説明

冷媒輸送用ホース及びそのガスバリア層形成用ポリアミド樹脂組成物

【課題】ポリアミド樹脂組成物よりなるガスバリア層を有する冷媒輸送用ホースにおける、冷媒やコンプレッサーオイルに由来する酸性成分や水分によるガスバリア層の劣化を防止し、耐久性に優れた冷媒輸送用ホースを提供する。
【解決手段】ポリアミド樹脂組成物よりなるガスバリア層2を有する冷媒輸送用ホース1。ポリアミド樹脂組成物が、シリカ系無機物を、ポリアミド樹脂組成物中のポリマー成分100重量部に対して1〜20重量部含有する。ポリアミド樹脂組成物にオレフィン系エラストマーを配合して柔軟性、耐久性を高めるようにしてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷媒輸送用ホースに係り、特に、ポリアミド樹脂組成物よりなるガスバリア層を有した冷媒輸送用ホースに関する。本発明はまた、この冷媒輸送用ホースの製造方法と、この冷媒輸送用ホースのガスバリア層形成用ポリアミド樹脂組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車用エアコンには冷媒としてHFC−134a(R−134a)などのフロンガスが用いられている。
【0003】
自動車用エアコンの配管には乗り心地改善の観点から、振動吸収性能に優れているゴムホースが用いられており、このゴムホースの構造としては、冷媒の漏洩を防止する為に、最内層にガスバリア性に優れ、かつ耐インパルス性能など振動耐久性にも優れるポリアミド樹脂層を配し、その上に内管ゴム層を設け、その上にPET等の有機繊維よりなる補強糸層を設け、更にその上に耐候性を有するEPDMゴム層を配した構造が用いられている(特許文献1)。
【0004】
また、最内層のガスバリア層を構成するポリアミド樹脂に柔軟性付与剤としてポリオレフィン系エラストマーを配合し、耐冷媒透過性と柔軟性を付与した冷媒輸送用ホースも提案されている(特許文献2)。
【0005】
しかしながら、ポリアミド樹脂は、冷媒であるフロンやコンプレッサーからのオイルによる劣化の問題があり、この問題は、ポリオレフィン系エラストマーの配合によっても解決されず、このため、従来の冷媒輸送用ホースでは、耐久性の点で課題が残されている。
例えば、エアコンシステム内に微量でも酸性成分が存在する場合、高温/高圧の実使用条件下では、ポリアミド樹脂組成物がこの酸性成分により著しく劣化し、使用に耐えなくなる場合がある。この酸性成分としては冷媒と共に封入されるコンプレッサーオイルに含まれる極圧剤などが考えられる。このため、エアコンに使用されるオイルの種類や環境条件によっては、従来の冷媒輸送用ホースでは実用的な耐久性が得られず、使用不可能となる場合もある。
ポリアミド樹脂の劣化にはまた、ホースを透過して系内に浸入する水分も大きく影響している。
【0006】
一方、内層と外層との間にポリアミド系繊維補強層を設けた耐熱ホースにおいて、内層及び外層を構成するゴム組成物にシリカ系無機物を添加して、補強層を形成する補強糸の熱老化による劣化を防止する技術(特許文献3)や、ポリアミド樹脂最内層とその外周のポリビニルアルコール低透過層とを有する冷媒輸送用ホースにおいて、最内層と低透過層との界面に形成するハロゲン化ブチルゴム糊系接着剤層にシリカを含有させることにより、接着剤層に強度と伸びを付与する技術(特許文献4)、ポリアミド樹脂最内層とその外周のポリビニルアルコール低透過層とその外周のブチル系ゴム層とを有する冷媒輸送用ホースにおいて、ブチル系ゴム層にアルカリ性シリカを配合することにより、層間接着性、強度、伸びを改善する技術(特許文献5)が提案されているが、これらの技術は、本発明で課題とするポリアミド樹脂ガスバリア層の冷媒やコンプレッサーオイルに由来する酸性成分や水分による劣化の防止を何ら示唆するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−15245号公報
【特許文献2】特開2000−120944号公報
【特許文献3】特開2003−14166号公報
【特許文献4】特開2007−154373号公報
【特許文献5】特開2010−69777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来の実状に鑑みてなされたものであって、ポリアミド樹脂組成物よりなるガスバリア層を有する冷媒輸送用ホースにおける、冷媒やコンプレッサーオイルに由来する酸性成分や水分によるガスバリア層の劣化を防止し、耐久性に優れた冷媒輸送用ホースを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明(請求項1)の冷媒輸送用ホースは、ポリアミド樹脂組成物よりなるガスバリア層を有する冷媒輸送用ホースにおいて、該ポリアミド樹脂組成物が、シリカ系無機物を、該ポリアミド樹脂組成物中のポリマー成分100重量部に対して1〜20重量部含有することを特徴とするものである。
