説明

分散モニタシステム及び方法並びに分散補償システム及び方法

【課題】光波長多重伝送システムにおいて、簡易な方法で光ファイバ伝送路の各スパンの波長分散の測定を自動かつインサービスで行うことを可能とし、分散モニタシステムを用いた分散補償を実現する。
【解決手段】本発明は、送信ノードまたは中継ノードの送信側において、波長多重信号に一括でトーン変調を重畳し、中継ノードの受信側または受信ノードにおいて、トーン変調重畳手段でトーン変調が重畳された波長多重信号を分波して、各波長チャネルのトーン信号の遅延差から該各波長チャネルの分散値を測定する。
また、測定した分散値に基づいて、該分散値を補償するように可変分散補償器を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散モニタシステム及び方法並びに分散補償システム及び方法に係り、特に、光通信システムの端ノード、または線形中継ノードもしくは再生中継ノード、または光分岐挿入位置などの光通信ノードにおいて、光ファイバ伝送路の波長分散を測定する分散モニタシステム及び方法並びに分散補償システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光通信システムにおいて、光ファイバ伝送路が持つ波長分散特性は、光信号劣化を発生させ、長距離・大容量通信を実現する上で阻害要因となる。そのため、光ファイバ伝送路の波長分散を補償することにより光通信システムの長距離・大容量化を図る必要があり、従来は、補償すべき光ファイバ伝送路の波長分散の値を光波長多重伝送システムの設備構築前の時点で測定器を用いて測定を行っていた。しかし、これでは、人為的な測定作業が必要となり、また、温度変動等の環境変化に基づく波長分散の変動を測定できないため、インサービスでの自動分散モニタが望まれていた。
【0003】
そこで、最近では、測定器を用いずに、光波長多重伝送システム自体を用いて自動で分散モニタし、分散補償を行う方法も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−333312号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
最近では、上記従来技術のように、測定器を用いずに、光波長多重伝送システム自体を用いて波長分散をモニタし、自動分散補償を行う方法も提案されてきてはいるが、送信器にトーン変調を重畳させるため、分散測定の対象は、送信器から受信器までのシステム全体となってしまい、多数のノード間を光信号のまま繋ぐ場合は、光ファイバ伝送路の各スパンの分散は測定できない。
【0005】
さらに、各チャネルの送信器それぞれにトーン変調を重畳する必要があったり、分散モニタ用の波長チャネルを用意する必要があるという課題があった。
【0006】
最近の光波長多重伝送システムでは、各ノードで電気終端を行わず光のままトランスペアレントに多数ノードを伝送する方法が一般的となってきており、そこでは各スパン毎に測定器を用いて事前に分散測定を行い、分散補償を行っているので、各スパン毎の自動分散モニタ方法が望まれている。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、光波長多重伝送システムにおいて、簡易な方法で光ファイバ伝送路の各スパンの波長分散の測定を自動かつインサービスで行うことが可能な分散モニタシステム及び分散モニタ方法、並びに、その分散モニタシステム及び方法を用いた分散補償システム及び分散補償方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
図1は、本発明の原理構成図である。
【0009】
本発明(請求項1)は、送信ノード、中継ノード、受信ノードからなる光波長多重伝送システムにおける分散モニタシステムであって、
送信ノード100または中継ノードの送信側は、
波長多重信号に一括でトーン変調を重畳するトーン変調重畳手段110を有し、
中継ノードの受信側または受信ノード3は、
トーン変調重畳手段110でトーン変調が重畳された波長多重信号を分波して、各波長チャネルのトーン信号の遅延差から該各波長チャネルの分散値を測定する分散値測定手段201を有する。
【0010】
また、本発明(請求項2)は、トーン変調重畳手段110において、
波長多重信号へのトーン変調の一括重畳を、光アンプの利得制御により行う。
【0011】
また、本発明(請求項3)は、トーン変調重畳手段110において、
波長多重信号へのトーン変調の一括重畳を、可変減衰器を用いて行う。
【0012】
また、本発明(請求項4)は、トーン変調重畳手段110において、波長多重信号へのトーン変調の一括重畳を、強度変調器を用いて行う。
【0013】
また、本発明(請求項5)は、分散値測定手段201において、
トーン変調が重畳された信号の分波とトーン信号の受信を、分波器及び光電気変換回路を用いて行う。
