説明

再循環潤滑油システムにおける潤滑油特性の修正

【課題】実際のエンジン運転条件に応答して、エンジンの潤滑油特性をリアルタイムで最適化するための装置および方法が開示される。
【解決手段】本発明は、直接的または間接的に、関心あるシステムパラメーターを、関心ある位置近くで測定する工程;前記パラメーターまたは入力値から、性能強化剤、追加のベース潤滑油、別に処方された潤滑油および希釈材よりなる群から選択され、ベース潤滑油に加える必要がある第二の流体の量を計算する工程;および前記ベース潤滑油に前記第二の流体を追加し、その後その組み合わせを前記監視位置に導入する工程を含む方法による。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再循環潤滑油システムを用いるシステムにおけるシステムの潤滑油特性を、実際のシステム条件に応答してオンラインで修正するための装置および方法に関する。より詳しくは、本発明は、潤滑油を再循環するエンジンにおいて、実際のエンジン条件に応答して、エンジンの潤滑油特性を変更する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関においては、潤滑油は、ピストンリング、シリンダーライナー、クランクシャフトおよびコネクティングロッドのベアリング、カムおよびバルブリフターを含む動弁系機構を、他の稼動部分内で潤滑するのに用いられてきた。潤滑油は、部品の摩耗を防止し、熱を除去し、燃焼生成物を中和および分散し、錆および腐食を防止し、ブローバイを防止し、スラッジの形成またはデポジットを防止する。
【0003】
エンジンがより高い出力を発生し、より厳しい条件下で運転されるにつれて、潤滑油に要求される性能および機能は、顕著に増大した。これらの増大された性能要求は、対応して、潤滑油の費用を増大させる結果となった。潤滑油は、次第に、高度かつ高価な基材で製造されつつある。これには、全合成基材が含まれる。加えて、広範囲の高価な添加剤が、機能要求を満たすために潤滑油中に組合わされる。例えば、分散剤、清浄剤、耐摩耗剤、摩擦低減剤、粘度向上剤、極圧調整剤、増粘剤、金属不動態化剤、酸封鎖剤、および酸化防止剤である。
【0004】
潤滑油は、いくつかのエンジン条件パラメーター(部品の摩耗および腐蝕など)を統御するように設計されてきた。潤滑油は、エンジン部分の摩耗およびシージングを防止することによって、エンジンのスムーズな運転を全ての条件下で確保するように処方されてきた。これらの結果を達成するために、注意深く選択された基材に、しばしば耐摩耗剤を組み合わせる。内燃機関の摩擦個所におけるエネルギーロスもまた重要である。この理由で、潤滑油にはしばしば摩擦調整剤が含まれる。同様に、潤滑油によって統御される他の重要なエンジン条件パラメーターには、システムの冷却、デポジット形成、腐蝕、ブローバイ、起泡、燃焼副生物の中和、金属の不動態化および潤滑油の油膜厚さの保持が含まれる。この一覧は、完全であることを意味せず、当業者には、潤滑油によって統御される多くの他の重要なエンジンパラメーターが認められる。
【0005】
再循環潤滑油システムについては、先行する技術において、油溜め油中の添加剤濃度のレベルが予め設定されたトリガー未満に低下したとき、エンジンを停止し、全潤滑油を交換することが教示されている。この方法の改良点は、運転中に大部分の油溜め油を除去し、新鮮潤滑油と交換することを可能にする。より最近の実施者は、この方法を修正し、監視された油溜めの添加剤濃度が予め設定されたレベル未満に消耗されたとき、添加剤を油溜めに注入することによって、再循環する潤滑油の有効寿命を延長した。
【0006】
全てまたは殆ど全ての潤滑油を交換する初期の方法は、濃度が不足した添加剤がただ1つでも多くの高価な成分を投棄することから不経済であった。更に、これらの方法には、エンジン内部のいかなる任意の個所においても、添加剤の濃度が、潤滑油の実際の有効性(または非有効性)と必ず相関するとは限らないという点で欠点があった。たとえ相関したとしても、油溜め内の添加剤の濃度が、関心ある潤滑個所における添加剤の濃度を正確に反映しないことが実質的な研究で示された。非特許文献1を参照されたい。従ってこれらの方法は、エンジンの実際の潤滑要求が充足されることを保証しないため広く採用されなかった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】トライボロジーインターナショナル[Tribology International](第24巻、第4号、第231〜33頁、1991年8月);マルコム フォックス[Malcolm Fox]ら著「内燃機関の上部リングゾーンにおける潤滑油の組成(Composition of Lubricating Oil in the Upper Ring Zone of an Internal Combustion Engine)」
