説明

判別システム、および、判別方法

【課題】 組合せられた複数の物体の種類および接触の有無を判別することができる判別システムを提供すること。
【解決手段】 無線タグ2と判別装置3とを備え、無線タグ2は、物体が他の物体に接触する接触部分に取り付けられ、接触部分の種類を識別する個別IDを格納した個別ID格納手段22と、接触部分同士の接触を検知する接触検知手段21と、接触が検知されたとき個別IDを他の接触部分に取り付けられた他の無線タグ2との間で送受信する個別ID送受信手段23と、個別IDおよび他の無線タグ2の個別IDに基づいて組合せIDを生成する組合せID生成手段24と、組合せIDを無線通信によって送信する組合せID送信手段25とを有し、判別装置3は、無線タグ2から組合せIDを無線通信によって受信する組合せID受信手段31と、組合せIDが受信されたか否かに基づいて接触部分同士が接触しているか否かを判別する接触判別手段32とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体の種類を判別する判別システムに関し、特に、組合せられた複数の物体の種類を判別する判別システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、RFID(Radio Frequency IDentification)技術の発展に伴い、RFIDを用いた無線タグを利用して、物体の種類を判別する判別システムが知られている。
【0003】
ここで、無線タグは、アンテナおよびICチップを備え、ICチップは、アンテナを介してデータを送受信する送受信部、タグIDを記憶した記憶部、および制御部を有している。無線タグは、タグリーダから電波を受信すると、記憶部に記憶したデータをタグリーダに送信するようになっている。
【0004】
このような無線タグを利用した判別システムは、物体の種類を表すデータを無線タグの記憶部に記憶しておき、無線タグを物体に取り付け、タグリーダで無線タグに記憶されたデータを読み取ることにより、物体の種類を判別する。
【0005】
このような判別システムとして、例えば電子機器の構成部品といったような、組み合わせられた複数の物体の種類を判別するものが知られている。
【0006】
例えば、特許文献1には、複数の部品からなる機器を組み立てる作業において、誤欠品を判別する判別システムが記載されている。この判別システムにおいて、個々の部品にはその種類情報を記憶させた無線タグが取り付けられる。そして、その判別システムは、あらかじめ機器の種類および構成部品の種類を示す一覧表データを記憶しておき、無線タグから読み取った種類情報と一覧表データとを用いて、目的の機器を組み立てるのに正しい部品が使われているか否かを判別する。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載されたものは、組み立てられた機器の構成部品の誤欠品を確認することはできるものの、構成部品同士がどのような組合せで接続されているかを確認することができない。
【0008】
このような問題を解決する判別システムとして、複数の部品の接続部分における対応関係の正否を判別するものがある(例えば、特許文献2参照)。この判別システムにおいても、複数の部品の接続部分にそれぞれ無線タグが取り付けられる。そして、その判別システムは、無線タグの対応関係を表す情報をあらかじめ記憶し、部品を接続した後、接続部分の各無線タグを一括して読み取り、一括して読み取った各無線タグと対応関係を表す情報とに基づいて、接続した部品同士の対応関係の正否を判別する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−323655号公報
【特許文献2】特開2009−157413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献2に記載されたものは、一括して読み取った各無線タグの組合せを正しいものとしてあらかじめ記憶していれば、接続された部品同士が近接しているだけで確実に接触していない場合にも正しい組合せであると判定してしまうという問題があった。すなわち、特許文献2に記載されたものは、物体間の接続部分での接触の有無を判別することができないという課題があった。
【0011】
また、特許文献1に記載されたものも、組合せられた構成部品同士の接触の有無を判別することができないという課題があった。
【0012】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、組合せられた複数の物体の種類および接触の有無を判別することができる判別システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る判別システムは、無線タグと、判別装置とを備え、前記無線タグは、物体が他の物体に接触する接触部分に取り付けられ、前記接触部分の種類を識別する個別IDを格納した個別ID格納手段と、前記接触部分が前記他の物体の接触部分に接触していることを検知する接触検知手段と、前記接触検知手段によって接触が検知されたとき前記個別IDを前記他の接触部分に取り付けられた他の無線タグとの間で送受信する個別ID送受信手段と、前記個別ID格納手段に格納された個別IDおよび前記個別ID送受信手段によって受信された他の個別IDに基づいて前記接触部分の種類および前記他の接触部分の種類の組合せを識別する組合せIDを生成する組合せID生成手段と、前記組合せID生成手段によって生成された組合せIDを無線通信によって送信する組合せID送信手段と、を有し、前記判別装置は、前記無線タグから送信される組合せIDを無線通信によって受信する組合せID受信手段と、前記組合せID受信手段によって前記組合せIDが受信されたか否かに基づいて、前記接触部分および前記他の接触部分が接触しているか否かを判別する接触判別手段と、を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、組合せられた複数の物体の種類および接触の有無を判別することができる判別システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施の形態としての判別システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態としての判別システムの機能ブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における無線タグが格納する個別IDを説明する図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における無線タグ同士が接触したときに送信する組合せIDを説明するためのイメージ図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態としての判別システムの動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施の形態としての作業監視システムの構成を示すブロック図である。
【図7】(A)および(B)は、本発明の第2の実施の形態における無線タグの構成を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態としての作業監視システムの機能ブロック図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態における無線タグが格納する個別IDを説明する図である。
