説明

切断効率が高いカッターフレーム

【課題】長方形形状のベース材料から1種類以上の長方形形状の単位断片を切断するための、切断効率の高いカッター配列構造を提供する。
【解決手段】予め決められた傾斜で切断する複数のカッターを包含してなるカッターフレームであって、カッターが長方形形状の単位断片211,212に対応するように形成されて、単位断片の2個が傾斜方向に対して直角の方向で配置され、一側部で互いに接触してなるものであり、最も左側の末端の仮想頂点座標が(Cx、Cy)とし、最も右側の末端の仮想頂点座標が(Dx,Dy)であるとし、単位断片の左側または右側で互いに一致する場合、最も右側の末端の頂点座標(D’x、D’y)が、仮想配列よりも高い切断面積比を有する配列において、Dxより小さいD’x、Dyより大きいD’yを有する。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、切断効率が高いカッターフレームに関し、より詳しくは、1種類以上の比較的小さなサイズを有する長方形形状の単位断片を、長方形形状(rectangular:長方形の、直角の)のベース材料から、予め決められた傾斜(inclination:傾き、傾角、傾斜角)で切断するための複数のカッターを包含し、該カッターが、該長方形形状の単位断片に対応するように、中に取り付けられているか、または形成されており、該長方形形状の単位断片の2個が、各長方形形状の単位断片の一側部で該長方形形状の単位断片が互いに接触するように、主として傾斜方向で配置されているカッターフレームであって、最も左側の末端の仮想頂点座標が(Ax、Ay)であり、最も右側の末端の仮想頂点座標が(Bx、By)であるとした際に(仮定して)、該長方形形状の単位断片が各長方形形状の単位断片の左側または右側で互いに一致する場合、仮想配列よりも高い切断面積比を有する配列における最も左側の末端の仮想頂点座標(Ax、Ay)を基準にして、最も右側の末端の頂点座標(B'x、B'y)が、最も右側の末端の仮想頂点座標(Bx、By)より大きい、カッターフレームに関する。
【発明の背景】
【0002】
比較的大きなサイズを有する長方形形状のベース材料を切断し、複数の、比較的小さなサイズを有する長方形形状の単位断片を製造する技術は、様々な分野で採用されている。例えば、予め決められた幅及び大きい長さを有するベース材料シートを、カッターフレームにより繰り返し切断し、複数の長方形形状の単位断片を同時に、1回の切断工程で製造する。
【0003】
他方、ベース材料のサイズ(幅)は規定されているのに対し、長方形形状の単位断片のサイズは、様々なファクター、例えばベース材料供給者の制限、製造方法の効率観点、長方形形状の単位断片の需要変動、等、のために、必要に応じて変化することがある。この場合、ベース材料のサイズに基づいて複数の所望の長方形形状の単位断片を切断する場合、切断効率は、カッターフレームがどの構造に構築されているか、すなわち長方形形状の単位断片をベース材料から切断するためのカッターがどの構造に配置されているか、に応じて大きく変動する。切断効率が低いと、切断工程の後に廃棄されることになる、ベース材料から製造されたスクラップの量が増加し、その結果、長方形形状の単位断片の製造コストが増加する。
【0004】
ベース材料のサイズ(幅及び長さ)が、特定の長方形形状の単位断片のサイズ(横方向の長さ及び縦方向の長さ)に対して一定の比率にある場合、長方形形状の単位断片が、そのような一定比率を有する位置で互いに接触するように、長方形形状の単位断片を連続的に配置することにより、切断損失を最少に抑えることができる。しかし、そのような一定比率が形成されない場合、切断損失は、長方形形状の単位断片の配列構造に応じて変動する場合がある。
【0005】
さらに、長方形形状の単位断片をベース材料の縦方向に対して予め決められた角度で切断する場合、必然的に大量のスクラップが発生する。
【0006】
長方形形状の単位断片を予め決められた角度で切断するために、一般的に、カッター(例えばナイフ)に対応する長方形形状の単位断片が互いに隣接するように、カッターがカッターフレーム上に配置される配列構造が使用される。
【0007】
この問題に関して、図1及び2は、長方形形状の単位断片がベース材料上に配置され、長方形形状の単位断片に対応するカッターを構築する、従来のカッターフレームを典型的に例示する。説明の都合上、予め決められた長さを有するベース材料を例示する。
【0008】
これらの図に関して、複数の望ましい長方形形状の単位断片20が、予め決められた幅及び大きな長さを有するベース材料シート10から切断される。カッターフレーム30中には、複数の、長方形形状の単位断片20に対応するカッター32が配置されている。従って、長方形形状の単位断片20の配列構造は、カッター32の配列構造と実質的に等しい。
【0009】
カッター32は、カッター32が予め決められた数(図1では6、図2では8)の長方形形状の単位断片20を1回の切断工程で切断できるように、カッターフレーム30中に取り付けられるか、または形成される。従って、ベース材料シート10がカッターフレーム30により切断され、次いで、そのベース材料10は、ベース材料シート10が、ベース材料シート10の縦方向で予め決められた長さsだけ重なり合った状態で、カッターフレーム30により再度切断される。このようにして、一連の切断工程が行われる。
【0010】
各長方形形状の単位断片20は、各長方形形状の単位断片20の縦方向側部aが、各長方形形状の単位断片20の横方向側部bより長い長方形形状の構造に構築されている。また、各長方形形状の単位断片20は、ベース材料シート10の縦方向に対して約45度の角度αで傾斜している。傾斜した長方形形状の単位断片20がベース材料シート10上に配置される場合、図1及び2に示すような、2種類の長方形形状の単位断片配列構造を一般的に考えることができる。
【0011】
第一の長方形形状の単位断片配列構造は、図1に示すように、それぞれの長方形形状の単位断片の横方向側部bが互いに一致するように、長方形形状の単位断片を連続的に配置する。この配列構造により、有効幅W及び長さLを有するベース材料シート10から、合計24個の長方形形状の単位断片20を切断することができる。しかし、ベース材料シート10の有効幅Wから逸脱した位置に配置された長方形形状の単位断片21は切断することができない。
【0012】
この配列構造では、ベース材料シート10の、有効幅Wではない、切断幅Dだけが実質的に使用され、従って、残りの幅W−Dは、スクラップとして廃棄される。長方形形状の単位断片20は角度約45度で傾斜しているので、ベース材料シート10の上側末端区域でも必然的にスクラップが発生する。