【0010】
請求項2の冷媒輸送用ホースは、請求項1において、前記シリカ系無機物が、シリカ、含水非晶質二酸化ケイ素、及び含水ケイ酸アルミニウムよりなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とするものである。
【0011】
請求項3の冷媒輸送用ホースは、請求項1又は2において、前記ポリアミド樹脂組成物がポリオレフィン系エラストマーを含有することを特徴とするものである。
【0012】
請求項4の冷媒輸送用ホースは、請求項3において、前記ポリオレフィン系エラストマーとポリアミド樹脂とがアロイ化していることを特徴とするものである。
【0013】
請求項5の冷媒輸送用ホースは、請求項3又は4において、前記ポリオレフィン系エラストマーの少なくとも一部が酸変性されていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項6の冷媒輸送用ホースは、請求項3ないし5のいずれか1項において、前記ポリアミド樹脂組成物のポリオレフィン系エラストマーの含有量が、該ポリアミド樹脂組成物中のポリマー成分100重量部に対して10〜45重量部であることを特徴とするものである。
【0015】
請求項7の冷媒輸送用ホースは、請求項1ないし6のいずれか1項において、前記ガスバリア層の外周側に、補強糸よりなる補強層と外被ゴム層とが設けられていることを特徴とするものである
【0016】
本発明(請求項8)の冷媒輸送用ホースの製造方法は、請求項3ないし7のいずれか1項に記載の冷媒輸送用ホースの製造方法であって、前記ポリオレフィン系エラストマーとシリカ系無機物とを混練した後、得られた混練物にポリアミド樹脂を混練してアロイ化する工程を含むことを特徴とするものである。
【0017】
本発明(請求項9)の冷媒輸送用ホースのガスバリア層形成用ポリアミド樹脂組成物は、冷媒輸送用ホースのガスバリア層形成用ポリアミド樹脂組成物において、シリカ系無機物を、該ポリアミド樹脂組成物中のポリマー成分100重量部に対して1〜20重量部含有することを特徴とするものである。
【0018】
請求項10の冷媒輸送用ホースのガスバリア層形成用ポリアミド樹脂組成物は、請求項9において、前記ポリアミド樹脂組成物がポリオレフィン系エラストマーを含有することを特徴とするものである。
【0019】
本発明(請求項11)のガスバリア層形成用ポリアミド樹脂組成物の製造方法は、請求項10に記載の冷媒輸送用ホースのガスバリア層形成用ポリアミド樹脂組成物の製造方法であって、前記ポリオレフィン系エラストマーとシリカ系無機物とを混練した後、得られた混練物にポリアミド樹脂を混練してアロイ化する工程を含むことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明の冷媒輸送用ホースは、ガスバリア層を構成するポリアミド樹脂組成物に、シリカ系無機物を、このポリアミド樹脂組成物中のポリマー成分100重量部に対して1〜20重量部配合したものである。このようにポリアミド樹脂組成物にシリカ系無機物を所定の割合で配合することにより、このポリアミド樹脂組成物よりなるガスバリア層の冷媒やコンプレッサーオイルに起因する酸性成分や水分による劣化を効果的に防止して、その耐久性を高めることができる。
本発明で用いるシリカ系無機物による、ポリアミド樹脂の冷媒やコンプレッサーオイルに起因する酸性成分や水分による劣化防止の作用機構の詳細は明らかではないが、ポリアミド樹脂組成物に配合されたシリカ系無機物が吸着剤として機能し、酸性成分やホースを透過して系内に侵入した水分などの劣化原因物質を効率的に吸着して、これらがポリアミドに及ぼす悪影響(攻撃)を抑制し、この結果、ポリアミド樹脂の劣化防止効果が発現されるものと推定される。
【0021】
このようなことから、本発明の冷媒輸送用ホースは、使用オイルや使用システム内の環境による影響を受けることなく、優れた耐久性能を示し、長期に亘り安定かつ安全に使用することができる。
【0022】
本発明において、シリカ系無機物としては、シリカ、含水非晶二酸化ケイ酸、含水ケイ酸アルミニウムを用いることが好ましい(請求項2)。
【0023】
また、本発明では、ガスバリア層を構成するポリアミド樹脂組成物にポリオレフィン系エラストマーを配合してもよく、これによりガスバリア層の柔軟性、耐久性が向上する(請求項3,10)。
【0024】
このポリオレフィン系エラストマーは、ポリアミドとアロイ化していることが好ましく(請求項4)、また、少なくとも一部が酸変性されていてもよく、これによりポリアミド樹脂との相溶性が向上する(請求項5)。
また、ポリアミド樹脂組成物のポリオレフィン系エラストマーの含有量は、ポリアミド樹脂組成物中のポリマー成分100重量部に対して10〜45重量部であることが好ましい(請求項6)。
【0025】
