説明

分析用デバイスを用いた分析方法

【課題】簡単かつ迅速に、ヘモグロビン及びヘモグロビンA1cの成分分析の自動測定させることができる分析デバイス用分析方法を提供することを目的とする。
【解決手段】試料液を遠心力によって測定スポットに向かって移送するマイクロチャネル構造を有し、前記測定スポットにおける反応液にアクセスする読み取りに使用される分析用デバイスを用いた分析方法であって、前記反応液が前記試料液と前記試料液中の特定成分と特異的に反応する抗体を感作したラテックス試薬を免疫反応させた後、凝集試薬によって凝集処理した反応液であり、前記反応液に対して回転中にアクセスして測定することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析用デバイスに試料液をセットして分析装置本体にセットし、分析装置本体が分析用デバイスから前記試料液の成分を自動で読み取る分析方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、1台の装置により血液等の生物学的試料と分析試薬と反応させ、生物学的試料中の様々な成分を定量可能な大型の自動分析装置が実用化されており、医療分野においては無くてはならない存在となっている。しかしながら、すべての病院においてそのような装置が導入されているわけではなく、特に診療所等の小規模な医療機関においては、運用コスト等の様々な理由により、試料の分析を外部委託するという形態をとる病院も少なくない。分析を外部委託する形態をとる場合、分析結果を得るまでに時間を要し、その結果、患者は検査結果に基づく適切な治療を受けるために、必然的に再来院を余儀なくされるという不便さや、急患等の緊急を要する場合の迅速対応が難しい等の問題がある。
【0003】
そのような背景の中、市場からは、低コスト、試料液の少量化、装置の小型化、短時間測定、多項目同時測定など、より高精度で、運用の自由度が高い分析装置の登場が望まれている。
【0004】
運用の自由度の高い分析装置を実現するためには、例えば、指先採血等で採取される少量の検体から複数種の成分濃度を短時間で高精度に測定できるという条件を満たすことが一つの理想形であろう。しかしながら、指先採血等でストレス無く得られる検体量は、せいぜい十数マイクロリットル程度であり、そのような少量の検体をそのままを分析するのでは前述の条件、特に複数種の成分分析を高精度に行うことは、技術的に難しい。
【0005】
この課題に対する解決策の一つとして、分析システムを高感度化し、少量の検体を希釈液により希釈することにより、その容量を増加させた上で、特定の成分を分析するという方法がある。又、微量検体の対策のためだけでなく、任意の物質濃度が高い場合や分析装置の都合等の理由によっても、希釈液がよく利用される。
【0006】
近年、各種疾病の進行度合いを検査したい項目の1つとして、血液中の糖化ヘモグロビンの濃度が挙げられる。ヘモグロビン誘導体の一つである糖化ヘモグロビンは、食事による血糖値変動の影響を排除した通常時の血糖レベルの判定が可能なこともあって、生活習慣病の早期発見のためによく測定される項目である。糖化ヘモグロビンはヘモグロビンA1cとも呼ばれ、赤血球の中に含まれるヘモグロビンにブドウ糖が結合したものであり、ヘモグロビンに対して糖化ヘモグロビンが存在する比率(%)で、数値化される。糖化ヘモグロビンの一般的な測定方法としては、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)法、免疫法、ホウ酸アフィニティー法などが挙げられる。またその中でも、免疫法は、ヘモグロビンA1cが存在する比率を測定するためには、ヘモグロビンとヘモグロビンA1cを個別に測定する必要がある。
【0007】
ヘモグロビンの測定は、ヘモグロビン特有の光吸収特性を利用して、415nm近傍の波長もしくは540nm近傍の波長で測定する方法が一般的である。540nm近傍の波長で測定する方法としては、シアンメトヘモグロビン法やSLSヘモグロビン法が広く知られている。
【0008】
また、糖化ヘモグロビン(ヘモグロビンA1c)を免疫法で測定するためには、最初に、血液試料を溶血させることによって、赤血球からヘモグロビンを外に取り出し、次にヘモグロビンが非糖化ヘモグロビンであるか糖化ヘモグロビン(ヘモグロビンA1c)であるかを判別するために、ヘモグロビンの立体構造を変化させることによって、ヘモグロビンタンパクの糖化された部分をその立体構造の中から外に露出させる処理が必要である。これを、ヘモグロビンの変性と呼ぶが、さらに、糖化された部分を特異的に認識する抗体と反応させることによって、免疫学的に糖化ヘモグロビン量(ヘモグロビンA1c)を測定することが可能となる。
【0009】
なお、生物学的流体を光学的に分析する方法としては、糖化ヘモグロビンの分析用デバイスとしては非遠心性および非毛細管性の操作による逐次的反応試験実施用の反応カセットが知られている。
【0010】
図29は、技術文献1で公開されている生物学的流体の分析に使われるヘモグロビン比濁測定カセットを示したものであり、毛細管形状の試料液の注入手段により注入された試料液と、液体試薬(希釈液)を組み入れた液体供給手段により注入された液体試薬(希釈液)を反応路405内で混合し、あらかじめ試薬の担持された試薬帯401,402、403に混合液を移送され、反応工程の後、液体混合物の検出可能な応答を測定するにより分析が行われる。より具体的には、装置400を所定の角度傾けることにより、重力を利用しながら流体の制御をすることが可能で、液体試料を、酸化剤401、変性剤70(液体供給貯留器404内にあり)、抗体粒子402、および凝集剤403と順次混合させ、混合溶液中の凝集応答を比濁度を測定することにより、種々の生物化学的な分析を行える。
【0011】
また、生物学的流体を光学的に分析する方法として、その他の先行技術文献情報としては、液体流路を形成したマイクロデバイスを用いて分析する、例えば特許文献2が知られている。
【0012】
図30は技術文献2で公開されている生物学的流体の分析に使われるマイクロデバイスを示したものであり、流体流路を形成したマイクロデバイス246は、回転装置を使って遠心力を利用しながら流体の制御をすることが可能で、サンプル溶液の計量、流体成分の遠心による分離、分離された流体成分の移送分配等を行えるため、種々の生物化学的な分析を行える。
【0013】
より具体的には、回転装置200は、試料入口ポート250を有する試料受容容器248と、希釈剤が含まれている希釈剤室252とを有し、マイクロデバイス246の回転218による遠心力を利用して、試料液と希釈剤の両方を混合室205に移送し、マイクロデバイス246の回転と減速により混合され、一定時間経過すると、濃縮された試料液中の細胞成分が、収容混合室254の半径方向外周に形成されている細胞保持範囲206である分離室に収容される。その後、この細胞成分を含む液体は、流れ制限通路262を経て分留室260に移送され、ここでさらにマイクロデバイス246の回転と減速により、細胞成分を含む液体の細胞成分がより濃縮され、分留室260の半径方向の外側に形成されている細胞保持範囲211で保持される。一方、細胞のない液体は分配通路264内および分析室268の光学キュベット内へ移送され、ここで特定の分析が行われる。さらに、試料液は血液であり、細胞成分は血球成分である場合、混合室254と分留室260とにより、血球成分を分離し取り除いた血漿成分を効果的に抽出分配できる。
【0014】
このように、液状試験試料中に存在する分析対象物の量を測定するための分析方法としては、分析試薬との分析反応を包含し、分光測定法を用いて分析する方法が知られおり、これを用いた分析反応容器もしくは装置などの専用の器具は、ピペットの使用や、液状試験試料と分析試薬との混合および加温放置のような、多数の煩雑な操作段階を必要とするイムノアッセイを実施するのに、特に有用であり、又、これら専用器具を検査場所まで搬送する必要もなく、その場での迅速測定が可能である。
【特許文献1】特開平3−46566号公報
【特許文献2】特表平5−508709号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、特許文献1では、必要な反応液量も多くデバイスの小型化が難しいという課題がある。また非遠心で行うため定量機構がなく、希釈液の保存期間中などに希釈液が保存容器外へ自然蒸発するなどにより、前記希釈液が減少する現象が発生する。その際、反応液量が変わり測定精度が悪化するという課題を有している。
【0016】
また、特許文献2では、遠心力を利用した定量および、測定技術を有しているものの、ラテックス試薬を利用した凝集反応を利用するような反応では、測定時に発生した凝集物が遠心力により沈降が発生して、正確な測定ができないという課題を有している。
【0017】
本発明は、簡単かつ迅速に、ヘモグロビン及びヘモグロビンA1cの成分分析を自動測定させることができる分析デバイス用分析方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の請求項1記載の分析用デバイスを用いた分析方法は、試料液を遠心力によって測定スポットに向かって移送するマイクロチャネル構造を有し、前記測定スポットにおける反応液にアクセスする読み取りに使用される分析用デバイスを用いた分析方法であって、前記試料液と前記試料液中の特定成分と特異的に反応する抗体を感作したラテックス試薬を免疫反応させ、これを凝集試薬によって凝集処理して前記反応液を作成し、この反応液に前記分析用デバイスの回転中にアクセスして測定することを特徴とする。
【0019】
本発明の請求項2記載の分析用デバイスを用いた分析方法は、請求項1において、前記ラテックス試薬の粒径平均値が0.3μm以下であることを特徴とする。
