説明

冷却手段を有するバッテリーモジュール、及びそれを含む(中型または大型)バッテリーパック

冷却手段を有するバッテリーモジュール、及びそれを含む中または大型バッテリーパック
複数の順次積み重ねたプレート形状バッテリーセル及び2個以上の放熱部材を包含するバッテリーモジュールであって、該第一放熱部材が、該第一放熱部材の片側が、該バッテリーモジュールの最も外側にある1個のバッテリーセル(a)を少なくとも部分的に覆い、該第一放熱部材の反対側が、内側バッテリーセル同士の間に配置されるように伸び、該第二放熱部材が、該第二放熱部材の片側が、該第二放熱部材が該第一放熱部材と重ならない状態で、該最も外側にあるバッテリーセル(a)を少なくとも部分的に覆うように伸び、該第二放熱部材の反対側が、該内側バッテリーセル同士の間に配置される構造に形成された、バッテリーモジュールを開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の順次積み重ねたプレート形状バッテリーセル及び2個以上の放熱部材を包含するバッテリーモジュールに関し、より詳しくは、該第一放熱部材が、該第一放熱部材の片側が、該バッテリーモジュールの最も外側にある1個のバッテリーセル(a)を少なくとも部分的に覆い、該第一放熱部材の反対側が内側バッテリーセル同士の間に配置されるように伸び、該第二放熱部材が、該第二放熱部材の片側が、該第二放熱部材が該第一放熱部材と重ならない状態で、該最も外側にあるバッテリーセル(a)を少なくとも部分的に覆うように伸び、該第二放熱部材の反対側が、該内側バッテリーセル同士の間に配置される構造に形成された、バッテリーモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、充電及び放電可能な二次バッテリーが、ワイヤレス可動装置用のエネルギー供給源として広く使用されている。また、二次バッテリーは、化石燃料を使用する既存のガソリン及びディーゼル車により引き起こされる大気汚染のような問題を解決するために開発された電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、及びプラグ−インハイブリッド電気自動車(Plug-in HEV)用の動力源としても非常に大きな関心を集めている。
【0003】
小型の可動装置は、各装置に一個または数個のバッテリーセルを使用している。他方、中または大型装置、例えば車両、には、高出力及び大容量が必要なので、複数のバッテリーセルを互いに電気的に接続した、中または大型バッテリーモジュールを使用する。
【0004】
中または大型バッテリーモジュールは、可能であれば、小型で軽量に製造するのが好ましい。この理由から、高集積度に積み重ねることができ、重量対容量比が小さいプリズム形バッテリーまたは小袋形バッテリーが、中または大型バッテリーモジュールのバッテリーセル(単位電池)として通常使用される。特に、シース部材としてアルミニウムラミネートシートを使用する小袋形バッテリーに現在多くの関心が集まっているが、これは、小袋形バッテリーが軽量であり、小袋形バッテリーの製造コストが低く、小袋形バッテリーの形状を容易に変えられるためである。
【0005】
中または大型バッテリーモジュールを構成するバッテリーセルは、充電及び放電可能な二次バッテリーである。従って、バッテリーの充電及び放電の際に、高出力、大容量二次バッテリーから大量の熱が発生する。バッテリーモジュールの充電及び放電の際にバッテリーモジュールから発生する熱が効果的に除去されない場合、バッテリーモジュール中に熱が蓄積するので、バッテリーモジュールの劣化が促進される。状況により、バッテリーモジュールは、発火または爆発することがある。この理由から、高出力、大容量バッテリーである車両用バッテリーパックには、バッテリーパック中に取り付けられたバッテリーセルを冷却するための冷却装置が必要である。
【0006】