本発明の冷媒輸送用ホースは、特にこのようなガスバリア層の外周側に、補強糸よりなる補強層と外被ゴム層とが設けられていることが好ましい(請求項7)。
【0026】
本発明の冷媒輸送用ホースのガスバリア層形成用ポリアミド樹脂組成物は、シリカ系無機物を、ポリアミド樹脂組成物中のポリマー成分100重量部に対して1〜20重量部含有するものであり、ガスバリア性、耐久性に優れる。
【0027】
特に本発明に係るポリアミド樹脂組成物が、ポリオレフィン系エラストマーを含む場合、予めポリオレフィン系エラストマーとシリカ系無機物とを混練し、得られた混練物にポリアミド樹脂を混練することにより、シリカ系無機物の樹脂組成物中への均一分散性を高め、耐久性を向上させるためのシリカ系無機物配合量を高めた上で、耐インパルス性を確保することができ、好ましい(請求項8,11)。
【0028】
即ち、ガスバリア層を構成するポリアミド樹脂組成物の劣化は、主に、冷媒やコンプレッサーオイル中の酸性成分やホースを透過して系内に侵入した水分によるポリアミド樹脂の劣化によるものであり、この観点からは、シリカ系無機物はポリアミド樹脂に混練してポリアミド樹脂相に選択的に分散させることが有効であると考えられる。
しかしながら、ポリアミド樹脂はシリカ系無機物の均一分散性が悪く、例えば、ポリアミド樹脂に対して多量のシリカ系無機物を混練した場合、シリカ系無機物の不均一分散のために、膜肌の悪い不均一部分が形成され(即ち、表面平滑性が劣るものとなり)、この部分が破壊の起点となって、耐インパルス性を低減させる原因となる。
【0029】
これに対して、ポリオレフィン系エラストマーはシリカ系無機物の均一分散性に優れ、予めポリオレフィン系エラストマーにシリカ系無機物を混練することにより、得られる樹脂組成物中にシリカ系無機物を均一に分散させて破壊の起点となるような膜肌の悪い欠陥部分の発生を防止することができる。
【0030】
なお、上述の如く、ポリアミド樹脂組成物の劣化は、主に酸性成分や水分によるポリアミド樹脂の劣化によるものであるが、ポリアミド樹脂組成物を劣化させる酸性成分や水分などの劣化原因物質は、ポリアミド樹脂相だけではなくポリオレフィン系エラストマー相にも侵入し、ポリオレフィン系エラストマー相を通過した後ポリアミド樹脂相に到るものもあり、ポリオレフィン系エラストマー相に分散したシリカ系無機物は、このポリオレフィン系エラストマー相を通過する劣化原因物質を吸着してポリアミド樹脂の劣化を効果的に防止することができる。
【0031】
従って、上述のような2段階混練を行って得られるポリアミド樹脂組成物においては、シリカ系無機物は主としてポリオレフィン系エラストマー相に分散したものとなるが、このように、ポリオレフィン系エラストマー相を通過する劣化原因物質を吸着してポリアミド樹脂の劣化を防止するため、シリカ系無機物による十分な劣化防止効果を得ることができる。
【0032】
ただし、上記効果を有効に発揮させる観点からは、上述のような2段階混練を行う場合、シリカ系無機物は比較的多量に配合することが好ましく、シリカ系無機物はポリアミド樹脂組成物中のポリマー成分100重量部に対して5〜20重量部とすることが好ましい。
このように多量の金属化合物を配合しても、上述のような2段階混練を行う場合には、シリカ系無機物の分散性に優れたポリオレフィン系エラストマーに予めシリカ系無機物を混練するため、シリカ系無機物の分散不良が問題になることはない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の冷媒輸送用ホースの実施の形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0035】
[冷媒輸送用ホースのガスバリア層形成用ポリアミド樹脂組成物]
まず、本発明の冷媒輸送用ホースのガスバリア層を構成する本発明の冷媒輸送用ホースのガスバリア層形成用ポリアミド樹脂組成物について説明する。
【0036】
このポリアミド樹脂組成物は、シリカ系無機物をポリアミド樹脂組成物中のポリマー成分100重量部に対して1〜20重量部含有することを特徴とする。
ここで、ポリアミド樹脂組成物中のポリマー成分とは、ポリアミド樹脂、或いはポリアミド樹脂と後述のポリオレフィン系エラストマー、その他の樹脂等の高分子成分の合計をさす。
【0037】
<ポリアミド樹脂>
本発明で用いられるポリアミド樹脂は、アミノ酸、ラクタムあるいはジアミンとジカルボン酸を主たる構成成分とするポリアミド樹脂である。これらの構成成分の具体例を挙げるとε−カプロラクタム、エナントラクタム、ω−ラウロラクタムなどのラクタム、ε−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などのアミノ酸、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス−p−アミノシクロヘキシルメタン、ビス−p−アミノシクロヘキシルプロパン、イソホロンジアミンなどのジアミン、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ゼバシン酸、ドデカン2酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ダイマー酸などのジカルボン酸がある。これらの構成成分は単独あるいは2種以上の混合物の形で重合に供され、得られるポアミド樹脂はホモポリマー、コポリマーのいずれであっても良い。
