説明

切削工具研削方法及び切削工具研削装置

【課題】経験が浅い作業者であっても、切削工具を容易に且つ高い精度で研削することが可能な切削工具研削方法及び切削工具研削装置を提供する。
【解決手段】分割角度測定ステップと、分割角度測定結果に基く補正ステップ(ステップ4)と、研削砥石測定ステップと、研削砥石測定結果に基く補正ステップ(ステップ6)と、研削ステップと、喰付き振れ量測定ステップと、判定ステップ(ステップ9)と、が切削工具の喰付き振れ量が規格内であると判定されるまで順次繰返し実施される。これにより、熟練者の研削作業を自働運転を以って行うことが可能になり、経験が浅い作業者であっても、切削工具を容易に且つ高い精度で研削することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸の回りに複数の切刃を具備する切削工具の研削方法及び研削装置に関するもので、特に、自動運転により切削工具を研削する方法及びNC制御装置を具備する切削工具研削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リーマの再研削は、熟練の作業者によって実施される極めて高い技能を要する作業であり、工具研削盤を手動操作して研削砥石の磨耗状態を目視で確認しながら切刃に研削砥石を当て、補正研削を繰返すことにより当該リーマを規格(喰付き振れ量10μm未満)に合わせていた。近年、このような高い技能を有する熟練の作業者の数が減少傾向にあり、経験が浅い作業者であっても、リーマの再研削を容易に且つ高い精度で実施することが可能な切削工具研削方法並びに切削工具研削装置が要望されていた。そこで、例えば、特許文献1に開示された工具研削装置等が開発されているが、ベースとなる工具研削装置を大幅に改造する必要があり、設備コストが増大する。また、従来の切削工具研削方法並びに切削工具研削装置では、研削精度を安定させることが難しく、リーマの喰付き振れ精度を規格(10μm未満)に確実に合わせることがことができない。
【特許文献1】特開昭63−256343号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、経験が浅い作業者であっても、切削工具を容易に且つ高い精度で研削することが可能な切削工具研削方法及び切削工具研削装置を提供することを課題としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の切削工具研削方法は、刃部の軸回りに複数の切刃を有する切削工具を研削砥石によって研削する方法であって、刃部の隣接する切刃間の分割角度を測定する分割角度測定ステップと、分割角度測定ステップの測定結果に基き制御装置に格納された研削プログラムの軸送りデータを補正する補正ステップと、補正ステップによって補正された研削プログラムを実行して切削工具を研削する研削ステップと、研削ステップによって研削された切削工具の刃部の喰付き振れ量を測定する喰付き振れ量測定ステップと、喰付き振れ量測定ステップによって測定された喰付き振れ量が規格内であるか規格外であるかを判定する判定ステップと、が順次実施され、判定ステップにおいて、喰付き振れ量が規格外であると判定された場合に、喰付き振れ量が規格内であると判定されるまで、分割角度測定ステップから判定ステップまでの各ステップを順次繰返すことを特徴とする。
本発明の切削工具研削方法によれば、切削工具の喰付き振れ量が規格に合うまで、各ステップを順次実施することにより、高い技能を有する熟練者による研削作業を切削工具研削装置の自動運転を以って行うことができ、経験が浅い作業者であっても、切削工具を容易に且つ高い精度で研削することが可能になる。
