説明

分画装置

【課題】部分的に再利用しながらもコンタミネーションを防ぐための洗浄を、短時間で実施可能とする、生体成分を含む原液を効率的に分離(分画)する分画装置およびそれに用いられるカートリッジを提供する。
【解決手段】
生体成分を含む原液中の溶質またはその一部を膜分離する分画装置であって分離膜を備えたカートリッジと、カートリッジに原液を供給する原液流路と、カートリッジからの濾液を取り出す濾液流路とを備え、カートリッジは、原液流路および濾液流路との接続部、ならびに、分離膜を迂回するバイパス流路を備えている分画装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体成分を含む原液中の溶質またはその一部を膜分離する分画装置およびそれに用いられるカートリッジに関し、特に、コンタミネーションを防ぎながら、生体成分を含む原液を効率的に分離(分画)する分画装置およびそれに用いられるカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
生物化学、薬学、細胞生物学、分子生物学の領域では、例えば、生体組織の抽出液の中から特定のタンパク質を分離・精製したり、細胞が産生した細胞培養液中のタンパク質を精製したり、細胞抽出液の中から遺伝子を分離するなど、混合物の中から目的物質を分離(分画)する操作が行われてきた。このような操作に使われる手段としては、例えば非特許文献1に開示されているようなものがある。
【0003】
なかでもゲルクロマトグラフィーは最も汎用的で、分子量の違いを利用して分離するゲル濾過、荷電状態の違いを利用して分離するイオン交換クロマトグラフィー、リガンドに対する親和性の違いを利用して分離するアフィニティクロマトグラフィがある。
【0004】
また、近年は分子生物学の進歩により細胞やバクテリアに有用なタンパク質等を作らせる技術が発達し、特許文献1に示すように、中空糸膜を用いて培養上清などから目的タンパク質を分離・精製する技術が知られている。
【0005】
これらの分画技術においては、膜を設置したカラムまたはゲルを充填したカラムと、送液ポンプとをシリコンチューブなどで接続し、送液ポンプにより緩衝液などの移動相を搬送し、その流れの中に目的物質を含む原液を投入してカラム通過させることにより目的物質を分離する。
ここで、これら分離処理後のカラム、特に高価なカラムは、再使用されることが多い。再使用の場合、先の原液や分離物質が、原液流路や分離膜等を搭載したカラム、あるいは濾液流路に残ってコンタミネーションを生じやすく、その結果、その後分画した処理液の組成成分を誤って検出する可能性がある。したがって、先に使用した組成成分が例えば液クロマトグラフィーの検出限界以下になるまで、目的物質の逆相試液や水溶液等を原液流路、カラム、濾液流路に流すことで回路洗浄する方法が知られている。
しかし、多孔質膜などの分離膜を用いたカラムは、分画処理のときに膜の微細孔に目的物質が引っ掛かってその微細孔が物理的に閉塞されてしまっている事が多いため、洗浄時には多量の洗浄水および洗浄時間を要すると共に、逆流洗浄(一般的には逆洗)という複雑な作業を伴う。また、それにも関わらず、近年の高感度な検出器の検出限界以下にするほどに洗浄することは難しい。
【0006】
一方、特許文献2等で示されるように、目的物質を過酸化ガスやオゾンを含むガスなどで失活させコンタミネーションを防ぐ事も提案されているが、分離膜を用いる場合、前述と同様の問題があるうえに、ガスを使用することは室内の環境汚染を考慮すれば好ましくない。
【非特許文献1】日本生化学会編,「新生化学実験講座(第1巻)タンパク質(1)分離・精製・性質」, 東京化学同人, 1990年
【特許文献1】特許第3439503号公報
【特許文献2】特許第3152718号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の問題を鑑み、部分的に再利用しながらもコンタミネーションを防ぎ生体成分を含む原液を効率的に分離(分画)する分画装置およびそれに用いられるカートリッジを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明は、次の構成を特徴とするものである。
(1)生体成分を含む原液中の溶質またはその一部を膜分離する分画装置であって分離膜を備えたカートリッジと、カートリッジに原液を供給する原液流路と、カートリッジからの濾液を取り出す濾液流路とを備え、カートリッジは、原液流路および濾液流路との接続部、ならびに、分離膜を迂回するバイパス流路を備えている分画装置。
