冬虫夏草の培養方法及び冬虫夏草を有効成分とする免疫賦活剤、がん細胞増殖抑制剤、抗炎症剤、又は抗酸化剤
【課題】同じ菌種の冬虫夏草でも、蚕種によって優れた活性を示す冬虫夏草を見出すこと。
【解決手段】本発明の冬虫夏草の培養方法は、蚕を寄主とした冬虫夏草の培養方法であって、蚕種として小石丸を用いたことを特徴とする。
【解決手段】本発明の冬虫夏草の培養方法は、蚕を寄主とした冬虫夏草の培養方法であって、蚕種として小石丸を用いたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蚕を寄主とした冬虫夏草の培養方法、及び冬虫夏草を有効成分とする免疫賦活剤、がん細胞増殖抑制剤、抗炎症剤、又は抗酸化剤に関する。
【背景技術】
【0002】
冬虫夏草は、中国古来から伝わる秘薬として珍重されてきた。近年、秘薬としての冬虫夏草の効果並びに成分分析が行われている。また、生活様式の変化や健康志向の高まりから、健康食品としての利用も進んでいる。
冬虫夏草は、昆虫に寄生するキノコの総称として用いられることが多いが、子嚢菌類、バッカク菌目、バッカク菌科の一属に位置づけられている。
分類体系は未だ確立されていないと言われているが、菌種によって寄生する寄主が異なるとされ、冬虫夏草の同定には、形成される子実体の形態だけでなく、寄主となる昆虫の種類も参考にされている。
例えば、ツクツクボウシセミタケ(学名Cordyceps,sinclairii,Kobayasi)はツクツクボウシを寄主とし、コブガタアリタケ(学名Torrubiella sp. (kobugataaritake))はムネアカオオアリを寄主とし、カメムシタケ(学名Cordyceps nutans Pat.)はカメムシを寄主とする。
その他、トンボ、ハチ、クモ類やダニ類を寄主とする冬虫夏草もある。
そして、例えばサナギタケ(Cordyceps militaris)からは、コルジセピンを指標とした免疫賦活効果が知られ、ツクツクボウシに寄生するツクツクボウシタケからは、FTY720という免疫抑制効果が知られているように、冬虫夏草は、その種類によって異なる活性が見つけられている。
非特許文献1では、ハナサナギタケ、ツクツクボウシセミタケ、サナギタケ、マルミノアリタケ(Cordyceps formicarum)、ウスキサナギタケ(Cordyceps takaomontana)について、虫体成分を含まない培地で培養を行い、それぞれの有効成分について調べた結果を報告している。
また、特許文献1では、サナギタケの培養菌糸体の抽出液に強心作用や気管支拡張作用があることを開示し、特許文献2では、サナギタケに着目してコルジセピンの抽出方法を提案している。
また、特許文献3、4、5では、ハナサナギタケに着目して有効物質を見出している。
漢方薬として珍重されているコルジセプス・シネンシス(Cordyceps sinensis)は、人工的な培養によって子実体形成まで至っておらず、その代用品として、チョウ目カイコガ科を寄主とする冬虫夏草の人工培養方法が多く提案されている。
特許文献6では、冬虫夏草の菌糸又は子座胞子を、既成食品であるニンニク・醤油・砂糖を混合した培養液を殺菌し、常法により液体培養するか、又はこの液体培養液を米・麦・とうもろこし等の穀物又は蚕・セミ等の節足動物の昆虫類の成虫・蛹・幼虫等に吸着させて固体培養を行う方法が提案されている。
特許文献7では、冬虫夏草の菌糸体を、糖類、蛋白物質、ビタミン類、核酸類等の一種又は数種を主成分とし、これらの主成分に穀類を添加して立体固形培地に移植して培養し、この立体固形培地において培養した菌糸を糖類蛋白物質類、ビタミン類、核酸類等の一種又は数種を主成分とし、これにアミノ酸類の一種又は数種を添加し、水を基質としたpH4.0〜7.0の液体培地に移植して静置培養し、液体培地表面に菌座を形成させる方法が提案されている。
特許文献8では、生きている昆虫に冬虫夏草の菌糸体を直接に感染、接種するか、あるいは3分の1量の昆虫組織体を加えた寒天を基質とする純粋分離培地に冬虫夏草の菌糸体を接種する方法である。なお、生きている昆虫を用いる場合としては、繭を形成する直前の蚕を用いている。
特許文献9では、野外に存在する冬虫夏草を採取し、寒天培地、液体培地で菌糸、分生胞子を増殖させ、最終的な大量増殖を野外栽培で行う方法が提案されている。
特許文献10では、蚕の蛹そのものを培地として培養する方法を提案し、特許文献11では、活きた蚕を培地とすることで更に天然に近い培養方法を提案している。
また、特許文献12では、冬虫夏草を製造する培地に、食酢や食酢もろみを含有させることで効能の高い冬虫夏草を製造することを提案している。
【非特許文献1】矢萩信夫 「ノムジタケ(Cordyceps)属菌の培養とその生理活性に関する研究」2005年3月29日〜31日 第125回日本薬学会)
【特許文献1】特開平8−12588号公報
【特許文献2】特開2004−8938号公報
【特許文献3】特開2002−272267号公報
【特許文献4】特開2003−128515号公報
【特許文献5】特開2005−239585号公報
【特許文献6】特開昭54−80486号公報
【特許文献7】特公昭61−53033号公報
【特許文献8】特開昭62年107725号公報
【特許文献9】特開平6−233627号公報
【特許文献10】特許第2676502号
【特許文献11】特許第3593429号
【特許文献12】特開2003−116342号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
非特許文献1、特許文献1から特許文献5にも示したように、現在では、冬虫夏草菌の種類に応じた薬理作用の違いが着目され、研究が進められている。
そして、同じチョウ目カイコガ科を寄主とする冬虫夏草であっても、サナギタケとハナサナギタケのように種類の異なる冬虫夏草について、薬理作用の相違が研究されている。
また、特許文献6から特許文献12にも示したように、培地の相違による薬理効果の違いには着目されてきたが、それはあくまでも培地成分の相違、虫体と穀類との相違、虫体の成育段階の相違、又は虫体が活きているか死んだ状態かの相違によるもので、宿主となる蚕種に着目した考えは全く無く、研究もされていなかった。
本発明者らは、寄生種の冬虫夏草にも様々な特性があると同時に、寄主である蚕にも多様な品種と系統が存在することから、寄生種と寄主の組み合わせに着目して研究を行った。
特に、わが国の正倉院の絹織物にも使用されている蚕である「小石丸」()は、わが国に限らず世界的視点においても差別化するには十分な歴史的根拠があり、しかも今日まで脈々と飼育が継続されている。さらに、「小石丸」のもうひとつの特性として、生産された生糸は細繊度であり好感触を有しており、幼虫は耐病性に優れていると考えられている。従って、「小石丸」の歴史的価値ならびに生物学的評価から、「小石丸」を冬虫夏草の寄生種として選択することに大きな意義があると考えた。
【0004】
