説明

凹凸付け部材、およびティッシュ紙ウエブの製造方法

【課題】ティッシュ製紙機械のプレス部分で湿った繊維性ウエブ(1’)に凹凸付けするための技術の提供。
【解決手段】凹凸付け部材は、三次元の織り構造物であって、出っ張り(62)とくぼみ(63)を形作っている。出っ張り(62)は、くぼみ(63)と同様に、繰り返し分布し、幾何学的に同様の小さな多角形の単位表面(64)を形成する。単位表面(64)のそれぞれは、面積および平均深さのくぼみを複数含む。この発明では、長さの単位をmmで算出するとき、それらのの比が30mmに等しいかそれよりも大きい。ただし、は1.0〜3.0mmの範囲、そして、は0.03〜0.09mmの範囲である。この発明は、また、そのような凹凸付け部材を用いて、クレープ付けしたティッシュ紙ウエブの製法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ティッシュ製紙機械のプレス部分におけるプレス処理で湿った繊維性ウエブに凹凸付け(あるいは組織化)するための凹凸付け部材(あるいは凹凸付けベルト)に関する。その凹凸付けベルトは、キャリヤ層、および繊維性ウエブに接触しキャリヤ層に支持される凹凸付け層とを備える。凹凸付け層は、互いに編んだ縦糸と横糸とを備える三次元の織り構造物であって、出っ張りと、その出っ張りによって定まるくぼみを形作っている。出っ張りは、くぼみと同様に、凹凸付けベルトの縦および横の両方向に繰り返しかつ分布し、幾何学的に同一の小さな多角形の単位表面を形成する。小さな単位表面は、互いに隣接し、共通の境界線をもち、そして、面積がであり、平均深さの複数のくぼみを含んでいる。小さな単位表面のそれぞれの位置および整列状態は、それについての角が出っ張りに一致していることによって定まる。出っ張りは、互いの関係により入れ替わり、連続する4つの縦糸によって形成される。
【0002】
この発明は、また、ティッシュ製紙機械において、凹凸付けした高バルクなティッシュ紙ウエブを製造する方法に関する。その製造方法は、次のような各工程を備える。
− ヘッドボックス、成形ロール、およびその成形ロールの回りを接触しながら走行する第1のベルトを備えるウエット部分において、繊維性ウエブを成形する工程。
− 第1のプレス要素と、その第1のプレス要素との間に所定圧のプレスニップを形成する第2のプレス要素とを含む主プレスと、複数のガイドロールの回りに無端のループを形成し、成形された繊維性ウエブと一緒にそのウエブに接触しながら前記プレスニップを通して走行し、前記第2のプレス要素をプレスフェルトのループ内に配置した第1のベルトと、複数のガイドロールの回りに無端のループを形成し、成形された繊維性ウエブと一緒にそのウエブに接触しながら前記プレスニップを通して走行し、前記第1のプレス要素を第2のベルトのループ内に配置した第2のベルトと、前記第2のベルトのループ内に配置した転送ロールとを備えるプレス部分において、成形された繊維性ウエブをプレスする工程。
− 乾燥表面を含む乾燥部分において、凹凸付けされた繊維性ウエブを乾燥する工程。
− 前記乾燥表面で乾燥した繊維性ウエブに、クレープ付けドクターでクレープ付けし、クレープ付けしたティッシュ紙ウエブを乾燥表面から取り除くことができるようにする工程。
【0003】
前記転送ロールの配置といえば、乾燥表面と一緒に転送ニップを形成し、その転送ニップで凹凸付けされた繊維性ウエブを圧縮することなく、その繊維性ウエブを乾燥表面に転送するようになっている。
【0004】
この発明において、「凹凸付けあるいは組織化(structuring)」という表現は、次に述べるようなことをいう。プレス処理の間、繊維性ウエブの乾燥度が増すとき、凹凸付けベルトが繊維性ウエブを型押しするように作用する。湿った繊維性のウエブは互いに相対的に可動であり、そのため、プレスフェルトが弾性的に圧縮する作用により、それらのウエブは互いに新しい位置および方向を取る。プレスフェルトは、湿った繊維性のウエブを凹凸付けベルトの三次元の模様に押し付ける。これらの作用が一緒になって、同じグラメージでバルクが増し、ティッシュ紙ウエブの完成品におけるMDおよびCDの引張強度が大きくなり、かつ、改良された構造になるのである。
【背景技術】
【0005】
今までの方法でティッシュ紙を製造する場合、ヤンキードライヤー(シリンダー)での処理の前に、成形した湿った繊維性ウエブを一部脱水する。その脱水は、通常、プレス技術あるいは風乾技術(通し風乾:TAD/through air drying
として知られる)のいずれかによる。一般的なプレス技術は、ヤンキードライヤーに対し滑らかなプレスフェルトあるいは滑らかなプレスニップでプレスするものであり、厚さの薄い繊維性ウエブを生じることになる。また、広いプレスニップであるシュープレスを用いるという提案がなされている。それによれば、圧を下げることになり、しかもまた、再び湿らせることが少なくなり、ウエブの厚さが増すことにより、品質つまりバルクを改良することができる。この提案技術により、TAD技術で得るものと同様の品質(バルク)あるいは厚さを得ることが期待される。しかし、今のところ、それが可能かどうかは判明していない。したがって、TAD技術は、紙ウエブの特性に関してプレス技術よりもまだ優れている。しかし、その技術には、プレス技術の場合よりもかなり高いエネルギー消費が必要であるという大きな不利な点がある。
【0006】
米国特許の第6,547,924号は、請求項8のプリアンブルに記載するものと同種の製紙機械を示している。しかし、この特許の明細書が示す製紙機械では、顧客の要求および要望に応える上で充分に高品質のティッシュ紙を簡単には製造することができない。
【0007】
模様付けあるいは凹凸付けをするベルトを備えたティッシュ紙の製造機械のさらに他の例について、ヨーロッパ特許第1 078 126号、ヨーロッパ特許第0 526 592号、米国特許第6,743,339号、ヨーロッパ特許第1 075 567号、ヨーロッパ特許第1 040 223号、米国特許第5,393,384号、ヨーロッパ特許第1 036 880号、および米国特許第5,230,776号がある。
【0008】
広範囲にわたるテストの結果、発明者らは、次のようなことを理解するに至った。まず、今までのようにプレス技術を用いた製紙機械で作りうるものよりも高いバルクのティッシュ紙を得るという点からして、凹凸付けベルトの構成が大きな、おそらくは決定的に重要であることである。そしてまた、凹凸付けベルトの構成は、また、湿った繊維性のウエブに実際の凹凸付けが生じるプレス部分において、プレス操作とともにウエブを良く乾燥させるための要因として活用できることである。
【発明の概要】
【0009】
この発明の目的は、高バルクのティッシュ紙を低エネルギーコストで製造することができるティッシュ紙の技術を提供することである。したがって、この発明は、乾燥度を増すために繊維性ウエブから脱水する、前記したTAD技術を除外する。
【0010】
この発明によれば、この目的は、次のような特性をもつ凹凸付けベルトによって達成される。すなわち、凹凸付け層の小さな単位表面のそれぞれの面積および平均深さについて、長さの単位をmmで算出するとき、それらのの比が30mmに等しいかそれよりも大きいことである。ただし、は1.0〜3.0mmの範囲、そして、は0.03〜0.09mmの範囲からそれぞれ選択する。
【0011】