(2)前記接続部に切り替え弁を備えている、上記(1)に記載の分画装置。
(3)前記カートリッジはチューブによって構成された原液の循環流路を有し、該循環流路を押圧して循環流路内の原液を送液するチューブポンプを備えている、上記(1)または(2)に記載の分画装置。
(4)生体成分を含む原液中の溶質またはその一部を膜分離する分離膜、原液流路および濾液流路との接続部、ならびに、分離膜を迂回するバイパス流路を備えている分画装置用カートリッジ。
(5)前記接続部に切り替え弁を備えている、上記(4)に記載の分画装置用カートリッジ。
(6)前記カートリッジは、チューブによって構成された原液の循環流路を有している、上記(4)または(5)に記載の分画装置用カートリッジ。
【発明の効果】
【0009】
本発明においては、生体成分を含む原液中の溶質またはその一部を膜分離する分画装置を、分離膜を備えたカートリッジと、そのカートリッジに原液を供給する原液流路と、カートリッジからの濾液を取り出す濾液流路などから構成し、さらに、カートリッジに、原液流路および濾液流路との接続部、ならびに、分離膜を迂回するバイパス流路を設けたので、カートリッジを装置に装着して、生体成分を含む原液(検体)を分離膜に通過せしめれば、分画を実施することができる。一方、カートリッジを装置に装着した状態で、分離膜を迂回するバイパス流路側に洗浄液を流せば、装置を構成するカートリッジ以外の部分に相当する原液流路および濾液流路を洗浄することができる。そして、カートリッジを新しいものに交換すれば、すぐに、次の生体成分の検体を分離(分画)処理することが可能となる。その結果、洗浄時間や洗浄液を低減することができ、部分的に再利用しながらもコンタミネーションを防ぎながら生体成分を含む原液を効率的に分離(分画)することができる。すなわち、膜そのものは交換するので、上述したような膜そのものの洗浄に起因する問題はなく、原液流路および濾液流路を短時間かつ少量の洗浄液で十分に洗浄でき、作業時間の短縮や洗浄液の費用削減の要求に応えることができる。
【0010】
さらには、上述したカートリッジの交換や、各接続部の接続、流路切替、洗浄などは、容易に自動化出来るので、多くの検体を、昼夜を問わず無人で分画処理することも可能となり、本発明の分画装置はより効率的に分画処理を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明の望ましい実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0012】
本発明の分画装置の基本構成を、図1を参照しながら説明する。
【0013】
図1において、1は分離膜モジュール、2は原液となる検体を分離膜モジュール1に供給する原液流路、3は分離膜モジュール1による処理によって得られた濾液を取り出す濾液流路、4は原液となる検体の貯留部、5は原液を分離膜モジュール1に送液する駆動源となるポンプ、6は分離膜モジュール1から取り出された濾液の貯留部を示している。
【0014】
ここで、分離膜モジュール1には、中空糸等の形態に製膜された半透膜を多数本収容した構成のものを用いることができ、検体はたとえば中空糸の内側に流され、半透膜を通過することで濾過(分離、分画)されるのである。
【0015】
分離膜モジュール1は脱着自在なカートリッジ7として、分画装置に装着されており、このカートリッジ7には、分離膜モジュール1のほか、この分離膜モジュール1を迂回するバイパスチューブ10、原液流路2との接続部8a、濾液流路との接続部38a、流路切替のための切替弁VAおよびVB(いずれも三方弁)が設けられている。
【0016】
カートリッジ7を分画装置に装着するにあたっては、接続部8aを原液流路2側に設けられた接続部8bと、そして、接続部38aを濾得流路3側に設けられた接続部38bと接続する。接続部8、38は、着脱可能なうえに洗浄液での洗浄が容易な構造とすることが好ましい。すなわち、たとえば、接続部8b、38bを注射針とし、接続部8a、38aをゴム製の刺針ボタンのような構成としたり、テーパー状あるいはルアロック状のワンタッチ接続の構造とすることが好ましい。
【0017】
また、カートリッジ7には、原液の循環流路12が設けられている。原液の循環流路12は分離膜に供給されながらもその膜を通過しなかった原液を再度分離膜に供給することができるように、分離膜モジュール1の上流側と下流側とをチューブで繋ぐなどして構成し、そのチューブの一部を、カートリッジ7の外に設けたチューブポンプ14が押圧するように構成する。このように、原液の循環流路を設けるとともにその循環流路にも駆動源を設けることで、原液の流速を上げ、循環による濾過機会を増すことができ、濾過効率を高めることができる。
