説明

切花輸送用の保水容器

【課題】切花を簡単に水に挿した状態で梱包でき、使用後の処分も容易な植物の湿式輸送容器を提供する。
【解決手段】外箱の底部に挿入して、切花を水に挿した状態で輸送する切花輸送用の保水容器において、段ボール製の枠体1と、プラスチックフィルム製の袋2とから成り、枠体1の周壁をなす枠板3,4,5の上縁にそれぞれ鍔板6,7,8を連設し、隣接する鍔板を連結片9を介して繋ぎ合わせ、連結片9と鍔板6,7,8の境界に斜谷折線10を、連結片9の中央に中谷折線11をそれぞれ設け、枠板3,4,5の下縁から底面を閉止する底板12,13,14を延出し、袋2の外面を枠板3,4,5及び鍔板6,7,8の内面に貼り付けておき、連結片9を折り込みつつ、鍔板6,7,8を内側斜め下方へ折り曲げると、その折曲状態が保持されるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、切花を水に挿して鮮度を保ちつつ、輸送できるようにした切花輸送用の保水容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、切花輸送用の梱包体として、図5に示すように、段ボール製の外箱51及び台枠52から成り、外箱51の底部に台枠52を挿入し、この台枠52で鉢状の容器53を保持して、容器53に入れた土に切花54を植えたままの状態で、切花54を輸送できるようにしたものが使用されている(下記特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】実公平4−39132号公報(第5図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような梱包体の容器53に水を入れ、切花を水に挿した状態で輸送するには、外箱51が倒れても水が漏れないように、容器53として開口部に中心方向への鍔を有するプラスチック成形体を使用する。
【0005】
しかしながら、このような梱包体では、切花の梱包に際し、台枠52の組み立てや容器53のセットに手間がかかり、輸送先での開梱後に不要となった容器53が嵩高い不燃ごみとして発生するという問題がある。
【0006】
そこで、この発明は、切花を簡単に水に挿した状態で梱包でき、使用後の処分も容易な植物の湿式輸送容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、外箱の底部に挿入して、切花を水に挿した状態で輸送する切花輸送用の保水容器において、段ボール製の枠体と、プラスチックフィルム製の袋とから成り、枠体の周壁をなす枠板の上縁にそれぞれ鍔板を連設し、隣接する鍔板を連結片を介して繋ぎ合わせ、連結片と鍔板の境界に斜谷折線を、連結片の中央に中谷折線をそれぞれ設け、枠板の下縁から底面を閉止する底板を延出し、袋の外面を枠板及び鍔板の内面に貼り付けておき、連結片を折り込みつつ、鍔板を内側斜め下方へ折り曲げると、その折曲状態が保持されるようにしたのである。
【0008】
また、前記枠体の対向する一対の枠板と、これに繋がる鍔板及び底板の中央に縦方向の折畳線を設け、ブランクを折畳線に沿って折り畳んだ状態で、両端の枠板とこれに繋がる鍔板及び底板を継ぎ合わせ、その折畳状態から枠体を組み立てる構成とし、枠体の組立に伴い、扁平な袋が開かれて枠体の内側に沿うようにしたのである。
【発明の効果】
【0009】
このような保水容器では、連結片を折り込みつつ、鍔板を内側斜め下方へ折り曲げるだけで、鍔板の折曲状態が保持されるので、袋に入れる水の量を所定量以下にしておくと、輸送中に外箱が倒れても、鍔板にせき止められて袋からの水漏れが防止され、切花の出荷作業に伴う梱包作業が負担になることもない。
【0010】
そして、使用後には、枠体から袋を分離すると、枠体はリサイクルのための回収に出すことができ、袋は嵩低く丸めた状態で、不燃物として容易に処分することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。図1に示すように、この保水容器は、枡形に組み立てられる段ボール製の枠体1にプラスチックフィルム製の袋2を内装したものである。
【0012】
枠体1のブランクでは、図2に示すように、中央部に位置する枠板3の両側に枠板4が連設され、枠板4の外側に枠板5が連設されている。枠板3,4は同一のサイズとされ、枠板5の横幅は、枠板3の横幅の半分よりもやや大きくなっている。
【0013】
枠板3,4,5の上縁にはそれぞれ鍔板6,7,8が連設され、隣接する鍔板6,7,8は、それぞれ連結片9を介して繋ぎ合わされている。連結片9と鍔板6,7,8の境界には斜谷折線10が、連結片9の中央には中谷折線11がそれぞれ設けられ、斜谷折線10は、水平線に対して45°よりやや大きい角度で傾斜している。鍔板6,7,8の先端部分は連結片9よりも突き出している。