本発明は、同じ菌種の冬虫夏草でも、蚕種によって優れた活性を示す冬虫夏草を見出すことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の本発明の冬虫夏草の培養方法は、蚕を寄主とした冬虫夏草の培養方法であって、前記蚕種として小石丸を用いたことを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の冬虫夏草の培養方法において、前記冬虫夏草としてハナサナギタケを用いたことを特徴とする。
請求項3記載の本発明の免疫賦活剤は、小石丸を寄主とした冬虫夏草又は前記冬虫夏草の抽出物を有効成分として含むことを特徴とする。
請求項4記載の本発明のがん細胞増殖抑制剤は、小石丸を寄主とした冬虫夏草又は前記冬虫夏草の抽出物を有効成分として含むことを特徴とする。
請求項5記載の本発明の抗炎症剤は、小石丸を寄主とした冬虫夏草又は前記冬虫夏草の抽出物を有効成分として含むことを特徴とする。
請求項6記載の本発明の抗酸化剤は、小石丸を寄主とした冬虫夏草又は前記冬虫夏草の抽出物を有効成分として含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、同じ種類の冬虫夏草菌であっても、蚕種として小石丸を用いることで、優れた活性が認められた。
【実施例】
【0007】
1.試料
本発明では、寄主である蚕品種を小石丸とし、比較例としてわが国において普及している実用品種の(錦秋x鐘和)を使用した。寄生種として、コナサナギタケ(Paecilomyces farinosus)とハナサナギタケ(Paecilomyces tenuipes)を使用した。
冬虫夏草(コナサナギタケ及びハナサナギタケ)は、蚕が繭を形成した後に蛹を取り出し、取り出した蛹に冬虫夏草の子実体に形成された子嚢胞子又は分生胞子を接種し、子実体が完全に成育するまで培養したものを用いた。子実体が完全に成育した冬虫夏草を、60℃前後の温度で乾燥させ、その後ブレンダー(WB−1,φ134x270mm,アズワン株式会社)により粉砕し、粉末状にしたものを実験に使用した。乾燥させた冬虫夏草は4℃で保存し、粉末化したものは直ちに抽出を行った。
以降の説明においては、宿主を実用品種とするコナサナギタケはコナサナギタケ(実用品種)、宿主を小石丸とするコナサナギタケはコナサナギタケ(小石丸)、実用品種とするハナサナギタケはハナサナギタケ(実用品種)、宿主を小石丸とするハナサナギタケはハナサナギタケ(小石丸)と称する。
【0008】
2.生理活性化画分の抽出法
コナサナギタケ(実用品種)は200g、ハナサナギタケ(実用品種)は168g、コナサナギタケ(小石丸)・ハナサナギタケ(小石丸)はそれぞれ100gを用いた。秤量瓶で試料中の水分含量が10%前後であることを確認した後に逐次抽出を行った。抽出は試料に3倍量の溶媒を加え、25℃で24時間静置し、ろ過して得られた上清を抽出液とした。逐次抽出法に従い、極性の低い順からn−ヘキサン抽出、酢酸エチル抽出、70%アセトン(30%水)抽出、そして水抽出を行い、それぞれをn−ヘキサン画分、酢酸エチル画分、70%アセトン画分、水画分として各種の生物検定に使用した。なお、抽出はそれぞれ2回ずつ行った。
n−ヘキサン抽出液及び酢酸エチル抽出液は、ロータリーエバポレーター(N−1000,EYELA)を用いて濃縮し、さらに窒素風乾、遠心エバポレーター(C−100,EYELA)により濃縮した後、凍結乾燥機(FDU810,EYELA)を用いて凍結乾燥をして収量を求めた。70%アセトン抽出液は、ロータリーエバポレーターによって濃縮した後、遠心エバポレーターにより濃縮し、凍結乾燥をして収量を求めた。水抽出液は凍結乾燥をして収量を求めた。以降、これらの凍結乾燥物を各抽出の粗抽出物とした。
【0009】
3.生物検定法
1)がん細胞増殖抑制活性試験
がん細胞増殖抑制活性は、還元型発色色素であるMTT法により検討した。MTT{3−(4, 5−Dimethyl−2−thiazolyl)−2,5−diphenyl−2H−tetrazolium bromide}は、細胞内脱水素酵素により還元され、ホルマザンを生成する。細胞数と生成するホルマザンの量は、直線的な比例関係にあり、ホルマザンの吸光度を測定することにより、生細胞数を測定することができる(Oka et al., 1992)。この方法に従い以下の手順で実験を行った。
【0010】
1)細胞と培地組成
活性測定は、ラット肝がん細胞(dRLh84)を用い、細胞数の増加変動を指標とした。培地は、10%ウシ新生児血清(NBS),4mMグルタミン,50U/mlペニシリン,50μg/mlストレプトマイシン,100μg/mlカナマイシンを含むダルベッコ変法イーグル培地(DMEM,日本製薬社)を使用した。培養は、5%CO2存在下、37℃湿潤条件で行った。
【0011】
2)細胞浮遊液の調整
細胞は、組織培養用ディッシュ(φ100x20mm,グライナー社)で培養し、対数増殖期に培養液を除去した後、PBS(−){phosphate−buffered saline(−)}(137mM NaCl,2.7mM KCl,2mM Na2HPO4・12H2O,1.5mM KH2PO4)で洗浄した。その後2.5%トリプシンを加え、ディッシュに付着している細胞を浮遊させた。このディッシュ中の細胞濃度を5×104cell/mLとすべく10mlの培地を加え、細胞浮遊液とした。
【0012】
3)がん細胞増殖抑制活性の測定
細胞浮遊液を20倍に希釈し、96穴マイクロプレート(旭テクノグラスサイテック)の各wellに200μl(マイクロリットル)ずつ添加した。5%のCO2存在下において、37℃の湿潤条件下で24時間培養した。その後、実験区には調整した各粗抽出物を1μl添加し、対照区には試料の代わりに溶媒を1μl添加した。試料添加後48時間同条件で培養した後、0.55mg/mlのMTTを含む培地100μlに入れ替え、4時間培養した。その後、MTTを含む培地を取り除き、Dimetyl sulfoxide(DMSO)を200μlずつ加え、マイクロプレートリーダー(Immuno−Mini NJ−2300,インターメッド社)で590nm、620nmの2波長で吸光度を測定した。なお、使用した試薬や器具は全て滅菌した物を用いた。また、実験操作はクリーンベンチ内で行い、他の微生物による汚染を防いだ。
【0013】
2)免疫賦活活性試験
免疫賦活活性は、マウス脾臓由来のリンパ球細胞の活性および細胞数の変化を指標とした。活性および細胞数の測定は、還元型発色試薬であるWST−1法を用い、細胞内のミトコンドリアがもつ還元作用によって生成されるホルマザン塩量を測定した。
WST−1法は、細胞内脱水素酵素により還元され、水溶性ホルマザンを生成する。本実験では、この水溶性ホルマザンの吸光度を測定することにより、細胞の活性を測定した。
【0014】
1)実験動物と培地組成
実験動物は、5−7週齢のICR系マウス(雌,日本SLC)を用いた。
リンパ球の培地は、10%ウシ胎児血清(FBS),2mMグルタミン,50μM 2−メルカプトエタノール,100U/mlペニシリン,100μg/mlストレプトマイシンを含むRPMI 1640培地(日水製薬社)を使用した。培養は、5%CO2存在下、37℃湿潤条件で培養した。
【0015】
2)リンパ球浮遊液の調整
リンパ球浮遊液の調整は、藤原・淀井(1996)の方法を用いた。