本発明の請求項3記載の分析用デバイスを用いた分析方法は、請求項1において、前記ラテックス試薬に感作された抗体と凝集試薬内の抗原との混合比が抗原過多であることを特徴とする。
【0020】
本発明の請求項4記載の分析用デバイスを用いた分析方法は、請求項1において、前記ラテックス試薬と前記凝集試薬による反応後3分以内の凝集物粒径の平均値が700nm以下であることを特徴とする。
【0021】
本発明の請求項5記載の分析用デバイスを用いた分析方法は、請求項1において、前記抗体が独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号FERM BP−10795号から産出されるモノクローナル抗体であることを特徴とする。
【0022】
本発明の請求項6記載の分析用デバイスを用いた分析方法は、請求項4において、前記凝集物にかかる測定中の遠心力が200G以下であることを特徴とする。
本発明の請求項7記載の分析用デバイスを用いた分析方法は、請求項1において、前記免疫反応が前記試料液と分析用デバイス内で計量された希釈液とを混合した混合溶液に対してラテックス試薬を反応させていることを特徴とする。
【0023】
本発明の請求項8記載の分析用デバイスを用いた分析方法は、請求項7において、前記試料液が血液であり、前記血液中の血球成分を遠心力によって濃縮した後、濃縮された血球成分を含む血液を一定量採取して前記希釈液と混合させることを特徴とする。
【0024】
本発明の請求項9記載の分析用デバイスを用いた分析方法は、請求項7において、前記混合溶液を更に計量してから前記ラテックス試薬と反応させることを特徴とする。
本発明の請求項10記載の分析用デバイスを用いた分析方法は、請求項1において、前記試料液中の特定成分が前記ラテックス試薬と免疫反応できるように前記試料液を変性試薬によって変性させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
この構成によると、簡単かつ迅速に、ヘモグロビン及びヘモグロビンA1cの成分分析を自動測定させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の分析用デバイスを用いた分析方法を、具体的な実施の形態に基づいて説明する。
この実施の形態では分析用デバイス1の構成について説明する。
【0027】
図1は、本発明の実施の形態における分析用デバイス1を分析装置本体の分析用デバイス保持部材103の上にセットした状態を示し、図2は分析用デバイス1の前記分析用デバイス保持部材103と接触している面を上側にして分解した状態を示している。
【0028】
分析用デバイス1は、試料液飛散防止用の保護キャップ2と、ベース基板3の表面を覆うカバー基板4と、希釈液を保持している希釈液収容室5と、ベース基板3の上面に形成されている数個の凹部のうちの一つの凹部50にセットされた希釈液収容室5内の希釈液を排出するための開封ボタン6とを合わせた5つの部品で構成されている。
【0029】
なお、この分析用デバイスの形状は、扇形状や、立方体形状やその他の形状のものでもよく、又、これらの分析用デバイス1を複数個同時に、分析用デバイス保持部材103へ装着してもかまわない。
【0030】
ベース基板3とカバー基板4は、希釈液収容室5などを内部にセットした状態で接合され、この接合された状態のものに保護キャップ2が取り付けられている。また。開封ボタン6は、カバーに形成された開封孔7の位置を中心に接合される。
【0031】
ベース基板3の上面に形成されている数個の凹部の開口をカバー基板4で覆うことによって、後述の複数の収容エリア(後述の測定スポットと同じ)とその収容エリアの間を接続する流路などが形成される(図2を参照)。収容エリアのうちの必要なものには各種の分析に必要な試薬が予め担持されている。
【0032】
この分析用デバイス1は、注入口11から試料液、例えば血液などの溶液を採取することができ、保護キャップ1を閉めて分析装置本体100の分析用デバイス保持部材103にセットすることで、試料液の成分分析を行うことができる。102は分析用デバイス保持部材103の回転中の軸心を示している。
【0033】
分析用デバイス1は、注入口11から内部に取り込んだ試料液、注入口11よりも内周にある前記軸心102を中心に分析用デバイス1を回転させて発生する遠心力と、分析用デバイス1内に設けられた毛細管流路の毛細管力を用いて、分析用デバイス1の内部で溶液を移送していくように構成されており、保護キャップ2は注入口11の付近に付着した試料液が、分析中に遠心力によって外部へ飛散するのを防止するために取り付けられている。
【0034】
分析用デバイス1を構成する部品に材料としては、材料コストが安価で量産性に優れる樹脂材料が望ましい。前記分析装置本体100は、分析用デバイス1を透過した光を測定する光学的測定方法によって試料液の分析を行うため、ベース基板3およびカバー基板4の材料としては、PC、PMMA、AS、MSなどの透明性の高い樹脂が望ましい。
【0035】
また、希釈液収容室5の材料としては、希釈液収容室5の内部に希釈液を長期間封入しておく必要があるため、PP、PEなどの水分透過率の低い結晶性樹脂が望ましい。開封ボタン6については、希釈液収容室5の開封時に変形させて用いるため、弾性変形しやすいPPなどの結晶性樹脂が望ましい。保護キャップ2の材料としては、成形性のよい材料であれば特に問題がなく、PP、PEなどの安価な樹脂が望ましい。
【0036】
ベース基板3とカバー4との接合は、前記収容エリアに担持された試薬の反応活性に影響を与えにくい方が望ましく、接合時に反応性のガスや溶剤が出にくい超音波溶着やレーザー溶着などが好ましい。
【0037】
また、ベース基板4とカバー基板3との接合によって両基板3,4の間の微少な隙間による毛細管力によって溶液を移送させる部分には、毛細管力を高めるための親水処理が行われており、これにより粘性抵抗を減らし流体移動をしやすくなる。具体的には、親水性材料を用いたり、親水性ポリマーや界面活性剤などを用いた親水処理が行われている。また、シリカゲルの如き親性粉末などの親水化剤を添加させて材料表面に親水性を付与させたりしてもかまわない。また、親水性処理の方法としては、プラズマ、コロナ、オゾン、フッ素等の活性ガスを用いた表面処理方法や、界面活性剤による表面処理が挙げられる。ここで親水性とは水との接触角が90°未満のことをいい、より好ましくは接触角40°未満である。
【0038】
図3〜図6は、分析用デバイス1がセットされる分析装置本体100を示す。
図3において、分析用デバイス1は、分析装置本体100の前記軸心102を中心に回転する分析用デバイス保持部材103の上に、ベース基板3とカバー基板4のうちカバー基板4の側を下にして装着され、蓋101を閉じた状態で分析が行われる。
【0039】
図4と図5に示すように、この分析装置本体100は、分析用デバイス保持部材103を回転させるための回転起動手段107と、分析用デバイス1内の溶液を光学的に測定するための光学測定手段109と、分析用デバイス保持部材103の回転速度や回転方向、および光学的に測定するための光学測定手段109と、分析用デバイス保持部材103の回転速度や回転方向、および光学測定手段109の測定タイミングなどを制御する制御手段108と、光学測定手段109によって得られた信号を処理し測定結果を演算するための演算部110と、演算部110で得られた結果を表示するための表示部111とで構成される。
【0040】
回転駆動手段107は、分析用デバイス保持部材103を介して分析用デバイス1を軸心102の回りに任意の方向に所定の回転速度で回転させるだけでなく、所定の停止位置で軸心102を中心に所定の振幅範囲、周期で左右に往復運動をさせて分析用デバイス1を揺動させることができるように構成されている。ここでは回転駆動手段107としてモータ104を使用して分析用デバイス保持部材103を軸心102の周りに回転させている。軸心102は、この軸心102上の所定位置を中心に傾斜角度θ°だけ傾斜して回転自在に取り付けられている。
【0041】
なお、ここでは分析用デバイス1の回転動作と揺動動作を1つの回転駆動手段107で行おうとしているが、回転駆動手段107の負荷を軽減させるために、揺動作用の駆動手段を別に設けてもかまわない。具体的には、分析用デバイス保持部材103の上にセットした分析用デバイス1に対して、前記モータ104とは別に用意したバイブレーションモータなどの加震手段を、直接または間接的に接触させることによって分析用デバイス1を揺動させて、分析用デバイス1内の溶液に慣性力を付与する。
【0042】
光学測定手段109には、分析用デバイス1の測定部にレーザー光を照射するためのレーザー光源105と、レーザー光源105から照射されたレーザー光のうち、分析用デバイス1を通過した透過光の光量を検出するフォトディテクタ106とを備えている。ここではレーザー光源105は出射光の波長を切り替え可能なものを使用し、フォトディテクタ106はレーザー光源105の出射光の何れの波長の光も検出できるものを使用している。分析用デバイス保持部材103が透過性に劣る材料または透過性でない材料の場合には、分析用デバイス保持部材103の分析用デバイス1の装着位置には、孔51,52が穿接されている。
【0043】
なお、レーザー光源105とフォトディテクタ106は、測定に必要な波長の種類に応じた複数対だけ設けることもできる。
また、分析装置本体100には、分析用デバイス1内の希釈液収容室5を自動で開封するための開封手段、具体的には、分析用デバイス保持部材103にセットされた分析用デバイス1の開封ボタン6を操作できるように、分析用デバイス保持部材103に上下運動ができるアームを設け、開封ボタン6を前記アームによって押し上げる機構を設けてもかまわない。
