説明

分泌酸性ホスファターゼ(sapM)は病原性マイコバクテリアのみに存在し、ファゴソームpHで選択的に発現する

本発明は、低pHによって誘導可能であるマイコバクテリア分泌酸性ホスファターゼプロモーターまたはプロモーターフラグメントを含む単離DNA構築物に関する。本発明は、さらに、病原性Mycobacterium疾患または感染の治療または予防のための診断方法およびワクチンに関する。本発明はまた、マイコバクテリア分泌酸性ホスファターゼの活性、産生、または分泌を調整することができる化合物のスクリーニング方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病原性Mycobacteriumまたは病原性菌類疾患または感染のための診断方法およびワクチンに関する。
【背景技術】
【0002】
病原性マイコバクテリア(結核菌(Mycobacterium tuberculosis)が含まれる)は、宿主マクロファージのファゴソーム内(ほとんどの微生物に有害な過酷な環境)に生息している。結核菌は、それ自体の細胞内生存を強化するためにこのファゴソーム区画を改変することが明らかである(Clemens and Horwitz,1995)。これには、Rab GTPアーゼ組成物の変化(Via et al.,1997;Clemens et al.,2000)および液胞プロトンATPアーゼの排除(Sturgillet al.,1994)が含まれる。したがって、Mycobacteriumファゴソームは成熟の初期段階で停止し、pH6.1〜6.5へと穏やかな酸性化しかしなくなる(Xu et al.,1994; Sturgill et al.,1994; Clemens and Horwitz,1995)。病原性マイコバクテリアがマクロファージ中で生き残る能力は、疾患の確立および進行において重要な役割を果たす。しかし、宿主プロセスを脆弱にする特定の細菌因子のほとんどは依然未知である。細菌病原性に寄与する遺伝子が感染時に選択的に発現するという仮定に基づいて、その発現がin vivoで(すなわち、マクロファージ内で)((Triccas and Gicquel,2000)に概説)またはバチルスが遭遇する宿主環境を模倣するin vitro条件下(例えば、低酸素分圧、酸性pH、および栄養の枯渇)で優先的に上方調節される結核菌遺伝子を同定するために種々のアプローチが使用されている(Betts et al.,2002;Fisher et al.,2002)。多数の候補病原性遺伝子が記載されているにもかかわらず、その多くは有する生物的機能が何一つ知られておらず、バチルスの細胞内生存におけるその直接的な役割は不明瞭である。細菌の複製および生存に寄与するマイコバクテリアタンパク質の同定は、疾患の病因および防御機構の理解に重要である。
【0003】
細胞内細菌病原体(結核菌およびネズミチフス菌(Salmonera enterica serovar Typhimurium)が含まれる)は、片利共生種に接近不可能な宿主内の広範な種々の環境条件に遭遇する。環境因子に反応し過酷な細胞内条件に適応する能力により、これらの病原体の生存が可能になる。環境因子(温度、浸透圧、pH、酸素分圧、および栄養利用可能性が含まれる)は細菌遺伝子の特定のサブセットの誘導シグナルとして作用することが見出されており、その誘導は生存または増殖の強化に寄与する。これらの遺伝子の多くは、サルモネラで同定されており、いくつかが感染および/または病原性において重要な役割を果たすことが示されている(Lucas and Lee,2000に概説)。種々の手法を用いて、結核菌の多数の候補ビルレンス遺伝子も同定されている(Triccas and Gicquel,2000)。ビルレンスにおける必要とされる役割を支持する直接的な証拠は、未だいくつかの遺伝子(例えば、イソクエン酸リアーゼ(aceA)(McKinney et al.,2000)、α−クリスタリン(acr)(Yuan et al.,1998)、およびExported repetitive protein(erp)(Berthet et al.,1998)においてしか得られていない。
【0004】
病原性マイコバクテリアは能動的にファゴソームpHを改変することが周知である。生存可能な病原体結核菌またはM.avium(M.avium)を含むファゴソームは穏やかにしか酸性化されない(pH6〜6.5)が、それは少なくとも部分的にはプロトンATPアーゼの不足によるものである(Sturgill et al.,1994)。対照的に、M.smegmatisおよびMycobacterium gordonaeなどの非病原性マイコバクテリアまたは死滅した病原性マイコバクテリアは、ファゴソーム酸性化を遮断せず、これらの細菌を含むファゴソームのpHを、エンドソーム後期およびリソソームのpH(約pH5)に近い値に酸性化する(Kuehnel et al.,2001)。これらのデータにより、病原性株のみで見出される因子の産生はファゴソーム酸性化の阻害および細胞内生存に重要であることが示唆される。酸性化は、ファゴソーム成熟を変化させるために必要な遺伝子の発現を誘導するためのシグナルであり得る。SapM(結核菌H37Rvの分泌酸性ホスファターゼ)が最近同定された(Saleh and Belisle,2000)。
【非特許文献1】クレメンス ディー エル アンド ホルビッツ エム エー(Clemens,D.L.,and Horwitz,M.A.)(1995)「結核菌ファゴソームの特徴づけおよびファゴソーム成熟が阻害される証拠」(Characterization of the Mycobacterium tuberculosis phagosome and evidence that phagosomal maturation is inhibited) ジャーナルオブエクスペリメンタルメディスン(J Exp Med) 181:257−270.
【非特許文献2】サレ エム ティー アンド ベリスル ジェイ ティー(Saleh,M.T.,and Belisle,J.T.)(2000)「真核生物酸性ホスファターゼに類似するマイクロバクテリウム・ツベルクロシスによる酸性ホスファターゼ(SapM)の分泌」(Secretion of an acid phosphatase (SapM) by Mycobacterium tuberculosis that is similar to eukaryotic acid phosphatases)ジャーナルオブバクテリオロジー(J Bacteriol) 182:6850−6853
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、マイコバクテリア分泌酸性ホスファターゼ遺伝子((配列番号9)、(配列番号11)、(配列番号13)、(配列番号15))のコード領域の開始部位の5’上流隣接領域由来のプロモーターまたはプロモーターフラグメントを含み、プロモーターまたはプロモーターフラグメントが目的のヌクレオチド配列の発現の調節に十分であり、且つ低pH条件下で誘導可能である単離DNA配列を提供する。
【0006】
本発明はまた、結核菌(配列番号9)、Mycobacterium・bovis(配列番号11)、Mycobacterium・avium(配列番号13)、およびMycobacterium marinum(配列番号15)からなる群から選択される分泌酸性ホスファターゼ遺伝子のコード領域の開始部位の5’上流隣接領域由来のプロモーターまたはプロモーターフラグメントを含む単離DNA配列を提供する。
【0007】
本発明は、高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件下で、(配列番号1)、(配列番号2)、(配列番号3)、(配列番号4)とハイブリダイズし、目的のヌクレオチド配列の発現の調節に十分であり、且つ低pH条件下で誘導可能であるプロモーターまたはプロモーターフラグメントを含む単離DNA配列に関する。
【0008】
本発明はまた、マイコバクテリア分泌酸性ホスファターゼ遺伝子(配列番号9)、(配列番号11)、(配列番号13)、(配列番号15)のコード領域の開始部位の5’上流隣接領域由来のプロモーターまたはプロモーターフラグメントを含み、プロモーターまたはプロモーターフラグメントが目的のヌクレオチド配列の発現の調節に十分であり、且つ低pH条件下で誘導可能である単離DNA配列を含む発現ベクターに関する。
【0009】
本発明はまた、結核菌(配列番号9)、Mycobacterium・bovis(配列番号11)、Mycobacterium・avium(配列番号13)、およびMycobacterium・marinum(配列番号15)からなる群から選択される分泌酸性ホスファターゼ遺伝子のコード領域の開始部位の5’上流隣接領域由来のプロモーターまたはプロモーターフラグメントを含む単離DNA配列を含む発現ベクターに関する。
【0010】
本発明はまた、高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件下で、(配列番号1)、(配列番号2)、(配列番号3)、(配列番号4)とハイブリダイズし、目的のヌクレオチド配列の発現の調節に十分であり、且つ低pH条件下で誘導可能であるプロモーターまたはプロモーターフラグメントを含む単離DNA配列を含む発現ベクターに関する。
【0011】
本発明は、さらに、マイコバクテリア分泌酸性ホスファターゼ遺伝子(配列番号9)、(配列番号11)、(配列番号13)、(配列番号15)のコード領域の開始部位の5’上流隣接領域由来のプロモーターまたはプロモーターフラグメントを含み、プロモーターまたはプロモーターフラグメントが目的のヌクレオチド配列の発現の調節に十分であり、且つ低pH条件下で誘導可能である単離DNA配列を含む発現ベクターで形質転換された宿主細胞に関する。
【0012】
本発明は、さらに、結核菌(配列番号9)、Mycobacterium・bovis(配列番号11)、Mycobacterium・avium(配列番号13)、およびMycobacterium・marinum(配列番号15)からなる群から選択される分泌酸性ホスファターゼ遺伝子のコード領域の開始部位の5’上流隣接領域由来のプロモーターまたはプロモーターフラグメントを含む単離DNA配列を含む発現ベクターで形質転換された宿主細胞に関する。
【0013】
本発明は、さらに、高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件下で、(配列番号1)、(配列番号2)、(配列番号3)、(配列番号4)とハイブリダイズし、目的のヌクレオチド配列の発現の調節に十分であり、且つ低pH条件下で誘導可能であるプロモーターまたはプロモーターフラグメントを含む単離DNA配列を含む発現ベクターで形質転換された宿主細胞に関する。
【0014】
本発明の別の態様は、sapMプロモーターまたはプロモーターフラグメント(配列番号1)、(配列番号2)、(配列番号3)、(配列番号4)と、sapMプロモーターまたはプロモーターフラグメント(配列番号1)、(配列番号2)、(配列番号3)、(配列番号4)に作動可能に連結された目的のヌクレオチド配列と、転写終結領域とを含む転写カセットである。1つの実施形態では、転写カセットは、さらに、マイコバクテリア分泌酸性ホスファターゼN末端シグナル配列(配列番号5)、(配列番号6)、(配列番号7)、(配列番号8)またはその機能的部分を含む。別の実施形態では、転写カセットは、さらに、結核菌(配列番号5)、Mycobacterium・bovis(配列番号6)、Mycobacterium・avium(配列番号7)、またはMycobacterium・marinum(配列番号8)からなる群から選択される分泌酸性ホスファターゼN末端シグナル配列を含む。
【0015】
本発明のなおさらなる態様では、被験体から生体サンプルを得ることと、サンプルをSapM(配列番号10)、(配列番号12)、(配列番号14)、(配列番号16)に特異的な抗体の存在について分析することとを含み、SapM(配列番号10)、(配列番号12)、(配列番号14)、(配列番号16)に特異的な抗体の検出が病原性マイコバクテリア感染または病原性菌類感染の存在を示す、被験体の病原性マイコバクテリア感染または病原性菌類感染の診断方法が存在する。
【0016】
本発明の1つの態様では、被験体から核酸サンプルを得ることと、サンプルをsapMをコードする核酸(配列番号9)、(配列番号11)、(配列番号13)、(配列番号15)の存在について分析することとを含み、sapM(配列番号9)、(配列番号11)、(配列番号13)、(配列番号15)の検出が病原性マイコバクテリア感染または病原性菌類感染の存在を示す、被験体の病原性マイコバクテリア感染または病原性菌類感染の診断方法が存在する。1つの実施形態では、病原性マイコバクテリア感染または病原性菌類感染の診断方法は、検出されたsapM(配列番号9)、(配列番号11)、(配列番号13)、(配列番号15)の量を定量する工程をさらに含む。
【0017】
本発明の別の態様は、被験体から生体サンプルを得ることと、サンプルをSapMホスファターゼ活性の存在について分析することとを含み、SapMホスファターゼ活性の検出が病原性マイコバクテリア感染または病原性菌類感染の存在を示す、被験体の病原性マイコバクテリア感染または病原性菌類感染の診断方法である。
【0018】
本発明はまた、sapMプロモーター(配列番号1)、(配列番号2)、(配列番号3)、(配列番号4)またはその機能的部分を含む核酸構築物であってプロモーターまたはその機能的部分が、検出可能または測定可能なシグナルを産生することができるレポーター遺伝子に作動可能に連結されている核酸構築物を用意あるいは使用することと、候補または試験化合物に核酸構築物を曝露することと、レポーター遺伝子によって産生されたシグナルを検出または測定することとを含み、試験化合物の非存在下と比較した候補または試験化合物の存在下で産生されたシグナルの変化が試験化合物がマイコバクテリア分泌酸性ホスファターゼの産生を調整できることを示す、SapM(配列番号10)、(配列番号12)、(配列番号14)、(配列番号16)の産生を調整または制御することができる化合物のスクリーニング方法に関する。1つの実施形態では、複数の化合物を試験する。
【0019】
本発明はまた、SapM(配列番号10)、(配列番号12)、(配列番号14)、(配列番号16)、SapM基質、および試験化合物を含む混合物をインキュベートすることと、ホスファターゼ活性を測定することとを含み、試験化合物の非存在下と比較した試験化合物の存在下での活性の変化が試験化合物が前記分泌酸性ホスファターゼ活性を調整できることを示す、SapMホスファターゼ活性を調整または制御することができる化合物のスクリーニング方法に関する。1つの実施形態では、複数の化合物を試験する。
【0020】
