説明

処理実行装置、処理実行方法及び処理実行プログラム

【課題】
格段と簡易に処理を実行させることができるようにする。
【解決手段】
この音楽再生ロボット装置1は、楕円体状筐体2が持ち上げられた際重力のかかっている重力方向D3を検出し、当該検出した重力方向D3に対する筐体振り動かし方向を認識するようにしたことにより、ユーザによって持たれている楕円体状筐体2の姿勢がいかなる場合であっても、この楕円体状筐体2を振り動かすユーザから見た筐体振り動かし方向を正確に認識することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は処理実行装置、処理実行方法及び処理実行プログラムに関し、例えば、筐体の振り動かされる筐体振り動かし方向に応じて処理を実行する処理実行装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種の処理実行装置として、その筐体から見てどの方向に筐体が振り動かされたかを認識し、当該認識した筐体振りかし方向に応じて処理を実行するようになされたものがある。例えばこの処理実行装置は、筐体から見て右方向に筐体が振り動かされると、この右方向に応じた処理を実行する。
【特許文献1】特開2004−334642公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところでかかる構成の処理実行装置に右方向に応じた処理を実行させたいユーザが、左右逆さまの姿勢で筐体を持ってしまうと、これを考慮して筐体を左方向に振り動かす又は筐体を正しい姿勢で持ち直す等の作業が必要となり、その結果簡易に所望の処理を実行させることができるとは言い難い問題があった。
【0004】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、格段と簡易に処理を実行させることができる処理実行装置、処理実行方法及び処理実行プログラムを提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる課題を解決するため本発明においては、筐体の振り動かされる筐体振り動かし方向を認識する方向認識部と、方向認識部により認識した筐体振り動かし方向に応じて処理を実行する処理実行部とを設け、方向認識部は、筐体が持たれている際に検出した重力方向に対する筐体振り動かし方向を認識するようにした。
【0006】
これにより、ユーザによって持たれている筐体の姿勢がいかなる場合であっても、この筐体を振り動かすユーザから見た筐体振り動かし方向を正確に認識することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、筐体が持たれている際に検出した重力方向に対する筐体振り動かし方向を認識するようにしたことにより、当該持たれている筐体の姿勢がいかなる場合であっても、この筐体を振り動かすユーザから見た筐体振り動かし方向を正確に認識することができる。この結果、格段と簡易に処理を実行させることができる処理実行装置を実現し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0009】
(1)音楽再生ロボット装置の構成
図1において、1は全体として音楽再生ロボット装置を示し、この音楽再生ロボット装置1は、例えば楕円体状でなる楕円体状筐体2を有する。
【0010】
またこの音楽再生ロボット装置1は、図2にも示すように、楕円体状筐体2の中心点P1からこの楕円体状筐体2表面の最も遠い両頂点P2、P3を直線で結ぶ水平回転軸線L1に対し中心点P1から等距離の位置で直交する左側垂直面S1上及び右側垂直面S2上において、楕円体状筐体2の外周に沿って一周するように突出して形成されることにより円環状かつ同形に構成された左側車輪3及び右側車輪4を有し、この左側車輪3及び右側車輪4は、水平回転軸線L1の軸回り方向D1に回転可能に構成されている。
【0011】
さらにこの楕円体状筐体2は、左側車輪3及び右側車輪4の間に設けられた中央筐体5と、中央筐体5の左側に設けられ且つこの中央筐体5側から左端に近づくほど水平回転軸線L1側にすぼむようにして構成された左側筐体6と、中央筐体5の右側に設けられ且つこの中央筐体5側から右端に近づくほど水平回転軸線L1側にすぼむようにして構成された右側筐体7とを有する。
【0012】
