説明

冷間連続圧延設備

【課題】圧延材を複数の圧延機で連続的に圧延する板圧延において、板端付近で急激に圧延材の板厚が減少する、所謂エッジドロップを改善するために最適な冷間連続圧延設備を提供する。
【解決手段】複数の熱延コイルを接合し、接合された前記熱延コイルの歪みをテンションレベラー7で矯正し、酸洗設備8に通過させて表面スケールを除去し、2台以上の圧延機で連続的に圧延するタンデム圧延機11を備え、且つ圧延機として先端に先細りのロールクラウンを設けた上下作業ロールを移動可能とした作業ロールシフトミル10を1台以上配置した冷間連続圧延設備において、エッジドロップ計2aをテンションレベラー7と酸洗設備8入り側に設けられたテンションブライドルロール3間に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板圧延において複数の圧延機で連続的に圧延する冷間連続圧延設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、板圧延において板端付近で急激に板厚が減少する、所謂エッジドロップを改善することは重要な課題となっている。この課題に対し、上下作業ロールのロール端部に先細り形状のクラウンを付与し、これを板幅方向に移動可能とした、制御手段を有する圧延機である作業ロールシフトミルを有する圧延設備で圧延することは公知である。図5に板端付近で急激に板厚が減少するエッジドロップの模式図を示す。ここでエッジドロップ量の定義を説明すると、エッジドロップ量は一般に、板端を基準とした少なくとも2点の板厚差で定義されることが多い。すなわち図5において、板端からの距離X15地点における板厚及びX115地点における板厚をそれぞれ計測したときの2点の板厚差によりエッジドロップ量は定義される。
【0003】
以下、X15を板端から15mmの点、またX115を板端から115mmの点とし、この時のエッジドロップ量をEとする。通常は板端側の板厚が薄く、この時のエッジドロップ量Eは正で表示する。逆に板端側のほうが厚くなる場合もあり、この時のEは負で表示しエッジアップ形状と呼称する。またエッジドロップ量は、板の左右で異なっているのが普通である。従ってエッジドロップ量の測定は、一般的に左右の両板端部に計測器を設けて測定される。
【0004】
また、複数の熱延コイルを圧延機の入り側で接合し、接合されたコイルを酸洗設備に通過させることにより表面スケールを除去し、設置された複数の圧延機で連続的に圧延する冷間連続圧延設備でエッジドロップを改善する場合、作業ロールシフトミルをタンデム圧延機の前段に少なくとも1台以上設置する事は公知であり、作業ロールシフトミルを用いてエッジドロップを制御する方法については、多数の公知例が開示されている。また、圧延機の入り側にエッジドロップを測定するエッジドロップ計を設置して、この計測値に基づき作業ロールシフトミルのシフト位置を制御する、フィードフォワード制御方法(以下、FF制御)も多数の公知例が開示されている。
【0005】
また特許文献1では、冷間連続圧延設備における圧延機入り側エッジドロップ計の設置場所に関する提案が示されており、これは搬出リール(巻き出し機)、溶接機及びルーパを有する圧延設備にあって、板プロフィル計(エッジドロップ計)を溶接機の前後いずれかに設置するというものである。ルーパは張力を一定に保てるようにした可動式の設備で、特許文献1においては溶接のため溶接機近傍で圧延材(以下、板という)の流れが止まっている間も圧延可能とするために溶接機の出側に設けられている。
【0006】
ルーパを設けたことにより、板の走行が部分的に停止した状態でのエッジドロップの計測が可能となる。従って、エッジドロップ計の測定端子を板幅方向に走行させる走行式エッジドロップ計の利用が可能となり、精度良く測定する事が可能としている。また、ルーパにより板が圧延機に到達するまでの時間が十分に取れるため、圧延条件のセットアップに測定結果を反映できるとしている。
【0007】
但し、上記の特許文献1においては母材(板)のエッジドロップ量の変化はコイル毎に大きく異なる場合があるが、同一コイル内では板クラウン(エッジドロップ量)に大きな変化はないという認識に基づいている。
【0008】
【特許文献1】特開2002−126811号公報
【特許文献2】特開2004−9116号公報
【特許文献3】特開平5−15911号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
後で説明するように、同一コイル内においてはエッジドロップの変化が比較的大きくなだらかに変動する成分(以下、長周期的変動成分)と、変化量は比較的小さいが激しく変動する成分(以下、短周期的変動成分)とが混在している場合が多い。さらに、長周期的変動成分は、エッジドロップ量の変化が比較的大きくても、時間的変化は緩慢であり制御がしやすいが、短周期的変動成分は、エッジドロップ量の変化が比較的小さくとも、短時間に激しく変化するため制御が難しくなる。従って、短周期的な変動を極力抑制することが、エッジドロップ制御に対しては重要となる。
【0010】
