説明

制御された多孔度を有する触媒を利用する選択的水素化法

【課題】本発明は、ガソリンに含まれる多価不飽和化合物の一価不飽和化合物への選択的水素化と、不飽和化合物との反応による軽質硫黄含有化合物のより重質な化合物への変換を一緒に行うことができる方法であって、硫化された形態で担体上に担持されて第VIB族からの少なくとも1種の金属と、第VIII族からの少なくとも1種の非貴金属とを含み、制御された多孔度を有する担持型触媒を利用する方法に関する。
【解決手段】本発明の方法は、80〜220℃の温度、1〜10h−1の液空間速度、0.5〜5MPaの圧力で供給材料を触媒と接触させることからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
新しい環境規格を満足するガソリンの製造には、一般的には50ppmを超えない、好ましくは10ppm未満の値に至る硫黄含有量の大幅な低減が必要とされる。
【0002】
転化ガソリン、より特定的には、接触分解からのもの(これは、ガソリンプールの30〜50%を示し得る)のモノオレフィンおよび硫黄の含有量が高いことも知られている。
【0003】
このため、ガソリン中に存在する硫黄のほぼ90%が接触分解法からのガソリン(以降では、FCC(fluid catalytic cracking:流動接触分解)ガソリンと称する)に起因すると考えることができる。FCCガソリンは、それ故に、本発明の方法の好ましい供給材料を構成する。
【0004】
より一般的には、本発明の方法は、所定比率のジオレフィンを含むあらゆるガソリン留分に適用可能であり、C3およびC4留分からのいくつかのより軽質の化合物も含んでよい。
【0005】
クラッキング装置からのガソリンは、一般的に、モノオレフィンおよび硫黄を豊富に含んでいるが、ジオレフィンも、接触分解からのガソリンに対して、1〜5重量%の量で含んでいる。ジオレフィンは、容易にポリマー化する不安定な化合物であり、一般的に、ガソリン中の硫黄量に関する規格を満足させることを目的とする水素化脱硫処理を用いる等によりこれらのガソリン加工処理する前に除去されなければならない。しかしながら、モノオレフィンの水素化を制限するようにおよび水素の消費およびガソリンのオクタン価の喪失を制限するように当該水素化はジオレフィンに対して選択的に適用されなければならない。さらに、EP−A1−1 077 247に記載されるように、飽和軽質硫黄含有化合物(これは、チオフェンの沸点より低い沸点を有する硫黄含有化合物、例えばメタンチオール、エタンチオール、ジメチルスルフィド等である)を、より重質な化合物に変換し、その後に、脱硫黄化工程を行うことが有利である。このようにすれば、簡単な蒸留により、オクタン価を喪失することなく5個の炭素原子を含有するモノオレフィンから主としてなる脱硫ガソリンフラクションを生じさせることができるからである。選択的水素化および軽質硫黄含有化合物のより重質な化合物への変換後に原料油における硫黄含有量が改変されるわけではなく、軽質硫黄含有化合物のより重質な化合物への変換に起因して硫黄の性質が改変されるだけである。
【0006】
さらに、処理されるべき供給材料中に存在するジエン化合物は不安定であり、ポリマー化することによりガム状物を形成する傾向がある。このようなガム状物形成によって、選択的水素化触媒が徐々に不活性化するか、または、徐々に反応器が閉塞させられる。それ故に、工業的な適用のために、ポリマーの形成を制限する触媒、すなわち、供給材料の炭化水素によるポリマーまたはガム状物前駆体の連続的な抽出を促進するように酸性度が低いかまたは多孔度が最適化された触媒を用いて、触媒の最大耐用期間を確実にすることが重要である。
【0007】
本発明は、多価不飽和化合物、より詳細にはジオレフィンの水素化と、軽質硫黄含有化合物、より詳細には、チオールのより重質な化合物への変換とを一緒に行うことができる方法における新規触媒の使用に関する。
【0008】
本発明の一つの利点は、チオールをより重質な化合物に変換し、次の水素化脱硫工程においてより容易にそれらを分離しそれ故にそれらを除去することによって硫黄除去を促進することである。
【0009】
本発明の別の利点は、オクタン価が高いガソリンを製造することである。
【0010】
本発明のさらなる利点は、ジオレフィン化合物を除去しそれ故に供給材料が安定化されてから水素化脱硫装置へそれが通過するようにさせることである。
【0011】
本発明の第3の利点は、ポリマー形成の点に関して触媒のより良好な安定化、ジオレフィン水素化の点に関して良好な選択性およびチオールおよび他の軽質硫黄含有化合物の転化における良好な活性を確実に行うように触媒形成が調節される事実にある。
【背景技術】
【0012】
文献には、ジオレフィンをモノオレフィンに選択的に水素化するか、チオールをより重質な化合物に変換するか、あるいは、これら2つのタイプの反応を1または2工程で行うことができる触媒形成または方法が記載されている。
【0013】
少なくとも1種の貴金属を含有する触媒の使用が知られている。多くの特許により、パラジウムを含有する選択的水素化のための触媒が提案されている。パラジウムは、その水素化活性のために知られており、選択的水素化法において広く用いられている。しかしながら、パラジウムは被毒し易く、特に、硫黄の存在下において被毒し易い。本発明は、本発明の触媒がパラジウムを含有せず、より広範には、貴金属を全く含有しない点でそれらの触媒とは異なる。