ジエチルエーテルで麻酔したマウスを頚椎脱臼して脾臓を摘出した。PBS(−)の入ったディッシュ内で脾臓を磨砕し、セルストレイナー(孔径100μm,FALCON社)でろ過し、細胞懸濁液を50mlコニカルチューブ(FALCON社)に採取した。遠心分離(1,100rpm,10min)後、上清を取り除き、リンパ球を含む沈殿に赤血球除去のために、溶血バッファー{0.14M塩化アンモニウム,1.7mMトリス塩酸緩衝液(pH7.56)}を5ml加えて、5分間インキュベートした。その後、遠心分離(1,100rpm,10min)し、上清を取り除いた。これを2回繰り返し、溶血による赤血球の除去を行った。さらに、上清を取り除き、洗浄のためPBS(−)を30ml加えて、遠心分離(1,100rpm,1min)を2回行った。その後、沈殿に培地を加えて、リンパ球以外の細胞を取り除くために、CO2インキュベーターで2時間インキュベートした。
インキュベート後、細胞を0.4%トリパンブルー溶液で染色し、ビュルケルチュルク血球計算板を用いて細胞数を計測した。そして、細胞数が5x106cells/mlになるように培地で調整した。
【0016】
3)免疫賦活活性の測定
調製したリンパ球浮遊液200μlを、各検定区の最も濃度が高いwellにのみ添加した。対照区を含む他のwellには、溶媒の濃度が0.5%になるように調製したリンパ球浮遊液100μlを、各wellに添加した。各粗抽出物は、検定濃度が最も高い部分にのみ添加し、それ以外の濃度のwellには、一段階高い濃度のwellから100μlを取り、次のwellに加え希釈した。各粗抽出物を添加後、5%CO2存在下、37℃湿潤条件で48時間培養した。その後、WST−1溶液{2−(4−lodophenyl)−3−(4−nitrophenyl)−5−(2,4−disulfophenyl)−2H−tetrazolium, monosodium salt}(和光純薬)と1−Methyl PMS(1−Methoxy−5−methylphenazinium methylsulfate)(和光純薬),PBS(−)からなるWST−1溶液(6.5mg WST−1,0.7mg 1−Methyl PMS,PBS(−)10ml)を10μl添加し、CO2インキュベーター内で4時間インキュベートした後に、マイクロプレートリーダーで各wellの450nmにおける吸光度を測定した。なお、使用した試薬や器具は全てオートクレーブ(120℃、20分間)で滅菌した物を用いた。また、実験操作はクリーンベンチ内で行い、他の微生物による汚染を防いだ.
【0017】
3)抗酸化活性試験
抗酸化活性の測定試験には、DPPH(1,1−Diphenyl−2−picryhydrazyl)分光測定法(Yamaguchi et al.,2000)を用い、DPPH溶液中の残存ラジカル量について黒紫色の退色を分光学的に分析することで、ラジカル消去能を測定した。
DPPH(1,1−Diphenyl−2−picrylhydrazyl)は、自らが安定なフリーラジカルで黒紫色を呈しているため、DPPH溶液中の残存ラジカル量について黒紫色の退色を分光学的に分析することにより、ラジカル消去能を測定することができる。
また、陽性対照区として、高い抗酸化活性を持つことが確認されているアスコルビン酸を用いた(Arabshahi−Delouee and Urooj,2006).
96 wellマイクロプレートの各wellに各濃度に濃度調整した試料20ml,0.1M Tris−HCl緩衝液(pH7.4)80mlと、エタノールに溶解した500mM DPPH溶液100mlを分注し、室温で20分間放置した後、多目的マイクロプレートリーダー Power scan HT(大日本住友製薬)によって波長517nmにおける吸光度を測定し、残存DPPHラジカル量を定量した。なお、ラジカル消去活性は各吸光度を用いて、以下の式により算出した。
DPPHラジカル消去活性(%)=(1−(試料の吸光度−ブランク値))/(コントロールの吸光度−ブランク値)x100
【0018】
4)抗炎症活性試験
抗炎症活性試験は、奥寺(2005)により導入された方法(Colorimetric COX Inhibitor Screening Assay)を用いた。
シクロオキシゲナーゼ(COX)には、二つの異性体が存在する。COX−1は、各種細胞で常時発現しており、特に消化管、腎臓および血小板で発現し、組織の正常な代謝を維持している。一方、COX−2はプロスタグランジンE2(PGE2)などを生産し、炎症反応を拡大する。そこで本研究においては、COX−2の選択的な阻害物質を探索するため、Clorimetric Cox(ovine)Inhibitor Screening Assay kitを用いて実験を行った。この方法は、COXの酸化能を指標にしており、発色基質N,N,N’,N’,−tetramethyl−p−phenylenediamine(TMPD)を酸化させ、590nmにおける吸光度を測定するものである。
【0019】
1)抗炎症活性の測定
Assay Buffer(10x)をMQで10倍に希釈し、96穴マイクロプレートの各wellに細胞培養用陰性対照区には160μl、陽性対照区・実験区には150μlずつ分注した。Heme 88μlに、調製したAssay Buffer 1.912mlの割合で希釈し、10μlずつ各wellに分注した。COXはシクロオキシゲナーゼ活性部位とペルオキシゲナーゼ活性部位の2つの活性部位を有しており、後者を活性化させるにはHemeが必要である。COX−1、COX−2は、それぞれ酵素200μlに対し、調製したAssay Buffer 400μlの割合で希釈し、陽性対照区・実験区の各wellに10μlずつ分注した。試料は、終濃度100μg/mlに調製したものを実験区の各wellに10μlずつ加え、陰性・陽性対照区には溶媒を添加し、プレートを水平に静かに振とうして、25℃で5分静置した。その間に、アラキドン酸100μlに水酸化カリウム100μl加え転倒混和し、MQを1.8mlの割合で加えた。TMPD溶液20μl、調製したアラキドン酸20μlの順に各wellに添加した。25℃で5分静置した後、マイクロプレートリーダーで各wellの590nmにおける吸光度を測定した。
【0020】
冬虫夏草からの各粗抽出物の収量
図1は、本発明の各冬虫夏草からの抽出物の収量を示す表である。
図1に示すように、実用品種を寄主としたコナサナギタケ200gから、n−ヘキサン抽出画分では5.8%(11.645g)、酢酸エチル画分では2.1%(4.175g)、70%アセトン画分では13%(25.977g)、水画分では18%(35.992g)の回収率となった。また、小石丸を寄主とした同じコナサナギタケ100gからはn−ヘキサン抽出画分で3%、酢酸エチル画分で0.5%、70%アセトンで13.5%、水画分で25.9%であった。また、実用品種を寄主としたハナサナギタケ168gから、n−ヘキサン抽出画分では13.98%(23.3837g)、酢酸エチル画分では0.81%(1.3645g)、70%アセトン画分では12%(20.2655g)、水画分では33.4%(56.122g)の回収率となった。さらに、小石丸を寄主としたハナサナギタケの場合、n−ヘキサン抽出画分で6.3%、酢酸エチル画分で0.6%、70%アセトンで9.4%、水画分で33.5%であった。