エッジドロップ量の変動要因は、板の板厚変動そのものに起因するもの、計測器の計測精度のばらつきによるもの、また計測条件に起因するもの等が考えられる。本発明は、計測条件に起因するエッジドロップの変動成分に着目し、この変動成分を極力少なくするために好適な配置を提供する。またこの配置を有効に利用し、エッジドロップの少ない圧延を実現することのできる冷間連続圧延設備を提供する。更に、圧延機の入り側で板の板端を切り落とすトリミング材の圧延に対しては、トリミング量を極力減らすことで、歩留りの高い圧延を可能にする冷間連続圧延設備を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の請求項1に係る冷間連続圧延設備は、複数の熱延コイルを接合し、接合された前記熱延コイルの歪みをテンションレベラーで矯正し、酸洗設備に通過させて表面スケールを除去し、2台以上の圧延機で連続的に圧延する設備を備え、且つ前記圧延機として先端に先細りのロールクラウンを設けた上下作業ロールを移動可能とした作業ロールシフトミルを1台以上配置した冷間連続圧延設備において、前記テンションレベラーと前記酸洗設備入り側に設けられたテンションブライドルロール間にエッジドロップ計を設けたことを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項2に係る冷間連続圧延設備は、複数の熱延コイルを接合し、接合された前記熱延コイルを酸洗設備に通過させて表面スケールを除去し、2台以上の圧延機で連続的に圧延する設備を備え、且つ前記圧延機として先端に先細りのロールクラウンを設けた上下作業ロールを移動可能とした作業ロールシフトミルを1台以上配置した前記冷間連続圧延設備において、前記酸洗設備と前記酸洗設備出側に設けられたテンションブライドルロール間にエッジドロップ計を設けたことを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項3に係る冷間連続圧延設備は、複数の熱延コイルを接合し、接合された前記熱延コイルを酸洗設備に通過させて表面スケールを除去し、サイドトリマーにて板端を切り落とし、2台以上の圧延機で連続的に圧延する設備を備え、且つ前記圧延機として先端に先細りのロールクラウンを設けた上下作業ロールを移動可能とした作業ロールシフトミルを1台以上配置した冷間連続圧延設備において、サイドトリマーと前記サイドトリマー出側に設けられたテンションブライドルロール間にエッジドロップ計を設けたことを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項4に係る冷間連続圧延設備は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の冷間連続圧延設備において、前記エッジドロップ計が走行式エッジドロップ計であることを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項5に係る冷間連続圧延設備は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の冷間連続圧延設備において、前記エッジドロップ計の前後いずれかの近傍に溶接点検出器及び走行距離計を設けたことを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項6に係る冷間連続圧延設備は、請求項5記載の冷間連続圧延設備において、前記溶接点検出器及び前記走行距離計により取得したデータに基づき前記エッジドロップ計の検出データをトラッキングするトラッキング装置と、エッジドロップ計の検出データを平滑化する平滑化装置と、平滑化装置からの出力に基づき前記作業ロールシフトミルのロールシフト位置を設定するシフト設定装置とを設けたことを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項7に係る冷間連続圧延設備は、請求項1又は請求項2記載の冷間連続圧延設備において、前記エッジドロップ計の計測データに基づきサイドトリマーの板端トリミング量を決定することを特徴とする。
【0018】
本発明の請求項8に係る冷間連続圧延設備は、請求項6記載の冷間連続圧延設備において、前記平滑化装置からの出力に基づき前記作業ロールシフトミルのロールシフト位置をプリセットすることを特徴とする。
【0019】
本発明の請求項9に係る冷間連続圧延設備は、請求項6記載の冷間連続圧延設備において、前記平滑化装置から出力されたエッジドロップデータに基づき、前記シフト設定装置により上下作業ロールのシフト位置をフィードフォワード制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の請求項1に係る冷間圧延設備によれば、エッジドロップ計をテンションレベラーの後に配置し、更にテンションブライドルロールをエッジドロップ計の近傍に配置してあるため、テンションレベラーにより母材コイル(板)の形状が矯正された後に、テンションが作用し板の振動が抑制された状態でエッジドロップ量を測定することができるので、計測誤差を減らし、適正な圧延を行うことができる。
【0021】
本発明の請求項2に係る冷間圧延設備によれば、エッジドロップ計を酸洗設備の後に配置し、更にテンションブライドルロールをエッジドロップ計の近傍に配置してあるため、酸洗設備により表面スケールが除去された後に、テンションが作用した状態でエッジドロップ量を測定することができるので、計測誤差を減らし、適正な圧延を行うことができる。
【0022】
本発明の請求項3に係る冷間圧延設備によれば、エッジドロップ計をサイドトリマーの後に配置し、更にテンションブライドルロールをエッジドロップ計の近傍に配置してあるため、サイドトリマーにより板の板幅が略一定となった後に、テンションが作用し板の振動が抑制された状態でエッジドロップ量を測定することができるので、計測誤差を減らし、適正な圧延を行うことができる。
