説明

切花用包装具

【課題】 生花店等において切花用包装具を構成する各部材を保管するのに広いスペースを必要としない切花用包装具を提供する。
【解決手段】 切花用包装具1は吸水性を有するダンボール紙10が渦巻状に巻かれて形成されている円筒状の切花支持体3と、袋状で切花支持体1を内包し防水性を有する袋体4と、平面紙18の対向する一組の辺をつき合わされて周回され円筒状に形成され、袋体4が内側に挿入される枠体5と、開口部31を狭口する結束具27を備え枠体5が内側に挿入される包装体6と、平面紙32を折り曲げて形成されるとともに包装体6が嵌挿支持される嵌合溝33を有する台座7とから構成されている。枠体5の上部に形成されている爪片25,25,・・・において包装体6の開口部31を結束具27で締めることにより、枠体5の開口部24が錐状に窄まされ、当該開口部24により切花2が支持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切花用包装具に関するものであって、詳しくは、生花店等において、切花の包装に使用されるとともに、そのまま花器としても使用できる切花用包装具に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の切花用包装具として、切花の形を崩さないために切花結束用補助具を備えたものが従来より知られている(例えば特許文献1を参照)。容器本体はプラスチック材料で形成され、円筒状のコップ形状をなしている。容器本体の上端開口縁には、フランジ部が形成されている。また、容器本体の上端開口部に着脱自在に嵌合する蓋部材は短筒形状に形成され、上端開口部にフランジ部を有する。容器本体の上端開口縁フランジ部には蓋部材の上端開口縁フランジ部が係止されている。蓋部材に装着する切花結束用補助具は、弾力性の有るポリエステル、ポリウレタンなどの樹脂素材から形成されている。切花結束用補助具には外周面にV字状の溝が連続して素材の厚さ方向に形成され、溝の底から一つおきに中心に向って長さが異なる多数の独立した切込みが、適宜の角度で厚さ方向の全体に形成されている。切込みが形成された溝に切花の茎が挿入され、切込みに沿って中央側に移動させるか、あるいは直接切込みに茎を差込むことによって複数の切花の茎を重ならないようにし、花束の形が崩れないように弾性保持されている。
【0003】
【特許文献1】実登3089523号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、このような従来の切花用包装具を構成する各部材は、立体的で嵩張り、生花店のようなお店ではこれら各部材を保管する広いスペースが必要であった。
【0005】
従って、本発明の課題は、生花店等において切花用包装具を構成する各部材を保管するのに広いスペースを必要としない切花用包装具を提供することにある。
【0006】
本発明は、上記目的を達成する為に、請求項1に記載の切花用包装具によれば、平面ライナー紙の片面に波状紙が貼り合わされ吸水性を有する略方形のダンボール紙を波状紙の稜線と平行な軸線中心に渦巻状に巻かれて形成される円筒状の切花支持体と、上端が開口する袋状で前記切花支持体を内包し防水性を有する袋体と、略方形の平面紙の対向する一組の辺がつき合わされて周回され、当該一組の辺が接合されて形成され前記袋体が内側に挿入される枠体と、上端に開口部を有し前記開口部を狭口する結束具を備え前記枠体が内側に挿入される包装体と、硬質で折り曲げ可能な平面紙を折り曲げて形成されるとともに前記包装体が嵌挿支持される嵌合溝を有する台座とから形成されていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の切花用包装具によれば、前記枠体の高さは前記切花支持体の高さより高く、前記切花支持体の上端より高い前記枠体の上部に複数の縦の切割りが設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の切花用包装具によれば、切花用包装具を構成する各部材の組立前の形状は、それぞれ平たく嵩張らないので、例えば敷地面積の小さな生花店でも省スペースで容易に保管できるのでスペースを有効に活用できる。
【0009】
