説明

分泌されたポリペプチドの生産

【課題】細胞内でのポリペプチドの分泌を改良する新規なアプローチの提供。
【解決手段】少なくとも一つのペプチド輸送蛋白質を発現する細胞内でポリペプチドの分泌を増加させる方法であって、細胞内の少なくとも一つのペプチド輸送蛋白質を不活性化し;そしてポリペプチドの発現及び分泌に適した条件下で細胞を培養することを含む方法。細胞が植物細胞、真菌細胞、グラム陰性微生物、エシェリヒア科、グラム陽性微生物、バチルス科であり、ポリペプチドがホルモン、酵素、成長因子及びサイトカインからなる群から選択される方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、蛋白質、特定すれば、異種の分泌された蛋白質の生産の増加及びペプチド輸送活性を阻害された細胞に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
異種ポリペプチドの分泌は産業において広く使用される技術である。細胞は、分泌される目的の異種ポリペプチドをコードする核酸により形質転換することができ、それにより、所望のポリペプチドを大量に生産する。この技術は天然に生成されるよりも大量のポリペプチドを生産できる。目的のポリペプチドは多くの産業上の利用性を有し、治療用用途及び農業用用途、並びに食物、化粧品、洗浄組成物、動物の餌等を含む。
【0003】
即ち、ポリペプチドの分泌の増加が目的である。ポリペプチドのペリプラズム空間又はそれらの培養培地への分泌は、様々なパラメーターに供される。典型的には、目的のポリペリプラズムの分泌のためのベクターを操作することにより、目的のDNAをコードするDNAの5’に、分泌シグナル配列をコードするDNAを配置させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
分泌を増加させる試みは、以下の3つのエリアの一つにしばしば該当する:いくつかの異なるシグナル配列を試験すること(trying)、シグナル配列を変異させること、及び宿主内で分泌経路を変更すること。いくつかの成功が上記の方法において見いだされたが、一般に、それらは時間を浪費し、そして新規な方法が望まれる。よって、解決するべき課題は、シグナル配列を変更することに対して単に依存することなく、如何にしてより多くの蛋白質を生産すること及び/又は分泌することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、細胞内でのポリペプチドの分泌を改良する新規なアプローチを提供する。また、本明細書に提供されるポリペプチドの分泌の方法に有用な新規な組成物、及びそのような組成物を作成する方法も本明細書において提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1A】図1A及び1Bは、dciAオペロンをコードする核酸の一態様を示し(配列番号:1)、その中でdciAAとdciAEをコードするヌクレオチドはそれぞれ下線を引くか又は太字で示されている。
【図1B】図1A及び1Bは、dciAオペロンをコードする核酸の一態様を示し(配列番号:1)、その中でdciAAとdciAEをコードするヌクレオチドはそれぞれ下線を引くか又は太字で示されている。
【図2】図2は、図1A及び1Bに示された核酸配列のヌクレオチド210−1034によりコードされるdciAAのアミノ酸配列の一態様を示し、その中で、本明細書に提供された不活性dciAAの一つの態様においては下線を引かれたアミノ酸が除かれる。
【図3】図3は、図1A及び1Bに示された核酸配列のヌクレオチド1051−1977によりコードされるdciABのアミノ酸配列の一態様を示す。
【図4】図4は、図1A及び1Bに示された核酸配列のヌクレオチド1983−2945によりコードされるdciACのアミノ酸配列の一態様を示す。
【図5】図5は、図1A及び1Bに示された核酸配列のヌクレオチド2950−3957によりコードされるdciADのアミノ酸配列の一態様を示す。
【図6】図6は、図1A及び1Bに示された核酸配列のヌクレオチド3978−5609によりコードされるdciAEのアミノ酸配列の一態様を示し、その中で、本明細書に提供された不活性dciAAの一つの態様においては下線を引かれたアミノ酸が除かれる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
発明の概要
発明の一つの側面において、細胞内でポリペプチドの分泌を増加させる方法を提供する。好ましい態様において、選択された上記細胞は少なくとも一つのペプチド輸送蛋白質を発現するはずである。一つの態様において、上記方法は、上記細胞内で少なくとも一つのペプチド輸送蛋白質を不活性化し、そして上記ポリペプチドの発現及び分泌に適した条件下で上記細胞を培養することを含む。
【0008】
本明細書にて提供された方法は、様々な細胞種においてポリペプチドを生産又は分泌するのに適合できる。例えば、上記細胞は、植物細胞、真菌細胞、グラム陰性微生物及びグラム陽性微生物からなる群から選択され得る。一つの態様において、上記細胞はグラム陰性微生物、好ましくはエシェリヒア科のメンバーである。別の態様において、上記細胞はグラム陽性微生物、好ましくはバチルス(Bacillus)科のメンバーである。好ましい態様において、上記細胞はグラム陽性微生物であり、且つバチルス科のメンバーであって、但し上記バチルス科のメンバーは、バチルスリケニフォルミス(B.licheniformis)、バチルスレンタス(B.lentus)、バチルスブレビス(B.brevis)、バチルスステアロサーモフィルス(B.stearothermophilus)、バチルスアルカロフィルス(B.alkalophilus)、バチルスアミロリクエファシエンス(B.amyloliquefaciens)、バチルスコアグランス(B.coagulans)、バチルスサーキュランス(B.circurans)、バチルスラウタス(B.lautus)、バチルスサリンジェネシス(B.thuringiensis)、バチルスメタノリカス(B.methanolicus)及びバチルスアンスラシス(B.anthracis)からなる群から選択される。
【0009】
本明細書に提供される方法により分泌又は生産されるポリペプチドはあらゆるポリペプチドであり得る。好ましい態様において、それは異種ポリペプチドである。一つの側面において、上記ポリペプチドは、ホルモン、酵素、成長因子及びサイトカインからなる群から選択される。一つの態様において、上記ポリペプチドは酵素であり、好ましくはプロテアーゼ、カーボヒドラーゼ、レダクターゼ、リパーゼ、イソメラーゼ、トランスフェラーゼ、キナーゼ、ホスファターゼ、セルラーゼ、エンド−グルコシダーゼH、オキシダーゼ、アルファ−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、リグノセルロースヘミセルラーゼ、ペクチナーゼ及びリグニナーゼからなる群から選択される。一つの態様において、上記ポリペプチドは、バチルスアンスラシスプロテアーゼ、好ましくはズブチリシンである。別の態様において、上記ポリペプチドはアミラーゼ、好ましくはバチルスアミラーゼである。
【0010】
ペプチド輸送蛋白質は様々な蛋白質であり得、そして様々な様式において不活性化できる。一つの側面において、上記ペプチド輸送蛋白質は、dciAオペロンの遺伝子産物であり、そして好ましくはdciAE遺伝子の遺伝子産物である。上記蛋白質は蛋白質レベル又は核酸レベルにおいて不活性化され得る。一つの側面においては、上記蛋白質をコードする遺伝子が変異されたために、上記蛋白質が不活性化される。別の態様においては、上記遺伝子を含むオペロンを変異させた。上記変異は様々な様式において引き起こされることができ、一つ又は複数のフレームシフト、挿入、置換又は欠失、あるいはそれらの組み合わせを含む。欠失は一つのヌクレオチドの欠失又はそれ以上であり、全遺伝子の欠失を含む。
【0011】
発明の別の側面においては、細胞内でポリペプチドを生産する方法が提供され、生産されるポリペプチドをコードする核酸を含む細胞を得るが、細胞はペプチド輸送オペロンを含み、但し当該オペロンの少なくとも一つの遺伝子産物が上記細胞内で不活性化されており、そして上記ポリペプチドが生産されるように発現に適した条件下で上記細胞を培養する工程を含む。好ましくは、上記ペプチド輸送オペロンがdciAオペロンである。上記オペロンの遺伝子産物は核酸レベル又は蛋白質レベルにおいて不活性化され得る。好ましくは、不活性化された遺伝子産物がdciAA又はdciAEによりコードされる。
【0012】
発明の別の側面において、本明細書において提供されるのは、ペプチド輸送オペロンを含む細胞であり、但し、当該オペロンは上記細胞が増加したポリペプチドの分泌を有するように変異されている。好ましい態様において、上記オペロンはdciAオペロンである。一つの態様において、上記オペロンは、dciAA及び/又はdciA遺伝子の遺伝子産物を不活性化するように変異されている。
【0013】
発明の詳細な説明
発明の一つの側面において、細胞内でポリペプチドの生産及び/又は分泌を増加させる方法が提供される。好ましい態様において、上記方法のために選択される細胞は少なくとも一つのペプチド輸送蛋白質を発現する。好ましくは、選択された細胞は上記ペプチド輸送蛋白質を内在性に発現するが、しかしながら、上記細胞は上記蛋白質を発現するように形質転換することができる。一つの態様において、上記方法は、上記細胞内で少なくとも一つのペプチド輸送蛋白質を不活性化することを含む。上記方法は、さらに、上記ポリペプチドの発現及び分泌のために適した条件下で上記細胞を培養することを含む。
【0014】
本明細書にて用いられる「ペプチド輸送蛋白質」は、ペプチド輸送に関与する蛋白質を意味する。ペプチド輸送に関与する蛋白質はペプチド輸送活性を有すると考えられる。一つの態様において、ペプチド輸送蛋白質は、ジペプチド又はオリゴペプチドの輸送、好ましくはジペプチドの輸送に関与する蛋白質を含む。一つの態様において、本明細書に記載されたペプチド輸送蛋白質又は系により輸送されるペプチドは2−10アミノ酸の長さ、好ましくは2−8、そしてより好ましくは2−6のペプチドを含む。好ましい態様において、オリゴペプチドは3−7アミノ酸の長さであり、好ましくは5又は6アミノ酸の長さであり、そしてジペプチドは2つのアミノ酸である。
