説明

凹凸形成装置および情報入力装置

【課題】装置の複雑化を抑制し、かつ、形成された凸形状を入力用ボタンとして認識することが容易な接触感覚を得ることが可能な凹凸形成装置および情報入力装置を提供する。
【解決手段】この凹凸形成部(凹凸形成装置)40は、絶縁体からなる突出部材41と、突出部材41の側方および下方を取り囲むように配置され、突出部材41よりも硬度が小さく、かつ、絶縁性を有するエラストマ42と、エラストマ42を挟むように配置された第1電極51a、51bおよび第2電極61a、61bとを備え、第1電極51a、51bおよび第2電極61a、61bを用いて、エラストマ42に電圧を印加して第1電極51a、51bおよび第2電極61a、61bの間の静電引力によりエラストマ42を変形させて突出部材41を押し上げることによって入力用凸部12a〜12nを形成するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、凹凸形成装置および情報入力装置に関し、特に、電圧を印加することにより凹凸形状を形成する凹凸形成装置および情報入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電圧などを印加することにより凹凸形状を形成する凹凸形成装置および情報入力装置が知られている(たとえば、特許文献1〜5参照)。
【0003】
上記特許文献1には、表面電極と裏面電極とにより挟まれた高分子アクチュエータを備える凹凸形成装置が開示されている。この高分子アクチュエータは、電圧の印加により高分子電解質内の陽イオンが陰極側へ移動し、表裏で膨潤に差が生じて弧状に湾曲する。この凹凸形成装置は、高分子アクチュエータの一方端をスペーサによって固定し、他方端に半球部材を取り付けた片持ち梁構造を有し、高分子アクチュエータを弧状に湾曲させることにより半球部材を突出させるように構成されている。
【0004】
上記特許文献2には、少なくとも1層の起歪層を少なくとも2層の電極層により挟み込んだ構造を有する動作部と、動作部の両端を支持するフレーム部とを備える電気信号変位変換装置(凹凸形成装置)が開示されている。この電気信号変位変換装置は、動作部の両端をフレーム部により固定する両端固定梁構造を有し、複数の電極層に電圧を印加すると、圧電効果によって起歪層が伸張する一方、フレーム部によって動作部の両端が固定されているために、起歪層の伸張が制限され、その結果、動作部全体が座屈変形する。この電気信号変位変換装置は、この座屈変形により動作部が湾曲することによって凹凸形状を形成するように構成されている。
【0005】
また、上記特許文献3には、ヒータが配置された基板上に高分子ゲル膜が積層されている点字表示用ディスプレイ(凹凸形成装置)が開示されている。この点字表示用ディスプレイの高分子ゲル膜は熱により膨張する性質を有する単分子膜である。また、ヒータは高分子ゲル膜の下に配置され、温度変化の刺激を与えることにより高分子ゲル膜を膨張させて、凹凸形状を形成するように構成されている。この高分子ゲルは柔軟であり、形成された凸部も柔軟性を有する。
【0006】
また、上記特許文献4には、高分子ゲル層と膨潤液保持層とを一対の電極により挟み込んだ構造を有する凹凸形成層(凹凸形成装置)が開示されている。この凹凸形成層は、電極から電気的刺激が付与されると、高分子ゲル層が隣接する膨潤液保持層の膨潤液を吸収または排出することにより、高分子ゲル層の体積が増減することによって、凹凸形状を形成するように構成されている。この高分子ゲルは柔軟であり、形成された凸部も柔軟性を有すると考えられる。
【0007】
また、上記特許文献5には、板状電気機械変換素子と、板状電気機械変換素子の各面に互いに交差するように配置した電極アレイ(電極)と、板状電気機械変換素子と固着された補強板とを備える触覚ディスプレイ装置(凹凸形成装置)が開示されている。この触覚ディスプレイ装置では、板状電気機械変換素子としてPZT基板が用いられており、電極アレイの交差部分以外の部分でPZT基板が補強板と固着されている。PZT基板の各面に配置された電極の交差部分に電圧が印加されると、PZT基板の電圧が印加された部分が伸張する一方、電極の交差部分以外の部分が補強板と固着されているために伸びが制限される。この結果、PZT基板の電圧が印加された部分が座屈変形を起こすことにより凹凸形状が形成されるように構成されている。つまり、この特許文献5による触覚ディスプレイ装置は、板状電気機械変換素子の両端を補強板により固定した両端固定梁構造を有する。
【0008】
【特許文献1】特開2007−79172号公報
【特許文献2】特開平8−114408号公報
【特許文献3】特開平6−4021号公報
【特許文献4】特開平11−203025号公報
【特許文献5】特開2000−56674号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1に記載の凹凸形成装置では、凹凸形状を形成する高分子アクチュエータは片持ち梁構造を有しているので、この高分子アクチュエータを固定するためのスペーサを設ける必要がある。さらに、この凹凸形成装置は、半球部材が取り付けられた梁状の高分子アクチュエータを備える構造を有するため、スペーサおよび半球部材を設ける分、装置の構造が複雑化するという問題点がある。
【0010】
また、上記特許文献2に記載の電気信号変位変換装置では、動作部の両端を固定するフレーム部が起歪層の伸張を制限することにより凸形状を形成するので、動作部を固定するためのフレーム部を装置の両端に設ける必要がある。このため、フレーム部を設ける必要がある分、装置の構造が複雑化するという問題点がある。
【0011】
また、上記特許文献3に記載の点字表示用ディスプレイでは、凹凸形状の形成が熱により膨張する柔軟な高分子ゲルにより行われるため、形成された凸形状部分も柔軟性を有する。このため、これをたとえばスイッチなどの入力用ボタンとして用いた場合には、押し下げる部分(入力用ボタン)自体が柔軟に形成されてしまうので、凸形状を押す際に通常の硬い入力用ボタンを押したような感触を得ることは困難であるという問題点がある。
【0012】