本発明はさらに、SapM(配列番号10)、(配列番号12)、(配列番号14)、(配列番号16)を分泌するマイコバクテリア細胞を試験化合物に曝露することと、マイコバクテリア細胞によって分泌されたSapM(配列番号10)、(配列番号12)、(配列番号14)、(配列番号16)の存在または活性を検出することと、マイコバクテリア細胞によって分泌されたマイコバクテリア分泌酸性ホスファターゼ量を測定することとを含み、試験化合物の非存在下と比較した試験化合物の存在下でのマイコバクテリア分泌酸性ホスファターゼ分泌の変化が試験化合物がマイコバクテリア分泌ホスファターゼ分泌を調整できることを示す、SapM(配列番号10)、(配列番号12)、(配列番号14)、(配列番号16)の分泌を制御または調整することができる化合物のスクリーニング方法に関する。1つの実施形態では、複数の化合物を試験する。
【0021】
本発明はまた、SapMタンパク質(配列番号10)、(配列番号12)、(配列番号14)、(配列番号16)またはそのポリペプチドと、少なくとも1つのSapM抗体と、SapM特異的抗体の検出に必要な1つまたは複数の試薬とを含む、病原性マイコバクテリア疾患または感染の検出用キットに関する。
【0022】
本発明はまた、(配列番号1)、(配列番号2)、(配列番号3)、(配列番号4)、(配列番号9)、(配列番号11)、(配列番号13)、(配列番号15)の配列と相補的であり、相補的ヌクレオチド配列と特異的にハイブリダイゼーションすることができる核酸配列由来の連続ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドと、オリゴヌクレオチドの相補核酸配列へのハイブリダイゼーションのための試薬を含む、病原性マイコバクテリア疾患または感染の検出用キットに関する。
【0023】
本発明の別の態様では、SapMタンパク質(配列番号10)、(配列番号12)、(配列番号14)、(配列番号16)またはそのポリペプチドフラグメント(配列番号22)と特異的に結合することができる抗体が存在する。
【0024】
本発明のさらに別の態様では、SapMタンパク質(配列番号10)、(配列番号12)、(配列番号14)、(配列番号16)またはそのポリペプチドフラグメント(配列番号22)と特異的に結合することができる抗体を含むMycobacteriumによる攻撃に対して哺乳動物を治療または予防するためのワクチンまたは免疫原性組成物が存在する。
【0025】
本発明のさらなる態様では、マイコバクテリア分泌酸性ホスファターゼ遺伝子のコード領域の開始部位の5’上流隣接領域由来のプロモーターまたはプロモーターフラグメント(配列番号1)、(配列番号2)、(配列番号3)、(配列番号4)を含み、プロモーターまたはプロモーターフラグメントが目的のヌクレオチド配列の発現の調節に十分であり且つ低pH条件下で誘導可能である、単離DNA配列を含むMycobacteriumによる攻撃に対して哺乳動物を治療または予防するためのワクチンまたは免疫原性組成物が存在する。
【0026】
本発明の別の態様は、高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件下で、(配列番号1)、(配列番号2)、(配列番号3)、(配列番号4)とハイブリダイズし、目的のヌクレオチド配列の発現の調節に十分であり、且つ低pH条件下で誘導可能であるプロモーターまたはプロモーターフラグメント、を含む単離DNA配列を含むMycobacteriumによる攻撃に対して哺乳動物を治療または予防するためのワクチンまたは免疫原性組成物に関する。
【0027】
本発明は、SapMタンパク質(配列番号10)、(配列番号12)、(配列番号14)、(配列番号16)またはそのポリペプチドフラグメント(配列番号22)を含むMycobacteriumによる攻撃に対して哺乳動物を治療または予防するためのワクチンまたは免疫原性組成物に関する。
【0028】
本発明の別の態様は、高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件下で、(配列番号9)、(配列番号11)、(配列番号13)、(配列番号15)とハイブリダイズし、SapMタンパク質(配列番号10)、(配列番号12)、(配列番号14)、(配列番号16)またはそのポリペプチドフラグメント(配列番号22)を発現させる単離DNA配列または配列フラグメントを含む、Mycobacteriumによる攻撃に対して哺乳動物を治療または予防するためのワクチンまたは免疫原性組成物に関する。
【0029】
本発明はさらに、SapMポリペプチドを含み、且つ病原性マイコバクテリアの培養物中でSapMポリペプチドと自然に混合される他のタンパク質または糖タンパク質を実質的に含まない、被験体の病原性マイコバクテリア疾患または感染の検出に有用な抗原性組成物に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明を、本発明の好ましい実施形態を示す添付の図面を参照してより完全に説明する。しかし、本発明は異なる形態で実施することができ、本明細書中に記載の実施形態に制限されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は開示を十分なものとするために示され、これによって本発明の範囲は当業者に完全に伝達されることとなろう。
【0031】
本明細書中で使用される、用語「抗体」は、天然の抗体、および抗体の生物学的に活性な誘導体(例えば、Fab’、F(ab’)2、またはFvなど、ならびに単一ドメインおよび単鎖抗体)、の両方を含むことを意味する。抗体の生物学的に活性な誘導体は、抗原に結合する能力を保持する。
【0032】
本明細書中で記載される、用語「単離DNA配列」には、一本鎖であるか二本鎖であるかを問わず、DNAが含まれる。配列は(すなわち、その天然の環境から)実質的に純粋な形態または均一な形態に単離および/または精製されるが、このとき目的の種の核酸または遺伝子、またはプロモーターまたはプロモーターフラグメント配列以外の起源の核酸または遺伝子を含まないか実質的に含まない。本発明のDNA配列は、全部または一部が合成であり得る。用語「単離した」は、これら全ての可能性を含む。
【0033】
本明細書中で使用される、用語「低pH条件」は、pH範囲が5.0〜7.0、より好ましくは5.8〜6.6、最も好ましくは6.2の弱酸性条件をいう。
【0034】
本明細書中で記載される、用語「オリゴヌクレオチド」は、任意の配列番号1〜配列番号4、または(配列番号9)、(配列番号11)、(配列番号13)、(配列番号15)に記載の任意の14またはそれ以上の連続した塩基と同一の(または相補的な)少なくとも14個、好ましくは少なくとも20個、より好ましくは少なくとも50個の連続した塩基を含むヌクレオチド配列を有する一本鎖DNAもしくはRNAまたはそのアナログであるプローブまたはプライマーをいう。
【0035】
プローブの構築に好ましい領域には、配列番号9、(配列番号11)、(配列番号13)、(配列番号15)の5’および/または3’コード領域が含まれる。
【0036】
さらに、配列番号18の全cDNAコード領域または配列番号20に対応する全配列をプローブとして使用することができる。下記のような当該分野で周知の方法によってプローブを標識し、種々の診断キットで使用することができる。
【0037】
本明細書中で記載される、用語「作動可能に連結された」は、同一のプロモーターから開始される転写に対する適切な位置と配向を有して同一の核酸分子の一部として連結していることを意味する。
【0038】
本明細書中に記載される、用語「プロモーター」は、下流に(すなわち、二本鎖DNAのセンス鎖上の3’方向に)作動可能に連結されたDNAの転写を開始することができる、ヌクレオチド配列をいう。
【0039】
本明細書中で記載される、用語「プロモーター活性」は、転写を開始する能力をいう。
【0040】
本明細書中で記載される、用語「転写カセット」は、転写される核酸をコードする核酸配列をいう。転写を容易にするために、典型的にはプロモーターおよびエンハンサーならびに転写終結配列などの核酸エレメントが転写カセットに含まれる。
【0041】
本発明者らは、SapMはマイコバクテリア病原性の重要な決定要因であることを見出した。
【0042】
多数の細菌酸性ホスファターゼと対照的に、SapMの発現は、環境無機リン酸濃度によって制御されない。そのかわり、pHによって制御される。病原性マイコバクテリアは、弱酸性pHで高レベルのSapMを産生し、発現はpH6.2で最大である。sapM遺伝子は、病原性マイコバクテリアのみで存在する。sapM遺伝子は、宿主マクロファージで選択的に発現し、結核菌を含むマイコバクテリアのビルレンスおよび病原性に重要である。結核菌sapMの発現は、細胞内pHによって誘導され、この遺伝子は病原性マイコバクテリアに特異的である。SapMは、固有の酵素活性を有し、マイコバクテリア病原性の重要な決定要因である。他の細菌酸性ホスファターゼと異なり、SapMは、GTPに対して非常な高活性を示し、細胞GTP含有量およびその後のRabタンパク質の活性形態と不活性形態とのバランスに影響を与え得る。SapMが細胞外で分泌される小タンパク質(28kD)であり、且つマクロファージの細胞質ゾルに接近できる可能性が高いので、これは特に関連する点である。マイコバクテリア病原性におけるSapM機能の重要性は、SapMが病原性マイコバクテリア中に存在するが非病原性マイコバクテリア中に存在しないという注目に値する発見によってさらに示される。SapMホモログは、結核菌、M.bovis、M.bovisBCG、M.avium、およびM.marinum(全て病原性を示す)で見出される。対照的に、SapMタンパク質およびsapM遺伝子はいずれもM.smegmatis(M.smegmatis)およびM.chelonae(M.chelonae)などの非病原性の環境マイコバクテリアでは検出されない。
【0043】
(プロモーターフラグメント)
本発明は、プロモーターまたはプロモーターフラグメントを含む単離DNA配列を提供し、プロモーターまたはプロモーターフラグメントは(配列番号1)、(配列番号2)、(配列番号3)、(配列番号4)に記載のヌクレオチド配列を含む。プロモーターまたはプロモーターフラグメントは、目的のヌクレオチド配列の発現の調節に十分であり、且つ低pH条件下で誘導可能である(配列番号1)、(配列番号2)、(配列番号3)、(配列番号4)に記載のヌクレオチド配列の1つまたは複数のフラグメントを含み得る。プロモーターまたはプロモーターフラグメントは、結核菌の(配列番号1)に示す5’側498位までのヌクレオチド配列または他の病原性マイクロバクテリウムもしくは病原性菌類の同等の配列を含み得る。
【0044】
制限酵素またはヌクレアーゼを使用し核酸を消化し、その後適切なアッセイによってプロモーター活性に必要な最小ヌクレオチド配列を決定することができる。
【0045】
プロモーターまたはプロモーターフラグメントは、発生および/または組織特異的な発現の調節、または外因性基質または環境条件による調節の制御を付与する1つまたは複数の配列モチーフまたはエレメントを含み得る。例えば、プロモーターまたはプロモーターフラグメントは、肺特異的調節制御エレメントまたは外因的に付加した糖(イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシドなど)によって制御されるエレメントを含み得る。
【0046】
本発明は、ヌクレオチドの付加、挿入、置換、または欠失による対立遺伝子、変異体、変異型、または誘導体であるヌクレオチド配列を有するプロモーターまたはプロモーターフラグメントにまで及ぶ。当業者に公知の技術によってヌクレオチド配列を変化させることができる。本発明のプロモーターまたはプロモーターフラグメント配列またはフラグメントの1つまたは複数の変化はプロモーター活性を増減させ得るし、又はプロモーターまたはプロモーターフラグメントの活性を調整することができる化合物またはタンパク質の効果の程度を減少させ得る。
【0047】
(発現ベクター)
本発明はまた、本明細書中に開示のプロモーターまたはプロモーターフラグメントを含む発現ベクターを提供する。プロモーターまたはプロモーターフラグメントを、当該分野で周知の手段によって種々のベクターにクローン化することができる。このようなベクターは、本発明のプロモーターまたはプロモーターフラグメントに作動可能に連結されたベクターへの目的の核酸配列の挿入のための、適切に位置付けられた制限部位または他の手段を含み得る。このようなベクターは、適切に位置付けられた制限部位またはプロモーターまたはプロモーターフラグメントに作動可能に連結されたベクターへの目的のヌクレオチド配列の挿入のための他の手段を含み得る。
【0048】
適切な調節配列(プロモーター配列またはそのフラグメント、ターミネーターフラグメント、ポリアデニル化配列、エンハンサー配列、マーカー遺伝子、および他の配列を適切となるように含む)を含む適切なベクターを選択または構築することができる。
【0049】
アッセイまたは実験で使用するために、pETシリーズ(Stratagene)、pPROシリーズ(Clontech)、pTetシリーズ(Clontech)、BacPAKシステム(Clontech)などの市販のベクターを使用することができる。遺伝子治療で使用するために、pT−Rex、pIND、pcDNA、pVAX1、およびpEFなどのベクターを使用することができる。発現ベクターは、高レベルのポリペプチド発現を得るために有用である。本発明のDNA配列で形質転換した細胞培養物は、特にファゴソームの輸送および成熟に対するSapMの効果の研究のための研究ツールとして有用である。当該分野で公知の多数の技術による過剰発現および研究で細胞培養を使用することができる。例えば、細胞株(不死化細胞培養、初代細胞培養のどちらでもよい)を、産生された目的の核酸、ポリペプチド、得られた細胞の機能性および表現型のレベルを評価することができる本発明の転写カセットを含むベクターでトランスフェクトすることができる。
【0050】
さらなる詳細については、例えば、Molecular Cloning:a Laboratory Manual:2nd edition,Sambrook et al.,1989 Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照のこと。細胞へのDNAの移入手順は使用する宿主に依存するが、エレクトロポレーションおよびリン酸カルシウム形質転換法など周知である。
【0051】
(宿主細胞)
本発明のさらなる態様は、本発明の転写カセットを含む宿主細胞を提供する。特に望ましい宿主細胞には、結核菌、M.marinum、M.bovis、M.bovisBCG、M.smegmatis、M.avium複合体のメンバー、E.coli(およびE.coliBL21(DE3)などの誘導体)、タンパク質過剰発現用昆虫細胞株(Sf21など)、哺乳動物細胞株(RAWおよびJ774など)が含まれる。sapMプロモーターの調節下で発現すべき適切な遺伝子の例は、以下である:抗原85遺伝子(fbpA、fbpB、fbpC)、19−Kdリポタンパク質遺伝子(lppo)、およびα−クリスタリン遺伝子(acr)。