【図10】(A)および(B)は、本発明の第2の実施の形態における無線タグ同士が接触したときに送信する組合せIDを説明するためのイメージ図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態における判定装置が備えるIDデータベースを説明する図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態としての作業監視システムの動作を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第3の実施の形態としての作業監視システムの機能ブロック図である。
【図14】本発明の第3の実施の形態としての作業監視システムの動作を示すフローチャートである。
【図15】本発明の第4の実施の形態としての接続監視システムの構成を示すブロック図である。
【図16】本発明の第4の実施の形態における無線タグが格納する個別IDを説明する図である。
【図17】(A)および(B)は、本発明の第4の実施の形態における無線タグ同士が接触したときに送信する組合せIDを説明するためのイメージ図である。
【図18】本発明の第4の実施の形態としての接続監視システムの機能ブロック図である。
【図19】本発明の第4の実施の形態における判定装置が備えるIDデータベースを説明する図である。
【図20】本発明の第4の実施の形態としての接続監視システムの動作を示すフローチャートである。
【図21】本発明の第5の実施の形態としての審判支援システムの構成を示すブロック図である。
【図22】本発明の第5の実施の形態における無線タグが格納する個別IDを説明する図である。
【図23】本発明の第5の実施の形態における無線タグ同士が接触したときに送信する組合せIDを説明するためのイメージ図である。
【図24】本発明の第5の実施の形態としての接続監視システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
本発明の第1の実施の形態としての判別システム1の構成を図1に示す。図1において、判別システム1は、無線タグ2aおよび2b(以下、総称して無線タグ2ともいう)と、判別装置3とを備えている。なお、図1には2つの無線タグ2を図示しているが、本発明の判別システムが備える無線タグの数を限定するものではない。
【0018】
無線タグ2aおよび2bは、物体4aおよび4b(以下、総称して物体4ともいう)が互いに接触する接触部分5aおよび5b(以下、総称して接触部分5ともいう)にそれぞれ取り付けられている。
【0019】
無線タグ2の構成について説明する。
【0020】
無線タグ2は、ICチップと、アンテナと、後述する検知回路とを備え、図2に示す機能ブロックによって構成されている。
【0021】
図2において、無線タグ2は、接触検知手段21と、個別ID格納手段22と、個別ID送受信手段23と、組合せID生成手段24と、組合せID送信手段25とを備えている。
【0022】
接触検知手段21は、他の無線タグ2との接触を検知する検知回路によって構成されている。
【0023】
個別ID格納手段22は、ICチップ上のメモリによって構成され、接触部分5の種類を識別する個別IDを格納している。例えば、図3に示すように、物体4aの接触部分5aに取り付けられた無線タグ2aの個別ID格納手段22は、接触部分5aの種類を識別する個別IDとしてID05aを格納している。また、無線タグ2bの個別ID格納手段22は、接触部分5bの種類を識別する個別IDとしてID05bを格納している。
【0024】
個別ID送受信手段23は、ICチップの制御部および通信モジュールによって構成され、接触検知手段21によって他の無線タグ2との接触が検知されると、個別ID格納手段22に格納された個別IDを他の無線タグ2との間で送受信する。
【0025】
組合せID生成手段24は、ICチップ上の制御部によって構成され、接触検知手段21によって他の無線タグ2との接触が検知されると、個別ID格納手段22に格納された個別IDおよび個別ID送受信手段23によって受信された個別IDに基づいて、接触部分5aおよび5bの種類の組合せを識別する組合せIDを生成する。例えば、図4に示すように、無線タグ2aおよび2bが接触すると、各無線タグ2の組合せID生成手段24は、組合せIDとしてID05xを生成する。
【0026】
なお、組合せID生成手段24は、2つの個別IDを連結させて組合せIDを生成してもよく、その他の計算式によって組合せIDを生成してもよい。
【0027】
組合せID送信手段25は、ICチップ上の制御部、無線通信モジュール、および、アンテナによって構成され、組合せIDを無線通信によって判別装置3に送信する。
【0028】
次に、判別装置3の構成について説明する。
【0029】
判別装置3は、CPUと、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、記憶装置と、周辺機器接続インタフェースとを有する汎用的なコンピュータ装置、および、無線タグ2との間でアンテナを介して無線通信を行うタグリーダを備え、図2に示す機能ブロックによって構成されている。
【0030】
図2において、判別装置3は、組合せID受信手段31と、接触判別手段32とを備えている。
【0031】
組合せID受信手段31は、タグリーダによって構成され、無線タグ2の組合せID送信手段25から送信された組合せIDを受信し、受信した組合せIDを接触判別手段32に送信する。
【0032】
接触判別手段32は、プログラムモジュールとしてコンピュータ装置の記憶装置およびROMに記憶され、RAMを作業領域としてCPUによって実行されることにより実現される。
【0033】
接触判別手段32は、組合せID受信手段31を介して無線タグ7から組合せIDを受信すると、組合せIDから個別IDを取り出す。接触判別手段32は、取り出した2つの個別IDに基づいて接触部分5aおよび5bの種類を識別し、これらが接触したと判別する。
【0034】
以上のように構成された判別システム1の動作について、図5を用いて説明する。
【0035】
なお、図5において、左側のフローは無線タグ2の動作を示し、右側のフローは判別装置3の動作を示している。また、左右のフローを結ぶ破線の矢印はデータの流れを示している。
【0036】
まず、無線タグ2の接触検知手段21によって、他の無線タグ2との接触が検知される と(ステップS1でYes)、個別ID送受信手段23は、個別ID格納手段22に格納された個別IDを他の無線タグ2との間で送受信する(ステップS2)。
【0037】
次に、組合せID生成手段24は、個別ID格納手段22に格納された個別IDおよびステップS2で受信された個別IDに基づいて、組合せIDを生成する(ステップS3)。
【0038】
次に、組合せID送信手段25は、ステップS3で生成された組合せIDを判別装置3に送信する(ステップS4)。
【0039】
次に、判別装置3の接触判別手段32は、組合せID受信手段31を介して組合せIDを受信した場合(ステップS5でYes)、組合せIDを構成する各個別IDを求め、接触部分5aおよび5bの組合せが接触していると判別する(ステップS6)。
【0040】
一方、接触判別手段32は、組合せID受信手段31を介して組合せIDを受信しない場合(ステップS5でNo)、接触部分5同士は接触していないと判別する(ステップS7)。
【0041】
以上で、判別システム1は動作を終了する。
【0042】
なお、本発明の第1の実施の形態において、互いに接触している各無線タグ2がそれぞれ組合せIDを生成して送信するものとして説明したが、いずれかの無線タグ2のみが組合せIDを生成して送信するようにしてもよい。
【0043】
例えば、組合せID生成手段24は、2つの個別IDに基づいて、いずれの個別IDを格納した無線タグ2が組合せIDを生成するかを判断する。この場合、組合せIDを生成すると判断したほうの組合せID生成手段24が組合せIDを生成し、該無線タグ2の組合せID送信手段25が組合せIDを送信する。
