説明

分類収納装置

【課題】 収納容器の交換頻度を低減するとともに、装置の停止頻度を低減することができる分類収納装置および分類収納方法を提供する。
【解決手段】 制御部8は、同じ特性ランク情報に対応する収納スリーブ16群に含まれる各収納容器に、収納すべき順番を表す収納順番情報を対応させ、物体を、この物体の種類情報に対応する収納容器群のうち、これらの収納容器群に含まれる各収納容器に対応する収納順番情報が表す順番が早い方から、各収納容器に1種類のみの物体が所定の数収納されるように搬送手段を制御する。これによって、複数の物体の種類が、所定の種類に集中していても、フレキシブルに収納容器を振り分けて、集中した種類の物体の収納に自動的に多くの収納容器が使われるようになるので、収納容器が満杯になることによって生じる収納容器の交換の頻度を低減することができ、また作業者が収納容器を交換する場合には、収納容器が満杯になることによって生じる装置の停止頻度を軽減して、装置の停止時間を短縮することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体を分類して収納する分類収納装置および分類収納方法に関し、特に電気特性測定結果に基づいて特性ランク別に分類された収納用スリーブに、半導体装置を自動で分類収納し、作業者が手作業で収納用スリーブの供給および取出しを行うセミオートテストハンドラに好適に適用される分類収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトカプラおよびSSR(Solid State Relay)などの半導体装置においては、製造された半導体装置の全てに対して電気特性の測定を行っている。これらの半導体装置の多くは、電気特性の測定結果に基づいてランク分けされ、ランク別に区分された収納用スリーブに分類して収納される。たとえばフォトカプラでは光電流Ic、SSRでは最小トリガ電流Iftなどの電気特性の測定結果を用いてランクの分類が行われる。
【0003】
また実際の生産では、ある電気特性が特定のランクに分類されることを狙って半導体装置を製造しているので、半導体装置をランク分けしたときに、各ランクに分類される半導体装置の割合は均一ではなく、特定のランクに集中することが多い。たとえば電気特性の測定結果に基づいて良品とされた半導体装置の数の99%以上が特定のランクに集中することも珍しくない。
【0004】
従来の技術のテストハンドラ、および半導体装置の分類収納作業は自動で行い、作業者が手作業で収納用スリーブの供給および取出しを行うセミオートテストハンドラにおいては、投入される半導体装置のランクの分布に関係なく、各収納用スリーブに対応して、1つのランクが予め定められて固定されているか(たとえば特許文献1参照)、あるいは、各収納用スリーブに対応するランクを作業者がマニュアル操作によって生産ロット投入前に設定している(たとえば特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】実開平7−32580号公報
【特許文献2】特開平8−36025号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
各収納用スリーブに対応して、1つのランクが予め定められて固定されている場合、収納される半導体装置が特定のランクに集中すると、その他のランクに対応する収納用スリーブは殆ど使われることがなく、分類が集中したランクの収納用スリーブの交換を頻繁に行わなければならないので効率が悪い。さらに、セミオートテストハンドラでは、特定のランクに対応する収納用スリーブが全て満杯になると動作を停止するので、作業者のスリーブ交換作業が追いつかないと、装置が停止してしまい、装置稼動率の低下の要因にもなっている。
【0007】
また、各収納用スリーブに対応する特性ランクを作業者がマニュアル操作によって生産ロット投入前に設定する場合では、ある特定のランクを狙って半導体装置を製造しているので、集中が予想されるランクに対応する収納用スリーブを予め多く取るように設定しておくことが可能であるが、半導体装置のランクが何らかの原因で狙ったランクに集中しなかった場合、スリーブ交換作業をさらに頻繁に行わなければならなくなり、セミオートテストハンドラでは、装置の停止の頻度もさらに多くなってしまう。さらに、収納用スリーブに対応するランクの設定作業を、作業者が行う必要があるので、作業者の思い違いおよび作業ミスによって収納用スリーブに対応させるランクの誤設定によって、装置の停止の頻度が多くなるおそれがある。
【0008】
したがって本発明の目的は、物体の種類情報に基づく収納容器への分類収納を高信頼性にて行うことができ、収納容器の交換頻度を低減するとともに、装置の停止頻度を低減することができる分類収納装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、複数の種類からなる複数の物体を、複数の収納容器に前記種類毎に分類して収納する分類収納装置であって、
各物体の種類を表す種類情報を取得する取得手段と、
各物体を、前記複数の収納容器のいずれかに搬送する搬送手段と、
前記取得手段によって取得した種類情報に基づいて、各物体を前記複数の収納容器のいずれかに搬送させる制御手段とを含み、
前記制御手段には、
前記各収納容器のうち少なくとも一部の収納容器に複数の種類情報が重複して対応するように、すべての収納容器に種類情報が対応付けて設定され、かつ
同じ種類の収納容器に、物体が収納されるべき順番を表す収納順番情報が対応付けて設定され、
前記制御手段は、
前記複数の物体を、収納順番情報が表す順番で、各収納容器に順次的に収納されるように、前記搬送手段を制御することを特徴とする分類収納装置である。
【0010】
また本発明は、複数の収納容器は、列状に配置され、
前記制御手段には、
複数の収納容器から成る収納容器群の配列方向の一方の端部に設けられる複数の収納容器に、少なくとも第1種類情報を対応付けて設定され、この第1種類情報に対応付けして設定される各収納容器に、配列方向一方から他方に向かって収納すべき順番が遅くなるように収納順番情報が対応付けして設定され、