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の切削工具研削装置は、刃部の軸回りに複数の切刃を有する切削工具を研削砥石によって研削する装置であって、刃部の隣接する切刃間の分割角度を測定する分割角度測定手段と、分割角度測定手段の測定結果に基き研削プログラムの軸送りデータを補正する補正手段と、研削プログラムに基き研削砥石によって研削された切削工具の刃部の喰付き振れ量を測定する喰付き振れ量測定手段と、喰付き振れ量測定手段によって測定された喰付き振れ量が規格内であるか否かを判定する判定手段と、判定手段によって喰付き振れ量が規格内であると判定されるまで、分割角度測定手段による測定、補正手段による補正、喰付き振れ量測定手段による測定、及び判定手段による判定を、順次繰返し実施する制御手段と、を具備することを特徴とする。
本発明の切削工具研削装置によれば、制御手段が、分割角度測定手段による測定、補正手段による補正、喰付き振れ量測定手段による測定、及び判定手段による判定を、切削工具の喰付き振れ量が規格に合うまで順次繰返し実施することにより、高い技能を有する熟練者による研削作業を当該切削工具研削装置の自動運転を以って行うことができ、経験が浅い作業者であっても、切削工具を容易に且つ高い精度で研削することが可能になる。
【0006】
(発明の態様)
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、請求可能発明と称する)の態様を例示し、例示された各態様について説明する。ここでは、各態様を、特許請求の範囲と同様に、項に区分すると共に各項に番号を付し、必要に応じて他の項の記載を引用する形式で記載する。これは、請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載、実施形態の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得る。
なお、以下の各項において、(1)、(2)、(4)、(5)、(7)項の各々が、請求項1〜5の各々に相当する。
【0007】
(1)刃部の軸回りに複数の切刃を有する切削工具を研削砥石によって研削する方法であって、刃部の隣接する切刃間の分割角度を測定する分割角度測定ステップと、分割角度測定ステップの測定結果に基き制御装置に格納された研削プログラムの軸送りデータを補正する補正ステップと、補正ステップによって補正された研削プログラムを実行して切削工具を研削する研削ステップと、研削ステップによって研削された切削工具の刃部の喰付き振れ量を測定する喰付き振れ量測定ステップと、喰付き振れ量測定ステップによって測定された喰付き振れ量が規格内であるか規格外であるかを判定する判定ステップと、が順次実施され、判定ステップにおいて、喰付き振れ量が規格外であると判定された場合に、喰付き振れ量が規格内であると判定されるまで、分割角度測定ステップから判定ステップまでの各ステップを順次繰返すことを特徴とする切削工具研削方法。
本項に記載の切削工具研削方法では、分割角度測定ステップ、補正ステップ、研削ステップ、喰付き振れ量測定ステップ、並びに判定ステップを、切削工具の喰付き振れ量が規格に合うまで順次繰返すことにより、高い技能を有する熟練者による研削作業を工具研削盤の自動運転を以って行うことができ、経験が浅い作業者であっても、切削工具を容易に且つ高い精度で研削することが可能になる。
本項の態様において、使用される切削工具研削盤は、例えば、NC制御万能工具研削盤である。また、分割角度測定ステップによる分割角度の測定及び喰付き振れ量測定ステップによる喰付き振れ量の測定は、当該切削工具研削盤に既設の切削工具測定用センサによって実施される。
【0008】
(2)研削砥石の幅寸法及び外径寸法を測定する研削砥石測定ステップを具備し、補正ステップは、分割角度測定ステップと研削砥石測定ステップとの両測定結果に基き制御装置に格納された研削プログラムの軸送りデータを補正することを特徴とする(1)の切削工具研削方法。
本項の態様において、研削砥石測定ステップによる研削砥石の測定は、切削工具研削装置に既設の砥石測定用センサによって実施される。また、研削砥石の測定は、当該研削砥石が軸頭に装着された状態で実施される。これにより、砥石測定ステップを自動化することができる。なお、研削砥石測定ステップによる研削砥石の測定は、例えば、補正ステップの直前に実施される。これにより、摩耗による研削砥石の形状の変化を研削プログラムに反映させることができる。
