説明

切換シャフトのインターロック装置

【課題】互いに平行に案内支持された3本の切換シャフトに使用するインターロック装置の構造を簡略化する。
【解決手段】軸線方向から見て略正三角形の頂点となる位置に配置されてシフトブラケット11に支持された3本のフォークシャフト12〜14の外周には、各フォークシャフト12〜14が中立位置とあるときに軸線方向で同位置にそれぞれ係合溝12a〜14aが形成されている。これらのフォークシャフト12〜14が中立位置にあるときに係合溝12a〜14aに囲まれた位置で軸線方向の移動を制限されて各フォークシャフト12〜14の軸線方向と直交する方向に移動可能にガイド31を介してシフトブラケット11に支持されたインターロックディスク30が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の変速機などに使用される切換シャフトのインターロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
変速機において異なる変速段の歯車が同時に噛み合うことを阻止するインターロック装置としては、例えば特許文献1に示すように、トランスミッションケースのシフトブラケットに歯車の切換を行う複数のフォークシャフトを互いに平行に軸線方向移動可能に支持し、各フォークシャフトの間となるシフトブラケットに形成した孔に摺動可能に支持したインターロックピンの先端部を各フォークシャフトの外周に形成した係合溝に選択的に係合して、何れか1つのフォークシャフトが中立位置から軸線方向に移動されれば残るフォークシャフトの中立位置からの移動を阻止するようにしたものがある。この特許文献1の技術では、両側にインターロックピンと係合する係合溝を形成したフォークシャフトには両側の係合溝の底部を結ぶ孔を形成し、この孔にインターロックローラを摺動自在に挿入して、両側の係合溝にインターロックピンが同時に係合することを阻止している。
【特許文献1】特開2002−147603号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した特許文献1のインターロック装置は、インターロックピン及びインターロックローラの部品数が多く、このインターロック装置を組み立てるときには、予めフォークシャフトの係合溝を結ぶ孔にインターロックローラを挿入したフォークシャフトとインターロックピンとを交互に組み立てる必要があり、インターロック装置の組み立てに手間がかかって製造コストが増大するという問題があった。また、上述のインターロック装置は、複数のフォークシャフトが直線で結ばれる位置でほぼ平行に軸線方向に移動可能に支持されているものにしか適用できなく、例えばシフトフォークが軸線方向から見て略正三角形の頂点となる位置に配置されているものには適用できない問題があった。本発明はこのような問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
このために、本発明による切換シャフトのインターロック装置は、互いに平行に軸線方向移動可能に支持部材に案内支持された複数の切換シャフトの何れか1つが中立位置から軸線方向に移動されたときに残る切換シャフトを中立位置から軸線方向に移動するのを阻止するようにした切換シャフトのインターロック装置において、切換シャフトは3本として軸線方向から見て略正三角形の頂点となる位置に配置し、3本の切換シャフトの外周には各切換シャフトが中立位置にあるときに軸線方向で同位置に軸線方向と直交する係合溝が形成され、3本の切換シャフトが中立位置にあるときに各係合溝に係合可能に囲まれた位置に軸線方向の移動が制限されて軸線方向と直交する方向に移動可能に支持部材に支持されたディスク形状のインターロック部材を備えて、切換シャフトの何れか1つが中立位置から軸線方向に移動されることによりインターロック部材が軸線方向と直交する方向に移動して残る2本の前記切換シャフトの係合溝に係合されるようにしたことを特徴とするものである。
【0005】
請求項1に切換シャフトのインターロック装置においては、インターロック部材が円形のディスクであるのが好ましい。
【0006】
請求項1または請求項2に記載の切換シャフトのインターロック装置においては、インターロック部材がガイド部材を介して支持部材に支持されるのが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