【0052】
形質転換について当該分野で公知の方法には、エレクトロポレーション、塩化ルビジウム、塩化カルシウム、リン酸カルシウム、またはクロロキントランスフェクション、ウイルス感染、ファージ形質導入、およびマイクロインジェクションが含まれるが、これらに限定されず、カチオン性脂質および脂質/アミノ酸複合体の使用、またはリポソームの使用、広範な種々の他の市販のトランスフェクションアジュバントおよび容易に合成されるトランスフェクションアジュバントは、宿主細胞にSapM核酸分子を導入するのに有用である。
【0053】
宿主細胞は従来の栄養培地中で培養される。プロモーターの誘導、目的の核酸配列の増幅、または形質転換体の選択に適切なように培地を改変することができる。温度、組成、およびpHなどの培養条件は明らかとなろう。形質転換後、選択可能な表現型に基づいて形質転換体を同定することができる。
【0054】
(診断方法)
sapM核酸、SapMタンパク質、またはSapMホスファターゼ活性の検出は、病原性マイコバクテリアもしくは病原性菌類感染の存在のスクリーニングツールとしてまたは病原性マイコバクテリアもしくは病原性菌類感染の進行のモニタリングに有用である。
【0055】
本発明は、
a)被験体から生体サンプルを得ることと、
b)サンプルをSapM(配列番号10)、(配列番号12)、(配列番号14)、(配列番号16)に特異的な抗体の存在について分析すること、
を含む被験体の病原性マイコバクテリア感染または病原性菌類感染の診断方法であって、SapM(配列番号10)、(配列番号12)、(配列番号14)、(配列番号16)に特異的な抗体の検出は、病原性マイコバクテリア感染または病原性菌類感染の存在を示す、被験体の病原性マイコバクテリア感染または病原性菌類感染の診断方法に関する。
【0056】
免疫アッセイでSapMを用いることによってSapMに特異的な抗体の存在を分析することができ、ここでSapMは液相で使用しても固相キャリアに結合させて使用してもよい。さらに、抗SapM抗体を使用した免疫アッセイでの使用のために、種々の方法においてSapMを検出可能に標識することができる。本発明の方法を使用した抗SapM抗体検出のための好ましい免疫アッセイには、放射性免疫アッセイ、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、または当該分野で公知の他のアッセイ(免疫蛍光アッセイ、化学発光アッセイ、または生物発光アッセイなど)が含まれる。
【0057】
本発明は、
(a)被験体から核酸サンプルを得ることと、
(b)サンプルをSapMをコードする核酸の存在について分析することとを含む被験体の病原性マイコバクテリア感染または病原性菌類感染の診断方法であって、sapMの検出が病原性マイコバクテリア感染または病原性菌類感染の存在を示す、被験体の病原性マイコバクテリア感染または病原性菌類感染の診断方法に関する。
【0058】
例えば、PCR分析、DNA配列決定、SSCP分析、またはRFLP分析によってサンプルをSapMをコードする核酸の存在について分析することができる。
【0059】
別の実施形態では、本発明は、
(a)被験体から生体流動体サンプルを得ることと、
(b)サンプルをSapMホスファターゼ活性の存在について分析することとを含む被験体の病原性マイコバクテリア感染または病原性菌類感染の診断方法であって、SapMホスファターゼ活性の検出が病原性マイコバクテリア感染または病原性菌類感染の存在を示す、被験体の病原性マイコバクテリア感染または病原性菌類感染の診断方法に関する。
【0060】
補因子としてGTPおよび/またはNADPHおよび基質としてp−ニトロフェニルホスフェートを使用した酸性ホスファターゼアッセイの実施によって、サンプルをSapMホスファターゼ活性の存在について分析することができる。
【0061】
病原性マイコバクテリア感染または病原性菌類感染の診断だけでなく、治療応答のモニタリング、予後評価、患者の疾患リスクの評価、およびリスクのある患者の疾患予防治療の成功のモニタリングのためにもsapM核酸、SapMタンパク質、またはSapMホスファターゼ活性の測定を使用することができる。
【0062】
他のアッセイ(ならびに上記アッセイの変形)は、本発明の説明および技術から明らかである。
【0063】
(スクリーニング方法)
本発明はまた、本発明のプロモーターまたはプロモーターフラグメントDNAのプロモーター活性を制御または調整する合成化合物またはタンパク質のスクリーニング方法に関する。SapMプロモーターまたはプロモーターフラグメントのプロモーター活性を制御または調整する合成化合物またはタンパク質の同定方法は、
a)SapMプロモーター(配列番号1)、(配列番号2)、(配列番号3)、(配列番号4)の機能的部分を含む核酸構築物であって、プロモーターの機能的部分が検出可能なシグナルを産生することができるレポーター遺伝子に作動可能に連結されている核酸構築物を用意するか使用することと、
b)核酸構築物を候補化合物またはタンパク質に曝露することと、
c)試験される化合物またはタンパク質の非存在下で産生されたシグナルと比較することとを含む。
【0064】
レポーター遺伝子は、好ましくは、検出可能なシグナルを産生する反応を触媒する酵素をコードする。多数の例(例えば、緑色蛍光タンパク質をコードするgfp(および増強される緑色、青色/シアン、および黄色蛍光タンパク質をコードするgfp変異型)、赤色蛍光タンパク質をコードするDsRed、β−ガラクトシダーゼをコードするlacZ、β−グルコロニダーゼをコードするgus、細菌ルシフェラーゼをコードするluxAB(またはlucCDABE)、ホタルルシフェラーゼをコードするluc、およびアルカリホスファターゼをコードするphoA)が公知である。当業者は、遺伝子活性を決定するために使用することができる複数の可能なレポーター遺伝子およびアッセイ技術を熟知している。任意の適切なレポーター/アッセイを使用することができ、本発明には特定の選択は不可欠ではなく、また当該選択は本発明の限定でもないと認識されるべきである。in vitroまたはin vivo発現系においてレポーター遺伝子を使用することができる。プロモーターまたはプロモーターフラグメントに加えて、発現には一般に、転写開始領域ならびに転写および翻訳終結領域の存在が必要である。
【0065】
本発明の別の実施形態は、
(a)SapM(配列番号10)、(配列番号12)、(配列番号14)、(配列番号16)、SapMの基質、および試験化合物を含む混合物をインキュベートすることと、
(b)ホスファターゼ活性を測定することと、
(c)試験される化合物またはタンパク質の非存在下でのホスファターゼ活性と比較することとを含む、SapMホスファターゼ活性を制御または調整する合成化合物またはタンパク質のスクリーニング方法に関する。
【0066】
基質は、pNPP、GTP、またはNADPHを含み得る。
【0067】
本発明の別の実施形態は、
(a)試験される化合物またはタンパク質にSapM(配列番号10)、(配列番号12)、(配列番号14)、(配列番号16)を分泌するMycobacterium細胞を曝露することと、
(b)Mycobacterium細胞によって分泌されたSapM(配列番号10)、(配列番号12)、(配列番号14)、(配列番号16)の活性の存在を検出することと、
(c)試験される化合物またはタンパク質の非存在下でのSapM(配列番号10)、(配列番号12)、(配列番号14)、(配列番号16)の分泌を比較することとを含む、SapM分泌を制御または調整する合成化合物またはタンパク質のスクリーニング方法に関する。
【0068】
「調整」、「調整する」は、発現もしくは活性の増加、発現もしくは活性の減少、存在する発現もしくは活性の型もしくは種類の変化、発現もしくは活性の完全な停止(すなわち、発現もしくは活性の非存在)、または発現もしくは活性の刺激を指しうる。使用することができる適切な化合物には、タンパク質、核酸、低分子、ホルモン、抗体、ペプチド、抗原、サイトカイン、成長因子、薬物(化学療法薬、発癌性物質、または他の細胞(すなわち、細胞−細胞接触))が含まれるが、これらに限定されない。照射、活動ポテンシャルなどの環境因子または生理学的因子の通常の遺伝子発現に対する効果について細胞をスクリーニングすることもできる。
【0069】
他のアッセイ(および上記アッセイの変形形態)は、本発明の説明および米国特許第5,851,788号、同第5,736,337号、および同第5,767,075号(その全体が本明細書中で参照により取り込まれる)に開示のものなどの技術から明らかとなろう。例えば、試験化合物レベルを固定するか増加させることができ、一度に複数の化合物またはタンパク質を試験することができる。
【0070】
(キット)
本発明は、少なくとも1つの本発明のプローブを含むSapM核酸分子の存在を検出するためのキットを含む。キットは、公知の技術にしたがって調製することができる(例えば、米国特許第5,851,788号および同第5,750,653号を参照のこと)。キットは、好ましくは、相補核酸配列へのプローブのハイブリダイゼーションに適切な試薬を含む。本発明はまた、少なくとも1つの本発明の抗SapM抗体を含むSapMタンパク質の存在を検出するためのキットを含む。キットを、公知の技術にしたがって調製することができる(例えば、米国特許第5,851,788号および同第5,750,653号を参照のこと)。
【0071】
キットは、好ましくは、抗体、抗体と抗体によって認識されるポリペプチドとの間の免疫学的複合体の形成に適切な溶媒、および生体サンプル中のSapMまたは類似のポリペプチドの存在を確認するための免疫学的複合体を検出することができる試薬を含む。抗体の使用におけるさらなる背景は、例えば、米国特許第5,695,931号および同第5,837,472号(その全体が本明細書中に参照により取り込まれる)に記載されている。
【0072】
(抗体の調製)
本発明は、本発明のポリペプチドに免疫反応性を示す単離抗体を含む。抗体は、好ましくは、天然のSapM(配列番号10)、(配列番号12)、(配列番号14)、(配列番号16)または(配列番号10)、(配列番号12)、(配列番号14)、(配列番号16)のSapMの合成ペプチドのエピトープに対して作製される。抗体を、検出可能なマーカーで標識してもよく、標識しなくてもよい。抗体は、好ましくは、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体である。SapM抗体を使用して、SapMポリペプチドを含む生物をスクリーニングすることができる。抗体はまた、粗抽出物由来のポリペプチドの免疫精製に有益である。例えば、抗体と抗体によって認識されるポリペプチドとの間で免疫学的複合体を形成し、免疫学的複合体の有無を検出し、それによりサンプル中でSapMまたは類似のポリペプチドの存在が検出される条件下で、生物学的サンプルと抗体とを接触させることができる。本発明はまた、組成物(好ましくは、抗体が含まれる)、抗体と抗体によって認識されるポリペプチドとの間での免疫学的複合体の形成に適切な溶媒、およびSapMまたは類似のポリペプチドの存在を確認するための、免疫学的複合体を検出することができる試薬を含む。
【0073】
SapMを認識するために、例えば、(配列番号22)(NDMHDGSI)などの、分子全体に分布するそれぞれ異なった一連のエピトープに対して抗体を作製することができる。SapMの分泌を遮断するためにN−末端シグナル配列をターゲティングする抗体を作製することができるであろう。さらに、これらの抗体または他のSapMエピトープに対する他の抗体は、亢進したSapMクリアランス/分解と、それに付随したSapMホスファターゼ活性の減少によってSapM活性を遮断することができる。
【0074】
本願の説明および当該分野で公知の技術によってモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体を調製する。モノクローナル抗体の調製および使用の例については、米国特許第5,688,681号、同第5,688,657号、同第5,683,693号、同第5,667,781号、同第5,665,356号、同第5,591,628号、同第5,510,241号、同第5,503,987号、同第5,501,988号、同第5,500,345号、および同第5,496,705(その全体が本明細書中に参照により取り込まれる)を参照のこと。ポリクローナル抗体の調製および使用の例は、米国特許第5,512,282号、同第4,828,985号、同第5,225,331号、および同第5,124,147(その全体が本明細書中に参照により取り込まれる)に開示されている。
【0075】
本発明はまた、抗体の使用方法を含む。例えば、本発明は、a)抗体との特異的反応性を示すポリペプチドへの抗体の結合に適切な条件下での1つまたは複数のポリペプチドを含むサンプルの本発明の抗体との接触、b)抗体からの非結合ポリペプチドの分離、およびc)サンプル中で1つまたは複数のポリペプチドに結合したままの抗体の検出による、(配列番号10)、(配列番号12)、(配列番号14)、(配列番号16)、または(配列番号22)などのSapMポリペプチドの存在の検出方法を含む。
【0076】
(免疫原性組成物)
当業者は、本発明の免疫原性組成物の適切な投与方法が利用可能であると認識する。好ましくは、非経口(例えば、静脈内、動脈内、鞘内、皮下、皮内、または筋肉内)で組成物を投与する。非経口組成物のための有効な薬学的キャリアの要件は当業者に周知である(例えば、Banker and Chalmers(eds.),Pharmaceutics and Pharmacy Practice,J.B.Lippincott Company,Philadelphia,PA,(1982)およびToissel,ASHIP Handbook on Injectable Drugs (4th ed.)を参照のこと)。このような溶液は、抗酸化剤、緩衝液、静菌薬、および意図するレシピエントの血液と処方物とを等張にする溶質、ならびに懸濁化剤、可溶化剤、増粘剤、安定剤、および防腐剤を含み得る水性および非水性滅菌懸濁液を含み得る。化合物は生理学的に許容可能な希釈剤を含む薬学的キャリア中で投与されてもよい。例えば(薬学的に許容可能な界面活性剤(セッケンまたは界面活性剤)、懸濁化剤(ペクチンなど)、カルボマー、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースもしくはカルボキシメチルセルロース、または乳化剤ならびに他の薬学的アジュバントを添加するか添加していない)滅菌液体もしくは液体の混合物(水、生理食塩水、水性デキストロース、および関連糖溶液、アルコール(エタノール、イソプロパノール、またはヘキサデシルアルコールなど)、グリコール(プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールなど)、ジメチルスルホキシド、グリセロールケタール(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノールなど)、エーテル(ポリ(エチレングリコール)400など)、オイル、脂肪酸、脂肪酸エステルもしくはグリセリドまたはアセチル化脂肪酸グリセリドが含まれる)。