【0013】
第二の長方形形状の単位断片配列構造は、図2に示すように、それぞれの長方形形状の単位断片の縦方向側部aが互いに一致するように、長方形形状の単位断片を連続的に配置する。この配列構造により、有効幅W及び長さLを有するベース材料シート10から、合計19個の長方形形状の単位断片20を切断することができる。
【0014】
上記の説明を考えると、切断効率は、長方形形状の単位断片の配列構造によって異なることが分かる。しかし、長方形形状の単位断片を、ベース材料シートに対して特定の角度で傾斜させる場合、長方形形状の単位断片を様々な配列構造に配置することは困難である。この理由から、従来技術では、図1または2に示すように、それぞれの長方形形状の単位断片の特定の側部(縦方向側部または横方向側部) が互いに一致している構造にある、長方形形状の単位断片の配列構造だけが主として考えられる。
【0015】
さらに、サイズが異なった2種類以上の長方形形状の単位断片を同じベース材料から切断する場合、長方形形状の単位断片の配列構造は非常に複雑になる。この理由から、それぞれの長方形形状の単位断片の特定側部が互いに一致しているか、またはそれぞれの長方形形状の単位断片の中央軸が互いに一致している構造にある長方形形状の単位断片の配列構造だけが考えられる。
【0016】
従って、上記のような長方形形状の単位断片の配列構造の切断効率よりも高い切断効率を有する長方形形状の単位断片の配列構造は、切断損失を低減させ、究極的に製品の製造コストを低減させることができる。切断効率を改良することは、特にベース材料の価格が高くなる、及び/または長方形形状の単位断片を大規模に製造する場合に、益々重要になる。
【発明の概要】
【0017】
従って、本発明は、上記の問題及び他の未解決の技術的問題を解決するためになされたものである。
【0018】
カッターフレームに関する様々な広範囲で集中的な研究及び実験の結果、本発明者らは、カッターがそれぞれの長方形形状の単位断片に対応するように、カッターを、以下に詳細に説明する特殊な長方形形状の単位断片配列構造に形成した場合、従来の長方形形状の単位断片配列構造と比較して、切断効率が大きく改良されることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成された。
【0019】
具体的には、本発明の目的は、比較的大きなサイズを有する長方形形状のベース材料の縦方向に対して予め決められた角度で傾斜した複数の長方形形状の単位断片を、その長方形形状のベース材料から切断する時に、高い切断効率を示すように形成されたカッターを包含するカッターフレームを提供することである。
【0020】
本発明の別の目的は、上記の高い切断効率示す、長方形形状の単位断片の配列構造中に配置された長方形形状の単位断片に対応する孔を有するスクラップを提供することである。
【0021】
本発明の一態様により、上記の、及び他の目的は、1種類以上の比較的小さなサイズを有する長方形形状の単位断片を、長方形形状のベース材料から、予め決められた傾斜で切断するための複数のカッターを包含し、該カッターが、該長方形形状の単位断片に対応するように、中に取り付けられているか、または形成されており、該長方形形状の単位断片の2個が、各長方形形状の単位断片の一側部で該長方形形状の単位断片が互いに接触するように、主として傾斜方向で配置されているカッターフレームであって、最も左側の末端の仮想頂点座標が(Ax、Ay)であり、最も右側の末端の仮想頂点座標が(Bx、By)であるとした際に(仮定して)、該長方形形状の単位断片が各長方形形状の単位断片の左側または右側で互いに一致する場合、仮想配列よりも高い切断面積比を有する配列における最も左側の末端の仮想頂点座標(Ax、Ay)を基準にして、最も右側の末端の頂点座標(B'x、B'y)が、最も右側の末端の仮想頂点座標(Bx、By)より大きい、カッターフレームを提供することにより、達成される。状況に応じて、この長方形形状の単位断片の配列構造は、以下、「第一発明」と呼ぶことができる。
【0022】
本発明の別の態様により、1種類以上の比較的小さなサイズを有する長方形形状の単位断片を、長方形形状のベース材料から、予め決められた傾斜で切断するための複数のカッターを包含し、該カッターが、該長方形形状の単位断片に対応するように、中に取り付けられているか、または形成されており、該長方形形状の単位断片の2個が、各長方形形状の単位断片の一側部で該長方形形状の単位断片が互いに接触するように、傾斜方向に対して主として直角の方向で配置されているカッターフレームであって、最も左側の末端の仮想頂点座標が(Cx、Cy)であり、最も右側の末端の仮想頂点座標が(Dx、Dy)であるとした際に(仮定して)、該長方形形状の単位断片が各長方形形状の単位断片の左側または右側で互いに一致する場合、最も右側の末端の頂点座標(D'x、D'y)が、仮想配列よりも高い切断面積比を有する配列でDxより小さいD'x 及びDyより大きいD'yを有する、カッターフレームを提供する。状況に応じて、この長方形形状の単位断片の配列構造は、以下、「第二発明」と呼ぶことができる。
【0023】
長方形形状の単位断片を長方形形状のベース材料から予め決められた傾斜で切断する場合、前に説明したように、ベース材料の横方向におけるベース材料の利用率が最も重要である。従って、長方形形状の単位断片の位置座標が本発明により特別に形成される場合、図1及び2に示すように長方形形状の単位断片が各長方形形状の単位断片の一側部で互いに完全に一致している従来技術と異なり、長方形形状の単位断片が、互いに接触するように配置されるが、ある長方形形状の単位断片の一側部が別の長方形形状の単位断片の対応する側部と完全には一致せず、幾分ずれている配列構造にある。驚くべきことに、この長方形形状の単位断片の独特な配列構造により、ベース材料の横方向におけるベース材料の利用率が最大になり、従来のカッターフレームよりも高い切断効率が得られることが確認された。
【0024】
また、ベース材料の横方向におけるベース材料の利用率が最大になるという点で究極的な目的は同じであるが、ベース材料の横方向で配置される長方形形状の単位断片の数を、長方形形状の単位断片が、各長方形形状の単位断片の一側部で互いに接触するように配置される方向で増加するか、または長方形形状の単位断片の数が同じである場合には、ベース材料の縦方向における長方形形状の単位断片の配列の幅を狭くすることにより、切断効率が改良されることが確認された。すなわち、ベース材料の横方向における長方形形状の単位断片の数を増加する方法は、第一発明に対応し、ベース材料の縦方向における長方形形状の単位断片の配列の幅を狭くする方法は、第二発明に対応する。