【0014】
特許文献1には、0.1〜1重量%のパラジウムを含有する触媒に基づいてジオレフィンを水素化し、かつ、接触分解ガソリンのチオール含有量を低減させる方法が提案されている。
【0015】
特許文献2には、少なくとも1種の第VIII族金属(好ましくは、白金、パラジウムおよびニッケルから選択される)と、少なくとも1種の追加金属M(好ましくは、ゲルマニウム、スズ、鉛、チタン、鉄、モリブデン、タングステンおよびレニウムによって形成される群から選択される)とを含む触媒が提案されている。触媒は、金属Mを導入する前の反応器内での還元によって第VIII族金属が活性化されることを特徴とする。本発明の触媒は、調製期間の間に還元を経ない点でこの特許とは異なる。
【0016】
以下の特許および特許出願には、ジオレフィンを選択的に水素化するための解決方法が提案されている;硫黄含有化合物に影響を及ぼすかもしれない反応(もしそれらが存在する場合)は言及されていない。
【0017】
特許文献3は、アルミナをベースとする担体上にニッケルおよびモリブデンを含有する触媒上でジオレフィンを選択的に水素化する方法に関する。この方法は、ニッケルおよびモリブデン金属が酸化物の形態で用いられることを特徴とする。本発明は、酸化物ではなく金属スルフィドの形態で金属が用いられる点で従来技術とは異なる。
【0018】
特許文献4には、アルミナに担持されたニッケルをベースとする触媒を必要とする選択的に水素化する方法が提案されている。この触媒はまた、好ましくは、1〜10%のモリブデンを含んでもよい。この触媒はまた、総細孔容積が0.4cm/g超であり、当該容積の40〜80%が0.05ミクロン超の直径を有する細孔に相当し、0.05〜1ミクロン直径を有する細孔が細孔容積の20%超を示すような細孔分布によって特徴付けられる。この特許にはまた、それらの部分的な硫化の前に金属を還元することが好ましいことが教示されている。本発明の触媒は、第一に10重量%超のモリブデンの量の点および酸化物状態の金属上で行われる硫化工程の点でこの従来技術とは異なる。
【0019】
次の特許および特許出願には、チオエステル化反応によりチオールをより重質の化合物に変換し、場合によっては、ジオレフィンを選択的に水素化するための解決方法が提案されている。
【0020】
特許文献5には、第1工程において、第VIII族金属(好ましくはニッケル)を酸化物の形態で含む触媒を用いてチオールをジオレフィンに付加することによってこれをスルフィドに変換することができ、次いで第2工程において、水素の存在下に反応蒸留塔においてジオレフィンを選択的に水素化する方法が提案されている。本発明は、選択的水素化および硫黄含有化合物をより重質の化合物に変換する工程が、スルフィドの形態で用いられる同一の触媒を用いて一緒に行われる点でこの特許とは異なる。
【0021】
特許文献6には、軽質化合物およびチオエステルを別々に回収し得る2つの分別帯域を含む蒸留装置によって特徴付けられるC3−C5留分の選択的水素化およびチオエステル化方法が記載されている。記載される触媒は、第VIII族金属をベースとする触媒または金属を含有する樹脂のいずれかである。15〜35%のニッケルを含有する触媒が好ましい。水素化金属が第VIB族金属であり、ニッケル含有量が15重量%未満であるので、本発明の触媒はこの特許の触媒とは異なる。
【特許文献1】欧州特許出願公開第10685552号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第10623387号明細書
【特許文献3】米国特許第6469223号明細書
【特許文献4】米国特許第3472763号明細書
【特許文献5】米国特許第5807477号明細書
【特許文献6】米国特許第5851383号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
文献に記載された解決方法に照らすと、本発明により、制御された多孔度を有する触媒を用いて、多価不飽和化合物、より詳細には、ジオレフィンの水素化と、軽質硫黄含有化合物、より詳細には、チオールのより重質な化合物への変換とを一緒に行うことができる方法が提案される。前記触媒は、従来技術の触媒と比較して改善された安定性および活性を有する。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明により、多価不飽和化合物、より詳細には、ジオレフィンを選択的に水素化し、この水素化と共に飽和軽質硫黄含有化合物、より詳細にはチオールをより重質な化合物へ変換することができる方法であって、該方法は、第VIB族からの少なくとも1種の金属と、第VIII族からの少なくとも1種の非貴金属とを多孔質担体上に担持されて含有する触媒であって、
・第VIB族元素の酸化物の重量による量は、厳格に12重量%より大きく;
・第VIII族元素の酸化物重量による量は、15重量%未満であり;
・前記触媒の構成金属の硫黄度は、少なくとも60%であり;
・直径が0.05ミクロン超である細孔の容積は、総細孔容積の10〜40%である
触媒を用いる、方法が記載される。
【0024】
本方法は、処理されるべきガソリンおよび水素によって構成される混合物を触媒上に通過させる工程からなる。
【0025】
水素は、一般的に、ジオレフィンを水素化するのに必要な化学量論量(1モルのジオレフィン当たり水素1モル)に対してわずかに過剰から5モル/モルまでで導入される。
【0026】