【0044】
次に、本発明の第1の実施の形態の効果について説明する。本発明の第1の実施の形態のとしての判別システムは、組合せられた複数の物体の種類および接触の有無を判別することができる。
【0045】
その理由は、物体の接触部分に取り付けられた無線タグが他の無線タグに接触した場合に、各接触部分の種類の組合せを識別する組合せIDを判別装置に送信し、判別装置が組合せIDを受信するので、判別システムは、判別装置が組合せIDを受信したか否かに基づいて、複数の物体の接触の有無を判別することができるからである。また、判別システム1は、受信した組合せIDから求められる個別IDに基づいて、組合せられた複数の物体の接触部分の種類を判別することができるからである。
【0046】
次に、本発明の第2の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0047】
本発明の第2の実施の形態では、本発明の判別システムを、機器の組立作業を監視する作業監視システムに適用した例について説明する。
【0048】
本発明の第2の実施の形態としての作業監視システ6の構成を図6に示す。なお、以下の説明において、本発明の第1の実施の形態としての判別システム1が備える構成要素と同一のものには同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0049】
作業監視システム6は、作業スペース10内におけるパーソナルコンピュータ装置(以下、パソコンという)100の組立作業を監視するシステムであり、タグリーダ801、コンピュータ装置802、表示装置803、およびスピーカ804を有する判別装置8と、無線タグ7a、7bおよび7c(以下、総称して無線タグ7ともいう)とを備えている。
【0050】
なお、図6には3つの無線タグ7を図示しているが、本発明の判別システムとしての作業監視システムが備える無線タグの数を限定するものではない。
【0051】
タグリーダ801、表示装置803、およびスピーカ804は、コンピュータ装置802にそれぞれ接続されている。
【0052】
タグリーダ801は、作業スペース10内の無線タグ7との間で無線通信を行うことが可能な場所に設置されている。
【0053】
コンピュータ装置802および表示装置803は、作業スペース10の近傍に設置される。
【0054】
スピーカ804は、作業スペース10内に設置される。
【0055】
無線タグ7a、7bおよび7cは、パソコン本体101の差込口501、ケーブル102のコネクタ502、およびケーブル103のコネクタ503にそれぞれ取り付けられている。
【0056】
無線タグ7aおよび7bは、ケーブル102のコネクタ502がパソコン本体101の差込口501に接続されたとき互いに接触する。同様に、無線タグ7aおよび7cは、ケーブル103のコネクタ503がパソコン本体101の差込口501に接続されたとき互いに接触する。
【0057】
なお、本実施の形態において、ケーブル102は、パソコン100の構成に必要な部品であり、ケーブル103は、パソコン100の構成に不要な部品である。ケーブル102とケーブル103とは類似した形状を有し、どちらもパソコン本体101の差込口501に接続可能であるものとする。
【0058】
次に、無線タグ7の構成について、図7を用いて説明する。
【0059】
図7(A)に示すように、無線タグ7は、アンテナ701、接続用回路702、および、ICチップ703を備えている。
【0060】
図7(B)に示すように、接続用回路702は、無線タグ7が他の無線タグ7に接触すると、他の無線タグ7の接続用回路702に接続して閉回路を形成するようになっている。
【0061】
無線タグ7の備える機能ブロックについて、図8を用いて説明する。
【0062】
無線タグ7は、接続部70および接続検知部71を有する接触検知手段72と、個別ID格納手段22と、個別ID送受信手段73と、組合せID生成手段24と、組合せID送信手段25とを備えている。
【0063】
ここで、接続部70は接続用回路702によって構成され、接続検知部71は、ICチップ703の制御部によって構成され、個別ID送受信手段73は、接続用回路702とICチップ703の制御部および通信モジュールとによって構成される。
【0064】
接続部70は、他の無線タグ7が有する接続部70に接続することにより、閉回路を形成する。この閉回路を、タグリーダ801から送信される電波が通過することにより電磁誘導によって電力が発生する。換言すると、接続部70同士が接続することにより無線タグ7同士が連携して新たな無線タグが生成される。連携して生成された無線タグは、形成された閉回路によって発生した電力を電源として動作する。
【0065】
接続検知部71は、接続部70に電流が流れているか否かに基づいて、接続部70と他の無線タグ7の接続部70との接続の有無を検知する。
【0066】
個別ID送受信手段73は、接続された接続部70を介して、他の無線タグ7との間で互いの個別IDを送受信する。
【0067】
無線タグ7の個別ID格納手段22は、例えば、図9に示すような個別IDを格納している。パソコン本体101の差込口501に取り付けられた無線タグ7aは、差込口501の種類を識別する個別IDとしてID501を格納している。ケーブル102のコネクタ502に取り付けられた無線タグ7bは、コネクタ502の種類を識別する個別IDとしてID502を格納している。ケーブル103のコネクタ503に取り付けられた無線タグ7cは、コネクタ503の種類を識別する個別IDとしてID503を格納している。
【0068】
無線タグ7の組合せID生成手段24は、例えば、図10(A)に示すように、無線タグ7aおよび7bが互いに接触すると、差込口501およびコネクタ502の組合せを識別する組合せID50xを生成する。また、組合せID生成手段24は、例えば、図10(B)に示すように、無線タグ7aおよび7cが互いに接触すると、差込口501およびコネクタ503の組合せを識別する組合せID50yを生成する。
【0069】
次に、判別装置8の構成について、図8を用いて説明する。
【0070】
判別装置8は、組合せID受信手段31と、接触判別手段82と、接触報知手段83を備えている。ここで、組合せID受信手段31は、タグリーダ801によって構成され、接触判別手段82は、コンピュータ装置802によって構成され、接触報知手段83は、表示装置803およびスピーカ804によって構成される。
【0071】
接触判別手段82は、IDデータベース80と接触判別部81とを備えている。
【0072】
IDデータベース80は、コンピュータ装置802の記憶装置によって構成され、接触判別部81は、プログラムモジュールとしてコンピュータ装置802の記憶装置およびROMに記憶され、RAMを作業領域としてCPUによって実行されることによって実現される。
【0073】
IDデータベース80は、パソコン100の構成部品間の正しい組合せを識別する組合せIDを格納している。
【0074】
例えば、IDデータベース80は、図11に示すように、差込口501およびコネクタ502の組合せを識別する組合せID50xを、正しい組合せを識別するものとして格納している。IDデータベース80は、差込口501およびコネクタ503の組合せを識別する組合せID50yは、正しくない組合せを識別するものであるため格納していない。
【0075】
接触判別部81は、組合せID受信手段31から受信した組合せIDがIDデータベースに格納されているか否かに基づいて、パソコン本体101とケーブルとが正しい組合せで接触しているか否かを判別する。
【0076】