【0044】
分析用デバイス保持部材103は、図5に示すように傾斜した軸心102に取り付けられて水平線に対して傾斜角度θ°だけ傾斜しており、分析用デバイス1の回転停止位置に応じて、分析用デバイス1内の溶液にかかる重力の方向を制御できる。
【0045】
具体的には、図6(a)に示す位置(真上を0°(360°)として表現した場合に180°付近の位置)で分析用デバイス1を停止させた場合は、分析用デバイス1の下側53が正面から見て下側に向くため、分析用デバイス1内の溶液は外周方向(下側53)に向かって重力を受ける。
【0046】
また、図6(b)に示す60°付近の位置で分析用デバイス1を停止させた場合は、分析用デバイス1の左上側54が正面から見て下側に向くため、分析用デバイス1内の溶液は左上方向に向かって重力を受ける。同様に、図6(c)に示す300°付近の位置では、分析用デバイス1の右上側55が正面から見て下側に向くため、分析用デバイス1内の溶液は右上方向に向かって重力を受ける。
【0047】
このように、軸心102に傾斜を設け、任意の位置に分析用デバイス1を停止させることで、分析用デバイス1内の溶液を所定の方向に移送させるための駆動力の1つとして利用できる。
【0048】
分析用デバイス1内の溶液にかかる重力の大きさは、軸心102の傾斜角度θを調整することで設定することができ、移送する液量と、分析用デバイス1内の壁面に付着する力との関係に応じて設定することが望ましい。
【0049】
傾斜角度θは、10°〜45°の範囲が望ましく、傾斜角度θが10°より小さいと溶液にかかる重力が小さすぎて移送に必要な駆動力が得られないおそれがあり、傾斜角度θが45°より大きくなると軸心102への負荷が増大したり、遠心力で移送させた溶液が自重で勝手に動いて制御できなくなるおそれがある。
【0050】
この実施の形態の分析装置本体100では、傾斜角度θを10°〜45°の範囲の任意の角度に固定しており、回転駆動手段107であるモータ104や、レーザー光源105、フォトディテクタ106も傾斜を持つ軸心102と平行に取り付けられているが、傾斜角度θを任意の角度に調整でき、モータ104や、レーザー光源105、フォトディテクタ106も追従して角度が変更される構成にすることで、分析用デバイス1の仕様や、分析用デバイス1内の移送プロセスに応じて、最適な傾斜角度を設定することができる。ここで傾斜角度θを任意の角度に調整できる構成の場合は、傾斜角度θの範囲は0°〜45°が望ましく、重力の影響を受けたくない場合には傾斜角度を0°、すなわち分析用デバイス保持部材103を水平にして回転させることができる。
【0051】
図7〜図13は分析用デバイス1の詳細を示している。
図7は分析用デバイス1の希釈ユニット開封部を示す。
図7(a)は開封ボタン6の取り付け位置を示す平面図、図7(b)は図7(a)のA−A断面図を示す。
【0052】
希釈液収容室5の開封および排出は、図7(b)に示すようにカバー基板4に接合された開封ボタン6の中心部を下方向から押し上げることで、ピン8が希釈液収容室5の表面に貼られているアルミシール10を突き破り、希釈液収容室5が開封される。さらに、希釈液収容室5が開封された状態で分析用デバイス1を回転させると、希釈液収容室5内の希釈液は、開封孔7と排出孔9の間に形成された空間(ベース基板3とカバー基板4の間に形成された排出溝、およびカバー基板4と開封ボタン6の間に形成された空間)を経由して希釈液定量室14に排出される。
【0053】
図8(a)は分析用デバイス1の注入口周辺の拡大斜視図、図8(b)はその正面図である。図9は図2に示したベース基板3の前記カバー基板4との接合面の平面図を示す。
分析用デバイス1は、注入口11に試料液を付着させることで、試料液を内部に形成された試料収容室17の毛細管力によって吸引させることができるため、指先などから血液を直接採取することができる。ここで注入口11は、分析用デバイス1本体の一側面より軸心102の方向に突出した形状をしているため、注入口11以外の場所に指などが接触して血液が付着し、分析時に付着した血液が外部に飛散するのを防ぐという効果を有している。
【0054】
また、試料収容室17の側面に、厚み方向の断面寸法が試料収容室17よりも大きく、大気と連通しているキャビティ12,13を設けている。キャビティ12,13を設けることで、試料収容室17内を流れる試料液は、側面部が先行して流れる毛管流ではなく、中央部が先行して流れる毛管流となって充填されるため、複数回に分けて充填させる場合でも、試料収容室17に保持されている試料液と後から採取した試料液の中央部同士が先に接触するように流れて行き、試料収容室17内の空気を側面のキャビティ12,13に排出しながら充填されていく。そのため、注入口11に付着させる試料液の量が採取途中で不足したり、採取の途中に注入口11から指先などが離れてしまったりした場合でも、試料収容室17内への採取が完了するまで何度でも採取することができる。ここでは、試料収容室17の厚み方向の断面寸法を50〜300μm、キャビティ12,13の厚み方向の断面寸法を1000〜3000μmで構成しているが、試料収容室17は毛細管力で試料液を採取できる寸法、キャビティ12,13は毛細管力で試料液が移送されない寸法であれば特に制限はない。
【0055】
図10に示すAA−AA,B−B,C−C,D−D,E−Eの各位置の断面の拡大図を図11(a)〜(e)に示す。
20a,20b1,20b2,20c,20d,20e,20f,20g,20h,20iは空気孔である。また、親水処理が施されている親水処理位置56を図12にハッチングで示す。
【0056】
次に、本発明の実施の形態における分析用デバイスのマイクロチャネル構成、および溶液の移送プロセスについて詳細に説明する。
図13は分析用デバイス1の構造をブロック図で表示したもので、分析用デバイス1の内部には、試料液を採取するための試料液採取部150と、試料液を希釈する希釈液を保持するための希釈液保持部151と、試料液採取部150から移送される試料液を保持し、溶液成分と固体成分とに遠心分離した後、所定量の固体成分を含む試料液を採取するための分離部152と、希釈液保持部151から移送される希釈液を計量するための希釈液計量部153と、分離部152から移送される試料液と希釈液計量部153から移送される希釈液を保持し、内部で混合した後、分析に必要な量に混合溶液を計量するための混合部154と、混合部154から移送される混合溶液を分析試薬と反応させて測定するための測定部155が形成されている。
【0057】
試料液採取部150は、図9に示すように試料液を採取するための注入口11と、注入口11を通じて試料液を毛細管力で採取し規定量だけ保持する試料収容室17と、試料液採取時に試料収容室17内の空気を排出するためのキャビティ12,13とで構成されている。
【0058】
希釈液保持部151は、図9に示すように希釈液収容室5内に希釈液が保持されており、図7で説明した開封動作によって希釈液が展開される。
分離部152は、試料液採取部150の下手側で図9に示すように、キャビティ12を介して試料収容室17と連通するように形成されて試料収容室17から遠心力によって移送される試料液を保持して遠心力によって試料液を溶液成分と固体成分とに分離する分離室18と、分離室18と希釈液計量部153との間に形成されて分離室18で分離された固体成分の一部が移送されて保持する高比重成分定量室23と、高比重成分定量室23と分離室18とを連結して分離室18内の試料液を移送するための連結流路21と、分離室18と希釈液計量部153との間に形成されて連結流路21内で分離された試料液の溶液成分を優先的に保持して固体成分だけを高比重成分定量室23に移送させる試料溶液溢流室22と、分離された分離室18内の溶液成分が高比重成分定量室23に移送されるのを抑制するための分離室18内に形成された毛細管キャビティ19と、分離室18を境に高比重成分定量室23と反対側に形成されて分離室18や連結流路21、試料溶液溢流室22内の分析に必要ない試料液を排出するための連結流路24と、連結流路24を介して移送される不必要な試料液を保持するための試料溶液溢流室25,26とで構成される。
【0059】
ここで連結流路21、試料溶液溢流室22、高比重成分定量室23、連結流路24、毛細管キャビティ19、試料溶液溢流室26の厚み方向の断面寸法を50〜300μmで構成しているが、毛細管力で試料液を移送できる寸法であれば特に制限はない。また、分離室18、試料溶液溢流室25の厚み方向の断面寸法を1000〜3000μmで構成しているが、必要な試料液の量に応じて調整可能である。
【0060】
希釈液計量部153は、図9に示すように、希釈液保持部151の下手側に形成されて希釈液収容室5から遠心力によって移送される希釈液を規定量だけ保持するための希釈液定量室14と、希釈液定量室14と分離部152との間に形成されて希釈液定量室14で計量された希釈液を前記混合部154へ移送するためのサイフォン流路15と、希釈液定量室14を境にサイフォン流路15と反対側に形成されて希釈液定量室14へ移送される希釈液が所定量を越えた際に希釈液定量室14外へ溢流させるための溢流流路16と、希釈液定量室14で保持される液面高さを規定して溢流流路16を経由して希釈液が溢流される溢流キャビティ27と、溢流された希釈液を保持して光学測定手段109の光学調整用のリファレンス測定に使用される希釈液溢流室29と、希釈液溢流室29内に保持された希釈液が逆流して別のエリアに流出するのを防ぐための毛細管部28とで構成される。
【0061】
