説明

冷温水コイルを内蔵した空気熱交換器

【課題】 断面小寸の長尺形態で小型であって、狭いスペースにも配置可能で、且つ高性能な空気熱交換器を得る。
【解決手段】 筒本体1A内に長手方向に冷温水コイル2を配置し、吸気側から筒本体1A内に流入する空気流は冷温水コイル2の上面空間Suに案内し、上面空間Su内に吸気側1Sから供給側に亘って順次通過風量が減少するように間隔配置した風偏向板bt群によって、フィン2F群の上面をフィン2Fと直交方向に流れる空気流を、上面空間Suから下面空間Sdへ各フィン2Fの間隙を貫流させて熱交換作用し、下面空間Sdから居室内へ送風する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒体内に冷温水コイルを内蔵して筒体内を貫流する空気を冷却又は加温する空気熱交換器に関するものであり、エアーコンディショニングの技術分野に属するものである。
【背景技術】
【0002】
冷温水コイルにフィン群を配置して冷温水コイルで加熱又は冷却したフィン群によって、フィン群に吹付けた空気を加熱又は冷却することは、エアーコンディショニング分野の慣用技術であり、現在、冷温水コイルを使用した暖冷房手段は実用に供されている。
【0003】
図8(A)は、非特許文献1で挙げた従来例1の、コイルにフィン群を配置したタイプの冷温水コイルであり、冷温水を流水するパイプ群(コイル)を平行に配置して各パイプをヘアピンチューブで連通し、コイルの一端から冷温水を流入し、他端から流出させ、コイルに直交形態で平行に突出配置したフィン群に熱交換用空気を、各フィン間隔に平行形態に吹付けて、空気流に各フィンの側面から熱を伝達するものである。
【0004】
そして、コイルの大きさは、コイルを通過する空気の風速を2〜3m/sになるように決め、この風速の値でコイルを通過する風量を除して決め、冷温水コイルが空気流の大きな抵抗とならないように、且つ、コイル表面に発生する結露水を風下に飛散させないようにしている。
そして、冷却又は加温する空気流は、図8(A)に示す如く、フィンに平行して冷温水コイルを貫流し、各フィンに均斉な伝達効果を発揮させている。
【0005】
図8(B)は非特許文献1で挙げた従来例1の中の、ヘッダー式の冷温水コイルであって、往き側及び戻り側の2列のヘッダーから分岐してコイル群を配管するものであり、往き側ヘッダーからコイル内に冷温水を流入し、コイル内を通水して戻り側ヘッダーに還水するものであり、コイルの外側にプレート状のフィン群を直交形態で平列突出被覆し、冷却又は加熱用の空気流をフィン群と平行に貫流させ、各フィンに均斉な伝達作用を発揮させるものである。
【0006】
また、図8(C),(D)は、非特許文献2として挙げた従来例2のファンコイルユニットであって、図8(C)は一部破断斜視図、図8(D)は横断面図である。
即ち、従来例2のファンコイルユニットは、ファン(送風機)と、冷温水コイルと、ユニットフィルターとを1つのケーシングに収納したもので、冷暖房器として現在多用されているもので、モーターを中央として、左右に短尺(250〜400mm)のシロッコファンを配置し、ファンボックスを介して、ファンの全長と略同寸の冷温水コイルを配置し、冷温水コイルに直交形態で平行配置したフィン群を還気流(空気流)が平行に貫流するものである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】(株)オーム社、平成22年3月20日発行、第1版第42刷、小原淳平編、「100万人の空気調和」「第2章、空気線図の話」、「2.3項、空気の実際の状態変化を追う、56頁、表2.1及び表2.2」
【非特許文献2】(株)オーム社、平成22年3月20日発行、第1版第42刷、小原淳平編、「第6章、空調方法さまざま」「6.3項、荷物を運ぶ経路」「156頁図6.14、空調機とファンコイルユニットは親子関係、及び図6.15、全水方式とルームクーラーとの比較」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来例1(図8(A),(B))の冷温水コイルは、空気流をフィン群間に平行に貫流させるため、空気流は、スムーズに貫流するが、冷温水コイルの長さ方向に対する直交流となり、空気流の冷温水コイルへの供給貫流は、冷温水コイルの全長に対応した幅での貫流となるため、空気流のフィン群と接触時間が短くて熱交換効率が低く、しかも、空気流のフィン群に対する供給口及び放出口は、大寸、即ちフィン群の平行配置した寸法となる。
そのため、従来例1のタイプの該冷温水コイルシステムは、空気流に対する熱交換効率が低いにもかかわらず、冷温水コイルの全長、即ちフィン群の配置寸法、に対応する空気供給口幅及び空気吹出口幅が設定出来る広い環境でしか適用出来なく、広い配置スペースが必要である。
【0009】
また、従来例2(図8(C),(D))の冷温水コイルシステムにあっても、従来例1(図8(A),(B))同様に、貫流空気は、空気供給側から空気吹出側に、フィン群内をフィンと平行にスムーズに貫流通過するため、空気流の供給口及び放出口の幅は、冷温水コイル全長、即ちフィン群の配置寸法に対応する幅寸法となり、貫流空気流の供給幅及び放出幅が十分採れる部位でしか適用出来ない。
