説明

分離されたヒータを有するプリントヘッド

液体イジェクタは、基板、加熱素子、誘電体層及びチャンバを含む。基板は第1の表面を含む。加熱素子は、当該加熱素子と基板の第1の表面との間にキャビティが存在するように、基板の第1の表面の上方に配置される。誘電体層は、キャビティが横方向で当該誘電体層によって境界されるように、加熱素子とキャビティとの間に配置される。チャンバは、ノズルを含み、加熱素子の上方に配置される。チャンバは、キャビティが液体から隔離されるようにして、該液体を受け入れるような形状にされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概してマイクロヒータ及びその形成方法に関し、より具体的には、インクジェット装置及びその他の液滴イジェクタに使用されるマイクロヒータに関する。
【背景技術】
【0002】
長年、インクジェット印刷システムのインク印刷装置として、ドロップ・オン・デマンド(drop-on-demand;DOD)の液体吐出装置が使用されている。初期の装置は圧電アクチュエータに基づいていた。インクジェット印刷の現在の一般的な形態であるサーマルインクジェット(又は、“サーマルバブルジェット”)装置は、液滴吐出を生じさせる蒸気泡を生成するために電気抵抗加熱器(ヒータ)を使用する。
【0003】
サーマルインクジェットシステムに使用されるプリントヘッドは、インクチャンバの上方に、アレイ状の複数のインクジェットノズルを有するノズルプレートを含んでいる。電気抵抗ヒータは、対応するノズルとは反対側のインクチャンバの底部にある。ヒータは、十分なエネルギーの電気パルスに応答して、インクの気化を引き起こし、急速に膨張して液滴を吐出する気泡を生成する。
【0004】
液滴を信頼性高く吐出するのに十分な気泡形成を達成するためには、ヒータに印加される必要がある最小閾値エネルギーが存在する。液滴を吐出するために、ヒータは、ヒータ−インク接触面のインクを臨界気泡核形成温度より高い温度まで上昇させるのに十分な熱を供給しなければならない。臨界気泡核形成温度は、水性インクの場合にはおよそ280℃である。この最小閾値エネルギーは、吐出される液滴の体積と、例えば電気抵抗ヒータの幾何学配置などのプリントヘッド設計とに依存する。
【0005】
従来技術に係るプリントヘッド設計は、基板上に形成された絶縁性断熱層、典型的には二酸化シリコン、の上にヒータを形成している。電気抵抗ヒータ上には、インクからの保護のため、保護パッシベーション層が形成される。ヒータがエネルギー供給されると、インク及び基板の双方に熱が伝達される。従来技術におけるヒータは、ヒータによって発生されたエネルギーのおよそ半分のみがインクを加熱することになるので不十分である。残りは基板へと流れ、基板の温度上昇を引き起こす。この基板の温度上昇は高速印刷にとって不利である。基板が過度に熱くなると、プリントヘッドを冷ますために印刷を停止しなければならないからである。
【0006】
プリントヘッドを冷却する1つの機構は、液滴を吐出することによる熱の除去である。除去される熱の量は、吐出される液滴の温度及び体積に比例する。実際、6ピコリットル(pL)より大きい大きな液滴体積の場合、従来技術に係るプリントヘッドは、プリントヘッドの20−30℃の温度上昇で、液滴を吐出するのに必要なエネルギーが吐出液滴により除去される熱エネルギーに等しい状況を達成することができる。この場合には、定常的な動作温度を達成することが可能である。
【0007】
しかしながら、最新のプリンタは典型的に、3pL未満の液滴サイズを使用する。従来技術に係るヒータの効率では、このような小さめの体積の液滴では低すぎて、プリンタ温度が過度に熱くなることなく十分な熱エネルギーを運び出すことができない。このような小さい液滴はまた、典型的に、より高い周波数で印刷され、問題を悪化させてしまう。
【0008】
さらに、電気抵抗ヒータ用の電気的なドライバの大きさは、部分的に、必要なエネルギーによって決定される。電気抵抗ヒータの非効率性により、チップサイズの増大をもたらす一層大きいドライバが必要とされる。故に、基板に進入する熱の量を最小化することによって電気抵抗ヒータの効率を高めることが望ましい。
【0009】
電気抵抗ヒータの効率を高める1つの方法は、基板と電気抵抗ヒータとの間に位置するように、例えば空洞(キャビティ)などの断熱部(熱障壁)を設けるものである。典型的に、電気抵抗ヒータは、制御回路が形成された後のウェハ処理の最後に形成される。故に、低温バックエンドプロセスに適合したキャビティ形成プロセスを設計することが重要である。
【0010】
インク滴の吐出後、インクがチャンバを補充する時にインクとヒータとの接触面の温度が補充インクを気化させるのに十分でないように、ヒータを十分に冷却することも重要である。このような気化はプリントヘッドの動作周波数を制限することになる。なお、初めの気泡気化の時間尺度は1−2μsecであるが、インク補充は6−10μsec後の時点で行われる。故に、初めの気泡形成の効率を低下させず、それと同時に、この長めの時間サイクルでヒータ温度を十分に低下させることが可能な熱経路を設けることが有用である。また、この熱経路が基板にではなくインクに熱を分配することも重要である。
【0011】
印刷システムで使用されるプリントヘッドでは、使用中に電気抵抗ヒータに印加されるエネルギーは閾値エネルギーより大きい(典型的に、15−20%)。この追加エネルギーは、電気抵抗ヒータの抵抗バラつき及びヒータの寿命にわたっての閾値エネルギー変動の影響を不具にするために用いられている。ヒータ抵抗のバラつきのため、この追加エネルギーは液滴吐出にバラつきを生じさせ得る。故に、この追加の熱を蒸気泡形成に寄与させることよりむしろ、追加の熱を排除することが有用となる。
