説明

処理金属酸化物半導体粒子の製造方法、該方法で製造される処理金属酸化物半導体粒子を用いた光電変換電極の製造方法および光電変換セル

【課題】色素増感型光電変換セルにおいて、色素を増感部として結合する酸化チタン多孔質層が表面積の大きさを利用して効率的に光電変換できる特徴を活かし、増感部の耐久性が強く太陽光に対し幅広い波長域で吸収能をもつ化合物半導体系材料として好適な処理金属酸化物半導体粒子の製造方法の提供。
【解決手段】平均一次粒子径1nm以上200nm以下の金属酸化物半導体粒子と、銅の塩またはキレート化合物と、イオウ源化合物と、必要に応じて銅以外の金属の塩またはキレート化合物とを接触させ、金属酸化物半導体粒子の表面に銅含有金属硫化物を結着させる処理金属酸化物半導体粒子の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換セルを作成する際に好適に用いられる処理金属酸化物半導体粒子の製造方法、それを用いた光電変換電極の製造方法、および光電変換セルに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電としては、単結晶シリコン太陽電池、多結晶シリコン太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池、テルル化カドミウムやセレン化インジウム銅などの化合物半導体系太陽電池が実用化、もしくは研究開発対象となっている。しかし、化合物半導体系太陽電池を普及させる上では、製造コスト、原材料確保、エネルギーペイバックタイムが長い等の問題点を克服する必要がある。一方、大面積化や低価格を指向した有機材料を用いた太陽電池もこれまでに多く提案されているが、変換効率が低く、耐久性も悪いという問題があった。
【0003】
こうした状況の中で、Nature(第353巻、第737〜740頁、1991年)および米国特許4927721号等に、色素によって増感された半導体微多孔質体を用いた光電変換電極および光電変換セル、ならびにこれを作成するための材料および製造技術が開示された。提案された電池は、ルテニウム錯体等の増感色素によって分光増感された酸化チタン多孔質層を作用電極としヨウ素を主体とする電解質および対電極から成る色素増感型の光電変換セルである。この方式の第一の利点は、酸化チタン等の安価な酸化物半導体を用いるため、安価な光電変換素子を提供できる点であり、第二の利点は、用いられるルテニウム錯体が可視光域に幅広く吸収を有していることから、比較的高い変換効率が得られる点である。
また、J.Am.Chem.Soc.(2001),Vol.123,p.p.1613-1624には、酸化チタン分散体で成膜後焼成してできた酸化チタン多孔質膜に、トリピリジルカルボキシレート配位子を有するルテニウム錯体を吸着させた電極を用いてセルを作製し、変換効率10.4%を達成したことが報告されている。
【0004】
しかし、色素増感型の光電変換セルは、増感部が色素であるので、シリコン系やCIGS系などの化合物半導体系の太陽電池に比べて光や熱に対する耐久性が低いという欠点があった。
これに対して、次世代太陽電池として期待されている一群に、化合物半導体系の太陽電池がある。化合物半導体系の太陽電池は、感光体にCuInSやCuInSe、CuGaSe、Cu2InGaSe2、Cu2ZnSnS2等が用いられており、安価で耐久性の高い太陽電池として期待されている。CuInS2、CuGaS2、CuInSe、CuGaSeは各々、1.5eV、2.43eV、1.04eV、1.68eVのバンドギャップを有し、光吸収係数も大きいので幅広い波長に対応して太陽光の光電変換に寄与できる。
Adv.Mater.(2004),Vol.16,No.5,p.p.453-456には酸化チタン多孔質膜にAL-CVD法により感光層としてCuInSを使用した例が示されているが、この方法は真空チャンバ内の基板に原料化合物の分子を一層ごとに反応、窒素によるパージを繰り返し行うことで製膜する方法なので、減圧製造装置を要し、かつ雰囲気交換のための多くの繰り返し工程数が必要であり、量産化が困難である。
【非特許文献1】Nature(第353巻、第737〜740頁、1991年)
【特許文献1】米国特許4927721号明細書
【非特許文献2】J.Am.Chem.Soc.(2001),Vol.123,p.p.1613-1624
【非特許文献3】Adv.Mater.(2004),Vol.16,No.5,p.p.453-456