【0018】
なお、本実施形態においては、カートリッジ7を分画装置に装着すれば、接続部8が自動的に接続されるとともに、循環流路12を構成するチューブの一部がチューブポンプ14に押圧されるようになっており、逆にカートリッジを離脱させるとチューブポンプ14の押圧と接続部8の接続が解除されるようになっている。
また、本実施形態においては、原液流路2の端部にノズル15が設けられており、このノズル15が、検体貯留部4と洗浄液容器17との間を移動可能となっている。このような構成により、要求に応じて適宜移動し検体あるいは洗浄液を吸引出来る。また、濾液流路3のノズル18も同様に、濾液の貯留部6と洗浄時の排液容器20との間を適宜移動し、濾液19あるいは洗浄排液を適当な場所に吐出できる様になっている。
【0019】
上記のように構成された図1に示す分画装置において、分画処理は次のように行われる。まず、カートリッジ7を装置に装着し、切替弁VAを操作することで分離膜モジュール1の上流側端部と原液流路2とを連通させるとともに、切替弁VBを操作することで分離膜モジュール1の濾過側11と濾液流路3とを連通させる。また、カートリッジ7の配管内には、水や水溶液など、検体の移送液を封入しておく。なお、移送液としては、水や生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、ギ酸アンモニウム水溶液、酢酸アンモニウム水溶液、炭酸アンモニウム水溶液、炭酸水素アンモニウム水溶液が好ましい。
【0020】
この状態で、ノズル15を検体の貯留部4に浸漬し、ポンプ5を駆動する。ポンプ5によって貯留部4から吸引された検体は、原液流路2を通って、移送液とともに分離膜モジュール1に送液され、膜分離される。このとき、同時にチューブポンプ14も回転させ、分離膜モジュール1に流入する検体を、移送液とともに速い速度で循環させることで、濾過効率を高める。分離膜モジュール1においては、膜を通過できない高分子量成分が阻止され低分子量成分が膜を通過する。その後、膜を通過した濾液は、濾液流路3を介して貯留部6に送られ、分画液として系外に取り出され、次工程、例えば液クロマトグラフィーなどの分子量や質量を測定する検出器にかけられる。膜を通過しなかった検体および移送液は、循環流路を経て、新たに供給されてくる検体等とともに再度分離膜モジュール1に送られる。なお、貯留部6を次工程の検出器の容器とすれば、検体を直接その容器に送液、分注することができ好ましい。
【0021】
以上のような分画処理の後、例えば次のように洗浄が行われる。まず、ノズル15を移動させ洗浄液を収容する洗浄液容器17に浸漬すると共に、ノズル18を排液容器20の直上に移動させる。また、切替弁VA、VBを回動させ、原液流路2、バイパス流路10、および濾液流路3を連通させる。その後、ポンプ5を作動させて洗浄液を送液し、洗浄を行う。この洗浄は、例えばタイマー等で終了させればよい。そして、洗浄が終了すれば使用済みのカートリッジ7をはずし、新しいカートリッジを装着する。この状態で、別の検体の分画処理を行うことが出来る。
【0022】
なお、多数の検体の分画処理を行う場合、ノズル15は、検体を順次サンプリング出来る、例えばオートサンプラーのような構成とし、カートリッジは、複数収納し順次装着離脱可能な例えばターンテーブルあるいは、ターレット式のオートチェンジャーとすることが好ましい。
【0023】
また、上記実施態様においては、カートリッジに収容される分離膜モジュールは1本であるが、複数本を並列に収容してもよい。
【0024】
さらに本発明の好ましい実施形態の例を図2に基づいて説明する。図2に示す分画装置において、カートリッジ7A以外は、図1と同一構成であるので、説明を省略し、カートリッジ7Aについて以下に詳細を説明する。
【0025】
カートリッジ7Aには2つの分離膜モジュール1A、1Bが直列に配置収納されている。
【0026】
分離膜モジュール1A、は分離分画する対象物によって中空糸の特性(ポア径)を決めればよいが、たとえば人血漿成分を分画し、質量分析する場合などは、圧倒的な量を占めていて微細な分析を阻害するアルブミンを除去するために65KDa〜68KDa(ダルトン:原子質量単位)のデキストランが通過しない膜とすることが好ましい。