【0038】
特に本発明で有効に用いられるポリアミド樹脂としては、ポリカプラミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリドデカンアミド(ナイロン12)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ヘキサメチレンテレフタルアミド共重合体(ナイロン66/6T)、ポリカプラミド/ポリヘキサメチレンアジパミド共重合体(ナイロン6/66)が挙げられ、これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
【0039】
ポリアミドの重合度については特に制限はなく、1重量%濃度の硫酸溶液の25℃における相対粘度(以下、単に「相対粘度」と称す場合がある。)が1.5〜5.0の範囲内にあるものを任意に用いることができる。また、ポリアミド樹脂は、その末端基がモノカルボン酸化合物および/またはジカルボン酸化合物あるいはモノアミン化合物および/またはジアミン化合物の1種以上を任意の段階でポリアミドに添加することにより末端基濃度が調節されていてもよい。
【0040】
<シリカ系無機物>
本発明のポリアミド樹脂組成物に含まれるシリカ系無機物としては、一般にゴム組成物や樹脂組成物に用いられるものであれば特に制限はない。具体的には、シリカ、含水非晶質二酸化ケイ素、含水ケイ酸アルミニウム、ケイ砂、ケイ石粉末、カオリナイト、モンモリロナイト、サポナイト、白雲母、パラゴナイト、シリカゲルなどを挙げることができる。このうち、本発明においては、シリカ、含水非晶質二酸化ケイ素、含水ケイ酸アルミニウムが好ましい。
これらのシリカ系無機物は1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
【0041】
ポリアミド樹脂組成物中のシリカ系無機物の含有量は、少な過ぎると、シリカ系無機物を配合したことによる劣化防止効果を十分に得ることができず、多過ぎても配合量に見合う効果を得ることはできず、ガスバリア性、柔軟性、耐老化性等の特性を損なう結果となり、更には得られるガスバリア層の表面平滑性の低下で耐インパルス性が低下し、好ましくない。従って、シリカ系無機物のポリアミド樹脂組成物中の含有量は、ポリアミド樹脂組成物中のポリマー成分100重量部に対して1〜20重量部とし、1段階混練による場合は好ましくは1〜10重量部とする。なお、前述の如く、ポリアミド樹脂組成物の製造に当たり、2段階混練を採用する場合には、シリカ系無機物は比較的多量に配合することが好ましく、シリカ系無機物はポリアミド樹脂組成物中のポリマー成分100重量部に対して5〜20重量部とすることが好ましい。
【0042】
<ポリオレフィン系エラストマー>
本発明のポリアミド樹脂組成物には、ポリオレフィン系エラストマーを配合してもよい。ポリオレフィン系エラストマーを配合することにより、このポリアミド樹脂組成物で構成されるガスバリア層の柔軟性、耐久性を付与することができると共に、シリカ系無機物を配合することによる表面平滑性の低下を防止して、耐インパルス性を高めることができる。
【0043】
オレフィン系エラストマーとしては、例えば、エチレン・ブテン共重合体、EPR(エチレン−プロピレン共重合体)、変性エチレン・ブテン共重合体、EEA(エチレン−エチルアクリレート共重合体)、変性EEA、変性EPR、変性EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体)、アイオノマー、α−オレフィン共重合体、変性IR(イソプレンゴム)、変性SEBS(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体)、ハロゲン化イソブチレン−パラメチルスチレン共重合体、エチレン−アクリル酸変性体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、及びその酸変性物、及びそれらを主成分とする混合物等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
【0044】
ポリオレフィン系エラストマーとしては、特に、無水マレイン酸などの酸無水物、グリシジルメタクリレートなどのアクリル酸アルキルエステル、エポキシ及びその変性体などで変性したものが、ポリアミド樹脂をベースポリマーとする微細なアロイ構造を得ることができ、好ましい。