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、色素増感型光電変換セルにおいて、色素を増感部として結合する酸化チタン多孔質層が表面積の大きさを利用して効率的に光電変換できる特徴を活かし、増感部として耐久性が強く太陽光に対し幅広い波長域で吸収能をもつ化合物半導体系材料として好適な処理金属酸化物半導体粒子の製造方法を提供することを課題としている。その際、安価で安全衛生性の高い光電変換セルを目標として、この増感層が湿式工程で形成できる製造方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の処理金属酸化物半導体粒子の製造方法は、平均一次粒子径1nm以上200nm以下の金属酸化物半導体粒子と、銅の塩またはキレート化合物と、イオウ源化合物とを接触させ、金属酸化物半導体粒子の表面に銅硫化物を結着させることを特徴とする。
また、本発明の処理金属酸化物半導体粒子の製造方法は、平均一次粒子径1nm以上200nm以下の金属酸化物半導体粒子と、銅の塩またはキレート化合物と、イオウ源化合物と、銅以外の金属の塩またはキレート化合物とを接触させ、金属酸化物半導体粒子の表面に銅含有金属硫化物を結着させることを特徴とする。
また、本発明の光電変換電極の製造方法は、透明電極基材上に、上記いずれかの方法で製造される処理金属酸化物半導体粒子を成膜する工程を含むことを特徴とする。
また、本発明の光電変換セルは、上記方法で製造される光電変換電極、電解質、および電導性対極を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によって得られた光電変換電極は、表面積の大きな金属酸化物半導体電極の表面に無機材質の増感部を有しているので、効率の良い光電変換能力と高い耐久性とを両立させる事ができる。さらに、増感部を具備する際に気相法によらず、液相中で処理可能であるため安価な製造コストで光電変換電極を提供可能である。ひいては安価で耐久性の良い光電変換セルが提供可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明における光電変換セルは、太陽光などの光を受光して光電変換を行う光電変換電極と、電解質、および電導性対極から主として形成される。本発明における光電変換電極は、透明電極基材と、その電導性表面に金属酸化物半導体の粒子を成膜して成る金属酸化物半導体多孔質層、および金属酸化物半導体多孔質層の多孔質表面に形成される増感部から成る。透明電極基材と金属酸化物半導体多孔質層のみからなる構成を金属酸化物半導体電極として区別する。
本発明における光電変換電極の態様は、色素増感太陽電池における光電変換電極に類似し、その増感部が色素から銅硫化物又は銅含有金属硫化物に置き換わったものに近い。
【0009】
(金属酸化物半導体粒子)
本発明において、「金属酸化物半導体粒子」には、その分散体中の一次粒子体、二次粒子体およびこれらが成膜して成る多孔質層の総体をも総称して含む。一次粒子体とは電子顕微鏡観察等で粒子と認められる最小単位で、この平均値が平均一次粒子径である。一次粒子径は、電子顕微鏡写真の画像処理等で測定する。二次粒子体とは分散体中、一次粒子体の凝集などによる集合体と認められる単位で、この平均値が平均二次粒子径である。二次粒子径は、分散体中粒度分布計等で測定する。金属酸化物半導体電極は、透明電極と金属酸化物半導体粒子から成る。本発明における光電変換電極の形成方法は金属酸化物半導体の粒子の表面に増感部を形成した後にこれを透明電極表面に積層する場合と、先に金属酸化物半導体電極を形成した後にこの表面に増感部を追加して形成する場合がある。さらに金属酸化物半導体の粒子の表面に増感部を形成する方法は、その一次粒子体表面に増感部を形成する場合と二次粒子体表面に増感部を形成する場合がある。
金属酸化物半導体粒子は、組成として単体の金属酸化物から成っていても良いし、複数の金属種の酸化物から成っていても良い。
【0010】
本発明において、金属酸化物半導体粒子は、粒子内部の組成と別組成の金属酸化物を粒子の表層に有したコア−シェル構成の複合金属酸化物半導体粒子をも含む。この場合、本発明においてはコアにあたる内部の金属酸化物を第一の金属酸化物半導体粒子、シェルにあたる表層の金属酸化物を第二の金属酸化物半導体と定義する。第二の金属酸化物半導体はさらに複数種の金属酸化物の積層構造から成っていても良い。
後述する銅硫化物および銅含有金属硫化物を増感部として使用し増感効果を得るためには、金属酸化物多孔質層の伝導帯の準位が金属硫化物の光励起準位から電子を受け取りやすい位置に存在することが望ましい。このため、第一の金属酸化物半導体粒子としての材質は、各種の金属酸化物を使用することができるが、とりわけ金属種としてTi、Zn、Sn、Nbの少なくとも1つを含むものが適切である。さらに好ましくは、Tiが挙げられる。
増感部の光励起順位を最適化させる等の目的で、銅含有金属硫化物の成分として銅外以外の金属を用いる事がある。好ましくは、この目的で二価の亜鉛、三価のインジウム、三価のガリウム、四価のスズ等を組み合わせて用いる。
【0011】