本実験結果から、実用品種では酢酸エチル画分が小石丸に比較して4〜5倍の回収率であり、逆に水画分は小石丸の方が1.6倍の回収率であった。すなわち、各抽出画分の収量は冬虫夏草の種の違いよりも、寄主となるカイコの品種によって異なると考えられる。
【0021】
がん細胞増殖抑制活性試験
図2は本発明の実施例1(コナサナギタケ(小石丸))によるガン細胞に対する増殖抑制活性を示すグラフ、図3は本発明の実施例2(ハナサナギタケ(小石丸))によるガン細胞に対する増殖抑制活性を示すグラフ、図4は比較例1(コナサナギタケ(実用品種))によるガン細胞に対する増殖抑制活性を示すグラフ、図5は比較例2(ハナサナギタケ(実用品種))によるガン細胞に対する増殖抑制活性を示すグラフである。
図に示すように、いずれの組み合わせでも酢酸エチル画分が最も強いがん細胞増殖抑制活性を示した。
がん細胞増殖抑制活性は、コナサナギタケで比較すると、比較例1の酢酸エチル区分のIC50値が約80μg/mlに対し、実施例1は約45μg/mlであり、優位性を示している。また、ハナサナギタケで比較しても、比較例2は約50μg/mlに対し、実施例2は約35μg/mlであり、優位性を示している。
従って、小石丸を寄主とした場合には実用品種の場合と比較して優れた活性を示していることが分かる。なお、寄主が同じ場合には、コナサナギタケよりもハナサナギタケの方が活性が強いことが分かる。
【0022】
免疫賦活活性試験
図6は本発明の実施例1(コナサナギタケ(小石丸))によるリンパ細胞に対する免疫賦活活性を示すグラフ、図7は本発明の実施例2(ハナサナギタケ(小石丸))によるリンパ細胞に対する免疫賦活活性を示すグラフ、図8は比較例1(コナサナギタケ(実用品種))によるリンパ細胞に対する免疫賦活活性を示すグラフ、図9は比較例2(ハナサナギタケ(実用品種))によるリンパ細胞に対する免疫賦活活性を示すグラフである。
図に示すように、実施例1及び実施例2において免疫賦活活性が確認されたのに対し、比較例1及び比較例2では免疫賦活活性が確認されなかった。活性があった水抽出物を比較すると、抽出物の濃度が500μg/mlのとき、コナサナギタケは約140%、ハナサナギタケでは約220%であった。
この結果から、寄主が小石丸のハナサナギタケの水抽出物が最も優れた免疫賦活活性を有していると考えられる。
【0023】
抗酸化活性試験
図10は本発明の実施例1(コナサナギタケ(小石丸))による抗酸化活性を示すグラフ、図11は本発明の実施例2(ハナサナギタケ(小石丸))による抗酸化活性を示すグラフ、図12は比較例1(コナサナギタケ(実用品種))による抗酸化活性を示すグラフ、図13は比較例2(ハナサナギタケ(実用品種))による抗酸化活性を示すグラフである。
抗酸化活性は、70%アセトン抽出画分と水抽出物画分において確認された。実施例1を比較例1と比べると、小石丸を寄主とする方が70%アセトン抽出物と水抽出物の両方で活性が高いことが確認された。
【0024】
抗炎症活性試験
図14は本発明の実施例1(コナサナギタケ(小石丸))による抗酸化活性を示すグラフ、図15は本発明の実施例2(ハナサナギタケ(小石丸))による抗酸化活性を示すグラフである。
抗炎症活性は、酢酸エチル抽出画分で認められ、コナサナギタケよりもハナサナギタケが高い活性が認められた。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、食品、添加物、皮膚外用剤、入浴剤として利用される冬虫夏草に適している。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の各冬虫夏草からの抽出物の収量を示す表
【図2】本発明の実施例1(コナサナギタケ(小石丸))によるガン細胞に対する増殖抑制活性を示すグラフ
【図3】本発明の実施例2(ハナサナギタケ(小石丸))によるガン細胞に対する増殖抑制活性を示すグラフ
【図4】比較例1(コナサナギタケ(実用品種))によるガン細胞に対する増殖抑制活性を示すグラフ
【図5】比較例2(ハナサナギタケ(実用品種))によるガン細胞に対する増殖抑制活性を示すグラフ
【図6】本発明の実施例1(コナサナギタケ(小石丸))によるリンパ細胞に対する免疫賦活活性を示すグラフ
【図7】本発明の実施例2(ハナサナギタケ(小石丸))によるリンパ細胞に対する免疫賦活活性を示すグラフ
【図8】比較例1(コナサナギタケ(実用品種))によるリンパ細胞に対する免疫賦活活性を示すグラフ
【図9】比較例2(ハナサナギタケ(実用品種))によるリンパ細胞に対する免疫賦活活性を示すグラフ
【図10】本発明の実施例1(コナサナギタケ(小石丸))による抗酸化活性を示すグラフ
【図11】本発明の実施例2(ハナサナギタケ(小石丸))による抗酸化活性を示すグラフ
【図12】比較例1(コナサナギタケ(実用品種))による抗酸化活性を示すグラフ
【図13】比較例2(ハナサナギタケ(実用品種))による抗酸化活性を示すグラフ
【図14】本発明の実施例1(コナサナギタケ(小石丸))による抗酸化活性を示すグラフ
【図15】本発明の実施例2(ハナサナギタケ(小石丸))による抗酸化活性を示すグラフ
【技術分野】
【0001】
本発明は、蚕を寄主とした冬虫夏草の培養方法、及び冬虫夏草を有効成分とする免疫賦活剤、がん細胞増殖抑制剤、抗炎症剤、又は抗酸化剤に関する。
【背景技術】
【0002】
冬虫夏草は、中国古来から伝わる秘薬として珍重されてきた。近年、秘薬としての冬虫夏草の効果並びに成分分析が行われている。また、生活様式の変化や健康志向の高まりから、健康食品としての利用も進んでいる。
冬虫夏草は、昆虫に寄生するキノコの総称として用いられることが多いが、子嚢菌類、バッカク菌目、バッカク菌科の一属に位置づけられている。
分類体系は未だ確立されていないと言われているが、菌種によって寄生する寄主が異なるとされ、冬虫夏草の同定には、形成される子実体の形態だけでなく、寄主となる昆虫の種類も参考にされている。
例えば、ツクツクボウシセミタケ(学名Cordyceps,sinclairii,Kobayasi)はツクツクボウシを寄主とし、コブガタアリタケ(学名Torrubiella sp. (kobugataaritake))はムネアカオオアリを寄主とし、カメムシタケ(学名Cordyceps nutans Pat.)はカメムシを寄主とする。
その他、トンボ、ハチ、クモ類やダニ類を寄主とする冬虫夏草もある。
そして、例えばサナギタケ(Cordyceps militaris)からは、コルジセピンを指標とした免疫賦活効果が知られ、ツクツクボウシに寄生するツクツクボウシタケからは、FTY720という免疫抑制効果が知られているように、冬虫夏草は、その種類によって異なる活性が見つけられている。
非特許文献1では、ハナサナギタケ、ツクツクボウシセミタケ、サナギタケ、マルミノアリタケ(Cordyceps formicarum)、ウスキサナギタケ(Cordyceps takaomontana)について、虫体成分を含まない培地で培養を行い、それぞれの有効成分について調べた結果を報告している。