【0014】
枠板3,4,5の下縁には、それぞれ底板12,13,14が連設され、底板12には斜め方向の折込線15が、底板13にはスリット状の差込穴16が、底板14には横方向の折曲線17及び差込片18がそれぞれ設けられている。また、一対の枠板4と、これに繋がる鍔板7及び底板13の中央には、縦方向の折畳線19が設けられている。
【0015】
そして、枠板3から両側の枠板4及びこれらに繋がる鍔板6,7と底板12,13の折畳線19に挟まれた部分の内面には、襠がない通常の扁平な袋2の片側外面が接着剤や両面粘着テープなどで貼り付けられている。
【0016】
このようなブランクは、図3に示すように、折畳線19に沿って折り畳んだ状態で、両端の枠板5とこれに繋がる鍔板8及び底板14を継ぎ合わせ、袋2の反対側の外面をブランクの内面に貼り付けた状態で、花卉の生産農家へ配送される。
【0017】
そして、生産農家で切花を出荷する際には、図4に示すように、枠体1の枠板3,4,5を角筒状の周壁をなすように広げる。これにより、扁平な袋2が開かれて、弛むことなく枠体1の周壁の内側に沿い、袋2の底部両側は三角状を呈する。
【0018】
次に、底板12の両側部分を折込線15に沿って折り込み、底板12,13を内側水平方向へ折り曲げ、底板14を折曲線17沿いに屈曲させつつ、差込片18を差込穴16に差し込んで、枠体1の底面を閉止すると、袋2の底部の三角状部分も内側へ折り曲げられて、枠体1の底面の内側に沿う。
【0019】
その後、図1に示すように、連結片9を折り込みつつ、鍔板6,7,8を内側斜め下方へ折り曲げると、連結片9の作用により、その折曲状態が保持される。そして、この状態で袋2に水を入れ、切花を水に挿して外箱に収納する。
【0020】
上記のような保水容器では、連結片9を折り込みつつ、鍔板6,7,8を内側斜め下方へ折り曲げるだけで、鍔板6,7,8の折曲状態が保持されるので、袋2に入れる水の量を所定量以下にしておくと、輸送中に外箱が倒れても、鍔板6,7,8にせき止められて袋2からの水漏れが防止され、切花の出荷作業に伴う梱包作業が負担になることもない。
【0021】
そして、使用後には、枠体1から袋2を引き剥がして分離すると、枠体1はリサイクルのための回収に出すことができ、袋2は嵩低く丸めた状態で、不燃物として容易に処分することができるので、不燃ごみの減量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の実施形態に係る保水容器の組立状態を示す斜視図
【図2】同上の枠体のブランクを示す図
【図3】同上の折畳状態を示す図
【図4】同上の組立過程を示す斜視図
【図5】従来の切花の梱包体を示す斜視図
【符号の説明】
【0023】
1 枠体
2 袋
3,4,5 枠板
6,7,8 鍔板
9 連結片
10 斜谷折線
11 中谷折線
12,13,14 底板
15 折込線
16 差込穴
17 折曲線
18 差込片
19 折畳線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外箱の底部に挿入して、切花を水に挿した状態で輸送する切花輸送用の保水容器において、段ボール製の枠体と、プラスチックフィルム製の袋とから成り、枠体の周壁をなす枠板の上縁にそれぞれ鍔板を連設し、隣接する鍔板を連結片を介して繋ぎ合わせ、連結片と鍔板の境界に斜谷折線を、連結片の中央に中谷折線をそれぞれ設け、枠板の下縁から底面を閉止する底板を延出し、袋の外面を枠板及び鍔板の内面に貼り付けておき、連結片を折り込みつつ、鍔板を内側斜め下方へ折り曲げると、その折曲状態が保持されるようにしたことを特徴とする切花輸送用の保水容器。
【請求項2】
前記枠体の対向する一対の枠板と、これに繋がる鍔板及び底板の中央に縦方向の折畳線を設け、ブランクを折畳線に沿って折り畳んだ状態で、両端の枠板とこれに繋がる鍔板及び底板を継ぎ合わせ、その折畳状態から枠体を組み立てる構成とし、枠体の組立に伴い、扁平な袋が開かれて枠体の内側に沿うようにしたことを特徴とする請求項1に記載の切花輸送用の保水容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−44748(P2006−44748A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−229108(P2004−229108)
【出願日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【出願人】(000115980)レンゴー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】