一般的に、中または大型バッテリーパック中に取り付けるバッテリーモジュールは、複数のバッテリーセルを高集積度で積み重ねることにより、製造する。バッテリーセルは、隣接するバッテリーセルが予め決められた間隔を置くように配置し、バッテリーセルの充電及び放電の際に発生する熱を除去する。例えば、バッテリーセルは、追加の部材を使用せずに、隣接するバッテリーセルが予め決められた間隔を置いて配置されるように順次積み重ねることができる。他方、バッテリーセルの機械的強度が低い場合、一個以上のバッテリーセルをカートリッジ中に取り付け、バッテリーセルがそれぞれ中に取り付けられている複数のカートリッジを積み重ね、バッテリーモジュールを構成する。積み重ねたバッテリーセルまたは積み重ねたバッテリーモジュール間に冷却剤流路を限定し、バッテリーセルまたはバッテリーモジュール間に蓄積する熱を効果的に除去することができる。
【0007】
しかし、この構造では、複数のバッテリーセルに対応する複数の冷却剤通路を設ける必要があるので、バッテリーモジュールの全体的なサイズが増加する。
【0008】
また、バッテリーモジュールのサイズを考慮する場合、積み重ねるバッテリーセルが多い程、各冷却剤通路の幅が狭くなる。その結果、冷却構造の設計が複雑になる。すなわち、冷却剤の入口より狭い幅を有する冷却剤通路は高い圧損を引き起こすので、冷却剤の入口及び出口の形状及び位置を設計するのが非常に困難になる。また、そのような圧損を阻止するために、ファンをさらに設置することができる。その結果、例えば電力消費、ファン騒音、及び空間に設計上の制限がある。
【0009】
さらに、バッテリーセル積重構造(stack)の中間に位置するバッテリーセルは、十分に冷却されない場合があり、最も外側にあるバッテリーセルより急速に劣化することがある。バッテリーセルのそのような不均質な劣化により、バッテリーモジュールの耐用寿命が短くなることがあり、これは、安全性の観点から好ましくない。
【0010】
従って、高出力、大容量の電力を与え、簡単な小型の構造で製造され、優れた耐用寿命及び安全性を有するバッテリーモジュールが強く求められている。
【発明の開示】
【技術的問題】
【0011】
従って、本発明は、上記の問題及び他の未解決の技術的問題を解決するためになされたものである。
【0012】
本発明の目的は、熱移動が伝導により達成されるように、複数の順次積み重ねられたバッテリーセルが屈曲し得る放熱部材により覆われ、それによって、バッテリーモジュールの全体的な熱を一様に維持し、温度偏差を小さくする構造に形成されたバッテリーモジュールを提供することである。
【0013】
本発明の別の目的は、複数の、上記の構造を有するバッテリーモジュールを使用し、冷却剤通路が様々に調節される簡単な構造を有する中または大型バッテリーパックを提供することである。
【技術的解決策】
【0014】
本発明の一態様により、上記及び他の目的は、複数の順次積み重ねたプレート形状バッテリーセル及び2個以上の放熱部材を包含するバッテリーモジュールであって、該第一放熱部材が、該第一放熱部材の片側が、該バッテリーモジュールの最も外側にある1個のバッテリーセル(a)を少なくとも部分的に覆い、該第一放熱部材の反対側が内側バッテリーセル同士の間に配置されるように伸び、該第二放熱部材が、該第二放熱部材の片側が、該第二放熱部材が該第一放熱部材と重ならない状態で、該最も外側にあるバッテリーセル(a)を少なくとも部分的に覆うように伸び、該第二放熱部材の反対側が、該内側バッテリーセル同士の間に配置される構造に形成された、バッテリーモジュールに関する。
【0015】
すなわち、本発明のバッテリーモジュールは、2個以上の放熱部材が、各プレート形状バッテリーセルの少なくとも一表面と接触し、放熱部材同士が互いに重なり合わないように配置され、バッテリーセルを覆い、2個以上の放熱部材が、最も外側にあるバッテリーセルから外向きに少なくとも部分的に露出され、それによって、バッテリーモジュールのバッテリーセルから発生した熱を、放熱部材を使用して伝導により効果的に排出する構造に形成されている。
【0016】
さらに、バッテリーセルの対向する表面は、放熱部材と共に、互いに緊密に接触するか、または互いに隣接し、それによって熱移動を容易に達成し、温度偏差をより効果的に減少させることができる。また、バッテリーセル及び放熱部材を包含するバッテリーモジュールのサイズ増加を抑制し、バッテリーセルを、従来の冷却装置を使用するバッテリーセルよりも高い集積度で積み重ねることができる。
【0017】
上記の中で、「第二放熱部材が、第二放熱部材が第一放熱部材と重ならない状態で、バッテリーモジュールに取り付けられる」の表現は、放熱部材が、前に記載した条件を満足しながら、放熱部材同士が互いに重なり合わないように、バッテリーモジュールに取り付けられることを意味する。従って、第一放熱部材及び第二放熱部材は、第一放熱部材及び第二放熱部材が一般的に互いに対向するように、バッテリーモジュールに取り付けられる。
