説明

冷蔵庫

【課題】蒸発器の除霜を高効率で行い、省電力性能の高い冷凍冷蔵庫を提供することを目的とする。
【解決手段】圧縮機,第一凝縮器,放熱パイプ,ドライヤ,第一絞り装置,第一蒸発器が順に接続された冷蔵庫において、圧縮機から第一蒸発器の付近に設けた第二凝縮器と、第二凝縮器を通り放熱パイプの下流へ繋ぐ配管と、第二凝縮器側へ冷媒流れを切り替える第一切替弁とを有し、除霜時に圧縮機から吐出された高温の冷媒を第二凝縮器へ流し、冷媒の熱伝導により第一蒸発器に付着した霜を融解する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、冷凍冷蔵庫では冷却時に、扉開閉により庫内に入る外気の水分や保存される食品等の水分が、低温である蒸発器の表面に付着し霜を形成する。霜付着量が増加すると蒸発器の熱交換性能が劣化し、冷凍冷蔵庫の性能が低下する。このため、所定の時間間隔で除霜運転を行う等、蒸発器に付着する霜の除去,低減を行う必要がある。
【0003】
この蒸発器に付着した霜を除去するために、特許文献1では、蒸発器に除霜用の加熱手段を備えた構造になっている。その加熱手段として、直接加熱手段と間接加熱手段が提案されている。直接加熱手段としてホットガスによる除霜、間接手段としてIHヒータや電気ヒータによる除霜が提案されている。
【0004】
また、特許文献2では、冷凍サイクルにバイパス回路が設けられた構成が開示されている。熱交換器の表面に多量の霜が付着した場合にバイパス回路に冷媒を流して除霜する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−121233号公報
【特許文献2】特開2005−249254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された冷凍冷蔵庫は、冷凍サイクル内に四方弁を配置し、除霜時には上記四方弁を切り替えて冷媒を通常運転時とは逆の方向へ流し、高温高圧冷媒を蒸発器に、低温低圧の冷媒を凝縮器へ送る構成となっている。
【0007】
しかし、上記冷凍サイクル構成ではキャピラリチューブの仕様は固定であり、除霜時の運転効率は通常運転時に比べ悪化する。
【0008】
特許文献2に開示された冷凍冷蔵庫は冷凍サイクル内に三方弁を配置し、除霜時には上記三方弁を切り替えて圧縮機から出た高温高圧の冷媒を蒸発器にバイパスし、除霜する構成になっている。
【0009】
しかし、上記冷凍サイクル構成では除霜時にヒートポンプを利用できない。従って、成績係数(=加熱能力/圧縮機動力)が低く省エネルギー性に課題がある。
【0010】
本発明は、上記した従来技術の問題点を解消するためになされたものであり、蒸発器の除霜を高効率で行い、省電力性能の高い冷凍冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、圧縮機,第一凝縮器,放熱パイプ,ドライヤ,第一絞り装置,第一蒸発器が順に接続された冷蔵庫において、前記圧縮機から第一蒸発器の付近に設けた第二凝縮器と、前記第二凝縮器を通り前記放熱パイプの下流へ繋ぐ配管と、前記第二凝縮器側へ冷媒流れを切り替える第一切替弁とを有し、除霜時に前記圧縮機から吐出された高温の冷媒を前記第二凝縮器へ流し、前記冷媒の熱伝導により前記第一蒸発器に付着した霜を融解する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、蒸発器の除霜を高効率で行い、省電力性能の高い冷凍冷蔵庫を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の正面外形図。
【図2】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の断面図。
【図3】本発明の第一の実施形態に係る冷蔵庫の冷凍サイクル構成の一例を表す図。
【図4】本発明の第二の実施形態に係る冷蔵庫の冷凍サイクル構成の一例を表す図。
【図5】本発明の第三の実施形態に係る冷蔵庫の冷凍サイクル構成の一例を表す図。
