説明

冷却シート及び携帯用冷却シート

【課題】 冷却シートに高含水率で粘着性の低い含水ゲルを用い、高い冷却効果が長い時間維持できるようにすると共に、この冷却シートを身体の貼付部位に簡単に剥がれないようにして充分に貼付できるようにする。
【解決手段】 吸水性シート11の片面に非水溶性の粘着剤層12を設ける一方、この粘着剤層と反対側における吸水性シートの面を高含水率で粘着性の低い含水ゲル体14に吸着させて冷却シート10を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、冷却シート及び携帯用冷却シートに係り、特に、冷却シートによって高い冷却効果が長い時間維持できるようにすると共に、この冷却シートが身体の貼付部位から簡単に剥がれないようにして充分に貼付できるようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、発熱時や炎症部位等の冷却、また皮膚の保湿やリフレッシュ等を目的として冷却シートが用いられている。
【0003】
そして、このような冷却シートとしては、一般に、オレフィン系の不織布等にポリアクリル酸等の水溶性高分子に水を保有させた粘着性の含水ゲルを付与したものが使用されている。
【0004】
ここで、上記のような粘着性の含水ゲルを付与した冷却シートにおいて、上記の粘着性の含水ゲルの部分を身体の貼付部位に貼付させた場合に、この粘着性の含水ゲルにより冷却シートが貼付部位に充分に貼付されて、貼付部位から簡単に外れるということはなかった。
【0005】
しかし、上記のような粘着性の含水ゲルの場合、一般に含水率が低くて、高い冷却効果を長い時間維持させることはできないという問題があった。
【0006】
一方、上記のような含水ゲルにおける含水率を多くして冷却効果を高めるようにした場合、この含水ゲルにおける粘着性が大きく低下して、貼付部位に対する冷却シートの付着力が低下し、冷却シートが貼付部位から簡単に外れるという問題があった。
【0007】
このため、近年においては、片面に粘着剤が塗布された不織布の繊維層中に、水分が90重量%以上の水溶性高分子材料のゲルを含浸させた冷却シートが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0008】
しかし、上記の冷却シートのように、上記のような水溶性高分子材料のゲルを不織布の繊維層中に含浸させる場合、繊維層中に含浸させることができるゲルの量には限界があり、依然として、高い冷却効果を長い時間維持させることは困難であった。
【特許文献1】特開2002−248121号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明は、冷却シートにおける上記のような問題を解決することを課題とするものであり、冷却シートに高含水率で粘着性の低い含水ゲルを用いて高い冷却効果が長い時間維持できるようにすると共に、この冷却シートが身体の貼付部位から簡単に剥がれないようにして充分に貼付できるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明における冷却シートにおいては、上記のような課題を解決するため、吸水性シートの片面に非水溶性の粘着剤層を設け、この粘着剤層と反対側における吸水性シートの面が高含水率で粘着性の低い含水ゲル体に吸着されるようにした。
【0011】
ここで、上記の含水ゲル体としては、高い冷却効果が長時間得られるようにするため、その含水率が65重量%以上であることが好ましく、より好ましくは含水率が90重量%以上のものを用いるようにする。なお、含水率の上限については、特に限定されないが、上記の含水ゲル体の保形性の点からは99重量%程度が限界になると考えられる。
【0012】
そして、このような含水ゲル体を得るにあたっては、保水性が高く、保形性にも優れた水溶性高分子を用いるようにし、この水溶性高分子は合成及び天然の何れであってもよいが、特に、保水性及び保形性に優れている天然の水溶性高分子を用いることが好ましく、例えば、カラギーナン、ゼラチン、ペクチン、ローカストビーンガム、キサンタンガム、ジェランガム、アーネストガム、アガロース、デキストリン、グルコマンナン、ポリグルタミン酸及びその塩等を用いることができる。また、これらの天然高分子に合成高分子を混合して用いることもでき、好適な合成高分子としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、アーネストガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられるが、特にこれらに限定されるものでもない。