【0012】
また、プリントヘッドが長寿命を有することも必要である。ヒータの如何なる不均一性も、乏しい蒸気泡の核形成と、ヒータへの局所的な損傷とを生じさせ、それによってプリントヘッドの寿命を短縮させ得る。故に、プリントヘッドの寿命要求を維持するためには、ヒータ表面が均一であることが重要である。
【0013】
ヒータへの損傷もプリントヘッドの寿命を制限する。崩壊する気泡は、ヒータのパッシベーション層内に局所的な損傷を生じさせ得る。このパッシベーション層内の局所的な損傷は最終的にヒータ層に到達し、それにより、ヒータの壊滅的な不具合を生じさせる。故に、ヒータへのこのキャビテーション損傷を制限することが重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、長い寿命を有し且つその寿命を通して高品質の印刷を提供するプリントヘッドが望まれる。このプリントヘッドはまた、当該プリントヘッドの過熱を防止するのに十分なヒータ効率で、高周波で微小液滴を吐出可能であるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一態様によれば、液体イジェクタは、基板、加熱素子、誘電体層及びチャンバを含む。基板は第1の表面を含んでいる。加熱素子は、当該加熱素子と基板の第1の表面との間にキャビティが存在するように、基板の第1の表面の上方に配置されている。誘電体層は、キャビティが横方向で当該誘電体層によって境界されるように、加熱素子とキャビティとの間に配置されている。チャンバは、ノズルを含んでおり、加熱素子の上方に配置されている。チャンバは、キャビティが液体から隔離されるようにして、該液体を受け入れるような形状にされている。
【0016】
本発明の他の一態様によれば、液体イジェクタを作動させる方法は、第1の表面を含む基板;基板の第1の表面の上方に配置された加熱素子であり、当該加熱素子と基板の第1の表面との間にキャビティが存在する、加熱素子;加熱素子とキャビティとの間に配置された誘電体層であり、キャビティが横方向で当該誘電体層によって境界される、誘電体層;及び加熱素子の上方に配置されたノズルを含むチャンバであり、当該チャンバが液体を受け入れる形状にされ、キャビティが該液体から隔離される、チャンバ;を含む液体イジェクタを用意するステップと、液体イジェクタのチャンバ内に液体を導入するステップと、加熱素子上に蒸気泡を形成することによって、加熱素子及び誘電体層をキャビティ内に変形させるステップとを含む。
【0017】
本発明の他の一態様によれば、液体イジェクタ用の熱的に分離された加熱素子を形成する方法は、第1の表面を含む基板を用意する工程と、第1の表面上に犠牲材料層を堆積する工程と、犠牲材料層をパターニングする工程と、パターニングされた犠牲材料層上に誘電体層を堆積する工程と、誘電体層上に加熱素子を形成する工程と、パターニングされた犠牲材料層を除去し、誘電体層と基板の第1の表面との間にキャビティを作り出す工程とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0018】
以下にて提示する本発明の好適実施形態の詳細な説明において、以下の図を含む添付の図面を参照する。
【図1】従来技術に係る液体イジェクタを示す模式的な断面図である。
【図2】本発明に従って製造される液体イジェクタを示す模式的な断面図である。
【図3a】図2の液体イジェクタ内の分離されたヒータを形成する一手法を示す図である。
【図3b】図2の液体イジェクタ内の分離されたヒータを形成する一手法を示す図である。
【図4a】図2の液体イジェクタ内の分離されたヒータを形成する一手法を示す図である。
【図4b】図2の液体イジェクタ内の分離されたヒータを形成する一手法を示す図である。
【図5】図2の液体イジェクタ内の分離されたヒータを形成する一手法を示す図である。
【図6a】図2の液体イジェクタ内の分離されたヒータを形成する一手法を示す図である。
【図6b】図2の液体イジェクタ内の分離されたヒータを形成する一手法を示す図である。
【図7a】図2の液体イジェクタ内の分離されたヒータを形成する一手法を示す図である。
【図7b】図2の液体イジェクタ内の分離されたヒータを形成する一手法を示す図である。
【図8】図2の液体イジェクタ内の分離されたヒータを形成する一手法を示す図である。
【図9a】図2の液体イジェクタ内の分離されたヒータを形成する一手法を示す図である。
【図9b】図2の液体イジェクタ内の分離されたヒータを形成する一手法を示す図である。
【図10】図2の液体イジェクタ内の分離されたヒータを形成する一手法を示す図である。
【図11a】図2の液体イジェクタ内の分離されたヒータを形成する際に使用される犠牲層をパターニングする代替的な一手法を示す模式的な上面図である。
【図11b】図11aの犠牲層をパターニングする代替手法を用いて形成される2つの分離されたヒータを示す模式的な上面図である。
【図11c】図11bの直線B−B’に沿った模式的な断面図である。
【図12a】図2の液体イジェクタ内の分離されたヒータを形成する際に使用される犠牲層をパターニングする代替的な他の一手法を示す模式的な上面図である。
【図12b】図2の液体イジェクタ内の分離されたヒータを形成する際に使用される犠牲層をパターニングする代替的な他の一手法を示す模式的な上面図である。
【図13a】電流パルスがちょうど印加された時の、インクのオープンプール内の本発明に係る1つの分離されたヒータを示す模式的な断面図である。