中央筐体5はその内部下側に、水平回転軸線L1の軸回り方向D1に回転してしまうことを抑制するための重り8を有する。またこの中央筐体5の表面には、図3にも示すように、指や手等が接触したことを検知するための接触検知センサ部9が設けられている。因みに本実施の形態の場合この接触検知センサ部9は、例えば、中央筐体5表面における指先大の領域に接触した指や手等を検知するようになされている。
【0013】
一方左側筐体6は、中央筐体5に対して水平回転軸線L1の軸回り方向D1に回転可能に構成された左側回転体10と、この左側回転体10の左側にヒンジ部11を介して設けられることにより左側外方へ開閉可能に構成された左側開閉体12とを有する。この左側回転体10はその表面に、光を発する発光部13が設けられている。また左側開閉体12はその内部にスピーカ14を有し、ヒンジ部11を介して左側外方に開いた際、図1(B)に示すようにこのスピーカ14が外部に露出するようになされている。
【0014】
また同様に右側筐体7は、中央筐体5に対して水平回転軸線L1の軸回り方向D1に回転可能に構成された右側回転体15と、この右側回転体15の右側にヒンジ部16を介して設けられることにより右側外方へ開閉可能に構成された右側開閉体17とを有する。この右側回転体15はその表面に、光を発する発光部18が設けられている。また右側開閉体17はその内部にスピーカ19を有し、ヒンジ部16を介して右側外方に開いた際、図1(B)に示すようにこのスピーカ19が外部に露出するようになされている。
【0015】
次にこの楕円体状筐体2内に設けられた各回路を、図4を用いて説明する。この音楽再生ロボット装置1全体を統括的に制御する制御部20は加速度センサ部21により、楕円体状筐体2がユーザの手によって床などから持ち上げられた旨を検知する。
【0016】
そしてこの制御部20は、楕円体状筐体2がユーザの手によって床などから持ち上げられた旨を検知した後、中央筐体5の表面に設けられた接触検知センサ部9に対してユーザの指や手等が接触したことを検知し、かつ、加速度センサ部21により楕円体状筐体2が所定値以上の加速度で振り動かされていることを検知すると、楕円体状筐体2の振り動かされている筐体振り動かし方向を判定するための振り方向判定処理を実行する。
【0017】
例えばこの振り方向判定処理において制御部20は加速度センサ部21により、筐体振り動かし方向が音楽を再生するように命令する方向であることを認識すると、音楽を再生するように命令する再生制御命令が入力されたと判断する。
【0018】
これに応じてこの制御部20は、記憶部26に記憶された音楽データを読み出し、当該読み出した音楽データに基づく音楽を音楽処理部22及びスピーカ14、19を順次介して出力する。このようにして音楽再生ロボット装置1は、記憶部26に記憶されている音楽データに基づいて音楽をスピーカ14、19から出力する音楽再生処理を実行することができる。
【0019】
続いて制御部20は加速度センサ部21により、左側車輪3及び右側車輪4の両方を床に接触させるようにして楕円体状筐体2が床に置かれた旨を検知すると、音楽再生処理している音楽の曲調(テンポや音程等)に応じて楕円体状筐体2の各部を動作させる再生曲調動作処理を実行する。
【0020】
つまりこの再生曲調動作処理において制御部20は、音楽再生処理している音楽の曲調に応じて車輪駆動部23を制御することにより、円環状かつ同形に構成された左側車輪3及び右側車輪4を水平回転軸線L1の軸回り方向D1に回転駆動する。これにより音楽再生ロボット装置1は、スピーカ14、19から出力されている音楽の曲調に同期するように床などの上を安定して走行することができる。
【0021】
またこの再生曲調動作処理において制御部20は、音楽再生処理している音楽の曲調に応じて回転体駆動部24を制御することにより左側回転体10及び右側回転体15を回転駆動し、これにより中央筐体5側から左端に近づくほど水平回転軸線L1側にすぼむようにして構成された左側筐体6と中央筐体5側から右端に近づくほど水平回転軸線L1側にすぼむようにして構成された右側筐体7とを水平回転軸線L1の軸回り方向D1に回転させる。これにより音楽再生ロボット装置1は、左側車輪3及び右側車輪4による走行に支障をきたさないようにして、スピーカ14、19から出力されている音楽の曲調に同期するように左側筐体6及び右側筐体7を回転させることができる。
【0022】