【0009】
(3)研削砥石を軸頭に装着された状態で成形する成形ステップを含むことを特徴とする(1)又は(2)の切削工具研削方法。
本項に記載の切削工具研削方法によれば、研削砥石を高い精度(寸法精度並びに振れ精度、例えば、振れ量3μm以下)に仕上げることが可能になり、当該研削砥石によって研削される切削工具を規格に合わせることができる。なお、成形ステップによる研削砥石の成形は、例えば、砥石測定ステップの直前に実施される。
【0010】
(4)刃部の軸回りに複数の切刃を有する切削工具を研削砥石によって研削する装置であって、刃部の隣接する切刃間の分割角度を測定する分割角度測定手段と、分割角度測定手段の測定結果に基き研削プログラムの軸送りデータを補正する補正手段と、研削プログラムに基き研削砥石によって研削された切削工具の刃部の喰付き振れ量を測定する喰付き振れ量測定手段と、喰付き振れ量測定手段によって測定された喰付き振れ量が規格内であるか否かを判定する判定手段と、判定手段によって喰付き振れ量が規格内であると判定されるまで、分割角度測定手段による測定、補正手段による補正、喰付き振れ量測定手段による測定、及び判定手段による判定を、順次繰返し実施する制御手段と、を具備することを特徴とする。
本項に記載の切削工具研削装置では、制御手段が、分割角度測定手段による測定、補正手段による補正、喰付き振れ量測定手段による測定、及び判定手段による判定を、切削工具の喰付き振れ量が規格に合うまで順次繰返し実施することにより、高い技能を有する熟練者による研削作業を工具研削盤の自動運転を以って行うことができ、経験が浅い作業者であっても、切削工具を容易に且つ高い精度で研削することが可能になる。
本項の態様において、制御手段は、例えば、NC制御装置である。また、本項の態様では、分割角度の測定及び喰付き振れ量の測定は、当該切削工具研削装置に既設の切削工具測定用センサによって実施される。また、切削工具測定用センサの測定子は、超硬合金製で先端部の直径が1mmのものが好適である。
【0011】
(5)研削砥石の幅寸法及び外径寸法を測定する研削砥石測定手段を具備し、補正手段は、分割角度測定手段と研削砥石測定手段との両測定結果に基き研削プログラムの軸送りデータを補正することを特徴とする(4)の切削工具研削装置。
本項の態様において、研削砥石測定手段による研削砥石の測定は、当該切削工具研削装置に既設の砥石測定用センサによって実施される。また、研削砥石測定用センサの測定子は、ルビー製で先端部の直径が5〜10mmのものが好適である。さらに、研削砥石の測定は、当該研削砥石が軸頭に装着された状態で実施される。これにより、研削砥石の測定を自動化することができる。
【0012】
(6)研削砥石を軸頭に装着された状態で成形する成形手段を具備することを特徴とする(4)又は(5)の切削工具研削装置。
本項に記載の切削工具研削装置によれば、研削砥石を高い精度(寸法精度並びに振れ精度、例えば、振れ量3μm以下)に仕上げることが可能になり、当該研削砥石によって研削される切削工具を規格に合わせることができる。
【0013】
(7)切削工具がリーマであることを特徴とする(4)〜(6)のいずれかに記載の切削工具研削装置。
本項に記載の態様では、高い技能を有する熟練者によるリーマの研削作業を当該切削工具研削装置の自動運転を以って行うことができ、経験が浅い作業者であっても、リーマを容易に且つ高い精度(例えば、喰付き振れ量10μm未満)で研削することが可能になる。
【発明の効果】
【0014】