【0077】
非経口処方物で有用なオイルには、石油、動物油、植物油、または合成油が含まれる。このような処方物で有用なオイルの特定の例には、ピーナツ油、ダイズ油、綿実油、トウモロコシ油、オリーブ油、ワセリン、および鉱物油が含まれる。非経口処方物で使用するための適切な脂肪酸には、オレイン酸、ステアリン酸、およびイソステアリン酸が含まれる。オレイン酸エチルおよびミリスチン酸イソプロピルは、適切な脂肪酸エステルの例である。
【0078】
非経口処方物で使用するための適切なセッケンには、脂肪アルカリ金属、アンモニウム、およびトリエタノールアミン塩が含まれ、適切な界面活性剤には、陽イオン洗剤、陰イオン洗剤、非イオン洗剤、両性洗剤、およびその混合物が含まれる。
【0079】
非経口処方物は、典型的には、溶液中に約0.5重量%〜約25重量%の活性成分を含む。防腐剤および緩衝液を使用することができる。非経口処方物は、単位用量(ユニットドーズ)または複数回用量(マルチドーズ)の密封コンテナ中に存在することができ、且つ凍結乾燥することができる。即時注射溶液および懸濁液を、滅菌粉末、顆粒、および錠剤から調製することができる。局所処方物(経皮薬物放出に有用なものが含まれる)は当業者に周知であり、且つ本発明の文脈で皮膚への適用に適切したものである。
【0080】
経口投与に適切な処方物は、溶液、カプセル、粉末、懸濁液、および適切な乳濁液からなり得る。液体処方物には、希釈液(水およびアルコールなど)が含まれ得る。カプセル形態は、例えば、界面活性剤、潤滑剤、および不活性充填剤(ラクトース、スクロース、リン酸カルシウム、およびコーンスターチなど)を含む通常の硬殻または軟殻ゼラチン型であり得る。錠剤形態には、賦形剤、着色料、希釈剤、緩衝化剤、崩壊剤、湿潤剤、防腐剤、着香薬、および薬学的に適合する賦形剤が含まれ得る。
【0081】
本発明の免疫原性組成物を、吸入によって投与されるエアゾール処方物に作製することができる。エアゾール投与に適切な処方物には、界面活性剤および高圧ガスが含まれ得る。鼻腔内送達用のキャリアも含まれ得る。
【0082】
本発明の組成物を、種々の基剤(乳化基剤または水溶性基剤など)との混合によって座剤として投与することもできる。膣内投与に適切な処方物は、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム、またはスプレイ剤型で存在し得る。
【0083】
免疫原性組成物についてのSapMタンパク質またはそのポリペプチドフラグメントの濃度は、広範に変化することができ(すなわち、約1%未満から、通常10重量%または少なくとも10重量%から20重量%〜50重量%またはそれ以上)、選択された特定の投与様式にしたがって、主に流動物の体積、粘度などが選択される。非経口投与用組成物の実際の調製方法は、当業者に公知または自明であり、例えば、Remington’s Pharmaceutical Science(17th ed.,Mack Publishing company,Easton,PA,(1985)により詳細に記載されている。
【0084】
本発明の化合物を、包接複合体またはリポソームとして処方することができる。リポソームは、SapMタンパク質またはそのポリペプチドフラグメントペプチドの特定の組織へのターゲティングに役立つ。リポソームはまた、組成物の半減期を増加させることができる。
【0085】
(ワクチンの調製および使用)
ワクチンとしての使用に適切な免疫原性組成物を、SapMタンパク質およびそのポリペプチドフラグメントならびにSapMタンパク質をコードする核酸分子およびそのポリペプチドフラグメントから調製することができる。ワクチンの調製方法および使用の例については、米国特許第4,601,903号、同第4,599,231号、同第4,599,230号、および同第4,596,792号(その全体が本明細書中に参照により取りこまれる)を参照のこと。
【0086】
免疫原性組成物(ワクチンが含まれる)を、注射物質(溶液または懸濁液又は注射前の液体中の溶液あるいは懸濁液に適切な個体形態のいずれか)として調製することができる。調製物を乳化するか、タンパク質をリポソームにカプセル化することもできる。生の免疫原性成分は、薬学的に許容可能であり且つ活性成分に適合する賦形剤としばしば混合される。適切な賦形剤は、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、またはエタノールなどおよびその組み合わせである。さらに、所望ならば、ワクチンは、少量の助剤(湿潤剤または乳化剤、pH緩衝化剤、および/またはワクチンの有効性を強化するアジュバントなど)を含み得る。有効であり得るアジュバントの例には、水酸化アルミニウム、N−アセチル−ムラミル−L−トレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(CGP 11637、nor−MDPという)、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(CGP 19835A、MTP−PEという)、およびRIBI(細菌から抽出した3つの成分を含む)、モノホスホリル脂質A、ジミコール酸トレハロース(trehalose dimycolate)、および細胞壁骨格(MPL+TDM+CWS)を含む2%スクアレン/Tween80TM乳濁液が含まれるが、これらに限定されない。
【0087】
やはり種々のアジュバントから構成されるSapMワクチンの投与に起因するSapM抗原配列を含む免疫原性ポリペプチドに指向する抗体量の測定によって、アジュバントの有効性を決定することができる。
【0088】
ワクチンは、従来のように、注射(例えば、皮下または筋肉内のいずれか)によって非経口投与される。他の投与様式に適切なさらなる処方物には、座剤、ある場合には、経口処方物が含まれる。座剤について、従来の結合剤およびキャリアには、例えば、ポリアルキレングリコールまたはトリグリセリドが含まれ得る;このような座剤を、0.5%〜10%、好ましくは1%〜2の範囲の活性成分を含む混合物から形成することができる。経口処方物には、試薬グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどの通常使用される賦形剤が含まれる。これらの組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、丸薬、カプセル、徐放性処方物、または粉末の形態をとり、10〜95%、好ましくは25〜70%の活性成分を含む。剤形に適合する様式および予防および/または治療効果のある量でワクチンを投与する。
【0089】
ワクチンを単回処方計画、好ましくは複数回処方計画で投与することができる。複数回処方計画は、最初に一連のワクチン接種を1〜10回個別投与で行い、その後免疫応答を維持および/または増進に必要な時間間隔(例えば、第2の投与については1〜4ヶ月、必要に応じて、数ヵ月後に投与)で残りの投与を行うものである。投薬計画はまた、少なくとも部分的には個体のニーズによって決定され、これは開業医の判断に依存する。
【0090】
さらに、ワクチンを、他の免疫調節薬(例えば、免疫グロブリン)と組み合わせて投与することができる。
【0091】
(核酸分子)
(機能的に等価な核酸またはポリペプチド配列)
用語「単離DNA配列」は、その構造がいかなる天然に存在するDNA配列の構造または天然に存在するDNA配列の3つを超える別々の遺伝子にわたる任意のフラグメントの構造と同一ではないDNA配列をいう。したがって、この用語は、例えば、(a)天然に存在するゲノムDNA分子の一部の配列を有するDNA、(b)得られる分子がいかなる天然に存在するベクターまたはゲノムDNAと同一とはならないように、それぞれ原核生物または真核生物のベクターまたはゲノムDNAに組み込まれた一つのDNA配列、(c)個別の分子(cDNA、ゲノムフラグメント、PCRによって増幅することができるポリA RNAの逆転写によって産生されたフラグメント、または制限フラグメントなど)、および(c)一つのハイブリッド遺伝子(すなわち、融合タンパク質をコードする遺伝子)の一部である一つの組換えDNA配列を対象とする。詳細には、この定義から排除されるのは(i)DNA分子混合物中、(ii)トランスフェクトした細胞混合物中、および(iii)細胞クローンの混合物中に存在する核酸である(例えば、cDNAまたはゲノムDNAライブラリーなどのDNAライブラリー中のものなど)。
【0092】
化学的に等価なまたは化学的に類似のアミノ酸配列が産生されるDNA配列の修飾は、本発明の範囲内に含まれる。修飾には、ヌクレオチドの置換、挿入、もしくは欠失、またはヌクレオチドの相対的な位置もしくは順序の変化が含まれる。
【0093】
本発明のポリペプチドの変異型は例えば変異によって天然に生じ得るものであり、またはアミノ酸置換について当該分野で周知の指定部位突然変異誘発などのポリペプチド操作技術を使用して作製することができる。例えば、アラニンなどの疎水性残基を、ロイシン、バリン、またはイソロイシンなどのさらに疎水性の高い残基と置換することができる。グルタミン酸をアスパラギン酸などの負電荷のアミノ酸に置換することができる。リジンなどの正電荷のアミノ酸によって、アルギニンなどの別の正電荷のアミノ酸を置換することができる。
【0094】
したがって、本発明は、アミノ酸配列の保存的交換または置換を有するポリペプチドを含む。保存的置換は、置換したアミノ酸配列と類似の化学的性質を有する1つまたは複数のアミノ酸を挿入する。本発明は、SapM活性を破壊しないで保存的置換を行った配列を含む。
【0095】
本発明はまた、フラグメントが活性を保持している場合、SapM活性を付与するために使用することができる本発明のポリペプチドのポリペプチドフラグメントを含む。本発明はまた、ポリペプチドまたはその活性を特徴付けるための研究ツールとして使用することができる本発明のポリペプチドのポリペプチドフラグメントを含む。このようなポリペプチドは、好ましくは、少なくとも5個のアミノ酸からなる。好ましい実施形態では、これらは、6〜10個、11〜15個、16〜25個、26〜50個、51〜75個、76〜100個、または101〜250個の、本発明のポリペプチドのアミノ酸(またはより長いアミノ酸配列)からなりうる。フラグメントは、好ましくは、SapM活性を有する。フラグメントは、1つまたは複数のアミノ酸(例えば、SapM配列中のC末端アミノ酸)が除去された配列を含み得る。
【0096】
本発明はまた、SapM活性を増減する保存的置換を行った配列を含む。
【0097】
1つまたは複数のd型アミノ酸を含むポリペプチドは本発明内に意図される。N末端の1つまたは複数のアミノ酸がアセチル化されたポリペプチドも意図される。当業者は、本発明の対応するポリペプチド化合物と同一または同様の所望のSapM活性を有するが、溶解性、安定性、ならびに/または加水分解およびタンパク質分解に対する感受性に関してポリペプチドよりも好ましい活性を有するポリペプチド模倣物の構築に種々の技術が利用可能であることを認識する。例えば、Morgan and Gainor,(1989)Ann.Rep.Med.Chem.,24:243−252を参照のこと。ポリペプチド模倣物の例は、米国特許第5,643,873号に記載されている。模倣物をどのようにして作製および使用するのかについて記載されている他の特許には、米国特許第5,786,322号、同第5,767,075号、同第5,763,571号、同第5,753,226号、同第5,683,983号、同第5,677,280号、同第5,672,584号、同第5,668,110号、同第5,654,276号、同第5,643,873号が含まれる。当該分野で公知の他の技術にしたがって(例えば、水素基の水酸基またはアミノ基などの別の基への変換によって側基を化学的に変化させる薬剤での本発明のポリペプチドの処理により)、本発明のポリペプチドの模倣物を作製することもできる。
【0098】
模倣物は、好ましくは、完全にアミノ酸から作製された配列またはアミノ酸および修飾アミノ酸または他の有機分子を含むハイブリッドである配列を含む。
【0099】
本発明はまた、例えば、融合ポリペプチドをコードするために、1つの種由来のsapM DNA配列を植物、哺乳動物、細菌、または酵母の配列由来のヌクレオチド配列と組み合わせたハイブリッド核酸分子およびポリペプチドを含む。本発明は、融合タンパク質の第1の成分が本発明のポリペプチド、好ましくは全長SapMポリペプチド(またはその一部、以下を参照のこと)を含む、少なくとも2つの成分を有する融合タンパク質を含む。融合タンパク質の第2の成分は、好ましくはタグ(例えば、GST、エピトープタグまたは酵素)を含む。融合タンパク質はまた、lacZ、アルカリホスファターゼ、または西洋ワサビペルオキシダーゼなどの組織化学的もしくは細胞化学的マーカーまたはGFPもしくはその誘導体の1つなどの蛍光マーカーを含み得る。
【0100】
本発明はまた、好ましくは細胞形質転換のために組成物中にキャリアを含むか含まない、本発明の単離DNA分子(好ましくは、sapM(配列番号9)、(配列番号11)、(配列番号13)、(配列番号15))の全てまたは一部を含む組成物を含む。本発明はまた、好ましくはポリペプチド活性の研究または調整のためのキャリアを含むか含まない単離SapMポリペプチド(好ましくは、SapM(配列番号10)、(配列番号12)、(配列番号14)、(配列番号16)、または(配列番号22))を含む組成物を含む。
【0101】
(配列同一性)
本発明は、(配列番号1)〜(配列番号4)、または(配列番号9)、(配列番号11)、(配列番号13)、(配列番号15)(またはその部分的配列またはその相補配列)に記載のDNA配列と少なくとも約17%超、20%超、30%超、40%超、50%超、60%超、70%超、80%超、または90%超、より好ましくは少なくとも約95%超、99.5%超の配列同一性を有する改変核酸分子を含む。好ましくは、約1、2、3、4、5、6〜10、10〜25、26〜50、51〜100、または101から250個のヌクレオチドが改変されている。配列同一性は、BLASTバージョン2.1プログラム高度検索(上記のパラメータ)のアルゴリズムによって評価することが最も好ましい。BLASTは、オンライン(http//www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST)で利用可能な一連のプログラムである。
【0102】
BLAST検索の参考文献は、以下である:
Altschul,S.F.,Gish,W.,Miller,W.,Myers,E.W.&Lipman,D.J.(1990)“Basic local alignment search tool.”J.Mol.Biol.215:403−410.