さらにこの再生曲調動作処理において制御部20は、音楽再生処理している音楽の曲調に応じて開閉体駆動部25を制御することにより、左側開閉体12及び右側開閉体17を左側外方及び右側外方へ開閉動作させる。これにより音楽再生ロボット装置1は、スピーカ14、19から出力されている音楽の曲調に同期するように左側開閉体12及び右側開閉体17を開閉させることができる。
【0023】
さらにこの再生曲調動作処理において制御部20は、音楽再生処理している音楽の曲調に応じて発光部13、18を介して光を発する。これにより音楽再生ロボット装置1は、スピーカ14、19から出力されている音楽の曲調に同期するようにして光を発することができる。
【0024】
かくしてこの音楽再生ロボット装置1は、スピーカ14、19から出力している音楽の曲調に応じて床などの上を踊るように動作することができ、この結果格段とエンターテイメント性を向上させることができる。
【0025】
(2)音楽再生制御処理手順
次に、図5に示すフローチャートを用いて、楕円体状筐体2の筐体振り動かし方向に応じて音楽再生を制御する音楽再生制御処理手順RT1について具体的に説明する。
【0026】
音楽再生ロボット装置1の制御部20は、例えば電源がONされた後ステップSP1に移り、楕円体状筐体2が床から持ち上げられたか否かを判定するための持上判定処理を実行する。
【0027】
次いでこの制御部20は、かかる持上判定処理の結果楕円体状筐体2が床から持ち上げられていることを認識すると、ステップSP2において肯定結果を得てステップSP3に移る。
【0028】
このステップSP3において制御部20は、再生曲調動作処理を現在実行しているか否かを判定する。このステップSP3において否定結果が得られると、このことは、車輪3、4や回転体10、15や開閉体12、17等を動作させていない状態であることを意味しており、このとき制御部20はステップSP5に移る。
【0029】
これに対してステップSP3において肯定結果が得られると、このことは、車輪3、4や回転体10、15や開閉体12、17等を動作させている状態であることを意味しており、このとき制御部20はステップSP4に移って再生曲調動作処理を終了した後ステップSP5に移る。これにより音楽再生ロボット装置1は、ユーザにより持ち上げられているとき、車輪3、4や回転体10、15や開閉体12、17等の動作を停止することができる。
【0030】
そしてこのステップSP5において制御部20は、加速度センサ部21により楕円体状筐体2にかかる重力方向を検出し、次のステップSP6に移る。このようにして制御部20は、楕円体状筐体2が持ち上げられた際重力のかかっている重力方向を検出するようになされている。
【0031】
ステップSP6において制御部20は、接触検知センサ部9によりユーザの手や指等が接触した旨を検知し、かつ、加速度センサ部21により楕円体状筐体2が所定値以上の加速度で振り動かされている旨を検知すると、ユーザが楕円体状筐体2を振り動かすことにより再生制御命令を入力している状態であると判断し、ステップSP7に移って振り方向判定処理を実行する。因みにこのステップSP6において、ユーザの手や指等が接触した旨又は楕円体状筐体2が所定値以上の加速度で振り動かされている旨を検知しない場合、上述したステップSP1へ戻るようになされている。
【0032】
このステップSP7の振り方向判定処理において制御部20は加速度センサ部21により、ステップSP5において検出した重力方向に対する楕円体状筐体2の筐体振り動かし方向を認識し、当該認識した筐体振り動かし方向が例えば音楽を再生するように命令する方向であることを認識すると、音楽を再生するように命令する再生制御命令が入力されたと判断し、上述したステップSP1に移る。
【0033】
これによりこの制御部20はステップSP1において、楕円体状筐体2が床から持ち上げられたか否かを判定するための持上判定処理を再度実行する。そしてこのステップSP1に続くステップSP2おいて否定結果が得られると、このことは、左側車輪3及び右側車輪4の両方を床に接触させるようにして楕円体状筐体2が床に置かれたことを意味しており、このとき制御部20はステップSP8に移る。
【0034】
このステップSP8において制御部20は、予め設定されているモードが、再生曲調動作処理を実行する再生曲調動作モードであるか否かを判定する。このステップSP8において否定結果が得られると、このことは、音楽再生ロボット装置1が再生曲調動作モードに設定されていないことを意味しており、このとき制御部20はステップSP9に移って、記憶部26に記憶されている音楽データに基づいて音楽を再生する音楽再生処理のみを実行開始し、上述のステップSP1に戻る。