【図13b】気泡が核を成した時の、インクのオープンプール内の本発明に係る1つの分離されたヒータを示す模式的な断面図である。
【図13c】気泡が更に膨張した時の、インクのオープンプール内の本発明に係る1つの分離されたヒータを示す模式的な断面図である。
【図13d】ヒータ上での気泡崩壊を示す、インクのオープンプール内の本発明に係る1つの分離されたヒータを示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
ここでの説明は特に、本発明に従った装置の一部を形成する、あるいは該装置とより直接的に協働する要素に向けられる。理解されるように、特に図示あるいは説明しない要素は、当業者に周知の様々な形態をとり得る。以下の説明においては、可能な限り、同一の要素を指し示すために同一の参照符号を用いる。
【0020】
後述するように、本発明は、液滴吐出装置(イジェクタ)に使用され得るマイクロヒータ、液体イジェクタを作動させる方法、及び液滴イジェクタに使用するマイクロヒータの積層体(スタック)を形成する方法を記述する。そのような装置の最も親しみのあるものは、インクジェット印刷システム内のプリントヘッドとして使用されている。インクジェット及び液体という用語はここでは相互に入れ替え可能に使用されるが、滴の形態をしたその他の種類の液体を放出あるいは吐出する、インクジェットプリントヘッドと同様の、システム内でマイクロヒータ又はヒータを使用する数多くのその他の用途が出現しつつある。それらの用途の例は、ポリマー、導電性インク及び調合薬の送達を含む。これらのシステムも、本発明に係る効率的なヒータスタックを必要とする。
【0021】
現行のサーマルインクジェットプリントヘッドにおいては、電熱ヒータは、制御デバイスを収容したシリコンチップの表面に形成されたヒータスタックを含んでいる。図1は、シリコン基板4上に形成されたヒータスタック6を有する従来技術に係るシングルインクジェットイジェクタ2の断面を例示している。基板上には、典型的に1−3μm厚の誘電体断熱層10がある。この誘電体熱障壁10は典型的に、電気抵抗ヒータ層8のヒータ領域14の活性化を制御するチップの他の領域内の電気回路(図示せず)を製造する時に形成される層間誘電体から製造される。導電層12が、電気抵抗ヒータ層8の頂部に堆積され、制御回路(図示せず)に接続する導電配線を形成し且つヒータ領域14をも定めるように、エッチングされてパターニングされる。
【0022】
ヒータスタック6には典型的に、インクから保護することによってヒータを長寿命化するために、2つの層が追加される。絶縁性パッシベーション層16が堆積される。絶縁性パッシベーション層16は、窒化シリコン、酸化シリコン、炭化シリコン、又はこれらの材料の組み合わせから形成され得る。絶縁性パッシベーション層16の頂部に、保護層18が堆積される。保護層18は、典型的にタンタルを用いて形成され、気泡崩壊に由来する衝撃応力から電気抵抗ヒータ層8を保護する。
【0023】
ヒータの上方にインクチャンバ20が存在している。インクチャンバ20は、当該チャンバの天井部を形成するノズルプレート22を備えている。ヒータの上方に位置するように、ノズルプレート22内にノズル24が形成されている。チャンバのインク供給口は図示していない。
【0024】
液滴を吐出するために、導電層12を介してヒータに、典型的には1μsec未満である電気パルスが印加される。ヒータに印加される電気エネルギーは、インク−ヒータ接触面にあるインクに伝達される熱エネルギーを作り出す。インクの温度を上昇させて蒸気泡形成を起こさせるのに十分な量の熱エネルギーが、核形成閾値にて伝達される。水性インクの場合、気泡の核形成の温度はおよそ280℃である。図1中の矢印26a、26b及び26cは、電気パルスによる熱流束を表している。おおよそ等しい量の熱が、インクチャンバ内のインク(矢印26aで表す)と、基板(矢印26bで表す)とに流れる。少量は、矢印26cで表すように、ヒータスタックに沿って横方向に拡散することになる。矢印26aによって表された熱流束のみが気泡形成に直接的に寄与することになる。矢印26b及び26cによって表された熱は浪費され、ヒートシンクによって、あるいはその後に吐出されるインクへの伝達によっての何れかで、イジェクタから除去されなければならない。
【0025】
図2は、本発明に係る、分離されたヒータ領域34を備えたシングルインクジェットイジェクタ30の一実施形態の断面を示している。従来技術においてのように、チップの他の領域内に電気回路を製造する時に形成される層間誘電体から製造された、基板4上に堆積された酸化物断熱層10が存在している。酸化物断熱層10の上方且つ下部誘電体保護層38の下方の分離されたヒータ領域34内に、分離用キャビティ36が形成されている。分離用キャビティ36は横方向で誘電体保護層38によって境界されている。分離用キャビティ36は、全ての側で密閉されており、大気圧より低い圧力で気体を収容している。下部誘電体保護層38は、キャビティ形成プロセス中の攻撃からヒータを保護する。
【0026】
従来技術におけるヒータスタックの構成と同様に、本発明に係る分離されたヒータスタック32は、電気抵抗ヒータ層8及び導電層12を含んでいる。この場合も、分離されたヒータ領域上に、絶縁性パッシベーション層16及び保護層18である2つの保護層が形成される。この場合には、これらの層の厚さは、従来技術と比較して、ヒータのエネルギー効率を高めるために薄くされる。
【0027】
本発明に係る分離されたヒータスタック32に含まれた電気抵抗ヒータ層8に、典型的に1μsec未満である電気パルスが印加されると、熱流束は、矢印40によって表されるように、主として、インクチャンバ内のインクへと流れる。分離用キャビティ36の存在により、基板内への熱流束は非常に少ない。結果として、ヒータスタック32の効率は、従来技術と比較して向上される。