また、上記特許文献4に記載の凹凸形成層では、膨潤液を吸収して膨潤した高分子ゲル層により凸形状が形成されるため、形成された凸形状自体が柔軟性を有する。このため、凸形状を押す際に通常の硬い入力用ボタンを押したような感触を得ることは困難であるという問題点がある。
【0013】
また、上記特許文献5に記載の触覚ディスプレイ装置では、PZT基板の両端を固定する補強板がPZT基板の伸張を制限することにより凸形状を形成するので、PZT基板の両端を固定するための補強板を装置の両端に設ける必要がある。このため、補強板を設ける必要がある分、装置の構造が複雑化するという問題点がある。
【0014】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、装置の構造が複雑化するのを抑制し、かつ、形成された凸形状を押す際に通常の硬い入力用ボタンと同様の接触感覚を得ることが可能な凹凸形成装置および情報入力装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0015】
この発明の第1の局面による凹凸形成装置は、絶縁体からなる突出部材と、突出部材の側方および下方を取り囲むように配置され、突出部材よりも硬度が小さく、かつ絶縁性を有するエラストマからなる変形部材と、変形部材を挟むように配置された第1電極および第2電極とを備え、第1電極および第2電極を用いて変形部材に電圧を印加して第1電極および第2電極間の静電引力により変形部材を変形させて突出部材を押し上げることによって凸部を形成するように構成されている。
【0016】
この第1の局面による凹凸形成装置では、上記のように、突出部材の側方および下方を取り囲むように配置された絶縁性を有する変形部材に電圧を印加して第1電極および第2電極間の静電引力により変形部材を変形させて突出部材を押し上げることにより凸部を形成するように構成することによって、梁の湾曲により凸部を形成する構造と異なり、両端または一方端に梁を固定する部材を設けることなく凸部を形成することが可能となる。これにより、凹凸形成装置の構造が簡素化されるので、装置の構造が複雑化するのを抑制することができる。また、突出部材よりも硬度が小さいエラストマからなる変形部材に電圧を印加して変形部材を変形させ、突出部材を押し上げることにより凸部を形成するように構成することによって、柔軟な変形部材により凸部を形成する構成と異なり、変形部材よりも硬度の大きい突出部材を突出させて凸部を形成することができる。これにより、形成された凸部自体の硬度を大きくすることができるため、形成された凸部を押す際に通常の硬い入力用ボタンと同様の接触感覚を得ることができる。
【0017】
上記第1の局面による凹凸形成装置において、好ましくは、第1電極が設けられた変形可能な上部層と、第2電極が設けられた下部層とをさらに備え、突出部材は、上部層の第1電極が設けられた部分以外の部分に下部層の方向に向かって設けられている。このように構成すれば、突出部材と第1電極とが設けられた上部層と、第2電極が設けられた下部層とにより、変形部材を挟み込むだけで凹凸形成装置を構成することが可能となる。これにより、装置の構造が複雑化するのを抑制することができる。
【0018】
上記第1の局面による凹凸形成装置において、好ましくは、変形部材の第1電極との接触部分の面積が、突出部材の底面積よりも大きい。このように構成すれば、変形部材に電圧を印加して第1電極および第2電極の間の静電引力により上下方向に変形部材が圧縮されて突出部材の下方にもぐりこむ体積に応じた体積分だけ突出部材が押し上げられる場合に、変形部材の第1電極との接触部分の面積(変形部材の変形する部分の面積)を突出部材の底面積よりも大きくすることによって、変形部材の上下方向の変位量(第1電極および第2電極の間の静電引力により圧縮された上下方向の変形量)に対して突出部材の突出量(変形部材に押し上げられた上下方向の変位量)を大きくすることができる。これにより、簡単な構造によって凸形状の突出量を容易に大きくすることができる。
【0019】
上記第1の局面による凹凸形成装置において、好ましくは、突出部材の下方に突出部材に対向するように配置され、変形部材よりも硬度の大きい材料からなる当接部材をさらに備え、当接部材は、突出部材が押し下げられた場合に突出部材と当接することにより突出部材を制止するように構成されている。このように構成すれば、形成された入力用凸部(入力用ボタン)を押し下げる際に、変形部材よりも硬度の大きい材料からなる当接部材と突出部材とが当接することにより押し下げが制止される。これにより、入力用凸部の入力操作(押し下げ)の終了を硬度の大きい当接部材との当接により感知することができるので、明確な入力感覚を得ることができる。その結果、入力感覚の不確かさによる重複入力(2度押し)や誤入力を防止することができる。
【0020】
この発明の第2の局面による情報入力装置は、絶縁体からなる突出部材と、突出部材の側方および下方を取り囲むように配置され、突出部材よりも硬度が小さく、かつ、絶縁性を有するエラストマからなる変形部材と、変形部材を挟むように配置された第1電極および第2電極とを含み、第1電極および第2電極を用いて変形部材に電圧を印加して第1電極および第2電極間の静電引力により変形部材を変形させて突出部材を押し上げることによって凸部を形成するように構成されている複数の凹凸形成部が配列された凹凸形成パネルと、凹凸形成パネルに重ねて配置される表示装置とを備え、凹凸形成パネルは、表示装置に表示される入力用画像に応じて凹凸形成部の突出部材を突出させることによって、所定の形状の入力用凸部を形成するように構成されている。
【0021】