複数の前記収納容器から成る収納容器群の配列方向の他方の端部に設けられる複数の収納容器に、少なくとも第2種類情報を対応付けて設定され、この第2種類情報に対応付けして設定される各収納容器に、配列方向他方から一方に向かって収納すべき順番が遅くなるように収納順番情報が対応付けして設定され、
複数の前記収納容器の配列方向の中間部に設けられる複数の収納容器には、少なくとも第1および第2種類情報とは異なる種類情報を対応付けして設定され、第1および第2種類情報とは異なり、かつ互いに同じ種類情報に対応付けして設定される収納容器に、前記配列方向の中央部に配置された収納容器から、配列方向の一方および他方に向かって収納すべき順番がそれぞれ遅くなるように収納順番情報が対応付けして設定されることを特徴とする。
【0011】
また本発明は、前記制御手段は、未収納で、かつ複数の種類情報に対応付けして設定された収納容器に物体を収納させたとき、この収納容器が設けられる位置に、収納した物体に対応付けして設定される種類を対応付けて設定し、以後、所定の指令が与えられるか、または分類処理が終了するまでは、前記位置に設けられる収納容器には、所定の位置に対応する種類情報のみを対応付けして設定することを特徴とする。
【0012】
また本発明は、前記制御手段は、前記物体を収納すべき収納容器に、他の種類の物体が収納されていると、収納順番情報に応じて次に収納すべき収納容器に物体を収納させることを特徴とする。
【0013】
また本発明は、各収納容器のそれぞれについて、収納される物体の種類を表す識別情報を表示する表示手段をさらに含むことを特徴とする。
【0014】
また本発明は、各収納容器のそれぞれに、収納される物体の種類を表す識別情報を付加する識別情報付加手段をさらに含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、制御手段は、取得手段によって取得された物体の種類を表す種類情報に基づいて、搬送手段を制御して物体を複数の収納容器のいずれかに搬送させて収納させる。制御手段は、各収納容器のうち少なくとも一部の収納容器に複数の種類が重複して対応するように、すべての収納容器に対応させて種類情報を認識している。複数の種類が重複して対応付けられた1または複数の収納容器には、1つの種類の物体だけが収納される。
【0016】
制御手段は、同じ種類の物体が収納されるべき各収納容器に、収納する順番を表す収納順番情報が対応付けで設定される。したがって、物体は、その種類に対応する収納容器に順番が早い方から収納されるように前記搬送手段を制御する。
【0017】
これによって、複数の種類にわたる物体が、所定の種類だけに集中して存在する場合であっても、物体の数に応じて重複した種類に対応付けられた収納容器を、いずれか一方の種類の物体を収納するための収納容器に振り分けて、特定の種類だけに集中して存在する物体を、円滑に連続して収納することができる。このようにして、物体の種類毎に割り当てられた1または複数の収納容器に、予め定める数の物体が収納されたとき、前記1または複数の収納容器の頻繁な交換を少なくして、収納容器の交換頻度を低減することができる。また収納容器の交換を作業者によって行う場合には、各種類毎に割り当てられた収納容器が満杯になると、その交換作業のために装置を停止させる必要が生じるが、前述のように複数の種類が重複して対応付けられた収納容器を、数が多い物体を収納するための収納容器として使用されるので、前記装置の頻繁な停止を少なくして停止頻度を軽減し、装置の停止時間を短縮することができる。
【0018】
また収納容器を交換する頻度を軽減することができるので、作業者による作業量を低減することができ、作業者1人での多数台の分類収納装置の運転が可能になり、ひいては人件費の削減を図ることができる。
【0019】
従来の技術では、分類処理前に各収納容器ごとに格納される物品の種類を1つに決定する必要があり、分類処理前に、作業者が手作業で各収納容器にそれぞれ1つの種類情報を対応付けして設定する必要があるが、本発明では、各収納容器への種類情報の対応付けは、予めデフォルト(標準の動作条件)として制御手段に設定されており、分類処理前に作業者が手作業で各収納容器に1つの種類情報を対応付けして設定する必要がなく、作業者の作業負担を軽減できると共に、作業者の思い違いおよび作業ミスによって生じる誤設定に起因する従来の技術の問題点を解決することができ、高信頼性を達成することができる。
【0020】
また本発明によれば、複数の前記収納容器が列状に配置され、制御手段が、複数の前記収納容器の配列方向の一方の端部、他方の端部および中間部のそれぞれに設けられる各収納容器に、前述したように収納順番情報を対応付けして設定することによって、物体が収納された収納容器を、物体の種類ごとにまとめて配置することができ、物体が収納された収納容器を作業者が取り出す場合であっても、物体が収納された収納容器の区別が容易となる。
【0021】
また本発明によれば、制御手段は、未収納で、かつ複数の種類情報に対応する収納容器に物体を収納させたとき、この収納容器が設けられる位置に、収納した物体に対応する種類情報を対応させ、以後、所定の指令が与えられるか、または分類処理が終了するまでは、前記位置に設けられる収納容器には、所定の位置に対応する種類情報のみを対応付けして設定するので、収納容器を交換しても、同じ位置に配置される収納容器には、交換前の収納容器に収納された種類と同じ種類の分類物を収納することができる。たとえば半導体装置などの物体を分類するときには、生産ロット単位で連続して収納処理を行うが、生産ロット単位では種類の分布が安定しているので、生産ロット単位で処理が終了するまでは、複数の半導体装置の各種類の割合はほぼ一定となる。このような場合では、所定の位置に設けられる収納容器に、所定の種類の物体を収納することを固定することによって、作業者が、たとえば半導体装置などの物体で満杯になった収納容器を分類収納装置から取り出し、種類別のコンテナに収容する際、作業者の勘違い、および間違った思い込みによって、互いに異なる種類の物体が収納された収納容器を混在させるという作業ミスを防止することができる。
【0022】