【0027】
また、分離膜モジュール1Bは、分離膜モジュール1Aと同様形状ではあるものの異なるポア径の分離膜を有しているものとする。分離膜モジュール1Bのポア径は、基本的には水分子のみを通過する程度の大きさとし、たとえば分子量5000Daのデキストランを透過しない膜とすることが好ましい。このように構成することで、ほとんどの生体成分を阻止し、濃縮することが出来るのである。すなわち、1段目の分離膜モジュール1Aで濾過して分画精製した検体を、2段目の分離膜モジュール1Aで処理することで、水分を取り除き濃縮することが可能となるのである。
【0028】
さらに、本実施形態においても、図1に示した装置と同様、濾過効率、濃縮効率を向上するために、分離膜モジュール1A,1Bそれぞれに、チューブで構成した循環流路12A、12Bが接続し、その一部をチューブポンプ14A、14Bで押圧する構造としている。なお、分離膜モジュール1A、1Bは、上述したように直列に配置収納されるので、分離膜モジュール1Aの濾過側11Aと分離膜モジュール1Bの循環流路12Bとがチューブ21で接続される。そして、分離膜モジュール1Bの循環流路12Bの一部から切替弁VBを経て接続部8にチューブ27が接続してあり、その途中の一部がチューブポンプ26によって押圧可能になっている。
【0029】
また、本実施形態においては、2段目の分離膜モジュール1Bで分離して得られた透過液を検体の移送液として用いるため、分離膜モジュール1Bの透過液の循環流路を設けている。すなわち、分離膜モジュール1Bの濾過側11Bと分離膜モジュール1Aの原液側9Aとをチューブ22で接続している。なお、このチューブ22には、体積変化吸収用の軟質容器25が接続し、さらにチューブポンプ23が回転することで濾液を送液できるように押圧可能に配置されている。
【0030】
上記のように構成された図3に示す装置において、分画はたとえば次のように行われる。
【0031】
まず、カートリッジ7Aを装置に装着し、切替弁VAを操作することで分離膜モジュール1Aの上流側端部と原液流路2とを連通させるとともに、切替弁VBを操作することで分離膜モジュール1Bの循環流路12B側のチューブ27と濾液流路3とを連通可能にする。ただし、このとき、チューブポンプ26でチューブ27を押圧しておき、流路を閉塞しておく。また、カートリッジ7Aの配管内には、水や水溶液など、検体の移送液を封入しておく。
【0032】
この状態で、ノズル15を検体の貯留部4に浸漬し、ポンプ5を駆動する。ポンプ5によって貯留部4から吸引された検体は、原液流路2を通って分離膜モジュール1A、1Bに送液され、膜分離される。
【0033】
すなわち、検体は、まず移送液とともに分離膜モジュール1Aにおいて膜分離に供され、膜を通過した濾液がチューブ21を経由して分離膜モジュール1Bに送られる。膜を通過しなかった検体および移送液は、循環流路12Aを経て、新たに供給されてくる検体などとともに再度分離膜モジュール1Aに送られる。このとき、同時にチューブポンプ14Aも回転させ分離膜モジュール1Aに流入する検体を、移送液とともに速い速度で循環させることで、濾過効率を高める。
【0034】
その後、分離膜モジュール1Bにおいては、水成分が分離膜を透過し、分離膜モジュール1Aの濾液に含まれていた生体成分が濃縮される。ここで得られた水成分はチューブポンプ23の回転によってチューブ22を経て分離膜モジュール1Aの原液側に戻され、移送液として再度使用される。一方、分離膜モジュール1Bの濃縮液については、新たに分離膜モジュール1Bに流入する液体と共に循環させることで、生体成分の濃度をさらに高める。このときチューブポンプ14Bを回転させ速い速度で循環させることで、濃縮効率を高めることができる。
【0035】
なお、このとき検体供給による体積増加分は、軟質の容器25が膨らんで異常な圧力上昇が発生しないようになっている。
【0036】
また、貯留部4から吸引供給する新たな検体が無くなればポンプ5は停止されるが、チューブポンプ14A、14B,23は、分離膜モジュール1Bの循環流路12Bに蓄積される濃縮液の生体成分濃度が十分に高濃度になるまで回転を継続させ、その後停止させる。
【0037】
以上のようにして分画、濃縮を行った後、チューブポンプ26を回転させ循環流路12Bの濃縮液を貯留部6に回収する。このときチューブポンプ14Bを逆回転させると、循環流路12Bより多量の濃縮液19を回収できる。こうして回収された濃縮液は、分画液として系外に取り出され、次工程、例えば液クロマトグラフィーなどの分子量や質量を測定する検出器にかけられる。
