説明

凹凸形成装置および情報入力装置

【課題】制御を複雑化することなくクリック感を操作者に与えることが可能な凹凸形成装置および情報入力装置を提供する。
【解決手段】この凹凸形成部11(凹凸形成装置)は、上部電極11a(第1電極)と、上部電極11aと対向するように設けられた下部電極11c(第2電極)と、上部電極11aと下部電極11cとに挟み込まれたエラストマ層11b(変形層)とを含む変形部50と、変形部50の側部を規制する側壁部11dとを備え、上部電極11aと下部電極11cとによってエラストマ層11bに電圧を印加することにより、エラストマ層11bが第1の厚みを有する第1部分と、第1の厚みよりも小さい第2の厚みを有する第2部分とを含むように変形されることによって、変形部50に凹凸形状が形成されるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、凹凸形成装置および情報入力装置に関し、特に、変形層と一対の電極とを備えた凹凸形成装置および情報入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、変形層と一対の電極とを備えた凹凸形成装置および情報入力装置が知られている(たとえば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
上記特許文献1には、導電性高分子からなる円形の第1駆動部(変形層)と、導電性高分子からなるリング状の第2駆動部(変形層)と、第1駆動部および第2駆動部にそれぞれ一対ずつ接するように配置された電極(第1電極、第2電極)とを含み、第2駆動部のリング状の内部に第1駆動部が設けられている駆動装置を複数含む駆動層(凹凸形成パネル)と、薄膜スイッチと、第1駆動部および第2駆動部を制御するための制御部とを備えるタッチ式入力装置が開示されている。このタッチ式入力装置では、薄膜スイッチが押圧を検知すると、まず第1駆動部が膨張して凸形状を形成し、その後第2駆動部も膨張して凸形状を形成するように制御されている。そして、操作者による薄膜スイッチへの押圧状態が一定時間続くと、第1駆動部が収縮して凹形状を形成し、その後第2駆動部も収縮して凹形状を形成するように制御されている。これにより、凸形状に加えていた負荷が除去されるような感覚(クリック感)を操作者に与えることができる。
【0004】
上記特許文献2には、導電性高分子層(変形層)と、導電性高分子層の下面に隣接するように配置された電解質層と、導電性高分子層と電解質層とを通電するように設けられた一対の電極(第1電極、第2電極)とを含む変形部と、制御部とを備え、電圧印加時に、導電性高分子層が電解質層中に存在するイオンを吸収または排出することによって、導電性高分子層の体積が変化する一方、電圧無印加時には、イオンの移動がないので、導電性高分子層の体積が変化しないように構成されたタッチ式入力装置が開示されている。このタッチ式入力装置では、電圧を印加することにより導電性高分子層の体積を大きくして凸形状を形成するように制御し、操作者による押圧状態が一定時間続くと、逆の電圧を印加することにより導電性高分子層の体積を小さくして凹形状を形成するように制御することによって、クリック感を操作者に与えることができる。
【0005】
上記特許文献3には、厚みが小さい部分が設けられるとともに、圧電性を有する高分子層(変形層)と、高分子層の厚みが小さい部分を挟み込むように設けられた一対の電極(第1電極、第2電極)とを含む電気−機械変換素子が開示されている。この電気−機械変換素子では、厚みが小さい部分を操作者による押圧を電気信号に変換する部分とし、その他の部分を支持部分とすることにより、操作者による押圧を電気信号に変換することができる。
【0006】
【特許文献1】特開2005−284482号公報
【特許文献2】特開2005−135876号公報
【特許文献3】特開昭57−132617号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載のタッチ式入力装置では、クリック感を操作者に与えるために、装置の押圧状態を検知し続ける必要があるとともに、電気的な信号を加えることによって、第1駆動部および第2駆動部の形状を操作者が押圧している間に変化させる必要がある。その結果、操作者が押圧している間に、第1駆動部および第2駆動部を制御部によって制御する必要があるという不都合がある。このため、制御が複雑化するという問題点がある。
【0008】
また、上記特許文献2に記載のタッチ式入力装置では、クリック感を操作者に与えるために、装置の押圧状態を検知し続ける必要があるとともに、電気的な信号を加えることによって、導電性高分子層の体積を操作者が押圧している間に変化させる必要がある。その結果、操作者が押圧している間に、導電性高分子層を制御部によって制御する必要があるという不都合がある。このため、制御が複雑化するという問題点がある。
【0009】
また、上記特許文献3に記載の電気−機械変換素子では、凹凸形状を形成することができないという不都合がある。このため、クリック感を操作者に与えることができないという問題点があると考えられる。
【0010】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、制御を複雑化することなくクリック感を操作者に与えることが可能な凹凸形成装置および情報入力装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0011】
この発明の第1の局面による凹凸形成装置は、第1電極と、第1電極と対向するように設けられた第2電極と、第1電極と第2電極とに挟み込まれた変形層とを含む変形部と、変形部の側部を規制する側壁部とを備え、第1電極と第2電極とによって変形層に電圧を印加することにより、変形層が第1の厚みを有する第1部分と、第1の厚みよりも小さい第2の厚みを有する第2部分とを含むように変形されることによって、変形部に凹凸形状が形成されるように構成されている。
【0012】
この第1の局面による凹凸形成装置では、上記のように、第1電極と第2電極とによって変形層に電圧を印加することにより、変形層が第1の厚みを有する第1部分と、第1の厚みよりも小さい第2の厚みを有する第2部分とを含むように変形されることによって、変形部に凹凸形状が形成されるように構成する。このように構成することによって、変形層の第2部分の厚みは第1部分の厚みよりも小さいことにより、第2部分の座屈限界応力は第1部分の座屈限界応力よりも小さくなる。これにより、操作者の押圧によって、第2部分が第1部分よりも先に座屈変形するので、操作者にクリック感を与えることができる。また、操作者の押圧している間に、変形部の押圧状態を検知し続ける必要がないとともに、変形層の形状を制御することなく変形部を操作者が押圧している間に座屈変形させることができるので、制御を複雑化することなくクリック感を操作者に与えることができる。