【0015】
不活性化されるペプチド輸送蛋白質は、蛋白質の移入(import)に関与することが好ましい。以下においてさらに議論されるとおり、不活性化は、様々な様式において、且つ個々の変異又は変異の組み合わせによりおこり得る。ペプチド輸送系は、ペプチドを移出及び/又は移入することにおいて活性を含み得る。本明細書における好ましい態様において、ペプチド輸送活性は遮断される。好ましくは、ペプチド輸送系によりペプチドの移入を低下させるか又は排除する。ペプチド輸送蛋白質は、当業界において公知であり、そして以下において議論されて当業界において公知のペプチド輸送オペロンによりコードされる蛋白質又は遺伝子産物を含む。
【0016】
本明細書において使用される「オペロン」は、同じプロモーターにより全て制御される遺伝子のクラスターを意味する。ペプチド輸送オペロンはペプチド輸送蛋白質をコードする少なくとも一つの遺伝子を含む。ペプチド輸送オペロンは、oppオペロン及びdciAオペロン及びそれらの相同体を含む。本明細書中の一つの態様において、ペプチド輸送オペロンは、oppオペロンを除外する。本明細書中の別の態様において、ペプチド輸送蛋白質は、oppオペロンによりコードされる蛋白質を除外する。
【0017】
oppオペロンは、胞子形成の開始及び遺伝子応答能の発生に必要なオリゴペプチドパーメアーゼをコードすると報告された(Rudner et al,1991,Journal of Bacteriology,173:1388−1398)。oppオペロンは3から5のアミノ酸のオリゴペプチドの移入又は移出に関与するATP結合性カセットトランスポーターのファミリーのメンバーである。oppオペロンには5つの遺伝子産物がある:oppAはリガンド結合蛋白質であって脂質アンカーにより細胞の外側に付着しており;oppBとoppCは上記リガンドが輸送されることを通して複合体を形成する膜蛋白質であり;oppDとoppF(Perego et al.,1991;Mol.Microbiol.5:173−185)は、輸送のためのエネルギーを供給すると考えられたATPアーゼである(LeDeaux,J.R.,et al.,1997,FEMS Microbiology Letters 153:63−69)。oppオペロンはRudnerら、1991,J.Bacteriol.173:1388−1398によると、SpoOKとも呼ばれる。
【0018】
oppオペロンは、Podbielskiら、1996,Molecular Microbiology 21:1087−1099及びTynkkynenら、1993,Journal of Bacteriology 175:7523−7532にも開示されている。機能するoppオペロンの存在又は不在に関する一つのアッセイは、3アミノ酸の毒性オリゴペプチドの存在下、例えば2つのL−アラニン分子とL−グルタミン酸類似体からなるトリペプチド、バイアラフォス(Bialaphos)(明治製菓、日本)の存在下での生育に、宿主を供することである。機能性oppオペロンを有する細胞は阻害された生育を伴うことになる。oppオペロン遺伝子クラスターの少なくとも一つの遺伝子に変異を有する細胞は、毒性オリゴペプチドの存在下で生育阻害を示さなくなる。
【0019】
さらに、ペプチド輸送オペロン及びそのペプチドに関して、サルモネラティフィミリウム(Salmonella typhimurium)のoppA,B,C,D,Fが、さらに、Hilesら、1987 J.Mol.Biol 195:125−142に報告されている。バチルスサチルス(Bacillus subtilis)のoppA,B,C,D,Fは、さらに、Pergo,M.,ら、Mol Microbiol 1991,5,173−185及びRudner,D.Z.,ら、J.Bacteriol 1991,173(4):1388−1398に報告されている。エシェリヒアコリ(E.coli)のoppA,B,C,D,Eは、さらに、Guyerら、1985 J.Biol Chem 260:10812−10816に報告されている。また、ストレプトコッカスニューモニエ(Streptococcus pneumonia)のamiAの報告もなされた(Alloing,G 1994,J Mol Biol 241(1):44−58)。バチルスサチルスのappA,B,C,D,Eは、Koide A.et al Mol Microbiol 1994 13(3):417−426に報告されている。さらに、エシェリヒアコリ及びサルモネラティフィミリウムのdppAAが、Abouhamad et al 1991 Mol Microbiol 5(5):1035−1047に報告されている。さらに、ストレプマイセスコエリカラー(Streptomyces coelicolor)のBldA,B,C,D,Eが、Nodwell,J.R.et al Mol Microbiol 1996,22(5):881−93に報告されている。ストレプトコッカスのoppAが、Podielski,A et al Mol Microbiol 1996,21(5):1087−1099に報告されている。さらに、サルモネラティフィミリウムのTppA,B,C,D,Eが、Gibson,M.M.et al.,J.Bacteriol 1984 160:122−130に報告されている。さらに、oppAがクラミジアニューモニエ(Chlamydia pneumonia)からも得られるかもしれないと報告されている。
【0020】
ペプチド輸送オペロン又はその蛋白質を得ることができる生物は、限定ではないが、アキュイフェックスエオリカス(Aquifex aeolicus)、アルケオグロバスフルギヅス(Archaeoglobus fulgidus)、エアロピラムペルニクス(Aeropyrum pernix)、ボルデテラパーツーシス(Bordetella pertussis)、バチルスサチルス、クロストリジウムアセトブチリカム(Clostridium acetobutylicum)、カンピロバクタージェジュニ(Campylobacter jejuni)、クロロビウムテピダム(Chlorobium tepidum)、クラミジアニューモニエ(Chlamydia Pneumoniae)CWL029、クラミジアトラコマティスセロバー(Chlamydia trachomatis Serovar)D、クロストリジウムジフィシレ(Clostridium difficile)、コリネバクテリウムジフテリア(Corynebacterium diphtheriae)、デイノコッカスラジオヂュランス(Deinococcus radiodurans)、エシェリヒアコリ、エンテロコッカスフェーカリス(Enterococcus faecalis)、ヘモフィルスインフルエンザ(Haemophilus influenzae)、ヘリコバクターピロリ(Hecilobacter pylori)、クレブシエラニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、ミコバクテリウムレプレ(Mycobacterium leprae)、シュードモナスエルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、ピロコッカスフリオサス(Pyrococcus furiosus)、ピロコッカスホリコシ(Pyrococcus horikoshii)、ピロコッカスアビシ(Pyrococcus abysii)、ロドバクターカプスラタス(Rhodobacter capsulatus)、ストレプトコッカスピオゲネス(Streptococcus pyogenes)及びサルモネラティフィミリウムを含む。
【0021】
dciAは報告されており、例えばSlack,et al.,Mol Microbiol(1991)5(8),1915−1925及びMathlopoulos,et al.,Mol Microbiol(1991)5(8),1903−1913を参照されたく、バチルスにおけるジペプチド輸送オペロンとして報告された。このオペロンが報告されたが、各遺伝子産物の機能は、過去においてよく特性決定されていなかった。本明細書においては、dciAオペロンの蛋白質の機能が提供され、遺伝子産物が不活性化される機能特性を含む。
【0022】
一つの態様において、dciAAはペプチド輸送蛋白質であり、そしてdciAAの不活性化は増加したポリペプチドの生産及び/又は分泌を導く。別の態様において、dciAEの不活性化は、低下したペプチド輸送及び増加したポリペプチド生産及び/又は分泌を導く。好ましい態様において、dciAAはRNA結合活性を有する。dciAA,dciAB,dciAC,dciAD及びdciAEの態様をそれぞれ図2−6に示す。dciAはエシェリヒアコリのdppに相同性を有する。Olson et al.,J Bacteriol 173:234−244(1991);Kawarabayasi,Y.,Journal DNA Res.5(2),55−76(1998)。
【0023】
上記のものに加え、ペプチド輸送オペロンの相同体、ペプチド輸送遺伝子及びペプチド輸送蛋白質は、多数の方法により同定することができる。一つの態様において、核酸は、それが上で議論されたペプチド輸送活性を有する蛋白質をコードするなら、「蛋白質輸送遺伝子」である。好ましくは、上記核酸配列の全体の相同性は、図1に示すdciA遺伝子、即ちdciAA,dciAB,dciAC,dciAD又はdciAEの一つと、好ましくは約60%より高く、より好ましくは約75%より高く、より好ましくは約80%より高く、さらにより好ましくは約85%より高く、そしてもっとも好ましくは約90%より高い。いくつかの態様においては、相同性が約93から95又は98%ほどに高くなる。好ましくは、上記蛋白質は、図2、3、4、5、又は6に示すアミノ酸配列に対して、約40%より高く、より好ましくは約60%より高く、より好ましくは約75%より高く、さらにより好ましくは約80%より高く、さらに一層より好ましくは約85%より高く、そしてもっとも好ましくは約90%より高い全体の相同性を有する。いくつかの態様においては、相同性が約93から95又は98%ほどに高くなる。
【0024】