【非特許文献2】SAE831721(1983年);J.A.マッギーハン[J.A.McGeehan]著「ディーゼルエンジンの油消費およびシリンダーボアの研磨に関するピストンのデポジット、燃料油の硫黄、および潤滑油の粘度の効果(Effect of Piston Deposits,Fuel Sulfur,and Lubricant Viscosity on Diesel Engine Oil Consumption and Cylinder Bore Polishing)」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、その潤滑油を再循環するシステムにおいて、実際のシステム潤滑要求に応答して、システムの潤滑油特性または流量をリアルタイムで変更するためのシステムおよび方法に関する。本発明は、内燃機関に限定することなく、ガスタービンエンジンや、その潤滑油を再循環する他の機械および装置にも等しく良好に適用される。
【0009】
好ましくは、本発明は、潤滑油の「有効性」を現場で監視し、その特性および/または流量を、機械またはエンジンの実際の摩耗または腐食の要求に応答して修正するためのシステムおよび方法を提供する。より好ましくは、本発明は、4ストローク内燃機関におけるベース潤滑油の有効性を測定し、性能強化剤、追加のベース潤滑油、別に処方された潤滑油および希釈材よりなる群から選択される少なくとも一種の第二の流体を制御して加えることによって、潤滑油の有効性を調整する手段を提供するためのシステムおよび方法を提供する。
【0010】
近年のエンジンの増大された性能要求は、それらの高度性、複雑性および敏感性の増大をもたらした。それに応じて、より複雑な基材および添加剤を用いることによって、エンジンの潤滑油もまたより進歩した。しかし、これらの革新により、基材および添加剤の両者のより高いコストもまた生じる。
【0011】
関心あるシステム条件パラメーター(摩耗または腐食など)は、直接測定してもよく、他のシステム、機械、または燃料油のパラメーターから予測することによって間接的に測定してもよい。限定しない例として、関心ある部品の摩耗は、その個所からの滴下潤滑油中に存在する金属または金属酸化物の粒子を測定することによって、直接測定されうる。別の例において、摩耗はまた他のパラメーターから予測されうる。例えば、4サイクルディーゼルエンジンにおけるピストンリングの摩耗を、燃料油の硫黄含有量および潤滑油の全塩基価(「TBN」)から予測しうることが、研究で示されている。非特許文献2を参照されたい。従って、ピストンリングの摩耗は、直接測定することもでき、他のパラメーターから正確に予測することによって間接的に測定することもできる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一実施形態において、本発明は、
・その潤滑油を再循環するシステムにおいて、直接的または間接的に、一種以上の関心あるシステム条件パラメーターを測定する工程;
・前記システム条件パラメーターから、前記ベース潤滑油に加えるべき第二の流体の量を計算し、前記システム条件パラメーターを統御する工程であって、前記第二の流体は、性能強化剤、追加のベース潤滑油、別に処方された潤滑油、希釈材およびこれらの組み合わせからなる群から選択される工程;および
・前記ベース潤滑油を前記第二の流体と混合し、その後その組み合わせを前記監視される部分または位置に導入する工程
を含む方法である。
【0013】
他の実施形態において、本発明は、そのベース潤滑油を再循環するエンジン;性能強化剤、追加のベース潤滑油、別に処方された潤滑油および希釈材からなる群から選択される第二の流体;直接的または間接的に、関心あるシステム条件パラメーターの値を関心ある位置で測定する測定装置;前記第二の流体を加えることによってベース潤滑油に対する必要な修正を決定するアルゴリズムを用いる計算装置;および成分を、関心あるシステム位置に到着する前に混合する混合手段を含むシステムである。
【0014】