第一の金属酸化物半導体粒子の表面にバッファー層や半絶縁層となる第二の金属酸化物半導体層を形成すると、光電変換電極を形成した場合、逆電子過程を防止するなど効率的な電子の移動に寄与する。
第二の金属酸化物半導体層としての材質は、各種の金属酸化物を使用することができる。第一の金属酸化物半導体粒子との組み合わせにもよるが、酸化物の状態でd軌道などに不対電子をもたないものが励起電子の失活が起こりにくく、適切である。これにはMg、Al、Si、Sc、Ti、Zn、Ga、Ge、Sr、Y、Zr、Nb、In、Sn、Ba、La、Taなどの酸化物が挙げられる。
又、金属酸化物半導体粒子と増感部との間にバッファー層としてInS、CdS等の金属硫化物を入れてもかまわない。
【0012】
第二の金属酸化物半導体層の形成方法は、第一の金属酸化物半導体粒子存在下その表面で、第二の金属酸化物半導体の前駆体を酸化する方法が容易である。
第二の金属酸化物半導体の前駆体としては、金属アルコラートなどが多く知られておりこれを用いても良いが、式(1)の構造を含有する前駆体は、金属酸化物半導体粒子に対する分散性が良いので、均質かつ緻密な第二の金属酸化物半導体層の形成には有用である。
一般式(1)
【化1】

(式中、Mは、1価から6価の金属原子を示す。R1、R2、R3は、それぞれ独立に水素原子または1価の置換基を示す。矢印は、酸素原子からMへの配位結合またはイオン結合を示す。破線は、ジケトナート化合物構造中の非局在結合を示す。)
【0013】
本発明で言う1価の置換基の代表例としては、アルキル基、アルコキシル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン基、ニトロ基、シアノ基、チオシアン酸基、イソチオシアン酸基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ基、モノアリールアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルペプチド基、アリールペプチド基、アルキルカルボニル基(アシル基)、アリールカルボニル基、スルホン酸アミド基、スルホン酸エステル基、ジアルキルオキシホスホリル基、ジアリールオキシホスホリル基、アルキルオキシアリールオキシホスホリル基、ジアルキルホスホリル基、ジアリールホスホリル基、アルキルオキシアリールホスホリル基、ジアルコキシホスフィノオキシ基、ジアリールオキシホスフィノオキシ基、アルコキシアリールオキシホスフィノオキシ基、フタルイミドメチル基、ポリエーテル基等が挙げられるがこれに限定されるものではない。
【0014】
前記ハロゲン基は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を含む。
前記アルキル基は、分岐や脂環、不飽和結合を有しても良い。
前記アリール基は、芳香環内の炭素が一部窒素、酸素、イオウに置き換わった複素環基を用いても良い。
前記置換基の各々は、さらに前記置換基を複合して有しても良い。
【0015】
第二の金属酸化物半導体の前駆体を酸化する方法としては、焼成や熱処理、オゾン処理、紫外線照射などの処理を単独あるいは組み合わせで用いることができる。又、第二の金属酸化物半導体の前駆体として金属アルコラートなどを用いた場合に、これを加水分解した後に乾燥し、金属酸化物を得る操作もここでは第二の金属酸化物半導体の前駆体の酸化と呼ぶ。
別法の表面処理等で第一の金属半導体粒子表面に第二の金属半導体を有する物を入手可能な場合は、次の銅含有金属硫化物処理にこれを原料として用いることができる。
【0016】
光電変換電極は、表面積が大きい程増感部の表面積が増え、光電変換セルとしての変換効率は向上する。この為には、金属酸化物半導体粒子の平均一次粒子径は1nm以上200nm以下が望ましい。粒子径がこの範囲未満であると粒子同士が接近しすぎて成膜中の空隙が形成されにくくなり表面積が低下するので好ましくない。粒子径がこれを超えると、空隙は確保できるが同じ単位膜厚あたりの表面積は低下するので好ましくない。さらに好ましくは金属酸化物半導体粒子の平均一次粒子径は10nm以上50nm以上が望ましい。
【0017】
(銅硫化物および銅含有金属硫化物)
本発明において、処理金属酸化物半導体粒子とは、金属酸化物半導体粒子の表面に、銅硫化物又は銅含有金属硫化物を結着したものである。ここにおいて銅硫化物とは、1価の銅または2価の銅の硫化物を少なくとも含む。詳しくはCu(I)2S、Cu(II)S等の銅硫化物単体や、Cu(I)1.2Cu(II)0.4Sの様な混合原子価の銅硫化物を含む。銅含有金属硫化物とは前記銅硫化物に加え、さらに異種の金属種を含んだ硫化物である。詳しくはCu(I)In(III)S2、Cu(I)2Sn(IV)Zn(II)S4の様な銅以外の金属種をも含む金属硫化物である。
【0018】
(イオウ源化合物)