【0013】
上記第1の局面による凹凸形成装置において、好ましくは、変形層は、電圧無印加時に第3の厚みを有する第3部分と、第3の厚みよりも小さい第4の厚みを有する第4部分とを含み、第1電極と第2電極とによって変形層に電圧を印加することにより、変形層の第3部分が圧縮されて第1部分に変形されるとともに、変形層の第4部分が圧縮されて第2部分に変形されることによって、変形部に凹凸形状が形成されるように構成されている。このように構成すれば、第1電極と第2電極との間隔が狭い第4部分において静電気力がより大きく働くので、変形層の第4部分が第3部分よりも大きい圧縮量分圧縮される。これにより、変形層の第4部分の厚さを第3部分の厚さよりもより小さくすることができるので、より少ない押圧力によって、クリック感を操作者に与えることができる。
【0014】
この場合、好ましくは、第1電極と第2電極とによって変形層に同一の電圧を印加するように構成されている。このように構成すれば、第1電極および第2電極をそれぞれ1つの電極からなるように構成することができるので、第1電極または第2電極を複数の電極からなるように構成する必要がない。これにより、部品点数の増加を抑制することができる。
【0015】
上記第1の局面による凹凸形成装置において、好ましくは、第2電極は、第1の電圧が印加される第3電極と、第1の電圧と異なる第2の電圧が印加される第4電極とを含み、変形層の第1電極と第3電極とに挟み込まれている部分に第1の電圧を印加するとともに、変形層の第1電極と第4電極とに挟み込まれている部分に第2の電圧を印加することにより、変形層が第1部分と第2部分とを含むように変形されることによって、変形部に凹凸形状が形成されるように構成されている。このように構成すれば、変形前の変形層の厚みを異ならせることなく、クリック感を操作者に与えることができる凹凸形状を変形部に形成させることができる。
【0016】
上記第1の局面による凹凸形成装置において、好ましくは、変形層の第1部分および第2部分は、それぞれ変形層の略中央部および側壁部側の一方および他方に設けられている。このように構成すれば、厚みが大きいために座屈限界応力が大きい第1部分が変形層の略中央部に設けられ、厚みが小さいために座屈限界応力が小さい第2部分が側壁部側に設けられた場合には、側壁部側の第2部分が変形層の略中央部の第1部分よりも先に座屈変形することによって、側壁部側が座屈変形する。これにより、小さな押圧力であっても、変形層および変形部全体が変形するようなクリック感を操作者に与えることができる。また、厚みが大きいために座屈限界応力が大きい第1部分が側壁部側に設けられ、厚みが小さいために座屈限界応力が小さい第2部分が変形層の略中央部に設けられた場合には、変形層の略中央部の第2部分が側壁部側の第1部分よりも先に座屈変形することによって、変形層の略中央部が座屈変形する。その後、さらに押圧力が大きくなると、側壁部側の第1部分が座屈変形する。これにより、2段階のクリック感を操作者に与えることができる。
【0017】
上記第1の局面による凹凸形成装置において、好ましくは、変形層は、絶縁性を有するとともに所定の圧縮力により所定量分だけ伸張するエラストマからなる。このように構成すれば、第1電極と第2電極とに挟み込まれた状態で電圧が印加されても、変形層は通電することなく伸張することができるので、通電による熱の発生などによる消費電力の増加を抑制することができる。また、エラストマは絶縁性を有するので、操作者の押圧により第1電極と第2電極との距離が変化することにより、変形部の静電容量が変化する。これにより、変形部の静電容量の変化を測定することによって、押圧による入力の有無を検知することができる。
【0018】
上記第1の局面による凹凸形成装置において、好ましくは、第1電極および第2電極は、伸縮可能であるように構成されている。このように構成すれば、変形層の変形に伴って第1電極および第2電極が伸縮するので、第1電極および第2電極が変形層の変形を阻害することを抑制することができる。
【0019】
この発明の第2の局面による情報入力装置は、第1電極と、第1電極と対向するように設けられた第2電極と、第1電極と第2電極とに挟み込まれた変形層とを有する変形部と、変形部の側部を規制する側壁部とを含み、第1電極と第2電極とによって変形層に電圧を印加することにより、変形層が第1の厚みを有する第1部分と、第1の厚みよりも小さい第2の厚みを有する第2部分とを含むように変形されることによって、変形部に凹凸形状が形成されるように構成されている複数の凹凸形成部が配列された凹凸形成パネルと、凹凸形成パネルに重ねて配置される表示装置とを備え、凹凸形成パネルは、凹凸形成部により、表示装置に表示される入力用画像に応じて入力用凸部を形成するように構成されている。
【0020】
この第2の局面による情報入力装置では、上記のように、凹凸形成部を、第1電極と第2電極とによって変形層に電圧を印加することにより、変形層が第1の厚みを有する第1部分と、第1の厚みよりも小さい第2の厚みを有する第2部分とを含むように変形されることによって、変形部に凹凸形状が形成されるように構成する。このように構成することによって、変形後の第2部分の厚みは第1部分の厚みよりも小さいことにより、第2部分の座屈限界応力は第2部分の座屈限界応力よりも小さくなる。これにより、操作者の押圧によって、第2部分が第1部分よりも先に座屈変形するので、操作者にクリック感を与えることができる。また、操作者の押圧している間に、変形部の押圧状態を検知し続ける必要がないとともに、変形層の形状を制御することなく変形部を操作者が押圧している間に座屈変形させることができるので、制御を複雑化することなくクリック感を操作者に与えることができる。
【0021】
また、この情報入力装置では、凹凸形成部が複数配列された凹凸形成パネルと、凹凸形成パネルに重ねて配置される表示装置とを設け、凹凸形成パネルを、凹凸形成部により、表示装置に表示される入力用画像に応じて入力用凸部を形成するように構成することによって、表示装置が表示する入力用画像(テンキーの画像や再生または停止ボタンなどの画像、チャンネル選択ボタンの画像など)に応じた入力用凸部を形成することができる。
【0022】