また本発明によれば、制御手段は、収納順番情報に応じて物体を収納すべき収納容器に、他の種類情報に対応する物体が収納されていると、収納順番情報に応じて次に収納すべき収納容器に物体を収納させるので、収納容器が複数の種類情報に対応していても、それぞれの収納容器には、1種類のみの半導体装置を収納させることができる。
【0023】
また本発明によれば、表示手段に、各収納容器のそれぞれについて、収納される物体の種類を表す識別情報が表示されるので、各収納容器がそれぞれどの種類の半導体装置を収納するのかを利用者に知らせることができる。これによって、物体が収納された収納容器を作業者が取り出す場合であっても、物体が収納された収納容器の区別が容易となり、装置から取り出した収納容器を区別するときに、作業者の思い違いおよび作業ミスによって、区別した収納容器群に、異なる種類の半導体装置が収納された収納容器が混在することを防止することができる。
【0024】
また本発明によれば、識別情報付加手段によって、各収納容器のそれぞれに、収納される物体の種類を表す識別情報が付加されるので、各収納容器がそれぞれどの種類の半導体装置を収納するのかを利用者に知らせることができる。これによって、物体が収納された収納容器を作業者が取り出す場合であっても、物体が収納された収納容器の区別が容易となり、装置から取り出した収納容器を区別するときに、作業者の思い違いおよび作業ミスによって、区別した収納容器群に、異なる種類の半導体装置が収納された収納容器が混在することを防止することができる。
【0025】
また本発明によれば、取得した物体の種類を表す種類情報に基づいて、物体を複数の収納容器のいずれかに搬送させて収納させる。各収納容器のうち少なくとも一部の収納容器に、複数の種類情報が対応するように、各収納容器に種類情報を対応させている。複数の種類情報に対応させている収納容器には、複数の種類情報のいずれか1つの種類情報に対応する物体が収納される。同じ種類情報に対応する収納容器群に含まれる各収納容器に、収納すべき順番を表す収納順番情報を対応させて、物体を、この物体の種類情報に対応する収納容器群のうち、これらの収納容器群に含まれる各収納容器に対応する収納順番情報が表す順番が早い方から、各収納容器に1種類のみの物体を所定の数収納する。これによって、複数の物体の種類が、所定の種類に集中していても、フレキシブルに収納容器を振り分けて、集中した種類の物体の収納に自動的に多くの収納容器が使われるようになるので、収納容器が満杯になることによって生じる収納容器の交換の頻度を低減することができ、また作業者が収納容器を交換する場合には、収納容器が満杯になることによって生じる装置の停止頻度を軽減して、装置の停止時間を短縮することができる。
【0026】
また収納容器を交換する頻度を軽減することができるので、作業者が収納容器を交換する場合であっても、作業者1人での多数台の分類収納装置の運転が容易になり、ひいては人件費を削減することができる。
【0027】
また各収納容器に対応する種類情報を、分類処理前に作業者が手作業で行う必要がなく、作業者の作業負担を軽減できると共に、作業者の思い違いおよび作業ミスによって生じる誤設定に起因する従来の技術の問題点を解決することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
図1は、本発明の実施の一形態の分類収納装置を含むセミオートテストハンドラ1を有する分類収納システム2の構成を概略的に示すブロック図である。セミオートテストハンドラ1は、分類収納方法を実施する。セミオートテストハンドラ1は、物体であるフォトカプラおよびSSR(Solid State Relay)などの半導体装置を、後述する測定部5にセットし、電気的な特性の性能測定を行い、その測定結果に基づき半導体装置を電気特性に応じた複数の種類に分類して、収納容器である後述する収納用スリーブ16に収納するものである。
【0029】
分類収納システム2は、セミオートテストハンドラ1と、半導体装置の電気的な特性を測定する電気特性測定用テスタ3とを含んで構成される。セミオートテストハンドラ1は、ローダ部4と、測定部5と、分類搬送部6と、アンローダ部7と、制御部8と、表示部9と、識別情報付加部11と、操作部12とを含んで構成される。本実施の形態では、分類搬送部6と、アンローダ部7と、制御部8と、表示部9と、識別情報付加部11とを含んで分類収納装置1が構成される。アンローダ部7は、収納容器である収納用スリーブ16を所定の位置に載置される収納用スリーブ載置部を有する。収納用スリーブ載置部には、複数の収納用スリーブ16を配置可能である。収納スリーブ載置部には、各収納用スリーブ16が配置されているか否かを各収納用スリーブ16について個別に検出する収納用スリーブ検出センサが設けられる。収納用スリーブ検出センサは、収納用スリーブ16の有無によって接点が開閉する機械スイッチによって実現されてもよく、物体検出用の光電センサによって実現されてもよい。
【0030】
ローダ部4には、分類すべき半導体装置が供給され、供給された半導体装置を、制御部8の指令に応じて、測定部5に搬送して供給する。ローダ部4には、半導体装置が供給トレイに整列収納された状態で供給される。ローダ部4には、供給トレイが載置される供給トレイ載置部が設けられ、この供給トレイ載置部に載置される供給トレイの交換は、作業者が手作業で行う。ローダ部4は、供給トレイに収納されている半導体装置を保持して、3次元的に半導体装置を移動させることができる第1ロボットアーム体を含んで構成される。第1ロボットアーム体は、半導体装置を保持して、供給トレイから測定部5に供給する。
【0031】
測定部5は、測定用トレイを有し、制御部8からの指令に応じて、測定用トレイに収納された半導体装置の電気的な特性を測定するための測定準備処理を行う。前記ローダ部4は、測定用トレイに半導体装置を供給して、測定用トレイに半導体装置を収納する。たとえば半導体装置がフォトカプラである場合、測定部5では、フォトカプラの入力側である発光素子に所定の電流を流して発光させるとともに、出力側である受光素子に所定の電圧を印加し、電気特性として、このとき受光素子に流れる電流(=光電流Ic)を得る。またたとえば半導体装置がSSRである場合、測定部5では電気特性として最小トリガ電流Iftを得るために、半導体装置に電圧を印加する。測定部5は、電気特性測定用テスタ3に接続される。