ガソリンおよび水素によって構成される混合物が触媒と接触させられる際の圧力は0.5〜5MPaであり、その際の温度は80〜220℃であり、液空間速度(liquid hourly space velocity:LHSV)は1〜10h−1である(液空間速度は、1時間当たりかつ触媒1リットル当たりの供給材料のリットル(l/l/h)で表される)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明は、あらゆるタイプの化学的な族、特に、ジオレフィン、モノオレフィン、およびチオールおよび軽質スルフィドの形態の硫黄含有化合物を含むガソリンの処理方法に関する。本発明は、転化ガソリン、特に、接触分解、流動床接触分解(FCC)、コーキング法、ビスブレーキング法または熱分解法からのガソリンの変換において特に適用性がある。本発明が適用可能である供給材料の沸点は、0〜280℃、より精密には30〜250℃である。供給材料はまた、3または4個の炭素原子を含有する炭化水素を含んでもよい。
【0028】
例えば、接触分解装置からのガソリン(FCC)は、平均して、0.5〜5重量%のジオレフィン、20〜50重量%のモノオレフィン、10重量ppm〜0.5重量%の硫黄(一般的には、300重量ppm未満のチオールを含む)を含有する。チオールは、一般的には、軽質ガソリンフラクション、より精密には、沸点が120℃未満であるフラクション中に濃縮される。
【0029】
本方法に記載されたガソリンの処理は、主として、
・ジオレフィンをモノオレフィンに選択的に水素化すること
・モノオレフィンとの反応により、軽質飽和硫黄含有化合物、主としてチオールおよび軽質スルフィドをより重質のスルフィドまたはチオールに変換すること
からなる。
【0030】
ジオレフィンのモノオレフィンへの水素化は、1,3−ペンタジエン(容易にポリマー化する不安定な化合物である)を、水素の付加によりペンタ−2−エンに変換することによって下記のように説明される。しかしながら、二次的なモノオレフィンの水素化反応は制限されなければならない。下記例において示されるように、モノオレフィンの水素化反応により、n−ペンタンが形成されるだろうからである。
【0031】
【化1】

【0032】
変換されるべき硫黄含有化合物は、主としてチオールである。主たるチオール変換反応は、チオールによるモノオレフィンのチオエステル化からなる。この反応は、ペンタン−2−チオールのペンタ−2−エンへの付加により、プロピルペンチルスルフィドが形成されることによって下記のように説明される。
【0033】
【化2】

【0034】
水素の存在下に、硫黄含有化合物の変換は、HSの中間的な形成、次いで、これの供給材料中存在する不飽和化合物への付加によって行われてもよい。しかしながら、これは、好ましい反応条件下でのマイナーな経路である。
【0035】
チオールに加えて、より重質な化合物に変換され得る化合物は、スルフィド、主としてジメチルスルフィド、メチルエチルスルフィドおよびジエチルスルフィド、CS、COS、チオフェンおよびメチルチオフェンである。
【0036】
所定の場合には、軽質窒素含有化合物、主として、ニトリル、ピロールおよびその誘導体をより重質な化合物に変換する反応を観察することも可能である。
【0037】
本発明において記載される方法は、処理され、水素の流れに混合されるべき供給材料を、第VIB族(新周期律表表記法における第6族:Handbook of Chemistry and Physics,第76版,1995−1996)からの少なくとも1種の金属と、少なくとも1種の第VIII族非貴金属(前記分類の第8、9および10族)とを多孔質担体に担持されて含有する触媒と接触させることからなる。
【0038】
特に、触媒が以下の特徴を有している時に触媒性能が向上させられることが確立された。
【0039】
酸化物の形態の第VIB族元素の酸化物の重量による量は、厳格に12重量%超であり、好ましくは、厳格に14重量%超である。第VIB族金属は、好ましくは、モリブデンおよびタングステンから選択される。より好ましくは、第VIB族金属はモリブデンである。
【0040】
触媒はまた、第VIII族非貴金属、好ましくは、ニッケル、コバルトおよび鉄から選択される金属を含有する。より好ましくは、第VIII族非貴金属は、ニッケルによって構成される。第VIII族非貴金属の量(酸化物の形態で表される)は、15重量%未満、好ましくは1〜10重量%である。
【0041】
第VIII族非貴金属と第VIB族金属との間のモル比は、0.2〜0.5mol/mol、好ましくは0.25〜0.45mol/molである。
【0042】
好ましくは、水銀多孔度測定法によって測定される総細孔容積が0.4cm/g超、好ましくは0.4〜0.8cm/g、非常に好ましくは0.5〜0.7cm/gである触媒が用いられる。水銀多孔度測定法は、140°のぬれ角を有するASTM D4284−92標準を用い、MicromeriticsからのAutopore IIIモデルにより行われる。
【0043】
触媒の比表面積は、好ましくは250m/g未満、より好ましくは30〜150m/gである。
【0044】
さらに、直径が0.05ミクロン超である細孔の触媒細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は、総細孔容積の10〜40%、好ましくは15〜35%、より好ましくは18〜35%である。
【0045】