【0045】
本発明に係るポリアミド樹脂組成物中のポリオレフィン系エラストマー含有量は、ポリオレフィン系エラストマーを配合したことによる柔軟性、耐久性等の改善効果を十分に得た上で、ポリオレフィン系エラストマーを配合することによるガスバリア性の低下を抑えるために、ポリアミド樹脂組成物中のポリマー成分100重量部に対して10〜45重量部、特に20〜40重量部とすることが好ましい。ポリアミド樹脂組成物中のポリオレフィン系エラストマーの含有量が上記上限値以下とすることにより、後述の海島構造においてポリアミド樹脂の海相とポリオレフィン系エラストマーの島相とを形成して良好なガスバリア性を得ることができる。
【0046】
なお、ポリオレフィン系エラストマーとして酸変性エラストマー等の変性エラストマーを用いた場合、混練り(分散)時に少ない比エネルギー及び高い混練り技術を必要としないという効果が得られるが、その配合量が多いと樹脂のゲル化を引き起こし、押出し時、肌荒れ等の外観不良(フィッシュアイ)を引き起こす恐れがあるため、このような問題を防止するために、ポリオレフィン系エラストマーとして変性エラストマーを用いる場合、変性エラストマーの含有量はポリアミド樹脂組成物中のポリマー成分100重量部に対して20重量部以下、例えば5〜20重量部とすることが好ましい。
特に、本発明では、ポリアミド樹脂組成物中のポリオレフィン系エラストマーのうちの40〜100重量%を酸変性エラストマーとしたものが好ましい。
【0047】
ポリアミド樹脂組成物とポリオレフィン系エラストマーとを相溶状態、即ち、良好な分散状態とするために、エラストマーの少なくとも一部が無水マレイン酸等により変性されていることが好ましく、良好な分散形態を得るために用いるエラストマーの全体の平均の酸価(酸変性率)は0.8mg−CHONa/g以上であることが好ましい。
【0048】
エラストマーの酸価は高いほど、分散形態は良好となるが、酸価の増大に伴って得られるポリアミド樹脂組成物の粘度が増大し、成形加工性が損なわれる。このため、この酸価の増大による粘度増加を低減するために、エラストマーの酸価は、良好な分散状態が得られる範囲において低い方が好ましく、用いるエラストマーの全体での平均酸価は7.5mg−CHONa/g以下であることが好ましい。
【0049】
また、同じ平均酸価であっても、用いるエラストマー中に含まれる変性エラストマーの酸価が高い場合、このような変性エラストマーを未変性エラストマーと混合することにより、平均酸価を下げても、押し出し時に局部的な過反応によると思われるゲル状の異物が発生してしまう。従って、用いる変性エラストマーの酸価は、15.0mg−CHONa/g以下であることが好ましい。
【0050】
このようにポリアミド樹脂組成物にポリオレフィン系エラストマーを配合することにより、柔軟性、耐久性は改善されるものの、ガスバリア性の低下は避けられない。しかしながら、ポリアミド樹脂とエラストマーとの微細なアロイ構造をとることにより、特に、ポリアミド樹脂の海相内にエラストマーの島相が分散すると共に、このエラストマーの島相内にポリアミド樹脂が散点状に分散した構造であることにより、エラストマーを配合したことによるガスバリア性の低下を抑制することができ、好ましい。
【0051】
特に、ポリアミド樹脂(海相を構成するポリアミド樹脂とエラストマーの島相内に散点状に存在するポリアミド樹脂相との合計)に対するエラストマーの島相内に散点状に存在するポリアミド樹脂相の割合(以下、その割合を「散点状分散率」と称す。)が5〜40重量%程度であることが好ましい。この割合が5重量%未満では、エラストマーの島相内にポリアミド樹脂相を散点状に存在させることによる効果を十分に得ることができず、逆に40重量%を超えると、海相としてのポリアミド樹脂相が少なくなり過ぎてガスバリア性が低下するおそれがある。
【0052】
また、エラストマーの島相の大きさ及びこのエラストマー島相内のポリアミド樹脂相の大きさは、エラストマー島相の大きさがほぼ0.1〜3.0μm、ポリアミド樹脂相の大きさが0.5〜2.0μm程度であることが好ましい。
【0053】
<その他の成分>
本発明のポリアミド樹脂組成物は、樹脂成分としてポリアミド樹脂以外の樹脂成分を含んでいても良いが、その場合において、ポリアミド樹脂組成物中の全ポリマー成分のうちの70重量%以上がポリアミド樹脂であることが、ガスバリア性の確保のために好ましい。
【0054】
この場合の他の樹脂成分としては、エチレン・ビニルアルコール樹脂等が挙げられる。
【0055】
また、本発明のポリアミド樹脂組成物には、他の添加剤、すなわち滑剤、帯電防止剤、老化防止剤、酸化防止剤、着色剤、結晶核剤、充填剤、補強材、耐熱剤、耐光剤なども添加することができる。
【0056】
<ポリアミド樹脂組成物の製造方法>