混合手段は、第二の流体をベース潤滑油に注入する(その流れがそれらを混合させる)ことと同様に簡単なものであってよい。他の混合または撹拌装置(パドル、ベンチュリまたはスクリュー装置など)を用いてもよい。この一覧は、混合手段の完全な一覧であることを意味せず、当業者は、第二の流体をベース潤滑油に混合する他の手段を容易に決定しうる。第二の流体を顕著にまたは完全にベース潤滑油と混合することは、好ましいが本発明の要件ではない。唯一の要件は、第二の流体を導入することにより、関心あるシステム条件パラメーターが影響を受けることである。
【0015】
本発明は、多くのエンジン、機械および潤滑油を再循環する装置のタイプに適用されうる。限定しない例として、本発明は、一般的な4ストローク内燃機関に適用されうる。クランクケースからの油はねかけによるシリンダーの潤滑も生じるが、重要な関連領域は、それ自身の潤滑油回路を有する動弁系の摩耗である。本発明を適用して、動弁系の油返送通路内に金属粒子の監視装置を配置し、供給された潤滑油を油溜めに戻る前に監視する。他の測定を用いて、例えば燃料油の硫黄レベル、SOxまたはNOx排出、潤滑油の金属含有量、潤滑油の金属酸化物含有量、潤滑油の酸性度、潤滑油のキャパシタンス、潤滑油の油膜厚さ、潤滑油の粘度、燃料油の硫黄含有量、シリンダーの温度、冷却水の温度、潤滑油の温度、エンジンの毎分回転数(r.p.m.)、エンジンの負荷等を測定することによって、システム成分パラメーターの摩耗を間接的に測定してもよい。これは、システム条件パラメーターを間接的に測定する測定の完全な一覧であることを意味せず、当業者には、他のこれらの測定を容易に決定することが可能である。
【0016】
実際の、または計算された摩耗パラメーターに応答して、性能強化剤、追加のベース潤滑油、別に処方された潤滑油および希釈材よりなる群から選択される第二の流体を用いて、ベース潤滑油を修正する。これらのベース潤滑油の修正により、返送通路内で検知される金属粒子の量が統御される。この場合には、それをリアルタイムまたは殆どリアルタイムで最小化する。同様に、この技術を、金属腐蝕、システムの冷却、金属の不動態化、ブローバイ、起泡およびデポジット形成などの他のシステム条件パラメーターを統御するのに適用しうる。これは、システム条件パラメーターの完全な一覧であることを意味せず、当業者は、本発明によって統御されうる他のシステム条件パラメーターを容易に決定しうる。
【0017】
他の限定しない例においては、本発明をガスタービンまたはジェットエンジンで用いうる。ガスタービンエンジンにおける潤滑油は、摩擦摩耗を阻止するよう取り組むだけでなく、冷却剤、シール剤としても用いられ、またガスタービンエンジン全体のベアリングに対する洗浄効果を有する。摩耗は高温が要因であるが、ガスタービンエンジンの高負荷環境や、潤滑油の粘度、耐磨擦性および化学的安定性もまた、非常に重要なものである。
【0018】
ガスタービン油の有効寿命を制限する三つの最大の要因は、粘度の変化、起泡および流体の洗浄性である。ガスタービンエンジン油の粘度は、正確にバランスがとれていなければならない。粘度は、良好な負荷能力のためには十分に高くなければならないが、良好な流動性のためには十分に低くなければならない。同様に、潤滑油は、低圧高温条件下で起泡も蒸発もしてはならない。最後に、潤滑油は、主として、速く動く高度に機械化されたベアリングに用いられることから、洗浄性と、蓄積されたカーボンデポジットがないことが、極めて重要である。
【0019】
ガスタービン潤滑油中の特定の添加剤のレベルを測定するのとは対照的に、潤滑油の粘度および潤滑油中の泡の量は、直接測定されうる。これは、単純に「その添加剤レベルは潤滑部分を実際に保護している」と仮定することとは対照的に、ガスタービンエンジンにおける潤滑油の有効性について、その実際のスナップショットを提供する。粘度は、電磁気的に駆動されるピストンまたは音波の周知の技術によって、インラインで直接測定されうる。これらの測定結果に基づき、性能強化剤、追加のベース潤滑油、別に処方された潤滑油および希釈材よりなる群から選択される第二の流体を用いて、ベース潤滑油を修正する。
【0020】
本発明は単に、システム条件パラメーターを関心ある位置で監視するのみである。本発明に関して用いられる場合、用語「関心ある位置で」とは、油溜め中のバルク油充填以外の位置でシステム条件パラメーターを測定することを意味する。例えば、関連の領域が全動弁系の摩耗である場合、潤滑油中の金属または金属酸化物の測定は、潤滑油が油溜めに再び入る前の滴下ストリーム中のある位置で行われる。