直径が0.1ミクロン超である触媒の細孔容積は、総細孔容積の好ましくは多くとも20%、より好ましくは多くとも15%を示す。本発明者らは、この細孔分布が触媒中のガム状物形成を制限することを観察した。
【0046】
直径が0.004〜0.009ミクロンである触媒の細孔容積は、総細孔容積の好ましくは1〜5%、より好ましくは2〜4%を示す。
【0047】
好ましくは、本発明の触媒は、アルカリ金属とアルカリ土類金属のどちらも含有しない。
【0048】
好ましくは、本発明の触媒は、ハロゲン、特にフッ素を全く含有しない。
【0049】
好ましくは、酸化物の形態下にある触媒試験前の本発明の触媒は、炭素を全く含有しない。
【0050】
触媒担体は、好ましくは、アルミナ、シリカ、炭化ケイ素およびこれらの酸化物の混合物から選択される多孔質金属酸化物である。より好ましくは、アルミナが用いられ、一層より好ましくは、高純度アルミナ(pure alumina)である。
【0051】
非常に好ましくは、立方晶ガンマアルミナまたはデルタアルミナが用いられ得、より好ましくはデルタアルミナが用いられる。
【0052】
好ましくは、水銀多孔度測定法によって測定される総細孔容積が0.4〜0.9cm/g、好ましくは0.5〜0.8cm/gである担体が用いられる。
【0053】
さらに、直径が0.1ミクロン超である細孔の担体の細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は、総細孔容積の好ましくは0〜30%、より好ましくは5〜20%である。
【0054】
直径が0.05ミクロン超である担体の細孔容積は、総細孔容積の10〜50%、好ましくは15〜40%である。
【0055】
担体の比表面積は、好ましくは250m/g未満、より好ましくは30〜150m/gである。
【0056】
本発明の好ましい実施形態は、1〜10%の量のNiOの形態にあるニッケル酸化物、12%超の量のMoOの形態にあるモリブデン酸化物を含有し、ニッケル/モリブデンのモル比が0.25〜0.45であり、金属は高純度アルミナ担体上に担持され、触媒を構成する金属の硫化度が80%超であり、かつ、直径が0.05ミクロン超である触媒の細孔容積が18〜35%である触媒を用いることに対応する。
【0057】
本発明の触媒は、当業者に知られるあらゆる技術を用いて調製されてよいが、特に、第VIII族および第VIB族から選択される元素を、選択された担体上に含浸させることによって調製される。前記含浸は、例えば、可及的に正確に担体の多孔度を満たすように、所望量の元素が選択された溶媒、例えば脱塩水に可溶な塩の形態で正確に導入される乾式含浸のような当業者に知られた技術を用いて行われてよい。その時までに溶液で満たされた担体は、好ましくは乾燥させられる。好ましい担体はアルミナであり、これは、当業者に知られたあらゆるタイプの前駆体および形状化のツールから調製されてよい。
【0058】
第VIII族および第VIB族元素を導入し、場合によっては、触媒を形状化した後、それは、活性化処理を経る。この処理は、一般的には、元素の分子前駆体を酸化物相に変換することを目的とする。この場合、それは酸化処理であるが、触媒の単純な乾燥も行われてよい。か焼とも称される酸化処理の場合、これは、一般的に、空気中または希釈酸素中で行われ、処理温度は、一般的には200〜550℃、好ましくは300〜500℃である。触媒調製法において用いられてよい第VIB族および第VIII族金属の塩の例は、硝酸コバルト、硝酸ニッケル、七モリブデン酸アンモニウムおよびメタタングステン酸六アンモニウムである。当業者に知られており、十分な溶解性を有し、かつ、活性化処理の間に分解し得るあらゆる他の塩も用いられてよい。
【0059】
か焼後、担体上に担持された金属は酸化物の形態にある。ニッケルおよびモリブデンの場合、金属は、主として、MoOおよびNiOの形態にある。処理されるべき供給材料との接触の前に、触媒は硫化工程を経る。金属酸化物をMoSおよびNi等のスルフィドに変換するために、硫化は、好ましくは、スルホ還元媒体(sulphoreducing medium)中、すなわち、HSおよび水素の存在下に行われる。硫化は、HSと水素を含有する流れ、または、触媒の存在下にHSに分解し得る硫黄含有化合物と水素を触媒上に注入することによって行われる。ジメチルジスルフィド等のポリスルフィドは、触媒を硫化するために通常に用いられるHSの前駆体である。温度は、HSが金属酸化物と反応して金属スルフィドを形成するように調整される。前記硫化は、水素化脱硫反応器に対して現場または現場外(反応器の外側または内側)で行われてよく、その際の温度は、200〜600℃、より好ましくは300〜500℃である。
【0060】
活性であるようにするために、金属は、十分に硫化されなければならない。触媒上に存在する硫黄(S)と前記元素との間のモル比が、考慮中の元素の完全硫化に相当する理論モル比の少なくとも60%である:
(S/元素)触媒≧0.6×(S/元素)理論
場合に、元素は、「十分に」硫化されると考えられる。
【0061】
ここで:
(S/元素)触媒は、触媒上に存在する硫黄(S)と元素との間のモル比である;
(S/元素)理論は、元素のスルフィドへの完全硫化に相当する硫黄と元素との間のモル比である。
【0062】
この理論モル比は、考慮中の元素によって決まる:
(S/Fe)理論=1
(S/Co)理論=8/9
(S/Ni)理論=2/3
(S/Mo)理論=2/1
(S/W)理論=2/1。