前述のように構成した請求項1の発明によれば、略正三角形の頂点となる位置に配置された3本の切換シャフトの外周には軸線方向で同位置に軸線方向と直交する係合溝が形成され、3本の切換シャフトが中立位置にあるときに各係合溝に係合可能な位置にインターロック部材を備えているので、切換シャフトの何れか一つを中立位置から軸線方向に移動させたときに、その切換シャフトの係合溝から押し出されたインターロック部材が軸線方向と直交する方向に移動して残る2本の切換シャフトの係合溝に係合することにより、残る2本の切換シャフトは軸線方向の移動が阻止されてインターロックが行われる。また、本発明の切換シャフトのインターロック装置においては、略正三角形の頂点となる位置で支持部材に支持された3本の切換シャフトに係合溝を形成し、これら係合溝に囲まれた位置にただ1個のディスク形状のインターロック部材を備えることにより構成されているので、少ない部品で切換シャフトのインターロックを的確に行うことができて製造コストを抑えることができる。
【0008】
前述のように構成した請求項2の発明によれば、インターロック部材は円形のディスクでその中心から外周縁の何れの部分に対しての距離が同一となっているので、略正三角形の頂点となる位置で支持された3本の切換シャフトの何れか1本が移動されたときに、インターロック部材は外周縁のどの部分でも残る2本の切換シャフトの係合溝に係合させることができる。従って、インターロック部材の回り止めを設けなくてもインターロックを確実に行うことができる。
【0009】
前述のように構成した請求項3の発明によれば、インターロック部材はガイド部材を介して支持部材に支持されているので、インターロック部材がガイド部材により容易に支持部材に支持させることができて組み立て作業をさらに容易とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
先ず、図1〜図3に示す第1実施形態により、本発明による切換シャフトのインターロック装置を実施するための最良の形態を説明する。この第1実施形態は、本発明による切換シャフトのインターロック装置を歯車変速機に適用したものである。この歯車変速機には、互いに平行に軸線方向移動可能に配置されて各一端にそれぞれシフトピース15〜17が設けられた3本のフォークシャフト(切換シャフト)12〜14が、トランスミッションケース10とこれに固定されたシフトブラケット11よりなる支持部材により軸線方向摺動自在に案内支持されている。また、各フォークシャフト12〜14に囲まれた位置でシフトブラケット11の側面となる位置には、インターロックディスク(インターロック部材)30がガイド(ガイド部材)31を介して支持されている。
【0011】
図1及び図3に示すように、各フォークシャフト12〜14は、軸線方向から見て略正三角形の頂点となる位置に配置されて、一端がトランスミッションケース10に形成されて外端をプラグ10eにより閉じた支持孔10a〜10cに軸線方向摺動自在に案内支持され、またシフトピース15〜17を設けた他端より手前の部分はシフトブラケット11に形成した支持孔11a〜11cを貫通して軸線方向摺動自在に案内支持されている。
【0012】
各フォークシャフト12〜14は、それぞれに対応してシフトブラケット11に形成した保持孔11d内に設けたデテント装置20により、中立位置とその両側の各シフト位置に弾性的に係止されるようになっている。このデテント装置20は、保持孔11dに対応して各フォークシャフト12〜14の外周縁に軸線方向に多少の距離をおいて形成した3つの係合凹部20aと、保持孔11d内に設けたボール20bと、保持孔11dの後端にねじ込んだねじプラグ20dとボール20bの間に介装されてボール20bを各係合凹部20aに押圧するスプリング20cよりなるものである。図1においては、デテント装置20は第1フォークシャフト12に対応するもののみを示し、その他のものは図示を省略した。なお、各フォークシャフト12〜14は、上記のデテント装置20により、中立位置とその片側だけに弾性的に係止されるようになっていてもよい。
【0013】
図1に示すように、各フォークシャフト12〜14が中立位置にある状態では、各フォークシャフト12〜14に設けた各シフトピース15〜17の先端部に形成したコ字形の切欠き15a〜17aは一列に整列され、各切欠き15a〜17a内には手動変速レバー(図示省略)により作動されるシフトアンドセレクトシャフトに設けた作動アームの先端部25が選択的に係合されるようになっている。また、各フォークシャフト12〜14には、それぞれ変速歯車を移動させるシフトフォーク21〜23が取り付けられており、フォークシャフト12〜14はこのシフトフォーク21〜23により回り止めされている。