【0010】
本発明は、従来の欠陥、即ち冷温水コイルの熱伝達機能を高めるために、長尺化すれば空気流の供給口の幅も冷温水コイルの長尺幅と対応して広げる必要があった問題点を解決するものであり、冷温水コイルの長手方向、即ちフィン群と直交方向に空気流を貫流させて、冷温水コイルから貫流空気流に高効率の熱伝達を可能とした新規な発明を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の空気熱交換器は、例えば図1に示す如く、筒本体1A内に、長手方向に冷温水コイル2を配置し、吸気側1Sから筒本体1A内に流入する吸引空気流a3は冷温水コイル2の上面空間Suに案内し、筒本体1A内に吸気側1Sから供給側1Rに亘って順次通過風量が減少するように配置した風偏向板bt群によって、冷温水コイル2の上面空間Suから冷温水コイル2の下面空間Sdへ、空気流を順次偏向案内して冷温水コイル2のフィン2F群の隙間を貫流案内し、供給側1Rからは、冷温水コイル2の下面空間Sdからの空気流a4として流出させるものである。
【0012】
この場合、冷温水コイル2は、従来の冷温水コイル同様に、並列連通の循環パイプ2Aの外周に平板の放熱用のフィン2F群を密集平行形態に配置し、循環パイプ2Aに冷水又は温水を循環させるものであるが、熱交換用の空気の流し方向は、冷温水コイルの長手方向、即ち放熱フィン2F群に直交方向に熱交換用空気を流し、放熱フィン2F群によって空気を冷却又は加熱するものである。
【0013】
従って、典型的には、図5に示す如く、高熱伝導性の鋼管の循環パイプ2Aを千鳥状に上下おのおの8本配置して、端部をヘアピンチューブ2B及びUベント2Cで一体化連通し、全循環パイプ2A群が貫通形態で、放熱フィン2F群を循環パイプ2A群の外周に平行密集配置(標準間隔:0.5mm)したもので、長さL2が650mm、幅W2が203mm、厚さ(高さ)h2が44mm、各フィン2F間の間隔0.5mmのものである。
【0014】
また、筒本体1Aは、長尺の冷温水コイル2を長手方向に収納配置出来て、長尺の冷温水コイル2の、上面には、冷温水コイル2の上面を長手方向に空気流を流す上面空間Suが、下面には、上面空間Suから分流して冷温水コイル2を横断貫流した空気流を冷温水コイル2の下面に沿って送風するための下面空間Sdが形成出来れば良く、筒本体1Aの断面形状は、円形でも、楕円形でも、方形でも良く、収納する冷温水コイル2の断面形状を勘案して決定すれば良く、上下分割型でも、一体型でも良いが、上側函体1Uと下側函体1Dとの分割型であれば、冷温水コイル2の収納装着作業、及び風偏向板bt群の配置作業性が容易となり、断面方形の分割型は特に好都合である。
【0015】
また、風偏向板bt群は、冷温水コイル2のフィン2F群の上面と筒本体1Aの内面との間に、通過風量が、吸気側1S、即ち前部から、供給側1R、即ち後部に順次減少するように、且つ、冷温水コイル2の、上面空間Suから各フィン2F間の隙間を介して、下面空間Sdに空気流が偏向出来るように、複数板の板材を配置すれば良く、風偏向板bt群は、例えば、冷温水コイル2の密集平行配置(標準:0.5mm間隔配置)形態のフィン2F群間に差し込み形態で傾斜立設しても良く、筒本体1Aの内面に、幅方向に差し渡し状に配置しても良い。
【0016】
また、筒本体1Aに吸引した空気流a3を上面空間Suに流入し、下面空間Sdから吹出し空気流a4として流出供給させるためには、筒本体1Aの吸気側1Sにあっては、冷温水コイル2の下面の前端と筒本体1Aの下半内面とを、筒本体1Aの供給側1Rにあっては、冷温水コイル2の上面2U後端と筒本体1Aの上半内面とを、空気流遮断すれば良い。
この場合、冷温水コイル2の両側面と筒本体1Aの内側面との隙間も、空気流遮断するのが好ましい。
【0017】
従って、本発明の空気熱交換器にあっては、長尺の筒本体1A内に長手方向に流入する前方からの吸引空気流a3は、冷温水コイル2の上面空間Suに流入して上面空間Suを高圧域とし、各風偏向板bt群によって、幅方向(径方向)に密集並列した各フィン2F群の隙間を、高圧域の上面空間Suから低圧域の下面空間Sdに貫流して冷温水コイル2の下面空間Sdに流入するため、吸引空気流a3は、風偏向板bt群の整流偏向作用により、冷温水コイル2の前端から後端までの全長に亘ってフィン2F群による均斉な熱伝達を受けて、冷却空気流又は加熱空気流として供給側1Rから流出する。
【0018】
そして、吸引空気流a3は、後端の閉止された上面空間Suでの加圧状態から、前端の閉止された低圧域の下面空間Sdへの流入と成るため、各フィン2F間の隙間を加圧状態の空気が貫流可能な狭い間隔(標準:0.5mm)としても、スムーズに貫通し、各フィン2Fによって好適に熱伝達を受けた下面空気流a4として、供給側1Rから流出し、空気熱交換器1内を貫流する吸引空気流a3及び供給空気流a4は、フィン2F群と直交方向、即ち冷温水コイル2の循環パイプ2Aと同方向に貫流させて高効率の熱交換が可能となる。
【0019】