【0063】
触媒が複数種の金属を含むとすると、触媒上に存在するSと合算された元素と間のモル比も、各元素のスルフィドへの完全硫化に相当する理論モル比の少なくとも60%でなければならず、計算は、各元素の相対的なモルの割合に比例して行われる。
【0064】
例えば、モリブデンおよびニッケルを含みそれぞれのモルの割合が0.7および0.3である触媒について、最小のモル比(S/Mo+Ni)は、関係式:
(S/Mo+Ni)触媒=0.6×{(0.7×2)+(0.3×(2/3))}
によって与えられる。
【0065】
非常に好ましくは、金属の硫化度は80%超である。
【0066】
硫化は、従前の金属還元工程を行うことなく酸化物の形態にある金属について行われる。還元された金属を硫化することは、酸化物の形態にある金属を硫化することより困難であることが知られている。
【0067】
本発明の選択的水素化法では、処理されるべき供給材料は、水素と混合され、その後に、触媒と接触させられる。注入される水素の量は、水素と水素化されるべきジオレフィンとの間のモル比(mol/mol)が1(化学量論)超かつ10未満、好ましくは1〜5であるようにされる。水素があまりに過剰であると、モノオレフィンの過剰な水素化が引き起こされ、その結果として、ガソリンのオクタン価が低減し得る。供給材料全体は、一般的に、反応器の入口に注入される。しかしながら、それは、所定の場合には、反応器内に配置された2つの連続する触媒床の間に供給材料の一部または全部を注入することが有利であり得る。この実施形態は、供給材料中に存在するポリマー、粒子またはガム状物の沈着によって反応器への入口が閉塞されても反応器が操作を続けることを可能とすることができる。
【0068】
ガソリンおよび水素によって構成される混合物が触媒と接触させられる際の温度は、80〜220℃、好ましくは90〜200℃であり、液空間速度(LHSV)は1〜10h−1である。圧力は、反応混合物が反応器内で主として液体の形態であるように調整される。圧力は、0.5〜5MPa、好ましくは1〜4MPaである。
【0069】
上記条件下に処理されるガソリンのジオレフィンおよびチオールの含有量は低減させられる。製造されたガソリンが含有するジオレフィンは、一般的に1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満である。チオフェンの沸点(84℃)未満の沸点を有する概して転化された軽質硫黄含有化合物の量は50%超である。このため、蒸留によってガソリンの軽質フラクションを分離すること、および補足的処理を行うことなくこのフラクションを直接的にガソリンプールに送ることが可能である。ガソリンの軽質フラクションの終留点は、一般的に120℃未満、好ましくは100℃未満、より好ましくは80℃未満である。
【0070】
この新規な触媒は、欧州特許EP−A−1 077 247において記載された方法における使用に特に適している。
【0071】
(実施例1:触媒A、B、CおよびD(本発明に合致しない)、EおよびF(本発明に合致する)の調製)
触媒A、B、C、D、EおよびFは、乾式含浸法を用いて調製された。合成プロトコールは、七モリブデン酸六アンモニウムおよび硝酸ニッケルの溶液の乾式含浸を行うことからなり、金属前駆体を含有する水溶液の容積は、含浸させられるべき担体の質量に対応する水の吸上げ容積(細孔にしみ込むことができる水の全容積)に等しい。溶液中の前駆体の濃度は、金属酸化物の重量による所望量が担体上に担持されるように調整された。次いで、固体は、室温で12時間にわたり熟成のため放置され、120℃で12時間にわたり乾燥させられた。最後に、固体は、500℃で2時間にわたり空気中(1l/g・h)でか焼された。用いられたアルミナ担体は、Axensによって供給された工業用担体であった。調製された触媒の特徴は、下記表1に示される。調製された触媒は、それらの活性相含有量によって区別された。
【0072】
【表1】

【0073】
多孔度、比表面積、MoOの量およびNi/Moモル比の基準に従うと、触媒EおよびFは、それ故に本発明に合致しており、対照的に、触媒A、B、CおよびD(最低モリブデン含有量)は、本発明に合致していない。
【0074】
(触媒の評価)
触媒A、B、C、D、EおよびFの活性は、攪拌型500mLのオートクレーブ反応器において行われるモデル分子の混合物の選択的水素化試験を用いて評価された。典型的には、2〜6gの触媒が、硫化装置において大気圧で、15容積%のHSによって構成されたHS/H混合物中、1時間当たりかつ触媒1g当たり混合物1Lとして、400℃で2時間にわたり(5℃/分の立ち上げ)硫化され、次いで、純粋水素中200℃で2時間の一定温度段階が行われた。このプロトコールによって、本発明の全触媒について80%超の硫化度が引き出された。硫化触媒は、反応器に移され、空気から密閉され、次いで、1.5MPaの全圧および160℃の温度で250mLのモデル供給材料と接触させられた。圧力は、水素を加えることによって試験の間一定に維持された。活性試験のために用いられた供給材料は、次の組成を有していた:n−ヘプタン中、3−メチルチオフェンの形態にある硫黄 1000重量ppm、プロパン−2−チオールの形態にある硫黄 100重量ppm、1−ヘキセンの形態にあるオレフィン 10重量%。
【0075】