また、この発明によるティッシュ紙の製造方法には、次のような特徴がある。すなわち、成形し湿った繊維性ウエブのプレスおよび凹凸付けについて、プレスニップの中のプレス工程で、凹凸付けベルトの形態である前記第2のベルトを用いるときに実行し、三次元の凹凸付けされた繊維性ウエブを得る。その凹凸付けベルトは、キャリヤ層、および繊維性ウエブに接触しキャリヤ層に支持される凹凸付け層とを備える。凹凸付け層は、互いに編んだ縦糸と横糸とを備える三次元の織り構造物であって、出っ張りと、その出っ張りによって定まるくぼみを形作っている。出っ張りは、くぼみと同様に、凹凸付けベルトの縦および横の両方向に繰り返しかつ分布し、幾何学的に同様の小さな多角形の単位表面を形成する。小さな単位表面は、互いに隣接し、共通の境界線をもち、そして、面積がであり、平均深さの複数のくぼみを含んでいる。小さな単位表面のそれぞれの位置および整列状態は、それについての角が出っ張りに一致していることによって定まる。出っ張りは、互いの関係により入れ替わり、連続する4つの縦糸によって形成される。ここで、凹凸付け層の小さな単位表面のそれぞれの面積および平均深さについて、長さの単位をmmで算出するとき、それらのの比が30mmに等しいかそれよりも大きいことである。ただし、は1.0〜3.0mmの範囲、そして、は0.03〜0.09mmの範囲からそれぞれ選択する。
【0012】
凹凸付けベルトは、本来、織ったファブリックを意味する。
以下に、図面を参照しながら、この発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明による凹凸付けベルトを備えるティッシュ紙の製造機械の第1の例を示す構成図である。
【図2】この発明による凹凸付けベルトを備えるティッシュ紙の製造機械の第2の例を示す構成図である。
【図3】この発明による凹凸付けベルトを備えるティッシュ紙の製造機械の第3の例を示す構成図である。
【図4】この発明による凹凸付けベルトを備えるティッシュ紙の製造機械の第4の例を示す構成図である。
【図5】この発明による凹凸付けベルトを備えるティッシュ紙の製造機械の第5の例を示す構成図である。
【図6】この発明による凹凸付けベルトを備えるティッシュ紙の製造機械の第6の例を示す構成図である。
【図7】この発明による凹凸付けベルトを備えるティッシュ紙の製造機械の第7の例を示す構成図である。
【図8】この発明による凹凸付けベルトを備えるティッシュ紙の製造機械の第8の例を示す構成図である。
【図9】この発明による凹凸付けベルトを備えるティッシュ紙の製造機械の第9の例を示す構成図である。
【図10】この発明による凹凸付けベルトを備えるティッシュ紙の製造機械の第10の例を示す構成図である。
【図11】この発明の第1実施例による凹凸付けベルトを示す図である。
【図12】この発明の第2実施例による凹凸付けベルトを示す図である。
【図13】この発明による凹凸付けベルトの2つの大きさ(面積および深さ)間の関係を示すグラフである。
【0014】
図1〜10は、この発明にしたがって、紙ウエブを乾燥するために通し風乾(TAD)を使うことなく、ティッシュ紙ウエブ1を製造するためのティッシュ紙の製造機械の異なる例を示す模式図である。これらの異なる例のすべては、ウエット部分2、プレス部分3、および乾燥部分4を備える。これらの各例のティッシュ紙の製造機械のウエット部分2には、成形部分5があり、その成形部分5は、ヘッドボックス6、成形ロール7、および、成形ロール7に接触し走行する第1の成形ベルト8を含む。図1〜8に示す例において、成形部分5には、また、第2の成形ベルト9(ファブリックである)がある。その第2の成形ベルト9は無端なループ形態であり、複数のガイドロール10および成形ロール7の回りを走行し、第1のベルト8に接触し、それと第1のベルトとの間にヘッドボックス6から紙料ジェットを受ける。その後、紙料は脱水され、成形された繊維性ウエブ1’を形作る。
【0015】
プレス部分3には、第1のプレス要素12と第2のプレス要素13とを含む主プレス11がある。それら第1および第2のプレス要素12,13は、互いに協力してそれらの間にプレスニップを形成する。プレス部分3には、さらに、第1および第2のベルトを備える。第2のベルトは凹凸付けベルト14の形態である。そのベルト14は、複数のガイドロール15、および乾燥部分4に隣接するように位置する滑らかな転送ロール16の回りを走行し、主プレス11のプレスニップを通り、成形された繊維性ウエブ1’と接触する。繊維性ウエブ1’がプレスニップを通るとき、成形された繊維性ウエブ1’の凹凸付けを行う。凹凸付けされた繊維性ウエブ1”は、プレスニップから離れる。その凹凸付けされた繊維性ウエブ1”は、凹凸付けベルト14によって転送ニップにまで運ばれる。転送ニップは、転送ロール16と乾燥シリンダー19との間にあり、そのニップではプレスおよび脱水を行わずに、繊維性ウエブ1”を乾燥シリンダー19の表面まで転送するだけである。プレス部分3の前記の第1のベルトは、z−方向に弾性的に形成可能であり、かつ圧縮可能な受水プレスベルト17の形態である。受水プレスベルト17は、複数のガイドロール18の回りを無端なループ形態で走行し、凹凸付けベルト14と一緒に主プレス11のプレスニップを通り、成形された繊維性ウエブ1’と接触する。第1のプレス要素12は凹凸付けベルト14のループ内に位置し、また、第2のプレス要素13は第2のプレスフェルト17のループ内に位置する。図1〜10の例において、両方のプレス要素12,13はプレスロールである。プレスフェルト17は、凹凸付けされた繊維性ウエブ1”がプレスニップを通り過ぎた後、すぐにそのウエブ1”を離し、ウエブ1”を再び湿らさないようにする。プレス要素12,13の一つを、広いあるいは長いニッププレスのプレスロールとして設計することができる。限定されるわけではないが、そのようなプレスロールとして、プレスの上部あるいは下部に配置したシュープレスロールがある。
【0016】
主プレス11の後で第1のガイドロール18の直前に、スプレー装置53がプレスフェルト17の内側に配置されている。そのスプレー装置53は、プレスフェルト17とガイドロール18との間のくさび形の狭いスペースに清水を供給するためのものである。清水は、プレスフェルト17に押し込まれ、プレスフェルト17を通して中の汚れた水と置き換わる。それは、プレスフェルト17がガイドロール18の回りを走るとき、主プレス11でのプレスの後である。次に続くガイドロール18の上流に、プレスフェルトから水を引き出すため、サクションボックス54がプレスフェルトの外側に配置されている。高圧のスプレー装置は、水で充満させることなく、プレスフェルト17の表面の汚れを落とす。
【0017】
凹凸付けベルト14が転送ロール16を離れた後、それが主プレス11に到達する前に、凹凸付けベルト14はクリーニングステーション30を通り、そこで凹凸ベルトの三次元の凹凸付け層を清浄にする。
【0018】
乾燥部分4には、第1の乾燥シリンダー19がある。図に示す例では、単一の乾燥シリンダー、好ましくはヤンキー乾燥シリンダーを示すが、乾燥部分を他のタイプのものにすることもできる。たとえば、より多くのシリンダーを含むもの、あるいは、製紙工業で知られた乾燥部分の他のものを用いることができる。乾燥シリンダー19は、転送ロール16と一緒に転送ニップを形成するが、凹凸付けされた繊維性ウエブ1”を乾燥するための乾燥表面20をもつ。乾燥表面20の下流には、クレープ付けドクター21が配置されている。このドクター21は、乾燥した繊維性ウエブ1”をクレープ付けし乾燥表面20から離し、それによって、クレープ付けを行ったティッシュ紙ウエブ1を得る。必ずというわけではないが、好ましくは、乾燥シリンダー19は、フード22で被うのが良い。転送ロール16と乾燥シリンダー19とは、それらの間に転送ニップを定める。凹凸付けベルト14および凹凸付けされた繊維性ウエブ1”は、一緒にその転送ニップを通るが、転送ニップからは別々に離れる。凹凸付けされた繊維性ウエブ1”は、乾燥シリンダー19の乾燥表面20に付着し、その乾燥表面20側に転送される。ロール16と乾燥シリンダー19とによって形成される転送ニップの圧力は、1MPa以下であり、圧縮することなくウエブ1を転送する。乾燥表面20の側に繊維性ウエブ1”を確実に転送させるため、スプレー装置23によって乾燥表面20に適切な接着剤を塗布する。スプレー装置23は、クレープ付けドクター21と転送ニップとの間であって、乾燥表面20が紙ウエブから開放されたところに位置する。