金属酸化物半導体粒子の表面に銅硫化物および銅含有金属硫化物を結着させる方法として、本発明では金属酸化物半導体粒子の存在下でCu塩およびIn塩、Ga塩、Zn塩、Sn塩等の金属塩とイオウ源化合物を接触させ、金属硫化物として粒子表面に析出させている。
本発明におけるイオウ源化合物とは、光電変換電極製造に用いる金属塩又はキレート化合物と接触するとイオウ元素がイオウ源化合物から遊離し金属元素と結合を形成光電変換電極の原料と成り得る化合物である。
【0019】
(銅硫化物および銅含有金属硫化物の結着方法)
金属酸化物半導体粒子表面に銅硫化物および銅含有金属硫化物を結着させる一つの方法としては、金属塩の全てが均質に溶解した溶液に、酸化チタン等の金属酸化物半導体粒子を分散させ、ついでイオウ源化合物の溶液を接触させる。イオウ源化合物として2価の各種硫化物塩を用いることができるが、特に(NH42Sを用いると、硫化水素を用いる場合に比べて反応を定量的に穏やかに進めやすく、過剰の硫化水素ガスによる作業者への危険性や作業環境での腐食などを起こしにくい。硫化ナトリウム等は、アルカリ金属イオン等が残留すると電池性能を低下させる場合がある。工程上の取り扱いやすさと除去のしやすさから、イオウ源化合物としては(NH42Sの使用が最適である。
Cu塩、In塩、Ga塩、Zn塩、Sn塩をはじめとする金属塩としては、塩化物をはじめとするハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩等の強酸塩、酢酸塩、炭酸塩、シュウ酸塩、リン酸塩等の弱酸、有機酸塩、アセチルアセトナート等のキレート化合物等が挙げられる。
【0020】
前記の接触処理を行う際、加熱および紫外線照射を併用すると銅硫化物および銅含有金属硫化物の結晶化が促進されるなどしてより変換効率の高い光電変換電極を得ることができる。
銅含有金属硫化物の結着量は、金属酸化物半導体粒子100重量部に対し、1重量部以上300重量部以下、望ましくは10重量部以上100重量部以下の含有比である。これより結着量が少ない場合は増感効果を得にくく、多い場合は金属酸化物半導体中での電子移動を阻害しやすくなる。また、原材料コストも向上してしまう。
金属酸化物半導体粒子の表面に銅硫化物や銅含有金属硫化物を結着させた後は、後処理として、加熱、加圧又は超音波溶着処理、マイクロ波照射処理、紫外光照射処理、オゾン処理またはこれらの組合せ処理を行い、金属酸化物半導体粒子表面への結着力を増加させたり結晶化を促進させる事ができる。
【0021】
(処理金属酸化物半導体粒子の形態)
本発明において「処理金属酸化物半導体粒子」の定義はその分散体中の一次粒子体、二次粒子体およびこれらが成膜して成る多孔質層の総体をも総称して含む。
本発明に該当する処理金属酸化物半導体粒子の形態を図1~6に示す。
図1~6は、処理金属酸化物半導体粒子の光電変換電極中での部分構造を表現している。
各図中、aが第一の金属酸化物半導体粒子、bが第二の金属酸化物半導体、cが銅硫化物又は銅含有金属硫化物である。cが光を吸収し、電荷分離して生じた電子がaの伝導帯へ注入される。aとcの間にバッファー層や半絶縁層として第二の金属酸化物半導体bが入り逆電子過程を防止するなど効率的な電子の移動に寄与する。bは組成の違う複数の層から成ってもかまわない。銅硫化物または銅含有金属硫化物は、金属酸化物半導体粒子の一次粒子表面に結着していても、二次粒子表面に結着していても、一旦基材上に成膜された金属酸化物半導体粒子層の表面に結着していても良い。
【0022】
図1の様に、aの粒界面で導通した粒子表面にb、cが形成された構成が、電極中の電子移動には最も理想的である。この構成は、先に第一の金属酸化物半導体粒子のみで金属酸化物半導体電極を形成した後に、bと成り得る第二の金属酸化物半導体の前駆体で表面処理を行い酸化し、次いで前述の方法によりcを形成するなどの方法で得られる。
これとは別法で、金属酸化物半導体粒子が一次粒子まで分散された状態で粒子表面にbを形成し、成膜後cを形成すると図2の構成となり、分散状態のまま粒子表面にcまで形成後成膜すると図3の構成になりやすい。分散状態で先に粒子表面にb、cを形成し成膜する方が、塗膜の金属酸化物半導体粒子に対して化学処理を行う後加工工程が省けるので工程上有利である。
bの形成工程を省いた場合は図4、図5の構成が存在する。
【0023】
金属酸化物半導体粒子が適切な大きさの二次粒子まで分散された状態でb、cを形成し、これを成膜すると図1の状態に準じた図6の様な構成になる。成膜後の後加工工程が不要になり工程上有理で、かつ電子移動に理想的な図1に近い構成の膜状態が得られる。この場合、二次粒子径が大きすぎると分散安定性も悪くなり、膜の密度も粗になり、二次粒子間の導通や透明電極への密着性も悪くなるので、二次粒子径は平均粒子径10nm以上500nm以下の状態が適切である。二次粒子径は、平均粒子径50nm以上200nm以下の状態がより適切である。