上記第2の局面による情報入力装置において、好ましくは、凹凸形成パネルは、表示装置の上方に配置された場合に、表示装置に表示される入力用画像を視認可能な光透過率を有する部材により構成されている。このように構成すれば、凹凸形成パネルを表示装置の上方に重ねた状態で入力用画像を視認することができるので、操作者が視認する側に凹凸形成パネルを配置することができる。これにより、操作者は、凹凸形成部により形成された入力用凸部の凹凸形状をより明確に視認することができ、その結果、確実な入力操作を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態によるリモートコントローラの全体構成を示した斜視図である。また、図2〜図5は、図1に示した本発明の第1実施形態によるリモートコントローラの詳細な構造を示した図である。図1〜図5を参照して、本発明の第1実施形態によるリモートコントローラ100の構成について説明する。なお、本実施形態では、情報入力装置の一例であるリモートコントローラ100に本発明を適用した場合について説明する。
【0025】
本発明の第1実施形態によるリモートコントローラ100は、図1および図2に示すように、凹凸形成パネル10と、表面保護膜20と、入力用画像を表示する表示装置30と、それらを収納する筐体40とを備えている。リモートコントローラ100には、図1に示すように、表面保護膜20の表面から上方に突出するように入力用凸部101が形成されている。
【0026】
また、リモートコントローラ100の凹凸形成パネル10は、図2に示すように、平面的に見て、表示装置30と同一の長方形形状を有し、表示装置30の上方に重ねて配置される。また、凹凸形成パネル10は、表示装置30に表示される入力用画像に応じて凹凸形状に変化されるように構成されている。
【0027】
また、リモートコントローラ100の表面保護膜20は、図2に示すように、平面的に見て、凹凸形成パネル10と同一の長方形形状を有し、凹凸形成パネル10の上方に重ねて配置される。
【0028】
ここで、第1実施形態では、表面保護膜20は、表示装置30に表示された入力用画像を視認することが可能な光透過率を有する材料で、かつ、後述する凹凸形成パネル10の凹凸形成部11が凸形状に変形するのに伴って弾性変形可能な材料により構成されている。
【0029】
また、リモートコントローラ100の表示装置30は、図2に示すように、平面的に見て、凹凸形成パネル10および表面保護膜20と同一の長方形形状を有する。この表示装置30は、たとえば、テンキーの画像、再生または停止ボタンなどの画像、チャンネル選択ボタンの画像などの必要とされる入力情報に応じた入力用画像を表示するように構成されている。
【0030】
また、リモートコントローラ100の凹凸形成パネル10は、図2および図3に示すように、複数の凹凸形成部11と、凹凸形成部11の後述する側壁11dが固定されている基板12とを含む。なお、凹凸形成部11は、本発明の「凹凸形成装置」の一例である。
【0031】
ここで、第1実施形態では、凹凸形成パネル10の凹凸形成部11は、図5に示すように、上部電極11aと、エラストマ層11bと、下部電極11cと、側壁11dとを有する。また、上部電極11aと、エラストマ層11bと、下部電極11cとによって変形部50が構成されている。なお、上部電極11aおよびエラストマ層11bは、それぞれ本発明の「第1電極」および「変形層」の一例である。また、下部電極11cおよび側壁11dは、それぞれ本発明の「第2電極」および「側壁部」の一例である。
【0032】
また、第1実施形態では、エラストマ層11bは、図5に示すように、側壁11d側に位置する側壁側部11eと、平面的に見て側壁側部11eに四方を囲まれるように設けられ、エラストマ層11bの中央に位置する中央部11fとからなる。また、側壁側部11eの厚みt1は、図5に示すように、中央部11fの厚みt2よりも小さい。さらに、エラストマ層11bの上面(Z1方向側の面)は平坦面になるように設けられていることにより、側壁側部11eの下面(Z2方向側の面)は、中央部11fの下面よりも上方(Z1方向)に位置している。これにより、エラストマ層11bの下面は、図5に示すように、下方(Z2方向)に凸形状になるように構成されている。また、エラストマ層11bの側部の上部分(Z1方向側の部分)は、側壁11dに接着されている。
【0033】
また、第1実施形態では、エラストマ層11bは、絶縁性を有するとともに所定の圧縮力により所定量分だけ伸張するエラストマからなる層である。このエラストマ層11bは、表示装置30により表示された入力用画像を視認することが可能な光透過率を有する材料からなり、たとえば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂またはシリコン樹脂などからなる。また、エラストマ層11bは、図5に示すように、上部電極11aと下部電極11cとに挟み込まれている。
【0034】
また、第1実施形態では、上部電極11aは、図5に示すように、上面(Z1方向側の面)で表面保護膜20と接し、下面(Z2方向側の面)でエラストマ層11bと接するように設けられているとともに、基板12と平行になるように設けられている。また、下部電極11cは、図5に示すように、上面でエラストマ層11bと接するように設けられている。この結果、エラストマ層11bの全面において同一の電圧が印加されるように構成されている。
【0035】
また、第1実施形態では、上部電極11aおよび下部電極11cは、導電性を有し、エラストマ層11bが凸形状に変形するのに伴って伸縮可能な材料で、かつ、表示装置30により表示された入力用画像を視認することが可能な光透過率を有する材料により構成されており、たとえば、ITO(酸化インジウムスズ)やZnO(酸化亜鉛)などの透明導電膜からなる。
【0036】
また、第1実施形態では、側壁11dは、平面的に見て略正方形の枠形状を有するとともに、表示装置30により表示された入力用画像を視認することが可能な光透過率を有する絶縁性材料からなり、たとえば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂またはシリコン樹脂などからなる。
【0037】
また、第1実施形態では、変形部50は、図5に示すように、側壁11dに変形部50の側部が接するように設けられている。
【0038】