ここでサイフォン流路15、溢流流路16、毛細管部28の厚み方向の断面寸法を50〜300μmで構成しているが、毛細管力が働く寸法であれば特に制限はない。また、希釈液定量室14、溢流キャビティ27、希釈液溢流室29の厚み方向の断面寸法を1000〜3000μmで構成しているが、必要な試料液の量や吸光度を測定するための条件(光路長、測定波長等)に応じて調整可能である。
【0062】
混合部154は、図9に示すように、分離部152と希釈液計量部153の下手側で高比重成分定量室23およびサイフォン流路15と連通するように形成されて高比重成分定量室23から移送される試料液と希釈液定量室14から移送される希釈液を保持して内部で混合する混合室30と、混合中に混合溶液が混合室30内に設けられた空気孔20cから流出するのを防止するように形成されたリブ31と、混合室30に保持される混合溶液の軸心102方向に対する液面高さよりも内側に形成されて混合されて混合室30から移送される混合溶液を保持する保持キャビティ32と、保持キャビティ32の下手側に形成されて保持キャビティ32から遠心力によって移送される混合溶液を規定量だけ保持する混合溶液定量室35と、保持キャビティ32と溢流キャビティ27との間に形成されて保持キャビティ32へ移送される混合溶液が溢流キャビティ27へ流出するのを抑制するための毛細管部33と、保持キャビティ32と混合溶液定量室35との間に形成されて保持キャビティ32へ移送される希釈溶液が混合溶液定量室35へ流出するのを抑制するための連結流路34と、混合溶液定量室35と混合溶液定量室35の下手側に位置する測定部155との間に形成されて混合溶液定量室35で計量された混合溶液を測定部155へ移送するためのサイフォン流路37と、混合溶液定量室35と溢流キャビティ27との間に形成されて混合溶液定量室35へ移送される混合溶液が所定量を越えた際に混合溶液定量室35外へ溢流させるための溢流流路36とで構成される。
【0063】
ここで毛細管部33、連結流路34、溢流流路36、サイフォン流路37の厚み方向の断面寸法を50〜300μmで構成しているが、毛細管力が働く寸法であれば特に制限はない。また、保持キャビティ32、混合溶液定量室35の厚み方向の断面寸法を1000〜3000μmで構成しているが、必要な混合溶液の量に応じて調整可能である。
【0064】
測定部155は、図9に示すように、混合部154の下手側でサイフォン流路37を介して混合溶液定量室35と連通するように形成されて内部に担持されている試薬と混合溶液定量室35からサイフォン流路37を介して移送される混合溶液を反応させて保持し第1の測定を行うための測定スポットである変性反応室38と、測定スポットである免疫アッセイ室43から見て操作キャビティであるこの変性反応室38に保持される第1反応液の軸心102方向に対する液面高さよりも内側に形成されて、第1反応液の測定後に変性反応室38内の第1反応液を採取する変性溶液定量室39と、変性反応室38と変性溶液定量室39との間に形成されて変性反応室38に戻る第1反応液の量を安定させるための毛細管キャビティ40と、変性溶液定量室39の下手側に形成されて変性溶液定量室39に採取された第1反応液が免疫アッセイ室43へ流出するのを抑制する連結流路41と、変性溶液定量室39と毛細管キャビティ40との連結部に位置し、遠心力によって変性溶液定量室39内の第1反応液を破断させて所定量の混合溶液を変性反応室38に戻すリブ42と、変性溶液定量室39の下手側で連結流路41を介して変性溶液定量室39と連通するように形成されて内部に担持されている試薬と変性溶液定量室39から連結流路41を介して移送される第1反応液を反応させて保持し第2の測定を行うための免疫アッセイ室43と、測定スポットである凝集反応室46から見て操作キャビティであるこの免疫アッセイ室43に保持される免疫アッセイ溶液の軸心102方向に対する液面高さよりも内側に形成されて、免疫アッセイ溶液の測定後に免疫アッセイ室43内の免疫アッセイ溶液を採取する免疫アッセイ定量室44と、免疫アッセイ室43と免疫アッセイ定量室44との間に形成されて免疫アッセイ室43に戻る免疫アッセイ溶液の量を安定させるための毛細管キャビティ64と、免疫アッセイ定量室44の下手側に形成されて免疫アッセイ定量室44に採取された免疫アッセイ溶液62が凝集反応室46へ流出するのを抑制する連結流路45と、免疫アッセイ定量室44の下手側で連結流路45を介して免疫アッセイ定量室44と連通するように形成されて内部に担持されている試薬と免疫アッセイ定量室44から連結流路45を介して移送される免疫アッセイ溶液を反応させて保持し第3の測定を行うための凝集反応室46とで構成される。
【0065】
ここで変性溶液定量室39、毛細管キャビティ40、連結流路41、免疫アッセイ定量室44、連結流路45の厚み方向の断面寸法を50〜500μmで構成しているが、毛細管力が働く寸法であれば特に制限はない。また、変性反応室38、免疫アッセイ室43、凝集反応室46の厚み方向の断面寸法を1000〜3000μmで構成しているが、必要な混合溶液の量や吸光度を測定するための条件(光路長、測定波長、サンプル溶液の反応濃度、試薬の種類等)に応じて調整可能である。
【0066】
次に、分析用デバイス1の試料液分析工程について、血液中の血球内に含まれるヘモグロビンおよびHbA1cの濃度測定を例として、詳細に説明する。
なお、図14〜図22は分析用デバイス保持部材103にセットされた分析用デバイス1を分析用デバイス保持部材103の表面側から見た状態で図示されており、軸心102に対して回転方向C1が図1における左回転、軸心102に対して回転方向C2が図1における右回転を示している。
【0067】
図14は、本発明の実施の形態における分析用デバイスの注入過程および分離/計量過程を示す。
− 工程1 −
図14(a)において、試料液である血液は、穿刺された指先などから分析用デバイス1の注入口11を介して試料収容室17の毛細管力によって、試料収容室17内が充填されるまで採取される。ここでは、試料収容室17の隙と対向面積によって決まる体積によって試料液、例えば約10μlの血液を計量できる構成としているが、分析に必要な量に応じて試料収容室17の形状寸法を規定し、採取できる容量を調整してもかまわない。
【0068】
必要量の血液を採取した分析用デバイス1は、分析装置本体100の分析用デバイス保持部材103上に装着され、希釈液収容室5の開封手段によって開封動作が行われる。
− 工程2 −
希釈液収容室5の開封が終了した後、分析用デバイス保持部材103を回転(C2で示す右回転・3000rpm)させることで試料収容室17の内の血液と希釈液は、図14(b)に示すように分離室18へ移送され、希釈液収容室5内の希釈液は希釈液定量室14へ移送される。ここで血液を希釈して血球中の測定成分を取り出す際に、個人差を有するヘマトクリット値(血液中に含まれる血球成分の比率)の影響による希釈のばらつきを低減させるために、分離室18へ移送された血液を遠心力によって血漿成分と血球成分とに分離し、外周部の高ヘマトクリット血液を採取して希釈することで、希釈のばらつきを低減している。
【0069】
また、この回転中に希釈液定量室14に移送されて規定量を越えた希釈液は、溢流流路16と、溢流キャビティ27と、毛細管部28を介して希釈液溢流室29内に流れ込んで保持される。
【0070】
図15は、毛細管キャビティ19を有している分離室18における前記遠心分離動作と、高比重成分定量室23を介して混合室30への移送フローを示している。
図15(a)に示すように分離室18の底部に溜まった血液57は、遠心力によって図15(b)に示すように血漿成分(低比重成分)57aと血球成分(高比重成分)57bとに分離される。回転が停止して遠心力が無くなると、図15(c)に示すように、分離室18における血漿成分57aは毛細管キャビティ19に毛細管移送され、連結流路21の血漿成分57aと血球成分57bは、大気に連通した空気孔20aを有するキャビティ58に接続されている試料溶液溢流室22に向かって毛細管移送される。連結流路24の血漿成分57aと血球成分57bは大気に連通した空気孔20dを有する試料溶液溢流室26に向かって毛細管移送される。ここで高比重成分定量室23の端部は、血球成分57bが到達している位置で連結流路21に接続されており、図15(d)に示すように、連結流路21から必要量の血球成分57bだけが高比重成分定量室23の毛細管力によって移送される。
【0071】
この実施の形態では分離室18に毛細管キャビティ19が形成されているため、分離室18に残っている血漿成分57aの殆どを毛細管キャビティ19で保持することができ、高比重成分定量室23に必要量の血球成分57bだけを毛細管移送するのに役立っている。具体的には、図16(a)に示すように分離室18に毛細管キャビティ19を形成しない比較例の場合には、血漿成分57aが分離室18の底部に溜まっており、高比重成分定量室23の毛細管力によって毛細管移送されると、図16(b)に示すように分離室18の底部に溜まっていた血漿成分57aが、連結流路21から高比重成分定量室23に向かって混入して、必要量の血球成分57bを得ることができない。
【0072】
他方の、希釈液定量室14へ移送された希釈液は、保持される液面高さが溢流流路16と溢流キャビティ27の連結位置を超えると、溢流流路16を経由して溢流キャビティ27へ排出されるため、希釈液定量室14内に規定量だけ保持される。ここでサイフォン流路15は、溢流流路16と溢流キャビティ27の連結位置より半径方向の内方に配置される曲管を備えたサイフォン形状であるため、分析用デバイス1の回転中に希釈液を希釈液定量室14内で保持することができる。
【0073】
また、希釈液定量室14と溢流キャビティ27を連結する溢流流路16が毛細管であるため、分析用デバイス1の減速および停止時に慣性力や表面張力によって希釈液定量室14から溢流キャビティ27へ希釈液が流出することを毛細管力によって防ぐことができ、希釈液の計量を精度よく行うことができる。
