説明

内部温度検出装置

【課題】 その目的は、安価に装置内部の温度を検出する仕組みを構築することができるとともに、装置内部の温度を正確に検出することができる内部温度検出装置を提供すること。
【解決手段】 熱を発する素子を有するメイン基板2上に設けられ、基板が配置された装置内部の温度を検出する温度検出手段であるサーミスタセンサ14と、メイン基板2の電源ONからの時間を計時する計時手段と、計時手段で計時された時間に基づいて、センサで検出される温度を例えば、温度補正テーブルを用いて補正する温度補正手段とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置内の温度を検出する内部温度検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、POS端末に用いられるレシートプリンタ装置に搭載されるレシート搬送部のモータは、低温ではトルクが小さくなり、レシートが搬送できなくなる場合がある。このため、低温時には、トルクを大きくするようにモータの回転速度を遅くする必要がある。具体的には、レシートプリンタ装置の動作保証温度が5℃以上であるにもかかわらず、電源投入時の温度が5℃より低い温度であった場合に、直ちに印字を行おうとしても用紙が搬送されないことがある。
【0003】
このようにレシートプリンタ装置の内部の温度に応じてモータのトルクを変化させるためにレシートプリンタ装置の内部の温度を検出する必要がある。この内部の温度を検出するために、内部温度検出用のセンサを装置内に設けた内部温度検出装置が知られている。この内部温度検出装置は、センサとコネクタを専用の基板に設け、この専用の基板とCPU、メモリ、コネクタ等が配設されたメイン基板とをハーネスで結線して接続し、内部の温度を検出するように構成している。
【0004】
上述のような専用の基板を用いない場合は、メイン基板にセンサを直接半田づけすることになる。
【0005】
なお、装置内にセンサを設け、サーマルヘッドの印字中の印加電圧値を検出する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−326539号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、メイン基板とは別にセンサ用の専用の基板を設けると、コストが高くなるという問題がある。
【0007】
また、内部温度検出用のセンサをメイン基板に直接半田づけするように構成すると、メイン基板のCPU、メモリ等から発せられる熱がメイン基板を経由してセンサに伝わり、装置の正確な内部温度が検出できないという問題がある。これを回避するために、リードタイプのセンサをメイン基板から浮かして使用することも考えられるが、実装する工程が多くなり、コスト高につながってしまう。
【0008】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、安価に装置内部の温度を検出する仕組みを構築することができるとともに、装置内部の温度を正確に検出することができる内部温度検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、熱を発する素子を有する基板上に設けられ、基板が配置された装置内部の温度を検出する温度検出手段であるセンサと、基板の電源ONからの時間を計時する計時手段と、計時手段で計時された時間に基づいて、センサで検出される温度を例えば、温度補正テーブルを用いて補正する温度補正手段とを具備するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、安価に装置内部の温度を検出する仕組みを構築することができるとともに、装置内部の温度を正確に検出することができる内部温度検出装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、レシートプリンタ装置1の内部構成の要部を概略的に示す図である。
【0012】
レシートプリンタ装置1には、メイン基板2、サーマルヘッド3、レシート搬送部4が設けられている。メイン基板2はレシートプリンタ装置1内部の所定位置に固定的に配置されており、レシートプリンタ装置1内に設けられたサーマルヘッド3、モータ5等を制御する制御部が設けられている。サーマルヘッド3は、例えば、レシートプリンタ装置1がPOSに搭載された場合には、POS本体から送られる印字データに基づいて印字を行う。レシート搬送部4は、モータ5を駆動源として、例えば、レシートである用紙をサーマルヘッド3で印字可能な位置まで搬送する。
【0013】
図2は、メイン基板2の制御部の構成を概略的に示す図である。メイン基板2には、熱を発する素子であるCPU11、メモリ12、発振器13が搭載されているとともに面実装品のサーミスタセンサ14(温度検出手段)が実装されている。また、CPU11、メモリ12、発振器13はバスラインを介して接続されている。
【0014】
CPU11は中央処理装置であり、メモリ12はCPU11が実行する制御プログラムや図3及び図4を参照して後述する温度補正テーブルT等の各種データを記憶する。また、発振器13は、所定の基準クロックをCPU11やメモリ12に供給する。サーミスタセンサ14は、レシートプリンタ装置1内部の温度を検出し、検出した温度情報をCPU11へ送信する。
【0015】
図3は、サーミスタセンサ14で検出した温度、外部の環境温度、レシートプリンタ装置1の内部温度(内気温度)との関係を示す図である。図3において、縦軸は温度を示し、横軸はメイン基板2の電源ONからの時間経過を示し、また、サーミスタセンサ14で検出した検出温度をT1、外部の環境温度をT2、レシートプリンタ装置1の内部温度をT3で示している。なお、メイン基板2は、レシートプリンタ装置1の電源スイッチがONされると、電源が供給され電源ONとなる。
【0016】
メイン基板2の電源ONの時点では、内部温度T3と検出温度T1は等しい。しかしながら、時間が経過していくと環境温度T2は一定であるが、検出温度T1と内部温度T3は上昇し、検出温度T1は内部温度T3よりも上昇が激しくなる。これは、検出温度T1が、サーミスタセンサ14がCPU11、メモリ12が発振器13からクロックが供給されて動作しているためメイン基板2が暖められ、その影響を受けるからである。