【0028】
矢印42で表される横方向の熱流束が依然として存在するが、この横方向の熱流束は、分離用キャビティ36の存在によって少なくとも部分的に作り出される下部断面領域を有するヒータスタック32のおかげで、従来技術と比較して低減される。
【0029】
図3a乃至10は、分離されたヒータスタック内に分離用キャビティが形成された複数のシングルインクジェットイジェクタ30を含むプリントヘッドを形成するための本発明に係る製造方法を例示している。これらの図は、プロセスを説明するために、複数のイジェクタのうちの2つを有するプリントヘッドの区画を示している。
【0030】
図3aは、例えばCMOS制御回路及びLDMOSドライバといった電子回路(図示せず)が上に製造されたシリコン基板4を、ヒータの長さ方向の断面にて示している。上記電子回路のプロセスは技術的に周知である。この回路は、アレイ状の液滴イジェクタ内のヒータ群の発熱を制御する。誘電体断熱層10は、CMOSデバイスの層間誘電体層からなる。層間誘電体層内には、CMOSデバイス回路の複数の金属層のうちの1つに由来し且つ駆動トランジスタ(図示せず)に接続する金属リード44が含まれる。図3bは、2つのイジェクタを駆動する2つのリード44a及び共有されたコモン配線44bという3つの金属リード44を有する上面図を示している。
【0031】
図4aのヒータの長さ方向の断面図及び図4bの上面図に示すように、犠牲層46が堆積され、パターニングされる。好適な実施形態において、この層は、物理気相成長法によって堆積された非晶質シリコンから形成される。例えばポリイミド又はアルミニウムなどのその他の材料も使用され得る。犠牲層46は、100−2000Åの厚さ範囲内で堆積される。より薄い犠牲層は、より浅いキャビティをもたらし、それにより、浮遊されるヒータに対する更なる構造的支持を提供する。しかしながら、薄い犠牲層ほど、除去し難く、また、製造中及び動作中の双方において静止摩擦力の影響を受け易い。好適な実施形態において、その厚さは500−1000Åの範囲内である。図4bは、イジェクタアレイの2つのイジェクタのプロセスを例示するプリントヘッドの上面図を示している。犠牲層46は長方形の形状であり、各側面に位置付けられた小さい突起群48を含んでいる。
【0032】
図5のヒータの長さ方向の断面図に示すように、下部誘電体保護層38が堆積される。好適な実施形態において、この層は、窒化シリコン、酸化シリコン、又はこれら2つの材料の組み合わせのプラズマ化学気相成長法(PECVD)によって形成される。下部誘電体保護層は、500−4000Åの厚さ範囲内で堆積される。薄い層ほど、加熱に必要はエネルギーが小さく、故に、熱効率が高いが、提供する機械的支持が小さくなる。好適な実施形態において、その厚さは500−2000Åの範囲内である。
【0033】
図6aのヒータの長さ方向の断面図及び図6bの上面図に示すように、金属リードへのビア50、50a、50bがエッチングされた後、電気抵抗ヒータ層8及び導電層12の堆積及びパターニングが続けられて、ヒータ領域34が形成される。ヒータ領域34は、後に、本発明に係る分離されたヒータ領域となる。電気抵抗ヒータ層8は、300−1000Åの厚さ範囲内で堆積される。該ヒータ層が薄いほど、ヒータ温度を上昇させるのに必要なエネルギーが小さくなる。しかしながら実際には、非常に薄い層の均一性は、制御することが困難である。好適な実施形態において、ヒータ層8の厚さは400−600Åの範囲内である。ヒータ材料は、タンタル、シリコン及び窒化物を含有する三元合金である。その他の三元合金又は四元合金も使用され得る。導電層12は2000−6000Åの厚さ範囲内で堆積される。好適な実施形態において、その材料はアルミニウム又はアルミニウム合金である。図6a及び6bに示すように、この導電層は、犠牲層を含む領域状には延在していない。
【0034】
図7a及び7bを参照するに、次に、フォトレジスト層51がコーティングされ、開口部52のアレイを露出させるように露光される。図7aはフォトレジストの開口部52の上面図を示している。開口部の大きさは0.8−2μmの範囲内である。小さい開口部の使用は、浮遊されるヒータの強度を高めるとともに、大きい開口部より良好に分離用キャビティを密閉する。これらのフォトレジスト開口部は、犠牲層46の突起群48の上に位置整合されるように配列される。これらの開口部52の下の下部誘電体保護層38を除去して、突起部48上で犠牲層46を露出させるために、ドライエッチングが用いられる。好適な実施形態において、このドライエッチングは、六フッ化硫黄ガスを用いるプラズマエッチングである。図7bは、ドライエッチングによって下部誘電体保護層38が除去され且つ犠牲層46が露出された後の、図7aの直線A−A’を通る断面を示している。
【0035】
図8を参照するに、次に、上述のパターニングされた基板が、二フッ化キセノンガスを含有するチャンバ内に置かれる、二フッ化キセノンガスは、好適な実施形態において非晶質シリコンである犠牲層46の全体を選択的に除去して、分離用キャビティ36を作り出す。パターニングされたフォトレジスト層51は、二フッ化キセノンガスによる攻撃から電気抵抗ヒータ層8を保護するために残存され、その後に除去される。他の例では、電気抵抗層8を保護するために、電気抵抗層8の頂部に薄い窒化シリコン層を堆積してもよい。その場合には、この工程に先立ってフォトレジスト層を除去することができる。この二フッ化キセノンガスエッチングにより、図7aの直線B−B’を通る図8の断面図(フォトレジスト層51が除去された後を示している)に示すように、犠牲層が除去される。