そのため、冷温水コイル2による貫流空気への熱交換原理は、従来例同様に、各フィン2F間の隙間を貫流させて熱交換するが、貫流空気流は、冷温水コイルの幅、即ちフィン2F群の幅に対する直交方向、即ち冷温水コイル2の循環パイプ2Aの長さ方向での流入流出となり、熱交換能力は、貫流空気の、吸引口及び供給口の寸法、即ち筒本体1Aの断面寸法とは無関係で、冷温水コイル2の長手方向寸法でのフィン2Fの枚数の増域で決定出来ることとなり、本発明の空気熱交換器1は、フィン2F間隔が極小(0.5mm)と出来ることと相俟って、幅寸法、即ちフィン2Fの幅寸法が小でも、フィン2Fの枚数に依存する高効率の熱交換機能が付与出来、本発明の空気熱交換器1は、天井裏等の小スペースの部位にも配置可能な、適用範囲の自由度の高い、小型で高性能な空気熱交換器となる。
【0020】
また、本発明の空気熱交換器にあっては、図1(A)に示す如く、筒本体1Aの上面からは洗浄ノズル9A群を間隔配置し、且つ筒本体1Aの前部上面からは加湿用の噴霧ノズル10Aを配置し、筒本体1Aの、後端内底面には止水板8Rを配置し、止水板8Rの前部からはドレンパイプ8Aを垂下するのが好ましい。
【0021】
この場合、洗浄ノズル9A群としては、円錐形状に放水する慣用の噴霧ノズルを、洗浄回路に連通形態で採用すれば良い。
また、加湿ノズルは、慣用の加圧機能内蔵の噴霧ノズルを採用し、慣用の湿度検知器で制御すれば良い。
【0022】
また、止水板8Rは、筒本体1Aの底面に溜まる水が送風と共に飛散するのを阻止出来れば良く、筒本体1Aの底面から堰板を起立させれば良い。
また、ドレンパイプ8Aは筒本体1A内に溜まる水を排水出来れば良く、図1(A)に示す如く、筒本体1Aの底面で、後端の止水板8Rの前部近傍に配置すれば良く、筒本体1Aの底面の所望位置(標準:後端から90mm位置)にドレンパイプ用の孔を開け、ドレンパイプ8A(標準:外径20mm、肉厚1mm、長さ40mmのステンレス製パイプ)を垂下固定すれば良い。
【0023】
従って、本発明の空気熱交換器1は、図2(A)に示す如く、前端に吸気側ダクト管3Dを、後端に供給側ダクト管4Dが接続出来る場所であれば設置可能であり、冷温水コイル2によって、筒本体1A内を吸気側ダクト管3Dから供給側ダクト管4Dへと流れる貫流空気に、夏季には冷却作用と除湿とが出来、冬季には暖房加熱と噴霧ノズル10Aでの必要湿度の付与が出来、居室内への供給空気流a5に、所望の除湿冷房及び加湿暖房が出来る。
【0024】
また、空気熱交換器1内の冷温水コイル2の周面、即ちフィン2F周面に付着した埃やゴミも、冷温水コイル2の上方に間隔配置した洗浄ノズル9A群での定期的な洗浄作用によって洗い流し、冷温水コイル2は、設計値どおりの熱交換機能を持続出来る。
そして、冷温水コイル2の、冷却による空気除湿作用で生じる結露水も、洗浄作用で生じる流下水も、止水板8Rによって空気熱交換器1からの飛散を生ずること無く、ドレンパイプ8Aを介して排水処理出来る。
【0025】
そのため、本発明の空気熱交換器1は、居室内に必要な除湿作用、加湿作用を付与した冷房空気又は暖房空気の供給、及び空気熱交換器1内の必要洗浄作用が、水漏れの心配無く実施出来、輻射用パネルヒーター等の一義的な冷暖房システムに、空気調和作用を伴った二義的冷暖房手段として併用出来、空気熱交換器1の配置位置の自由度と相俟って、エアーコンディショニングシステムの構築の自由度が向上する。
【0026】
また、本発明の空気熱交換器にあっては、例えば図2に示す如く、筒本体1Aは、上側函体1Uと下側函体1Dとを上下に連接一体化した断面方形であり、風偏向板bt群を上側函体1Uの両側板1F間に差し渡し形態に配置し、冷温水コイル2は、フィン2F群の上面を下側函体1Dの上端縁Fuと整合配置するのが好ましい。
【0027】
この場合、筒本体1Aは、断面コ字形の上側函体1Uと下側函体1Dとを上下接合一体化して組み立てることとなるため、上下函体1U,1Dは、共に板金加工で準備出来、上下函体1U,1Dを一体化する以前に、風偏向板btの配置は、上側函体1Uの両側板1F間の所定位置に、所定の風偏向板btを、差し渡し状に溶接固定すれば良く、下側函体1Dでは、止水板8R及びドレンパイプ8Aを加工形成した後に、冷温水コイル2の上面を下側函体1Dの両側板1Fの上端縁Fuに整合してボルトナット手段で固定出来、上側函体1Uと下側函体1Dとの一体化は、上下両側板1Fをオーバーラップ形態でボルト締着すれば良い。
【0028】
尚、冷温水コイル2の前端と下面空間Sdとの閉止、及び冷温水コイル2の後端と上面空間Suとの閉止も、上下函体1U,1Dの一体化前に、必要に応じて堰板手段やゴム板等のシール手段で容易に実施出来る。
従って、本発明の空気熱交換器1の製作は、筒本体1A内に配置する風偏向板bt群、冷温水コイル2、止水板8R、ドレンパイプ8A等の内装部材が、上側函体1U及び下側函体1Dの開放形態での装着作業となるため、適正位置に内装部材を備えた、品質にばらつきの無い高性能製品として、量産にも適した合理的作業で、容易に実施出来る。
【0029】
また、本発明の空気熱交換器1は、図2(B),(D)に示す如く、上側函体1Uの両側板1Fは、吸気側1Sから供給側1Rへと側板1Fが上下幅を減じる傾斜形態であり、下側函体1Dの両側板1Fは、吸気側1Sから供給側1Rへと上下幅を増大させる傾斜形態であり、冷温水コイル2は、下側函体1D内に上面を両側板1Fの上端縁Fuと整合して配置し、上側函体1Uの両側板1F間には、吸気側1Sへ傾斜上昇する風偏向板bt群を差し渡し状に配置するのが好ましい。