Gish,W.& States,D.J.(1993)“Identification of protein coding regions by database similarity search.”Nature Genet.3:266−272.
Madden,T.L.,Tatusov,R.L.& Zhang,J.(1996)“Applications of network BLAST server”Meth.Enzymol.266:131−141.
Altschul,S.F.,Madden,T.L.,Schlaffer,A.A.,Zhang,J.,Zhang,Z.,Miller,W.&Lipman,D.J.(1997)“Gapped BLAST and PSI−BLAST:a new generation of protein database search programs.”Nucleic Acids Res.25:3389−3402.
Zhang,J.& Madden,T.L.(1997)“PowerBLAST : A new network BLAST application for interactive or automated sequence analysis and annotation.”Genome Res.7:649−656.
他の種における相同sapM核酸分子によってコードされるポリペプチドは、(配列番号10)、(配列番号12)、(配列番号14)、(配列番号16)(またはその部分配列)に記載のアミノ酸配列の少なくとも約20%超、25%超、28%超、30%超、40%超、または50%超アミノ酸配列が同一であろう。いくつかの種は、(配列番号10)、(配列番号12)、(配列番号14)、(配列番号16)(またはその部分配列)に記載のアミノ酸配列の全部または一部と少なくとも約60%超、70%超、80%超、または90%超、より好ましくは少なくとも約95%超、99%超、または99.5%超の配列が同一なポリペプチドを有し得る。当該分野で公知の方法に従って、同一性を計算する。配列同一性は、BLASTバージョン2.1プログラム高度検索(上記のパラメータ)によって評価することが最も好ましい。好ましくは、約1、2、3、4、5、6〜10、10〜25、26〜50、51〜100、または101から250個のヌクレオチドまたはアミノ酸が改変されている。
【0103】
本発明は、SapM活性に関与しないポリペプチドの一部のアミノ酸変化または変異によりポリペプチド活性が増減するようにSapM活性に関与するポリペプチドの一部のアミノ酸変化を生じる変異を有する核酸分子を含む。
【0104】
多数の技術にしたがって、本発明の配列を調製することができる。本発明は、いかなる特定の調製手段にも制限されない。例えば、本発明の核酸分子を、cDNAクローニング、ゲノムクローニング、cDNA合成、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、またはこれらのアプローチの組み合わせによって産生することができる(Current Protocols in Molecular Biology,F.M.Ausbel et al.,1989)。周知の方法および装置(自動化合成機など)を使用して、配列を合成することができる。
【0105】
(ハイブリダイゼーション)
SapM DNA分子の他の機能的に等価な形態を、従来のDNA−DNAまたはDNA−RNAハイブリダイゼーション技術を使用して単離することができる。これらの核酸分子およびSapM配列を、その活性に有意に影響を与えることなく改変することができる。
【0106】
本発明はまた、(配列番号1)〜(配列番号4)、および(配列番号9)、(配列番号11)、(配列番号13)、(配列番号15)(またはその部分的配列もしくはその相補配列)に記載の1つまたは複数のDNA配列とハイブリダイズし、(配列番号10)、(配列番号12)、(配列番号14)、(配列番号16)のDNAによって産生されるSapMポリペプチドと実質的に等価な活性を示すペプチドまたはポリペプチドをコードする核酸分子を含む。このような核酸分子は、好ましくは、本明細書中に定義の低、中(中程度)、または高ストリンジェンシー条件下でsapMまたはその相補物の全部または一部とハイブリダイゼーションする(Sambrook et al.(most recent edition)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.;Ausubel et al.(eds.),1995,Current Protocols in Molecular Biology,(JohnWiley & Sons,NY)を参照のこと)。ハイブリダイズする核酸の一部は、典型的には、少なくとも15(例えば、20、25、30、または50)ヌクレオチド長である。ハイブリダイズする核酸のハイブリダイズする部分は、SapMポリペプチドまたはその相補物をコードする核酸の一部または全部の配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも95%または少なくとも98%)同一である。本明細書中に記載のハイブリダイズする核酸型を、例えば、クローニングプローブ、プライマー(例えば、PCRプライマー)、または診断プローブとして使用することができる。核酸サンプルへのオリゴヌクレオチドプローブのハイブリダイゼーションを、典型的にはストリンジェントな条件下で行う。核酸二重鎖またはハイブリッド安定性を、融点(すなわちTm)(プローブが標的DNAから解離する温度)で示す。この融点を使用して、必要なストリンジェンシー条件を定義する。プローブに関連し、同一よりもむしろ実質的にプローブと同一である配列が同定される場合、まず塩(例えば、SSCまたはSSPE)の特定の濃度で相同性ハイブリダイゼーションのみが起こる最も低い温度を最初に確立することは有用である。次いで、1%のミスマッチによりTmが1℃低下すると仮定すると、それに応じてハイブリダイゼーション反応における最終洗浄温度は減少する(例えば、プローブと95%より高い同一性を有する配列を探索する場合、最終洗浄温度は5℃低下する)。実際には、Tmの変化は、1%のミスマッチあたり0.5℃と1.5℃との間であり得る。低ストリンジェンシー条件は、50℃における約1×SSC、0.1%SDSでのハイブリダイゼーションを含む。高ストリンジェンシー条件は、65℃における約0.1×SSC、0.1%SDSである。中ストリンジェンシーは、60℃における約1×SSC、0.1%SDSである。プローブと標的核酸との間に至適な同一性レベルを達成するために塩濃度および温度のパラメーターを変化させることができる。
【0107】
本発明はまた、本願に記載のものと等価な塩および温度条件下でSapMポリペプチドまたは遺伝子縮重形態のアミノ酸配列をコードし、且つSapM活性を有するペプチドまたはポリペプチドをコードする、ゲノムDNA、cDNA、または合成DNA分子とハイブリダイゼーションする、改変されているか改変されていない任意の供給源由来の核酸分子を含む。好ましくは、ポリペプチドは、SapMポリペプチドと同一または類似の活性を有する。核酸分子によってコードされたポリペプチドがSapM特異的抗体(本願で列挙した抗体が含まれるが、これらに限定されない)によって特異的様式で認識される場合、上記核酸分子は、本発明のsapM核酸分子と機能的に等価であるとみなされる。
【0108】
(塩化アンモニウムに対して成長させたM.bovisBCGでsapMの発現が誘導される)
細菌の酸性およびアルカリホスファターゼは、典型的には、環境無機リン酸濃度によって制御される(Rossolini et al.,1998で概説)。リン酸化成分の外因性供給源の無機リン酸への加水分解を触媒するこれらの酵素の発現を、リン酸枯渇下で誘導した。次いで、この必須制限栄養素が、膜透過酵素によって細胞に輸送される。最近の研究では、結核菌のSapMが培養培地に分泌された酸性ホスファターゼであることが示された(Saleh and Belisle,2000)。SapMがリン酸同化に関与するかどうかを決定するために、SapM発現および活性に対する環境リン酸濃度の効果を試験した。4つのM.bovisBCG株(結核菌に密接に関連する生物)を、3つの異なる濃度の無機リン酸(0.05、0.5、および5.0g/L)を含むSauton培地で成長させ、培養物ろ過タンパク質(CFP)画分中の酸性ホスファターゼ活性をアッセイした。これらの条件下で、酸性ホスファターゼ活性は、低く、40〜130nmol・hr-1・mg-1(総タンパク質)の範囲であった。ほとんどの細菌酸性ホスファターゼと対照的に、BCG培養物のCFP画分の酸性ホスファターゼ活性は、リン酸濃度によって制御されず、ホスファターゼ枯渇によってその活性は増加しなかった(図1A)。培養培地中の炭素源の枯渇によっても酵素活性に影響を与えなかった(図1A)。
【0109】
興味深いことに、窒素源として塩化アンモニウム(NH4Cl)を含む培地中で成長させたBCGで高レベルの酸性ホスファターゼ活性が検出された(図1A)。元のSauton培地は、主な窒素供給源として27mMのアスパラギンを含む。アスパラギンを、等モル濃度のNH4Clに置換し、新鮮な培地をpH7.4に調整した。全てのテストしたBCG株(BCG−Birkhaug、BCG−Japan、BCG−Frappier、およびBCG−Pasteur)はアンモニウム含有Sauton培地中で正常に成長した。これらの条件下で調製したCFP画分は、元のSautonで成長させたものよりもはるかに高い酸性ホスファターゼ活性レベルを示した(図1A)。BCG−Birkhaugは、136から3,459nmol・hr-1・mg-1に約25倍の劇的な増加を示した。他のBCG株は、5〜10倍の酸性ホスファターゼ活性の増加を示した。アンモニウム含有Sauton培地中のリン酸またはグリセロール濃度の調整では酵素活性レベルは変化しなかった(データ示さず)。
【0110】
SapMが結核菌培養物の細胞外画分中で検出される唯一の酸性ホスファターゼであることが以前に示された(Saleh and Belisle,2000)。SapMが認められた酸性ホスファターゼ活性の増加に寄与するかどうかを決定するために、SDS−PAGEによってCFP画分を分析した。図1Bに示すように、銀染色によって可視化したタンパク質バンドが、アンモニウム含有Sauton中で成長したBCG−Birkhaugによって作られ、通常のSauton培地中で成長した培養物では検出されなかった。このタンパク質の移動度は、成熟SapMタンパク質(約28kD)の分子量および部分精製SapMの分子量に対応する。このタンパク質の同一性を確認するために、SapMタンパク質のアミノ酸残基201〜208に対応する合成ペプチドに対する抗体を作製し、ウェスタンブロッティングを行った。実際、28kDタンパク質は抗SapM抗血清と反応し、このタンパク質がSapMであることを示す(図1B)。他のBCG株について、SapMタンパク質はあまり明瞭でなく、これらの株で検出されたより低い酵素活性レベルに対応する(図14)。
【0111】
(M.bovisBCGのSapMは、弱酸性pHで選択的に発現する。)
なぜSapM発現がNH4Clを含む培地で誘導されるのかすぐには明らかにならなかった。本発明者らの最初の仮説はSapMが窒素源の利用可能性によって制御されるというものであったにもかかわらず、窒素枯渇によってSapM発現または活性は変化しなかった(データ示さず)。しかし、アンモニア(NH4+)は膜トランスポーターによって取り込まれ、これによってアンモニア取り込みとH+輸出とが対となり得る(Westhoff et al.,2002)。これにより、培養培地が段階的に酸性化する。実際、消費されたBCG培養培地のpHの測定により、細胞が成長するにつれてNH4Clを含むSauton培地が酸性化するのに対し(すなわち、7.4から5.8〜6.2へのpH変化)、アスパラギン含有Sauton培地のpHは7.4〜7.8のままであることが明らかとなった。
【0112】
したがって、本発明者らは、培養培地の酸性化はSapM発現の誘導を担うと仮定した。これを試験するために、アスパラギン含有Sauton培地(pH7.4)中でBCG−Birkhaugを成長させ、その後、細胞部分を洗浄し、適切な緩衝液でpHを7.0、6.6、6.2、および5.8に調整すること以外は同一の培地で培養した。これらの培養物のCFP画分由来の酸性ホスファターゼ活性を決定し、酸性ホスファターゼ活性レベルと培養培地のpHとの間の相関関係が明らかとなった(図2A)。pH7.0〜7.4では、酸性ホスファターゼ活性レベルは非常に低い。弱酸性条件下では(すなわち、pH5.8〜6.6)、高レベルの酸性ホスファターゼ活性が検出され、pH6.2で最大であった(図2A)。SDS−PAGEおよびウェスタンブロッティング分析により、pH5.8〜6.6でSapM発現が誘導され(図2B)、これは同一pHでの高レベルの酵素活性とよく相関することが確認された。これらの結果は、弱酸性pHでsapMが選択的に発現されたことを示す。pH5.8〜6.2でBCG−Birkhaugで検出されたSapM活性レベルは、アンモニウム含有Sauton培地で成長したそれと類似しており(図1Aと2Aとの比較)、上記アンモニウムによるSapM発現の誘導はpH効果を実際に反映することが示唆される。
【0113】