【0021】
本発明が必要とするのは、単一のシステム条件パラメーターを関心ある位置で測定することのみであるから、先行の装置が必要とする測定は、必ずしも必要ではない。例えば、先行のシステムは、使用潤滑油の添加剤濃度を、初期の潤滑油のそれと比較する情報が必要であった。しかし本発明では、この情報を必要としない。本発明は、関心ある位置で監視されるシステム条件パラメーターに単に応答して、ベース潤滑油を修正する。従って、潤滑油の初期のパラメーターを知る必要はない。本発明においては、測定(第二の流体を関心ある位置に向かうベース潤滑油に加えることが、所望のシステム条件パラメーターを統御するか否かを決定するための)を1つしか必要としない。本発明は、実際のシステムパラメーターを統御し、関係のない化学的濃度を統御しないので成功する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明の他の限定しない例を示す。これは、内燃機関のピストンリングおよびシリンダーにおける摩耗を防止するために用いるのに適合したものである。この例において、本発明は、油溜め(3)中にベース潤滑油を有する4ストローク内燃機関(1)を含む。少なくとも一種の第二の流体(通常、既知または測定された(7)特性を有する性能強化剤、追加のベース潤滑油、別に処方された潤滑油および希釈材よりなる群から選択される)源(5)がある。
【0023】
動弁系部品(9)の摩耗(システム条件パラメーター)は、直接測定してもよく、予測して測定してもよい。直接測定については、限定しない例として、動弁系から滴下する潤滑油(11)中の金属または金属酸化物含有量を測定する。これらの入力値(13)を、摩耗を制限するために潤滑油に導入する必要がある第二の流体の量を決定するアルゴリズム(デジタルまたはマニュアルのいずれかで計算される)を用いる計算装置(15)に送る。これは自動的に行うことが好ましいが、エンジンの運転条件および入力値の変化が遅いかまれな場合には、マニュアル計算で十分なこともある。第二の流体を、動弁系に再導入される前にベース潤滑油に混合するブレンダー(19)に、信号(17)を送る。一つのシリンダーのみを監視することによって、全てのシリンダーに十分な保護がもたらされることが期待される。しかし本発明は、各シリンダーについて監視および混合を行う。
【0024】
殆どの運転条件において、第二の流体を加えることによる潤滑油特性の変更は、適切な潤滑を確保するのに十分かつ最も効果的な方法である。しかし、ある条件下では、潤滑油および第二の流体を最も効果的に用い、適切な潤滑を確保するためのアルゴリズムによって、潤滑油の流量を調整することも必要となることがありうる。発明者は、本発明の実使用により、第二の流体の添加およびベース潤滑油の流量変更の両者を、アルゴリズムで制御することが可能となることを期待する。
【0025】
本発明は、先行の教示に対する、少なくとも三つの明確な利点を提供する。第一に、本発明は、システムに入る潤滑油の特性を監視することも、決定することも必要としない。本発明が、エンジン内の特定の位置または部分で潤滑油機能によって統御される特定のシステム条件を監視し、それに反応する際に、この情報は必ずしも必要ではない。先行技術では、エンジンに入る油における使用した添加剤濃度を監視・補充した。これらの濃度は、その位置における関心あるシステム条件パラメーターにも、潤滑油性能にも相関していない。本発明は、油の使用した添加剤濃度を油溜めにおいて比較評価するというよりは、関心ある位置において測定された、システムの負荷および/または潤滑油の有効性に直接応答して、潤滑油特性を修正するものである。
【0026】
第二に、本発明によりシステムの劣化がリアルタイム、または殆どリアルタイムで検知される。何故なら本発明は、先行の教示(油溜めまたは貯槽への混合によって添加剤レベルが希釈された後に、添加剤レベルを監視する)とは対照的に、関心ある点で実際のシステム条件パラメーターを監視するからである。先に示された例におけるように、エンジンの摩耗は、動弁系からの滴下油中で直接に測定された。先行の実施者は、油溜めにおける潤滑油の添加剤濃度を常に監視した。潤滑油の添加剤濃度および潤滑油の真の有効性の間に相関があるとしても、この相関は、排出して戻された潤滑油がシステムの全潤滑油中に希釈された後、かなり後まで測定されないので、この相関は掩蔽される。更に、先行技術は、システム条件パラメーターを関心ある特定の位置で測定せず、潤滑油貯槽においてシステムの健全性を一般的に全般評価したに過ぎない。本発明は、実際のシステムの負荷に応答して潤滑油パラメーターを変化させることによって、実際のシステムの健全性を、遥かに正確に監視および統御することを考慮したものである。
