信号から色座標成分を検査色座標成分として取得させ初期色座標成分を初期値メモリから読出す第2制御部と、内視鏡プロセッサに設けられ初期色座標成分と検査色座標成分との変化に応じて変わる判別値を算出する算出部と、内視鏡プロセッサに設けられ判別値が閾値を超える場合にライトガイドに異常があると判別する判別部とを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、判別値と閾値を比較することにより、ライトガイドに異常があるか否かを判別することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施形態を適用した内視鏡ライトガイド検査システムを含む内視鏡プロセッサを有する内視鏡ユニットの内部構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】チャート板の平面図である。
【図3】第1の実施形態におけるライトガイド初期設定時に実行される動作の制御を示す第1のフローチャートである。
【図4】第1の実施形態におけるライトガイド初期設定時に実行される動作の制御を示す第2のフローチャートである。
【図5】第1の実施形態におけるライトガイド検査機能において実行される動作の制御を示す第1のフローチャートである。
【図6】第1の実施形態におけるライトガイド検査機能において実行される動作の制御を示す第2のフローチャートである。
【図7】第2の実施形態において、ライトガイド初期設定時およびライトガイド検査機能実行時にモニタにおいて動画像上にチャート枠が表示されている状態を示す図である。
【図8】第2の実施形態におけるライトガイド初期設定時に実行される動作の制御を示すフローチャートである。
【図9】第2の実施形態におけるライトガイド検査機能において実行される動作の制御を示す第1のフローチャートである。
【図10】第2の実施形態におけるライトガイド検査機能において実行される動作の制御を示す第2のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態を適用した内視鏡ライトガイド検査システムを含む内視鏡プロセッサを有する内視鏡ユニットの内部構成を概略的に示すブロック図である。
【0021】
内視鏡ユニット10は、内視鏡プロセッサ20、電子内視鏡30、およびモニタ11によって構成される。内視鏡プロセッサ20は、電子内視鏡30、およびモニタ11に接続される。
【0022】
内視鏡プロセッサ20から被写体を照明するための照明光が電子内視鏡30に供給される。照明光を照射された被写体が電子内視鏡30により撮像される。電子内視鏡30の撮像により生成する画像信号が内視鏡プロセッサ20に送られる。
【0023】
内視鏡プロセッサ20では、電子内視鏡30から得られた画像信号に対して所定の信号処理が施される。所定の信号処理を施した画像信号はモニタ11に送信され、送信された画像信号に相当する画像がモニタ11に表示される。
【0024】
次に、電子内視鏡30の構成について説明する。電子内視鏡30には、ライトガイド31および撮像素子32などが設けられる。
【0025】
ライトガイド31は、内視鏡プロセッサ20と接続されるコネクタ33から挿入管34の先端まで延設される。内視鏡プロセッサ20から供給される照明光がライトガイド31の入射端に入射される。入射端に入射した照明光は出射端まで伝達される。出射端に伝達された照明光が、挿入管34の先端方向の被写体に照射される。
【0026】
照明光が照射された被写体の反射光による光学像が、挿入管34の先端に設けられた撮像素子32の受光面に到達する。撮像素子32は、一定の周期、例えば、1/60秒毎に1フィールドの画像信号(カラー画像信号)を生成するように制御される。なお、撮像素子32の受光面にはRGBカラーフィルタによって覆われており、画像信号はR信号成分、G信号成分、およびB信号成分によって構成される。なお、受光面はCMYG補色カラーフィルタなどの他の色のカラーフィルタによって覆われてもよい。
【0027】
次に、内視鏡プロセッサ20の構成について説明する。内視鏡プロセッサ20には光源システム21、第1、第2の映像信号処理回路22a、22b、メモリ23(初期値メモリ)、システムコントローラ24(第1、第2制御部、色認識部)、タイミングコントローラ25、入力部26(スイッチ、指標色指定入力部、初期化スイッチ)、および色差演算回路27(色座標成分取得部、算出部、判別部)などが設けられる。
【0028】
光源システム21からは照明光が出射される。電子内視鏡30を内視鏡プロセッサ20に接続すると、光源システム21はライトガイド31と光学的に接続される。光源システム21が出射する照明光はライトガイド31の入射端に入射される。
【0029】
電子内視鏡30を内視鏡プロセッサ20に接続すると、撮像素子32は第1の映像信号処理回路22aに電気的に接続される。撮像素子が生成し送信した画像信号は第1の映像信号処理回路22aに受信される。
【0030】
第1の映像信号処理回路22aでは、ホワイトバランス処理や色補間処理などの所定の信号処理が施される。第1の映像信号処理回路22aはメモリ23に接続される。所定の信号処理が施された画像信号はメモリ23に格納される。
【0031】
メモリ23は第2の映像信号処理回路22bおよび色差演算回路27に接続される。通常の画像観察時には、メモリ23に格納された画像信号は第2の映像信号処理回路22bに送信される。後述する初期設定時およびライトガイド検査時には、メモリ23に格納された画像信号は色差演算回路27に送信される。
【0032】
第2の映像信号処理回路22bでは、受信した画像信号に対して、所定の信号処理が施される。所定の信号処理が施された画像信号が、映像信号としてモニタ11に送信される。前述のように、1/60秒毎に画像信号は生成され、モニタ11に送信される。モニタ11に表示する画像を1/60秒毎に切替えることにより、モニタ11にはリアルタイムの動画像が表示される。
【0033】
後述するように、色差演算回路27では画像信号に基づいて、画像信号に相当する画像のLab表色系における(a、b)が第1、第2色信号成分として算出される。また、色差演算回路27では第1、第2色信号成分に基づいて、ライトガイド31の分光劣化が検知される。
【0034】