また、特許文献1では、サナギタケの培養菌糸体の抽出液に強心作用や気管支拡張作用があることを開示し、特許文献2では、サナギタケに着目してコルジセピンの抽出方法を提案している。
また、特許文献3、4、5では、ハナサナギタケに着目して有効物質を見出している。
漢方薬として珍重されているコルジセプス・シネンシス(Cordyceps sinensis)は、人工的な培養によって子実体形成まで至っておらず、その代用品として、チョウ目カイコガ科を寄主とする冬虫夏草の人工培養方法が多く提案されている。
特許文献6では、冬虫夏草の菌糸又は子座胞子を、既成食品であるニンニク・醤油・砂糖を混合した培養液を殺菌し、常法により液体培養するか、又はこの液体培養液を米・麦・とうもろこし等の穀物又は蚕・セミ等の節足動物の昆虫類の成虫・蛹・幼虫等に吸着させて固体培養を行う方法が提案されている。
特許文献7では、冬虫夏草の菌糸体を、糖類、蛋白物質、ビタミン類、核酸類等の一種又は数種を主成分とし、これらの主成分に穀類を添加して立体固形培地に移植して培養し、この立体固形培地において培養した菌糸を糖類蛋白物質類、ビタミン類、核酸類等の一種又は数種を主成分とし、これにアミノ酸類の一種又は数種を添加し、水を基質としたpH4.0〜7.0の液体培地に移植して静置培養し、液体培地表面に菌座を形成させる方法が提案されている。
特許文献8では、生きている昆虫に冬虫夏草の菌糸体を直接に感染、接種するか、あるいは3分の1量の昆虫組織体を加えた寒天を基質とする純粋分離培地に冬虫夏草の菌糸体を接種する方法である。なお、生きている昆虫を用いる場合としては、繭を形成する直前の蚕を用いている。
特許文献9では、野外に存在する冬虫夏草を採取し、寒天培地、液体培地で菌糸、分生胞子を増殖させ、最終的な大量増殖を野外栽培で行う方法が提案されている。
特許文献10では、蚕の蛹そのものを培地として培養する方法を提案し、特許文献11では、活きた蚕を培地とすることで更に天然に近い培養方法を提案している。
また、特許文献12では、冬虫夏草を製造する培地に、食酢や食酢もろみを含有させることで効能の高い冬虫夏草を製造することを提案している。
【非特許文献1】矢萩信夫 「ノムジタケ(Cordyceps)属菌の培養とその生理活性に関する研究」2005年3月29日〜31日 第125回日本薬学会)
【特許文献1】特開平8−12588号公報
【特許文献2】特開2004−8938号公報
【特許文献3】特開2002−272267号公報
【特許文献4】特開2003−128515号公報
【特許文献5】特開2005−239585号公報
【特許文献6】特開昭54−80486号公報
【特許文献7】特公昭61−53033号公報
【特許文献8】特開昭62年107725号公報
【特許文献9】特開平6−233627号公報
【特許文献10】特許第2676502号
【特許文献11】特許第3593429号
【特許文献12】特開2003−116342号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
非特許文献1、特許文献1から特許文献5にも示したように、現在では、冬虫夏草菌の種類に応じた薬理作用の違いが着目され、研究が進められている。
そして、同じチョウ目カイコガ科を寄主とする冬虫夏草であっても、サナギタケとハナサナギタケのように種類の異なる冬虫夏草について、薬理作用の相違が研究されている。
また、特許文献6から特許文献12にも示したように、培地の相違による薬理効果の違いには着目されてきたが、それはあくまでも培地成分の相違、虫体と穀類との相違、虫体の成育段階の相違、又は虫体が活きているか死んだ状態かの相違によるもので、宿主となる蚕種に着目した考えは全く無く、研究もされていなかった。
本発明者らは、寄生種の冬虫夏草にも様々な特性があると同時に、寄主である蚕にも多様な品種と系統が存在することから、寄生種と寄主の組み合わせに着目して研究を行った。
特に、わが国の正倉院の絹織物にも使用されている蚕である「小石丸」()は、わが国に限らず世界的視点においても差別化するには十分な歴史的根拠があり、しかも今日まで脈々と飼育が継続されている。さらに、「小石丸」のもうひとつの特性として、生産された生糸は細繊度であり好感触を有しており、幼虫は耐病性に優れていると考えられている。従って、「小石丸」の歴史的価値ならびに生物学的評価から、「小石丸」を冬虫夏草の寄生種として選択することに大きな意義があると考えた。
【0004】
本発明は、同じ菌種の冬虫夏草でも、蚕種によって優れた活性を示す冬虫夏草を見出すことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の本発明の冬虫夏草の培養方法は、蚕を寄主とした冬虫夏草の培養方法であって、前記蚕種として小石丸を用いたことを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の冬虫夏草の培養方法において、前記冬虫夏草としてハナサナギタケを用いたことを特徴とする。
請求項3記載の本発明の免疫賦活剤は、小石丸を寄主とした冬虫夏草又は前記冬虫夏草の抽出物を有効成分として含むことを特徴とする。
請求項4記載の本発明のがん細胞増殖抑制剤は、小石丸を寄主とした冬虫夏草又は前記冬虫夏草の抽出物を有効成分として含むことを特徴とする。
請求項5記載の本発明の抗炎症剤は、小石丸を寄主とした冬虫夏草又は前記冬虫夏草の抽出物を有効成分として含むことを特徴とする。
請求項6記載の本発明の抗酸化剤は、小石丸を寄主とした冬虫夏草又は前記冬虫夏草の抽出物を有効成分として含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、同じ種類の冬虫夏草菌であっても、蚕種として小石丸を用いることで、優れた活性が認められた。
【実施例】
【0007】
1.試料
本発明では、寄主である蚕品種を小石丸とし、比較例としてわが国において普及している実用品種の(錦秋x鐘和)を使用した。寄生種として、コナサナギタケ(Paecilomyces farinosus)とハナサナギタケ(Paecilomyces tenuipes)を使用した。
冬虫夏草(コナサナギタケ及びハナサナギタケ)は、蚕が繭を形成した後に蛹を取り出し、取り出した蛹に冬虫夏草の子実体に形成された子嚢胞子又は分生胞子を接種し、子実体が完全に成育するまで培養したものを用いた。子実体が完全に成育した冬虫夏草を、60℃前後の温度で乾燥させ、その後ブレンダー(WB−1,φ134x270mm,アズワン株式会社)により粉砕し、粉末状にしたものを実験に使用した。乾燥させた冬虫夏草は4℃で保存し、粉末化したものは直ちに抽出を行った。
以降の説明においては、宿主を実用品種とするコナサナギタケはコナサナギタケ(実用品種)、宿主を小石丸とするコナサナギタケはコナサナギタケ(小石丸)、実用品種とするハナサナギタケはハナサナギタケ(実用品種)、宿主を小石丸とするハナサナギタケはハナサナギタケ(小石丸)と称する。
【0008】
2.生理活性化画分の抽出法