【0014】
次ぎに、図1〜図3により、本発明の要部である切換シャフトのインターロック装置の説明をする。前述したように、各フォークシャフト12〜14は、図1及び図3に示すように、軸線方向から見て略正三角形の頂点となる位置に配置されてトランスミッションケース10及びシフトブラケット11に支持されている。各フォークシャフト12〜14の外周の一部には、各フォークシャフト12〜14が中立位置にあるときに軸線方向で同位置で横断面形状が半円形の係合溝12a〜14aが形成されている。係合溝12a〜14aは、軸線方向と直交する長手方向の形状は略半月形であるが環状溝であってもよい。各係合溝12a〜14aは、各フォークシャフト12〜14を頂点とする正三角形の中心に向かう位置に形成されている。各フォークシャフト12〜14が中立位置にあるときに係合溝12a〜14aに囲まれた位置には、インターロックディスク30がシフトブラケット11に支持されている。
【0015】
インターロックディスク30は、図1〜図3に示すように、肉厚な円形のディスクであって、ガイド31を介して軸線方向に移動を制限されて軸線方向と直交する方向に移動可能にシフトブラケット11に支持されている。インターロックディスク30の外周縁の断面形状は、図1及び図2に示すように、半円形となっていて各係合溝12a〜14aと係合可能となっている。インターロックディスク30は、フォークシャフト12〜14の係合溝12a〜14aの何れか2つの係合溝と係合されたときに、残る一本のフォークシャフトの外周面と近接する程度の直径となっている。
【0016】
ガイド31は、インターロックディスク30を軸線方向に移動を制限して軸線方向と直交する方向に移動可能にシフトブラケット11に取付支持するものである。ガイド31は、先端が二股に分岐した略Y字形の板金部材の支持板31aと、支持板31aと同様に先端が二股に分岐した略Y字形状をして各端部が支持板31a側に略Z字形に折り曲げられて支持板31aに溶接固定された保持板31bとからなり、支持板31aの基端側でシフトブラケット11にボルト31cで取付固定されている。ガイド31は、支持板31aと保持板31bとによりインターロックディスク30を軸線方向に移動を制限して軸線方向と直交する方向に移動可能に挟持して、インターロックディスク30をシフトブラケット11に支持している。
【0017】
図1に示すような各フォークシャフト12〜14が中立位置にあるときには、インターロックディスク30は各係合溝12a〜14aと係合可能となっており、第1〜第3フォークシャフト12〜14の何れか1本を軸線方向に移動させると、インターロックディスク30が移動したフォークシャフトの係合溝から押し出されて、残る2本のフォークシャフトの係合溝と係合されて、残る2本のフォークシャフトは、インターロックディスク30によって軸線方向への移動を阻止されてインターロックされることになる。
【0018】
これを、第2フォークシャフトを移動させた場合について具体的に説明する。図2に示すように、第2フォークシャフト13を軸線方向に移動させると、インターロックディスク30は軸線方向に移動した第2フォークシャフト13の係合溝13aから押し出されて残る2本のフォークシャフト12,14の係合溝12a,14aと係合すると同時に第2フォークシャフト13の外周面に接近して(図3の2点鎖線30A参照)戻らなくなるので、残る2本フォークシャフト12,14は軸線方向への移動が阻止されてインターロックされることになる。なお、第3フォークシャフト14を移動させた場合には、インターロックディスク30は、図3の2点鎖線30Bに示す位置となって第1及び第2フォークシャフト12,13の係合溝12a,13aと係合するので、2本のフォークシャフト12,13がインターロックされる。同様に、第1フォークシャフト12を移動させた場合は、第2及び第3フォークシャフト13,14がインターロックされる。
【0019】