【0013】
また、上記の吸水性シートとしては、水分を吸収して上記の含水ゲル体に充分に吸着されると共に、水分を吸収した状態でも劣化することが少なく、長時間含水ゲル体を保持できるものであればよく、例えば、段ボール,和紙,合成紙等の紙材や、通常の不織布や織布及びこれらに吸水性物質を担持させたシート材や、吸水性繊維を用いた不織布,織布等の繊維シート等を用いることができる。
【0014】
また、上記の吸水性シートにフラップ部を形成し、このフラップ部が水分を吸収して上記の含水ゲル体の周壁部に吸着されるようにすることが好ましい。さらに、このフラップ部が含水ゲル体より突出する幅を含水ゲル体の厚みより大きくし、このフラップ部が含水ゲル体の周壁部から表面側に至るようにして吸着させることもできる。このようにすると、このフラップ部によって含水ゲル体が吸水性シートにさらに強固に保持されるようになる。
【0015】
また、上記の冷却シートにおいて、吸水性シートの片面に設ける非水溶性の粘着剤層に用いる粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ビニルエーテル系粘着剤等の各種の非水溶性粘着剤を用いることができる。
【0016】
そして、このように吸水性シートの片面に非水溶性の粘着剤層を設けるにあたっては、吸水性シートの片面に非水溶性の粘着剤を塗布するようにしたり、吸水性シートの片面に非水溶性の粘着剤層を貼り付けるようにすることができる。ここで、吸水性シートの片面に非水溶性の粘着剤層を貼り付けるにあたっては、両面テープ等を利用することもできる。さらに、上記の非水溶性の粘着剤層は、ポーラスに構成されていることが好ましく、またこの非水溶性の粘着剤層は、吸水性シートの片面全面に設けられていても、所定の部分にだけ設けられていてもよい。
【0017】
ここで、上記のアクリル系粘着剤としては、下記の主モノマーと副モノマーとを組み合わせたものが挙げられる。主モノマーとしては、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸デシル、メタアクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、メタアクリル酸ドデシル等が挙げられる。また、副モノマーとしては、アクリル酸、酢酸ビニル、アクリル酸メチル、メタアクリル酸メチル、無水マレイン酸、アクリル酸2−ヒドロキシエチル等が挙げられる。
【0018】
また、ゴム系粘着剤としては、下記のエラストマーと粘着付与剤とを組み合わせものが挙げられる。エラストマーとしては、天然ゴム、合成ポリイソプレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、スチレン・イソプレンブロック共重合体、ポリイソブチレン、ブチルゴム、SIS、SBR、SBRS等が挙げられる。また、粘着付与剤としては、ロジン、水添ロジン、ロジンエステル、水添ロジンエステル、ポリテルペン、テルペンフェノール、フェノール樹脂、キシレン樹脂、クマロンインデン樹脂、その他脂肪族系樹脂(C5系樹脂)、石油系樹脂、脂環式炭化水素樹脂(水添芳香族系樹脂)等が挙げられる。
【0019】
また、上記の粘着剤には、必要に応じて、軟化剤(可塑剤)、吸収促進剤、多価アルコール類、シリコーン油類、無機充填剤、酸化防止剤(紫外線吸収剤)等を添加させることができる。
【0020】
ここで、上記の軟化剤(可塑剤)としては、ポリブテン、ポリイソブチレン、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジエチルフタレート、液状ロジンエステル、塩素化パラフィン、プロセスオイル、ラノリン、IPM、シリコーン、ワセリン、固形パラフィン、流動パラフィン、プラステイペース、ミツロウ、メントール、リモネン、ピネン、ピペリトン、テルピノール、カルベオール、アーモンド油、オリーブ油、ツバキ油、パーシック油、ハッカ油、ゴマ油、ダイズ油、ミンク油、綿実油、トウモロコシ油、サフラワー油、ブドウ油、マカデミアナッツ油、卵黄油、紅花油等が挙げられる。
【0021】
また、上記の吸収促進剤は、薬用成分や化粧成分等の有効成分の吸収を促進するものであり、上記の軟化剤と重複するものが多く、ラノリン、流動パラフィン、ミツロウ、メントール、リモネン、ピネン、ピペリトン、テルピノール、カルベオール、ホホバ油、アーモンド油、オリーブ油、ツバキ油、パーシック油、ハッカ油、ゴマ油、ダイズ油、ミンク油、綿実油、トウモロコシ油、サフラワー油、ブドウ油、マカデミアナッツ油、卵黄油、紅花油等が挙げられる。
【0022】