【0023】
本発明の請求項4に係る冷間圧延設備によれば、走行式エッジドロップ計を用いることで、測定端子を板幅方向に往復動作させてエッジドロップ量を計測することができるので、測定端子を減らすことが可能となり、設備費を低減させることができる。
【0024】
本発明の請求項5に係る冷間圧延設備によれば、エッジドロップ計近傍に溶接点検出器及び走行距離計を設置することにより、計測されたエッジドロップデータを正確にトラッキングすることが可能となり、計測誤差を減らし、適正な圧延を行うことができる。
【0025】
本発明の請求項6に係る冷間圧延設備によれば、冷間連続圧延設備にトラッキング装置と、平滑化装置と、シフト設定装置を設けたことでエッジドロップ量の変化は比較的小さいが短時間に激しく変化する短周期的変動成分を除去したデータに基づいて圧延を行うことができるので、より高精度のエッジドロップ抑制を行うことができる。
【0026】
本発明の請求項7に係る冷間連続圧延設備によれば、エッジドロップ計の計測データに基づきサイドトリマーの板端トリミング量を決定することにより、エッジドロップ量に応じてトリミング量を最小限に抑え、歩留りの高い圧延を行うことができる。
【0027】
本発明の請求項8に係る冷間連続圧延設備によれば、平滑化装置のデータに基づき作業ロールシフトミルのロールシフト位置をプリセットするので、圧延材のエッジドロップに対して適正なロールシフト位置を提供することができる。
【0028】
本発明の請求項9に係る冷間連続圧延設備によれば、平滑化装置により短周期的変動成分を排除したエッジドロップデータに基づき作業ロールシフトミルをFF制御するので、適正な圧延を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図1に本発明の実施形態に係る冷間連続圧延設備の一例を示す。冷間連続圧延設備において、板は巻き出し機5より送り出され、溶接機6、ルーパ15、テンションブライドルロール3、テンションレベラー7、テンションブライドルロール3、酸洗設備8、テンションブライドルロール3、ルーパ15、サイドトリマー9、ルーパ15、テンションブライドルロール3及びタンデム圧延機11を順次通過し、形状検出器12で板形状が計測され、分割シヤー13を通り、巻き取り機14に巻き取られる。
【0030】
巻き出し機5は母材コイル(板)を圧延機側に送り出す設備、溶接機6は複数の板を接合する設備、ルーパ15は連続圧延を可能にするために必要長さの板を貯蔵する板貯蔵設備、テンションブライドルロール3は板に張力を作用させる設備、テンションレベラー7は板の形状の歪みを矯正する設備、酸洗設備8は順次接合された複数の板の表面スケールを除去する設備、サイドトリマー9は板端を切り落とす設備、タンデム圧延機11は複数設置された圧延機で板を連続的に圧延する設備、形状検出器12は圧延後の板の形状を検査する設備、分割シヤー13は板を所定長さに切断する設備また巻き取り機14は板を巻き取り搬出する設備である。なお図1中、2a〜2dはエッジドロップ計、4a〜4dは溶接点検出器である。
【0031】
更に、タンデム圧延機11の前段には作業ロールシフトミル10が1台配置されている。作業ロールシフトミル10は、上下作業ロールのロール端部に先細り形状のクラウンを付与して板幅方向に移動可能とした、作業ロールシフト制御手段を有する圧延機である。
【0032】
本実施形態による冷間連続圧延設備は、図1に示すエッジドロップ計2a〜2c、溶接点検出器4a〜4cのうち、エッジドロップ計2a及び溶接点検出器4aを用いるものである。すなわち、テンションレベラー7の後流側且つテンションブライドルロール3前流側にX線エッジドロップ計2aを配置したものである。テンションブライドルロール3は酸洗設備8前に設置されており、またテンションレベラー7前に溶接点検出器4aと走行距離計(図示省略)を設ける。エッジドロップ計2aは板のエッジドロップ量を計測する設備、溶接点検出器4aは板の溶接箇所を検出する設備、走行距離計は板の走行距離を測定する設備である。
【0033】
X線エッジドロップ計2aは、図2に示すように母材の上下にX線発生端子21及び受信端子22を設け、発生端子21から受信端子22に到達するX線の透過量を計測することで板厚を検出するものである。また、溶接点検出器4aは、例えば特許文献2に説明されているように、溶接点近傍の板にパンチ孔をあけ、この位置をフォトセルなどで検知する。更に走行距離計は、溶接点を基準として板の走行距離を測定するもので、例えば図1に示すテンションブライドルロール3の駆動モータにセルシンなどを設置し、テンションブライドルロール3のロール径及び駆動モータの回転数から板の走行距離を算出すれば良い。
【0034】
溶接点検出器4aと走行距離計を設置する目的は、計測されたエッジドロップデータを正確にトラッキングするためである。後続の作業ロールシフトミル10でエッジドロップに対しFF制御を行なう場合は、特に正確なトラッキングが必要となる。不正確なトラッキングデータに基づきFF制御を行なうと、返ってエッジドロップ形状を悪化させる恐れがあるためである。
【0035】