次に、第1実施形態における切換シャフトのインターロック装置の組み立てについて説明する。この切換シャフトのインターロック装置の組み立てにおいては、2本のフォークシャフト12,13をシフトブラケット11に形成した支持孔11a、11b及びトランスミッションケース10に形成した支持孔10a,10bに挿入支持させ、シフトフォーク21,22を取付固定して回り止めする。このとき、フォークシャフト12,13は、デテント装置20のボール20bを中央の係合凹部20aに係合させて中立位置としておく。シフトフォーク21,22により回り止めされた各フォークシャフト12,13の各係合溝12a,13aは、各フォークシャフト12〜14の中心に向かう方向に位置決めされる。この状態では、ブラケット11に取り付けたガイド31に保持されたインターロックディスク30は、各フォークシャフト12,13の係合溝12a,13aと軸線方向において整列されている。この状態でインターロックディスク30の外周縁をフォークシャフト12,13の係合溝12a,13aと係合させてから、フォークシャフト14を支持孔11c及びトランスミッションケース10に形成した支持孔10cに挿入支持させてシフトフォーク23を取付固定して回り止めすれば、係合溝14aは、係合溝12a,13aと同様に、各フォークシャフト12〜14の中心に向かう方向に位置決めされる。必要ならば、フォークシャフト14は、フォークシャフト12,13と同様に、デテント装置20のボール20bを中央の係合凹部20aに係合させて中立位置とする。なお、上記の組み立ての説明においては、先にフォークシャフト12,13をシフトブラケット11等に挿入支持させているが、フォークシャフト12,14またはフォークシャフト13,14をシフトブラケット11等に挿入支持させてもよい。
【0020】
次に、上述した歯車変速機の第1実施形態の作動の説明をする。図1に示す中立状態で手動変速レバー(図示省略)を操作し、シフトアンドセレクトシャフトに設けた作動アームの先端部25を第2シフトピース16の切欠き16aに係合させて、図1において右向きに移動させれば、図2に示すように、第2シフトフォーク22が設けられた第2フォークシャフト13は、図示右向きに移動され、これにより変速歯車が移動されて一つの変速段(例えば第1速)が形成される。図3に示すように、この第2フォークシャフト13の移動により、インターロックディスク30の外周縁は、第2フォークシャフト13の係合溝13aから押し出されて第1及び第3フォークシャフト12,14の係合溝12a及び14aの奥部に係合される(図3の2点鎖線に示す30A参照)。この状態では、インターロックディスク30は、第1及び第3フォークシャフト12,14の係合溝12a,14aから押し出されてもその外周縁が第2フォークシャフト13の外周面と当接することになってインターロックディスク30が係合溝13aに戻ることがなく、従って、インターロックディスク30は、第1及び第3フォークシャフト12,14の各係合溝12a,14aとの係合は外れなくなる。これにより、第1及び第3フォークシャフト12,14はインターロックディスク30による各係合溝12a,14aとの係合により、軸線方向への移動が阻止されてインターロックされる。
【0021】
以上は、第2フォークシャフト13が右向きに移動された場合について説明したが、第2フォークシャフト13が左向きに移動された場合も同様であり、また、第1及び第3フォークシャフト12,14が右向きまたは左向きに移動された場合も同様である。これにより変速機において異なる変速段の歯車が同時に噛み合うことを阻止するインターロックがなされる。
【0022】
前述のように構成した切換シャフトのインターロック装置によれば、略正三角形の頂点となる位置に配置された3本のフォークシャフト12〜14の外周には軸線方向で同位置に軸線方向と直交する係合溝12a〜14aが形成され、3本のフォークシャフト12〜14が中立位置にあるときに各係合溝12a〜14aに係合可能な位置にインターロックディスク30を備えているので、フォークシャフト12〜14の何れか一本を中立位置から軸線方向に移動させたときに、そのフォークシャフトの係合溝から押し出されたインターロックディスク30が軸線方向と直交する方向に移動して残る2本のフォークシャフトの係合溝に係合することにより、残る2本のフォークシャフトは軸線方向の移動を阻止されてインターロックが行われる。また、本実施形態の切換シャフトのインターロック装置は、各フォークシャフト12〜14にそれぞれ1個の係合溝12a〜14aを形成し、これら係合溝12a〜14aに囲まれた位置にただ1個のインターロックディスク30を設けることにより構成されているので、少ない加工及び少ない部品によりフォークシャフト12〜14のインターロックを行うことができて製造コストを抑えることができる。