【0035】
これに対してステップSP8において肯定結果が得られると、このことは、音楽再生ロボット装置1が再生曲調動作モードに設定されていることを意味しており、このとき制御部20はステップSP10に移って、音楽再生処理と、この音楽再生処理している音楽の曲調に応じて楕円体状筐体2の各部を動作させる再生曲調動作処理とを実行開始し、上述のステップSP1に戻るようになされている。
【0036】
次に、図6に示すフローチャートを用いて、音楽再生制御処理手順RT1のステップSP1において実行する持上判定処理手順RT2を具体的に説明する。
【0037】
ステップSP21において音楽再生ロボット装置1の制御部20は、加速度センサ部21により楕円体状筐体2における水平回転軸線方向D2の重力加速度値を検知し、当該検知した重力加速度値が所定範囲内にあるか否かを判断する。因みに本実施の形態の場合この重力加速度は、楕円体状筐体2にかかる重力により生じる加速度に相当する。
【0038】
このステップSP21において否定結果が得られると、このことは、水平回転軸線方向D2の重力加速度が変化していることから楕円体状筐体2の姿勢が傾いていることを意味しており、このとき制御部20は、左側車輪3及び右側車輪4の両方が床に接触し続けている状態ではないと判断してステップSP22に移り、楕円体状筐体2が持ち上げらたと認識した後、終了ステップSP23に移って持上判定処理手順RT2を終了する。
【0039】
これに対してステップSP21において肯定結果が得られると、このことは、楕円体状筐体2の姿勢が傾いていないことを意味しており、このとき制御部20はステップSP24に移る。
【0040】
このステップSP24において制御部20は、加速度センサ部21によりその他方向を含む加速度値を検知し、当該検知した加速度値が所定範囲以内か否かを判断する。因みに本実施の形態の場合この加速度は、楕円体状筐体2にかかる外力により生じる加速度に相当する。
【0041】
このステップSP24において否定結果が得られると、このことは、楕円体状筐体2が何らかの方向へある程度動いていることを意味しており、このとき制御部20は、この楕円体状筐体2の動きを例えばユーザの手ぶれと判断してステップSP22に移り、楕円体状筐体2が持ち上げられていると認識した後、終了ステップSP23に移って持上判定処理手順RT2を終了する。
【0042】
これに対してステップSP24において肯定結果が得られると、楕円体状筐体2がどの方向にもほぼ動いていないことを意味しており、このとき制御部20はステップSP25に移る。
【0043】
このステップSP25において制御部20は、検知している加速度値が所定範囲以内のまま、所定時間(例えば数秒間)が経過したか否かを判断する。
【0044】
このステップSP25において否定結果が得られると、このことは、この所定時間の間に楕円体状筐体2が何らかの方向へある程度動いていることを意味しており、このとき制御部20は、この楕円体状筐体2の動きを例えばユーザの手ぶれと判断してステップSP22に移り、楕円体状筐体2が持ち上げられていると認識した後、終了ステップSP23に移って持上判定処理手順RT2を終了する。
【0045】
これに対してステップSP25において肯定結果が得られると、この所定時間の間に楕円体状筐体2がどの方向にもほぼ動いていないことを意味しており、従ってこのとき制御部20はステップSP26に移って、左側車輪3及び右側車輪4の両方を接触させるようにして楕円体状筐体2が床などの平坦部に置かれていると認識した後、終了ステップSP23に移って持上判定処理手順RT2を終了する。
【0046】
次に、図3及び図7に示すフローチャートを用いて、音楽再生制御処理手順RT1のステップSP7において実行する振り方向判定処理手順RT3を具体的に説明する。
【0047】
ステップSP31において音楽再生ロボット装置1の制御部20は、上述のステップSP5において検出した重力方向D3に対する筐体振り動かし方向の角度を計算する。
【0048】
次いでこの制御部20はステップSP32において、ステップSP31で計算した角度が45°以下であるか否かを判定する。このステップSP32において肯定結果が得られると、このことは、ユーザによって持たれている楕円体状筐体2がこのユーザから見てほぼ下方向に振り動かされたことを意味しており、このとき制御部20はステップSP33に移って、筐体振り動かし方向を下方向と判断し、この結果例えば音楽を巻き戻す再生制御命令が入力されたと認識し、終了ステップSP34に移って振り方向判定処理を終了する。かくしてこの後制御部20は、例えば再生している音楽を巻き戻す音楽再生制御処理を実行するようになされている。