【0014】
また、本発明(請求項6)は、受信ノード200において、
分散値測定手段で分散測定後のトーン変調の強度振幅レベルを調整する振幅レベル調整手段を更に有する。
【0015】
また、本発明(請求項7)は、振幅レベル調整手段において、
受信ノード内の光スイッチ部の可変減衰器を用いて、トーン変調の強度振幅レベル調整を行う。
【0016】
本発明(請求項8)は、送信ノード、中継ノード、受信ノードからなる光波長多重伝送システムにおける分散補償システムであって、
送信ノードは、
波長多重信号に一括でトーン変調を重畳して送信するトーン変調重畳手段を有し、
受信ノードは、
送信ノードから波長多重信号を受信して分波した各波長チャネルのトーン信号の遅延差から各波長チャネルの分散値を測定する分散値測定手段と、
分散値測定手段で測定した分散値に基づいて、該分散値を補償するように可変分散補償器を制御する制御手段と、を有する。
【0017】
図2は、本発明の原理を説明するための図である。
【0018】
本発明(請求項9)は、送信ノード、中継ノード、受信ノードからなる光波長多重伝送システムにおける分散モニタ方法であって、
送信ノードまたは中継ノードの送信側において、波長多重信号に一括でトーン変調を重畳するトーン変調重畳ステップ(ステップ1)を行い、
中継ノードの受信側または受信ノードにおいて、トーン変調重畳手段でトーン変調が重畳された波長多重信号を分波して(ステップ2)、各波長チャネルのトーン信号の遅延差から該各波長チャネルの分散値を測定する(ステップ3)分散値測定ステップを行う。
【0019】
本発明(請求項10)は、送信ノード、中継ノード、受信ノードからなる光波長多重伝送システムにおける分散補償方法であって、
送信ノードにおいて、
波長多重信号に一括でトーン変調を重畳して送信するトーン変調重畳ステップを行い、
受信ノードにおいて、
送信ノードから波長多重信号を受信して分波した各波長チャネルのトーン信号の遅延差から各波長チャネルの分散値を測定する分散値測定ステップと、
分散値測定ステップで測定した分散値に基づいて、該分散値を補償するように可変分散補償器を制御する制御ステップと、を行う。
【0020】
上記のように本発明では、光波長多重伝送システムの各スパンにおける送信ノードにおいて、光アンプの利得制御や、可変減衰器や変調器などのトーン変調重畳手段によって波長多重信号に一括でトーン変調を重畳し、受信ノードにおいて分波した各波長チャネルのトーン信号の遅延差から各波長チャネルの分散値を測定する。これにより、光ファイハ゛伝送路の各スパンの波長分散測定を測定器を用いずに自動かつインサービスで行うことができるようになる。
【0021】
また、分散モニタにより測定した分散値に基づいて、可変分散補償器を制御することにより、インサービスで自動分散補償ができるようになる。
【発明の効果】
【0022】
上記のように本発明によれば、光波長多重伝送システムのノードにおいて、送信側ノードの出力側の波長多重信号に一括でトーン変調を重畳し、受信側ノードにおいて分波した各波長チャネルのトーン信号の遅延差から各波長チャネルの分散値を測定することにより、測定器を用いずに光ファイバ伝送路の各スパンの波長分散の測定を自動かつインサービスで行う分散モニタ方法が可能となる。
【0023】
更に、この分散モニタ方法により測定した分散値に基づき、可変分散補償器を制御することにより、自動分散補償方法を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面と共に本発明の実施の形態を説明する。
【0025】
以下の説明において、送信側ノードとは、送信ノードまたは中継ノードの送信側を指し、受信側ノードとは、受信ノードまたは中継ノードの受信側を指すものとする。
【0026】
[第1の実施の形態]
図3は、本発明の第1の実施の形態における励起光源の制御信号にトーン変調を重畳する光アンプの構成図である。同図に示す光アンプは、励起光源11、エルビウムドープ光ファイバ(EDF)12、WDM(Wavelength Division Multiplexing)カプラ13、光フィルタ14から構成される。
【0027】
例えば、一般的なエルビウムドープ光ファイバ増幅器(EDFA)を用いた場合を示す。kの場合、利得制御を司る励起光源11のLDへの入力電流を通常の利得に用いる一定振幅に加えて正弦波状に時間的変化をもたせたトーン信号(周波数:f1[Hz])を重畳する。すると、光増幅媒体であるエルビウムドープ光ファイバ12への励起光パワーは励起光源11への入力電流に応じた大きさとなり、更に光アンプの出力側の波長多重信号光は励起光パワーに応じた大きさとなるため、波長多重信号光に一括でトーン変調信号(周波数:f1[Hz])を重畳させることができる。
【0028】
つまり、波長多重信号の各波長チャネルの信号は同時にトーン変調をかけられた状態になる。