本明細書において使用される相同性は、配列類似性又は同一性に関してであり、同一性が好ましい。この相同性は当業界公知の標準技術を用いて決定され、限定ではないが、Smith & Waterman,Adv.Appl.Math.2:482(1981)の局所性相同アルゴリズムを含み、Needleman & Wunsch,J.Mol.Biool.48:443(1970)の相同性整列化アルゴリズムによるか、Pearson & Lipman,PNAS USA 85:2444(1988)の類似性に関する研究法によるか、これらのアルゴリズムのコンピューター化実行(ウイスコンシンジェネティックスソフトウエアパッケージ、ジェネティックスコンピューターグループ、575サイエンスドライブ、マジソン、WIのGAP,BESTFIT,FASTA及びTFASTA)によるか、Devereux et al.,Nucl.Acid Res.12:387−395(1984)により記載されたBest Fit配列プログラムによるか、好ましくは欠点セッティングを用いるか、又は視察(inspection)による。
【0025】
有用なアルゴリズムの一例はPILEUPである。PILEUPは、前進性の対をなす整列化を用いた関連配列のグループからの複数の配列整列化を創製する。それは、整列化を創製するために使用されるクラスター化の関係を示す木をプロットすることもできる。PILEUPは、Feng & Doolittle,J.Mol.Evol.35:351−360(1987)の前進性整列化法の簡単なものを使用する;当該方法はHiggins & Sharp CABIOS 5:151−153(1989)に記載された方法と類似している。有用なPILEUPのパラメーターは3.00の欠点ギャップウエイト、0.10の欠点ギャップ長さ、及び重くされた末端ギャップを含む。
【0026】
有用なアルゴリズムの別の例は、Altschul et al.,J.Mol.Biol.215,403−410,(1990)及びKarlin et al.,PNAS USA 90:5873−5787(1993)に記載されたBLASTアルゴリズムである。特に有用なBLASTプログラムはWU−BLAST−2プログラムであり、Altschul et al.,Methods in Enzymology,266:460−480(1996);http://blast.wustl/edu/blast/REACRCE,html]から得られる。WU−BLAST−2はいくつかの検索パラメーターを用い、それらのほとんどが欠点値に対して設定される。調整可能なパラメーターは以下の値を用いて設定される:オーバーラップスパン=1、オーバーラップフラクション=0.125,ワード閾値(T)=11。HSP S及びHSP S2パラメーターは流動する値であり、目的の配列が検索されている特定の配列の組成及び特定のデータベースの組成にそれ自身が依存するプログラムにより確立される;しかしながら、上記値は感度を増加させるために増加させてよい。%アミノ酸配列同一性の値は、整列化された領域内の「より長い」配列の残基の全部の数で、適合する同一残基の数を割ることにより、測定される。「より長い」配列は整列化された領域内においてもっとも真の(actual)残基を有する配列である(整列化スコアを最大にするためにWU−Blast−2により導入されたギャップを無視する)。
【0027】
即ち、「パーセント(%)核酸配列同一性」は、核酸の図に示される配列のヌクレオチド残基と同一の候補配列内のヌクレオチド残基のパーセンテージとして定義される。好ましい方法は、欠点パラメーターに対して設定されたWU−BLAST−2のBLASTNモードを利用し、オーバーラップスパンとオーバーラップフラクションをそれぞれ1と0.125に設定する。
【0028】
整列化は、整列される配列内のギャップの導入を含んでよい。さらに、核酸の図の配列よりも多いか又は少ないヌクレオシドを含む配列に関しては、ヌクレオシドの全数に関して相同なヌクレオシドの数に基づいて相同生のパーセンテージが決定されることになる。即ち、例えば、本明細書において同定されて以下に議論される配列の相同性よりも低い配列相同性は、短い配列内のヌクレオシドの数を用いて決定されることになる。
【0029】
一つの態様において、ペプチド輸送遺伝子又は蛋白質はハイブリダイゼーション研究を用いて測定される。即ち、例えば、図の中で同定された核酸配列に対して高いストリンジェンシーにてハイブリダイズする核酸(オペロンのそれ、その個々の遺伝子又はその断片)、又は相補体は本明細書中の一つの態様においてペプチド輸送遺伝子と考えられる。高いストリンジェンシー条件は当業界で知られている;例えば、Maniatis et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2d Edition,1989,及びShort Protocols in Molecular Biology,編纂Ausubel,et al.を参照されたく、両者は引用により本明細書に編入される。ストリンジェンシーの条件は、配列依存性であり、そして異なる状況下では異なる。長い配列は高い温度において特異的にハイブリダイズする。核酸のハイブリダイゼーションに対する広範囲のガイドは、Tijssen,Techniques in Biochemistry and Molecular Biology−Hybridization with Nucleic Acid Probes,”Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid assays”(1993)に見いだされる。一般に、ストリンジェンシーの条件は、規定されたイオン強度のpHにおける特定の配列に関しての熱融点(Tm)より約5−10C低いように選択される。Tmは標的に対して相補なプローブの50%が平衡して標的配列にハイブリダイズする温度である(期待されたイオン強度、pH及び核酸濃度下で)(標的配列が過剰に存在すればTmにおいてプローブの50%が平衡して占有される。)。ストリンジェンシーの条件は、塩濃度が約1.0Mナトリウムイオンより低い条件になり、典型的にはpH7.0から8.3にて約0.01から1.0Mナトリウムイオン濃度(又は他の塩)であり、そして温度は短いプローブ(例えば、10から50ヌクレオチド)に関して少なくとも約30Cであり、そして長いプローブ(例えば、50より長いヌクレオチド)に関しては少なくとも約60Cである。ストリンジェンシーの条件は脱安定化剤、例えばフォルムアミドの添加により達成してもよい。
【0030】
別の態様においては、低いストリンジェンシー条件を用いる;例えば、中度又は低度のストリンジェンシー条件を用いてよく、当業界では知られている;Maniatis and Ausubel,前記、及びTijssen,前記を参照されたい。
【0031】
本明細書に提供される遺伝子及び蛋白質の天然に生じる対立遺伝子バリアントを本発明の方法において使用してもよい。
ペプチド輸送遺伝子、オペロン、蛋白質又はペプチドの輸送オペロン遺伝子及び蛋白質の相同体を発見するための上記技術を用いることに加えて、Dieffenbach CW and GS Dveksler(1995,PCR Primer,a Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press,Plainview NY)に記載されたようなポリメラーゼチェイン反応(PCR)技術において実施された、本明細書にて提供されたような配列の断片の標準の増幅を使用してよい。本明細書にて提供されるオペロン遺伝子からの少なくとも約10のヌクレオチド及び多くて約60ヌクレオチドの核酸配列、好ましくは約12から30ヌクレオチド、そしてより好ましくは約20−25ヌクレオチドを、プローブ又はPCRプライマーとして使用することができる。
【0032】
本明細書にて使用される用語「核酸」は、一本鎖又は二本鎖の何れかの形態のデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチド及びそれらのポリマーを意味する。特に限定しない限り、当該用語は、基準(reference)核酸と同じ結合特性を有し、そして天然に生じるヌクレオチドに類似の様式にて代謝される天然ヌクレオチドの公知のアナログを含む核酸を包含する。他に示さなければ、特定の核酸配列は、その便利に修飾されたバリアント(例えば、コドンの置換を縮重する)及び相補配列をも明確に包含し、そして同じく配列が明確に示される。特定すれば、縮重コドンの置換は、一つ又は複数の選択された(又は全ての)コドンを混合された塩基及び/又はデオキシイノシン残基により置換するように配列を生じさせることにより、達成してよい(Batzer et al.,Nucleic Acid Res.19:5081(1991);Ohtsuka et al.,J.Biol.Chem.260:2605−2608(1985);Cassol et al.,1992;Rossolini et al.,Mol.Cell.Probes 8:91−98(1994))。核酸なる用語は、遺伝子、cDNA、及び遺伝子によりコードされるmRNAと交換可能に使用される。
【0033】
本明細書にて使用される「蛋白質」は、蛋白質、ポリペプチド、及びペプチドを含む。当業者には認識されるとおり、発明の核酸配列を用いて蛋白質配列を生成することができる。好ましいペプチド輸送蛋白質は、不活性化の前にペプチド輸送活性を有し、そして/又はペプチド制御オペロンにより制御される。
【0034】
本明細書に提供される方法は、真核生物及び原核生物を含む様々な細胞種におけるポリペプチドの生産又は分泌に適用可能である。例えば、上記細胞は、植物細胞、哺乳類細胞、御中細胞、グラム陰性微生物及びグラム陽性微生物からなる群から選択することができる。
【0035】