【0030】
この場合、上側函体1Uの両側板1Fと下側函体1Dの両側板1Fとは、合体一体化するものであるから、傾斜角度は同一とすれば良く、典型的には7.5°の傾斜角である。
また、上側函体1Uと下側函体1Dとは、両側板1F相互で接続一体化するものであり、上下側板1F相互は、重ね幅Ju(標準:10mm)で、重層形態としてねじ締着すれば良い。
【0031】
従って、冷温水コイル2の、前端は下側函体1Dの底板1Bに当接形態に、後端は上側函体1Uの天板1Tに当接形態に配置出来るため、冷温水コイル2の前端と後端との筒本体1Aに対する空気流閉止構造は、図4に示す如く、当接部位にゴム板1Gを介在するだけで容易に実施出来、吸気側1Sから筒本体1A内に流入する空気流a3の上面空間Suへの流入、及び筒本体1A内から居室内への供給空気流a4の下面空間Sdからの流出機能付与が簡便に実施出来る。
【0032】
そして、冷温水コイル2の、上面空間Suは前部から後部へ漸減し、下面空間Sdは前部から後部へ漸増するため、吸気側1Sから筒本体1A内へ流入する空気流は、上面空間Suでは、入口から奥へと圧力が漸増する高圧状態となり、下面空間Sdで低圧状態となり、流入空気流a3は、冷温水コイル2の前後全長に亘って、各フィン2F間の、均斉な隙間貫流及び均斉な熱交換作用が期待出来る。
【0033】
従って、冷温水コイルの傾斜配置は、前端下面と筒本体1Aの底面、及び後端上面の筒本体1Aの上面との空気流閉止が簡便に実施出来ると共に、上面空間Suでは前端から後端へと圧力が増加した高圧域となって、風偏向板bt群の助力の下に、冷温水コイル2の前後全長に亘って、均斉なフィン2F間の間隙(標準:0.5mm)の貫流作用が得られ、各フィン2F群による均斉、且つ高効率の熱伝達を奏し、空気熱交換器1の高効率化を達成する。
【0034】
また、本発明の空気熱交換器1にあっては、図1に示す如く、冷温水コイル2の前端の下面と両側面、及び冷温水コイル2後端の上面と両側面とは、ゴム板1Gを配置して、下面空間Sd前端、及び上面空間Su後端を空密処理し、止水板8Rは、下側函体1Dの底板1Bから筒本体1Aの高さの35±5%の高さまで、後方に傾斜上昇配置するのが好ましい。
【0035】
この場合、止水板8Rの傾斜は、下面空間Sdから流出する空気流a4が斜め上昇流として偏向出来、且つ底板1B上の滞溜水の後方への流出が阻止出来れば良く、典型的には、図4(A)に示す如く、空気熱交換器1の筒本体1Aの高さh1(標準:144mm)に対し止水板8Rは38%高さ(標準:40mm)で、傾斜は底板1Bから仰角60°で起立させれば良い。
【0036】
また、下面空間Sdの前端及び上面空間Suの後端に対するゴム板1Gによる空密処理は、図4(B),(C),(D)に示す如く、冷温水コイル2の、前端にあっては、底板1Bに対してゴム板1Gを介在させ、後端にあっては、ゴム板1Gを介在させ、側面にあっては、フィン2F群の側面と両側板1F間にゴム板1Gを介在させれば良い。
【0037】
従って、筒本体1A内の空気流挙動は、吸気側1Sから圧送状態で流入する空気流a3が冷温水コイル2のフィン2F群の上面空間Suにのみ流入して高圧状態となり、流入空気流a3は、全てが風偏向板bt群によってフィン2F群面に指向して各フィン2F間の隙間(標準:0.5mm)から低圧の下面空間Sd内に流入し、下面空間Sdの空気流a4は、並列密集フィン2Fの隙間通過によって高効率の熱交換を受けて供給空気流a5として居室内に放出される。
そして、下面空間Sdの空気流a4は、筒本体1A後端の傾斜した止水板8Rによる上昇偏向作用により、フィン2F群の下面に沿った流出となって、熱交換効率の向上が期待出来る。
【発明の効果】
【0038】
本発明の空気熱交換器は、筒本体1Aに冷温水コイル2を長手方向に、即ち循環パイプ2Aを筒本体1Aと同一長手方向に配置し、空気熱交換器1内に圧送する処理用の空気流a3を冷温水コイル2の長手方向、即ちフィン2F群に直交方向に流入させて、筒本体1A内では、風偏向板bt群によって各フィン2F間の隙間を貫流させて熱交換するため、空気熱交換器1の機能増大は、筒本体1Aの断面積を変更することなく、冷温水コイル2の長さ寸法、即ちフィン2F群の配置枚数の増加で対応出来、縦横スペースの狭い場所への適用が可能な、断面小型の高性能な空気熱交換器となる。
【0039】
また、筒本体1A内は、冷温水コイル2で上面空間Suと下面空間Sdとに区画して、筒本体1A内に圧送する熱交換用の空気流a3は上面空間Suに流入し、下面空間Sdからのみの供給空気流a4として放出するため、筒本体1Aの空気流の挙動は、圧送された高圧域としての上面空間Suから低圧域としての下面空間Sdへの、冷温水コイル2の上下貫流、即ち各並列密集フィン2F間の隙間の貫流となり、フィン2F群の密集(標準:0.5mm間隔)配置した冷温水コイル2の全長に亘る均斉な熱交換作用が達成出来る。
【0040】