この第2の局面による情報入力装置では、上記のように、凹凸形成部は、突出部材の側方および下方を取り囲むように配置された絶縁性を有する変形部材に電圧を印加して第1電極および第2電極間の静電引力により変形部材を変形させて突出部材を押し上げることにより凸部を形成するように構成することによって、梁の湾曲により凸部を形成する構造と異なり、両端または一方端に梁を固定する部材を設けることなく凸部を形成することが可能となる。これにより、凹凸形成部の構造が簡素化されるので、装置の構造が複雑化するのを抑制することができる。また、凹凸形成部は、突出部材よりも硬度が小さいエラストマからなる変形部材に電圧を印加して変形部材を変形させ、突出部材を押し上げるようにして突出させることにより凸部を形成するように構成することによって、柔軟な変形部材により凸部を形成する構成と異なり、変形部材よりも硬度の大きい突出部材を突出させて凸部を形成することができる。これにより、形成された凸部自体の硬度を大きくすることができるため、形成された凸部を入力用ボタンとして認識することが容易な接触感覚を得ることができる。また、凹凸形成パネルに複数の凹凸形成部を配列するように構成することによって、凹凸形成パネルの任意の位置の凹凸形成部に電圧を印加させて凸部を形成させることができるので、情報入力装置の任意の位置に入力用凸部を形成することができる。また、凹凸形成パネルに重ねて配置される表示装置に表示される入力用画像に応じて凹凸形成部の突出部材を突出させることにより、所定の形状の入力用凸部を形成するように構成することによって、表示装置が表示する入力用画像(テンキーの画像や再生または停止ボタンなどの画像、チャンネル選択ボタンの画像など)に応じた入力用凸部を形成することができるので、異なる複数の情報入力機能を提供することができる。また、入力操作の際に、形成された入力用凸部を押し下げることができるので、明確な入力感覚を得ることができる。
【0022】
この場合において、好ましくは、凹凸形成パネルは、表示装置の上方に配置された場合に、表示装置に表示された入力用画像を視認することが可能な光透過率を有する部材により構成されている。このように構成すれば、凹凸形成パネルを表示装置の上方に重ねた状態で入力用画像を視認することができるので、使用者が触れる側に凹凸形成パネルが配置されることが可能になる。これにより、凹凸形成部により形成された入力用凸部の凸形状を使用者がより明確に感じとることができるので、確実な入力操作を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による情報入力装置の全体構成を示した斜視図である。また、図2〜図12は、図1に示した本発明の第1実施形態による情報入力装置の詳細な構造を示した図である。まず、図1〜図12を参照して、本発明の第1実施形態によるリモートコントローラ100の構成について説明する。なお、第1実施形態では、情報入力装置の一例であるリモートコントローラ100に本発明を適用した場合について説明する。
【0025】
本発明の第1実施形態によるリモートコントローラ100は、図1および図2に示すように、凹凸形成パネル10と、表面保護膜20と、表示装置30とから構成されている。
【0026】
リモートコントローラ100の凹凸形成パネル10は、図2に示すように、平面的に見て、表示装置30と同一の長方形形状を有し、表示装置30の上方に重ねて配置されている。また、図3に示すように、凹凸形成パネル10には、後述する凹凸形成部40がマトリクス状に配列されている。
【0027】
また、表面保護膜20は、図1および図2に示すように、平面的に見て、凹凸形成パネル10と同形状の長方形形状を有し、凹凸形成パネル10の上方に重ねて配置されている。表面保護膜20は、表示装置30に表示された入力用画像を視認することが可能な光透過率を有する材料で、かつ、凹凸形成パネル10の凹凸形成部40が凸形状に変形するのに伴って弾性変形可能な材料により構成されている。
【0028】
また、表示装置30は、平面的に見て、凹凸形成パネル10および表面保護膜20に対応した長方形形状を有し、凹凸形成パネル10の下方に重ねて配置されている。この表示装置30は、たとえばテンキーの画像、再生または停止ボタンの画像、チャンネル選択ボタンの画像など、必要とされる入力情報に応じた入力用画像を表示するように構成されている。
【0029】
また、第1実施形態では、凹凸形成パネル10は、図3および図4に示すように、上部層50と、下部層60とによりエラストマ42を挟み込むように構成されている。また、外周部の全周に渡って後述するエラストマ42を封止する封止部材11が設けられている。また、図4に示すように、上部層50の下面には、四角柱状の突出部材41が取り付けられているとともに第1電極51aおよび51bが固定されている。下部層60の上面の第1電極51aおよび51bに対応する位置には、第1電極51aおよび51bと同じ形状を有する第2電極61aおよび61bが固定されている。
【0030】
また、図3に示すように、平面的に見て、突出部材41は正方形形状を有する。また、第1電極51aは、突出部材41の4辺を取り囲むように配置されるとともに、長方形形状を有する。また、第1電極51bは、第1電極51aに隣接し、突出部材41の四隅を囲むように配置されるとともに、正方形形状を有する。凹凸形成部40は、突出部材41と、突出部材41を取り囲む第1電極51aおよび51bとからなる正方形領域を1つの単位として、マトリクス状に配列されている。したがって、各々の凹凸形成部40は、隣接する凹凸形成部40と複数の第1電極51aおよび51bを共有する。
【0031】
突出部材41は、絶縁性を有し、エラストマ42よりも硬度の大きい材料からなる。また、第1実施形態では、突出部材41は、表示装置30により表示された入力用画像を視認することが可能な光透過性を有する材料からなる。突出部材41は、たとえば、PET(ポリエチレンテレフタラート)やアクリル樹脂などからなる。
【0032】
また、図3に示すように、エラストマ42は、突出部材41の四辺を囲む第1電極51aと第2電極61aとにより上下から挟まれ、突出部材41の四隅を囲むように配列された第1電極51bと第2電極61bとにより上下から挟まれている。また、このエラストマ42は、突出部材41の下方および側方を取り囲むように配置されている。また、このエラストマ42は、絶縁性を有し、突出部材41よりも硬度が小さく、電圧印加により大きく変形する柔軟性の高い材料からなる。また、第1実施形態では、エラストマ42は、表示装置30により表示された入力用画像を視認することが可能な光透過率を有する材料からなる。このエラストマ42は、たとえば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂などの樹脂材料のほか、高分子ゲルなどからなる。なお、エラストマ42は、本発明の「変形部材」の一例である。