また、接触判別部81は、受信した組合せIDを構成する各個別IDを求め、組合せの正誤を表す情報および各個別IDに関連する情報を接触報知手段83に報知させる。
ここで、接触判別部81は、組合せIDが個別IDの連結により生成されている場合、組合せIDを分割することにより個別IDを求める。また、接触判別部81は、その他の計算式により組合せIDが生成されている場合、計算式を逆算することにより、個別IDを求める。また、接触判別部81は、IDデータベース80を用いて組合せIDから個別IDを求めてもよい。この場合、IDデータベース80が、組合せIDを構成する各個別IDを組合せIDに関連づけて格納しておく。
【0077】
接触報知手段83は、接触判別部81から取得する判別結果を報知する。
【0078】
例えば、接触報知手段83は、正しい組合せで接触しているとの判別結果であれば、表示装置803に各個別IDに関連する情報および正しい組合せであることを表す情報を表示する。
【0079】
また、接触報知手段83は、正しくない組合せで接触しているとの判別結果であれば、各個別IDに関連する情報および正しくない組合せであることを表す情報を表示装置803に表示すると共に、スピーカ804に警告音を出力させる。
【0080】
以上のように構成された作業監視システム6の動作について、図12を用いて説明する。
【0081】
なお、図12において、左側のフローは無線タグ7の動作を示し、右側のフローは判別装置8の動作を示している。また、左右のフローを結ぶ破線の矢印はデータの流れを示している。
【0082】
まず、無線タグ7の接続検知部71によって、接続部70と他の無線タグ7の接続部70との接続が検知されると(ステップS21でYes)、個別ID送受信手段73は、個別ID格納手段22に格納された個別IDを、他の無線タグ7との間で接続部70を介して送受信する(ステップS22)。
【0083】
次に、組合せID生成手段24は、個別ID格納手段22に格納された個別IDおよびステップS22で受信された個別IDに基づいて、組合せIDを生成する(ステップS23)。
【0084】
次に、組合せID送信手段25は、ステップS23で生成された組合せIDを判別装置8の組合せID受信手段31に送信する(ステップS24)。
【0085】
次に、判別装置8の接触判別部81は、組合せID受信手段31を介して無線タグ7から送信された組合せIDを受信すると(ステップS25でYes)、受信した組合せIDがIDデータベース80に格納されているか否かを判断する(ステップS26)。
【0086】
ここで、受信した組合せIDがIDデータベース80に格納されていた場合、接触判別部81は、個別IDを求め、正しい組合せを構成する各個別IDおよび正しい組合せであることを表す情報を接触報知手段83に報知させる(ステップS27)。
【0087】
一方、受信した組合せIDがIDデータベース80に格納されていなかった場合、接触判別部81は、個別IDを求め、正しくない組合せを構成する各個別IDおよび正しくないことを表す情報を接触報知手段83に報知させる(ステップS28)。
【0088】
以上で、作業監視システム6は動作を終了する。
【0089】
次に、本発明の第2の実施の形態としての作業監視システム6を用いてパソコン100の組立作業を監視する例について説明する。
【0090】
作業スペース10内で、作業者によってパソコン本体101にケーブル102が接続されると、各無線タグ7が、差込口501およびコネクタ502の組合せを識別する組合せID50xを判別装置8に送信する。判別装置8は、受信した組合せID50xがIDデータベース80に格納されているので、正しい組合せでパソコン本体101とケーブル102とが接触していることを表示装置803に表示させる。
【0091】
また、作業スペース10内で、作業者によってパソコン本体101にケーブル103が接続されると、各無線タグ7が、差込口501およびコネクタ503の組合せを識別する組合せID50yを判別装置8に送信する。判別装置8は、受信した組合せID50yがIDデータベース80に格納されていないので、正しくない組合せでパソコン本体101とケーブル103とが接触していることを表示装置803に表示させ、スピーカ804から警告音を出力させる。
【0092】
次に、本発明の第2の実施の形態の効果について説明する。本発明の第2の実施の形態としての作業監視システムは、接触する複数の物体の組合せの正誤を判別することができる。
【0093】
例えば、本発明の第2の実施の形態としての作業監視システムは、機器の構成部品が正しい取り付け箇所に正しく接触して取り付けられたことを判別することができる。また、本発明の第2の実施の形態は、機器の構成部品と類似した形状を持つ部品が、機器に誤って取り付けられたことを判別することができる。また、本発明の第2の実施の形態は、機器の構成部品が誤った箇所に取り付けられたり誤った向きで取り付けられたことを判別することができる。
【0094】
その理由は、複数の物体が組合せられたときに接触する接触部分に無線タグを取り付け、無線タグ同士が接触して生成される組合せIDのうち正しい組合せを識別する組合せIDをあらかじめIDデータベースに格納しておくので、作業監視システムは、無線タグから送信される組合せIDが正しい組合せを表しているか否かを判別できるからである。
【0095】
また、本発明の第2の実施の形態における無線タグは、組合せの正誤および接触の有無の判別したい複数の物体の各接触部分に取り付ける無線タグとして好適である。
【0096】
その理由は、接続用回路が他の無線タグの接続用回路に接続することにより閉回路を形成し、タグリーダから受信する電波が閉回路を通過して発生する電力を電源とするため、組合せIDの生成および送信に必要な電源を内蔵する必要がなく、小型軽量なパッシブ型の無線タグとして実現可能だからである。
【0097】
なお、本発明の第2の実施の形態において、判定装置8のIDデータベース80は、複数の物体の正しい組合せを識別する組合せIDを格納するものとして説明したが、正しくない組合せを識別する組合せIDを格納しておいてもよく、組合せの正誤を表す情報を組合せIDに関連づけて格納しておいてもよい。
【0098】
また、本発明の第2の実施の形態としての作業監視システム6において、無線タグ7が、他の無線タグ7との接続を検知しない場合に、組合せID送信手段25が、個別ID格納手段22に格納された個別IDを判別装置8に送信するようにしてもよい。
【0099】
この場合、判別装置8の接触判別部81は、IDデータベース80に格納された組合せIDのうち、組合せID受信手段によって受信されていない組合せIDを構成する個別IDが受信されているか否かに基づいて、必要な構成部品が作業スペース10内で未接続の状態であるか、必要な構成部品が作業スペース10内に不足しているのか否かを判別し、不足部品に関する情報を接触報知手段83に報知させるようにしてもよい。
【0100】
このように構成した作業監視システム6は、正しい組合せの複数の物体が接触していない場合に、正しい組合せを構成する物体が不足しているのか否かを判別することができる。
【0101】
次に、本発明の第3の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0102】
本発明の第3の実施の形態は、本発明の第2の実施の形態と同様に、本発明の判別システムを作業監視システムに適用した例について説明する。
【0103】
本発明の第3の実施の形態としての作業監視システム61の機能ブロック構成を図13に示す。なお、図13において、本発明の第2の実施の形態が備える機能ブロックと同一のものについては同一の符号を付して説明を省略する。
【0104】
作業監視システム61は、本発明の第2の実施の形態としての作業監視システム6とは、判別装置8の接触判別手段82が、接触判別部81に替えて接触判別部611を有し、さらに、受信ID格納部614を有している点が異なる。