経験が浅い作業者であっても、切削工具を容易に且つ高い精度で研削することが可能な切削工具研削方法及び切削工具研削装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の一実施形態を図1〜図7に基き説明する。なお、本実施形態では、NC制御万能工具研削盤1(以下、切削工具研削装置1と称する)を用いてリーマ2(切削工具)を研削する場合を説明する。図2に示されるように、切削工具研削装置1は、リーマ2を保持する主軸3と研削砥石4を保持する砥石軸頭5とを備える。主軸3は、主軸台6の移動によって図2におけるX方向への移動が可能であると共に図2におけるC方向への旋回が可能である。また、主軸3は、軸回り(図2におけるA方向)の角度割出しが可能である。砥石軸頭5は、図2におけるZ方向への移動が可能であると共に軸頭コラム7の移動により図2におけるY方向への移動が可能である。そして、切削工具研削装置1は、砥石軸頭5に装着された研削砥石4を所定の回転数で回転させ、該研削砥石4をリーマ2に対してNC制御装置(制御手段)の制御に基く経路で移動させることにより、主軸3に装着されたリーマ2が研削される構造になっている。
【0016】
切削工具研削装置1は、主軸台6に砥石測定用センサ8が設けられると共に、砥石軸頭5にリーマ測定用センサ9が設けられる。図7に示されるように、砥石測定用センサ8(研削砥石測定手段)は、先端部が球形(外径寸法5〜10mm)に形成されたルビー製の測定子8aを備え、該測定子8aを研削砥石4に接触させることにより、砥石軸頭5に装着された研削砥石4の幅寸法及び外径寸法が測定される。また、リーマ測定用センサ9(分割角度測定手段、並びに喰付き振れ量測定手段)は、先端部が球形(外径寸法1mm)に形成された超硬合金製の測定子9aを備え、該測定子9aを主軸3に装着されたリーマ2に接触させることにより、当該リーマ2の、突出し長さ(図3参照)、外周振れ量(喰付き振れ量、図4参照)、分割角度(図5参照)、並びにリード(図6参照)が、選択的に測定される構造になっている。
【0017】
次に、切削工具研削装置1を用いてリーマ2を研削する方法を、図1に示されるフローチャートに基き説明する。まず、NC制御装置(制御手段)に格納されたメインプログラムを呼び出し(ステップ1)、該メインプログラムを起動させる(ステップ2)。これにより、リーマ測定用サブプログラムが実行され、主軸3に装着されたリーマ2の分割角度がリーマ測定用センサ9によって測定される(ステップ3)。なお、リーマ2は、分割角度が測定されるのに先立ち、リーマ測定用センサ9によって突出し長さが測定される。そして、リーマ2の分割角度の測定結果に基き、NC制御装置は、サブプログラムである研削プログラムの軸送りデータ(軸送り位置及び軸送り量)を補正する(ステップ4)。次に、砥石軸頭5に装着された研削砥石4の幅寸法及び外径寸法が砥石測定用センサ8によって測定される(ステップ5)。そして、研削砥石4の幅寸法及び外径寸法の測定結果に基き、NC制御装置は、サブプログラムである研削プログラムの軸送りデータを補正する(ステップ6)。
【0018】
次に、軸送りデータが補正された研削プログラムが実施され、主軸3に装着されたリーマ2が砥石軸頭5に装着された回転する研削砥石4によって研削される(ステップ7)。研削完了後、主軸3に装着されたリーマ2の喰付き振れ量がリーマ測定用センサ9によって測定される(ステップ8)。次に、NC制御装置は、測定されたリーマ2の喰付き振れ量が、規格内(10μm未満)であるか、規格外(10μm以上)であるかを判定する演算処理を実施する(ステップ9)。そして、NC制御装置は、リーマ2の喰付き振れ量が規格内(10μm未満)である場合(ステップ9のY)、メインプログラムを終了する。また、NC制御装置は、リーマ2の喰付き振れ量が規格外(10μm以上)である場合(ステップ9のN)、ステップ3に戻り、主軸3に装着されたリーマ2の分割角度の測定(ステップ3)以降のステップ(ステップ3〜8)が順次実施され、このステップ3〜8が、ステップ9においてリーマ2の喰付き振れ量が規格内(10μm未満)であると判定されるまで順次繰返し実施される。
【0019】
この実施形態では以下の効果を奏する。