【0074】
− 工程3 −
分析用デバイス保持部材103の前記回転(C2で示す右回転・3000rpm)を停止させて静止した後に、図17(a)から分析用デバイス保持部材103を回転(C2で示す右回転・2000rpm)させることによって、高比重成分定量室23で保持されていた必要量の血球成分57bと希釈液定量室14の希釈液が混合室30に流れ込んで混合されて希釈され、余分な血球成分57bは図17(b)に示すように試料溶液溢流室26に保持される。そして光学測定手段109は、分析用デバイス1の希釈液溢流室29の希釈液が、レーザー光源105とフォトディテクタ106の間に介在するタイミングで読み取りを行うリファレンス測定を実施する。このときには、レーザー光源105の波長を535nmと625nmに切り換えてリファレンス測定している。
【0075】
− 工程4 −
次に、分析用デバイス1を図18(a)に示す60°付近の位置にして、±1mm程度の揺動を分析用デバイス1に与えるようにモータ104を1000rpmの周波数で制御して希釈液を攪拌する。
【0076】
− 工程5 −
その後に、分析用デバイス1を図18(b)に示す180°付近の位置にして、±1mm程度の揺動を分析用デバイス1に与えるようにモータ104を1000rpmの周波数で制御して希釈液を攪拌する。
【0077】
ここで混合室30と保持キャビティ32の間は連結部59で連通されており、攪拌時におけるこの連結部59の位置が、遠心力を発生させる回転の軸心102について混合室30に保持された混合溶液の液面よりも内周側に位置させたため、攪拌混合中の希釈液が保持キャビティ32へ流出することがない。
【0078】
− 工程6 −
次に、分析用デバイス1を図19(a)に示す300°付近の位置にして、±1mm程度の揺動を分析用デバイス1に与えるようにモータ104を1000rpmの周波数で制御して、混合室30の希釈後の血球成分57b(混合溶液)を、連結部59を介して保持キャビティ32に揺動移送する。
【0079】
ここで混合室30に保持された混合溶液は、分析用デバイス1を図19(a)に示す300°付近の位置に移動させても、混合室30の壁面に働く表面張力によって保持されており(表面張力が混合溶液に働く重力よりも大きいため)、分析用デバイス1を揺動させて混合溶液に慣性力を与えることで、混合室30の壁面に働く表面張力を打ち破り、混合溶液に働く慣性力と重力によって混合溶液を保持キャビティ32に移送可能としている。
【0080】
− 工程7 −
次に、分析用デバイス1を分析用デバイス保持部材103を回転(C2で示す右回転・2000rpm)させることによって、図19(b)に示すように保持キャビティ32から連結流路34を介して混合溶液定量室35に規定量の混合溶液が移送される。混合溶液定量室35へ移送される混合溶液が所定量を越えた分は溢流流路36を介して溢流キャビティ27へ溢流し、混合溶液定量室35には規定量の混合溶液60だけが保持される。
【0081】
− 工程8 −
分析用デバイス保持部材103の前記回転(C2で示す右回転・2000rpm)を停止させて静止することによって、図20(a)に示すように混合溶液定量室35の混合溶液がサイフォン流路37に呼び水され、さらに図20(a)から分析用デバイス保持部材103を回転(C1で示す左回転・2000rpm)させることによって、混合溶液定量室35に保持された規定量の混合溶液が、サイフォン流路37を介して変性反応室38に移送され、変性反応室38に予め担持されている変性試薬を溶解する。
【0082】
− 工程9 −
その後、図20(b)に示す180°付近の位置において、±1mm程度の揺動を分析用デバイス1に与えるようにモータ104を1000rpmの周波数で制御して、分析用デバイス1の変性反応室38の変性溶液61を攪拌する。
【0083】
ここで変性反応室38と免疫アッセイ室43の側との間は、毛細管キャビティ40と変性溶液定量室39を介して連通されている。ここで毛細管キャビティ40が第2の連結部として作用しており、攪拌時におけるこの毛細管キャビティ40の位置が、遠心力を発生させる回転の軸心102について変性反応室38に保持された混合溶液の液面よりも内周側に位置させたため、攪拌混合中の混合溶液が免疫アッセイ室43の側の変性溶液定量室39へ流出することがない。
【0084】
− 工程10 −
次に、分析用デバイス1を静止させて変性溶液61を変性反応させた後に、分析用デバイス保持部材103を回転(C1で示す左回転・1500rpm)させて第1測定を実施する。
【0085】
第1測定は、レーザー光源105の波長を535nmに切り換えた発光状態において、分析用デバイス1の変性反応室38の変性反応させた変性溶液61を、レーザー光源105とフォトディテクタ106の間に介在するタイミングで読み取りを行う。演算部110は、第1測定によって得られた測定値を、予め希釈液溢流室29をレーザー光源105の波長を535nmにして読み取った基準値に基づいて処理して数値化した変性ヘモグロビン濃度を表示部111に表示する。
【0086】
混合溶液と変性反応室38に保持された変性試薬との反応を行った後、変性反応室内に形成された測定領域においてヘモグロビン誘導体の濃度の測定を行うことにより、混合溶液もしくは変性溶液中の総ヘモグロビンの決定を行う。
なお、変性前に混合室30において、ヘモグロビンのγピーク(ソーレ帯)の吸収を利用して、波長410nmのLEDの光源による比色度合いによるヘモグロビンの測定を行ってもよい。
【0087】
ここで“変性”とは、たんぱく質の構造内から特異的な箇所を構造外へ出す(露出させる)ことをいい、後述する抗原抗体反応は、そのたんぱく質の構造内から露出された部位である“変性された部位”と特異的に反応するラテックス試薬によって行われる。
【0088】
− 工程11 −
次に、分析用デバイス1を図21(a)に示す60°付近の位置にして、±1mm程度の揺動を分析用デバイス1に与えるようにモータ104を1500rpmの周波数で制御することによって、変性反応室38に保持された変性溶液61が変性溶液定量室39に毛細管移送されて、変性溶液定量室39には規定量の変性溶液61が保持される。
【0089】
− 工程12 −
次に、分析用デバイス保持部材103を回転(C1で示す左回転・2000rpm)させることによって、変性溶液定量室39から連結流路41を介して免疫アッセイ室43に変性溶液61が流入し、免疫アッセイ室43に予め担持されているラテックス試薬を溶解する。
【0090】
− 工程13 −
その後、図21(b)に示す180°付近の位置において、±1mm程度の揺動を分析用デバイス1に与えるようにモータ104を1000rpmの周波数で制御して、分析用デバイス1の免疫アッセイ室43の免疫アッセイ溶液62を攪拌する。前記免疫アッセイ室43において、免疫アッセイ溶液は、ヘモグロビン誘導体の変性された部位に対して特異的な抗体を含む試薬(例えば、ラテックス試薬)により抗原抗体反応が行われる。
【0091】
ここで免疫アッセイ室43と凝集反応室46の側との間は免疫アッセイ定量室44を介して連通されており、免疫アッセイ室43と免疫アッセイ定量室44とを接続する毛細管キャビティ64の攪拌時における位置を、遠心力を発生させる回転の軸心102について免疫アッセイ室43に保持された混合溶液の液面よりも内周側に位置させたため、攪拌混合中の混合溶液が凝集反応室46の側の免疫アッセイ定量室44へ流出することがない。
【0092】
− 工程14 −
次に、分析用デバイス1を静止させて免疫アッセイ溶液62を抗原抗体反応させた後に、分析用デバイス保持部材103を回転(C1で示す左回転・1500rpm)させて第2測定を実施する。
【0093】
第2測定は、レーザー光源105の波長を625nmに切り換えた発光状態において、ヘモグロビン誘導体の濃度を測定するのであるが、分析用デバイス1の免疫アッセイ室43の抗原抗体反応した免疫アッセイ溶液62が、レーザー光源105とフォトディテクタ106の間に介在するタイミングで読み取りを行うことによりブランク測定が行われる。
【0094】
− 工程15 −
次に、分析用デバイス1を図22(a)に示す60°付近の位置にして、±1mm程度の揺動を分析用デバイス1に与えるようにモータ104を1500rpmの周波数で制御して免疫アッセイ溶液62を免疫アッセイ定量室44に毛細管移送する。
【0095】
− 工程16 −
その後、分析用デバイス保持部材103を回転(C1で示す左回転・2000rpm)させることによって、免疫アッセイ定量室44に保持された規定量の免疫アッセイ溶液62が、連結流路45を介して凝集反応室46に流入し、凝集反応室46に担持されている凝集試薬を溶解する。
【0096】
− 工程17 −
その後、図22(b)に示す180°付近の位置において、±1mm程度の揺動を分析用デバイス1に与えるようにモータ104を1000rpmの周波数で制御して、分析用デバイス1の凝集反応室46の凝集溶液63を攪拌する。すると、凝集反応室46においては、凝集剤が、前記抗体がヘモグロビン誘導体と結合していない未反応体と反応結合することにより、凝集が起きる。
【0097】
− 工程18 −
次に、分析用デバイス1を静止させて凝集溶液63を凝集反応させた後に、分析用デバイス保持部材103を回転(C1で示す左回転・1500rpm)させて第3測定を実施する。
【0098】
第3測定は、レーザー光源105の波長を625nmに切り換えた発光状態において、分析用デバイス1の凝集反応室46の凝集反応した凝集溶液63が、レーザー光源105とフォトディテクタ106の間に介在するタイミングで読み取りを行い、凝集溶液63の濁り度合いを測定する。