【0036】
図9aは、絶縁性封止層54が堆積された後の、図7aの直線B−B’を通る断面図を示している。この層は、開口部52を充填することによって、本発明に係る分離されたヒータ領域の下の分離用キャビティ36を封止する。図9bは、開口部52が封止された後の、図7aの直線A−A’を通る断面図を示している。絶縁性封止層の材料は、窒化シリコン、炭化シリコン、又はこれら2つの材料の組み合わせである。この堆積は、好適な実施形態において、プラズマ化学気相成長法(PECVD)による。封止された分離用キャビティ内の圧力は、PECVDによる堆積に使用された圧力と同等となり、典型的に1Torr未満である。好適な実施形態において、絶縁性封止層の厚さは1000−2500Åである。絶縁性封止層54はまた、絶縁性パッシベーション層16として機能し、インクからの電気抵抗層8の保護を提供する。
【0037】
図10は、ヒートスプレッディング層55の堆積及びパターニング後の断面図を示している。ヒートスプレッディング層55は良熱伝導体である。好適な実施形態において、ヒートスプレッディング層55はタンタルであり、物理気相成長法によって500−2500Åの厚さで堆積される。この実施形態において、ヒートスプレッディング層55は、インクからヒータを保護する保護層18の横方向への延在部である。ヒートスプレッディング層55は、インクチャンバ全体上に残され、ヒータからインクへの熱伝達媒体として作用する。
【0038】
このデバイスをインクジェットイジェクタとして使用するため、同時継続中の同一出願人による米国特許出願第11/609375号及び11/609365号(ともに2006年12月12日に出願)に記載されるようにして、チャンバ及びノズルプレートを製造することができる。なお、これらの文献の開示をここに援用する。
【0039】
図11a−11cを参照するに、他の一実施形態が示されている。図11aは、犠牲層46内に2つの孔56が形成されたパターニング後の犠牲層46の上面図を示している。そして、処理が図3−10を参照して説明したようにして完了される。図11bは、この実施形態に係るヒータの上面図を示している。図11cは図11bの直線B−B’を通る断面図を示している。分離用キャビティ36内の2つの支持ポスト58が、孔56内に形成されている。
【0040】
(図5においてのように)犠牲層46上に誘電体保護層38が堆積される時、その誘電体材料(例えば、窒化シリコン、酸化シリコン、又はこれら2つの材料の組み合わせ)が孔56を充填する。二フッ化キセノンガスが犠牲層46を除去する時、孔56内に堆積された材料は除去されない。結果として、支持体58は、分離用キャビティ36上のヒータ層8に対する機械的支持を提供する。これらの支持体の直径は0.4−1.0μmの範囲内であり、好適な実施形態では直径0.6−0.8μmである。図11cには2つの支持体58が示されているが、支持体58の数は例えば1と10との間で変更されてもよい。支持体58の数、大きさ、形状及び位置は、ヒータスタックの構造的な支持要求によって決定され、犠牲層46をパターニングするためのマスク設計によって実現される。支持体58同士の間の間隔はヒータ長の1/3と2/3との間で変更され得る。
【0041】
図12a及び12bを参照するに、他の一実施形態が示されている。図12aは、犠牲層内にヒータの長さ方向に沿って1つのストリップ60が形成されたパターニング後の犠牲層46の上面図を示している。図12bは、それに代えて、犠牲層内にヒータの長さ方向に垂直な例えばストリップ60といった開口部が形成されたパターニング後の犠牲層46の上面図を示している。これらの代替的な実施形態において、2以上のストリップ、又はストリップと例えば孔などのその他の開口部との組み合わせが存在してもよい。これらのストリップなどは、上述のように充填されると、分離用キャビティ36上のヒータ層8を支持する例えば尾根状又はポスト状などの対応する支持構造を生じさせる。
【0042】
ここで説明した製造プロセス(デバイス状に製造されるCMOS回路の層間誘電体層を含む誘電体断熱層10に始まる)は、ヒータと同じシリコン基板上の駆動電子装置及びロジックの製造と相性が良い。このことは、サーマルインクジェットプリントヘッドに必要な多数のヒータが現行及び将来の印刷スピード要求を満たすことができるように制御するための必要条件である。対照的に、米国特許第5751315号明細書に記載されているキャビティを下に有するヒータは、ポリシリコンヒータを使用している。そのようなヒータ材料は、高温での堆積を必要とし、CMOS回路のアルミニウムのシンター後にヒータが堆積されるためにヒータ堆積温度を400℃を超えないように制約するCMOS製造上の要求と相性が良くないものである。
【0043】