コナサナギタケ(実用品種)は200g、ハナサナギタケ(実用品種)は168g、コナサナギタケ(小石丸)・ハナサナギタケ(小石丸)はそれぞれ100gを用いた。秤量瓶で試料中の水分含量が10%前後であることを確認した後に逐次抽出を行った。抽出は試料に3倍量の溶媒を加え、25℃で24時間静置し、ろ過して得られた上清を抽出液とした。逐次抽出法に従い、極性の低い順からn−ヘキサン抽出、酢酸エチル抽出、70%アセトン(30%水)抽出、そして水抽出を行い、それぞれをn−ヘキサン画分、酢酸エチル画分、70%アセトン画分、水画分として各種の生物検定に使用した。なお、抽出はそれぞれ2回ずつ行った。
n−ヘキサン抽出液及び酢酸エチル抽出液は、ロータリーエバポレーター(N−1000,EYELA)を用いて濃縮し、さらに窒素風乾、遠心エバポレーター(C−100,EYELA)により濃縮した後、凍結乾燥機(FDU810,EYELA)を用いて凍結乾燥をして収量を求めた。70%アセトン抽出液は、ロータリーエバポレーターによって濃縮した後、遠心エバポレーターにより濃縮し、凍結乾燥をして収量を求めた。水抽出液は凍結乾燥をして収量を求めた。以降、これらの凍結乾燥物を各抽出の粗抽出物とした。
【0009】
3.生物検定法
1)がん細胞増殖抑制活性試験
がん細胞増殖抑制活性は、還元型発色色素であるMTT法により検討した。MTT{3−(4, 5−Dimethyl−2−thiazolyl)−2,5−diphenyl−2H−tetrazolium bromide}は、細胞内脱水素酵素により還元され、ホルマザンを生成する。細胞数と生成するホルマザンの量は、直線的な比例関係にあり、ホルマザンの吸光度を測定することにより、生細胞数を測定することができる(Oka et al., 1992)。この方法に従い以下の手順で実験を行った。
【0010】
1)細胞と培地組成
活性測定は、ラット肝がん細胞(dRLh84)を用い、細胞数の増加変動を指標とした。培地は、10%ウシ新生児血清(NBS),4mMグルタミン,50U/mlペニシリン,50μg/mlストレプトマイシン,100μg/mlカナマイシンを含むダルベッコ変法イーグル培地(DMEM,日本製薬社)を使用した。培養は、5%CO2存在下、37℃湿潤条件で行った。
【0011】
2)細胞浮遊液の調整
細胞は、組織培養用ディッシュ(φ100x20mm,グライナー社)で培養し、対数増殖期に培養液を除去した後、PBS(−){phosphate−buffered saline(−)}(137mM NaCl,2.7mM KCl,2mM Na2HPO4・12H2O,1.5mM KH2PO4)で洗浄した。その後2.5%トリプシンを加え、ディッシュに付着している細胞を浮遊させた。このディッシュ中の細胞濃度を5×104cell/mLとすべく10mlの培地を加え、細胞浮遊液とした。
【0012】
3)がん細胞増殖抑制活性の測定
細胞浮遊液を20倍に希釈し、96穴マイクロプレート(旭テクノグラスサイテック)の各wellに200μl(マイクロリットル)ずつ添加した。5%のCO2存在下において、37℃の湿潤条件下で24時間培養した。その後、実験区には調整した各粗抽出物を1μl添加し、対照区には試料の代わりに溶媒を1μl添加した。試料添加後48時間同条件で培養した後、0.55mg/mlのMTTを含む培地100μlに入れ替え、4時間培養した。その後、MTTを含む培地を取り除き、Dimetyl sulfoxide(DMSO)を200μlずつ加え、マイクロプレートリーダー(Immuno−Mini NJ−2300,インターメッド社)で590nm、620nmの2波長で吸光度を測定した。なお、使用した試薬や器具は全て滅菌した物を用いた。また、実験操作はクリーンベンチ内で行い、他の微生物による汚染を防いだ。
【0013】
2)免疫賦活活性試験
免疫賦活活性は、マウス脾臓由来のリンパ球細胞の活性および細胞数の変化を指標とした。活性および細胞数の測定は、還元型発色試薬であるWST−1法を用い、細胞内のミトコンドリアがもつ還元作用によって生成されるホルマザン塩量を測定した。
WST−1法は、細胞内脱水素酵素により還元され、水溶性ホルマザンを生成する。本実験では、この水溶性ホルマザンの吸光度を測定することにより、細胞の活性を測定した。
【0014】
1)実験動物と培地組成
実験動物は、5−7週齢のICR系マウス(雌,日本SLC)を用いた。
リンパ球の培地は、10%ウシ胎児血清(FBS),2mMグルタミン,50μM 2−メルカプトエタノール,100U/mlペニシリン,100μg/mlストレプトマイシンを含むRPMI 1640培地(日水製薬社)を使用した。培養は、5%CO2存在下、37℃湿潤条件で培養した。
【0015】
2)リンパ球浮遊液の調整
リンパ球浮遊液の調整は、藤原・淀井(1996)の方法を用いた。
ジエチルエーテルで麻酔したマウスを頚椎脱臼して脾臓を摘出した。PBS(−)の入ったディッシュ内で脾臓を磨砕し、セルストレイナー(孔径100μm,FALCON社)でろ過し、細胞懸濁液を50mlコニカルチューブ(FALCON社)に採取した。遠心分離(1,100rpm,10min)後、上清を取り除き、リンパ球を含む沈殿に赤血球除去のために、溶血バッファー{0.14M塩化アンモニウム,1.7mMトリス塩酸緩衝液(pH7.56)}を5ml加えて、5分間インキュベートした。その後、遠心分離(1,100rpm,10min)し、上清を取り除いた。これを2回繰り返し、溶血による赤血球の除去を行った。さらに、上清を取り除き、洗浄のためPBS(−)を30ml加えて、遠心分離(1,100rpm,1min)を2回行った。その後、沈殿に培地を加えて、リンパ球以外の細胞を取り除くために、CO2インキュベーターで2時間インキュベートした。
インキュベート後、細胞を0.4%トリパンブルー溶液で染色し、ビュルケルチュルク血球計算板を用いて細胞数を計測した。そして、細胞数が5x106cells/mlになるように培地で調整した。
【0016】
3)免疫賦活活性の測定
調製したリンパ球浮遊液200μlを、各検定区の最も濃度が高いwellにのみ添加した。対照区を含む他のwellには、溶媒の濃度が0.5%になるように調製したリンパ球浮遊液100μlを、各wellに添加した。各粗抽出物は、検定濃度が最も高い部分にのみ添加し、それ以外の濃度のwellには、一段階高い濃度のwellから100μlを取り、次のwellに加え希釈した。各粗抽出物を添加後、5%CO2存在下、37℃湿潤条件で48時間培養した。その後、WST−1溶液{2−(4−lodophenyl)−3−(4−nitrophenyl)−5−(2,4−disulfophenyl)−2H−tetrazolium, monosodium salt}(和光純薬)と1−Methyl PMS(1−Methoxy−5−methylphenazinium methylsulfate)(和光純薬),PBS(−)からなるWST−1溶液(6.5mg WST−1,0.7mg 1−Methyl PMS,PBS(−)10ml)を10μl添加し、CO2インキュベーター内で4時間インキュベートした後に、マイクロプレートリーダーで各wellの450nmにおける吸光度を測定した。なお、使用した試薬や器具は全てオートクレーブ(120℃、20分間)で滅菌した物を用いた。また、実験操作はクリーンベンチ内で行い、他の微生物による汚染を防いだ.