【0029】
図4は、本発明の第1の実施の形態における分散モニタシステムの構成を示す。
【0030】
同図に示す光波長多重伝送システムの送信側ノード100の送信光アンプとして上記トーン変調信号を重畳した光アンプ110を用いる。光ファイバ伝送路101を伝送してきた各波長チャネルの信号光を受信側ノード200において光合分波器240を用いて分波し、波長チャンネル毎に光/電気(O/E)変換回路としてのフォトダイオード(PD)230によって信号を受信する。図5に示すように、送信ノード100の光アンプ110によってトーン信号を重畳された波長チャネル毎の信号は、光ファイバ伝送路101の波長分散によって、受信ノード200への到達時間が異なる。遅延比較回路220により、この波長チャネル毎に受信した信号の到達時間差(遅延)を信号の位相差から測定する。得られた遅延差と波長間隔より分散値を求める。
【0031】
次に、上記の一連の動作を説明する。
【0032】
図6は、本発明の第1の実施の形態における分散モニタの動作のフローチャートである。
【0033】
ステップ101) 送信ノード側の光アンプの分散モニタ始点にて、WDM信号光に一括してトーン変調を重畳し、受信ノード(中継ノード)に送信する。
【0034】
ステップ102) 受信ノードの光アンプの分散モニタ終点にて、WDM信号光を光合分波器240で分波する。
【0035】
ステップ103) 遅延比較回路220において、O/E変換回路230により電気信号に変換されたトーン信号を検出する。
【0036】
ステップ)104) 遅延比較回路220において、波長毎のトーン信号の遅延差を検出する。
【0037】
ステップ105) 遅延差と波長間隔より分散値を計算する。
【0038】
次に、分散値の計算方法について説明する。
【0039】
図7に示すように、波長チャネルλn-1、λnにおける相対群遅延がそれぞれτn-1、τnの場合、波長チャネルλn-1、λnにおける分散値の平均値は、
n-1=(τn−τn-1)/(λn−λn-1
と表される。
【0040】
各波長チャネルにおいて同様に、各波長チャネル間の平均分散値D,D,…,Dn−1
が求められ、それを結んだ線を外挿することにより、各波長チャネル(λ1,λ2,…,λn-1,λn)における分散値
【0041】
【数1】

が求められる。
【0042】
また、分散値測定の精度を上げるために、各波長チャネルにおける群遅延からセルマイリャ方程式による近似曲線を算出し、その近似曲線の波長微分から波長分散曲線を導出し、各波長チャネルにおける分散値を得ることもできる。
【0043】
以上の方法により、光波長多重伝送システムの全波長チャネルにおける分散値を測定することができる。
【0044】
また、光ファイバ伝送路101の各スパンで同一のトーン信号周波数(f1)を用いることもできるが、図8に示すように、例えば、リング型ネットワークにおいてスパン毎に異なるトーン信号周波数(f2,…,fn)を用いることにより、他のスパンの周波数と切り分けることができるため、各スパンの測定の正確性を向上させることもできる。
【0045】
本発明の特徴として、波長チャネルの主信号に重畳する形でトーン信号を伝送させるため、主信号を伝送させたままインサービスで分散測定が可能となる。また、光波長多重伝送システム自体を用いているため、測定器を用いた人為的な測定を必要としないメリットを有する。電気終端をしないトランスペアレントネットワークの各方路における各スパンでの分散モニタが可能となるため、様々なトポロジー(Point-to-Point、リニア、リング、メッシュ)のネットワークに適用できる。
【0046】
[第2の実施の形態]
前述の第1の実施の形態に加え、波長多重信号にトーン信号を一括重畳させる方法として、送信側ノードの出力部に可変減衰器を用いる方法も可能である。
【0047】
図9は、本発明の第2の実施の形態における送信ノードの出力部にトーン変調信号を重畳させる可変減衰器を備えた分散モニタシステムの構成を示す。同図の送信ノード100には、光アンプ110の後段に可変減衰器115を設け、受信ノード200の光アンプ210の後段にも可変減衰器215を設けた例である。他の構成は、図4の構成と同様である。
【0048】
同図に示すように、送信側ノード100の出力部に備えた可変減衰器115にトーン信号を制御信号として重畳させる。この方法により、各波長チャネルの主信号に同時に一括でトーン信号が重畳され、分散をモニタすることが可能となる。
【0049】
受信ノード200の可変減衰器215は、次のスパンに対して、制御を与えることによりトーン信号を重畳させる。
【0050】
なお、可変減衰器115は、送信側ノード100の光アンプ110内に設けられていてもよい。その例を図10に示す。
【0051】
図10は、本発明の第2の実施の形態における光アンプの構成を示す。同図に示す光アンプは、励起光源21、EDF22、WDMカプラ23、光フィルタ24、可変減衰器25から構成される。