【0027】
最後に、本発明は遥かに経済的である。何故なら本発明は、予め設定されたトリガーに応答して全潤滑油を完全または実質的に交換することとは対照的に、実際のシステム潤滑要件に応答し、必要に応じてベース潤滑油を特定の第二の流体で補うに過ぎないからである。本発明は、エンジンを摩耗、デポジットまたは関連する他の劣化から実際に保護するだけでなく、エンジンに現れる負荷を克服するように潤滑油特性を即座に調整するという、最も経済的な方法でそれを行うものである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】4ストローク内燃機関に適用された本装置の概略断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムの運転中に、システムの潤滑油特性をオンラインリアルタイムで最適化する方法であって、
(a)ベース潤滑油を再循環するシステムについて、直接的または間接的に、一種以上のシステム条件パラメーターを油溜め中のバルク油充填以外の関心ある位置で繰り返して測定する工程;
(b)前記システム条件パラメーターから、前記ベース潤滑油に加えるべき第二の流体の量を、前記関心のある位置における実際のシステム潤滑要件にのみ応答して計算する工程であって、前記第二の流体は、性能強化剤、基油、追加の処方潤滑油、希釈剤およびこれらの混合物からなる群から選択される一種以上の流体である工程;
(c)前記関心のある位置に向かうベース潤滑油を前記第二の流体と混合して、最適化されたベース潤滑油を生成する工程;および
(d)前記最適化されたベース潤滑油を、油溜め中のバルク油充填以外の前記関心ある位置に直接適用する工程
を含むことを特徴とする潤滑油特性を最適化する方法。
【請求項2】
前記システムは、エンジンであることを特徴とする請求項1に記載の潤滑油特性を最適化する方法。
【請求項3】
前記システム条件パラメーターは、金属摩耗、システムの冷却、デポジット形成、腐食、ブローバイ、起泡、燃焼副生物の中和、金属の不動態化および潤滑油の油膜厚さからなる群から選択される一種以上であることを特徴とする請求項2に記載の潤滑油特性を最適化する方法。
【請求項4】
前記エンジンは、内燃機関であることを特徴とする請求項3に記載の潤滑油特性を最適化する方法。
【請求項5】
前記エンジンは、ガスタービンエンジンであることを特徴とする請求項3に記載の潤滑油特性を最適化する方法。
【請求項6】
前記内燃機関は、4ストロークエンジンであることを特徴とする請求項4に記載の潤滑油特性を最適化する方法。
【請求項7】
前記関心ある位置は、動弁系であることを特徴とする請求項6に記載の潤滑油特性をオンラインで最適化する方法。
【請求項8】
エンジンの使用中に、内燃機関の潤滑油特性をオンラインリアルタイムで最適化する方法であって、
(a)ベース潤滑油を再循環するエンジンについて、直接的または間接的に、油溜め中のバルク油充填以外の関心ある位置で、金属摩耗、エンジンの冷却、デポジット形成、腐食、ブローバイ、起泡、燃焼副生物の中和、金属の不動態化および潤滑油の油膜厚さからなる群から選択される一種以上のエンジン条件パラメーターを繰り返して測定する工程;
(b)前記一種以上のエンジン条件パラメーターから、前記ベース潤滑油に加えるべき第二の流体の量を、前記関心のある位置における実際のシステム潤滑要件にのみ応答して、計算する工程であって、
前記第二の流体は、性能強化剤、追加のベース潤滑油、別に処方された潤滑油、希釈材およびこれらの混合物からなる群から選択される一種以上の流体であり、
前記性能強化剤は、清浄剤、分散剤、酸化防止剤、耐摩耗剤、摩擦低減剤、粘度向上剤、増粘剤、極圧剤、金属不活性化剤、酸封鎖剤およびこれらの混合物からなる群から選択される一種以上である工程;
c)前記関心のある位置に向かうベース潤滑油を前記計算量の前記第二の流体と混合して、最適化されたベース潤滑油を生成する工程;および
(d)前記最適化されたベース潤滑油を、油溜め以外の前記関心ある位置に直接導入する工程
を含むことを特徴とする潤滑油特性を最適化する方法。
【請求項9】
システムにおける潤滑油特性をオンラインリアルタイムで最適化する装置であって、
