説明

分包装置

【課題】分包動作を円滑に行い得る分包装置の提供。
【解決手段】堰止板の外周部に環状の堰止部を有し、堰止部における溝底面に接触する部分に、堰止部が溝底面に接触した状態で溝底面が回転した際に、堰止部の弾性変形を促進させる切欠が形成されている分包装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤等の粉粒体を分包するための分包装置に係り、より詳しくは、分包装置において粉粒体を切出す切出部の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、薬剤等の粉粒体を分包するための分包装置として、下記特許文献1に示すものが提案されている。
この分包装置は、回転テーブル上の環状凹溝に沿って供給された粉粒体を所定領域分ずつ回転テーブルの径方向外方に向けて切出すための切出部を有する。切出部は環状凹溝の溝底面の曲率中心回りに回転して環状凹溝の溝底面にある粉粒体を切出すよう構成されており、粉粒体を掬うように切出す切出板と、この切出板の下流側で粉粒体を堰止める堰止板とを有する。
この分包装置では、回転テーブルを間欠的に縦軸回りに回転させつつ切出部を溝底面の曲率中心回りに回転させることで、堰止板で粉粒体を堰止めつつ切出板で粉粒体を回転テーブルの径方向に切出すようにして分包する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭52−22598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の分包装置において堰止板は溝底面に接触して粉粒体を堰止めるものであり、回転テーブルを間欠的に回転させる際にも外周部が溝底面に接触しているから、堰止板と環状凹溝の溝底面との間で摩擦や引っ掛かりが発生して堰止板が細かく振動してしまうことがあり、そうすると、分包装置による円滑な分包動作を行えないことがあった。
【0005】
そこで本発明は、上記課題に鑑み、分包動作を円滑に行い得る分包装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、回転テーブル上の環状凹溝に供給された粉粒体を所定領域分ずつ回転テーブルの径方向に向けて切出す切出部を備え、該切出部は環状凹溝の溝底面に接触させて粉粒体を堰止める堰止板を有し、堰止板は円板状に形成されており、堰止板の外周部に環状凹溝の溝底面に接触可能な環状の堰止部を有し、該堰止部には、溝底面に接触した状態で溝底面が回転した際に、該堰止板の弾性変形を促進させる切欠が形成されていることを特徴としている。
【0007】
上記構成の分包装置では、環状凹溝の溝底面に接触させた堰止板で粉粒体を堰止めた状態で粉粒体を切出し、続いて堰止板を溝底面に接触させた状態で回転テーブルを回転して停止させ、再び粉粒体を切出すという動作を順次繰返し、切出された粉粒体を順次分包する。
【0008】
また、上記構成によれば、溝底面に堰止板を接触させた状態で回転テーブルを縦軸回りに回転させたとき、堰止板には、溝底面から粉粒体の送り方向への摩擦力が働くが、堰止板における溝底面への接触部分である堰止部には、堰止部の弾性変形を促進させる切欠が形成されているから、溝底面の移動に倣うように堰止部が弾性変形することになり、堰止板と環状凹溝の溝底面との間で摩擦や引っ掛かりが発生して堰止板が細かく振動してしまうという現象が、効果的に抑制される。
【0009】
本発明の分包装置では、切欠は、堰止部の溝底面への接触面積を減少させるように形成されていることを特徴としている。
この構成によれば、堰止部の溝底面への接触面積を、切欠を形成した分だけ減少させていることにより堰止部が弾性変形し易くなる。
【0010】
本発明の分包装置では、堰止部の側面から堰止部の溝底面への接触面に亘るように形成された切欠が、堰止部の周方向に間隔をおいて形成されていることを特徴としている。
上記構成によれば、堰止部の側面から堰止部の溝底面への接触面に亘るように形成された切欠によって堰止部の溝底面への接触面積を減少させていることにより、堰止部が弾性変形し易くなる。
【0011】
本発明の分包装置では、堰止部の溝底面への接触面に、堰止部の回転中心側へ窪むスリット状の切欠が、堰止部の周方向に間隔をおいて形成されていることを特徴としている。
上記構成によれば、堰止部の回転中心側へ窪むスリット状の切欠によって堰止部の溝底面への接触面積を減少させていることにより、堰止部が弾性変形し易くなる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の分包装置によれば、堰止板における溝底面への接触部分である堰止部には、堰止部の弾性変形を促進させる切欠が形成されているから、溝底面の移動に倣うように堰止部が弾性変形することになり、堰止板と環状凹溝の溝底面との間で摩擦や引っ掛かりが発生して堰止板が細かく振動してしまうという現象を効果的に抑制することができ、分包装置の分包動作を円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態を示す分包装置の概略構成を示す平面図
【図2】同じく要部の詳細を示す正面図
【図3】同じく切出部の回転駆動部を主とした正面図
【図4】同じく切出部、駆動伝達機構を示す詳細図で、(a)は駆動伝達機構を示す平面断面図、(b)は切出板の平面図、(c)は切出部の正面図
【図5】同じく仕切板の単体拡大斜視図
【図6】仕切板の他の実施形態を示す単体拡大斜視図
【図7】同じく切出部切替機構の正面図で、(a)は切出部を離間姿勢とした際の切出部切替機構の正面図、(b)は切出部を切出姿勢とした際の切出部切替機構の正面図
【図8】同じく第一清掃部の平面断面図
【図9】同じく第一清掃部切替機構を示し、昇降用カムのカムピンがダクト用カムローラに接触した状態の正面拡大図
【図10】同じく第一清掃部切替機構を示し、昇降用カムの曲率部がカムローラに接触した状態の正面拡大図
【図11】同じく第二清掃部の平面断面図
【図12】同じく切出部を切出姿勢とし第二清掃部を非清掃姿勢とした状態の正面図
【図13】同じく切出部を離間姿勢とし第二清掃部を清掃姿勢とした状態の正面図
【図14】同じく第一清掃部を清掃姿勢とした状態の正面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る分包装置を、粉粒体として散薬を扱う散薬分包装置を例として、図面に基づいて説明する。
本発明に係る分包装置の例では、回転テーブル上の環状凹溝に供給された粉粒体を所定領域分ずつ回転テーブルの径方向に向けて切出す切出部を備え、該切出部は、環状凹溝の上方にある軸回りに回転可能な切出板と、切出板の下流側に切出板と同心となるよう並設された堰止板とを有して、堰止板を環状凹溝の溝底面に接触させて粉粒体を堰止め、回転テーブルを縦軸回りに間欠的に回転させつつ切出板を横軸回りに回転させて粉粒体を切出し、切出した粉粒体を順次分包するようにした分包装置であって、堰止板は円板状に形成されており、堰止板の外周部に環状凹溝の溝底面に接触可能な環状の堰止部を有し、該堰止部には、溝底面に接触した状態で溝底面が回転した際に、該堰止板の弾性変形を促進させる切欠が形成されている。
上記構成の分包装置では、環状凹溝の溝底面に接触させた堰止板で粉粒体を堰止め、切出板を横軸回りに回転させて停止した状態で粉粒体を切出し、続いて堰止板を溝底面に接触させた状態で回転テーブルを回転して停止させ、再び切出板を横軸回りに回転させて粉粒体を切出すという動作を順次繰返し、切出された粉粒体を順次分包する。
図1は本発明の実施形態を示す分包装置の要部を抽出した概略平面構成図、図2は要部の詳細を示す正面図である。
【0015】
図1および図2に示すように、本発明の実施形態に係る分包装置1は、縦軸2回りに回転自在な回転テーブル3と、回転テーブル3の上面に形成された環状凹溝4に沿って供給された散薬5を環状凹溝4の周方向所定領域分ずつ回転テーブル3の径方向外方に向けて切出すための切出部6と、縦軸2を中心にして切出部6に付着した散薬5を除去するための第一清掃部7と、切出部6の、回転テーブル3における反対側で環状凹溝4上に残った散薬5を清掃するための第二清掃部8とを備えている。
回転テーブル3は、不図示の回動駆動モータの駆動によって縦軸2回りに間欠的に回動するように構成されている。
【0016】
切出部6は環状凹溝4の溝底面10に接触する切出姿勢Aと溝底面10から離間した離間姿勢Bとに切替え自在に構成されている。第一清掃部7は切出部6に接触する清掃姿勢Cと切出部6から離間する非清掃姿勢Eとに切替え自在に構成されている。第二清掃部8は環状凹溝4の溝底面10に接触する清掃姿勢Dと溝底面10から離間する非清掃姿勢Fとに切替え自在に構成されている。
この場合、溝底面10は、曲率中心を中心として下方に凸となる円弧状に形成されている。
【0017】
切出部6を切出姿勢Aと離間姿勢Bとの間で切替え、第一清掃部7を清掃姿勢Cと非清掃姿勢Eとの間で切替え、且つ第二清掃部8を清掃姿勢Dと非清掃姿勢Fとの間で、その動作を連携するよう切替える切替装置11が設けられている。