【0024】
(分散体の作成)
原料となる金属酸化物半導体粒子または処理金属酸化物半導体粒子を分散させることのできる溶剤としてはエタノール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、1−オクタノール、ブチルセセロソルブ、ブチルカルビトールなどのアルコール系溶剤、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル系溶剤、クロロホルム、ジクロロメタン、クロロベンゼン等のハロゲン系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、炭酸ジエチル、炭酸プロピレン等の炭酸エステル系溶剤、ヘキサン、オクタン、トルエン、キシレン等の炭水化物系位溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、1,3‐ジメチルイミダゾリノン、Nメチルピロリドン、水等を用いることができるがこれに限らない。二種類以上の溶剤を混合して用いても良い。
【0025】
分散処理は、例えばジルコニア製ビーズを使用し、ペイントシェーカーやミルで行うのが一般的であるがこれに限らない。
分散体には、適切な粘度を得るために、バインダー樹脂を入れることができる。
バインダー樹脂としては、セルロース系、ポリエチレングリコール系、アクリル系、ウレタン系、ポリオール系、ポリエチレン系、ポリアミド系などが挙げられるが分散体の適切な粘度や成膜性、成膜後の電極としての特性を得られるものであればこれに限らない。
金属酸化物半導体粒子から光電変換電極を製造する際、導通の良い電極を得るには成膜中の粒子間にネッキングが形成される事が望ましいが、この目的で加圧処理、超音波溶着処理やマイクロ波処理等も効果があれば併用する。
【0026】
(透明電極用電導性表面)
本発明で用いられる透明電極は、電導性表面と透明基材から成る。本発明における透明電極上の多孔質層は電導性表面上に形成される。電導性表面としては、太陽光の可視から近赤外領域に対して光吸収が少ない電導材料なら特に限定されないが、ITO(インジウム−スズ酸化物)や酸化スズ(フッ素等がドープされた物を含む)、酸化亜鉛等の電導性の良好な金属酸化物が好適である。電導性表面に、固形成分表面に銅含有金属硫化物が結着した金属酸化物半導体粒子の層をもうける前に、逆電子反応を防止する目的でSPD法(スプレー熱分解法)やスパッタリング法等の方法で酸化チタン層等を設けることが望ましい。
【0027】
(透明電極用透明基材)
電導性表面を有した電極に用いられる透明基材としては、太陽光の可視から近赤外領域に対して光り吸収が少ない材料であれば特に限定されない。石英、並ガラス、BK7、鉛ガラス等のガラス基材、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリビニルブチラート、ポリプロピレン、テトラアセチルセルロース、シンジオクタチックポリスチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリスルフォン、ポリエステルスルフォン、ポリエーテルイミド、環状ポリオレフィン、ブロム化フェノキシ、塩化ビニール等の樹脂基材等を用いることができる。
【0028】
(光電変換セル)
本発明において用いられる光電変換電極は、電解質層を介して電導性対極を組み合わせることによって光電変換セルを形成する。
(電解質層)
本発明で用いられる電解質層は電解質、媒体、および添加物から構成されることが好ましい。本発明の電解質はI2とヨウ化物(例としてLiI、NaI、KI、CsI、MgI2、CaI2、CuI、テトラアルキルアンモニウムヨーダイド、ピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイド等)の混合物、Br2と臭化物(例としてLiBr等)の混合物、Inorg. Chem. 1996,35,1168-1178に記載の溶融塩等を用いることができるがこの限りではない。この中でもI2とヨウ化物の組み合わせとしてLiI、ピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイド等を混合した電解質が本発明では好ましい。
好ましい電解質濃度は媒体中I2が0.01M以上0.5M以下でありヨウ化物の混合物が0.1M以上15M以下である。
【0029】