【0099】
演算部110は、第2測定と第3測定によって得られた測定値を、希釈液溢流室29をレーザー光源105の波長を625nmにして予め読み取ってある基準値に基づいて処理して数値化したHbA1c濃度と、前記変性ヘモグロビン濃度を基に算出されるHbA1c%値を表示部111に表示する。
【0100】
また、本実施の形態では、光源はLEDを利用しているが、本発明においてはこれに限定されるものではなく、又、光源波長については比色測定において、ヘモグロビンの光吸収作用がある波長領域であればよく、400〜450nmの領域に光吸収作用があるγピーク(ソーレ吸収帯)や、500〜580nmの領域に吸収作用があるヘモグロビンやヘモグロビン誘導体の可視部の光吸収作用を利用することができる。濁度については、可視光領域であれば吸収はあるものの500〜800nmが適している。
【0101】
図23は上記の工程1〜工程18に関して、図13をより詳細に示したものである。
分析用デバイス1に保持された試薬について、ヘモグロビン誘導体の測定の場合を、より具体的に説明する。
【0102】
本発明の実施の形態である、ヘモグロビン誘導体の測定方法は、変性用の試薬(変性剤)により、前記試料中のヘモグロビン誘導体を変性させる工程を含む。
ヘモグロビン(以後、Hbと記載する場合もあり)とは、α鎖と非α鎖(β、γ、δ鎖)のグロビンがヘムと結合し、会合して形成される四量体構造を基本とするものである。特に糖が結合したHbA1や、飲酒によるアセトアルデヒド化Hb、透析患者などで見られるカルバミル化Hbなどその種類は多岐に亘る。このように、ヘモグロビン誘導体とは、前述したようなヘモグロビンの一部の領域が修飾され、構造が異なるものを意味し、ヘモグロビン誘導体の約90%を占めるHbA(α2β2)、約3%のHbA2(α2δ2)、約1%のHbF(α2γ2)などがある。HbAにおいては、β鎖アミノ酸末端に糖が結合していないHbA0と、糖が結合したHbA1がある。さらに、前記HbA1の中には、HbA1a、HbA1b、HbA1cがあり、これらもヘモグロビン誘導体である。その中でも、ヘモグロビンのβ鎖N末端に血液中の糖が結合したヘモグロビンA1cは、過去2〜3ヶ月間の血液中の糖濃度を反映する指標として、広く知られている。
【0103】
ヘモグロビン誘導体を決めるポイントとしては、ペプチド構造に特異な領域のアミノ酸配列があるか、もしくは、アミノ酸残基やペプチド末端がリン酸化もしくは糖化された領域が存在するかどうかである。例えば、HbA1aはβ鎖N末端がリン酸化されており、HbA1bはβ鎖N末端がアルデヒド化されており、またHbA1cはβ鎖N末端がフルクトシル化されている。また、HbFは、サブユニットがβとγで異なる。アミノ酸単位の差では、HbA2のβサブユニットのN末端から9残基目、21残基目が異なる。本発明のヘモグロビン誘導体は、このような一部の領域が異なるものをいう。さらに、これら以外にも、ヘモグロビン誘導体には様々な種類があり、上述のアルコールの乱用によるアセトアルデヒド―ヘモグロビン付加物、尿毒症患者の血液中に存在する尿素―ヘモグロビン付加物、だけでなく、例えば、アスピリン−ヘモグロビンコンプレックスや、カルボキシメチル化ヘモグロビン等、多岐に亘る。ヘモグロビン誘導体としては、特に、ヘモグロビンタンパク上の反応性アミン基とグルコースとの非酵素反応によって生成する糖化ヘモグロビンが有用な測定項目として挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0104】
本発明で示すヘモグロビン誘導体を測定する上で、ヘモグロビン誘導体のわずかに異なる領域を区別・認識して、それぞれのヘモグロビン誘導体を同定・定量する必要がある。その異なる部分、すなわちヘモグロビン誘導体の特異的な箇所をタンパク質の構造内から構造外へ出すことを、本発明では変性という。
【0105】
変性の程度は、4次構造を構成するサブユニット構造が解離する程度、3次構造を構成する疎水結合、水素結合、ファンデールワールス力、イオン結合を解離する程度、2次構造を構成するα−へリックスやβシートの構造を変化させる程度、あるいは、直鎖状の構造になってもよい。一般的に、タンパク質は生体内で機能性物質として存在するが、それは、タンパク質がこれらの構造から形成される精密な立体構造を保っているからである。従って、構造を変化させるということは、少なからずタンパク質の機能が変わり、性質が変わったといえる。これは、機能が低下したことも向上したことも含む。これらを達成するための変性剤としては例えば、リチウム塩形態の陰イオンでヘモグロビンを変性させる方法(特開平3−51759公報)、非イオン性界面活性剤を含む方法(WO2006/112339)などがあるがこれらに限定されるものではない。
【0106】
本実施の形態における、免疫アッセイ用の試薬は、ヘモグロビン誘導体の変性された部位に対して特異的な抗体を含む試薬であり、本発明の免疫アッセイ抗原抗体反応を基本とした測定原理であればよく、一般的に知られている、免疫比濁法、免疫比朧法、ラテックス免疫凝集法、免疫凝集阻止法、ラテックス免疫凝集阻止法、蛍光免疫測定法、化学発光免疫測定法、電気化学免疫測定法、蛍光偏光免疫測定法、免疫クロマト法の、いずれであってもよい。
【0107】
本発明のヘモグロビン誘導体の測定方法において、とくに重要なのは、ヘモグロビン誘導体の糖化部位に対する特異的な抗体を利用した免疫アッセイである。糖化されたヘモグロビンとは、上記にも示したが、HbA1a、HbA1b、HbA1cである。この中で、とくにHbA1cは、近年、三大成人病の一つとして問題になっている糖尿病患者を管理するための指標になるもので、1〜3ヶ月間の長期血糖コントロールの目安となるものである。具体的には、HbA1cの変性処理を行った後、HbA1c特有のβ鎖N末端のアミノ酸が糖化されたものに対する抗体を含む試薬を含むものである。
【0108】
本実施の形態における、凝集用の凝集剤とは、抗体と特異的に抗原抗体反応をする凝集多価抗原であるものであり、ヘモグロビン誘導体に特異的な箇所に対する抗体を使用して測定する免疫測定反応であれば、上記に限定しない。
【0109】
本発明の試薬の保持方法としては、液体状態、乾燥物状態、凍結乾燥物状態などに限定されるものではなく、実施上有意義な方法で保持できる。
次に、ヘモグロビン誘導体の代表的検査項目であるヘモグロビンA1cについて、下記の実施例1〜実施例8おいて、図24〜図28と(表1)〜(表6)を用いて、より具体的に説明する。
【0110】
(実施例1)
本発明の実施の一例として、HbA1cラテックス凝集阻止法で検討した際の試薬組成について説明する。また本実施例において抗体はラテックスビーズに標識した状態で使用する。
(a)モノクローナル抗体の作成
免疫原の作製
HbA1cの免疫原の作製については、以下のように実施した。まずHbA1cのβ鎖N末端部位と同等の構造を作製する為に、バリン−ヒスチジン−ロイシン−スレオニン−システイン(以下VHLTCと省略)の配列でアミノ酸を結合され構成されるポリペプチドのバリンに、フルクトースを結合させることにより、フルクトシルVHLTCを作製した。次に免疫原性を高めるために、フルクトシルVHLTCのシステイン残基を介して、縮合試薬N−(6−Maleimidocaproyloxy)succinimideを使用して、チキンγグロブリン(以下CGGと省略)のアミノ基に標識し、この結果得られたフルクトシルVHLTC標識CGGを免疫原とした。
【0111】
1.マウスの免疫
生後約8週のマウス(Balb/c)10匹に対して、前述のように作製した免疫原(フルクトシルVHLTC標識CGG)をエマルジョンにして、1匹当り腹腔内に10μgずつ注入した。この免疫作業は2週間おきに実施した。
【0112】
2.抗体産生のチェック
免疫を5回実施したマウスについて、眼静脈より50〜100μlの血液を遠心管に採取した。血清を遠心分離し、ELISA法による抗体価の評価を行ったところ、全てのマウスについて抗HbA1c抗体の産生が確認された。
【0113】
3.マウスのブースト
前述の抗体価の評価で、特に力価の高かったマウスについて、マウスの脾臓を肥大させるためにブースト(弱い免疫原の注射)を行った。免疫原はフルクトシルVHLTC標識CGG10μg分をPBSで希釈した溶液を使用した。
【0114】
4.細胞融合
ブースト後3日を経過したマウスの脾臓細胞を摘出し、ポリエチレングリコールを用いた常法により、マウス骨髄腫由来細胞と融合した。この融合細胞については、96ウェルプレート上で15%のウシ胎児血清(以下、FCS)を含むHAT培地で培養した。1週間後、15%のFCSを含むHT培地と交換した。
【0115】
5.クローニング
ELISA法による抗体価の測定を行い、力価の高いウェルを選択した。
ウェルあたり1個の細胞が含まれる濃度に希釈(限界希釈)し、96ウェルのマイクロプレートに分注した。プレートのサイズを上げながら培養を進め、適時上清についてELISA法による抗体価測定を繰り返し、HbA1cに対して高い力価を示し、かつ良好な増殖を示している細胞群を最終的に選別した。
【0116】
6.細胞の凍結保存
最終的に選別された細胞は、3×10細胞/mlの濃度で−80℃で凍結した後、液体窒素中に移して長期保存状態にした。
【0117】
7.抗体の評価
得られた細胞を、マウス腹腔内に注入する一般的な手法により、腹水を作製し、proteinAセファロースゲルを充填したカラムにより抗体を精製した。このようにして得られた抗体について、ELISAプレートにコートしたヒトヘモグロビンA1cに対する上記各抗体の結合を阻害するフルクトシルVHLTC標識CGGの半値(インヒビションの半値)は、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号(国際寄託)FERM BP−10795号株由来のモノクローナル抗体 は2×10−10Mである。