【図6】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の蒸発器周辺の一例を表す図。
【図7】本発明の第一,第二の実施形態における除霜運転前の冷媒回収制御のフローチャート図。
【図8】本発明の第一,第二の実施形態における除霜運転終了時の冷媒回収制御のフローチャート図。
【図9】本発明の第三の実施形態における除霜運転前の冷媒回収制御のフローチャート図。
【図10】本発明の第三の実施形態における除霜運転終了時の冷媒回収制御のフローチャート図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は第一に、圧縮機,第一凝縮器,放熱パイプ,ドライヤ,第一絞り装置,第一蒸発器が順に接続された冷蔵庫において、前記圧縮機から第一蒸発器の付近に設けた第二凝縮器と、前記第二凝縮器を通り前記放熱パイプの下流へ繋ぐ配管と、前記第二凝縮器側へ冷媒流れを切り替える第一切替弁とを有し、除霜時に前記圧縮機から吐出された高温の冷媒を前記第二凝縮器へ流し、前記冷媒の熱伝導により前記第一蒸発器に付着した霜を融解する。
【0015】
また、前記第一絞り装置の下流から前記第一蒸発器の下流の間に設けた第二蒸発器と、前記第一蒸発器側又は前記第二蒸発器側へ前記冷媒流れを切り替える第二切替弁とを有し、前記除霜時に前記第二凝縮器にて放熱した前記冷媒を前記絞り装置にて減圧した後、前記第二蒸発器に流す。
【0016】
また、前記絞り装置による絞り度が可変である。
【0017】
また、前記冷媒を前記圧縮機から前記第一凝縮器側に流すように前記第一切替弁を切り替えて、前記第二切替弁を切り替えて前記第一絞り装置から前記第一蒸発器に流す通常運転時よりも前記除霜時には、前記第一絞り装置の絞り度を低くして、前記冷媒の減圧幅を小さくする。
【0018】
また、前記除霜の開始前に前記圧縮機を停止して、前記第一蒸発器の前記冷媒量が増加した後、前記第一切替弁を前記第二凝縮器側に切り替え、前記第二切替弁にて前記第一蒸発器側、前記第二蒸発器側への流路を遮断した状態で前記圧縮機を稼働して、前記第一蒸発器周辺の配管内の前記冷媒量を低下させた後、前記第二切替弁を前記第二蒸発器側へ切り替える。
【0019】
また、前記除霜を終了する際、前記圧縮機を稼働させたまま前記第二切替弁にて前記第一蒸発器側と前記第二蒸発器側への流路を遮断し、前記第二蒸発器側の配管内に存在する前記冷媒量を低下させた後、前記第一切替弁を前記第一凝縮器側に切り替えて、且つ前記第二切替弁を前記第一蒸発器側に切り替える。
【0020】
第二に、圧縮機,第一凝縮器,放熱パイプ,ドライヤ,二方弁,第一絞り装置,第一蒸発器が順に接続された冷蔵庫において、前記圧縮機から第一蒸発器付近に設けた第二凝縮器と、該第二凝縮器の下流に設けた第二絞り装置と、前記第二蒸発器を通り前記第一蒸発器の下流へ接続される配管と、前記第二凝縮器側へ冷媒流れを切り替える第一切替弁とを有し、除霜時に前記圧縮機から吐出された高温の冷媒を前記第二凝縮器へ流して、前記冷媒の熱伝導により前記第一蒸発器に付着した霜を融解するとともに、前記第二蒸発器に低温低圧の冷媒を流すことで前記第二蒸発器周辺の冷却を行う。
【0021】
また、前記除霜を開始する前に、前記圧縮機を稼働させたまま前記第一切替弁にて前記第一凝縮器側と前記第二凝縮器側への流路を遮断し、前記第一凝縮器から前記第一蒸発器までの配管内に存在する前記冷媒量を低下させた後、前記第一切替弁を切り替えて前記第二凝縮器側へ前記冷媒を流すように制御する。
【0022】
また、前記除霜を終了する際、前記圧縮機を稼働させたまま前記第一切替弁を前記第一凝縮器側へ切り替え、前記二方弁を閉じて前記第二凝縮器から前記第二蒸発器までの配管内にある前記冷媒量を低下させた後、前記二方弁を開ける制御を行う。
【0023】
以下、本発明を実施するための形態を、図を用いて説明する。
【実施例1】
【0024】