また、上記の多価アルコール類としては、グリセリン、プロピレングリコール、オクタンジオール、ポリエチレングリコール、D−ソルビット、クロタミトン等が挙げられる。
【0023】
また、上記のシリコーン油としては、メチルシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ドデカメチルポリシロキサン等が挙げられる。
【0024】
また、上記の無機充填剤としては、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム等が挙げられる。
【0025】
また、上記の酸化防止剤(紫外線吸収剤)としては、BHT、DTBHQ等が挙げられる。
【0026】
また、この発明における携帯用冷却シートにおいては、容器体に設けられた第1収容凹部内に、高含水率で粘着性の低い含水ゲル体を収容させると共に、この容器体に設けられた第2収容凹部内に、非水溶性の粘着剤層が設けられた吸水性シートを収容させ、上記の第1収容凹部及び第2収容凹部の上面を閉塞するようにして閉塞部材を取り付けるようにした。
【0027】
また、上記の携帯用冷却シートにおいて、上記の第1収容凹部と第2収容凹部との間に容器体を折り曲げる折り曲げ部を形成し、容器体をこの折り曲げ部において折り曲げ、上記の第1収容凹部と第2収容凹部とを重ね合わせるようにすることが好ましい。
【0028】
なお、上記のように第2収容凹部内に非水溶性の粘着剤層が設けられた吸水性シートを収容させるにあたっては、この吸水性シートは片面に設けられている粘着剤層が第2収容凹部内に接着するのを防止するため、この吸水性シートに設けられた粘着剤層に離型紙を貼付させた状態で収容させることができる。
【発明の効果】
【0029】
この発明における冷却シートにおいては、上記のように吸水性シートの片面に非水溶性の粘着剤層を設ける一方、この粘着剤層と反対側における吸水性シートの面が高含水率で粘着性の低い含水ゲル体に吸着されるようにしたため、この吸水性シートに上記の含水ゲル体が充分に保持されるようになる。
【0030】
そして、この吸水性シートの片面に設けられた非水溶性の粘着剤層により冷却シートを身体の貼付部位に貼付させると、上記のように含水ゲル体が吸水性シートに充分に保持された状態で、冷却シートが身体の貼付部位に充分に貼着されるようになり、この冷却シートが貼付部位から簡単に外れるということがなく、また上記の高含水率のゲル層に含まれる水分が吸水性シートを通して非水溶性の粘着剤層に浸透し、水分による冷却効果が貼付部位に伝わって高い冷却効果が長時間得られるようになる。
【0031】
また、この発明における冷却シートにおいて、上記の吸水性シートにフラップ部を形成し、このフラップ部を上記の含水ゲル体の周壁部に吸着させるようにすると、このフラップ部により含水ゲル体が動くのが抑制されて、吸水性シートに含水ゲル体がより強く保持されるようになり、この冷却シートを貼付部位に貼着させた状態で動いた場合においても、含水ゲル体が吸水性シートから外れたり、冷却シートが貼付部位から外れたりするのが一層防止されるようになる。
【0032】
また、この発明における携帯用冷却シートのように、容器体に設けられた第1収容凹部内に、高含水率で粘着性の低い含水ゲル体を収容させると共に、この容器体に設けられた第2収容凹部内に、非水溶性の粘着剤層が設けられた吸水性シートを収容させ、上記の第1収容凹部及び第2収容凹部の上面を閉塞するようにして閉塞部材を取り付けると、上記の含水ゲル体から水分が漏れ出したり蒸発したりするのが防止されると共に、上記の吸水性シートが含水ゲル体と接触して水分を吸収するということがなく、吸水性シートが水分を吸収して徐々に劣化するのも防止され、上記の冷却シートを長く保存できるようになる。
【0033】
また、上記の第1収容凹部と第2収容凹部との間に容器体を折り曲げる折り曲げ部を形成し、この折り曲げ部において容器体を折り曲げ、上記の第1収容凹部と第2収容凹部とを重ね合わせるようにすると、この携帯用冷却シートをコンパクトな状態にして簡単に持ち運びできるようになる。
【0034】
また、上記の閉塞部材を取り外した後、上記の折り曲げ部において容器体を折り曲げて二つ折りにし、露呈した含水ゲル体の面に吸水性シートを接触させると、この吸水性シートが含水ゲル体の水分を吸収して含水ゲル体の面に接着されるようになり、この状態で冷却シートを容器体から取り出し、上記の吸水性シートに設けられた粘着剤層により冷却シートを身体の貼付部位に貼付させることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、この発明の実施形態に係る冷却シート及び携帯用冷却シートを添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、この発明に係る冷却シート及び携帯用冷却シートは、特に下記の実施形態に示したものに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