第1、第2の映像信号処理回路22a、22b、およびメモリ23は、バス28を介してシステムコントローラ24およびタイミングコントローラ25に接続される。システムコントローラ24により、第1、第2の映像信号処理回路22a、22b、およびメモリ23の動作が制御される。また、タイミングコントローラ25により、第1、第2の映像信号処理回路22a、22b、およびメモリ23の動作の時期が制御される。
【0035】
また、バス28は入力部26にも接続される。入力部26には使用者による様々な入力操作が可能で、入力操作に応じてシステムコントローラ24は各部位を制御する。
【0036】
内視鏡プロセッサ20には、ライトガイド検査機能が設けられる。ライトガイド検査機能は、入力部26への入力操作により実行される。なお、ライトガイド検査機能を実行する前に、ライトガイド初期設定を行う必要がある。ライトガイド初期設定およびライトガイド検査機能について、色差演算回路27の機能と共に以下に説明する。
【0037】
ライトガイドの初期設定およびライトガイドの検査機能には、ホワイトバランス調整キャップ(図示せず)または検査用カラーチャートを用いる必要がある。
【0038】
ホワイトバランス調整キャップは、従来公知のホワイトバランス調整用のR、Bゲイン算出のためのキャップである。ホワイトバランス調整キャップには挿入管34先端を挿入可能な孔部が設けられ、内部が白色に色付けられる。
【0039】
また、検査用カラーチャートは内部にチャート板が設けられ、外光が入らないように外部から遮光される。図2に示すように、チャート板12における第1〜第6のチャート領域ca1〜ca6それぞれは、赤(第1指標色)、緑(第2指標色)、青、シアン、マゼンタ、および黄色に色付けられる。
【0040】
ライトガイド初期設定を実行させる操作入力を行うと、通常観察時と同様に、撮像素子32により1/60秒毎に1フィールドの画像信号が生成され、リアルタイムの動画像がモニタ11に表示される。
【0041】
動画像を表示中に測定用撮影の操作入力を入力部26に行うと、初期色座標成分算出のための画像信号が生成される。生成された画像信号は、前述のようにメモリ23に格納される。メモリ23に格納された画像信号は、初期画像信号として色差演算回路27に送信される。
【0042】
色差演算回路27では、初期画像信号を構成する全画素のR画素信号成分、G画素信号成分、およびB画素信号成分が別々に平均化される。平均化されたR、G、B画素信号成分は、さらにLab表色系の座標値に変換される。
【0043】
色差演算回路27は、変換して生成させたa信号成分およびb信号成分を、初期色座標成分(a、b)としてメモリ23に格納する。初期色座標信号成分(a、b)がメモリ23に格納されると、ライトガイド初期設定は終了する。
【0044】
なお、測定用撮影は、ホワイトバランス調整キャップを用いている場合には、1回だけ行われる。一方、検査用カラーチャートを用いている場合には、第1〜第6のチャート領域ca1〜ca6毎に6回の撮影が行われる。
【0045】
なお、検査用カラーチャートを用いる場合には、使用者により第1〜第6のチャート領域ca1〜ca6のいずれかが撮影範囲全体によって撮像されるように位置合わせが行われる。測定用撮影が終わる毎に、撮影した画像は何色であるかを指定する入力、または赤、緑、青、シアン、マゼンタ、黄色のいずれであるかの入力が要求される。
【0046】
使用者により色の指定または選択入力があると、測定用撮影をした部位に対応する初期画像信号、すなわち赤色初期画像信号、緑色初期画像信号、青色初期画像信号、シアン色初期画像信号、マゼンタ色初期画像信号、および黄色初期画像信号それぞれに対して算出された初期色座標成分(a、b)が別々に、メモリ23に格納される。
【0047】
なお、初期色座標成分は、ライトガイド31が劣化していない状態で算出することが好ましく、電子内視鏡30を新規に用いる前および電子内視鏡30の修理後に算出されることが推奨される。また、内視鏡プロセッサ20を新規に用いる前や光源システム21の交換時にも、初期色座標成分を算出することが推奨される。
【0048】
次に、ライトガイド検査機能について説明する。ライトガイド検査機能を実行させる操作入力を行うと、通常観察時と同様に、撮像素子32により1/60秒毎に1フィールドの画像信号が生成され、リアルタイムの動画像がモニタ11に表示される。
【0049】
動画像を表示中に測定用撮影の操作入力を入力部26に行うと、検査色座標成分算出のための画像信号が生成される。生成された画像信号は、前述のようにメモリ23に格納される。メモリ23に格納された画像信号は、検査画像信号として色差演算回路27に送信される。
【0050】
色差演算回路27では、ライトガイド初期設定時と同様に、検査画像信号を構成する全画素のR画素信号成分、G画素信号成分、およびB画素信号成分が別々に平均化される。また、平均化されたR、G、B画素信号成分は、さらにLab表色系の座標値に変換される。
【0051】
ライトガイド初期設定時と異なり、色差演算回路27は検査画像信号におけるa信号成分およびb信号成分の算出後、メモリ23に格納された初期色座標成分(a、b)を読出す。
【0052】
色差演算回路27では、検査画像信号に対して生成されたa信号成分およびb信号成分である検査色座標成分(a、b)と、初期色座標成分(a、b)との距離が色差△C(判別値)として算出される。色差△Cは(1)式により算出される。
【0053】
【数1】

【0054】
色差演算回路27では、算出された色差△Cと第1、第2の閾値(第1の閾値<第2の閾値)とが比較される。なお、第1、第2の閾値はROM(図示せず)に格納され、必要に応じて色差演算回路27に読出される。
【0055】
色差演算回路27では、算出された色差△Cが第1の閾値以下である場合にはライトガイド31は十分に使用可能である、と判別される。算出された色差△Cが第1の閾値を超え、第2の閾値以下である場合にはライトガイド31の劣化が進んでいる、と判別される。また、算出された色差△Cが第2の閾値を超える場合にはライトガイド31が正確な色再現には不適である、と判別される。
【0056】
判別結果は、第2の映像信号処理回路22bに伝達される。第2の映像信号処理回路22bでは、モニタ11に表示するメッセージの選択が行われる。
【0057】