サーマルインクジェットプリントヘッドの第2の必要条件は、現行及び将来の印刷解像度要求を満たすために、隣接し合う液滴イジェクタのヒータが、例えば600−1200ヒータ/インチの間隔で、互いに近接して配置されなければならないことである。1インチ当たり600個のヒータに相当する中心間で見たヒータ間隔が約42μmである場合、ヒータの幅はおよそ30μmかそれより小さくなる。本発明に係る製造プロセスは、約21μmの中心間間隔を有し且つ15μm未満のヒータ幅を有するヒータ群を提供可能であることが実証されている。米国特許第5861902号に記載されている熱分離用のキャビティを下に有するヒータを形成するための製造方法は、このような近接した間隔のヒータ群を実現することが困難である。特に、米国特許第5861902号のFIG.7を参照して説明されている実施形態では、本発明における犠牲層46が横方向で境界されている(図5参照)のに対し、犠牲層(90)は横方向で境界されていない。本発明においては、犠牲層46のエッチングは、固定された横方向の境界を分離用キャビティ36に提供する横方向で境界する誘電体保護層38(図2及び8参照)によって当該エッチングが停止されるまで進められる。対照的に、米国特許第5861902号の横方向に境界されていない犠牲層(90)は、1インチ当たり300のヒータ間隔及び約50μmのヒータ幅に対しては十分な製造許容度を提供し得るが、1インチ当たり600又は1200のヒータ間隔及び30μm以下のヒータ幅に要求される分離用キャビティの幅においては厳しい許容度をも提供しない。
【0044】
また、本発明に係る構造的支持58の設計と、米国特許第5861902号のFIG.7を参照して説明されている熱伝導性カラムの設計との間には、重大な相違が存在する。本発明において、支持体58は、犠牲層46のみを貫通するように小さい孔を設け、その後に該孔を誘電体保護層38で充填することによって形成される。好適な一実施形態において、誘電体層38の厚さは犠牲層46の厚さの約2倍である。支持体58を含む実施形態においても、誘電体層38は、電気抵抗ヒータ層8に対して実質的に平面状の台座部を提供するため、ヒータ層8は実質的に均一な厚さでほぼ平面状になる。加えて、支持体58の幅は好ましくは1μm以下であるため、支持体を介して基板に、非常に小さい熱が伝達されるのみである。対照的に、米国特許第5861902号のFIG.7を参照して説明されている熱伝導性カラムを形成するには、孔は2つの層(犠牲二酸化シリコン層90及び窒化シリコン誘電体層92)を貫通して形成される。その後に形成される誘電体層(24)は、意図的に薄く保たれており、有意量の平坦化を実現することができない。結果として、米国特許第5861902号の抵抗性加熱素子(14)は、そのかなりの部分が縦方向の熱伝導性カラムの内部を形成するため、ほぼ平面状といったものではなく、また、実質的に均一な厚さを有しない。抵抗性加熱素子(14)が厚くなる各カラムの位置において、ヒータは望ましくないクールスポットを有することになる。そのような熱伝導性カラムは、米国特許第5861902号にて意図される50μm幅のヒータの場合には、ヒータの内部領域から熱を除去することにおいて適したものになるかも知れない。しかしながら、約30μmより狭くされたヒータでは、そのような熱伝導性カラムは不要であることが分かっている。本発明に係る支持体58は、大きい熱インピーダンスを実現するように小さい幅で形成され、分離されたヒータの熱効率を劣化させない。
【0045】
続いて、ヒータの下に分離用キャビティを有しない従来技術に係るデバイスと比較したときの、本発明に係る設計の実験的に導出された利点を説明する。
【0046】
本発明に係る分離されたヒータを有する一組と、従来設計に係る分離されていないヒータを用いる一組との、二組のデバイスを製造した。双方のヒータの絶縁性パッシベーション層16及び保護層18に同一の材料及び厚さを使用した。双方のヒータを同一のサイズとした。本発明に係る分離されたヒータの下部誘電体層38は0.2μmの窒化シリコンとし、分離用キャビティは0.1μmの高さとした。これらのデバイスを、その上のノズルプレートを用いずにインクのオープンプール内で測定した。観測のためにストロボ及びカメラを用いて、気泡核形成が観測されるまでエネルギー(電圧)を徐々に大きくして、0.6μsecの熱パルスを印加した。本発明に係る分離されたヒータでは、気泡核形成の閾値エネルギーが、従来設計に係る分離されていないヒータに必要な閾値エネルギーの70%未満であった。
【0047】
もう1つの観測を寿命に関してヒータを試験する過程で行った。分離されたヒータは、キャビテーションにより、遙かに低い劣化を示した。核形成された気泡は崩壊するときに保護層を損傷し、気泡核形成ごとに深くなる小さい穴を開ける。最終的に、この損傷は保護層を貫通してヒータを露出させる。これはヒータの寿命を短縮する。実験によるオープンプール試験中に、分離されたヒータはこの欠陥を示さないことが観測された。分離されたヒータの場合には、気泡が崩壊するとき、分離されたヒータが、運動量エネルギーを弾性膜の変形に変換することによって、運動量エネルギーの一部を吸収することができるものと考えられる。対照的に、従来技術に係るヒータは剛体面上に形成されていて浮遊されていないため、ヒータのレイヤ群は気泡崩壊の全衝撃を吸収し得る。ノズルプレートを有する実際のデバイスでは、生涯にどれほど多く衝撃気泡崩壊があるかは、チャンバの幾何学構成と、液滴の吐出中にノズルを介して気泡が放出されるか否かと、の関数ともなり得る。それでも、本発明に係る浮遊されたヒータの場合に起こる弾性膜変形は、それがなければ同一のノズルの数多くの発熱動作によって起こるであろうヒータへの累積的な損傷量を低減することに関して有利な効果を有し得る。
【0048】
図13a−13dは、この効果を、本発明に係る分離されたヒータ領域34の簡略化した断面図(様々なレイヤを描写していない)を用いて模式的に示している。図13aは、電流の矢印62で表された熱パルスの印加開始時の、本発明に係る分離されたヒータの簡略化された断面図を示している。分離されたヒータの上方にインク80が位置している。インクとヒータとの接触面の温度が臨界温度(およそ280℃)に達すると、気泡70が核形成し始めることになる。気泡の核形成の開始時、ヒータ上の圧力はおよそ70気圧まで急速に上昇し、直ちに滴下を開始する。この圧力パルスによって、図13bに模式的に示すように、浮遊されたヒータが下方の表面72と接触するように押し下げられることがモデル化によって示されている。