【0032】
電気特性測定用テスタ3は、測定部5および制御部8にオンラインで電気的に接続されている。電気特性測定用テスタ3は、電流計測器を含んで構成され、測定部5から与えられる電流を測定する。また電気特性測定用テスタ3は、マイクロコンピュータを含んで構成され、測定結果に基づいて、この測定結果が得られた半導体装置の特性ランクを決定する。電気特性測定用テスタ3には、半導体装置の特性に関する特性情報と、この特性情報に応じた特性ランクを表す特性ランク情報とが複数組記憶されている。前記測定結果が電流値で表されるのであれば、半導体装置の特性情報は、電流値の範囲を表す。特性情報と、特性ランク情報とは、予め定められて記憶されている。前記特性ランクは、半導体装置の特性に応じた分類を表し、半導体装置の種類を表す。すなわち特性ランク情報は、種類情報である。電気特性測定用テスタ3は、各半導体装置の測定結果に対応する特性ランク情報をオンラインで制御部8に送信して与える。電気特性測定用テスタ3および測定部5は、取得手段を構成する。
【0033】
分類搬送部6は、制御部8からの指令に応じて、測定部5において測定が終了した半導体装置をアンローダ部7に搬送する。分類搬送部6は、測定用トレイに収納されている半導体装置を保持して、3次元的に半導体装置を移動させることができる第2ロボットアーム体を含んで構成される。第2ロボットアーム体は、半導体装置を保持して、測定用トレイからアンローダ部7に半導体装置を搬送する。分類搬送部6は、制御部8からの指令に応じて、アンローダ部7に配置される複数の収納用スリーブ16のうちのいずれかに半導体装置を搬送して収納する。アンローダ部7には、複数の収納用スリーブ16が、列状に配置され、本実施の形態では所定の方向に、1列に配置される。
【0034】
制御部8は、ローダ部4、測定部5、分類搬送部6、表示部9および識別情報付加部11の各部を制御する。制御部8は、操作部12からの指令に応じて、ローダ部4から測定部5に半導体装置を供給させ、半導体装置の電気的な特性を測定した後、測定の終了した半導体装置を分類搬送部6によってアンローダ部7に収納させる一連の分類収納処理を行わせたり、この分類収納処理を停止するように各部を制御する。
【0035】
制御部8は、たとえばマイクロコンピュータによって実現され、電気特性測定用テスタ3から与えられる特性ランク情報をオンラインで受信して、この特性ランク情報を得た半導体装置に対応させて記憶する。制御部8は、電気特性測定用テスタ3から与えられる特性ランク情報に応じて、分類搬送部6を制御し、アンローダ部7に配置された収納用スリーブ16のうち、この特性ランクに対応付けして設定される収納用スリーブ16に、半導体装置を搬送させて、収納させる。
【0036】
制御部8は、各収納用スリーブ16のうち少なくとも一部の収納用スリーブ16に複数の特性ランクが対応付けして設定されるように、前記各収納用スリーブ16と特性ランク情報を対応させて記憶している。また同じ特性ランク情報に対応付けして設定される収納用スリーブ16群に含まれる各収納用スリーブ16に、収納すべき順番を表す収納順番情報であるスリーブ番号情報を対応させて記憶する。
【0037】
制御部8は、半導体装置を、この半導体装置の特性ランク情報に対応付けして設定される収納用スリーブ16群のうち、これらの収納用スリーブ16群に含まれる各収納用スリーブ16に対応付けして設定されるスリーブ番号情報が表す順番で、各収容スリーブ16に順次的に収容されるように分類搬送部6を制御する。また制御部8は、各収納用スリーブ16にはそれぞれ1つの特性ランク情報に対応付けして設定される半導体装置のみが、所定の数収納されるように、分類搬送部6を制御する。すなわち同じ特性ランク情報に対応付けして設定される各収納用スリーブ16には、収納順番を表すスリーブ番号が予め割り当てられており、その特性ランク情報に対応付けして設定される収納用スリーブ16のうちスリーブ番号が最も小さいスリーブ番号情報に対応付けして設定される収納用スリーブ16から半導体装置を順番に収納する。制御部8は、1つの収納用スリーブ16に、所定の数の半導体装置が収納されたか否かを判断し、たとえば1つの収納用スリーブ16が満杯になれば、所定の数の半導体装置が収納されていない、たとえば満杯になっていない収納用スリーブ16のうち、スリーブ番号が最も小さいスリーブ番号情報に対応付けして設定される収納用スリーブ16に収納先を切り替えるように、分類搬送部6を制御する。
【0038】
制御部8は、アンローダ部7の収納用スリーブ検出センサの検出結果に応じて、各位置に収納用スリーブ16が設けられているか否かを判断する。制御部8は、収納用スリーブ16が1つも設けられてない場合、および、収納すべきスリーブ番号情報に対応付けして設定される収納用スリーブ16に、半導体装置を収容することができない場合には、分類収納処理を停止するように各部を制御する。また制御部8は、収納用スリーブ検出センサの検出結果に基づいて、収納用スリーブ16が設けられていると判断した後、収納用スリーブ16が設けられてないと判断し、再び収納用スリーブ16が設けられていると判断すると、収納用スリーブ16が交換されたと判断する。
【0039】
表示部9は、制御部8からの指令に応じて、アンローダ部7に配置された個々の収納用スリーブ16について、それぞれ収納される半導体装置に対応付けして設定される特性ランク情報に対応した表示を行う。複数の特性ランク情報に対応付けして設定される収納用スリーブ16については、複数の特性ランク情報のうち、いずれの特性ランク情報に対応付けして設定される半導体装置が収納されるのかを決定した時点で、この決定した特性ランク情報を表示させる。表示部9は、たとえば、特性ランク別に色分けされた可視光LED(Light Emitting Diode)、数字表示用7セグメントLEDまたは液晶表示装置などによって実現される。これらの表示部9は、セミオートテストハンドラ1のアンローダ部7の各収納用スリーブ16に近接する場所に設ける。これによって作業者にとって、どの収納用スリーブ16にどの特性ランクの半導体装置が収容されているのかの識別がしやすい。