色差△C≦第1の閾値の場合には、ライトガイド31には分光劣化が認められないことを示す第1のメッセージが表示される。第1の閾値<色差△C≦第2の閾値の場合には、ライトガイド31の分光劣化があり、交換時期が間近であることを示す第2のメッセージが表示される。また、第2の閾値<色差△Cである場合には、ライトガイド31の分光劣化が十分に進んでおり、交換が必須であることを示す第3のメッセージが表示される。
【0058】
なお、検査用カラーチャートを用いてライトガイド検査機能を実行した場合には、検査画像信号は、色毎に生成される。すなわち、検査用カラーチャートの第1〜第6のチャート領域ca1〜ca6毎に検査用画像信号が生成され、第1〜第6のチャート領域ca1〜ca6の色毎に検査色座標成分が生成される。同じ色の検査色座標成分と初期色座標成分とに基づいて、色差△Cが算出される。
【0059】
第3のメッセージが表示されるまで、検査用カラーチャートの各領域の色毎に順番に色差の算出と、第1、第2の閾値との比較が行われる。
【0060】
次に、ライトガイド初期設定時においてシステムコントローラ24および色差演算回路27により実行される各部位の動作の制御を図3、4のフローチャートを用いて説明する。前述のように、ライトガイド初期設定は入力部26への初期設定操作が入力されるときに開始される。
【0061】
ステップS100では、システムコントローラ24は第2の映像信号処理回路22bに検査用器具を選択するように指示するメッセージをモニタ11に表示させる信号処理を実行させる。すなわち、ホワイトバランス調整キャップまたは検査用カラーチャートのいずれを用いるかを入力するように要求するメッセージが表示される。メッセージの表示後、ステップS101に進む。
【0062】
ステップS101では、システムコントローラ24は、入力操作に基づいて用いられている検査用器具がホワイトバランス調整キャップまたは検査用カラーチャートのいずれであるかを判別する。ホワイトバランス調整キャップを用いている場合には、ステップS102に進む。検査用カラーチャートを用いている場合にはステップS103に進む。
【0063】
ステップS102では、検査用器具フラッグFを0に定める。一方、ステップS103では検査用器具フラッグFを1に定める。検査用器具フラッグFの設定後、ステップS104に進む。
【0064】
ステップS104では、システムコントローラ24は、1/60秒毎に1フィールドの画像信号を生成開始させる。また、生成された画像信号に所定の信号処理を施して、モニタ11に送信させ、モニタ11にリアルタイム動画像を表示させる。画像信号の生成開始後、ステップS105に進む。
【0065】
ステップS105では、システムコントローラ24は測定用の撮影実行の入力があるか否かを判別する。撮影実行入力が検出されない場合にはステップS105に戻り、以後、撮影実行入力が検出されるまで待機状態となる。撮影実行入力が検出された場合には、ステップS106に進む。
【0066】
ステップS106では、システムコントローラ24は撮像素子32に画像信号を初期画像信号として生成させる。また、所定の信号処理を施してメモリ23に格納した後、初期画像信号を色差演算回路27に送信させる。色差演算回路27への送信後、ステップS107に進む。
【0067】
ステップS107では、色差演算回路27は、初期画像信号を用いて、初期色座標成分(a、b)を生成する。初期色座標成分(a、b)の生成後、ステップS108に進む。
【0068】
図4に示すように、ステップS108では、システムコントローラ24は、検査用器具フラッグFが0であるか1であるかを判別する。検査用器具フラッグFが0である場合には、ステップS109に進む。検査用器具フラッグFが1である場合には、ステップS110に進む。
【0069】
ステップS109では、システムコントローラ24は、ステップS107で生成した初期色座標成分(a、b)をメモリ23に格納させる。メモリ23への格納後、ライトガイド初期設定の処理を終了する。
【0070】
ステップS110では、システムコントローラ24は、撮影した被写体の色が何色であるかの入力を要求するメッセージをモニタ11に表示するように後段映像処理回路22bによる信号処理を実行させる。メッセージの表示後、ステップS111に進む。
【0071】
ステップS111では、システムコントローラ24は、色を指定する入力があるか否かを判別する。色の指定入力が検出されない場合にはステップS111に戻り、以後、指定入力が検出されるまで待機状態となる。指定入力が検出された場合には、ステップS112に進む。
【0072】
ステップS112では、システムコントローラ24は、指定された色に対応したメモリ23上の記憶領域にステップS107で生成した初期色座標成分(a、b)を格納させる。メモリ23への格納後、ステップS113に進む。
【0073】
ステップS113では、システムコントローラ24は、検査用カラーチャートの全色に対して初期色座標成分(a、b)が生成され、メモリ23に格納されているか否かを判別する。
【0074】
全色に対して、生成および格納が完了していない場合には、ステップS105(図3参照)に戻る。以後、ステップS113において全色に対しての生成および格納が完了していると判別されるまで、ステップS105〜ステップS113の処理を繰返す。全色に対して生成および格納が完了している場合には、ライトガイド初期設定の処理を終了する。
【0075】
次に、ライトガイド検査機能においてシステムコントローラ24および色差演算回路27により実行される各部位の動作の制御を図5、6のフローチャートを用いて説明する。前述のように、ライトガイド検査機能は入力部26への検査実行操作が入力されるときに開始される。
【0076】
ステップS200では、システムコントローラ24は、1/60秒毎に1フィールドの画像信号を生成開始させる。また、生成された画像信号に所定の信号処理を施して、モニタ11に送信させ、モニタ11にリアルタイム動画像を表示させる。画像信号の生成開始後、ステップS201に進む。
【0077】
ステップS201では、システムコントローラ24は測定用の撮影実行の入力があるか否かを判別する。撮影実行入力が検出されない場合にはステップS201に戻り、以後、撮影実行入力が検出されるまで待機状態となる。撮影実行入力が検出された場合には、ステップS202に進む。
【0078】
ステップS202では、システムコントローラ24は撮像素子32に画像信号を検査画像信号として生成させる。また、所定の信号処理を施してメモリ23に格納した後、検査画像信号を色差演算回路27に送信させる。色差演算回路27への送信後、ステップS203に進む。