図1は本発明の一実施形態である冷凍冷蔵庫の外観図、図2は図1におけるX−X縦断面図、図3,図4,図5は本発明の一実施形態である冷凍サイクル図、図6は本発明の一実施形態である第二蒸発器の外観図、図7は実施例1及び2における除霜運転前の冷媒回収制御のフローチャート図、図8は実施例1及び2における除霜運転終了時の冷媒回収制御のフローチャート図、図9は実施例3における除霜運転前の冷媒回収制御のフローチャート図、図10は実施例3における除霜運転終了時の冷媒回収制御のフローチャート図である。
【0025】
図1に示すように、第一の実施形態の冷蔵庫本体1は、上方から、冷蔵室2,製氷室3及び上段冷凍室4,下段冷凍室5,野菜室6を有する。なお、製氷室3と上段冷凍室4は、冷蔵室2と下段冷凍室5との間に左右に並べて設けている。一例として、冷蔵室2及び野菜室6は、およそ3〜5℃の冷蔵温度帯の貯蔵室である。また、製氷室3,上段冷凍室4及び下段冷凍室5は、およそ−18℃の冷凍温度帯の貯蔵室である。
【0026】
冷蔵室2は前方側に、左右に分割された観音開き(いわゆるフレンチ型)の冷蔵室扉2a,2bを備えている。製氷室3,上段冷凍室4,下段冷凍室5,野菜室6は、それぞれ引き出し式の製氷室扉3a,上段冷凍室扉4a,下段冷凍室扉5a,野菜室扉6aを備えている。また、各扉の貯蔵室側の面には、各扉の外縁に沿うようにシール部材(図示せず)を設けており、各扉の閉鎖時、貯蔵室内への外気の侵入、及び貯蔵室からの冷気漏れを抑制する。
【0027】
図2に示すように、冷蔵庫本体1の庫外と庫内は、内箱1aと外箱1bとの間に発泡断熱材(発泡ポリウレタン)を充填することにより形成される断熱箱体10により隔てられている。また、冷蔵庫本体1の断熱箱体10は複数の真空断熱材25を実装している。
【0028】
冷蔵庫本体1は、上側断熱仕切壁51により冷蔵室2と、上段冷凍室4及び製氷室3(図1参照、図2中で製氷室3は図示されていない)とが断熱的に隔てられ、下側断熱仕切壁52により、下段冷凍室5と野菜室6とが断熱的に隔てられている。また、図5に示すように、下段冷凍室5の上部には、横仕切部53を設けている。横仕切部53は、製氷室3及び上段冷凍室4と、下段冷凍室5とを上下方向に仕切っている。また、横仕切部53の上部には、製氷室3と上段冷凍室4との間を左右方向に仕切る縦仕切部54を設けている。
【0029】
横仕切部53は、下側断熱仕切壁52前面及び左右側壁前面とともに、下段冷凍室扉5aの貯蔵室側の面に設けたシール部材(図示せず)を受けて、下段冷凍室5と下段冷凍室扉5aとの間での気体の移動を抑制する。また、製氷室扉3a及び上段冷凍室扉4aの貯蔵室側の面に設けたシール部材(図示せず)は、横仕切部53,縦仕切部54,上側断熱仕切壁51及び冷蔵庫本体1の左右側壁前面と接することで、各貯蔵室と各扉との間での気体の移動をそれぞれ抑制する。
【0030】
なお、製氷室3,上段冷凍室4及び下段冷凍室5は、いずれも冷凍温度帯なので、横仕切部53及び縦仕切部54は、各扉のシール部材を受けるために、少なくとも冷蔵庫本体1の前側にあればよい(図2参照)。すなわち、冷凍温度帯の各貯蔵室間で気体の移動があってもよく、断熱区画しない場合であってもよい。一方、上段冷凍室4を温度切替室とする場合は、断熱区画する必要があるため、横仕切部53及び縦仕切部54は、冷蔵庫本体1の前側から後壁まで延在させる。
【0031】
冷蔵室扉2a,2bの貯蔵室内側には、複数の扉ポケット32が備えられている(図2参照)。また、冷蔵室2は複数の棚36が設けられている。棚36により、冷蔵室2は縦方向に複数の貯蔵スペースに区画されている。
【0032】
図2に示すように、上段冷凍室4,下段冷凍室5及び野菜室6は、それぞれの貯蔵室の前方に備えられた扉と一体に前後方向に移動する。収納容器3b,4b,5b,6bがそれぞれ設けられている。そして、製氷室扉3a,上段冷凍室扉4a,下段冷凍室扉5a及び野菜室扉6aは、それぞれ図示しない取手部に手を掛けて手前側に引き出すことにより、収納容器3b,4b,5b,6bが引き出せるようになっている。
【0033】