【0049】
浮遊されたヒータを設計するときに解決すべき1つの課題は、気泡が崩壊し、未使用のインクがヒータ上に流れ戻る前に、ヒータ領域から熱を伝え出す経路が少ないことである。未使用のインクがヒータ上に流れ込むときにヒータ温度がおよそ100℃より高い場合、補充インクの沸騰が液滴吐出の不安定性を引き起こす可能性がある。気泡の核形成中に作り出される圧力によってヒータが下方の表面72と接触している間、熱流の矢印64によって示すように、この余分な熱の一部が気泡形成プロセスに有害でない時点でヒータから除去される。
【0050】
気泡が膨張するとき、圧力はおよそ0.2μsecの間に大きさで一桁ほど低下し、図13cに模式的に示すように、ヒータはその浮遊位置に戻る。およそ1μsec後、気泡内の圧力は周囲圧力より低くまで低下しており、気泡は収縮し始める。図13dに模式的に示す時点において、気泡は或る程度崩壊し、気泡崩壊からの慣性がヒータ表面に衝撃を生じさせる。この時点において、浮遊型のヒータは、向きを有する反動の矢印66によって図13d中に模式的に示すように、崩壊する気泡の衝撃力によって従順に変形する。この反動は、従来技術に係るヒータにおいて通常見受けられる気泡崩壊による損傷を最小化するものと考えられる。
【0051】
本発明の他の一観点は、ヒートスプレッディング層55である。気泡の核形成及び膨張は1μsec未満で起こるが、気泡の崩壊及びインクの補充は5μsec程度の時間尺度で起こる。ヒートスプレッディング層55は、図13d中に熱流の矢印68で示したように、この時間尺度でヒータ層から熱を運び出し、後続の液滴吐出において吐出されることが可能なようにインクが優先的に熱を吸収することを可能にする。実験による試験において、インク補充過程中のインクの沸騰は観測されなかった。
【0052】
本発明に係る分離されたヒータ領域34の他の一観点は、分離されたヒータスタック32内で使用される限られた量の熱容量である。分離されたヒータスタック32の総厚は0.6μm未満に制限される。分離されたヒータ領域34に含まれる少ない量のエネルギー蓄積容量は、戻りのインクに利用可能な熱エネルギーの量を制限し、ひいては、インクの温度上昇を制限する。それにより、ヒータの熱効率が向上されるとともに、補充中の不所望の気泡核形成の可能性が低減される。
【0053】
以上、本発明を、本発明の特定の好適実施形態を特に参照しながら詳細に説明したが、理解されるように、本発明の範囲内で変形及び変更が為され得る。
【符号の説明】
【0054】
2 従来のシングルインクジェットイジェクタ
4 シリコン基板
6 従来のヒータスタック
8 電気抵抗ヒータ層
10 誘電体断熱(熱障壁)層
12 導電層
14 ヒータ領域
16 絶縁性パッシベーション層
18 保護層
20 インクチャンバ
22 ノズルプレート
24 ノズル
26 矢印
30 本発明に係るシングルインクジェットイジェクタ
32 本発明に係る分離されたヒートスタック
34 本発明に係る分離されたヒータ領域
36 分離用キャビティ
38 下部誘電体保護層
40 矢印
42 横方向の矢印
44a、b 金属リード
46 犠牲層
48 突起
50a、b ビア
51 フォトレジスト層
52 開口部
54 絶縁性封止層
55 ヒートスプレッディング層
56 孔
58 支持体
60 ヒータに沿うストリップ
62 電流の矢印
64 熱流の矢印
66 反動の矢印
68 熱流の矢印
80 インク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表面を含む基板;
前記基板の前記第1の表面の上方に配置された加熱素子であり、当該加熱素子と前記基板の前記第1の表面との間にキャビティが存在する、加熱素子;
前記加熱素子と前記キャビティとの間に配置された誘電体層であり、前記キャビティが横方向で当該誘電体層によって境界される、誘電体層;及び
前記加熱素子の上方に配置されたノズルを含むチャンバであり、当該チャンバが液体を受け入れる形状にされ、前記キャビティが前記液体から隔離される、チャンバ;
を有する液体イジェクタ。
【請求項2】
前記基板の前記第1の表面に配置された電子回路であり、前記加熱素子と電気的に通信する電子回路、
を更に有する請求項1に記載のイジェクタ。
【請求項3】
前記キャビティは1000Å以下の断面厚さを有する、請求項1に記載のイジェクタ。
【請求項4】
前記加熱素子は断面で見たときに実質的に均一な厚さを有する、請求項1に記載のイジェクタ。
【請求項5】
前記キャビティと前記基板の前記第1の表面との間に配置された誘電体層、
を更に有する請求項1に記載のイジェクタ。
【請求項6】
前記キャビティの圧力は大気圧より低い、請求項1に記載のイジェクタ。
【請求項7】
前記加熱素子の、前記基板の前記第1の表面から見た幅は、30μm以下である、請求項1に記載のイジェクタ。
【請求項8】
前記加熱素子は複数の加熱素子のうちの1つであり、隣接し合う加熱素子の中心間で見た間隔は45μm未満である、請求項1に記載のイジェクタ。
【請求項9】
前記誘電体層は第1の誘電体層であり、当該イジェクタは更に、前記加熱素子と前記チャンバとの間に配置された第2の誘電体層を有する、請求項1に記載のイジェクタ。
【請求項10】
前記第1の誘電体層、前記第2の誘電体層、及び前記加熱素子の、断面で見たときの合計厚さは、5000Å以下である、請求項9に記載のイジェクタ。
【請求項11】
前記加熱素子及び前記誘電体層は前記キャビティ内へ変形可能である、請求項1に記載のイジェクタ。