【0017】
このように検出される検出温度T1と内部温度T3との関係から図4で示す温度補正テーブルTが求められる。温度補正テーブルTは、経過時間に対してサーミスタセンサ14で検出された検出温度T1を補正内部温度T4に補正するためのテーブルである。
【0018】
図4に示すように、メイン基板2の電源ON時からの時間経過に応じて、サーミスタセンサ14で検出した検出温度T1から内部温度T3よりも上昇した分を差し引くための補正温度が設定されている。具体的には、温度補正テーブルTには、経過時間が、電源ON時(すなわち、0分)から10分まで、10分から20分まで、20分から30分まで、30分以上の4つの時間区分に区分されており、その時間区分に対応して補正温度が1℃、2℃、3℃、4℃と設定されている。なお、これらの時間区分や補正温度は、試験を行った結果に基づいて定められるものである。
【0019】
次に、CPU11がサーミスタセンサ14で検出した検出温度T1を温度補正テーブルTに設定された補正温度を用いて補正し、補正内部温度T4を求める処理について説明する。
【0020】
CPU11は、メイン基板2の電源ONを検出するとメモリ12等を用いて時間の計時を開始する(計時手段)。そして、CPU11は計時を開始して10分まではサーミスタセンサ14で検出した検出温度T1から1℃差し引き補正内部温度T4を検出し、10分が経過して20分まではサーミスタセンサ14で検出した検出温度T1から2℃差し引き補正内部温度T4を検出し、20分が経過して30分まではサーミスタセンサ14で検出した検出温度T1から3℃差し引き補正内部温度T4を検出し、30分以上経過したときはサーミスタセンサ14で検出した検出温度T1から4℃差し引き補正内部温度T4を検出する(温度補正手段)。
【0021】
続いて、CPUが補正内部温度T4を用いてモータ5のトルクを制御する処理について説明する。
【0022】
例えば、レシートプリンタ装置1の動作保証温度が5℃以上である場合に、レシートプリンタ装置1の接地場所や季節等により内部温度が5℃以下になってしまうことがある。この場合は、モータ5のトルクが小さくなり、レシート用紙が搬送できなくなる場合がある。そこで、CPU11は、補正した補正内部温度T4が5℃より小さい場合には、補正内部温度T4に応じてモータ5の回転速度を通常(動作保証がされている5℃以上のときに設定されている回転速度)より遅くする(トルク制御手段)。
【0023】
このように構成されたレシートプリンタ装置1に電源が投入されたときの動作について説明する。
【0024】
メイン基板2に面実装されたサーミスタセンサ14が検出した検出温度T1から、電源ON時から経過した時間に応じて温度補正テーブルTに設定された補正温度を差し引き補正内部温度T4が検出される。具体的には、例えば、サーミスタセンサ14で5℃が検出されたならば、電源ON時から10分以内であるときは、5℃から補正温度として1℃を差し引き4℃が補正内部温度T4として検出される。レシートプリンタ装置1の動作保証温度が5℃以上である場合に、上述のように4℃が補正内部温度T4として求められた場合は、その補正内部温度4℃に応じてモータ5の回転速度を遅くしてトルクを大きくし、モータ5の動作保証温度以下でも、レシートをサーマルヘッド3で印字可能な位置まで直ちに搬送することができる。
【0025】
したがって、レシートプリンタ装置1によると、メイン基板2に面実装されたサーミスタセンサ14で温度を検出しても、電源ON時からの時間経過に応じてサーミスタセンサ14で検出した温度を、温度補正テーブルTに設定された補正温度を差し引き、補正内部温度T4を求めることにより、レシートプリンタ装置1の内部の温度を正確に求めることができる。
【0026】
また、サーミスタセンサ14は、メイン基板2に面実装されており、サーミスタセンサ14専用の基板を用いなくても良いため、レシートプリンタ装置1内の温度を安価で検出する仕組みを構築することができる。
【0027】
さらに、補正内部温度T4を求めることによりレシートプリンタ装置1の内の温度を正確に検出することができるため、補正内部温度T4がレシート搬送部4のモータ5の動作保証温度より低い温度であっても、その補正内部温度T4に応じてモータ5の回転速度を遅くしてトルクを大きくし、レシートをサーマルヘッド3で印字可能な位置へ直ちに搬送することができる。
【0028】
なお、本発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態におけるレシートプリンタ装置の内部構成の要部を概略的に示す図。
【図2】同実施の形態におけるメイン基板の制御部の構成を概略的に示す図。
【図3】同実施の形態における検出温度、環境温度、内部温度の関係を示す図。
【図4】同実施の形態における温度補正テーブルを示す図。
【符号の説明】
【0030】
1…レシートプリンタ装置,2…メイン基板,3…サーマルヘッド,4…レシート搬送部,5…モータ,11…CPU,12…メモリ,13…発振器,14…サーミスタセンサ,T…温度補正テーブル,T1…検出温度,T2…環境温度,T3…内部温度,T4…補正内部温度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱を発する素子を有する基板上に設けられ、前記基板が配置された装置内部の温度を検出する温度検出手段と、
前記基板の電源ONからの時間を計時する計時手段と、
前記計時手段で計時された時間に基づいて、前記温度検出手段で検出される温度を補正する温度補正手段とを具備することを特徴とする内部温度検出装置。
【請求項2】
前記装置は、内部に設けられた駆動部を駆動させるために、前記装置内の温度が低くなるとトルクが小さくなるモータを有し、
前記温度補正手段で補正した温度に基づいて、前記モータの回転速度をトルクが大きくなるように制御するトルク制御手段を具備することを特徴とする請求項1記載の内部温度検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−184129(P2006−184129A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−378213(P2004−378213)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】