図2及び図3に示すように、第一の実施形態の冷蔵庫は、冷却手段として第一蒸発器7を備えている。第一蒸発器7(一例として、フィンチューブ型熱交換器)は、下段冷凍室5の略背部に備えられた蒸発器収納室8内に設けられている。また、蒸発器収納室8内であって第一蒸発器7の上方には、送風手段として送風機9(一例として、プロペラファン)が設けられている。第一蒸発器7と熱交換して冷やされた空気(以下、第一蒸発器7で熱交換した低温の空気を「冷気」と称する)は、送風機9によって冷蔵室送風ダクト11,冷凍室送風ダクト12を介して、冷蔵室2,野菜室6,上段冷凍室4,下段冷凍室5,製氷室3の各貯蔵室へそれぞれ送られる。各貯蔵室への送風は、冷蔵温度帯室への送風量を制御する第一の送風量制御手段(冷蔵室ダンパ20)と、冷凍温度帯室への送風量を制御する第二の送風量制御手段(冷凍室ダンパ50)とにより制御される。
【0034】
また、冷蔵室2,製氷室3,上段冷凍室4,下段冷凍室5及び野菜室6への各送風ダクトは、冷蔵庫本体1の各貯蔵室の背面側に設けられている。
【0035】
具体的には、冷蔵室ダンパ20が開状態、冷凍室ダンパ50が閉状態のときには、冷気は、冷蔵室送風ダクト11を経て多段に設けられた吹き出し口2cから冷蔵室2に送られる。
【0036】
なお、冷蔵室2を冷却した冷気は、冷蔵室2の下部に設けられた冷蔵室戻り口2dから冷蔵室戻りダクト16を経て、下段断熱仕切壁52の下部右奥側に設けた野菜室吹き出し口6cから野菜室6へ送風される。
【0037】
野菜室6からの戻り冷気は、下側断熱仕切壁52の下部前方に設けられた野菜室戻りダクト入口18bから野菜室戻りダクト18を経て、野菜室戻りダクト出口18aから蒸発器収納室8の下部に戻る。
【0038】
なお、別の構成として、冷蔵室戻りダクト16を野菜室6へ連通せずに、蒸発器収納室8の正面から見て、右側下部に戻す構成としてもよい。この場合の一例として、冷蔵室戻りダクト16の前方投影位置に野菜室送風ダクト(図示せず)を配置して、第一蒸発器7で熱交換した冷気を、野菜室吹き出し口6cから野菜室6へ直接送風する。
【0039】
図2に示すように、蒸発器収納室8前方には、各貯蔵室と蒸発器収納室8との間を仕切る仕切部材13が設けられている。仕切部材13には、吹き出し口3c,4c,5cが形成されており、冷凍室ダンパ50が開状態のとき、第一蒸発器7で熱交換された冷気が送風機9により図示省略の製氷室送風ダクトや上段冷凍室送風ダクト12を経て吹き出し口3c,4cからそれぞれ製氷室3,上段冷凍室4へ送風される。また、冷凍室送風ダクト12を経て吹き出し口5cから下段冷凍室5へ送風される。
【0040】
一般に、周囲温度に対して低温の冷気は、上方から下方に向かう下降流を形成する。よって、貯蔵室の上方により多くの冷気を供給することで、下降流の作用で貯蔵室内を良好に冷却できる。第一の実施形態では、冷凍室ダンパ50を設けているが、これを送風機9の上方に設置することで、送風機9からの送風をスムーズに製氷室3や上段冷凍室4に送風できるように配慮している。製氷室3,上段冷凍室4及び下段冷凍室5が連通した構成とすれば、下降流による冷却効果を高めることができる。
【0041】
仕切部材13には、下段冷凍室5の奥下部の位置に冷凍室戻り口17が設けられており、上段冷凍室4,下段冷凍室5,製氷室3を冷却した冷気は、冷凍室戻り口17を介して蒸発器収納室8に流入する。なお、冷凍室戻り口17は第一蒸発器7の幅とほぼ等しい幅寸法である。
【0042】
次に、第一の実施形態における冷凍サイクルについて説明する。図3は本発明における冷凍サイクル構成の一例であり、圧縮機24,第一の三方弁14(第一切替弁),第一凝縮器23,放熱パイプ26,ドライヤ38,第一キャピラリチューブ40(減圧手段,第一絞り装置),第二の三方弁15(第二切替弁),第一蒸発器7,第二凝縮器37,第二蒸発器41によって構成される。
【0043】
逆止弁28,29,30は通常運転及び除霜運転を切り替えたときに冷媒が使用しない配管へ流れ込むのを防ぐ。
【0044】