(b)ラテックス試薬
積水化学工業(株)製の0.15μmのポリスチレンラテックスを用い、室温にて2時間攪拌を行うことにより前記精製抗体を物理吸着法にて標識を行った。その後、0.5%BSA(シグマ・アルドリッチ社製)/PBS懸濁液中にてブロッキングを行い、その後遠心分離法によって未標識抗体の分離・洗浄を行い、再び0.5%BSA(シグマ・アルドリッチ社製)/PBS懸濁液中で再懸濁を行うことにより抗体のラテックス試薬とした。
(c)凝集試薬
凝集試薬は、コバス試薬HbA1c(ロシュ・ダイアグノスティックス社製)の凝集試薬(合成多価HbA1c抗原)を利用した。
(d)変性試薬
非イオン性界面活性剤を含む方法であり(WO2006/112339)を参考に下記の組成を決定した。
【0118】
1.スクロース・モノカプレート(和光純薬製)/反応時濃度0.25%
2.フェリシアン化カリウム(和光純薬製)/反応時濃度0.25%
(e)希釈液
希釈液は一般的なイオン交換法にて調整された純水を用いた。
【0119】
(実施例2)
以下に、ヘモグロビン濃度測定について検討した実施例を詳細に記す。
(a)分析用デバイスの作成方法
分析用デバイスは本実施の形態1の分析用デバイスに、実施例1に示したラテックス試薬、凝集試薬、変性試薬をそれぞれ、免疫アッセイ室43、凝集反応室46、変性反応室38に凍結乾燥により担持することにより作成した。
(b)混合溶液の調製
試料溶液(血液)は、人から採血した血液を純水を用いて、希釈することにより調整した。
【0120】
混合用液のHb濃度の測定は、和光純薬工業株式会社より販売されている『ヘモグロビンB−テストワコー』を使用して濃度決定を行った。これはSLS−ヘモグロビン法によりヘモグロビンを検出する方法である。
(c)分析用デバイスによるHb測定
試薬を担持した分析用デバイスを用いて、混合室30の上部に注入穴をドリルにより形成し、直接混合溶液を注入した後、注入工をシールした。その後分析用デバイス1を分析装置本体100にセットし、実施例1に記載したとおり混合室30から変性反応室38への移送を行い、変性試薬と1分反応させたときの535nmの吸光度値を検出した。
【0121】
図24は、横軸に混合液のヘモグロビン濃度、縦軸には吸光度をプロットしたものである。結果、本方法により、Hb濃度と吸光度の値が、Hb濃度が、0〜50.0mg/dlの範囲で、比例関係になるので、Hb濃度に応じたHb測定が十分可能であることが示唆された。
【0122】
(実施例3)
以下に、糖化ヘモグロビン(HbA1c)測定について検討した実施例を詳細に記す。
(a)分析用デバイスの作成方法・・・実施例2に記載したとおり
(b)混合溶液の調整
ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社より市販されているコバス試薬糖化ヘモグロビン同封の24.6μMの糖化ヘモグロビン標準液を、純水により希釈することにより、既知の糖化ヘモグロビン濃度の混合液を調整した。
(c)分析用デバイスによる糖化ヘモグロビン測定
試薬を担持した分析用デバイスを用いて、混合室30上部に注入穴をドリルにより形成し、直接に混合溶液を注入した後、注入工をシールした。その後分析用デバイス1を分析装置本体100にセットし、実施例1に記載したとおり混合室30から変性反応室38への移送を行い、その移送の各工程において、変性反応室38で変性試薬と混合溶液を1分反応を行い、免疫アッセイ室43ではラテックス試薬と2分させた際のラテックスブランク(濁度)を625nmで測定、最後に凝集反応させた際の凝集濁度(濁度)を625nmで測定を行った。ラテックスブランクからの凝集濁度の変化量を算出した。
【0123】
図25は、横軸に糖化ヘモグロビン濃度、縦軸に吸光度変化量をプロットした図である。なお、糖化ヘモグロビン濃度をモルからmg/dlにするには、ヘモグロビン分子量を64500として計算を行った。結果、本法により、HbA1c濃度と吸光度の値が、HbA1c濃度が0.1〜10.0mg/dlの範囲(より好ましくは、0.2〜4.0mg/dl)で、ほぼ比例関係になっているので、糖化ヘモグロビンの測定が十分可能であることが示唆された。
【0124】
(実施例4)
以下に、糖化ヘモグロビン/Hbの存在比を測定する方法について検討した実施例を詳細に記す。
(a)分析用デバイスの作成方法・・・実施例2に記載のとおり
(b)試料溶液の調整
試料溶液は、全血を3種類用いた。また(表1)は、その血液検体を糖化ヘモグロビン測定に広く用いられているHPLC法を原理とした東ソー社の自動糖化ヘモグロビン分析計(HLC−723GHbV)にて、糖化ヘモグロビン(%)を測定した結果である。
【0125】
【表1】

(c)分析用デバイスによる測定
分析用デバイス1の試料収容室に前記3種類の血液試料と希釈液をそれぞれ注入し、分析装置本体100にセットし、液体を移送し、535nmでのヘモグロビン誘導体の吸光度と、625nmでの濁度を測定することにより、ラテックスブランク及び、凝集度合いを吸光度により測定した。ヘモグロビン濃度の決定は、測定吸光度により実施例2のヘモグロビン濃度プロットより図24から変性溶液38に含まれるヘモグロビン濃度を算出した。また糖化ヘモグロビン濃度の決定は、濁度の変化量から、図25から凝集溶液63に含まれる糖化ヘモグロビン濃度を算出した。その結果を(表2)に示す。
【0126】
【表2】

(表2)によれば、本分析用デバイス1により糖化ヘモグロビンの占める割合を測定した結果は、あらかじめ東ソー社の自動糖化ヘモグロビン分析計(HLC−732GHbV)にて、糖化ヘモグロビンの占める割合を測定した結果((表1)参照)と非常に近く、本分析用デバイス1によって正確な糖化ヘモグロビン濃度の測定が可能であることが確認された。
【0127】
(実施例5)
以下に、希釈液の定量について、検討した結果を詳細に記す。
(a)分析用デバイスの作成
希釈液は、保存時の蒸発を再現するため、希釈液は300μlデバイスに保持させた状態で、2ヶ月4℃、15℃、25℃、45℃環境で保存した分析用デバイスに、実施例1に示した試薬ラテックス試薬、凝集試薬、変性試薬をそれぞれ、免疫アッセイ室43、凝集反応室46、変性反応室38に凍結乾燥により担持し分析用デバイスとした。今回は比較のため、希釈液定量室14に連結したサイフォン流路の変わりに、混合室30と直接連結させたものを準備し、これを比較例とした(図示せず)。
【0128】
分析結果
実施例2の方法で作成した分析用デバイス1に検体試料を注入し、実施例4に基づいて、糖化ヘモグロビン/Hbの存在比測定の測定を行った。各測定結果のHb値と糖化ヘモグロビン値を図26に示し、(表3)には糖化ヘモグロビン/Hbの存在比の再現性について示している。
【0129】
【表3】

希釈定量を行ったものは、Hb濃度が、13.0〜17.0mg/dlの範囲で、HbA1c濃度の値が、HbA1c濃度が0.6〜0.8mg/dlの範囲となっている。一方、希釈定量を行わなかったものは、Hb濃度が、10.0〜22.0mg/dlの範囲で、HbA1c濃度の値が、HbA1c濃度が0.4〜1.0mg/dlの範囲となり、希釈定量を行わなかったものに比べ、Hb値のばらつきが小さくなった。さらには、希釈定量を行わなかったものは測定CV値が4.8%であったものが、希釈定量を行うと2.4%となり、糖化ヘモグロビン/Hbの存在比の再現性がよくなっていることが確認された。
【0130】
(実施例6)
以下に、試料溶液と各試薬との反応前において、試料溶液の分離工程の有効性について検討した実施例を詳細に記す。
【0131】
分析用デバイスの作成については、実施例2に記載のとおり行った。
同一検体(糖化ヘモグロビン4.8%)の血漿量を変えることにより、Hb濃度が4.0mg/dl、7.1mg/dl、13.7mg/dl、20.9mg/dlのそれぞれ異なる試料血液4種類(検体A、B、C、D)を調製し、これを用いて行った。各Hb濃度については、シスメックスKX−21で検定を行った。検定値と分離工程の有無による混合溶液中のHb濃度を(表4)(表5)(表6)に示す。
【0132】
【表4】

【0133】
【表5】

【0134】
【表6】

まず、分離工程なしの場合には(表4)に示すように、検体A,B,C,Dの混合溶液のHb濃度は、それぞれ、7.8mg/dl、14.1mg/dl、27.4mg/dl、41.6mg/dlとなり、HbA1c濃度は(表5)に示すように、それぞれ、0.30mg/dl、0.72mg/dl、1.34mg/dl、2.00mg/dlとなることから、HbA1c/Hb存在比は(表6)に示すように、それぞれ、3.8%、5.1%、4.8%となった。
【0135】
一方、本実施例の分離工程を有する場合には、検体A,B,C,Dの混合溶液のHb濃度は(表4)に示すように、それぞれ12.5mg/dl、28.4mg/dl、36.1mg/dl、45.3mg/dlとなり、HbA1c濃度は(表5)に示すように、それぞれ0.60mg/dl、1.39mg/dl、1.73mg/dl、2.13mg/dlとなることから、HbA1c/Hb存在比は(表6)に示すように、それぞれ4.8%、4.9%、4.8%、4.7%となった。
【0136】
このことから、分離工程を有する場合の方が、分離工程なしの場合と比べて、当初の混合溶液の糖化ヘモグロビン濃度4.8%にほぼ近い値になり、高精度の結果が得られることがわかる。
【0137】
これは、極端にHb濃度の低い検体Aや検体Bであっても、本実施例のような分離工程を行うことによって濃縮が可能になり濃度が高く維持できるので、濃度が低い場合における測定系に与える悪影響を抑制でき、その結果、分離工程なしの場合の測定できなかった検体のHb/糖化ヘモグロビンの存在比の正確な測定が可能になったものと推測される。