また、請求項2に記載の切花用包装具によれば、枠体の上部に設ける複数の切割りによって、複数の爪片が形成され、爪片が幹部から内側に折り曲げられることで、爪片部分において枠体上部の開口部を錐状に窄めることができる。枠体の内側に挿入される切花支持体に切花の茎部分が差し込まれ、内側に折り曲げられる枠体上部の爪片が切花に接触し切花を支持する。また、包装体の開口部を結束具で締め結び合わせることにより、包装体の内側に挿入される枠体の開口部の口の大きさを任意の大きさに調節できる。切花の本数や茎の太さなどによって、枠体の開口部の口の大きさを調節でき、例えば切花の本数が少なくても、包装体の開口部を結束具で締め、枠体の開口部の口の大きさを狭くすれば、錐状に窄められた爪片によって切花が支持され、切花が傾くまたはばらつくのを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。切花用包装具1は、図1に示されるように、切花支持体3と、袋体4と、枠体5と、包装体6と、台座7とから構成されている。
【0011】
切花支持体3は、図2に示されるように、略方形のダンボール紙10で形成されている。また、ダンボール紙10は吸水性を有する。ダンボール紙10は、平面ライナー紙8の片面に波状紙9が貼り合わされたものである。張り合わされた平面ライナー紙8と波状紙9との間に複数の第1中孔12a,12a,・・・が形成されている。切花支持体3は、ダンボール紙10を波状紙9の稜線11と平行な軸線Lを中心に渦巻状に巻いて、図3に示されるように円筒状に形成されている。また、切花支持体3には、渦巻状に巻くことで、波状紙の凹部と、対向する平面紙との間に複数の第2中孔12b,12b,・・・が形成されている。前記第1中孔12a,12a,・・・あるいは、第2中孔12b,12b,・・・に切花2の茎部分を差し込むことにより、切花2が傾くまたはばらつくのを防ぐことができる。なお、本実施の形態では、波状紙面を内側にして渦巻状に巻いたが、波状紙面を外側にして渦巻状に巻いても同等の効果が得られる。
【0012】
袋体4は、防水性を有する塩化ビニール材で形成されている。図4に示されるように、袋体4は、上端に開口部13を有する袋状のものである。前記袋体4の高さは切花支持体3の高さよりも高くされている。
【0013】
枠体5は、硬質で折り曲げ可能な平面紙18で形成されている。枠体5は、図5に示されるような略方形の平面紙18の対向する一組の辺19,19がつき合わされて周回され、当該一組の辺19,19が一部重ね合わされて接合され、図6に示されるように円筒状に形成されている。枠体5の径は、切花支持体3の径より若干大きく形成されている。また、辺19,19をつき合わせた接合部20は、接着剤で接合されている。
【0014】
また、枠体5の上部には、図6に示されるように、複数の縦の切割り22,22,・・・が設けられることによって複数の爪片25,25,・・・が形成されている。また、爪片25,25,・・・は、切花支持体3の上端よりも上方に形成されている。爪片25,25,・・・の形状は、上方に狭い台形となっている。爪片25,25,・・・は、幹部から内側に折り曲げられており、枠体開口部24は爪片25,25,・・・において錐状に窄められている。
【0015】
包装体6は、図7に示されるように、2枚の略方形の不織布23,23が重ねられ、左辺30a,30aおよび右辺30b,30bの上部を除く部分、並びに底辺28,28が縫合され袋状に形成されている。不織布23,23の上部は一部が外側に折り曲げられて、それぞれ左右に平行に伸びる一対の縫い目26,26により中空部29,29が形成されている。また、帯状の結束具27,27はその両端が中空部29,29の左右にそれぞれが突出するように中空部29,29に挿通されている。結束具27,27は装飾を目的として、一般に公知のリボン等が好適に用いられる。本実施例では、結束具27,27は装飾性を目的としてリボンを用いているが、一般に公知の紐材を用いても良い。
【0016】
台座7は、硬質で折り曲げ可能な平面紙32で形成されている。略方形の平面紙32には、図8に示されるように、嵌合溝33、組立用押し罫34,34,・・・、舌片35,35、差込口36,36が備えられている。台座7は、平面紙32が組立用押し罫34,34,・・・に沿って折られ、舌片35,35が差込口36,36に差込まれて、図9に示されるように、組み立てられている。嵌合溝33は、枠体5が内包された状態の包装体6が嵌挿可能な大きさに形成されている。