【0017】
3)抗酸化活性試験
抗酸化活性の測定試験には、DPPH(1,1−Diphenyl−2−picryhydrazyl)分光測定法(Yamaguchi et al.,2000)を用い、DPPH溶液中の残存ラジカル量について黒紫色の退色を分光学的に分析することで、ラジカル消去能を測定した。
DPPH(1,1−Diphenyl−2−picrylhydrazyl)は、自らが安定なフリーラジカルで黒紫色を呈しているため、DPPH溶液中の残存ラジカル量について黒紫色の退色を分光学的に分析することにより、ラジカル消去能を測定することができる。
また、陽性対照区として、高い抗酸化活性を持つことが確認されているアスコルビン酸を用いた(Arabshahi−Delouee and Urooj,2006).
96 wellマイクロプレートの各wellに各濃度に濃度調整した試料20ml,0.1M Tris−HCl緩衝液(pH7.4)80mlと、エタノールに溶解した500mM DPPH溶液100mlを分注し、室温で20分間放置した後、多目的マイクロプレートリーダー Power scan HT(大日本住友製薬)によって波長517nmにおける吸光度を測定し、残存DPPHラジカル量を定量した。なお、ラジカル消去活性は各吸光度を用いて、以下の式により算出した。
DPPHラジカル消去活性(%)=(1−(試料の吸光度−ブランク値))/(コントロールの吸光度−ブランク値)x100
【0018】
4)抗炎症活性試験
抗炎症活性試験は、奥寺(2005)により導入された方法(Colorimetric COX Inhibitor Screening Assay)を用いた。
シクロオキシゲナーゼ(COX)には、二つの異性体が存在する。COX−1は、各種細胞で常時発現しており、特に消化管、腎臓および血小板で発現し、組織の正常な代謝を維持している。一方、COX−2はプロスタグランジンE2(PGE2)などを生産し、炎症反応を拡大する。そこで本研究においては、COX−2の選択的な阻害物質を探索するため、Clorimetric Cox(ovine)Inhibitor Screening Assay kitを用いて実験を行った。この方法は、COXの酸化能を指標にしており、発色基質N,N,N’,N’,−tetramethyl−p−phenylenediamine(TMPD)を酸化させ、590nmにおける吸光度を測定するものである。
【0019】
1)抗炎症活性の測定
Assay Buffer(10x)をMQで10倍に希釈し、96穴マイクロプレートの各wellに細胞培養用陰性対照区には160μl、陽性対照区・実験区には150μlずつ分注した。Heme 88μlに、調製したAssay Buffer 1.912mlの割合で希釈し、10μlずつ各wellに分注した。COXはシクロオキシゲナーゼ活性部位とペルオキシゲナーゼ活性部位の2つの活性部位を有しており、後者を活性化させるにはHemeが必要である。COX−1、COX−2は、それぞれ酵素200μlに対し、調製したAssay Buffer 400μlの割合で希釈し、陽性対照区・実験区の各wellに10μlずつ分注した。試料は、終濃度100μg/mlに調製したものを実験区の各wellに10μlずつ加え、陰性・陽性対照区には溶媒を添加し、プレートを水平に静かに振とうして、25℃で5分静置した。その間に、アラキドン酸100μlに水酸化カリウム100μl加え転倒混和し、MQを1.8mlの割合で加えた。TMPD溶液20μl、調製したアラキドン酸20μlの順に各wellに添加した。25℃で5分静置した後、マイクロプレートリーダーで各wellの590nmにおける吸光度を測定した。
【0020】
冬虫夏草からの各粗抽出物の収量
図1は、本発明の各冬虫夏草からの抽出物の収量を示す表である。
図1に示すように、実用品種を寄主としたコナサナギタケ200gから、n−ヘキサン抽出画分では5.8%(11.645g)、酢酸エチル画分では2.1%(4.175g)、70%アセトン画分では13%(25.977g)、水画分では18%(35.992g)の回収率となった。また、小石丸を寄主とした同じコナサナギタケ100gからはn−ヘキサン抽出画分で3%、酢酸エチル画分で0.5%、70%アセトンで13.5%、水画分で25.9%であった。また、実用品種を寄主としたハナサナギタケ168gから、n−ヘキサン抽出画分では13.98%(23.3837g)、酢酸エチル画分では0.81%(1.3645g)、70%アセトン画分では12%(20.2655g)、水画分では33.4%(56.122g)の回収率となった。さらに、小石丸を寄主としたハナサナギタケの場合、n−ヘキサン抽出画分で6.3%、酢酸エチル画分で0.6%、70%アセトンで9.4%、水画分で33.5%であった。
本実験結果から、実用品種では酢酸エチル画分が小石丸に比較して4〜5倍の回収率であり、逆に水画分は小石丸の方が1.6倍の回収率であった。すなわち、各抽出画分の収量は冬虫夏草の種の違いよりも、寄主となるカイコの品種によって異なると考えられる。
【0021】
がん細胞増殖抑制活性試験
図2は本発明の実施例1(コナサナギタケ(小石丸))によるガン細胞に対する増殖抑制活性を示すグラフ、図3は本発明の実施例2(ハナサナギタケ(小石丸))によるガン細胞に対する増殖抑制活性を示すグラフ、図4は比較例1(コナサナギタケ(実用品種))によるガン細胞に対する増殖抑制活性を示すグラフ、図5は比較例2(ハナサナギタケ(実用品種))によるガン細胞に対する増殖抑制活性を示すグラフである。
図に示すように、いずれの組み合わせでも酢酸エチル画分が最も強いがん細胞増殖抑制活性を示した。
がん細胞増殖抑制活性は、コナサナギタケで比較すると、比較例1の酢酸エチル区分のIC50値が約80μg/mlに対し、実施例1は約45μg/mlであり、優位性を示している。また、ハナサナギタケで比較しても、比較例2は約50μg/mlに対し、実施例2は約35μg/mlであり、優位性を示している。
従って、小石丸を寄主とした場合には実用品種の場合と比較して優れた活性を示していることが分かる。なお、寄主が同じ場合には、コナサナギタケよりもハナサナギタケの方が活性が強いことが分かる。
【0022】
免疫賦活活性試験
図6は本発明の実施例1(コナサナギタケ(小石丸))によるリンパ細胞に対する免疫賦活活性を示すグラフ、図7は本発明の実施例2(ハナサナギタケ(小石丸))によるリンパ細胞に対する免疫賦活活性を示すグラフ、図8は比較例1(コナサナギタケ(実用品種))によるリンパ細胞に対する免疫賦活活性を示すグラフ、図9は比較例2(ハナサナギタケ(実用品種))によるリンパ細胞に対する免疫賦活活性を示すグラフである。