【0018】
放熱部材には、放熱部材が上記の設置構造を有し、熱伝導性材料から形成される限り、特に制限は無い。例えば、放熱部材は、高い熱伝導率及び屈曲性を示すシート材料から形成することができる。
【0019】
そのような放熱部材は、バッテリーセルの形状及びバッテリーセルの積重厚さに基づいて屈曲させることができる。従って、放熱部材の設置構造を所望の形状に融通性良く形成することができる。また、放熱部材が高い熱伝導率を示す材料から形成される場合、放熱部材は、バッテリーセルから発生した熱を伝導によりバッテリーモジュールの外に容易に排出し、それによって、バッテリーセルからの放熱を効果的に達成することができる。
【0020】
典型的には、放熱部材を金属シートから形成することができる。
【0021】
一例では、第一放熱部材の片側が、最も外側にあるバッテリーセル(a)の外側表面の約1/3〜約1/2を覆い、第二放熱部材の片側が、最も外側にあるバッテリーセル(a)の外側表面の約1/3〜約1/2を覆い、第二放熱部材の片側が第一放熱部材の片側と対向する。
【0022】
これによって、互いに対向する第一放熱部材の片側及び第二放熱部材の片側が、最も外側にあるバッテリーセルの外側表面の全部または2/3を覆う。最も外側にあるバッテリーセルの、第一放熱部材及び第二放熱部材により覆われる外側表面が、最も外側にあるバッテリーセルの外側表面全体の2/3未満である場合、第一放熱部材及び第二放熱部材の設置により得られる放熱効果がほとんど無くなることがある。この理由から、第一放熱部材の片側及び第二放熱部材の片側が、最も外側にあるバッテリーセルの外側表面の少なくとも2/3を覆うのが好ましい。
【0023】
この態様では、第一放熱部材の片側が、最も外側にあるバッテリーセル(a)の外側表面の約1/2を覆い、第二放熱部材の片側が、最も外側にあるバッテリーセル(a)の外側表面の約1/2を覆うのがより好ましい。あるいは、第一放熱部材の片側が、最も外側にあるバッテリーセル(a)の外側表面の約2/3を覆い、第二放熱部材の片側が、最も外側にあるバッテリーセル(a)の外側表面の約1/2を覆うこともできる。
【0024】
一方、バッテリーセル間に挟まれる、第一及び第二放熱部材の反対側は、対応するバッテリーセル間の界面全体に伸びる。すなわち、第一及び第二放熱部材の反対側は、積み重ねられたバッテリーセル間の界面全体を覆い、それによって、バッテリーセルから発生した熱を伝導により効果的に除去する。
【0025】
一例では、放熱部材をバッテリーモジュールに、各放熱部材の反対側が、対応するプレート形状バッテリーセルの一表面にのみ配置されるように、取り付けることができる。放熱部材のそれぞれが、対応するプレート形状バッテリーセルの一表面にのみ配置されるが、伝導により所望の熱移動を達成し、それによって、バッテリーセルから発生した熱を容易に除去することができる。
【0026】
具体的には、最も外側にあるバッテリーセル(a)から出発して積み重ねられたバッテリーセルが、第一バッテリーセル、第二バッテリーセル、第三バッテリーセル...第p番目のバッテリーセルとして規定されると仮定すると、第一放熱部材の反対側は、第一バッテリーセルと第二バッテリーセルとの間に位置し、第二放熱部材の反対側は、第三バッテリーセルと第四バッテリーセルとの間に位置することができる。
【0027】
従って、第一及び第二放熱部材の反対側は第二バッテリーセルと第三バッテリーセルとの間に位置しないが、第二バッテリーセルの一表面は、第一バッテリーセルと第二バッテリーセルとの間に配置された第一放熱部材と接触し、第三バッテリーセルの一表面は、第三バッテリーセルと第四バッテリーセルとの間に配置された第二放熱部材と接触し、それによって、放熱を達成する。
【0028】
状況に応じて、バッテリーモジュールの中間に位置するバッテリーセルから比較的大量の熱が発生することを考慮し、第二放熱部材の反対側は、第二バッテリーセルと第三バッテリーセルとの間に配置することができる。この場合、第二バッテリーセルの一表面は第一放熱部材と接触し、第二バッテリーセルの他の表面は第二放熱部材と接触する。従って、2個の放熱部材により、高い放熱効果が達成される。
【0029】