【0023】
さらに、本実施形態の切換シャフトのインターロック装置は、例えば、2本のフォークシャフト12,13をシフトブラケット11に形成した支持孔11a,11b及びトランスミッションケース10に形成した支持孔10a,10bに中立位置となるように挿入支持させて、インターロックディスク30を保持したガイド31をシフトブラケット11に取付け、残る1本のフォークシャフト14の係合溝14aをシフトブラケット11に形成した支持孔11c及びトランスミッションケース10に形成した支持孔10cに中立位置となるように挿入支持させることで組み立てることができるので、その組み立て作業は容易となる。さらに、インターロックディスク30はガイド31を介してシフトブラケット11に支持されているので、インターロックディスク30をガイド31により容易にシフトブラケット11に支持させることができて組み立て作業をさらに容易とすることができる。
【0024】
また、インターロックディスク30は円形のディスクでその中心から外周縁の何れの部分に対しての距離が同一となっているので、略正三角形の頂点となる位置で支持された3本のフォークシャフト12〜14の何れか1本が移動されたときに、インターロックディスク30は外周縁のどの部分でも残る2本のフォークシャフトの各係合溝と係合させることができてインターロックを確実に行うことができる。従って、インターロックディスク30は、回り止めが不要であるのでその分だけ構造が簡略化される。
【0025】
次ぎに、図4及び図5に示す第2実施形態の説明をする。この第2実施形態は、ガイド31を廃してインターロックディスク30をシフトブラケット11に形成したガイド溝11eによりシフトブラケット11に支持させたものである。その他の部分は第1実施形態と同じであるので、主としてその相違点につき説明し、その他の部分は説明を省略する。
【0026】
この第2実施形態では、シフトブラケット11には、インターロックディスク30を支持するガイド溝11eが形成されている。ガイド溝11eは、図4及び図5に示すように、各フォークシャフト12〜14が中立位置にあるときに各係合溝12a〜14aと軸線方向で同位置に形成された円弧形状の溝である。ガイド溝11eの幅は、インターロックディスク30の厚さよりやや大きく形成されていて、インターロックディスク30の軸線方向の移動が制限されるが、各係合溝12a〜14aとの間で軸線方向と直交する方向の移動は自由となっている。これにより、インターロックディスク30は、ガイド溝11e内で各係合溝12a〜14aと係合可能となっている。
【0027】
次に、第2実施形態における切換シャフトのインターロック装置の組み立てについて説明する。この切換シャフトのインターロック装置の組み立てにおいては、2本のフォークシャフト12,13をシフトブラケット11に形成した支持孔11a、11b及びトランスミッションケース10に形成した支持孔10a,10bに挿入支持させる。このとき、フォークシャフト12,13は、デテント装置20のボール20bが中央の係合凹部20aに係合される中立位置として、各係合溝12a,13aは、ガイド溝11eと軸線方向で同位置となる位置とする。また、シフトフォーク21,22により回り止めされたフォークシャフト12,13に形成された各係合溝12a,13aは各フォークシャフト12〜14の中心に向かう方向に位置決めされている。インターロックディスク30をガイド溝11eに挿入してその外周縁をフォークシャフト12,13の各係合溝12a,13aと係合させてから、フォークシャフト14をシフトブラケット11に形成した支持孔11c及びトランスミッションケース10に形成した支持孔10cに挿入支持させてシフトフォーク23により回り止めすれば、係合溝14aは、係合溝12a,13aと同様に、各フォークシャフト12〜14の中心に向かう方向に位置決めされる。必要ならば、フォークシャフト14は、フォークシャフト12,13と同様に、デテント装置20のボール20bを中央の係合凹部20aに係合させて中立位置とする。なお、上記の組み立ての説明においては、先にフォークシャフト12,13をシフトブラケット11等に挿入支持させているが、フォークシャフト12,14をシフトブラケット11等に挿入支持させてもよい。