【請求項12】
前記誘電体層は、前記キャビティの当該誘電体層とは反対側の表面と接触可能である、請求項11に記載のイジェクタ。
【請求項13】
前記誘電体層は、前記キャビティ内に延在する支持構造を含んでいる、請求項1に記載のイジェクタ。
【請求項14】
前記加熱素子と電気的に連通した導電層であり、前記キャビティと重なり合わない導電層、
を更に有する請求項1に記載のイジェクタ。
【請求項15】
液体イジェクタを作動させる方法であって:
第1の表面を含む基板;
前記基板の前記第1の表面の上方に配置された加熱素子であり、当該加熱素子と前記基板の前記第1の表面との間にキャビティが存在する、加熱素子;
前記加熱素子と前記キャビティとの間に配置された誘電体層であり、前記キャビティが横方向で当該誘電体層によって境界される、誘電体層;及び
前記加熱素子の上方に配置されたノズルを含むチャンバであり、当該チャンバが液体を受け入れる形状にされ、前記キャビティが前記液体から隔離される、チャンバ;
を含む液体イジェクタを用意するステップ;
前記液体イジェクタの前記チャンバ内に液体を導入するステップ;並びに
前記加熱素子上に蒸気泡を形成することによって、前記加熱素子及び前記誘電体層を前記キャビティ内に変形させるステップ;
を有する方法。
【請求項16】
液体イジェクタ用の熱的に分離された加熱素子を形成する方法であって:
第1の表面を含む基板を用意する工程;
前記第1の表面上に犠牲材料層を堆積する工程;
前記犠牲材料層をパターニングする工程;
パターニングされた犠牲材料層上に誘電体層を堆積する工程;
前記誘電体層上に加熱素子を形成する工程;及び
前記パターニングされた犠牲材料層を除去し、前記誘電体層と前記基板の前記第1の表面との間にキャビティを作り出す工程;
を有する方法。
【請求項17】
前記加熱素子を形成する工程は、前記パターニングされた犠牲材料層を除去する工程に先立って行われる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記パターニングされた犠牲材料層を除去する工程は、ドライエッチングプロセスを用いて、前記パターニングされた犠牲材料層を除去することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記ドライエッチングプロセスは、二フッ化キセノンガス及び六フッ化硫黄プラズマのうちの一方を用いることを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記パターニングされた犠牲材料層を除去する工程に先立って、前記基板の前記第1の表面に電子回路を形成する工程、
を更に有する請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記犠牲材料層をパターニングする工程は、前記パターニングされた犠牲材料層上に前記誘電体層を堆積するときに支持構造を形成するための開口部を設けるように、前記犠牲材料層の一部を除去することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記犠牲材料層をパターニングする工程は、後に形成される前記加熱素子の幅を超えて延在する前記犠牲材料層内の突起を形成することを含む、請求項16に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3a−3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10】
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【図11a】
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【図11b】
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【図11c】
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【図12a】
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【図12b】
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【図13a】
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【図13b】
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【図13c】
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【図13d】
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【公表番号】特表2011−525437(P2011−525437A)
【公表日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514607(P2011−514607)
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【国際出願番号】PCT/US2009/003625
【国際公開番号】WO2010/011250
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.バブルジェット
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】