【0018】
切替装置11は、切出部6を何れかの姿勢に切替える切出部切替機構12と、第一清掃部7を何れかの姿勢に切替える第一清掃部切替機構13と、第二清掃部8を何れかの姿勢に切替える第二清掃部切替機構14とから構成されている。
【0019】
また、この実施形態における分包装置1は、駆動装置によって回転テーブル3を縦軸2回りに間欠的に回転させつつ、切出部切替機構12によって切出部6を環状凹溝4の溝底面10に接触させて切出部6を切出姿勢Aとして、散薬5を環状凹溝4から回転テーブル3の径方向外方に切出して分包するものである。
【0020】
さらに、切出部切替機構12によって切出部6を環状凹溝4から離間させて離間姿勢Bとするとともに第一清掃部切替機構13によって第一清掃部7を切出部6に接触させて清掃姿勢Cとして、切出部6に付着した散薬5の清掃・除去を行うものである。
さらにまた、切出部6を離間姿勢Bとし第一清掃部7を清掃姿勢Cとするとともに第二清掃部切替機構14によって第二清掃部8を清掃姿勢Dとして、回転テーブル3に付着した散薬5の清掃・除去を行うものである。
【0021】
ここで、回転テーブル3について説明する。回転テーブル3は、環状に形成されて、その内径側に転動ローラ17が転動自在に設けられ、この転動ローラ17の環状案内面17aが回転テーブル3の内径環状凸部3aに接触しており、回転テーブル3の径方向外方には、回転テーブル3を縦軸2回りに回転駆動させる不図示の前記駆動装置が設けられている。
【0022】
転動ローラ17は、基台18に上下方向に軸体20を介して取付けられている。回転テーブル3に回転板22が回転一体に取付けられ、回転板22は内径側の平板部23と平板部23の外径側に一体的に形成されて下方に凸とされた断面円弧状の溝部24とから構成されており、溝部24の上面に前記環状凹溝4が形成されている。
ここで、回転テーブル3の上面に形成された環状凹溝4とは、回転テーブル3の上面に載置固定された回転板22の上面にある環状凹溝4を意味しており、回転テーブル3と回転板22とは一体ものとして構成してもよいし、図のように別体ものを互いに固定するよう構成してもよい。
【0023】
回転板22の平板部23の上面の内径寄り位置に、上方を開放した平面視して環状の溝部材25が、回転板22と同心に取付けられている。溝部材25は、環状の溝底板26と、この溝底板26の径方向内端辺部から上方に立上がる内径側板壁27と、溝底板26の径方向外端辺部から上方に立上がる外径側板壁28とから形成されている。
溝部材25は、例えばその溝底板26を上方から不図示のビス等の取付手段によって平板部23上面に固定されている。
【0024】
溝底板26と内径側板壁27との折曲部は曲げ加工により円弧状に形成されている一方で、溝底板26と外径側板壁28との外側の折曲隅部は互いに垂直になるよう加工されている。溝底板26と外径側板壁28との外側の折曲隅部を互いに垂直になるよう加工しているのは、溝底板26が回転板22の内径側の平板部23上に装着されていることから、溝底板26と外径側板壁28との間に散薬5が入り込みにくくするためである。
【0025】
溝部材25の溝に残留している散薬5を吸引するための吸引ノズル49が設けられている。吸引ノズル49はその先端部49aが溝底板26からわずかに上がった位置に配置されるよう、吸引ノズル49の途中部分は不図示のブラケットを介して分包装置1の適宜の位置に支持されている。
【0026】
図4は切出部6、駆動伝達機構69を示す詳細図で、(a)は駆動伝達機構69を示す平面断面図、(b)は切出板31の平面図、(c)は切出部6の正面図である。
図示のように、前記切出部6は、円板状の仕切板(堰止板)30と、切出板31と、カバー体31Aとを有する。これら仕切板30、切出板31、およびカバー体31Aはそれぞれ別体に設けられており、回転テーブル3(回転板22)の回転方向上流側から、カバー体31A、切出板31、仕切板30の順に接触して並設するよう配置されている。
【0027】
仕切板30は、正面視して環状に形成された仕切板本体33と、この仕切板本体33の外周辺部に径方向外方に突出するよう仕切板本体33に一体形成された環状の堰止体(堰止部に相当する)34とを有する。堰止体34はシリコンゴムから形成されており、その径方向外方端部43である環状面が、溝底面10に接触可能とされている。
【0028】
堰止体34は、仕切板本体33に固着するために仕切板本体33の外周部に環状の肉盛部59を有し、しかも肉盛部59の径方向外方には、仕切板本体33の径方向外方端面を仕切板本体33の片側面から巻込むようにして包んで仕切板本体33の径方向外方端面からさらに径方向外方に突出する環状の巻込部89が一体的に形成されている。このような巻込部89の径方向外方端部43が、仕切板本体33の径方向外方端面からさらに径方向外方に突出した前記環状面とされている。
肉盛部59の径方向内方には、仕切板本体33に向けて傾斜する内方側傾斜面が形成されている。巻込部89の片側の側面には、隅切面としての環状の外方側傾斜面99が形成されている。
【0029】
図5および図6に、仕切板30の単体拡大斜視図を示す。これらに示す仕切板30は、巻込部89が溝底面10に接触した状態で溝底面10が縦軸2回りに回転した際に、巻込部89の弾性変形を促進させる切欠89aが、巻込部89に形成されている。切欠89aは、巻込部89の溝底面10への接触面積を減少させるように形成されている。
【0030】
すなわち、図5に示す仕切板30の構成では、切欠89aが巻込部89の側面から巻込部89の溝底面10への接触面である径方向外方端部43の一部に亘るように、外方側傾斜面99を抉るようにして形成されている。この切欠89aは、巻込部89の周方向に間隔をおいて多数形成されている。切欠89aの周方向間隔は、溝底面10の周方向長さに対応する領域内に少なくも一個形成されるよう設けられている。この実施形態では溝底面10の周方向長さに対応する領域内に、複数箇所形成されている。なお、これら各切欠89aの底面は円弧状に形成されている。
このようにして切欠89aを形成することにより、巻込部89の容積を減少させることになり、且つ切欠89aは周方向に連続するよう形成された巻込部89を、その周方向の途中の複数箇所で薄肉としているから、その分だけ巻込部89が弾性変形し易くなる(撓み易くなる)。
【0031】
図6に示す仕切板30の構成では、切欠89bは巻込部89の径方向外方端部43に、その回転中心側へ窪むスリット状に形成されている。この切欠89bは、巻込部89の周方向に間隔をおいて多数形成されている。図6に示す切欠89bの周方向間隔もまた、溝底面10の周方向長さに対応する領域内に少なくも一個形成されるよう設けられている。この実施形態では溝底面10の周方向長さに対応する領域内に、複数箇所形成されている。
【0032】
切欠89bは、仕切板30の回転中心軸の軸心方向に対して傾斜した直線状に形成されている。この傾斜方向は、軸心方向に傾斜するものであれば軸心方向一方側から他方側へ向けて上傾斜、下傾斜の何れでもよい。
切欠を外方側傾斜面99として、この外方側傾斜面99を大きくしたり、傾斜を急勾配としたりすることにより、溝底面10への接触面である径方向外方端部43の接触面積を小さくする、すなわち巻込部89の肉厚を周方向全域にわたって薄くすることで、巻込部89を弾性変形し易くすることも好ましい。
【0033】
仕切板本体33には、その中心部に中心穴33aが形成されている。中心穴33aの外周部には、互いに周方向に離間した挿入穴36が複数形成されている。仕切板本体33の下流側には回転体35が隣接され、上流側には取付支持体54が隣接されている。回転体35および取付支持体54の対向平面上の挿入穴36に対応する部位に、挿入穴36と同径のピン穴35a,54aがそれぞれ形成されている。挿入穴36、ピン穴35a,54aにピン40が挿通されて仕切板本体33、回転体35、および取付支持体54は横軸、すなわち後述の回転伝達軸60回りに回転一体となっている。
【0034】
切出板31は、仕切板30で堰き止められた散薬5を溝底面10から掻取って回転テーブル3の側方(径方向外方)に配置されているホッパー44に切り出しするためのものである。切出板31は、切出板本体29と弾性ブレード45とスペーサ46,47とを有する。
切出板本体29は、先端板部48と基端板部50とから一体に形成されており、先端板部48は基端板部50に比べて広幅に形成されている。切出板本体29は、先端板部48の基端板部50側から直角に落ち込む段付面51を有している。
【0035】
先端板部48には、さらに前方に向けて突出する前記弾性ブレード45が設けられている。弾性ブレード45は、溝底面10に接触して散薬5を掻取り(切出し)可能なように先端が鋭角に切断された板状に形成されており、弾性ブレード45は、先端板部48の幅B1に比べてわずかに大きく形成されるよう、先端板部48の幅方向両側に突出している。さらに、弾性ブレード45は、先端板部48の一方の側面を被覆する均一な厚みの被覆部53を形成するようにして、先端板部48に熱融着されて該先端板部48に固着されている。
【0036】