【0019】
成形部分5については、図1、2、7および8に示すように、いわゆるC−フォーマーに、あるいは、図3〜6に示すように、いわゆる三日月形フォーマーに、または、図9および10に示すように、いわゆるサクションブレストロールフォーマーにすることができる。
【0020】
主プレス11は、2つのプレス要素12,13が滑らかな外側表面をもつロールであるロールプレス、あるいは、好ましくは、たとえばシュープレス(図示しない)のような広いニッププレスにすることができる。広いニッププレスの場合、第1のプレス要素12が滑らかなカウンターロールであり、第2のプレス要素13は、プレスシュー、および無端ベルトを備える。無端ベルトは、プレスシューに接触しスライドしながら、シュープレスのプレスニップを走り過ぎる。それにより、ベルトの内側およびカウンターロール12に所定の圧力を生じる。このように、プレスシューは、広がったプレスニップを形作る装置を構成する。主プレス11のさらに好ましい例では、第1のプレス要素12は滑らかなカウンターロールであり、第2のプレス要素が広がったプレスニップを形作る装置であるが、その装置はカウンターロールに向かう方向に押すようになった弾力性のサポート本体を含む。プレス要素12,13の両方が、それぞれの弾力性サポート本体を含むようにすることもできる。また、代わりの例では、第2のプレス要素13が滑らかなカウンターロールであり、第1のプレス要素12の方が、広がったプレスニップを形作る装置(上述したどのタイプのものでも良い)である。
【0021】
図1に示す例において、主プレスのプレスフェルト17は、また、成形部分5の第1の内側成形ベルト8として用いることができる。そのとき、成形ロール7もまたプレスフェルト17のループ内に配置する。また、この例におけるウエット部分は、プレスフェルト17のループ内に配置したサクションロール25を含む予備脱水装置24と、プレスフェルト17のループの外側(サクションロール25の反対側)に配置したスチームボックス26とを備える。スチームボックス26は、成形された繊維性ウエブの中の水を加熱し、粘性を減じて脱水を促進する。成形された繊維性ウエブ1’の中およびプレスフェルト17の中の水の量は、そのようなサクションロール25およびスチームボックス26の助けにより減少し、成形された繊維性ウエブ1’の乾燥度は主プレス11に行く前に16〜28%にまで高める。この高まりによって、プレスの運転性が確実になる。次に続くプレスによって、ウエブの乾燥度は38〜52%となり、乾燥部分で蒸発させるべき水の量が減るので、乾燥部分でのエネルギー節約となる。高圧スプレー装置55が、成形ロール7上流の成形フェルト8の外側に配置されている。このスプレー装置は、成形フェルト8が成形ロール7に到達するときに、成形フェルト8に水が充満しないように清浄にする。
【0022】
図2に示す例は、図1のものと同様である。異なる点は、主プレス11の下流に予備加熱装置27が追加している点である。その予備加熱装置27は、繊維性のウエブ1”が乾燥シリンダー19に到達するまでに、その繊維性ウエブ1”の温度を高めるためのものである。
【0023】
図3に示す例において、凹凸付けベルト14は、成形部分の第1の内側成形ベルト8としても用いることができる。そのとき、成形ロール7もまた凹凸付けベルト14のループ内でありループで囲まれるように配置する。脱水は、大体がベルト9を通して発生する。この場合、主プレス11のプレスフェルト17は、複数のガイドロール28および第2のプレス要素13の回りのそれ自身のループの中を走行する。第2のプレス要素13の上流に位置するガイドロールはサクションロール29である。そのサクションロール29によって、プレスフェルト17がプレスに入る前にプレスフェルト17から水を取り除く。それによって、フェルト17の吸水能力を確保する。この例では、凹凸付けベルト14が成形ロール7の回りをも通るが、この例による特別な効果の一つは、紙料の繊維が凹凸付けベルト14のくぼみの中に入り込み、それら自体の方向付けを行うことができ、それにより、成形された繊維性のウエブ1’の幾分かが、主プレス11で圧縮が始まる前にすでにくぼみの中で方向付けされることである。このようにくぼみの中で繊維が前もって方向付けされることは、都合が良いことである。主プレス11の後の第1のガイドロール28のすぐ前に、スプレー装置53がプレスフェルト17の内側に配置されている。そのスプレー装置53は、プレスフェルト17とガイドロール28との間のくさび形の傾斜したスペースに清水を供給するためのものである。この清水は、プレスフェルト17に押し込まれ、プレスフェルト17を通してプレスフェルト17中の汚れた水と置き換わる。それは、プレスフェルト17がガイドロール28の回りを走るとき、主プレス11でのプレスの後である。次に続くガイドロール28の上流に、プレスフェルト17から水を引き出すため、サクションボックス54がプレスフェルト17の外側に配置されている。そしてまた、そのプレスフェルト17を清浄にするための高圧スプレー装置55も配置されている。
【0024】
図4に示す例は、図3のものと同様である。異なる点は、図2の例に対応する予備加熱装置27を追加している点、および、サクションロール29の反対側のプレスフェルト17の外側にスチームボックス31を配置した点である。
【0025】
図5に示す例においては、第1の内側成形ベルト8、プレスフェルト17および凹凸付けベルト14が、それら自体のループをもつ。ここで、成形ベルト8は、複数のガイドロール18’の回りを走行するフェルトである。この場合のプレス部分3は、予備プレス32を備える。予備プレス32は、プレスフェルト17のループ内にある第1のプレス要素33と、第1の内側成形フェルト8内の第2のプレス要素34とを含む。これらのプレス要素33,34は、互いにプレスニップを形成する。繊維性ウエブ1’を運ぶ成形フェルト8は、そのプレスニップを通って走行し、プレスフェルト17(このプレスフェルト17もまた、成形された繊維性ウエブ1’を受け取るために前記プレスニップを走行する)に出くわし、それを主プレス11上に運ぶ。このように、成形フェルト8は、また、予備プレス32の第2のプレスフェルトを形成する。第2のプレス要素34のすぐ上流に位置するガイドロールは、成形フェルト8から水を取り除くためのサクションロール35である。また、サクションロール35のすぐ前面の成形フェルト8の外側にスチームボックス36がある。予備プレス32の後の第1のガイドロール18’のすぐ前面に、スプレー装置53’が成形ベルト8の内側に配置されている。そのスプレー装置53’は、成形フェルト8とガイドロール18’との間のくさび形の狭いスペースに清水を供給するためのものである。清水は、成形フェルト8に押し込まれ、成形フェルト8を通して中の汚れた水と置き換わる。それは、成形フェルト8がガイドロール18’の回りを走るとき、予備プレス32でのプレスの後である。次に続くガイドロール18’の上流に、プレスフェルト8から水を引き出すため、サクションボックス54’が成形フェルト8の外側に配置されている。そしてまた、その成形フェルト8を清浄にするための高圧スプレー装置55’も配置されている。予備プレス32は、シュープレスを含む広いニップを伴うプレスを備えることもできる。