テンションレベラー7の入り側近くに溶接点検出器4aを設置したのは、溶接点前後で板厚が異なる等により、この前後でテンションレベラー7の押し込み量等の操業条件を変更する場合があるためである。溶接点検出器4aをX線エッジドロップ計2a出力のトラッキング用として用いても良い。なお、溶接点検出器4a及び走行距離計の設置箇所については前述した位置に限らず、テンションブライドルロール3の前後いずれか且つ近傍に設置すればよい。また、エッジドロップ計はX線エッジドロップ計に限らない。
【0036】
ここで計測誤差に関し、図2に基づいて簡単に説明する。板の振動及び形状不良等による波うちがあると、計測端子間において板1の板厚が水平方向に対して角度を有した状態で計測される場合が生じる。このような場合、計測される板厚H’は実際の板厚Hと異なり、板の傾きをθとするとこの時の計測誤差δHは、以下に示す通りである。
【0037】
【数1】

【0038】
ここでH=2.5mmと仮定した時の、傾き角θと計測誤差δHの関係を図3に示す。θ=5°程度板が傾くと、δH=約10μmの計測誤差が生じることが分かる。上記の誤差成分は、例えば板の振動に応じた変動成分として観測される。
【0039】
さらに上記のような母材エッジドロップ量の変動成分が、最終製品に概略どのように現れるかを説明する。図4は、圧延前の入り側エッジドロップ量Einと圧延後の出側エッジドロップ量Eoutの相関の一例を示すグラフであり、横軸を圧延前の入り側エッジドロップ量Ein、縦軸を5スタンドタンデム圧延後の出側エッジドロップ量Eoutとする。図中の線分は測定値の平均をとったもので、トータル圧下率が約75%の場合のデータを示す。なお、データは材質(一般炭素鋼)、板幅、入り側板厚、圧延速度など圧延条件が異なるものが混在しており、また作業ロールはストレートロールとし、エッジドロップ制御は実施していない。
【0040】
図4によれば、入り側エッジドロップ量Einと出側エッジドロップ量Eoutには、強い相関が認められ、入り側のエッジドロップ量Einが10μm変動すると、出側エッジドロップ量Eoutでは約2.4μmの変動が現れると予想される。特にエッジドロップ量に対し要求の厳しい珪素鋼板では、最終出側エッジドロップ量を5μm以内に規制されることが多い。このような状況を考慮すると、入り側エッジドロップ量の10μm程度の変動は、製品品質に無視できない影響を及ぼすといえる。
【0041】
すなわち、図2に示したような誤差成分を実際のエッジドロップ量と認識してFF制御を適用すると、母材(板)にエッジドロップがない場合でも計測誤差に伴うFF制御により2.4μm程度の変動が生じることになる。従って、エッジドロップ量に対する要求の厳しい製品ほど、計測部での板振動、形状の乱れは極力防止する必要がある。これに対し本実施形態の位置にエッジドロップ計を設置すれば、計測部での板振動、形状の乱れによる誤差成分が極力抑制されて精度が高く変動量の小さいエッジドロップの計測が可能となる。
【0042】
以上のように、テンションレベラー7及びテンションブライドルロール3の間にエッジドロップ計2aを設置して作業ロールシフトミル10に対しFF制御を実施すれば、
1)テンションが作用し、板の振動が抑制された条件下でエッジドロップの計測が可能となる。
2)母材コイル(板)の形状が矯正された後にエッジドロップの計測が可能になる。
の利点がある。これにより、板の振動及び母材形状の乱れにより生じるエッジドロップの計測誤差を小さくすることが可能となる。これにより短周期的なエッジドロップ量の変動を抑制する効果がある。
【実施例1】
【0043】
本発明の実施例1による冷間連続圧延設備は、図1に示すエッジドロップ計2a〜2c、溶接点検出器4a〜4cのうち、エッジドロップ計2b及び溶接点検出器4bを用いるものである。即ち、酸洗設備8の出側とテンションブライドルロール3との間にX線エッジドロップ計2bを設置する。テンションブライドルロール3は酸洗設備8と酸洗設備8後に配置されたルーパ15との間に設置されている。更に、溶接点検出器4b及び板走行距離計をX線エッジドロップ計2bの近傍である酸洗設備8とX線エッジドロップ計2b間に配置する。なお、上記「最良の形態」と重複する説明は省略した。
【0044】
上述した「最良の形態」においては、熱延時およびその後に生じた板表面の酸化スケールや表面汚れが存在する状態でエッジドロップを計測している場合がある。このように板表面に酸化スケールや表面汚れが存在する場合、エッジドロップ測定時にX線の散乱あるいは透過量のばらつき等が発生するおそれがあり、エッジドロップ計測値に誤差を生じる要因となる。このような誤差はランダムノイズ的であり、エッジドロップ測定値に短周期的変動を引き起こすと考えられる。
【0045】
しかしながら、本実施例1により酸洗設備8の後にX線エッジドロップ計2bを設置すれば、板の表面スケールを除去した後にエッジドロップ量を測定するため、板の表面形状の乱れにより計測誤差を生じるという問題はなくなる。また板はテンションレベラー7を通過した後であり、母材(板)形状による誤差も問題とならない。当然テンションブライドルロール3により板張力が加わった状態でエッジドロップ量を計測できるため、振動も小さく押さえることができ、誤差要因を排除することができる。
【0046】
更に、通常の冷間連続圧延設備では、酸洗設備8の後に板端を切り落とすサイドトリマー9が設置される。サイドトリマー9の目的は、エッジドロップ量への要求が厳しい製品のエッジドロップ領域に対して、冷間圧延では制御が困難である範囲の板端部を除去することである。また、特に薄板まで圧延する場合には、全般的に強圧下が必要となりエッジ割れが生じることがある。これを防ぐ目的でも、両端部を切り落とすことが必要になる。以下、このような板をトリム材と呼ぶ。代表的なトリム材としては、電磁鋼板がある。