【0079】
ステップS203では、色差演算回路27は、検査画像信号を用いて、検査色座標成分(a、b)を生成する。検査色座標成分(a、b)の生成後、ステップS204に進む。
【0080】
ステップS204では、システムコントローラ24は、検査用器具フラッグFが0であるか1であるかを判別する。検査用器具フラッグFが0である場合には、ステップS205に進む。検査用器具フラッグFが1である場合には、ステップS206に進む。
【0081】
ステップS205では、システムコントローラ24は、メモリ23から初期色座標成分(a、b)を読出す。読出した初期色座標成分(a、b)を色差演算回路27に送信する。送信後、ステップS209(図6参照)に進む。
【0082】
前述のように、ステップS204において検査用器具フラッグFが1である場合には、ステップS206に進む。ステップS206では、システムコントローラ24は、撮影した被写体の色が何色であるかの入力を要求するメッセージをモニタ11に表示するように後段映像処理回路22bによる信号処理を実行させる。メッセージの表示後、ステップS207に進む。
【0083】
ステップS207では、システムコントローラ24は、色を指定する入力があるか否かを判別する。色の指定入力が検出されない場合にはステップS207に戻り、以後、指定入力が検出されるまで待機状態となる。指定入力が検出された場合には、ステップS208に進む。
【0084】
ステップS208では、システムコントローラ24は、指定された色に対応したメモリ23上の記憶領域に格納された初期色座標成分(a、b)を読出す。また、読出した初期色座標成分(a、b)を色差演算回路27に送信する。送信後、ステップS209に進む。
【0085】
ステップS205またはステップS208の後のステップS209では、色差演算回路27は、ステップS203で生成した検査色座標成分(a、b)と、ステップS205またはステップS208で読出した初期色座標成分(a、b)に基づいて、色差△Cを算出する。色差△Cの算出後、ステップS210に進む。
【0086】
ステップS210では、色差演算回路27は、ステップS209において算出した色差△Cが第2の閾値以下であるか否かを判別する。色差△Cが第2の閾値を超える場合には、ステップS211に進む。色差△Cが第2の閾値以下である場合には、ステップS212に進む。
【0087】
ステップS211では、システムコントローラ24は、第3のメッセージをモニタ11に表示するように、後段信号処理回路22bに信号処理を実行させる。第3のメッセージの表示後、ステップS215に進む。
【0088】
ステップS212では、色差演算回路27は、ステップS209において算出した色差△Cが第1の閾値以下であるか否かを判別する。色差△Cが第1の閾値以下である場合には、ステップS213に進む。色差△Cが第2の閾値を超える場合には、ステップS214に進む。
【0089】
ステップS213では、システムコントローラ24は、第1のメッセージをモニタ11に表示するように、後段信号処理回路22bに信号処理を実行させる。第1のメッセージの表示後、ステップS215に進む。
【0090】
ステップS214では、システムコントローラ24は、第2のメッセージをモニタ11に表示するように、後段信号処理回路22bに信号処理を実行させる。第2のメッセージの表示後、ステップS215に進む。
【0091】
ステップS215では、システムコントローラ24は、検査用カラーチャート全色に対して、色差△Cの算出が完了しているか否かを判別する。全色に対する算出が完了していない場合には、ステップS216に進む。全色に対する算出が完了している場合には、ライトガイド検査機能の処理を終了する。なお、F=1であるときには全色に対する算出が完了していると判断する。
【0092】
ステップS216では、“他の色を撮影して下さい”のように、検査の終了した色以外の色を撮影するように指示するメッセージをモニタ11に表示するように、システムコントローラ24は後段信号処理回路22bに信号処理を実行させる。メッセージの表示後、ステップS201に戻る。
【0093】
以上のように、第1の実施形態を適用した内視鏡ライトガイド検査システムによれば、ホワイトバランス調整キャップのように基準となる色を初期状態として撮影し、後の検査時にも同じ基準となる色を撮影し、撮影により生成された色成分を比較することによりライトガイドの分光伝達特性の変化を検知することが可能である。
【0094】
さらに、輝度成分が健常状態と変わらない場合であっても、分光伝達特性の変化と第1、第2の閾値とを比較することによりライトガイド31の交換時期が近付いていることや、交換すべきであることを警告することが可能である。
【0095】
また、第1の実施形態の内視鏡ライトガイド検査システムによれば、ライトガイド31の劣化状況を検査するために、ホワイトバランス調整キャップまたは検査用チャートの何れを用いるか選択可能である。
【0096】
ホワイトバランス調整キャップを用いる場合には、ホワイトバランス調整のために従来から使用されていた調整キャップを兼用できるので検査用カラーチャートを新規に用意する必要が無い。また、単一の白色のみの撮影なので、使用者に煩雑な操作を強いることが無い利点を有する。
【0097】
一方、検査用カラーチャートを用いる場合には、多くの色を用いて色差の変化を第1、第2の閾値と比較することが出来るので、ホワイトバランス調整キャップを用いるときに比べて、ライトガイド31の劣化状況をより高い精度で検出することが可能である。また、ライトガイドの劣化が何色に影響を及ぼすか判別することが出来る。
【0098】
次に、本発明の第2の実施形態を適用した内視鏡ライトガイド検査システムについて説明する。第2の実施形態の内視鏡ライトガイド検査システムは、検査用カラーチャートを撮像すると自動的に第1〜第6のチャート領域ca1〜ca6毎の色座標成分を生成可能な点において第1の実施形態と異なる。以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。なお、第1の実施形態と同じ機能を有する部位には、同じ符号を付す。
【0099】
第2の実施形態の内視鏡プロセッサでは、ライトガイドの初期設定およびライトガイドの検査機能ともに検査用カラーチャートを用いる必要がある。
【0100】