第一の三方弁14は圧縮機24から吐出される高温高圧冷媒を、第一凝縮器23または第二凝縮器37のいずれかに流路を切り替える動作を行う。また、第二の三方弁15は第一キャピラリチューブ40を通過した低温低圧冷媒を第一蒸発器7または第二蒸発器41のいずれかに流路を切り替える動作を行う。ここで、冷媒を圧縮機24から第一凝縮器23側に流すように第一の三方弁14を切り替え、同時に第二の三方弁15を切り替えて第一キャピラリチューブ40から第一蒸発器7に切り替えて圧縮機24を運転する場合を「通常運転」と呼ぶ。
【0045】
通常運転時は、圧縮機24で圧縮された冷媒は高温高圧状態となり、第一の三方弁14を介して第一凝縮器23へと流入する。この際、第一の三方弁14の第二凝縮器37側への流路は遮断される。第一凝縮器23および放熱パイプ26で冷媒は、冷蔵庫外部と熱交換し、冷却されて凝縮し、低温状態となる。その後、ドライヤ38にて冷媒中の水分を除去し、第一キャピラリチューブ40へと流入する。第一キャピラリチューブ40では冷媒は減圧されながら吸熱パイプと熱交換を行い、断熱膨張して低温低圧状態となり、第一蒸発器7へと流れる。低温低圧状態となった冷媒は、第一蒸発器7で冷蔵庫内部の空気から吸熱して蒸発し、冷蔵庫内部の空気を冷却する。
【0046】
そして、冷媒は第一蒸発器7から圧縮機24に戻り、再び圧縮されるサイクル構成となっている。
【0047】
ここで、通常運転中では扉開閉によって庫内に侵入する外気の水分や、保存される食品等の水分が、低温である第一蒸発器7の表面に付着し、霜を形成する。霜の付着量が増加すると蒸発器5の熱交換性能が低下し、冷凍冷蔵庫の性能が損なわれてしまう。このため、例えば所定の時間間隔で、あるいは通常運転の積算時間に応じて、除霜を行って第一蒸発器7に付着した霜を除去する必要が生じる。
【0048】
圧縮機24から吐出する高温高圧状態の冷媒を第二凝縮器37側に流すように第一の三方弁14を切り替え、同時に第一キャピラリチューブ40を通過した低温低圧状態の冷媒を第二蒸発器41側に流すように第二の三方弁15を切り替えて圧縮機24を運転する場合を「除霜運転」と呼ぶ。
【0049】
除霜運転時では、圧縮機24から吐出する高温高圧状態の冷媒は第一の三方弁14により第二凝縮器37側へと流れ第一蒸発器7付近を通過する。この際、第一の三方弁14の第一凝縮器23側への流路は遮断される。
【0050】
図4は第二凝縮器37の一例であり、16は第一蒸発器7のフィン、17は第二凝縮器37の配管、18は第一蒸発器7の配管である。第一蒸発器7のフィンに接するように、第二凝縮器37の配管16を設ける。
【0051】
高温高圧状態の冷媒が第一蒸発器7のフィンと接する第二凝縮器37を流れ、霜と熱交換することで除霜を行う。第一蒸発器7に付着した霜が融解することで熱交換性能が回復する。
【0052】
この際、冷媒は霜によって冷却され、液体となる。第二凝縮器37での放熱量を考慮し配管17の長さや位置を調節するとよい。
【0053】
また、第二凝縮器37からの放熱のみでは圧縮機24の供給するエネルギー量の関係上除霜に時間がかかる。したがって、除霜用のヒータを用意し、併用する。その際、ヒータの熱が届きにくく除霜しにくい場所に第二凝縮器37を設けると効率が良い。例えば、除霜用ヒータを第一蒸発器7下部に設置する場合、第二凝縮器37を第一蒸発器7上部に設ければ、除霜用ヒータのみでは融解しにくい第一蒸発器7上部の霜を第二凝縮器37の放熱で融解することができる。
【0054】
また、除霜運転時では第一絞り装置42を通過した低温低圧冷媒は第二の三方弁15により第二蒸発器41側へと流れ、第二蒸発器41を流れる際に吸熱する。この際、第二の三方弁15の第一蒸発器7側への流路は遮断される。
【0055】
第二蒸発器41を流れる冷媒は低温低圧の気液二相状態であり、吸熱するため庫内等の冷却を行うことが可能である。第二蒸発器41の構造は第二凝縮器37での放熱量によって配管の位置,長さ,アルミフィンの有無を決めると良い。
【0056】
なお、第二蒸発器41で液冷媒が十分蒸発しない場合、液体状態の冷媒が圧縮機24に吸入されてしまうため、気液分離用のタンク等を利用する必要がある。
【0057】