【0017】
切花用包装具1を構成する各部材の組み合わせ方について、図10に基づいて説明する。切花支持体3は袋体4の内側へ挿入される。切花支持体3が挿入された袋体4の内側に切花2を保水するための水が入れられる。袋体4は枠体5の内側へ挿入される。枠体5によって枠体5の内側に挿入される切花支持体3と袋体4の型崩れが防止される。枠体5は包装体6の内側へ挿入される。包装体6は台座7の嵌合溝33に嵌挿される。切花支持体3の第1中孔12a,12a,・・・または、第2中孔12b,12b,・・・に切花2の茎部分が差し込まれる。枠体5の上部に形成されている爪片25,25,・・・において、包装体6の開口部31が結束具27で狭口されることにより、包装体6の内側へ挿入される枠体5の開口部24の口の大きさは自由に調節可能である。枠体5の開口部24が錐状に窄められ、当該開口部24により切花2が支持される。切花用包装具1を持ち運ぶ際には包装体6が台座7から取り外される。
【0018】
なお、本発明は本実施の形態に限定されず、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更できる。たとえば、本実施の形態では、枠体5が円筒状に形成されているが、多角柱状に形成されてもよい。また、本実施の形態では、枠体5の接合部20には接着剤を使用しているが、セロハンテープを使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施例である切花用包装具の一部破断斜視図である。
【図2】同切花用包装具を形成する切花支持体の展開図である。
【図3】同切花用包装具を形成する切花支持体の斜視図である。
【図4】同切花用包装具を形成する袋体の斜視図である。
【図5】同切花用包装具を形成する枠体の展開図である。
【図6】同切花用包装具を形成する枠体の斜視図である。
【図7】同切花用包装具を形成する包装体の斜視図である。
【図8】同切花用包装具を形成する台座の展開図である。
【図9】同切花用包装具を形成する台座の斜視図である。
【図10】同切花用包装具の組合せ順序を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0020】
1 切花用包装具
3 切花支持体
4 袋体
5 枠体
6 包装体
7 台座
8 平面ライナー紙
9 波状紙
10 ダンボール紙
11 稜線
12a 第1中孔
12b 第2中孔
20 接合部
22 切割り
23 不織布
25 爪片
26 縫い目
27 結束具
29 中空部
33 嵌合溝
34 組立用押し罫
35 舌辺
36 差込口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面ライナー紙の片面に波状紙が貼り合わされ吸水性を有する略方形のダンボール紙を波状紙の稜線と平行な軸線中心に渦巻状に巻かれて形成される円筒状の切花支持体と、上端が開口する袋状で前記切花支持体を内包し防水性を有する袋体と、略方形の平面紙の対向する一組の辺がつき合わされて周回され、当該一組の辺が接合されて形成され前記袋体が内側に挿入される枠体と、上端に開口部を有し前記開口部を狭口する結束具を備え前記枠体が内側に挿入される包装体と、硬質で折り曲げ可能な平面紙を折り曲げて形成されるとともに前記包装体が嵌挿支持される嵌合溝を有する台座とから形成されていることを特徴とする切花用包装具。
【請求項2】
前記枠体の高さは前記切花支持体の高さより高く、前記切花支持体の上端より高い前記枠体の上部に複数の縦の切割りが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の切花用包装具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−51565(P2009−51565A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−222756(P2007−222756)
【出願日】平成19年8月29日(2007.8.29)
【出願人】(000113229)ペガサスミシン製造株式会社 (52)
【Fターム(参考)】