【0033】
ここで、第1実施形態では、図3および図4に示すように、四角柱形状を有する突出部材41は、平面的に見て一辺の長さがL1の正方形形状を有している。また、第1電極51aおよび第2電極61aは、平面的に見て長辺の長さがL2、短辺の長さがL1の長方形形状を有している。そして、第1電極51bおよび第2電極61bは、平面的に見て一辺の長さがL2の正方形形状を有している。また、第1電極51aおよび51bと、第2電極61aおよび61bとは、それぞれエラストマ42と全面で接している。ここで、長さL1とL2とは、L2>L1の関係を有する。したがって、突出部材41の底面積は、第1電極51aおよび第2電極61aのそれぞれのエラストマ42との接触面積よりも小さく、かつ、第1電極51bおよび第2電極61bのそれぞれのエラストマ42との接触面積よりも小さくなるように構成されている。
【0034】
また、第1実施形態では、上部層50は、絶縁性を有し、かつ、突出部材41の突出に伴って弾性変形可能な材料からなる。上部層50は、たとえば、シリコン樹脂などから形成されている。ここで、上部層50の下面に固定される第1電極51aおよび51bは、エラストマ42の変形に伴って弾性変形可能で、かつ、表示装置30により表示された入力用画像を視認することが可能な光透過性を有する材料からなる。第1電極51aおよび51bは、たとえば、ITO(酸化インジウムスズ)やZnO(酸化亜鉛)などの透明導電膜からなる。上部層50に固定された第1電極51aおよび51bは、それぞれ下面の全面でエラストマ42と接触しており、所定の電圧を印加できるように構成されている。ここで、上部層50は、突出部材41が突出する場合(電圧印加時)には、後述する変形動作により第1電極51aおよび51bがエラストマ42を押圧するのに伴い弾性変形するとともに、突出部材41の突出に伴い弾性変形するように構成されている。
【0035】
また、第1実施形態では、下部層60は、絶縁性を有し、かつ、表示装置30により表示された入力用画像を視認することが可能な光透過性を有するとともに、柔軟性を有しない材料からなる。すなわち、下部層60は上部層50と異なり、突出部材41が突出する場合(電圧印加時)でも変形しないように構成されている。下部層60は、たとえば、PETやアクリル樹脂などからなる。図4に示すように、下部層60の上面には、第1電極51aおよび51bと対応する位置に、第2電極61aおよび61bが設けられている。また、第1実施形態では、第2電極61aおよび61bは、表示装置30により表示された入力用画像を視認することが可能な光透過性を有する材料からなる。第2電極61aおよび61bは、たとえば、ITOやZnOなどの透明導電膜からなる。下部層60に設けられた第2電極61aおよび61bは、それぞれ上面の全面でエラストマ42と接触しており、所定の電圧を印加できるように構成されている。
【0036】
また、凹凸形成パネル10の上部層50に配置された第1電極51a、51bおよび下部層60に配置された第2電極61a、61bは、それぞれ一般的に知られた、いわゆるアクティブマトリクス方式により電気的に接続されている。上部層50の第1電極51aおよび51bは、図5および図6に示すように、突出部材41の取り付け位置を除いて、マトリクス状に配置されている。すなわち、各々の第1電極51aおよび51bは、X方向に延びるゲート線53とY方向に延びるデータ線54とが交差する位置にTFT(薄膜トランジスタ)52を介してデータ線54に接続するように配置されている。また、各々のTFT52のゲートには、X方向に延びるゲート線53が接続されている。ゲート線53にアドレス信号が印加されると、そのアドレス信号が印加されたゲート線53とゲートが接続されたTFT52はオン状態になる。このとき、各々のデータ線54に印加された電圧は、オン状態のTFT52に接続された第1電極51aおよび51bのそれぞれに、TFT52を介して印加される。一方、アドレス信号が印加されないゲート線53にゲートが接続されたTFT52はオフ状態になっていることにより、このオフ状態のTFT52に接続された第1電極51aおよび51bには、電圧は印加されない。ここで、下部層60の第2電極61aおよび61bも同様の構造を有しており、電圧の印加された第1電極51aおよび51bと対応する位置に配置された第2電極61aおよび61bにも電圧が印加されるように構成されている。これにより、凹凸形成パネル10は、平面的に見て同一の位置に配置された、互いに対応する任意の第1電極51aおよび第2電極61aまたは第1電極51bおよび第2電極61bに選択的に電圧を印加することができるように構成されている。
【0037】
したがって、凹凸形成パネル10は、それぞれの第1電極51a、51bおよび第2電極61a、61bとにおいて、アドレス信号を印加するゲート線53と所定の電圧を印加するデータ線54とを選択することにより、それぞれ対応する任意の位置の第1電極51aおよび第2電極61aまたは第1電極51bおよび第2電極61bに電圧を印加することができるように構成されている。これにより、マトリクス状に配列された任意の凹凸形成部40に選択的に電圧を印加することが可能となる。このため、凹凸形成パネル10は、図1および図7に示すように、表示装置30の入力用画像に応じた位置で、リモートコントローラ100の表面に入力用凸部12a〜12fを形成することが可能である。
【0038】