【0047】
サイドトリマー9によるトリミング量は、生産の歩留りに大きく影響するため、極力少なくすることが望ましい。このためには、トリミング前にエッジドロップ量を計測し、この結果をトリミング量に反映させれば良い。例えば母材のエッジドロップ量が小さい場合は、トリミング幅を小さくする等である。更に母材形状が、エッジアップ形状となる場合がある。これは主に、熱延の圧延ロールにおける板端部の磨耗で生じる。このような形状は、冷延でのエッジドロップ量を抑制する効果が大きく、トリミング幅を小さく設定することが可能となる。
【0048】
但しエッジドロップ量は、板の長手方向に対し変化する。特に接合点前後の母材先端部では、一般に他の部分よりエッジドロップ量の変動量が大きい。従って、トリミング量を決定する際は、エッジドロップの計測長さが短いと設定トリミング幅にイレギュラーの発生する確率が高くなる。
【0049】
例えば、サイドトリマー9の直前にX線エッジドロップ計2bを設置することは、計測
長さが十分に取れず不適当である。しかしながら本実施例1においては、X線エッジドロ
ップ計2bの出側にルーパ15が存在する。従って、トリミング前にループ量に応じた十分長い距離のエッジドロップ計測が可能となり、適切なトリミング幅を決定することができる。
【0050】
以上により、「実施例1」に係る冷間連続圧延設備によれば、第二の作用として、X線
エッジドロップ計2bをサイドトリマー9よりも前に設置し、ルーパ15をX線エッジド
ロップ計2bの出側に設置したことで、トリム材に対して有効なトリミング幅を提供することができるといえる。なお、上記「最良の形態」においてもルーパ15をエッジドロップ計2aの出側に設置することで、トリム材に対して有効なトリミング幅を提供することができることがわかる。
【実施例2】
【0051】
本発明の実施例2による冷間連続圧延設備は、図1に示すエッジドロップ計2a〜2c、溶接点検出器4a〜4cのうち、エッジドロップ計2c及び溶接点検出器4cを用いるものである。すなわち、X線エッジドロップ計2cをサイドトリマー9の出側とテンショ
ンブライドルロール3の入り側との間に設置するものである。この時、溶接点検出器及び走行距離計をX線エッジドロップ計2cの近くに設ける事は、「最良の形態」及び「実施
例1」と同様である。また通常サイドトリマー9の前には、溶接点検出器4cが設置されている。これは異幅の板が接続された場合、刃物位置を変更する必要が生じるためである。上記溶接点検出器4cをトラッキングのための溶接点検出器として利用できることは当然である。
【0052】
しかしトリム時の振動が板に伝達され、これがエッジドロップ量の計測データを変動させることが考えられる。従って、サイドトリマー9の後及びX線エッジドロップ計2cの
前に、板振動を拘束する拘束手段を設ける事が好ましい。例えば、板の上下を押圧するピンチロール(図示省略)を設置する。また、テンションブライドルロール3の後にルーパ15を配置する。なお、上記「最良の形態」及び「実施例1」と重複する説明は省略した。
【0053】
一般に熱延母材(板)の板幅及び板端形状は変動する。図6に板における板端形状の変動の模式図を示す。変動する板端形状に対し、通常エッジドロップ計は板端を基準とした所定の位置での板厚差を出力する。例えば、板端からX15点及びX115点の板厚を測定し、両者の差でエッジドロップ量を評価する。
【0054】
この場合板端を基準とする限り評価点のX15およびX115は、図6中の破線で示すように板端形状に沿うように変動する。このような状態でエッジドロップ制御を実施し、最終スタンド出側でのX15点とX115点間におけるエッジドロップ量Eが、所定の許容量、例えば5μm以下に制御できたものと仮定する。
【0055】
上記のような板を最終ユーザが使用する場合、板長手方向の板幅を一定とするため、例えば図中に示すトリミングラインTrで切断して使用されることがある。この時例えばA部のように、所定の許容値以上のエッジドロップ量となる部分が発生するおそれがある。即ち製品の品質保証が困難になると言える。これを避けるためには、前記トリミングラインTrをより板の内側に設定すれば良い。しかしこの場合は、製品の歩留りを低下させる結果になる。
【0056】
上記エッジドロップ制御の問題は、板幅変動のある板に対し、エッジドロップ計測の基準を板端とした事に起因する。これに対し特許文献3のように板幅を計測して、板幅中央をエッジドロップ計測の基準とすることが考えられる。しかしこの場合にも問題は残る。
【0057】
図6で左端形状Leと反対側の板端形状を右端形状Reとし、両者の形状は、全く同一とする。ここで、板長手方向における各々の瞬間における板幅を計測し、その中心を板幅中心Cnと定める。板幅中心Cnは、図中に示すように各瞬間での板幅変動に応じて変動することになる。この例では板幅中心Cnをエッジドロップ計測の基準としても、板端を基準とした時と全く同じ結果となる。しかし実際の板において、左右両端の板端形状は不揃いである。従って板幅を計測する事で板幅中心Cnを定めても、板幅中心Cnは変動する事になる。変動した板幅中心Cnをエッジドロップ計測の基準としても、最終ユーザ側で問題の生じる場合のあることは前述した通りである。
【0058】
以上はエッジドロップ量の少ない板を要求される場合、特に問題となる。例えば、電磁鋼板等が該当する。
【0059】