一例では、バッテリーモジュールは、バッテリーモジュールの他の最も外側にあるバッテリーセル(b)に取り付けられた第三放熱部材及び第四放熱部材をさらに包含することができる。第三放熱部材は、第三放熱部材の片側が、バッテリーモジュールの最も外側にあるバッテリーセル(b)を少なくとも部分的に覆い、第三放熱部材の反対側が、内側バッテリーセル間に配置されるように伸びることができ、第四放熱部材は、第四放熱部材の片側が、最も外側にあるバッテリーセル(b)を少なくとも部分的に覆うように伸びることができ、第四放熱部材は第三放熱部材と重ならず、第四放熱部材の反対側が、内側バッテリーセル間に配置される。
【0030】
上記の中で、最も外側にあるバッテリーセル(b)とは、複数のバッテリーセルが積み重ねられる構造に形成されたバッテリーモジュールの最も外側にあるバッテリーセル(a)に対向するバッテリーセルを意味する。すなわち、最も外側にあるバッテリーセル(a)及び最も外側にあるバッテリーセル(b)は、バッテリーモジュールの反対側に位置する。従って、第三及び第四放熱部材は、第一及び第二放熱部材が最も外側にあるバッテリーセル(a)に取り付けられているのと同様に、最も外側にあるバッテリーセル(b)に取り付けることができる。
【0031】
上記の構造で、第三放熱部材及び第四放熱部材は、第三放熱部材及び第四放熱部材が第一放熱部材及び第二放熱部材とそれぞれ重なり合わないように、バッテリーモジュールに取り付けられる。
【0032】
最も外側にあるバッテリーセル(b)から出発して積み重ねられたバッテリーセルが、例えば第n番目のバッテリーセル、第n-1番目のバッテリーセル、第n-2番目のバッテリーセル...第p番目のバッテリーセルとして定義されると仮定すると、第三放熱部材の反対側は、第n番目のバッテリーセルと第n-1番目のバッテリーセルとの間に位置し、第四放熱部材の反対側は、第n-2番目のバッテリーセルと第n-3番目のバッテリーセルとの間に位置することができる。
【0033】
従って、放熱部材が互いに重なり合わない状態で、バッテリーセルが複数の放熱部材により覆われるように、所望の数のバッテリーセルを積み重ねることにより、冷却剤通路を含まない高出力、大容量バッテリーモジュールを製造することができる。
【0034】
一方、放熱部材は、放熱部材が屈曲してバッテリーセルの側部を覆う状態で、バッテリーモジュールに取り付けることができる。例えば、放熱部材は、「」の形状に屈曲させることができる。
【0035】
状況に応じて、絶縁性部材を、最も外側にあるバッテリーセル(a)の外側表面と放熱部材との間に取り付け、最も外側にあるバッテリーセル(a)が過冷却されるのを防止することができる。無論、絶縁性部材は、最も外側にあるバッテリーセル(b)の外側表面と放熱部材との間に取り付けることもできる。最も外側にあるバッテリーセル(a)及び最も外側にあるバッテリーセル(b)は、放熱部材を経由して外部環境に直接露出されているバッテリーセルである。従って、最も外側にあるバッテリーセル(a)及び最も外側にあるバッテリーセル(b)は、最も外側にあるバッテリーセル(a)と最も外側にあるバッテリーセル(b)との間にあるバッテリーセルよりも高い冷却速度を有する。最も外側にあるバッテリーセルのそれぞれから放散される熱の量は、対応する絶縁性部材により減少し、それによって、バッテリーセル間の温度偏差が低下する。
【0036】
バッテリーモジュールには、バッテリーモジュールが、複数のバッテリーセルが積み重ねられ、放熱部材が対応するバッテリーセル間に位置する構造に形成される限り、特に制限は無い。例えば、バッテリーモジュールは、6〜12個のバッテリーセルを包含することができる。複数のバッテリーセルを積み重ねても、冷却剤通路を放熱部材に沿って伸びるように形成することができ、従って、冷却剤通路の数を大きく低減させることができる。例えば、冷却剤通路を、最も外側のバッテリーセルの上にある放熱部材だけに沿って伸びるように設けることができる。あるいは、冷却剤通路を、最も外側のバッテリーセルの上にある放熱部材及びバッテリーセルの上部及び/または底部にある放熱部材に沿って伸びるように設けることもできる。従って、本発明のバッテリーモジュールは、従来のバッテリーモジュールと比較して、比較的少数の冷却剤通路で、熱的に安定した構造を有する。
【0037】