試験の時間t=0は、触媒および供給材料を接触させることを開始する時に対応する。試験の継続時間は45分に固定され、得られた液状流出物のガスクロマトグラフィー分析は、イソプレンの水素化(メチルブテンの形成)、1−ヘキセンの水素化(n−ヘキサンの形成)およびプロパン−2−チオールのより重質な化合物への変換(プロパン−2−チオールの消失)についての種々の触媒の活性の評価が行われることを可能にした。各反応についての触媒の活性は、各反応について得られた速度定数に対して定義され、触媒1グラムに規格化された。速度定数は、反応が一次であるとして計算された:
A(X)=k(X)/m
ここで:
A(X)=反応Xについての触媒の活性(触媒1g当たり分−1);
m=試験に用いられた触媒(酸化物形態)の質量;
k=下記式によって計算される考慮中の反応についての速度定数(分−1
k(X)=(1/45)*ln(100/100−conv(X)))
(ここで:
45=試験の継続時間(分);
Conv(X)=化合物Xの転化率;X=イソプロペンまたはプロパン−2−チオールまたは1ヘキセン);
X:考慮中の反応
X=イソプレン:イソプレンの水素化
X=1−ヘキセン:1−ヘキセンの水素化
X=プロパン−2−チオール:プロパン−2−チオールの転化。
【0076】
イソプレンの水素化の方への触媒の選択性は、イソプレンおよび1ヘキセンの水素化での触媒の活性の比:A(イソプレン)/A(1−ヘキセン)に等しい。
【0077】
種々の触媒について得られた結果は、下記表2に示される。
【0078】
【表2】

【0079】
触媒の全てがジオレフィンの水素化反応に関して高度に選択的であることが理解され得る。それ故に、これらの触媒は、1−ヘキセンを大きく水素化することなくイソプレンを十分に水素化し得る。
【0080】
試験条件下に、活性相が少ない触媒A以外の触媒の全てについて軽質チオールの転化が完全であることも理解され得る。
【0081】
触媒B、C、D、EおよびFの場合、無限大の活性は、プロパン−2−チオールの完全な転化を意味する。
【0082】
対照的に、本発明の触媒EおよびFのみが、最大のイソプレン水素化活性を有していた。
【0083】
このため、本発明の触媒は、ジオレフィンの選択的水素化および軽質チオールの転化を同時に行うことが可能であるようである。
【0084】
(実施例2:硫化度の影響)
上記の触媒Eは、実施例1において記載されたモデル分子試験(同一の供給材料および操作条件)において評価されたが、従前の硫化工程はない。この固体の硫化度は0であった。硫化ベンチ上での触媒硫化プロトコールの間の一定温度段階の温度でのHS/H混合物による還元(400℃から典型的には100〜150℃まで)はまた、触媒Eについて中間的な硫化度を引き出すことができた。表3は、前記触媒を用いて得られた、硫化度に応じた触媒の結果を記録する。触媒の従前の硫化は、イソプレンの水素化およびプロパン−2−チオールの転化における触媒の活性並びにその選択性に関して大きな有益な効果を有することが理解され得る。
【0085】
【表3】

【0086】
(実施例3:Ni/Moモル比の影響)
本実施例では、実施例1において記載された操作プロトコールを用いて触媒GおよびHが調製された。これらの触媒は、実質的に、それらのニッケル含有量、それ故に、Ni/Moモル比においてのみ触媒Eと異なる(表4)。このため、それらは、本発明に合致していない。
【0087】
【表4】

【0088】
触媒GおよびHは、実施例1に記載されたモデル分子試験において評価された。これらの触媒のために、採用された硫化プロトコールは、80%超の硫化度を引き出し得た。これらの触媒は、好ましい範囲に落ち着いた0.4のNi/Moモル比を有し類似の硫化度を有する触媒Eと比較された(表5)。
【0089】
【表5】

【0090】
触媒G(Ni/Mo比:0.13)の水素化活性およびプロパン−2−チオールの転化が本発明の触媒Eのそれらより低いことが分かるだろう。ニッケル含有量の大きな増加(触媒H,Ni/Mo比:1.34)が、活性および選択性の点で触媒の性能を向上させないことも分かるだろう。
【0091】
(実施例4:総細孔容積の10〜40%のマクロ孔容積の影響)
触媒I、JおよびKは、実施例1に記載されたプロトコールを用いて調製されたが、Axensによって供給された種々のアルミナ担体Al−1、Al−2およびAl−3を用いた。これら担体の性能は、下記表6に示される。
【0092】
【表6】

【0093】
これらの触媒の特徴および触媒Eの特徴は、下記表7に示される。触媒EおよびIは、本発明に合致していた。触媒Jは、本発明に合致していなかった。直径が0.05ミクロン超である細孔の細孔容積の割合が40%より大きい(45%)からである。触媒Kも本発明に合致していなかった。直径が0.05ミクロン超である細孔の細孔容積の割合が10%未満(3%)であるからである。
【0094】
【表7】

【0095】
沈降詰込密度(settled packing density:SPD)は、所与の容積中の触媒の最大量に相当し、立方センチメートル当たりの触媒1グラムに規格化される。これは、RETSCH AS 200制御バイブレータと、既知の容積および生成物の粒度分布に適合された直径(測定シリンダの直径は、粒子の直径の10倍でなければならない)の測定シリンダとを用いて評価された。較正後、容積Vを有する測定シリンダは、バイブレータ上に試験生成物により満たされた。振動は、3分にわたり0.03インチの振幅に維持され、生成物を加えることによりその高さが一定に維持された。沈降終了時に、生成物の表面はサンプルの上部ですくい取られた高さであり、充満した測定シリンダの質量が計量された。次いで、SPDは、触媒の強熱減量について修正された質量を、測定シリンダの容積で除算することによって得られた。一般に、触媒の多孔度が低くなる程、装填密度は大きくなるだろう。