本発明で電解質層に用いられる媒体は、良好なイオン電導性を発現できる化合物であることが望ましい。溶液状の媒体としては、ジオキサン、ジエチルエーテルなどのエーテル化合物、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテルなどの鎖状エーテル類、メタノール、エタノール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルなどのアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール類、アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル化合物、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート化合物、3‐メチル‐2‐オキサゾリジノンなどの複素環化合物、ジメチルスルホキシド、スルホランなど非プロトン極性物質、水などを用いることができる。
【0030】
また、固体状(ゲル状を含む)の媒体を用いる目的で、ポリマーを含ませることもできる。この場合、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン等のポリマーを前記溶液状媒体中に添加したり、エチレン性不飽和基を有した多官能性モノマーを前記溶液状媒体中で重合させて媒体を固体状にする。
電解質層としては、この他、CuI、CuSCN媒体を必要としない電解質および、Nature,Vol.395, 8 Oct. 1998,p583-585記載の2,2',7,7'‐テトラキス(N,N‐ジ‐p‐メトキシフェニルアミン)9,9'‐スピロビフルオレンのような正孔輸送材料を用いることができる。
【0031】
本発明に用いられる電解質層には、光電変換セルの電気的出力を向上させたり、耐久性を向上させる働きをする添加物を添加することができる。電気的出力を向上させる添加物として4‐t‐ブチルピリジンや、2‐ピコリン、2,6‐ルチジン、シクロデキストリン等が挙げられる。耐久性を向上させる添加物としてMgI等が挙げられる。
さらに、光電変換素子として作動が可能であれば、電解質の注入を省く事もできる。この場合、光電変換電極と対極の密着性を確保する為に光電変換電極表面に対極層を直接蒸着する等の方法が取られる。
【0032】
(電導性対極)
本発明で用いられる電導性対極は、光電変換セルの正極として機能するものである。具体的に対極に用いる電導性の材料としては、金属(例えば白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム等)、金属酸化物(ITO(インジウム‐スズ酸化物)や酸化スズ(フッ素等がドープされた物を含む)、酸化亜鉛)、または炭素等が挙げられる。対極の膜厚は、特に制限はないが、5nm以上10μm以下であることが好ましい。
【0033】
(組み立て方)
前記の光電変換電極と電導性対極を、電解質層を介して組み合わせることによって光電変換セルを形成する。必要に応じて電解質層の漏れや揮発を防ぐために、光電変換セルの周囲に封止を行う。封止には熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂、ガラスフリット等を封止材料として用いることができる。光電変換セルは必要に応じて小面積の光電変換セルを連結させて作る。光電変換セルを直列に組み合わせることによって起電圧を高くすることができる。
【0034】
本発明により、表面が銅含有金属硫化物で処理された金属酸化物半導体粒子と電極を得ることができる。本発明で得られた処理金属酸化物半導体粒子は、溶液中の反応で得られるため、安価に製造可能である。さらに増感色素を使用せず、無機材料で幅広い波長の光を光電変換できるので耐久性にも優れている。
【実施例】
【0035】
以下に、実施例を具体的に示すが、本発明は以下に限定されるものではない。
(実施例1)
・金属酸化物半導体分散体の作成
表1中、実施例1の金属酸化物半導体粒子の分散体組成でジルコニアビーズと混合し、ペイントシェーカーを用いて分散体を得た。第一の金属酸化物粒子としては酸化チタン(日本エロジル社製P25)を用い、第二の金属酸化物半導体の前駆体としてZnアセチルアセトナートを用いた。
この分散体を減圧留去によって溶媒除去後、400℃で焼結し、粉砕後10gを塩化第一銅のアンモニア水溶液へ入れ、二次粒子径200nmになるまでペイントシェーカーで再分散を行った。
【0036】
ついで銅イオンと定量的に反応できる量のイオウを含有する(NH42S水溶液を攪拌しながら滴下し、60℃で加熱処理、粒子を濾別風乾後エタノール中に分散することにより銅金属硫化物で処理された金属酸化物半導体粒子分散体を作成した。
出来上がった分散体を透明電極基材に塗布し多孔質層が厚さ13μm(+−2μm)に成膜された1cm角セルを作成した。透明電極はガラス基材のもの(旭ガラス社製;透明電導膜はFTO)で電導膜表面に100nm厚の酸化チタン層を設けたものを使用し、150℃1時間の加熱処理後、電解質と対極を施してセルを作成し、変換効率測定を行った。
【0037】
・電解質は下記処方のものを用いた
溶媒 メトキシアセトニトリル
LiI 0.1M