しかしながら、本実施例2によれば、サイドトリマー9によりトリミングを行った後にエッジドロップを測定するため、板幅はトリミングの後で略一定となっており板幅及び板端形状の変動を考慮する必要がない。従ってエッジドロップ制御が簡単になり、高精度な制御が可能となる。更に板端から板端に最も近いエッジドロップ評価点までの範囲を除き、エッジドロップ量の保証された高品質な製品の提供が可能になる。これにより、特に電磁鋼板等の要求エッジドロップ量の厳しい圧延設備の提供が達成される。
【0060】
なお、「最良の形態」、「実施例1」及び「実施例2」では、それぞれ単独にエッジドロップ計2a,2b,2cを設置する例を示したが、これに限らず、例えば「最良の形態」及び「実施例1」、「実施例1」及び「実施例2」、「最良の形態」及び「実施例2」、あるいは「最良の形態」、「実施例2」及び「実施例2」において示したエッジドロップ計2a,2b,2cの配置を併用して圧延を行ってもよい。
【実施例3】
【0061】
本発明の実施例3による冷間連続圧延設備は、計測エッジドロップデータの短周期的変動成分を除去し、長周期的変動成分に対して制御するものである。
【0062】
上述した本発明の「最良の形態」及び「実施例1」及び「実施例2」は、エッジドロップの計測データの変動、特に短周期的変動成分の発生を抑制し、エッジドロップ制御を容易且つ高精度な精度を達成する配置に関する説明である。一方、本実施例では上記配置に基づきこれを有効に活用した制御装置に関し説明する。特に従来の公知例では、計測されたエッジドロップデータの処理方法に関して開示はなされていない。
【0063】
1コイル内でのエッジドロップ変動の一例を図7に示す。図7は、横軸に5スタンドタンデム圧延による最終出側換算での圧延長さを、縦軸にこれと同期させ対応した圧延前におけるワークサイドにおけるエッジドロップ量E−WS及びドライブサイド側におけるエッジドロップ量E−DSを示した。入り側及び製品板厚は、各々公称2.3mm及び0.64mmであり、一般炭素鋼での圧延における一例である。
【0064】
本図より、ワークサイド側エッジドロップ量E−WS及びドライブサイド側エッジドロップ量E−DSは各々異なっており、変化量が大きく長周期的に変動する成分と、変化量は小さいが短周期的に激しく変動する成分が観察できる。これに対し作業ロールシフトによりエッジドロップを制御する場合は、シフト速度が遅いため、短周期的変動成分の変動に対して十分な応答ができない。通常のシフト速度は、2mm/sec程度以下である。
【0065】
また一般の出側圧延速度は600m/min乃至1200m/min程度であり、シフト速度に対し遥かに圧延速度のほうが大きい。これにより、エッジドロップの短周期的変動成分の変動に対してFF制御を実施しても、作業ロールシフトで十分対応できないことは明らかである。逆にシフトの応答遅れにより、制御系が発散したり、変動を拡大したりする場合がある。
【0066】
上記に対し、短周期的変動成分を除去した一例を図8に示す。図8の太線INVentDは、入り側ドライブサイドのエッジドロップ変動の出側圧延換算長さL=約1500mに対しフーリエ変換を施し、前記解析範囲に対する3周期成分以上の変動成分を除去した例である。細線EDentDで、同じ区間における計測エッジドロップデータを参考として示した。このようにすれば、短周期的変動成分を除去し、制御が簡単な長周期的変動成分を取り出すことができる。
【0067】
従って、本実施例3によれば、計測エッジドロップデータの短周期的変動成分を除去し、長周期的変動成分に対してFF制御を実施することで、応答遅れの小さい、確実且つ高精度なエッジドロップ制御が可能になる。
【0068】
また、除去された短周期的変動成分の変動量は、長周期的変動成分の変動量より比較的小さいことが多い。図8の例では、長周期的変動成分の変動量はコイル全長では15μm程度であるのに対し、この周りの短周期的変動成分の変動量は3μm程度である。3μm程度の短周期的変動成分変動量の最終エッジドロップ量に及ぼす影響は、図4に照らし合わせて考えると1μm程度となり極めて小さく、問題視されない。
【0069】
本実施例3の作用は、短周期的変動を除去(以下、平滑化処理)した変動成分に対して、制御を実施することにより得られる。上記のような平滑化処理はフーリエ変換の他にも、例えば移動平均処理、2次又は3次などの低次数関数を用いた区間近似法でも可能である。これらの平滑化処理は、一般文献などで良く知られている手法を採用すればよい。
【0070】
更にフーリエ変換において除去する変動成分範囲は、経験または実際の計測データから判断すればよく、特に問題とならない。移動平均における移動平均幅の設定も、同様である。図9の太線MAentDに移動平均による移動平均幅を出側圧延長さ換算で200mとして処理した例を示す。また、細線EDentDで、同じ区間における移動平均を参考として示した。何れでも短周期的変動成分は、良く除去されていることが分かる。
【0071】
しかし、計測データに対し前記のような処理を行うためには、圧延前の計測データを所定時間記録することが必要となる。従ってエッジドロップ計の設置位置は、圧延前にデータを所定時間記録可能な所とする。このような設置場所としては、圧延機の前に設置されたルーパよりも入り側に設置するのが好適である。これにより、ルーパの貯蔵長さに応じた板長手方向のエッジドロップデータの記録及び保持が可能となる。また、平滑化処理を行う処理時間の確保も可能となる。