本発明の一態様により、2個以上のバッテリーモジュールを包含する中または大型バッテリーパックを提供する。
【0038】
バッテリーモジュールは、中に冷却剤を流すための冷却剤通路として作用する予め決められた隙間により、互いに分離することができる。この構造でも、従来の冷却装置を使用する中または大型バッテリーモジュールと比較して、冷却剤通路の数を大きく低減させることができる。
【0039】
冷却剤通路のサイズは、バッテリーモジュールから発生する熱の量に基づいて、適切に決定することができる。バッテリーモジュール間に限定される、冷却剤通路を与える隙間は、各バッテリーモジュールの厚さの10〜30%でよい。バッテリーモジュール間に限定される隙間が、各バッテリーモジュールの厚さと比較して、小さすぎる場合、冷却剤通路は、冷却剤入口より遙かに狭くなり、圧力が増加するので、十分な冷却効果が得られない。他方、バッテリーモジュール間に限定される隙間が大きすぎる場合、中または大型バッテリーパックの全体的なサイズが過度に増加し、好ましくない。従って、上記の問題が引き起こされない限り、無論、隙間の幅は上に規定する範囲外でもよい。
【0040】
冷却剤には、その冷却剤が、冷却剤通路に沿って流れる間に、伝導により、バッテリーセルから熱を容易に放散させる限り、特に制限は無い。例えば、冷却剤は空気または水でよい。好ましくは、冷却剤は空気である。
【0041】
本発明のバッテリーパックは、複数のバッテリーセルを包含し、高出力及び大容量を達成する。従って、バッテリーパックは、バッテリーセルの充電及び放電の際に発生する高温の熱が深刻な安全性の問題になる電気自動車、ハイブリッド電気自動車、またはプラグ−インハイブリッド電気自動車用の電力供給源として使用するのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
本発明の上記の、及び他の目的、特徴及び利点は、添付の図面を参照しながら記載する下記の詳細な説明により、より深く理解される。
【図1】図1は、本発明の一実施態様によるバッテリーモジュールを例示する部分正面図である。
【図2】図2は、図1の放熱部材を例示する透視図である。
【図3】図3は、本発明の別の実施態様によるバッテリーモジュールを例示する正面図である。
【図4】図4は、本発明の別の実施態様によるバッテリーモジュールの透視図である。
【図5】図5は、2個のバッテリーモジュール、その一つを図3及び4に示す、を包含する中または大型バッテリーパックを例示する透視図である。
【発明の様式】
【0043】
以下に、添付の図面を参照しながら本発明の代表的な実施態様をより詳細に説明する。しかし、無論、本発明の範囲は、例示する例により制限されるものではない。
【0044】
図1は、本発明の一実施態様によるバッテリーモジュールを典型的に例示する部分正面図である。説明の都合上、バッテリーセルを図式的に示し、バッテリーモジュールを構成する他の部材、例えば電極端子及び接続部材、は省略する。
【0045】
図1に関して、バッテリーモジュール100は、4個のプレート形状バッテリーセル10、20、30、及び40が、互いに隣接した状態で、積み重ねられ、2個の放熱部材200及び210が予め決められた位置に取り付けられる構造に形成されている。
【0046】
第一放熱部材200は、第一バッテリーセル10の外側表面の約半分Wを覆う側部を有する。第二放熱部材210は、第一バッテリーセル10の外側表面の別の半分W'をほぼ覆う側部を有する。第二放熱部材210の片側は、第一放熱部材200の片側と対向する。従って、最も外側にあるバッテリーセルの一つである第一バッテリーセル10の外側表面全体が、第一放熱部材200及び第二放熱部材210により覆われる。
【0047】
第一放熱部材200は、第一放熱部材200の外側表面が第一バッテリーセル10と第二バッテリーセル20との間に配置されるように屈曲している。第二放熱部材210は、第二放熱部材210の外側表面が第三バッテリーセル30と第四バッテリーセル40との間に配置されるように屈曲している。第二放熱部材210の反対側は、第三バッテリーセル30と第四バッテリーセル40との間の界面全体にわたって伸びている。
【0048】
従って、第一放熱部材200及び第二放熱部材210は、第一放熱部材200及び第二放熱部材210が互いに隣接して配置され、重なり合わないように、バッテリーモジュール100に取り付けられている。