【0105】
受信ID格納部614は、コンピュータ装置802の記憶装置によって構成され、組合せID受信手段31を介して無線タグ7から受信する組合せIDの履歴を格納する。
【0106】
接触判別部611は、組合せID受信手段31を介して無線タグ7から受信した組合せIDを受信ID格納部に格納させる。
【0107】
また、接触判別部611は、あらかじめ定められたタイミング毎に、前回のタイミングから今回のタイミングまでに受信ID格納部614に格納した組合せIDの一覧を取得する。
【0108】
また、接触判別部611は、取得した組合せIDの一覧を、前回のタイミングで取得した一覧と比較して、新規に取得した組合せIDと、消失した組合せIDとを抽出する。
【0109】
また、接触判別部611は、新規に取得した組合せIDとIDデータベース80とに基づいて、部品同士の組合せの正誤を判別する。
【0110】
また、接触判別部611は、消失した組合せIDとIDデータベース80とに基づいて、部品同士の接触の解除を判別する。
【0111】
以上のように構成された作業監視システム61の動作について、図14を用いて説明する。なお、本発明の第3の実施の形態における無線タグ7は、本発明の第2の実施の形態における無線タグ7と同様に動作するため、図14では無線タグ7の動作の図示を省略し、判別装置8の動作のみを図示している。
【0112】
まず、無線タグ7は、本発明の第2の実施の形態としての作業監視システム6と同様に動作して、判別装置8に組合せIDを送信する。
【0113】
次に、判別装置8の接触判別部611は、受信ID格納部614を参照し、無線タグ7から送信された組合せIDの一覧を取得する(ステップS31)。
【0114】
次に、接触判別部611は、組合せIDの一覧のうち、前回取得した一覧と比較して新規に取得した組合せIDがあるか否かを判断する(ステップS32)。
【0115】
ここで、新規に取得した組合せIDがなければ、作業監視システム61の動作はステップS36に進む。
【0116】
一方、新規に取得した組合せIDがあれば、接触判別部611は、この組合せIDがIDデータベース80に格納されているか否かを判断する(ステップS33)。
【0117】
ここで、新規の組合せIDがIDデータベース80に格納されていた場合、接触判別部611は、正しい組合せの部品同士が接触していると判別し、この組合せIDを構成する各個別IDを表す情報および正しい組合せであることを表す情報を接触報知手段83に報知させる(ステップS34)。
【0118】
一方、新規の組合せIDがIDデータベース80に格納されていなかった場合、接触判別部611は、正しくない組合せの部品同士が接触していると判別し、この組合せIDを構成する個別IDを表す情報および正しくない組合せであることを表す情報を接触報知手段83に報知させる(ステップS35)。
【0119】
次に、接触判別部611は、ステップS31で取得した組合せIDの一覧のうち、前回取得した一覧と比較して消失した組合せIDがあるか否かを判断する(ステップS36)。
【0120】
ここで、消失した組合せIDがない場合、作業監視システム61は動作を終了する。
【0121】
一方、消失した組合せIDがある場合、接触判別部611は、この組合せIDがIDデータベース80に格納されているか否かを判断する(ステップS37)。
【0122】
ここで、消失した組合せIDがIDデータベース80に格納されていない場合、作業監視システム61は動作を終了する。
【0123】
一方、消失した組合せIDがIDデータベース80に格納されていた場合、接触判別部611は、正しい組合せの部品同士の接触が解除されたと判別し、消失した組合せIDを構成する各個別IDを表す情報および接触が解除されたこと表す情報を接触報知手段83に報知させる(ステップS38)。
【0124】
以上で、作業監視システム61は動作を終了する。
【0125】
次に、本発明の第3の実施の形態としての作業監視システム61を用いてパソコン100の組立作業を監視する例について説明する。
【0126】
作業スペース10内で、作業者によってパソコン本体101にケーブル102が接続されると、各無線タグ7は、組合せID50xを送信し、判別装置8は、受信ID格納部614に組合せID50xを格納する。これにより、新規に組合せIDが取得及び格納され、図14のステップS31〜S35が実行される。
【0127】
ここで、作業者によって、パソコン本体101からケーブル102が取り外されると、各無線タグ7は、接続検知部71よって接触が検知されないため、組合せID50xの送信を停止する。判別装置8は、受信ID格納部614に基づき、前回まで受信していた組合せID50xが消失したことを検知して、正しい組合せの部品同士の接触が解除されたと判別し、判別結果を接触報知手段83に報知させる。すなわち、図14のステップS36〜S38の実行により、取り外しによる組合せIDの消失の検出と報知が行われる。
【0128】
次に、本発明の第3の実施の形態の効果について説明する。本発明の第3の実施の形態としての作業監視システムは、正しい組合せの複数の物体の接触が解除されたことを判別することができる。
【0129】
例えば、本発明の第3の実施の形態としての作業監視システムは、正しい組合せの部品が機器本体から取り外されたことを判別することができる。
【0130】
その理由は、無線タグ7から受信した組合せIDを受信ID格納部に格納しておき、受信ID格納部に格納した組合せIDが受信されなくなったことを検知することにより、作業監視システムは、接触の解除を判別することができるからである。
【0131】
次に、本発明の第4の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0132】
本発明の第4の実施の形態では、本発明の判別システムを、バイク400の構成部品の接続状況を監視する接続監視システムに適用した例について説明する。
【0133】
本発明の第4の実施の形態としての接続監視システム66の構成を図15に示す。なお、以下の説明において、本発明の第3の実施の形態としての作業監視システム61が備える構成要素と同一のものには同一の符号を付し、説明を省略する。
【0134】
接続監視システム66は、無線タグ7d、7eおよび7f(以下、総称して無線タグ7ともいう)と、判別装置88とを備えている。なお、図11には3つの無線タグ7を図示しているが、本発明の判別システムとしての接続監視システムが備える無線タグの数を限定するものではない。
【0135】
無線タグ7の構成について説明する。
【0136】
無線タグ7d、7eおよび7fは、本発明の第2および第3の実施の形態における無線タグ7と同一の構成および機能ブロックを備えている。
【0137】
無線タグ7dおよび7eはバイク400の部品411および部品412が互いに接続されて接触する接触部分にそれぞれ取り付けられ、無線タグ7fは、部品413に取り付けられている。
【0138】
なお、部品413は、部品412の代替として部品411に接続可能な部品であり、無線タグ7fは、部品413が部品411に接続されたときに部品411に接触する接触部分に取り付けられているものとする。
【0139】
また、無線タグ7の個別ID格納手段22は、取り付けられた部品の接触部分の種類を識別する個別IDを、個別ID格納手段22にそれぞれ格納している。例えば、図16に示すように、無線タグ7dは、部品411の接触部分を識別する個別ID411を格納し、無線タグ7eは、部品412の接触部分を識別する個別ID412を格納し、無線タグ7fは、部品413の接触部分を識別する個別ID413を格納している。
【0140】