pH7.0〜7.4では、銀染色またはウェスタンブロッティングのいずれによってもSapMは検出されず(図2B)、SapMレベルは非常に低いか検出限界未満であり、これらのpH値で検出された残存酸性ホスファターゼ活性と一致することが示唆される(図2A)。あるいは、残存酸性ホスファターゼ活性は、細胞成長時に培地外に漏れる細胞表面会合酸性ホスファターゼの小画分に由来し得る。SapM以外では、結核菌のたった1つの遺伝子産物(Rv2577)のみが、酸性ホスファターゼであると予想される(Cole et al.,1998)。しかし、Rv2577は、搬出シグナル配列を保有せず、細胞表面に会合しているようである(Braibant and Content,2001)。BCGの細胞表面会合酸性ホスファターゼおよびアルカリホスファターゼの活性は、培養培地中のpHの変化に影響を受けず(図2C)、pH依存性発現はSapMの特異的性質であることが示唆される。
【0114】
(Mycobacterium・smegmatisにおける結核菌sapMのクローニングおよび発現)
SapMは、最初、グリセロール−アラニン−塩(GAS)培地中で成長させた結核菌H37Rvの細胞外培地から生化学的アプローチによって同定された(Saleh and Belisle,2000)。本発明者らのアンモニウム含有Sauton培地と同様に、GASは窒素源としてNH4Clを含み、消耗したGAS培地は弱酸性である(データ示さず)。結核菌のSapMがM.bovisBCGと同一の性質を共有することを確認するために、sapM遺伝子を含むDNAフラグメント(Rv3310)をシャトルベクターpMD31にクローン化して、pSAPを作製し(図3A)、次いで、Mycobacterium・smegmatismc2−155に形質転換した。sapM遺伝子は、M.smegmatis染色体に存在せず、SapM活性は細胞外CFP画分で検出されなかった(以下を参照のこと)。しかし、sapMを含む組換えM.smegmatisをNH4Clを含むSauton培地で成長させた場合、CFP画分のSDS−PAGEおよびウェスタンブロッティング分析でSapMタンパク質が検出された(図3B)。SapMは、アスパラギン含有Sautonで成長させたpSAP株およびクローニングベクターpMD31を含むコントロール株に存在しなかった。これらの結果は、結核菌sapM遺伝子を発現することができ、M.smegmatisから分泌することができることを示した。
【0115】
結核菌sapMがpHによって制御されるかどうかを試験するために、上記の様な種々のpHレベルに調整したSauton培地(アスパラギンを含む)でmc2−155/pSAPを成長させた。SapMの酵素活性およびタンパク質濃度は互いに相関し、共に培養培地のpHに依存した(図4A〜C)。pH5.8〜6.6で高レベルのSapM発現および活性が検出され、これはM.bovisBCGで得た結果と一致する。クローニングベクターのみを含むコントロール株は、残存酸性ホスファターゼ活性を示し、これは細胞表面会合酸性ホスファターゼの漏れに起因する可能性が高く、pHで誘導されない。
【0116】
(結核菌sapM遺伝子は、マクロファージ中で選択的に発現される)
本発明者らのin vitro研究は、sapMがpH5.8〜6.6で選択的に発現することを示し、これは弱酸性マイコバクテリア含有ファゴソームと一致するpHレベル(pH6.1〜6.5)であり(Sturugill et al.,1994)、sapM発現はマクロファージ内で誘導されていることを示唆する。sapMがin vivoで発現することを証明するために、2つの転写融合物を構築した。pSAPM−GFPは、sapMコード領域の上流560bpおよびsapM遺伝子の3’末端から67bpが切り取られたsapM遺伝子を含む。pSAPC−GFPは同一の560bpsapMプロモーターフラグメント、全sapM遺伝子、およびその3’末端から183bpが切り取られたsapC遺伝子(Rv3311)を含む(図5A)。sapMおよびsapC遺伝子は、同時転写されるようである。両ベクターでは、短縮遺伝子は、転写によって無プロモーター変異緑色蛍光タンパク質(mGFP)と融合する(Barker et al.,1998)。これらの構築物を、クローニングベクターpFPV27と共にMycobacterium・marinum(染色体遺伝子座からSapMも産生する魚類病原体)に形質転換した(以下を参照のこと)。sapM発現が誘導されないか非常に低レベルで誘導されるアスパラギン含有Sauton培地(pH7.4)中で成長した組換えM.marinum株を使用して、マウスマクロファージ様細胞株J774A.1に感染させた。予想するように、マクロファージ内で、pSAPM−GFPまたはpSAPC−GFPを含むM.marinum細胞は明るく蛍光を発するのに対し、細胞外細菌の蛍光は最小であった(図5B)。クローニングベクターpFPV27(図5B)またはsapMプロモーターが反対方向に挿入された構築物(データ示さず)を含むM.marinum株は非蛍光であった。この結果は、上記の本発明者らのin vitroデータと合わせると、sapMは培養マクロファージのマイクロバクテリアファゴソームの弱酸性環境によって誘導されることを示す。
【0117】
(sapM遺伝子は、病原性マイコバクテリアのみで存在する)
上記のように、sapMタンパク質および酵素活性は、M.smegmatis(非病原性Mycobacterium種)で検出されなかった。SapMが病原性マイコバクテリアに特異的であるかどうかを試験するために、本発明者らは、2つの他のMycobacterium種(非病原性Mycobacterium・chelonaeおよび魚病原体M.marinum)を分析し、M.bovisBCGと同様に、アンモニウム含有Sauton培地で成長させたM.marinum培養物のCFPは、高レベルの酸性ホスファターゼ活性(データ示さず)を示し、この活性は培養培地のpHに依存していた(データ示さず)。対照的に、M.chelonaeはM.smegmatisに類似し、培地pHによって制御されない残存レベルの酸性ホスファターゼ活性を示した(データ示さず)。これらの結果から、M.marinumはSapMホモログを含む一方で、M.chelonaeおよびM.smegmatisは含まないことが示唆される。TIGRおよびSangerセンターで利用可能な非公開ゲノム配列の検索では、SapMホモログはM.marinumおよびMycobacterium・avium(鳥類病原体)に存在するが、M.smegmatisには存在しない(図6A)。
【0118】
上記結果を確認するために、結核菌sapMに特異的な放射性標識プローブを使用して、M.smegmatisおよびM.chelonaeの染色体DNAのDNAハイブリダイゼーションを行った。M.bovisBCGの染色体DNAおよびsapM含有プラスミドpSAPを正のコントロールとして含んでいた。結果は、sapM対立遺伝子がM.smegmatisおよびM.chelonae染色体中で検出されないことを示した(図6B)。
【0119】
(SapMの免疫原性)
ヒト感染におけるSapMの抗原性を、部分精製結核菌SapMおよび7人の個体から採取した血清を使用したウェスタンブロットによって評価した。これらの個体は、血清採取の4ヶ月前に化学療法を開始したリンパ節TBと診断された1人の患者、M.aviumに対して唾液塗抹標本陽性の1人の患者、M.bovisBCGをワクチン接種した2人の個体、患者の世話に関与する1人およびPPD陽性をテストした1人を含む3人の見かけ上健常な個体を含んでいた。興味深いことに、2人の患者(TB患者およびM.avium感染患者)由来の血清がSapMと反応するのに対し(レーン4および5、図7)、PPD陽性について試験した1人を含む2人の健常な個体由来の血清はSapMと反応しない(レーン2および6)。しかし、BCGをワクチン接種された2人の個体(レーン7および8)およびTB患者管理に関与する個体(レーン3)もまたSapMと反応した。これらの結果により、SapMはTB患者またはBCGをワクチン接種した個体由来の抗体によって認識されるが、結核菌に曝露されていない健常な個体由来の抗体では認識されないことが示唆される。
【0120】
結核菌は、GTPおよびNADPHに対して顕著に高い活性を示す分泌性酸性ホスファターゼ(SapM)を産生する。SapMの生物学的機能は未知である。本研究では、本発明者らは、sapMはpHによって制御されることを見出した。SapMの発現レベルおよび酵素活性は、培養培地のpHを7.0〜7.4から5.8〜6.6に低下させた場合に劇的に増加する(約30倍まで)。短縮sapMの無プロモーターgfpとの転写融合物により、感染マクロファージ中でsapM発現が誘導されることが証明された。DNAハイブリダイゼーションおよび配列分析は、sapM遺伝子が病原性マイコバクテリア(Mycobacterium・bovisBCG、Mycobacterium・avium、およびMycobacterium・marinumが含まれる)中に存在し、Mycobacterium・smegmatisおよびMycobacterium・chelonaeなどの非病原性Mycobacterium中に存在しないことを示した。さらに、TB患者またはBCGワクチン接種個体由来の抗体はSapMを認識するが、健常な個体由来の抗体はSapMを認識しない。まとめると、これらの結果は、SapMはマイコバクテリアによる病原性に重要であり、ファゴソーム成熟に関与するエフェクター分子に干渉することによる細胞内生存に寄与し得る。
【0121】
(材料と方法)
(株および培養条件)
M.bovisBCG株(BCG−Japan、BCG−Pasteur、BCG−Frappier、およびBCG−Birkhaug)は、Marcel Behr(McGill University)から提供された。M.marinum1218R株はLucia Barker(Rocky Mountain Laboratories,NIAID)から提供された。M.smegmatismc2−155およびM.chelonaePS4770は前に記載されている(Liu et al.,1995;Liuet al.,1996)。
【0122】
マイコバクテリア細胞を、(1Lあたり):0.5gKH2PO4、0.14g MgSO4、2.0gクエン酸、0.05gクエン酸第2鉄アンモニウム、5.0gアスパラギン、および60mlグルセロールを含む通常のSauton培地で成長させた。pHを7.4に調整した。酸性ホスファターゼ活性に対するリン酸濃度の影響を研究するために、細菌をSauton培地で指数期まで成長させ、KH2PO4を含まない同一の培地で洗浄し、リン酸濃度を以下のように変化させた100mlのSauton培地中に接種した:(1Lあたり)KH2PO4を10倍に増加させて5.0gとするか(高Pi培地)、10倍希釈した0.05gとする(低Pi培地)。酸性ホスファターゼに対する窒素源の影響を研究するために、元のSauton中のアスパラギン(5g/l)をNH4Cl(1.42g/l)で置換した。炭素源枯渇のために、Sautan培地のグリセロールを省略した。酸性ホスファターゼ活性に対するpHの影響を研究するために、元のSauton培地のpHを以下の緩衝液で調整した:20mM MOPS(pH7.0および6.6)または20mM MES(pH6.2および5.8)。M.marinumおよびM.chelonaeを30℃で成長させること以外は、全ての培養物を37℃で連続的に振動しながら成長させた。
【0123】
(分子クローニング)
結核菌H37Rvゲノムの順序付けBACライブラリーを、クローニングのためのDNAテンプレートとして使用した。標準的なDNA操作プロトコールを使用した。Rv3309(upp)、Rv3310(sapM)、およびRv3311(sapC)を含むBAC403の3kb NheIフラグメントのプラスミドpMD31の固有のXbaI部位へのライゲーションによってsapMをクローニングし、pSAPを作製した。無プロモーター変異体gfpへの転写融合を、pFPV27へのpSAPフラグメントのクローニングによって構築した。pSAPC−GFPを構築するために、sapMの上流560bp、完全なsapM遺伝子、およびその3’末端から183bpを短縮したsapC(Rv3311)を含むpSAPMの2.56kbのEcoRVフラグメントを、pFPV27の固有のEcoRV部位に挿入した(Barker et al.,1998)。pSAPM−GFPを作製するために、ベクターpSAPC−GFPをBglIIで切断し、(pFPV27、sapM開始コドンの上流560bp、および67bpを除くsapMコード領域の全て)を含む3.8kbおよび2.5kbのフラグメントを再ライゲーションした。エレクトロポレーションによってプラスミドをM.marinumおよびM.smegmatismc2−155に移入し、組換え体を10%OADC濃縮物(enrichment)および25μg/mlカナマイシンを添加したMiddlebrook7H9寒天(Difco)にて選択した。
【0124】
(サザンブロッティング)
標準的な方法にしたがってサザンブロッティングを行った。簡単に述べれば、M.bovisBCG、M.smegmatismc2−155、およびM.chelonaeから染色体DNAを単離し、EcoRIまたはEcoRVで消化し、アガロースゲルで分離し、ナイロンメンブレン(Hybond N+,Amersham Pharmacia)に移した。次いで、メンブレンを、α32P−CTP放射性標識sapMプローブ(pSAPの660bpのHphI−NdeIフラグメント)とハイブリダイズし、ホスホイメージャーカセットで曝露した。
【0125】
(酵素アッセイ)