また、第1実施形態では、図2および図5に示すように、凹凸形成パネル10の基板12の上面(Z1方向側の面)には、側壁11dを介して変形部50および凹凸形成部11が配置されており、凹凸形成パネル10の基板12の下面(Z2方向側の面)には、表示装置30が配置されていることにより、凹凸形成部11と表示装置30とに挟み込まれている。また、基板12は、ガラス基板などの絶縁性を有し、表示装置30により表示された入力用画像を視認することが可能な光透過率を有する材料からなる。
【0039】
また、第1実施形態では、凹凸形成パネル10の凹凸形成部11は、図3に示すように、凹凸形成パネル10の基板12上の全面にわたってマトリクス状に複数設けられている。ここで、凹凸形成部11の上部電極11aおよび下部電極11cは、一般的に知られた、いわゆるアクティブマトリクス方式により設けられている。具体的には、基板12は、図3および図4に示すように、複数のTFT(薄膜トランジスタ)12aを有し、上部電極11aは、X方向に延びるゲート線12bおよびY方向に延びるデータ線12cとTFT12aを介して接続されている。ゲート線12bにアドレス信号が印加されると、ゲート線12bと接続されたX方向の全ての上部電極11aが接続されているTFT12aはオン状態になる。このとき、それぞれのデータ線12cに印加された電圧は、アドレス信号の印加されたゲート線12bと接続された上部電極11aのそれぞれに、オン状態のTFT12aを介して印加される。一方、アドレス信号が印加されないゲート線12bに接続されるTFT12aはオフ状態になっていることにより、そのオフ状態のTFT12aに接続される上部電極11aには、電圧が印加されたデータ線12cからの電圧は印加されない。したがって、任意のゲート線12bにアドレス信号を印加し、かつ、任意のデータ線12cに所定の電圧を印加することにより、マトリクス状に配列された上部電極11aのうち、任意の上部電極11aに電圧を印加することが出来るように構成されている。また、下部電極11cも上部電極11aと同様に、X方向に延びるゲート線12eおよびY方向に延びるデータ線12fとTFT12dを介して接続されており、任意の下部電極11cに電圧を印加することが出来るように構成されている。
【0040】
図5および図6は、本発明の第1実施形態による凹凸形成部の変形の状態を説明するための、図4の200−200線に沿った断面図である。次に、図5および図6を参照して、本発明の第1実施形態における凹凸形成部11の凹凸形状の形成動作を説明する。
【0041】
凹凸形成部11の上面(Z1方向側の面)は、図5に示すように、電圧無印加時において平板形状を有している。ここで、図6に示すように、上部電極11aと下部電極11cとの全面に同一の電圧を印加すると、上部電極11aと下部電極11cとは、エラストマ層11bを挟んで静電引力により引き合わされる。これによって、エラストマ層11bは所定の圧縮力により所定量分だけ伸張することができるので、上部電極11aと下部電極11cとが静電気力により引き合わされるのに伴い、凹凸形成部11の面方向であるX方向およびY方向(図4参照)に伸張しようとする。しかし、変形部50の側部は、側壁11dに接するように設けられているとともに、エラストマ層11bの側部の上部分(Z1方向側)は、側壁11dに接着されているため、凹凸形成部11の面方向への伸張は規制される。これにより、エラストマ層11bが上方向(Z1方向)に変形することによって凸形状に変化する。これに伴い、上部電極11aおよび下部電極11cはエラストマ層11bとそれぞれ上面および下面の全面で接触しているので、上部電極11aおよび下部電極11cは、エラストマ層11bと同様に変形する。この結果、図6に示すように、凹凸形成部11に凸形状が形成される。
【0042】
ここで、エラストマ層11bの側壁側部11eの厚みt1は、図5に示すように、電圧無印加時においてエラストマ層11bの中央部11fの厚みt2よりも小さい。この場合、上部電極11aと下部電極11cとの全面に同一の電圧を印加すると、側壁側部11e間における上部電極11aと下部電極11cとの距離は、中央部11f間における上部電極11aと下部電極11cとの距離よりも小さいので、側壁側部11e間に働く静電気力は、中央部11f間に働く静電気力よりも大きくなる。これにより、側壁側部11eは、中央部11fよりもより圧縮される。この結果、図6に示すように、変形後のエラストマ層11bの側壁側部11gの厚みt3は、変形後のエラストマ層11bの中央部11hの厚みt4と比べてより小さくなる。
【0043】
図6および図7は、本発明の第1実施形態による凹凸形成部が操作者の押圧により変形した状態を説明するための、図4の200−200線に沿った断面図である。次に、図6および図7を参照して、本発明の第1実施形態における凹凸形成部11の押圧による変形動作を説明する。
【0044】
変形後のエラストマ層11bの側壁側部11gの厚みt3は、図6に示すように、変形後のエラストマ層11bの中央部11hの厚みt4と比べて小さいので、変形後の側壁側部11gの座屈限界応力は、変形後の中央部11hの座屈限界応力よりも小さい。これにより、図7に示すように、電圧印加後の凹凸形成部11を操作者が押圧すると、変形後の側壁側部11gが変形後の中央部11hよりも先に座屈変形する。また、変形後の側壁側部11gが変形後の中央部11hよりも先に座屈変形するので、変形後の中央部11hは座屈変形しない。
【0045】
次に、本発明の第1実施形態におけるリモートコントローラ100の入力用凸部101の形成動作を説明する。
【0046】
表示装置30の入力用画像が表示されると同時に、信号が図3及び図4に示す凹凸形成パネル10の基板12上のゲート線12bおよびゲート線12eとデータ線12cおよびデータ線12fとに伝達される。これによって、入力用画像が表示されている位置に対応する凹凸形成部11の上部電極11aと下部電極11cとに電圧が印加されるので、入力用画像が表示されている位置に対応する凹凸形成部11の位置に、凸形状が形成される。これにより、図1に示すように、リモートコントローラ100上の入力用画像が表示されている位置に、所定の形状の入力用凸部101が形成される。
【0047】