また、無線タグ7の組合せID生成手段24は、他の無線タグと接触すると組合せIDを生成する。例えば、図17(A)に示すように、無線タグ7dおよび無線タグ7eが接触すると、各無線タグ7の組合せID生成手段24は、部品411および部品412の接触部分の組合せを識別する組合せID41xを生成する。また、図17(B)に示すように、無線タグ7dおよび無線タグ7fが接触すると、各無線タグ7の組合せID生成手段24は、部品411および部品413の接触部分の組合せを識別する組合せID41yを生成する。
【0141】
次に、判別装置88の構成について説明する。
【0142】
図15において、判別装置88は、CPU、RAM、ROM、および記憶装置を有する制御装置と、スピーカと、表示装置とを備え、バイク400に取り付けられている。
【0143】
また、判別装置88は、タグリーダによってバイクの各構成部品に取り付けられた無線タグ7からの組合せIDを受信可能な箇所に取り付けられている。
【0144】
判別装置88の機能ブロックについて図18を用いて説明する。
【0145】
判別装置88は、本発明の第3の実施の形態における判別装置8とは、IDデータベース80に替えてIDデータベース662を備え、接触判別部611に替えて接触判別部661を備える点が異なる。
【0146】
IDデータベース662は、バイク400を構成する部品に取り付けられた無線タグ同士の正しい組合せの組合せIDに、代替となる組合せIDを関連づけて格納している。例えば、IDデータベース662は、図19に示すように、部品411および部品412の組合せID41xを格納し、さらに、部品411と、部品412の代替となる部品413との組合せID41yを組合せID41xに関連づけて格納している。
【0147】
接触判別部661は、本発明の第3の実施の形態における接触判別部611と同様に、部品同士の接触の有無、組合せの正誤、および、接触の解除を判別するのに加え、IDデータベース662に格納された代替IDに基づいて、接触が解除された部品の代替部品が接触しているか否かを判別する。
【0148】
以上のように構成された接続監視システム66の動作について、図20を用いて説明する。なお、本発明の第4の実施の形態における無線タグ7は、本発明の第3の実施の形態における無線タグ7と同様に動作するため、図20では無線タグ7の動作の図示を省略し、判別装置88の動作のみを図示している。
【0149】
まず、無線タグ7は、本発明の第3の実施の形態としての作業監視システム61と同様に動作して、判別装置88に組合せIDを送信する。
【0150】
次に、判別装置88の接触判別部661は、無線タグ7から受信した組合せIDの一覧を取得する(ステップS41)。
【0151】
次に、接触判別部661は、ステップS41で取得した組合せIDの一覧と、IDデータベース662とを比較して、消失した組合せIDがあるか否かを判断する(ステップS42)。
【0152】
ここで、消失した組合せIDがあると判断した場合、接触判別部661は、IDデータベース662に基づいて、消失した組合せIDの代替となる組合せIDが受信されたか否かを判断する(ステップS43)。
【0153】
ここで、代替となる組合せIDが受信されていないと判断した場合、接触判別部661は、構成部品の接触が解除されたと判別し、部品の固定が緩んだことを接触報知手段83に報知させる(ステップS44)。
【0154】
一方、代替となる組合せIDが受信されたと判断した場合、接触判別部661は、代替の部品が接続されたと判別し、接触報知手段83によって報知を行っている場合は報知を終了する(ステップS45)。
【0155】
また、ステップS42において、消失した組合せIDがないと判断した場合、接触判別部661は、構成部品が正常に固定されていると判別し、接触報知手段83によって報知を行っている場合は報知を終了させる(ステップS46)。
【0156】
以上で、接続監視システム66は動作を終了する。
【0157】
次に、本発明の第4の実施の形態としての接続監視システム66を用いてバイク400の構成部品の接続状況を監視する例について説明する。
【0158】
バイク400の走行中に部品411と部品412との固定が緩んだ場合、無線タグ7dおよび7eは接触を検知できないので組合せID41xの送信を停止する。判別装置88の接触判別部661は、組合せID41xが消失したことを検知する。接触判別部661は、組合せID41xの代替となる組合せID41yも受信されていないので、接触が解除されたと判別し、部品411および412の固定が緩んだことを表示装置に表示させ、スピーカから警告音を報知させる。
【0159】
ここで、利用者によってバイク400が停止させられ、部品412を部品411に再度固定させて接触させる作業が行われると、無線タグ7dおよび7eは接触を検知して組合せID41xを送信する。接触判別部661は、組合せID41xが再度受信されるようになったので、部品の接続状況が正常であると判別して、表示装置の表示およびスピーカからの警告音の出力を終了させる。
【0160】
また、利用者によって部品412の交換作業が行われるとき、部品412が部品411から取り外されると、無線タグ7dおよび7eは接触を検知できないので組合せID41xの送信を停止する。接触判別部661は、組合せID41xおよび代替となる組合せID41yが受信されていないので、接触が解除されたと判別し、部品411および部品412の固定が緩んだことを表示装置に表示させ、スピーカから警告音を報知させる。
【0161】
ここで、利用者によって代替の部品413が部品411に取り付けられると、無線タグ7dおよび7fが接触を検知して組合せID41yを送信する。接触判別部661は、組合せID41xの代替となる組合せID41yが受信されるようになったので、代替部品が接続されたと判別して、表示装置の表示およびスピーカからの警告音の出力を終了させる。
【0162】
次に、本発明の第4の実施の形態の効果について説明する。本発明の第4の実施の形態としての接続監視システムは、構成部品を代替部品に交換可能な機器において正しい組合せの部品同士の接触を常時監視することができる。
【0163】
例えば、本発明の第4の実施の形態としての接続監視システムは、バイク等のように、その構成部品が代替部品によってカスタマイズ可能な機器において、カスタマイズされた代替部品が固定して接続されているかを監視することができる。
【0164】
また、本発明の接続監視システムは、走行中の振動によって構成部品の固定が緩むことがあるバイク等のように、利用中に部品同士の接触が解除された場合に迅速な対応が必要な機器において、構成部品の接続状況を常時監視することができる。
【0165】
その理由は、構成部品同士の正しい組合せを識別する組合せIDに、代替となる部品同士の組合せIDを関連づけてあらかじめ記憶しておくので、接続監視システムは、構成部品の組合せIDおよび代替の組合せIDのどちらも受信しない場合に接続が解除されたと判別し、構成部品の組合せIDおよび代替の組合せIDのいずれかを受信すれば、構成部品が正常に接続していると判別できるからである。
【0166】
次に、本発明の第5の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0167】
本発明の第5の実施の形態では、本発明の判別システムを、テニス等のスポーツやゲームにおける審判を支援する審判支援システムに適用した例について説明する。
【0168】
本発明の第5の実施の形態における審判支援システム600の構成を図21に示す。なお、図21において、本発明の第2の実施の形態としての判別システムと同一の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0169】