このような弾性ブレード45に連続して前記スペーサ46,47が一体的に形成されている。スペーサ46,47は、切出板本体29の両端面に、これに沿って均一な幅で延長されている。すなわちこの厚みB2は、弾性ブレード45における先端板部48の幅方向両側に突出している部分の厚みに実質的に等しいものである。
【0037】
基端板部50の板面には、複数の丸穴50aが形成されている。また、基端板部50の板面には、互いに所定距離だけ離間した平行な抜止突部52が固着(例えば熱融着による)されている。抜止突部52の厚みは被覆部53の厚みに等しく形成されている。なお、抜止突部52の断面形状は半球状に形成されており、被覆部53に比べて極めて薄い厚みのシート部31aを介して被覆部53に連続するよう形成されている。
【0038】
取付支持体54は切出板31を取付けるための部材でもあって、下流側を開放して上流側を封止した略円筒状に形成されている。
取付支持体54の上流側壁54bに、切出板31の基端板部50をその幅方向で挿入支持するための支持凹部56が、取付支持体54の中心に対して所定距離L2だけ位置ずれして形成されている。
【0039】
この支持凹部56は切出板31の基端板部50の厚みに比べてわずかに厚く形成されるとともに、抜止突部52が挿入される半球状の抜止凹部57が支持凹部56に連続して形成されている。支持凹部56の深さは基端板部50の幅に実質的に等しく形成され、支持凹部56に切出板31の基端板部50を装着した際に、一方のスペーサ46が支持凹部56から上流側に突出するよう構成されている。また、基端板部50を装着した際に他方のスペーサ47が取付支持体54の下流側端面からさらに下流側に突出するよう構成されている。
支持凹部56に基端板部50を装着すると、先端板部48が取付支持体54の径方向に沿うよう取付支持体54から突出するようになっている。
【0040】
カバー体31Aは正面視して略楕円形に形成されている。その径方向両側の湾曲部の曲率は溝底面10の曲率に実質的に一致するよう設定されており、基端側をピン41がカバー体31Aの板面に形成されたピン穴58に挿通することで、取付支持体54の上流側壁54bに重ねて取付けられている。
【0041】
回転体35、取付支持体54、カバー体31Aの中心には前記回転伝達軸60が挿通される回転伝達用穴部61a,61b,61cがそれぞれ形成されており、回転伝達用穴部61a,61b,61cに回転伝達軸60が内嵌嵌着されている。
【0042】
この回転伝達軸60の先端部はカバー体31Aの回転伝達用穴部61cから突出しており、中心にこの先端部に螺着する螺着穴部62を有するエンドキャップ63が取付けられている。エンドキャップ63は下流側を開放し、上流側を閉塞した断面円筒状に形成されており、回転伝達軸60の先端部に螺着穴部62を強固に螺着することで、エンドキャップ63の下流側外周縁部84はカバー体31Aの板面に圧接されている。
これによって、回転体35、取付支持体54、切出板31およびカバー体31Aが回転伝達軸60の軸心方向の押圧力を受けて一体化されている。
【0043】
転動ローラ17の上側で平板部23の下方に、平面視して円盤状の支持板65が、基台18に固定され(非回転に設けられ)ている。
支持板65に、散薬5を回転板22の内径側に散らせるのを防止するための阻止板66が、取付ブラケット67を介して取付けられている。阻止板66は、切出部6に回転テーブル3の径方向内外で対向するよう設けられており、取付ブラケット67に固定される平板68とこの平板68の上部で回転テーブル3の中心へ向けて上傾斜する傾斜板79とから一体的に形成されている。
【0044】
回転伝達軸60の下流側端部に、回転伝達軸60に軸心回りの回転力を付与するための駆動伝達機構69が設けられている。また駆動伝達機構69に回転駆動力を付与するための駆動装置15が設けられている。この駆動装置15は、切出部6に対して回転テーブル3の中心側に配置されている。
【0045】
駆動伝達機構69および駆動装置15は、双方に渡された伝達アーム部材70によって覆われている。伝達アーム部材70は、回転板22の中心側から回転板22の径方向に沿うようその径方向外方に延長されている。また、伝達アーム部材70は、基部側をその下部で回動自在に支持すべく基台18側に支持された後述の支軸71回りに回動自在に設けられている。
【0046】
駆動伝達機構69は、回転伝達軸60の下流側に外嵌固定された従動プーリー72等から構成されてなり、回転伝達軸60はその下流側の部分が、軸受73を介して伝達アーム部材70の両側板74の先部に挿通されている。
【0047】
図1および図3に示すように、駆動装置15は、回転駆動部75と、この回転駆動部75の動作を駆動伝達機構69側(すなわち切出部6側)に伝達する伝達ベルト76とを有する。回転駆動部75は、伝達アーム部材70における回転テーブル3の中心側である基部の上面に載置するよう取付けられた回転駆動用モータ77と、回転駆動用モータ77から下方に突出するモータ軸78に取付けられたウオームギヤ80と、回転駆動用モータ77の下側方に配置されて回転伝達軸60と平行な回転中心軸81と、回転中心軸81の途中部分に外嵌されてウオームギヤ80と噛合する回転用ギヤ82と、回転中心軸81上の下流側に外嵌固定された駆動プーリー83とを有する。伝達ベルト76は、従動プーリー72と駆動プーリー83とに巻回されている。
【0048】
このような駆動伝達機構69および駆動装置15の構成によれば、回転駆動用モータ77を回転駆動することにより、ウオームギヤ80がモータ軸78とともに回転してその回転が回転用ギヤ82に伝達され、回転用ギヤ82とともに回転中心軸81がその軸心回りに回転し、回転中心軸81に外嵌固定されている駆動プーリー83が共に回転し、その回転力が伝達ベルト76を介して従動プーリー72に伝達され、従動プーリー72とともに回転伝達軸60が回転して、回転伝達軸60に固定されている切出部6の掻取り部が回転伝達軸60の軸心回りに回転して、切出板31によって溝底面10にある散薬5を回転テーブル3の径方向外方に掻取るようにして切出すことができる。
【0049】
また、上記構成の切出部6において、回転伝達軸60の先端部にエンドキャップ63の螺着穴部62を強固に螺着することで、エンドキャップ63の下流側外周縁部84はカバー体31Aの板面に上流側から圧接されて、仕切板30、回転体35、取付支持体54、切出板31およびカバー体31Aが回転伝達軸60の軸心方向の押圧力を受けて一体化されるものであることは、上記の通りである。
【0050】
そして、切出板31の基端板部50を取付支持体54の支持凹部56に装着した際に、一方のスペーサ46が支持凹部56から上流側に突出するよう構成され、基端板部50を装着した際に他方のスペーサ47が取付支持体54の下流側端面からさらに下流側に突出するよう構成されているから、回転伝達軸60の先端部にエンドキャップ63の螺着穴部62を強固に螺着することで、一方のスペーサ46はカバー体31Aに上流側から圧接され、他方のスペーサ47は仕切板本体33の板面に下流側から圧接されることになる。
【0051】
スペーサ46,47は弾性体からなっているから、圧縮された分に相当するだけの弾性反発力が発生して、一方のスペーサ46はカバー体31Aを押圧し、他方のスペーサ47は仕切板本体33を押圧するから、切出板31と仕切板本体33、切出板31とカバー体31Aとの間に隙間が発生する余地はなくなる。
【0052】
このため、散薬5をホッパー44に切り出すべく切出部6を回転駆動させたとしても、切出板31と仕切板本体33、切出板31とカバー体31Aとの間に散薬5が噛込んでしまうという不都合を防止することができる。
このように散薬5を分包する際に切出部6の部材間に散薬5が残留することがないから、散薬5を少量分包させる場合であっても、必要な分包精度を確保することができる。
【0053】
また、仕切板30および切出板31はそれぞれ別部材として組付けられているから、例えば使用によって(溝底面10を摺動することによって)堰止体34や弾性ブレード45が損傷等した場合に、それぞれの部材は別々にメンテナンス(交換)をすることができることから、ランニングコストの上昇を抑えることができる。
【0054】
図7は切出部切替機構12を主とした正面図で、(a)は切出部6を離間姿勢Bとした際の切出部切替機構12の正面図、(b)は切出部6を切出姿勢Aとした際の切出部切替機構12の正面図である。
ここで、切出部切替機構12について説明する。図7の各図に示すように、切出部切替機構12は、切出部6における切出板31および仕切板30の姿勢を切替えるための操作部であり、切出板31および仕切板30が溝底面10に接触して散薬5を切出し可能な切出姿勢Aと、切出板31および仕切板30が溝底面10から上方に離間して散薬5を切出し不可能な離間姿勢Bとに切替えるものである。
【0055】
切出部切替機構12は、回転テーブル3の下方の基台18上で回転テーブル3の中心側に設けた駆動手段としての昇降用モータ85と、昇降用モータ85の駆動により回転伝達軸60と平行な昇降用横軸86回りに回転する昇降用カム87と、昇降用モータ85の駆動を昇降用カム87の昇降用横軸86回りの回転に変換する不図示の変換機構とから構成されている。