【0052】
同図に示すように、光アンプ110の内部には、一般的に自動レベル制御(ALC: Automatic Level Control)用の可変減衰器25が用いられる。この可変減衰器25にトーン信号(周波数:f1[Hz])を制御信号として与えることで、送信ノードで各波長チャネルの主信号に同時に一括でトーン信号を重畳させることができる。この方法によっても分散モニタ方法を実現することができる。
【0053】
[第3の実施の形態]
前述の第1の実施の形態に加え、送信側ノードにおいて波長多重信号にトーン信号を一括重畳させる方法として、送信側ノードの出力部に強度変調器を用いる方法もある。
【0054】
図11は、本発明の第3の実施の形態における送信側ノードの出力部にトーン変調信号を重畳させる強度変調器を備えた分散モニタシステムの構成図である。
【0055】
同図の送信ノード300には、光アンプ310の後段に強度変調器320を設け、受信ノード400の光アンプ410の後段にも強度変調器450を設けた例である。他の構成は、図4の構成と同様である。
【0056】
同図に示すように、送信側ノード300の出力部に備えた強度変調器320にトーン信号を制御信号として重畳させる。この方法により、各波長チャネルの主信号に同時に一括でトーン信号が重畳され、分散をモニタすることが可能となる。
【0057】
受信ノード400の強度変調器450は、次のスパンに対して、制御を与えることによりトーン信号を重畳させる。
【0058】
[第4の実施の形態]
本実施の形態では、分散補償システムについて説明する。
【0059】
図12は、本発明の第4の実施の形態における分散補償システムの構成を示す。
【0060】
同図に示すシステムは、送信ノード600の構成は、図4の送信ノード100と同様であり、受信ノード700は、図4の受信ノード200に可変分散補償器(TODC:Tunable Optical Dispersion Compensator)710を具備し、遅延比較制御回路720の出力を当該TODC710にフィードバックする。
【0061】
図13は、本発明の第4の実施の形態における分散補償動作のフローチャートである。図12の受信ノード700において、光ファイバ伝送路101の分散値をモニタし(ステップ201)、その後、分散値情報が誤差信号となるように(分散値情報がキャンセルされるように)、その分散を補償するようにTODC710をフィードバック制御する(ステップ202)。これにより、自動分散補償を実現することができる。
【0062】
本実施の形態によれば、波長チャネル毎の波長分散をモニタすることができるため、TODC710には波長チャネル毎に分散補償量を調整可能なデバイスを用いると波長チャネル毎に精密な分散補償が可能となり有効である。波長チャネル毎に分散補償量が調整可能なデバイスには、例えば、文献『K. Seno, et al., "Channel-by-channel tunable optical dispersion compensator consisting of arrayed-waveguide grating and liquid crystal on silicon," OFC2008, OWP4, San Diego, February 2008.』がある。
【0063】
本実施の形態によれば、温度変動等の環境変化がある場合においても、波長分散の変動をインサービスで自動補償でき、特に、1波長チャネルあたり40Gbit/s以上の超高速波長多重伝送システムの実現に有益である。
【0064】
[第5の実施の形態]
図14は、本発明の第5の実施の形態における分散補償システムの構成を示す。同図に示すシステムの送信ノード800は、図4の送信ノード100と同様である。受信ノード900は、図4の受信ノード200に、TODC910を付加し、光ファイバ伝送路101から受信した光信号が光カプラ901された後TODC910に入力し、TODC910の出力を光合分波器940に出力する。O/E930を介して遅延比較/制御回路920による分散モニタ後に、このTODC910にフィードバック制御することにより、波長多重信号を一括で自動分散補償することができる。
【0065】
[第6の実施の形態]
図15は、本発明の第6の実施の形態における分散補償システムの構成を示す。同図に示すシステムの送信ノード1100は、図4の送信ノード100と同様である。受信ノード1200は、光合分波器120で分波された各波長チャネル毎にTODC1210を設けた構成である。
【0066】
このように、TODCを受信側ノード1200の各波長チャネルへの分波後の部分に備えてもよい。遅延比較/制御回路1220の分散モニタ後に、このTODC1210にフィードバック制御することにより、各波長チャネル個別に自動分散補償することができる。
【0067】
[第7の実施の形態]