審判支援システム600は、タグリーダ801、コンピュータ装置802、表示装置803、およびスピーカ804によってから構成される判別装置8と、無線タグ77aおよび77b(以下、総称して無線タグ77ともいう)とを備えている。なお、図21には2つの無線タグ77を図示しているが、本発明の判別システムとしての審判支援システム600が備える無線タグの数を限定するものではない。
【0170】
無線タグ77は、本発明の第2の実施の形態における無線タグ7とは、接続用回路702がメッシュ状に構成されている点が異なる。無線タグ77aおよび77bは、テニスボール441およびテニスコートのライン442にそれぞれ取り付けられ、テニスボール441およびライン442をメッシュ状の接続用回路702でそれぞれ覆っている。
【0171】
無線タグ77の個別ID格納手段22は、取り付けられた接触部分の種類を識別する個別IDを格納している。例えば、図22に示すように、無線タグ77aは、テニスボール441の種類を識別する個別ID441を格納し、無線タグ77bは、ライン442の種類を識別する個別ID442を格納している。
【0172】
また、無線タグ77の組合せID生成手段24は、接続部70同士が接触すると、組合せIDを生成する。例えば、図23に示すように、無線タグ77aおよび77bが接触すると、各無線タグの組合せID生成手段24は、組合せID44xを生成する。
【0173】
次に、判別装置8の構成について説明する。
【0174】
タグリーダ801は、無線タグ77aおよび77bから送信される組合せIDを受信可能な場所に設置されている。
【0175】
判別装置8のIDデータベース80は、テニスボール441とライン442との組合せID44xを格納している。
【0176】
以上のように構成された審判支援システム600の動作について、図24を用いて説明する。なお、無線タグ77は、本発明の第2の実施の形態における無線タグ7と同様に動作するため、図24では無線タグ77の動作の図示を省略し、判別装置8の動作のみを図示している。
【0177】
まず、ID受信手段31によって無線タグ77から組合せIDが受信されると(ステップS51でYes)、接触判別部81は、受信された組合せIDがIDデータベース80に格納されているか否かに基づいて、テニスボールとラインの組合せであるか否かを判断する(ステップS52)。
【0178】
ここで、テニスボール441とライン442との組合せであると判断した場合、接触判別部81は、テニスボール441とライン442との接触有りと判別し、接触報知手段83に報知させる(ステップS53)。
【0179】
一方、テニスボール441とライン442との組合せでないと判断した場合、接触判別部81は、テニスボールとラインとの接触無しと判別し、接触報知手段83に報知させる(ステップS54)。
【0180】
以上で審判支援システム600は動作を終了する。
【0181】
次に、本発明の第5の実施の形態の審判支援システム600によってテニスの審判を支援する例について説明する。
【0182】
テニスボールがテニスコートのライン近傍を通過した場合、テニスボールがラインに接触していることが接触報知手段83から報知されれば、審判者は、テニスボールはコート内で接地したと判定する。
【0183】
一方、テニスボールがラインに接触していないことが接触報知手段83から報知されれば、審判者は、テニスボールがラインに接触しておらずコート外で接地したと判定する。
【0184】
次に、本発明の第5の実施の形態の効果について述べる。本発明の第5の実施の形態としての審判支援システムは、複数の物体の接触の有無およびその組合せの判別に基づく審判を支援することができる。
【0185】
例えば、本発明の第5の実施の形態としての審判支援システムは、ボールが高速な場合等のように審判者の熟練度または高速度カメラの録画映像によるだけではテニスボールとラインとが接触したか否かの判断が難しい場合にも、さらに正確な審判を支援することができる。
【0186】
その理由は、無線タグ同士が接触したときに閉回路を形成するための接続用回路をメッシュ状に形成することにより、テニスボールやライン等、接触の有無を判別する対象となる物体の表面を覆って無線タグを取り付けることができ、対象となる物体の表面と表面とが一瞬でも接触したか否かを判別できるからである。
【0187】
なお、上述した本発明の各実施の形態において、無線タグの動作は、本発明の送信プログラムを構成するプログラムモジュールとして無線タグのICチップのメモリに格納され、ICチップの制御部によって実行されるようにしてもよい。
【0188】
また、上述した本発明の各実施の形態において、判別装置の動作は、本発明の判別プログラムを構成するプログラムモジュールとして判別装置の記憶装置に格納され、CPUによって実行されるようにしてもよい。
【0189】
また、上述した各実施の形態は、適宜組み合わせて実施されることが可能である。
【0190】
また、本発明は、上述した各実施の形態に限定されず、様々な態様で実施されることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0191】
本発明は、組合せられた複数の物体の種類および接触の有無を判別することができる判別システムを提供することができ、機器を組み立てる作業を監視する作業監視システム、機器の構成部品の接続状況を監視する接続監視システム、スポーツやゲーム等における審判支援システム等として好適である。
【符号の説明】
【0192】
1 判別システム
6、61 作業監視システム
66 接続監視システム
600 審判支援システム
2、7、77 無線タグ
3、8、88 判別装置
21、72 接触検知手段
22 個別ID格納手段
23、73 個別ID送受信手段
24 組合せID生成手段
25 組合せID送信手段
31 組合せID受信手段
32、82 接触判別手段
83 接触報知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線タグと、判別装置とを備え、
前記無線タグは、
物体が他の物体に接触する接触部分に取り付けられ、
前記接触部分の種類を識別する個別IDを格納した個別ID格納手段と、
前記接触部分が前記他の物体の接触部分に接触していることを検知する接触検知手段と、
前記接触検知手段によって接触が検知されたとき前記個別IDを前記他の接触部分に取り付けられた他の無線タグとの間で送受信する個別ID送受信手段と、
前記個別ID格納手段に格納された個別IDおよび前記個別ID送受信手段によって受信された他の個別IDに基づいて前記接触部分の種類および前記他の接触部分の種類の組合せを識別する組合せIDを生成する組合せID生成手段と、
前記組合せID生成手段によって生成された組合せIDを無線通信によって送信する組合せID送信手段と、を有し、
前記判別装置は、
前記無線タグから送信される組合せIDを無線通信によって受信する組合せID受信手段と、
前記組合せID受信手段によって前記組合せIDが受信されたか否かに基づいて、前記接触部分および前記他の接触部分が接触しているか否かを判別する接触判別手段と、を有する判別システム。
【請求項2】
前記無線タグの接触検知手段は、前記他の無線タグが有する接続部に接続するための接続部と、前記接続部が他の接続部に接続されたことを検知する接続検知部とを有し、
前記個別ID送受信手段は、前記接続部を介して前記個別IDを送受信し、
前記判別装置の接触判別手段は、
接触を判別する対象となる複数の接触部分の種類の組合せを識別する組合せIDを格納したIDデータベースと、
前記組合せID受信手段によって受信された組合せIDが前記IDデータベースに格納されているか否かに基づいて、前記対象となる複数の接触部分の組合せが接触しているか否かを判別する接触判別部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の判別システム。