本明細書にて使用される真菌細胞又は真菌は、キトリジオミセテス(Chytridiomycetes)、ハイフォキトリジオミセテス(Hyphochytridiomycetes)、プラズモジオフォロミセテス(Plasmodiophoromycetes)、オーミセテス(Oomycetes)、ジゴミセテス(Zygomycetes)、トリコミセテス(Trichomycetes)、アスコミセテス(Ascomycetes)及びバシディオミセテス(Basidiomycetes)を含む。一つの態様においては、繊維状真菌を使用する。繊維状真菌の様々な種を発現宿主として使用してよく、以下の属を含む:アスペルギルス(Aspergillus)、トリコデルマ(Trichoderma)、ニューロスポラ(Neurospora)、ペニシリウム(Penicillium)、セファロスポリウム(Cephalosporium)、アクルヤ(Achlya)、ファネロケーテ(Phanerochaete)、ポドスポラ(Podospora)、エンドチア(Endothia)、ムコア(Mucor)、フサリウム(Fusarium)、フミコラ(Humicola)、コクリオボラス(Cochliobolus)及びフィリクラリア(Pyricularia)。一つの態様は、ペニシリウムクリソゲナム(Penicillium chrysogenum)を含む。一つの態様は、フサリウムソラニ(Fusarium solani)を含む。特定の発現宿主は、A.ニジュランス(nidulans)(Yelton,M.et al.(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81,1470−1474;Mullaney,E.J.et al.(1985)Mol.Gen.Genet.199,37−45;John,M.A.and J.F.Peberdy(1984)Enzyme Microb.Technol.6,386−389;Tilbum,et al.(1982)Gene 26,205−211;Ballance,D.J.et al.(1983)Biochem.Biophys.Res.Comm.112,284−289;Johnston,I.L.et al.(1985)EMBO J.4,1307−1311)、A.ニガー(niger)、(Kelly,J.M.and M.Hynes(1985)EMBO 4,475−479)、A.アワモリ(awamori)、例えばNRRL 3112,ATCC 22342,ATCC 44733,ATCC 14331及び株UVK 143f、A.オリザエ(oryzae)、例えば、ATCC 11490,N.クラッサ(crassa)(Case,M.E.et al.(1979)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 76,5259−5263;Lambowitz 米国特許第4,486,553号;Kinsey,J.A.and J.A.Rambosek(1984)Molecular and Cellular Biology 4,117−122;Bull,J.H.and J.C.Wooton(1984)Nature 310,701−704),トリコデルマリーセイ(Trichoderma reesei)、例えばNRRL 15709,ATCC 13631,56764,56765,56466,56767,及びトリコデルマビリデ(Trichoderma viride)、例えばATCC 32098及び32086を含む。
【0036】
別の態様においては、ポリペプチドの生産又は分泌のために酵母細胞を利用するか又は提供する。酵母は、ここにおいて適しており、限定ではないが、メタノール上で成育可能な酵母を含み、ハンセヌラ(Hansenula)、カンジダ(Candida)、クロエケラ(Kloeckera)、ピキア(Pichia)、サッカロミセス(Saccharomyces)、トルロプシス(Torulopsis)及びロドトルラ(Rhodotorula)からなる群から選択される。このクラスの酵母の例である特定の種のリストは、C.Anthony,The Biochemistry of Methylotrophs,269(1982)に見いだしてよい。例えば、カンジダ種は限定ではないが、カンジダアルビカンス(Candida albicans)、カンジダトロピカリス(Candida tropicalis)、カンジダ(トルロプシス)グラブラタ(glabrata)、カンジダパラプシロシス(Candida parapsilosis)、カンジダルシタネア(Candida lusitaneae)、カンジダルゴサ(Candida rugosa)及びカンジダシュードトロピカリス(Candida pseudotropicalis)を含む。
【0037】
一つの態様において、ここで利用されるか又は提供される細胞は、グラム陰性微生物である。一つの態様において、上記細胞は、腸内細菌由来であり、例えばエシェリヒア、例えば、エシェリヒアコリ、エンテロバクター、エルウイニア(Erwinia)、クレブシエラ、プロテウス、サルモネラ、例えば、サルモネラティフィミリウム、セラチア、例えば、セラチアマルセスカンス(Serratia marcescans)、シゲラ又はシュードモナス、例えばシュードモナスエルギノーサ(P.aeruginosa)である。
【0038】
別の態様において、上記細胞は、グラム陽性微生物、好ましくはバチルス科のメンバーであるが、他のグラム陽性細胞、例えばストレプトミセス由来の細胞を用いることができる。好ましい態様において、上記細胞はグラム陽性微生物であり、そしてバチルス科のメンバーであり、バチルス科のメンバーは、バチルスリケニフォルミス、バチルスレンタス、バチルスブレビス、バチルスステアロサーモフィルス、バチルスアルカロフィルス、バチルスアミロリクエファシエンス、バチルスコアグランス、バチルスサーキュランス、バチルスラウタス、バチルスサリンジェネシス、バチルスメタノリカス及びバチルスアンスラシスからなる群から選択される。
【0039】
本明細書に提供される方法により分泌又は生産されるポリペプチドは、興味のある如何なるポリペプチドでもあり得る。好ましい態様において、それは異種(heterologous)ポリペプチドである。あるいは、上記蛋白質は異種同形(homologous)であり、以下に議論されるとおりである。
【0040】
一つの側面において、生産され及び/又は分泌されるポリペプチドは、ホルモン、酵素、成長因子及びサイトカインからなる群から選択される。一つの態様において、ポリペプチドは酵素である。本明細書にて使用される酵素は、限定ではないが、(i)オキシドレダクターゼ;(ii)一炭素基を転移させるトランスフェラーゼ(例えば、メチルトランスフェラーゼ、ヒドロキシメチル−、フォルミル−、及び関連トランスフェラーゼ、カルボキシル−及びカルバモイルトランスフェラーゼ、アミジノトランスフェラーゼ)、アルデヒド又はケトン残基を転移させるトランスフェラーゼ、アシルトランスフェラーゼ(例えば、アシルトランスフェラーゼ、アミノアシルトランスフェラーゼ)、グリコシルトランスフェラーゼ(例えば、ヘキソシルトランスフェラーゼ、ペントシルトランスフェラーゼ)、アルキル又は関連基を転移させるトランスフェラーゼ、窒素含有基を転移させるトランスフェラーゼ(例えば、アミノトランスフェラーゼ、オキシミノトランスフェラーゼ)、リン含有基を転移させるトランスフェラーゼ(例えば、ホスホトランスフェラーゼ、ピロホスホトランスフェラーゼ、ヌクレオチジルトランスフェラーゼ)、イオウ含有基を転移させるトランスフェラーゼ(例えば、サルファートランスフェラーゼ、スルフォトランスフェラーゼ、CoA−トランスフェラーゼ)を含むトランスフェラーゼ、(iii)エステル結合に作用するヒドロラーゼ(例えば、カルボキシルエステルヒドロラーゼ、チオエステルヒドロラーゼ、ホスフォリックモノエステルヒドロラーゼ、ホスフォリックジエステルヒドロラーゼ、トリホスフォリックモノエステルヒドロラーゼ、サルファリックエステルヒドロラーゼ)、グリコシル化合物に作用するヒドロラーゼ(例えば、グリコシドヒドロラーゼ、加水分解するN−グリコシル化合物、加水分解するS−グリコシル化合物)、エーテル結合に作用するヒドロラーゼ(例えば、チオエステルヒドロラーゼ)、ペプチド結合に作用するヒドロラーゼ(例えば、アミノアシル−ペプチドヒドロラーゼ、ペプチジル−アミノ酸ヒドロラーゼ、ジペプチドヒドロラーゼ、ペプチジル−ペプチドヒドロラーゼ)、ペプチド結合意外のC−N結合に作用するヒドロラーゼ、酸無水物に作用するヒドロラーゼ、C−C結合に作用するヒドロラーゼ、ハライド結合に作用するヒドロラーゼ、P−N結合に作用するヒドロラーゼを含むヒドロラーゼ、(iv)炭素−炭素リアーゼ(例えば、カルボキシル−リアーゼ、アルデヒド−リアーゼ、ケト酸−リアーゼ)、炭素−酸素リアーゼ(例えば、ヒドロ−リアーゼ、他の炭素−酸素リアーゼ)、炭素−窒素リアーゼ(例えば、アンモニア−リアーゼ、アミジン−リアーゼ)、炭素−イオウリアーゼ、炭素−ハライドリアーゼ、他のリアーゼを含むリアーゼ、(v)ラセマーゼ及びエピメラーゼを含むイソメラーゼ、シス−トランスイソメラーゼ、分子内オキシドレダクターゼ、分子内トランスフェラーゼ、分子内リアーゼ、他のイソメラーゼ、(vi)C−O結合を形成するか、C−S結合を形成するか、C−N結合を形成するか、C−C結合を形成するリガーゼ又はシンセターゼを含むリガーゼ又はシンセターゼを含む。
【0041】
目的のポリペプチドは治療上重要な蛋白質、例えば成長因子、サイトカイン、リガンド、受容体及び阻害剤、並びにワクチン及び抗体であってよい。
好ましい態様において、生産されるか又は分泌されるポリペプチドの前駆体mRNAは、仮想RNase分割部位又はペプチド輸送蛋白質のための結合部位を含む。好ましい態様において、生産されるか又は分泌されるポリペプチドは、特定のペプチド輸送蛋白質認識部位を含む。好ましくは、認識部位は結合部位である。好ましくは、認識部位はdciAAの結合部位である。
【0042】
本明細書にて使用されるとおり、用語「異種(heterologous)蛋白質」は、宿主細胞内で天然には生じない蛋白質又はポリペプチドを意味する。用語「異種同形(homologous)蛋白質」又は「内在性(endogenously)発現される」は、天然又は宿主細胞内で天然に生じる蛋白質又はポリペプチドを意味する。一つの態様において、発明は、組換えDNA技術を通して異種同形蛋白質を生産する宿主細胞を含む。組換え蛋白質は、宿主へ導入された核酸によりコードされるあらゆる蛋白質を意味する。
【0043】
本明細書にて使用される「不活性蛋白質」又は文法上の均等物は、その野生型形態にて、例えばその変化していない宿主中で発現されたときに、上記蛋白質の検出可能な活性の低下を意味する。ペプチド輸送蛋白質の活性は、ジペプチド又は3−7アミノ酸、より好ましくは5又は6のアミノ酸のオリゴペプチドの、好ましくは細胞への移入と関連させた輸送を含む。好ましい態様において、ペプチド輸送活性を低下させるか又は排除する。