従って、熱交換用空気流a3を冷温水コイル2に対する長手方向、即ち各フィン2Fに対する直交方向に流すことにより、本発明の空気熱交換器は、従来の各フィン2F群と同方向に流す熱交換と、フィン2F間隔では同等、若しくはそれ以上の熱交換作用の期待出来る性能でありながら、断面積が小さくて、配置の自由度の高い、小型の、高性能な空気熱交換器となる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の空気熱交換器の説明図であって、(A)は縦断側面図、(B)は(A)の矢印B視図、(C)は(A)の矢印C視図である。
【図2】空気熱交換器の説明図であって、(A)は使用状態の側面図、(B)は上側函体の側面図、(C)は上側函体の前面図、(D)は下側函体の側面図、(E)は下側函体の前面図、(F)は上下函体の接続状態説明図である。
【図3】空気熱交換器に装着する継手部材の説明図であって、(A)は斜視図、(B)は縦断面図、(C)は横断面図である。
【図4】空気熱交換器の冷温水コイルの配置説明図であって、(A)は空気流説明図、(B)は後端部の配置側面説明図、(C)は前端部の配置側面説明図、(D)は前端部の配置正面部分拡大図である。
【図5】冷温水コイルの説明図であって、(A)は平面図、(B)は側面図、(C)は(A)の矢印C視図、(D)は(A)の矢印D視図、(E)はフィンに対する循環パイプの貫入説明図、(F)は両端のエンドプレートの分解斜視図である。
【図6】空気熱交換器の製作説明図であって、(A)は下側函体1Dの斜視図、(B)は下側函体内に冷温水コイルを装着した状態の斜視図、(C)は上下函体を一体化した状態の斜視図、(D)は前後端に継手部材を装着した状態の斜視図、(E)は外装仕上状態の斜視図である。
【図7】本発明空気熱交換器の第2実施例の説明図であって、(A)は縦断側面図、(B)は(A)の矢印B視図、(C)は(A)の矢印C視図である。
【図8】従来例の説明図であって、(A)は従来例1のフィン説明斜視図、(B)は従来例1のヘッダ使用タイプの斜視図、(C)は従来例2の斜視図、(D)は従来例2の縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
〔空気熱交換器1の全体構成(図1)〕
図1(A)は空気熱交換器の縦断側面図であり、図1(B)は(A)の矢印B視図、図1(C)は(A)の矢印C視図である。
本発明の空気熱交換器1は、図1(B),(C)に示す如く、断面方形の筒本体1A内に、断面方形の冷温水コイル2を、前端を筒本体1Aの底板1Bに当接し、後端を筒本体1Aの上面天板1Tに当接配置し、冷温水コイル2の、前端下面及び後端上面を閉止し、筒本体1Aの後端下面から止水板8Rを起立すると共に、止水板8Rの前部にドレンパイプ8Aを配置しておき、筒本体1Aの前端及び後端には継手部材11を装着したものである。
【0043】
そして、空気熱交換器1の全体形状は、筒本体1Aの、長さL1が830mm、幅W1が209mm、高さh1が144mmであって、継手部材11を前後に装着した状態の全長L1´は1270mmである。
また、筒本体1Aの上面には、図1(A)に示す如く、冷温水コイル2の前端対応位置での1本の噴霧ノズル10Aと、後方に順次洗浄ノズル9A群を間隔配置した。
また、図1(A)に示す如く、冷温水コイル2の上面空間Suには、筒本体1Aの両側板1Fに差し渡し状に風偏向板bt群を間隔配置したものである。
【0044】
従って、図4(A)に示す如く、前端の継手部材から圧送される熱交換用の空気流a3は、冷温水コイル2の上面空間Suのみに流入して上面空間Suを高圧域とし、流入空気流a3は、風偏向板bt群の助力によって冷温水コイル2の上面全面から低圧域の下面空間Sdへと、冷温水コイル2の各密集平行配置のフィン2F間を貫流して、熱交換作用を受け、下面空間Sdから継手部材11を介して、所定の居室内に供給出来る。
そして、冷温水コイル2の各フィン2F群に発生した結露水、及び洗浄ノズル9A群で定期洗浄した水は、止水板8Rによって居室内に飛散されることなく、ドレンパイプ8Aを介して排除処理出来るものである。
【0045】
〔冷温水コイル(図5)〕
図5は、冷温水コイルの説明図であって、(A)は平面図、(B)は(A)の矢印B視図、(C)は(A)の矢印C視後面図、(D)は(A)の矢印D視前面図、(E)はフィンと循環パイプとの関係説明図、(F)はフィン2F群の両端に止着配置する前後エンドプレートの斜視図である。
【0046】
冷温水コイル2は、空気熱交換器1内に配置して、空気熱交換器内を貫流する空気に熱交換作用を付与するものであって、全体形状は、図5(A)〜(D)に示す如く、両端のエンドプレート間の長さL2が650mm、幅W2´が205mm、高さ(厚さ)h2が44mmの断面矩形立方体であって、前端及び後端からは、図4(A)に示す如く、エンドプレート2E,2E´の取付片2P及び循環パイプ2A連通用の、ヘアピンチューブ2B及びUベント2Cが、前端ではL2´(標準:35mm)後端ではLd(標準:45mm)突出したものである。
【0047】
フィン2Fは、図5(E)に示す如く、高さh2が44mm、幅W2が203.2mm、厚さが0.2mmのアルミ矩形平板であって、上縁からhb(11mm)の線上と、下縁からhb(11mm)の線上に、上下各8個の貫入用孔H2を、左右間隔Waが25.4mmで、上下孔H2列をずらして千鳥状に配置したもので、各貫入用孔H2には、上側8本、下側8本の循環パイプ2Aを貫通して、各フィン2Fを、最小の空気貫流間隔(標準:0.5mm)を保って並列密集配置したものである。