ここで、図1、図7および図8に示すように、リモートコントローラ100には、1つの凹凸形成部40により正方形形状に形成された入力用凸部(操作ボタン)12aおよび入力用凸部(一時停止ボタン)12fが形成されている。また、2つの凹凸形成部40により長方形形状に形成された入力用凸部(操作ボタン)12bおよび入力用凸部12c(早送り/巻戻しボタン)が形成されている。また、4つの凹凸形成部40により正方形形状に形成された大型の入力用凸部(再生ボタン)12dおよび入力用凸部(停止ボタン)12eが形成されている。このように、リモートコントローラ100の凹凸形成パネル10は、凸形状を形成させる凹凸形成部40の組み合わせにより、様々な大きさおよび形状を有する入力用凸部12a〜12fを形成することが可能となる。これにより、たとえば、リモートコントローラ100がCDやDVDなど再生装置の操作に用いられる場合、使用頻度の高い再生ボタン12dおよび停止ボタン12eは大型に形成し、使用頻度の低いボタンや誤操作を防止したいボタンを小型の操作ボタン12aとして形成するなど、目的に応じた入力用凸部12a〜12fを形成することが可能となる。
【0039】
また、第1実施形態では、凹凸形成パネル10を構成する上部層50、下部層60および封止部材11と、これらを構成する第1電極51aおよび51b、突出部材41、エラストマ42、第2電極61aおよび61bなどは、全て表示装置30に表示された入力用画像を視認することが可能な光透過率を有する透明な材料により構成されている。このため、凹凸形成部40をマトリクス状に配列した凹凸形成パネル10は、全体が表示装置30に表示された入力用画像を視認することが可能な光透過率を有するように構成されている。
【0040】
次に、図1、図4および図6〜図12を参照して、本発明の第1実施形態によるリモートコントローラ100および凹凸形成部40の変形動作を説明する。
【0041】
図4に示すように、凹凸形成パネル10の凹凸形成部40は、電圧無印加時では平板形状を有している。ここで、第1電極51aおよび51bと、第2電極61aおよび61bとにより、突出部材41の周囲を囲むエラストマ42に電圧を印加すると、エラストマ42を挟んで互いに向かい合う第1電極51aおよび第2電極61aと、第1電極51bおよび第2電極61bとの間に静電引力が生じる。この場合、上部層50が弾性変形可能に構成されているのに対して、下部層60は変形しないように構成されているので、この静電引力によって、上部層50の第1電極51aおよび51bがエラストマ42を電圧印加方向に押圧する。したがって、図9に示すように、この押圧力によりエラストマ42は押しつぶされ、電圧が印加された部分の周囲に押し出されるように変形する。エラストマ42は突出部材41の側方および下方を取り囲むように配置されているので、突出部材41の周囲のエラストマ42に電圧を印加することにより、変形されたエラストマ42の一部が突出部材41の周囲から下側にもぐりこみ、突出部材41を押し上げる。これにより、凹凸形成部40に凸形状が形成される。
【0042】
図6に示すように、突出部材41は、平面的に見て、周囲を4つの長方形形状の第1電極51aと、4つの正方形形状の第1電極51bとにより囲まれているので、これらの8つの第1電極51aおよび51bと、これらに対応する8つの第2電極61aおよび61bとに電圧を印加することにより突出部材41を突出させることが可能になる。
【0043】
また、図9に示すように、それぞれの第1電極51aおよび51bが下方向にエラストマ42を押しのけた体積の合計に応じて、エラストマ42が突出部材41の下方にもぐりこみ、突出部材41が押し上げられる突出量が定まる。第1実施形態では、突出部材41の底面積は、その突出部材41を取り囲む第1電極51aおよび51bとエラストマ42との合計の接触面積よりも小さくなるように構成されているので、電圧印加時の第1電極51aおよび51bの下方向への変位量に比べて、突出部材41の突出量が大きくなる。このため、図9に示すように、入力用凸部12a〜12fの高さを効率よく大きくすることができる。
【0044】
第1実施形態では、図7および図8に示すように、任意の第1電極51aおよび51bと、任意の第2電極61aおよび61bとに電圧を印加可能に構成することによって、電圧を印加する位置を変化させ、これを組み合わせることにより、任意の凹凸形成部40の突出部材41を突出させることが可能である。これにより、リモートコントローラ100の任意の位置に任意の大きさの入力用凸部12a〜12fを形成することができる。
【0045】
したがって、図1、図7および図8に示すように、リモートコントローラ100には、凹凸形成パネル10にマトリクス状に配列される凹凸形成部40により任意の位置に入力用凸部12a〜12fが形成されるので、状況や入力情報に応じて入力用凸部12a〜12fの配置や変形量が変更される。たとえば、図10に示すように、リモートコントローラ100がCDやDVDなど再生装置の操作に用いられる場合、CDやDVDなどの再生中には、入力済みの再生ボタン12dが平坦な状態となり、停止ボタン12eなど他のボタンが突出して形成されて入力待ちの状態となる。一方、図11に示すように、CDやDVDなどが停止中には、停止ボタン12eおよび一時停止ボタン12fが平坦な状態となり、再生ボタン12dなど他のボタンが突出して形成され入力待ちの状態となる。
【0046】
さらに、リモートコントローラ100が別の機能を果たす場合には、表示装置30の表示に対応して入力用凸部12a〜12fの全体の配置が変更される。たとえば、図12に示すように、リモートコントローラ100がテレビのチャンネル選択用の情報入力装置としての機能を果たす場合、入力用凸部(チャンネル選択ボタン)12gや入力用凸部(電源ボタン)12h、入力用凸部(音量調節ボタン)12i、入力用凸部(CD、DVDなど他の機能への切り替えボタン)12j、入力用凸部(入力切り替えボタン)12k、入力用凸部(メニュー画面表示ボタン)12l、入力用凸部(メニュー項目切り替えボタン)12mおよび入力用凸部(決定ボタン)12nなどを表示する画像が表示装置30に表示され、それぞれのボタンを表示する画像に対応した入力用凸部12g〜12nが新たに形成される。このように、リモートコントローラ100は、入力用凸部12a〜12nの配置を変更することにより、再生時や停止時など、状況に応じた入力操作を使用者に案内できるように構成されている。また、リモートコントローラ100は、入力用凸部12a〜12nの全体の配置を変更することにより、CD、DVD、テレビなど、複数の機器への情報入力装置としての機能を果たすように構成されている。