【0049】
これに対してステップSP32において否定結果が得られると、このことは、ユーザによって持たれている楕円体状筐体2がこのユーザから見て下方向以外の方向に振り動かされたことを意味しており、このとき制御部20はステップSP35に移って、ステップSP31で計算した角度が135°以下であるか否かを判定する。
【0050】
このステップSP35において肯定結果が得られると、このことは、ユーザによって持たれている楕円体状筐体2がこのユーザから見てほぼ横方向に振り動かされたことを意味しており、このとき制御部20はステップSP36に移って、筐体振り動かし方向を横方向と判断し、この結果例えば音楽を再生又は停止する再生制御命令が入力されたと認識し、終了ステップSP34に移って振り方向判定処理を終了する。かくしてこの後制御部20は、例えば音楽再生を開始する又は音楽再生を停止する音楽再生制御処理を実行するようになされている。
【0051】
これに対してステップSP35において否定結果が得られると、このことは、ユーザによって持たれている楕円体状筐体2がこのユーザから見てほぼ上方向に振り動かされたことを意味しており、このとき制御部20はステップSP37に移って、筐体振り動かし方向を上方向と判断し、この結果例えば音楽を早送りする再生制御命令が入力されたと認識し、終了ステップSP34に移って振り方向判定処理を終了する。かくしてこの後制御部20は、例えば再生している音楽を早送りする音楽再生制御処理を実行するようになされている。
【0052】
(3)動作及び効果
以上の構成においてこの音楽再生ロボット装置1は、楕円体状筐体2の振り動かされる筐体振り動かし方向を認識し、当該認識した筐体振り動かし方向に応じて音楽再生制御処理(音楽再生、音楽再生停止、音楽巻き戻し、音楽早送り等)を実行する。
【0053】
ここでこの音楽再生ロボット装置1は、楕円体状筐体2が持ち上げられた際重力のかかっている重力方向D3を検出し、当該検出した重力方向D3に対する筐体振り動かし方向を認識するようにした。
【0054】
これによりこの音楽再生ロボット装置1は、ユーザによって持たれている楕円体状筐体2の姿勢がいかなる場合であっても、この楕円体状筐体2を振り動かすユーザから見た筐体振り動かし方向を正確に認識することができる。
【0055】
この結果ユーザは、楕円体状筐体2を持ち上げた際その姿勢を考慮せずにこの楕円体状筐体2を振り動かしても、当該振り動かした方向に応じた音楽再生制御処理を音楽再生ロボット装置1に実行させることができ、かくして格段と簡易に音楽再生制御処理を実行させることができる音楽再生ロボット装置1を実現し得る。
【0056】
以上の構成によれば、楕円体状筐体2が持ち上げられた際重力のかかっている重力方向D3を検出し、当該検出した重力方向D3に対する筐体振り動かし方向を認識するようにしたことにより、ユーザによって持たれている楕円体状筐体2の姿勢がいかなる場合であっても、この楕円体状筐体2を振り動かすユーザから見た筐体振り動かし方向を正確に認識することができる。この結果、格段と簡易に音楽再生制御処理を実行させることができる音楽再生ロボット装置1を実現し得る。
【0057】
また本実施の形態の場合この音楽再生ロボット装置1の記憶部26には、音楽データに対応するようにしてこの音楽のテンポを示すテンポ情報(いわゆるBMP(Beat Per Minute))が記憶されている。そしてこの音楽再生ロボット装置1の制御部20は加速度センサ部21により、音楽を再生するように命令する筐体振り動かし方向へ所定時間(例えば数秒間)の間に振られた回数を認識し、当該認識した回数に応じたテンポ情報が対応付けられている音楽データを、記憶部26から読み出して音楽再生処理するようになされている。これによりこの音楽再生ロボット装置1は、音楽を再生するように命令する筐体振り動かし方向へ速く振り動かされると、これに応じてテンポの速い音楽データを再生し、これに対して音楽を再生するように命令する筐体振り動かし方向へゆっくり振り動かされると、これに応じてテンポの遅い音楽データを再生することができる。
【0058】