【0049】
また、絶縁性部材101が、第一バッテリーセル10の外側表面と第一及び第二放熱部材200及び210との間に取り付けられ、バッテリーセル10が過冷却されるのを防止している。
【0050】
図2は、図1の放熱部材を典型的に例示する透視図である。比較し易くするために、放熱部材を、放熱部材が図1のバッテリーモジュールに取り付けられた配置構造を有していないが、同じ向きを有する状態で、示す。
【0051】
図2に関して、放熱部材200及び210は、高い熱伝導率及び屈曲性を示す金属シートから形成される。放熱部材200及び210は、「」の形状に屈曲指せ、対応するバッテリーセル(図には示していない)の側部を覆う。
【0052】
具体的には、各放熱部材200及び210の一側部が比較的小さな長さhを有し、最も外側にあるバッテリーセル(図には示していない)の外側表面を覆う。各放熱部材200及び210の他の辺が比較的大きな長さHを有し、バッテリーセル間の界面の全体に配置される。
【0053】
一方、第二放熱部材210は、第一放熱部材200の屈曲幅dより大きい屈曲幅Dを有する。これは、第一放熱部材200の他の側部が、図1に示すように、第一バッテリーセル10と第二バッテリーセル20との間に配置され、従って、第一放熱部材200の屈曲幅dは、絶縁性部材101と第一バッテリーセル10の厚さの合計に対応するのに対し、第二放熱部材210の他の側部は、図1に示すように、第三バッテリーセル30と第四バッテリーセル40との間に配置され、従って、第二放熱部材210の屈曲幅Dは、絶縁性部材101、第一バッテリーセル10、第二バッテリーセル20、及び第三バッテリーセル30の厚さの合計に対応するためである。
【0054】
図3は、本発明の別の実施態様によるバッテリーモジュールを例示する正面図であり、図4は、本発明の別の実施態様によるバッテリーモジュールの透視図である。
【0055】
これらの図に関して、バッテリーモジュール300は、8個のプレート形状バッテリーセルが、互いに緊密に接触し、空気の隙間が無い状態で積み重ねられ、4個の放熱部材が予め決められた位置に取り付けられる構造に形成される。
【0056】
第一及び第二放熱部材240及び250のそれぞれの片側で、第一放熱部材240が、最も外側にあるバッテリーセルの一つである第一バッテリーセル10の外側表面の約半分を覆い、第二放熱部材250が他の半分を覆う。第三及び第四放熱部材260及び270のそれぞれの片側で、第三放熱部材260が、もう一つの最も外側にあるバッテリーセルである第八バッテリーセル80の外側表面の約半分を覆い、第四放熱部材270が他の半分を覆う。
【0057】
第一放熱部材240を屈曲させ、第一放熱部材240の他の側部を第三バッテリーセル30と第四バッテリーセル40との間に配置し、第二放熱部材250を屈曲させ、第二放熱部材250の他の側部を第二バッテリーセル20と第三バッテリーセル30との間に配置する。また、第三放熱部材260を屈曲させ、第三放熱部材260の他の側部を第五バッテリーセル50と第六バッテリーセル60との間に配置し、第四放熱部材270を屈曲させ、第四放熱部材270の他の側部を第六バッテリーセル60と第七バッテリーセル70との間に配置する。
【0058】
バッテリーセル10、20、40、50、70、及び80は、対応する放熱部材240、250、260、及び270と、各バッテリーセル10、20、40、50、70、及び80の一表面で直接的または間接的に接触する。バッテリーセル30及び60は、対応する放熱部材240、250、260、及び270と、各バッテリーセル30及び60の対向する表面で直接的に接触する。しかし、他の異なった配置も可能である。状況に応じて、深刻な蓄熱にさらされることがある中間バッテリーセルは、各中間バッテリーセルの対向する表面で対応する放熱部材と接触することができる。
【0059】
また、絶縁性部材102及び103を、第一バッテリーセル10と第一放熱部材240との間、及び第八バッテリーセル80と第四放熱部材270との間にそれぞれ取り付け、バッテリーセルの過冷却を防止する。
【0060】
これによって、バッテリーセルから発生した熱を一様に放散させ、全体的な温度偏差を軽減することができる。
【0061】
図5は、2個のバッテリーモジュール、その一つを図3及び4に示す、を包含する中または大型バッテリーパックを典型的に例示する透視図である。