【0072】
以上のような処理を実施することにより、応答遅れの小さい制御系が実現でき、高精度且つ確実な制御が可能になることは前述した通りである。更にこの結果を作業ロール位置のプリセット、FF制御等に反映できることは、特許文献1の場合と同様である。
【実施例4】
【0073】
本発明の実施例4により、上記の計測エッジドロップデータの短周期的変動成分を除去したデータをFF制御に適用した例を図10により説明する。X線エッジドロップ計2cをサイドトリマー9とテンションブライドルロール3との間に設置し、サイドトリマー9の出側には、トリミング時の板振動を抑制するピンチロール19、溶接点検出器4cを順に配置した。特にピンチロール19にはセルシン等が設置してあり、このロールの回転を測定して板の走行距離を求めるようになっている。
【0074】
ピンチロール19、溶接点検出器4c及びX線エッジドロップ計2cの出力は、トラッキング装置16に入力される。トラッキング装置16では、板の溶接点を零とした板の走行距離に対するエッジドロップ量の計測データが、逐次トラッキングされて記録される。記録されたデータは平滑化装置17に入力され、長周期的変動成分が分離され取り出される。長周期的変動成分はシフト設定装置18に入力され、これに基づいて作業ロールシフトミル10の上下作業ロールシフト位置がそれぞれ設定及び制御される。
【0075】
なお図10において、上下作業ロール各々に対するシフト位置指令信号ΔSEは2本の線で示し、エッジドロップの計測は、板幅の両端で計測され、それぞれ独立に制御することを表している。但し、計測信号線E’は一本線で表示している。
【0076】
シフト設定装置18で設定及び制御されるシフト位置に関し、以下式を用いて簡単に説明する。
【0077】
∂e/∂E:入り側エッジドロップの変化量が出側エッジドロップの変化量に及ぼす影響係数
【0078】
∂e/∂S:シフトスタンドの作業ロールシフト量が出側エッジドロップの変化量に及ぼす影響係数
【0079】
ここで入り側エッジドロップの長周期的変動成分の変化量ΔE、及びこれを制御するためのシフト位置指令信号となるシフト位置変化量ΔSEは、以下のように制御すればよい。
【0080】
【数2】

【0081】
前記影響係数は、例えば実測データなどから簡単に求められる。更に、記録され平滑化された部分の圧延が終了する時には、新たなエッジドロップデータが記録されている。これに対して平滑化処理を行い、FF制御を継続することは当然である。
【0082】
以下、ΔEについて補足する。現在の時刻をT、また次の制御指令をΔT後とし、時刻Tにおけるエッジドロップ量をE(T)、またΔT後のエッジドロップ量をE(T+ΔT)とすると、ΔEは次の意味となる。
【0083】
【数3】

【0084】
但し、本実施例において使用するエッジドロップデータE(t)は平滑化処理された後のものであるから、計測データそのものとは異なる。即ち計測された入り側エッジドロップ時系列データをE’(t)とすると、本実施例におけるエッジドロップのE(t)は以下の意味となる。
【0085】
【数4】

【0086】
なお、図10には、FB制御を実施した場合も示した。FB制御の場合、出側計測エッジドロップ量e及び目標エッジドロップ量e0の差をFB制御装置20により、以下のようになるように制御シフト変化量ΔSeを決定する。
【0087】
【数5】

【0088】
FF及びFB制御を同時に実施する場合は、図9のようにΔSe及びΔSEを加算してシフト位置制御する。
【0089】
以上は、主にFF制御装置を説明した。この場合エッジドロップ量は、板長手方向に対し同じ計測点を連続的に計測することが望ましい。これに対し、シフトミルのロール位置をプリセットするために使用する場合は、必ずしも連続的にエッジドロップを計測する必要はない。
【0090】
例えば、エッジドロップ計を走行式エッジドロップ計とする。走行式エッジドロップ計は測定端子を板幅方向に走行可能としたエッジドロップ計であり、即ちX線発生端子及び受信端子を必要な計測区間で板幅方向に往復動作させ、エッジドロップ量を計測する。このようにすれば、左右板端の2箇所を計測する場合、X線受発進端子は2個で済む。これにより、エッジドロップ計の計測端子数の削減が可能となり、設備費の低減ができる。
【0091】
走行式エッジドロップ計を用いる場合、例えばX15及びX115で計測された板厚について所定板長さ分を記憶して各々の平均を求める。次に平均板厚の差を求め、これを平均エッジドロップ量とする。平均エッジドロップ量に基づき、次コイル(板)の作業ロールシフトを決定してプリセットする。従って、走行式エッジドロップ計を用いても、板の走行を停止する必要はない。逆に板を走行させることで、圧延長さ方向のより長い区間での平均が得られ好適といえる。
【0092】
更にシフト位置をプリセットする場合、平均エッジドロップ量に基づき実施することは重要である。溶接点前後は、熱延における板の先後端にあたり、非定常な圧延となる。これにより、エッジドロップの変化量は、他の部分より大きくなる例が多い。このような計測された大きな変動成分の一点に基づきシフト位置をプリセットした場合、シフト位置が過大または過小になる確率が高くなる。
【0093】