【0047】
また、第1実施形態では、凹凸形成パネル10に形成された入力用凸部12a〜12nは、エラストマ42よりも硬度の大きい突出部材41により形成されるため、入力用凸部12a〜12n自体の硬度が大きくなる。このため、リモートコントローラ100には、入力用凸部12a〜12nを入力用ボタンとして認識するのが容易な、明確な接触感覚を有した入力用凸部12a〜12nが形成される。一方、押し上げられた突出部材41の下方には硬度の小さいエラストマ42が存在するため、入力操作(押し下げ)には大きな力は不要であり、良好な入力感覚を得ることができる。
【0048】
第1実施形態では、上記のように、突出部材41の側方および下方を取り囲むように配置された絶縁性を有するエラストマ42に電圧を印加して第1電極51a、51bおよび第2電極61a、61bの間の静電引力によりエラストマ42を変形させて突出部材41を押し上げることにより入力用凸部12a〜12nを形成するように構成することによって、梁の湾曲により凸部を形成する構造と異なり、両端または一方端に梁を固定する部材を設けることなく入力用凸部12a〜12nを形成することが可能となる。これにより、凹凸形成部40の構造が簡素化されるので、装置の構造が複雑化するのを抑制することができる。また、突出部材41よりも硬度が小さい材料からなるエラストマ42に電圧を印加してエラストマ42を変形させ、突出部材41を押し上げるようにして突出させることにより入力用凸部12a〜12nを形成するように構成することによって、エラストマ42よりも硬度の大きい突出部材41を突出させて入力用凸部12a〜12nを形成することができる。これにより、形成された入力用凸部12a〜12n自体の硬度を大きくすることができるため、形成された入力用凸部12a〜12nを押す際に通常の硬い入力用ボタンと同様の接触感覚を得ることができる。
【0049】
第1実施形態では、上記のように、第1電極51aおよび51bが設けられた変形可能な上部層50と、第2電極61aおよび61bが設けられた下部層60とをさらに備え、突出部材41は、上部層50の第1電極51aおよび51bが設けられた部分以外の部分に設けられているように構成することによって、突出部材41と第1電極51aおよび51bとが設けられた上部層50と、第2電極61aおよび61bが設けられた下部層60とにより、エラストマ42を挟み込むだけで凹凸形成部40を構成することが可能となる。これにより、凹凸形成部40の構造が複雑化するのを抑制することができる。
【0050】
第1実施形態では、上記のように、凹凸形成部40のエラストマ42の第1電極51aおよび51bとの接触部分の面積が、突出部材41の底面積よりも大きくなるように構成することによって、エラストマ42に電圧を印加して第1電極51a、51bおよび第2電極61a、61bの間の静電引力により上下方向にエラストマ42が圧縮されて突出部材41の下方にもぐりこむ体積に応じた体積分だけ突出部材41が押し上げられる場合に、
エラストマ42の上下方向の変位量(第1電極51a、51bおよび第2電極61a、61bの間の静電引力により圧縮された上下方向の変形量)に対して突出部材41の突出量(エラストマ42に押し上げられた上下方向の変位量)を大きくすることができる。これにより、簡単な構造によって入力用凸部12a〜12nの突出量を容易に大きくすることができる。
【0051】
第1実施形態では、上記のように、凹凸形成パネル10に複数の凹凸形成部40を配列するように構成することによって、凹凸形成パネル10の任意の位置の凹凸形成部40に電圧を印加させて入力用凸部12a〜12nを形成させることができるので、リモートコントローラ100の任意の位置に入力用凸部12a〜12nを形成することができる。また、凹凸形成パネル10に重ねて配置される表示装置30に表示される入力用画像に応じて凹凸形成部40の突出部材41を突出させることにより、所定の形状の入力用凸部12a〜12nを形成するように構成することによって、表示装置30が表示する入力用画像(テンキーの画像や再生または停止ボタンなどの画像、チャンネル選択ボタンの画像など)に応じた入力用凸部12a〜12nを形成することができるので、異なる複数の情報入力機能を提供することができる。また、入力操作の際に、形成された入力用凸部12a〜12nを押し下げることができるので、明確な入力感覚を得ることができる。
【0052】
第1実施形態では、上記のように、凹凸形成パネル10は、表示装置30の上方に配置された場合に、表示装置30に表示された入力用画像を視認することが可能な光透過率を有する部材により構成されることによって、凹凸形成パネル10を表示装置30の上方に重ねた状態で入力用画像を視認することができるので、使用者が触れる側に凹凸形成パネル10が配置されることが可能になる。これにより、凹凸形成部40により形成された入力用凸部12a〜12nの凹凸形状を使用者がより明確に感じとることができるので、確実な入力操作を行うことができる。
【0053】
(第2実施形態)
図13〜図15は、本発明の第2実施形態によるリモートコントローラ200の凹凸形成部400を示す断面図である。この第2実施形態では、上記第1実施形態と異なり、突出部材410の下方に当接部材411が設けられた例について説明する。
【0054】
第2実施形態のリモートコントローラ200では、図13に示すように、上部層50に取り付けられた突出部材410と対向するように、下部層60の上面に、突出部材410と略同一形状を有する当接部材411が設けられている。当接部材411は、絶縁性を有し、エラストマ42よりも硬度の大きい材料であり、かつ、表示装置30に表示された入力用画像を視認することが可能な光透過率を有する部材により形成されている。当接部材411は、たとえば、PET(ポリエチレンテレフタラート)やアクリル樹脂などからなり、突出部材410と同じ材料により構成されていてもよい。また、第2実施形態では、突出部材410の底面は略半球状の形状に形成されている。このように形成することにより、エラストマ42に押し上げられる際の圧力を、半球形状を有する突出部材410の底面に均一に加えることが可能となる。また、当接部材411の上面も略半球形状を有するように形成されている。なお、その他のリモートコントローラ200の構成は、上記第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0055】