分泌された酸性ホスファターゼ活性アッセイのために、培養濾過物タンパク質(CFP)画分を、対数期(A600約0.8)まで成長させた培養物から回収し、遠心分離フィルター(Millipore)によって濃縮し、4℃で一晩蒸留水に対して透析した(150〜200×体積)。BCAアッセイ(Pierce)を使用して、タンパク質濃度を決定した。前に記載のように(Saleh and Belisle,2000)マイクロタイター形式にてpH6.8でp−ニトロフェニルホスフェート(pNPP)を使用して酸性ホスファターゼアッセイを行った。18,380mM hr-1cm-1のニトロフェノールの減衰係数を使用して比活性を計算し、ホスファターゼ活性はnmol hr-1 mg-1(総CFPタンパク質)で表した。
【0126】
細胞表面会合酸性ホスファターゼおよびアルカリホスファターゼのアッセイのために、細菌細胞を回収し、短時間超音波処理して細胞クランプを破壊した。次いで、細胞をTris緩衝生理食塩水で3回洗浄し、その後蒸留水で最終洗浄を行い、細胞密度をOD595=0.42に調整した。pNPPに対するホールセルのホスファターゼ活性を、上記の様に放出させたp−ニトロフェノールの測定によってアッセイした。典型的には、50μlの細菌細胞を、150μlの25mM酢酸緩衝液(pH6.0)(酸性ホスファターゼアッセイ用)または25mM Tris(pH10.0)(アルカリホスファターゼ用)と混合した。反応緩衝液はまた、MgCl2およびZnCl2を各々1mM含んでいた。最終濃度1mg/mlとなるようにpNPPを添加して反応を開始させた。37℃で30分間のインキュベーション後、遠心分離によって細胞をペレット化し、150μlの反応物を、50μlの1.0M NaOHを含むELISAプレートウェルに移して反応を停止させ、ELISAリーダーにおいてOD405nmを測定した。
【0127】
(抗SapM抗血清の作製)
SapMアミノ酸配列中の残基201〜208に対応するペプチドを、固相ペプチド合成を使用して合成した。カルボキシル末端のアセチル化およびアミノ末端のシステインの付加によってペプチドを修飾した。配列CNDGHDGSI−Acを有する約10mgの精製ペプチドを、20mM DTTを含む4.0mlの10mM重炭酸アンモニウム緩衝液(pH8.0)(緩衝液A)への溶解によって還元し、室温で2時間インキュベートした。還元ペプチドを、緩衝液Aで予め平衡化した1.5cm×4.0cm陰イオン交換カラム(DEAE−Sephadex A50、Pharmacia)にロードし、その後DTTを含まない25mlの同一の緩衝液で洗浄した。結合したペプチドを、10mlの10mM酢酸緩衝液(pH3.0)で溶離した。その直後に総体積2.0mlのペプチドを、2mgのmcKLH(Piece Science)を含むチューブに瞬時に添加し、その後200μlの1.0Mリン酸緩衝液(pH7.4)を添加し、室温で2時間継続して混合した。抱合したKLHを、その後、PBS中G−10カラム(1.5cm×25cm)で脱塩した。2匹のニュージーランドウサギに、250μgのKLH抱合体で初回免疫を行い、28日後に第1の追加免疫を行い、56日後に第2の追加免疫を行った(各100μg)。第2の追加免疫から9日後に血清をスクリーニングし、翌日に抗血清を回収した。
【0128】
(SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動およびウェスタンブロッティング)
SapMタンパク質の検出のために、CFPサンプル(典型的には、8〜10μgタンパク質)を、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)−14%ポリアクリルアミドゲルで分離し、銀染色によって可視化するか、ウェスタンブロッティングの場合、ニトロセルロースメンブレンに移した。次いで、メンブレンを、400倍希釈した抗SapM抗血清でプローブし、抗ウサギIgG−アルカリホスファターゼ結合体およびBCIP/NBTで発色させた。SapM抗原性アッセイのために、以前に記載の方法を使用して(Saleh and Belisle,2000)、SapMタンパク質を、プラスミドpSAPを保有する組換えM.smegmatis株から部分精製した。タンパク質を、14%SDS−PAGEで泳動し、ニトロセルロースメンブレンに移した。各レーンを切り出し、150倍希釈の各ヒト血清でプローブし、上記のように発色させた。ヒト血清サンプルは、Tony Mazzulli(Mount Sinai Hospital,Toronto,ON)から提供された。
【0129】
(蛍光顕微鏡)
マウスマクロファージ細胞株J774を、ウシ胎児血清(5%)、100μg/mlストレプトマイシン、および100ユニット/mlペニシリンを含むRPMI1640培地中で維持した。M.marinumでの感染のために、細胞を、インキュベーター中でガラスカバースリップ(22×22mm)に37℃、5%CO2で一晩接着させた。次いで、消耗した培地を新鮮な培地(抗生物質なし)と交換し、10:1のMOIのM.marinumを添加し、37℃で1時間インキュベートした。過剰なバチルスを、滅菌PBSでの数回の洗浄によって除去し、最後に感染細胞を新鮮な培地で被覆し、インキュベーターに戻した。感染から所与の時間後、カバースリップをPBSで数回洗浄し、3.7%パラホルムアルデヒドで15分間固定し、0.1%Triton X−100で10分間透過化処理し、テキサスレッドファロイジンで1時間染色した。全ての処理を室温でおこなった。Hamamatsuデジタルカメラを具備したLeica DM IRBE顕微鏡で画像を収集した。GFPを可視化するためのFITCフィルターまたはテキサスレッドに結合した細胞骨格特異的色素ファロイジンで処理したマクロファージを可視化するためのテキサスレッドフィルターを具備した微分干渉コントラスト(DIC)を使用して画像を収集した。
【0130】
本発明を詳細に且つ特に好ましい実施形態を参考として説明しているが、本発明の精神および範囲を逸脱することなく変更を加えることができることは通常の技術を有する当業者に理解されるであろう。例えば、タンパク質について言及している箇所では、しばしばペプチドおよびポリペプチドを使用することができることが明らかである。同様に、本願中で遺伝子が記載されている箇所では、しばしば核酸または遺伝子フラグメントを使用することができることが明らかである。
【0131】
全ての刊行物(Genbankエントリを含む)、特許、および特許出願は、各刊行物、特許、および特許出願が具体的且つ個別にその全体が参照により取り込まれるのと同様の範囲でその全体が参照により取り込まれる。
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【図面の簡単な説明】
【0132】
本発明の好ましい実施形態を、図面に関して記載する。
【図1】(A)栄養ストレスに応答したM.bovisBCGの培養上清の酸性ホスファターゼ活性。BCG株(3連)を、標準的なアスパラギン含有Sauton培地、低リン酸Sauton、低グリセロールSauton、またはアンモニウム含有Sauton中で初期静止期まで成長させ、培養上清中の酸性ホスファターゼ活性を「実験手順」に記載のように決定した。(B)Sauton培地で成長させたM.bovisBCGにおけるSapM発現。等量のタンパク質(6μg)を、各レーンにロードし、銀染色(上のパネル)またはSapM抗血清を使用したウェスタンブロッティング(下のパネル)によって可視化した。レーン2、4、6、および8は、通常のSauton培地中のBCG−Frappier、BCG−Pasteur、BCG−Birkhaug、およびBCG−Japanの培養上清に由来する。レーン3、5、7、および9は、アンモニウム含有Sauton培地中で成長した対応する株である。レーン10は、mc2−155/pSAP由来の部分精製SapMであり、レーン1は分子量マーカーである。
【図2】M.bovisBCG−BairkhaugにおけるSapMのpH依存性発現。(A)適切な緩衝液によってpHを表示のレベルに調整したSauton培地中で成長したBCG−Birkhaug培養物のCFP画分で決定された酸性ホスファターゼ活性。結果は、3連の培地に由来する。(B)パネル(A)と同一のCFP画分を、SDS−PAGE分析に供した。等量のタンパク質(7μg)を、各レーンにロードし、銀染色(上のパネル)またはSapM抗血清でのウェスタンブロッティング(下のパネル)によって可視化した。コントロールとして矢印で示した部分的に精製したSapMを含んでいた。(C)BCG−Birkhaug由来の細胞表面会合酸性ホスファターゼ(白抜きのバー)活性およびアルカリホスファターゼ(黒塗りのバー)活性。「実験手順」に記載の数と同数の細胞から活性を検出する。
【図3】M.smegmatisにおける結核菌sapMのクローニングおよび発現。(A)pSAPの構築。結核菌ゲノム(BAC403)の3kbのNheIフラグメントを、XbaI線状化pMD31にライゲーションした。得られたプラスミドpSAPは、upp、sapM(Rv3310)、およびsapC(Rv3311)を含む。制限酵素部位:B(BglII)、H(HindIII)、K(KpnI)、V(EcoRV)、およびX(XbaI)。(B)M.smegmatisにおけるsapMの発現。M.smegmatisの細胞を、通常のアスパラギン含有Sauton培地(レーン1および3)またはアンモニウム含有Sauton培地(レーン2および4)で成長させ、CFP画分をSDS−PAGEに供し、銀染色(上のパネル)またはSapM抗血清を使用したウェスタンブロッティング(下のパネル)によって可視化した。レーン1、2:mc2−155/pSAP、レーン3、4:mc2−155/pMD31。矢印は、SapMを示す。
【図4】結核菌sapMのpH誘導性発現。(A)M.smegmatis組換えmc2−155/pSAP株(黒塗りのバー)およびコントロールmc2−155/pMD31株(白抜きのバー)を、表示のpHに調整したSauton培地で成長させ、CFP画分中の酸性ホスファターゼ活性を決定した。(B&C)パネルA由来の同一のCFP画分を、SDS−PAGE分析に供し、(B)銀染色または(C)ウェスタンブロッティングによって可視化した。上のパネルは、mc2−155/pMD31に由来し、下のパネルはmc2−155/pSAPに由来する。コントロールとして矢印で示した部分精製SapMを含んでいた。
【図5A】GFP融合ベクターの構築。pSAPの2.5kbのEcoRVフラグメントを、EcoRV線状化GFP融合ベクターpFPV27にライゲーションした。得られたpSAPC−GFPは、全sapM遺伝子およびgfpと転写融合した短縮sapC遺伝子を含む。ついで、ベクターpSAPC−GFPを、BglIIで切断した。sapM、gfp、およびベクター骨格を含む3.8kbおよび2.5kbのフラグメントを再ライゲーションした。得られたpSAPM−GFPは、gfpと転写融合した短縮sapM遺伝子を含む。
【図5B】J774細胞に、pSAPM−GFP(パネルA〜C)、pSAPC−GFP(パネルD〜F)、またはクローニングベクターpFPV27(パネルG〜H)を保有するM.marinumを感染させ、顕微鏡で試験した。M.marinum細胞を、Sauton培地(pH7.4)中で培養し、分析前にJ774細胞に細菌を24時間感染させた。画像を、DICモード(パネルA、D、およびG)、テキサスレッドファロイジンについての赤色蛍光チャネル(パネルB、E、およびH)、および緑色蛍光チャネル(パネルC、F、およびI)にて各視野について取得した。細胞内細菌を矢印で示し、細胞外細菌を矢じりで示す。
【図6】(A)結核菌、M.bovis、M.avium、およびM.marinumのゲノムデータベースで見出されたSapMホモログのアラインメント。矢印は、推定シグナル配列切断部位を示す。(B)サザンブロット分析。プラスミドpSAPならびにM.bovisBCG、M.smegmatis、およびM.chelonaeから単離した染色体DNAを、EcoRIまたはEcoRVで消化し、アガロースゲルで分離し、ナイロンメンブレンに移し、放射性標識sapMプローブでハイブリダイゼーションした。
【図7】ヒト血清のmc2−155/pSAPから部分的に精製したSapMとの反応性。部分精製SapMをSDS−PAGEで泳動し、ニトロセルロースメンブレンに移した。各レーンを切り出し、ヒト血清での150倍希釈物で探索した。レーン1:「実験手順」に記載の合成ペプチドに対して作製されたウサギSapM抗血清。2:PPD陽性試験を受けた健常な個体由来の血清。3および6:未知のPPD反応性を有する健常な個体。4:4ヶ月間化学療法を受けたリンパ節結核症を有する患者、5:唾液中に明らかにM.aviumを有する患者、7:1977年にBCGのワクチン接種を受けた健常な個体、8:1953年にBCGワクチン接種を受けた健常な個体由来の血清。
【配列表】

























【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイコバクテリア分泌酸性ホスファターゼ遺伝子のプロモーターまたはプロモーターフラグメントを含む単離DNA配列であって、前記プロモーターまたはプロモーターフラグメントは目的のヌクレオチド配列の発現の調節に十分であり、且つ低pH条件下で誘導可能である、単離DNA配列。
【請求項2】
前記プロモーターまたはプロモーターフラグメントは、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)sapMプロモーターまたはプロモーターフラグメント、Mycobacterium・bovis sapMプロモーターまたはプロモーターフラグメント、Mycobacterium・avium sapMプロモーターまたはプロモーターフラグメント、およびMycobacterium・marinum sapMプロモーターまたはプロモーターフラグメントからなる群から選択される、請求項1に記載の単離DNA配列。