(a)一種以上のベース潤滑油を再循環するシステム;
(b)性能強化剤、追加のベース潤滑油、別に処方された潤滑油、希釈材およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも一種の第二の流体;
(c)直接的または間接的に、少なくとも一種のシステム条件パラメーターの値を油溜め以外の関心ある位置で測定するための測定装置;
(d)前記少なくとも一種のシステム条件パラメーターに基づいて作動するアルゴリズムを用い、前記ベース潤滑油に加えるべき前記第二の流体の量を、前記関心のある位置における実際のシステム潤滑要件にのみ応答して、決定する計算装置;および
(e)前記関心のある位置に向かうベース潤滑油と前記第二の流体を混合し、その後混合物を、前記関心あるシステム部分またはシステム位置に直接再導入するための混合手段
を含むことを特徴とする潤滑油特性を最適化する装置。
【請求項10】
前記システムは、エンジンであることを特徴とする請求項9に記載の潤滑油特性を最適化する装置。
【請求項11】
前記エンジンは、内燃機関であることを特徴とする請求項10に記載の潤滑油特性を最適化する装置。
【請求項12】
前記エンジンは、ガスタービンエンジンであることを特徴とする請求項10に記載の潤滑油特性を最適化する装置。
【請求項13】
前記内燃機関は、4ストロークエンジンであることを特徴とする請求項11に記載の潤滑油特性を最適化する装置。
【請求項14】
前記システム条件パラメーターは、金属摩耗、エンジンの冷却、デポジット形成、腐食、ブローバイ、起泡、燃焼副生物の中和、金属の不動態化および潤滑油の油膜厚さからなる群から選択される一種以上のパラメーターであることを特徴とする請求項13に記載の潤滑油特性を最適化する装置。
【請求項15】
前記第二の流体は、性能強化剤、追加のベース潤滑油、別に処方された潤滑油、希釈材およびこれらの混合物からなる群から選択される一種以上の流体であり、
前記性能強化剤は、清浄剤、分散剤、酸化防止剤、耐摩耗剤、摩擦低減剤、粘度向上剤、増粘剤、極圧剤、金属不活性化剤、酸封鎖剤およびこれらの混合物からなる群から選択される一種以上である
ことを特徴とする請求項14に記載の潤滑油特性を最適化する装置。
【請求項16】
運転中のエンジンにおける一種以上のベース潤滑油の潤滑油特性をオンラインリアルタイムで最適化する装置であって、
(a)前記ベース潤滑油を再循環する内燃機関;
(b)性能強化剤、基油および追加の処方潤滑油からなる群から選択され、前記性能強化剤は、清浄剤、分散剤、酸化防止剤、耐摩耗剤、摩擦低減剤、粘度向上剤、増粘剤、極圧剤、金属不活性化剤、酸封鎖剤およびこれらの混合物からなる群から選択される一種以上であることを特徴とする少なくとも一種の第二の流体;
(c)金属摩耗、エンジンの冷却、デポジット形成、腐食、ブローバイ、起泡、燃焼副生物の中和、金属の不動態化および潤滑油の油膜厚さからなる群から選択される一種以上のエンジン条件パラメーターを、直接的または間接的に、油溜め以外の関心ある位置近くで測定するための測定装置;
(d)前記選択されたエンジン条件パラメーターおよび前記ベース潤滑油特性のうち一種以上に基づいて作動するアルゴリズムを用い、前記ベース潤滑油に加えるべき前記第二の流体の量を、前記関心のある位置における実際のシステム潤滑要件にのみ応答して、決定する計算装置;および
(e)前記関心のある位置に向かうベース潤滑油を前記第二の流体と混合し、その後得られた混合物を前記関心ある位置に直接再導入するための混合手段
を含むことを特徴とする潤滑油特性を最適化する装置。

【図1】
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【公開番号】特開2010−14730(P2010−14730A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−236076(P2009−236076)
【出願日】平成21年10月13日(2009.10.13)
【分割の表示】特願2003−571572(P2003−571572)の分割
【原出願日】平成15年2月7日(2003.2.7)
【出願人】(390023630)エクソンモービル リサーチ アンド エンジニアリング カンパニー (442)
【氏名又は名称原語表記】EXXON RESEARCH AND ENGINEERING COMPANY
【Fターム(参考)】