ライトガイド初期設定を実行させる操作入力を行うと、第1の実施形態と同様に、通常観察時と同様に、撮像素子32により1/60秒毎に1フィールドの画像信号が生成される。第1の実施形態と異なり、生成され所定の信号処理の施された画像信号に、チャート枠をスーパーインポーズするスーパーインポーズ処理が施される。
【0101】
スーパーインポーズ処理の施された画像信号がモニタ11に送信される。図7に示すように、モニタ11にはリアルタイムの動画像上にチャート枠cfが表示される。
【0102】
第1の実施形態と同様に、動画像を表示中に測定用撮影の操作入力を入力部26に行うと、第1、第2色初期信号成分算出のための画像信号が生成される。生成された画像信号は、前述のようにメモリ23に格納される。
【0103】
第1の実施形態と異なり、ライトガイド初期設定時およびライトガイド検査時には、モニタ11の動画表示領域中の所定の位置の6つの領域が第1〜第6の検査領域ia1〜ia6に定められる。
【0104】
なお、第1〜第6の検査領域ia1〜ia6は、チャート板12の4隅がチャート枠cfに重なるように検査用カラーチャートを位置付けたときに、表示される検査用カラーチャートの第1〜第6のチャート領域ca1〜ca6に重なるように位置が定められる。
【0105】
第1の実施形態と異なり、メモリ23に格納された画像信号である初期画像信号の中から、最初に第1の検査領域ia1に配置された画素の画素信号が色差演算回路27に送信される。
【0106】
色差演算回路27では、第1の検査領域ia1を構成する全画素のR画素信号成分、G画素信号成分、およびB画素信号成分が別々に平均化される。平均化されたR、G、B画素信号成分は、さらにLab表色系の座標値に変換される。
【0107】
色差演算回路27は、変換して生成させたa信号成分およびb信号成分を、第1のチャート領域ca1の初期色座標成分(a、b)としてメモリ23に格納する。第1のチャート領域ca1の初期色座標成分がメモリ23に格納されると、同様にして、第2〜第6の検査領域ca2〜ca6の初期色座標成分が算出され、第2〜第6のチャート領域ca1〜ca6の初期色座標成分としてメモリ23に格納される。
【0108】
第1〜第6のチャート領域ca1〜ca6における初期色座標成分が算出され、メモリ23に格納されると、ライトガイド初期設定を終了する。
【0109】
したがって、使用者がチャート板12の4隅をチャート枠cfに重なるように位置付けて測定用撮影を行うと、自動的に第1〜第6のチャート領域ca1〜ca6における初期色座標成分が算出され、メモリ23に別々に格納される。
【0110】
次に、第2の実施形態の内視鏡プロセッサにおけるライトガイド検査機能について説明する。ライトガイド検査機能を実行させる操作入力を行うと、通常観察時と同様に、撮像素子32により1/60秒毎に1フィールドの画像信号が生成される。第1の実施形態と異なり、生成され所定の信号処理の施された画像信号に、チャート枠cfをスーパーインポーズするスーパーインポーズ処理が施される。
【0111】
スーパーインポーズ処理の施された画像信号がモニタ11に送信される。ライトガイド初期設定時と同様に、モニタ11にはリアルタイムの動画像上にチャート枠cfが表示される。
【0112】
第1の実施形態と同様に、動画像を表示中に測定用撮影の操作入力を入力部26に行うと、検査色座標成分算出のための画像信号が生成される。生成された画像信号は、前述のようにメモリ23に格納される。
【0113】
第1の実施形態と異なり、メモリ23に格納された画像信号である検査画像信号の中から、最初に第1の検査領域ia1に配置された画素の画素信号が色差演算回路27に送信される。
【0114】
第1の実施形態と同様に、色差演算回路27では、第1の検査領域ia1を構成する全画素のR画素信号成分、G画素信号成分、およびB画素信号成分が別々に平均化される。平均化されたR、G、B画素信号成分は、さらにLab表色系の座標値に変換される。
【0115】
第1の実施形態と同様に、色差演算回路27は第1の検査領域ia1におけるa信号成分およびb信号成分を検査色座標成分として算出した後、メモリ23に格納された初期色座標成分(a、b)を読出す。
【0116】
第1の実施形態と同様に、色差演算回路27では、第1のチャート領域ca1における初期色座標成分(a、b)と検査色信号成分(a、b)との距離が色差△Cとして算出される。
【0117】
第1の実施形態と異なり、算出された色差△Cと第2の閾値とが比較される。色差△C>第2の閾値であるときには、第1の実施形態と同様に、モニタ11に第3のメッセージが表示され、ライトガイド検査機能が終了する。色差△C≦第2の閾値であるときには第1、第2のメッセージを表示せずに、第1のチャート領域ca1の色差△Cがメモリ23に格納される。
【0118】
第1のチャート領域ca1における色差△Cを格納すると、第2のチャート領域ca2における色差△Cが算出される。以後、同様に、色差△C>第2の閾値と判別されるまで、第3〜第6のチャート領域ca3〜ca6まで色差△Cの算出、第2の閾値との比較、およびメモリ23への格納が実行される。
【0119】
第6のチャート領域ca6における色差△Cが第2の閾値以下である場合には、第6のチャート領域ca6における色差△Cのメモリ23への格納後、色差演算回路27に第1のチャート領域ca1における色差△Cがメモリ23から読出される。
【0120】
色差演算回路27では、第1のチャート領域ca1における色差△Cと第1の閾値とが比較される。色差△C>第1の閾値である場合には、第1の実施形態と同様に、第2のメッセージがモニタ11に表示され、ライトガイド検査機能が終了する。色差△C≦第1の閾値である場合には、第2のチャート領域ca2における色差△Cがメモリ23から読出される。
【0121】
以後、同様に、色差△C>第1の閾値と判別されるまで、第2〜第6のチャート領域ca2〜ca6まで色差△Cが第1の閾値とされる。第6のチャート領域ca6における色差△Cが第1の閾値以下である場合には、第1のメッセージがモニタ11に表示され、ライトガイド検査機能が終了する。
【0122】
次に、第2の実施形態におけるライトガイド初期設定時においてシステムコントローラ24および色差演算回路27により実行される各部位の動作の制御を図8のフローチャートを用いて説明する。前述のように、ライトガイド初期設定は入力部26への初期設定操作が入力されるときに開始される。
【0123】