ROADM(Reconfigurable Optical Add Drop Multiplexer)システム等のノードにオいて、光分岐(Add)/挿入(Drop)を行うために光スイッチを用いる光波長多重伝送システムがある。
【0068】
図16は、本発明の第7の実施の形態における分散補償システムの構成を示す。
【0069】
同図に示すシステムの送信ノード1300は、図4の送信ノード100と同様である。受信ノード1400は、光アンプ1410、遅延比較/制御回路1420、TODC1430、光スイッチ1440、光アンプ1450から構成される。同図に示すように、一般的に光スイッチ1440は、波長チャネル毎の光パワーを監視するために光スイッチモジュール内にO/E変換回路1441であるフォトダイオードを用いている。この光スイッチ1440内部のPDを用いることにより波長チャネル毎のトーン信号を検出し、波長分散のモニタをすることも可能である。
【0070】
本実施の形態によれば、特別に分散モニタ用のO/E変換回路等を用いることなく、通常使用する光スイッチの光パワーモニタ部分を使用して分散測定が可能となる。さらに、光パワーモニタ後の可変減衰器(VOA)1442の制御周波数がトーン変調周波数より高い場合には、VOA1442によりトーン強度変調を元のトーン変調が重畳していない信号にレベル調整できる。そのため、次のスパンにおいて前スパンの周波数(f1)の影響を防ぐことができる。
【0071】
光スイッチ1440には、熱光学効果を用いたスイッチ(TO−SW:Thermo Optics-Switch)、波長ブロッカ、波長選択スイッチ(WSS:Wavelength Selective Switch)等の各種光スイッチを用いることができる。
【0072】
[第8の実施の形態]
本発明の分散モニタ方法に用いる出力光にトーン強度変調信号を重畳した光アンプとして、ラマン増幅器、光半導体増幅器を用いることもできる。
【0073】
ラマン増幅器、光半導体増幅器においても、EDFAと同様に利得制御を用いているため、その利得制御信号にトーン強度変調信号を重畳することにより、分散モニタが可能となる。
【0074】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲内において種々変更・応用が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、光多重伝送システムの送信ノード、中継ノード(送信側)、及び受信ノード、中継ノード(受信側)に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の原理構成図である。
【図2】本発明の原理を説明するための図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における励起光源の制御信号にトーン変調を重畳する光アンプの構成図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における分散モニタシステムの構成図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態におけるトーン信号を重畳した各波長チャネルの信号の伝播遅延を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態における分散モニタの動作のフローチャートである。
【図7】本発明の第1の実施の形態における相対群遅延から分散計算する概念図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態の方法をリング型ネットワークに適用した例である。
【図9】本発明の第2の実施の形態における送信ノードの出力部にトーン変調信号を重畳させる可変減衰器を備えた分散モニタシステムの構成図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態における光アンプの構成図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態における送信側ノードの出力部にトーン変調を重畳させる強度変調器を備えた分岐モニタシステムの構成図である。
【図12】本発明の第4の実施の形態における分散補償システムの構成図である。
【図13】本発明の第4の実施の形態における分散補償動作のフローチャートである。
【図14】本発明の第5の実施の形態における分散補償システムの構成図である。
【図15】本発明の第6の実施の形態における分散補償システムの構成図である。
【図16】本発明の第7の実施の形態における分散補償システムの構成図である。
【符号の説明】
【0077】
1 送信ノード
2 トーン変調重畳手段
3 受信ノード
4 分散値測定手段
11 励起光源
12 EDF
13 WDMカプラ