第1実施形態では、上記のように、エラストマ層11bは、電圧無印加時に中央部11fと、中央部11fの厚みt2よりも小さい厚みt1を有する側壁側部11eとを含み、上部電極11aと下部電極11cとによってエラストマ層11bに電圧を印加することにより、中央部11fが圧縮されて変形後の中央部11hに変形されるとともに、側壁側部11eが圧縮されて変形後の側壁側部11gに変形されることによって、変形部50に凹凸形状が形成されるように構成することによって、変形後の側壁側部11gの厚みt3は変形後の中央部11hの厚みt4よりも小さいので、変形後の側壁側部11gの座屈限界応力は変形後の中央部11hの座屈限界応力よりも小さくなる。これにより、操作者の押圧によって、変形後の側壁側部11gが変形後の中央部11hよりも先に座屈変形するので、操作者にクリック感を与えることができる。また、操作者の押圧している間に、変形部50の押圧状態を検知し続ける必要がないとともに、エラストマ層11bの形状を制御することなく変形部50を操作者が押圧している間に座屈変形させることができるので、制御を複雑化することなくクリック感を操作者に与えることができる。また、上部電極11aと下部電極11cとの間隔が狭い側壁側部11eにおいて静電気力がより大きく働くので、側壁側部11eが中央部11fよりも大きい圧縮量分圧縮される。これにより、変形後の側壁側部11gの厚さt3を変形後の中央部11hの厚さt4よりもより小さくすることができるので、より少ない押圧力によって、クリック感を操作者に与えることができる。また、変形後の側壁側部11gが変形後の中央部11hよりも先に座屈変形することによって、小さな押圧力であっても、エラストマ層11bおよび変形部50全体が変形するようなクリック感を操作者に与えることができる。
【0048】
また、第1実施形態では、上記のように、上部電極11aと下部電極11cとによりエラストマ層11bに同一の電圧を印加するように構成することによって、上部電極11aおよび下部電極11cをそれぞれ1つの電極からなるように構成することができるので、上部電極11aまたは下部電極11cを複数の電極からなるように構成する必要がない。この結果、部品点数の増加を抑制することができる。
【0049】
また、第1実施形態では、上記のように、エラストマ層11bは、絶縁性を有するとともに所定の圧縮力により所定量分だけ伸張するエラストマからなるように構成することによって、上部電極11aと下部電極11cとに挟み込まれた状態で電圧が印加されても、エラストマ層11bは通電することなく伸張することができるので、通電による熱の発生などによる消費電力の増加を抑制することができる。また、エラストマは絶縁性を有するので、操作者の押圧により上部電極11aと下部電極11cとの距離が変化することにより、変形部50の静電容量が変化する。これにより、変形部50の静電容量の変化を測定することによって、押圧による入力の有無を検知することができる。
【0050】
また、第1実施形態では、上記のように、上部電極11aおよび下部電極11cは、伸縮可能であるように構成することによって、エラストマ層11bの変形に伴って上部電極11aおよび下部電極11cが伸縮するので、上部電極11aおよび下部電極11cがエラストマ層11bの変形を阻害することを抑制することができる。
【0051】
また、第1実施形態では、上記のように、凹凸形成パネル10を、表示装置30に表示される入力用画像に応じて凹凸形状に変化させるように設けることによって、表示装置30が表示する入力用画像に応じた入力用凸部101を形成することができる。
【0052】
また、第1実施形態では、上記のように、凹凸形成部11の上部電極11a、エラストマ層11b、下部電極11cおよび側壁11dと、基板12と、表面保護膜20とを、表示装置30により表示された入力用画像を視認することが可能な光透過率を有する材料からなるように構成することによって、凹凸形成パネル10を表示装置30の上方に重ねた状態で入力用画像を視認することができるので、操作者が触れる側に凹凸形成パネル10を配置することが可能になる。これにより、凹凸形成パネル10の凹凸形成部11により形成された入力用凸部101の凸形状を操作者がより明確に感じ取ることができるので、確実な入力操作を行うことができる。
【0053】
(第2実施形態)
図8は、本発明の第2実施形態による基板上に設けられた凹凸形成部と表面保護膜との構造を示した、図4の200−200線に沿った断面図である。図9〜図11は、図8に示した凹凸形成部と表面保護膜との動作を示した、図4の200−200線に沿った断面図である。図8〜図11を参照して、この第2実施形態では、上記第1実施形態と異なり、エラストマ層211bの側壁側部211eの厚みt5が、エラストマ層211bの中央部211fの厚みt6よりも大きい場合の例について説明する。
【0054】
本発明の第2実施形態による凹凸形成部211は、図8に示すように、上部電極11aと、エラストマ層211bと、下部電極11cと、側壁11dとを有する。また、上部電極11aと、エラストマ層211bと、下部電極11cとによって変形部250が構成されている。
【0055】
ここで、第2実施形態では、エラストマ層211bは、図8に示すように、側壁11d側に位置する側壁側部211eと、平面的に見て側壁側部211eに四方を囲まれるように設けられ、エラストマ層211bの中央に位置する中央部211fとからなり、側壁側部211eの厚みt5は、中央部211fの厚みt6よりも大きい。さらに、エラストマ層211bの上面(Z1方向側の面)は平坦面になるように設けられていることにより、側壁側部211eの下面(Z2方向側の面)は、中央部211fの下面よりも下方(Z2方向)に位置している。これにより、エラストマ層211bの下面は、図8に示すように、下方(Z2方向)に凹形状になるように構成されている。
【0056】
次に、図8および図9を参照して、本発明の第2実施形態における凹凸形成部211の凹凸形状の形成動作を説明する。
【0057】
エラストマ層211bの側壁側部211eの厚みt5は、図8に示すように、電圧無印加時においてエラストマ層211bの中央部211fの厚みt6よりも大きい。ここで、上部電極11aと下部電極11cとの全面に同一の電圧を印加すると、中央部211f間における上部電極11aと下部電極11cとの距離は、側壁側部211e間における上部電極11aと下部電極11cとの距離よりも小さいので、中央部211f間に働く静電気力は、側壁側部211e間に働く静電気力よりも大きくなる。これにより、中央部211fは、側壁側部211eよりもより圧縮される。この結果、図9に示すように、変形後のエラストマ層211bの中央部211hの厚みt8は、変形後のエラストマ層211bの側壁側部211gの厚みt7と比べてより小さくなる。
【0058】
次に、図9〜図11を参照して、本発明の第2実施形態における凹凸形成部211の押圧による変形動作を説明する。
【0059】