【0025】
複数の長方形形状の単位断片を、長方形形状の単位断片の上記の配列構造で繰り返し配置する場合、従来技術と比較して、切断損失を大幅に低減させ、切断効率を大きく改良することができる。
【0026】
本発明のカッターフレームは、長方形形状の単位断片が予め決められた角度で傾斜した状態で、長方形形状の単位断片を切断することに使用するのが好ましい。本発明者らは、それぞれの単位断片が正方形構造に構築されるか、または長方形形状の単位断片が傾斜していない状態で切断される場合、単位断片の対向側部が互いに完全に一致するように、単位断片が互いに隣接して配置される配列構造により、高い切断効率が示されるが、長方形形状の単位断片が予め決められた角度で傾斜した状態で長方形形状の単位断片が切断される場合、一連の長方形形状の単位断片が互いにずれるように、長方形形状の単位断片の位置座標を決定することにより、切断効率がさらに改良されることを確認した。これは、長方形形状の単位断片が各長方形形状の単位断片の一側部で互いに一致するように一連の長方形形状の単位断片を配置する場合、または長方形形状の単位断片が同じ軸上に位置するように長方形形状の単位断片を配置する場合にのみ、切断効率が発揮されるという従来の概念を覆す画期的な発見である。
【0027】
上記の説明で、長方形形状の単位断片が、各長方形形状の単位断片の一側部で、主として傾斜角度で、または傾斜角度に対して主として直角の方向で互いに接触する場合、用語「主として」は、接触区域の長さと接触側部の全長との比が、隣接する長方形形状の単位断片同士の間に対して、比較的大きい方向を意味する。このことに関して、隣接する長方形形状の単位断片は、図1に示す長方形形状の単位断片の配列構造で、各長方形形状の単位断片の短手で互いに完全に接触し、各長方形形状の単位断片の長手で互いに部分的に接触している。従って、長方形形状の単位断片が各長方形形状の単位断片の一側部で主として傾斜方向で互いに接触するように、長方形形状の単位断片が配置されることが分かる。反対に、図2に示す長方形形状の単位断片の配列構造は、長方形形状の単位断片が各長方形形状の単位断片の一側部で傾斜方向に対して主として直角の方向で互いに接触するように、長方形形状の単位断片が配置されることが分かる。
【0028】
本発明により、各長方形形状の単位断片の一側部で長方形形状の単位断片同士が互いに接触するように配置された2個の長方形形状の単位断片は、上に規定ように、長方形形状の単位断片同士が、各長方形形状の単位断片の一側部で長方形形状の単位断片同士が、傾斜方向で、または傾斜方向に対して主として直角の方向で、互いに接触するように配置される必要がある。従って、最も右側の末端の頂点座標と、最も右側の末端の仮想頂点座標との間の差を、ある範囲内に調節し、そのような接触を維持する必要がある。
【0029】
この必要条件を考える時、第一発明では、左側長方形形状の単位断片の対角軸の延長線上にある座標(Ex、Ey)では接触が維持されない。従って、最も右側の末端の頂点座標(B'x、B'y)は座標(Ex、Ey)ではないのが好ましく、これは、以下に図4に関して詳細に説明する。
【0030】
また、第二発明では、最も上側の末端の頂点座標が長方形形状の単位断片の対角軸の延長線上に位置する場合、最も右側の末端の頂点座標(D'x、D'y)は、最も右側の末端の頂点座標(Fx、Fy)ではないのが好ましく、これは、以下に図8に関して詳細に説明する。
【0031】
全ての長方形形状の単位断片は、ベース材料の縦方向に対して予め決められた角度で傾斜した状態で配置される。この配置は、ベース材料の縦方向または横方向における固有の物理的特性を、長方形形状の単位断片に対して予め決められた角度で発揮させる必要がある場合に必要である。例えば、長方形形状の単位断片は、20〜70度、好ましくは45度の角度に傾斜させることができる。
【0032】
好ましい実施態様では、ベース材料は、縦方向または横方向における光または電磁波の特定方向の波動(wave motion)だけを吸収するか、または透過させる層(吸収層または透過層)を包含するフィルムであり、ベース材料から切断される長方形形状の単位断片は、比較的小さなサイズのフィルムであり、その吸収層または透過層は45度の角度で傾斜している。
【0033】
長方形形状の単位断片が本発明により予め決められた座標関係を有するように、長方形形状の単位断片が配置される場合、カッターは、2個の長方形形状の単位断片の中心点を相互接続する軸(「実際の中心接続軸」)が、各長方形形状の単位断片の一側部で長方形形状の単位断片同士が互いに接触するように傾斜方向で配置された2個の長方形形状の単位断片の一方が、各長方形形状の単位断片の左側または右側で他の長方形形状の単位断片と一致する場合の、2個の長方形形状の単位断片の中心点を相互接続する軸(仮想中心接続軸)から、0<δ<90の角度偏位(δ)を有するように、配置することができる。
【0034】
2個の長方形形状の単位断片が同じサイズを有する場合、仮想中心接続軸は、傾斜軸に対して平行または直角でよい。すなわち、2個の長方形形状の単位断片が、各長方形形状の単位断片の一側部で傾斜方向で互いに接触する場合、仮想中心接続軸は傾斜軸に対して平行である。他方、2個の長方形形状の単位断片が、各長方形形状の単位断片の一側部で、傾斜方向に対して主として直角の方向で互いに接触する場合、仮想中心接続軸は傾斜軸に対して直角である。
【0035】
長方形形状の単位断片が切断傾斜角度Aを有する場合、中心接続軸の、傾斜軸からの角度偏位(δ)は、0<δ<Aの条件を満たすのが好ましい。
【0036】
角度偏位は、ベース材料の幅または長方形形状の単位断片のサイズに応じて変化することができる。好ましくは、最大数の長方形形状の単位断片を配置することにより、または長方形形状の単位断片を、ベース材料の幅に対して予め決められた角度で配置した状態で、配列の幅を最小にすることにより、切断効率を最大にすることができる。
【0037】
好ましい実施態様では、切断傾斜角度が45度であり、角度偏位(δ)の範囲が0<δ<20である。
【0038】
この長方形形状の単位断片の配列構造では、ある長方形形状の単位断片が、その各側部で、別の長方形形状の単位断片とのみ接触するように、長方形形状の単位断片が互いに幾分ずれている。この長方形形状の単位断片の配列構造を複数の長方形形状の単位断片の配列構造に適用すると、従来技術で予想できる長方形形状の単位断片の独特な配列構造が示される。