【0138】
(実施例7)
図27は、0.12μm〜0.8μmのラテックス粒子について、遠心前の濁度と45G〜180Gでそれぞれ5分間遠心した後の濁度の変化割合を日本分光(顕微分光光度計 MSV350)により測定した結果である。0.8μmより大きいラテックス粒子は遠心力による沈降の影響を大きく受けて濁度が減少している。その影響度合いは、粒径に大きく依存することが分る。これは、凝集後のラテックス平均粒径についても同様である。
【0139】
ここで、濁度の変化量は、
濁度変化量(%)=( 遠心後の濁度 / 遠心前の濁度 )×100
で算出される。
【0140】
(実施例8)
図28は抗体を感作した粒径0.15nmのラテックス粒子を凝集反応させた後の平均粒径を粒度分布計(シスメック(株)ゼータサイザーナノ)を用いて測定した結果を示している。この結果から、反応後、3分での凝集物の平均粒径は、凝集前のラテックス粒径の2倍以内に収まる。また、好ましくはラテックス試薬に感作された抗体と凝集試薬内の抗原との混合比が抗原過多状態の凝集反応では、経時的な平均粒径の増加がなく、凝集反応の粒径制御がより厳密に行うことができる。さらに、図27より凝集物の平均粒径については、700nm以下であれば、200G以下の遠心力で測定時間1分とした場合の吸光度への影響は2%以下であり高精度測定が可能となる。
【0141】
このように、本発明の分析用デバイスを用いた分析方法によれば、希釈液の定量および混合溶液の定量が確実に行える工程を設け、さらに微量な前記試料溶液を血漿成分(低比重成分)と血球成分(高比重成分)とに確実にする前記分離工程を備え、さらには測定時の移送シーケンスや分析用デバイスの流路パターンを簡略化できることから、免疫反応等の凝集阻止反応を利用した、比色もしくは比濁測定が高精度に行えることになり、特に、ヘモグロビン誘導体(例えば、ヘモグロビンA1c)の濃度を高精度に測定できる。
【0142】
また、血液の分離機構により、全血中のヘモグロビン濃度の個人差を低減することにより、様々な検体の測定を可能にし、かつ測定精度が向上する。
さらに、オペレータの手技の影響を受けることなく、分析用デバイス内で簡便かつ迅速な血液成分の測定を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0143】
本発明は、特に、簡単かつ迅速なヘモグロビン及びヘモグロビンA1cの成分分析の自動測定に使用する分野で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】本発明の実施の形態において分析用デバイスを分析装置本体にセットした状態の要部斜視図
【図2】同実施の形態の分析用デバイスの分解斜視図
【図3】同実施の形態の分析装置本体の外観図
【図4】同実施の形態の分析装置本体の構成図
【図5】同実施の形態の分析装置本体の断面図
【図6】同実施の形態における分析用デバイスの回転停止位置を示す図
【図7】同実施の形態における分析用デバイスの希釈ユニット開封部の平面図と断面図
【図8】同実施の形態における分析用デバイスの注入口周辺の拡大斜視図とその正面図
【図9】同実施の形態における分析用デバイスのマイクロチャネル構成を示す平面図
【図10】同実施の形態における分析用デバイスの断面位置を示す平面図
【図11】同実施の形態における分析用デバイスの各部の断面図
【図12】同実施の形態における分析用デバイスの親水処理位置を示す平面図
【図13】同実施の形態における分析用デバイスの構成図
【図14】同実施の形態における分析用デバイスの注入および分離/計量過程の説明図
【図15】同実施の形態における毛細管キャビティ19を有した分離室18の説明図
【図16】毛細管キャビティ19を有していない比較例の分離室18の作用説明図
【図17】同実施の形態における分析用デバイスの計量過程および混合過程の説明図
【図18】同実施の形態における分析用デバイスの混合過程の説明図
【図19】同実施の形態における分析用デバイスの混合溶液移送と計量過程の説明図
【図20】同実施の形態における分析用デバイスの移送と試薬反応/測定過程の説明図
【図21】同実施の形態における分析用デバイスの移送と試薬反応/測定過程の説明図
【図22】同実施の形態における分析用デバイスの移送と試薬反応/測定過程の説明図
【図23】同実施の形態における分析用デバイスの詳細な構成図
【図24】実施例2におけるヘモグロビン濃度と吸光度との関係図
【図25】実施例3におけるHbA1c濃度と吸光度変化量との関係図
【図26】実施例5における希釈定量の有無による混合溶液中のHb値と糖化ヘモグロビン値の関係図
【図27】実施例7におけるラテックス粒子の遠心前と遠心後の濁度の変化の関係図
【図28】実施例8における抗体を感作したラテックス粒子を凝集反応させた後の平均粒径の経時的な平均粒径の変化図
【図29】従来技術におけるヘモグロビン比濁測定カセットを示した要部断面図
【図30】従来技術におけるマイクロデバイスを示した平面図
【符号の説明】
【0145】
1 分析用デバイス
2 保護キャップ
3 ベース基板
4 カバー基板
5 希釈液収容室
6 開封ボタン
7 開封孔
8 ピン
9 排出孔
10 アルミシール
11 注入口
12,13 キャビティ
14 希釈液定量室
15 サイフォン流路
16 溢流流路
17 試料収容室
18 分離室
19 毛細管キャビティ
20a,20b1,20b2,20c〜20i 空気孔
21,24 連結流路
22 試料溶液溢流室
23 高比重成分定量室
25,26 試料溶液溢流室
27 溢流キャビティ
28 毛細管部
29 希釈液溢流室
30 混合室
31 リブ
32 保持キャビティ
33 毛細管部
34 連結流路
35 混合溶液定量室
36 溢流流路
37 サイフォン流路
38 変性反応室(測定スポット)
39 変性溶液定量室
40 毛細管キャビティ
41 連結流路
42 リブ
43 免疫アッセイ室(測定スポット)
44 免疫アッセイ定量室
45 連結流路
46 凝集反応室(測定スポット)
56 親水処理位置
57 血液(試料液)
57a 血漿成分
57b 血球成分
58 キャビティ
59 連結部
60 混合溶液
61 変性溶液
62 免疫アッセイ溶液
63 凝集溶液
64 毛細管キャビティ
100 分析装置本体
101 蓋
102 軸心
103 分析用デバイス保持部材
104 モータ
105 レーザー光源
106 フォトディテクタ
107 回転駆動手段
108 制御手段
109 光学測定手段
110 演算部
111 表示部
150 試料液採取部
151 希釈液保持部
152 分離部
153 希釈液計量部
154 混合部
155 測定部
C1 左回転
C2 右回転
θ 傾斜角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料液を遠心力によって測定スポットに向かって移送するマイクロチャネル構造を有し、前記測定スポットにおける反応液にアクセスする読み取りに使用される分析用デバイスを用いた分析方法であって、
前記試料液と前記試料液中の特定成分と特異的に反応する抗体を感作したラテックス試薬を免疫反応させ、これを凝集試薬によって凝集処理して前記反応液を作成し、この反応液に前記分析用デバイスの回転中にアクセスして測定する
分析用デバイスを用いた分析方法。
【請求項2】
前記ラテックス試薬の粒径平均値が0.3μm以下であることを特徴とする
請求項1に記載の分析用デバイスを用いた分析方法。
【請求項3】
前記ラテックス試薬に感作された抗体と凝集試薬内の抗原との混合比が抗原過多であることを特徴とする
請求項1に記載の分析用デバイスを用いた分析方法。
【請求項4】
前記ラテックス試薬と前記凝集試薬による反応後3分以内の凝集物粒径の平均値が700nm以下であることを特徴とする
請求項1に記載の分析用デバイスを用いた分析方法。
【請求項5】
前記抗体が独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号FERM BP−10795号から産出されるモノクローナル抗体であることを特徴とする
請求項1に記載の分析用デバイスを用いた分析方法。
【請求項6】
前記凝集物にかかる測定中の遠心力が200G以下であることを特徴とする
請求項4に記載の分析用デバイスを用いた分析方法。
【請求項7】
前記免疫反応が前記試料液と分析用デバイス内で計量された希釈液とを混合した混合溶液に対してラテックス試薬を反応させていることを特徴とする
請求項1に記載の分析用デバイスを用いた分析方法。
【請求項8】
前記試料液が血液であり、前記血液中の血球成分を遠心力によって濃縮した後、濃縮された血球成分を含む血液を一定量採取して前記希釈液と混合させることを特徴とする
請求項7に記載の分析用デバイスを用いた分析方法。
【請求項9】
前記混合溶液を更に計量してから前記ラテックス試薬と反応させることを特徴とする
請求項7に記載の分析用デバイスを用いた分析方法。
【請求項10】
前記試料液中の特定成分が前記ラテックス試薬と免疫反応できるように前記試料液を変性試薬によって変性させることを特徴とする
請求項1に記載の分析用デバイスを用いた分析方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2009−180688(P2009−180688A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−22195(P2008−22195)
【出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】