【請求項3】
前記接触判別装置の接触判別手段は、
前記組合せID受信手段によって受信された組合せIDを格納する受信ID格納部をさらに備え、
前記接触判別部は、前記受信ID格納部に格納された組合せIDが前記組合せID受信手段によって受信されなくなったとき、前記組合せIDが識別する組合せの複数の接触部分の接触が解除されたと判別することを特徴とする請求項2に記載の判別システム。
【請求項4】
前記IDデータベースは、前記組合せIDに、該組合せIDが識別する複数の接触部分の組合せの代替となる複数の接触部分の組合せを識別する組合せIDを関連づけてさらに格納しておき、
前記接触判別部は、前記IDデータベースに格納された組合せIDおよびこれに関連づけられた代替の組合せIDのいずれかが前記組合せID受信手段によって受信されたか否かに基づいて、前記対象となる複数の接触部分の組合せが接触しているか否かを判別することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の判別システム。
【請求項5】
前記無線タグの組合せID送信手段は、前記接続部に前記他の無線タグが接続されていないとき前記個別ID格納手段に格納された個別IDを送信し、
前記判別装置の組合せID受信手段は、前記無線タグから送信される前記個別IDをさらに受信し、
前記接触判別部は、前記IDデータベースに格納された組合せIDが前記組合せID受信手段によって受信されない場合、該組合せIDに基づいて前記個別IDを求め、該個別IDが前記組合せID受信手段によって受信されたか否かに基づいて、前記対象となる組合せの各接触部分を含む物体がそれぞれ不足しているか否かを判別することを特徴とする請求項2から請求項4のいずれかに記載の判別システム。
【請求項6】
前記判別装置は、
前記接触判別手段による判別結果を報知する接触報知手段をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の判別システム。
【請求項7】
物体が他の物体に接触する接触部分に取り付けられ、
前記接触部分の種類を識別する個別IDを格納した個別ID格納手段と、
前記接触部分が前記他の物体の接触部分に接触していることを検知する接触検知手段と、
前記接触検知手段によって接触が検知されたとき前記個別IDを前記他の接触部分に取り付けられた他の無線タグとの間で送受信する個別ID送受信手段と、
前記個別ID格納手段に格納された個別IDおよび前記個別ID送受信手段によって受信された他の個別IDに基づいて前記接触部分の種類および前記他の接触部分の種類の組合せを識別する組合せIDを生成する組合せID生成手段と、
前記組合せID生成手段によって生成された組合せIDを無線通信によって送信する組合せID送信手段と、
を備えた無線タグ。
【請求項8】
前記接触検知手段は、前記他の無線タグが有する接続部に接続するための接続部と、前記接続部が他の接続部に接続されたことを検知する接続検知部とを有し、
前記個別ID送受信手段は、前記接続部を介して前記個別IDを送受信することを特徴とする請求項7に記載の無線タグ。
【請求項9】
無線タグから送信され、前記無線タグが取り付けられた物体の接触部分の種類および前記接触部分に接触する他の物体の接触部分の種類の組合せを識別する組合せIDを無線通信によって受信する組合せID受信手段と、
前記組合せID受信手段によって前記組合せIDが受信されたか否かに基づいて、前記接触部分および前記他の接触部分が接触しているか否かを判別する接触判別手段と、
を備えた判別装置。
【請求項10】
前記接触判別手段は、
接触を判別する対象となる複数の接触部分の種類の組合せを識別する組合せIDを格納したIDデータベースと、
前記組合せID受信手段によって受信された組合せIDが前記IDデータベースに格納されているか否かに基づいて、前記対象となる複数の接触部分の組合せが接触しているか否かを判別する接触判別部と、を有することを特徴とする請求項9に記載の判別装置。
【請求項11】
物体が他の物体に接触する接触部分に取り付けられる無線タグと判別装置とを用い、
前記無線タグが、
前記接触部分の種類を識別する個別IDを記憶装置に格納する個別ID格納ステップと、
前記接触部分が前記他の物体の接触部分に接触していることを検知する接触検知ステップと、
前記接触検知ステップで接触が検知されたとき前記個別IDを前記他の接触部分に取り付けられた他の無線タグとの間で送受信する個別ID送受信ステップと、
前記個別ID格納ステップで格納した個別IDおよび前記個別ID送受信ステップで受信された他の個別IDに基づいて前記接触部分の種類および前記他の接触部分の種類の組合せを識別する組合せIDを生成する組合せID生成ステップと、
前記組合せID生成ステップで生成された組合せIDを無線通信によって送信する組合せID送信ステップと、を実行し、
前記判別装置が、
前記組合せID送信ステップで送信された組合せIDを無線通信によって受信する組合せID受信ステップと、
前記組合せID受信ステップで前記組合せIDが受信されたか否かに基づいて、前記接触部分および前記他の接触部分が接触しているか否かを判別する接触判別ステップと、を実行する判別方法。
【請求項12】
前記無線タグは、
前記接触検知ステップで、前記無線タグが有する接続部が前記他の無線タグが有する他の接続部に接続されたことを検知し、
前記個別ID送受信ステップで、前記接続部を介して前記個別IDを送受信し、
前記判別装置は、
前記接触判別ステップで、接触を判別する対象となる複数の接触部分の種類の組合せを識別する組合せIDが格納されたIDデータベースに、前記組合せID受信ステップで受信された組合せIDが格納されているか否かに基づいて、前記対象となる複数の接触部分の組合せが接触しているか否かを判別することを特徴とする請求項11に記載の判別方法。
【請求項13】
物体が他の物体に接触する接触部分の種類を識別する個別IDを記憶装置に格納する個別ID格納ステップと、
前記接触部分が前記他の物体の接触部分に接触していることを検知する接触検知ステップと、
前記接触検知ステップで接触が検知されたとき前記個別IDを前記他の接触部分に取り付けられた他の無線タグとの間で送受信する個別ID送受信ステップと、
前記個別ID格納ステップで格納した個別IDおよび前記個別ID送受信ステップで受信された他の個別IDに基づいて前記接触部分の種類および前記他の接触部分の種類の組合せを識別する組合せIDを生成する組合せID生成ステップと、
前記組合せID生成ステップで生成された組合せIDを無線通信によって送信する組合せID送信ステップと、を無線タグに実行させる送信プログラム。
【請求項14】
無線タグから送信され、前記無線タグが取り付けられた物体の接触部分の種類および前記接触部分に接触する他の物体の接触部分の種類の組合せを識別する組合せIDを無線通信によって受信する組合せID受信ステップと、
前記組合せID受信ステップで前記組合せIDが受信されたか否かに基づいて、前記接触部分および前記他の接触部分が接触しているか否かを判別する接触判別ステップと、を判別装置に実行させる判別プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2011−123539(P2011−123539A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−278452(P2009−278452)
【出願日】平成21年12月8日(2009.12.8)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】