次に、図14および図15を参照して、本発明の第2実施形態によるリモートコントローラ200に形成された入力用凸部(操作ボタン)12aを押し下げる場合の変形状態について説明する。
【0056】
第2実施形態では、図14に示すように、第1電極51a、51bおよび第2電極61a、61bによりエラストマ42に電圧が印加されると、静電引力により第1電極51aおよび51bがエラストマ42を電圧印加方向に押圧する。第1電極51aおよび51bに押圧されたエラストマ42は、突出部材410と当接部材411との間に押し出され、突出部材410の半球形状を有する底面を周囲から押し上げる。これにより、突出部材410が突出し、入力用凸部12aが形成される。この入力用凸部12aを押し下げる場合、図15に示すように、突出部材410は、突出部材410の下方に対向して配置された当接部材411に当接するまで押し下げられ、当接部材411と当接することにより押し下げ(入力動作)が終了する。当接部材411は突出部材410と同じ材料により形成されており、エラストマ42よりも硬度が大きいため、硬い当接部材411に硬い突出部材410が当接することにより、使用者は入力動作の終了を明確に認識することになる。
【0057】
第2実施形態では、突出部材410の下方に突出部材410に対向するように配置され、エラストマ42よりも硬度の大きい材料からなる当接部材411をさらに備え、当接部材411は、突出部材410が押し下げられた場合に突出部材410と当接することにより突出部材410を制止するように構成することによって、形成された入力用凸部12a〜12nを押し下げる際に、エラストマ42よりも硬度の大きい材料からなる当接部材411と突出部材410とが当接することにより押し下げが制止される。これにより、入力用凸部12a〜12nの入力操作(押し下げ)の終了を硬度の大きい当接部材411との当接により感知することができるので、明確な入力感覚を得ることができる。その結果、入力感覚の不確かさによる重複入力(2度押し)や誤入力を防止することができる。
【0058】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0059】
たとえば、上記第1実施形態では、本発明の情報入力装置の一例としてリモートコントローラを示したが、本発明はこれに限らず、リモートコントローラ以外の情報入力装置にも適用可能である。
【0060】
また、上記第1実施形態では、図2に示すように、凹凸形成パネル10が表示装置30の上方に重ねて配置されている例を示したが、本発明はこれに限らず、凹凸形成パネルが表示装置の下方に配置されていてもよい。この場合には、表示装置に、たとえば電子ペーパーのような柔軟で薄い表示装置を用いる必要がある。
【0061】
また、上記第1実施形態では、複数の凹凸形成部40が、凹凸形成パネル10にマトリクス状に配列されている例を示したが、本発明はこれに限らず、複数の凹凸形成部は、マトリクス状に配列されている必要はない。したがって、複数の凹凸形成部は、たとえば、千鳥配列をなすように配列されてもよい。
【0062】
また、上記第1実施形態では、下部層60と上部層50とが異なる材料により形成した例を示したが、本発明はこれに限らず、下部層を、上部層と同一の材料により形成してもよい。この場合、下部層を含めた凹凸形成パネルの全体を柔軟に形成することが可能となり、凹凸形成パネルをたとえば電子ペーパーのような柔軟な表示装置に重ね、曲面に貼り付けて使用することも可能となる。ただし、この場合、下部層は貼り付けられる面に固定され、エラストマに電圧を印加する際に変形しないように構成される必要がある。
【0063】
また、上記第1実施形態では、図3に示すように、それぞれの凹凸形成部40は、平面的に見て実質的に正方形形状を有するように構成されている例を示したが、本発明はこれに限らず、凹凸形成部を平面的に見た場合に、円形など、他の形状を有するように構成してもよい。
【0064】
また、上記第1実施形態では、突出部材41が平面的に見て正方形形状を有する四角柱形状により形成されている例を示すとともに、上記第2実施形態では、突出部材410の底面が略半球状の形状になるように形成されている例を示したが、本発明はこれに限らず、突出部材が異なる形状を有するように形成されていてもよい。
【0065】
また、上記第1実施形態では、突出部材41は上部層50に取り付けられている例を示したが、本発明はこれに限らず、突出部材を上部層と一体的に形成していてもよい。
【0066】
また、上記第1実施形態では、エラストマ42がアクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂などの樹脂材料のほか、高分子ゲルなどの透明な材料から形成され、第1電極51aおよび51b、第2電極61aおよび61bがITOやZnOなどの透明導電膜から形成され、突出部材41が透明なPETやアクリル樹脂などから形成されている例を示したが、本発明はこれに限らず、異なる材料により形成されていてもよい。エラストマは絶縁性を有し、突出部材よりも硬度が小さく、電圧印加により大きく変形する柔軟性の高い材料であり、かつ表示装置により表示された入力用画像を視認することが可能な光透過率を有するものであればよく、たとえば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂以外の樹脂材料や高分子ゲル以外の材料により形成してもよい。また、第1電極は、導電性を有し、エラストマ層が変形するのに伴って弾性変形可能な材料であり、かつ、表示装置により表示された入力用画像を視認することが可能な光透過率を有するものであればよい。たとえば、ITOやZnOなどの透明導電膜以外にPEDOT/PSS(ポリエチレンジオキシチオフェン)/(ポリスチレン・スルフォン酸)などの導電性有機材料を用いてもよい。また、第2電極は、第1電極と同様の材料を用いることが可能だが、変形しない材料で形成されていてもよい。また、突出部材は絶縁性を有し、エラストマよりも硬度の大きい材料であり、かつ、表示装置により表示された入力用画像を視認することが可能な光透過性を有する材料であればPETやアクリル樹脂以外でもよい。