【0044】
発明の一つの側面において、ペプチド輸送オペロンの遺伝子産物は、オペロンを活性化する場合には不活性であるか又は不活性化させる。好ましくは、不活性化された遺伝子産物はdciAA及び/又はdciAEによりコードされる。好ましい態様において、不活性化遺伝子産物に相当する野生型遺伝子産物は、不活性化遺伝子産物が低下したか又は排除されたmRNAとの相互作用を有する、少なくともRNA結合活性又はRnase活性を含む。
【0045】
ペプチド輸送蛋白質又はペプチド輸送オペロンの遺伝子産物は、蛋白質レベル又は核酸レベルにおいて不活性化できる。本発明の細胞及び方法は一つより多い不活性化蛋白質を含んでよいことが認識される。一つの態様において、2つのオペロンを利用し、oppオペロンとdciAオペロンである。一つの態様において、oppオペロン由来の少なくとも一つの遺伝子産物及びdciAオペロン由来の少なくとも一つの遺伝子産物が不活性である。
【0046】
多くの実施例を本明細書において考察するが、遺伝子、蛋白質又はオペロン、あるいはその組み合わせにおいて一つ又は複数の変異又は修飾により不活性が生じ得ることは認識される。例えば、一つの態様において、変異はoppAオペロン内に作成し、そして一つの変異をdciAオペロン内に作成し、そしてより特定すればoppAA及びdciAAにおいてである。別の態様において、2つ又はそれより多い変異を同じ遺伝子、蛋白質又はオペロンに対して作成する。別の態様において、2つ又はそれより多い変異を作成するが、変異は同じオペロンの別の遺伝子か又は別のオペロン内であって、変異は同じ遺伝子内であるか又は変異を別のオペロン内に作成する場合には別の遺伝子内であり得る。一般に、本明細書にて使用されるとおり、変異は、本明細書にて記載される遺伝子、蛋白質、系又は活性の不活性化を意味する変化を意味する修飾と交換可能に使用される。
【0047】
一つの側面において、上記蛋白質は当該蛋白質をコードする遺伝子が変異しているため、不活性化される。一つ又はそれより多いフレームシフト、置換、挿入及び/又は欠失を含む様々な様式にて変異を起こさせることができ、以下に詳細に説明される。欠失は単一又はそれ以上のヌクレオチドの欠失であり、遺伝子全体の欠失を含む。本明細書に記載された不活性蛋白質を含む細胞及び上記細胞の作成方法も本明細書に提供されることが認識される。
【0048】
一つの態様において、本明細書に記載される不活性蛋白質は、宿主細胞のゲノムからの天然に生じる遺伝子の置換及び/又は不活性化により到達する。好ましい態様において、変異は非復帰変異である。
【0049】
遺伝子をコードする核酸を変異させる方法は、当該核酸又はその一部をクローン化し、部位特異的変異導入により核酸を修飾し、そして変異した核酸を細胞内へプラスミド上にて再導入することである。相同組換えにより、変異した遺伝子を染色体に導入してよい。親宿主細胞において、結果は天然に生じた核酸及び変異した核酸が染色体上に直列に位置することである。第2の組換え後に、親宿主細胞の子孫のために染色体遺伝子に、それにより有効に変異を導入された染色体に、修飾された配列を残す。
【0050】
遺伝子産物を不活性化する別の方法は、染色体遺伝子コピーを欠損させることによる。好ましい態様において、遺伝子全体を欠損させるが、復帰が不可能なようにさせる様式にて欠損を生じさせる。別の好ましい態様において、一部の欠失を生じさせるが、染色体内に残された核酸はプラスミドによりコードされた遺伝子と相同組換えするには短いようにする。
【0051】
天然に生じる遺伝子の欠損は以下のとおりに実施できる。その5’及び3’領域を含む遺伝子を単離してクローニングベクターに挿入する。当該遺伝子のコーディング領域を上記ベクターからインビトロにおいて欠損させて、十分な量の5’及び3’のフランキング配列を置き去りにすることにより、親宿主細胞内における天然に生じた遺伝子との相同組換えを提供する。上記ベクターを用いて、次に、上記宿主細胞を形質転換する。ベクターは上記フランキング領域において相同組換えを通して染色体に組み込まれる。この方法は、上記遺伝子が欠失した株を導く。
【0052】
組み込み方法において使用されるベクターは、プラスミドが好ましい。選択可能なマーカーは、所望の組換え微生物の同定の容易さを可能にさせるように含ませてよい。さらに、当業者には理解されるとおり、上記ベクターは染色体に選択的に導入可能なものが好ましい。これは、誘導可能な複製オリジン、例えば温度感受性オリジンをプラスミドに導入することにより達成することができる。複製オリジンが感受性の温度において形質転換体を成育させることにより、上記プラスミドの複製機能が不活性化され、それにより染色体組み込み体の選択手段を提供する。組み込み体は、選択可能なマーカー、例えば抗生物質の存在下で高温における成育に関して選択してよい。組み込み機構はWO88/06623に記載されている。
【0053】
キャンベルタイプの機構における組み込みは遺伝子の5’フランキング領域において起こり得て、染色体内の座において完全なプラスミドベクターを含む株をもたらす。異常な組換えは異なる結果を提供するため、全遺伝子が欠失したか否かを、例えば核酸配列決定又は制限マップにより決定する必要がある。
【0054】
天然に生じる遺伝子を不活性化する別の方法は、変異原性のオリゴヌクレオチドにより細胞を形質転換することにより、染色体遺伝子コピーを変異させることである。あるいは、染色体プロテアーゼ遺伝子を、相同組換えにより変異遺伝子で置換することができる。
【0055】
好ましい態様において、本発明は、さらにプロテアーゼの欠失又は変異を有する宿主細胞を包含する。例えば、バチルスにおいてよく知られたプロテアーゼの欠失は、有効な異種発現のために一般的に使用されるapr,npr,epr,mpr内の欠失又は変異を含む。プロテアーゼの他の態様は、例えば米国特許第5,264,366号に記載される。
【0056】
核酸レベルにおいて蛋白質を不活性化する別の方法は、アンチセンス分子の使用を含む。アンチセンス又はセンスのオリゴヌクレオチドは、本発明によれば、ペプチド輸送蛋白質のコーディング領域の断片又はペプチド輸送オペロンの産物を含む。そのような断片は通常少なくとも約14ヌクレオチド、好ましくは約14から30ヌクレオチドを含む。アンチセンス又はセンスのオリゴヌクレオチドを誘導する可能性は、与えられた蛋白質をコードするcDNA配列に基づき、例えば、Stein and Cohen(Cancer Res.48:2659,1988)及びvan der Krol et al.(BioTechniques 6:958,1988)に記載される。アンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドの標的核酸配列への結合は、いくつかの手段の一つにより標的配列の転写又は翻訳をブロックする二重鎖の形成をもたらし、二重鎖の増強された分解、転写又は翻訳の成熟前停止を含み、あるいは他の手段による。
【0057】
リボザイムも一つの態様において不活性化のために使用してよい。リボザイムはRNAの特異的分解を触媒可能な酵素RNA分子である。リボザイムは相補標的RNAへの配列特異的ハイブリダイゼーション、続く核酸内部分解により作用する。有力なRNA標的内の特定のリボザイム分解部位は公知の技術により同定できる。さらなる詳細は、例えば、Rossi,Current Biology,4:469−471(1994)、及びPCT公開番号WO97/33551を参照されたい(1997年9月18日に公開された)。
【0058】
ペプチド輸送蛋白質又はペプチド輸送オペロンの産物は、蛋白質レベルにおいて不活性であるか又は不活性化してもよい。例えば、上記蛋白質又は遺伝子産物をコードする核酸は完全であってよいが、上記細胞は蛋白質又は遺伝子産物がその天然活性、例えばペプチド輸送活性又はRNA相互作用活性を有することを阻害するように、アンタゴニスト又は阻害剤、例えば抗体を含んでよい。さらに、上記蛋白質は、不活性バリアントとして発現されるか、又は例えば温度感受性ペプチド輸送を有することにより条件的に不活性でああってよい。
【0059】
細胞内での蛋白質の生産及び/又は分泌のため、異種又は異種同形蛋白質をコードする核酸の少なくとも1コピーを含む発現ベクター、そして好ましくは複数コピーを含む発現ベクターで、蛋白質発現に適した条件下で、細胞を形質転換する。
【0060】
本発明において使用される発現ベクターは、上記蛋白質に付随して(associated with)少なくとも一つのプロモーターを含み、当該プロモーターは上記宿主細胞内で機能する。本発明の一つの態様において、上記プロモーターは選択された蛋白質に関して野生型のプロモーターであり、そして本発明の別の態様においては、プロモーターは上記蛋白質に対して異種であるが、宿主細胞内ではやはり機能する。本発明の一つの好ましい態様において、目的のポリペプチドは安定に宿主ゲノムに組み込まれる。シグナル配列は必要なら追加してよい。
【0061】
好ましい態様において、上記発現ベクターは、ベクターにとって唯一の少なくとも一つの制限エンドヌクレアーゼ部位を好ましくは含む複数クローニング部位のカセットを含むことにより、核酸の操作の容易性を楽にする。好ましい態様において、上記ベクターは一つ又は複数の選択可能なマーカーも含む。本明細書にて使用されるとおり、選択可能なマーカーなる用語は、ベクターを含む宿主の選択の容易性を可能にする宿主内で発現可能な遺伝子を意味する。そのような選択可能なマーカーの例は、限定ではないが、抗生物質、例えばエリスロマイシン、アクチノマイシン、クロラムフェニコール及びテトラサイクリンを含む。
【0062】