本発明に係るポリアミド樹脂組成物の製造方法には特に制限はなく、ポリアミド樹脂組成物を構成するすべての材料を一度に混練りする一括混練によるものであってもよいが、特に、ポリアミド樹脂組成物がポリオレフィン系エラストマーを含有する場合、まず、ポリオレフィン系エラストマーとシリカ系無機物とを混練し、得られた混練物に、ポリアミド樹脂を混練してポリマーアロイとする2段階混練を行うことが好ましく、2段階混練を行うことにより、シリカ系無機物のポリアミド樹脂組成物中への均一分散性を高め、形成されるガスバリア層の表面平滑性を良好なものとすることができることから、シリカ系無機物の高配合による劣化防止効果を十分に得た上で耐インパルス性に優れた冷媒輸送用ホースとすることができる。
【0057】
ポリオレフィン系エラストマーとシリカ系無機物との混練工程における加熱温度条件としては、エラストマーの熱劣化を防止するためにエラストマーの流動性が得られる程度で低めに設定することが好ましく、用いるポリオレフィン系エラストマーの種類によっても異なるが、例えば、後掲の実施例で用いたタフマーA−1050Sであれば、150〜230℃程度でよい。
本発明では、後述の如く、ポリオレフィン系エラストマーとシリカ系無機物との混練に引き続いてポリアミド樹脂を混練することが好ましいことから、エラストマーの熱劣化の問題がなく、かつ流動性が得られる温度であって、用いるポリアミド樹脂の融点以上の温度、例えばポリアミド樹脂の融点よりも10〜60℃程度高い温度条件で加熱して混練することが好ましい(第1の混練工程)。
この混練は、ポリオレフィン系エラストマー中にシリカ系無機物が十分に均一に分散される程度であれば良く、混練時間等には特に制限はない。
【0058】
次に、ポリオレフィン系エラストマーとシリカ系無機物との混練で得られた混練物に、ポリアミド樹脂を添加して混練する(第2の混練工程)。この混練は、第1の混練工程と同様の条件で行うことができる。
【0059】
本発明において、第1の混練工程で、組成物の製造に用いるポリオレフィン系エラストマーの一部のみを混練し、残部を第2の混練工程で混練することもできるが、シリカ系無機物の均一分散性の観点から、第1の混練工程において、用いるポリオレフィン系エラストマーの70重量%以上、好ましくは全量をシリカ系無機物と混練することが好ましい。また、同様の理由から、第1の混練工程においてはポリアミド樹脂を添加せず、第2の混練工程において組成物の製造に用いるポリアミド樹脂の全量を添加して混練することが好ましい。
【0060】
ポリアミド樹脂組成物に必要に応じて配合される前述のその他の成分を配合する場合、これらの成分は、第1の混練工程で添加混練しても第2の混練工程で添加混練してもどちらでもよい。
【0061】
なお、ポリオレフィン系エラストマーとシリカ系無機物とを予め混練してマスターバッチとし、このマスターバッチにポリアミド樹脂を混練することもできるが、ポリオレフィン系エラストマーとシリカ系無機物との混練に引き続いてポリアミド樹脂を添加して混練するのが効率的である。
【0062】
[冷媒輸送用ホース]
次に、上記冷媒輸送用ホースのガスバリア層形成用ポリアミド樹脂組成物をガスバリア層の構成材料として用いる本発明の冷媒輸送用ホースについて、図面を参照して説明する。
【0063】
第1図は実施の形態に係る冷媒輸送用ホース1の層構成を説明する斜視図である。この冷媒輸送用ホース1の最内層は上述の本発明の冷媒輸送用ホースのガスバリア層形成用ポリアミド樹脂組成物よりなるガスバリア層2で構成され、その外周に内層ゴム層3が形成され、以下、順次に、第1補強糸層4、中間ゴム層5、第2補強糸層6及び外被ゴム層7が形成されている。ホース1の内径は、通常6〜20mm特に8〜19mm程度である。
【0064】
以下、各層の材料等について説明する。
【0065】
<ガスバリア層>
ガスバリア層2は、シリカ系無機物を、ポリマー成分100重量部に対して1〜20重量部配合した本発明のガスバリア層形成用ポリアミド樹脂組成物よりなる。
【0066】
このようなポリアミド樹脂組成物よりなるガスバリア層1の膜厚は、ガスバリア性の点より、厚い方が好ましいが、膜厚が厚くなるとホースとしての柔軟性が低下する。
従ってガスバリア層2の膜厚は、50〜400μm、特に100〜300μmであることが好ましい。
【0067】
本発明の冷媒輸送用ホースは、図1の冷媒輸送用ホース10において、ガスバリア層2の内層に更に内側ゴム層が最内層として形成されてもよい。
【0068】
本発明の冷媒輸送用ホースのその他の構成については、特に制限はなく、次のように通常の冷媒輸送用ホースの構成を採用することができる。
【0069】
<内層ゴム層3、外被ゴム層7及び中間ゴム層5>