【0056】
昇降用カム87は、伝達アーム部材70の下方であってその長手方向途中に相当する領域に配置されており、その外周面が、平面部88と、曲率の大きい大曲率部90と、大曲率部90に比べて曲率の小さい小曲率部91とを有しており、平面部88の両側に大曲率部90が連続して形成されている。大曲率部90および小曲率部91は、伝達アーム部材70の内部に設けられたカムローラ94の外周面に摺接可能であり、平面部88はカムローラ94には、接触不可能なように、大曲率部90および大曲率部90の曲率、昇降用横軸86からカムローラ94までの距離等の関係が設定されている。
【0057】
すなわち、昇降用カム87の大曲率部90または小曲率部91がカムローラ94に接触している状態では、切出板31は離間姿勢Bであって溝底面10から離間しており、昇降用カム87の平面部88がカムローラ94にその下方で対向する状態では、仕切板30および切出板31は切出姿勢Aであって溝底面10に接触している。
【0058】
昇降用カム87の板面には、後述する吸引ダクト96の姿勢を切替るためのダクト用カムローラ92に当接可能なカムピン97が設けられている。このカムピン97は、大曲率部90の外周面から昇降用横軸86側に寄った位置に配置されている。
【0059】
図8は第一清掃部7の平面断面図である。ここで、第一清掃部7の構成を説明する。第一清掃部7は、吸引ダクト96と、吹付ノズル98と、吸込ホース100と、ブラシ部101とを有する。
【0060】
図8に示すように、第一清掃部7の一部を構成する吸引ダクト96は、底壁102と、両側壁103と、天壁104と、後壁105とから箱型に形成されている。吸引ダクト96は、支持板65に切替装置11として第一清掃部切替機構13を介して、支持板65の上方に配置されている。底壁102の下面は、その前方部分が上傾斜した傾斜底壁面102aとされ、この傾斜底壁面102aからは、さらに下方に向けて延長される矩形板形状の延長ブラケット106が傾斜底壁部102aに対して垂直方向に、一体に設けられている。
【0061】
吸引ダクト96の各側壁103は、その径方向内方側に、互いに平行な傾斜壁部103aを有し、傾斜壁部103aの後部は径方向内方に向けて延長されている。
この実施形態のように、吸引ダクト96の側壁103を変形させる(具体的には傾斜壁部103aを形成する)ことで、狭いスペースに種々の機構・装置を配置しなければならない場合に、これらの機構・装置を回避しつつ吸引ダクト96をそのスペースに収納することができるようにしている。
また、吸引ダクト96の前部は開放されてダクト吸引口107が形成され、ブラシ部101は吸引ダクト96の天壁104の前部で、且つダクト吸引口107の上方に配置されている。天壁104の前部は、ブラシ部101を設ける分だけ、天壁104の後部に比べて下方に位置するよう形成されている。
【0062】
天壁104の前部の両側には、側覆壁108が立設されており、天壁104の前部と、側覆壁108と、側覆壁108の上端どうしに渡される、被覆体としての渡壁体110とによって、ブラシ部101を収納する収納空間112が形成されている。渡壁体110は前後(径方向内外)に移動自在に設けられている。また、渡壁体110は後述の後ピン部材116回りに回動自在に設けられている。
【0063】
すなわち、渡壁体110は平板状の渡壁113とその両側それぞれから垂下して側覆壁108をそれぞれその外側で覆う垂下壁114とを有し、側覆壁108の前部上面間には平板状のブラシ押え115が一体的に形成され、各垂下壁114の後部内面には内側に突出する後ピン部材116が設けられ、側覆壁108の後部には後ピン部材116を前後方向(径方向内外方向)に摺動させ得る長孔117が形成されており、側覆壁108の前部内面には内側に突出する前ピン部材118が設けられ、ブラシ押え115の前下部には前ピン部材118を係止してしかも前後に係脱可能とするフック120が形成されている。
渡壁体110を吸引ダクト96に着脱するための着脱手段は、前記後ピン部材116、長孔117、前ピン部材118、およびフック120から構成されている。
【0064】
渡壁体110の渡壁113の裏面には、バネ体121が取付けられている。バネ体121は、その板状基部122が渡壁体110の裏面に固定されており、板状基部122と板状基部122から径方向外方に向けて下傾斜する押え部123とから一体的に形成されている。
【0065】
ブラシ部101は、複数本の刷毛の束からなる第一除去ブラシ124を水平方向に並べた第一ブラシ群125と、各第一除去ブラシ124における束の刷毛の基部を植設した板状の植設体126とから構成されている。植設体126はその板面に左右一対の支持孔127が形成されており、天壁104の前部に支持孔127に嵌合する突起128が形成されている。突起128を支持孔127に嵌合させるように植設体126を天壁104の前部に設置することで、ブラシ部101のほとんどは収納空間112に収納され、第一除去ブラシ124(第一ブラシ群125)の先端部がダクト吸引口107の上方位置で切出部6側に突出するようになる。
なお、刷毛(第一除去ブラシ124)の前後方向の長さは同一に形成されている。
【0066】
植設体126の前面130は、平面視して前方へ向けて凸となる円弧状の曲面に形成されており、各第一除去ブラシ124は前面130の周方向に並べて配置されており、しかも各第一除去ブラシ124は前面130の法線方向に沿うよう植設されている。また、各第一除去ブラシ124はその植設体126の前面130からの植設深さは同一である。したがって、各第一除去ブラシ124の先端を連ねた仮想線は、植設体126の前面130と同曲率の曲線となっている。
【0067】
この実施形態では五束の第一除去ブラシ124を設けており、周方向中心に配置した第一除去ブラシ124aは仕切板30およびカバー体31Aの板面に平行に配置され、周方向下流側の二束の第一除去ブラシ124bは仕切板30側にあって仕切板30の板面に対して、平面視して下流側に傾斜するよう配置され、周方向上流側の二束の第一除去ブラシ124cはカバー体31A側にあってカバー体31Aの板面に対して、平面視して上流側に傾斜するよう配置されている。
第一ブラシ群125は、切出部6が切出姿勢Aにあるときは切出部6に非接触であり、切出部6が離間姿勢Bにあるとき、切出部6に接触して切出部6に付着した散薬5を掻き落すものである。
【0068】
第一除去ブラシ124は刷毛の束からなるから、植設体126の前面への植設部分では刷毛どうし収束し、先端側では収束が解かれて刷毛どうしの間の間隔が広くなる。したがって、一般的に刷毛の束からなるブラシではその先端側は基端側に比べて対象物への接触面積は大きくなる。同様に、一束の第一除去ブラシ124でみた場合に、先端側では植設部分に比べて対象物への接触面積が大きくなる。しかも植設体126の前面130を前方へ向けて凸となる円弧状の曲面となるよう形成して、対象物である仕切板30およびカバー体31Aの板面に対して傾斜して接触するように設けていることで、さらに接触面積が大きくなるよう構成されている。
【0069】
前記渡壁体110は後ピン部材116を中心として開閉自在に構成されており、前ピン部材118をフック120に係止するとバネ体121の押え部123の先端が植設体126の上面に当接して、バネ体121の弾性によって植設体126が天壁104の前部から浮かないように押えられる。
【0070】
植設体126を吸引ダクト96の天壁104から取外すには、渡壁体110を下方に押圧してバネ体121をさらに撓ませることで前ピン部材118とフック120との係合を解除し、後ピン部材116を長孔117に沿うようにして渡壁体110を前進させて前ピン部材118をフック120の下方から前方へ移動させることで係合を解除して、渡壁体110を後ピン部材116回りに開くようにする。
このようにすることで収納空間112がその上方に開放されるから、植設体126を突起128から外すようにして、ブラシ部101を吸引ダクト96から離脱することができる。
【0071】
吸引ダクト96の底壁102の後部には、排出孔131が形成されており、この排出孔131に前記吸込ホース100の先端口が接続されており、この吸込ホース100によって、ダクト吸引口107から吸引ダクト96内部、排出孔131へ至った散薬5を所定の場所へ向けて吸引するよう構成されている。排出孔131はダクト吸引口107に連通するよう吸引ダクト96の内部に開放されている。
【0072】
第一清掃部7として、阻止板66の平板部23の上下方向途中部分に吹付孔132が形成されており、平板部23の裏側で吹付孔132に吹付ノズル98の先端部が接続されている。吹付ノズル98の先端部からは、吹付孔132を通してやや上方に向けて清掃用空気134が吐出されるよう構成されている。すなわち清掃用空気134の吐出部は、吹付ノズル98および阻止板66の吹付孔132から構成されてなり、清掃用空気134の吸込部は吸引ダクト96および吸込ホース100から構成されてなる。
【0073】