本実施形態によれば、主軸3に装着されたリーマ2(切削工具)の分割角度を測定する分割角度測定ステップ(図1におけるステップ3)と、該分割角度測定ステップの測定結果に基き研削プログラムの軸送りデータ(軸送り位置及び軸送り量)を補正する補正ステップ(ステップ4)と、砥石軸頭5に装着された研削砥石4の幅寸法及び外径寸法を測定する研削砥石測定ステップ(ステップ5)と、該研削砥石測定ステップの測定結果に基き研削プログラムの軸送りデータを補正する補正ステップ(ステップ6)と、主軸3に装着されたリーマ2を砥石軸頭5に装着された研削砥石4によって研削する研削ステップ(ステップ7)と、研削完了後、主軸3に装着されたリーマ2の喰付き振れ量を測定する喰付き振れ量測定ステップ(ステップ8)と、該喰付き振れ量測定ステップによって測定されたリーマ2の喰付き振れ量が、規格内(10μm未満)であるか、規格外(10μm以上)であるかを判定する判定ステップ(ステップ9)と、が順次実施され、判定ステップにおいてリーマ2の喰付き振れ量が規格内(10μm未満)であると判定されるまで、分割角度測定ステップから判定ステップまでの各ステップが順次繰返し実施される。
【0020】
したがって、本実施形態によれば、高い技能を有する熟練者による研削作業、即ち、研削砥石4の摩耗状態をノギス等を使って確認しながら卓越した技で研削砥石4をリーマ2に当接させて補正研削を何度も繰返しながら当該リーマ2の喰付き振れ量を規格に合わせていく作業を、切削工具研削盤1の自動運転を以って行うことができ、経験が浅い作業者であっても、リーマ2を容易に且つ高い精度(喰付き振れ量10μm未満)で研削することが可能になる。また、砥石測定用センサ8並びにリーマ測定用センサ9は、当該切削工具研削装置1に既設されているので、装置を大幅に改造する必要がなく、設備コストの増大を防ぐことができる。
【0021】
なお、実施形態は上記に限定されるものではなく、例えば次のように構成してもよい。
NC制御装置に格納されたメインプログラムに、研削砥石4を成形するサブプログラム(成形ステップ)を組込み、研削砥石4の幅寸法及び外径寸法を測定するステップよりも前のステップで、図8に示されるように、砥石軸頭5に装着された研削砥石4をNC制御装置の制御に基き駆動されるドレッサ10によって成形するように構成してもよい。この場合、研削砥石4を砥石軸頭5に装着したままの状態で、切削工具研削装置1の自動運転中に、研削砥石4を高い精度(砥石振れ量3μm以下)に仕上げることが可能になる。これにより、高い精度の研削砥石4によってリーマ2(切削工具)を研削することで、リーマ2の喰付き振れ精度を確保することができる。
本実施形態では、図3〜図6に示されるように、研削対象物を、刃部の軸回りに4つの切刃が等配されるリーマ2としたが、切刃の数は例えば2つや6つであってもよい。この場合、研削対象物となるリーマ2に応じて選択されたリーマ測定用サブプログラムが実行される。さらに、研削対象物は、例えば、エンドミル等の切削工具であってもよい。
砥石測定用センサ8による研削砥石4の測定は、当該研削砥石4の幅寸法と外径寸法とが予め把握されて、これらの寸法が研削プログラムの軸送りデータに反映されていれば、特に、メインプログラム中に研削砥石測定ステップを組込まなくてもよい。
主軸3に装着されたリーマ2の分割角度を測定するステップにおいて、必要に応じて、外周振れ量測定、並びにリード測定(リーマ2がねじれ刃である場合)を、リーマ測定用センサ9によって測定してもよい。
リーマ2を研削するステップにおいて、研削パターンを選択可能に研削プログラムを構成してもよい。例えば、円筒研削及びマージン残し加工、レーキ研削、ギャッシュ研削を必要に応じて選択又は組合せて研削ステップを構成する。
本実施形態では、砥石測定用センサ8の測定子8aを外径寸法5〜10mmの球形のルビーで形成すると共にリーマ測定用センサ9の測定子9aを外径寸法1mmの球形の超硬合金で形成したが、これら測定子8a、9aの形状及び材料は、研削砥石4並びに切削工具(リーマ2)に応じて適宜選択すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施形態の切削工具研削方法のフローチャート図である。
【図2】本実施形態の切削工具研削装置の斜視図である。
【図3】本実施形態の説明図であって、特に、リーマ測定用センサによってリーマの突出し長さが測定される態様を示す図である。