【0026】
図6に示す例は、図5のものと同様である。異なる点は、図2の例に対応する予備加熱装置27を追加している点である。
【0027】
図7に示す例においては、第1の内側成形ベルト8(これは、成形ファブリックである)、プレスフェルト17および凹凸付けベルト14が、図5による例と同様に、それら自身のループをもつ。したがって、この場合、成形部分5は、ツイン−ワイヤのC−フォーマーである。成形ロール7は、望むならば、サクションロールにすることができる。この場合のプレス部分3は、また、予備プレス32を備える。予備プレス32は、プレスフェルト17のループ内に位置する第1のプレス要素33と、複数のガイドロール38の回りをループ状に走行する第2のプレスフェルト37内に位置する第2のプレス要素34とを含む。ここで、第2のプレス要素34のすぐ上流に位置するガイドロールは、サクションロール39であり、それによって、第2のプレスフェルト37から水を除去する。サクションロール39の反対側の第2のプレスフェルト37の外側にスチームボックス50がある。第2のプレスフェルト37は、第1の内側成形ファブリック8に接触しながら走行し、プレスフェルト37、成形された繊維性ウエブ1’、および成形ファブリック8がサンドイッチ構造を形作る転送ゾーンを形成する。繊維性ウエブ1’がその転送ゾーンを離れるとき、第2のプレスフェルト37がそれを運ぶ。サクション装置51を、転送ゾーンの後の第2のプレスフェルト37のループ内に配置することにより、繊維性ウエブ1’の転送を確実にすることができる。予備プレス32の後の第1のガイドロール38のすぐ前面に、スプレー装置53’がプレスフェルト37の内側に配置されている。そのスプレー装置53’は、プレスフェルト37とガイドロール38との間のくさび形の狭いスペースに清水を供給するためのものである。清水は、プレスフェルト37に押し込まれ、プレスフェルト37を通して中の汚れた水と置き換わる。それは、プレスフェルト37がガイドロール38の回りを走るとき、予備プレス32でのプレスの後である。次に続くガイドロール38の上流に、プレスフェルト37から水を引き出すため、サクションボックス54’がプレスフェルト37の外側に配置されている。そしてまた、サクション装置51に到達するときにプレスフェルト37が水で充満しないようにプレスフェルト37を清浄にするための高圧スプレー装置55’も配置されている。予備プレス32は、シュープレスを含む広いニップを伴うプレスを備えることもできる。
【0028】
図8に示す例は、図7のものと同様である。異なる点は、図2の例に対応する予備加熱装置27を主プレスの後に追加している点である。
【0029】
図9に示す例は、図7のものと同様である。異なる点は、ウエット部分が前に述べたC−フォーマーおよび三日月形フォーマーとは違うタイプの成形部分をもつ点である。図9による成形部分は、いわゆるサクションブレストロールフォーマーであり、ヘッドボックス6,成形ロール7(これはサクションブレストロールである)、および成形ベルト8(これは成形ファブリックである)を含む。成形ベルトは、サクションブレストロール7およびガイドロール18の回りのループを走行し、図7の例に相当する第2のプレスフェルト37と一緒に転送ゾーンを形成する。サクションブレストロール7には、成形ゾーンを形成するサクションゾーン52がある。ヘッドボックス6からジェットになって放出される紙料と一緒に成形ファブリック8が、そのゾーン上を通り、成形ゾーン52の中で脱水され、成形された繊維性ウエブ1’を形成する。
【0030】
図10に示す例は、図9のものと同様である。異なる点は、図2の例に対応する予備加熱装置27を追加している点である。
【0031】
図5〜10による各例で用いる予備プレス32については、主プレス11に関連して説明した異なるプレスのグループの中から選択したものを用いることができる。
【0032】
凹凸付けベルト14は、ティッシュ製紙機械について述べたように、非通水性である。これは、液体も空気もそれらを通過しないことを意味する。一部通水性の凹凸付けベルトを用いることもできる。これは、ベルトの一面に液体を注ぐとき、液体がそれを通るようにさせられ、そのベルトの後面で見ることができることを意味する。
【0033】
湿った繊維性ウエブ1’に凹凸付けするための凹凸付けベルト14は、キャリヤ層59、およびそのキャリヤ層59に支持され、凹凸付けベルトの成形面を構成する凹凸付け層60を備える。その層60は、三次元構造になったウエブ接触面61を備える。その三次元構造は、出っ張り62が境界を定めるくぼみ63と出っ張り62によって形成される。出っ張り62は、くぼみ63と同様、凹凸付けベルトの縦方向および横方向に規則的に繰り返して分布し、幾何学的に同様の小さな多角形の単位表面、すなわち、単位表面64を形成する。単位表面は互いに隣接し、しかも、共通の境界線をもつ。単位表面64は、凹凸付けベルト14の単位となる基礎パターンの繰り返しを形成する。このように、単位表面64は、仮想のものであり、ベルトの構造の中に視覚的な境界を定めることなく、互いに隣り合い合体している。単位表面64のそれぞれはで示す面積をもつ。また、単位表面64のそれぞれは複数のくぼみ63に及ぶ。それらのくぼみ63は、一緒になって体積で平均深さのポケット65を形成する。これらの単位表面64および仲間のポケット65は、前記の各大きさを測定し計算し、それにより、ティッシュ製紙機械での特性および有用性を決定するために活用する。それの狙いとするのは、乾燥部分に行くまでに充分な大きさの乾燥度をもつ繊維性ウエブを作るため、および、満足できる構造/バルクや他の特性をもつティッシュ紙を下記する間に作るためにある。そのような単位表面64のそれぞれは平ら(二次元の)であり、凹凸付けベルトの面(これは、出っ張りの上部に接する)と符合する。
【0034】
ウエブの最適な構造および乾燥度を得るためには、繊維性ウエブ1’がプレスフェルト17、および湿ったウエブ1’をその間に囲んだ凹凸付けベルト14と一緒にプレスニップを通り過ぎるとき、繊維性ウエブ1’をくぼみ63に入り込ませ成形することである。そしてまた、重要なことは、プレス処理のとき、プレスフェルト17がポケット65のすべてのくぼみの中にまで到達できることである。それにより、充分に高い水圧を築き、湿った繊維性ウエブ1’中の水をプレスフェルト17に移動し、プレス作業の終了時点で繊維性ウエブに残さないようにすることができる。ポケット65には、プレスフェルト17が出っ張り62の周囲に形を変えてポケット65中に侵入することができるだけの大きさが必要である。各ポケット65は、ポケット65の底の水が運び去られる最適な深さである。言い換えると、ポケット65の深さは、大きすぎてはならない。というのは、過剰な深さが、必要な水圧を築く上で妨げになるからである。したがって、ポケット65の平均深さは、プレスフェルトの弾性的な変形能力によって決まる。すなわち、ポケット65が深くなればなるほど、プレス処理のとき、プレスフェルト17が弾性的により大きく変形することが求められるし、その逆もまた同じである。ポケット65が浅くなればなるほど、プレスフェルト17にはより小さな弾性が求められる。他方、ポケット65が小さすぎると、ベルトの三次元構造は低すぎ、その結果、繊維性ウエブの三次元構造あるいはバルクが低すぎることになろう。ポケット65が深すぎると、プレスフェルト17はポケット65の底まで到達するほどには充分に弾性変形することなく、必要な水圧を作り出すことができない。その結果、脱水が減少、つまり、乾燥度が減り、そして、放出特性が悪化し、ウエブが破れることになる。これによって、プレスおよび凹凸付け処理、ならびに、繊維性ウエブが今までの処理で得るものよりも高いバルクを得るという事実に対する理由が明らかになる。