2 0.05M
4‐t‐ブチルピリジン 0.5M
1‐プロピル‐2,3‐ジメチルイミダゾリウムヨージド 0.6M
【0038】
・光電変換セルの組み立て
図7の様に光電変換セルの試験サンプルを組み立てた。
電導性対極にはフッ素ドープ酸化スズ層付ガラス基板(旭ガラス社製 タイプU−T CO)の電導層上にスパッタリング法により150nmの白金層を積層した物を用いた 。
樹脂フィルム製スペーサーとしては、三井・デュポンポリケミカル社製 「ハイミラ ン」フィルムの25μm厚の物を用いた。
【0039】
・変換効率の測定方法
ORIEL社製ソーラーシュミレーター(#8116)をエアマスフィルターとを 組み合わせ、光量計で1−SUN の光量に調整して測定用光源とし、光電変換セルの 試験サンプルに光照射をしながら 英弘精機社製I‐Vカーブトレーサー(MP160 )を使用してI‐Vカーブ特性を測定した。変換効率ηは、I‐Vカーブ特性測定から 得られたVoc(開放電圧値)、Isc(短絡電流値)、ff(フィルファクター値) を用いて下式により算出した。

η(%)= Voc(V)×Isc(mA)×ff ×100
100(mW/cm2)× 1(cm2
【0040】
(実施例2〜30)
その他の構成の光電変換電極についても同様に電極を作成した。
表1〜3に結果をまとめた。
【0041】
【表1】

【0042】
【表2】

【0043】
【表3】


【0044】
[表中の記号説明]
acac(アセチルアセトナート基;一般式(1)においてR1、R3がメチル基、R2が水素元素)、Me(メチル基)、Et(エチル基)、Pr(プロピル基)、nPr(ノルマルプロピル基)、iPr(イソプロピル基)、Bu(ブチル基)、nBu(ノルマルブチル基)
(※1)「第二の金属酸化物半導体の前駆体」は、「金属酸化物半導体粒子の分散体」中の組成として、溶剤中に溶解又は分散状態で存在している。
【0045】
(実施例31〜33)
表4中、金属酸化物半導体粒子の分散体組成を透明電極基材に塗布し成膜後、基材ごと焼成して金属酸化物半導体粒子表面に第二の金属酸化物半導体を形成した。その後表中の銅含有金属塩水溶液を電極上に滴下し、60℃で乾燥後、(NH42S水溶液を滴下することで光電変換電極を得た。その他は実施例1〜30と同様の試験を行った。
【0046】
【表4】

【0047】
[表中の記号説明]
acac(アセチルアセトナート基;一般式(1)においてR1、R3がメチル基、R2が水素元素)、Me(メチル基)、Et(エチル基)
(※1)「第二の金属酸化物半導体の前駆体」は、「金属酸化物半導体粒子の分散体」中の組成として、溶剤中に溶解又は分散状態で存在している。
【0048】
(実施例34)
実施例3と同様の処理を行う際、銅含有金属硫化物の形成過程を紫外線照射を行いながら実施した。結果としての変換効率は3.17%であった。
(比較例1)
色素増感太陽電池との比較として耐久性の比較試験を行った。
電極は常法により酸化チタン(P25)の分散体を透明電極に1cm2角に塗布し450℃で焼成後、Ru色素(N719)を吸着させたものを用いた。常法によりセルまで作成し実施例3のセルと、1-Sun相当のフェードメーターで変換効率の変化を比較した。3日照射後、色素増感太陽電池は変換効率が20%減少したが、実施例3のセルは2%の減少に留まった。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】処理金属酸化物半導体粒子の光電変換電極中での部分構造(第一の金属酸化物半導体の一次粒子界面で結着)。
【図2】処理金属酸化物半導体粒子の光電変換電極中での部分構造(第二の金属酸化物半導体界面で結着)。
【図3】処理金属酸化物半導体粒子の光電変換電極中での部分構造(銅含有金属硫化物界面で結着)。
【図4】処理金属酸化物半導体粒子の光電変換電極中での部分構造(第一の金属酸化物半導体の一次粒子界面で結着。第二の金属酸化物無し。)。
【図5】処理金属酸化物半導体粒子の光電変換電極中での部分構造(銅含有金属硫化物界面で結着。第二の金属酸化物無し。)。
【図6】処理金属酸化物半導体粒子の光電変換電極中での部分構造(第一の金属酸化物半導体粒子の二次粒子体表面に第二の金属酸化物半導体層と銅含有金属酸化物半導体層を形成後、成膜)。
【図7】光電変換セル試験サンプルの模式図。
【符号の説明】
【0050】
a.第一の金属酸化物半導体粒子
b.第二の金属酸化物半導体
c.銅含有金属硫化物
1.処理金属酸化物半導体多孔質層(銅含有硫化物が結着済み)
2.電解質溶液層
3.透明電極層(フッ素ドープ型酸化スズ、又はITO)
4.Pt電極層
5.透明電極
6.樹脂フィルム製スペーサー