【0039】
本発明では、ベース材料は、1回の、または数回の切断工程を行うことができる個別の単一材料または予め決められた幅及び比較的非常に長い長さを有する連続的な材料でよい。後者の場合、は、長いベース材料シートでよい。この場合、ベース材料シートをローラーから繰り出すことができ、繰り出したベース材料シートをカッターフレームにより連続的に切断する。長方形形状の単位断片の製造効率及び経済的効率を考慮すると、ベース材料は連続的な材料であるのが好ましい。
【0040】
本発明では、長方形形状の単位断片の配列構造が、カッターフレームのカッターまたはカッターの配列構造と実質的に一致する。従って、長方形形状の単位断片の配列構造は、追加の説明が無い限り、カッターまたはカッターの配列構造を意味するものと解釈される。
【0041】
カッターの種類には、カッターがベース材料から長方形形状の単位断片を切断する構造または特性を有する限り、特に制限は無い。典型的には、カッターのそれぞれは、切断用のナイフ、例えば金属ナイフまたはジェットウオーターナイフ、もしくは切断用の光源、例えばレーザー、でよい。
【0042】
一方、図1及び2に関して前に説明したように、従来技術では、隣接する2個の長方形形状の単位断片が、各長方形形状の単位断片の一側部で長方形形状の単位断片同士が完全に一致するように配置されるので、切断幅Dとベース材料の有効幅Wが正比例しない限り、切断幅Dは有効幅Wよりかなり小さい。従って、有効幅Wの、切断幅Dを除いた下側末端区域は、スクラップとして廃棄され、従って、製造コストが増加し、生産性が低下する。
【0043】
反対に、本発明により、最も右側の末端の頂点座標が特定の範囲にシフトする構造に構築されたカッターフレームは、従来技術と比較して、ベース材料の切断面積比を大きく増加させる長方形形状の単位断片の配列構造を有するが、これは以下に詳細に説明する。
【0044】
第一に、前に説明したように、一定の比率が形成されず、従って、ベース材料の有効幅が無駄になると仮定する。この場合、長方形形状の単位断片を、長方形形状の単位断片の数が最大(N)である条件で配置する場合、同じサイズを有する長方形形状の単位断片同士が、各長方形形状の単位断片の一側部で長方形形状の単位断片同士が互いに完全に一致するように、主として傾斜方向で配置される配列構造では、ベース材料の有効幅Wは、切断幅D、すなわち各最も上側の配列にある長方形形状の単位断片の上側末端と、各最も下側の配列にある長方形形状の単位断片の下側末端との間で定められる(define:限定される、画定される)幅、より大きい。この時、第一発明による長方形形状の単位断片の配列構造では、最も上側の配列にある長方形形状の単位断片の上側末端と最も下側の配列にある長方形形状の単位断片の下側末端との間で定められる(define:限定される、画定される)切断幅dは、下記の等式(1)を満足するように形成することができる。
D<d≦W (1)
【0045】
従って、第一発明による切断幅は、各長方形形状の単位断片の一側部で長方形形状の単位断片が互いに完全に一致する従来の長方形形状の単位断片の配列構造における切断幅より大きい。従って、第一発明による長方形形状の単位断片の配列構造では、ベース材料の横方向で長方形形状の単位断片をさらに配置するか、またはベース材料の有効幅Wの利用率をさらに改良することができる。
【0046】
上記の長方形形状の単位断片の配列構造に関して、傾斜方向に配置された長方形形状の単位断片の数nは、下記の等式(2)を満足するのが好ましい。
n≧N+1 (2)
【0047】
特に、最も右側の末端にある頂点座標(B'x、B'y)は、第一発明の定義により、各長方形形状の単位断片の一側部で傾斜方向で互いに接触する2個の長方形形状の単位断片における仮想頂点座標(Bx、By)より大きく、2個の長方形形状の単位断片の組合せの最上末端と最下末端との間の高さは、y座標の差By-B'yだけ減少する。従って、この2個の長方形形状の単位断片の配列構造は、複数の長方形形状の単位断片に繰り返し適用され、高さの差By-B'yは、比例して、累積的に増加し、その結果、一個以上の長方形形状の単位断片を、実際の中心接続軸方向でさらに含むことができる。より好ましくは、長方形形状の単位断片の配列構造は、下記の条件、すなわちn=N+1を満足する。
【0048】
他方、第二発明の定義により、各長方形形状の単位断片の一側部で、傾斜方向に対して主として直角の方向で互いに接触する2個の長方形形状の単位断片において、D'xがDxより小さく、D'yがDyより大きい場合、2個の長方形形状の単位断片の組合せの最上末端と最下末端との間の高さの差は減少し、ベース材料の縦方向に対応するx座標は減少する。従って、ベース材料の縦方向における2個の長方形形状の単位断片の組合せの配列幅は、x座標の差Dx-D'xだけ減少し、それによって、反復切断工程における切断効率が改良される。この長方形形状の単位断片の配列構造により、ベース材料の横方向に配置された長方形形状の単位断片の数は同じであるが、ベース材料の有効幅の利用率が改良され、ベース材料の縦方向における切断幅が減少し、それによって、切断効率が改良される。
【0049】
しかし、第一発明及び第二発明は、ベース材料の切断幅を最大限にするという点で、同じ効果を有する。
【0050】
本発明では、ベース材料の有効幅とは、ベース材料の、切断された長方形形状の単位断片に含まれる区域、またはベース材料の、ベース材料の特性または切断工程の際に引き起こされるファクターのために、切断が困難である区域(例えばベース材料の上側末端または下側末端区域)を除いて、切断が実質的に可能である区域を意味する。状況に応じて、ベース材料の有効幅は、ベース材料の実際の幅と等しい場合がある。
【0051】
ベース材料の有効幅を最大限に活用する好ましい実施態様では、ベース材料の幅dが、ベース材料の幅Wの95%以上である。より好ましくは、ベース材料の幅dは、ベース材料の幅Wの100%である。この場合、最も上側の配列にある長方形形状の単位断片は、ベース材料の有効幅の上側末端と接触し、最も下側の配列にある長方形形状の単位断片は、ベース材料の有効幅の下側末端と接触する。
【0052】
本発明の別の態様により、1種類以上の長方形形状の単位断片をベース材料から予め決められた傾斜で切断した後に得られるスクラップを提供する。
【0053】