【0035】
この明確に規定された凹凸構造のウエブ接触面61をもつ凹凸付けベルト14こそ、最終的な乾燥を行う前のプレスニップの後において、凹凸付けされた繊維性ウエブ1”の構造および乾燥度をコントロールするための重要な要素である。勿論、プレスニップにおける圧力は高すぎることなく、プレスに用いる通常の範囲であることを前提とする。また、プレスフェルト17は、弾性的に圧縮可能な今までのタイプであって、圧縮の際に必要とする受水能力に加えて、上に述べたように、その間に位置する湿った繊維性ウエブと一緒に凹凸付け層のウエブ接触面に弾性的に変形するものであることも勿論である。
【0036】
図11および12は、凹凸付けベルト14の好ましい実施例を示す。この凹凸付けベルトの凹凸付け層60は、成形側に向いており、出っ張り62およびくぼみ63のための基礎を構成する網状組織構造を備える。網状組織構造は、網の目パターンを得るために、たとえば、金属あるいはプラスチック(ポリエステル/ポリアミド)などの適当な材料からなる糸66,67で編んだか、あるいは織ったいずれかのファブリックの形態である。図11において、網の目パターンは、各縦糸66(MD)を3本の横糸67(CD)の上を伸ばした後で2本の横糸67の下を通すことにより形成されている。その場合、次の縦糸66の編み処理で2本の横糸をオフセットし段を作るようにしている。また、図12における網の目パターンは、各縦糸66を4本の横糸67の上を伸ばした後で1本の横糸67の下を通すことにより形成されている。その場合、次の縦糸66の編み処理で2本の横糸をオフセットし段を作るようにしている。繊維性ウエブに対面するファブリック面には、ポリマー層をコーティングすることにより、ファブリック面をその構造に保つ。そのポリマー層の厚さは、また、くぼみの体積を調節するための大切なコントロール要素である。薄い層のコーティングを一回あるいは複数回行うことにより、プラスチック層の厚さを増すことができるからである。
【0037】
上述した網目パターンは、縦および横の両方の糸66,67にナックル様の形をした出っ張り62を生じる。縦糸のナックル68は、本質的に横糸のナックル69よりも長い。図11に、図12も同様であるが、多角形の(もう少し正確には四角形の)小さな単位表面64を示している。それら小さな単位表面のそれぞれの位置および整列状態は、四角形の角が引き続く4本の縦糸66の隣接した4つのナックル68のほぼ中央に符合するという事実によって決まる。ナックル68は、互いに関連して縦方向に入れ替わる。図に示す場合、単位表面64は平行四辺形である。図11に示す単位表面64は、凹凸付けベルト14上の縦方向および横方向の異なる点のどこでも読み取ること、マークを付けること、描くことなどができる。単位表面64およびその仲間のポケット65(これは、単位表面に含まれる)は、測定用に活用される。寸法公差が避けられないとしても、満足できる測定結果を得るために、小さな単位表面64およびそのポケット65については、凹凸付けベルト14に沿い、そして横切る個所をランダムに選択し、複数の所で測定する。それにより、たくさんの測定個所のすべての測定値の平均値を計算する。
【0038】
凹凸付けベルトのキャリヤ層59は、非通水性あるいは通水性にすることができる。
【0039】
テスト
4つの異なる凹凸付け部材(以下、凹凸付けベルトという)のそれぞれを、小さな単位表面64およびその仲間のポケット65の体積に関して調べ検討した。選択した凹凸付けベルトは、ベルトA、ベルトC、ベルトDおよびベルトEで示す。ベルトA、ベルトDおよびベルトEが図11による糸構成であり、ベルトCは図12による糸構成である。測定については、ドイツ、D−37073、カール−マーア−ストラーセ 1番地のカール マーア ホールディング会社(GmbH)のマーサーフ WS1型の測定装置で行った。この測定装置は、0.1nmの垂直解像力でコンタクトフリーの三次元の測定を迅速に行うことができる。ベルトの製造における寸法公差を考慮し、平均値を計算するために、各場合について単位表面64の5個所の異なる位置で測定を行った。測定値を用いて、体積と面積の比を算出した。それにより、底面が非常にでこぼこしたポケット65のくぼみ63のすべての深さの平均値をmmで表した長さの値を得た。測定した体積および面積の測定値、ならびにそれらから算出した比を下記の表1に示す。
【0040】
【表1】

【0041】
4つの凹凸付けベルトA、C、D、およびEのそれぞれを、図1に示す実施例によって形成したティッシュ製紙機械で用いた。製紙機械は1200m/分の速度で運転し、製造したクレープ付けした巻き取ったウエブは、坪量20g/mであった。いずれの場合でも、成形した繊維性ウエブ1’は、サクションロール25の前での乾燥度が約16%、サクションロール25の後での乾燥度が約25%であった。主プレス11はシュープレスであり、プレス要素13がプレスシューと無端の非通水性の溝付きベルトとを備え、その溝付きベルトがフェルトの裏側に接触したプレスシューの回りを走行するようになっている。このように、プレスニップは、この場合、広いプレスニップであった。プレスニップにおける具体的な圧力は4MPaであった。用いたプレスフェルトはオルバニー インターナショナル社が提供したものであり、坪量1425g/cmであった。また、そのフェルトの厚さは、負荷を受けない状態で2.4mmであり、ロールプレスニップで最大7.3MPaの圧で圧縮したとき約1.7mmになるような弾性的な圧縮特性がある。その厚さはロールプレスニップの中央で算出した値であり、その中央部分は最大の負荷を示す場所である。その後、プレスニップの出口で負荷がなくなると、フェルトは元の厚さになる。このようにして凹凸付けされた各繊維性ウエブ1”は、それからヤンキードライヤーに移り乾燥され、そして、クレープ付けドクター21によってドライヤー(シリンダー)表面からこすり取られる。ウエブの乾燥度については、転送ロール16のすぐ後で測った。また、完成した巻き取り紙ウエブについて、そのウエブはリールに巻き付けるのであるが、バルク、引っ張り強度および伸長度について調べた。凹凸付けした繊維性ウエブ1”について上のように乾燥する前における乾燥度、および完成した巻き取り紙ウエブの厚さについて、次の表2に示す。
【0042】
【表2】

【0043】
得られた結果を見ると、驚くべきことに、ベルトCおよびベルトE、これらは両方ともに互いにこの発明を適用した面積および平均深さをもっているのであるが、プレスニップ後の繊維性ウエブの乾燥度が非常に高くなっており、また、ベルトAおよびベルトD、これらは互いにこの発明による面積および平均深さをもっていないのであるが、プレスニップ後の繊維性ウエブの乾燥度が比較的に低くなっている。この驚くべき結果は、また、最も高い乾燥度の繊維性ウエブをもたらした凹凸付けベルト、つまりベルトCが最も高いバルクになっている。このバルクの高くなった原因は、ベルトCの粗い構造にある。ベルトEによるバルクもまた許容することができる。一般的には、粗いベルト構造は高いバルクを生じるが、柔軟さは低くなり、反対に、微細な構造は低バルクではあるが、柔軟さは高くなる。このように、ベルトCおよびベルトEは、基本的に乾燥部分において、エネルギー消費の低減を図ることができる。
【0044】
得られた結果については、図13の図に示すように、面積と平均深さとの関係を座標上にプロットしている。4つの凹凸付けベルトに対するa/d座標に印を付け、原点を通り傾き係数kが30の直線Lを引いてある。この直線Lの下の領域であり、面積および平均深さを明示した範囲が、この発明の考え方による凹凸付けベルトを表し、乾燥度が高く、満足すべき構造の繊維性ウエブを生み出す。ところが、ここで示す比較テストから分かるように、直線Lの上の領域はこの発明の考え方には入らない。