【0096】
これらの触媒は、特徴が下記表8に与えられた接触分解ガソリン全体について試験された。共役ジエン含有量は、ディールス・アルダー反応による共役ジエンの無水マレイン酸との反応に基づいて測定された。MAV(maleic anhydride value:無水マレイン酸値)は、存在するジオレフィンの量に比例しており、標準IFP法:method9407を用いて測定された。MAVは、サンプル1グラム当たりの反応した無水マレイン酸のミリグラムで表された。IFP9407法は、標準化された326−82UOP法に類似している。該方法は、DV(diene value:ジエン値)を与え、2つの値は、関係式MAV=3.86DVによって関連付けられる。供給材料および流出物中の芳香族およびモノオレフィンの量は、クロマトグラフィーによって定量化された。供給材料および流出物の軽質チオールは、クロマトグラフィーによって定量化された。用いられた設備は、特異検出器であるa 355(Sievers Inc.,Boulder,CO,米国)と結合したHP5890シリーズII(Agilent Technologies)クロマトグラフであった。用いられたカラムは、非極性PONA(50m,0.2mm,0.20ミクロン)カラムであった。操作条件は、ASTM D 5623標準法に由来しており、硫黄含有化合物は、基準硫黄含有化合物の保持時間との比較によって識別された。
【0097】
【表8】

【0098】
実際の供給材料についての触媒を評価するために下記のプロトコールが用いられた。50cmの触媒が、n−ヘプタンと4%DMDS(dimethyldisulphide:ジメチルジスルフィド)/Hの混合物中で硫化され、H/硫化供給材料の容積比は500標準リットル/リットル(供給材料)(Nl/l)であり、硫化供給材料のHSVは2h−1(1時間当たりかつ触媒容積当たりの硫化供給材料の容積)であった。温度の立ち上げは、350℃の一定温度段階まで1℃/分であった。一定温度段階は4時間持続した。次いで、温度は、120℃に降下させられ、硫化供給材料は、4時間にわたり高純度n−ヘプタンにより置換され、次いで、FCCガソリンが注入され、操作条件は、所望の値に調整された。試験操作条件は、次の通りであった:全圧=2.5MPa、H/供給材料の比=6Nl/l、HSV=3h−1。触媒は、140℃および160℃で評価され、各一定温度段階の継続時間は、触媒の安定化期間に応じて調整され、流出物のMAVの規則的な分析によって評価された。
【0099】
4種の触媒についての時間に応じた流出物の残留MAVの変化が図1に示される。
【0100】
図1は、得られた残留MAVが最も低いことから、本発明に合致する触媒EおよびIが140℃および160℃で最も効率的にジオレフィンを除去することを示している。細孔容積が多すぎることによって特徴付けられる触媒Jは、多大な水素化活性の不足を有していた。最初の50時間を超えるまでは触媒Kの活性は、触媒EおよびIに匹敵していたが、圧壊に対する抵抗性に劣っており、それ故に、それは、より多く不活性化された。トルエンにより抽出した後に使用済み触媒について行われた残留する炭素の分析は、触媒Kの炭素含有量が触媒EおよびIの炭素含有量の約2倍の高さであることを示した。
【0101】
触媒のセットについて、選択された操作条件の下で、モノオレフィンの水素化は、限界に近いままであり、2%以下であった。
【0102】
【表9】

【0103】
表9は、触媒安定化後(各段階の最後の部分)の各温度における4種の触媒についての軽質チオールの転化率の変化を示す。選択された操作条件下で、触媒の全てが、大きな程度に供給材料の軽質チオールを転化していることが理解され得る。前記転化は、160℃で触媒EおよびIについて完全である。対照的に、軽質チオールを除去する際に本発明に合致する触媒EおよびIが触媒JおよびKより効果的であったことが理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】図1は、4種の触媒についての時間に応じた流出物の残留MAVの変化を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多価不飽和化合物を一価不飽和化合物に選択的に水素化すると共に、ガソリン中に含有される不飽和化合物との反応によって飽和軽質硫黄含有化合物をより重質な化合物に変換し得る方法であって、
該方法は、第VIB族からの少なくとも1種の金属と、第VIII族からの少なくとも1種の非貴金属とを多孔質担体上に担持されて含有する触媒であって、
・第VIB族元素の酸化物の重量による量は厳格に12重量%より多く;
・第VIII族元素の酸化物の量による量は15重量%未満であり;
・触媒構成金属の硫化度は少なくとも60%であり;
・直径が0.05ミクロン超である細孔の容積は、総細孔容積の10〜40%である
触媒を利用する方法。
【請求項2】
触媒は、モリブデンおよびタングステンから選択される第VIB族からの金属を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第VIB族金属がモリブデンである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