【0036】
この実施形態における冷却シート10においては、図1に示すように、吸水性シート11の片面に非水溶性の粘着剤層12を設け、この非水溶性の粘着剤層12に離型紙13を取り付ける一方、上記の非水溶性の粘着剤層12と反対側における吸水性シート11の面を高含水率で粘着性の低い含水ゲル体14に接触させ、この含水ゲル体14に含まれる水分を上記の吸水性シート11に吸収させて、この吸水性シート11を含水ゲル体14に吸着させ、図2に示すように、平面形状が長方形状になった冷却シート10を得るようにした。
【0037】
そして、この冷却シート10を使用するにあたっては、非水溶性の粘着剤層12に取り付けられた離型紙13を剥離させ、この非水溶性の粘着剤層12により冷却シート10を身体の貼付部位に貼付させるようにする。
【0038】
このようにすると、上記の含水ゲル体14に含まれる水分が吸水性シート11を通して非水溶性の粘着剤層12に浸透し、この非水溶性の粘着剤層12を介して水分による冷却効果が貼付部位に伝わり、高い冷却効果が長時間得られるようになる。また、上記の含水ゲル体14が吸水性シート11に充分に保持されるト共に、この冷却シート10が上記の非水溶性の粘着剤層12により貼付部位に適切に貼着されて、冷却シート10が貼付部位から簡単に外れるということもなくなる。
【0039】
また、上記のように冷却シート10を身体の貼付部位に貼付させた場合において、上記の含水ゲル体14が衣類などに接触して、この含水ゲル体14に含まれる水分によって衣類など濡れるのを防止するため、上記の吸水性シート11と反対側における含水ゲル体14の面に不織布などを設けることも可能である。
【0040】
また、この実施形態における冷却シート10において、上記の含水ゲル体14にアロマオイルや薬理活性物質を含有させ、この冷却シート10からこれらの物質が身体の貼付部位に徐々に伝わって、保冷・保湿効果と共にこれらの物質による効果が得られるようにすることもできる。
【0041】
ここで、上記のアロマオイルとしては、一般にアロマテラピーに用いられる精油成分(精油類)をそのまま用いることができる。この精油成分としては、例えばワンダー・セラー著「アロマテラピーのための84の精油成分」、フレグランスジャーナル社に記載されているものが挙げられる。具体的には、アニス、アンジェリカ、安息香、イモーテル、カモミール、ガーリック、カルダモン、ガルバナム、キャラウェイ、キャロットシード、グアヤックウッド、グレープフルーツ、サイブレス、シダーウッド、スターアニス、セージ、ゼラニウム、セロリ、タイム、タラゴン、テレピン、乳香、バイオレット、パイン、パセリ、フェンネル、ブラックペッパ、ボダイジュ花、レモン、レモングラス、ローズマリー、ローレル、シモツケギク、シモツケソウ、ヤグルマギク、アーモンド、アルニカ、ウイキョウ、エニシダ、クレソン、ゲンチアナ、ショウノウ、スモモ、セイヨウナシ、タイソウ、タンポポ、チモ、チョレイ、トウガシ、ノイバラ、ハッカ、トネリコ、ブクリョウ、メリッサ、モモ、ヤドリギ、ユーカリ、ヨクイニン、ラベンダ、レンギョウ等からの抽出物を挙げることができるが、別段これらに限定されない。また、その他の油成分としては、流動パラフィン、シリコーンオイル、ココナッツオイル、マカデミアオイル、スクラワン、オリーブオイル、オレンジオイル、ホホバオイル等を挙げることができる。
【0042】
また、薬理活性物質としては、上記のアロマオイルと重なってもよく、例えばメントール、カンフル、インドメタシン、ケトプロフェン、ジクロフェナック、オオバクエキス、グリチルリチン酸ジカリウム、ヒアルロン酸、アルブチン、酢酸トコフェロール、アラントイン、ビタミンC類、水溶性アズレン、アクリノール等が挙げられる。
【0043】
また、上記のもの以外に、ビタミンA,B,C,E等のビタミン類、セレニウム,亜鉛等のミネラル類、リンゴ,オレンジ,レモン,キウイ等の果実エキスや果汁等を適宜含有させることもできる。
【0044】
次に、上記のような冷却シート10を携帯できるようにした携帯用冷却シート1について説明する。
【0045】
この携帯用冷却シート1においては、容器体20として、図3に示すように、第1収容凹部21と第2収容凹部22とが設けられると共に、この第1収容凹部21と第2収容凹部22との間にこの容器体20を折り曲げる折り曲げ部23が設けられたものを用いるようにした。
【0046】