【0067】
また、上記第2実施形態では、当接部材411は、突出部材410と略同一形状を有するように形成されている例を示したが、本発明はこれに限らず、当接部材が突出部材と異なる形状により形成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の第1実施形態によるリモートコントローラの全体構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態によるリモートコントローラの全体構成を示す分解斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態による凹凸形成パネルを示す平面図である。
【図4】図3の300−300線に沿った、凹凸形成パネルの断面を模式的に示す断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態による凹凸形成パネルの電極配置を模式的にを示す平面図である。
【図6】図5に示した凹凸形成パネルの電極配置の部分拡大図である。
【図7】本発明の第1実施形態によるリモートコントローラの全体構成を示す平面図である。
【図8】本発明の第1実施形態によるリモートコントローラの全体構成を示す側面図である。
【図9】図4の凹凸形成パネルの断面図において、入力用凸部が形成されている状態を模式的に示す断面図である。
【図10】本発明の第1実施形態によるリモートコントローラの入力用凸部の配置の変化を示す斜視図である。
【図11】本発明の第1実施形態によるリモートコントローラの入力用凸部の配置の変化を示す斜視図である。
【図12】本発明の第1実施形態によるリモートコントローラの入力用凸部の全体の配置の変化を示す斜視図である。
【図13】本発明の第2実施形態によるリモートコントローラの凹凸形成パネルの断面を模式的に示す断面図である。
【図14】図13の凹凸形成パネルの断面図において、入力用凸部が形成されている状態を模式的に示す断面図である。
【図15】図14の凹凸形成パネルの断面図において、入力用凸部が押し下げられている状態を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0069】
10 凹凸形成パネル
12a〜12n 入力用凸部
30 表示装置
40、400 凹凸形成部(凹凸形成装置)
41、410 突出部材
42 エラストマ(変形部材)
50 上部層
51a、51b 第1電極
60 下部層
61a、61b 第2電極
411 当接部材
100、200 リモートコントローラ(情報入力装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁体からなる突出部材と、
前記突出部材の側方および下方を取り囲むように配置され、前記突出部材よりも硬度が小さく、かつ、絶縁性を有するエラストマからなる変形部材と、
前記変形部材を挟むように配置された第1電極および第2電極とを備え、
前記第1電極および前記第2電極を用いて前記変形部材に電圧を印加して前記第1電極および前記第2電極間の静電引力により前記変形部材を変形させて前記突出部材を押し上げることによって凸部を形成するように構成されている、凹凸形成装置。
【請求項2】
前記第1電極が設けられた変形可能な上部層と、
前記第2電極が設けられた下部層とをさらに備え、
前記突出部材は、前記上部層の前記第1電極が設けられた部分以外の部分に前記下部層の方向に向かって設けられている、請求項1に記載の凹凸形成装置。
【請求項3】
前記変形部材の前記第1電極との接触部分の面積が、前記突出部材の底面積よりも大きい、請求項1または2に記載の凹凸形成装置。
【請求項4】
前記突出部材の下方に前記突出部材に対向するように配置され、前記変形部材よりも硬度の大きい材料からなる当接部材をさらに備え、
前記当接部材は、前記突出部材が押し下げられた場合に前記突出部材と当接することにより前記突出部材を制止するように構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の凹凸形成装置。
【請求項5】
絶縁体からなる突出部材と、前記突出部材の側方および下方を取り囲むように配置され、前記突出部材よりも硬度が小さく、かつ、絶縁性を有するエラストマからなる変形部材と、前記変形部材を挟むように配置された第1電極および第2電極とを含み、前記第1電極および前記第2電極を用いて前記変形部材に電圧を印加して前記第1電極および前記第2電極間の静電引力により前記変形部材を変形させて前記突出部材を押し上げることによって凸部を形成するように構成されている複数の凹凸形成部が配列された凹凸形成パネルと、
前記凹凸形成パネルに重ねて配置される表示装置とを備え、
前記凹凸形成パネルは、前記表示装置に表示される入力用画像に応じて前記凹凸形成部の前記突出部材を突出させることによって、所定の形状の入力用凸部を形成するように構成されている、情報入力装置。
【請求項6】
前記凹凸形成パネルは、前記表示装置の上方に配置された場合に、前記表示装置に表示された入力用画像を視認することが可能な光透過率を有する部材により構成されている、請求項5に記載の情報入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−176243(P2009−176243A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−16680(P2008−16680)
【出願日】平成20年1月28日(2008.1.28)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】