図9および図10は、それぞれ第一清掃部切替機構13の正面拡大図である。ここで、第一清掃部7の姿勢を清掃姿勢Cと非清掃姿勢Eとの間で切替えるための第一清掃部切替機構13について説明する。
第一清掃部切替機構13は、図2、図9、図10等に示すように、径方向内外で一対の前リンク部材135および後リンク部材136と、前記昇降用カム87とを有したリンク機構(平行リンク機構が用いられている)から構成されている。また、第一清掃部切替機構13は、切出部切替機構12の動作と連動して動作する連動部として構成され、吸引ダクト96を切出部6に対して回転テーブル3の上方でその内外径方向に沿うように移動させる構成を有する。
【0074】
前リンク部材135は、略三角形の平板状に形成されており、一個の頂点部に設けられた前回動中心軸137回りに回動自在に設けられ、後リンク部材136は、杆状に形成されており、その下端部に設けられた後回動中心軸138回りに回動自在に設けられ、前回動中心軸137および後回動中心軸138は、吸引ダクト96(延長ブラケット106)以外の所定の場所でその場回転するよう設けられている。
【0075】
前リンク部材135の一個の頂点部(上側の頂点部)は、回動ピン部材150を介して吸引ダクト96の底壁102から下方に延長された延長ブラケット106の板面に回動自在に設けられている。前リンク部材135の一個の頂点部(昇降用カム87側の頂点部)には、前記ダクト用カムローラ92がその回転中心である横軸92a回りに回転自在に設けられている。この横軸92aは、前回動中心軸137に対して後回動中心軸138側に位置ずれして配置されており、回動ピン部材150、前回動中心軸137および横軸92aを連結して形成される仮想の連結領域は三角形になっている。
前リンク部材135は、昇降用カム87が昇降用横軸86回りに回転してカムピン97とダクト用カムローラ92とがその外周面どうしで接触することで、前回動中心軸137回りに揺動する。なお、昇降用カム87は、前回動中心軸137と後回動中心軸138との間でその下方に配置されている。
【0076】
このように、昇降用カム87を、吸引ダクト96の姿勢を変更する手段として兼用し、この昇降用カム87を伝達アーム部材70の下方であってその長手方向途中に相当する領域に配置し、昇降用カム87の回転によってリンク機構を動作させるように構成したことにより、切出部6および吸引ダクト97の姿勢を変更させる機構部分が従来に比べてコンパクト化された構成となっている。
【0077】
後リンク部材136の他端側は、回動ピン部材151を介して延長ブラケット106の後面に回動自在に設けられている。回動ピン部材150の中心から前回動中心軸137の中心を結ぶ仮想線と、回動ピン部材151の中心から後回動中心軸138の中心を結ぶ仮想線とは平行となるよう、各回動ピン部材150,151、前回動中心軸137、および後回動中心軸138の位置が関係付けられている。
【0078】
吸引ダクト96を非清掃姿勢Eに付勢するためのバネ体39(引張りバネ)が設けられている。バネ体39の一端である先端39a側は前リンク部材135の板面に係止され、バネ体39の他端である後端39b側は適宜の場所に固定されており、不動の後端側を中心として伸縮可能であり、吸引ダクト96を非清掃姿勢Eに付勢している。なお、バネ体39は後端側が先端側に比べてわずかに下方に位置している。
【0079】
図11は第二清掃部8の平面断面図である。ここで、第二清掃部8を説明する。第二清掃部8は、図2および図11等に示すように、切出部6によって切出された後に環状凹溝4に残った散薬5を除去するための除去手段であり、ブラシ体153および回転払拭体154とから構成されている。ブラシ体153および回転払拭体154は、それぞれ環状凹溝4の上方にある横軸を中心としてこの横軸回りに回転自在に設けられている。
【0080】
回転払拭体154は、回転中心側の回転中心板155と、回転中心板155の外周部に固着された拭い体156とから構成され、拭い体156として、例えばフエルトが好適に用いられる。回転中心板155は、薄肉の円板状に形成されてその中心に横軸としての回転中心軸157が貫通固定されている。回転中心軸157は、回転駆動モータ158のモータ軸として構成されている。
【0081】
ブラシ体153は、回転中心側の回転中心体160と、回転中心体160を中心としてその外周面に放射状に植設された複数束の第二除去ブラシ161とから構成されている。回転中心体160は、正面視して多角形(図では正八角形)に形成されて回転中心軸157を高さ方向とする角柱形状(所定の厚みを有した板状)に形成されている。
ブラシ体153は回転払拭体154の、回転テーブル3の回転方向上流側に隣接するよう回転中心軸157に取付けられている。
【0082】
各第二除去ブラシ161は複数本の刷毛の束から構成され、複数の第二除去ブラシ161を第二ブラシ群163として、回転中心体160の各頂角辺162間に、複数列(図では三列)の第二除去ブラシ161が回転中心体160の径方向に突出するよう配置されている。各頂角辺162間における各第二ブラシ群163において、その第二除去ブラシ161は頂角辺162に対して傾斜するよう配置されている。
【0083】
すなわち、各第二ブラシ群163における第二除去ブラシ161どうしは、環状凹溝4(回転テーブル3)の周方向に倣う方向で、その回転方向にほぼ沿うように配置されている。このように配置することで、第二除去ブラシ161どうしを、回転中心体160の厚み方向でみた場合、あるいは前後方向からみた場合に、隣合う第二除去ブラシ161どうしに重なりをもたせることができる。そうすると、各第二除去ブラシ161の刷毛の本数を多くして且つ隣合う第二除去ブラシ161どうしが接触することがない。つまり、複数本の刷毛を円形上の束にするようなブラシを、間隔を置いて用いる第二除去ブラシ161の構成であっても、第二除去ブラシ161どうしを密に配置することが可能であり、清掃対象物に対する清掃能力を向上させることができる。
【0084】
図では、頂角辺162間の各外周面に、その幅方向に三列の第二除去ブラシ161を配置したのみの構成を示しているが、前側および後側の第二除去ブラシ161に、これらと周方向に隣合う第二除去ブラシ161を一束ずつ配置して、合計五束の第二除去ブラシ161を頂角辺162間の各外周面に設けることも可能である。この場合も、第二除去ブラシ161どうしを、回転中心体160の厚み方向でみた場合、あるいは前後方向からみた場合に重なりをもたせることができ、清掃対象物に対する清掃能力を向上させることができる。
なお、各第二除去ブラシ161における回転中心体160の外周面からの刷毛の突出量は、実質的に同一である。
【0085】
回転払拭体154およびブラシ体153は、回転中心軸157上で回転テーブル3の周方向にほぼ沿う方向(前後方向)に隣接するよう設けられて、回転中心軸157の、ブラシ体153の回転中心体160から突出した部分にエンドキャップ64が着脱自在に取付けられて、このエンドキャップ64により回転払拭体154およびブラシ体153が回転中心軸157から離脱するのを防止されている。
【0086】
回転払拭体154およびブラシ体153から構成される第二清掃部8は、回転板22の溝部24に相当する領域を開放した被覆体164によって覆われている。被覆体164は、背板165と前カバー166とから構成されており、背板165はブラシ体153に比べて大径の円板部167と円板部167の下部で回転板22の径方向外方側に向けて突出した突出板部168とを一体に形成されてなる。
突出板部168の背面にはさらに後方へ突出する継手管部170(導入路)が延長して形成されており、継手管部170には散薬5の導入管171が接続されている。継手管部170の入口が吸引口172として開放されている。
【0087】
吸引口172から継手管部170へ導入される継手管部170の内周面のうち、第二清掃部8(除去手段)側の領域は、前下方およびブラシ体153側へ向けて拡径するよう傾斜面173とされている。特に、傾斜面173のうちの下部面174は下方に延長されて、清掃姿勢Dにおいて回転板22の環状凹溝4の溝底面10をその曲率のまま延長した仮想延長線10b上付近で収束するよう形成されている。
【0088】
このように吸引口172は、背板165の突出板部168に形成されることにより除去手段の径方向外方にはなく、吸引口172は径方向外方位置で且つ除去手段の後方に配置されている。換言すれば、吸引口172は、各頂角辺162間における各第二ブラシ群163において、前後方向同一位置にある第二除去ブラシ161を含んだ平面に対して直交する方向で開放されている。
なお、回転駆動モータ158は背板165の後面に取付けられている。
【0089】
第二清掃部8を清掃姿勢Fとした際に、溝部材25との干渉を回避し得る切欠165aが、背板165の径方向内方側下端部および側板部175に亘って形成されている。切欠165aは、横壁165bとこの横壁165bの径方向外方端から垂下する縦壁165cから形成される。横壁165bの径方向長さは、溝部材25の径方向幅に略等しく形成され、縦壁165cの高さは溝部材25の高さに略等しく形成されている。