具体的には、本発明は、1種類以上の長方形形状の単位断片をベース材料から、予め決められた傾斜で切断した後に得られるスクラップであって、該スクラップは、該長方形形状の単位断片に対応する、切断余地により連続的に互いに接続され複数の孔を包含し、該長方形形状の単位断片孔の2個が、各長方形形状の単位断片孔の一側部で該長方形形状の単位断片孔が互いに接触するように、主として傾斜方向で配置されており、最も左側の末端の仮想頂点座標が(Ax、Ay)であり、最も右側の末端の仮想頂点座標が(Bx、By)であると仮定して、該長方形形状の単位断片孔が各長方形形状の単位断片孔の左側または右側で互いに一致する場合、長方形形状の単位断片孔の仮想配列よりも高い切断面積比を有する長方形形状の単位断片孔の配列における最も左側の末端の仮想頂点座標(Ax、Ay)を基準にして、最も右側の末端の頂点座標(B'x、B'y)が、最も右側の末端の仮想頂点座標(Bx、By)より大きい、スクラップを提供する。
【0054】
本発明の別の態様により、1種類以上の長方形形状の単位断片をベース材料から予め決められた傾斜で切断した後に得られるスクラップであって、該スクラップは、該長方形形状の単位断片に対応する、切断余地により連続的に互いに接続され複数の孔を包含し、該長方形形状の単位断片孔の2個が、各長方形形状の単位断片孔の一側部で該長方形形状の単位断片が互いに接触するように、傾斜方向に対して主として直角の方向で配置されており、最も左側の末端の仮想頂点座標が(Cx、Cy)であり、最も右側の末端の仮想頂点座標が(Dx、Dy)であると仮定して、該長方形形状の単位断片孔が各長方形形状の単位断片孔の左側または右側で互いに一致する場合、最も右側の末端の頂点座標(D'x、D'y)が、該長方形形状の単位断片孔の仮想配列よりも高い切断面積比を有する長方形形状の単位断片孔の配列でDxより小さいD'x 及びDyより大きいD'yを有する、スクラップを提供する。
【0055】
スクラップの長方形形状の単位断片孔の形状は、カッターフレームのカッターまたはカッターの配列形状を反映する。従って、スクラップに対応するカッターフレーム中では、カッターが長方形形状の単位断片同士の間で、切断余地により互いに分離され、隣接する2個の長方形形状の単位断片が、傾斜方向で、または傾斜方向に対して直角の方向で、互いにずれるように、カッターが配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0056】
本発明の上記の、及び他の目的、特徴及び利点は、添付の図面を参照しながら記載する下記の詳細な説明により、より深く理解される。
【図1】図1は、長方形形状の単位断片がベース材料上に配置され、長方形形状の単位断片に対応するカッターを構築する、従来のカッターフレームを例示する典型的な図である。
【図2】図2は、長方形形状の単位断片がベース材料上に配置され、長方形形状の単位断片に対応するカッターを構築する、従来のカッターフレームを例示する典型的な図である。
【図3】図3は、1種類の2個の長方形形状の単位断片が傾斜方向で互いに接触している座標系を例示する図であり、その際、図3は、長方形形状の単位断片の従来の配列構造を例示する。
【図4】図4は、1種類の2個の長方形形状の単位断片が傾斜方向で互いに接触している座標系を例示する図であり、その際、図4は、本発明の第一発明の好ましい実施態様による長方形形状の単位断片の配列構造を例示する。
【図5】図5は、2種類の2個の長方形形状の単位断片が傾斜方向で互いに接触している座標系を例示する図であり、その際、図5は、長方形形状の単位断片の従来の配列構造を例示する。
【図6】図6は、2種類の2個の長方形形状の単位断片が傾斜方向で互いに接触している座標系を例示する図であり、その際、図6は、本発明の第一発明の別の好ましい実施態様による長方形形状の単位断片の配列構造を例示する。
【図7】図7は、1種類の2個の長方形形状の単位断片が傾斜方向に対して直角の方向で互いに接触している座標系を例示する図であり、その際、図7は、長方形形状の単位断片の従来の配列構造を例示する。
【図8】図8は、1種類の2個の長方形形状の単位断片が傾斜方向に対して直角の方向で互いに接触している座標系を例示する図であり、その際、図8は、本発明の第二発明の好ましい実施態様による長方形形状の単位断片の配列構造を例示する。
【図9】図9は、従来技術により、それぞれの長方形形状の単位断片が各長方形形状の単位断片の一側部で互いに完全に一致するように、長方形形状の単位断片が傾斜方向で配置されている配列構造、及び本発明の第一発明により、長方形形状の単位断片が傾斜方向で配置されている配列構造を例示する典型的な図である。
【図10】図10は、従来技術により、それぞれの長方形形状の単位断片が各長方形形状の単位断片の一側部で互いに完全に一致するように、長方形形状の単位断片が傾斜方向に対して直角の方向で配置されている配列構造、及び本発明の第二発明により、長方形形状の単位断片が傾斜方向に対して直角の方向で配置されている配列構造を例示する典型的な図である。
【好ましい実施態様の詳細な説明】
【0057】
ここで、添付の図面を参照しながら、本発明の好ましい実施態様を詳細に説明する。しかし、本発明の範囲は、例示する実施態様に限定されるものではない。
【0058】
図3及び4は、1種類の2個の、カッターフレームのカッターに対応する長方形形状の単位断片が傾斜方向で互いに接触し、カッターフレーム中のカッターを構築する座標系を例示する図である。特に、図3は、従来技術により、各長方形形状の単位断片の一側部で長方形形状の単位断片が互いに完全に一致するように、2個の長方形形状の単位断片が配置される長方形形状の単位断片の配列構造を例示し、図4は、本発明の第一発明の好ましい実施態様により、長方形形状の単位断片の組合せの、最も右側の末端の頂点の座標がシフトしている、長方形形状の単位断片の配列構造を例示する。参考のために、座標系のx-座標は、ベース材料の縦方向を示し、座標系のy-座標は、ベース材料の縦方向を示し、これは、下記の図に等しく適用される。
【0059】
図3に関して、同じサイズを有する2個の長方形形状の単位断片101及び102は、約45度の傾斜で、長方形形状の単位断片が、各長方形形状の単位断片の左側部で互いに一致するように配置されている。従って、2個の長方形形状の単位断片101及び102は、長方形形状の単位断片が、各長方形形状の単位断片の一側部で互いに完全に一致するように、主として傾斜方向で互いに接触している。長方形形状の単位断片の組合せの最も左側の末端の頂点に対応する、第一長方形形状の単位断片101の左上側末端の頂点の座標は、(Ax、Ay)であり、長方形形状の単位断片の組合せの最も右側の末端の頂点に対応する、第二長方形形状の単位断片102の右下側末端の頂点の座標は、(Bx、By)である。この時、2個の長方形形状の単位断片101及び102の組合せは、第一長方形形状の単位断片101の右上側末端の頂点の座標に対応する高さHを有する。