変形後のエラストマ層211bの中央部211hの厚みt8は、図9に示すように、変形後のエラストマ層211bの側壁側部211gの厚みt7と比べて小さいので、変形後の中央部211hの座屈限界応力は、変形後の側壁側部211gの座屈限界応力よりも小さい。これにより、図10に示すように、電圧印加後の凹凸形成部211を操作者が押圧すると、変形後の中央部211hが変形後の側壁側部211gよりも先に座屈変形する。その後、さらに操作者の押圧力が大きくなると、図11に示すように、側壁11dに規制されている変形後の側壁側部211gが座屈変形する。この結果、エラストマ層211bにおいて2段階の座屈変化が行われる。
【0060】
第2実施形態では、上記のように、エラストマ層211bは、電圧無印加時に中央部211fと、中央部211fの厚みt6よりも大きい厚みt5を有する側壁側部211eとを含み、上部電極11aと下部電極11cとによってエラストマ層211bに電圧を印加することにより、中央部211fが圧縮されて変形後の中央部211hに変形されるとともに、側壁側部211eが圧縮されて変形後の側壁側部211gに変形されることによって、変形部250に凹凸形状が形成されるように構成することによって、変形後の中央部211hの厚みt8は、変形後の側壁側部211gの厚みt7よりも小さいので、変形後の中央部211hの座屈限界応力は変形後の側壁側部211gの座屈限界応力よりも小さくなる。これにより、操作者の押圧によって、変形後の中央部211hが変形後の側壁側部211gよりも先に座屈変形する。その後、さらに押圧力が大きくなると、変形後の側壁側部211gが座屈変形する。これにより、2段階のクリック感を操作者に与えることができる。
【0061】
なお、第2実施形態のその他の構成、動作および効果は、上記第1実施形態と基本的に同様である。
【0062】
(第3実施形態)
図12は、本発明の第3実施形態による基板上に設けられた凹凸形成部の構成を示した平面図である。図13〜図20は、凹凸形成部の変形の状態を説明するための図である。図12〜図20を参照して、この第3実施形態では、上記第1実施形態と異なり、電圧無印加時のエラストマ層311bの厚みt9が、側壁側部311eと中央部311fとにおいて同一であるとともに、下部電極が側壁11d側の下部電極311iと中央部の下部電極311jとからなる例について説明する。
【0063】
本発明の第3実施形態によるリモートコントローラ100の凹凸形成パネル310は、複数の凹凸形成部311と、凹凸形成部311の側壁11dが固定されている基板312とを含む。
【0064】
また、凹凸形成部311は、図14に示すように、上部電極11aと、エラストマ層311bと、下部電極311iと、下部電極311jと、側壁11dとを有する。また、上部電極11aと、エラストマ層311bと、下部電極311iと、下部電極311jとによって変形部350が構成されている。
【0065】
また、エラストマ層311bは、図14に示すように、側壁側部311eの厚みと中央部311fの厚みとが均一の厚みt9になるように設けられているとともに、基板312と平行になるように設けられている。
【0066】
ここで、第3実施形態では、下部電極311iは、図13および図14に示すように、エラストマ層311bの側壁側部311eと上面(Z1方向側の面)において接するように設けられている。また、下部電極311jは、図13および図14に示すように、側壁11d側の下部電極311iに四方を囲まれるように下部電極311iと一定間隔を空けて設けられ、エラストマ層311bの中央部311fと上面において接するように設けられている。
【0067】
また、第3実施形態では、側壁11d側の下部電極311iおよび中央部の下部電極311jは、それぞれ一般的に知られた、いわゆるアクティブマトリクス方式により設けられている。具体的には、基板312は、図12および図13に示すように、複数のTFT312gおよび312j(図13参照)を有し、下部電極311iは、X方向に延びるゲート線312hおよびY方向に延びるデータ線312iとTFT312gを介して接続されているとともに、下部電極311jは、X方向に延びるゲート線312kおよびY方向に延びるデータ線312lとTFT312jを介して接続されている。この結果、任意の下部電極311iおよび下部電極311jに電圧を印加することが出来るように構成されている。
【0068】
次に、図14〜図16を参照して、本発明の第3実施形態における凹凸形成部311の凹凸形状の形成動作を説明する。
【0069】
エラストマ層311bは、図14に示すように、電圧無印加時において平板形状を有している。ここで、図15に示すように、上部電極11aと側壁11d側の下部電極311iとに印加する電圧V1を、上部電極11aと中央部の下部電極311jとに印加する電圧V2よりも大きくすることによって、上部電極11aと側壁11d側の下部電極311iとに働く静電引力は、上部電極11aと中央部の下部電極311jとに働く静電引力よりも大きいので、エラストマ層311bの側壁側部311eは、エラストマ層311bの中央部311fよりもより圧縮される。この結果、図16に示すように、変形後のエラストマ層311bの側壁側部311gの厚みt10は、変形後のエラストマ層311bの中央部311hの厚みt11と比べてより小さくなる。
【0070】
また、上部電極11aと側壁11d側の下部電極311iとに印加する電圧V1を、上部電極11aと中央部の下部電極311jとに印加する電圧V2よりも小さくすることによって、上部電極11aと側壁11d側の下部電極311iとに働く静電引力は、上部電極11aと中央部の下部電極311jとに働く静電引力よりも小さいので、エラストマ層311bの中央部311fは、エラストマ層311bの側壁側部311eよりもより圧縮される。この結果、図17に示すように、変形後のエラストマ層311bの中央部311hの厚みt13は変形後のエラストマ層311bの側壁側部311gの厚みt12と比べてより小さくなる。
【0071】
次に、図18〜図20を参照して、本発明の第3実施形態における凹凸形成部311の押圧による変形動作を説明する。
【0072】
変形後のエラストマ層311bの側壁側部311gの厚みt10が、変形後のエラストマ層311bの中央部311hの厚みt11と比べて小さくなるように変形した場合において、凹凸形成部311を操作者が押圧すると、変形後の側壁側部311gの座屈限界応力は、変形後の中央部311hの座屈限界応力よりも小さい。これにより、図18に示すように、変形後の側壁側部311gが変形後の中央部311hよりも先に座屈変形する。また、変形後の側壁側部311gが変形後の中央部311hよりも先に座屈変形するので、変形後の中央部311hは座屈変形しない。