そして、フィン2F群の前端及び後端には、エンドプレート2E,2E´を配置して、各フィン2F群の配置形態を確保する。
【0048】
エンドプレート2E,2E´は、図5(F)に示す如く、高さh2がフィン2Fと同高で、前側エンドプレート2Eは前方に、後側エンドプレート2E´は後方に、それぞれボルト挿入用孔H1´を備えた取付片2Pを突出したもので、取付片2Pは、突出長35mm(L2´)で、上下を欠込み2Gによって高さ25mm(h2´)とし、冷温水コイル2の傾斜配置でのエンドプレート2E,2E´の筒本体1Aへの当接配置を欠込み2Gで可能とする。
【0049】
そして、循環パイプ2Aの配置は、図5(E)に示す如く、フィン2F群を上側8本、下側8本串刺し貫通して、前端では、ヘアピンチューブ2Bで、図5(D)に示す如く、各左右2本を連通し、後端では、図5(C)に示す如く、各上下2本をUベント2Cで連通し、後端の、上側左端のパイプには往き側接続管2Sを、下側右端には戻り側接続管2Rを、後端エンドプレート2E´から45mm(Ld)後方へ突出して、両接続管2S,2R間をWd(標準:85mm)で、フィン2F上面から45mm(Lb)上方へ突出させたものである。
【0050】
従って、図5(E)に示す如く、往き側接続管2Sから冷水又は温水を流入すれば、流入水f1は、図の上列左端の循環パイプ2A内をf2として流れて右側隣接循環パイプ2A内へf3として入り、順次上下千鳥状配置の循環パイプ2A内をf3→f4・・・f17と貫流して戻り側接続管2Rからf18として流出し、循環パイプ2A群を貫通確保した並列密集フィン2F群は、循環パイプ2A群内を循環する冷温水から全面均斉な熱伝達を受ける。
【0051】
〔筒本体1A(図2)〕
筒本体1Aは、上側函体1Uと下側函体1Dとを衝合接続して断面矩形筒としたものであり、図2(A)は、筒本体1Aに前後の継手部材11を装着して天井内に配置した使用状態側面図であり、図2(B)は上側函体1Uの側面図、(C)は上側函体1Uの前面図であり、図2(D)は下側函体1Dの側面図、図2(E)は下側函体の前面図であり、図2(F)は、上側函体1Uと下側函体1Dとの接続状態説明図である。
【0052】
図2(B),(C)に示す如く、上側函体1Uは、0.5mm厚のステンレス鋼板の折曲加工品であって、天板1Tと両側板1Fとを断面コ字状に形成した長さL1が830mm、幅W1´が213mmで、側板1Fは前端の高さh1´が114mm、後端の高さが18mmで、後端には小寸の水平部fpを保って、前端へ7.5°の傾斜で延びるものである。
そして、下側函体1Dとの重ね幅Juを10mm設けるため、両側板1Fに差し渡し状に、側板下端縁Fdの15mm上方から、厚さ0.5mmのステンレス鋼板を仰角θbが55°に溶接固着して風偏向板bt群を配置する。
【0053】
風偏向板bt群は、図2(B)に示す如く、上端が順次後側から前側へ低位置となるように、そして、各風偏向板bt間を、図4(A)に示す如く、間隔Laが144mmで、前端の風偏向板btは筒本体1Aの前端から180mm(Lb)となるように配置する。
この場合、風偏向板btの上下幅は、bt1が16mm、bt2が19mm、bt3が22mm、bt4が25mmとすれば良い。
また、天板1Tの後端上面には冷温水コイル2の往き側接続管2Sと戻り側接続管2Bを突出させるための貫通孔H2´を穿孔しておく。
【0054】
下側函体1Dは、上側函体1Uと嵌合一体化するものであって、0.5mm厚のステンレス鋼板加工で用意するもので、図2(D)に示す如く、長さL1が830mm、幅W1が209mm、の両側板1Fと底板1Bとで形成し、両側板1Fは、後端の高さh1”が142mm、前端高さが41.5mmで、後端の小寸の水平部fpを保って前端へ7.5°で傾斜しており、底板1Bの後端近傍から高さ40mm、仰角θRが60°の止水板8Rを両側板1F間に差し渡し溶接で立設し、止水板8Rの前部の底板1B後端から90mm位置には、外径20mm、長さ40mmのステンレス製ドレンパイプ8Aを垂下配置する。
また、下側函体1Dも上側函体1Uも、両側板1Fの前後に、一体化接合用のボルト挿入用孔H1を配置しておく。
【0055】
〔継手部材11(図3)〕
継手部材11は、図1(A)に示す如く、冷温水コイル2を筒本体1A内に組付けた空気熱交換器1の前後に嵌着して、図2(A)に示す如く、空気熱交換器1を吸気側ダクト管3D及び供給側ダクト管4Dと接続する筒体であって、図3(A)は全体斜視図、図3(B)は長さ方向縦断側面図、図3(C)は長さ方向横断面図である。
【0056】
図3に示す如く、継手部材11は、空気熱交換器1の筒本体1Aの前端及び後端に嵌合するための嵌合部11Tと円錐部11Sと接続パイプ部11Jとを備えたものであり、標準品は、横(W11)が217mm、縦(h11)が148mmの垂直辺11Fから、重ね代(D11)が30mmの幅の周縁フランジで嵌合部11Tを突設し、円錐部11Sは、垂直辺11Fから長さ(L11´)が120mmで突出し、接続パイプ部11Jは外径h11´が98mm、長さ(L11”)が100mmで円錐筒部から延出したもので、厚さ0.5mmの板金で製作すれば良いが、空気熱交換器1の使用形態に応じて、円錐部11S及び接続パイプ部11Jは適寸で準備すれば良い。