【0060】
他方、図4に関して、2個の長方形形状の単位断片201及び202の組合せの左上側末端の頂点の座標(Ax、Ay)は、図3の座標と同じであるが、座標(B'x、B'y)、すなわち2個の長方形形状の単位断片201及び202の組合せの最も右側の末端の頂点のx-座標及びy-座標、は、図3の座標よりも大きい。すなわち、第二長方形形状の単位断片202は、図3の第二長方形形状の単位断片102と比較して、右上側末端方向にシフトしており、その結果、長方形形状の単位断片は、互いに部分的に接触して配置され、一方の長方形形状の単位断片の一側部が、他方の長方形形状の単位断片の対応する側部と完全には一致せず、傾斜方向で幾分ずれている。この時、2個の長方形形状の単位断片201及び202の組合せは、図3に示す2個の長方形形状の単位断片101及び102の組合せの高さHより低い高さH'を有する。その結果、ベース材料は、高さの差H-H'に相当する残部幅を有し、複数の長方形形状の単位断片が繰り返し配置される場合、このベース材料の残部幅は比例して、累積的に増加する。従って、座標を決め、ベース材料の有効幅を考慮して1個の長方形形状の単位断片の高さに相当する残部幅をさらに形成する場合、ベース材料の有効幅を十分に活用し、それによって、切断損失を最小に抑えることができる。
【0061】
しかし、図4で、2個の長方形形状の単位断片201及び202の組合せの最も右側の末端の頂点の座標(B'x、B'y)が、第一長方形形状の単位断片201の対角軸の延長線上にある座標(Ex、Ey)と同じである場合、第一長方形形状の単位断片201は第二長方形形状の単位断片202と接触しない。この理由から、座標(B'x、B'y)は、少なくとも座標(Ex、Ey)を含まない範囲を有するのが好ましい。すなわち、x-座標は、Bx<B'x<Exの範囲を有し、y-座標は、By<B'y<Eyの範囲を有する。
【0062】
一方、図3で、2個の長方形形状の単位断片101及び102の中心点を相互接続する軸である仮想中心接続軸300は、傾斜軸と平行である。他方、本発明による図4では、2個の長方形形状の単位断片201及び202の中心点を相互接続する軸である実際の中心接続軸400は、仮想中心接続軸300から予め決められた角度偏位δを有する。ベース材料の横方向におけるベース材料の活用を考慮して、この角度偏位δは、下記の範囲、すなわち0<δ<20を有するのが好ましい。
【0063】
図5及び6は、カッターフレームのカッターに対応する2種類の2個の長方形形状の単位断片が傾斜方向で互いに接触し、カッターフレーム中のカッターを構築する座標系を例示する図である。特に、図5は、従来技術により、長方形形状の単位断片が、各長方形形状の単位断片の左側部で互いに完全に一致するように、2個の長方形形状の単位断片が配置されている、長方形形状の単位断片の配列構造を例示し、図6は、本発明の第一発明の別の好ましい実施態様により、長方形形状の単位断片の組合せの最も右側の末端の頂点の座標がシフトしている、長方形形状の単位断片の配列構造を例示する。図5は、図1に示す長方形形状の単位断片の配列構造における幾つかの長方形形状の単位断片の配列を例示する。
【0064】
先ず、図5に関して、比較的小さなサイズを有する第一長方形形状の単位断片103、及び比較的大きなサイズを有する第二長方形形状の単位断片104が、各長方形形状の単位断片の左側部で長方形形状の単位断片同士が互いに一致するように、約45度の傾斜(赤色の矢印で示す)で配置されている。長方形形状の単位断片の組合せの最も左側の末端の頂点に対応する、第一長方形形状の単位断片103の左上側末端の頂点の座標は(Ax、Ay)であり、長方形形状の単位断片の組合せの最も右側の末端の頂点に対応する、第二長方形形状の単位断片104の右下側末端の頂点の座標は(Bx、By)である。
【0065】
他方、図6に関して、2個の長方形形状の単位断片203及び204の組合せの左上側末端の頂点の座標(Ax、Ay)は、図5の座標と同じであるが、2個の長方形形状の単位断片203及び204の組合せの最も右側の末端の頂点の座標(B'x、B'y)、すなわちx-座標及びy-座標、は、図5の座標より大きい。すなわち、第二長方形形状の単位断片204は、図5の第二長方形形状の単位断片104と比較して、右上側末端方向にシフトしており、その結果、長方形形状の単位断片203及び204は、一方の長方形形状の単位断片の一側部が他方の長方形形状の単位断片の対応する側部から幾分ずれている。また、図5の仮想中心接続軸301と図6の実際の中心接続軸401との間に予め決められた角度偏位が定められる(define:限定される、画定される)。
【0066】
ここで、2個の長方形形状の単位断片203及び204の組合せは、図5に示す2個の長方形形状の単位断片101及び102の組合せの高さHより小さい高さH'を有する。その結果、ベース材料は、高さの差H- H'に相当する残部幅を有する。上記のように、2種類の長方形形状の単位断片を使用する場合にも、1種類の長方形形状の単位断片を使用する図3及び4と同じ様式で、長方形形状の単位断片の組合せの最も右側の末端の頂点をシフトさせることにより、高さの差H-H'を小さくし、それによって、ベース材料の有効幅を十分に活用することができる。需要の変動に応じて、2種類以上の長方形形状の単位断片を同時に切断し、様々な種類の長方形形状の単位断片を能動的に製造するのが好ましい。
【0067】
図7及び8は、カッターフレームのカッターに対応する1種類の2個の長方形形状の単位断片が傾斜方向に対して直角の方向(赤色矢印で示す)で互いに接触し、カッターフレーム中にカッターを構築する座標系を例示する図である。特に、図7は、従来技術により、長方形形状の単位断片が、各長方形形状の単位断片の一側部で互いに完全に一致するように、2個の長方形形状の単位断片が配置されている長方形形状の単位断片の配列構造を例示し、図8は、本発明の別の好ましい実施態様により、長方形形状の単位断片の組合せの最も右側の末端の頂点の座標がシフトしている、長方形形状の単位断片の配列構造を例示する。図7は、図2に示す長方形形状の単位断片の配列構造における幾つかの長方形形状の単位断片の配列を例示する。
【0068】