【0073】
変形後のエラストマ層311bの中央部311hの厚みt13が、変形後のエラストマ層311bの側壁側部311gの厚みt12と比べて小さくなるように変形した場合において、凹凸形成部311を操作者が押圧すると、変形後の中央部311hの座屈限界応力は、変形後の側壁側部311gの座屈限界応力よりも小さい。これにより、図19に示すように、変形後の中央部311hが変形後の側壁側部311gよりも先に座屈変形する。その後、さらに操作者の押圧力が大きくなると、図20に示すように、側壁11dに規制されている変形後の側壁側部311gが座屈変形する。この結果、エラストマ層311bにおいて2段階の座屈変化が行われる。
【0074】
第3実施形態では、上記のように、下部電極は、側壁11d側の下部電極311iと、中央部の下部電極311jとからなるとともに、上部電極11aと側壁11d側の下部電極311iとに印加する電圧V1と、上部電極11aと中央部の下部電極311jとに印加する電圧V2とを異ならせることによって、変形部350に凹凸形状が形成されるように構成することによって、変形前のエラストマ層311bの厚みt9を異ならせることなく、クリック感を操作者に与えることができる凹凸形状を変形部350に形成させることができる。
【0075】
また、第3実施形態では、上記のように、上部電極11aと側壁11d側の下部電極311iとに印加する電圧V1を、上部電極11aと中央部の下部電極311jとに印加する電圧V2よりも大きくすることによって、上部電極11aと側壁11d側の下部電極311iとに働く静電引力は、上部電極11aと中央部の下部電極311jとに働く静電引力よりも大きい。この結果、変形後のエラストマ層311bの側壁側部311gの厚みt10は変形後のエラストマ層311bの中央部311hの厚みt11よりも小さいので、変形後の側壁側部311gの座屈限界応力は変形後の中央部311hの座屈限界応力よりも小さくなる。これにより、操作者の押圧によって、変形後の側壁側部311gが変形後の中央部311hよりも先に座屈変形するので、小さな押圧力であっても、エラストマ層311bおよび変形部350全体が変形するようなクリック感を操作者に与えることができる。
【0076】
また、第3実施形態では、上記のように、上部電極11aと側壁11d側の下部電極311iとに印加する電圧V1を、上部電極11aと中央部の下部電極311jとに印加する電圧V2よりも小さくすることによって、上部電極11aと側壁11d側の下部電極311iとに働く静電引力は、上部電極11aと中央部の下部電極311jとに働く静電引力よりも小さい。この結果、変形後のエラストマ層311bの中央部311hの厚みt13は変形後のエラストマ層311bの側壁側部311gの厚みt12よりも小さいので、変形後の中央部311hの座屈限界応力は変形後の側壁側部311gの座屈限界応力よりも小さくなる。これにより、操作者の押圧によって、変形後の中央部311hが変形後の側壁側部311gよりも先に座屈変形する。その後、さらに押圧力が大きくなると、変形後の側壁側部311gが座屈変形する。これにより、2段階のクリック感を操作者に与えることができる。
【0077】
なお、第3実施形態のその他の構成、動作および効果は、上記第1実施形態と基本的に同様である。
【0078】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0079】
たとえば、上記第1〜第3実施形態では、本発明の情報入力装置の一例としてリモートコントローラ100を示したが、本発明はこれに限らず、リモートコントローラ以外の情報入力装置にも適用可能である。
【0080】
また、上記第1〜第3実施形態では、図2に示すように、凹凸形成パネル10が表示装置30の上方に重ねて配置されている例を示したが、本発明はこれに限らず、凹凸形成パネルが表示装置の下方に配置されていてもよい。
【0081】
また、上記第1〜第3実施形態では、凹凸形成部11(211、311)を凹凸形成パネル10(310)の全面にわたってマトリクス状に複数設ける例を示したが、本発明はこれに限らず、凹凸形成部をマトリクス状以外のたとえば千鳥配列をなすように配置してもよい。
【0082】
また、上記第1〜第3実施形態では、エラストマ層11b(211b、311b)の側部の上部分(Z1方向側の部分)を、側壁11dに接着する例を示したが、本発明はこれに限らず、エラストマ層の側部全体を側壁に接着してもよい。
【0083】
また、上記第1〜第3実施形態では、凹凸形成部11(211、311)の側壁11dを平面的に見て略正方形の枠形状を有するように構成した例を示したが、本発明はこれに限らず、たとえば、側壁を平面的に見て略リング状を有するように構成してもよい。
【0084】
また、上記第3実施形態では、上部電極11aは1つの電極からなるとともに、下部電極は側壁11d側の下部電極311iと中央部の下部電極311jとの2つの電極からなる例を示したが、本発明はこれに限らず、下部電極を3つ以上の電極からなるように構成してもよい。そのように構成することによって、凹凸形成部に滑らかな凸形状を形成することが可能である。また、上部電極を複数の電極からなるように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の第1実施形態によるリモートコントローラの全体構成を示した斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態によるリモートコントローラの全体構成を示した分解斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態による基板上に設けられた凹凸形成部の構成を示した平面図である。
【図4】本発明の第1実施形態による基板上に設けられた凹凸形成部の上部電極および下部電極の構成を示した拡大平面図である。
【図5】本発明の第1実施形態による基板上に設けられた凹凸形成部と表面保護膜との構造を示した、図4の200−200線に沿った断面図である。
【図6】本発明の第1実施形態による凹凸形成部により凸形状を形成した状態を示した、図4の200−200線に沿った断面図である。
【図7】本発明の第1実施形態による、凸形状を形成した凹凸形成部と表面保護膜とを操作者が押圧した状態を示した、図4の200−200線に沿った断面図である。
【図8】本発明の第2実施形態による基板上に設けられた凹凸形成部と表面保護膜との構造を示した、図4の200−200線に沿った断面図である。