【請求項3】
目的のヌクレオチド配列の発現の調節に十分であり、且つ低pH条件下で誘導可能であるプロモーターまたはプロモーターフラグメントを含む単離DNA配列であって、前記プロモーターまたはプロモーターフラグメントは、高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件下で、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)sapMプロモーター(配列番号1)、Mycobacterium・bovis sapMプロモーター(配列番号2)、Mycobacterium・avium sapMプロモーター(配列番号3)、およびMycobacterium・marinum sapMプロモーター(配列番号4)からなる群から選択されるsaMプロモーターとハイブリダイズする、単離DNA配列。
【請求項4】
請求項1、請求項2、または請求項3に記載の単離DNA配列を含む発現ベクター。
【請求項5】
請求項4に記載のベクターで形質転換された宿主細胞。
【請求項6】
(a)目的のヌクレオチド配列の発現の調節に十分であるマイコバクテリア分泌酸性ホスファターゼのプロモーターまたはプロモーターフラグメントと、
(b)前記プロモーターまたはプロモーターフラグメントに作動可能に連結された目的のヌクレオチド配列と、
(c)転写終結領域とを含む、転写カセット。
【請求項7】
前記マイコバクテリア分泌酸性ホスファターゼプロモーターまたはプロモーターフラグメントは、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)sapMプロモーター(配列番号1)、Mycobacterium・bovis sapMプロモーター(配列番号2)、Mycobacterium・avium sapMプロモーター(配列番号3)、およびMycobacterium・marinum sapMプロモーター(配列番号4)からなる群から選択される、請求項6に記載の転写カセット。
【請求項8】
マイコバクテリア分泌酸性ホスファターゼN末端シグナル配列をさらに含む、請求項6または請求項7に記載の転写カセット。
【請求項9】
前記マイコバクテリア分泌酸性ホスファターゼN末端シグナル配列は、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)sapM N末端シグナル配列(配列番号5)、Mycobacterium・bovis sapM N末端シグナル配列(配列番号6)、Mycobacterium・avium sapM N末端シグナル配列(配列番号7)、およびMycobacterium・marinum sapM N末端シグナル配列(配列番号8)からなる群から選択される、請求項8に記載の転写カセット。
【請求項10】
(a)被験体から生体サンプルを得ることと、
(b)前記サンプルをマイコバクテリア分泌酸性ホスファターゼに特異的な抗体の存在について分析することとを含み、
前記マイコバクテリア分泌酸性ホスファターゼに特異的な抗体の検出は、病原性マイコバクテリア感染または病原性菌類感染の存在を示す、被験体の病原性マイコバクテリア感染または病原性菌類感染の診断方法。
【請求項11】
前記マイコバクテリア分泌酸性ホスファターゼは、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)SapM(配列番号10)、Mycobacterium・bovis SapM(配列番号12)、Mycobacterium・avium SapM(配列番号14)、およびMycobacterium・marinum SapM(配列番号16)からなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
(a)被験体から核酸サンプルを得ることと、
(b)前記サンプルをマイコバクテリア分泌酸性ホスファターゼをコードする核酸の存在について分析することとを含み、
前記マイコバクテリア分泌酸性ホスファターゼをコードする前記核酸の検出は、病原性マイコバクテリア感染または病原性菌類感染の存在を示す、被験体の病原性マイコバクテリア感染または病原性菌類感染の診断方法。
【請求項13】
前記マイコバクテリア分泌酸性ホスファターゼをコードする前記核酸は、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)sapM、Mycobacterium・bovis sapM、Mycobacterium・avium sapM、およびMycobacterium・marinum sapMからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
(a)被験体から生体サンプルを得ることと、
(b)前記サンプルをマイコバクテリア分泌酸性ホスファターゼ活性の存在について分析することとを含み、
前記マイコバクテリア分泌酸性ホスファターゼ活性の検出が、病原性マイコバクテリア感染または病原性菌類感染の存在を示す、被験体の病原性マイコバクテリア感染または病原性菌類感染の診断方法。
【請求項15】
前記マイコバクテリア分泌酸性ホスファターゼ活性が、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)SapM活性、Mycobacterium・bovis SapM活性、Mycobacterium・avium SapM活性、およびMycobacterium・marinum SapM活性からなるマイコバクテリア群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
(a)マイコバクテリア分泌酸性ホスファターゼプロモーターまたはプロモーターフラグメントを含む核酸構築物であって、前記プロモーターまたはプロモーターフラグメントが測定可能なシグナルを産生することができるレポーター遺伝子に作動可能に連結されている核酸構築物を用意することと、
(b)試験化合物を用意することと、
(c)前記試験化合物に前記核酸構築物を曝露することと、
(d)前記レポーター遺伝子によって産生される前記シグナルを測定することとを含み、前記試験化合物の非存在下と比較した前記試験化合物の存在下で産生された前記シグナルの変化は前記試験化合物が前記マイコバクテリア分泌酸性ホスファターゼの産生を調整することができることを示す、マイコバクテリア分泌酸性ホスファターゼ産生を調整することができる化合物のスクリーニング方法。
【請求項17】
前記マイコバクテリア分泌酸性ホスファターゼプロモーターまたはプロモーターフラグメントは、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)sapMプロモーターまたはプロモーターフラグメント、Mycobacterium・bovis sapMプロモーターまたはプロモーターフラグメント、Mycobacterium・avium sapMプロモーターまたはプロモーターフラグメント、およびMycobacterium・marinum sapMプロモーターまたはプロモーターフラグメントからなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
(a)マイコバクテリア分泌酸性ホスファターゼ、前記マイコバクテリア分泌酸性ホスファターゼの基質、および試験化合物を含む混合物をインキュベートすることと、
(b)前記マイコバクテリア分泌酸性ホスファターゼ活性を測定することとを含み、
前記試験化合物の非存在下と比較した前記試験化合物の存在下での活性の変化は前記試験化合物が前記分泌酸性ホスファターゼ活性を調整することができることを示す、マイコバクテリア分泌酸性ホスファターゼ活性を調整することができる化合物のスクリーニング方法。
【請求項19】
前記マイコバクテリア分泌酸性ホスファターゼは、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)SapM、Mycobacterium・bovis SapM、Mycobacterium・avium SapM、およびMycobacterium・marinum SapMからなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
(a)マイコバクテリア分泌酸性ホスファターゼを分泌するMycobacterium細胞を試験化合物に曝露することと、
(b)前記Mycobacterium細胞によって分泌された前記マイコバクテリア分泌酸性ホスファターゼの量を測定することとを含み、
前記試験化合物の非存在下と比較した前記試験化合物の存在下でのマイコバクテリア分泌酸性ホスファターゼ分泌の変化が前記試験化合物が前記マイコバクテリア分泌酸性ホスファターゼ分泌を調整することができることを示す、マイコバクテリア分泌酸性ホスファターゼの分泌を調整することができる化合物のスクリーニング方法。
【請求項21】
前記マイコバクテリア分泌酸性ホスファターゼは、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)SapM、Mycobacterium・bovis SapM、Mycobacterium・avium SapM、およびMycobacterium・marinum SapMからなる群から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
(a)マイコバクテリア分泌酸性ホスファターゼと、
(b)前記マイコバクテリア分泌酸性ホスファターゼに特異的な少なくとも1つの抗体と、
(c)前記抗体の検出に必要な1つまたは複数の試薬を含む、病原性マイコバクテリア疾患または感染の検出用キット。
【請求項23】
前記マイコバクテリア分泌酸性ホスファターゼは、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)SapM、Mycobacterium・bovis SapM、Mycobacterium・avium SapM、およびMycobacterium・marinum SapMからなる群から選択される、請求項22に記載のキット。
【請求項24】
(a)配列番号1〜配列番号4、または配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15の配列と相補的であり、相補的ヌクレオチド配列と特異的にハイブリダイズできる核酸配列由来の連続ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドと、
(b)前記オリゴヌクレオチドの相補核酸配列へのハイブリダイゼーションのための試薬を含む、病原性マイコバクテリア疾患または感染の検出用キット。
【請求項25】
マイコバクテリア分泌酸性ホスファターゼまたはそのポリペプチドフラグメントと特異的に結合することができる抗体。
【請求項26】
前記マイコバクテリア分泌酸性ホスファターゼは、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)SapM(配列番号10)、Mycobacterium・bovis SapM(配列番号12)、Mycobacterium・avium SapM(配列番号14)、およびMycobacterium・marinum SapM(配列番号16)からなる群から選択される、請求項25に記載の抗体。
【請求項27】
請求項26に記載の抗体を含む、Mycobacteriumによる攻撃に対して哺乳動物を治療または予防するためのワクチンまたは免疫原性組成物。
【請求項28】
請求項1、請求項2、または請求項3に記載の単離DNA配列を含む、Mycobacteriumによる攻撃に対して哺乳動物を治療または予防するためのワクチンまたは免疫原性組成物。
【請求項29】
結核菌(Mycobacterium tuberculosis)SapM、Mycobacterium・bovis SapM、Mycobacterium・avium SapM、Mycobacterium・marinum SapM、またはそのポリペプチドフラグメントからなる群から選択されるマイコバクテリア分泌酸性ホスファターゼを含む、Mycobacteriumによる攻撃に対して哺乳動物を治療または予防するためのワクチンまたは免疫原性組成物。
【請求項30】
SapMポリペプチドを含み且つ病原性マイコバクテリアの培養物中で自然に混合される他のタンパク質または糖タンパク質を実質的に含まない、被験体の病原性マイコバクテリア疾患または感染の検出に有用な抗原性組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図6】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−501830(P2006−501830A)
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−542130(P2004−542130)
【出願日】平成15年10月9日(2003.10.9)
【国際出願番号】PCT/CA2003/001554
【国際公開番号】WO2004/033677
【国際公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【出願人】(504388385)
【Fターム(参考)】