本発明の一つの態様において、興味のあるポリペプチド少なくとも一つをコードする核酸は、宿主細胞内で複製できる発現ベクターを通して宿主細胞に導入される。バチルスのために適した複製プラスミドは、引用により特別に編入される、Molecular Biological Methods for Bacillus,編纂、Harwood and Cutting,John Wiley & Sons,1990に記載されており、プラスミドに関する第3章を参照されたい。バチルスサチルスに適した複製プラスミドは92頁に掲載される。いくつかの戦略がバチルス内でDNAを直接クローニングするための文献において記載された。プラスミドマーカーレスキュー形質転換は、部分的に相同な内在のプラスミドを有するコンピテント細胞によるドナープラスミドの取り込みを含む(Contente et al.,Plasmid 2:555−571(1979);Haima et al.,Mol.Gen.Genet.223:185−191(1990);Weinrauch et al.,J.Bacteriol.169(3):1205−1211(1987))。入って来るドナープラスミドは、染色体組換えを模倣するプロセスにおいて内在の「ヘルパー」プラスミドの相同領域と組換わる。
【0063】
プロトプラストの形質転換による形質転換は、バチルスサチルスに関してはChang and Cohen,(1979)Mol.Gen.Genet 168:111−115;バチルスメガテリウムに関してはVorobjeva et al.,(1980)FEMS Microbiol.Letters 7:261−263;バチルスアミロリクエファシエンスに関してはSmith et al.,(1986)Appl.and Env.Microbiol.51:634;バチルスサリンゲネシスに関してはFisher et al.,(1981)Arch.Microbiol.139:213−217;バチルススフェリカスに関してはMcDonald(1984)J.Gen.Microbiol.130:203;バチルスラーバエに関してはBakhiet et al.,(1985)49:577に記載されている。Mannら(1986,Current Microbiol.13:131−135)は、バチルスプロトプラストの形質転換を報告し、そしてHolubova,(1985 Folia Microbiol.30:97)はDNAを含むリポソームを用いたプロトプラストへのDNA取り込みの方法を開示する。マーカー遺伝子の存在/不在は、目的の遺伝子が宿主細胞内に存在するか否かを示唆し得る。
【0064】
あるいは、興味のあるポリペプチドのコーディング配列を含む宿主細胞を、当業者に知られた様々な手法により同定してよい。これらの手法は、限定ではないが、DNA−DNA、DNA−RNAハイブリダイゼーション及び蛋白質バイオアッセイ又は免疫アッセイ技術を含み、核酸又は蛋白質の検出及び/又は定量のための、膜に基づく技術、溶液に基づく技術、又はチップに基づく技術を含む。
【0065】
分泌されたポリペプチドの活性を検出して測定するため、当業者に知られている様々なアッセイが存在する。特に、プロテアーゼに関しては、カゼイン又はヘモグロビンからの酸可溶性ペプチドの放出に基づくアッセイがあり、280nmにおいて吸光度として測定されるか又はフォーリン法を用いて比色により測定される(Bergmeyer,et al.,1984,Methods of Enzymatic Analysis vol.5,Peptidases,Proteinases and their inhibitors,Verlag Chemie,Weinheim)。他のアッセイは発色体基質の可溶化を含む(Ward,1983,Proteinases,in Microbial Enzymes and Biotechnology(W.M.Fogarty,編纂)Applied Science,London,pp.251−317)。
【0066】
宿主細胞内で異種又は異種同形蛋白質の分泌のレベルを測定して、分泌された蛋白質を検出するための手段は、当該蛋白質に特異的なポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体の何れかの使用を含む。例は、酵素−結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)及び蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)を含む。これら及び他のアッセイは、数ある部分の中でもとりわけHampton R et al(1990,Serological Methods,a Laboratory Manual,APS Press,St Paul MN)及びMaddox DE et al(1983,J Exp Med 158:1211)に記載される。好ましい態様において、同じ方法又は組成物を用いた場合であるが、ペプチド輸送蛋白質又はペプチド輸送オペロンの遺伝子産物を不活性化しなかった場合よりも、本明細書に提供された方法又は組成物を用いると分泌は高い。好ましい態様において、RNase活性を低下させた場合に、ポリペプチドの生産及び/又は分泌を増加させる。別の好ましい態様において、ペプチド輸送活性を低下させた場合に、生産及び/又は分泌を増加させる。
【0067】
様々な標識及び配合技術が当業者には知られており、様々な核酸及びアミノ酸アッセイにおいて使用することができる。標識されたハイブリダイゼーションを生じさせる手段又は特定のポリヌクレオチド配列を検出するためのPCRプローブは、標識されたヌクレオチドを用いた、オリゴ標識化、ニックトランスレーション、末端標識化又はPCR増幅を含む。あるいは、ヌクレオチド配列、又はその任意の部分を、mRNAプローブ生産のためにベクターにクローン化してよい。そのようなベクターは、当業界において知られており、市販されており、T7,T3又はSP6のような適当なRNAポリメラーゼ及び標識されたヌクレオチドの添加によりインビトロにてRNAプローブを合成するのに使用してよい。
【0068】
多数の会社、例えばファルマシアバイオテック(ピスカタウエイ NJ)、プロメガ(マジソン WI)、及びバイオケミカルコープ(クリーブランド OH)が、これらの手法のための市販キット及びプロトコルを供給する。適当なリポーター分子又は標識は、それらの放射線核種、酵素、蛍光、化学発光体、発色剤並びに基質、共因子、阻害剤、磁気粒子等を含む。そのような標識の使用を教示する特許は、米国特許第3,817,837号;第3,850,752号;第3,996,345号;第4,227,437号;第4,275,149号及び第4,366,241号を含む。また、組換えイムノグロブリンを、引用により本明細書に編入される米国特許第4,816,567号に示されたとおりにして製造してよい。
【0069】
異種蛋白質又は異種同形蛋白質をコードするポリヌクレオチド配列で形質転換された細胞か又は上記蛋白質を内在して有する細胞を、コードされた蛋白質の細胞培養物からの発現及び回収に適した条件下で培養してよい。他の組換え構築物は、上記の異種又は異種同形のポリヌクレオチド配列を、可溶性蛋白質の精製を楽にするポリペプチドドメインをコードするヌクレオチド配列へ連結してよい(Kroll DJ et al(1993)DNA Cell Biol 12:441−53)。
【0070】
そのような精製を楽にするドメインは、限定ではないが、固定化された金属上での精製を可能にさせる金属キレートペプチド、例えばヒスチジン−トリプトファン分子(Porath J(1992)Protein Expr Purif 3:263−281)、固定化されたイムノグロブリン上での精製を可能にするプロテインAドメイン、及びFLAGS伸長/親和精製系において利用されるドメイン(イミュネックス社、シアトル WA)を含む。精製ドメインと異種蛋白質の間の、分割可能なリンカー配列、例えば因子XA又はエンテロキナーゼ(インビトロジェン、サンディエゴ CA)の包含は、精製を楽にするために使用することができる。
【0071】
本発明を実施する様式及び方法は、当業者であれば以下の実施例を参照することにより、より完全に理解されるであろうが、実施例は本発明又は請求の範囲に記載された範囲を限定する如何なる様式にも意図されない。本明細書において引用された全ての文献は引用によりそれらの全体を特に本明細書に編入する。
【実施例1】
【0072】
実施例I
実施例IはdciAオペロンのdciAE遺伝子内に変異を有するバチルスサチルス由来のズブチリシン及びアミラーゼの生産の増加を示す。
dciAE野生型又はdciAE変異体を含む株由来のズブチリシンの振盪フラスコ内での生産
試験される株は250mLフラスコ内に25mLのLB(ディフコ)を含む振盪フラスコ内で生育させた。振盪フラスコを37℃において激しい振盪を伴いインキュベートし、そしてOD550が0.8の時に、1mLの培養液を0.5mLの30%グリセロールと混合して、さらなる実験のために凍結させた。30ulの解凍バイアルを、68g/Lソイトン、300M PIPES、20g/Lグルコース(最終pH6.8)を含む40mLの培地を250mLフラスコ中にて接種するのに使用した。振盪フラスコを37℃において激しく振盪しながらインキュベートし、その後それらは上清のズブチリシン分析のためにサンプリングする。
【0073】
液体培養物からの上清を生育の間の異なる時間において回収して、以前に記載されたとおりに0.3mMのN−サクシニミル−L−Ala−L−Ala−L−Pro−L−Phe−p−ニトロアナリド(ベガバイオケミカルズ)、0.1M Tris,pH6.8を含む溶液中で、25℃において、ズブチリシンに関してアッセイした(Estell,D.V.,Graycar,T.P.,Wells,J.A.(1985)J.Biol.Chem.260,6518−6521)。
【0074】
当該アッセイはp−ニトロアナリンの加水分解及び放出による410nm/分の吸光度の増加を測定した。表1は試験された2つの株から生産されたプロテアーゼの終了を記載する。
【0075】
24時間後に、dciAEに関して欠失させた株は対照よりも3.5倍多いズブチリシンを分泌した。48時間後に、増加は4.9倍である(表1)。
表1
B.サチルス株 遺伝子型 ズブチリシン(率)48時間
2790 dciAE野生型 0.888
2790 dciAE− 4.38
dciAE野生型又はdciAE変異体を含む株由来のアミラーゼの振盪フラスコ内での生産
試験される株は250mLフラスコ内に25mLのLB(ディフコ)を含む振盪フラスコ内で生育させた。振盪フラスコを37℃において激しい振盪を伴いインキュベートし、そしてOD550が0.8の時に、1mLの培養液を0.5mLの30%グリセロールと混合して、さらなる実験のために凍結させた。30ulの解凍バイアルを、68g/Lソイトン、300M PIPES、20g/Lグルコース(最終pH6.8)を含む40mLの培地を250mLフラスコ中にて接種するのに使用した。振盪フラスコを37℃において激しく振盪しながらインキュベートし、その後それらは上清のズブチリシン分析のためにサンプリングする。