また本実施の形態の場合この音楽再生ロボット装置1の制御部20は、例えば、楕円体状筐体2が振り動かされることにより音楽を再生するように命令する再生制御命令が入力された際、これに応じて音楽を再生するように命令する再生制御命令を受け付けた旨をユーザに通知するための通知処理を実行する。この通知処理において制御部20は、当該受け付けた再生制御命令に応じた点灯方法で発光部13、18を点灯し、又、当該受け付けた再生制御命令に応じた音楽を音楽処理部22及びスピーカ14、19を介して出力する。これによりユーザは、楕円体状筐体2を振り動かすことによって入力した再生制御命令を確認することができる。
【0059】
(4)他の実施の形態
上述した実施の形態においては、例えば図8(A)及び(B)に示すような、筐体振り動かし方向に応じた処理を実行する処理実行装置30として、筐体振り動かし方向に応じた音楽再生制御処理を実行する音楽再生ロボット装置1を適用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、筐体振り動かし方向に応じた映像再生制御処理を実行する装置や、電子機器に対して制御命令を遠隔入力するリモートコントローラや、この他種々の装置に対して本発明を適用することができる。
【0060】
また上述した実施の形態においては、例えば図8(A)に示すような、ユーザにより振り動かされる筐体31として、楕円体状でなる楕円体状筐体2を適用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば、円柱形状や立方体状等の種々の形状の筐体を適用するようにしても良い。
【0061】
また上述した実施の形態においては、例えば図8(A)に示すような、筐体31を載置するための載置部32として、左側車輪3及び右側車輪4を適用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、載置された際に床や地面などに接して筐体を支える部分であれば、台座等のこの他種々の構造を適用することができる。
【0062】
また上述した実施の形態においては、例えば図8(B)に示すような、筐体の振り動かされる筐体振り動かし方向を認識する方向認識部33として、加速度センサ部21及び制御部20を適用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、この他種々の構成を適用することができる。
【0063】
また上述した実施の形態においては、例えば図8(B)に示すような、方向認識部33により認識した筐体振り動かし方向に応じて処理を実行する処理実行部34として、音楽再生制御処理を実行する制御部20及び音楽処理部22を適用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、映像データの映像再生を制御する映像再生制御処理や文章を入力する処理等のこの他種々の処理を実行する処理実行部を適用することができる。
【0064】
また上述した実施の形態においては、例えば図8(B)に示すような、筐体31にかかる加速度値を検出する加速度検出部35、及び加速度検出部35により検出した加速度値が所定値以上になった場合筐体31にかかる重力方向を検出する重力方向検出部36として、3次元の加速度を検出し得る3軸加速度センサ等に相当する加速度センサ部21を適用し、さらに重力方向検出部36により検出した重力方向に対する筐体振り動かし方向の角度を検出する角度検出部37として、制御部20を適用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、この他種々の構成を適用することができる。
【0065】
また上述した実施の形態においては、例えばパーソナルコンピュータ等の外部装置から供給される音楽データを記憶しておく記憶部26として、半導体メモリを適用することを想定したが、本発明はこれに限らず、CD(Compact Disc)やMD(Mini Disc)やハードディスクドライブ等の記録媒体を適用するようにしても良い。
【0066】