【0057】
〔空気熱交換器1の製作(図6)〕
図6は空気熱交換器1の製作説明図であり、(A)は上側函体1Uの斜視図、(B)は上側函体1Uに冷温水コイル2を配置した斜視図、(C)は下側函体1Dと上側函体1Uとを一体化した状態を、(D)は前後に継手部材を嵌合した状態を、(E)は仕上製品を示す図であり、塗装被覆した状態図である。
【0058】
図6(A)、及び図4(D)に示す如く、ステンレススチール鋼板の折曲加工で準備した下側函体1Dには、両側板1Fの上部内側面に、厚さ1.5mmで、幅がフィン2Fの上下寸法(標準:45mm)のゴム板1Gを貼着し、底板1Bの前端にも図4(C)に示す如く、厚さ1.5mm、幅10mmのゴム板1Gを両側板1F間に差し渡し状に貼着しておく(図(A))。
次いで、準備した冷温水コイル2を下側函体1D内に、フィン2F群の両側面がゴム板1Gに当接し、且つ冷温水コイル2の前端下縁が底板1B上のゴム板1Gに当接する形態で嵌入して、前端及び後端のエンドプレート2E,2E´の取付片2Pを両側板1Fにボルトb1で固着する(図(B))。
【0059】
次いで、上側函体1Uにも、図4(B)に示す如く、天板1Tの内面前部のエンドプレート2E´の当接部位には、厚さ1.5mm、幅10mmのゴム板1Gを両側板1F間に亘って貼着して、下側函体1Dに上方から、上側函体1Uの両側板1Fが下側函体1Dの両側板1Fの外側に重ね幅Ju部10mmの形態に被せ、冷温水コイルの、往き側接続管2S及び戻り側接続管2Rを天板1Tの貫通孔H2から突出させて、上下両側板を、図2(F)の如く、重ね幅Ju(10mm)を介してねじn1で締着し、上下函体1U,1Dを、冷温水コイル2を装着した状態で一体化する(図(C))。
【0060】
次いで、筒本体1Aの前端及び後端に、それぞれ、継手部材11を、嵌合部11Tを筒本体1Aの端部から被覆嵌合して、嵌合部11Tと筒本体1Aの端部をねじn2で締着一体化し、上下函体1U,1Dの重ね幅Ju部及び継手部材11の接続部に慣用の気密テープ4Tを被覆貼着して、空気熱交換器1内の貫流空気の漏洩を阻止する(図(D))。
【0061】
そして、慣用の、−30℃でも柔軟性を保持し、耐火性、低発煙性、耐湿耐候性に優れた、独立気泡エラストマー断熱材のエアロフレックス(イースタンポリマー社登録商標名)の厚さ13mmの粘性断熱材4Aを、空気熱交換器の全周に貼着して結露防止を図る(図(E))。
【0062】
〔空気熱交換器の使用(図2(A))〕
図2(A)は、天井内への配置形態側面図であり、空気熱交換器1の吸気側1Sの継手部材11には、慣用のダクト管3D、ダクトファン3Fを介在して天井面に配置したフィルター付吸気グリル3Gと接続し、空気熱交換器1の供給側1Rの継手部材11には居室内へ送風する慣用の供給側ダクト管4Dを接続した。
また、洗浄ノズル9A群は、タイマースイッチ介在の洗浄回路に、噴霧ノズル10Aは検湿器介在の加湿回路に接続した。
また、ドレンパイプ8Aも、慣用の手段で、排水パイプ8Bを接続して排水回路を形成した。
【0063】
本実施例の空気熱交換器1は、冷房運転時には、冷温水コイル2内に冷却水を循環させることにより、空気熱交換器1内に流入する空気流a3はフィン2F群からの熱交換作用を受けて、除湿冷風a4として居室内に供給出来、同時に冷却作用で生じたフィン2F群の結露水は、止水板8Rの介在によってドレンパイプ8Aから支障無く排除出来た。
【0064】
また、暖房運転時には、冷温水コイル2に加温水を循環させて、空気熱交換器1内への吸気空気流a3をフィン2F群での熱交換作用で加温空気流として居室内に供給出来、必要に応じて、噴霧ノズル10Aの室内検湿器との連動で、適正に加湿温風として居室内に供給出来た。
【0065】
また、フィン2F群に付着した埃等も、必要に応じて洗浄ノズル9A群で洗浄出来、洗浄水もドレンパイプ8Aからの排水回路で支障無く排水出来た。
そして、空気熱交換器1は、長尺であるが、上下左右寸法、即ち幅方向の断面寸法は小寸であるため、天井内等の、上下左右のスペースの限られた場所にも、簡便に配置出来る。
【0066】
また、熱交換作用は、上下左右寸法(標準:縦44mm、横203.2mm)の小なフィン2Fを多数長手方向に配置し、空気流を各フィン2Fの上下面に、フィン2F配向面直交形態で貫流させたが、高圧域となる上面空間Suでは、入口から奥へ、スペースが側面視三角形状で狭くなって、吸引空気流a3は、最奥では最大圧力となり、対応して、下面空間Sdは低圧域となるため、吸引空気流a3は、間隔配置した風偏向板bt群での整流偏向作用の助力の下に、冷温水コイル2の長さ方向全長に亘って、各フィン2F間の隙間を貫通して均斉な熱交換作用を発揮した。
尚、各風偏向板btの下端はフィン2F群の上面と小間隔Sm(標準:5mm)を有するが、小間隔5mmに流入する空気流も低圧域の下面空間Sdに支障無く吸引出来た。
【0067】
〔変形実施例(図7)〕
図7は変形実施例(第2実施例)の説明図であって、(A)は縦断側面図、(B)は(A)の矢印B視図、(C)は(A)の矢印C視図である。
本実施例は、第1実施(図1)と同一寸法の空気熱交換器であるが、冷温水コイル2の配置形態のみを変更し、該形態変更に相応して、冷温水コイル2の前端と後端の空密処理も相応に変形した。