【0028】
上記した第2実施形態における切換シャフトのインターロック装置は、その作動及び作用効果が上述した第1実施形態と同様であるので詳細な説明は省略する
なお、上記第1実施形態においては、インターロックディスク30は、ガイド31により軸線方向の移動を制限して軸線方向と直交する方向に移動可能にシフトブラケット11に支持されているが、本発明はこれに限られるものでなく、中心部に大きな円形穴を穿設したインターロックディスク30を使用し、このインターロックディスク30の一側をシフトブラケット11に当接させ、円形穴よりも軸部が相当小径で頭部が相当大径の1本のボルトを円形穴に挿通して軸線方向の移動を制限して軸線方向と直交する方向に移動可能にシフトブラケット11に支持させるようにしてもよい。
【0029】
上記の実施形態においては、係合溝12a〜14a及びインターロックディスク30の外周縁の横断面形状が半円形となっているが、本発明はこれに限られるものでなく、これらの少なくとも何れか一方の断面形状は中心部に向けて傾斜を設けた形状であればよく、その形状として例えば横断面形状がV字形の溝があげられる。
【0030】
上記の実施形態においては、係合溝12a〜14aは、フォークシャフト12〜14の一部に形成された軸線方向の断面形状が半円形の溝としたが、本発明はこれに限られるものでなく、フォークシャフト12〜14の全周に形成された環状溝でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明による切換シャフトのインターロック装置の第1実施形態の全体構造を示す全ての切換シャフトが中立位置にある状態における断面図(図3のB−Bに相当)である。
【図2】図1に示す第1実施形態の一つの切換シャフトが移動された状態における断面図(図3のB−Bに相当)である。
【図3】図1のA−A断面図である。
【図4】本発明による切換シャフトのインターロック装置の第2実施形態の全体構造を示す全ての切換シャフトが中立位置にある状態における断面図(図5のD−Dに相当)である。
【図5】図4のC−C断面図である。
【符号の説明】
【0032】
10,11…支持部材(トランスミッションケース,シフトブラケット)、12〜14…切換シャフト(フォークシャフト)、12a〜14a…係合溝、30…インターロック部材(インターロックディスク)、31,11e…ガイド部材(ガイド)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに平行に軸線方向移動可能に支持部材に案内支持された複数の切換シャフトの何れか1つが中立位置から軸線方向に移動されたときに残る切換シャフトを中立位置から軸線方向に移動するのを阻止するようにした切換シャフトのインターロック装置において、
前記切換シャフトは3本として軸線方向から見て略正三角形の頂点となる位置に配置し、
前記3本の切換シャフトの外周には前記各切換シャフトが中立位置にあるときに軸線方向で同位置に軸線方向と直交する係合溝が形成され、
前記3本の切換シャフトが中立位置にあるときに前記各係合溝に係合可能に囲まれた位置に前記軸線方向の移動が制限されて前記軸線方向と直交する方向に移動可能に前記支持部材に支持されたディスク形状のインターロック部材を備えて、
前記切換シャフトの何れか1つが中立位置から軸線方向に移動されることにより前記インターロック部材が軸線方向と直交する方向に移動して残る2本の前記切換シャフトの係合溝に係合されるようにしたことを特徴とする切換シャフトのインターロック装置。
【請求項2】
前記インターロック部材は、円形のディスクであることを特徴とする請求項1に記載の切換シャフトのインターロック装置。
【請求項3】
前記インターロック部材は、ガイド部材を介して前記支持部材に支持されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の切換シャフトのインターロック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−175234(P2008−175234A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−7193(P2007−7193)
【出願日】平成19年1月16日(2007.1.16)
【出願人】(592058315)アイシン・エーアイ株式会社 (490)
【Fターム(参考)】