【0040】
識別情報付加部11は、各収納用スリーブ16のそれぞれに、収納される半導体装置の特性ランクを表す特性ランク情報を付加する。アンローダ部7に配置された個々の収納用スリーブ16が、どの特性ランク情報に対応しているかを作業者に知らせるために、収納用スリーブ16そのものに、特性ランクを識別するための印を加工する加工手段、もしくは特性ランクを識別するための印を付加する印付加手段を備えている。
【0041】
前記加工手段、もしくは印付加手段は、各収納用スリーブ16に、この収納用スリーブ16に対応付けして設定される特性ランクに対応した加工、もしくは印を付加するようにする。複数の特性ランク情報に対応付けして設定される収納用スリーブ16については、複数の特性ランク情報のうち、いずれの特性ランク情報に対応付けして設定される半導体装置が収納されるのかを決定した後に、加工手段によって前記印が加工されるか、印付加手段によって印が付加される。収納用スリーブ16そのものに、特性ランクを識別するための具体的な加工手段、もしくは識別のための印を付加する具体的な手段としては、レーザマーキング装置、スタンプ式捺印装置、特性ランク別に色分けされたストッパを付加する装置、IC(Integrated Circuit)タグを付加する装置などによって実現される。
【0042】
操作部12は、制御部8に分類収納処理を開始する指令を与えたり、分類収納処理を停止する指令を与えたりするための操作指令キーを含んで構成される。また操作部12は、セミオートテストハンドラ1を初期状態に戻すためのリセット指令を与えるためのリセット操作指令キーを含んで構成される。各収納スリーブ16に対応付けして設定される特性ランク情報およびスリーブ番号情報は、制御部8に予めデフォルトとして設定されており、分類収納処理を行う毎に、分類収納処理前に作業者が操作部12を操作して特性ランク情報およびスリーブ番号情報を制御部8に記憶させる作業は不要である。また操作部12には、各収納スリーブ16に対応付けして設定する特性ランク情報およびスリーブ番号情報を入力する情報入力キーを含んで構成され、分類収納処理前に、前記情報入力キーによって、制御部8に、各収納スリーブ16に対応付けして設定される特性ランク情報およびスリーブ番号情報をデフォルトから変更して設定してもよい。
【0043】
図2は、各収納用スリーブ16に対応付けして設定するスリーブ番号情報、および特性ランク情報の割り当て方の一例を示す図である。図2には、セミオートテストハンドラ1のアンローダ部7に一列に配置された20本の収納用スリーブ16a〜16tを示している。収納用スリーブ16a〜16tのうち、不特定のものを示すときに収納用スリーブ16と記載する。半導体装置は、その電気的特性の測定結果によって、Aランク、Bランク、CランクおよびDランクの4つの特性ランクに分類される。また、図2に示す参照符号A1〜A7、B1〜B11、C1〜C11、D1〜D7は、それぞれAランク、Bランク、CランクおよびDランクを表す特性ランク情報に対応付けして設定される収納用スリーブ16に割り当てられた収納すべき順番を表すスリーブ番号を示し、スリーブ番号の大小は添え字の数字の大小によって定められ、スリーブ番号が小さいほど収納すべき順番が早いことを表す。
【0044】
制御部8は、複数の収納用スリーブ16から成る収納容器群20の配列方向Xの一方の端部21に設けられる複数の収納用スリーブ16には、少なくとも第1種類情報であるAランクを表す特性ランク情報を対応させ、このAランクを表す特性ランク情報に対応付けして設定される各収納用スリーブ16a〜16gに、配列方向X一方から他方に向かって収納すべき順番となるようにスリーブ番号A1〜A7を表す収納順番情報を対応させて、この対応させた情報を記憶する。
【0045】
また制御部8は、複数の収納用スリーブ16から成る収納容器群20の配列方向Xの他方の端部22に設けられる複数の収納用スリーブ16には、少なくとも第2種類情報であるDランクを表す特性ランク情報を対応させ、このDランクを表す特性ランク情報に対応付けして設定される各収納用スリーブ16n〜16tに、配列方向X他方から一方に向かって収納すべき順番となるようにスリーブ番号D1〜D7を表す収納順番情報を対応させて、この対応させた情報を記憶する。
【0046】
また制御部8は、複数の収納用スリーブ16から成る収納容器群20の配列方向Xの両端を除く中間部23に設けられる複数の収納用スリーブ16b〜16sには、少なくともAランクおよびDランクを表す特性ランク情報とは異なる、BランクまたはCランクを表す特性ランク情報を対応させ、AランクおよびBランクを表す特性ランク情報とは異なり、かつ互いに同じ特性ランク情報に対応させた収納用スリーブ16に、配列方向Xの中央部に配置された収納用スリーブ16から、配列方向Xの一方および他方に向かって収納すべき順番がそれぞれ遅くなるように収納順番情報を対応させて、この対応させた情報を制御部8は記憶する。
【0047】
すなわち制御部8は、Bランクを表す特性ランク情報に対応付けして設定される収納用スリーブ16b〜16lには、配列方向Xの中央部に配列された収納スリーブ16hから、配列方向Xの一方および他方に向かって収納すべき順番がそれぞれ遅くなるようにスリーブ番号B1〜B11を表す収納順番情報を対応付けして設定する。スリーブ番号B1を表す収納順番情報に対応付けして設定される収納用スリーブ16hに近接する各収納用スリーブ16e〜16g、16i〜16lには、収納用スリーブ16hを中心として配列方向Xの一方と他方とに交互に順番が入れ替わるように、すなわち配列方向Xの一方に奇数番目を表し、配列方向Xの他方に偶数番目を表す収納順番情報を対応させて、この対応させた情報を制御部8は記憶する。
【0048】