そのため、図7(B),(C)に示す如く、上側函体13Uの両側板13Fは60mm高さ(h13´)とし、下側函体13Dの両側板13Fは、高さ(h13”)94mmとし、冷温水コイル2は下側函体13Dの両側板13Fの上端縁と整合配置して、重ね幅Juが10mmで、高さh13が144mmとした。
【0068】
そして、筒本体13A内では、冷温水コイル2の前端下面と筒本体底板13Bとの間隔は、風偏向板bt1で閉止し、冷温水コイル2の後端上面と筒本体天板13Tとの間隔は、後部から前部へと順次突出長を漸減した間隔配置の風偏向板bt群の最後部の風偏向板bt2で閉止し、吸気側1Sからの流入空気流は、上面空間Suに流入して、各風偏向板bt群の整流偏向によって、冷温水コイル2の全長に亘って各フィン2F間を貫流して低圧の下面空間Sdに流れ、居室内への供給空気流a4は下面空間Sdから流出させた。
【0069】
本実施例にあっては、上下函体13U,13Dの製作、接続作業は簡単となったが、風偏向板bt群の配置が、強度面、寸法面から、煩雑且つ精緻な作業となり、製作コスト面からは実施例1よりも若干不利であった。
しかし、空気熱交換作用は、実施例1(図1)のそれと略同一の効果が得られ、発明の所期の目的は達成出来た。
【符号の説明】
【0070】
1,13 空気熱交換器
1A,13A 筒本体
1B,13B 底板
1D,13D 下側函体
1F,13F 側板
1G ゴム板
1R 供給側
1S 吸気側
1T,13T 天板
1U,13U 上側函体
2 冷温水コイル
2A 循環パイプ
2B ヘアピンチューブ
2C Uベント
2E,2E´ エンドプレート
2F フィン
2G 欠込み
2P 取付片
2R 戻り側接続管
2S 往き側接続管
3D,4D ダクト管
3F ダクトファン
3G 吸気グリル
4A 粘性断熱材
4T 気密テープ
6P プラスチック樹脂パイプ
8A ドレンパイプ
8B 排水パイプ
8R 止水板
9A 洗浄ノズル
10A 噴霧ノズル
11 継手部材
11F 垂直辺
11J 接続パイプ部
11S 円錐部
11T 嵌合部
bt 風偏向板
b1 ボルト
C 天井
Fd 下端縁
Fu 上端縁
H1 挿入用孔
H2 貫入用孔
n1,n2 ねじ
Sd 下面空間
Su 上面空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒本体(1A)内に、長手方向に冷温水コイル(2)を配置し、吸気側(1S)から筒本体(1A)内に流入する吸引空気流(a3)は冷温水コイル(2)の上面空間(Su)に案内し、筒本体(1A)内に吸気側(1S)から供給側(1R)に亘って順次通過風量が減少するように配置した風偏向板(bt)群によって、冷温水コイル(2)の上面空間(Su)から冷温水コイル(2)の下面空間(Sd)へ、空気流を順次偏向案内して冷温水コイル(2)のフィン(2F)群の隙間を貫流案内し、供給側(1R)からは、冷温水コイル(2)の下面空間(Sd)からの空気流(a4)として流出させることを特徴とする空気熱交換器。
【請求項2】
筒本体(1A)の上面からは洗浄ノズル(9A)群を間隔配置し、且つ筒本体(1A)の前部上面からは加湿用の噴霧ノズル(10A)を配置し、筒本体(1A)の、後端内底面には止水板(8R)を配置し、止水板(8R)の前部からはドレンパイプ(8A)を垂下した請求項1に記載の空気熱交換器。
【請求項3】
筒本体(1A)は、上側函体(1U)と下側函体(1D)とを上下に連接一体化した断面方形であり、風偏向板(bt)群を上側函体(1U)の両側板(1F)間に差し渡し形態に配置し、冷温水コイル(2)は、フィン(2F)群の上面を下側函体(1D)の上端縁(Fu)と整合配置した、請求項1又は2に記載の空気熱交換器。
【請求項4】
上側函体(1U)の両側板(1F)は、吸気側(1S)から供給側(1R)へと側板(1F)が上下幅を減じる傾斜形態であり、下側函体(1D)の両側板(1F)は、吸気側(1S)から供給側(1R)へと上下幅を増大させる傾斜形態であり、冷温水コイル(2)は、下側函体(1D)内に上面を両側板(1F)の上端縁(Fu)と整合して配置し、上側函体(1U)の両側板(1F)間には、吸気側(1S)へ傾斜上昇する風偏向板(bt)群を差し渡し状に配置した、請求項3に記載の空気熱交換器。
【請求項5】
冷温水コイル(2)の前端の下面と両側面、及び冷温水コイル(2)後端の上面と両側面とは、ゴム板(1G)を配置して下面空間(Sd)前端、及び上面空間(Su)後端を空密処理し、止水板(8R)は、下側函体(1D)の底板(1B)から筒本体(1A)の高さの35±5%の高さまで、後方に傾斜上昇した請求項4に記載の空気熱交換器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−96647(P2013−96647A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240237(P2011−240237)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(511221378)株式会社サクラプロリンク (2)
【Fターム(参考)】