【0038】
一方、分画、濃縮を終えた上述の装置は、その後、図1の態様に関して説明したのと同様に切替弁VA,VBを切り替え、バイパス流路10を使用して原液流路2と濾液流路3を洗浄し、カートリッジの交換を実施する。
なお、上記実施態様では、2本の分離膜モジュールを直列にしていたが、多数本の分離膜モジュールを全て直列に配置してもよいし、一部を並列に構成した上で直列に配置してもよい(以後、これを多段分画と称する)。具体的には、膜のポア径に適宜差を付けた分離膜モジュールを順次大きい順から並べ、各循環流路12A,12B、12C、12D・・・(12C以降は図示せず)から分画、濃縮された液を回収しても良い。多段分画の場合、チューブ27は、各循環流路12A,12B、12C、12D・・・に弁(図示せず)を介して接続し、低分子量の循環流路から順に弁を切替て、チューブポンプ26およびノズル18によりそれぞれの濾液の貯留部6に分注すればよい。
【0039】
また、本実施態様では、分離分画の後、バイパス流路を使用して、原液流路、濾液流路を洗浄することを説明したが、分離分画を行う前にバイパス流路を使用して原液流路および濾液流路を洗浄してもよい。特に装置の使用状態が明らかでない場合は、先に洗浄した後、分画し、再度前記洗浄を実施することが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明に係る分画装置は、生体成分含有液、特にヒトの血液、血漿、尿等の原液からタンパク質などの微量成分の検出に対して、妨害する成分、特に高分子量のタンパク質を分画出来るので、生体成分分子を分画して、原液の組成を同定するプロテオーム解析研究(プロテオミクス)に有効で、遺伝子産物であるタンパク質が疾患の病態にリンクしていると考えられ、タンパク質を調べるプロテオーム解析の研究成果は診断と治療に広く応用でき、病因タンパク質や疾患関連因子を多く発見できる可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態に係る分画装置を示す概略図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る分画装置を示す概略図である。
【符号の説明】
【0042】
1、1A、1B 分離膜モジュール
2 原液流路
3 濾液流路
4 検体の貯留部
5 ポンプ
6 濾液の貯留部
7、7A カートリッジ
8、8A、8B 接続部
9 原液側
10 バイパス流路
12、12A、12B 循環流路
14A、14B、23、26 チューブポンプ
15 ノズル
17 洗浄液容器
18 ノズル
20 排液容器
22 チューブ(循環流路)
25 軟質容器
VA、VB 切替弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体成分を含む原液中の溶質またはその一部を膜分離する分画装置であって分離膜を備えたカートリッジと、カートリッジに原液を供給する原液流路と、カートリッジからの濾液を取り出す濾液流路とを備え、カートリッジは、原液流路および濾液流路との接続部、ならびに、分離膜を迂回するバイパス流路を備えている分画装置。
【請求項2】
前記接続部に切り替え弁を備えている、請求項1に記載の分画装置。
【請求項3】
前記カートリッジはチューブによって構成された原液の循環流路を有し、該循環流路を押圧して循環流路内の原液を送液するチューブポンプを備えている、請求項1または2に記載の分画装置。
【請求項4】
生体成分を含む原液中の溶質またはその一部を膜分離する分離膜、原液流路および濾液流路との接続部、ならびに、分離膜を迂回するバイパス流路を備えている分画装置用カートリッジ。
【請求項5】
前記接続部に切り替え弁を備えている、請求項4に記載の分画装置用カートリッジ。
【請求項6】
前記カートリッジは、チューブによって構成された原液の循環流路を有している、請求項4または5に記載の分画装置用カートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−240304(P2007−240304A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−62428(P2006−62428)
【出願日】平成18年3月8日(2006.3.8)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】