前述した変動成分に基づいた位置から適正なシフト位置に変更する場合、シフトの対応が遅く、うまく制御されない部分が長くなる弊害が発生する。これに対し、変動成分の平均エッジドロップ量に基づいてプリセットすれば、うまく制御されない部分が長くなる問題は極力回避できる。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明は、板圧延において複数の圧延機で連続的に圧延する冷間連続圧延設備に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明に係る冷間連続圧延設備の一例を示す説明図である。
【図2】板が傾いた状態で板厚を測定することで誤差が生じる例を示す説明図である。
【図3】図2においてH=2.5mmとした時の計測誤差を示すグラフである。
【図4】圧延によるエッジドロップの変化を示すグラフである。
【図5】エッジドロップを示す断面図である。
【図6】板端形状が変動する例を示す説明図である。
【図7】1コイル内でのエッジドロップの変動例を示すグラフである。
【図8】エッジドロップデータの短周期的変動成分を除去した例を示すグラフである。
【図9】移動平均における移動平均幅を出側圧延長さ換算で200mとして処理した例を示すグラフである。
【図10】本発明の実施例4による冷間連続圧延設備のFF制御の例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0096】
1 板
2a,2b,2c,2d X線エッジドロップ計
3 テンションブライドルロール
4a,4b,4c,4d 溶接点検出器
7 テンションレベラー
8 酸洗設備
9 サイドトリマー
10 作業ロールシフトミル
11 タンデム圧延機
15 ルーパ
16 トラッキング装置
17 平滑化装置
18 シフト設定装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の熱延コイルを接合し、接合された前記熱延コイルの歪みをテンションレベラーで矯正し、酸洗設備に通過させて表面スケールを除去し、2台以上の圧延機で連続的に圧延する設備を備え、且つ前記圧延機として先端に先細りのロールクラウンを設けた上下作業ロールを移動可能とした作業ロールシフトミルを1台以上配置した冷間連続圧延設備において、前記テンションレベラーと前記酸洗設備入り側に設けられたテンションブライドルロール間にエッジドロップ計を設けたことを特徴とする冷間連続圧延設備。
【請求項2】
複数の熱延コイルを接合し、接合された前記熱延コイルを酸洗設備に通過させて表面スケールを除去し、2台以上の圧延機で連続的に圧延する設備を備え、且つ前記圧延機として先端に先細りのロールクラウンを設けた上下作業ロールを移動可能とした作業ロールシフトミルを1台以上配置した前記冷間連続圧延設備において、前記酸洗設備と前記酸洗設備出側に設けられたテンションブライドルロール間にエッジドロップ計を設けたことを特徴とする冷間連続圧延設備。
【請求項3】
複数の熱延コイルを接合し、接合された前記熱延コイルを酸洗設備に通過させて表面スケールを除去し、サイドトリマーにて板端を切り落とし、2台以上の圧延機で連続的に圧延する設備を備え、且つ前記圧延機として先端に先細りのロールクラウンを設けた上下作業ロールを移動可能とした作業ロールシフトミルを1台以上配置した冷間連続圧延設備において、サイドトリマーと前記サイドトリマー出側に設けられたテンションブライドルロール間にエッジドロップ計を設けたことを特徴とする冷間連続圧延設備。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の冷間連続圧延設備において、前記エッジドロップ計が走行式エッジドロップ計であることを特徴とする冷間連続圧延設備。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の冷間連続圧延設備において、前記エッジドロップ計の前後いずれかの近傍に溶接点検出器及び走行距離計を設けたことを特徴とする冷間連続圧延設備。
【請求項6】
請求項5記載の冷間連続圧延設備において、前記溶接点検出器及び前記走行距離計により取得したデータに基づき前記エッジドロップ計の検出データをトラッキングするトラッキング装置と、エッジドロップ計の検出データを平滑化する平滑化装置と、平滑化装置からの出力に基づき前記作業ロールシフトミルのロールシフト位置を設定するシフト設定装置とを設けたことを特徴とする冷間連続圧延設備。
【請求項7】
請求項1又は請求項2記載の冷間連続圧延設備において、前記エッジドロップ計の計測データに基づきサイドトリマーの板端トリミング量を決定することを特徴とする冷間連続圧延設備。
【請求項8】
請求項6記載の冷間連続圧延設備において、前記平滑化装置からの出力に基づき前記作業ロールシフトミルのロールシフト位置をプリセットすることを特徴とする冷間連続圧延設備。
【請求項9】
請求項6記載の冷間連続圧延設備において、前記平滑化装置から出力されたエッジドロップデータに基づき、前記シフト設定装置により上下作業ロールのシフト位置をフィードフォワード制御することを特徴とする冷間連続圧延設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−245215(P2007−245215A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−74022(P2006−74022)
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【出願人】(502251784)三菱日立製鉄機械株式会社 (130)
【Fターム(参考)】