また制御部8は、Cランクを表す特性ランク情報に対応付けして設定される収納用スリーブ16i〜16sには、配列方向Xの中央部に配列された収納スリーブ16mから、配列方向Xの一方および他方に向かって収納すべき順番がそれぞれ遅くなるようにスリーブ番号C1〜C11を表す収納順番情報を対応付けして設定する。スリーブ番号C1を表す収納順番情報に対応付けして設定される収納用スリーブ16mに近接する各収納用スリーブ16i〜16l、16n〜16qには、収納用スリーブ16mを中心として配列方向Xの一方と他方とに交互に順番が入れ替わるように、すなわち配列方向Xの一方に奇数番目を表し、配列方向Xの他方に偶数番目を表す収納順番情報を対応させ、対応させた情報を制御部8は記憶する。
【0049】
さらに言い換えると、Aランクを表す特性ランク情報は、収納用スリーブ群20の配列方向Xの一方の端に配置される収納用スリーブ16aに最も小さいスリーブ番号A1が割り当てられており、Aランクを表す特性ランク情報に対応付けして設定される複数の収納用スリーブ16では、配列方向Xの他方に向かうほど大きなスリーブ番号が割り当てられる。
【0050】
Bランクを表す特性ランク情報は、収納用スリーブ群20の配列方向Xの中間部に配置される収納用スリーブ16hに最も小さいスリーブ番号B1が割り当てられており、配列方向Xの一方および他方に離れて行くほど大きなスリーブ番号が割り当てられる。図2に示す例では、収納用スリーブ16hの配列方向Xの他方に隣接して配置される収納用スリーブ16iに偶数番目のスリーブ番号B2を割り当てているが、収納用スリーブ16hの配列方向Xの他方に隣接して配置される収納用スリーブ16gに偶数番目のスリーブ番号B2を割り当ててもよい。
【0051】
Cランクを表す特性ランク情報は、収納用スリーブ群20の配列方向Xの中間部に配置される収納用スリーブ16mに最も小さいスリーブ番号C1が割り当てられており、配列方向Xの一方および他方に離れて行くほど大きなスリーブ番号が割り当てられる。図2に示す例では、収納用スリーブ16mの配列方向Xの他方に隣接して配置される収納用スリーブ16nに偶数番目のスリーブ番号C2を割り当てているが、収納用スリーブ16mの配列方向Xの一方に隣接して配置された収納用スリーブ16lに偶数番目のスリーブ番号C2を割り当ててもよい。
【0052】
Dランクを表す特性ランク情報は、収納用スリーブ群20の配列方向Xの他方の端に配置される収納用スリーブ16tに最も小さいスリーブ番号D1が割り当てられており、Dランクを表す特性ランク情報に対応付けして設定される複数の収納用スリーブ16では、配列方向Xの一方に向かうほど大きなスリーブ番号が割り当てられる。
【0053】
図2に示す矢符Fa,Fb,Fc,Fdは、収納用スリーブ16への半導体装置の収納順序を示している。
【0054】
それぞれの特性ランク情報に対応付けして設定される収納スリーブ16のうち、最も小さいスリーブ番号が割り当てられる収納用スリーブ16a、16h、16m、16t以外の収納用スリーブ16b〜16g,16i〜16l,16n〜16sは、異なる複数の特性ランクに対応し、ここでは2つの特性ランクのスリーブ番号が重複して割り当てられている。たとえば、収納用スリーブ16bについて見れば、Aランクを表す特性ランク情報およびスリーブ番号A2を表す収納順番情報と、Bランクを表す特性ランク情報およびスリーブ番号B11を表す収納順番情報とが、割り当てられている。この場合、収納用スリーブ16bには、Aランクの特性ランク情報の半導体装置と、Bランクの特性ランク情報の半導体装置とのどちらかが収納される可能性があるが、制御部8は、複数の特性ランク情報のうち、1個目に収納される半導体装置に対応付けして設定される特性ランク情報のみを、収納スリーブ16に対応させて、対応させた情報を記憶する。
【0055】
制御部8は、未収納で、かつ複数の特性ランク情報に対応付けして設定される収納用スリーブ16に半導体装置を収納させたとき、この収納用スリーブ16が設けられる位置に、収納した半導体装置に対応付けして設定される特性ランク情報を対応させ、この対応させた情報を記憶し、以後、操作部12から分類収納処理を停止させる指令が与えられたり、または分類処理が終了したりするまでは、前記位置に設けられる収納用スリーブ16には、所定の位置に対応付けして設定される特性ランク情報のみを対応付けして設定する。操作部12には、セミオートテストハンドラ1を初期状態に戻すためのリセットボタンが設けられる。制御部8には、分類収納した半導体装置の個数をカウントするカウンタが設けられる。制御部8は、分類処理が終了したか否かの判断を、作業者が、操作部12を操作して、前記リセットボタンを押したり、カウンタをクリアするなどしたときに、制御部8に与えられる分類処理が終了したことを表す指令に基づいて判断する。制御部8は、分類処理が終了したことを表す指令が与えられると、ロットエンド処理を実行して、初期状態に戻し、各収納容器への種類情報の対応付けをデフォルトに設定する。
【0056】
たとえば、収納用スリーブ16bに最初に収納された半導体装置に対応付けして設定される特性ランク情報がAランクを表していれば、収納用スリーブ16bに最初の半導体装置を収容した後は、この収納用スリーブ16bに対応付けして設定される特性ランク情報として、Aランクを表す特性ランク情報を確定する。すなわち収納用スリーブ16bに最初の半導体装置を収容した後、制御部8は、収納用スリーブ16bに、Aランクを表す特性ランク情報のみを対応させて記憶すると、リセット指令が操作部12から与えられるか、あるいはエンドロット処理を実行しない限り、作業者が収納用スリーブ16bの交換を行っても、収納用スリーブ16bが設けられる位置に配置される収納用スリーブにはAランクを除く他のランクを表す特性ランク情報に対応付けして設定される半導体装置を収納させず、Aランクを表す特性ランク情報に対応付けして設定される半導体装置のみを収納させる。
【0057】
作業者は、満杯になった収納用スリーブ16を、手作業で、セミオートテストハンドラ1から取り出し、特性ランク別のコンテナに収容する。セミオートテストハンドラ1では、この特性ランク別のコンテナに収納する作業は作業者が手作業で行うため、作業者の勘違いによって、取り出した収納用スリーブ16を間違った特性ランクのコンテナに収容してしまい、互いに異なる種類の半導体装置が収納された収納用スリーブ16を混在させてしまうといった作業ミスが起こり得るが、前述したように所定の位置に設けられる収納スリーブ16に収納される半導体装置に対応する特性ランク情報を、収納スリーブ16を交換しても変わらないようにすることによって、前述したような作業ミスを抑制することができる。