そして、この携帯用冷却シート1においては、図4に示すように、上記の第1収容凹部21内に前記の含水ゲル体14を収容させると共に、上記の第2収容凹部22内に、前記のように片面に非水溶性の粘着剤層12が設けられて、この非水溶性の粘着剤層12に離型紙13が取り付けられた吸水性シート11を収容させるようにした。そして、この状態で、上記の第1収容凹部22及び第2収容凹部23の上面を閉塞するように、アルミニウムシート等の気密性シートからなる閉塞部材30を取り付けるようにした。このようにすると、前記のように含水ゲル体14から水分が漏れ出したり蒸発したりするのが防止されると共に、吸水性シート11が含水ゲル体14と接触するということがなく、吸水性シート11が水分を吸収して徐々に劣化するのも防止され、上記の冷却シート10を長く保存できるようになる。
【0047】
ここで、この実施形態の携帯用冷却シート1においては、図5に示すように、上記の折り曲げ部23により容器体20を折り曲げ、上記の第1収容凹部21と第2収容凹部22とを重ね合わせることにより、この携帯用冷却シート1をコンパクトな状態にして保管したり、持ち運んだりすることができる。
【0048】
また、この携帯用冷却シート1において、冷却シート10を使用するにあたっては、容器体20の上面から上記の閉塞部材30を取り外し、上記の第2収容凹部22内に収容された上記の吸水性シート11を取り出し、この吸水性シート11において非水溶性の粘着剤層12が設けられた面と反対側の面を、上記の第2収容凹部22内に収容された含水ゲル体14に接触させて、この吸水性シート11を含水ゲル体14に吸着させ、この状態で、上記の第2収容凹部22内から含水ゲル体14を取り出して冷却シート10を得るようにする。
【0049】
また、上記のように閉塞部材30を取り外した後、上記の折り曲げ部23において容器体20を折り曲げて二つ折りにして、露呈した含水ゲル体14の面に吸水性シート11における粘着剤層12が設けられた面と反対側の面を接触させると、この吸水性シート11が含水ゲル体14の水分を吸収して含水ゲル体14の面に接着されるようになる。
【0050】
その後は、上記のように吸水性シート11に設けられた非水溶性の粘着剤層12から離型紙13を剥離させ、この非水溶性の粘着剤層12により冷却シート10を身体の貼付部位に貼付させるようにする。
【0051】
なお、上記の実施形態における冷却シート10においては、その平面形状が長方形状になるようにしたが、冷却シート10の平面形状は特に限定されず、この冷却シート10を貼付させる貼付部位等に応じて適宜変更させることができる。例えば、冷却シート10を首に貼付させる場合において、その平面形状が、図6に示すように、中央部10aがくびれて両側の側部10bが広くなった略瓢箪形状になった冷却シート10を用いると、首をねじった場合においても、この冷却シート10が簡単に外れるのが防止されると共に、広くなった両側の側部10bの部分がそれぞれけい動脈の部分を覆うようにして貼付させると、急な発熱時等においても充分な冷却効果が得られるようになる。
【0052】
また、上記の実施形態における冷却シート10においては、上記の吸水性シート11と含水ゲル体14とが同一の平面形状になるようにしたが、図7(A)に示すように、吸水性シート11に含水ゲル体14の周壁部14aよりも外方に突出したフラップ部11aを設け、同図(B)に示すように、各フラップ部11aを含水ゲル体14側に折り曲げて、各フラップ部11aを含水ゲル体14の周壁部14aに接触させ、各フラップ部11aに含水ゲル体14の水分を吸収させて、含水ゲル体14の周壁部14aに吸着させるようにすることも可能である。
【0053】
そして、このように含水ゲル体14の周壁部14aよりも外方に突出した吸水性シート11のフラップ部11aを折り曲げて含水ゲル体14の周壁部14aに吸着させると、前記のようにこのフラップ部11aにより含水ゲル体14が動くのが抑制されて、吸水性シート11に含水ゲル体14がより強く保持されるようになりるようになり、この冷却シート10を貼付部位に貼着させた状態で動いた場合においても、含水ゲル体14が吸水性シート11から外れたり、冷却シート10が貼付部位から外れたりするのが一層防止されるようになる。
【0054】
さらに、図8(A),(B)に示すように、吸水性シート11に含水ゲル体14の周壁部14aよりも外方に突出する各フラップ部11aを含水ゲル体14の厚みより大きくし、各フラップ部11aを含水ゲル体14側に折り曲げて、各フラップ部11aを含水ゲル体14の周壁部14aから表面側に至るようにして吸着させることもできる。このようにすると、各フラップ部11aによって含水ゲル体14が吸水性シート11にさらに強固に保持されるようになる。
【0055】