従来技術による図7に関して、2個の長方形形状の単位断片111及び112が、各長方形形状の単位断片の長部で長方形形状の単位断片が互いに完全に一致するように、傾斜方向に対して直角の方向で互いに接触している。この時、長方形形状の単位断片の組合せの最も左側の末端の頂点に対応する、第一長方形形状の単位断片111の左上側末端の頂点の座標は(Cx、Cy)であり、長方形形状の単位断片の組合せの最も右側の末端の頂点に対応する、第二長方形形状の単位断片112の右下側末端の頂点の座標は(Dx、Dy)である。また、第一及び第二長方形形状の単位断片111及び112の中心点を相互接続する軸である仮想中心接続軸302は、傾斜軸に対して直角である。さらに、2個の長方形形状の単位断片111及び112の組合せは、ベース材料の縦方向で高さH及び幅Lを有する。
【0069】
他方、図8に関して、2個の長方形形状の単位断片211及び212の組合せの左上側末端の頂点の座標(Cx、Cy)は、図7の座標と同じであるが、2個の長方形形状の単位断片211及び212の組合せの最も右側の末端の頂点の座標(D'x、D'y)は、図7の最も右側の末端の頂点の座標(Dx、Dy)とは異なっている。特に、図7と比較して、x-座標が低下しているのに対して、y-座標が増加している。すなわち、第二長方形形状の単位断片212は、図7の第二長方形形状の単位断片112と比較して、左上側末端方向にシフトしており、その結果、一方の長方形形状の単位断片の長側部が、傾斜方向に対して直角の方向で、他方の長方形形状の単位断片の対応する長側部と完全には一致せず、幾分そこからずれるように長方形形状の単位断片が互いに部分的に接触して配置されている。また、2個の長方形形状の単位断片211及び212の中心点を相互接続する実際の中心接続軸402と、図7の仮想中心接続軸302との間に予め決められた角度偏位δが定められる(define:限定される、画定される)。
【0070】
従って、2個の長方形形状の単位断片211及び212の組合せは、図7に示す長方形形状の単位断片111及び112の組合せの高さHより大きい高さH'を有する。他方、2個の長方形形状の単位断片211及び212の組合せは、図7に示す長方形形状の単位断片111及び112の組合せの幅Lより小さい幅L'を有する。
【0071】
従って、図2ならびに8に関して、増加した高さHにより、ベース材料の有効幅を最大限に活用することができ、さらに、ベース材料の縦方向で減少した幅L'により、図7に示す長方形形状の単位断片の配列構造と比較して、より高い切断効率を達成することができる。
【0072】
しかし、図8では、2個の長方形形状の単位断片211及び212の組合せの最も右側の末端の頂点の座標(D'x、D'y)が、第二長方形形状の単位断片212の右下側末端の頂点の座標(Fx、Fy)と同じであり、第二長方形形状の単位断片212の右上側末端の頂点の座標が、第一長方形形状の単位断片211の対角軸の延長線上に座標値を有する場合、第一長方形形状の単位断片211は、第二長方形形状の単位断片212と接触しない。この理由から、座標(D'x、D'y)は、少なくとも座標(Fx、Fy)を含まない範囲を有するのが好ましい。すなわち、x-座標の範囲はDx<D'x<Fxであり、y-座標の範囲はDy<D'y<Fyである。
【0073】
図9は、従来技術により、それぞれの長方形形状の単位断片が各長方形形状の単位断片の一側部で互いに完全に一致するように、長方形形状の単位断片が傾斜方向で配置されている配列構造、及び本発明の第一発明により、長方形形状の単位断片が傾斜方向で配置されている配列構造を例示する典型的な図である。説明の都合上、ベース材料の番号は省略している。また、図には示していないが、カッターフレームのカッターにより、それぞれの長方形形状の単位断片を独立した長方形形状の単位断片として切断できるように、切断余地をそれぞれの長方形形状の単位断片同士の間に設けることができる。
【0074】
図9に関して、従来技術により長方形形状の単位断片を傾斜方向で配置する場合(500)、最も上側の配列の長方形形状の単位断片501の上側末端と、最も下側の配列の長方形形状の単位断片503の下側末端との間の幅である切断幅Dは、ベース材料の有効幅Wより著しく小さく、傾斜方向で配置された長方形形状の単位断片の最大数は3である。
【0075】
これに対して、本発明により長方形形状の単位断片同士が互いに幾分ずれるように長方形形状の単位断片を配置する場合、最も上側の配列の長方形形状の単位断片601の上側末端と、最も下側の配列の長方形形状の単位断片604の下側末端との間の幅である切断幅dは、ベース材料の有効幅Wとほとんど等しく、傾斜方向で配置された長方形形状の単位断片の最大数は4である。従って、長方形形状の単位断片の組合せの最も右側の末端の座標をシフトさせ、長方形形状の単位断片を本発明に従って配置した場合、最大長さで配置される長方形形状の単位断片の数を増加させ、ベース材料の有効幅Wを最大限に活用し、それによって、切断効率を改良することができる。
【0076】
図10は、従来技術により、それぞれの長方形形状の単位断片が各長方形形状の単位断片の一側部で互いに完全に一致するように、長方形形状の単位断片が傾斜方向に対して主として直角の方向で配置されている配列構造、及び本発明の第二発明により、長方形形状の単位断片が傾斜方向に対して主として直角の方向で配置されている配列構造を例示する典型的な図である。
【0077】
図10に関して、従来技術により長方形形状の単位断片を配置する場合(510)、最も上側の配列の長方形形状の単位断片511の上側末端と、最も下側の配列の長方形形状の単位断片514の下側末端との間の幅である切断幅D'は、ベース材料の有効幅W'より著しく小さく、傾斜方向における最大限長さで長方形形状の単位断片が互いに接触するように配置された長方形形状の単位断片の数は4である。これに対して、本発明により長方形形状の単位断片同士が互いに幾分ずれるように、長方形形状の単位断片の組合せの最も右側の末端の頂点の座標のx-座標を下げ、長方形形状の単位断片の組合せの最も右側の末端の頂点の座標のy-座標を増加する場合、最も上側の配列の長方形形状の単位断片611の上側末端と、最も下側の配列の長方形形状の単位断片614の下側末端との間の幅である切断幅d'は、ベース材料の有効幅W'とほとんど等しく、傾斜方向における最大限長さで長方形形状の単位断片が互いに接触するように配置された長方形形状の単位断片の数は4であり、従来技術と同じである。従って、本発明により、ベース材料の縦方向における長方形形状の単位断片の組合せの幅lを、従来の長方形形状の単位断片の組合せの幅Lと比較して、著しく減少させ、それによって、反復切断方法における切断効率を改良することができる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