また、第二蒸発器41には低温の冷媒が流れるため、配管周りに露及び霜が付着する。ゆえに、付着した露及び霜への対策が必要である。本実施例では、蒸発皿12上に第二蒸発器41の配管を設置している。圧縮機24の排熱により周辺の温度が上昇していること、圧縮機24の放熱の補助が可能であることから、第二蒸発器41での冷却力を効率良く利用できる。
【0058】
ただし、本実施例では第二蒸発器41を圧縮機24周辺に設置しているがこれに限定されるものではなく、他の実施形態として例えば冷蔵室2や野菜室6などに設置し、庫内の冷却に利用することも考えられる。
【0059】
ここで、除霜運転を開始する前に、第一の三方弁14から放熱パイプ26までの配管内に流れていた冷媒を除去する必要がある。
【0060】
冷媒が残ると除霜運転時にサイクル内を流れる冷媒量が減り、第二凝縮器11における放熱量及び第二蒸発器41での吸熱量が減少し、除霜能力の低下が起きる。
【0061】
そこで、まず除霜運転を開始する前に圧縮機24を停止し、冷媒を温度が低い第一蒸発器7に集中させる。
【0062】
次に、第一の三方弁14を第二凝縮器37側に切り替え、第二の三方弁15にて第一蒸発器7側,第二蒸発器10側への流路を遮断した状態で圧縮機24を稼働し、第一蒸発器7周辺の配管内の冷媒を除去する。
【0063】
以上の作業を除霜運転前に行うことで、除霜運転時のサイクル外に冷媒が残らないため、除霜運転時の冷媒量減少を防ぐことができる。
【0064】
また、除霜運転を終了するときも、第二凝縮器37や第二蒸発器41の配管内に冷媒が残ると冷凍サイクル内の冷媒量減少によって通常運転時の効率が下がる。
【0065】
そこで、除霜運転を終了する際、まず圧縮機24を稼働させたまま第二の三方弁15にて第一蒸発器7側,第二蒸発器41側への流路を遮断し、第二蒸発器41側の配管内に存在する冷媒を除去する。
【0066】
次に、第一の三方弁14を第一凝縮器23側に、第二の三方弁15を第一蒸発器7側に切り替える。
【0067】
以上の作業を除霜運転終了時に行うことで、通常運転時のサイクル外に冷媒が残らないため、通常運転時の冷媒量不足を防ぐことができる。
【0068】
除霜運転の終了判定は、第一蒸発器7に温度検出手段を設け、第一蒸発器7が設定温度に達したとき除霜運転を終了すると良い。
【0069】
以上の制御を行うことで、除霜運転において、圧縮機24から吐出した高温冷媒からの熱伝導によって第一蒸発器7に付着した霜を融解すると同時に、第二凝縮器37で放熱後の冷媒は通常運転と同じく第一キャピラリチューブ40を通過して低温低圧状態になり、第二蒸発器41にて吸熱するため、除霜を行いながら第二蒸発器41周辺の冷却が可能である。また、除霜用ヒータと併用することで、さらなる除霜時間の短縮も可能である。除霜時間が短縮されることで除霜時に庫外から侵入する熱エネルギーが少なくなるため、除霜運転終了時から通常運転に移行した際の庫内の冷却に必要なエネルギーが少なくなる。ゆえに、従来技術に比べ省電力で除霜能力が優れ、高効率な冷凍冷蔵庫が提供できる。
【実施例2】
【0070】
図3は、本発明に関わる冷凍冷蔵庫の冷凍サイクル図を示したものである。本実施の形態は、冷凍サイクル構成が図2と異なる。以下に、図2との差異部分を中心に説明する。図3において、前述の図2から図3と同一符号を付したものは同一部品であり、同一の作用をなす。
【0071】
図3は図2の第一キャピラリチューブ40を膨張弁にし、減圧量を調整可能にしている。
【0072】
除霜運転時は通常運転時に比べて減圧する際に冷媒温度が低いため、減圧量を低く定める。
【0073】
これにより、膨張弁を利用することで除霜運転時の冷媒温度に適切に合わせた減圧量を定めることができるため、除霜時も効率良く運転することが可能である。
【実施例3】
【0074】
図4は、本発明に関わる冷凍冷蔵庫の冷凍サイクル図を示したものである。本実施の形態は、冷凍サイクル構成が図2と異なる。以下に、図2との差異部分を中心に説明する。図4において、前述の図2から図4と同一符号を付したものは同一部品であり、同一の作用をなす。
【0075】