内層ゴム層3及び外被ゴム層7を構成するゴムとしては、一般にブチルゴム(IIR)、塩素化ブチルゴム(C1−IIR)、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン、臭素化ブチルゴム(Br−IIR)、イソブチレン−ブロモパラメチルスチレン共重合体、EPR(エチレン−プロピレン共重合体)、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体)、NBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)、CR(クロロプレンゴム)、水素添加NBR、アクリルゴム、エチレンアクリルゴム(AEM)、これらのゴムの2種以上のブレンド物、或いは、これらのゴムを主成分とするポリマーとのブレンド物、好ましくはブチル系ゴム、EPDM系ゴムが用いられる。これらのゴムには、通常用いられる充填剤、加工助剤、老化防止剤、加硫剤、加硫促進剤等の配合処方を適用できる。
【0070】
なお、内層ゴム層3のゴム種と外被ゴム層7のゴム種は同種のものであっても、異種のものであっても良い。
【0071】
また、中間ゴム層5のゴムは、内層ゴム層2及び外被ゴム層7との接着性が良いものであれば良く、特に制限はない。
【0072】
内層ゴム層3の厚さは、柔軟性の面から0.5〜4mm程度とするのが好ましい。中間ゴム層5の厚さは0.1〜0.6mm程度、外被ゴム層7の厚さは0.5〜2mm程度とするのが好ましい。
【0073】
<補強糸層4,6>
第1補強糸層4は、補強糸をスパイラル状に巻き付けたものであり、第2補強糸層6は、この第1補強糸層4とは逆方向にスパイラル状に補強糸を巻き付けたものである。
【0074】
補強糸の材料についても、通常用いられるものであれば特に制限はない。一般的には、ポリエステル、全芳香族ポリエステル、ナイロン、ビニロン、レーヨン、アラミド、ポリアリレート、ポリエチレンナフタレート及びこれらの混撚り糸が用いられる。
【0075】
<冷媒輸送用ホースの製造方法>
このような本発明の冷媒輸送用ホースは、常法に従って、マンドレル上にガスバリア層2と内層ゴム層3の材料を所定の厚さに押し出して積層し、補強糸層4を巻き付け、中間ゴム層5を押し出して積層し、補強糸層6を巻きつけ、次いで外被ゴム層7を押し出して積層し、その後140〜170℃で30〜120分間加硫することにより製造することができる。
【実施例】
【0076】
[試験例]
以下に、ポリアミド系樹脂片について行った、実施例及び比較例に相当する試験例について説明する。
【0077】
表1に示す配合にて各材料を混練して試験用ポリアミド系樹脂片を製造した。なお、混練に際しては、東洋精機社製二軸混練り機を用い、ポリアミド樹脂の融点以上の温度230℃にて混練りを行った。
【0078】
試験用ポリアミド系樹脂片の製造に用いた材料は次の通りである。
【0079】
ポリアミド6:宇部興産社製 6ナイロン「1022B」
エラストマー:三井化学社製 α−オレフィンポリマー(エチレン・ブテン共重合体)
「タフマーA−1050S」
マレイン酸変性エラストマー:三井化学社製マレイン酸変性α−オレフィンポリマー
(エチレン・ブテン共重合体)「タフマーMH7010」
シリカ:東ソーシリカ社製 シリカ「ニプシールAQ」
【0080】
また、混練りは、以下の混練手順A又はBとした。
混練手順A:全材料の全量を一括して混練りする1段階混練
混練手順B:エラストマー(マレイン酸変性エラストマーを含む)とシリカとを混練り
した後、ポリアミド6を添加して混練りする2段階混練
【0081】
得られた試験用ポリアミド系樹脂片について、下記の方法で特性評価を行い、結果を表1に示した。
【0082】
<エラストマー分散性>
電子顕微鏡(SEM)を用い、リンタングステン酸で表面処理した試験用ポリアミド系樹脂片を観察してエラストマーの分散粒径を調べ、エラストマーの分散粒径が3μm以下をOK(○)、3μmを超えるものをNG(×)とした。
【0083】
<4%伸長弾性率指数>
東洋精機社製引張り試験機を用い、各試験用ポリアミド系樹脂片について、引張り速度50mm/minで伸長して弾性率を測定し、比較例1の試験用ポリアミド系樹脂片(100)に対する指数で表記した。
【0084】
<ガス透過性指数>
GTRテック社製ガス透過試験機を用い、各試験用ポリアミド系樹脂片について、100℃絶対差圧226cmHgでHeガス透過係数を測定し、比較例1の試験用ポリアミド系樹脂片(100)に対する指数で表記した。
【0085】
<老化後強力保持率>
東洋精機社製引張り試験機を用い、以下の老化試験前後の各試験用ポリアミド系樹脂片について、引張り速度50mm/minで伸長して破断強力を測定し、老化試験前の値に対する老化試験後の値の百分率で表記した。
【0086】
<老化後破断伸び保持率>
東洋精機社製引張り試験機を用い、以下の老化試験前後の各試験用ポリアミド系樹脂片について、引張り速度50mm/minで伸長して破断伸びを測定し、老化試験前の値に対する老化試験後の値の百分率で表記した。
【0087】