上記の説明から明らかなように、本発明のカッターフレームは、独特で規則的な長方形形状の単位断片の配列構造により、材料の特性に応じて特別な方向が必要とされる長方形形状の単位断片をベース材料から、長方形形状の単位断片をベース材料に対して傾斜させた状態で、切断する場合に、高い切断効率を示す。特に、長方形形状の単位断片を大量生産する場合、高い切断効率に基づいて長方形形状の単位断片の総製造コストを大幅に下げることができる。
【0079】
本発明の好ましい実施態様を例示のために開示したが、当業者には明らかなように、請求項に記載する本発明の範囲及び精神から離れることなく、様々な修正、追加、及び置き換えが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のカッターを包含してなるカッターフレームであって、
前記複数のカッターが、予め決められた傾斜で、長方形形状のベース材料から小さなサイズを有する1種類以上の長方形形状の単位断片を切断するためのものであり、
前記複数のカッターが、前記カッターフレーム中に取り付けられ、又は形成され、前記複数のカッターが、前記長方形形状の単位断片に対応するものであり、
前記長方形形状の単位断片の2個が、前記傾斜方向に対して直角の方向で配置され、前記長方形形状の単位断片が、各長方形形状の単位断片の一側部で互いに接触してなるものであり、
最も左側の末端の仮想頂点座標を(Cx、Cy)とし、最も右側の末端の仮想頂点座標を(Dx、Dy)として際に、前記長方形形状の単位断片が各長方形形状の単位断片の左側又は右側で互いに一致する場合、
最も右側の末端の頂点座標(D'x、D'y)が、仮想配列よりも高い切断面積比を有する配列において、Dxより小さいD'x、Dyより大きいD'yを有してなる、カッターフレーム。
【請求項2】
2個の前記長方形形状の単位断片の一方が前記傾斜方向で配置され、前記長方形形状の単位断片が各長方形形状の単位断片の一側部で互いに接触してなり、2個の前記長方形形状の単位断片の一方が、各長方形形状の単位断片の左側又は右側で他の長方形形状の単位断片と一致する場合に、
前記2個の長方形形状の単位断片の中心点を相互接続する軸(「実際の中心接続軸」)が、前記2個の長方形形状の単位断片の中心点を相互接続する軸(「仮想中心接続軸」)から0<δ<90の角度偏位(δ)を有するように、前記複数のカッターが配置されてなる、請求項1に記載のカッターフレーム。
【請求項3】
前記2個の長方形形状の単位断片が同じサイズを有する場合、前記仮想中心接続軸が前記傾斜軸に対して平行又は直角である、請求項1に記載のカッターフレーム。
【請求項4】
前記長方形形状の単位断片が切断傾斜角度Aを有する場合、前記角度偏位(δ)が0<δ<Aの条件を満足する、請求項1に記載のカッターフレーム。
【請求項5】
前記切断傾斜角度が45度である、請求項1に記載のカッターフレーム。
【請求項6】
前記角度偏位(δ)の範囲が0<δ<20である、請求項1に記載のカッターフレーム。
【請求項7】
前記ベース材料が、予め決められた幅及び長い長さを有する連続的な材料である、請求項1に記載のカッターフレーム。
【請求項8】
前記複数のカッターのそれぞれが、切断用のナイフ又は切断用の光源である、請求項1に記載のカッターフレーム。
【請求項9】
前記切断用のナイフが金属ナイフ又はジェットウオーターナイフであり、かつ、前記切断用の光源がレーザーである、請求項8に記載のカッターフレーム。
【請求項10】
同じサイズを有する前記長方形形状の単位断片同士が前記傾斜方向で配置され、前記長方形形状の単位断片の数が最大(N)になり、
前記長方形形状の単位断片が各長方形形状の単位断片の長手又は短手で互いに一致する条件で、前記ベース材料が、各最も上側の列にある長方形形状の単位断片の上側末端と、各最も下側の列にある長方形形状の単位断片の下側末端との間で定められる切断幅(D)より大きい有効幅(W)を有してなり、
前記カッターが、下記の条件、
(a) 前記最も上側の列にある長方形形状の単位断片の前記上側末端と前記最も下側の配列にある長方形形状の単位断片の前記下側末端との間で定められる切断幅(d)が、下記の等式(1) を満足し、
D<d≦W (1)
(b) 前記長方形形状の単位断片が、前記傾斜方向で、各長方形形状の単位断片の一側部で互いに接触する場合、前記傾斜方向で配置された前記長方形形状の単位断片の最大数(n)が、下記の等式(2) を満足し、
n≧N+1 (2)
最大切断面積比を得られる構造において配置されてなる、請求項1に記載のカッターフレーム。
【請求項11】
下記の条件:n=N+1が満足される、請求項10に記載のカッターフレーム。
【請求項12】
最も上側の列にある長方形形状の単位断片が、前記ベース材料の有効幅の上側末端と接触し、かつ、
最も下側の列にある長方形形状の単位断片が、前記ベース材料の前記有効幅の下側末端と接触してなる、請求項1に記載のカッターフレーム。
【請求項13】
予め決められた傾斜で、ベース材料から1種類以上の長方形形状の単位断片を切断して得られるスクラップであって、
前記スクラップが、前記長方形形状の単位断片に対応し、切断余地により連続的に互いに接続されてなる複数の孔を包含してなり、
前記長方形形状の単位断片孔の2個が、各長方形形状の単位断片孔の一側部で前記長方形形状の単位断片が互いに接触するように、配置されており、
2個の前記長方形形状の単位断片の孔が傾斜方向に対して直角の方向で配置され、長方形形状の単位断片の孔が各長方形形状の単位断片の孔の一側部で互いに接触してなり、
最も左側の末端の仮想頂点座標を(Cx、Cy)とし、最も右側の末端の仮想頂点座標を(Dx、Dy)とした際に、前記長方形形状の単位断片孔が各長方形形状の単位断片孔の左側又は右側で互いに一致する場合、
最も右側の末端の頂点座標(D'x、D'y)が、前記長方形形状の単位断片孔の仮想配列よりも高い切断面積比を有する長方形形状の単位断片孔の配列で、Dxより小さいD'x、Dyより大きいD'yを有する、スクラップ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−236275(P2012−236275A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−179827(P2012−179827)
【出願日】平成24年8月14日(2012.8.14)
【分割の表示】特願2010−523940(P2010−523940)の分割
【原出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】