【0062】
図5に関して、中または大型バッテリーパック400は、2個のバッテリーモジュール310及び320を包含する。バッテリーモジュール310及び320は互いに、各バッテリーモジュールの厚さの約20%に等しい隙間Lを置いて配置されている。この隙間は、空気を流すための冷却剤通路として作用する。
【0063】
冷却剤通路は、バッテリーモジュール310の左側の外側表面に対応する区域及びバッテリーモジュール320の右側の外側表面に対応する区域にも設けることができる。状況に応じて、冷却剤通路は、バッテリーモジュール310及び320の上部及び/または底部に対応する区域にも設けることができる。
【0064】
上記の構造で、バッテリーモジュールのバッテリーセルから発生した熱は、放熱部材311、312、313、321、323、及び324に伝導される。伝導された熱は、冷却剤通路を通過する冷却剤が放熱部材311、312、313、321、323、及び324と接触する時に放散される。従って、それぞれのバッテリーセル間には冷却剤通路が備えられていないが、効果的な放熱が達成される。
【産業上の利用可能性】
【0065】
上記の説明から明らかなように、本発明のバッテリーモジュールは、複数の順次積み重ねられたバッテリーセルが、伝導により放熱が達成されるように、特殊な形態の放熱部材により覆われている。これによって、バッテリーモジュールが小型の構造に形成されているが、バッテリーモジュールの全体的な温度を一様に維持することができ、バッテリーモジュールの耐用寿命及び信頼性が非常に大きく改良される。
【0066】
また、上記の構造で、複数のバッテリーモジュール間の隙間を様々に調節することができ、それによって、中または大型バッテリーパック用の冷却装置を容易に形成することができる。
【0067】
本発明の好ましい実施態様を例示のために開示したが、当業者には明らかなように、請求項に記載する本発明の範囲及び精神から離れることなく、様々な修正、追加、及び置き換えが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーモジュールであって、
複数の順次積み重ねたプレート形状バッテリーセル及び2個以上の放熱部材を備えてなり、
第一放熱部材が伸びて、第一放熱部材の片側が、前記バッテリーモジュールの最も外側にある1個のバッテリーセル(a)を少なくとも部分的に覆ってなり、かつ、第一放熱部材の反対側が、内側バッテリーセル同士の間に配置されてなり、
第二放熱部材が伸びて、第二放熱部材の片側が、前記バッテリーモジュールの最も外側にある1個のバッテリーセル(a)を少なくとも部分的に覆ってなり、他方、第二放熱部材が第一放熱部材と重ならないものであり、かつ、第二放熱部材の反対側が、前記内側バッテリーセル同士の間に配置される構造に形成された、バッテリーモジュール。
【請求項2】
前記放熱部材が、高い熱伝導率及び屈曲性を示すシート材料から形成されてなる、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項3】
前記放熱部材が金属シートから形成されてなる、請求項2に記載のバッテリーモジュール。
【請求項4】
第一放熱部材の前記片側が、前記最も外側にあるバッテリーセル(a)の外側表面の約1/3〜約1/2を覆ってなり、
第二放熱部材の前記片側が、前記最も外側にあるバッテリーセル(a)の前記外側表面の約1/3〜約1/2を覆ってなり、他方、第二放熱部材の前記片側が第一放熱部材の片側と対向してなるものである、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項5】
前記バッテリーセル間に配置されてなる、第一放熱部材及び第二放熱部材の各反対側が、対応する前記バッテリーセル間の界面全体に伸びてなる、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項6】
前記放熱部材が前記バッテリーモジュールに取り付けられ、各放熱部材の前記反対側が、対応する前記プレート形状バッテリーセルの一表面にのみ配置されてなる、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項7】