縦壁165cの下端から横方向に延びて第二清掃部8を清掃姿勢Fとした際に、回転板22の平面部23の上面に接触する延長壁165dが形成されている。
【0090】
被覆体164の前カバー166は、回転払拭体154およびブラシ体153の厚みを包含する深さを有して除去手段をその径方向外方で覆う側板部175と、除去手段をその前側で覆う前板176とから一体に形成されている。前板176は正面視して背板165と相対形状に形成されている。
背板165と前板176とは、クリップ177によってそれぞれの径方向外方部で前後方向に合わせるようにして固定される。クリップ177は背板165側の基端部が、背板165の外周部に形成した軸体21に係止されており、先端側のフック部119を前カバー166の前板176の外周部に前方に突出するよう形成した係止片178に弾性的に係止することで、背板165と前カバー166とを固定するように構成されている。
【0091】
除去手段、すなわち回転払拭体154およびブラシ体153は、その外周部が溝底面10に接触可能な清掃姿勢Dと、溝底面10から離間した非清掃姿勢Fとに切替自在であり、前記第二清掃部切替機構14によって姿勢が切替えられる。
【0092】
図2、図9、図10等に示すように、第二清掃部切替機構14として、背板165の後面に取付ビス180によって固定された板状のアーム部材181が設けられている。アーム部材181はその先端部181aが背板165の後面に固定されている。基台18に、アーム部材181の基部181bを取付け支持するための支持板部材182が立設するよう形成されており、この支持板部材182の上部に、アーム部材181の回動中心となる支軸部材183が横軸として設けられている。アーム部材181は支軸部材183回りに回動自在に設けられている。
【0093】
第二清掃部切替機構14として、前記昇降用カム87と、その外周面が摺接することで回転するカムローラ95とを有している。カムローラ95は、昇降用カム87の大曲率部90および小曲率部91にのみ接触可能であり、昇降用カム87の平面部88には接触不可能となるように昇降用カム87とカムローラ95との位置が関係付けられている。すなわち、昇降用カム87の平面部88がカムローラ95に対向した際に除去手段は清掃姿勢Dとなっており、昇降用カム87の大曲率部90あるいは小曲率部91がカムローラ95に接触した際に、除去手段は非清掃姿勢Fとなる。
【0094】
次に、上記構成の分包装置1の動作を説明する。この分包装置1の動作は、〔切出部6による散薬5の切出し動作〕、〔第一清掃部7による切出部6の清掃動作〕、〔第二清掃部8による溝底面10の清掃動作〕に分けられる。
【0095】
〔切出部6による散薬5の切出し動作〕について
駆動装置を駆動して、回転テーブル3および回転板22を縦軸2回りに回転(図1において時計方向)させつつ、不図示のフィーダ等の供給手段によって散薬5を回転板22の環状凹溝4に振撒くようにして供給し、回転板22の回転を停止する。
この段階では、図2に示すように、切出部6は離間姿勢Bとなっている。また、第一清掃部7は非清掃姿勢Eとなっており、第二清掃部8は非清掃姿勢Fとなっている。特に、切出部6の離間姿勢Bは、図7(a)に示すように、昇降用カム87の大曲率部90または小曲率部91がカムローラ94の外周面に当接していることで、伝達アーム部材70が支軸部材183回りに上方に回動してその姿勢が保持されている。
【0096】
そして、散薬5の供給を終え、回転板22の回転を停止した後には、図12に示すように、切出部6を切出姿勢Aとする。切出部6を切出姿勢Aとするには、切出部切替機構12を駆動することで行う。すなわち図7に示すように、昇降用モータ85を駆動することで、昇降用カム87を昇降用横軸86回りに回転させてその平面部88をカムローラ94に下方で対向させて、昇降用カム87をカムローラ94に非接触とすることで可能となる。このようにして切出部6を切出姿勢Aとした後、切出部6を横軸である回転伝達軸60回りに回転させることで、周方向所定領域にある散薬5を回転テーブル3の径方向外方に切出してホッパー44に投入して不図示の分包部で分包する。切出部6を切出姿勢Aとした際には、回転伝達軸60の中心は、環状凹溝4の溝底面10の曲率中心よりもやや下方に位置するよう設定されている。
【0097】
切出部6を回転伝達軸60回りに回転させるには、上述したように、回転駆動用モータ77を駆動すると、ウオームギヤ80およびモータ軸78が回転してその回転が回転用ギヤ82に伝達され、回転用ギヤ82とともに回転中心軸81が軸心回りに回転し、駆動プーリー83が回転し、その回転力が伝達ベルト76を介して従動プーリー72に伝達され、従動プーリー72とともに回転伝達軸60が回転して、回転伝達軸60に固定されている切出部6が回転伝達軸60の軸心回りに回転する。
続いて駆動装置を間欠的に駆動して回転板22を縦軸2回りに間欠的に回転させつつ、回転板22の回転が停止したタイミングで切出部6を回転伝達軸60回りに回転させて散薬5を回転テーブル3の径方向外方に切出して分包する、という動作を順次繰返して、環状凹溝4にある散薬5を環状凹溝4の周方向全域に亘って切出す。
【0098】
散薬5を回転テーブル3の径方向外方に切出す際には、散薬5は仕切板30とカバー体31Aとで切出し範囲を規制された状態で、切出板31の回転によって切出される。このとき弾性ブレード45の先端部が環状凹溝4の溝底面10に摺動することで、散薬5が掬われるようになる。
また仕切板30の外周面(環状面)である径方向外方端部43が、溝底面10に接触しており、これは回転板22が間欠的に縦軸2回りに回転する際も同様に接触している。したがって溝底面10が縦軸2回りに回転すると、これに接触している仕切板30は、摩擦力によって溝底面10の回転方向に引かれるようになるが、このとき、図5に示すように、仕切板30は、巻込部89が溝底面10に接触した状態で溝底面10が縦軸2回りに回転した際に、巻込部89の弾性変形を促進させる切欠89aが、巻込部89に形成されており、切欠89aは、巻込部89の溝底面10への接触面積を減少させるように形成されているから、巻込部89が溝底面10の回転方向に倣うように撓むから、巻込部89と溝底面10との間で引っ掛かりが発生して仕切板30(巻込部89)が細かく振動してしまう、いわゆるビビリ現象の発生を効果的に抑制することができる。そして、溝底面10の回転が停止すると、巻込部89が弾性復元してその径方向外方端部43が再び溝底面10に密着するようになる。
【0099】
このことは、図6に示した仕切板30を用いたとしても同様であり、その巻込部89に形成された切欠89bにより、溝底面10が縦軸2回りに回転した際に巻込部89が溝底面10の回転方向に倣うように撓むから、巻込部89と溝底面10との間で引っ掛かりが発生して仕切板30(巻込部89)が細かく振動する現象の発生を効果的に抑制することができる。特に、図6に示した仕切板30のように、その巻込部89に形成したスリット状の切欠89bを傾斜させていることにより、切欠89bへの散薬5の噛込みを抑制することができる。
【0100】
また、切出部6が切出動作を行っているとき、第一清掃部7は、切出部31に非接触である非清掃姿勢Eとなっている。第一清掃部7の非清掃姿勢Eは、図10等に示すように、昇降用カム87の大曲率部90または小曲率部91がカムローラ94に接触し、且つカムピン97がダクト用カムローラ92に非接触の状態であることで維持されており、昇降用カム87の大曲率部90または小曲率部91がカムローラ94に接触し、且つカムピン97がダクト用カムローラ92に非接触の状態であれば、切出部6が切出姿勢Aにあるか離間姿勢Bにあるかにかかわりなく、第一清掃部7は切出部6に非接触である非清掃姿勢Eが維持される。第一清掃部7の非清掃姿勢Eにおいて、図10では、阻止板66の平板68から第一清掃部7の吸引ダクト96の先端部までを距離Y1としている。
【0101】
切出部6が切出動作を行っているとき、第二清掃部8は、溝底面10に非接触である非清掃姿勢Fとなっている。この非清掃姿勢Fは、昇降用カム87の大曲率部90または小曲率部91がカムローラ95の外周面に接触することで、アーム部材181すなわち第二清掃部8が支軸部材183回りに上動するよう反時計方向に回動して非清掃姿勢Fを維持している。
【0102】
〔第一清掃部7による切出部6の清掃動作〕について
上記のようにして、環状凹溝4にある散薬5を環状凹溝4の周方向全域に亘って切出した後は、図13に示すように、切出部6を離間姿勢Bとし、第一清掃部7を非清掃姿勢Eから清掃姿勢Cとして切出部6に付着した散薬5の除去・清掃を行う。
上記したように、第一清掃部7(吸引ダクト96)はバネ体39によって常時的に非清掃姿勢Eに付勢されている。第一清掃部7を非清掃姿勢Eから清掃姿勢Cとするには、昇降用モータ85を駆動して、昇降用カム87を昇降用横軸86回りに時計方向に回転させ、図10の状態から図9に示すように、カムピン97をダクト用カムローラ92の外周面に当接させる。そうすると、ダクト用カムローラ92が横軸92a回りに回転するとともにダクト用カムローラ92がカムピン97によって蹴られてカムピン97の移動方向に移動し、前リンク部材135がバネ体39の弾性に抗して前回動中心軸137回りに反時計方向に回動して、前リンク部材135は、ダクト用カムローラ92にカムピン97が当接していない状態(非清掃姿勢Eに相当する)に比べて縦軸に対して大きく傾く。