【図4】本実施形態の説明図であって、特に、リーマ測定用センサによってリーマの外周振れ量が測定される態様を示す図である。
【図5】本実施形態の説明図であって、特に、リーマ測定用センサによってリーマの分割角度が測定される態様を示す図である。
【図6】本実施形態の説明図であって、特に、リーマ測定用センサによってリーマのリードが測定される態様を示す図である。
【図7】本実施形態の説明図であって、特に、砥石測定用センサによって研削砥石の幅寸法と外径寸法とが測定される態様を示す図である。
【図8】他の実施形態の説明図であって、特に、ドレッサによって研削砥石が成形される態様を示す図である。
【符号の説明】
【0023】
1 切削工具研削装置、2 リーマ(切削工具)、4 研削砥石、8 砥石測定用センサ(研削砥石測定手段)、9 リーマ測定用センサ(分割角度測定手段、並びに喰付き振れ量測定手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
刃部の軸回りに複数の切刃を有する切削工具を研削砥石によって研削する方法であって、
前記刃部の隣接する切刃間の分割角度を測定する分割角度測定ステップと、
前記分割角度測定ステップの測定結果に基き制御装置に格納された研削プログラムの軸送りデータを補正する補正ステップと、
前記補正ステップによって補正された前記研削プログラムを実行して前記切削工具を研削する研削ステップと、
前記研削ステップによって研削された前記切削工具の刃部の喰付き振れ量を測定する喰付き振れ量測定ステップと、
前記喰付き振れ量測定ステップによって測定された前記喰付き振れ量が規格内であるか規格外であるかを判定する判定ステップと、
が順次実施され、
前記判定ステップにおいて、前記喰付き振れ量が規格外であると判定された場合に、前記喰付き振れ量が規格内であると判定されるまで、前記分割角度測定ステップから前記判定ステップまでの各ステップを順次繰返すことを特徴とする切削工具研削方法。
【請求項2】
前記研削砥石の幅寸法及び外径寸法を測定する研削砥石測定ステップを具備し、前記補正ステップは、前記分割角度測定ステップと前記研削砥石測定ステップとの両測定結果に基き制御装置に格納された研削プログラムの軸送りデータを補正することを特徴とする請求項1に記載の切削工具研削方法。
【請求項3】
刃部の軸回りに複数の切刃を有する切削工具を研削砥石によって研削する装置であって、
前記刃部の隣接する切刃間の分割角度を測定する分割角度測定手段と、
前記分割角度測定手段の測定結果に基き研削プログラムの軸送りデータを補正する補正手段と、
前記研削プログラムに基き前記研削砥石によって研削された前記切削工具の刃部の喰付き振れ量を測定する喰付き振れ量測定手段と、
前記喰付き振れ量測定手段によって測定された前記喰付き振れ量が規格内であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって前記喰付き振れ量が規格内であると判定されるまで、前記分割角度測定手段による測定、前記補正手段による補正、前記喰付き振れ量測定手段による測定、及び前記判定手段による判定を、順次繰返し実施する制御手段と、
を具備することを特徴とする切削工具研削装置。
【請求項4】
前記研削砥石の幅寸法及び外径寸法を測定する研削砥石測定手段を具備し、前記補正手段は、前記分割角度測定手段と前記研削砥石測定手段との両測定結果に基き研削プログラムの軸送りデータを補正することを特徴とする請求項3に記載の切削工具研削装置。
【請求項5】
前記切削工具がリーマであることを特徴とする請求項3又は4に記載の切削工具研削装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−149398(P2008−149398A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−338477(P2006−338477)
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】