【0076】
全ブロスサンプルを生育の異なる時間においてスピンダウンして、それらの上清を以下のとおりにアッセイした。上清をキュベット中で790.0ulの基質(メガザイム−セラルファ−アルファアミラーゼ;基質を水で希釈して1部基質プラス3部アルファアミラーゼバッファーpH6.6として使用する)と250Cにおいて混合した。アルファアミラーゼバッファーは、50mMマレイン酸バッファー、5mM CaCl2,及び0.002% Triton X−100、PH=6.7からなる。アミラーゼは、アミラーゼ活性のためのプロトコルを用いてスペクトロニックジェネシス2スペクトロフォトメーター中で測定した(波長:410nm,初期ディレイ:75秒、全測定時間:120秒、下限:0.08、上限:0.12)。
【0077】
結果は、dciAE欠失を含む株が、dciAE野生型遺伝子が存在した時よりも48時間目において1.8倍多いアミラーゼを生産したことを示す。60時間目には、増加が2.5倍である(表2)。
【0078】
表2は試験された2つの株から製造されたアミラーゼの収量を記載する。
表2
B.サチルス株 遺伝子型 ズブチリシン(率)48時間 60時間
2790 dciAE野生型 0.054 0.066
2790 dciAE− 0.098 0.168
【実施例2】
【0079】
実施例2
実施例2は、oppAオペロンのoppAA中に変異を有し、そしてdciAオペロンのdciAA遺伝子の欠失を有するバチルスサチルスのズブチリシンの生産の付加的な増加を示す。
dciAA欠失及びoppAA変異を含む株からの組換えズブチリシンの振盪フラスコ中での生産
試験される株は250mLフラスコ内に25mLのLB(ディフコ)及び25ug/Lのクロラムフェニコールを含む振盪フラスコ内で生育させた。振盪フラスコを37℃において激しい振盪を伴いインキュベートし、そしてOD550が0.8の時に、1mLの培養液を0.5mLの30%グリセロールと混合して、さらなる実験のために凍結させた。25mLのFNA34EB培地(リットルあたり:90.72gのPIPES酸形態、pH6.8に、34.00gソイトン(ディフコ)、2滴のMazu DF−204,40mLの50%グルコース)を250mlフラスコ中。
【0080】
試験された株からのグリセロールストック10uLを各フラスコに加えた。一度接種したら、フラスコを37℃において250rpmにてインキュベートし、そしてサンプルを各24時間ごとに75時間まで取り出した。1mLのサンプルを滅菌フードの中に取り出し、そしてOD550に関して測定した。サンプルを1分間遠心分離することにより細胞を沈殿させた。
【0081】
液体培養物からの上清を生育の間の異なる時間に回収して、以前に記載されたとおりに、0.3mMのN−サクシニミル−L−Ala−L−Ala−L−Pro−L−Phe−p−ニトロアナリド(ベガバイオケミカルズ)、0.1M Tris,pH8.6を含む溶液中で、25℃において、ズブチリシンに関してアッセイした(Estell,D.V.,Graycar,T.P.,Wells,J.A.(1985)J.Biol.Chem.260,6518−6521)。当該アッセイはp−ニトロアナリンの加水分解及び放出による410nmにおける吸光度の増加を測定した。
【0082】
表3は、2つの株から生産されたプロテアーゼの収量を記載する。結果は、dciAAの欠失及びoppAAの変異を含む株が、dciAA野生型が存在した場合よりも1.9倍多いプロテアーゼを生産したことを示す。
表3
B.サチルス株 遺伝子型 ズブチリシン(mg/L)
27時間 51時間 75時間
001 oppAA− 30 105 138
040 oppAA−dciAA− 28 124 262
増加した酵素の生産においてdciA蛋白質を欠損させることにおいて見いだされた効果は、この蛋白質とズブチリシン(apr)mRNAの間の可能な相互作用のためであり得た。次のセクションにおいて示されるとおり、我々は、dciAAと上記RNAと相互作用する蛋白質の間にいくらかの相同性が存在することを示し、さらにズブチリシンの非翻訳mRNA領域内(+1 mRNAにて開始する)に「仮想Rnase分割部位」が存在する事実を我々が見いだしたことを示す。ズブチリシン内のこの仮想Rnase E分割部位は、RNA I内に同定された部位と6/7の同一性を有する(表4)。この部位はRNAse Eにより分割される(Tomcsanyi and Cohen S 1985;Lin−Chao and Cohen S 1991;Lin−Chao et al 1994)。上記仮想Rnase E部位は9S RNA内のRnase Eに関して証明された分割部位と7/7の同一性を有する(Roy,M.K.,and Apirion,D.,Biochim.Biophys.Acta 747,200−208 1983)(表4)。
表4
RNA 位置 配列
ズブチリシン +1 5’mRNA ACAGAAU
RNA I +1 5’mRNA ACAGUAU
9S RNA +1 5’mRNA ACAGAAU
理論に拘束される訳ではないが、我々は、dciAA蛋白質の機能の一つがこのRNAの安定性又は当該蛋白質の翻訳に影響するRNAのこの領域に結合する可能性があり得ると信じる。即ち、本明細書には、仮想dciAA認識部位を含む蛋白質のペプチド生産/分泌を増加させる方法も提供される。
dciAAと他の蛋白質の間の相同性
dciAA遺伝子の予期された生産を使用することにより、ジェンバンクのデータベースの翻訳を検索したところ、dciAA遺伝子産物とバチルスメタノリカスとの間(75%同一性)、デイノクッカスラジオジュランス由来の仮想ペプチドABC輸送体との間(33%同一性)、及ピロコッカスアブイシ由来のdppAジペプチド輸送蛋白質との間(28%同一性)で、blast相同性が見いだされた。用いた検索プログラムはBSORFであり、fasta 3 t及blastによった。バチルスメタノリカスからのいくつかのジペプチド蛋白質は、ストレプトマイセスコエリカラー内の仮想輸送関連蛋白質と75%同一性を、ピロコッカスアビシイからのジペプチド輸送蛋白質dppAと32%の同一性を示す。
【0083】
ジェンバンクのデータベース(fasta 3 tによるBSORF及びblast)内でdciAA蛋白質の別の領域を用いた検索を実施することにより、dciAA遺伝子産物の間でエシェリヒアコリ由来のリボヌクレアーゼRnase E aka Ams)と相同性が見いだされた(Claverie−Martin et al J.Biol.Chem.266:2843−2851,1991)。両蛋白質は、両蛋白質のカルボキシ末端部分中の47アミノ酸の領域にわたり25%同一性(及び48%保存性置換)を示す。dciAAはヒト由来のリボヌクレオ蛋白質のカルボキシ末端とも26%同一性を示す(Chan et al Nucleic Acid Research 17,2233−2244,1989)。
dciAEと他の蛋白質との間の相同性
dciAEの予測された産物を、ジェンバンクのデータベースの翻訳物の検索に使用した。用いた検索プログラムはfasta 3 tによるBSORF及びblastであった。相同性は、バチルスサチルスのOPPAオリゴペプチド結合蛋白質OppA(40%同一)、バチルスアンスラシスのpX02−66(32%同一)、エンテロコッカスフェーカリスのTrac(30%同一)、エシェリヒアコリのMppAペリプラズムムレインペプチド結合蛋白質前駆体(30%同一)、サルモネラティフィミリウムのOppA−ソルティーペリプラズムオリゴペプチド結合蛋白質(オリゴペプチド結合蛋白質前駆体)(30%同一)、オリゴペプチドパーメアーゼ相同物AII(ボレリアブルグドルフェリ)(29%同一)、オリゴペプチドABC輸送体、ペリプラズムオリゴペプチド結合蛋白質(OppAV)相同物ライム病スピロヘータ(ボレリアブルグドルフェリ)、クラミドフィラニューモニエ由来のオリゴペプチド結合蛋白質(26%同一)、及び同じ程度トレポネマパリダム由来のオリゴペプチドABC輸送体ペリプラズム結合OppA−梅毒スピロヘータ(26%同一)内で生じた。
ジペプチド輸送系dciAA遺伝子の欠失
PCR技術を用いて、株001及びBG2790内に存在するdciAA遺伝子の647bpを欠失させた。遺伝子の5’(プライマーdci1.f及びdci3.3を用いて)及び3’(プライマーdci2.r及びdci4.fを用いて)の一部を含む2つの増幅されたDNA断片を連結して、pTSpUC19Kanプラスミドにクローン化した。プラスミドpTSpUC19Kanはカナマイシン耐性遺伝子(Kanr)及び温度感受性複製オリジン(TsOri)を有する。dciAA破壊プラスミドpMdciは、上記2つの株を形質転換したプロトプラストであった。TsOriのため、このプラスミドは非許容温度、例えば48Cにおいて選択圧下で培養した場合に、dciAA遺伝子との相同性領域において染色体に組み込まれた。組み込みの後に、組み込まれたプラスミドを有する株を許容温度下で大規模に成長させた。組み込まれたプラスミドの切り出しに際しては、親株001又はBG2790の何れかを復帰させるか、又は欠失させた遺伝子を有する株を構築する。2つの新規な株は、当該遺伝子の欠失を含むような遺伝子配列に基づく遺伝子のPCR増幅により確認した。
ジペプチド輸送系dciAE遺伝子の欠失
PCR技術を用いて、株BG2970内に存在するdciAE遺伝子の1228bpを欠失させた。遺伝子の5’(プライマーdciAE1及びdciAE2を用いて)及び3’(プライマーdciAE3及びdciAE4を用いて)の一部を含む2つの増幅されたDNA断片を連結して、pTSpUC19Kanプラスミドにクローン化した。プラスミドpTSpUC19Kanはカナマイシン耐性遺伝子(Kanr)及び温度感受性複製オリジン(TsOri)を有する。dciAE破壊プラスミドpMdciEは、BG22790を形質転換したプロトプラストであった。TsOriのため、このプラスミドは非許容温度、例えば48Cにおいて選択圧下で培養した場合に、dciAA遺伝子との相同性領域において染色体に組み込まれた。組み込みの後に、組み込まれたプラスミドを有する株を許容温度下で大規模に成長させた。組み込まれたプラスミドの切り出しに際しては、親株001又はBG2790の何れかを復帰させるか、又は欠失させた遺伝子を有する株を構築する。2つの新規な株は、当該遺伝子の欠失を含むような遺伝子配列に基づく遺伝子のPCR増幅により確認した。