(老化試験)
以下の1〜7の手順で行なった。
1 耐圧容器(200cc)に0.7ccの水を入れる。
2 巾10×長さ50mm×厚み0.1mmサイズの試験用ポリアミド系樹脂片を入れ
る。
3 ポリアルキレングリコールオイルを70cc入れる。
4 耐圧容器を15分冷凍した後、5分間耐圧容器を真空引きする。
5 冷媒としてR−134aを70cc入れる。
6 高温槽に150℃で4週間放置する。
7 容器から試験用ポリアミド系樹脂片を取出し、評価測定に供する。
【0088】
<表面粗さRa>
株式会社小坂研究所製「表面粗さ測定器サーフコーダSE−2300」を用いて、JIS B0601に準拠して中心線平均粗さを測定した。
【0089】
【表1】

【0090】
表1より、ガスバリア層用ポリアミド樹脂組成物に所定量のシリカを配合してなる本発明の冷媒輸送用ホースは、ガスバリア性、柔軟性、耐久性に優れることが分かる。特に、エラストマーを配合した実施例2,3は、エラストマーを配合していない実施例5,6よりも、同じシリカ配合量での表面粗さRaが小さい。また、2段階混練を行って、エラストマーとシリカを予め混練りした後ポリアミド6を混練りした実施例5は、同配合の実施例3よりも表面粗さRaが小さく、シリカの高配合でも表面粗さRaが小さいため耐インパルス性に優れるものとなり、また、実施例4に対しても表面粗さRaの上昇を抑えて老化後特性を改善することができる。
【符号の説明】
【0091】
1 冷媒輸送用ホース
2 ガスバリア層
3 内層ゴム層
4,6 補強糸層
5 中間ゴム層
7 外被ゴム層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミド樹脂組成物よりなるガスバリア層を有する冷媒輸送用ホースにおいて、
該ポリアミド樹脂組成物が、シリカ系無機物を、該ポリアミド樹脂組成物中のポリマー成分100重量部に対して1〜20重量部含有することを特徴とする冷媒輸送用ホース。
【請求項2】
請求項1において、前記シリカ系無機物が、シリカ、含水非晶質二酸化ケイ素、及び含水ケイ酸アルミニウムよりなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする冷媒輸送用ホース。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記ポリアミド樹脂組成物がポリオレフィン系エラストマーを含有することを特徴とする冷媒輸送用ホース。
【請求項4】
請求項3において、前記ポリオレフィン系エラストマーとポリアミド樹脂とがアロイ化していることを特徴とする冷媒輸送用ホース。
【請求項5】
請求項3又は4において、前記ポリオレフィン系エラストマーの少なくとも一部が酸変性されていることを特徴とする冷媒輸送用ホース。
【請求項6】
請求項3ないし5のいずれか1項において、前記ポリアミド樹脂組成物のポリオレフィン系エラストマーの含有量が、該ポリアミド樹脂組成物中のポリマー成分100重量部に対して10〜45重量部であることを特徴とする冷媒輸送用ホース。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項において、前記ガスバリア層の外周側に、補強糸よりなる補強層と外被ゴム層とが設けられていることを特徴とする冷媒輸送用ホース。
【請求項8】
請求項3ないし7のいずれか1項に記載の冷媒輸送用ホースの製造方法であって、前記ポリオレフィン系エラストマーとシリカ系無機物とを混練した後、得られた混練物にポリアミド樹脂を混練してアロイ化する工程を含むことを特徴とする冷媒輸送用ホースの製造方法。
【請求項9】
冷媒輸送用ホースのガスバリア層形成用ポリアミド樹脂組成物において、シリカ系無機物を、該ポリアミド樹脂組成物中のポリマー成分100重量部に対して1〜20重量部含有することを特徴とする冷媒輸送用ホースのガスバリア層形成用ポリアミド樹脂組成物。
【請求項10】
請求項9において、前記ポリアミド樹脂組成物がポリオレフィン系エラストマーを含有することを特徴とする冷媒輸送用ホースのガスバリア層形成用ポリアミド樹脂組成物。
【請求項11】
請求項10に記載の冷媒輸送用ホースのガスバリア層形成用ポリアミド樹脂組成物の製造方法であって、前記ポリオレフィン系エラストマーとシリカ系無機物とを混練した後、得られた混練物にポリアミド樹脂を混練してアロイ化する工程を含むことを特徴とするガスバリア層形成用ポリアミド樹脂組成物の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−67212(P2012−67212A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−213770(P2010−213770)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】