また、前記の図6に示すように中央部10aがくびれて両側の側部10bが広くなった略瓢箪形状になった冷却シート10においては、図9(A),(B)に示すように、吸水性シート11に含水ゲル体14の周壁部14aよりも外方に突出したフラップ部11aを部分的に複数設け、このように突出する各フラップ部11aを含水ゲル体14の厚みより大きくし、各フラップ部11aを含水ゲル体14側に折り曲げて、各フラップ部11aを含水ゲル体14の周壁部14aから表面側に至るようにして吸着させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】この発明の一実施形態に係る冷却シートを示した概略断面図である。
【図2】上記の実施形態に係る冷却シートを示した概略平面図である。
【図3】この発明の一実施形態に係る携帯用冷却シートにおいて、上記の冷却シートを収容させるのに使用する容器体を示した概略平面図である。
【図4】上記の実施形態に係る携帯用冷却シートにおいて、容器体の第1収容凹部と第2収容凹部とに含水ゲル体と吸水性シートとを別々に収容させて、第1収容凹部及び第2収容凹部の上面を閉塞部材により閉塞させた状態を示した概略断面図である。
【図5】上記の実施形態に係る携帯用冷却シートにおいて、容器体を折り曲げ部により折り曲げて、第1収容凹部と第2収容凹部とを重ね合わせた状態を示した概略断面図である。
【図6】上記の実施形態に係る冷却シートの平面形状を変更させた変更例の概略平面図である。
【図7】上記の実施形態に係る冷却シートにおいて、吸水性シートに含水ゲル体の周壁部よりも外方に突出するようにフラップ部を設けた状態を示した概略平面図及び上記のフラップ部を含水ゲル体側に折り曲げて含水ゲル体の周壁部に吸着させた状態を示した概略平面図である。
【図8】上記の実施形態に係る冷却シートにおいて、含水ゲル体の周壁部よりも外方に突出する吸水性シートのフラップ部を含水ゲル体の厚みより大きくなるように設けた状態を示した概略平面図及び上記のフラップ部を含水ゲル体側に折り曲げて含水ゲル体の周壁部から表面側に至るようにして吸着させた状態を示した概略平面図である。
【図9】図6に示す変更例に係る冷却シートにおいて、含水ゲル体の周壁部よりも外方に突出する吸水性シートのフラップ部を含水ゲル体の厚みより大きくなるように設けた状態を示した概略平面図及び上記のフラップ部を含水ゲル体側に折り曲げて含水ゲル体の周壁部から表面側に至るようにして吸着させた状態を示した概略平面図である。
【符号の説明】
【0057】
1 携帯用冷却シート
10 冷却シート
10a 中央部
10b 側部
11 吸水性シート
11a フラップ部
12 非水溶性の粘着剤
13 離型紙
14 含水ゲル体
14a 周壁部
20 容器体
21 第1収容凹部
22 第2収容凹部
23 折り曲げ部
30 閉塞部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸水性シートの片面に非水溶性の粘着剤層が設けられ、この粘着剤層と反対側における吸水性シートの面が高含水率で粘着性の低い含水ゲル体に吸着されてなることを特徴とする冷却シート。
【請求項2】
請求項1に記載した冷却シートにおいて、上記の吸水性シートにフラップ部が形成され、このフラップ部が上記の含水ゲル体の周壁部に吸着されていることを特徴とする冷却シート。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載した冷却シートにおいて、上記の含水ゲルにおける含水率が65重量%以上であることを特徴とする冷却シート。
【請求項4】
容器体に設けられた第1収容凹部内に、高含水率で粘着性の低い含水ゲル体が収容されると共に、この容器体に設けられた第2収容凹部内に、非水溶性の粘着剤層が設けられた吸水性シートが収容され、上記の第1収容凹部及び第2収容凹部の上面を閉塞するように閉塞部材が取り付けられていることを特徴とする携帯用冷却シート。
【請求項5】
請求項4に記載した携帯用冷却シートにおいて、上記の第1収容凹部と第2収容凹部との間に、上記の容器体を折り曲げる折り曲げ部が形成されていることを特徴とする携帯用冷却シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−29638(P2007−29638A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−220941(P2005−220941)
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(390011017)ダイヤ製薬株式会社 (20)
【Fターム(参考)】