【0058】
また制御部8は、同じ特性ランク情報に対応、すなわち同じランクの特性ランク情報に対応付けして設定される複数の収納用スリーブ16のうち、最も収納番号情報が表す順番が早い、すなわちスリーブ番号が最も小さい、収納用スリーブ16a、16h、16m、16tには、他のランクを表す特性ランク情報が対応せず、特性ランク情報を重複させて記憶しない。これによって収納用スリーブ16a、16h、16m、16tには、他の特性ランクを表す特性ランク情報に対応付けして設定される半導体装置が収納されることはない。このように、収納用スリーブ16a、16h、16m、16t以外の収納用スリーブについては、収納される半導体装置に特性ランク情報が初期段階では複数対応付けして設定されることによって、ローダ部4に投入する半導体装置の生産ロットの特性ランクの分布によって、各収納用スリーブ16に収納される半導体装置の特性ランクが、順次、フレキシブルに決定される。
【0059】
このように各収納用スリーブ16に特性ランクが決定されるので、各収納用スリーブ16にそれぞれどの特性ランク情報に対応しているかを、表示部9および識別情報付加部11によって作業者に知らせる。制御部8は、表示部9に、各収納用スリーブ16のそれぞれについて、収納される半導体装置の特性ランクを表す識別情報を表示させる。これによって各収納用スリーブ16がそれぞれどの特性ランクの半導体装置を収納するのかを作業者に知らせることができる。したがって半導体装置が収納された収納用スリーブ16を作業者がアンローダ部から取り出す場合であっても、半導体装置が収納された収納用スリーブ16の区別が容易となり、アンローダ部7から取り出した収納用スリーブ16を区別するときに、作業者の思い違いおよび作業ミスによって、区別した収納スリーブ群に、異なる特性ランクの半導体装置が収納された収納用スリーブ16が混在することを防止することができる。
【0060】
また制御部8は、識別情報付加部11に、各収納用スリーブ16のそれぞれに、収納される半導体装置の特性ランクを表す識別情報を付加させる。これによって、各収納用スリーブ16がそれぞれどの特性ランクの半導体装置を収納するのかを利用者に知らせることができる。これによって、物体が収納された収納用スリーブ16を作業者が取り出す場合であっても、半導体装置が収納された収納用スリーブ16の区別が容易となり、アンローダ部7から取り出した収納用スリーブ16を区別するときに、作業者の思い違いおよび作業ミスによって、区別した収納用スリーブ16の群に、異なる特性ランクの半導体装置が収納された収納用スリーブ16が混在することを防止することができる。
【0061】
収納用スリーブ16のうち、各特性ランクにおいて最も早いスリーブ番号を表すスリーブ番号情報に対応付けして設定される収納用スリーブ16(以下、基準収納用スリーブという)の間に配置される収納用スリーブ16群は、この収納用スリーブ16群を挟む2つの基準収納用スリーブに対応する各特性ランク情報を対応して記憶させる。たとえばスリーブ番号A1が表す収納順番情報に対応付けして設定される収納用スリーブ16aと、スリーブ番号B1が表す収納順番情報に対応付けして設定される収納用スリーブ16hとの間の各収納用スリーブ16b〜16gには、AランクおよびBランクを表す特性ランク情報を対応付けして設定する。これによって、収納スリーブ16に半導体装置が収容されたときに、同じ特性ランクの半導体装置が収納された収納スリーブ16をまとまった状態で配置させることでき、半導体装置が収納された収容スリーブ16をアンローダ部7から取り外してまとめるときに、他の特性ランクの半導体装置が収容された収容スリーブ16が混在することを抑制することができる。
【0062】
以上のようにセミオートテストハンドラ1では、制御部8は、各収納用スリーブ16のうち少なくとも一部の収納用スリーブ16に複数の種類が重複して対応するように、すべての収納用スリーブ16に対応させて種類情報を認識している。複数の種類が重複して対応付けられた1または複数の収納用スリーブ16には、1つの種類の物体だけが収納される。
【0063】
制御手段は、同じ種類の物体が収納されるべき各収納用スリーブ16に、収納する順番を表す収納順番情報が対応付けで設定される。したがって、物体は、その種類に対応する収納用スリーブ16に順番が早い方から収納されるように前記搬送手段を制御する。
【0064】
これによって、複数の種類にわたる物体が、所定の種類だけに集中して存在する場合であっても、物体の数に応じて重複した種類に対応付けられた収納用スリーブ16を、いずれか一方の種類の物体を収納するための収納用スリーブ16に振り分けて、特定の種類だけに集中して存在する物体を、円滑に連続して収納することができる。このようにして、物体の種類毎に割り当てられた1または複数の収納用スリーブ16に、予め定める数の物体が収納されたとき、前記1または複数の収納用スリーブ16の頻繁な交換を少なくして、収納用スリーブ16の交換頻度を低減することができる。また収納用スリーブ16の交換を作業者によって行う場合には、各種類毎に割り当てられた収納用スリーブ16が満杯になると、その交換作業のために装置を停止させる必要が生じるが、前述のように複数の種類が重複して対応付けられた収納用スリーブ16を、数が多い物体を収納するための収納用スリーブ16として使用されるので、前記装置の頻繁な停止を少なくして停止頻度を軽減し、装置の停止時間を短縮することができる。
【0065】
また収納用スリーブ16を交換する頻度を軽減することができるので、作業者による作業量を低減することができ、作業者1人での多数台の分類収納装置の運転が可能になり、ひいては人件費の削減を図ることができる。
【0066】
また各収納用スリーブ16への特性ランク情報の対応付けは、制御部8に予めデフォルトとして設定されているので、分類処理前に作業者が手作業で設定する必要がなく、作業者の作業負担を軽減できると共に、作業者の思い違いおよび作業ミスによって生じる誤設定に起因する従来の技術の問題点を解決することができる。