触媒は、ニッケル、コバルトおよび鉄から選択される第VIII族からの非貴金属を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
第VIII族非貴金属がニッケルである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
触媒は、第VIII族元素の酸化物を1〜10重量%の量で含む、請求項1〜5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
前記触媒の構成金属の硫化度が80%超である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
触媒のNi/Moモル比が0.2〜0.5である、請求項1〜7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
Ni/Moモル比が0.25〜0.45である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
触媒の総細孔容積が0.4cm/g超である、請求項1〜9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
触媒の総細孔容積が0.4〜0.8cm/gである、請求項1〜10のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
触媒の総細孔容積が0.5〜0.7cm/gである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
直径が0.1ミクロン超である触媒の細孔の容積が、総細孔容積の多くとも20%を示す、請求項1〜12のいずれか1つに記載の方法。
【請求項14】
直径が0.1ミクロン超である触媒の細孔の容積が、総細孔容積の多くとも15%を示す、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
直径が0.05ミクロン超である触媒の細孔の容積が、総細孔容積の15〜35%を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
直径が0.05ミクロン超である触媒の細孔の容積が、総細孔容積の18〜35%を示す、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
触媒の比表面積が、250m/g未満、好ましくは30〜150m/gである、請求項1〜16のいずれか1つに記載の方法。
【請求項18】
触媒担体は、アルミナ、シリカ、炭化ケイ素およびこれらの酸化物の混合物から選択される多孔質金属酸化物である、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
触媒担体は、高純度アルミナによって構成される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
触媒担体は、立方晶ガンマアルミナまたはデルタアルミナによって構成される、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
触媒担体は、デルタアルミナによって構成される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
触媒担体の細孔容積は、0.4〜0.9cm/gである、請求項18〜21のいずれか1つに記載の方法。
【請求項23】
触媒担体の細孔容積は、0.5〜0.8cm/gである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
直径が0.1ミクロン超である担体の細孔の容積が、総細孔容積の0〜30%を示す、請求項18〜23のいずれか1つに記載の方法。
【請求項25】
直径が0.1ミクロン超である担体の細孔の容積が、総細孔容積の5〜20%を示す、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
直径が0.05ミクロン超である担体の細孔の容積が、総細孔容積の10〜50%を示す、請求項18〜25のいずれか1つに記載の方法。
【請求項27】
直径が0.05ミクロン超である担体の細孔の容積が、総細孔容積の15〜40%を示す、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
供給材料は、80〜220℃の温度、1〜10h−1の液空間速度、0.5〜5MPaの圧力で触媒と接触させられる、請求項1〜27のいずれか1つに記載の選択的水素化方法。

【図1】
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【公開番号】特開2007−181823(P2007−181823A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−345131(P2006−345131)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【出願人】(591007826)アンスティテュ フランセ デュ ペトロール (261)
【氏名又は名称原語表記】INSTITUT FRANCAIS DU PETROL
【Fターム(参考)】