【0103】
すなわち、回動ピン部材150が前方(径方向外方)に移動し、回動ピン部材150の移動に伴って回動ピン部材151が前方に移動するのに伴い、後リンク部材136が後回動中心軸138回りに反時計方向に回動することになり、回動ピン部材150,151に延長ブラケット106を介して取付けられている吸引ダクト96が、水平状態を維持したまま前方に移動して、第一清掃部7が非清掃姿勢Eから、第一清掃部7の第一除去ブラシ124が切出部6に接触可能な清掃姿勢Cとなる。
【0104】
この時、既に切出部6は支軸部材183を中心として上方(反時計方向)に回動して離間姿勢Bとなっており、第一清掃部7側に近付いており、第一清掃部7は前方に移動するから第一清掃部7の第一除去ブラシ124が切出部6の仕切板30、切出板31、およびカバー体31Aの板面にそれぞれ接触可能となる。図9では、このときの阻止板66の平板68から第一清掃部7の吸引ダクト96の先端部までを距離Y2として表しており、Y2>Y1となる。
なお、吸引ダクト96の姿勢変更の動作のための機構として平行リンク機構を用いたことで、吸引ダクト96が姿勢を変更する際の上下方向の移動量を最小限に抑えることができる。
【0105】
本発明の実施形態では、切出部6を離間姿勢Bとした際には、図14に示すように、切出板31の先端板部48の先端部がダクト吸引口107にあるよう切出板31を回転伝達軸60回りに回動するよう制御される。この状態で、切出板31の取付支持体54側は、前方(径方向外方)へ向けて下傾斜するよう配置される。また、切出板31をこのような位置まで回転伝達軸60回りに回動させることにより、切出板31は傾斜板79とほぼ等しい傾斜角度となる。さらに、切出板31は阻止板66の前側に対向した位置に配置される。このように、切出板31の先端板部48の先端部がダクト吸引口107にあるよう切出板31が回転伝達軸60回りに回動したその切出板31の位置が所定位置に相当する。
【0106】
したがって、仕切板30、切出板31、カバー体31A、阻止板66および吸引ダクト96の底壁102が壁となって、これらの壁によって囲まれてダクト吸引口107に連通する空間Zが形成されることになる。このような空間Zを形成したうえで、吹付ノズル98から清掃用空気134を、吹付孔132から斜め上方に向けて切出板31、特にその先端板部48の板面に対して吹付ける。同時に、吸込ホース100(排出孔131)から吸引ダクト96内の空気を吸引する。
【0107】
このように吹付ノズル98から清掃用空気134を噴出させることで切出し動作によって切出板31、特にその先端板部48の板面に付着した散薬5が除去され、また、仕切板30と切出板31との取付け隅部、切出板31とカバー体31Aとの取付け隅部にある散薬5の残薬が除去され、吸込ホース100から吸引ダクト96内の空気を吸引することで、空間Z内の散薬5を含んだ空気は負圧となって吸引ダクト96内に移動して吸込ホース100によって所定の場所に向けて吸引される。
【0108】
このように、仕切板30、切出板31、カバー体31A、阻止板66および吸引ダクト96の底壁102によって囲まれる空間Zを形成し、仕切板30およびカバー体31Aを縦壁として、切出板31に清掃用空気134を斜め下方から吹付けて切出部6、特に切出板31や仕切板30と切出板31との取付け隅部、切出板31とカバー体31Aとの取付け隅部にある散薬5の残薬を空間Z内に除去し、空間Z内の散薬5を含んだ散薬除去後空気134Aをダクト吸引口107から吸引ダクト97内に導入し、吸引ダクト107の底壁102に接続した吸込ホース100によって吸込むようにしている。したがって、空間Zという限られた範囲内で散薬除去後空気134Aの流れを発生させて外部にその空気を流れにくくし、その状態でダクト吸引口107から、切出部6に付着した散薬5を確実に処理することができる。
【0109】
ところで、切出し動作が終了した後には、切出部6のうち仕切板30およびカバー体31Aの板面にも散薬5が付着していることが考えられる。この散薬5は、清掃用空気134の噴出により除去されるものもあるが、清掃用空気134は切出板31に対して吹付けるよう構成しているから、清掃用空気134によっては除去されにくい。そこで仕切板30およびカバー体31Aの板面に付着した散薬5は、主として第一除去ブラシ124によって除去するよう構成している。
【0110】
第一除去ブラシ124において、周方向下流側の二束の第一除去ブラシ124bは仕切板30側にあって仕切板30の板面に対して、下流側に傾斜するよう配置されているから、第一除去ブラシ124bの刷毛は、仕切板30の板面に対して傾斜して当接する。また、周方向下流側の二束の第一除去ブラシ124cはカバー体31A側にあってカバー体31Aの板面に対して、上流側に傾斜するよう配置されているから、第一除去ブラシ124cはカバー体31Aの板面に対して傾斜して当接する。
【0111】
したがって、仕切板30およびカバー体31Aを回転伝達軸60回りに回転させる(反時計方向)ことで、第一除去ブラシ124bおよび第一除去ブラシ124cは傾斜している分だけ、仕切板30およびカバー体31Aのそれぞれの板面に、強く且つ確実に接触することになるから、仕切板30およびカバー体31Aのそれぞれの板面に付着した散薬5を確実に除去することができる。
【0112】
そして、第一除去ブラシ124の下方はダクト吸引口107であるから、仕切板30およびカバー体31Aを回転伝達軸60回りに回転させつつ吸込ホース100によって吸引ダクト96内の空気を吸引することで、第一除去ブラシ124bおよび第一除去ブラシ124cによって除去された散薬5も所定の場所に向けて吸引される。なお、周方向中心に配置した第一除去ブラシ124aは仕切板30およびカバー体31Aの板面に平行に配置されていて切出板31に接触するから、切出板31に付着した散薬5はいっそう確実に除去されて、吸込ホース100によって吸引される。
【0113】
さらに、このような切出部6に付着した散薬5の清掃時において、清掃用空気134を噴出させた際には阻止板66があるから、散薬5を含んだ散薬除去後空気134Aは種々の機械装置を配置している場所である、回転板22の径方向内方には至りにくいから、該機械装置に散薬5が付着するのを抑制することができる。
【0114】
昇降用カム87を昇降用横軸86回りに時計方向に回転させて、ダクト用カムローラ92からカムピン97を離脱させると、ダクト用カムローラ92を操作するものがなくなるから、吸引ダクト96はバネ体39の弾性によって引かれて、第一清掃部7は再び清掃姿勢Cから非清掃姿勢Eに復帰する。
【0115】
上記のように、切出部6側にカムローラ94を設け、第一清掃部7側に、板状のリンク部材によって構成したリンク機構を設けて、これにダクト用カムローラ92を設け、カムローラ94およびダクト用カムローラ92に接触可能な昇降用カム87あるいはカムピン97を昇降用カム87に設けて、昇降用カム87の回転により切出部6および第一清掃部7の姿勢を連動させて切替えるようにしている。
すなわち、異なる機能を有する切出部6、および第一清掃部7を昇降用カム87という共通の部材で姿勢変更するよう構成しているから、切出部6および第一清掃部7の作動のための機構を別機構とする場合に比べてコンパクト化することができる。
【0116】
〔第二清掃部8による溝底面10の清掃動作〕
第一清掃部7によって切出部6に付着した散薬5を除去する一方で、切出し動作が終了してなお溝底面10に付着している散薬5を第二清掃部8によって除去する。切出部6が切出動作を行っている間は、第二清掃部8は溝底面10に非接触である非清掃姿勢Fとなっているから、これを清掃姿勢Dとして、第二清掃部8を溝底面10に接触させる。
【0117】
第二清掃部8を清掃姿勢Dとするためには、昇降用モータ85を駆動して、昇降用カム87を例えば昇降用横軸86回りに時計方向に回転させて、図9、図13、図14に示すように、昇降用カム87の平面部88をカムローラ95に対向させることで昇降用カム87とカムローラ95を非接触とし、第二清掃部8を支軸部材183回りに自重で時計方向に回動させる。このようにすることで、第二清掃部8が清掃姿勢Dとなる。
【0118】
ここで、回転駆動モータ158を駆動して、回転中心軸157をその軸心回りに反時計方向に回転させると、回転中心板155および回転中心体160が回転中心軸157回りに回転するから、溝底面10に接触しているブラシ体153によって、溝底面10上の散薬5が回転板22の径方向外方に掃き出され、溝底面10に接触している拭い体156によって拭われる。第二清掃部8による散薬5の除去時には、回転板22は、散薬5の溝部24への供給時とは反対方向(図11において矢印で示す反時計方向)に、縦軸2回りに回転させる。