図4は図2の第一切替弁2から第二凝縮器37を通過後の配管を放熱パイプ26後に接続せず、第二キャピラリチューブ43(第二絞り装置)を接続し、その後第二蒸発器41,逆止弁30を通過後、第一蒸発器7後に接続される冷凍サイクルである。
【0076】
また、ドライヤ38の前には二方弁39が設けられている。圧縮機24が断続運転を行う際、圧縮機24の運転を停止した時に放熱パイプ26内の高温冷媒が第一蒸発器7内に流れ込み、庫内の温度上昇を防ぐ等の用途がある。
【0077】
ここで、冷媒が第一凝縮器23側へ流れるように第一の三方弁を切り替え、圧縮機24を運転する場合を「通常運転」と呼ぶ。
【0078】
また、冷媒を第二凝縮器37側に流すように第一の三方弁14を切り替えて圧縮機24を運転する場合を「除霜運転」と呼ぶ。
【0079】
通常運転時に冷媒が第一キャピラリチューブ40を流れる際の圧力に比べ、除霜運転時に第二キャピラリチューブ43を流れる際の圧力が低くなるため、第二キャピラリチューブ43は第一キャピラリチューブ40より絞りを緩め、減圧量を抑えている。
【0080】
また、実施例1同様、除霜運転を開始する前に、第一の三方弁14から第一蒸発器7までの配管内に流れていた冷媒を除去する必要がある。
【0081】
そこで、除霜を開始する前に圧縮機24を稼働させたまま第一の三方弁14にて第一凝縮器23側,第二凝縮器37側への流路を遮断し、第一凝縮器23から第一蒸発器7までの配管内に存在する冷媒を十分に除去した後、第一の三方弁14を第二凝縮器37側に切り替える。
【0082】
以上の作業を除霜運転前に行うことで、除霜運転時のサイクル外に冷媒が残らないため、除霜運転時の冷媒量不足を防ぐことができる。
【0083】
また、除霜運転を終了する際も、第二凝縮器37から第二蒸発器41までの配管内に冷媒が残るのを防ぐため、圧縮機24を稼働させたまま第一の三方弁14を第一凝縮器23側へ切り替え、二方弁39を閉じて第二凝縮器9から第二蒸発器41までの配管内の冷媒を十分に除去した後二方弁39を開ける。
【0084】
以上の作業を除霜運転終了時に行うことで、通常運転時のサイクル外に冷媒が残らないため、通常運転時の冷媒量不足を防ぐことができる。
【0085】
以上の制御を行うことで、除霜運転において、圧縮機24から吐出した高温冷媒からの熱伝導によって第一蒸発器7に付着した霜を融解すると同時に、第二凝縮器37で放熱後の冷媒は第二キャピラリチューブ43を通過して低温低圧状態になり、第二蒸発器41にて吸熱するため、除霜を行いながら第二蒸発器41周辺の冷却が可能である。また、除霜用ヒータと併用することで、さらなる除霜時間の短縮も可能である。除霜時間が短縮されることで除霜時に庫外から侵入する熱エネルギーが少なくなるため、除霜運転終了時から通常運転に移行した際の庫内の冷却に必要なエネルギーが少なくなる。ゆえに、従来技術に比べ省電力で除霜能力が優れ、高効率な冷凍冷蔵庫が提供できる。
【符号の説明】
【0086】
1 冷蔵庫本体
2 冷蔵室(冷蔵温度帯室)
3 製氷室(冷凍温度帯室)
4 上段冷凍室(冷凍温度帯室)
5 下段冷凍室(冷凍温度帯室)
6 野菜室(冷蔵温度帯室)
7 第一蒸発器
9 送風機(送風手段)
14 第一の三方弁(第一切替弁)
15 第二の三方弁(第二切替弁)
19 機械室
20 冷蔵室ダンパ(第一の送風量制御手段)
22 除霜ヒータ
23 第一凝縮器
24 圧縮機
26 放熱パイプ
28,29,30 逆止弁
31 制御基板
37 第二凝縮器
38 ドライヤ
39 二方弁
40 第一キャピラリチューブ(減圧手段,第一絞り装置)
41 第二蒸発器
42 第一絞り装置
43 第二キャピラリチューブ(減圧手段,第二絞り装置)