【0045】
この発明による凹凸付け層をもつ凹凸付けベルトを備えるティッシュ製紙機械で製造したところ、クレープ付けし巻き取ったティッシュ紙は、次のような特性である。
【0046】
坪量 10〜50g/m
厚さ 160〜400μm
バルク 8〜20cm/g
MD引っ張り強度 50〜300N/m
CD引っ張り強度 30〜300N/m
【0047】
凹凸付け部材(凹凸付けベルト)は、キャリヤ層59と凹凸付け層60とを形成することにより製造することができる。凹凸付け層60は、繊維性ウエブ1’に接触するものであり、キャリヤ層59で支持される。凹凸付け層60は、三次元の織り構造物であり、出っ張り62によって定められるくぼみ63と出っ張り62から形成される。
出っ張り62は、くぼみ63と同様、凹凸付けベルトの縦方向および横方向に規則的に繰り返して分布し、幾何学的に同一の小さな多角形の単位表面64を形成する。単位表面は互いに隣接し、しかも、共通の境界線をもつ。単位表面64のそれぞれはで示す面積をもち、それぞれは平均深さの複数のくぼみ63を含んでいる。小さな単位表面64のそれぞれの位置および整列状態は、それについての角が出っ張り62に一致していることによって定まる。出っ張り62は、互いの関係により入れ替わり、連続する4つの縦糸によって形成される。ここで、凹凸付け層の小さな単位表面64のそれぞれの面積および平均深さについて、長さの単位をmmで算出するとき、それらのの比が30mmに等しいかそれよりも大きいことである。ただし、は1.0〜3.0mmの範囲、そして、は0.03〜0.09mmの範囲からそれぞれ選択する。ファブリックの一面に液体ポリマーの形態のコーティングを行い、それが凹凸付け層60を形成し、繊維性ウエブに接触する。
【0048】
「複数のくぼみ」という表現は、一つおよび同じ単位表面の中に完全に位置するそのようなくぼみに及ぶだけでなく、第1の単位表面、および隣接する第2の単位表面の中に位置する部分を備えるくぼみにも及ぶ。測定においては、そのような各単位表面のほか、この単位表面に関係するくぼみの各部分についても測定すると理解されたい。
【0049】
「小さな(つまり、最小の)単位表面」という表現は、一つおよび同じ凹凸付けベルトの小さな単位表面のすべてが下層の底面に関する地形と同じであること、すなわち、凹凸付け層の中に繰り返しパターンとして生じる出っ張り62およびくぼみ63が同じ分布および位置あるいは方向であることを意味する。
【0050】
この発明は、また、第1および第2のベルトを伴い、第1のベルトが弾性的な圧縮性のプレスフェルトであるプレス部分を備えるティッシュ製紙機械を改造する方法に関する。改造に際しては、プレス部分の第2のベルトを請求項1〜7のいずれか一つの凹凸付けベルトと取り替える。
【符号の説明】
【0051】
1 ティッシュ紙ウエブ
1’ 成形された繊維性ウエブ
1” 凹凸付けされた繊維性ウエブ
2 ウエット部分
3 プレス部分
4 乾燥部分
5 成形部分
6 ヘッドボックス
7 成形ロール
8 成形ベルト(成形部材)
9 第2の成形布
11 主プレス
14 凹凸付けベルト(凹凸付け部材)
16 転送ロール
17 プレスベルト
19 乾燥シリンダー
20 乾燥表面
21 クレープ付けドクター
23 スプレー装置
24 予備脱水装置
27 予備加熱装置
32 予備プレス
53 スプレー装置
54 サクションボックス
55 高圧スプレー装置
59 キャリヤ層
60 凹凸付け層
61 ウエブ接触面
62 出っ張り
63 くぼみ
64 単位表面
65 ポケット
66 縦糸
67 横糸
68,69 ナックル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ティッシュ製紙機械のプレス部分におけるプレス処理で湿った繊維性ウエブ(1’)に凹凸付けするための凹凸付け部材(14)であり、その凹凸付け部材(14)は、キャリヤ層(59)、および繊維性ウエブ(1’)に接触しキャリヤ層(59)に支持される凹凸付け層(60)とを備え、その凹凸付け層(60)は、互いに編んだ縦糸(66)と横糸(67)とを備える三次元の織り構造物であって、出っ張り(62)と、その出っ張り(62)によって定まるくぼみ(63)を形作っており、出っ張り(62)は、くぼみ(63)と同様に、凹凸付け部材の縦および横の両方向に繰り返しかつ分布し、幾何学的に同一の小さな多角形の単位表面(64)を形成し、小さな単位表面(64)は、互いに隣接し、共通の境界線をもち、そして、面積がであり、平均深さの複数のくぼみを含み、小さな単位表面(64)のそれぞれの位置および整列状態は、それについての角が出っ張り(62)に一致していることによって定まり、出っ張り(62)は、互いの関係により入れ替わり、連続する4つの縦糸(66)によって形成されるものにおいて、
凹凸付け層(60)の小さな単位表面(64)のそれぞれの面積および平均深さについて、を1.0〜3.0mmの範囲、そして、を0.03〜0.09mmの範囲からそれぞれ選択して、長さの単位をmmで算出するとき、それらのの比が30mmに等しいかそれよりも大きいことを特徴とする凹凸付け部材(14)。
【請求項2】
前記面積を1.3〜2.6mmの範囲の中から選ぶことを特徴とする、請求項1の凹凸付け部材(14)。
【請求項3】
前記小さな単位表面(64)は四角形であり、小さな単位表面(64)のそれぞれの位置および整列状態は、それについての角が隣接する4つの出っ張り(62)に一致していることによって定まり、出っ張り(62)は、互いの関係により入れ替わり、連続する4つの縦糸(66)によって形成されることを特徴とする、請求項1および2のいずれか一つの凹凸付け部材(14)。
【請求項4】
前記凹凸付け層(60)は、繊維性ウエブ(1’)に接触する側に、編んだ糸(66,67)上にポリマーを塗布したコーティングを含み、しかも、前記キャリヤ層(59)は、凹凸付け層(60)に接合されて単一体を形作っていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つの凹凸付け部材(14)。
【請求項5】
それが非通水性であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一つの凹凸付け部材(14)。
【請求項6】
それが通水性であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一つの凹凸付け部材(14)。
【請求項7】
前記凹凸付け層(60)は、互いに編み、縦糸(66)の第1のグループと横糸(67)の第2のグループとに分配し、前記出っ張り(62)およびくぼみ(63)を形成する糸(66,67)を備え、出っ張り(62)が縦および横のナックル(それぞれ68および69)を含み、それぞれのグループの隣接する2本の糸(66,67)のナックル(68,69)は互いに関連して入れ替わり、前記単位表面(64)は、その角が引き続く4本の縦糸(66)の縦のナックル(68)の中央に位置する平行四辺形であることを特徴とする、請求項4の凹凸付け部材(14)。
【請求項8】
凹凸付けおよびクレープ付けしたティッシュ紙ウエブを製造するための製紙機械であり、次の各構成および特徴部分を備えるティッシュ製紙機械。
− 繊維性ウエブ(1’)を成形するためのウエット部分(2)であり、
− ヘッドボックス(6)、
− 成形ロール(7)、および
− 成形ロール(7)に接触し走行する第1の部材(8)を備えるウエット部分(2)。
− プレス部分(3)であり、