前記最も外側にあるバッテリーセル(a)から出発して積み重ねられた前記バッテリーセルが、第一バッテリーセル、第二バッテリーセル、第三バッテリーセル...第p番目のバッテリーセルとして規定した場合に、
第一放熱部材の前記反対側が、前記第一バッテリーセルと前記第二バッテリーセルとの間に位置し、かつ、
第二放熱部材の前記反対側が、前記第三バッテリーセルと前記第四バッテリーセルとの間に位置する、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項8】
他方の最も外側にあるバッテリーセル(b)に取り付けられた第三放熱部材及び第四放熱部材をさらに備えてなり、
第三放熱部材が伸びて、第三放熱部材の片側が、前記バッテリーモジュールの前記最も外側にあるバッテリーセル(b)を少なくとも部分的に覆ってなり、かつ、第三放熱部材の反対側が、内側バッテリーセル間に配置されてなり、
第四放熱部材が伸びて、第四放熱部材の片側が、前記最も外側にあるバッテリーセル(b)を少なくとも部分的に覆ってなり、他方、第四放熱部材が第三放熱部材と重ならないものであり、第四放熱部材の前記反対側が、内側バッテリーセル間に配置されてなる、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項9】
前記第三放熱部材及び前記第四放熱部材が、前記第一放熱部材及び前記第二放熱部材とそれぞれ重なり合わないように、前記第三放熱部材及び前記第四放熱部材が、前記バッテリーモジュールに取り付けられてなる、請求項8に記載のバッテリーモジュール。
【請求項10】
前記最も外側にあるバッテリーセル(b)から出発して積み重ねられた前記バッテリーセルが、第n番目のバッテリーセル、第n-1番目のバッテリーセル、第n-2番目のバッテリーセル...第p番目のバッテリーセルとした場合、
前記第三放熱部材の前記反対側が、前記第n番目のバッテリーセルと前記第n-1番目のバッテリーセルとの間に位置し、前記第四放熱部材の前記反対側が、前記第n-2番目のバッテリーセルと前記第n-3番目のバッテリーセルとの間に位置する、請求項8に記載のバッテリーモジュール。
【請求項11】
前記放熱部材が、前記バッテリーモジュールに取り付けられ、前記放熱部材が屈曲して前記バッテリーセルの側部を覆うものである、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項12】
前記最も外側にあるバッテリーセル(a)の外側表面と前記放熱部材との間に取り付けられ、前記最も外側にあるバッテリーセル(a)が過冷却されるのを防止する、絶縁性部材をさらに備えてなる、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項13】
前記バッテリーモジュールが、6〜12個のバッテリーセルを備えてなる、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項14】
2個以上の、請求項1〜13のいずれか一項に記載のバッテリーモジュールを備えてなる、中型または大型バッテリーパック。
【請求項15】
前記バッテリーモジュールが、冷却剤を流すための冷却剤通路として作用する予め決められた隙間により、互いに間隔を置いて配置されてなる、請求項14に記載の中型または大型バッテリーパック。
【請求項16】
前記冷却剤が空気を含んでなる、請求項15に記載の中型または大型バッテリーパック。
【請求項17】
前記バッテリーパックが、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、またはプラグ−インハイブリッド電気自動車用の電力供給源として使用される、請求項14に記載の中型または大型バッテリーパック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−512517(P2012−512517A)
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−542011(P2011−542011)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際出願番号】PCT/KR2009/007570
【国際公開番号】WO2010/071370
【国際公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】