【図9】本発明の第2実施形態による凹凸形成部により凸形状を形成した状態を示した、図4の200−200線に沿った断面図である。
【図10】本発明の第2実施形態による、凸形状を形成した凹凸形成部と表面保護膜とを操作者が押圧した状態を示した、図4の200−200線に沿った断面図である。
【図11】本発明の第2実施形態による、凸形状を形成した凹凸形成部と表面保護膜とを操作者が図10よりもさらに押圧した状態を示した、図4の200−200線に沿った断面図である。
【図12】本発明の第3実施形態による基板上に設けられた凹凸形成部の構成を示した平面図である。
【図13】本発明の第3実施形態による基板上に設けられた凹凸形成部の下部電極の構成を示した拡大平面図である。
【図14】本発明の第3実施形態による基板上に設けられた凹凸形成部と表面保護膜との構造を示した、図13の300−300線に沿った断面図である。
【図15】本発明の第3実施形態による、凹凸形成部の第1電極および第2電極への配線を模式的に示した図である。
【図16】本発明の第3実施形態による、図15のV1をV2よりも大きくした場合に、凹凸形成部により凸形状を形成した状態を示した、図13の300−300線に沿った断面図である。
【図17】本発明の第3実施形態による、図15のV1をV2よりも小さくした場合に、凹凸形成部により凸形状を形成した状態を示した、図13の300−300線に沿った断面図である。
【図18】本発明の第3実施形態による、図15のV1をV2よりも大きくした場合に形成された凸形状を操作者が押圧した状態を示した、図13の300−300線に沿った断面図である。
【図19】本発明の第3実施形態による、図15のV1をV2よりも小さくした場合に形成された凸形状を操作者が押圧した状態を示した、図13の300−300線に沿った断面図である。
【図20】本発明の第3実施形態による、図15のV1をV2よりも小さくした場合に、形成された凸形状を操作者が図19よりもさらに押圧した状態を示した、図13の300−300線に沿った断面図である。
【符号の説明】
【0086】
10、310 凹凸形成パネル
11、211、311 凹凸形成部(凹凸形成装置)
11a 上部電極(第1電極)
11b、211b、311b エラストマ層(変形層)
11c、311i、311j 下部電極(第2電極)
11d 側壁(側壁部)
30 表示装置
50、250、350 変形部
100 リモートコントローラ
101 入力用凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、前記第1電極と対向するように設けられた第2電極と、前記第1電極と前記第2電極とに挟み込まれた変形層とを含む変形部と、
前記変形部の側部を規制する側壁部とを備え、
前記第1電極と前記第2電極とによって前記変形層に電圧を印加することにより、前記変形層が第1の厚みを有する第1部分と、第1の厚みよりも小さい第2の厚みを有する第2部分とを含むように変形されることによって、前記変形部に凹凸形状が形成されるように構成されている、凹凸形成装置。
【請求項2】
前記変形層は、電圧無印加時に第3の厚みを有する第3部分と、第3の厚みよりも小さい第4の厚みを有する第4部分とを含み、
前記第1電極と前記第2電極とによって前記変形層に電圧を印加することにより、前記変形層の第3部分が圧縮されて前記第1部分に変形されるとともに、前記変形層の第4部分が圧縮されて前記第2部分に変形されることによって、前記変形部に凹凸形状が形成されるように構成されている、請求項1に記載の凹凸形成装置。
【請求項3】
前記第1電極と前記第2電極とによって前記変形層に同一の電圧を印加するように構成されている、請求項2に記載の凹凸形成装置。
【請求項4】
前記第2電極は、第1の電圧が印加される第3電極と、前記第1の電圧と異なる第2の電圧が印加される第4電極とを含み、
前記変形層の前記第1電極と前記第3電極とに挟み込まれている部分に前記第1の電圧を印加するとともに、前記変形層の前記第1電極と前記第4電極とに挟み込まれている部分に前記第2の電圧を印加することにより、前記変形層が前記第1部分と前記第2部分とを含むように変形されることによって、前記変形部に凹凸形状が形成されるように構成されている、請求項1または2に記載の凹凸形成装置。
【請求項5】
前記変形層の第1部分および第2部分は、それぞれ前記変形層の略中央部および前記側壁部側の一方および他方に設けられている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の凹凸形成装置。
【請求項6】
前記変形層は、絶縁性を有するとともに所定の圧縮力により所定量分だけ伸張するエラストマからなる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の凹凸形成装置。
【請求項7】
前記第1電極および前記第2電極は、伸縮可能であるように構成されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の凹凸形成装置。
【請求項8】
第1電極と、前記第1電極と対向するように設けられた第2電極と、前記第1電極と前記第2電極とに挟み込まれた変形層とを有する変形部と、前記変形部の側部を規制する側壁部とを含み、前記第1電極と前記第2電極とによって前記変形層に電圧を印加することにより、前記変形層が第1の厚みを有する第1部分と、第1の厚みよりも小さい第2の厚みを有する第2部分とを含むように変形されることによって、前記変形部に凹凸形状が形成されるように構成されている複数の凹凸形成部が配列された凹凸形成パネルと、
前記凹凸形成パネルに重ねて配置される表示装置とを備え、
前記凹凸形成パネルは、前記凹凸形成部により、前記表示装置に表示される入力用画像に応じて入力用凸部を形成するように構成されている、情報入力装置。
【請求項9】
前記凹凸形成パネルは、前記表示装置の上方に配置された場合に、前記表示装置に表示される入力用画像を視認可能な光透過率を有する部材により構成されている、請求項8に記載の情報入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2009−199479(P2009−199479A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−42334(P2008−42334)
【出願日】平成20年2月25日(2008.2.25)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】