【0067】
また本発明によれば、複数の収納用スリーブ16が列状に配置され、制御部8が、複数の収納用スリーブ16に、前述したように収納順番情報を対応付けして設定することによって、物体が収納された収納用スリーブ16を、半導体装置の特性ランクごとにまとめて配置することができ、セミオートテストハンドラ1のように半導体装置が収納された収納用スリーブ16を作業者が取り出す必要があっても、半導体装置が収納された収納用スリーブ16の区別が容易となる。
【0068】
本発明の他の実施の形態では、制御部8は、前記収納順番情報に応じて物体を収納すべき収納スリーブ16に、収納しようとする半導体装置に対応する特性ランクとは異なる特性ランク情報に対応する半導体装置が既に収納されていると、収納順番情報に応じて次に収納すべき収納スリーブ16に半導体装置を収納させる構成としてもよい。このような構成とすると、収納用スリーブ16が複数の特性ランク情報に対応していても、1種類のみの半導体装置を収納させることができる。
【0069】
また本実施の形態では、測定部5および電気特性測定用テスタ3とによって、半導体装置の電気的な特性を測定しているが、これらは、物体の外観の特性を検査して、物体を分類する分類情報を取得するものであってもよく、この場合物体は、半導体装置に限らず、たとえば部品などであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の実施の一形態の分類収納装置を含むセミオートテストハンドラ1を有する分類収納システム2の構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】各収納用スリーブ16に対応付けして設定するスリーブ番号情報、および特性ランク情報の割り当て方の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0071】
1 セミオートテストハンドラ
3 電気特性測定用テスタ
4 ローダ部
5 測定部
6 分類搬送部
7 アンローダ部
8 制御部
9 表示部
11 識別情報付加部
12 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の種類からなる複数の物体を、複数の収納容器に前記種類毎に分類して収納する分類収納装置であって、
各物体の種類を表す種類情報を取得する取得手段と、
各物体を、前記複数の収納容器のいずれかに搬送する搬送手段と、
前記取得手段によって取得した種類情報に基づいて、各物体を前記複数の収納容器のいずれかに搬送させる制御手段とを含み、
前記制御手段には、
前記各収納容器のうち少なくとも一部の収納容器に複数の種類情報が重複して対応するように、すべての収納容器に種類情報が対応付けて設定され、かつ
同じ種類の収納容器に、物体が収納されるべき順番を表す収納順番情報が対応付けて設定され、
前記制御手段は、
前記複数の物体を、収納順番情報が表す順番で、各収納容器に順次的に収納されるように、前記搬送手段を制御することを特徴とする分類収納装置。
【請求項2】
複数の収納容器は、列状に配置され、
前記制御手段には、
複数の収納容器から成る収納容器群の配列方向の一方の端部に設けられる複数の収納容器に、少なくとも第1種類情報を対応付けて設定され、この第1種類情報に対応付けして設定される各収納容器に、配列方向一方から他方に向かって収納すべき順番が遅くなるように収納順番情報が対応付けして設定され、
複数の前記収納容器から成る収納容器群の配列方向の他方の端部に設けられる複数の収納容器に、少なくとも第2種類情報を対応付けて設定され、この第2種類情報に対応付けして設定される各収納容器に、配列方向他方から一方に向かって収納すべき順番が遅くなるように収納順番情報が対応付けして設定され、
複数の前記収納容器の配列方向の中間部に設けられる複数の収納容器には、少なくとも第1および第2種類情報とは異なる種類情報を対応付けして設定され、第1および第2種類情報とは異なり、かつ互いに同じ種類情報に対応付けして設定される収納容器に、前記配列方向の中央部に配置された収納容器から、配列方向の一方および他方に向かって収納すべき順番がそれぞれ遅くなるように収納順番情報が対応付けして設定されることを特徴とする請求項1記載の分類収納装置。
【請求項3】
前記制御手段は、未収納で、かつ複数の種類情報に対応付けして設定された収納容器に物体を収納させたとき、この収納容器が設けられる位置に、収納した物体に対応付けして設定される種類を対応付けて設定し、以後、所定の指令が与えられるか、または分類処理が終了するまでは、前記位置に設けられる収納容器には、所定の位置に対応する種類情報のみを対応付けして設定することを特徴とする請求項1記載の分類収納装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記物体を収納すべき収納容器に、他の種類の物体が収納されていると、収納順番情報に応じて次に収納すべき収納容器に物体を収納させることを特徴とする請求項1記載の分類収納装置。
【請求項5】
各収納容器のそれぞれについて、収納される物体の種類を表す識別情報を表示する表示手段をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の分類収納装置。
【請求項6】
各収納容器のそれぞれに、収納される物体の種類を表す識別情報を付加する識別情報付加手段をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の分類収納装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−320745(P2007−320745A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−155403(P2006−155403)
【出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】