− 第1のプレス要素(12)と、− 第1のプレス要素(12)と一緒にそれらの間に所定圧のプレスニップを形成する第2のプレス要素(13)とを含む主プレス(11)と、− 弾性的に圧縮可能なプレスフェルトの形態であり、複数のガイドロール(18)の回りに無端のループを形成し、成形された繊維性ウエブ(1’)と一緒にそのウエブと接触しながら前記プレスニップを通して走行し、前記第2のプレス要素(13)をプレスフェルト(17)のループ内に配置した第1の部材と、− 複数のガイドロール(15)の回りに無端のループを形成し、成形された繊維性ウエブ(1’)と一緒にそのウエブと接触しながら前記プレスニップを通して走行し、前記第1のプレス要素(12)を第2の部材(14)のループ内に配置した第2の部材(14)と、− 第2の部材(14)のループ内に配置した転送ロール(16)とを備えるプレス部分(3)。
− プレスした繊維性ウエブ(1”)を最終的に乾燥するための乾燥部分(4)であり、
− プレスした繊維性ウエブ(1”)を乾燥するための乾燥表面(20)、および
− ウエブをクレープ付けするためのものであり、クレープ付けしたティッシュ紙ウエブ(1)を乾燥表面(20)から離すようにするクレープ付けドクター(21)。ここで、前記転送ロール(16)は、乾燥表面(20)と一緒に転送ニップを形成する配置であり、その転送ニップは、繊維性ウエブ(1”)を圧縮することなく乾燥表面(20)に転送する。
特徴部分:前記第2の部材が、請求項1〜7のいずれか一つの凹凸付け部材(14)であり、その凹凸付け部材(14)は、成形された繊維性ウエブ(1’)を前記プレスニップで凹凸付けし、凹凸付けされた繊維性ウエブ(1”)がプレスニップを離すようになっている。
【請求項9】
前記プレスフェルト(17)は、前記所定の圧で、凹凸付け部材(14)の凹凸付け層(60)に応じてそれ自体が弾性的に変形し、それにより、成形された繊維性ウエブ(1’)がくぼみ(63)の中に完全に侵入し、そしてまた、凹凸付けされた繊維性ウエブ(1”)が38%以上の乾燥度でプレスニップを離れ、しかも、凹凸付けされたティッシュ紙ウエブ(1)が8〜20cm/gのバルクのクレープ付け形態で乾燥部分から離れることを特徴とする、請求項8のティッシュ製紙機械。
【請求項10】
前記乾燥表面(20)は、乾燥シリンダー(19)の外被で構成されることを特徴とする、請求項8あるいは9のティッシュ製紙機械。
【請求項11】
前記ウエット部分(2)は、繊維性ウエブ(1’)の乾燥度を16〜25%に増すための脱水装置(24)を備えることを特徴とする、請求項8〜10のいずれか一つのティッシュ製紙機械。
【請求項12】
前記脱水装置は、前記成形ロール(7)の下流の第1の成形部材(8)のループ内に位置するサクションロール(25)と、そのサクションロール(25)とは反対の成形部材(8)のループの外側に位置するスチームボックス(26)とを備えることを特徴とする、請求項11のティッシュ製紙機械。
【請求項13】
前記主プレス(11)は、広いプレスニップを伴うプレスであり、そのプレスの第2のプレス要素(13)が第1のプレス要素(12)と協力して広いプレスニップを形成するための装置を備えることを特徴とする、請求項8〜12のいずれか一つのティッシュ製紙機械。
【請求項14】
前記主プレス(11)はシュープレスであり、広いプレスニップを形成するための装置は、プレスシューと、広いプレスニップを通して走る無端のベルトとを備え、前記プレスシューが前記ベルトの内側にプレスされるようになっている、請求項13のティッシュ製紙機械。
【請求項15】
前記広いプレスニップを形成するための装置は、前記第1のプレス要素に向かう方向にプレスするように配置した弾力性のサポート本体を備えることを特徴とする、請求項13のティッシュ製紙機械。
【請求項16】
前記プレス部分(3)は、また、第1のプレス要素(33)および第2のプレス要素(34)を含み、それらのプレス要素(33,34)がそれらの間にプレスニップを形成する予備プレス(32)と、複数のガイドロール(18;38)の回りを無端のループを作って走行し、前記主プレス(11)のプレスフェルト(17)と一緒に前記プレスニップを通るプレスフェルト(8,37)とを備え、前記第2のプレス要素(34)は予備プレス(32)のプレスフェルト(8,37)のループ内に位置し、第1のプレス要素(33)は主プレスのプレスフェルト(17)のループ内に位置し、そして、成形された繊維性ウエブ(1’)が二つのプレスフェルト(17,8;17,37)の間に取り囲まれた予備プレスのプレスニップを通して走行することを特徴とする、請求項8〜15のいずれか一つのティッシュ製紙機械。
【請求項17】
前記予備プレス(32)は、広いニップを伴うプレスを備えることを特徴とする、請求項16のティッシュ製紙機械。
【請求項18】
前記凹凸付け部材(14)のループは、主プレス(11)と転送ロール(16)との間に伸び、そして、主プレス(11)のプレスフェルト(17)のループは、成形ロール(7)と主プレス(11)との間に伸び、主プレス(11)のプレスフェルト(17)が前記第1の成形ベルト(8)をも形成することを特徴とする、請求項11のティッシュ製紙機械。
【請求項19】
前記凹凸付け部材(14)のループは、成形ロール(7)と転送ロール(16)の間に伸び、それにより、前記第1の成形部材(8)をも形成することを特徴とする、請求項8のティッシュ製紙機械。
【請求項20】
前記凹凸付け部材(14)が主プレス(11)と転送ロール(16)との間に伸び、プレスフェルト(17)が予備プレス(32)と主プレス(11)との間に伸び、そして、前記第1の成形部材(8)が成形ロール(7)と予備プレス(32)との間に伸びて予備プレス(32)のプレスフェルトを構成することを特徴とする、請求項16あるいは17のティッシュ製紙機械。
【請求項21】
前記凹凸付け部材(14)が主プレス(11)と転送ロール(16)との間に伸び、プレスフェルト(17)が予備プレス(32)と主プレス(11)との間に伸び、予備プレス(32)のプレスフェルトが転送ゾーンと予備プレス(32)との間に伸び、そして、成形部材(8)のループが成形ロール(7)と前記転送ゾーンに関連して配置したガイドロールとの間に伸びることを特徴とする、請求項16あるいは17のティッシュ製紙機械。
【請求項22】
前記予備加熱装置(27)は、主プレス(11)の下流に位置することを特徴とする、請求項8〜21のいずれか一つのティッシュ製紙機械。
【請求項23】
凹凸付けした繊維性ウエブ(1”)を製造するためのものであり、クレープ付けした高バルクのティッシュ紙ウエブ(1)を製造するための製紙機械に用いるプレス部分であって、次の各構成および特徴部分を備えるプレス部分。
− 第1のプレス要素(12)と、− 第1のプレス要素(12)と一緒にそれらの間に所定圧のプレスニップを形成する第2のプレス要素(13)とを含む主プレス(11)。
− 弾性的に圧縮可能なプレスフェルト(17)の形態であり、複数のガイドロール(18)の回りに無端のループを形成し、成形された繊維性ウエブ(1’)と一緒にそのウエブと接触しながら前記プレスニップを通して走行し、前記第2のプレス要素(13)をプレスフェルト(17)のループ内に配置した第1の部材。
− 複数のガイドロール(15)の回りに無端のループを形成し、成形された繊維性ウエブ(1’)と一緒にそのウエブと接触しながら前記プレスニップを通して走行し、前記第1のプレス要素(12)を第2の部材(14)のループ内に配置した第2の部材(14)。
特徴部分:前記第2の部材が、請求項1〜7のいずれか一つの凹凸付け部材(14)であり、その凹凸付け部材(14)は、成形された繊維性ウエブ(1’)を前記プレスニップで凹凸付けし、凹凸付けされた繊維性ウエブ(1”)がプレスニップを離すようになっている。