14 光フィルタ
21 励起光源
22 EDF
23 WDMカプラ
24 光フィルタ
25,115,215 可変減衰器
100,300,600,800,1300 送信ノード
101 光ファイバ伝送路
110、310,610,750,1250,1310,1410,1450 光アンプ、トーン変調重畳手段
200,400,700,900,1400 受信ノード
201 分散値測定手段
210,410,610 光アンプ
220,420 遅延比較回路
230,430,730,930,1230,1441 O/E(光−電気変換回路)
240,440,740,940,1240 光合分波器
320 変調器
450 変調器
710,910,1210,1430 TODC
720,920,1220,1420 遅延比較/制御回路
1440 光スイッチ
1442 VOA
1443 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信ノード、中継ノード、受信ノードからなる光波長多重伝送システムにおける分散モニタシステムであって、
前記送信ノードまたは前記中継ノードの送信側は、
波長多重信号に一括でトーン変調を重畳するトーン変調重畳手段を有し、
前記中継ノードの受信側または前記受信ノードは、
前記トーン変調重畳手段でトーン変調が重畳された波長多重信号を分波して、各波長チャネルのトーン信号の遅延差から該各波長チャネルの分散値を測定する分散値測定手段を有する
ことを特徴とする分散モニタシステム。
【請求項2】
前記トーン変調重畳手段は、
前記波長多重信号へのトーン変調の一括重畳を、光アンプの利得制御により行う
請求項1記載の分散モニタシステム。
【請求項3】
前記トーン変調重畳手段は、
前記波長多重信号へのトーン変調の一括重畳を、可変減衰器を用いて行う
請求項1記載の分散モニタシステム。
【請求項4】
前記トーン変調重畳手段は、
前記波長多重信号へのトーン変調の一括重畳を、強度変調器を用いて、行う
請求項1記載の分散モニタシステム。
【請求項5】
前記分散値測定手段は、
前記トーン変調が重畳された信号の分波とトーン信号の受信を、分波器及び光電気変換回路を用いて行う
請求項1記載の分散モニタシステム。
【請求項6】
前記受信ノードは、
前記分散値測定手段で分散測定後のトーン変調の強度振幅レベルを調整する振幅レベル調整手段を更に有する請求項1記載の分散モニタシステム。
【請求項7】
前記振幅レベル調整手段は、
前記受信ノード内の光スイッチ部の可変減衰器を用いて、前記トーン変調の強度振幅レベル調整を行う
請求項6記載の分散モニタシステム。
【請求項8】
送信ノード、中継ノード、受信ノードからなる光波長多重伝送システムにおける分散補償システムであって、
前記送信ノードは、
波長多重信号に一括でトーン変調を重畳して送信するトーン変調重畳手段を有し、
前記受信ノードは、
前記送信ノードから波長多重信号を受信して分波した各波長チャネルのトーン信号の遅延差から各波長チャネルの分散値を測定する分散値測定手段と、
前記分散値測定手段で測定した前記分散値に基づいて、該分散値を補償するように可変分散補償器を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする分散補償システム。
【請求項9】
送信ノード、中継ノード、受信ノードからなる光波長多重伝送システムにおける分散モニタ方法であって、
前記送信ノードまたは前記中継ノードの送信側において、波長多重信号に一括でトーン変調を重畳するトーン変調重畳ステップを行い、
前記中継ノードの受信側または前記受信ノードにおいて、前記トーン変調重畳手段でトーン変調が重畳された波長多重信号を分波して、各波長チャネルのトーン信号の遅延差から該各波長チャネルの分散値を測定する分散値測定ステップを行う
ことを特徴とする分散モニタ方法。
【請求項10】
送信ノード、中継ノード、受信ノードからなる光波長多重伝送システムにおける分散補償方法であって、
前記送信ノードにおいて、
波長多重信号に一括でトーン変調を重畳して送信するトーン変調重畳ステップを行い、
前記受信ノードにおいて、
前記送信ノードから波長多重信号を受信して分波した各波長チャネルのトーン信号の遅延差から各波長チャネルの分散値を測定する分散値測定ステップと、
前記分散値測定ステップで測定した前記分散値に基づいて、該分散値を補償するように可変分散補償器を制御する制御ステップと、を行う
ことを特徴とする分散補償方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−81106(P2010−81106A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−244894(P2008−244894)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】