プライマー:
【0084】
【化1】

【実施例3】
【0085】
実施例3
実施例3は、蛋白質、好ましくは分泌された蛋白質の生産を増加させた微生物のスクリーン法を示す。より特定すれば、上記方法は、破壊されたペプチド輸送活性、特定すればペプチドの輸送の阻害を有する細胞のスクリーンに関し、ポリペプチドの生産の増加をもたらす。上記方法は、上記ペプチド輸送系により細胞内へ通常は輸送されるはずのペプチドのサイズである毒性ペプチドに細胞を供することを含む。好ましい態様において、毒性ペプチドはバイアラフォスである。バイアラフォスはトリペプチドであり、2つのL−アラニン分子とL−グルタミン酸類似体からなる。ペプチダーゼにより消化された場合、細胞に有害である。それは抗生物質であり、明治製菓、日本を参照されたい。
【0086】
バチルス内の少なくとも一つのオペロンがバイアラフォス(3−アミノ酸)のサイズの分子の取り込みに関与すること、oppAオペロンである、が文献に報告された。バイアラフォス取り込みに関与する他の追加の遺伝子が存在するかもしれない。
【0087】
上記の方法は破壊されたペプチド輸送及びポリペプチドの生産の増加を有する細胞のスクリーンを可能にさせる有効な方法である。特定すれば、上記方法は、低下したペプチド取り込みをもたらす変異に関してスクリーンする。バイアラフォスへの暴露に対して生き残る細胞は一つ又は複数の変異を有すると同定される。上記方法は、例えば核酸レベルにおいて変異のさらなる変異の特性決定を必要とせず、よって効率性を提供する。しかしながら、例えば、ポリペプチドの生産の増加、及び更なる特性決定及び変異の最適化に関してさらなるスクリーニングが起こり得る。バイアラフォスへの暴露は多数の様式、例えばバイアラフォスとの細胞のプレーティング、例えば50ug/mlにおいて生じ得る。
【0088】
上記株が変異しているため、上記細胞が変異していたため、又は遺伝、蛋白質又はオペロンが変異していたか又は修飾されていることにより本明細書で前に記載されたポリペプチドの増加された生産をもたらすため、破壊されたペプチド輸送が起こり得る。一つ又は複数のペプチド輸送オペロンにおける遺伝子の何れか一つ又は全部が変異しているか又は修飾されていてよい。
【0089】
機能性ペプチド輸送オペロン、例えばoppオペロンを有する微生物又は細胞は阻害された成長を有することになる。oppオペロン遺伝子クラスターの少なくとも一つの遺伝子に変異を有する微生物は毒性オリゴペプチドの存在下で成長阻害を示さない。
バイアラフォス耐性変異を得るための方法
細胞が対数相に到達するまで液体培養液(LB)中で成育させる。培養液は異なる濃度のバイアラフォスを含むバチルス最小寒天プレート上にプレートする。プレートは一晩37℃においてインキュベートし、成長するコロニーを同じ種類のプレート上で精製のためにストリークアウトする。これらの新たな株はバイアラフォス耐性であり、全てが一晩成育後に親株よりも多いプロテアーゼを生産する。
プロテアーゼアッセイ
液体培養液からの上清を成育3日後に回収して、03mMのN−スクシニル−L−Ala−L−Ala−L−Pro−L−Phe−p−ニトロアナリド(ベガバイオケミカルズ)、0.1M Tris,pH8.6中で25℃において、以前に記載されたとおりにズブチリシンに関してアッセイした(Estell,D.V.,Graycar,T.P.,Wells,J.A.(1985)J.Biol Chem.260:6521)。当該アッセイは、p−ニトロアナリンの加水分解及び放出による410nm/分における吸光度の増加を測定した。結果は容易に検出可能であって、ペプチドを取り込まない細胞に関してスクリーニングすることにより増加した蛋白質生産を有する細胞を同定できることを確証した。一つの態様において、oppAに対する変異が排除される。別の態様において、バチルスがスクリーンのための生物として排除される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのペプチド輸送蛋白質を発現する細胞内でポリペプチドの分泌を増加させる方法であって、
細胞内の少なくとも一つのペプチド輸送蛋白質を不活性化し;そして
ポリペプチドの発現及び分泌に適した条件下で細胞を培養すること
を含む方法。
【請求項2】
細胞が植物細胞である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
細胞が真菌細胞である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
細胞がグラム陰性微生物である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
細胞がグラム陰性微生物であって、エシェリヒア科のメンバーである、請求項1記載の方法。
【請求項6】
細胞がグラム陽性微生物である、請求項1記載の方法。
【請求項7】
細胞がグラム陽性微生物であって、バチルス科のメンバーである、請求項1記載の方法。
【請求項8】
細胞がグラム陽性微生物であって、バチルス科のメンバーであるが、バチルス科はバチルスリケニフォルミス、バチルスレンタス、バチルスブレビス、バチルスステアロサーモフィルス、バチルスアルカロフィルス、バチルスアミロリクエファシエンス、バチルスコアグランス、バチルスサーキュランス、バチルスラウタス、バチルスメタノリカス、バチルスアンスラシス及びバチルスサリンジェネシスからなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項9】
ポリペプチドがホルモン、酵素、成長因子及びサイトカインからなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項10】
ポリペプチドが異種(heterologous)ポリペプチドである、請求項1記載の方法。
【請求項11】
ポリペプチドが、プロテアーゼ、カーボヒドラーゼ、レダクターゼ、リパーゼ、イソメラーゼ、トランスフェラーゼ、キナーゼ、ホスファターゼ、セルラーゼ、エンド−グルコシダーゼH、オキシダーゼ、アルファ−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、リグノセルロースヘミセルラーゼ、ペクチナーゼ及びリグニナーゼからなる群から選択される酵素である、請求項1記載の方法。
【請求項12】
ポリペプチドがバチルスプロテアーゼである、請求項1記載の方法。
【請求項13】
ポリペプチドがズブチリシンである、請求項1記載の方法。
【請求項14】
ポリペプチドがアミラーゼである、請求項1記載の方法。
【請求項15】
ポリペプチドがバチルスアミラーゼである、請求項1記載の方法。
【請求項16】
不活性化されるペプチド輸送蛋白質がdciAオペロンの遺伝子産物である、請求項1記載の方法。
【請求項17】
不活性化されるペプチド輸送蛋白質がdciAEである、請求項1記載の方法。
【請求項18】
不活性化がペプチド輸送蛋白質をコードする核酸を含む核酸を変異させることを含む、請求項1記載の方法。
【請求項19】
変異させることがフレームシフトの原因となる、請求項18記載の方法。
【請求項20】
変異させることが一つ又は複数のヌクレオチドを欠失させることである、請求項18記載の方法。
【請求項21】
細胞内でポリペプチドを生産する方法であって、工程:
a)生産さえるポリペプチドをコードする核酸を含む細胞を得るが、当該細胞はペプチド輸送オペロンをさらに含み、但し当該オペロンの少なくとも一つの遺伝子産物が当該細胞内で不活性であり;そして
b)ポリペプチドが生産されるように発現のために適した条件下細胞を培養すること
を含む方法。
【請求項22】
ポリペプチドが異種(heterologous)ポリペプチドである、請求項21記載の方法。
【請求項23】
細胞がグラム陽性微生物であって、バチルス科のメンバーである、請求項21記載の方法。
【請求項24】
細胞がグラム陰性微生物である、請求項21記載の方法。
【請求項25】
細胞がグラム陰性微生物であって、エシェリヒア科のメンバーである、請求項21記載の方法。
【請求項26】
オペロンがdciAオペロンである、請求項21記載の方法。
【請求項27】
遺伝子産物がオペロン内の変異の結果として不活性である、請求項21記載の方法。
【請求項28】
変異がフレームシフト変異である、請求項27記載の方法。
【請求項29】
変異が一つ又は複数のヌクレオチドの欠失である、請求項27記載の方法。
【請求項30】
不活性な遺伝子産物がdciAE又はdciAAである、請求項21記載の方法。
【請求項31】
細胞が増加したポリペプチド分泌を有するように変異されたペプチド輸送オペロンを含む細胞。
【請求項32】
オペロンがdciAオペロンである、請求項31記載の細胞。
【請求項33】
dciAE遺伝子又はdciAA遺伝子の遺伝子産物を不活性化するようにオペロンが変異されている、請求項31記載の細胞。
【請求項34】
細胞がグラム陰性微生物である、請求項31記載の細胞。
【請求項35】
細胞がグラム陽性微生物であって、バチルス科のメンバーである、請求項31記載の細胞。
【請求項36】
細胞がグラム陰性微生物である、請求項31記載の細胞。
【請求項37】
細胞がグラム陰性微生物であって、エシェリヒア科のメンバーである、請求項31記載の細胞。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−200241(P2011−200241A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110126(P2011−110126)
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【分割の表示】特願2002−510691(P2002−510691)の分割
【原出願日】平成12年6月14日(2000.6.14)
【出願人】(398056506)ダニスコ・ユーエス・インコーポレーテッド (8)
【Fターム(参考)】