図に示すように、実施例1及び実施例2において免疫賦活活性が確認されたのに対し、比較例1及び比較例2では免疫賦活活性が確認されなかった。活性があった水抽出物を比較すると、抽出物の濃度が500μg/mlのとき、コナサナギタケは約140%、ハナサナギタケでは約220%であった。
この結果から、寄主が小石丸のハナサナギタケの水抽出物が最も優れた免疫賦活活性を有していると考えられる。
【0023】
抗酸化活性試験
図10は本発明の実施例1(コナサナギタケ(小石丸))による抗酸化活性を示すグラフ、図11は本発明の実施例2(ハナサナギタケ(小石丸))による抗酸化活性を示すグラフ、図12は比較例1(コナサナギタケ(実用品種))による抗酸化活性を示すグラフ、図13は比較例2(ハナサナギタケ(実用品種))による抗酸化活性を示すグラフである。
抗酸化活性は、70%アセトン抽出画分と水抽出物画分において確認された。実施例1を比較例1と比べると、小石丸を寄主とする方が70%アセトン抽出物と水抽出物の両方で活性が高いことが確認された。
【0024】
抗炎症活性試験
図14は本発明の実施例1(コナサナギタケ(小石丸))による抗酸化活性を示すグラフ、図15は本発明の実施例2(ハナサナギタケ(小石丸))による抗酸化活性を示すグラフである。
抗炎症活性は、酢酸エチル抽出画分で認められ、コナサナギタケよりもハナサナギタケが高い活性が認められた。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、食品、添加物、皮膚外用剤、入浴剤として利用される冬虫夏草に適している。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の各冬虫夏草からの抽出物の収量を示す表
【図2】本発明の実施例1(コナサナギタケ(小石丸))によるガン細胞に対する増殖抑制活性を示すグラフ
【図3】本発明の実施例2(ハナサナギタケ(小石丸))によるガン細胞に対する増殖抑制活性を示すグラフ
【図4】比較例1(コナサナギタケ(実用品種))によるガン細胞に対する増殖抑制活性を示すグラフ
【図5】比較例2(ハナサナギタケ(実用品種))によるガン細胞に対する増殖抑制活性を示すグラフ
【図6】本発明の実施例1(コナサナギタケ(小石丸))によるリンパ細胞に対する免疫賦活活性を示すグラフ
【図7】本発明の実施例2(ハナサナギタケ(小石丸))によるリンパ細胞に対する免疫賦活活性を示すグラフ
【図8】比較例1(コナサナギタケ(実用品種))によるリンパ細胞に対する免疫賦活活性を示すグラフ
【図9】比較例2(ハナサナギタケ(実用品種))によるリンパ細胞に対する免疫賦活活性を示すグラフ
【図10】本発明の実施例1(コナサナギタケ(小石丸))による抗酸化活性を示すグラフ
【図11】本発明の実施例2(ハナサナギタケ(小石丸))による抗酸化活性を示すグラフ
【図12】比較例1(コナサナギタケ(実用品種))による抗酸化活性を示すグラフ
【図13】比較例2(ハナサナギタケ(実用品種))による抗酸化活性を示すグラフ
【図14】本発明の実施例1(コナサナギタケ(小石丸))による抗酸化活性を示すグラフ
【図15】本発明の実施例2(ハナサナギタケ(小石丸))による抗酸化活性を示すグラフ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蚕を寄主とした冬虫夏草の培養方法であって、前記蚕種として小石丸を用いたことを特徴とする冬虫夏草の培養方法。
【請求項2】
前記冬虫夏草としてハナサナギタケを用いたことを特徴とする請求項1に記載の冬虫夏草の培養方法。
【請求項3】
小石丸を寄主とした冬虫夏草又は前記冬虫夏草の抽出物を有効成分として含むことを特徴とする免疫賦活剤。
【請求項4】
小石丸を寄主とした冬虫夏草又は前記冬虫夏草の抽出物を有効成分として含むことを特徴とするがん細胞増殖抑制剤。
【請求項5】
小石丸を寄主とした冬虫夏草又は前記冬虫夏草の抽出物を有効成分として含むことを特徴とする抗炎症剤。
【請求項6】
小石丸を寄主とした冬虫夏草又は前記冬虫夏草の抽出物を有効成分として含むことを特徴とする抗酸化剤。
【請求項1】
蚕を寄主とした冬虫夏草の培養方法であって、前記蚕種として小石丸を用いたことを特徴とする冬虫夏草の培養方法。
【請求項2】
前記冬虫夏草としてハナサナギタケを用いたことを特徴とする請求項1に記載の冬虫夏草の培養方法。
【請求項3】
小石丸を寄主とした冬虫夏草又は前記冬虫夏草の抽出物を有効成分として含むことを特徴とする免疫賦活剤。
【請求項4】
小石丸を寄主とした冬虫夏草又は前記冬虫夏草の抽出物を有効成分として含むことを特徴とするがん細胞増殖抑制剤。
【請求項5】
小石丸を寄主とした冬虫夏草又は前記冬虫夏草の抽出物を有効成分として含むことを特徴とする抗炎症剤。
【請求項6】
小石丸を寄主とした冬虫夏草又は前記冬虫夏草の抽出物を有効成分として含むことを特徴とする抗酸化剤。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−84248(P2009−84248A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−259053(P2007−259053)
【出願日】平成19年10月2日(2007.10.2)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成19年4月3日 社団法人 日本蚕糸学会らの主催の「平成19年度蚕糸・昆虫機能利用学術講演会 日本蚕糸学会第77回大会」において文書をもって発表
【出願人】(504165591)国立大学法人岩手大学 (222)
【出願人】(506015236)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月2日(2007.10.2)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成19年4月3日 社団法人 日本蚕糸学会らの主催の「平成19年度蚕糸・昆虫機能利用学術講演会 日本蚕糸学会第77回大会」において文書をもって発表
【出願人】(504165591)国立大学法人岩手大学 (222)
【出願人】(506015236)
【Fターム(参考)】
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