7.変換効率測定用導線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均一次粒子径1nm以上200nm以下の金属酸化物半導体粒子と、銅の塩またはキレート化合物と、イオウ源化合物とを接触させ、金属酸化物半導体粒子の表面に銅硫化物を結着させることを特徴とする処理金属酸化物半導体粒子の製造方法。
【請求項2】
平均一次粒子径1nm以上200nm以下の金属酸化物半導体粒子と、銅の塩またはキレート化合物と、イオウ源化合物と、銅以外の金属の塩またはキレート化合物とを接触させ、金属酸化物半導体粒子の表面に銅含有金属硫化物を結着させることを特徴とする処理金属酸化物半導体粒子の製造方法。
【請求項3】
金属酸化物半導体粒子の平均二次粒子径が、10nm以上500nm以下であることを特徴とする請求項1または2記載の処理金属酸化物半導体粒子の製造方法。
【請求項4】
銅の塩またはキレート化合物の溶液に、平均一次粒子径1nm以上200nm以下の金属酸化物半導体粒子を添加し、ついでイオウ源化合物を添加することを特徴とする請求項1または3記載の処理金属酸化物半導体粒子の製造方法。
【請求項5】
銅の塩またはキレート化合物および銅以外の金属塩またはキレート化合物の溶液に、平均一次粒子径1nm以上200nm以下の金属酸化物半導体粒子を添加し、ついでイオウ源化合物を添加することを特徴とする請求項2または3記載の処理金属酸化物半導体粒子の製造方法。
【請求項6】
イオウ源化合物が(NH42Sを含むことを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の処理金属酸化物半導体粒子の製造方法。
【請求項7】
紫外線照射を行いながら前記の接触処理を行うことを特徴とする請求項1〜6いずれか記載の処理金属酸化物半導体粒子の製造方法。
【請求項8】
銅の塩またはキレート化合物が一価の銅を含み、銅以外の金属の塩またはキレート化合物が二価の亜鉛、三価のインジウム、三価のガリウム、四価のスズの何れかを含むことを特徴とする請求項2、3、5または6いずれか記載の処理金属酸化物半導体粒子の製造方法。
【請求項9】
金属酸化物半導体粒子が、第一の金属酸化物半導体粒子の表面に第二の金属酸化物半導体を有する複合金属酸化物半導体粒子であることを特徴とする請求項1〜8いずれか記載の処理金属酸化物半導体粒子の製造方法。
【請求項10】
複合金属酸化物半導体粒子が、第一の金属酸化物半導体粒子の存在下、第二の金属酸化物半導体の前駆体を酸化して得られるものであることを特徴とする請求項9記載の処理金属酸化物半導体粒子の製造方法。
【請求項11】
第一の金属酸化物半導体粒子が、Ti、Zn、Sn、Nbから選ばれる少なくとも1種の金属を含むことを特徴とする請求項9または10記載の処理金属酸化物半導体粒子の製造方法。
【請求項12】
第二の金属酸化物半導体の前駆体が、下記一般式(1)の構造を含むことを特徴とする請求項10または11記載の処理金属酸化物半導体粒子の製造方法。
一般式(1)
【化1】

(式中、Mは、1価から6価の金属原子を示す。R1、R2、R3は、それぞれ独立に水素原子または1価の置換基を示す。矢印は、酸素原子からMへの配位結合またはイオン結合を示す。破線は、ジケトナート化合物構造中の非局在結合を示す。)
【請求項13】
第二の金属酸化物半導体が、Mg、Al、Si、Sc、Ti、Zn、Ga、Ge、Sr、Y、Zr、Nb、In、Sn、Ba、La、Taから選ばれる少なくとも1種の金属を含む請求項9〜12いずれか記載の処理金属酸化物半導体粒子および製造方法。
【請求項14】
銅含有金属硫化物の含有量が、金属酸化物半導体粒子100重量部に対し、1重量部以上300重量部以下である請求項請求項1〜13いずれか記載の処理金属酸化物半導体粒子の製造方法。
【請求項15】
請求項1〜14いずれか記載の方法で製造される処理金属酸化物半導体粒子。
【請求項16】
透明電極基材上に、請求項15記載の処理金属酸化物半導体粒子を成膜する工程を含む光電変換電極の製造方法。
【請求項17】
さらに、処理金属酸化物半導体粒子に加熱、加圧、超音波溶着処理、マイクロ波照射処理、紫外光照射処理、オゾン処理またはこれらの組み合わせ処理を行う工程を含む請求項16記載の光電変換電極の製造方法。
【請求項18】
請求項16または17記載の方法で製造される光電変換電極。
【請求項19】
請求項18記載の光電変換電極、電解質、および電導性対極を具備する光電変換セル。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−18891(P2007−18891A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−199572(P2005−199572)
【出願日】平成17年7月8日(2005.7.8)
【出願人】(000222118)東洋インキ製造株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】