【請求項24】
前記プレスフェルト(17)は、前記所定の圧で、凹凸付け部材(14)の凹凸付け層(60)に応じてそれ自体が弾性的に変形し、それにより、成形された繊維性ウエブ(1’)がくぼみ(63)の中に完全に侵入し、そしてまた、凹凸付けされた繊維性ウエブ(1”)が38%以上の乾燥度でプレスニップを離れることを特徴とする、請求項23のプレス部分。
【請求項25】
前記乾燥度が38〜52%の間にあることを特徴とする、請求項24のプレス部分。
【請求項26】
前記主プレス(11)は、広いプレスニップを伴うプレスであり、そのプレスの第2のプレス要素(13)が第1のプレス要素(12)と協力して広いプレスニップを形成するための装置を備えることを特徴とする、請求項23〜25のいずれか一つのプレス部分。
【請求項27】
前記主プレス(11)はシュープレスであり、広いプレスニップを形成するための装置は、プレスシューと、広いプレスニップを通して走る無端のベルトとを備え、前記プレスシューが前記ベルトの内側にプレスされるようになっている、請求項26のプレス部分。
【請求項28】
前記広いプレスニップを形成するための装置は、前記第1のプレス要素に向かう方向にプレスするように配置した弾力性のサポート本体を備えることを特徴とする、請求項26のプレス部分。
【請求項29】
ティッシュ製紙機械で凹凸付けした高バルクなティッシュ紙ウエブ(1)を製造する方法であって、次のような各工程および条件、ならびに特徴部分を備える製造方法。
− ヘッドボックス(6)、成形ロール(7)、およびその成形ロール(7)の回りを接触しながら走行する第1の部材(8)を備えるウエット部分(2)において、繊維性ウエブ(1’)を成形する工程。
− 第1のプレス要素(12)と、その第1のプレス要素(12)との間に所定圧のプレスニップを形成する第2のプレス要素(13)とを含む主プレス(11)と、複数のガイドロール(18)の回りに無端のループを形成し、成形された繊維性ウエブ(1’)と一緒にそのウエブに接触しながら前記プレスニップを通して走行し、前記第2のプレス要素(13)をプレスフェルトのループ内に配置した第1の部材(17)と、複数のガイドロール(15)の回りに無端のループを形成し、成形された繊維性ウエブ(1’)と一緒にそのウエブに接触しながら前記プレスニップを通して走行し、前記第1のプレス要素(12)を第2の部材(14)のループ内に配置した第2の部材(14)と、前記第2の部材(14)のループ内に配置した転送ロール(16)とを備えるプレス部分(3)において、成形された繊維性ウエブ(1’)をプレスする工程。
− 乾燥表面(20)を含む乾燥部分(4)において、凹凸付けされた繊維性ウエブ(1”)を乾燥する工程。
− 前記乾燥表面(20)で乾燥した繊維性ウエブ(1”)に、クレープ付けドクター(21)でクレープ付けし、クレープ付けしたティッシュ紙ウエブ(1)を乾燥表面(20)から取り除くことができるようにする工程。
ここで、前記転送ロール(16)は、乾燥表面(20)と一緒に転送ニップを形成し、凹凸付けされた繊維性ウエブ(1”)をその転送ニップで圧縮することなく乾燥表面(20)に転送するようになっていること。
特徴部分:成形された繊維性ウエブ(1’)のプレスおよび凹凸付けについて、プレスニップの中のプレス工程で、凹凸付け部材の形態である前記第2の部材を用いるときに実行し、三次元の凹凸付けされた繊維性ウエブ(1”)を得、その凹凸付け部材は、キャリヤ層(59)、および繊維性ウエブ(1’)に接触しキャリヤ層(59)に支持される凹凸付け層(60)とを備え、凹凸付け層(60)は、互いに編んだ縦糸(66)と横糸(67)とを備える三次元の織り構造物であって、出っ張り(62)と、その出っ張り(62)によって定まるくぼみ(63)を形作っており、出っ張り(62)は、くぼみ(63)と同様に、凹凸付け部材の縦および横の両方向に繰り返しかつ分布し、幾何学的に同様の小さな多角形の単位表面(64)を形成し、小さな単位表面(64)は、互いに隣接し、共通の境界線をもち、そして、面積がであり、平均深さの複数のくぼみ(63)を含み、しかも、小さな単位表面(64)のそれぞれの位置および整列状態は、それについての角が出っ張り(62)に一致していることによって定まり、出っ張り(62)は、互いの関係により入れ替わり、連続する4つの縦糸(66)によって形成され、凹凸付け層(60)の小さな単位表面(64)のそれぞれの面積および平均深さについて、を1.0〜3.0mmの範囲、そして、を0.03〜0.09mmの範囲からそれぞれ選択して、長さの単位をmmで算出するとき、それらのの比が30mmに等しいかそれよりも大きいこと。
【請求項30】
前記プレスフェルト(17)は、前記所定の圧で、前記くぼみ(63)中に必要な水圧を維持するために凹凸付け部材(14)の凹凸付け層(60)に応じてそれ自体が弾性的に変形し、それにより、成形された繊維性ウエブ(1’)がくぼみ(63)の中に完全に侵入し、そしてまた、凹凸付けされた繊維性ウエブ(1”)が38%以上の乾燥度でプレスニップを離れ、しかも、凹凸付けされたティッシュ紙ウエブ(1)が8〜20cm/gのバルクのクレープ付け形態で乾燥部分から離れることを特徴とする、請求項29の製造方法。
【請求項31】
前記成形された繊維性ウエブ(1’)は、プレスおよびTADに無関係な脱水装置によって、主プレス(11)に達するまでにさらに乾燥度を増すことを特徴とする、請求項29あるいは30の製造方法。
【請求項32】
前記成形された繊維性ウエブ(1’)は、予備プレス(32)によって、主プレス(11)に達するまでにさらに乾燥度を増すことを特徴とする、請求項31の製造方法。
【請求項33】
前記凹凸付けされた繊維性ウエブ(1”)は、乾燥シリンダー(19)に到達するまでに予め加熱されることを特徴とする、請求項29〜31のいずれか一つの製造方法。
【請求項34】
前記繊維性ウエブ(1’)は、凹凸付け部材(14)上で形作られるが、凹凸付け部材(14)は、成形ロール(7)および転送ロール(16)の回りを無端のループを作って走行し、その凹凸付け部材(14)は繊維性ウエブ(1’)を主プレス(11)に達するまでずっと運ぶことを特徴とする、請求項29,30、32および33のいずれか一つの製造方法。
【請求項35】
製造にかかるクレープ付けしたティッシュ紙は、次のような特性である、請求項28〜34のいずれか一つの製造方法。
坪量 10〜50g/m
厚さ 160〜400μm
バルク 8〜20cm/g
MD引っ張り強度 50〜300N/m
CD引っ張り強度 30〜300N/m
【請求項36】
請求項28〜35のいずれか一つの方法で製造したクレープ付けしたティッシュ紙ウエブ(1)。
【請求項37】
請求項23のプリアンブルのプレス部分を備え、そのプレス部分の第2の部材が請求項1〜7のいずれか一つの凹凸付け部材(14)で置き換わることを特徴とする、ティッシュ製紙機械の改良技術。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公表番号】特表2011−506779(P2011−506779A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534910(P2010−534910)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【国際出願番号】PCT/SE2008/000641
【国際公開番号】WO2009/067066
【国際公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(597098947)オルバニー インターナショナル コーポレイション (31)
【Fターム(参考)】