この方向に回転板22を回転させることにより、溝底面10上に残っている散薬5は、先にブラシ体153によって除去され、それでも残った散薬5は拭い体156によって確実に拭われるようにして除去される。
【0119】
回転払拭体154は、ブラシ体153とは別体としてブラシ体153に対して回転中心軸157の軸方向一方側に隣接するよう設けて、回転払拭体154およびブラシ体153で一組の清掃部分構造としている。
しかしながら、背板165側から回転払拭体、ブラシ体、回転払拭体、ブラシ体の順で回転払拭体およびブラシ体の組合わせを複数組とすることも可能である。あるいは、ブラシ体153の前後方向(回転中心体160の幅方向)中心部に回転払拭体154と同径となる布体を設けことも可能である。
このような構成では、回転払拭体154およびブラシ体153で一組の清掃部分構造を構成する場合に比べて複雑な構成とはなるが、一組の清掃部分構造に比べて清掃能力は向上する。
【0120】
また、第二除去ブラシ161を回転させて溝底面10から除去するのと同時に、不図示の吸引ポンプを駆動することで、吸引口172から散薬5を含んだ散薬除去後空気134Bを、導入管171に吸引する。このとき、傾斜面173のうちの下部面174は下方に延長されて、第二清掃部8の清掃姿勢Dにおいて回転板22の環状凹溝4の溝底面10をその曲率のまま延長した仮想延長線10b上付近で収束するよう形成されているから、除去後の散薬5は掬われるようにして散薬除去後空気134Bとともに吸引口172側へ導かれ、しかも吸引口172から継手管部170へ導入される継手管部170の内周面のうち、第二清掃部8側の領域は、前下方およびブラシ体153側へ向けて拡径するよう傾斜面173とされている。したがって、散薬除去後空気134Bは、傾斜面173に沿うようにして円滑に吸引口172から吸引される。
【0121】
さらに、吸引口172は、第二除去ブラシ161の突出方向延長にはなく、第二除去ブラシ161の径方向外方で、且つ背板165に開放されている。すなわち、吸引口172は、各頂角辺162間における各第二ブラシ群163において、前後方向同一位置にある第二除去ブラシ161を含んだ平面に対して直交する方向で開放されている。吸引口172を第二除去ブラシ161の突出方向延長に配置し、吸引口172を前後方向同一位置にある第二除去ブラシ161を含んだ平面上に配置した場合では、吸引口172から第二除去ブラシ161の放射長さ方向の所定位置から吸込口172までの距離は大きく変るが、吸引口172を被覆体164の背板165の突出板部168に形成することにより、第二除去ブラシ161の側方から第二除去ブラシ161に吸引力が働き、吸引口172から第二除去ブラシ161の放射長さ方向の所定位置から吸込口172までの距離の変化が抑えられることになり、したがって、吸引口172からの吸引力が第二除去ブラシ161の放射長さ方向に亘って均一になるから、仮に第二除去ブラシ161に散薬5が付着していてもその散薬5を、第二除去ブラシ161の放射長さ方向に亘って吸引し易くなる。
【0122】
また、ブラシ体153と回転払拭体154とは別体ものエンドキャップ64によって一体ものとしているから、エンドキャップ64を取外すことにより、それぞれ別体に扱うことができるようになるから、ブラシ体153と回転払拭体154との寿命が異なっていた場合でもそれぞれ別個に交換をすることができる。
【0123】
第二清掃部8を清掃姿勢Dとすると、ブラシ体153および回転払拭体154が被覆体164および回転板22で覆われて、被覆体164および回転板22によってほぼ閉ざされた空間領域が形成され、溝部材25の上開放部が被覆体164および回転板22で覆われる。したがって、ブラシ体153を回転させることで、除去された散薬5は外部への漏れを抑制され、閉ざされた空間領域内で処理されることになる。
【0124】
縦軸2回りに回転板22を回転させると、回転板22の平板部23上面に固定されている溝部材25も縦軸2回りに回転する。そして、回転板22の縦軸2回りの駆動に同期させて、すなわち第二清掃部8の清掃動作に同期させて吸引ノズル49によって、吸引ノズル49を移動させることなく、溝部材25内に留まった散薬5を吸引することで排出することができる。
【0125】
以上のように、本発明の実施形態によれば、第一清掃部7、第二清掃部8によって残留している散薬5を確実に除去することができるから、一台の分包装置1において異なる種類の散薬5を扱う場合であっても、コンタミネーションを抑制することができる。
【符号の説明】
【0126】
1…分包装置、2…縦軸、3…回転テーブル、4…環状凹溝、5…散薬、6…切出部、7…第一清掃部、8…第二清掃部、10…溝底面、10b…仮想延長線、11…切替装置、12…切出部切替機構、13…第一清掃部切替機構、14…第二清掃部切替機構、15…駆動装置、18…基台、20,21…軸体、22…回転板、23…平板部、24…溝部、25…溝部材、26…溝底板、27…内径側板壁、28…外径側板壁、29…切出板本体、30…仕切板、31…切出板、31A…カバー体、31a…シート部、33…仕切板本体、35…回転体、44…ホッパー、45…弾性ブレード、48…先端板部、50…基端板部、52…抜止突部、53…被覆部、54…取付支持体、54b…上流側壁、56…支持凹部、57…抜止凹部、59…肉盛部、60…回転伝達軸、65…支持板、66…阻止板、67…取付ブラケット、68…平板、69…駆動伝達機構、70…伝達アーム部材、71…支軸、72…従動プーリー、75…回転駆動部、76…伝達ベルト、77…回転駆動用モータ、78…モータ軸、79…傾斜板、80…ウオームギヤ、81…回転中心軸、82…回転用ギヤ、83…駆動プーリー、85…昇降用モータ、86…昇降用横軸、87…昇降用カム、88…平面部、89…巻込部、89a…切欠、89b…切欠、90…大曲率部、91…小曲率部、92…ダクト用カムローラ、92a…横軸、94…カムローラ、95…カムローラ、96…吸引ダクト、97…カムピン、98…吹付ノズル、99…外方側傾斜面、100…吸込ホース、101…ブラシ部、102…底壁、103…側壁、104…天壁、105…後壁、106…延長ブラケット、107…ダクト吸引口、108…側覆壁、110…渡壁体、112…収納空間、113…渡壁、114…垂下壁、116…後ピン部材、117…長孔、118…前ピン部材、119…フック部、120…フック、121…バネ体、122…板状基部、123…押え部、124…第一除去ブラシ、124a…第一除去ブラシ、124b…第一除去ブラシ、124c…第一除去ブラシ、125…第一ブラシ群、126…植設体、127…支持孔、128…突起、130…前面、131…排出孔、132…吹付孔、134…清掃用空気、135…前リンク部材、136…後リンク部材、137…前回動中心軸、138…後回動中心軸、150…回動ピン部材、151…回動ピン部材、153…ブラシ体、154…回転払拭体、155…回転中心板、156…拭い体、157…回転中心軸、158…回転駆動モータ、160…回転中心体、161…第二除去ブラシ、162…頂角辺、163…第二ブラシ群、164…被覆体、165…背板、166…前カバー、167…円板部、168…突出板部、170…継手管部、171…導入管、172…吸引口、173…傾斜面、174…下部面、175…側板部、176…前板、181…アーム部材、182…支持板部材、183…支軸部材、A…切出姿勢、B…離間姿勢、C…清掃姿勢、D…清掃姿勢、E…非清掃姿勢、F…非清掃姿勢

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転テーブル上の環状凹溝に供給された粉粒体を所定領域分ずつ回転テーブルの径方向に向けて切出す切出部を備え、該切出部は環状凹溝の溝底面に接触させて粉粒体を堰止める堰止板を有し、
堰止板は円板状に形成されており、堰止板の外周部に環状凹溝の溝底面に接触可能な環状の堰止部を有し、該堰止部には、溝底面に接触した状態で溝底面が回転した際に、該堰止板の弾性変形を促進させる切欠が形成されていることを特徴とする分包装置。
【請求項2】
切欠は、堰止部の溝底面への接触面積を減少させるように形成されていることを特徴とする請求項1記載の分包装置。
【請求項3】
堰止部の側面から堰止部の溝底面への接触面に亘るように形成された切欠が、堰止部の周方向に間隔をおいて形成されていることを特徴とする請求項2記載の分包装置。
【請求項4】
堰止部の溝底面への接触面に、堰止部の回転中心側へ窪むスリット状の切欠が、堰止部の周方向に間隔をおいて形成されていることを特徴とする請求項2記載の分包装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2012−166854(P2012−166854A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−111384(P2012−111384)
【出願日】平成24年5月15日(2012.5.15)
【分割の表示】特願2007−236745(P2007−236745)の分割
【原出願日】平成19年9月12日(2007.9.12)
【出願人】(593129342)高園産業株式会社 (232)
【Fターム(参考)】