50 冷凍室ダンパ(第二の送風量制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機,第一凝縮器,放熱パイプ,ドライヤ,第一絞り装置,第一蒸発器が順に接続された冷蔵庫において、前記圧縮機から第一蒸発器の付近に設けた第二凝縮器と、前記第二凝縮器を通り前記放熱パイプの下流へ繋ぐ配管と、前記第二凝縮器側へ冷媒流れを切り替える第一切替弁とを有し、除霜時に前記圧縮機から吐出された高温の冷媒を前記第二凝縮器へ流し、前記冷媒の熱伝導により前記第一蒸発器に付着した霜を融解することを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記第一絞り装置の下流から前記第一蒸発器の下流の間に設けた第二蒸発器と、前記第一蒸発器側又は前記第二蒸発器側へ前記冷媒流れを切り替える第二切替弁とを有し、前記除霜時に前記第二凝縮器にて放熱した前記冷媒を前記絞り装置にて減圧した後、前記第二蒸発器に流すことを特徴とする、請求項1記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記絞り装置による絞り度が可変であることを特徴とする、請求項1記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記冷媒を前記圧縮機から前記第一凝縮器側に流すように前記第一切替弁を切り替えて、前記第二切替弁を切り替えて前記第一絞り装置から前記第一蒸発器に流す通常運転時よりも前記除霜時には、前記第一絞り装置の絞り度を低くして、前記冷媒の減圧幅を小さくすることを特徴とする、請求項3記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記除霜の開始前に前記圧縮機を停止して、前記第一蒸発器の前記冷媒量が増加した後、前記第一切替弁を前記第二凝縮器側に切り替え、前記第二切替弁にて前記第一蒸発器側、前記第二蒸発器側への流路を遮断した状態で前記圧縮機を稼働して、前記第一蒸発器周辺の配管内の前記冷媒量を低下させた後、前記第二切替弁を前記第二蒸発器側へ切り替えることを特徴とする、請求項2記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記除霜を終了する際、前記圧縮機を稼働させたまま前記第二切替弁にて前記第一蒸発器側と前記第二蒸発器側への流路を遮断し、前記第二蒸発器側の配管内に存在する前記冷媒量を低下させた後、前記第一切替弁を前記第一凝縮器側に切り替えて、且つ前記第二切替弁を前記第一蒸発器側に切り替えることを特徴とする、請求項2又は5記載の冷蔵庫。
【請求項7】
圧縮機,第一凝縮器,放熱パイプ,ドライヤ,二方弁,第一絞り装置,第一蒸発器が順に接続された冷蔵庫において、前記圧縮機から第一蒸発器付近に設けた第二凝縮器と、該第二凝縮器の下流に設けた第二絞り装置と、前記第二蒸発器を通り前記第一蒸発器の下流へ接続される配管と、前記第二凝縮器側へ冷媒流れを切り替える第一切替弁とを有し、除霜時に前記圧縮機から吐出された高温の冷媒を前記第二凝縮器へ流して、前記冷媒の熱伝導により前記第一蒸発器に付着した霜を融解するとともに、前記第二蒸発器に低温低圧の冷媒を流すことで前記第二蒸発器周辺の冷却を行うことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項8】
前記除霜を開始する前に、前記圧縮機を稼働させたまま前記第一切替弁にて前記第一凝縮器側と前記第二凝縮器側への流路を遮断し、前記第一凝縮器から前記第一蒸発器までの配管内に存在する前記冷媒量を低下させた後、前記第一切替弁を切り替えて前記第二凝縮器側へ前記冷媒を流すように制御することを特徴とする、請求項7記載の冷蔵庫。
【請求項9】
前記除霜を終了する際、前記圧縮機を稼働させたまま前記第一切替弁を前記第一凝縮器側へ切り替え、前記二方弁を閉じて前記第二凝縮器から前記第二蒸発器までの配管内にある前記冷媒量を低下させた後、前記二方弁を開ける制御を行うことを特徴とする、請求項7又は8記載の冷蔵庫。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2013−19598(P2013−19598A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153416(P2011−153416)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)
【Fターム(参考)】