ステップS300では、システムコントローラ24は、1/60秒毎に1フィールドの画像信号を生成開始させる。また、生成された画像信号に所定の信号処理を施して、モニタ11に送信させ、モニタ11にリアルタイム動画像を表示させる。画像信号の生成開始後、ステップS301に進む。
【0124】
ステップS301では、システムコントローラ24は測定用の撮影実行の入力があるか否かを判別する。撮影実行入力が検出されない場合にはステップS301に戻り、以後、撮影実行入力が検出されるまで待機状態となる。撮影実行入力が検出された場合には、ステップS302に進む。
【0125】
ステップS302では、システムコントローラ24は撮像素子32に画像信号を初期画像信号として生成させる。また、所定の信号処理を施してメモリ23に格納した後、ステップS303に進む。
【0126】
ステップS303では、システムコントローラ24は検査領域フラッグxを1にリセットする。検査領域フラッグxのリセット後、ステップS304に進む。
【0127】
ステップS304では、色差演算回路27は、検査領域フラッグxに対応する検査領域の画素信号をメモリ23から読出す。画素信号の読出し後、ステップS305に進む。
【0128】
ステップS305では、色差演算回路27は、ステップS304で読出した画素信号を用いて、初期色座標成分(a、b)を生成する。初期色座標成分(a、b)の生成後、ステップS306に進む。
【0129】
ステップS306では、システムコントローラ24は、検査領域フラッグxに対応したメモリ23上の記憶領域にステップS305で生成した初期色座標成分(a、b)を格納させる。メモリ23への格納後、ステップS307に進む。
【0130】
ステップS307では、システムコントローラ24は検査領域フラッグxが6であるか否かを判別する。検査領域フラッグxが6で無い場合には、ステップS308に進み検査領域フラッグxに+1をインクリメントする。
【0131】
インクリメント後、ステップS304に戻り、検査領域フラッグxが6になるまで、ステップS304〜ステップS307を繰返す。検査領域フラッグxが6である場合に、ライトガイド初期設定の処理を終了する。
【0132】
次に、第2の実施形態におけるライトガイド検査機能においてシステムコントローラ24および色差演算回路27により実行される各部位の動作の制御を図9、10のフローチャートを用いて説明する。前述のように、ライトガイド検査機能は入力部26への検査実行操作が入力されるときに開始される。
【0133】
ステップS400では、システムコントローラ24は、1/60秒毎に1フィールドの画像信号を生成開始させる。また、生成された画像信号に所定の信号処理を施して、モニタ11に送信させ、モニタ11にリアルタイム動画像を表示させる。画像信号の生成開始後、ステップS401に進む。
【0134】
ステップS401では、システムコントローラ24は測定用の撮影実行の入力があるか否かを判別する。撮影実行入力が検出されない場合にはステップS401に戻り、以後、撮影実行入力が検出されるまで待機状態となる。撮影実行入力が検出された場合には、ステップS402に進む。
【0135】
ステップS402では、システムコントローラ24は撮像素子32に画像信号を検査画像信号として生成させる。また、所定の信号処理を施してメモリ23に格納した後、ステップS403に進む。
【0136】
ステップS403では、システムコントローラ24は検査領域フラッグxを1にリセットする。検査領域フラッグxのリセット後、ステップS404に進む。
【0137】
ステップS404では、色差演算回路27は、検査領域フラッグxに対応する検査領域の画素信号をメモリ23から読出す。画素信号の読出し後、ステップS405に進む。
【0138】
ステップS405では、色差演算回路27は、ステップS404で読出した画素信号を用いて、検査色座標成分(a、b)を生成する。検査色座標成分(a、b)の生成後、ステップS406に進む。
【0139】
ステップS406では、システムコントローラ24は、検査領域フラッグxに対応する検査領域の初期色座標成分(a、b)を読出す。読出した初期色座標成分(a、b)を色差演算回路27に送信する。送信後、ステップS407に進む。
【0140】
ステップS407では、色差演算回路27は、ステップS405で生成した検査色座標成分(a、b)と、ステップS406で読出した初期色座標成分(a、b)とに基づいて、色差△Cを算出する。色差△Cの算出後、ステップS408(図10参照)に進む。
【0141】
ステップS408では、色差演算回路27は、ステップS407において算出した色差△Cが第2の閾値以下であるか否かを判別する。色差△Cが第2の閾値を超える場合には、ステップS409に進む。色差△Cが第2の閾値以下である場合には、ステップS410に進む。
【0142】
ステップS409では、システムコントローラ24は、第3のメッセージをモニタ11に表示するように、後段信号処理回路22bに信号処理を実行させる。第3のメッセージの表示後、ライトガイド検査機能の処理を終了する。
【0143】
ステップS410では、システムコントローラ24は、ステップS407において算出した色差△Cをメモリ23に格納する。なお、色差△Cは、検査領域別に格納される。メモリ23への格納後、ステップS411に進む。
【0144】
ステップS411では、システムコントローラ24は、検査領域フラッグxが6であるか否かを判別する。検査領域フラッグxが6で無い場合には、ステップS412に進む。検査領域フラッグxが6である場合には、ステップS413に進む。
【0145】
ステップS412では、システムコントローラ24は、検査領域フラッグxに+1をインクリメントする。インクリメント後、ステップS404に戻る。
【0146】
ステップS413では、システムコントローラ24は検査領域フラッグxを1にリセットする。検査領域フラッグxのリセット後、ステップS414に進む。
【0147】
ステップS414では、システムコントローラ24は、検査領域フラッグxに対応する検査領域の色差△Cをメモリ23から読出し、色差演算回路27に送信する。送信後、ステップS415に進む。
【0148】
ステップS415では、色差演算回路27は、ステップS414において読出した色差△Cが第1の閾値以下であるか否かを判別する。色差△Cが第1の閾値を超える場合には、ステップS416に進む。色差△Cが第2の閾値以下である場合には、ステップS417に進む。