また上述した実施の形態においては、音楽再生ロボット装置1にインストールされたプログラムに従って、制御部20が音楽再生制御処理手順RT1や持上判定処理手順RT2や振り方向判定処理手順RT3をソフトウェア的に実行する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、音楽再生制御処理手順RT1や持上判定処理手順RT2や振り方向判定処理手順RT3を実行するための回路を音楽再生ロボット装置1に設け、この回路によりこれら処理RT1〜3をハードウェア的に実行するようにしても良い。また、音楽再生制御処理手順RT1や持上判定処理手順RT2や振り方向判定処理手順RT3を実行するためのプログラムをCD等の記録媒体に記録しておくようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、例えば、筐体の振り動かされる筐体振り動かし方向に応じて音楽再生制御処理を実行する音楽再生ロボット装置などに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本実施の形態における音楽再生ロボット装置の外観構成を示す略線図である。
【図2】音楽再生ロボット装置の正面構成を示す略線図である。
【図3】音楽再生ロボット装置の上面構成を示す略線図である。
【図4】音楽再生ロボット装置の回路構成を示す略線図である。
【図5】音楽再生制御処理手順を示すフローチャートである。
【図6】持上判定処理手順を示すフローチャートである。
【図7】振り方向判定処理手順を示すフローチャートである。
【図8】処理実行装置の外観構成及び回路構成を示す略線図である。
【符号の説明】
【0069】
1……音楽再生ロボット装置、2……楕円体状筐体、3……左側車輪、4……右側車輪、5……中央筐体、6……左側筐体、7……右側筐体、9……接触検知センサ部、10……左側回転体、12……左側開閉体、14、19……スピーカ、15……右側回転体、17……右側開閉体、20……制御部、21……加速度センサ部、22……音楽処理部、23……車輪駆動部、24……回転体駆動部、25……開閉体駆動部、RT1……音楽再生制御処理手順、RT2……持上判定処理手順、RT3……振り方向判定処理手順。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の振り動かされる筐体振り動かし方向を認識する方向認識部と、
上記方向認識部により認識した上記筐体振り動かし方向に応じて処理を実行する処理実行部と
を有し、
上記方向認識部は、上記筐体が持たれている際に検出した重力方向に対する上記筐体振り動かし方向を認識する
ことを特徴とする処理実行装置。
【請求項2】
上記方向認識部は、
上記筐体にかかる加速度値を検出する加速度検出部と、
上記加速度検出部により検出した加速度値が所定範囲外になった場合、上記筐体にかかる上記重力方向を検出する重力方向検出部と、
上記重力方向検出部により検出した上記重力方向に対する上記筐体振り動かし方向の角度を検出する角度検出部と
を有し、
上記処理実行部は、
上記角度検出部により検出した角度に応じた処理を実行する
ことを特徴とする請求項1に記載の処理実行装置。
【請求項3】
上記筐体を載置するための載置部を有し、
上記加速度検出部は、上記載置部を介して上記筐体が載置された際に水平となる水平方向の重力加速度値を検出し、
上記重力方向検出部は、上記加速度検出部により検出した上記水平方向の重力加速度値が所定範囲外になった場合、上記筐体にかかる上記重力方向を検出する
ことを特徴とする請求項2に記載の処理実行装置。
【請求項4】
上記処理実行部は、記憶部に記憶された音楽データの再生制御処理を実行する
ことを特徴とする請求項1に記載の処理実行装置。
【請求項5】
筐体が持たれている際に検出した重力方向に対する、上記筐体の振り動かされる筐体振り動かし方向を認識する方向認識ステップと、
上記方向認識ステップにより認識した上記筐体振り動かし方向に応じて処理を実行する処理実行ステップと
を具えることを特徴とする処理実行装置の処理実行方法。
【請求項6】
コンピュータに対し、
筐体が持たれている際に検出した重力方向に対する、上記筐体の振り動かされる筐体振り動かし方向を認識する方向認識ステップと、
上記方向認識ステップにより認識した上記筐体振り動かし方向に応じて処理を実行する処理実行ステップと
を実行させるための処理実行プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2006−311972(P2006−311972A)
【公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−136743(P2005−136743)
【出願日】平成17年5月9日(2005.5.9)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】