【0149】
ステップS416では、システムコントローラ24は、第2のメッセージをモニタ11に表示するように、後段信号処理回路22bに信号処理を実行させる。第2のメッセージの表示後、ライトガイド検査機能の処理を終了する。
【0150】
ステップS417では、システムコントローラ24は、検査領域フラッグxが6であるか否かを判別する。検査領域フラッグxが6で無い場合には、ステップS418に進む。検査領域フラッグxが6である場合には、ステップS419に進む。
【0151】
ステップS418では、システムコントローラ24は、検査領域フラッグxに+1をインクリメントする。インクリメント後、ステップS414に戻る。
【0152】
ステップS419では、システムコントローラ24は、第1のメッセージをモニタ11に表示するように、後段信号処理回路22bに信号処理を実行させる。第1のメッセージの表示後、ライトガイド検査機能の処理を終了する。
【0153】
以上のように、第2の実施形態を適用した内視鏡ライトガイド検査システムによれば、第1の実施形態と同じく、ライトガイド31の分光伝達特性の変化を検知することが可能である。
【0154】
さらに、第1の実施形態と同じく、輝度成分が健常状態と変わらない場合であっても、分光伝達特性の変化と第1、第2の閾値とを比較することによりライトガイド31の交換時期が近付いていることや、交換すべきであることを警告することが可能である。
【0155】
また、第2に実施形態では、第1の実施形態と異なり、チャート板12の4隅がチャート枠cfに重なるように位置付けて撮影することにより、自動的に第1〜第6のチャート領域ca1〜ca6に対する初期色座標成分および検査色座標成分が生成される。したがって、使用者の操作負担を減じることが可能である。
【0156】
なお、第1、第2の実施形態では、ランプガイド初期設定を実行させる操作を入力部26に入力するとランプガイド初期設定が実行開始される構成であるが、新規な電子内視鏡30を内視鏡プロセッサ20に接続すると自動的にランプガイド初期設定が実行開始される構成であってもよい。
【0157】
電子内視鏡30の接続時に電子内視鏡30のシリアル番号を内視鏡プルセッサ20が読出し、それまでに接続された電子内視鏡30のシリアル番号と比較することにより新規であるか否かを判別することは可能である。
【0158】
また、第1、第2の実施形態では、第1、第2の閾値と色差△Cを比較して、第1〜第3のメッセージのいずれかを表示する構成であるが、いずれか一方の閾値とのみ比較して、第1のメッセージと、第2、第3のメッセージのいずれかとのいずれかを表示する構成であってもよい。第2、第3のメッセージのいずれか一方のみが表示され得る構成であっても、使用者にライトガイド31に分光劣化が生じていることを警告可能である。
【0159】
また、第1、第2の実施形態では、第2、第3のメッセージをモニタ11に表示することにより、分光劣化が生じていることを警告する構成であるが、他の方法により警告する構成であってもよい。例えば、アラーム音を発せさせたり、内視鏡プロセッサ20に警告ランプを設け、警告ランプを点灯させることにより、警告することも可能である。
【0160】
また、第1、第2の実施形態では、色差演算回路27により平均化されたR、G、B信号成分がLab表色系の座標値に変換される構成であるが、輝度成分と分離した色成分、すなわち色差であれば如何なる表色系の座標値に変換されてもよい。
【0161】
ただし、第1、第2の実施形態におけるLab表色系やLuv表色系のように均等色空間における座標値であることが好ましい。均等色空間における座標値であれば、分光劣化がいずれの帯域であっても、知覚的な色差の変化に対する数値としての色差の変化が帯域によらず線形化される。したがって、分光劣化の進む帯域によらず一定の第1、第2の閾値と色差を比較することが可能になる。
【0162】
また、第1、第2の実施形態では、色差△Cを算出して第1、第2の閾値と比較する構成であるが、初期色座標成分から検査色座標成分への変化を数値化させるいかなる判別値を算出して、第1、第2の閾値と比較する構成であってもよい。
【0163】
また、第1の実施形態では、ライトガイド初期設定および検査機能の実行時にホワイトバランス調整キャップおよび検査用カラーチャートのいずれを用いているかを選択可能な構成であるが、いずれか一方のみが使用可能であってもよい。
【符号の説明】
【0164】
10 内視鏡ユニット
12 チャート板
20 内視鏡プロセッサ
23 メモリ
24 システムコントローラ
26 入力部
27 色差演算回路
30 電子内視鏡
31 ライトガイド
ca1〜ca6 第1〜第6のチャート領域
cf チャート枠
ia1〜ia6 第1〜第6の検査領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から出射される照明光を電子内視鏡の挿入管先端に伝達するライトガイドの伝達特性を検査する内視鏡ライトガイド検査システムであって、
前記挿入管の先端に設けられる撮像素子が前記照明光を照射された被写体を撮像することにより生成するカラー画像信号を受信する受信部と、
前記カラー画像信号から、色座標成分を取得する色座標成分取得部と、
前記色座標成分を格納する初期値メモリと、
前記色座標成分の初期化を実行するときに、前記受信部に前記カラー画像信号を初期カラー画像信号として受信させ、前記色座標成分取得部に前記初期カラー画像信号から前記色座標成分を初期色座標成分として取得させ、前記初期値メモリに前記初期色座標成分を格納させる第1制御部と、
前記ライトガイドの検査を実行させるスイッチと、
前記スイッチがONになるときに、前記受信部に前記カラー画像信号を検査カラー画像信号として受信させ、前記色座標成分取得部に前記検査カラー画像信号から前記色座標成分を検査色座標成分として取得させ、前記初期色座標成分を前記初期値メモリから読出す第2制御部と、
前記初期色座標成分と前記検査色座標成分との変化に応じて変わる判別値を算出する算出部と、
前記判別値が閾値を超える場合に前記ライトガイドに異常があると判別する判別部とを備える
ことを特徴とする内視鏡ライトガイド検査システム。
【請求項2】
前記判別値は、前記初期色座標成分と前記検査色座標成分との座標空間上における距離であることを特徴とする請求項2に記載の内視鏡ライトガイド検査システム。
【請求項3】
前記色座標成分は均等色空間上の座標成分に相当することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の内視鏡ライトガイド検査システム。
【請求項4】
前記初期値メモリは、前記色座標成分を、撮像した前記被写体の色別に格納可能であり、
前記第1制御部は、第1指標色に色付けられた前記被写体の前記初期カラー画像信号から取得される前記初期色座標成分を第1指標色の初期色座標成分として前記初期値メモリに格納させ、前記第1指標色と異なる第2指標色に色付けられた前記被写体の前記初期カラー画像信号から取得される前記初期色座標成分を第2指標色の初期色座標成分として前記初期値メモリに格納させ、
前記第2制御部は、前記第1指標色に色付けられた前記被写体の前記検査カラー画像信号から前記検査色座標成分を第1指標色の検査色座標成分として前記色座標成分取得部に取得させ、前記第2指標色に色付けられた前記被写体の前記検査カラー画像信号から前記検査色座標成分を第2指標色の検査色座標成分として前記色座標成分取得部に取得させ、前記第1、第2指標色の初期色座標成分を前記初期値メモリから読出し、
前記算出部は、前記第1、第2指標色に対して、前記判別値を第1、第2指標色の判別値として算出し、
前記判別部は、前記第1、第2指標の色判別値の少なくとも一つが前記閾値を超える場合に前記ライトガイドに異常があると判別する
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の内視鏡ライトガイド検査システム。
【請求項5】
前記カラー画像信号に相当する被写体の色が前記第1、第2の指標色を含む複数の指標色のいずれであるかを指定する指標色指定入力部を備えることを特徴とする請求項5に記載の内視鏡ライトガイド検査システム。
【請求項6】
前記第1、第2の指標色に色付けられた第1、第2の領域を有するカラーチャートにおける前記第1、第2の領域の位置である第1、第2の領域位置を記憶する領域メモリと、
前記カラーチャートを前記被写体として撮像したときに、前記カラー画像信号に相当する画像の前記第1、第2の領域位置の色をそれぞれ第1、第2の指標色として認識する色認識部とを備える
ことを特徴とする請求項5に記載の内視鏡ライトガイド検査システム。
【請求項7】
前記電子内視鏡に付与される固有の識別情報を前記電子内視鏡から受信する情報受信部と、
前記情報受信部が受信した前記識別情報に基づいて、前記電子内視鏡が新規に接続された電子内視鏡であるか否かを判別する新規性判別部とを備え、
前記電子内視鏡が新規に接続された電子内視鏡である場合に、前記色座標成分の初期化が実行される
ことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の内視鏡ライトガイド検査システム。
【請求項8】
前記色座標成分の初期化を実行させる初期化スイッチを備えることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の内視鏡ライトガイド検査システム。
【請求項9】
電子内視鏡の挿入管の先端に設けられる撮像素子が、光源から前記挿入管先端までライトガイドによって伝達された照明光を照射された被写体を撮像することにより生成するカラー画像信号を受信する受信部と、
前記カラー画像信号から、色座標成分を取得する色座標成分取得部と、
前記色座標成分を格納する初期値メモリと、
前記色座標成分の初期化を実行するときに、前記受信部に前記カラー画像信号を初期カラー画像信号として受信させ、前記色座標成分取得部に前記初期カラー画像信号から前記色座標成分を初期色座標成分として取得させ、前記初期値メモリに前記初期色座標成分を格納させる第1制御部と、
前記ライトガイドの検査を実行させるスイッチと、
前記スイッチがONになるときに、前記受信部に前記カラー画像信号を検査カラー画像信号として受信させ、前記色座標成分取得部に前記検査カラー画像信号から前記色座標成分を検査色座標成分として取得させ、前記初期色座標成分を前記初期値メモリから読出す第2制御部と、
前記初期色座標成分と前記検査色座標成分との変化に応じて変わる判別値を算出する算出部と、
前記判別値が閾値を超える場合に前記ライトガイドに異常があると判別する判別部とを備える
ことを特徴とする内視鏡プロセッサ。
【請求項10】
互いに着脱自在な電子内視鏡と内視鏡プロセッサによって構成される内視鏡ユニットであって、
前記電子内視鏡に設けられ、光源から出射される照明光を前記電子内視鏡の挿入管の先端に伝達するライトガイドと、
前記挿入管の先端に設けられ、前記照明光を照射された被写体を撮像することによりカラー画像信号を生成する撮像素子と、
前記内視鏡プロセッサに設けられ、前記カラー画像信号から、色座標成分を取得する色座標成分取得部と、
前記内視鏡プロセッサに設けられ、前記色座標成分を格納する初期値メモリと、
前記内視鏡プロセッサに設けられ、前記色座標成分の初期化を実行するときに、前記受信部に前記カラー画像信号を初期カラー画像信号として受信させ、前記色座標成分取得部に前記初期カラー画像信号から前記色座標成分を初期色座標成分として取得させ、前記初期値メモリに前記初期色座標成分を格納させる第1制御部と、
前記電子内視鏡および前記内視鏡プロセッサの少なくとも一方に設けられ、前記ライトガイドの検査を実行させるスイッチと、
前記内視鏡プロセッサに設けられ、前記スイッチがONになるときに、前記受信部に前記カラー画像信号を検査カラー画像信号として受信させ、前記色座標成分取得部に前記検査カラー画像信号から前記色座標成分を検査色座標成分として取得させ、前記初期色座標成分を前記初期値メモリから読出す第2制御部と、
前記内視鏡プおセッサに設けられ、前記初期色座標成分と前記検査色座標成分との変化に応じて変わる判別値を算出する算出部と、
前記内視鏡プロセッサに設けられ、前記判別値が閾値を超える場合に前記ライトガイドに異常があると判別する判別部とを備える
ことを特徴とする内視鏡ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−147893(P2012−147893A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−8015(P2011−8015)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】